ARIA PRO U
PE-R80 / PE-R80KV


コントロール類にはすべてトップ表面にディンプルが設けられている。
R80に付けられているピックガードはレスポールに比べ小ぶりである
ミニスイッチの操作時に邪魔にならない為の配慮であろう。




これぞ80年代アリプロの実力機

モチーフはレスポールとは言え
随所にオリジナリティ溢れるデザインが採用されている


 PE−R80はARIAの誇るPEシリーズの80年代の主力機種である。初期バージョンは2ピースラミネートの両面削りだしメイプルBODYでディマジオPUが装着されていた。しかしオールメイプルBODYでは音が硬くまた重量も重いということからマホガニー材をはさみ込み、PUもARIAオリジナルのCLASSIC POWERに変更され太く甘いサウンドも出せるように変更された。
 3ピースメイプルのセットネックはヒールレスカッタウェイでハイポジションも弾きやすい。写真でもわかるようにバックのキャビティカバーまでもアーチのついたメイプルでできている。ミニスイッチはハム/シングルの切り替え。指板のインレイも個性的でいい(ちょっとB.C.RICHに似ているが)。製造は82年ごろ。なお、初期の仕様はPE−R80Dと品番が変更され生産継続された。

 写真のR80には付属品としてついてくる小ぶりなピックガードがとりつけてある(ユーザーがBODYに穴をあけることを嫌った為かピックガード付きは中古市場であまり見られない。ちなみにPEユーザーとして知られる松原正樹氏は付けていた)。レスポールに比べBODY両面が削り込んである為それほど重くないが、中央部は十分な厚みが確保されておりCLASSIC POWER PUとあいまってブライトかつ太い音がする。またアンティークバイオリンの塗装が幾分サンバースト状に仕上られており、メイプルの木目が透けて見えかなり渋い感じになっている。(2000年に限定リイシューされたPE−1500の雰囲気のない?塗装とは段違い。)

 このPE−R80を手始めにMID1、NS1000GCSUPRAR150ANNIVERSARY、そしてK200と手にしたが、サウンド面で最もお気に入りはこのR80である。もちろん個体差もあろうが、抜けの良い(人によっては少々ハイがきつめと感じるかも知れないが)リアPUや、スィートで太いミックス〜フロントPUはトグルスイッチをどのポジションにしても実に使えるサウンドである。特に高音部の音の張りとサステインは価格帯的には1ランク上のYAMAHA SG−1000やIBANEZ AR300と比べても素晴らしいものがある。
 現在のアリアは安物ギターとして認識されているので(特に若者には)、つくりのしっかりした80年代前半のものでも中古市場で結構安い値段で出回っている。なかでもこのR80は程度のいいものがあれば初心者にも絶対お勧めの1本。

 81年のエスケイプ・ツアーでの来日時に、ニール・ショーンはアリアから10本以上のスペシャル・ギターを贈られてご機嫌であった。このPE−R80を含むお気に入りのいくつかをツアー中のバックステージに用意していたが、PE−R80を実際のステージで使っている姿は残念ながら見たことはない。




-追記-
Player 02.12 Dear my partners(ミュージシャンの所有器紹介コーナー)は松原正樹氏。「あのギターはなかなかの名器ですよ、レスポール的なんだけど日本人の指のサイズにあっているし。」とインタビューでPEについて語っている。 4弦+12弦のST(スーパーツイン)も所有。(2002.11.02)

独特のポジション・マークとブラス製ナット
トラスロッドカバーは少々安っぽい



流麗なアーチドバック
キャビティ・カバーまでも木製で
アーチがつけられている
そしてセットネックでありながら
ハイポジションでの演奏性を
飛躍的に高めたヒールレスカッタウェイに注目


独特のアーチ形状に伴いボディ厚も変化に富んでいる。
上下のストラップ・ピン部で比べると
1cmほどエンド部が薄く仕上げられている






 めでたくR80KV入手しました。まあノーマルR80にケーラー後付けの改造でも全然構わないのですがやっぱりファクトリーオリジナルのほうが気分がいいですよね。ちなみに違いはトラスロッドカバーがKVは無地だってところだけです。
 R80KVのサウンドはノーマルのR80に比べてよりマイルドで好ましいのですが、やっぱりケーラーはハイポジションでサステインが出ないんですよね〜。