南極旅行日記
- 本番編 -


2月10日
航海第4日目

05:30 日の出
09:00〜10:00 朝食
10:30 ブライアン氏による、「南極の科学」の講義を行います。(ラウンジにて)
12:30〜13:30 昼食
14:00 国際南極旅行業協会(IAATO)規約の説明及びゾディアック乗船に関する説明会。
     環境庁発行「南極行為者証」授与
16:00 おやつタイム
19:00 バー・オープン
20:00〜21:00 夕食
22:20 日入り

*南極上陸について
 ・午後、メルキュール島の周辺をゾディアックでクルーズし、ホエールウォッチングを行います。
 ・夕食前または夕食後、ニッコーハーバーまたはクーバービル島に上陸します。
  夕食時間は上陸時間によって変更となる場合があります。

*明日(2月11日)に、南極観測基地を訪問予定です。
*ギフトショップは、ドレーク海峡通過後にオープン致します。
*食事の時間は、時間厳守でお願い致します。




 れれ?「ギフトショップは、ドレーク海峡通過後にオープン」?
 ってことは、まだ完全には抜けていないということなの?
 うーむ。
 まぁ少しづつ揺れがおさまってきてはいるけれど、依然として要注意状態ではあるもんなぁ・・・。

 とりあえず、朝御飯食べてくるかな。
 食事時が貴重な情報収集時でもあるし、なんと言っても本物のコーヒー!そしてスイカにありつけるはず。


 今日の朝食にはフレンチトーストが出た。
 それにソーセージとスイカ・柿・おかゆ。

 久々のフレンチトースト!
 ああ美味しかったっ!
 量的にキツくて食べきれなかったけど、また出てくるといいなぁ。

 収集してきた情報の方はと言うと・・・・、

 20年間のうち、2日でドレーク海峡を抜けれられなかったのは過去5回だとか。
 現在南緯63度52分の地点を通過中。

 ディスコ号の正式名称は、ディスコテック号と言うそうだ。
 踊ってるのねん・・・。(^_^;)

 アメリカはコネチカット州在住の通訳ルリコさんは、今回が5シーズン目のクルーズだそうで、「上陸した時は体を低くしてジッとしてると、あっちから興味を示して近寄ってきてくれることもありますヨ」と教えてくれた。
 なんでも足を伸ばして座ってジッとしていたら、膝の上に乗っかってきてくれたとか!

 わ、私もペンちゃんに会ったら、そうしてみようー。

 そうそう!今朝早くに起きた人は、ペンギン・イルカ・鯨を見たそうだ。
 ちょっぴり焦る。(~_~;)




食堂真ん中の大きな柱?の中には、エンジンルームの排気筒があるそうな
(元々セッティングしてあったチビマグカップ、何時の間にか消えてしまった)

*朝の食堂にて


 ドレーク海峡大揺れの間はデッキに出ることが禁止されていたのだが、今はOK。
 午前中のレクチャー前、デッキに出てみるとマダラフルマカモメの姿が!
 それまでの鬱憤を晴らすかのように写真を撮りまくった。

 ・・・がっ!

 こっちも船で動いている上に、あっちも飛んでいるので、撮りにくいったらない。
 それでも諦めきれずに撮ってはみたのだが・・・客室に戻りパソコンの画面で確認して、嗚呼!

 やはりこんなものしか撮れなかったか・・・。

 ビデオカメラでは、もう少し被写体の姿を追えたし、グッと近づくことも出来たのだが・・・

 辛うじて背中の模様が分かるかしら・・・?


 オナカ側はこんな! 


 でもね、でもね!

          






 ←これは、だぁれ? (^O^)/

 もしよかったら、↑の写真をクリックしてみてネ!



この時の外気温は4℃でした


 そして・・・そして・・・



初めて島らしきものを眼にしたのでした。
(追記:この島は、南シェトランド諸島の島の一つで、名前をスミスアイランドと言うのだそうです)

*デッキにて 海鳥ウォッチング


 午前中のレクチャーは、揺れもおさまり客室から出てくる人数も多くなってきたので、ラウンジではなくバーのある部屋で行われた。
 目に見える風景からも、少しづつ色濃くなってゆく命の気配からも、そして私達の生活のちょっとした変化からも、南極に近づいてきたのが実感させられる。

 昼食のメニューは、初めてヌードル以外のもの!
 魚介と野菜のトマトソース炒めをかけた、チャ、チャーハン?

 見た目は美味しそうなのだけど、でも・・・でも・・・やっぱりなお味だったから、二口三口を食べてヤメ。

 デザートはチョコレートムース。
 これがニッコリ顔の形に生クリームを絞り出してある(笑)。
 南極が近づいてきてウキウキしている今の気分を、そのまま表現してくれてるみたい〜。

 


 午後、留守宅の夫からFAXが届く。
 あっ!ワイングラスを一つ割ってしまったことを謝っている(笑)。
 うふふー、ここ
(ディスコ号)なんかじゃぁ、毎日なんか壊れてるよなぁ〜。



 そして国際南極旅行業協会(IAATO)規約の説明及とゾディアック乗船に関する説明、そして環境庁発行「南極行為者証」の授与式が行われた。

 どうやら今日は、なんとか上陸を果たせそう!

 でも、ゾディアックでの上陸は、かなり天候に左右されてしまう。
 風速が30ノット以上になると、中止されてしまうとか・・・。
 今は25ノット。
 なんとかこのまま風が強くなりませんように!
 
(ちなみにドレーク海峡での最高風速は65ノットだそうである)

 風の問題がないにしても、まず最初にエクスペディションリーダーが先に上陸して様子を調べてからとなるそうだ。

 ディスコ号に搭載されているゾディアックは4つ。
 参加者80人が、10名一組で8グループに分けられたのだが、私は最後のグループ8。
 公平を期するため、上陸のたびに1グループづつ繰り上がっていく仕組みだ。
 一ヶ所につき、上陸時間は2〜2時間半。
 クルーズ期間が終わらないうちに、早い順番が回ってくるといいなぁ・・・。


 「南極作為者証」、正式には、「南極地域活動行為者証」と言い、その第一面には、確認を受けた年月日、氏名、目的、時期などが並んでいる。
 日本では99年1月14日から試行になったばかりだそうで、実際には私達が初めての授与対象者だそうだ。

 自分の名前が呼ばれて受け取った保険証サイズの南極作為者証には、“第75号”という番号がふってあった。
 まだ上陸を果たしたわけじゃぁないのに、こういったことさえ、とても嬉しい!


ゾディアック乗船時に使う救命胴衣の説明

ゾディアックの乗り降りでは、こんな形に手を繋ぐ

「水夫握り」と言うそうだ


 今日の上陸予定地は、クーパービル島と南極本土の半島部分(別名アートウスキー半島)
 全員を2つに分け、同時に2ヶ所の上陸を開始するそうである。。
 クーパービル島と南極半島の距離はゾディアックで5分くらいなので、上陸後は各自好きな時に、まだ行ってない方へと移動できるとのことだ。

 クーパービル島は、ジェンツーペンギンのルッカリー
(営巣地)としては最大なんですって!
 わーい!わらわらとしたペンギン達に、ようやっと会えるのね!

 それまでの間にエレラ海峡を抜けホエール・ウォッチング
(鯨だーっ!)をするそうだ。

 そして今後の上陸予定はと言うと・・・、
 明日はイギリス基地のあるポートロックロイとアデリーペンギンのルッカリーのあるピーターマン島、明後日はデセプション島上陸の予定だと説明される。

*バーにて 上陸に関する説明会


 説明会の後、図書室に紅茶を飲みに行こうとしたら、密漁船発見の知らせが飛び込んできた。
 慌ててカメラを取りに客室に戻り、そしてデッキへ。

 うわぁー、いるぅー。
 しかも、日本語らしき名前が船尾に入ってるぅ〜。(-_-;)


 南極地域で初めて出会う船が密漁船とは・・・。
 その船の軌跡が長く白く泡立っている部分には、ギンフルマカモメの一群。
 船の曳いているモノが目当てなのかしら?

 漁の真っ最中ではなかったけれど、後で聞いた話によると、「船の後ろに漁獲物を曳いているから、あまり近づかないように」との警告がディスコ号に向けてあったそうだ。
 その船曰く、「オキアミだ」とのことなのだが・・・。


もし船名を完全に認識できる写真や動画があり、それが環境庁に証拠と
して提出されれば、この船の責任者、“手が後ろに回る”んだそうです。

私のカメラでは、オリジナル画像でも、そこまでの認識度は得られませんでした。

*デッキにて


 船内にクジラ発見のアナウンスが流れる。
 午後予定されていたゾディアックでのホエールウォッチングは、どうやら船のデッキからとなったみたい。
 防寒&防水着に着替え、カメラ2台を持ってデッキに行く。

 わーぉ!いるいるぅ〜!潮吹いてるぅ〜!

 でも、惜しいことにタイミングを逃したみたいで、私がデッキに上がった時は少し距離が離れてしまい、デジカメで撮影できた姿はこんなサイズになってしまった。


ううっ!この尾鰭、もっと大っきく撮りたかったよぉ〜 (;_;)

*デッキにてホエールウォッチング


 その後、刻一刻と濃厚になってくる命の気配に、食事に出ていても気がそぞろ。
 (島や鯨やカモメや流氷だけでなく、とうとう泳ぐペンギンのお姿をこの目で確認できたのよー!!)

 でも食事時は貴重な情報収集時間なので、やはりパスは出来ない。
 ましてや上陸間近な今となっては・・・。

 下の写真は、氷山と流氷の写真。
 後ろの島と重なって、今一つな角度だけれど、しょがないよネ。

 


 *夕食を終えたデッキにて


 あとはもう、誰も彼もがコーフンの渦の中。
 私もそう!

 初めて乗るゾディアック。
 初めて見るペンギンの営巣地、クーバービル島
 初めて見る南極大陸の端っこ、アートウスキー半島。
 イルカ泳ぎで波間を進んでいくペンギン達、時々フッと現れる鯨達、空を飛ぶ鳥達。
 
 聞こえてくるペンギンの声、流れてくるペンギンの匂い、ゴム長を通してでも感じる大地、足元を擦り抜けていくペンギン達、追いかけるペンギン、逃げるペンギン、迷子のペンギン、喧嘩するペンギン、“我ここにあり”の宣言ペンギン、餌をねだる雛、給餌する親、羽繕いするペンギン、どっこいしょペンギン、思索に耽るペンギン、風、氷河の砕け落ちる音、あああああ。

 ということで、この日の上陸開始から上陸終了までの話は、それだけで2ページくらい使っちゃうほどなんで、御興味おありの方は、下のペンギン画像をクリックしてくださいませ。
m(_ _)m

 ・・・・・
クーバービル島&本土に行くのんよ

*上陸前


 酔っ払った。
 なんでこんなに酔っちゃうんだろ?
 たいして飲んでいないのに。

 ラッパーな厨房兄ちゃんは、コーラとオレンジとなんたらのカクテルが美味しいぞと言う。
 次の時飲むね。
 カメラを向けると「恥ずかしい」というニコールお姉さん。
 スタッフの皆からも「そうだ、彼女は恥ずかしがり屋なんだ」と、からかわれているニコールお姉さん。

 優しくて可愛いし、働き者だし、大好き!
 この旅行が終わっても、また何時か会えるとイイな。

 今夜はもう寝る。

*バーにて


2月10日