転職のための職業訓練ひろば

訓練期間中の手当・給付金

 雇用保険の受給資格のある方や受給中の方で、公共職業安定所の受講指示を受けた場合には、訓練期間中は雇用保険の失業給付(基本手当、受講手当、通所手当)が支給されます。

税金

 基本手当や再就職手当等の給付金は、所得税のかからない所得(非課税所得)です。 所得税法上の取扱いは非課税となっていますので、給付金は所得税額の計算には影響ありません。 また、公共職業訓練を受講した場合に支給される受講手当や通所手当にも税金はかかりません。

基本手当

 訓練期間中は、訓練のない日(土曜、日曜、祭日、冬休み、夏休み等)についても、基本手当てが支給されます。ただし、やむを得ない理由と認められない欠席の日は、支給されません。
 遅刻・早退しても支給されます。東京都の場合では、休祝日をはさんでやむを得ない理由と認められない欠席をした場合には、その休祝日も労働の意志及び能力がないと判断されて、基本手当が支給されない場合があります。

 雇用保険で受給できる1日当たりの金額を「基本手当日額」といいます。
 この「基本手当日額」は原則として離職した日の直前の6か月に毎月きまって支払われた賃金(つまり、賞与等は除きます。)の合計を180で割って算出した金額(これを「賃金日額」といいます。)の、およそ50%〜80%割(60歳〜64歳については45%〜80%)となっており、賃金の低い方ほど高い率となっています(平成18年8月1日現在)。→賃金日額と給付率

 基本手当日額は年齢区分ごとにその上限額が定められており、現在は次のとおりとなっています(平成18年8月1日現在)。以前に比べて大幅に引き下げられています。
年齢区分 基本手当日額上限額
30歳未満
6,395円
30歳以上45歳未満
7,100円
45歳以上60歳未満
7,810円
60歳以上65歳未満
6,808円

受講手当

 受講手当とは、雇用保険の受給資格者が、公共職業訓練を受けた日に、1日当たり500円が支給されるものです。訓練がない日や訓練を休んだ日には支給されません。

 金額の500円は、雇用保険法施行規則により定められています。

 なお、平成15年5月に500円に改正される前は、600円でした。また、平成20年3月末までは、35歳以上60歳未満の被保険者であった期間が3年以上である特定受給資格者については、受講手当の日額は700円でした(則附則2条受講手当の額に関する暫定措置)。

(受講手当の法的根拠)
 受講手当は、技能習得手当(法36条)の一種(則56条)で、金額は500円(則57条)です。

雇用保険法
(技能習得手当及び寄宿手当)
第36条 技能習得手当は、受給資格者が公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受ける場合に、その公共職業訓練等を受ける期間について支給する。

雇用保険法施行規則
(技能習得手当の種類)
第56条  技能習得手当は、受講手当及び通所手当とする。

(受講手当)
第57条
 受講手当は、受給資格者が公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けた日(基本手当の支給の対象となる日(法第十九条第一項 の規定により基本手当が支給されないこととなる日を含む。)に限る。)について支給するものとする。
2  受講手当の日額は、五百円とする。

(技能習得手当及び寄宿手当の支給手続)
第61条 技能習得手当及び寄宿手当は、受給資格者に対し、支給日又は傷病手当を支給すべき日に、その日の属する月の前月の末日までの分を支給する。
2. 受給資格者は、技能習得手当及び寄宿手当の支給を受けようとするときは、受講証明書に受給資格者証を添えて管轄公共職業安定所の長に提出しなければならない。

通所手当

 雇用保険の支給が開始されると、通所手当も併せて支給になります。通所手当は、通学にかかる交通費のことで1ヵ月の定期代が支給となります。(3ヵ月コースでも、1ヵ月の定期代を申請します)。なお、申請用紙及び記入要領は、法令等データベースシステムの雇用保険法施行規則 様式第12号で見られます。
 通学方法は、鉄道を第一に考えることとされています。その経路には、乗換回数、通学時間等は考慮されず、最も経済的なもの(一番安い経路)が算定対象となります。バスは、東京23区内では、特別な場合を除いて、バス通学は認められません。
 
申請した経路が認められなかった場合
 連絡はしないそうです。翌月の入金の金額から自分で判断するしかないようです。

●通学定期を買えるのか
 訓練期間が1年以上であれば通学定期が買えます。つまり、1ヵ月、3ヵ月コースなどは、通勤定期を買います。

●3ヵ月定期を買っても良いか
 問題ありません。申請時には、1ヵ月定期の金額を記入することになっているので、疑問に思う方もいらっしゃいました。

(通所手当の根拠)
雇用保険法施行規則
第五十九条
第1項 通所手当は、次の各号のいずれかに該当する受給資格者に対して、支給するものとする。
  1. 受給資格者の住所又は居所から公共職業訓練等を行う施設への通所(以下この条において「通所」という。)のため、交通機関又は有料の道路(以下この条において「交通機関等」という。)を利用してその運賃又は料金(以下この条において「運賃等」という。)を負担することを常例とする者(交通機関等を利用しなければ通所することが著しく困難である者以外の者であつて交通機関等を利用しないで徒歩により通所するものとした場合の通所の距離が片道二キロメートル未満であるもの及び第三号に該当する者を除く。)
  2. 通所のため自動車その他の交通の用具(以下この条において「自動車等」という。)を使用することを常例とする者(自動車等を使用しなければ通所することが著しく困難である者以外の者であつて自動車等を使用しないで徒歩により通所するものとした場合の通所の距離が片道二キロメートル未満であるもの及び次号に該当する者を除く。)
  3. 通所のため交通機関等を利用してその運賃等を負担し、かつ、自動車等を使用することを常例とする者(交通機関等を利用し、又は自動車等を使用しなければ通所することが著しく困難な者以外の者であつて、交通機関等を利用せず、かつ、自動車等を利用しないで徒歩により通所するものとした場合の通所の距離が片道二キロメートル未満であるものを除く。) 
第2項
通所手当の月額は、次の各号に掲げる受給資格者の区分に応じて、当該各号に掲げる額とする。ただし、その額が四万二千五百円を超えるときは、四万二千五百円とする。
  1. 前項第一号に該当する者 次項及び第四項に定めるところにより算定したその者の一箇月の通所に要する運賃等の額に相当する額(以下この条において「運賃等相当額」という。)
  2. 前項第二号に該当する者 自動車等を使用する距離が片道十キロメートル未満である者にあつては三千六百九十円、その他の者にあつては五千八百五十円(厚生労働大臣の定める地域に居住する者であつて、通所のため利用できる交通機関のないもの又は自動車等を使用しないで交通機関を利用して通所するものとした場合において、その者の住所若しくは居所からその利用することとなる交通機関の最寄りの駅(停留所等を含む。)までの距離が二キロメートル以上であるもの若しくはその利用することとなる交通機関の運行回数が一日十往復以下であるもののうち、自動車等を使用する距離が片道十五キロメートル以上である者にあつては八千十円)
  3. 前項第三号に該当する者(交通機関等を利用しなければ通所することが著しく困難である者以外の者であつて、通常徒歩によることが例である距離内においてのみ交通機関等を利用しているものを除く。)のうち、自動車等を使用する距離が片道二キロメートル以上である者及びその距離が片道二キロメートル未満であるが自動車等を使用しなければ通所することが著しく困難である者 第一号に掲げる額と前号に掲げる額との合計額
  4. 前項第三号に該当する者(前号に掲げる者を除く。)のうち、運賃等相当額が第二号に掲げる額以上である者 第一号に掲げる額
  5. 前項第三号に該当する者(第三号に掲げる者を除く。)のうち、運賃等相当額が第二号に掲げる額未満である者 第二号に掲げる額
第3項
運賃等相当額の算定は、運賃、時間、距離等の事情に照らし、最も経済的かつ合理的と認められる通常の通所の経路及び方法による運賃等の額によつて行うものとする。
第4項
運賃等相当額は、次の各号による額の総額とする。
  1. 交通機関等が定期乗車券(これに準ずるものを含む。次号において同じ。)を発行している場合は、当該交通機関等の利用区間に係る通用期間一箇月の定期乗車券の価額(価額の異なる定期乗車券を発行しているときは、最も低廉となる定期乗車券の価額)
  2. 交通機関等が定期乗車券を発行していない場合は、当該交通機関等の利用区間についての通所二十一回分の運賃等の額であつて、最も低廉となるもの
第5項
次の各号に掲げる日のある月の通所手当の月額は、第二項の規定にかかわらず、その日数のその月の現日数に占める割合を同項の規定による額に乗じて得た額を減じた額とする。
1. 公共職業訓練等を受ける期間に属さない日
2. 基本手当の支給の対象となる日(法第十九条第一項の規定により基本手当が支給されないこととなる日を含む。)以外の日
3. 受給資格者が、天災その他やむを得ない理由がないと認められるにもかかわらず、公共職業訓練等を受けなかつた日

手当の支払日

 東京都の場合を説明します。入校後は、それぞれに決められていた失業認定日がなくなります。手当ては、毎月1日から月末までの分が、翌月の15日前後に口座に振り込まれます。

支払額の計算例

 例えば、入校日が4月7日の場合の4月分の支払額を計算してみます。基本手当と通所手当の支給対象日数は、24日となります。受講手当の対象となる受講日数は、17日となります。基本手当日額が8,000円、1ヵ月の定期代が9,000円とします。

 基本手当の支払額は、基本手当日額8,000円×24日=192,000円

 通所手当の支払額は、1ヵ月の定期代9,000円×24日÷30日=7,200円
 (4月は30日だが、5月は31日になることに注意)

 受講手当の支払額は、受講手当日額600円×17日=10,200円

よって、振込額は、
 基本手当+通所手当+受講手当
 = 192,000円+7,200円+10,200円
 = 209,400円

再就職手当

 就職日の前日までの失業の認定を受けたうえで、就職日から受給期間満了日までの支給残日数が所定給付日数の「1/3以上」であり、かつ、45日以上残して就職したら、再就職手当が支給される場合があります。いろいろと条件があり、また申請する期限もありますから、就職が決まったら、早めに該当するか確認して申請しましょう。

●再就職手当は、就職した日の翌日から1ヵ月以内に、「採用証明書」を提出し、その際に交付される「再就職手当支給申請書」に事業主の証明を受け、「受給資格者証」を添えて申請を行わなければなりません。

再就職手当の額=支給残日数×1/3×基本手当日額


雇用保険法

(再就職手当)
第五十六条の二
 再就職手当は、受給資格者が安定した職業に就いた場合において、公共職業安定所長が厚生労働省令で定める基準に従つて必要があると認めたときに、支給する。ただし、当該職業に就いた日の前日における基本手当の支給残日数(当該職業に就かなかつたこととした場合における同日の翌日から当該受給資格に係る第二十条第一項及び第二項の規定による期間(第三十三条第三項の規定に該当する受給資格者については、同項の規定による期間)の最後の日までの間に基本手当の支給を受けることができることとなる日数をいう。以下同じ。)が、当該受給資格に基づく所定給付日数の三分の一未満である受給資格者及び所定給付日数の三分の一以上であつて四十五日未満である受給資格者については、この限りでない。

2 受給資格者が、安定した職業に就いた日前厚生労働省令で定める期間内の就職について再就職手当又は常用就職支度金の支給を受けたことがあるときは、前項の規定にかかわらず、再就職手当は、支給しない。

3 再就職手当の額は、支給残日数に応じ、第十六条の規定による基本手当の日額に十五を乗じて得た額以上当該日額に百二十を乗じて得た額以下の範囲内において厚生労働省令で定める額とする。

4 再就職手当を支給したときは、この法律の規定(第十条の三及び第三十四条の規定を除く。)の適用については、当該再就職手当の額を第十六条の規定による基本手当の日額で除して得た日数に相当する日数分の基本手当を支給したものとみなす。
(昭五九法五四・追加、平元法三六・平四法八・平六法五七・平一一法一六〇・平一二法五九・一部改正)

雇用保険法施行規則
(再就職手当の額)
第八十二条の三
 法第五十六条の二第三項の厚生労働省令で定める額は、同項に規定する基本手当の日額に支給残日数を三で除して得た数を乗じて得た額とする。
(平一三厚労令一八・全改)

(再就職手当の支給申請手続)
第八十二条の四
 受給資格者は、再就職手当の支給を受けようとするときは、再就職手当支給申請書(様式第二十八号の二)に受給資格者証を添えて管轄公共職業安定所の長に提出しなければならない。

2 前項の規定による再就職手当支給申請書の提出は、法第五十六条の二第一項の安定した職業に就いた日の翌日から起算して一箇月以内にしなければならない。ただし、天災その他提出しなかつたことについてやむを得ない理由があるときは、この限りでない。

3 第二十一条第一項ただし書の規定は第一項の場合に、第十七条の二第四項の規定は前項ただし書の場合における提出について準用する。
(昭五九労令一七・追加、平七労令一・一部改正)

(再就職手当の支給)
第八十二条の五
 管轄公共職業安定所の長は、受給資格者に対する再就職手当の支給を決定したときは、その日の翌日から起算して七日以内に再就職手当を支給するものとする。
(昭五九労令一七・追加)

区切線葉