Today's Moon -- 今日の月
2005.02.01:デザインリニューアル
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2005年1月17日(月) SMART-1、電気推進停止。最終運用軌道へ。(ESA)

SMART-1 -- スマート-1最終運用軌道にむかっていたSMART-1は1月10日に電気推進を停止した。これは最終的な運用軌道に到達する前に残りの燃料を正しく見積もるためと、ミッション期間延長の計画を正確に予測するため。
SMART-1の予定ミッション期間は1月末から7月末までの6ヶ月間。その後地球重力による擾乱で、運用軌道は不安定になりSMART-1は軌道上昇しないと徐々に月に落下する。どのくらいのキセノン燃料が残っているか3つの方法で見積もられていて、それぞれ10.8kg、9.6kg、6.6〜7.8kg。
タンクの中の1.8kgのキセノンは使えないのだが、最悪のシナリオでも約5kgのキセノンがが使えることになり、軌道上昇には4kgの燃料が必要なので、特には問題ないらしい。
現在は最小燃料消費で最大観測期間を得る方法について検討が続けられている。

18日にも軌道上昇のためのエンジン再スタートが行われる予定。これは約10日間続く予定とのこと。

2005年1月21日(金) 月面コロニーは月のダストで稼動する?(MOON DAILY)

Moon Base -- 月面基地2004年1月に発表された新宇宙政策で、月のダストから太陽電池を作る技術が再び注目されているらしい。
新宇宙政策では、有人月探査や火星へ向かうために恒久的な有人月面基地の建設が盛り込まれているが、建設に必要なエネルギーと資材をすべて地球から運搬するのはとても費用がかかる。
2000年にテキサス大のフレンドリッチ教授らが、レゴリスといわれている月の砂で太陽電池セルを作ることを提案している(New Scientist, 24 June 2000, p4)。その研究が再び注目されてきた。
灰色で非常に細かいレゴリスダストの組成は、半分が二酸化珪素で、残りはアルミニウム、マグネシウムそして鉄を含む12の金属の酸化物で、太陽電池セルを作るために必要な全ての物質が含まれている。
フレンドリッチらは、月の表面を動きまわるローバを考えている。そのローバは、月表面のレゴリスを溶かし、非常に薄いガラス状のフィルムにし、またその月の土で造ったガラス状フィルムの上に、薄膜太陽電池を積層していく。そのローバは-もちろんローバも太陽電池で動く-それが通った跡に太陽電池パネルを残していくらしい。
現在フレンドリッチらはこの計画がうまくいくかどうか実験をしている。実験では、月面の高真空環境にできるだけ近づけた真空チャンバー内でのローバ走行テストを行っている。
また彼らはJSC-1というアポロ計画の宇宙飛行士たちが持ち帰ったレゴリスサンプルの組成を模擬したレゴリスパウダーを溶かし、薄いガラス状フィルムを作った。そしてこのフィルムに太陽電池セルを熱的蒸着法によって積層させ光を電気に変えられることを示した。
実験の詳細はActa Astronomica (vol 56, p 537)に掲載されているとのこと。

2005年1月26日(水) インド2005年までに月探査機2機を打ち上げ(MOON DAILY)

Chandrayan-I's planned flight path to the Moon -- チャンドラ-Iのフライトシーケンス1月25日、インド宇宙研究機関(ISRO)は2015年までに2機の月探査機を打ち上げる予定であると発表した。
ISROは2007年にChandrayan-1または月ビークル-Iといわれている月ミッションを行う予定。
この探査機は重さ約590kgで月の地形、鉱物分布マッピングと化学観測を行う。
このミッションでは「インパクタ」といわれる軟着陸実験機器を搭載しているのが特徴。
インパクタは重さ約20kgで、インパクタ衝突時に巻き上げるダストを地球から観測することを計画している。
月ミッションで使われる地上管制設備はISRO本部があるバンガローブ近郊に建設予定とのこと。
今後10年間にインドのほかにアメリカ、ESA、中国、日本が月探査衛星の打ち上げを計画している。日本の計画はもちろんSELENE計画。

2005年1月27日(木) 太陽面爆発発生!その時月面は大丈夫?(Science@NASA)

Sickening Solar Flares -- 太陽面爆発発生!その時月面は大丈夫?Science@NASAに太陽面爆発が月面に与える影響について書かれています。
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2005年、NOAA720となずけられた太陽黒点群が発生した。
巨大な黒点の発生に伴って大量のプラズマが放出(コロナ質量放出)。
地球にいれば大気と磁気圏がコロナ質量放出から守ってくれる。今回も爆発が起きた36時間後にはヨーロッパ各地でオーロラが発生している(その時とられたオーロラの様子:すごくきれいな写真があります)。しかし月では話は別だ。
月には防いでくれる大気も磁気圏もない。月に達した太陽風粒子は直接月の表面に降り注ぐ。
NASA、ジョンソンスペースセンターの生体放射線学者フラシス氏の見積もりによれば、今回もし月面で宇宙服だけの宇宙飛行士がいたらおよそ50remの被爆量になったらしい。
被爆量が300remを超えると死の危険がある。
1972年8月2日にも巨大な太陽面爆発が発生している。この4月にアポロ16号、11月には17号が月探査を行ったが、月面滞在が短期間であったため大丈夫だったらしい。
被爆の危険を避けるためには遮蔽材の暑さが重要で、
アポロ宇宙船:11g/立方センチ
スペースシャトル:10〜11g/立方センチ
ISS(国際宇宙ステーション):最も暑い部分で15g/立方センチ
とのこと。

将来的な月面基地ではポリエチレンとアルミからなる20g/立方センチの遮蔽材を検討しているらしい。一方、一般的な宇宙服では0.25g/cm2というわずかの遮蔽能力しかなく、太陽面爆発が発生したら船内にいるしか手段はないようだ。
将来は、地球での探検家が天候に気をつけていたように、宇宙飛行士たちは「宇宙天気予報」に気をつけるようになるとのこと。「大きな太陽黒点が発生していないか?磁気嵐はどうか?コロナ質力爆発は起きていないか?」
(写真:1972年に発生した太陽面爆発)

2005年1月27日(木) SMART-1、月画像を初めて送信(MOON DAILY)

SMART-1's First Images From The Moon -- SMART-1、月画像を初めて送信SMART-1は1000キロから5000キロの月軌道で観測機器のテストを行い、月の近接画像を初めて送信した。
2004年の11月15日に月周回軌道に到達したSMART-1は、軌道を安定させるため電気推進を用いて軌道調整を行っていたが、2004年12月29日から2005年1月3日の間、電気推進エンジンが切られたのを利用して画像の撮影テストを行った。
画像は月の北緯75度の部分で画像下部にあるのがコペルニクスクレータ。太陽高度が低くクレータリムの高さを見積もるのが容易とのこと。
その後SMART-1は2005年1月12日には残りの燃料を正しく見積もるために再び電気推進エンジンが切られている。
今後は2月9日に再度電気推進エンジンが入れられ、2月28日には5ヶ月間の最初の定常運用フェーズである高度300から3000Kmに到達する予定。
Foter -- フッター
Akiary v.0.51