転職のための職業訓練ひろば
 雇用保険の待期中、給付制限中、受給中でも、自由にアルバイト等の労働ができます。しかし、失業手当をもらうためには、就職したとみなされないように長時間の労働には注意する必要があります。なお、ハローワークに最初の手続き(求職の申込みと離職票の提出)をする前であれば、アルバイト等は制限なく自由にできます。

 雇用保険の基本手当を受給できるのは、なんといっても「失業」している状態でなければなりません。では、失業ではなくなるアルバイトやパート労働の就職(就業)とは、雇用保険では「1年以上の雇用が見込まれ、週20時間以上の労働」(詳しくは後述)となります。

 1年以上働き続けるつもりがないと心の中で思っていても、雇用期間を定めずにいると、雇用主が気を利かして雇用保険に加入してくれることも考えられます。雇用保険に入ると当然ハローワークに伝わり、就職したとみなされかねませんので、注意しましょう。

 では、1年未満の短期間のアルバイトだからといって無制限にアルバイトをしてよいかといえば、そんなことはハローワークでは認めていません。雇用保険の趣旨として、求職者は熱心に求職活動をすることになっているからです。

 雇用保険法では給付制限中や受給中での労働を禁止していないため、運用については、各労働局(ハローワーク:職業安定所)の裁量に任されている部分もあり、次のように各ハローワークでいろいろな基準があるようです。そのため、アルバイトをする場合には、事前にハローワークに確認することが大切になります。

 なお、次のような基準が多いようです。
・失業認定期間(原則4週間)にアルバイトは14日間以内
・アルバイトは週に20時間以内
・アルバイトは週に3日以内

 不正受給がよく問題になるので、受給中の労働は厳しくチェックされます。しかし、給付制限期間中は申告をする義務もないので、「2週間以上のアルバイトであっても、給付制限期間中に始めて、給付制限期間内で終わる契約」なら認めているところもあるようです。

 最も大事なことは、失業認定申告書にはきちんと書き、不正受給にならないようにすることです。
(参考) 「雇用保険のしおり」より
内職・アルバイト・手伝いも申告が必要です。
失業給付を受給している人が、内職、アルバイト、手伝い等をした場合は、安定所へ申告をしなければなりません。もちろん、失業者が内職などをすること自体は正当なことですが、必要な申告を怠ると不正受給になります。
(参考)
雇用保険法での失業とは、「被保険者が離職し、労働の意思及び能力を有するにもかかわらず、職業に就くことができない状態にあること」(法4条)
(就職への努力)誠実かつ熱心に求職活動を行うことにより、職業に就くように努めなければならない(法10条2)

就職したとみなされるアルバイトやパートとは
雇用保険の被保険者になれること

 失業給付は、雇用保険制度に基づいて支給されますので、雇用保険の被保険者となれる週20時間以上のアルバイトやパートタイム労働でも、1年以上雇用される見込みである場合には、就職したとみなされます

 1年以上引き続き雇用されることが見込まれることとは、次のいずれかのケースに該当する場合をいいます。
  • 期間の定めがなく雇用される場合
  • 雇用期間が1年である場合
  • 3ヶ月など短期の期間を定めて雇用される場合であって、雇用契約の更新規定が設けられているとき(1年未満の雇止規定がある場合を除きます。)
  • 3ヶ月など短期の期間を定めて雇用される場合であって、雇い入れの目的、その事業所の同様の雇用契約に基づき雇用される者の過去の就労実績等からみて、契約を1年以上にわたって反復更新することが見込まれるとき
 1年以上引き続き雇用されることが見込まれ、週の所定労働時間が30時間以上であると雇用保険の一般被保険者として加入することになり、週30時間未満の労働であっても、週20時間以上の労働であると、短時間労働被保険者になります。

※年収が90万円以上見込まれる場合にのみという基準は平成13年度に撤廃されました。

待期中のアルバイト

 待期とは、「ハローワークに離職票の提出と求職の申込みを行った日(受給資格決定日)から、失業の状態にあった日が通算して7日間」のことです。(ちなみに、待という字と間違いやすいので注意)。通算して7日間なので、必ずしも連続していなくてよいのです。
 待期制度は、受給資格者が失業の状態にあることを確認するためのものですから、待期中は、アルバイトなどの労働は控えておいたほうがよいでしょう。もし、労働した場合は、必ず申告します。申告せずに失業給付を受けると、不正受給になります。
 待期期間が終了した日の翌日から失業給付が支給(給付制限がある場合は制限終了後)されるので、待期中に労働すると、失業給付を受ける始める日が遅くなってしまいます。
雇用保険法第21条(待期)
 基本手当は、受給資格者が当該基本手当の受給資格に係る離職後最初に公共職業安定所に求職の申込みをした日以後において、失業している日(疾病又は負傷のため職業に就くことができない日を含む。)が通算して7日に満たない間は、支給しない。

給付制限期間中のアルバイト

 自己都合退職や自分の責任のある重大な理由により解雇されたときは、待期終了後の3ヶ月間、失業給付は支給されません。これを「給付制限」といいます。
 給付制限中でも、アルバイトできます。ハローワークに申告する必要もありません。ただし、雇用保険の資格取得ができるような長期間の労働をすれば、就職とみなされて、失業給付が受けられなくなる可能性があります。
雇用保険法第33条(給付制限
 自己の責めに帰すべき重大な理由によつて解雇され、又は正当な理由がなく自己の都合によつて退職した場合には、第21条の規定による期間の満了後1箇月以上3箇月以内の間で公共職業安定所長の定める期間は、基本手当を支給しない。

失業給付の受給中

 アルバイトできますが、ハローワークに申告する義務があります。申告せずに失業給付を受けると、不正受給になります。
 就労の場合は、基本手当の支給はありませんが、働いた日数分の基本手当が消滅してしまうというわけではありません。受給期間内(原則として退職の翌日から1年)であれば、本来の所定給付日数が終了する日の後ろに繰り越されるだけで、所定給付日数そのものは減りません。
 失業認定書に、4時間を超えて働いた場合は、就労として「○」、4時間以下の場合は、内職又は手伝いとして「×」を記入します。ボランティアなどで働いて収入を得ていなくても、4時間以上労働すれば、就労扱いとなります。
 内職又は手伝いの場合は、収入から控除額を控除した額と基本手当の日額との合計額が賃金日額の80%相当額を超えるときは、当該超える額の分だけ基本手当の日額は減額されます。また、収入額が賃金日額の80%相当額を超えるときは、基本手当は支給されません。つまり次ぎのようになります。

@収入から控除額を控除した額 + 基本手当の日額 > 賃金日額の80%
  減額支給となります

A収入から控除額を控除した額 + 基本手当の日額 ≦ 賃金日額の80%
  基本手当てが全額支給されます

B収入額が賃金日額の80%相当額を超えるとき
  基本手当は支給されません

計算例が、「雇用保険の基本手当の日額、控除額及び 高年齢雇用継続給付の支給限度額を変更(厚生労働省)」にありますので、参考にしてください。

職業訓練期間中のアルバイト

 東京都の場合は訓練期間中のアルバイトは可能ですが、地方によっては「就労禁止」としているところもあるようですので、事前にハローワークに確認しましょう。
・失業認定申告書:雇用保険法施行規則 様式第14号
 「就職又は就労」とは、事業主に雇用された場合、自営業を営んだ場合、会社の役員、嘱託になつた場合などおよそ職業として認められるものについた場合又は日雇労働者として臨時に労働したり家業に従事した場合をいうものであること。なお、賃金などの報酬がなくても就職又は就労したことになるものであること。【雇用保険法施行規則様式第24号裏面】