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特殊相対性原理を簡単にわかりやすく解説


特殊相対性原理は相対性原理と光速不変の原理を基礎にして完成されました。それぞれを簡単に説明し、この原理より導かれる不思議な世界を紹介します。いろいろなところで説明されていますが、今流行の脳トレにも匹敵する面白さがあります。読んで考えてみてください!!

少しだけ前説を!!

言葉の使い方についての簡単な説明です。言葉には分野/業界ごとにちょっと変わった使い方、方言があり、私も少し戸惑ったところがあったのでちょっとだけ説明しておきます。じゃまくさい人は飛ばしてください。

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見える」 について

相対論ではよく「見える」という表現が使われますが、少し注意が必要です。普通は「富士山が見える」など実際に肉眼で見る場合に使われますが、分野/業界で独特な使われ方をする場合があります。私もしばらくプログラムの世界にいましたが、「変数が見える」などと言っていました。

相対論の世界では、「静止している人の時計やものさしで測ったらどう見えるか」「・・・・・のように見える」と言う様な使い方が多く、実際に肉眼で見ることではないことがほとんどです。例えば「高速で動いている時計は遅く進んで見える」と言う場合、静止している所から高性能の望遠鏡で実際に見ると言うのではなく、あらゆる場所にどこからでも見えるように静止している所と同期した時計を配置し、さきほどの高速で動いている時計と比べたら遅く進んで見えると言うことです。少し飛躍してしまえば、手塚治虫の「火の鳥」に高速で動いている時計と静止している時計を比べてもらったら見えるというようなニュアンス、イメージになります。


ついでに宇宙船の内、外 および慣性系について

専門書ぽい書籍には慣性系と言う言葉が頻繁に使われます。速度一定で直線運動していれば慣性系になるので読みやすくするため敢えてこれは使わず、宇宙船で代用します。また、「静止した所」も良く使われますが、これも宇宙船の外として簡単に表現します。舞台としては現実にはありえませんが、光速に近い一定速度で動く宇宙船、その中で作業する人、これを宇宙船の外から見ている人を想定します。

相対論の場合、特に出来事の発生場所、それを見ている人の位置を明確にしておかなければ混乱してしまいますので、わかりやすくするため具体的な宇宙船を想定し、内、外で位置を明確にしようとしています。


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光速不変の原理


光の速度が一定(不変)といってもわかりにくいと思います。厳密性はかけますが、たとえ話で説明します。新幹線の中でキャッチボールをしていることを想定しみてください。新幹線のスピードは200km/hとします。実際は危険でこんなことはできませんが・・・・・・・・

豪速球のピッチャーが時速150km/hの速さでボールを投げたとします。内に乗っている人は当然150km/hと測定します。では外の人、例えばプラットフォームに居る人はどう見えるのでしょうか?

進行方向に投げたとすれば新幹線のスピードとボールの速度が加算され350km/h、逆方向に投げたとすれば減算され50km/h測定されることは容易に理解できると思います。

ボールが光に変わるとどうなるのでしょうか?。高速で運動するにで宇宙船で考えます。内に乗っている人は当然 3x10 10 cm/s(光の速度)と測定します。超高速、光の速度の半分(1.5x10 10 cm/s)で運転した場合、外の人は、進行方向の場合は4.5(3+1.5)x10 10 cm/s、反対方向の場合は1.5(3-1.5)x10 10 cm/sと測定されるのでしょうか?

不思議なことに、光の場合は速度の加減算は成立せず、どちらの人(内の人、外の人)も 3x10 10 cm/s と観察されます。これは1895年のマイケルソン、モーリーの実験で実証されています。不思議ではあるが、原理として受け止めざるを得ないのです


相対性原理について


相対性原理と呼ばれるものは3つあります。ガリレオの相対性原理(通常は単に、相対性原理と呼ばれます)、今回の特殊相対性原理、それと一般相対性原理の3つです。

大雑把で簡単に説明しますと、ガリレオの相対性原理とは前述の例では新幹線の中でも、プラットフォームでも同じ力学の法則が成り立つということです。単純な例を示すと、どちらでも物を落とすと真下に落ちると言う事です。新幹線の場合、落下中に少し進むので少し後ろに落ちる気がしますが、真下に落ちています。

特殊相対性原理は全ての物理法則が宇宙船の中でも、地上でも成り立つということです。電磁気学を取り込んだ理論の拡張がなされました。

一般相対性原理は特殊相対性原理のさらなる拡張です。特殊相対性原理は頭に特殊が着くように特殊な状況での原理です。一定速度で直線運動している場合の原理です。これを新幹線の例でいうと駅から出発し始めた時や、止まる前の体がよろめく感じの状況の時、つまり加速度運動の状態にまで拡張したものです。


これから導かれる有名な3つの現象を説明します。それは観測者 ( 宇宙船の外に居る人、内に居る人 ) によって

  1. 時間の進み方が異なってくる
  2. 同時が異なってくる
  3. 測定する長さが異なってくる

という現象を起こします。


観測者によって時間の進み方が異なってくる

これは光速不変の原理を素直に受け止めれば比較的簡単に理解できます。

いろいろなところで説明されている方法ですが、左のような仮想的な光時計を用意します。この時計は光が上下で反射して周期的な運動をするものです。周期性により時間が計測できます。

まず、この光時計と一緒にいる人を考えてみます。この人は光は上下に動いているように見えるはずです。

次に、この光時計を超高速、光の速さの半分ほどの宇宙船に乗せてみます。これを外から見るとどう見えるでしょうか? 模式的に表したのが右下です。光は斜め上に上がり、斜め下に下がる周期運動をするのが見えるはずです。

ここで1周期の間に進んだ光の距離を比べると、当然斜めに進んだほうが長くなる。光速不変の原理を思い起こしてください。速度が一定で進んだ距離が長いということは、時間が長くなったことになりませんか。!!


進んだ距離=速度x時間 でしたよネ!!

観測者によって同時が異なってくる

これも比較的受け入れやすいと思います。宇宙船が停止している場合、中央から両サイドに向かって光を放ちます。当然光は同時に両サイドに到着します。下の図参照。


今度は宇宙船を高速で運転し、外から見ることにします。上と同様に中央から両サイドに向かって光を放ちます。今度の場合乗り物は高速で動いているので、進行方向に対して後面は光に向かって進んでおり、前面は光から逃げようとしています。従って、中央から放った光は後面に先に着き、前面には後で到着したように見えます。下の図参照

つまり、内部では同時に起こったことも、外から見ると時差のある出来事になってしまいます。

観測者によって測定する長さが異なってくる

私には上の2つに比べてこれは少し理解しづらいものがありました。通常、物の長さを測るにはその物に定規をあて目盛りを読めば測定できます。動いているものを測定する場合はどうでしょうか?

同じように定規の目盛りを読めばいいのですが、少し注意が必要です。通常の長さの測定では対象物は動いていません。従って、片方ずつ目盛り読んでも問題はありませんでした。ところで動いている場合はどうでしょう?同時に読まなければその間に動いてしまい正確に測定できません。測定するものが動いている場合両端を同時に読まなければ長さを測ることができません。この同時ということが核心のところです。

「同時が異なってくる」で説明したように、宇宙船の内にいる人と、外にいる人では同時が異なってきます。宇宙船の内部で同時に起きていることも、外の人には同時に見えないのです。このことが原因で宇宙船の内側で測るか、外側で測るかによって測定する長さが異なってくるという現象が現れます。

少し詳しく説明します。宇宙船が止まっている場合、真ん中から光を前後に発すると内の人も外の人も同じように同時両端に達するのをみ見ることができます。この時マーキングをします。

次に宇宙船が高速で動いている場合を考えます。「同時が異なってくる」で説明したように高速で動いていると宇宙船の内部で同時起きていることも宇宙船を外から見ると後ろの方が先、前方の方が後に起こったように見えます。逆に言うと宇宙船を外から見て両端で同時ということは、「同時が異なってくる」の延長で言えば、後方への光を前方より少し遅れて発光しなければならないことになります。この間にも宇宙船は進んでいるので外から見ると高速で動いているものの長さは短くなります。実際に短くなるというのではなく、測定すると短くなるということです。下図参照

同時を別の方法で作ってみます。今度は宇宙船の中で前後に同時に光を発光します。この場合は前方の方が光の到着が遅くなるので中央より前方よりで発光しなければなりません。この時も前方に光が到着しても後端にはまだ到着しておらず上と同様に時差が発生します。この間にも宇宙船は進んでいるので外から見ると高速で動いているものの長さは短くなります。実際に短くなるというのではなく、測定すると短くなるということです。下図参照

光の到着を待ってマーキングするなどそんなややこしいはせず、両端で同時にマーキングすればいいではないかとつっこまれそうですが、上記は内部の状態を説明するためのもので、単純にいえば、宇宙船内部での両端の同時の出来事は、外から見ると後端で先に起き、先端はあとで起こるように見えます。(上の項目の「同時が異なってくる」を参照ください)。従って、外から見て両端で同時ににマーキングするには内部では先端、少し遅れて後端をマーキングしており、時差が発生し、その間に宇宙船が進むことを説明をしたいます。


[2007/02/12]

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