南極旅行日記
- 本番編 -


2月14日
航海第8日目

05:30 日の出
06:30 コーヒータイム
09:00 朝食
10:30 ブライアン氏による、「米国の南極プログラム」の講義(ラウンジにて)
12:30 昼食
14:00 ルリコ・リンドブラッド女史による、バードウォッチング(デッキにて)
     *悪天候の場合はビデオ上映
16:00 ツアー紹介(風の旅行社 H・I・S マリンエクスペディション他)
17:00 南極クルーズ総復習
19:00 バー・オープン(バーにて)
20:00 船長主催のサヨナラディナー
21:10 日入り

ご案内
*本日の夜、天候が良ければ南十字星の観測をします。
*長靴を処分されたい方は、長靴置き場にそのままお残し下さい。
*いよいよ明日(2月15日)下船となります。お忘れ物ないようご注意下さい。

掲示板に貼ってあったのから写し取りました



 昨晩から気になっていたのだが、日程表が届かない。
 今朝、他の人から“コピー機が壊れたそうだ”という情報を得る。
 なんでも2台とも壊れちゃったとか・・・。

 ほんと、ここでは毎日なんかしら壊れているような感じだなぁ。
(~_~;)

 改めて活字を読む気は起きないのだけど、ないとなると寂しいもので、仕方なくなく掲示板に手書きのが1枚ペラッと貼ってあったのをデジカメ撮影。
 客室に戻ってから、余り紙に書き写して、壁に貼り貼り。

 あーこれで落ち着いたー。
 きっとA4紙に書かれた日程表くらいが、今の自分には丁度良い読み物の量だったんだろうな。

 ともかく今朝も、本物のコーヒーにスイカ、そしてやったぁ!フレンチトースト!
 

*とうとうコピー機まで壊れたらしい朝


 午前中のレクチャーは、聞いているうちに嫌になり、失礼ながら途中退場。
 私が余裕のない、懐の狭い人間だからなのかもしれないけれど、ひたすらPR的に聞こえてくる言葉に、いささか嫌気がさしてしまったのだ。
 信じて疑わず、無意識に押し付けてくるような正当性の主張。
 そういったものは、自分の中にだってあることなのだろうけれど・・・。

 どんどん偏屈な人間になってってるのかなぁ?
 そう考え始めると、自己嫌悪の念にもかられてしまう。


 ともかく荷物の整理にかかる。

 結局あれだけ大量に用意したホカロンは一個も使わなかった。
 お湯で溶くだけの生姜酒も、そっくりそのまま残っているので、それらを通訳のルリコさんを介して船員さん達にあげることにする。

 ルリコさん曰く、「フィリピン系の人が多いのだが、きっと喜ばれるだろう」とのことだ。

 ??

 まぁともかく無駄にならなくて、私も嬉しい。


 ババシャツは結局8枚用意したうち、使ったのはたったの1枚。
 7枚が捨て。
 靴下やタイツも何足用意したんだったかな?の、大部分を捨て。
 釣り具屋さんで買った防水防寒ズボンも捨て。
 イヤーマフも手袋もセーターも長靴も捨て捨てモード。

 衣料品は最初から捨ててくるつもりでボロボロのを用意してきたのだけど、ババシャツやタイツは新たに買い足した分もあったし、上陸装備にいたっては、この旅行一回こっきりに使用したのみである。
 本当の話、もったいない。

 逆に足りなくて困りそうなのは、ガムテープや厚紙など、工作用具。
 でも今日一日でドレーク海峡を抜けるはずだから、なんとかなるかぁ。

 



今日はバレンタインデーだ


 お昼のデザートはハート型クッキー添えのアイスクリーム。
 夫には、旅行前にチョコレートを渡したんだったな。
 きっと、今日までに食べちゃってるだろなぁ〜(笑)。

 でもって先程、留守宅からFAXが届く。

 うわうわ!私が送った2回目のFAX内容に、またもや心配してるー。

 “夜になったら南十字星を見にブリッジに行くつもりです”と書き送ったんだけど、お外に繋がってるデッキと勘違いしちゃったみたい。

 「突然振り回されて、海に投げ出されたらどうするんだよ〜! 」だって・・・。

 ふむ、ともかく大丈夫だよと、またFAXしておくか。

 エンゲル係数はかなりに高くなってる模様。
 自宅から歩いて2分のロイヤルホストを毎日毎食利用しているらしい。

 「南極の景色や一面の海原を見ながらだったら、例えばアメリカ産カップヌードルでも、すげぇ〜美味しいんだろうなぁ。羨ましいなぁ」だって。

 ・・・私も旅行前はそう思ってたんだけどネ。 (^^ゞ


 夫からは双方の実家に電話をしてくれて、両親達の心配をなだめてくれてるみたいだし、ともかく有り難いことだ。
 (追記:随分昔のことだけど、日本人旅行団体を乗せた南極遊覧飛行機の墜落事故が、両親達に相当なインパクトを与えたらしい。私も南極旅行の話を切り出した時、面と向かって反対はされなかったけど、まずその事故の話をされ、心配を表明されてしまったのでした)


 午後一番はデッキにて、ルリコさんによるバードウォッチング!

 ああ良かった!海がそれほど大荒れじゃなくて・・・。


 相変わらず私のヘタクソなカメラ操作では、鳥の飛ぶ姿が追いきれない。
 それでも連続撮影機能が付いているので、辛うじて撮れたという感じ。
 そんな中でもマシなやつが下の3枚。



 この鳥は『ロイヤルアホウドリ』か、『渡りアホウドリ』のどちらかで、性別は雌、そして成鳥。
 どちらも非常に良く似ていて、僅かに頭部の辺り、多分“目”かな?の違いで判別するらしい。

 (ロイヤルアホウドリは、全体が黒目。渡りアホウドリは、全体が黄色で中心が黒目)

 もっとアップの写真があれば、どっちか判別出来たのかもしれないけれど、私のカメラでは、ここまで近づくのが精一杯だった。

 背中側を見ると、羽先だけでなく胴体辺りまで灰褐色が続いていることから、雌の成鳥だということだけは分かった。
 この個体は、右側初列風切羽の一部が折れているようだ。


 この方がクリス。
 私のクッキーマン! (^O^)/

 丁度バードウォッチングの時、デッキに出てきていたので、写真を撮らせてもらった。

 普段の表情はかなりに渋い。
 でも笑うと、すごくすごく可愛い。
 
 行きのドレーク海峡突入後の早朝、よろめいている私に、大きな波が来た時の“踏ん張り方”を教えてくれたのが彼。
 デセプション島の波打ち際温泉で、一人日本人団体に混じって一風呂浴びてたのが彼。
 「明日のオヤツはジンジャークッキーとウォールナッツクッキーだよ」と、熱心に教えてくれたのが彼!
\(^o^)/
 

*デッキにて、バードウォッチング


 バードウォッチング後の「ツアー紹介」は今一つ興味が湧かないことと、少し疲れてきたのでパス。
 そのまた後の、「南極の総復習」に参加する。

 レクチャーの主な内容は・・・・

 ピーターマン島に向かう時に現れた3頭の鯨はミンククジラだったそうだ。
 平均で身長10メートル、体重は8トンあるとか・・・。
 
 昨日の最大傾斜角度は、瞬間で51.3度だったことも説明される。
 ひょえーっ!!
 行きより静かだと思ってたのに、傾斜角度は帰りの方が大きかったのね〜〜〜!!!

 そして質問タイムに例の密漁船についての質問があったのだが、やはりあれは日本のものだそうで、望遠鏡で確認したスタッフの人の話では、“新高丸 TOKYO”と、船体に書いてあったそうだ。

 最後に、「南極、特に半島部分は探検家達のものだけではない。百年ほど昔の人が見たのと何も変わっていない、同じ風景を私達は見て来たのだ。そして南極旅行は、決して一生に一度限りのものではなく考えても良いのではないのでしょうか?・・・」等のお話を受ける。

 私も昔は南極旅行なんて夢のまた夢で、多分アメリカ西海岸辺りが行ける限界の、そして一生に一度の海外
(新婚)旅行だと考えていた。
 両親世代が結婚適齢期の頃ともなれば、憧れの新婚旅行地は伊豆や熱海だったそうだ。

 実際には今でも、海外旅行は一生に一度の人の方が数としては多いのかもしれない。
 けれど何時の日か、近場の温泉気分で週末旅行がハワイに、新婚旅行が南極や北極に、夢のまた夢が月や火星、果ては銀河系の外にまで出かけて行くようになるのかもしれない。

 でもそうなったとしても、私、やっぱりまた南極に来たいよ。
 生き物のいる、自分達の住んでる地球を旅してみたい。


クルーズリーダー・レクチャーの講師・通訳、と、メインのスタッフさん達です
これほどの悪天候でも、なんとか数回の上陸を成功させ、航海全体も無事終えられそうなことにホッとしている御様子。
ほんとにお世話になりました・・・。
この写真の中にはいらっしゃらないけど、負傷なさったホテルマネージャーさんやお医者さんにも、
色々お世話になりました。感謝!

*南極の総復習

追記

旅行後、南極海で目撃したトロール漁船が気になって水産庁に電話してみた方の話によると、水産庁の方からは、こんな答えが返ってきたそうです。

「新高丸(3190トン)は日水所属の遠洋底引き漁船。
 ただし密漁ではなく、ちゃんとオキアミ漁の許可を受けて操業しており、他にも大洋漁業など4隻が操業している。
 原則南極海は禁漁ですが、例外的に魚種と漁獲量、それに許可漁船を決めて漁を許可している。
 しかし、割り当て(許可)量まではとてもとれないだろう。」

 だそうです。
 良かった〜。(^_^)



 バーがオープン。
 今夜のカクテルは、ニコールお姉さん特製の“グレイシャークーラー”だとか。

 でも馬鹿たれな私。

 なんとかなるだろう!と、無謀にも、テーブルの上にグレイシャークーラーを置き放してのカメラ撮影を試みる。

 結果、撮影を済ます前にコップは飛んでしまいました・・・。

 だからナイショの早々おかわり。
 ニコールごめんネ。

 何時の間にか、折り紙の得意な参加者さんによるお雛様セットがカウンターに飾られていた。

 ヤシの木の下お雛様。 トナカイまで一緒!


*最後の夜のバーにて


 ここまでですら、長い日記になってしまったため、このページはそろそろ終わりに・・・。
 船長主催のサヨナラディナーに御興味おありの方は、下のペンギン画像をクリックしてご覧くださいませ。



サヨナラディナー


 ディナーを終え、最後の夜の懸案がお星様。

 このクルーズ期間中はずっと天候が悪く、昨夜一人でブリッジ階のデッキに出た時も、まるで星空が見えなかった。

 それが・・・今夜はどうしたことでしょう?!
 通路で擦れ違った人に、「見えるよ!すごいよ!奇麗だよー!!」と聞き、慌ててTシャツ一枚のままデッキに出ると、予想を遥かに上回るほどの満天の星空!

 さすがに外はマイナス2度。
 WALLABYさんと二人、すっかり凍えてしまったけれど、互いになかなかその場を去りがたく、結局客室に戻った後、ゴミ袋に突っ込んだ手袋やイヤーマフを取り出し、再び上陸装備に着替えてデッキへ。
(^_^)V

 初めて見た南十字星にも感動したけど、久々に天の川を見た時の感動、どう言葉で表現したらいいものか・・・。
 プラネタリウムでもないのに、これほど見えちゃうなんて・・・・。
 吸い込まれるって、こういう星空のことを言うんだよなぁ。


 今夜はさすがに、バーも図書室もブリッジもデッキも人がいっぱい!

 クルーズ中、何度となく訪れたブリッジでは静かにエンヤが流れ、ムードたっぷり。
 また来れるかしら? また来れるよね?


 水先案内人が乗り込んできたのは11時半頃だそうだ。
 明日の朝は5時頃ウシュアイアの港に到着するらしい。

*最後の最後に星空


2月14日