僕のシネマ・パラダイス

Take 1,家族を釘付けにした「大脱走」
  
    中学生の頃、テレビでアメリカ映画「大脱走」が放映された。長い映画だったので、
 前編・後編に分けての放送だった。
 あまりの面白さに、家族5人がいつのまにか全員が、テレビの前に釘付けになっていた。
 前編を見終わったあとも「つづきはどうなるんやろ?」「みんな成功するんとちゃう?」
 「そんな事ないやろ。」などと、みんなが思い思いのストーリー展開を話しだし、
 一週間後の後編が待ち遠しくてたまらなかった。
  家族みんなが一台のテレビの前で、同じ時間を共有し、同じ話題で盛り上がる。
 こんな風景、僕らの子供時代は当たり前だったけど、その後テレビは、一家に2〜3台と
 なり、しかも家庭用ビデオの普及と共に、みんなそれぞれ好きな時間に好きな番組を見る
 ようになり、こういう風景は珍しいものになってしまった。...
  今再び「大脱走」をビデオを見ていると、あの頃の家族達の、輝く瞳とワクワクする顔
 が浮かんでくる。...
大脱走
「大脱走」
1963(米) 監督:ジョン・スタージェス 主演:スティーブ・マックィーン. ジェームス・ガーナー.チャールズ・ブロンソン.リチャード・アッテンボロー他

 第二次大戦中、ドイツの誇る第三捕虜収容所に収容された連合軍昇降たちが厳しい 監視の目を盗んで想像を絶する大脱走を敢行する。とてつもないスケールとスピーディー なストーリー展開による、実話を元にした豪快な一大アクション映画。
 原作は、英空軍のパイロットで、この歴史的大脱走に参加したポール・ブリュクヒル のベストセラー実話で、製作・監督は男性映画の第一人者のジョン・スタージェスで、 彼の最高傑作とうたわれる。音楽はエルマー・バーンステインが担当し、マーチの名曲 を作曲している。
Take 2,目を酷使させる「超立体映画」
                     
  20年ぐらい前、超立体映画「空飛ぶ十字剣」という映画が封切られた。
 特殊なめがねを入り口でもらい、それをかけて見ると、刀や弓矢が画面から飛び出してくる
 という当時としては画期的な映画であった。...
  超立体映画という謳い文句の通り、剣やヤリ・弓矢などが、見ている者の目を狙って飛び
 出してくる。映画の最中、前の方の席に座っていた僕は、なにげなくふと後ろを振り返
 ると、スクリーンを見つめる人が、全員同じめがねをかけている・・・なんか「秘密クラブ」
 の様な、怪しい世界にでも紛れ込んで、スペシャル○○ショーでも見ている様な気がした。
  映画が終わって、映画館から出てくる人が「なんか、もひとつやったな〜。」と言いなが
 ら目をウルウルさせていた。そういう僕も目がウルウル・・・そう、立体映画って、目がす
 っごく疲れるんです。泣ける様な映画じゃないのに、見ていた人は全員が涙目。...
  1時間半もの間、目を酷使していたんです。後にディズニーランドで「キャプテンEO」
 という同じ様な方式の映画が見れる様になったけど、あれは20分ぐらいだから、それくら
 いが限界なのかな?。...
 映画の内容はあんまり覚えていないけど、別の意味で凄い映画でした。  
空飛ぶ十字剣
「空飛ぶ十字剣」
1978(香港) 監督:チャン・メイ・チェン 主演:レオン・タン.
パイ・イン

 17世紀の中国、明の時代、若い一人の武術の達人が、権力を欲しいままにして横暴 をきわめている宦官に敢然と立ち向かい、親の敵をうつまでの物語で、空手はもちろん のこと、剣・ヤリ、あらゆる武術が展開される。
 「超立体映画」ウルトラ・キュービック方式と呼ばれる画期的な撮影技術によって、放た れた弓矢、ふりおろされた剣、そして斬られた人間の首や手足が、スクリーンから飛び出 してくる。
Take 3,秀才M君との「ボルサリーノ」

  小学校・中学校生活を共に送った「M君」。まじめで物静かで、頭が良くて、テストで
 は常にクラスの頂点にいた。映画を見るのが趣味という彼と僕とは馬が合い、一緒に
 よく映画館へ足を運んだ。高校は別々だったけど、それでも映画好きの僕らは、時々
 一緒に映画を見に行っていた。
  やがて高校を卒業し、僕は就職。彼は一浪して有名大学に進学した。
 やがてお互い20歳を過ぎ、忙しいせいか「しばらく会ってないな〜」と思っていた頃、
 M君は突然夜に僕の家にやって来た。...M君は「実は大学をやめて、働いてんねん。」
 と言う。「なんでや?苦労して合格したのに。」と聞く僕。...「うん、なんとなく。・・・
 今ミナミの、Sというクラブで働いてんねん。水商売やけど、将来は自分の店をやろうと
 思うてるねん。」と言う彼。...子供の頃の、まじめで物静かな彼を知る僕にとって、それ
 はとても意外な話だった。...それから小一時間ほど話をし、彼は「悪いけどな、じつは
 お金貸して欲しいねん。」と言い出す。「なんぼぐらい要るねん?」と聞く僕。...
 「20万。」と言われたので、「そんなにあれへんわ〜。」と答える。「そうか。・・・」と
 がっくりする彼に、「10万ぐらいやったらあると思うから、明日来てくれ。」と言い、
 明くる日銀行からおろした10万を、彼に渡した。
  1か月ぐらいして半分の5万を返しに来て「残り5万も、すぐに返すから」と言ったき
 り、もう20年が過ぎてしまった。
  高校時代に二人で最後に見た映画「ボルサリーノ」。アラン・ドロンとジャン・ポール
 ・ベルモンドが、全く個性の違う二人のヤクザを演じるこの映画に、僕は、M君と僕と
 の関係を写しこんで見ていた様な気がする。
  その後M君はどうしているのか解らない。...もうお金の事はどうでもいいから、あの
 頃の様に、また好きな映画の話ができたらいいのになあ。・・・としみじみ思う。
ボルサリーノ
「ボルサリーノ」
1973(仏) 監督:ジャック・ドレー 主演:アラン・ドロン.
ジャン・ポール・ベルモンド.

 1930年のマルセイユの暗黒街が舞台。クールでニヒルなヤクザ、ロック・シフレディ (アラン・ドロン)と、とぼけた様で抜け目のない、フランソワ・カペラ(J・P・ベルモンド) は、酒場でのはでな喧嘩をきっかけに友人関係となる。二人に共通なのは、いつまで もケチなヤクザでいたくないという野心と、金が無いことだった。二人は次第に男を売り、 地盤をひろげ、街の2大ボスをやっつけて、暗黒街を手中に収めていく。だがラストには 悲しい結末が待っていた。
「静」と「動」、全く性格の異なる二人の男の、野心と友情と恋に精一杯に生きた姿を、 鮮烈に哀歓豊かに描いた作品。

Take 4,「ブルース・リー」の様なええ体

  日本中の若者、特に男子達を熱狂させたのが、ブルース・リーの「燃えよドラゴン」。
 躍動する肉体から繰り出される華麗な技、しかもこの時すでに故人という事で、たちまち
 伝説のスーパースターになってしまった。
 「燃えよドラゴン」は僕らが高校時代、お正月映画で封切られ、悪友Aが「おい、サットン
 (高校時代からのあだ名)、正月映画、なに見に行く?」と言うので「そら〜やっぱり、
 ”アマゾネス”やで、グラマーな姉ちゃんがいっぱい出てきて、み〜んなチチまるだしで
 大暴れするらしいぞ!」と答える。「お前、そんなアホな事ゆうてる場合ちゃうぞ!。な
 んか”燃えよドラゴン”ってすごい映画やってるらしいで!」と言うのだ。
  そして冬休みに入り、さっそく悪友3人組で、「燃えよドラゴン」を見に行く。...
 結果、僕らを含み、見終わった男達の体には、みんなブルース・リーが乗り移っていた。
 その後通販で「ブルワーカー」を買い、ブルース・リーのごとく、体を鍛えるために、ト
 レーニングに励む毎日。おかげで結構、筋肉が付いて、まあまあエエ体になった。
  あれから約25年、せっかく作り上げたエエ体も、今では面影もなくなってしまったけ
 ど、あの頃の少年達は、誰もが多かれ少なかれブルース・リーの影響を受けていた。
  ちなみに「アマゾネス」の方も、その後でしっかり見ました。...よかったです!ハイ。

燃えよドラゴン
「燃えよドラゴン」
1973(米・香港) 監督:ロバート・クローズ 主演:ブルース・リー.ジョン・サクソン.ジム・ケリー

 少林寺拳法の達人リーは、国際情報機構のブレイスウェイトから、南シナ海に浮かぶ要塞島での武術トーナメントへの出場を依頼される。リーの使命は、要塞島での麻薬密造の内情を探る事だった。トーナメントに出場したリーの目的は、麻薬密造の内情を探る他に、元少林寺の修行僧でありながら、武術の知識を自分の利益のために悪用する要塞島の支配者「ハン」と、死んだ妹の仇である、ハンの用心棒のオハラを倒すことであった。

 今までにない迫力あるアクション映画で、一躍世界的なスーパースターになったブルース・リー。しかし彼は映画の公開を前にして謎の死を遂げ、世界への飛躍を知らずにこの世を去ってしまった。
アマゾネス
「アマゾネス」
1973(米) 監督:テレンス・ヤング 主演:アレナ・ジョンストン.サビーヌ・スン

 古代ギリシャに実在した女だけの武人族「アマゾネス」。弓と盾を武器にし、馬に乗って戦うという伝説を、「007」シリーズの娯楽映画の巨匠テレンス・ヤングが撮った作品。
大画面いっぱいに暴れまくるアマゾネスガールは欧米からの応募者から選ばれた40人で、平均身長180cmという超グラマー揃い。映画の為に猛特訓を受け、迫力あるアクションシーンを演じた。

Take 5,「ゴジラは人間が中に入ってる!」

  ゴジラ映画ブームが来たのは、小学校に入学した頃。僕が初めて見たのは「モスラ対ゴジラ」
 それまでは映画といえば、アニメばっかりだったから、かなり衝撃的だった事を覚えている。
 学校でもクラスのほとんどの男子がこの映画を見ていて、「すごかったな〜、ゴジラ。身長
 50メートルやて、どれくらいやろ?」「通天閣ぐらいかな〜」話題はいつもゴジラの事ばっ
 かり。
  クラスの中に「S君」という頭のいい子がいて、「みんなアホやな〜、ゴジラは、ホンマは
 人間が中に入っていて、50メートルもないねんで!」と夢のない事を言う。
 「そんな事ないわ〜。ビルよりでっかいやん!」と他の誰かが反論すると、「ビルはホンマは
 小さいねん。・・・」という具合に、たちまち「ゴジラ論争」が始まった。
 S君以外は誰もがみな、あんな怪獣が本当にいて、日本を破壊しているんだと思っていた様で、
 S君は「ゴジラ論争」に於いては、だんだんクラスの中で孤立してしまった。
  その後、S君は転校してしまい、やがて僕らはS君が言っていた事が、真実である事を知る。
 「それでも地球は回っている!」と言い続けた「ガリレオ」の様に「それでもゴジラは人間が
 中に入っている」と言い続けたS君。...今頃どんな大人になっているんだろう。

モスラ対ゴジラ
「モスラ対ゴジラ」
1964(日) 監督:本多猪四郎 主演:宝田明.星由里子. ザ・ピーナッツ.

 東海地方を襲った台風が、平和な静の浦の海に二つの意外な物を運んできた。一つは 放射能を帯びた異様な牙。もう一つはインファント島の守護神「モスラ」の卵であった。 この卵で一儲けしようとする悪徳興業社と、「卵を返して下さい」と訴えるインファント島の 小美人。一方放射能を帯びた牙が発見された干拓地からは、ゴジラが地表を割って姿を現した。狂った様に破壊を重ねるゴジラ。そして卵を守るためにインファント島から、年老いた親モスラがやってきて、最後の力をふりしぼりゴジラと戦う。


Take,6〜10 

Take,11〜15

番外編

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