アボカドの果肉にある黒い(茶色)筋

 黒い(褐色)筋は、種子に栄養や水分を送るための維管束という組織です維管束は、果肉に比べると酸化しやすく、酸化して黒くなるのです。黒い筋が目立つアボカドは、追熟がうまくいっていない場合や熟しすぎた場合になることが多いと思いますが、黒い筋を食べても害はありません。褐色になるのは、果肉に含まれているポリフェノールとフェノール酸化酵素が、空気に触れることで、両者が反応して、褐色のメラニンが生成されるのです。メラニンは、無害です。

リスト記号 変色を防ぐ
 アボカドを切ったまま放置しておくと、茶色く変色します。このような現象は、リンゴやバナナなどと同様な現象で、褐変(browning)と呼ばれます。もともと果肉に含まれているポリフェノールとフェノール酸化酵素(Phenoloxidase)が、空気に触れることで、両者が反応して、褐色のメラニンが生成されるのです。メラニンは無害ですので、見た目が悪いだけで、気にすることはありません。(メラニンはしみやそばかすの原因でもあります)
 ラップで密着させる
 つまり、空気に触れないようにすれば、変色は少なくなりますが、一度、空気に触れているので完全に変色を防ぐのは難しいのですが、切った直後に、アボカドに密着させるようにラップで包めば、かなり変色が少なくなり、1日くらいは大丈夫です。
 アボカドの入った容器にフタをするようにラップをしたのでは、アボカドは空気と触れているので、全く効果はありません。
 レモン汁をかける
 変色を防ぐには、酸っぱくなりますが、レモンやライム果汁をかけます。これは、アスコルビン酸(ビタミンC)の還元作用の効果を利用するものです。なお、レモン果汁をかけておくと、少しは褐変を防ぐことができますが、完全には防げません。
 下の写真は、レモン果汁に浸してから取り出したもの(左)、レモン果汁をかけたもの(中)、何もかけないもの(右)。いずれも、容器にラップをかけて、冷蔵庫に半日入れておいたものです。

リスト記号 タネを一緒に入れておくと変色しない」は、違うと思う
 メキシコでは、「皮を剥いたアボカドとタネを一緒に入れておくと変色しない」とされているので、日本でもテレビ番組等で紹介されています。しかし、私が実験したところ、何の効果もありませんので、迷信ではないかと思います。もし、タネと一緒というのであれば、「皮を剥く前のそのままの状態なら、タネと接触したままなので、変色しない」ということになります。しかし、現実には、変色します。
 変色するのは、酸化が原因なのですから、タネを入れただけで、変色しなくなるというのは、あり得ないと思います。テレビの料理番組で、料理研究家が、確認しているのでしょうか?
(この項は、2005/5/17記す。追記2005/7/6:NHK今日の料理でケンタロウも経験上タネを入れると効果があると言っていた)