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取得額の計算:総平均法に準ずる方法とは

 個人投資家では、2回以上にわたって取得した同一銘柄の株式等の取得費の金額の計算は、「総平均法に準ずる方法」で行うこととされています(所得税法令第118条)
 証券会社のサイトによっては、総平均法に準ずる方法は、移動平均法と同じ方法のように書かれています。しかし、MSNマネーでは、次のように違うと書かれています。
 総平均法に準ずる方法が、「譲渡」のつど取得価額を算出するのに対し、移動平均法は「取得」のつど保有分の株式の取得価額を算出する。  通常の株式売買取引であれば、算出される取得価額は同じになりますから、移動平均法によって計算した金額で確定申告をしてかまいません。
 しかし、1株単位銘柄ではない場合には、端数の切り上げ処理が原因で総平均法に準ずる方法と移動平均法では、異なる結果になるような気がします。

 また、オリックス証券のサイトでは、日計り取引の場合には、次のように計算順序が異なると書かれています。
 日計りの場合、実際の取引が「買い」より「売り」を先に行った場合でも、取得単価の計算では「買い」を先に行ったものとして取得価格を計算します。特定口座では1日単位で譲渡損益計算を行うため、1日の中の取引順序とは関係なく、常に「買い」より「売り」が先にあったものとみなして譲渡所得の計算を行うためです
 私の場合は、年間取引報告書に記載された取得価額と自分の計算とでは、120万円も違っていたので、証券会社に問い合わせたところ、ようやくその原因が分かりました。
 同一銘柄を複数回で購入した場合の取得価額の計算は、「総平均法に準ずる方法」で計算されます。その時に、1株あたりの株価に端数が生じた時には、

 端数を切り上げます。 ← これが原因!

つまり、端数が出ると、取得単価は実際より高く計算されることになるのです。このため、取引報告書と源泉徴収明細書の金額が変わる場合もあるようです。

1000株単位の銘柄を多く売買していると、影響が大きいので、私のように120万円もの差になることもあるのですね。私の場合では、ライブドア証券での1年間の約定件数は、約5500でした。そのほとんどが、1000株単位の銘柄です。買いの件数を、2,250として、その全部で端数が切り上げられ、平均で、500円の切り上げがあったとすれば、

2,250件×500円 = 1,125,000 円

となり、ほぼ実際と同じになりました。

●総平均法に準ずる方法による計算例
 A銘柄を318円で2000株買付し、約定代金が636,000円。
次に、同じA銘柄を320円で1000株買付し、約定代金が320,000円。
合計956,000円を3000株で割りますと、平均取得単価は、少数点切り上げ
 で、319円となり、取得価格は 319円×3000株で 957,000円となります。
 つまり、1,000円の差になります。

●総平均法
有価証券をその種類及び銘柄の異なるごとに区別し、その種類等の同じものについて、その年一月一日において有していた種類等を同じくする有価証券の取得価額の総額とその年中に取得した種類等を同じくする有価証券の取得価額の総額との合計額をこれらの有価証券の総数で除して計算した価額をその一単位当たりの取得価額とする方法(所得税法令第105条)

●移動平均法
有価証券をその種類等の異なるごとに区別し、その種類等の同じものについて、当初の一単位当たりの取得価額が、種類等を同じくする有価証券を再び取得した場合にはその取得の時において有する当該有価証券とその取得した有価証券との数及び取得価額を基礎として算出した平均単価によつて改定されたものとみなし、以後種類等を同じくする有価証券を取得する都度同様の方法により一単位当たりの取得価額が改定されたものとみなす(所得税法令第105条)