ブルーベリーの商業栽培

 ブルーベリーの栽培面積は、全国で1981年に10haであったものが、1998年には223haとなり、2003年521ha、2005年650ha、2007年852haと爆発的に拡大中で群馬、茨城、埼玉などの拡大が目立ちます。中山間地の耕作放棄地に植えられたり、産地形成のため苗の購入に補助金を出す自治体も多数あります。ブルーベリーは比較的に新しい果物のため、地域の特産品づくりにブルーベリーが選ばれやすいこともあります。
 しかし、近年では、産地の増加や、中国産も輸入されるようになり、競争は厳しくなりつつあります。
 また、ブルーベリー茶用の葉を専用に栽培することも行われています。→ブルーベリー葉栽培

ブルーベリー栽培面積が大きい県
平成19年
面積(ha)
平成11年
面積、生産量
主要産地
長野県 108.0 56.2ha、236.0t 信濃町、大町市、大鹿村
群馬県 90.6 29.3ha、38.9t 川場村、中之条町、吾妻町、赤城村
岩手県 54.0 21.1ha、58.4t 盛岡市、岩手町、一関市、二戸市
青森県 37.6 19.1ha、33.9t 中里町、板柳町、東通村、弘前市
茨城県 70.7 13.0ha、3.7t 八郷町、利根町、常北町、小山町
埼玉県 65.3ha(2007年) ← 15.4ha(2002年) 美里町だけで40ha

大規模産地・大規模農園

・北海道赤井川村:アリス・ファーム 5ha

・岩手県遠野市:遠野ブルーベリーの森 2010年に20haの予定
 遠野市が用地を貸し出し、ブルーベリーサプリメント販売のナチュラルウェイ社が事業主体となる

・岩手県岩手町:9ha

・茨城県つくば市
 行政の補助もあって15ha
 つくばブルーベリーの里・沼崎 4ha

・埼玉県美里町:遊休農地解消のため整地から苗木代まで負担し40ha整備

・大分県九重町:西日本一の作付面積
 生産者は100人近く、作付面積では14ヘクタール

・鳥取県大山町:12ha程度

・鳥取県江府町
 奥大山ブルーベリーファーム 40品種、16,000本、10ha(将来的には20ha)

・島根県大田市:神原エーデルファーム 6ha(平成16年度)

・広島県大崎上島町:神峯園 3ha

・長崎県佐世保市:よかばい柚木農園。ハウス23棟、3haで点滴ポット栽培

ブルーベリー栽培の利点

栽培が容易
 樹高が低いので管理作業が楽、果実が小さいので収穫作業での運搬が楽、そのため女性や高齢者、さらには障害者を雇用する例もあります。病害虫に強いので、農薬が少なくて済み、有機栽培も可能なため、今の健康食ブームに適合しています
 栽培が容易であるため、異業種からの参入も多数あります。

建設業からの参入例
・鳥取県:馬野建設(H16,0.4ha)、三宝土建(H16,0.2ha)、かわばた(H16,4ha)
・島根県:下垣工務所(神原エーデルファーム8ha)、石見雲海農園(0.4ha)
・広島県:原田建設(2ha)
・青森県:ニシキ建設
・長野県:庫昌土建
・愛知県:杉田組。特定法人貸付事業として、遊休農地活用と地域活性化のために開設、0.7haで1200本栽培。ブルーベリーのこみち2008年開園
・長崎県:堀内組、よかばい柚木農園。平成21年、ハウス内で点滴ポット栽培、23棟(3ha)、将来的には3haまで拡大予定。外国産と国内産露地の端境期である4月〜6月を狙って栽培。

初期投資が少ない
 他の果樹に比べると少なくてすみます。露地栽培でよい。無農薬栽培にすれば、動力噴霧機は不要で、防草ネットにすれば草刈り機も不要。

資金回収が早い
 他の果樹に比べると、収穫できるようになるまで短くてすみます。3年目の苗を植えれば、翌年から収穫が可能。バックカルチャーシステム(養液点滴栽培)にすれば、成長を早めることもできます。

行政の補助例
 耕作放棄地の解消、特産品作り、産地化推進のために、行政の補助がある場合があります。

・鳥取県江府町:株式会社の農業参入認める「ブルーベリー特区」認定(平成16年6月認定)

・埼玉県美里町:遊休農地解消のため整地から苗木代まで負担し40ha整備(1999-2003年)

・茨城県つくば市:1999年4月から10a以上の圃場へブルーベリー苗木購入費及びピートモス購入費の1/2を補助する

・栃木県大田原市:苗木購入費助成

ブルーベリー観光農園
 各地のブルーベリー観光農園の動機を探ってみます。

・奈良県明日香村
 石舞台古墳など多数の史跡がある明日香村。観光客の少ない夏場に「人を呼ぶ仕掛け」として夏に収穫できるブルーベリーを選定、5割にもなる遊休農地解消にも役立てたい[2007/8記]

 他には、
・定年あるいは定年後の楽しみとして、少しはお金になればいい程度に考えており、夢の実現ということが主目的。
・兼業農家のため、農業に時間をかけたくないから、あまり手間がかからないブルーベリーを選び、収穫はお客さんがするので楽。
・他の果樹やイチゴで既に観光農園をやっていたが、伸び悩んでいるので、人気のあるブルーベリーも手がける場合。
・趣味でブルーベリーを栽培していたが、本業にする場合
・地域で産地化が進められているため、それに乗っかる場合

ブルーベリーのハウス栽培
 ブルーベリー栽培は、ほとんど露地栽培ですが、促成栽培も各地で行われています。国産ブルーベリーの需要が高まる中で、小売側からは長期間国産品を扱いたいという要望もあります。以下、ハウス栽培をしているブルーベリー園の例です。

・静岡県菊川市:ブルーベリーオガサ「ブルーベリーの郷」
 「ブルーベリーの郷」では、2007年5月16日に温室栽培のブルーベリーの収穫が始まりました。同社のHPを見ると、ブルーベリー狩りは、6月中旬からのようです。

・和歌山県有田市宮原町:前馬喜代彦さん
 ブルーベリーのハウス栽培は、まだ、珍しいですね。調べたところ、和歌山県有田市宮原町の前馬喜代彦さんは、ハウス栽培のブルーベリーをYahoo ショッピングで通信販売しています。

・広島県大崎上島町:神峯園

新しい栽培方法

針葉樹の樹皮培地
 山口県農林総合技術センター 2013年4月
 農地に針葉樹の樹皮を厚さ30cm、幅2mの畝状に敷設(樹皮培地)し、敷設した樹皮培地に植穴を掘り、植穴にピートモスと籾殻(もみがら)を1:1で混合した資材40リットルを植穴に入れ、苗木を定植する。
 樹皮は保水力が高いため育ちが良く、地面に直接植えるのに比べ収穫量が倍増するという。定植2年目以降は、通常の気象条件下では潅水はほぼ不要。従来、樹皮は捨てられており、導入コストも安い。
→(参考)山口県報道発表資料:針葉樹樹皮を活用したブルーベリーの新たな栽培法を開発しました 〜水田転換園でもブルーベリー栽培が可能です〜


その他
傾斜ハウス及び傾斜地養液栽培システムを利用したブルーベリーのコンテナ養液促成栽培技術マニュアル  近畿中国四国農業研究センター 2007年3月31日

・土壌適応性が広いラビットアイ系にハイブッシュを接ぎ木し、経済性を高める方法