転職のための職業訓練ひろば

職業訓練の適性検査

 適性検査のある職業訓練もたくさんあります。この適性検査は、一般の会社などでよく用いられるPSIなどとは、ちょっと異なり、正式には「厚生労働省編一般職業適性検査」(GATB:General Aptitude Test Battery)というペーパー検査です。この検査は、仕事を遂行する上で必要とされる代表的な7種の能力を測定することで、能力面からみた個人の理解や適性職種の理解を図り、どのような仕事が適しているかをみるものです。GATBは、アメリカ合衆国労働省が1934年から10年かけて完成させたものを日本の旧労働省が国内の実情に合うようにしたものです。大学生や高校生の進路指導でも職業適性検査が行われることがあります。
 一般職業適性検査(GATB)は、職業訓練の選考の他にも、ハローワークでの職業相談や職業指導に活用されています。そのため、「適職について悩んでいる人」のために、希望者に集団で検査を受けさせてくれるハローワークもあります。

GATB適性検査の内容

 ペーパーテストでは、制限時間内にできるだけ早く正確に回答する最大能力を検査します。問題の量はかなり多いので、すべての問題を解くのはほとんど無理で、また全問正答が求められているわけではありません。訓練に必要な基準値に達していればいいので、問題の量にあせらずに解答しましょう。

検査時間
 ペーパーテスト(紙筆)は、45〜50分です。

試験内容
1.円の中に点を打つ検査
2.記号を記入する検査
3.形と大きさの同じ図形を探し出す検査
4.文字・数字の違いを見つける検査
5.同じ図柄を見つけだす検査 例題
6.置き方をかえた図形を見つけだす検査
7.加減乗除の計算を行う検査
8.同意語かまたは反意語を見つけだす検査
9.展開図で表された立体形をさがしだす検査
10.文章を完成する検査
11.算数応用問題を解く検査
 11問ありますが、職業訓練のコースによっては、そのコースで必要な適性をみる5〜6問だけが出題される場合もあります。

「円の中に点を打つ検査」は、下のように数珠つなぎになった○の中に順番に素早く点を打つだけです。
「加減乗除の計算を行う検査」は、2桁〜3桁程度の数の足し算、引き算、かけ算、割り算です。
「文章を完成する検査」は、文章の( )のなかに適当な単語を当てはめます。
「展開図で表された立体形をさがしだす検査」は、下図のように左の展開図を立体にすると、A〜Dのうちのどれになるか選ぶようなものです。


GATB対策
 本来なら対策などは必要はなく、自分に適している職業であるなら、必要な基準に達するものと考えられます。
 しかし、どうしても合格したいので、適性検査なんかで落ちたくないと考える人もいるでしょう。

 適性検査は、ひとつひとつの問題は簡単なのですが、短時間で多くの問題を解くため、GATBだけでなく一般的な適性検査すら受けたことのない人は難しく感じるようです。
 一般職業適性検査は、個人向けには市販されていませんが、一般の会社への就職向けで市販されているSPIなどの本には似た問題が記載されていることもあるので、SPIなどの適性検査の問題集を購入して練習する方が多いようで、それで十分だったということが多いです。

 なお、ハローワークでは、職業相談の一環や定期的に開かれる職業適性セミナーでGATB適性検査を受けられることもあります。あくまでも自己分析のために自分がどんな職業に適しているのか判断するために実施されているものであり、職業訓練の試験対策という目的で実施されているものではないので、注意してください。

たとえば、

ハローワーク横浜
 一般職業適性検査(GATB)の実施(検査時間 約45分)
 定期的に行われていますが、先着順で予約制です。無料。

・ヤングワークプラザしぶや:職業適性検査を受けませんか?
ハローワーク枚方: 若年者対象職業適性セミナー
キャリアアップハローワーク札幌:適職を考えてみる検査。GATB一般職業適性検査の他にもVPI職業興味検査など。

適性検査の体験談

ポリテク関東:nmさんの投稿より抜粋[2004/3]
 適性検査そのものは、厚生労働省謹製の検査で、数珠つなぎの○の中に点を素早く打っていくものから始まり、文章の正誤判別や図形の判別単純な計算問題などで、どれも現実には不可能な問題量/時間です。これらを問題ごとに、試験官の「始め」「やめ」の号令にしたがって解いていくわけですが、結構まわりがページをめくる音が早かったりしてあせってしまいます。だけど、超速で解いていた隣の兄ちゃんの解答を、鉛筆置いたあとにのぞき見たら、もろ間違ってたりして(笑)。やはり問題量にあせらず正確に解いていくことも大切なようです。
 自分は高橋書店の「就職試験によく出る 適性・適職問題」と成美堂出版の「就職試験の適性検査」というのをやりました。
長野県 松本職業能力開発促進センターに合格したBGLさんの投稿より抜粋[2005/9]
 職業適性検査は厚生労働省が出している簡単な問題を解く小冊子を行いました。多分授業について行けるかという事を判断するためと思います。 内容的には簡単な足算、引算、掛算、割算、左の文字列と右の文字列とは何文字違うか。後は展開図を見てどの図形になるかという問題等 が出てきました。ゆっくりやればなんて事無い問題ですが、制限時間が一項目につき3分ですから焦りますよね。 他の県は知りませんが、長野地域は適性検査はそれでした。
大阪の財務会計実務科を受講している方の投稿より抜粋[2004/8]
 適性検査は厚生労働省の適性検査でした。私は一般の就職用適性検査問題集をやりました。それで十分だと思います。県外にもかかわらず合格できました。
サングリアさんの投稿より抜粋[2006/6]
 私は東京ですが、適性検査の他に面接がありました。 合格してから知ったことですが、個人の経歴、面接での受答え(志望動機など)によって『早期就職が望める』という判断で受講できたそうです。 最近は就業実績を数字で残すことを要求され、職業訓練自体風当たりが強いとは聞いていましたが、事実でした。 適性検査は訓練に支障がないかを見極める程度だと職安の人も言っていたし、書類選考に自信があれば十分カバーできるんじゃないでしょうか。
あささんの投稿より抜粋[2006/6]
 「同じ図形を探す」「φ5mm程度の○の中にはみ出さないように点を書く」「同じ形の文字を書き続ける」等、事前に勉強しようのない検査でした。というか事前に練習しても意味がないというか。 私が受けた印象ですが、あの適正検査は一般的な授業についていける判断力と常識があるかどうかを検査するもので、結局は面接に重点が置かれていたと思います。 あせってもどうしようもない適性検査にふりまわされるよりは「受講したい講座の希望理由と就職への展望」を整理して面接に対しての心の準備をしておいたほうが有意義だと思います。