TOP

光の速度

光の速度の測定にはガリレオも挑戦しています。ガリレオの方法は、約1.5km離れた山の頂上で、一方の人がランプを覆っていた手を離し、他方の人がその光が見えたら手を離し、その時間を測定するというものでしたが、光が速過ぎいてうまくいきませんでした。

デンマークの天文学者、オーレ・クリステンセン・レーマー(Ole Christensen Romer、1644〜1710)は、1676年に、科学的に意味のある光速度の値を世界で

初めて算出しました。イタリアの天文学者・ジョヴァンニ・カッシーニの観測した木星の衛星のイオの食の変動が、木星から地球に光が到達する時間の差によるものとして、カッシーニのデータを使って光の速度を計算しました。ただ、レーマーは原理を示しただけで、実際はクリスティアン・ホイヘンスが計算したとの話もあります。具体的には次のようになります。

オルパーズのパラドックス

図1

オルパーズのパラドックス

図2

木星の衛星イオが食(月が地球の影で消える場合の月食の食)で食の時間が異なるという現象が観察されていました。原因は上図に示すとおりです。上図でピーンとくる人は、以下は必要ありませんが、私はしばらく戸惑いました。

食が始まる時刻が地球に伝わるのに時間がかかり遅れるが、終わる時刻が伝わるにも同じ遅れががあり、差し引き 0 で食の時間には差がないと錯覚していました。言葉で説明するより式で使ったほうがわかり易いので式で説明します。

食の始まる時刻を t1、食の時間を t、地球までの距離を L、光の速度を c とします。

地球での食の観測開始時刻は、地球まで伝わる時間 L/c だけ遅れるので t1+L/c となります。この伝わっている間にも衛星は

動いていますので食が終了する残り時間はt−L/c となります。従って、食の終了時刻はt1+t−L/c となります。これを地球で観察すると、伝わる時間(L/C)を考慮すると、

1+t−L/C+L/C=t1+t

となります。従って、地球での食の観測時間は開始( t1+L/c )から終了( t1+t )までの差 t+L/c となり、実際の食の時間( t )より伝わる時間( L/c )だけ長くなります

従って、図2の場合は、図1の場合に比較して、太陽と地球の距離の2倍だけ伝わる距離が長くなり、この分、食が長く観測されます。この時間は約1000秒と観察されています。地球と太陽の距離がわかればCつまり光速が計算できます。当時の計算では約21万km/s になったようです。

[2006/07/07]

読み終えたら訪ねてみて下さい。
このサイトからはさよならします。