緋道の神器


        第四十七話  神幽会



 ベッドの上で、神治は冴花と交わっていた。
 腰を振るたびに可愛らしい喘ぎが部屋に響き渡り、見事なプロポーションをした肢体がいやらしくくねっている。
 長く美しい金色の髪が乱れ、汗で額に数本張り付いているのが色っぽい。白人とのハーフゆえに透き通るほどに白い肌は、欲情から桜色に染まっていた。
 突き込みに合わせて豊満な乳房が前後左右に揺れ動いており、その芸術作品のように形の良い膨らみは、美しさと淫靡さを兼ね備えた素晴らしさがあった。
 桜色の突起はプクンっと立ち上がっており、それを指で挟むようにしながら乳房を両手で鷲掴むと、柔らかな感触が手のひらに広がった。
「あっ、ああんっ……」
 可愛い喘ぎを漏らしながら、潤んだ瞳で見上げてくるのがたまらず、自然と腰の動きが激しくなっていく。
 整った顔立ちが淫らに歪む様というのは、どうしてこう肉欲をそそるのだろう。
 今まで何人もの美人、美少女と交わってきたが、こうして眉根を寄せて困ったような表情を浮かべている冴花の姿を見ていると、犯したくてたまらない気持ちが凄まじく高まるから不思議だった。
「あっ、あっ……凄いっ、凄いよぉっ……あんっ、ああっ……神治の凄い、ああっ……凄いぃっ……」
 興奮したことで無茶苦茶になった突き込みに、冴花は頭を左右に激しく振り、大きく体を仰け反らせている。
 目が虚ろになり、口から涎を垂らしながら喘ぎ悶えるその様は、まさに快楽に狂っていると言えただろう。
 これほどの美少女の悩ましげな表情、色気を感じさせる淫らな顔は、自分だけが見られるものなのであり、そう思うと嬉しくてたまらなくなってくる。
「あっ、ああんっ……神治いいの、あっ……神治いいよぉ、あっ、あぅっ……神治のいいぃっ……」
 自分を求めて甘い喘ぎを漏らすのに肉棒が猛る。
 何と愛らしい姿か。
 普段はキツい態度で接してくるのに、こうして抱くと可愛らしく甘えてくる。
 そのギャップが肉欲を刺激し、夢中になって抱いてしまうのだ。
「あんっ、ああっ……もっと、ああっ……もっとして、あんっ……神治もっとお願いぃっ……」
 自分に夢中になっているこの姿。
 冴花は自分が抱かなければ狂ってしまうだろう。
 それほどまでに彼女は自分の与える快楽に染まっているのだ。
「神治好き、あっ、ああっ……神治好きなの、ああんっ……愛してるんだからぁっ……」
 両腕両脚を絡みつかせ、逃がすまいとするようにしがみつきながら、愛の告白をしてくるのに心臓が跳ねる。
 肉体的快楽が高まっている時に好意の言葉を告げられるのは、強烈に気持ち良かった。
 特にいつもはそうした言葉を口にしない冴花が、快楽に染まった瞬間に叫ぶのがたまらなかった。まさに普段は隠している真実の自分をさらけ出しているように思えるからだろう。
 そこまで冴花を虜としている事に誇らしさが高まり、肉棒が益々猛っていく。
「あんっ、あっ、ああんっ……出して、ああっ……出してお願い、あんっ……神治の熱いの、あっ……神治の熱くて白いの、やぅっ……私の中にちょうだいぃっ……」
 冴花は膣内射精をよく求めてきた。
 冷静であれば決して許さないであろう行為を、快楽に狂っている最中は強く欲するのだ。
 深く突き込んでから射精した際に、絶頂の痙攣が激しさを増すところから、おそらく子宮へ精液が注がれている感覚に、他では味わえない気持ちの良さを得ているのかも知れない。
 主たる神と自身との繋がりを強める子種を得たいとする、部の民としての本能がそうさせている部分もあるのだろう。
「ああっ、あんっ……もう、あっ……もうわたし駄目ぇ、ああっ……もうイっちゃうの、イく、ああっ……駄目、駄目だってばぁっ……イっ、イくぅっ……やっ、やぁああああああああああんっ!」
 冴花が体を硬直させて叫び、絶頂に至った瞬間、一気に肉棒を奥まで押し込むと精を迸らせる。
 子宮口に亀頭がハマっているのが感じられ、そこに勢い良く精液が放出されていくのが分かる。
「あぐっ、あっ、あはぁ……神治のが、はぅ……神治のが入ってくる、入ってくるよぉ……うふぁ……幸せぇ……ふふ、ふふはぁ……」
 蕩けまくりの表情を浮かべ、だらしなく笑いながら、冴花は絶頂の余韻に浸っている。
 望み通り子宮に精液が注ぎ込まれていることに強い幸福感を得ているのだろう。
 これこそが彼女の幸せだった。
 主たる神に抱かれ、その子種を子宮に注ぎ込まれる。その刺激におかしくなるほどに幸福感を得るのだ。
 それはまさに部の民としての幸せだった。部の民として目覚めたことで、冴花は他の女性とは異なるセックスの悦びを得るに至っていたのである。
 射精を終えて力を抜き、柔らかな女肉の上に倒れ込むと、温かな弾力が受け止めたため、その心地良い感触にうっとりとなった。
 目の前には美しい顔があり、乱れた金髪と、上気した頬が色っぽさを感じさせ、綺麗な瞳が潤みを帯びて見つめてくる。
 この美少女が己の物。
 それは何度思っても嬉しさが込み上げてくることだった。
「ふぁ、気持ち良かったぁ……神治、凄く良かったよぉ……ふふ、あんたってホント、これだけは凄いわよねぇ」
 冴花が微笑みながらからかうように告げてくる。
「俺のいい点ってそれだけですか。まあ、否定はしませんけど。でもそのおかげで、冴花さんみたいな綺麗な人とエッチ出来るんですからありがたいです。こうしてわざわざ家に招待してくれてまでエッチさせてくれてるんですし」
「何その言い方。それじゃまるで私がこういう事したくてあんたを呼んでるみたいじゃない」
「え? 違うんですか?」
「違うわよっ。いい、今日あんたを呼んだのは、話したいことがあったからなの。それを部屋へ入るなりいきなりあんたが抱き付いてきて、胸に触ったりするからいけないんじゃない」
「いや、二人きりだって言われたからつい。それにいつも部屋へ来るとしてるじゃないですか。だから今日もそうなんだとばっかり思って」
「う……いつもはいつもよ。今日は違うの。話があるの」
 冴花は顔を赤くすると、視線をそらしている。
 普段セックスを求めて家へ呼んでいるのを、今更ながら恥ずかしく思ったらしい。
 それでも以前のセックスを毛嫌いしている頃と比べれば、苦悩しなくなった分だけ進歩したと言えるのだが。
「あんた霊感あるじゃない。あとそういう関係の事に詳しいし。だからちょっと教えてもらいたいことがあって……」
「何ですか?」
 霊関係の話とは思わなかったため意外に思いつつ、最近そうした相談をされる事が多いな、などと思う。
「私の学校でね、ちょっと流行っているっていうか、ハマっちゃってる子が居るんだけど……えっと、幽体離脱って知ってるわよね? 魂が体から出て幽霊状態になるやつ」
「ええ、知ってますよ」
「それをやれる方法があるって言うのよ」
「え? 幽体離脱が出来るんですか?」
「そのやり方を知ってるみたい。遊び感覚でそれが広まってるの」
 先日の話とかぶる内容であるのに妙な面白さを覚える。そういう事に縁のある流れにでもなっているのだろうか。
 とはいえ、さすがに本当に幽体離脱が出来るという事ではないだろう。やり方を教わったからといって簡単に出来るような行為ではないからだ。
「要はコックリさんみたいなもんですか? ああいう占い遊びみたいなので」
「私も最初はそう思ったんだけど、何かちょっと違うみたいなのよね。やると本当に幽体離脱したって思えるらしいから」
「何か危ないですね」
「そうなのよ。だから気になっちゃって。私は全然やる気は無いんだけど、友達で試しにしてみようか、なんて言ってる子がいるから心配で……ね、どうなの? 本当に幽体離脱しているかはともかく、そういう感覚になるってのは大丈夫だと思う?」
「そう言われても、それだけじゃ判断出来ないですよ。もう少し詳しく教えてもらえますか? その幽体離脱のやり方とか分かります?」
「それは教えてもらえなかったわ。というか、友達も知らないみたいだし。でもやっている人の話だと、凄く気持ちいいらしいの」
「気持ちいい? 幽体離脱するとですか?」
「ええ。よく分からないんだけどそうらしくて。だから何回もしたくなるんだって言っててて。そこも何か危ない感じがするのよね。薬でもやってるんじゃないかと思って」
 確かにそれはあり得るだろう。
 幽体離脱と称し、危険な薬の中毒にして売りつけていく、という商売かも知れないからだ。
「そうなると俺には分からないですね。麻薬関係は素人ですし」
「そっちは別にいいわ。私としては、幽体離脱したら気持ち良くなるのかってのを聞きたかったのよ」
 その言葉に先日のことを思い出す。彩乃がされていたのは、まさに幽体離脱による性的行為だったからだ。
 あれと同じことをすれば気持ち良くなるだろうが、それには相手が必要だった。
 つまり今回の話とは関係ないだろう。何しろ冴花が通っているのは女子校だからだ。
 まあ、女同士で性的行為をするとなれば別だが、そうした事を受け入れる人間が多いとも思えなかった。
「やり方によっては気持ち良くなりますよ。ただそれって普通にエッチするのと同じようなものですから、抵抗ある人が多いと思うんですよね」
「そ、そうなの? じゃあ違うのかしらね」
 性的な話題になったせいか、冴花は動揺したように呟いている。
「何にせよ、あまりいい事だとは思えませんけどね。普通じゃない事をしているんでしょうし。その友達にも止めた方がいいって言った方がいいと思います」
「もちろんそのつもりよ。ただ専門家の意見を聞いた、って言った方が説得しやすいと思ったからあんたに相談したの」
 冴花はそう言いながら嬉しそうに笑った。
「これでもあんたの事は信用してるんだからね。最初は酷い男だって思ったけど、今じゃその……お、男の中では信用出来る方だって思ってるんだから……と、友達な訳だし……」
 途中から言葉に詰まっているのが可愛らしい。
 神治を特別な存在と口にするのが恥ずかしいに違いない。ずっと男嫌いで来たせいで、素直に言葉に出来ないのだ。
 しかし本心は神治を強く慕っているのは明らかだった。そうでなければ、恋人になった訳でもない男と何度もセックスなどしないだろう。
「それは嬉しいですね。それじゃ友達として冴花さんをもっと悦ばせてあげますよ」
 そう言いながら体を起こし、首筋に唇を押しつけていく。
「あっ……もう、すぐそれなんだから、やっ……あんたはがっつき過ぎよ、あんっ……もう少しくっついてるだけでもいいじゃない、あっ、あんっ……その方が私だってその……嬉しいのに……」
 最後だけ小さな声で弱々しく告げてきた言葉に嬉しくなる。
 普段はおっかないのに、ここぞという所で可愛らしさを見せてくるからたまらなかった。
「冴花さんが素敵過ぎるんですよ。だから俺、止まらなくなっちゃうんです。もう一度したら今度は我慢しますから。ね? いいでしょ?」
「しょうがないわね、あんっ……ホントエロ餓鬼なんだから、やっ……あんたの頭の中は、あっ、ああっ……そればっか、やぁんっ……」
 豊満な胸の膨らみを優しく揉みしだき、桜色の突起に吸い付きながら囁くと、冴花は怒ったように言いつつも、それでいて嬉しそうに笑みを浮かべた。
「そうなんです。俺の頭の中は冴花さんで一杯なんです。美人で綺麗で可愛くて、エッチな事をしないではいられないくらい素敵な女の子な冴花さんで一杯なんですよ」
「馬鹿、あっ、ああっ……そんな褒めたって、やぅっ……許してやらな、あっ、ああっ……そこ、あんっ……そこをそんな、ああっ……許さないから、やぅっ……それしたら、ああんっ……駄目ぇっ……」
 秘所に指を入れつつ、敏感な突起を優しく刺激すると、冴花は激しく喘いだ。
 怒りながらも求めてくるその姿を見ているだけで、肉棒が痛いほどに勃起していく。
 こうしてキツい態度を取りながらも甘えてくる冴花は、何度抱いてもたまらない相手だった。
 白人とのハーフという容姿の魅力も相まって、己の物にしているのが嬉しくなるのだ。
 これからも、もっともっと冴花を夢中にさせていくのだと思いつつ、神治はすでに愛液で溢れんばかりになっている膣穴へ、肉棒を押し込んでいくのだった。


 それから数日経ったある日の学校帰り。
 校門を出た神治は、不意にかけられた声に視線を向けた。
 そこには見慣れない二十代くらいの男性が立っており、小さく頭を下げている。
「初めまして。私は梶浦光彦(かじうらみつひこ)と申します。緋道神治さんでいらっしゃいますね?」
「はい、そうですけど……」
 穏やかな口調で話しかけてくる男性は、神治の返事ににこやかに微笑んだ。
「実は末川彩乃さんの件でお話がありまして。少しお時間をいただけないでしょうか?」
 その言葉に少し動揺する。いきなり彩乃の事を言われたからだ。
 自分と彩乃の繋がりを知っているという事は、彩乃の関係者なのだろうか。
「別に構わないですけど……」
 取り敢えず話を聞いてみないことには分からないため了承すると、梶浦は「ではこちらへ」と促して歩き出した。
 それに従って付いていくと、少し行った先にミニバンが止めてあった。後部の窓がスモークガラスになっている八人乗りの大きな車だ。
 梶浦は周囲を少し気にしてから後部座席のドアを開き、中へ入るよう手で示した。
 車に乗るのには抵抗があったが、今更断るのもどうかと思い、素直に従うことにする。
「いらっしゃ〜〜い」
「へぇ、あなたが緋道さんなんだ」
「思ってたよりも普通の人だねぇ」
 突然後ろの座席から声が聞こえ、三人の少女達がこちらへ身を乗り出してきた。学校帰りなのか全員白いセーラー服を身につけている。
 どこかで見たことのある顔だ、と思った瞬間、すぐに誰であるのかを思い出す。
 彼女達は彩乃が所属するアイドルグループ、イロスのメンバーだったのだ。
 それぞれ名前を、弓川芽依(ゆみかわめい)、愛野鈴美(あいのすずみ)、北村霞音(きたむらかおん)と言い、三人とも実に魅力的な可愛らしい顔をしていて、さすがアイドルというべきか、こうして接しているだけで男を魅了するような雰囲気を醸し出していた。
 容姿は見事に違っており、芽依は年齢よりも幼さを感じさせる顔と小さい胸、首筋までの短い髪であり、鈴美は大人びた雰囲気と程良い大きさの胸に、腰の辺りまである長い髪、そして霞音は年相応の顔つきではあるが、肉付きの良い体をしていて胸も大きく、肩胛骨までの長さの髪をしていた。
 これに典型的なアイドル的美少女の彩乃が加わる事により、イロスは男が好む四種類の美少女の集団として人気を博していたのである。
 この三人が一緒に居るという事は、どうやら梶浦が彩乃の関係者である事は確かなようだった。
 そんな事を考えつつ座席に座ると、ドアが閉まり、後ろから興味津々といった雰囲気の三人の顔が突き出てきた。
「ね、ね、彩乃ちゃんとはどうして知り合ったんですか?」
「昔から知ってたんですか?」
「幼馴染みとかだったりぃ?」
「霊能者ってホント?」
「凄い力あるんでしょ?」
「でも普通の高校生って感じだよぉ?」
「だけどあるっていうんだからあるんじゃないのぉ?」
「見た目と関係ないよ霊能は」
「そりゃそうかぁ」
「だけどやっぱりそれなりの雰囲気は期待しちゃうよねぇ」
「でしょでしょぉ?」
「霊能使う時はそうなるんじゃない?」
「うわ、だったら見たい」
「見せてもらってもいいですか?」
「でも車の中でやるってのも変じゃない?」
「いや、後でって意味で」
「それなら見たい」
「私も私もぉ」
「彩乃ちゃんには見せたんですよね?」
「じゃあ、私たちにも見せて欲しいなぁ」
「後で見せてくれます?」
 立て続けに喋る三人に混乱してくる。
 何より可愛らしい三つの顔が間近に迫っているのに圧倒され、何も口にする事が出来なかった。
 美少女というだけであれば何人も知り合いが居るので慣れていたが、この三人には他の少女達には無い迫力のようなものがあったのだ。勢いというか、押されてしまう雰囲気があったのである。
「お三人とも、緋道さんが驚かれてますよ。私的なお話は後ほどにして下さい。まずはやるべきことがあるでしょう?」
「は〜〜い」
「梶浦さんは真面目だよねぇ」
「まあ、そこがいいんだけどさ」
 梶浦の言葉に、三人は少し不満そうに言うと顔を引っ込めた。
 それを確認した梶浦は、小さく溜め息を付くと、気を取り直したようにこちらへ視線を向けた。
「これからシンユウカイの本部へお連れさせていただきたいのですが、宜しいでしょうか?」
「え? 何ですかそれ?」
 聞いたことのない場所だった。一体どういう所なのだろう。
「シンユウカイは、神仏の神に、幽霊の幽の会、と書いて神幽会と申します。人を肉体の枷から解き放ち、神との融合を目指す宗教団体です」
 宗教団体とは驚いた。
 何故そのような場所へ行かなければならないのだろう。それにイロスのメンバーが居る理由も分からなかった。
(って、そういや、変な宗教に入ってるって言ってたっけ。それがこれか……)
 彩乃に初めて会った際、イロスの他のメンバーが宗教にハマっているという話を聞いていたのだ。
 しかしそうなってくると、何故自分がその宗教団体の本部へ行く必要があるのか分からなかった。「彩乃の件で」と言っていた点からして、彼女に関係している事なのだろうか。
「教祖さまが、緋道さんにお逢いしたいと仰ってまして」
「え? 俺にですか? 何ででしょう?」
「詳しくは聞いておりませんが、お話したいことがあるのだそうです」
 宗教団体の教祖が、一介の高校生にどんな話があるというのだろうか。
 全く予想も付かない事にどうしたものかと考え込む。
「考えてないで取り敢えず行ってみましょうよ」
「そうそう、いい所だよ本部って」
「私たちもよく行ってるんだからぁ」
 イロスの三人が再び顔を突き出しながら告げてくる。
「色々楽しいこともあるし」
「行ったら絶対楽しいから」
「ね、行きましょうよぉ」
 そう告げた後、不意に芽依がこちらの座席へ移動してきた。
 幼さを残した顔立ちと体つきではあるが、やはり中学生だけの事はあるのか、どことなく色気を感じさせる部分があった。
 そのまま神治の近くへ寄るようにして腰掛け、下から覗き込むようにしてくるのにドキリとさせられてしまう。
 さすがはアイドルだけあって、男心を擽る仕草や表情をするのに慣れているらしい。
「教祖さまも凄くいい人なんですよぉ」
「悩みとかあったら相談に乗ってくれるし」
「すぐに解決しちゃうんだから」
 そうは言われても、初めて会う人間に悩み相談などする気にはなれなかった。
 何より自分の悩みは現実離れしているため、聞かされた方は困ってしまうだろう。
「ここら辺の高校の子も、結構来てるしね」
「みんな来て良かったって言ってるよぉ」
「『教祖さまは凄い』って言うんだよね」
「幽体離脱した時の気持ち良さは凄いもんねぇ」
「そうそう、意識が飛んじゃうっていうか」
「教祖さまに導いていただいて幽体離脱した時なんか最高だったし」
「だからまたしたくなっちゃうんだよねぇ」
「ああ、早く私も教祖さまみたいに神様と結合してみたいなぁ」
「きっと物凄く気持ちいいんだろうねぇ」
 三人はうっとりとした表情を浮かべながら笑みを浮かべている。
 何やら妖しげな雰囲気になっているのに驚きつつ、会話の中に出てきた言葉が気になった。
 幽体離脱をして気持ち良くなる。
 それは先日冴花にされた相談の内容と同じに思えたからだ。この地域の高校生も来ている、という点でも同じだった。
 もしかして関係があるのだろうか。
「その本部ってのには、高校生も沢山来てるの?」
「来てますよぉ」
「最近は女子校の子が増えてるよね」
「勧誘頑張ってる子が居るからみたいなんですけど」
 どうやら当たりのようだった。
 三人はいくつか高校名を挙げていったが、その中に冴花の通っている学校の名前もあった。
 やはりあの相談内容に出てくる幽体離脱で気持ち良くなる行為は、この宗教団体が関わっている事らしい。
「つまり、今俺は勧誘されている訳か」
「そういう事じゃないんですけど」
「今日はお迎えの手伝いだけだから」
「でも勧誘になっちゃってるねぇ」
「ちょうどいいから入っちゃいましょうよ」
「それで彩乃ちゃんも誘ってくれたら嬉しいし」
「彩乃ちゃん、どうしても入らないって頑固だから」
「最近は『緋道さんが居るからいい』とか言い出して」
「だから緋道さんってどんな人なのかって興味湧いたんですよ」
「それで迎えの手伝いを口実に見に来てみたんです」
 なるほど、どうして彼女達が居るのかの理由がようやく分かった。
 それにしても、勧誘を断る理由にされているとは思ってもみなかった。
 別に嫌なことではないが、もしかすると教祖の話というのもそこら辺の事になるのだろうか。
「まあ、いいや。取り敢えず話を聞くだけならいいよ」
「うわっ、やったぁ」
「ありがとうございます」
「絶対気に入るんだからぁ」
 神治の言葉に三人は歓声をあげ、隣に座っている芽依が腕に抱き付いてきた。
 硬さを残してはいるものの、柔らかさを感じさせる女肉が押し付けられるのに、思わず鼻から大きく息を吹き出してしまう。おそらく顔はだらしなくニヤけている事だろう。
 その様子を梶浦に見られたのではないかと思うと恥ずかしくなったが、彼は前を向いたままであったため大丈夫なようだった。
「それでは本部までお連れしても宜しいですね?」
「はい。お願いします」
 少し間をおいてから、梶浦が落ち着いた声で確認してくるのに頷く。
 少々不安ではあったが、神幽会がどういった組織であるのかにも興味があった。
 これまで宗教と言えば、緋道村の未迦知神に対するものしか知らなかったため、いわゆる新興宗教というものを見てみたかったのだ。
 それに冴花が言っていた、幽体離脱による気持ちの良さというのも何なのか。
 出来ればその事が分かれば良いのだが。
 動き出した車の振動に身を委ねながらそんな事を考えた神治は、時折押し付けられる芽依の体の感触に興奮を高めつつ、これから向かう先で何が待っているのかと緊張するのだった。


 三十分ほど走った後だろうか、車はある施設の中へと入っていった。
 そこは宗教団体の施設だからと言って特に奇抜な建物がある訳でもない、普通の公共施設のような雰囲気のある場所だった。
 地下の駐車場へ移動し、そこで車を降りると、近くにあったエレベーターに乗り込んで五階へと上がる。
 扉が開くと、目の前には長い廊下が続いていて、いくつかドアがあったが、神治が連れて行かれたのは一番奥のドアの前だった。
 どうやらここに教祖が居るらしい。
 梶浦がドアをノックすると、中から「入りたまえ」という男性の声が聞こえてきた。
 扉が開き、足を踏み入れると、そこは広い部屋である事が分かった。
 奥に高級そうな机があり、手前に応接用のソファとテーブルが置かれてあり、雰囲気としては学校の校長室と似ていると言えただろう。
 しかし校長室と大きく違うのは、右の壁によく分からない模様の絵が貼られている点だった。おそらくこの宗教団体の信仰に関係したものに違いない。
「やあ、よく来たね。さ、座ってくれたまえ」
 部屋の様子を確認していると、奥の窓際に立っている男性が声を掛けてきた。
 先ほど返事をした人物だろう。年齢は六十代前半くらいだろうか。高級そうな背広に身を包んでおり、どこかの会社の社長といった風情だ。
 部屋のイメージから学校の校長、としなかったのは、腕にしている時計が成金趣味的なものであったためだ。
 神治が促されるままソファに座ると、教祖らしき男性は、満足そうに頷いて正面のソファへ腰を下ろした。
 ドアが閉まる音が聞こえたため振り返ると、梶浦とイロスの三人の姿が無かった。
 どうやら教祖とは二人きりで会うという事らしい。
「私はこの神幽会の教祖をしている阿久津徳久(あくつのりひさ)という者だ。この度はうちの元会員が迷惑をかけたようで申し訳ない」
 いきなりそう告げたかと思うと、机に付きそうなほどに頭を下げてきたためギョッとなる。一体何を突然謝っているのだろう。
「あの、どういった事なんでしょうか?」
「おお、そうだった済まないな。末川彩乃さんの件だよ。彼女が被っていた被害に関して、君が解決してくれた件についてだ」
 彩乃の事と言えば、あの幽霊男関連に思えたが、何故その事を阿久津は知っているのだろう。それに元会員が迷惑をかけたとはどういう意味なのだろうか。
「末川さんを苦しめていた男は、恥ずかしながら我が会の元会員でね。数ヶ月前に会を辞めていたのだが、先日酷く怯えた様子でここを訪れ、助けて欲しいと泣きついてきたのだよ。それで色々事情を聞いたという訳だ……まさかあのような事をしでかしていたとは……本当にすまなかった」
 阿久津はそう呟くと、申し訳なさそうにもう一度頭を下げた。
「いえ、俺は別に何ともないですから。謝るとしたら彩乃ちゃんにでしょう。というか、会を辞めているのなら、あなたが謝ることでもないと思いますけど」
「末川さんには先日謝罪の申し入れをしたのだが、丁重に断られたよ。それに私に責任が無いとは言い切れないのだ。彼が使った方法は、我が会で指導している幽体離脱を利用したものだからね。我が会では、幽体になることで神との融合を目指しているのだが、それを悪用すれば、末川さんがされたような行為も可能となるのだ。ああ、誤解しないでもらいたいが、我が会ではあのような行為は絶対に許されないとして禁じているからね。そうした精神修養も会では行っているのだよ。人道的に許されない行為に力を使ってはならないと……おそらく彼は会を辞めたことで自制が効かなくなってしまったのだろう。あのような欲にまみれた行為をしてしまうとは、実に嘆かわしいことだよ……そして末川さんには大変申し訳ないことをしてしまった……」
 阿久津は首を左右に振りながら、辛そうに俯いている。
 なるほど、事情はよく分かった。
 幽霊男は、この会で得た幽体離脱の技術を使い、あのような行為をしていたという訳だ。
 しかしその事で、何故自分が呼び出されたのだろうか。
 確かに迷惑をかけられたと言えばそうだが、それは彩乃との問題であり、阿久津に謝られる筋合いではなかった。
「今回君にこうして来てもらったのは、その件ではなくてね。無論迷惑を掛けたとは思っているので謝罪させてもらった訳だが……それとは別に、実はお願いしたい事があるのだよ」
 神治の疑問に答えるようにして、阿久津は話題を替えてきた。どうやら本題はこれかららしい。
「お願い、ですか?」
「うむ、君の力についてだ。緋道神治くん、君は素晴らしい力を持っているそうじゃないか。一つその力を、我が会で生かしてみるつもりはないかね?」
 やはりそう来たか、と身構える。
 先ほどイロスの三人が霊能について口にしていたところから、そうした事を言われるだろうとは思っていた。
 さらに彩乃の部屋に施した行為についても知られているとすれば、「ちょっと霊感のある人間」というレベルの認識にはなっていないだろう。それなりの知識もあると思われているに違いなかった。
 何より幽霊男が泣きついたとなれば、彼によって過剰な形で語られている可能性があった。何しろ化け物呼ばわりされたくらいなのだ。
「別に高めたいとは思ってないです。あまり役に立つ力じゃありませんし」
 異能の力についてある程度知られているのであれば、隠しても意味はないだろう。ならばその事は否定せず、力に対して否定的な意識があるように告げてみる。
「そんな事はないぞ。霊能は素晴らしい力だ。君はこれまで力の使い道が分からなかっただけなのだよ。私に任せてくれれば、その力で有意義な人生を送れることを約束しよう」
 有意義な人生か。
 言われてみれば、神の力を得てからの自分は、なかなかに幸福な人生を送っているように思えた。
 何しろ美女、美少女とセックスしまくっているからだ。男としてこれほど素晴らしい人生はないに違いない。
 そういう意味で、阿久津の言葉には共感する部分もあった。
「我が会は、多くの悩める人達を救ってきている。幽体に働きかけることで、精神と肉体の苦痛を取り去っているのだよ。力の強い者であればあるほど相手に及ぼす影響も強くなるから、君ほどの力の持ち主であれば、多くの人を救えることは確実だ。どうだね? 人助けをしてみたいとは思わないか? 無論、君自身も幸せになれる事でもある。人を救うことで、君自身も救われていくのだよ」
 実に宗教臭い発言だと胡散臭さを覚えつつも、実際人を救えるとしたら素晴らしい事だとも思った。
 思い返してみれば、最初に「神になった」と知らされた際も、その力で人助けをすべきではないかと考えたくらいだった。通常ではどうしようも無いことも、神の力があればどうにか出来ると思えたからだ。
 ゆえに阿久津の言葉は、なかなかに心に響くモノがあった。
 胡散臭さが強いため、彼に従う気持ちは起きないが、自分自身のやり方で人助けをしていってもいいのではないかと思えたのである。
 そのための参考として、この宗教団体のやり方を知っておくのは良いかも知れない。
 何よりある程度申し出を受け入れなければ、帰してくれそうにないのも大きかった。
 ここは取り敢えず、従うフリをしておいた方が良いだろう。
「そうですね。どういう感じなのか見てみるくらいなら……」
「そうか。ならば今日は見学ということで、我が会の活動を見ていってくれたまえ。きっと君の心に残るものがあるはずだよ」
 阿久津は嬉しそうな笑みを浮かべると、両手で包むようにして握手をしてきた。
 まるで選挙活動中の政治家みたいだと思いつつ、ぶんぶんと上下に強く振ってくるのを苦笑しながら受け入れる。
「では早速修行場へ向かうことにしよう。付いてきたまえ」
 そう告げながら立ち上がり、歩き出した阿久津に続いて、神治も部屋の外へと出る。
 廊下には梶浦が待っていて、神治達が前を通り過ぎるとそのまま付いてきた。
 エレベーターに乗って三階まで降り、少し大きめの扉の前へ来ると、阿久津はそこで足を止めた。
「これから修行場へ入るが、中では信者達が修行をしている。邪魔をしないよう注意してくれたまえ」
「分かりました」
 自分が信じていない宗教とはいえ、真面目に修行している行為を邪魔するつもりは無かった。
 神治の返事を確認すると、阿久津は部屋の扉を開いた。
 すぐにまた扉が存在しており、まるで劇場のような二重扉になっている事に驚く。どうやら防音の設備がされているらしい。
 そこまでの作りにしているとは、どんな修行なのかと思いながら二枚目の扉が開くのを待っていると、不意に耳に飛び込んできた声にギョッとなる。
 何故そのような声が聞こえてくるのか、という疑問は、目に映った光景でさらに深まった。
 そこは一言で言えば、乱交場だった。
 十数人は居るだろうか、様々な年齢の男女が裸で絡み合い、性行為をしていたのだ。
 すぐ近くでは、五十代くらいの男性が十七、八歳の少女の、白く張りのある乳房を揉み、ピンク色の乳首にむしゃぶりついている。少女は与えられる快楽に激しく悶えながら、か細い声をあげていた。
 少し離れた所では、今度は逆に十七、八歳の少年が、三十代前半くらいの女性の熟れた太ももを抱えるようにして持ち、股間の蜜壺へと、はち切れんばかりに怒張した肉棒を突き込んで呻いていた。
 その向こうでは、二十代の男女が、強く抱き合いながら、夢中になって腰を激しく振っている。
 さらに向こうでは十代の男女が、互いの性器を舐め合い、快楽の呻きをあげていた。
 大人数が絡み合い、快楽を与え合っている姿はクラクラするほどにいやらしく、何やら甘ったるい匂いまで感じられ、興奮が高まっていくのが感じられた。
 あまりに予想外の光景に、どう反応していいのか分からず、阿久津の方へ視線を向けると、彼は小さく頷き、奥の方へ進むよう手を前へ示して歩き出した。
 そこで説明してくれるのだろうと思って付いていくと、壁際に置いてある椅子に座るよう促されたため腰を下ろす。
 その間も耳には快楽の喘ぎや呻きが響いており、目の端には裸の男女が絡み合う姿が見えていた。
 緋道村以外で、ここまでの人数が同時にセックスしている様子を見るのは初めてであったため、少々動揺してしまう。行為自体は気にならないが、一般社会でこのような事が行われている事に、犯罪をかいま見ているような感覚を覚えたのだ。
 何しろどう見ても未成年と思える少年少女が参加しているのだ。自分たちで勝手にしているのならともかく、第三者がこうした場所を提供しているとなれば、社会的な意味で問題になるだろう。
 これは一体何なのか。
 このような行為を修行としてやらせているなど、神幽会とは何を目的にした組織なのか。
 そうした疑問を抱きながら話が始まるのを待っていると、ようやく阿久津が口を開いた。
「どうかね? 我が会の修行の様子は?」
「どうって言われても……セックスしてるんですよね?」
「一見そう見えるだろうがね。君も優れた霊能者だ。彼らが行っているのが、単なる性行為ではない事は分かるだろう?」
 そう言われ、乱交している方へ意識を向けるが、そこからは特に変わった「気」は感じられなかった。セックスの際に発生する淫の「気」が感じられるだけだ。
 しいて言うならば、それがかなり激しくなっている程度というところか。強烈に欲求不満状態の人間がセックスをしているとこんな感じになるように思えた。性犯罪を犯しかねない、制御の危うい「気」の状態に似ているのだ。そういう意味でこの場の状況は、かなり特殊なものと言えるだろう。
 一つ気になるのは、乱交をしている彼らの表情が、何ともうっとりとしている事だった。
 単に快感を得ているというだけでなく、性行為をする事に幸福感を感じているという雰囲気があるのである。
 度合いは違うが、部の民の女性達が神治に抱かれる際の表情に似ていると言えただろう。
 そう考えると、やはりこの行為には、何かしら普通ではない要素、つまりこの宗教団体独自の何かが含まれているのかも知れない。
「精神に影響を与えるような何かをしているんですか?」
「ふむ、さすがだね。精神というより、魂に作用するある事をしているのだよ」
 魂とは何とも大げさな言葉に言い直してるな、と思ったが、考えてみればこの宗教団体は幽体離脱の技術を持っているのだから、実際に魂に何かしている可能性はあった。
「セックスでそれをしているんですか?」
「その通り。本来性行為などせずとも出来るのだが、未熟な者の場合は、そうせざるを得ないのでね。我が会が目指しているのは神との融合であり、その前段階として、人同士の魂の結合を行っている。魂とは本来自由なものだが、生きている間は肉体に縛られているのだ。肉体の縛りを脱する技術はあるものの、それは修行を積んだ者でなければなかなか出来ない。ゆえにそれまでは、肉体を通じて魂に働きかけるやり方をするしかないのだよ」
「つまり、セックスをすることで、お互いの魂の結合をしようとしていると?」
「その通りだ。やはり君は理解が早い。さすが優れた力を持っているだけのことはある。もしかしてどこかで修行をした事があるのかね?」
「いえ、そういった事が設定の小説を読んだ事があるだけです。何の根拠も無い、フィクションのネタを知っているだけですよ。たまたま似たような事だったので言ってみただけです」
 こちらの事情に踏み込んで来そうな雰囲気を感じたため、慌ててそう言って誤魔化す。
「ふむ、フィクションとは得てして真実を言い当てていたりするものなのだな。面白いことだ」
 妙に感心した様子で呟いている阿久津を見ながら、神治自身も似たように感じたことがあるのを思い出す。
 未迦知神にさせられた修行の理屈などは、何かの小説や漫画で聞いたことのあるような事が多かったからだ。
 元々ああしたフィクションというものは、実際に存在している事柄を元ネタにしている事があるためそうなるのだろう。
「あまり公には出来ない方法ではあるがね。しかし行っている彼らは真剣そのものだ。ゆえに魂が結合することによる歓喜もすでに得ている。彼らの顔を見てくれたまえ。喜びに満ちあふれているだろう? ただの性行為であのような顔になるなどあり得ないのだよ」
 先ほど神治も思ったことを告げてきたため、やはりこの部分に何かあるらしい。特別な術か何かを使っているのだろうか。
「それよりも一つどうかね? 君も試してみるというのは? 素晴らしい力の持ち主たる君だ。魂の結合も素晴らしいものとなると思うのだよ。君の力によって相手の女性が幸福感を得る瞬間というのを見てもらいたいのだ。そうすれば君がどれだけ素晴らしい力、そう、多くの人々を幸せに導ける力の持ち主かというのを自覚してもらえると思うのだ」
 確かに自分とセックスをすれば、相手の女性は幸福感を得るだろう。
 快楽という意味でも通常の性行為よりも強く与えられるし、この組織の持つ魂に働きかける術が作用するとすれば、神性に触れることになるから、部の民で無くとも歓喜を得ることは可能に思えたからだ。
(って、この人の言うことが事実だって前提で考えちゃってるけど、実際どうなのか分からないんだよな……)
 思わず阿久津の理屈に引き込まれている己に気づいて意識を引き締める。
 相手は宗教団体の教祖なのだ。あたかも事実であるかのような事を告げ、こちらを騙している可能性もあるのである。
 とはいえ、すでに幽体離脱の技術を持っている相手だという事を考えると、口にしている事の全てが嘘とは言い切れない部分もあったが。
 しかしさすがに試してみる気にはなれなかった。
 ここへ来たのは冴花に言われたから興味を持っただけであり、あまり深入りするつもりは無かったからだ。
 冴花には今聞いたことを話しておけば十分だろう。
 別に「知り合いが困っている」といった切迫した事情ではないのだから、事実か否かの確認をする必要まではないのである。
「君の相手は、イロスの三人にしてもらう事にするよ。彼女たちは優秀でね。すでにかなりのレベルまで上達しているが、さすがに君ほどの力の持ち主が相手となると、一人では辛い。ゆえに三人で相手をしてもらうつもりなのだが、どうだろう?」
 その言葉を聞いた瞬間、強く惹かれるものを覚えた。
 あの可愛らしい三人とセックスが出来ると思うと、それをせずに帰るのは勿体ないように思えたのだ。トップアイドル三人を抱くなど、そうそう得られる機会ではないだろう。
 アイドルとしてはすでに彩乃を抱いてはいるものの、三人まとめてとなると、そのブランド的魅力はかなり強烈なものとなった。
 何しろ多くの男に求められている少女達だ。それを一度に己の物に出来るなど、あまりに魅力的すぎる誘いだったのである。
「彼女達は隣の部屋で待っている。さすがに芸能人だからね、他の人間と同じ場所で修行させる訳にはいかないのだよ」
 そう言いながら立ち上がった阿久津は、そのまま壁際にあるドアへと近づいていった。
 神治が拒否するとは思わないのか、付いてきているのを確認せずにいる事に少々反発を覚えるが、実際付いていってしまっているのだから仕方ないだろう。
 無性に三人を抱きたい気持ちが昂ぶっていたため、そうせざるを得なくなっていた。欲情に関してはかなり制御できるようになっていたはずだったが、今は何やら流されてしまっていたのだ。
 別にセックスする事自体はどうでも良かったが、阿久津の望み通りに行動しているのが少々不快だった。
 とはいえ、股間ではムラムラとした衝動が起きており、それを放出したい気持ちが強まってはいるのだからどうしようもなかった。
 彩乃と付き合いが出来てからというもの、イロス関連の映像や画像を見ることが多くなっていたせいか、三人の可愛さや肉体の魅力をよく認識している事も大きいかも知れない。
 ゆえに彼女達を抱きたい欲求を抑える理由というのが思い浮かばないのだ。
 阿久津が胡散臭いというのはあるが、その程度、魅力的な美少女達を抱けることと比較すれば大した問題ではないだろう。
 何かするのであれば勝手にすればいいのだ。しょせん普通の人間に、神である自分をどうこう出来るはずがないのだから。
 そうした妙に強気な想いが起こり、警戒心を無くしているのを自覚するが、それ以上に早く三人を抱きたい気持ちの方が強くなっていた。
「あ、いらっしゃ〜〜い」
「待ってましたぁ」
「緋道さん、宜しくお願いしますぅ」
 部屋へ足を踏み入れた瞬間、予想外の光景に驚く。
 何しろイロスの三人が、すでに裸の状態でベッドの上に座っていたからだ。
 その部屋は八畳ほどの広さの洋室で、中央に大きなベッドが置いてあるだけだったが、そこに居る少女達の存在感によって瑞々しい色気に溢れていた。
 白い肌が眩しく目に映り、思わず吸い寄せられるように見てしまう。
 若々しい、というより幼さを感じさせるその未成熟な肉体は、こうした年齢の少女だけが持つ、内に籠もった色気を感じさせた。
 何やら甘ったるい匂いまでしており、それが鼻を擽ると、股間の一物が激しくいきり立った。
 どうにもかなり興奮してしまっているらしい。
 こうした状況には慣れているはずだったが、やはり「トップアイドル三人が、裸で自分を待っていた」というのには、今までにない高揚を呼び起こす部分があるのかも知れない。
 プロモーションビデオで見た水着姿が思い出され、その時は隠されていた箇所が、今は全て晒されているのだという事に興奮を覚える。
「うむ、準備は万端というところだね。相変わらず見事な魂の状態だ。これなら私が調整する必要もないだろう」
「はい。自分たちで調整してましたから」
「いつも教祖さまがして下さるのを真似して、みんなで触り合って、舐め合ってました」
「だから魂も凄く高まってます」
 そう告げる三人の顔はかなり火照っていた。
 要は前戯をしていたという事だろうか。
 それが宗教的行為なのだとすれば、そこにこの宗教団体独自の何かがあるのかも知れない。
 そして今語られた内容から、彼女達がすでにセックスを経験している、しかも阿久津ともしているのだという事が認識された。
 清純さが売りのアイドルである事を考えると、処女ではないというのは少々ショックだったが、これほど可愛い女の子達なのだから、そうであっても不思議ではないだろう。
 もしこの宗教団体と関わらなかったのだとしても、普通に恋人を作り、セックスしているのはあり得る事だったからだ。
「さあ、緋道くん。彼女達の魂に触れてくれたまえ。素晴らしい力を示してくれることを楽しみにしているよ」
 三人の方へ行くよう促してくるのに頷きつつ、ゆっくりとベッドへ近づいていく。
 鼻を擽る甘い香りが強まったように感じられ、それと共に肉棒が強く勃起し、少々意識がボーッとするような感覚を覚える。
 目の前では、可愛らしい少女三人が、その未成熟な肉体を上気させながら、潤んだ瞳で見つめてきている。
 白い肌がほんのりと桜色に染まっているのがそそり、まだ硬さを感じさせる胸の膨らみが、彼女たちの幼さを認識させた。
「さぁ、早くぅ」
「一緒に気持ち良くなりましょぉ」
「私たちがぁ、お世話しますからぁ」
 甘えるような口調で六本の腕が伸び、掴んで引き寄せてくる。
 服や靴を脱がされ、あっという間に裸にされてしまったのに苦笑しつつも、可愛らしい少女達とセックス出来る状況に、自然と頬が緩んだ。
 小さな三つの体が絡みつき、滑らかな肌を押しつけてくるのに、ゾクッとした快感が湧き起こる。
 幼さを感じさせる雰囲気と共に、すでに女として性徴している肉の柔らかさが伝わってきたため、そのアンバランスさに興奮が強まった。
 十代前半の少女とのセックスは、この微妙な成熟度がたまらない魅力として存在していた。女としてようやく花開き始めた初々しい色気が感じられるのだ。
 押しつけられる女肉は、まだ硬さを感じさせるものの、それが逆に嗜虐心と庇護欲をそそり、早く肉棒を押し込み喘がせたい欲求が押し寄せてくる。
 幼さを残す三つの顔が淫靡な笑みを浮かべ、こちらをうっとりと見つめてくるのに、背徳的な興奮が湧き起こり、我慢できない衝動を呼び起こしていく。
 正面に居る芽依の顔が間近に迫り、形のいい小さな唇が半開きとなって、赤い舌が覗いているのが可愛らしくもいやらしい。
 そのまま唇が重なり、舌が入り込んできたため、こちらの舌を絡ませていく。
 芽依がしがみつくようにして体を強く押しつけ、唇を押し込むように擦り付けてくるのに、ゾクゾクとした快感を覚えつつ、口内で激しく舌を絡めながら抱き締めていく。
 左右からは鈴美と霞音が抱き付き、耳や頬などに舌が這わされてきた。
 耳たぶを甘く噛み、耳穴に舌を入れてくるのにくすぐったい気持ちの良さを味わう。
 少しすると芽依の唇が離れ、今度は鈴美がキスをしてきた。
 くっついているせいか、サラサラの髪が肌に触れてくるのが心地いい。
 キスが上手いのか、口内に与えられる刺激が芽依の時よりも強い感じだった。
 目の前にある顔はボーッとしており、大人びた雰囲気のある鈴美がそうなっていると、年齢以上の色気を感じさせた。
 続いて霞音へとキスが交代された。
 メンバーの中で一番肉付きの良い体をしているせいか、正面から抱き付かれると、女肉の柔らかさが強く感じられ、肉棒がグンっと力を増したのが分かる。
 不意に怒張に細い指が絡みつき、しごいてくるのに軽い呻きを漏らす。芽依が掴んで来たのだ。
 程良い強さと速度で上下に動かしてくるのに、射精感が高まっていくのが分かる。
 実に上手い擦り方であり、男を高める術を身につけているのを感じさせた。
 おそらく阿久津に教え込まれたのだろうと思うと、軽い嫉妬を覚えたが、快楽の前ではどうでも良くなった。
 目の前では美少女三人が、可愛らしい顔にいやらしい笑みを浮かべ、キスをし、体を撫で回し、肉棒をしごいてきている。
 クネクネと淫靡に体を動かし、滑らかな肌を擦り付けるようにして抱き付き、小さな赤い舌で舐め、微かな吐息を漏らしてくるのに、強い快感と支配欲が刺激を受けた。
「緋道さぁん……」
「気持ちいいですかぁ……?」
「こうすると、どうですかぁ……?」
 甘ったるい口調で呟きながら、年齢に不似合いな性技によって快楽を与えてくる少女達の様子に、神治はすっかり興奮しまくっていた。
 この程度の事は慣れているつもりだったが、どうにも抑えが効かなくなっていたのだ。
 肉棒ははち切れんばかりに硬く大きくなり、三人を抱きたくてたまらない衝動に包まれ、無性に女を抱きたくて、精液を吐き出したくて仕方がなくなっていたのである。
 さっさとこの三人を抱いてしまおう。
 何しろあちらから抱いて欲しいと望まれているのだから。
「あ、ひゃんっ……緋道さん、してくれるの? 嬉しいぃ……」
 芽依を押し倒すようにしてのし掛かると、その愛らしい唇から歓喜の声が発せられる。
 トップアイドルが自分に抱かれる事を喜ぶ。それは何と支配欲を満足させる状況だろう。
 多くの男が望む女を手に入れるのだという優越感が、心を快楽で満たしていった。
 神治は鼻息を荒くしながら芽依の白い首筋に舌を這わすと、薄い胸の膨らみを強く掴んだ。
 指先で肉を集めるようにしながら揉みしだき、そのまま片方の乳首へと吸い付いていく。
「あっ、ああっ……やだ、凄くいぃ……吸われただけでこんな、やぁっ……」
 チュッと強く吸い上げると、芽依の体が小さく跳ねた。
 魅力的な少女の、可愛らしくもいやらしい反応は、ゾクッとする快感をもたらし、もっとそうした反応を見たいとばかりに肉欲が高まっていく。
 落ち着き無く舌を這わし、薄い胸の山を潰すようにして舐めながら、ピンク色の突起をチュパチュパと吸いまくる。
 とにかく女が欲しかった。
 女を蹂躙したくて仕方がなかった。
 己の行為で女を無茶苦茶に喘がせたかった。
 普段とは比較にならない肉欲の衝動が、心と体を包み込んでいるのが分かる。
 だがブレーキを掛ける気にはなれなかった。
 芽依から漂ってくる甘い匂いを嗅いでいると、それだけで気持ちの良さが湧き起こり、怒張が力を増していくと共に、興奮も激しく高まっていったからだ。
 この目の前にある発育途上の幼い肉体を、思う存分貪りたい。
 バクバクと心臓が鼓動し、恐ろしいまでの肉欲の衝動が体を突き動かしていく。
「あっ、やん……そんな駄目ぇ……」
 細い両脚を左右に開き、秘所を顕わにすると、芽依が小さく呟きながら恥ずかしそうに視線をそらした。
 これまでの大胆さと異なる初々しい反応に興奮が高まり、勢い良く秘所に顔を近づけて舐めていく。
「やんっ……あっ、あっ……そこをそんな、ああっ……」
 美麗な肉の襞をかき分けるようにして舐め、隠れていた小さな突起を擽ると、芽依がピクピクと体を震わせた。
 愛液が止めどもなく溢れ出てきており、すでに男を受け入れる状態になっているのが分かる。
 神治はいよいよとばかりに膝立ちになると、肉棒を持って秘所へと近づけていった。
「あ……」
 亀頭の先が膣穴に触れた瞬間、芽依が不安そうな、それでいて期待に満ちた目をしながら見つめてきた。
 そのまるで処女のような反応に可愛らしさを覚えつつ、こうして初々しさを無くさないというのは良いことだと思いながら、腰を前へと進めていく。
 ズブリ……。
 硬めの穴に抵抗を覚えつつ、グイとばかりに押し込むと、一気に肉棒が入り込んだ。
 強烈な締め付けと、グニュウっと揉んでくるような感覚に快感の吐息が漏れる。
 なかなかに良い感触の膣だった。
 まるで初めてのような硬さがあるのに面白さを感じつつ、これならば毎回処女を抱く時のような楽しみを得られるな、などと馬鹿なことを考える。
「ぐっ……い、痛っ……いぅっ……」
 だがその想いは、芽依の言葉で吹き飛んだ。
 見れば彼女の顔は苦痛に歪んでおり、痛みを感じているのは明らかだった。
 予想外の事に動揺が起きる。
 先ほどの阿久津との会話や、この会の修行の内容、そして芽依の態度からして、すでに経験済みだとばかり思っていたのだが、どうやら彼女は処女だったらしい。
「初めて、だったの?」
「はい……体とかは色々してもらってましたけど、入れるのだけはまだで……優れた能力者が現れるまで、待っていなさいって教祖さまが……君たちは才能があるから、初めては優れた相手との方が効果が高くなるって仰って……」
 つまり他の二人も処女という事なのだろうか。
 思わず視線を向けると、心配そうな表情を浮かべて芽依の事を見つめている鈴美と霞音の姿があった。
 緊張感に満ちたその様子は、それが事実である事を感じさせた。この後自分たちも同じ事をする、という不安な雰囲気が伝わってきたのだ。
 つまりこれは、イロス三人の初めての相手が自分になるという事になった。
 美少女、それもトップアイドル三人の処女をいただく。
 それは肉体的な興奮とは別に、精神的な高揚をもたらすものでもあった。
 何しろ多くの男達が惹かれ、抱くことを叶わぬまでも夢見ている少女達だ。
 その処女を奪うとなれば、強烈な優越感が押し寄せてきたのである。
 しかも自分はすでに彩乃の処女も奪っている事を考えれば、イロス全員の初めての男になる事になった。それは何と素晴らしい事だろう。
 それまで以上に昂ぶった肉欲が、股間の怒張にさらに力を与え、激しい高揚を覚えた神治は、勢い良く腰を動かしていった。
「あっ、ああっ……急に、ああっ……何で、やっ……あぅっ……」
 それまでと異なり、芽依は甘い喘ぎを漏らした。
 痛みを和らげる「気」を送ったためだ。
 顔から苦悶の表情が無くなり、うっとりとした状態になっているのに興奮が高まる。
「あんっ、あんっ、ああんっ……こんなの、あっ……初めて、ああっ……」
 肉棒が突き込まれるたびに白い顎が仰け反り、ベッドに爪が立てられる。
 横になった事で膨らみの無くなった胸が、そうでありながらも存在を主張するように微妙に揺れを見せているのがたまらない。
 肉棒を強く締め付けられた状態で腰を激しく振ると、まるで引っこ抜かれるような感覚が起き、そのセックスに慣れた体では味わえない刺激にうっとりとなった。
「やっ、やぁんっ……いいです、いいの、ああっ……凄くいいっ……」
 頭を左右に振り、シーツを握り締めながら芽依は激しく喘いだ。
 可愛らしい顔がいやらしく歪み、潤んだ瞳が求めるように見つめてくるのに興奮が高まっていく。
 甘い喘ぎが耳に響くと、「もっとして。もっと気持ち良く。もっとしてくれないと駄目」と訴えられているように思え、腰が自然と勢いを増した。
 セックスに慣れていなくとも、そうして男の精を吐き出させる反応をするよう女の体は出来ているのだ。
 もう何度も経験してきている女体の要求だが、今はそれが強烈になっているように思えた。
 とにかく芽依の喘ぎや吐息を耳にし、顔や体の反応の一つ一つを目にするだけで、無性に精液を吐き出したい衝動で一杯になっているのである。
 この肉体を、可愛らしい女体を、己の白い体液で一杯にしたい。
 そうした強い想いが押し寄せてきていた。
「ああんっ、あっ、ああっ……わたしもう、あっ……わたしもう駄目ぇっ……あっ、あっ、ああっ……」
 それまで以上の昂ぶりを持った芽依の喘ぎが部屋に響き、跳ねるようにして悶えまくる幼い肉体に、神治の射精感も一気に高まった。
 抑えられない、いや、抑えたくない放出の衝動が心と体を包み、芽依の中へ、この可愛らしい少女の肉体、膣の中へ、精液を注ぎ込みたいとする想いで一杯になる。
 このまま最高の射精をするのだと、腰の動きを全開にし、肉棒を擦り上げ、勢い良く突きまくっていく。
「やぁっ、やぅっ、やはぁっ……駄目っ、駄目っ、駄目ぇっ……イっちゃう、ああっ……イっちゃうの、あぅっ……わたしイっちゃうんだからぁっ……やっ、やっ、やぁああああああああんっ!」
 芽依の切羽詰まった叫び、そして体の硬直が起きた瞬間、神治も肉棒の栓を開放した。
 ドピュッ、ドピュッ、ドクドクドクドク……。
 凄まじい解放感と共に強烈な快感が、股間から脳へと凄まじい速度で押し寄せてくる。
 クラクラするほどの気持ちの良さが心身に溢れ、訳が分からないほどの快楽に包まれていく。
(ああ……何だろこれ?……凄くいぃ……)
 強烈な快楽。
 己の意識が刈り取られそうになるほどの気持ち良さ。
 普通のセックスではあり得ない、毒を感じさせる悦楽がそこにはあった。
 勢い良く放出している精液は、いつ終わるのだろうと思えるほどに長く続いており、肉棒が律動するたびに、大量の精液と蕩けるような気持ちの良さが吐き出されていた。
 これは普通ではなかった。
 薄れた意識の中で、己の味わっている快楽が異常である事を認識していく。
 なるほど、仰々しく「魂の結合」と称するだけの事はあるだろう。それだけの凄さがあるのは確かだった。何しろ神たる自分が、快楽に意識を染められているのだから……。
 そんな事を思いながら射精を終えた神治は、大きく息を吐き出して力を抜いた。
 普通では考えられない快楽を得たことに疑問の想いを抱きつつ芽依の様子を眺める。
 処女らしく、初めて得た快感に呆然とし、それでいてどこか幸せそうな表情を浮かべているのは、特におかしなところのない、普通の少女の姿だった。
 体から発せられる「気」にも特段際立ったものはなく、異能と呼ぶほどには至っていない。満里奈のような「強制的に相手を昂ぶらせる」といった能力は持っていないのだ。
 つまりこの強烈な快楽は、芽依の力によるものではなく、別の要因によって起きているという事になった。
 今自分が得ているのはかなりの刺激であり、常人であれば少々おかしくなっても不思議はないものだった。
 隣室で見た信者達の異常な様子も含めると、やはりこの宗教団体独自の何かが影響を与えていると考えるべきだろう。
 それは一体何なのか……。
「次はわたしぃ……緋道さん、お願いしますぅ……」
 不意に鈴美が抱き付いてきた。
 気持ちのいい女肉の感触に、股間の一物が勢い良くそそり立ち、意識が思考から外れる。
 甘い匂いが考える力を奪い、流されるまま鈴美の体を抱き締めて四つんばいにさせてしまう。
 形のいい尻がこちらを向き、丸見えになった秘所がすでに濡れ濡れになっているのがよく分かった。
「私、もうOKです……少し怖いけど、入れて下さい……私の処女、貰って下さい……」
 そう告げられた事に、心臓が大きく跳ねた。
 鈴美ほどの美少女に、「処女を貰って下さい」などと言われるのは、男冥利に尽きるというものだろう。
 この可愛らしい少女の初めての男になる。
 それは実に素晴らしい事だった。
 大人びた雰囲気はあるものの、まだ幼さを残す肉体を抱えるように持つと、怒張した肉棒を近づける。
 亀頭を膣穴へ収め、そのままゆっくりと押し込んでいく。
「あぐっ……いっ、いぁっ……」
 鈴美が体を硬直させて苦痛の声を発するのに合わせ、痛みを緩和する「気」を送り込む。
 すぐさま体から力が抜けていき、「あ……はぅ……」といった甘い吐息が漏れ聞こえた。
 続けて擦り上げるようにして肉棒を突き込んでいくと、小さな頭がピクッと跳ね上がり、体がブルブルと震え出した。
「はふ……あ……あぁ……やだぁ……」
 甘えた口調で喘ぎ、振り返りながらこちらを見つめてくるのに可愛らしさを覚える。
 最後の一押しとばかりに腰を前へ進めると、亀頭の先が何かに触れるのが分かった。子宮に届いたのだ。
「はぅんっ……当たってる、あっ……何か当たって、くぅんっ……」
 押し殺した喘ぎを漏らしながら、耐えるようにして体を震わせているのが愛らしい。
 鈴美の一番奥まで到達している事に満足感を覚えながら、ゆっくりと腰を後退させ、再び突き込んでいく。
「ああんっ……あっ、あっ……凄い、やっ……何これ凄い、ああっ……」
 リズミカルに前後運動を開始すると、それに合わせて小さな頭が仰け反り、感嘆の言葉が発せられた。
 初めて味わう肉棒による快楽に、鈴美は激しく喘ぎ、悶えている。
 頭が左右に振られるたびに長い黒髪が乱れ、それが白い背中にかかるのが色っぽい。
 細身の体がクネクネと動き、小ぶりの尻がいやらしく震えるのに、未成熟な少女を抱いている感覚が強まって、背徳感が高まった。
 やはりまだ男を受け入れるのに十分とは言えない体であるため、そうした相手を抱くのには、「いけない事をしている」といった感覚がついて回った。
 だがそれゆえに興奮も高まると言えただろう。
 普通は抱いてはいけないものとされている幼い少女を抱く。
 その許されざる行為に対する興奮は、成人女性を相手にする際には存在しない悦びがあった。
(くっ……これって凄く……いぃ……)
 まだ男に慣れていない硬い膣でありながら、その襞に肉棒が擦れていると、強烈な快感が押し寄せてきた。
 この脳を蕩けさせるような気持ちの良さ。
 これは明らかに普通ではないものだった。
 だがやはり鈴美自身に異常な部分はなく、他の要因によって快楽に染まらされているのが分かる。
 だがそんな思考も、鈴美の甘い匂いを味わっていると、どうでもよくなっていった。
 この青い果実をもっと味わう方が大事だからだ。自分という男を刻みつけ、夢中にする方が重要事なのである。
「あっ、ああっ……緋道さ、やぅっ……緋道さんもっと、ああっ……もっとして、あっ……もっとお願いしますぅ……」
 押し殺した声で呟きながら、シーツをギュッと掴み、引き寄せているその姿は実に可愛らしくもいやらしかった。
「ああんっ……いいっ、いいっ……それいいのぉっ……あっ、あぅっ……良すぎて、あっ……良すぎるよぉっ……」
 望み通りさらに激しく肉棒を叩き付けていくと、鈴美は耐えられなくなったのか、腕を崩し、尻だけを掲げる体勢になった。
 意味を成さない言葉を呟きながら、イヤイヤという感じで首を振って泣き声のような喘ぎを漏らしているその姿は、この少女を強く支配している印象をもたらしてたまらなかった。
 美人系の顔立ちからクールな印象のある鈴美だが、それゆえにこうして甘える声を発しているのは、強いギャップがあってたまらなかった。
 そうした精神的な刺激に加え、肉棒を締め付ける膣の刺激も強烈で、射精感はかなり高まっていた。
 何より訳の分からない興奮状態である事もあり、普段ならまだ耐えられるはずであるのが、すでに限界に近くなっていたのだ。
 無論「気」をコントロールする事で制御も可能だったが、それよりもこのまま射精したい欲求の方が強かった。
 肉欲を抑えることなく、思い切り精を放出する。
 この大人びてはいるが幼い肉体に、自分の証を注ぎ込む欲求。その背徳的な欲求に抗いたくない想いがあったのである。
「やっ、やぅっ……何か来る、あっ……何か来るの、ああっ……わたし、あっ……わたしもう駄目ぇっ……」
 鈴美の方も絶頂が近いらしく、切羽詰まった声を上げ始めた。
 このまま一気に射精し、共に快楽を味わうのだ。
 ラストスパートとばかりに、それまで以上に激しく腰を振り、尻が背中に付くほどに押し出し、膣内を擦りあげるようにして快感を貪っていく。
 コツンコツンと亀頭の先が子宮に触れる感触が続き、その度に鈴美が泣くようにして喘ぐのに、興奮は最高潮に達していった。
「あんっ、あんっ、ああんっ……凄、あっ……それ凄、ああっ……もうっ、もうっ、もぉっ……やっ、やっ、やぁああああああああああんっ!」
 抑え気味の擦れた絶頂の声が部屋に響き、シーツを引き寄せながら鈴美は硬直している。
 膣内がキュウっと締まり上がるのと同時に精を放つと、恐ろしいまでの気持ちの良さが脳に襲いかかってきた。
 ドビュッ、ドピュッ、という射精の感覚が何度も続き、意識が真っ白になるほどの快感が押し寄せてくる。
 朦朧とする状態になりながら、それでも精液を注ぎ込んでいる感触だけはしっかりと認識出来ていた。
 いつまでも続くように思える射精を繰り返した後、ようやく最後の精を放ち終えた神治は、ゆっくりと腰を落とした。
 荒い呼吸をしながら、尻を掲げた体勢のまま動かない鈴美をボーッと眺める。
 ドロリとした白い液体が秘所から垂れているのが見え、その淫猥な光景と幼さを感じさせる肉体のギャップに、背徳的な興奮が高まっていく。
 やはり凄かった。
 鈴美とのセックスも普通ではなかった。
 この異常な気持ちの良さは何なのだろう。
 自分の意思とは関係なく、とにかく精を吐き出したくてたまらなくなる状態。
 それはまるで、異能の力に操られているかのようだ。
 だがこの部屋にはそうした術が施されている形跡は全く無く、芽依や鈴美が何かしたという気配もなかった。
 それは阿久津や梶浦、霞音にしても同じだった。
 この部屋に居る人間は、自分を除いて普通レベルの能力しかない存在だったのだ。
 そのレベルで何かしたとしてもすぐに分かるし、何より神である自分を操ることなど不可能だろう。
 しかし現実として自分はおかしくなっていた。通常とは比較にならないほど肉欲に染まってしまっているのだ。
 一体何が起きているのか……。
「ふぁ、凄いですぅ。緋道さん素敵ぃ……芽依ちゃんも鈴美ちゃんも、すっごい気持ち良さそうでしたぁ。初めてって痛いって聞いてたのに、すっごい気持ち良さそうなのってどうしてぇ? やっぱり緋道さんの力なのぉ?」
 うっとりとした様子で霞音が呟いている。
 その瞳はすでに淫靡な光を放っており、早く自分も同じようになりたいと訴えているかのようだ。
 目の前で友人二人が激しく悶えまくったのだから当然だろう。すでに彼女の肉体が興奮状態にあるのは明らかだった。
「次は私ですぅ。お願いしま〜〜す」
 期待に胸を膨らませている、いった感じの表情で近づいてきた霞音は、そのまま強く抱き付いてきた。
 体重をかけられたため耐えきれず、後ろに倒れてしまう。
 三人の中で一番肉付きが良いせいか、柔らかな肉の感触が前面に溢れているのに自然と頬が緩む。
 未成熟ゆえに硬さを残した部分もあるが、芽依と鈴美の体に比べれば十分に女肉の心地良さを感じさせる体だろう。
 乳房も大きめであり、このまま順調に育てば巨乳になると思わせる雰囲気があった。
 神治の胸元で美麗な白い膨らみが潰れており、二つの硬い感触が擽ってくるのに鼻息が荒くなる。
 目の前には、とろんっとした表情を浮かべる丸っこい顔があって、その可愛らしくもどこか色気を感じさせる雰囲気に、肉欲が高まっていく。
 甘えるように頬ずりをされると、甘い匂いが鼻を擽り、柔肉が強く押しつけられる気持ちの良さに、肉棒が勢い良く回復していった。
「緋道さぁん……わたしも気持ち良くしてぇ……」
 正面からジッと見つめられると心臓が強く跳ね、意識せずとも抱き締めてしまう。
 この可愛らしくもいやらしい少女を、早く己の物にしたかった。
「それじゃ、自分で入れてみる?」
 くっつきそうなほどの距離にある丸い顔に、囁くようにして告げると、霞音は驚いた表情を浮かべた後、嬉しそうに笑った。
「はい、してみますぅ……でも初めてだから、失敗したらごめんなさい」
「いいんだよ。好きなようにしてみな」
 そう促すと、霞音は小さく頷いてから腰を少し持ち上げた。
 そのまま視線を股間の辺りに向けてくると、そそり立っている肉棒を見て一瞬停止する。
「これ、本当に入るんですかぁ?」
「大丈夫だよ。芽依ちゃん達の見てただろ?」
「はい、そうですね……じゃあ、入れてみます……」
 そう告げた霞音は、一度大きく呼吸をした後、一本ずつ絡ませるようにして肉棒を掴み、ゆっくりと己の股間を近づけていった。
 亀頭が柔らかな感触に触れた瞬間、「ひゃっ」という可愛らしい声が聞こえると共に、霞音の体が少し浮く。
 しかしすぐに再び接触させてくると、今度は大きく息を吐き出しながら、恐る恐るといった感じで腰を下ろしてきた。
 肉棒が美麗な秘所に収まると共に、亀頭が温かい肉に締め付けられ、ジンワリとした快感が押し寄せてくる。
「あ……何か入っちゃった……ふぁ……」
 とぼけたような口調で呟きながら、霞音は徐々に腰を落としていっている。
 だがある箇所まで来ると、顔を歪めて動きを止めた。痛みを感じたのだろう。
「大丈夫、そのまま続けてごらん」
 痛みを和らげる「気」を送りながら神治がそう告げると、霞音は困ったような顔をした後、小さく頷いてから再び腰を下ろしてきた。
「あぅっ……痛、くはないや……」
 先ほどとは異なる感触に怪訝な表情を浮かべつつ、霞音は痛みがない事に笑顔を浮かべると、体の力を抜いていった。
 そのまま徐々に肉棒を咥え込んでいきながら、全てが収まった辺りで大きく息を吐き出し、動きを止める。
「緋道さんの……全部入っちゃいました……私の中で、トクントクンって言ってます……」
 感動したような顔で、こちらを見下ろしているのが何とも可愛らしい。
 あどけなさの残る少女が、男根を膣に入れ、そうした表情を浮かべているというのには、実にそそるものがあった。
「じゃあ、次は動いてごらん。気持ち良くなるから」
「はい……あ、やだホントに……あっ、ああっ……気持ち、いい……」
 ゆっくり腰を上下させ始めた霞音は、最初は恐る恐るといった感じだったが、徐々にその速度を上げていった。
「あっ、あっ、あぁっ……何でこんな、あっ……気持ちいいんだろ、ああんっ……おちんちんと擦れると、やっ……凄くいいっ……」
 嬉しそうな笑みを浮かべ、夢中になって腰を振る霞音の姿は、まだ幼さを感じさせるだけに、背徳的な印象を強めた。
 胸元では、この年齢にしては大きめの膨らみがプルンプルンと揺れており、まだ華奢な肉体とのギャップから興奮が高まっていく。
「あんっ、いいっ……これいいっ……これ凄くいいっ……」
 回転させるように腰を動かし、肉棒との擦れを味わうようにしているのが可愛らしくもいやらしく、黒髪がそれに合わせて跳ねるように揺れているのに色気を覚える。
「ああっ、緋道さん急に、あんっ……動かれたら私、ああんっ……やだ駄目ぇっ……」
 ただ見ているだけでは我慢できなくなり、肉棒を突き上げると、霞音は激しく悶えた。
 その反応に気を良くしつつ、続けて腰を掴んで突き込みを繰り返していく。
「あんっ、やっ……ちょ、駄目、あんっ……それ激し、ああっ……やだぁっ……」
 先ほどまでとは異なり、他者から与えられる刺激が強烈なのか、霞音は強い乱れを見せて喘いだ。
 後ろに手を付き、仰け反り気味になりながら快感を味わっている姿は色っぽく、その大人びた雰囲気に興奮が高まった。
「あっ、やっ、はぅっ……凄っ、来るっ、いいよぉっ……」
 何度も顎を仰け反らせ、霞音は体を激しく揺らして悶え狂っている。
 快感が強すぎるのか倒れそうになったため、神治は慌てて上半身を起こすと、両腕で抱えるようにして支えた。
「やぁ……緋道さぁん……気持ちいいですぅ。凄くいいのぉ……」
 うっとりとした表情を浮かべ、我慢出来ないといった感じでしがみついてくるのが実に可愛らしい。
 こちらも抱き締め返しながら、ズンズンと腰を突き上げると、霞音はさらに激しく喘いだ。
「ああっ……わたし、あんっ……わたし駄目、ああっ……凄いから駄目ぇっ……」
 涙目になりながら、何とかして欲しいと訴えるように見つめてくるのに、ゾクリとした興奮を覚える。
 このままもっと激しくしたいと思った神治は、霞音を押し倒すと、上から叩き付けるようにして腰を振っていった。
「あんっ、あんっ、ああんっ……いいっ、いいっ、いいぃっ……凄いっ、凄いっ、凄いよぉっ……」
 頭を激しく左右に振り、シーツをギュッと掴んで悶えまくる姿は実にたまらず、自然と突き込む速度が上がっていく。
 肉棒に絡みつく膣襞は、締め付けと吸い付きが強く、ただ擦っているだけでも心地良い快感があった。
「もう駄目、ああっ……もう駄目なの、あぅっ……わたしもう駄目になっちゃうぅっ……やっ、やはぁっ……」
 快楽に染まった瞳から涙を流しながら喘ぐその姿は、先ほどまで処女だったとは思えないほどに淫らだった。
 与えられている淫の「気」の影響もあるのだろうが、元々性の快楽に敏感な体質なのかも知れない。
 すでに限界に近いようで、体を小刻みにブルブル震わせているのが何とも愛らしい。
 まもなく訪れるであろう絶頂に合わせて射精しようと、神治も腰の動きを速めていった。
「ああっ、あっ、ああんっ……イくっ、イくっ、イっちゃうぅっ……わたし、ああっ……わたしぃっ……やっ、やっ、やぁあああああああああんっ!」
 最後に大きく震えを走らせると、霞音は大声をあげて硬直した。
 膣内の締め付けも強烈になったため、強く吸引されるような感触に気持ちの良さを覚えつつ精を放つ。
 ドピュっ、ドピュッ、ドクドクドクドク……。
 肉棒が何度も律動し、そのたびに精液が迸っていく。
 体が自然にガクガクと震え、射精の快感が体中に走り抜けた。
 男の精を受けた事のない膣内へ、初めての精液を注ぎ込んでいるのだと思うと、その感慨にはたまらないものがあった。
 数度の射精を繰り返した後、最後の放出を終えた神治は、大きく息を吐き出しながら力を抜き、何となく周囲に視線を向けた。
 広いベッドの上には、三人の美しい少女達が裸で横たわっている。
 まだ性徴途上の少女らしい白い肉体が、ほんのりと桜色に染まっており、惚けた表情で宙を見つめている姿は実にいやらしかった。
 連続で三人の処女を、それもトップアイドルである少女達の初めてを奪った。
 それは実に爽快な気分であり、肉体だけでなく精神的にも満足感を得られたと言えるだろう。
 だが股間の一物は未だ力を持ったままであり、再び少女達の中へ入れろとばかりにビクンビクンと震えている。
 原因はよく分からないが、かなりの興奮状態になっていて、肉欲が強く高まっているのだ。
 それに流されてつい三人を抱いてしまった訳だが、今居るのは怪しげな宗教団体の施設なのだから、このまま行為を続けるのは宜しくないと言えただろう。
 だがそれ以上に、もっとしたいという強い想いが押し寄せてきているのも事実だった。
 少女達の幼さを残す肉体を目にし、彼女たちの甘い匂いに鼻を擽られると、無性にセックスしたくてたまらなくなってくるのである。
 まるで以前の性欲をコントロール出来ていなかった頃に戻ったかのように、女を抱きたい衝動が、異常なまでに押し寄せてきていた。
 しかし長居はしない方がいいのだから、もう切り上げるべきだった。
 無理矢理性欲を抑え込んで帰るべきだろう。
 そうは思うものの、それ以上に強い未練とも言うべき、芽依達を求める欲求が起きてしまっていた。
 これほどの美少女達、それもトップアイドル達を抱けるのに、一度だけで終わりにするなど勿体なさ過ぎた。
 せっかくの機会なのだから、満足するまで抱いた方がいいだろう。その方が絶対いいに決まっていた。
 そうした無性に抱きたくてたまらない、抑えられないほどの肉欲が湧き起こっていたのだ。
 ドクンドクンと心臓の鼓動が大きく耳に響き、股間の一物が痛いほどにいきり立っていく。
 このように激しい興奮は久しぶりだった。
 何もかも忘れて、セックスに身を委ねたくなるような、そんな強い衝動が押し寄せてきていたのである。
「緋道さぁん……」
「もっと、もっとお願いしますぅ……」
「わたしを抱いてぇ……」
 三人が絡みつくようにして抱き付いてきたのがトドメだった。
 この気持ちのいい肉体を、沢山抱かずに帰るなどあり得なかった。
 何度でも抱きまくり、思い切り精液を注ぎ込みまくりたい。
 そうした狂気に似た衝動が押し寄せ、それを抑えることなど出来ない、いや、抑える気にならない状態になった神治は、三人を抱き締めると勢い良く押し倒し、その魅惑的な肉体に貪りついていくのだった。


「あっ、ああっ……」
 少女達の嬌声が部屋に響いていた。
 あれから随分経ったように思える。
 経過時間がハッキリ分からないのは、この部屋には時計が無かったためだ。
 ある程度の間隔で射精をしているため、その回数から大体計算すると、すでに二、三時間は経っているだろう。
 眼下には、息も絶え絶えな三人の少女達が横たわっている。
 白い肌は欲情のピンクに染まっており、サラサラの髪が汗で張り付いているのが色気を感じさせる。
 幼さを残した肉体が淫らにくねり、いやらしく悶えて甘い吐息を漏らしているのが何とも背徳的だった。
「やっ、あっ……凄いよぉ……」
 腰が動くたびに、小さな体にピクピクと震えが走り、可愛らしい喘ぎが桜色の唇から零れる。
 未成熟な肉体は、神治の与える快楽に染まり、今や何をしても過敏に反応する状態になっていた。
 肉棒を入れているのは芽依のみだったが、他の二人もか細い声で喘いでいた。
 複数人を同時に抱く術を使った訳ではなく、強烈な淫の「気」を長時間受け続けた結果そうなっていたのだ。
 かなり強めの淫の「気」をずっと放ってしまっており、このままでは彼女達を狂わせかねないだろう。しかしそれが分かっていても止められないでいたのである。
 何だかおかしかった。
 ここまで抑制が利かなくなっているなどあり得なかった。
 何しろ相手は普通の少女達だ。
 異能の力がある訳ではないのだから、ここまで夢中になってしまうのはおかしかった。
「やぁんっ……いいよぉ、あぁっ……凄くいいのぉ……」
 だが芽依が可愛らしく喘ぐと、心臓が大きく鼓動し、腰の動きを速めてしまう。
 彼女たちの淫らな姿を目にする事で、もっとしたい想いが湧き起こってくるのだ。
 肉体同士が擦れるだけでも蕩けるような気持ちの良さが押し寄せ、訳が分からなくなっていく。
「ふぁ……わたし緋道さんと、あぁっ……緋道さんと一つになってるぅ……あっ、ああっ……一つになってるよぉ……」
 芽依の言葉は比喩ではなく、実際そんな感覚があった。
 頭がボーッとし、フワフワと宙に浮いている感じがし、全てが混ざり合っているような感覚があったのだ。夢中でしがみついてきてる芽依の体が、自分の中に入り込んで来ているように思えたのである。
 まるであの幽霊男が彩乃を犯している時に見た、幽体でのセックスみたいだった。
 もしやこれが、幽体離脱による交わりなのだろうか。冴花の友人が聞いたという幽体離脱による快楽。それを今自分は体験しているのだろうか。
 だとしたら、何をされてそのような状態になっているのだろう。
 全く分からなかった。
 いつの間にか、魂が肉体を離れる状態にさせられており、幽体同士が混ざり合い、一つになっていく感覚が押し寄せてきているのだ。
 これが神幽会が行っている、魂同士の結合というやつなのだろうか。
 確かにこれは気持ちが良かった。
 肉体だけでなく、幽体も繋がり合う行為というのは、何と素晴らしいのか。
 多くの人間がこの行為にハマり、神幽会へ入るのも納得だった。
「ああんっ……あっ、やぅっ……凄いですぅ、あっ、ああっ……緋道さんが輝いて、あっ……凄ぉい……わたし、光と一つになってるぅっ……」
 芽依が涙を流しながら、いやらしく悶え喘いでいる。
 どうやら神性を見ているらしい。
 幽体になっているのであれば、そうであっても不思議ではなかった。
 とろんっとした瞳でうっとりと見つめてくる姿に、芽依を虜にしている感覚が強まり、もっともっと狂わせたくなっていく。
 とにかくセックスがしたかった。他の事などどうでも良く、この可愛らしい少女達を自分に夢中にさせたかった。
 強烈な幸福感が心と体を包み込み、神治はおかしくなっている自分を認識しつつ、それを求めてさらに少女達を喘ぎ悶えさせていった。
「あっ、ああっ……いい、いいのぉ、やっ、やぁっ……もっとしてぇ、もっとお願ぁい、あっ、ああんっ……わたしを緋道さんの物にしてぇっ……」
「わたしも、わたしも緋道さんの物になりたいです……」
「緋道さんの魂と繋がりたいですぅ……」
 応えるように芽依が喘ぎ、鈴美と霞音も同じだと告げながらすり寄ってくる。
 美少女三人の肉体が体に絡みつき、解け合っていくような感覚が押し寄せてくる。
 幽体が混ざり合い、魂が一つになっていくような感覚が起きていく。
 ああ、何と素晴らしい事か。
 もっと彼女たちと一つになりたかった。
 そうしないでは居られなかった。
 神治は朦朧とする意識の中、愛らしい少女達と一つになるのだと、夢中になって行為を続けていくのだった。


(!……)
 意識が飛んでいた事に気づいてハッとなる。
 あれからどのくらい経っただろう。
 時計が無いため全く経過時間が分からなかった。
 先ほどのように射精の回数で判断しようにも、今まで意識が無かったのだから分かるはずもなかった。
 目の前には、息も絶え絶えな芽依達が、だらしのない笑みを浮かべて横たわっている。
 それはまさに幸せ一杯といった感じであり、隣室で見た他の信者達と同じような感じだった。
 神治自身も顔に緩みを感じるため、同じような表情になっているに違いない。
 意識を取り戻したとはいえ、それでもかなり朦朧としており、まともな思考がしにくい状態だった。
 それでいて、腰だけは見事な前後運動を繰り返していて、自分の意思とは関係なく肉体が勝手に動いている感じだった。
 肉棒は鈴美の中に収まっており、すでに意識が無くなっているように思える彼女は、与えられる刺激に肉体だけが反応している状態だった。
 虚ろな目であらぬ方向を見つめ、だらしなく開かれた唇からは、赤い舌が覗いている。
 突き込みに合わせて細身の体が前後に動いて、程良い膨らみが揺れているのがいやらしい。
 時折体が透き通っているように見え、それが迫ってくると、こちらの体の中へ入り込んでくるように思えた。
 幽体による繋がりが起きているのだ。
 鈴美の口から「一つにぃ……光がぁ……」といった言葉が発せられており、彼女が神性を見ているのが感じられた。
「!……」
 そんな姿をボンヤリ眺めていると、不意に体が硬直し、強烈な快感が走り抜けた。
 射精をしたのだ。
 すでに精を放つ行為すら、意識せずに行っているのに驚く。
 その怖さを感じさせる状況を認識しつつも、繰り返される射精の快感にうっとりとなる。
 怖さよりも快楽を求める意識が、現状を受け入れているのだ。
 射精を終えると体が勝手に動き、隣に横たわっている霞音の両脚を掴んで開く。
 虚ろな笑みを浮かべている彼女は、何をされているのか分からない様子で大人しくしたままだった。
 肉棒が収まると、小さく「あ……」と可愛らしい声を上げたが、それだけで何も言っては来ない。意識がほとんど無い状態なのだから当然だろう。
 腰が勝手に前後に動き出し、蕩けるような快感が押し寄せてくる。
 霞音の唇から「あ……あ……」という吐息が漏れ、虚ろな笑みが少し歪む。
 大きめの乳房が揺れ動き、その振動が伝わってくるのに繋がっている悦びを感じていると、目の前に霞音の透き通った体が浮かび上がってきた。幽体が迫ってきているのだ。
 それがこちらの体に重なり合うと、膣内が締まり上がったため、快感の呻きが唇から零れる。
 腰の動きが勝手に速まり、気持ちの良さが増していく。
「光ぃ……凄いよぉ……」
 やはり神性を見ているのか、霞音は唇をワナワナと震わせながら、うっとりとした様子で呆けている。
 それを見ていると、肉棒がグンっと猛ったように思えた。
(何て、気持ちいいんだろぉ……)
 押し寄せてくる快感に、脳が蕩けてしまうような感覚を覚える。
 それは実に甘美な刺激だった。
 訳の分からない状態で、ただセックスを繰り返している自分。
 だがそこにある快楽は、通常ではあり得ない素晴らしさがあった。
 異常に思えるほどに強烈な刺激は、幽体での結合が起こすものなのだろうか。
 これを普通の人間が味わうとなれば、抜け出せない状態になるのも納得だった。
 この異常なまでの気持ちの良さが、意識を朦朧とさせ、幸福感に染まらせている原因だろう。
 修行場での信者達の幸福感に緩んだ顔も納得だった。
 何しろあまりにも気持ち良く、そして幸せな気分になるからだ。
 これこそがこの宗教団体の秘密に違いなかった。
 本来それを探るだけのつもりであったのに、今やすっかりハマってしまっている。
 とはいえ、止めようと思えばいつでも止められるのだから、完全に支配されているとは言えなかったのだが。
 いつでも止められるのだから、もっとしても構わないだろう。
 何しろこの少女達との交わりは、とにかく気持ち良すぎて最高なのだから……。


 再び意識が戻ったのに気がつく。
 周囲には誰の姿も無かった。
 ベッドの上で一人、裸で寝ている状態だ。
 どうやら芽依達とのセックスは終わったという事らしい。
 先ほどの様子からして、彼女達はすでに限界になっていたように思えたから、それも当然のことだろう。神である自分の性欲に付き合えるほど体力は無いはずだからだ。
 そう考えると、そこまで追い詰めてしまった事が恥ずかしくなってくる。
 自分は経験豊富なのだから、もっと労るように抱いてあげなければいけなかったのだ。 意識が無くなった、というのは言い訳でしかなかった。自分にはそうならないための能力も技術もあるのだから。
 意識を無くし、肉体だけでセックスしていくような状態になってしまったのは、失態と言えただろう。
 しかしこれは、明らかに人為的に何かされたための状況だった。この宗教団体が修行の際に行っている特殊なこと、それが影響を与えたに違いなかった。
 その事はかなり前から分かっていたのに、過剰な自信から阻止することを敢えてせず、結局意識を無くす状態にまでさせられてしまった。
 そうした「自分なら何とか出来る。大丈夫」という考えに染まり、何も手だてを打たない状態にさせられてしまうのが、この宗教団体の手口かも知れない。
 この失敗は、相手を見下し、自身の能力におごった増上慢ゆえの結果と言えた。
 何たる事か。このようなこと、恥ずかしくて未迦知神には報告できなかった。
 いや、すでに未迦知神のことだ、全て知られてしまっているかも知れない。
 そう考えると羞恥心で一杯になってくる。今夜会った際に、皮肉気に笑われながら叱られるのが想像出来て辛くなった。
 神治は大きく溜め息をつくと、起き上がって傍にある服を着始めた。
 脱ぎ散らかしていたはずであったのに、綺麗に畳んでいるところからして、誰かがやってくれたのだろう。
 そんな事を思いながら服を着終えると、どうしたものかと部屋を見回す。
 勝手に帰ってもいいのだろうか。だがよく知らない建物の中を彷徨くのも何だか嫌な気がした。
 そうして戸惑っていると、不意に部屋のドアが開く音が聞こえた。
「目を覚まされたのですね。ご気分はいかがですか?」
 入ってきたのは梶浦だった。
 彼は丁寧な口調でそう告げると、少し心配そうに見つめている。
「いや、別に大丈夫ですけど。それよりイロスの三人はどうなのかな、と……」
 意識の無い状態の時もあったため、下手をしたら淫の「気」を大量に与えてしまった可能性があった。常人が過剰に淫の「気」を摂取すると、色々と不具合が生じるので、大丈夫だろうかと心配になった。
「彼女たちは実に素晴らしい体験をさせていただきました。ありがとうございます。初めての交わりで神との融合を果たすなど、あまりに素晴らしすぎることでしょう」
 何やら妙な事を言ってきたため不審に思う。
「神との融合」とは一体何のことだろう。自分が意識を無くしている間に何かあったのだろうか。
「えっと、神との融合って、何ですか?」
「我が神幽会が目指しているものです」
 そう言えば先ほど、阿久津がそのような事を口にしていた気がした。
「魂を肉体の束縛から解放し、神との融合を果たす。それが我が神幽会の目的です。そして先ほどあなたは神のごとき光を放たれた。それは神々しく、見事な光でした。今思い出しても感動が蘇ってきます」
 どうやら梶浦も神性の光を見たらしい。
 だが異能の力がある訳では無いのに、どうして見ることが出来たのだろう。
 やはり幽体離脱をした事が原因なのだろうか。
 しかしその幽体離脱にしても、何故行えたのか分からなかった。それを探るつもりで来たというのに、原因が全く不明というのは何とも情けない事だった。
「あれこそまさにその身に神が宿った証。あなたは神と融合されていました。そして彼女達もあなたと繋がることで、その恩恵にあずかっていた。ああっ、何と素晴らしいことでしょう」
 悦に入っているような表情で語る梶浦に少し引いてしまう。
 さすが宗教をやっているだけあって、こうした事に感動しやすいのだろう。
「彼女達は、まさに幸福の境地に至っております。神と融合した相手、つまり神そのものと言ってよい相手に抱かれたのですから当然でしょう。その肉体的精神的快楽は、想像も出来ない素晴らしさがあったに違いありません」
 確かに自分は神である穂智過と融合し、神そのものになっている。
 その事自体を言われた訳ではないのだが、本質として合っている指摘に少し動揺してしまう。
「緋道さんご自身はどうですか? 神と融合されて、どのような感覚を得られたのでしょうか? やはり素晴らしい快楽を味わったのですか? それとも通常ではあり得ない、超越的な感覚を得たとか? 宜しければ教えて下さいっ」
 興奮した様子で尋ねてくるのに、どう答えたら良いかと戸惑う。
 正直に話す訳にはいかないし、かと言って何も無いと答えても彼は納得しないだろう。何しろ神と融合したと思い込んでいるのだ。
「いや、その……俺、何だかおかしくなってたんで、よく分からないんですよ。俺って光ってたんですか?」
 ここは取り合えず「分からない」で押し通すしかないだろう。実際おかしくなっていたのは事実なのだから嘘ではなかった。
「はい。確かに光ってました。それはもう神々しい光を放たれて……あれは本当に素晴らしかったです」
「でも俺には分からないんですよ。だからその時どうだったかって聞かれても、分からないとしか答えられないんです。何しろかなりおかしくなってましたし」
「なるほど、神との融合をされている訳ですからね。意識が異常な状態になっていても不思議ではありません。シンコウを嗅いでいる時も似たような状態になりますから、何となく分かります」
 あっさり納得してくれたのに少し拍子抜けする。もう少し追求されるかと思ったからだ。
 それより気になったのは、聞き慣れない単語が出てきたことだ。
「シンコウ……って何ですか?」
「シンコウは、修行の際に用いる人を神に近づけるためのお香です。漢字で書くと神の香りですね。それを嗅ぐと余計な事を意識せず、修行に集中出来るようになるのです。ある程度肉体から魂が離れるのを促す効果もあるため、かなりの幸福感も得られるようになります」
 そう言えば、あの部屋や修行場には甘い香りが漂っていた。もしかしてそれが神香なのだろうか。
「はい、それが神香です。修行の際は必ず用いますので、この部屋にも先ほどまで焚かれてました。あなたが神と融合をなしえたのも、神香の効果のためでしょう。ああっ、やはり教祖さまの教えは正しかった。人は神と融合出来るのですね……」
 神治の質問に答えた梶浦は、両手を組むと感動したように宙を見つめている。
 その様子に少し引き気味になりながら、神治はようやく自分がおかしくなっていた原因を理解した。そのお香のせいだったのだ。
 おそらく麻薬のようなものに違いない。それもかなり強い性的興奮を促す作用があるものだろう。修行場で性交していた人達の表情が恍惚としていたのも、麻薬によって強制的にそうされていたのだ。
 自分がイロスの三人との行為に夢中になって意識が無くなった事や、まるで幽体離脱したように感じられたのもそれが原因に違いなかった。麻薬を摂取していると、幻覚によって現実ではあり得ない状況を経験する事があると聞いた覚えがあるからだ。
 事実、通常ではあり得ないほどの快楽を味わえた事を考えれば、あれは自身の中の快感神経が過剰に反応していたため、とすると納得出来た。
 普通は見えないはずの神性が梶浦に見えたというのも、そうした過剰な刺激により欲情が高まった結果として、神性も高まっていたからに違いない。何しろ自分の神性は、性欲に基づいているものだからだ。
(っていうか、神性を見られたのはマズかったかも。これだと益々引き留められちゃうんじゃないか?)
 教祖の阿久津は、神治の霊能にかなり執心している感じだった。その上さらに凄い力があると分かれば、今以上に組織へ入ることを求めてくるだろう。
 とはいえ、強制は出来ないのだから断り続ければいいだけの話なのだが、それでも鬱陶しい事には変わりなかった。
 やはりここへ来たのは失敗だったかも知れない。
 しかし誘われた時点ですでに霊能者だと思われていたとすれば、結局同じ事になっていたのだろうが。
 どちらにせよ、もう今日は帰ることにしよう。いつまでも居ては、さらにボロを出しかねないからだ。
「あの、そろそろ帰ってもいいですか?」
「え? もうお帰りになる? もう少し……いえ、そうですね。考えてみれば確かにだいぶ時間が経っています。お送りいたしましょう」
 梶浦は一瞬引き留めるような事を言いかけたが、時計を見て考えを改めたようだ。
 その事にホッとしつつ、これからの勧誘の事を考えると気が重くなった。
「では最後に教祖さまより挨拶をさせていただきたく思いますので、少々お待ちいただいて宜しいですか?」
 またあの教祖と会うのは微妙だったが、それくらいなら良いだろうと頷く。
 梶浦は神治が了承したのを確認すると、壁にかかっている内線電話の受話器を持ち上げ、どこかへ連絡を取り始めた。
 果たして阿久津は何を言ってくるのだろう。こちらの力をどの程度理解しただろうか。
 そんな事を考えながら身構えていると、梶浦が不可解そうな面持ちで受話器を置いているのが見えた。
「どうしたんですか?」
「いえ、教祖さまは不在だと言われまして。今日は出かける予定は無かったはずなんですが……」
 どうやら会わずに済んだことにホッとする。
 どうにも阿久津に対しては苦手意識があったからだ。あの妙に説得力のある部分が駄目なのである。
 思えば、幼い頃から従姉の静に似たような感じで言い負かされてきたのだから、ああいうタイプには弱いという事かも知れない。
「ではご自宅までお送りいたします。どうぞこちらへ……」
 梶浦がそう告げて促してきたのに合わせて部屋を出る。
 自宅まで、という言葉に家を知られてしまう嫌悪感が起きるが、すでに知られているような感じもしたし、知られてなかったとしても、簡単に調べられてしまうようにも思えたため、気にしないことにした。
 何にせよ、これからこの宗教団体による勧誘が行われる事になるのだろう。
 それは何とも面倒な事であり、どうしたものかと気が重くなる。
 小さく溜息をついた神治は、疲れた視線を梶浦の背中へ向けながら、廊下をゆっくりと歩いていくのだった。


 それから数日が経過した。
 その間、予想に反して神幽会からの勧誘は一切無かった。
 てっきり強い勧誘攻勢があると思っていた神治は、その事に拍子抜けすると共に、日常生活が脅かされないで済んだ事にホッとした。
 しかし何故勧誘が無いのか。あの阿久津の様子からすると、入会するまで何度でも勧誘があると思っていたのだが。
 齋から聞かされていた宗教団体のしつこさとしても、この反応の無さは何とも予想外すぎる事だった。
 とはいえ、何事も無いのは嬉しい事であったため、気にしなければいいのだとも思っていたのだが。
 そんな事を考えてからさらに一週間が過ぎた頃だろうか、学校からの帰り道、自宅の近くを歩いていた神治は、不意に声を掛けられた。
 振り返ると、そこには梶浦が立っていた。
「お久しぶりです」
 丁寧に頭を下げてくるのに、「ついに来たか」と思いつつ挨拶を返す。
 さてどんな勧誘をしてくるのだろう。
 何を言われても突っぱねるつもりではあったが、緊張から無意識の内に体に力が入った。
「ああ、そのように警戒なさらないで下さい。別に勧誘をしに来た訳ではありませんから」
 苦笑しながらそう告げてくるのに、一瞬安心しそうになるが、以前齋に言われた事を思い出し、再び気を引き締める。
 勧誘ではない、と称して心に入り込んでくるのが、こうした宗教団体の常套手段だと教わっていたのだ。
「まあ、無理もないですかね。そういう風に誘いをかける事も多いですし。でも今日は本当に違うんです。そもそも私、神幽会を辞めましたから」
 そのあまりに予想外だった言葉に、一瞬呆ける。
 かなり信仰心が強かったように思えたのだが、辞めたというのは一体どういう事なのだろう。
「あれから色々ありましてね……まあ、そこら辺もお話したいと思いまして、これから少しお時間をいただけないかと……」
 疲れた顔で告げている様子から、今の言葉が嘘ではないというのが感じられた。
 ならば別に警戒する必要はないだろうと、今度は素直に安心する。
 それと同時に、梶浦が神幽会を辞めた理由や、今日やって来た事情というのに興味が湧いた。
「そういう事ならいいですよ」
「ありがとうございます。では、あちらに車を止めていますので……」
 そう言って促してくる梶浦の後に付いて歩き出す。
 果たしてどのような話があるというのだろう。
 だが考えてみれば、特に親しい訳ではない自分に用がある、というのもおかしな話であったため、面倒ごとである可能性はあった。安易に一緒に行くことにしたのは失敗だったかも知れない。
 とはいえ、今更断るのも気が引けたし、何より疲れた様子の梶浦にそうした事を告げるのも嫌な感じがしたため、神治はこのまま一緒に行くことにしたのだった。


 連れて行かれた先は、驚いた事に彩乃のマンションの部屋だった。
 呼び鈴を鳴らす梶浦の後ろ姿を眺めつつ、何故ここなのかと疑問を抱く。
 イロスのメンバーと繋がりのある梶浦なら、彩乃の部屋を知っていてもおかしくはないが、何故話をするのにここへ来る必要があるのだろう。
 そんな事を考えているとドアが開き、彩乃が顔を出した。
 神治の姿を認めると、「神治さんいらっしゃい」と満面の笑みを浮かべた。
「何か分からないけど、お邪魔させてもらうね」
「はい、どうぞ。すぐにお茶を淹れますから」
 落ち着かない様子で応対している彩乃は実に可愛らしかった。小動物のような愛らしさに溢れているのだ。
「彩乃さん、今日はお部屋をお借りします」
「あ、はい。梶浦さんもどうぞ入って下さい」
 すっかり梶浦の存在を忘れていたのか、一瞬驚いた顔をしてから返事しているのに苦笑してしまう。
 部の民として目覚めて以来、彩乃は神治に夢中であったため、そうなってしまうのも仕方ないのだろう。
 だがこうした態度は、他人から見れば恋しているようにしか見えないため、スキャンダルの種になりかねなかった。
 大丈夫だろうかと梶浦へ視線を向けると、彼は苦笑しているだけで、特に驚いた様子は見せていなかった。
 もしかして、すでに彩乃のこうした態度を知っていたのだろうか。
 考えてみれば、話す場として部屋を提供するような間柄なのだから、思っていた以上に親しい関係なのかも知れない。
「あ、緋道さんだぁ」
「来てくれたんですねぇ、良かったぁ」
「嬉しいよぉ」
 部屋の中へ入った神治は、そこに芽依と鈴美、そして霞音が居たことに驚いた。
 何故彼女達がここに居るのだろう。
「こっち座って下さい」
「私の隣にどうぞ」
「あ、ズルい〜〜。私の隣だよぉ」
 三人に両腕を掴まれ、引っ張られる。
 可愛らしい顔が迫り、体を押し付けられるのに思わず顔がニヤけてしまう。
 何しろ美少女三人に迫られているのだ。これを喜ばない男は居ないだろう。
「みんな駄目だよ。緋道さんは私の隣でしょ。守れないなら帰ってね」
 不意に聞こえた冷たい声に、ギョッとなって目を向けると、彩乃が半目状態で睨むようにしているのが見えた。
 普段の愛くるしい様子からは想像も出来ない厳しい雰囲気に硬直していると、三人が渋々といった感じではあったが、手を放して元の位置に戻っていったのに驚愕した。
 あの程度でこの三人が言うことを聞くなど、あまりに意外だった。
「驚いたでしょう? 実はイロスの影のリーダーは彩乃さんなんですよ。他の三人がこういう感じですからね。まとめるのが大変なんですが、いざって時は彩乃さんの鶴の一声で上手くまとまるんです」
 梶浦の言葉に驚く。テレビなどで観ている限り、イロスを仕切っているのは芽依に思えたからだ。
 それを実は、四人の中で一番大人しそうに見える彩乃が仕切っていたとは、あまりに想像外な事だった。何しろ三人に振り回されている方が似合っているイメージがあったからだ。
「もう、こういう感じって何ですか梶浦さん」
「そりゃ、彩乃ちゃんは頼りになるけど、私たちだって別にそんな酷くないですよ」
「いくらマネージャーだからって、そういう言い方はないんじゃないかなぁ」
 口々に文句を述べる三人だが、その中で聞こえた単語に、神治は意外な驚きを覚えた。
「え? 梶浦さんって、イロスのマネージャーだったんですか?」
「ああ、そう言えばその事はお伝えしてませんでしたね。実はそうなんです。私はイロスのマネージャーをしております」
 一旦驚きはしたものの、四人との親しげな雰囲気を思えば、そうであってもおかしくはなかった。知ってしまえば意外でも何でもない事だった。
「実は神幽会に皆さんを勧誘したのも私でしてね。いや、今思うと、何ともとんでもない事をしてしまったな、と反省しております」
 梶浦は暗い表情を浮かべながら呟いている。
 神幽会を辞めた理由はまだ聞いていないが、どうやらあの宗教団体に対しては、すでに良いイメージを持っていないらしい。
「そんな事ないよぉ。会に居た時も楽しかったし」
「そうそう、結局私たちは実質的な被害は無かった訳だしさ」
「それに緋道さんとも知り合えたんだから、感謝したいくらいだよ」
 三人は慰めるようにして告げている。
 そして過去形で語っている事から、三人も神幽会を辞めたような雰囲気があった。
「もしかして、三人も辞めたの?」
「はい、そうです」
「もう辞めちゃいました〜〜」
「あそこインチキだったんですよぉ」
 あっけらかんと告げてくるのに驚く。
 芽依達にしても、かなり教祖の阿久津に入れ込んでいたように思えたのだが、それが何故こうも変わったのだろう。
「一体何があったんですか?」
 神治の質問に、梶浦達は顔を見合わせた後、苦笑気味に微笑んだ。
「緋道さんが神幽会に来られた日。あの日から私たちは変わったんです」
「俺が来た日?」
「はい。あの日、緋道さんは神の光を放たれました。まさに神との融合を示された訳です。私たちはその事に感動し、緋道さんに是非とも会に入っていただきたいと思ったのです」
 それは当然そうなるだろう。それゆえに勧誘が激しくなるだろうと警戒していたのだ。
「しかし教祖の阿久津は、緋道さんを勧誘する事を禁じたのです」
「え? そうなんですか?」
 それは意外な事だった。
 あれほど熱心に会に入ることを勧めていた阿久津が、まさか勧誘する事を禁じたとは。
「はい。どう考えてもおかしいですよね。元々阿久津はそのために緋道さんを招待した訳ですから。しかもあれだけの力を示されたとなれば、さらに強く勧誘するよう私たちに指示をするはずです。しかしあの男はそうしなかった。むしろ逆に勧誘しないように言ってきたのです。それには理由があったからなんですよ」
 すでに阿久津を呼び捨て、「あの男」呼ばわりしている所に、梶浦の心境の変化がよく現れていた。
 以前は「教祖さま」と呼び、強い尊敬の念を抱いていた事から考えると、それを幻滅させるほどの何かがあったという事なのだろう。
「あの男、阿久津は、緋道さんを恐れたんです」
「俺を恐れた?」
「はい。緋道さんの素晴らしい力を見たあの男は、自身のインチキが暴かれることを恐れたのです。あの男が私たちにやらせていた修行、あれは全部嘘だったのですよ。あんな事をしても、神との融合など出来ないのです」
 それは神幽会以外の人間であれば、「そんなの最初から分かる事だ」という内容でしかなかったが、心の底から信じていた梶浦達にとっては衝撃的な事だったのだろう。実際梶浦は、その事に憤った様子で手を強く握り締めている。
「私たちが感じていた、魂が肉体から離れる感覚。あれは麻薬を使ってそう思わせていただけのものでしかなかったんです。実際はただ麻薬の効果で朦朧とし、幻覚としてそうした感覚を得ていただけなのですよ」
 それはあの日神治も思った事だった。
 そもそも麻薬の効果だけで、魂が肉体から離れる事などあり得ないのだ。確かに幽体離脱をしたような感覚を得る事は出来るが、あくまで幻覚でしかないのである。
 だがそうした事とは別に、阿久津は幽体離脱の技術を持っているはずだった。事実幽霊男は、神幽会で学んだ技術によって幽体離脱をしていたのだから。
 そこが神治が、神幽会をただのインチキ宗教団体と思えなかった理由だった。
「じゃあ、梶浦さん達は、幽体離脱をした事は無いんですか?」
「無いですね。そうなったような感覚を得たことはありますが、本当に幽体離脱出来たと確信出来るような事は無かったです。当時はそれを己の修行不足ゆえと思っていましたが、他に何もしないのですから出来るはずも無いでしょう。しょせんは麻薬による幻覚を用いた詐欺なのですよ」
 完全に神幽会のやり方を否定しているのに苦笑する。
 あれほど強い信仰心があったというのに、変われば変わるものだ。
 それにしても、「他に何もしない」という言葉に引っかかった。何故阿久津は、幽霊男が用いた技術を教えないのだろう。
「麻薬以外は使ってないんですか? 幽体離脱を可能にするための道具みたいなものとか……」
「いえ、そのようなものは使っていません。修行の際には神香、つまり麻薬を部屋に焚くことしか行いませんでしたから」
 これは何とも奇妙なことだった。
 幽霊男は完全に幽体離脱をしていたというのに、神幽会で行っている修行では、幻覚レベルでしか行えていないというのだ。
 幽体離脱を売りにしているのであれば、幽霊男が用いた技術を会員達にも使わせ、もっとハッキリとした幽体離脱の体験をさせるはずだろう。その方が教義の真実さがより増すからだ。
 それを何故しないのか。
 何か理由があってしないのか、もしくはやりたくても出来ないのか。
 だがそうなると逆に、幽霊男がその技術を使えていた事が不思議に思えてくる。
 何故彼だけが使う事が出来たのか。
 もしや幽霊男は、阿久津にとって特別な存在だったという事なのだろうか。
「あの……以前会を辞めて、少し前に戻ってきた人って知りませんか?」
「いえ、そのような人は知りません。辞めた人間が戻って来たという話は聞いたことがありませんから」
 つまり幽霊男の事は隠していた、という事か。
 辞めた事を隠すのはともかく、戻ってきた事を隠すというのはよく分からなかった。戻ってくるというのは、「辞めた事を後悔して戻ってきた。やはり神幽会は正しいのだ」という意識を会員に持たせられるように思えるからだ。
 その利点よりも隠す方を取るというのは、その事により利点がある、もしくは最初から公にしたくない理由があるから、という事になるのではないだろうか。
 事実、幽体離脱の技術が会員に隠されているのだから、そうであっても不思議ではないだろう。
 何故隠す必要があるのか。阿久津の考えがよく分からなかった。
「結局あの男は、妖しげな教義で人々の心を惑わし、麻薬と性的快楽で会に縛り付けていたのですよ」
 神治が考えを巡らせていると、梶浦が辛そうな表情を浮かべながら続きを語り出した。
「あの男はそうして人々を騙し、気に入った女性と性行為をするのが目的だったんです。魂を肉体から解放するのに必要だと称して、多くの女性を毒牙にかけてきたのですよ。特に高校生を好んでいて、私たちにも女子高校生を勧誘するよう熱心に指導していました。『あの年頃、特に少女は純粋なので、神との融合がしやすい。だが逆に良くない誘惑にも惑わされやすいので、早く救ってあげないといけない』などと称して……」
 なるほど、確かに高校生くらいの年齢は誘惑に惑わされやすいだろう。事実沢山の女子高校生達が神幽会に入っていたのだから。
 もし阿久津が女子高校生との性行為を求めていたのだとすれば、何とも上手い手を思いついたものだと、変な意味で感心してしまう。
 元々神幽会に対して胡散臭さを感じていた神治としては、あのような教義に乗ってしまう人間の方に安易さを感じてしまい、あまり同情する気にはなれなかった。
 それに修行の際に快楽を得られるとなれば、信仰心からではなく、そちらを求めて入会していたのではないかとも思えたのだ。
 そうであれば、神との融合がインチキでしか無いにしても、快楽を楽しめたのは事実であるのだから、何も問題無いように思えてくるのだ。
 これは神治自身が、一般社会で性欲を解放出来る場を求めていたため、阿久津のやり方に一部共感している部分があるためだろう。騙すという行為は宜しくないが、それを除けばなかなかに良い乱交の場を作ったとして、感心出来る事だったのだ。
「私はその手伝いをしてしまいました。何より私自身も高校生相手にあのような事を……何と申し訳ない事をしてしまったのか……」
 強く後悔している様子の梶浦に、何やら自身の倫理観を批判されているような気がして心の中で苦笑してしまう。
 すでに自分は、性に関してはまともな倫理観、道徳観が無くなっていた。一般の社会常識とは乖離してしまっているのだ。
「それで梶浦さんは、神幽会を辞められた訳ですね」
「はい。インチキが分かった以上、そうするのが当然と思いましたので……ただ、これまで私の勧誘や、私の指導で入ってしまった方達、特に高校生にはどう謝罪していけば宜しいかと思いまして……辞めるよう説得はしているのですが、納得してもらえず、未だ会に残っていますから。そうなると謝罪も意味を成しませんので……」
 確かに入会したことに何の不満もなく、逆に喜んでいる相手に、「入会させてすみません」と謝っても意味不明な事になってしまうだろう。何しろその人は、会に居る事を正しいと思っているのだから。
「そう言えば、梶浦さんはどうして阿久津さんの教義がインチキだって納得したんですか? 普通は思わないでしょう? 実際今まで信じていた訳ですし」
 そこが不思議な点だった。今告げたように、熱心に信仰している相手にインチキを納得させるのは難しいからだ。
「それは緋道さん、あなたのおかげです」
 梶浦は嬉しそうな笑みを浮かべると、こちらをジッと見つめてきた。
 他の四人も同じような表情で目を向けてきたため、少々動揺してしまう。
「あの光……緋道さんがあの日に見せて下さった光……あれを見た私たちは、それまでの神幽会の教義が嘘である事が、ハッキリと感じられるようになったのです。まさに目が覚めた、というところでしょうか。あの光は真実を照らす神の光だったのです……」
「光を見たら、教義が嘘だって分かったんですか?」
「はい。あの素晴らしい光こそが神の証。それを阿久津の言っているようなやり方で得られるとはとても思えなくなったのです……何より私たちはあなたが神であると認識しました。阿久津などが説くインチキの神ではなく、本物の真実の神、私たちの神であると理解したのです……」
 うっとりとした目で、こちらを見つめてくるのに既視感を覚える。
 これは部の民の女性達が向けてくる目と同じだった。どうやら梶浦は部の民として目覚めたらしい。
 芽依達も同じようで、似た目をしてこちらを見つめていた。
 あの時の神性の光が、彼らを部の民として目覚めさせたという訳だ。
 男の部の民というのは初めてな訳だが、男を部の民にする方法を探していた神治としては、何とも妙な流れで得られる事になったのに苦笑する。
 ただ今回の事は、麻薬による力の暴走が原因であったため、今後も使える手ではなかったが。
 結局そうした事が無くても神性が高められるよう、精進していかなければならないという事だろう。
「神は私たちのすぐ傍に存在している。ならばその神に仕えていく事こそが正しい道だと思いました……緋道さん、私たちはこれからあなたにお仕えさせていただきたいと思っているのです。どうかお許しをいただけないでしょうか」
 梶浦は、姿勢を正してそう告げると、深々と頭を下げてきた。
 それに合わせてイロスの四人も頭を下げてくる。
 要は梶浦達は、どこに居るのか分からない神との融合を目指す神幽会の活動より、すでに居場所のハッキリしている神治に仕える道を選んだ、という事らしい。
 部の民として目覚めたのであれば自然の流れとも思えたが、これほど改まって言われたのは初めてであったため動揺してしまう。
 それよりも「仕えたい」というのが問題だった。具体的に一体何をするつもりなのだろう。
「仕えると言われても……もし了解したとして、どうするんですか?」
「それは無論、緋道さんが不自由しないよう、出来うる限りのお世話をさせていただきます。日々の生活のお手伝いから、学校への送迎など、私たちが出来うること全てです」
 それは何とも、言葉は悪いが鬱陶しそうだった。
 そういう事は、ある程度気遣い無しに頼れる相手、例えば家族にされるのであれば問題ないが、そうではない相手にされるというのは、逆に気を遣ってしまうからだ。
 実際満里奈には時々家事をしてもらっているが、未だに慣れていなかった。静は「楽でいいじゃない」などと軽く言ってくるが、神治としてはどうしても申し訳ない意識が起きてくるのだ。
「いや、別にそういうのは要らないですよ。不自由してないですし」
「そうですか。ですが何か出来ればと思いまして……」
「気持ちはありがたいですけど、これまで通り暮らして下さい。そうしてくれる方が嬉しいですから。それに皆さんには仕事もあるじゃないですか。そんな事をしている余裕は無いでしょう? 仕事の方に支障が出ちゃいますよ?」
「仕事など、すぐに辞めても構いません。彼女たちもそのつもりです」
 神治の言葉に、梶浦はきっぱりとそう返してきた。イロスの四人も大きく頷いて肯定の意思を示している。
 これは完全に失言だった。
 仕事の事を持ち出せば、それで諦めてくれると思ったのだが、考えてみれば部の民にとって神の存在というのは、何よりも優先される事だったのだ。
 特に目覚めたばかりとなれば、そうした意識が過剰になっているのだから、気をつけなければいけなかったのである。
 その事は理解しているつもりだったのに、何ともすっかり頭から抜け落ちてしまっていた。
 彼らの表情は真剣そのもので、神治が認めたら本当に芸能界を引退しかねないだろう。
 もしそんな事になったら、イロスのファンがどれほど悲しむことか。数十万人が悲嘆に暮れる事になるのだ。
 それが全て自分のせい、となったら、かなりの罪悪感を覚えるのは確実だった。そんな状況はご免被りたかった。
「言い方が悪かったです。仕事は辞めないで下さい。俺は皆さんが今まで通りに暮らしてくれる方が嬉しいですから。っていうか、辞められたら悲しいですよ。せっかく人気アイドルなんですし。最近応援してますしね。イロスが出てる番組もよく観てるんですから」
「本当ですか?」
「私たちの出てる番組、観てくれてるんですか?」
 芽依と鈴美が強い口調で尋ねてくる。
「まあね。彩乃ちゃんと知り合ってから、一応チェックしてるんで」
 実際彩乃と知り合いになってから、そういう事をするようになっていた。身近な人間がテレビで活躍していると応援したくなるものだし、何より部の民でもある事からそういう意識は強くなっていた。
「本当なの。緋道さんは色々観てくれてるんだよ。CDだってこの間買ってくれたし。私がプレゼントしようとしたら、買った方がいいだろうって言ってくれて」
「嘘ぉ。そこまでしてくれてるの? 嬉しいよぉ」
 彩乃が付け加えるようにして告げた言葉に、霞音が感動したように呟いている。
「俺に対して何かしてくれるより、アイドルとして頑張ってくれる方が嬉しいんだよ。みんなが輝いている姿を観られたら、それで幸せな気分になるしね。だからこれからもアイドルとして頑張っていって欲しいんだ」
「……」
 神治の言葉に、四人は泣きそうな表情で満面の笑みを浮かべると、大きく頷いた。
「はいっ、頑張りますっ」
「これから私たち、緋道さんのためにもっともっと頑張りますっ」
「だから観ていて下さいっ」
「絶対もっと凄いアイドルになりますからっ」
 身を乗り出し、真剣な表情で見つめてくるのに少々圧倒されてしまう。
 彩乃以外の三人には、これまでふざけた印象しかなかったため、こうした態度を少し意外に思った。とはいえ、アイドルというのは仕事なのだから、真面目な部分も無くてはやれないはずだから、別に不思議でも無いことな訳だが。
 何にせよ、トップアイドルを引退させずに済んだ事にホッと息を吐き出す。
 これまで部の民を得た事で色々あったが、これほど大変な想いをしたのは初めてだった。何しろ多くの人間の想いを壊しかねなかったのだから。
「私も……皆さんがもっと素晴らしいアイドルになれるよう、誠心誠意サポートをさせていただきます……」
 涙を流しながら梶浦が呟いている。
 五人ともかなり過剰に反応しているが、これも部の民ゆえなのだろう。
 主たる神への強い想いがそうした意識を刺激しているのだ。
 似たような事は何度か経験しているものの、今回のはそれがより強く感じられたように思えた。
 何しろ軽い気持ちで告げた一言が、五人の人生を変えかねなかったからだ。神と部の民の関係というのは、何と恐ろしいものなのか。
 だがこうした事は今後も続いていくのだろうから気をつけなければ、と心に留め置いた神治は、感激の想いを語り合っている五人を眺めながら、小さく溜息を漏らすのだった。


 神治の目の前で、四人の美少女が歌い踊っていた。
 赤と黒を基調とした制服風の衣装に身を包んだ、彩乃、芽依、鈴美、霞音の四人は、最近発売された新曲を、神治のためだけに披露していた。
 新曲を褒めたことから、是非とも生で聞いて欲しいと言われ、学校帰りに彩乃の部屋へ集まる事になったのだ。
 何度かテレビで観てはいるものの、やはり目の前で直接見て聞くのとでは迫力が大違いであり、何より自分のためだけに歌っているのだという事が凄く嬉しかった。
 全員の視線がこちらへ向き、潤んだ瞳で強い好意の想いをぶつけるようにしてくるのがたまらない。
 まさにトップアイドルを独り占めしているのであり、彼女達の想い全てを自分の物にしているというのが、最高に気分のいい事だった。
 さらに魅力的に躍動する肉体を見ているのも素晴らしかった。
 上気した可愛らしい顔。
 衣装の胸元で揺れる大きさの異なる脹らみ。
 ミニスカートから伸び、律動する白い太もも。
 それらを見ていると、舐め回し吸い付きたい衝動が強く高まっていく。
 これまで何度か四人を抱いてきたが、行為の前に歌を披露してもらうというのはなかなかに良い事だった。
 何しろ歌い踊ることにより、彼女たちの魅力が爆発的に高まるからだ。
 特に彩乃は、その事で魅了の力が強烈に発揮され、いやがおうにも肉棒が硬く大きくさせられていた。
 さらに最近は、その力が他の三人にも影響しているらしく、芽依達からも淫の「気」が放出されるようになっていた。
 そのためかイロスの人気も以前より格段に高まっており、熱狂的なファンが増えている状態になっていたのだ。
 そんな人気絶頂のアイドル四人を、自分は独占している。
 何と素晴らしいことだろう。
「いかがでした?」
 歌が終了し、息を切らした芽依が、皆を代表して尋ねてくる。
「凄く良かったよ。やっぱり君たちは凄いね。最高の気分だよ」
 拍手しながらそう告げると、四人は体を寄せ合って喜びの声を上げた。
「ありがとうございますぅ」
「嬉しいですぅ」
「緋道さんに褒めてもらえると、すっごく嬉しいですぅ」
「もう最高すぎておかしくなりそうですぅ」
 潤んだ瞳でこちらを見つめつつ、甘えた口調で述べてくるのに愛らしさを覚える。
 媚びに溢れた言葉遣いだが、美少女である四人がそうすると、強烈な魅力が押し寄せてくるから凄かった。何より魅了の力が放出されているため、否応なしに股間の一物が強く震えるのだ。
「緋道さんに見てもらってると、何だかおかしくなってきちゃいます」
「凄くエッチな気分になってきて、熱くなっちゃうんです」
「私、歌詞間違えそうになっちゃった」
「あ、私も。だって緋道さんに見られてると、ポーっとしちゃうんだもん」
 四人は嬉しそうな笑みを浮かべながら近づいてくると、体を押し付けるようにしてくる。
 床に座った状態で、美少女達に絡みつかれている状況は、隙間無く女肉に覆われている感じがして実にたまらなかった。全ての箇所に、少女達の幼い肉体が押し付けられているのだ。
「じゃあ、次はご奉仕しますね」
「あ、私もするからぁ」
「じゃあ、私はキスしよぉ」
「私もキスするぅ」
 彩乃と芽依がズボンとパンツを脱がし始め、鈴美と霞音は顔を寄せると唇を重ねてきた。
「あ、もうこんなに大きい、ん、んぁ……」
「私たちに興奮してくれてたんですね。嬉しい、ん、んふ……」
「緋道さぁん、我慢できないです。んっ、んんっ……」
「素敵です、んんっ……凄いのぉ……」
 彩乃と芽依の舌が肉棒に絡み、舐めてくるのにゾクッとした快感を覚える。
 同時に鈴美が唇をこじ開けてくると、霞音の舌がニュルリと入り込み、擽るような刺激が与えられてきた。
 それぞれの行為と共に押し付けられる女肉の感触に、幸せな気分に浸っていく。
 どこを見ても美少女の姿があり、可愛らしい顔に魅力的な肉体が、自分のために奉仕している状況というのは、実に素晴らしいものがあった。
 股間では、小さな二つの頭がリボンで結った髪を揺らしながら小刻みに動いており、目の前では、至近距離になる事で益々可愛らしさの増した二つの顔が、甘えるように擦り寄って唇を求めてきていた。
 四つの幼い体が、くねるように動きながら押し合いへし合いし、寵愛を得ようと必死に奉仕してくるのに悦びが溢れていく。
 手を伸ばし、赤と黒を基調とした制服風の衣装の上から、大きさの異なる胸を揉みしだき、その硬さの残る柔らかな膨らみを堪能する。
 続けて白くスベスベとした太ももを撫でさすり、ミニスカートを捲り上げてパンティの上から小さな尻を掴んで感触を味わっていく。
 最後には手を秘所へと向け、敏感な部分を指先で刺激すると、少女達が小さく喘ぎながら、ピクピクと震えを走らせるのがたまらなかった。
 ステージ衣装を身につけたアイドル四人が、淫靡な奉仕に熱心に励み、胸や尻などを愛撫されて悶える姿というのは、実に興奮を高める状況だった。
 これまでも何人かの女性達に同じようにされた事はあったが、アイドルの少女達がしているというのには、かなり強い悦びを感じさせるものがあった。
 多くの男に求められる女を従えている、という想いがそうした感情を呼び起こすのだろう。自分が凄い存在になっている感覚が高まり、男としての誇らしさ強まるのである。
(まあ、神なんだから、凄い存在なんだけどさ……)
 実際彩乃達がこうして尽くしてくるのも、自分が彼女達の神であるがゆえだった。
 今更ながら、神というのは何と気分のいい立場なのかと嬉しくなってくる。
 数多くの美女、美少女を同じように従えているのであり、このような経験は普通の人間では出来ない事だろう。
 そういう意味で、阿久津が性行為をする目的で宗教団体を作ったというのには、どこか共感出来る部分があった。
 何しろこうして複数の少女達に奉仕されるというのには、一人だけを相手にしているのでは味わえない悦びがあったからだ。
 おそらく阿久津も、気に入った女性達を相手に同じようにしていたに違いない。女子高校生を多く集めていたようだから、美少女ハーレムを作りたかったのではないだろうか。
 普通の社会常識であれば、未成年と性行為をするための組織を作るなど、許し難い事になるのだろうが、似たような場を作りたいと思っている神治としては、特に気にならない事だった。むしろ上手くやっているものだと感心してしまうほどだ。
 無論、騙して金を巻き上げているとすれば問題だろうが、そうでなければ性行為をするくらい良いではないかと思えるのである。
 そんな事を考えながら、与えられる気持ちの良さに満足の鼻息を吹き出した神治は、少女達への愛撫に力を入れていった。
 その刺激に、四人が敏感に反応を示すのを可愛らしく眺めつつ、負けじと自分への奉仕に力を入れてくるのに嬉しくなる。
 時折、「これでいいですか? もっとした方がいいですか?」と尋ねるように見つめてくるのに愛おしさを覚え、美少女四人が、自分に気に入られようと熱心に性的奉仕に励んでくる姿に悦びを覚えた。
 自分は何と素晴らしい状況に居るのか。
 これはまさにハーレムといったところだろう。
(アイドルのハーレムか……そりゃ凄いなぁ……)
 四人の身に付けている赤と黒を基調とした制服風の衣装は、普段彼女達が仕事で着ているもの、つまりアイドルとしての証のようなものだった。
 その証たる衣装の上から自分は胸を揉み、ミニスカートを捲り上げて尻や太ももを撫でている。
 それはまさに、清純さを売りにするアイドルという存在を汚しているように思え、ゾクゾクとする興奮を覚えさせた。
 そのアイドル達本人は、肉棒を愛おしそうに口に含み、舌で舐め上げ、うっとりとした表情で唇に吸い付いて、口内を貪ってきている。
 一人の男の体を求め、淫らに奉仕しているのだ。
 そのような行為をしていても、彼女達の清純な雰囲気は減じておらず、愛らしい、初心な少女としてしか目に映らなかった。
 そうした行為と印象のギャップがより興奮を高め、四人を強く欲してしまう原因となっていた。
 ゆえに最近はイロスとばかりセックスしている状況であり、別の意味で熱狂的なファンになっていると言えただろう。彼女たちとの行為には、アイドルという希少価値があるゆえに、他には無い魅力が存在していたのである。
 そうした事を考えながら彼女達の奉仕を受けつつ、心地良い満足感に浸っていると、不意に玄関の扉が開く音が聞こえた。
 続けて部屋のドアが開き、スーパーのレジ袋を手にした梶浦が入って来た。
「これは失礼しました。お楽しみのところでしたか」
「いえ、気にしないで下さい。こっちが勝手に始めちゃったんですから」
 元々梶浦が来るのは分かっていたため、このような事をしている神治達の方に非があった。歌の披露の後は食事をする予定であったのであり、彼はそのための買い物に行ってくれていたのだ。
「ではどうされますか? そのまま楽しまれます? それとも食事を先になさいますか?」
 スーパーのレジ袋を軽く掲げながら尋ねてくるのに少し考える。
 本来なら食事する方を優先すべきなのだろうが、ここまで盛り上がってしまうと、ある程度発散しないと落ち着かなかった。無理矢理抑えることも可能だったが、自分はともかく彩乃達はそれでは不満だろう。このまま抱いてあげた方が落ち着いて食事出来るに違いなかった。
「続けることにします。すみませんけど、少し待っていてもらえますか?」
「全く構いません。どのみち料理を作るのに時間がかかりますしね。満足されるまでどうぞお楽しみ下さい」
 神治と知り合う以前から、梶浦はイロスの四人が集まる際におさんどんをしていたらしい。トップアイドルともなれば外食は人目を引くし、何より彼の料理が美味しいためにそうなったのだそうだ。何度かごちそうになったが、確かにその事が納得出来る味ではあった。
「梶浦さん、緋道さんが満足するまでなんて言ってたら、明日になっちゃいますよ?」
「そうそう、緋道さんは底なしの精力なんだから」
「さすが神様だよねぇ」
 梶浦の言葉に、芽依と鈴美、そして霞音がからかうようにして告げている。
「別に問題ないではないですか。どうぞ明日までお続け下さい。あなた達もそれは嬉しいことでしょう?」
「そりゃそうだけど……」
「あちゃぁ、冗談通じないよ」
「梶浦さんは真面目だからねぇ」
 本気で問題ないと告げている梶浦の様子に、芽依達は苦笑気味に呟いている。
「取り合えず梶浦さんの邪魔にならないよう、部屋を移動しよっか? ここだと梶浦さんが料理に集中出来なくなっちゃうし」
「そうだね。ここでしてたら梶浦さん、料理そっちのけでエッチ見るのに夢中になっちゃうからね」
「私たちのエッチだもんね。そりゃ夢中になっちゃうよねぇ」
「何を言っているんです。緋道さんとのセックスは儀式なんですよ。軽々しく考えてはいけません。神との交わりを得られていることに感謝して行なって下さい。そうでないと罰が当たります。いいですか皆さん、そもそも私たちがこうして緋道さんに恩恵を授けていただけているのは、非常に幸運な事なんです。本来もっと多くの人々と交わりを持つ存在である緋道さんが、今はあなた達のみを相手に交わり、神の光を見せて下さっているのですから。これから先、私たちと同じく緋道さんを神と崇める人達が増えていけば、あなた達が抱いていただける事など無くなるかも知れないのですよ。そこを踏まえて、今どれほど自分たちが幸運であるかを噛みしめて身を捧げて下さい。そうでないと後々後悔しますからね」
 芽依達のからかいの言葉に、梶浦は何とも宗教臭い説教で返した。
 さすが新興宗教にハマっていただけあって、なかなかの説得力を感じさせるのに苦笑してしまう。
「怒られちゃったぁ」
「このネタは駄目だよ。説教モードに入っちゃうから」
「失敗だったねぇ」
 全くこたえた様子もなく楽しげに呟いている三人の様子に、梶浦は脱力したように息を吐き出している。
 おそらくこれまでも似たような事があったのだろうと思うと、彼の苦労が感じられて可笑しくなった。
「ま、食事の準備が終わったら来て下さい」
「それまでに神の光を出してもらってますから」
「でも早く見たいからって、料理手抜きしたら嫌ですよ」
「当然です。緋道さんも食べられるのですから、絶対に手抜きなどいたしません」
 得意げにそう告げる梶浦を見ながら、こうした生真面目さが彼の良いところではあるが、どうにも鬱陶しさを感じさせてしまうところでもあるよな、などと思う。
 部の民に目覚めると、多かれ少なかれそうした事が起きるのだが、真面目で頑固な性格の人間の方が、その傾向はより強い気がした。
 イロスの中で真面目と言えば彩乃だったが、彼女は大人しい性格ゆえか、そうした部分はあまり見られなかった。むしろ従順にこちらの言うことに従う感じになっていると言えただろう。
 同じ真面目であっても、そうした違いがある事に面白さを覚えつつ、自分としては彩乃のような方がやはり好みだな、と神治は思った。
 その彩乃はどうしているのかと言えば、先ほどから落ち着かない様子で部屋の隅の方をジッと見つめており、会話に全く参加していなかった。
 これはいつもの事で、梶浦が現れるとどうしてもそうなってしまうのだ。
 別に梶浦を苦手にしているという訳ではなく、彼にセックスしている姿を見られる事を忌避していたのである。
 本来梶浦が、イロスの四人が抱かれる場に居るのはおかしな話なのだが、先ほど本人が語っていたように、彼は神治のセックスを神の儀式と考えているため、見学する事を強く求めてきていたのだ。梶浦にしてみれば、神性の光が見られる唯一の機会であるセックスの場に参加出来ないというのは悲しすぎるだろうから、それは納得出来る主張でもあった。
 そしてその状況に、彩乃は当初からかなり嫌がる態度を見せていたのである。
 それも当然だろう。普通の感覚であれば、セックスしている姿を他人には見られたくないものだし、それが年頃の少女ともなれば、男に見られるのは余計辛いに違いないからだ。
 芽依達は神幽会での経験から、そうした事には耐性が出来ているようだったが、彩乃はそうではないため、強い抵抗を示していたのである。
 しかし同じ部の民として、梶浦の「神の光が見たい」という気持ちも理解出来てしまう事から、渋々ながらも「頑張って我慢します」と言って、彼が居る事を受け入れていたのだった。
「それじゃ、梶浦さんの言う通り、幸運を噛みしめて身を捧げることにしよっか?」
「そうだね。実際それは本当の事だしさ。凄く運がいいよね私たちって」
「ホントホント、緋道さんに抱いてもらえるってのは幸せ過ぎるもん」
 芽依達はそう言いながら立ち上がり、「行きましょう、緋道さん」とこちらを促してから、寝室の方へと移動し始めた。
 彩乃はその事にホッとした様子で息を吐き出すと、嬉しそうに三人の後を追っている。
 梶浦に見られないとなれば、安心して楽しめるのであり、神治に抱かれる事自体は、彼女にとって至福のひとときになっているためだろう。
 そうした様子に可愛らしさを覚えつつ立ち上がった神治は、今日もトップアイドル四人を好きに出来るのだという事に興奮を高めながら、寝室へと向かうのだった。


 赤と黒を基調にした衣装を身に纏ったイロスの四人が、ベッドの上で四つんばいになり、気持ち良さそうに喘いでいる。
 あれからすでに一時間は経っているだろうか。
 食事の前にちょっとだけ、のつもりが、いざ始めてしまうと、止まらずに何度も抱いてしまっていた。
 いつもならもう少し抑制が効くのだが、今日はステージ衣装を身につけた状態でしているせいか、興奮が強くなっているようだった。
 アイドルである事を感じさせるこの服装は、思っていた以上に刺激的だったらしい。
 何しろテレビでいつも見ている姿そのもののアイドルが、自分に抱かれているのだから当然だろう。それは強烈に優越感を刺激する状況だったのである。
「あっ、あっ、ああっ……」
「やっ、あんっ、ああんっ……」
「あんっ、やぁっ、あぅっ……」
「やんっ、やっ、やぁんっ……」
 芽依の秘所に収まった肉棒が激しく出し入れされると、それに合わせて四人の甘い声が部屋に響いた。
 一人にしか刺激が与えられていないはずであるのに、四人が同じように反応を示すのは、複数人を同時に抱く術を使っているためだった。
 すでに神治を神として崇めている少女達だけに、隠すことなく力を使っていたのだ。
 何より順番に抱くのでは時間がかかるし、その間待たせてしまうのは可哀想だという想いも強かった。自分を求め、従う女性には、十分に快楽を堪能して欲しかったのである。
「ああっ、来るっ……凄く来るのぉ、あっ、ああんっ……」
「奥まで、あんっ……私の奥まで来てるよぉ、凄いぃ……」
「やっ、やんっ……一杯、ああっ……一杯なのぉっ……」
「駄目、ああっ……おかしく、あんっ……おかしくなっちゃうっ……」
 快楽に浸りながら震えている四人を見つめながら、芽依の秘所から肉棒を引き抜き、今度は鈴美の中へと押し込んでいく。
 同じように快楽を感じられるとはいえ、やはり実際に入れるのは公平にしたかったからだ。
 それに肉棒で得られる刺激とは異なり、手で触れる感触は個別にしか味わえなかったため、少女達の肉体の違いを楽しむ意図もあった。
 先ほどまで触れていた芽依の体は、幼い容姿通りの肉付きの薄さがあり、小学生としている時と似た感触があったが、今触れている鈴美の体は、硬さと柔らかさの両方を感じさせる年齢通りの感触があった。
 同い年でありながら、微妙に性徴の異なる少女達の肉体の違いを手で感じつつ、四人分の膣の刺激が押し寄せてくるのにうっとりとなる。
「いいっ、いいの、ああっ……凄くいいですぅっ……」
「おっきくて硬くて、ああぅっ……私の中、擦りあげられちゃぅっ……」
「激し、ああんっ……そんな激しいの駄目ぇっ……やぅっ、ああっ……」
「もっと、あんっ……もっとして下さ、ああっ……もっとぉっ……」
 神治の突き込みに、少女達がそれぞれ異なった言葉を発して悶え狂う。
 その様子に満足しながら、今度は霞音の中へと肉棒を押し込んでいく。
 四人の中で一番豊満な肉付きをしている彼女の体は、触れているだけでゾクッとするような良さがあった。大きめの乳房を掴んで揉むと、それだけで幸せな気分になるのだから不思議な事だ。やはり乳房というのは女を強く感じさせるだけに、生殖本能が刺激を受けやすいのかも知れない。
「あっ、あんっ……光が凄い、ああっ……光が凄いよぉ……」
「綺麗です、ああっ……綺麗、あんっ……何でこんなに綺麗なのぉ……」
「輝きで一杯、やんっ……緋道さんが輝いてて、やぁっ……」
「気持ち良くて綺麗で、ああんっ……凄く幸せぇ……」
 続けて彩乃の中へ移動すると、四人は口々に感動の言葉を発して喘いだ。
 だらしのない笑みを浮かべて惚けている様子から、彼女達が神性の光を見ているのだというのが感じられた。
 そしてそれは、離れた所に座っている梶浦も同じだった。
 少し前に食事の準備を終えた梶浦は、この部屋へやって来て、神治達のセックス、彼の言によれば神の儀式を見ていたのである。
 その口からは、「美しい……」「素晴らしい光です……」「これこそ神の証……」といったような言葉が零れており、表情はうっとりとしていて、幸せ一杯という感じになっていた。
 これは梶浦が神性の光を目にしているためな訳だが、本来異能の力の無い彼は、神性の光を見ることは出来ないはずだった。
 何故見れているのかと言えば、それは彩乃のおかげだった。
 何度かこうした形でセックスしている内に分かったのだが、梶浦が神性の光を見ていると思える呟きを漏らすのは、決まって彩乃に肉棒を入れている時だったからだ。他の少女の際には言わないのであり、彩乃の時にだけ口にしていたのである。
 つまり梶浦が神性の光を見る事が出来ているのは、彩乃が原因という事であり、彼女の異能の力が影響を与えているという訳だった。
 彩乃には元々魅了の力があり、それは他者に作用していくものである事から、おそらくその事が関係しているのだろう。神治から受けた神性を、魅了の力に混ぜて発しているのだ。
 これは推測でしかない事だったが、彩乃は幽体、つまり魂への刺激に過敏な状態になっていたため、神治の魂に付随する神性に強く影響を受けた事で、こうした現象を起こしているのかも知れない。
「ああっ、あんっ……もう、もう駄目、もう駄目ですぅっ……」
「あぅっ……凄いっ、凄いのぉ、ああっ……凄すぎるよぉっ……」
「奥まで、ああっ……奥まで凄いのが、あんっ……私の奥までぇっ……」
「気持ち良くて、やんっ……気持ち良すぎて、ああっ……気持ちいぃっ……」
 狂ったように頭を振り、だらしなく口を開きっぱなしにして、呆けた表情で悶えまくる少女四人は、まさに気持ちの良さと幸せの絶頂に居るという感じだった。
 神の与える肉体的快楽と、神性による精神的快楽が強烈な幸福感をもたらし、人間相手では得られない悦楽を味わっているのだ。
 それはまさに神との交わり。心と体を神に捧げる超越的交尾と呼べるものだろう。絶対的な支配者に愛玩される事の悦びなのである。
 それは一度味わってしまえば抜け出せない、快楽地獄とも言うべき天国だった。
 傍で見ている梶浦も、彩乃の発する神性の含まれた魅了の力を受けているせいか、恍惚とした表情を浮かべて自身の肉棒を擦っている。
 なかなか見事な一物を晒した彼は、時折体を硬直させ、小さく呻きを漏らしながら射精を繰り返していた。
 放出してもすぐに回復し、射精したばかりであるのが嘘のように、必死になって肉棒を擦りまくっている。
 部屋には強烈な淫の「気」が充満していたため、並の人間でしかない梶浦が肉欲に染まってしまうのも当然だった。
 まさにセックスせずには居られない状態になっているのであり、目の前に魅力的な少女が四人も居るとなれば、襲いかかってもおかしくない状況と言えただろう。
 しかし梶浦は、彼女達に手を出す事なく、自慰だけで済ませていた。
 芽依達は「してもいいですよ」と言っているのだが、梶浦は「緋道さんのモノたる皆さんに手を出すなど、とんでもありません」として、絶対に彼女達に触れる事はしなかった。最初の頃は自慰すら耐えていたのだから凄まじいと言えただろう。
 しかしさすがにそれはあまりに辛すぎるだろうと思った神治は、せめて自慰だけでもするようにと指示をしたのだった。
 命令的に言わなければ、それすらも従わなかったのが梶浦の凄いところであり、まさに律儀さに溢れた、強固な精神力の塊と言えただろう。
(そのうち梶浦さんの相手も何とかしないとな。恋人でも作ってくれるとありがたいんだけど……)
 乱交場を仕切っている沙璃香に頼めば、セックス好きの少女を紹介してくれるだろうが、未成年という点で梶浦に断られそうな気がした。以前高校生を抱いた事を悔やんでいる発言をしていたからだ。
 だが大人の女性となると、気楽に見知らぬ相手とセックスしてくれるような知り合いは居なかったため困ってしまった。
 梶浦に恋人が居れば問題ないのだが、どうやら居ないため、新しく出来る事を待つしかないのだが、今の彼の様子からすると、とても恋愛をするようには思えなかった。
 何しろ神治が一番、という状態になっていたからだ。
 少々気色悪い事ではあったが、部の民に目覚めた人間というのは、皆そういう感じなのだから仕方ないだろう。
 ある程度落ち着けば恋愛も出来るようになるらしいが、主たる神に出会えた喜びが冷めるまでは、そうした事に意識が向かないのだと、以前未迦知神に聞いた覚えがあった。
(可哀想だけど、しばらくは自慰だけで我慢してもらうしかないよなぁ……)
 そんな事を考えながら腰を振っていた神治は、射精感が大分高まってきているのを感じた。
 これを最後にそろそろ食事をした方がいいかも知れない。何しろ腹が減ってきていたからだ。
 肉欲的にもすでに数度射精していたため、ある程度は満足出来ていたので問題なかった。
 そして食事が終わったら、すぐにまた続きをしよう。
 今日はイロスの仕事が休みであるので、彩乃達を一日中抱いていられるのだ。トップアイドル四人を、好き放題貪って過ごせるのである。
 その素晴らしすぎる現状を改めて認識した神治は、最後とばかりに腰を激しく振っていった。
「あぅっ、あっ、ああんっ……凄いです、凄くて、ああっ……凄いのぉっ……」
「もう駄目、ああっ……もう駄目なの、あっ……もう駄目なんだよぉっ……」
「来るっ、来るぅっ……あっ、ああっ……凄いの来ちゃうぅっ……」
「やぁんっ、イっちゃう、ああっ……イっちゃうから、ああっ……イっちゃうんだよぉっ……」
 上半身をベッドへ押し付け、尻を掲げた状態の少女達は、神治の肉棒が出し入れされるたびに歓喜の叫びを上げ、その未成熟な肉体を震わせた。
 狂ったように頭を左右に振り、ベッドに爪を立てて悶えまくるその姿は、まさに快楽に支配された女でしかないだろう。
 赤と黒を基調にしたステージ衣装を身に纏ったアイドル四人が、捲れたミニスカートから白い尻を露わにして悶えている様には、ゾクゾクするような興奮を呼び起こすものがあった。
 今自分は、トップアイドルを犯している。
 数十万人の男に求められ、彼らに処女であると信じられている少女達を犯しているのだ。
 可愛らしさの偶像たる存在の中へ、清らかであるべき少女の花園へ、醜悪な肉棒を押し込み出し入れし、蹂躙しているのである。
 少女達の愛らしい顔は悦楽に歪み、だらしのない笑みを浮かべて快楽の虜となっていた。
 そこにはアイドルの証たる清純さなど欠片も無く、ただいやらしく男根を欲して悶える淫らな女達が存在しているだけだ。
 そのくせ幼さを残す愛らしい顔立ちからは、清純さが否応もなく感じられ、その見た目と現実とのギャップが、背徳的な淫靡さを醸し出していた。
 可愛らしくもいやらしい少女達。
 彼女達は自分の物だった。
 自分に従い、自分の寵愛を求めてやまない存在なのだ。
 これからもこの四人を愛し貪り味わっていく。
 それは何と素晴らしい事だろう。
 そんな想いを抱いた神治は、これで終わりだとばかりに、最後に数回肉棒を叩き付けると、熱くたぎりまくった精液を、その清純な膣の中へと注ぎ込んでいくのだった。












あとがき

 またアイドルです。
 アイドル好きなんでねぇ。
 トップアイドル四人を好き放題ですよ。何と素晴らしき状況か。
 これは多くのアイドルファンが望むことでしょう。
 とはいえ、神治はイロスのファンという訳ではないので、ある意味大した喜びにはなっていない訳ですが。
 ファンからすれば何とも酷い話です。

 そのネタへ、前回話だけ出てきた宗教団体を絡ませてみました。
 阿久津は幽体離脱を出来る技術があるはずなのに、何故それを隠しているのか。
 そこら辺は、今後書く予定であります。

 そしてついに男の部の民ゲットです。
 男とはセックスしないので、どうしたものかと思っていたのですが、何とかこういう形で目覚めさせてみました。
 神性は、初登場の際に未迦知神が示したように、別にセックスしなくても感じさせることは可能です。神治は未熟なので出来ないだけなのですな。
 その内もっとパワーアップして、姿を見せるだけでも畏れを感じさせられるくらいの神になって欲しいところです。
 そのためには沢山の経験を積む、つまり私が沢山話を書かなければいけないので大変な訳ですけど(笑)

 それにしても、梶浦はトップアイドルがセックスしている様を自慰のオカズにしている訳で、何ともまあ、贅沢なことだな、と思ってみたり。
 しかし彼の興奮は、神治に対するものだったりするので、気色悪さが爆発状態な訳ですが(笑)
 まあ、性欲というより、神々しさに興奮している訳ですけどね。
 とはいえ、神治が望めば悦んで抱かれると思うので、結構危ない人だったりするのでありますわ(ホモは嫌ぁ〜〜)
(2016.1.23)

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