緋道の神器


        第四十一話  友人の秘密



 神治は、木に寄りかかりながら、周囲に生えている木々を眺めてぼんやりとしていた。
 そこは校舎から少し離れた所にある、ちょっとした森のような場所だった。
 近くには園芸部が管理する植物園があり、時折世話をしている生徒の姿が見える。
 向こうからは木の枝や葉などのせいか、神治がここに居ることは分からないらしく、これまで気づかれたことはなかった。
 様々な植物が綺麗に整備されている植物園と異なり、こちらは放置されているようで、雑草などが生え放題になっていた。
 緋道村で緑に親しんでいた神治は、時折植物園を見に来ていたのだが、ある時この森を見つけてからは、こちらの方を気に入っていた。
 整備された状態よりも、自然に任せて生えている状態の方が村の雰囲気に近かったせいだろう。
 何より近くに見事な植物園があるせいか、こちらへ来る人間がほとんどおらず、物思いに耽りたい時になどちょうど良かったのだ。
 最近は歩美と柚華が何かにつけて一緒に居たがるため、一人の時間が欲しい神治は、たびたび訪れるようになっていたのである。
 木々に囲まれた状態で静かにジッとしていると、何とも落ち着き、精神的にリフレッシュできるように思えたのだ。
 歩美達と一緒に居るのも楽しかったが、時折こちらに向けられる女としての媚びの波動を感じると、思わず抱きたくなってしまうため、それを抑えるのが面倒な時があった。
「抱きたいのに抱けない」というのは、思っていたよりも負担が掛かるらしく、この場所を訪れた際、疲れが取れたような感覚を覚えたのである。
 体の中のこりが取れたように思え、それ以来、よく来るようになっていたのだった。
「お、緋道じゃないの。こんな所で何してるんだ?」
 不意にかけられた声に視線を向けると、そこには一人の男子生徒が立っていた。同じクラスの埜々宮朱理(ののみやしゅり)だ。
 席が近いことから話す機会が多かったせいか、一番親しくしている友人だ。
「いや、特に何も……ボーッとしてるだけだよ」
「ふ〜〜ん、まあ、確かにボーッとするにはいいかもな。木ばっかだし。あんまり人が来なさそうだし」
 朱理はそう言いながら、怒ったような表情で周囲を見回している。
 これは別に機嫌が悪いという訳ではなく、彼は常にそうした表情をしているのだ。
 整った顔立ちで童顔、さらに小柄な体つき、首筋までかかる髪の長さなどから、女子生徒に「可愛い」と言われることが多く、その事を気にしている朱理は、自然とそうした表情になってしまうらしい。
 神治にしてみれば、素直に「可愛い」と言われるのを受け入れて、女の子と仲良くすれば幸せだろうに、と思うのだが、性格的に出来ないらしかった。「男はへらへらするもんじゃない」と言っているのを、以前聞いたことがあったのだ。
 せめて首筋まで伸びた髪の長さを、もっと短くすればいいと思うのだが、そこは何か拘りがあるようで、「この長さがいいんだ」と言っていた。
 何とも複雑で頑固な性格の持ち主なのである。
「埜々宮くんが来たけどね。そういや初めてかな、ここで人に逢ったの。お前さんはどうして来たのさ」
「オレ? オレはまあ、何だ。散歩だな。そんで偶然こっちに来ただけ」
 朱理はムスッとした表情でそう呟きながら、神治と同じようにして木に寄りかかった。
 頭一つ分ほど背が低いため、頭のてっぺんが見えるのが妙に面白い。
 思わず手を頭の上に置きたくなる衝動を覚えたが、それをしたら朱理が怒るのは明らかであったため抑えることにした。
「森と言えば、今度行く旅行ってのは山だったっけ。それこそ木ばっかりのところだな。っていうか、何で山登りなんかするのかなぁ。面倒くせぇよ。疲れるし」
 朱理は来週行われる学校行事が不満らしく、そんな事を言っている。生徒同士の親睦を深めるため、毎年行われている一泊二日で旅行をする学年行事だ。
「しかも泊まるってさ。日帰りにしろよなまったく……」
「まあ、いいじゃないの。この際だから楽しもうぜ。部屋も俺と一緒だし、つまらないってことはないだろ?」
「そうなんだけどな。でもちょっと、やっぱりな……」
 朱理は大きく溜息をつくと、ガックリと肩を落としている。どうやら本当にこの旅行が嫌らしい。
 どうしてそこまで嫌がっているのか分からなかったが、当日までにその機嫌が直ってくれていることを願った。
 不機嫌そうな表情は見慣れていたが、本当に不機嫌な状態では一緒にいるこちらも楽しくないからだ。特に寝る時に一緒に居る人間がそのような状態では嫌だろう。
 泊まる部屋は三人部屋で、他にもクラスメートが居るのだが、その生徒とはあまり親しく無かったため、彼とではさほど楽しく過ごせるとは思えなかったのである。
「そういや緋道ってさ、モテるよな」
「何だよいきなり」
「いや、未生と仲いいし、A組の可愛い子とも仲いいじゃん」
「友達なだけだよ。お前だって女の友達くらい居るだろ? それがたまたま可愛かっただけだって。そういうのをモテるとは言わないだろ?」
「ふむ、確かにそう言われるとそうだな。友達か……なるほど……」
 朱理はそう呟くと感慨深げに頷いている。
 歩美達には好意を寄せられているが、それは恋愛感情とは異なるものだった。
 他の女性にも執着を持たれているが、快楽を与える存在として意識されていることの方が大きいだろう。関係性として語るのならば、友達の感覚である人間が多いように思えた。
「そうなると、二人に彼氏が出来たりしてもショックじゃないってことか?」
「え?」
「いや、友達だって言うなら、恋人が出来ても問題ないだろうと思ってさ」
 その言葉に一瞬硬直する。考えたことも無かったからだ。
 二人にそれぞれ恋人が出来る。
 それは何とも嫌な気分になる想像だった。
「お、何か暗くなってるぞ。やっぱり嫌かそういうの」
「嫌だな、うん……」
「独占欲ってやつか。友達だけど他の男に獲られたくない訳だ。でも友達じゃいつかはそういう事もあり得る訳だぜ。今の内にどっちかを好きになって恋人にしといた方がいいんじゃないか?」
「いや、そういうので恋人にするってのも変でしょ。大体無理矢理好きになるってどうよ」
「確かにそりゃそうだ。そうなると誰かに獲られないように祈るくらいしか手はないな。まあ、あれだけ可愛い二人ともなれば、かなり強い祈りじゃないと駄目だろうけどな」
 何とも不吉な予言をされたことに暗くなる。
 だが朱理の言うことももっともなのだ。
 肉体関係はあるものの、友人でしかない間柄では、恋人が出来たとしても文句は言えないのである。
 さらに言えば、緋道村では無いのだから、そうなったら抱かせてもらえなくなるだろう。
 本来村の外では抱かないようにしようと思っていた訳だが、現実として抱けていた女性が抱けなくなるというのは何とも辛そうに思えた。
「何だよ結構気にしてんじゃん。こりゃ本格的に神頼みだな。どっかの神社にでもお参りしたらどうだ? 縁結びの神様、ってのとはちょっと違うか。まあ、何とか頑張れよ……っと、もうこんな時間か。そろそろ行くわ。んじゃな」
 朱理は急にそう告げると、片手を上げて去っていった。
 その小柄な後ろ姿を見送りながら、今言われた「神頼み」という言葉に苦笑する。神である自分は誰に頼めばいいのだろう。
 いや、神なのだから自力で何とかしろという事になるのだろうか。
 そんな事を思いつつ、改めて現在抱いている女性たちに恋人が出来たら、自分はどうするのだろうと考えてみる。
 まず凄く寂しい気持ちになるのは間違いないだろう。
 何より抱かせてもらえなくなることを考えると、強い腹立ちを覚えた。
 自分は思っていたよりも独占欲が強いのかも知れない。
 緋道村の女性達は、常日頃から他の男にも抱かれている。
 その事は以前から分かっていたし、さほど嫉妬心も起きなかった。
 だが村の外で自分の物にした女性達が、他の男に抱かれる姿を想像すると、何とも言えない嫌な気持ちになった。
 やはり村の外では、基本的に「恋人や夫以外に抱かれない」という貞操観念が存在するため、奪われるような気がするのかも知れない。
 村の場合は、女性に対して共有の意識があるが、村の外ではそうした部分が無いため、「己の物」という想いが強くなるに違いない。
 このまま女性達を自分の物にし続けておくには、もっと自分に依存させるようにしなければいけないのではないか。つまり神の快楽を与え続けておく必要があるだろう。
 そう考えると、最近抱くのがご無沙汰になっている女性達の顔が浮かぶ。セックスに消極的になっている間に、そうした女性が幾人かできていたのだ。
 このままでは他の男に奪われてしまうかも知れない。
 そんな危機感を覚えた神治は、早速今日にでも最近ご無沙汰になっている女性を抱きに行こうかな、などと考えるのだった。


 学校指定のジャージを着た神治は、窓の外の美しい風景を眺めていた。
 緑の多い環境で育ったとはいえ、山の自然というのはまた違ったものがあり、新鮮な想いが起きる。
 神治は今日、学校の行事で山へと来ていた。
 一泊二日の泊まりがけで、山登りをする内容のものだ。
 数時間前まで、今窓から見ている山を歩いて登っていたのであり、現在はホテルの割り当てられた部屋で休んでいる。
 相部屋になっているのはクラスメート二人、のはずだったが、一人は病気で休んでいたため、朱理と二人きりだった。
 朱理はこの旅行のことを凄く嫌がっていたが、実際当日になってもそれは変わっておらず、行きのバスの中ではずっと黙り込んでいたし、山を登っている最中も、普段からムスッとしている顔がさらに悪化したように不機嫌さを露わにしていた。
 あまり話しかけられる雰囲気ではなかったため、今日はほとんど会話をしていなかった。
 ただ山頂に着いた時だけは、見晴らしの良さに不機嫌さが減ったのか、少し笑みを浮かべていたため話すことができた。
 とはいっても、「綺麗な風景だな」程度のことでしかなかったのだが。
 その後ホテルへ着き、食事をしている間もこの上なく不機嫌な表情を浮かべていたため、どうしたものかと困ってしまった。
 せっかくの旅行だというのに、一緒の部屋の人間がこのような状態では楽しくないだろう。
 そんな事を思っていた訳だが、その杞憂は、驚いたことに部屋へ着いてから無くなった。
 朱理は一通り部屋の中を見て回った後、実に嬉しそうな笑顔を浮かべ、やたらと喋るようになったからだ。
 一体何がどうしたのかさっぱり分からなかったが、取り敢えず機嫌が良くなったことにホッとしつつ、いつも通り楽しく会話できたことに嬉しさを覚える。
 今朱理は備え付けの風呂に入っているのだが、中から鼻歌混じりの声が聞こえてくるところからして機嫌は良いままらしい。
 この様子なら、今夜は楽しく会話して過ごせるだろう。
 やはり旅行での楽しみと言えば、普段は出来ない友人との夜遅くまでの語らいだからだ。
 少し前までは絶望的だったため、それが出来るようになったことに神治は喜びを覚えていた。
(あ、家に連絡しとかなきゃな……)
 不意に家族へメールしなければならないことを思い出す。
 今日は旅行先であるため、いつものように家族を抱くことが出来ないのだが、せめて連絡だけでもして欲しいと言われていたのだ。
 瞬間移動が出来るのだから村へ行けないことはないのだが、さすがに学校行事で不在が発覚する可能性があることはできなかった。
 そういうことからメールを送らなければならなかったのだが、何故かどこを探してみても携帯電話が見当たらなかった。一体どこへやってしまったのだろう。
 一通り部屋の中を探し回り、鞄をひっくり返してみるが、全く出てこない。
 もしかして山の中で落としたのだろうか。そうなったら絶望的だった。
 などと暗くなりながら考えていると、不意に先ほどトイレへ入った時に携帯電話を使ったことを思い出した。
 小便をしている最中に電話が鳴り、慌てて出た後、近くにあった戸棚に置いたのだ。
 その事で神治は慌てた。
 何しろトイレは風呂と一緒になっていたため、風呂が使用されている現在、部屋の中は湯気で一杯になっているはずであり、下手をしたら携帯電話が壊れてしまうからだ。
 焦りと共に急いで風呂の部屋の前まで行ってドアを叩く。
「悪い、そこに携帯置きっぱなしだったんだ。ちょっと取らせてくれ」
 返事を待たずにドアを開け、戸棚の方へと視線を向ける。
 案の定、携帯電話があったことにホッとしつつ、壊れていないか心配になった。
 何しろ部屋の中は、予想通り湯気で一杯だったからだ。
 取り敢えず近くにあったタオルで拭いてみるが、果たして大丈夫だろうか。
 そんな事を思って携帯を拭いていた神治は、ハッとなって朱理の方へ意識を向けた。
 もしかしたら怒っているのではないかと思ったからだ。
 返事を待たずに入った訳だし、何より朱理がホテルの大浴場へ行かず、備え付けの風呂で済ましていたのは、裸を見られる恥ずかしさがあったからではないかと思ったからだ。
 もしそうであれば、今の状況を怒っている可能性があるだろう。
 風呂桶にはカーテンが引かれているため朱理の姿は見えなかったが、未だに何も言ってこないのが怒りを感じさせて怖くなった。
「すまん、携帯が心配だったもんで。すぐに出てくからさ」
「あ、ああ……それならし、仕方ないさ……き、気にしてないから……」
 カーテン越しに声をかけると、何やら朱理の様子が変だった。
「どうしたんだ? 大丈夫か?」
「だ、大丈夫……大丈、うぁっ……」
 不意に叫び声が聞こえたかと思うと、激しい水音と共に、ゴンっという大きな音が響いた。どうやら転んだらしい。
「おいおい、ホント大丈夫か?」
「……」
 返事がない。もしかして頭を打って意識を失っているのだろうか。
「おい、返事しろよ。大丈夫なのか? ちょっとカーテン開けるからな」
 もしそうだとしたら大変だと思い、カーテンを開く。
 するとそこには、予想通り気を失っているらしい、目を閉じた状態で横たわっている朱理の姿があった。
 そしてそれと同時に、妙なモノが目に映ったためギョッとなった。
 朱理の胸元に、男にはあり得ないはずの大きな二つの膨らみが存在していたからだ。
(な、何だこりゃ……?)
 驚愕した状態でさらに視線を走らせると、体全体が丸みを帯びているのが分かり、まるで女の体のような柔らかな雰囲気があるのに混乱が増していく。
 一体どうしてこんな女のような体つきなのだろうか。
 そこまで考えてから、男女を分ける最も重要な部分はどうなっているのだろうと股間に目をやる。
 案の定そこには男性器らしきものは存在しておらず、代わりに女性器らしきものが見え、今目の前にある体が、完全に女のものであることが分かった。
 しかし一体全体何がどうなって男の朱理が女の体になっているのだろう。
 まさか転んだ拍子にそうなったとでも言うのか……。
「……ん……あ、あれ? オレ……」
 どれくらいそうしていただろうか。不意に朱理が目を覚ました。
 まだ意識がハッキリしていないらしく、ぼんやりとした表情でこちらを見上げている。
「よぉ、オレどうしたんだ? 何でこんな、って……え? あ……」
 朱理は己の置かれた状況をようやく認識したのか、ゆっくりと表情を驚愕のものへと変化させ、そのまま硬直した。
「キャッ、やだ、ちょっと……緋道、見るなっ、見るなぁっ」
 そして突然女の子のような声で叫んだかと思うと、慌てて体を隠そうと両腕で自らを抱き締めるようにしている。
「す、すまん……すぐに出るから。それより大丈夫か? 気を失ってたけど」
「大丈夫っ、大丈夫だからっ。とにかく今は出てってくれぇっ」
 必死に叫ぶ朱理に従い、ドアを開けて浴室を出る。
 そのままベッドへと腰を下ろし、大きく息を吐き出すと、今見た状況に神治は激しく動揺した。
 朱理が女?
 何がどうして……。
 頭の中が混乱して訳が分からなかった。
 普段の朱理はどう見ても男だった。
 小柄とはいえ体つきはガッシリとしていたし、そもそも胸はあれほど膨らんではいなかった。
 今見た乳房はかなりの大きさがあり、何かで締め付けて誤魔化したとしても、相当な胸板の厚さになるはずだったが、そんな事は無かったのだ。
 それがどうしてああなっているのか。
 一体全体何がどうなっているのだろう。
 神治は訳が分からなかった。
 しばらくそうして色々考えながら座っていると、ドアを開く音が聞こえ、朱理が部屋へと入ってきた。
 フラフラと歩いて隣のベッドへ腰を下ろしたかと思うと、困ったような表情を浮かべて顔を背けている。
 学校指定のTシャツを身につけているのだが、その胸元が大きく膨らんでいたため改めて驚きを覚える。
 体育の時間に同じ格好を見ているが、その時はこのような状態にはなっていなかったからだ。
 ショートパンツから伸びる太ももも、魅惑的な白さと肉感があったため何ともそそった。
 同じ脚を見ているはずなのに、普段と今とでは全く違う印象があるのである。
 何より全体的に女の子的な可愛らしさを感じさせる雰囲気を漂わせており、今の朱理を見て男だと思う人間は居ないだろう。
 可愛い顔立ちとはいえ、これまでは男にしか見えなかった朱理が、何故このような状態になっているのか訳が分からなかった。
「その……頭は大丈夫か?」
 取り敢えず当たり障りのない点から尋ねてみる。
 意識を失ったのは確かなので心配だったのだ。
「あ、ああ……大丈夫。ちょっと痛かったけど問題ない……」
 何やら声まで可愛らしく聞こえるから不思議だった。
 口調は今までと変わらないのに、どことなく女の子らしい雰囲気があるのである。
「そんで……一体どうなってるんだ? お前、女だったのか?」
 続けて聞かずにはいられないとばかりに核心部分を尋ねてみる。
 この混乱を収拾するには、朱理本人に説明してもらうしかないだろう。
「あ、ああ……実はそうなんだ。隠してて悪かったな」
 朱理は沈んだ声でそう告げると、視線をそらした。
「別にそれはいいんだけど……何でこんなことしてるのかと思ってさ。うちは共学なんだし、男のフリする必要なんて無いだろ? 普通に女として入学すればいいじゃんか」
「いや、それは事情があって……何て言うかな……あ〜〜、もう言っちゃうしかないよな。ホントはマズいんだけど、緋道には話さないと駄目だよなやっぱり……」
 朱理は困ったように呟くと、どうしたものかと溜息をついている。
 その様子も何とも可愛らしく、思わず抱き締めたくなるほどの魅力があった。
「実は、うちはしきたりが厳しい家でさ……」
「しきたり?」
「そう、しきたり……女は成人になるまで男のフリして暮らさなきゃいけないって決まりがあって、オレはずっと男として生活してきたんだ……笑えるだろ? 今時そんなの守って男のフリして学校通うなんて……オレも馬鹿らしいとは思うんだけど、逆らえないんだな、これが」
 朱理は寂しげな微笑みを浮かべると、大きく息を吐き出している。
 女の子にしか見えなくなった状態で「オレ」という一人称を使っていることに違和感を覚えるが、どことなく可愛く思えてしまうのも女の子らしさゆえだろう。
「つまりこれからも、ずっと男のフリしていかなきゃいけない訳か? 大人になるまでってことは、学生時代は男として過ごさなきゃいけないのかよ」
「そういうことになるな……」
「何だよそれっ。そんなのあるかっ」
 不意に怒りが湧き起こった。
 自分でも驚いたが、恐らく理不尽なしきたりに腹が立ったのだろう。
 自分自身村のしきたりに縛られている立場であるため、余計にそうした感情が起きたのかも知れない。
 緋道村のしきたりによって嫌な想いはしていないが、もし村のしきたりが朱理が強制されているようなものだったらと想像すると、他人事に思えなかったのである。
「怒ってくれてありがとうよ。でも仕方ないんだ。それに別に凄く嫌って訳でもないしさ。男のフリしてると男の友達も沢山出来るし、女だったら味わえない楽しさってのも味わえるしな。結構気に入ってるんだぜ」
「その割に何か辛そうな顔してるじゃんか」
「え?……ああ、いやこれはその……違うことでさ……」
「違うこと?」
「その……さっき見られちゃっただろ……だから恥ずかしくて……」
 言われた瞬間、何とも迂闊だった事に気がつく。
 朱理は男の自分に裸を見られたのだ。
 男のフリをしているとはいえ、女としての羞恥心は無くならないのだから当然だった。
「いや、あの……ごめんなさい……」
 慌てて頭を下げる。
「あ、謝るなって……緋道はオレが女だなんて知らなかったんだからさ。仕方ないよ」
「そうは言っても、今は女だって知っている訳だから、謝らないとさ」
「律儀なヤツだな。そういう所がお前は面白いよ」
 朱理は微笑みを浮かべながら、楽しそうにしている。
 それは何とも可愛らしかったため、思わずドキリとしてしまった。
 女と分かってからの朱理は、どうにも神治好みな雰囲気を持っていたからだ。
 などと考えた瞬間、重要な疑問に思い当たる。
 いくら女だと分かったからといって、こうも印象が変わるものだろうか。
 何より今の朱理は客観的に見ても男とは思えないのであり、いくら男のフリをしていてもすぐにバレる感じがした。
 普段の朱理は可愛らしさはあるにせよ、それはあくまで「男として」というものであり、女としての可愛らしさではなかったため、その変化が不思議だったのである。
 それに胸元の大きな膨らみ。
 これはどうやって隠していたのだろう。
「そういや、胸はどうやって隠してたんだ? かなり大きいだろそれ。普通にしてたら目立つぞ」
 神治が尋ねると、朱理は困ったようにして下を向いた。
 そしてそのまま何も言わずに黙っている。
 もしかして答えにくい質問をしてしまったのだろうか。
 例えばしきたりに関わる秘密だったりしたら、答えることは出来ないだろう。
 そうだとすればその事を尋ねるのは止めた方がいいかも知れない。
「……おっきいって言うな……」
 不意に小さな声が聞こえた。
「ハ……?」
「おっきいって言うなって言ったんだよ……恥ずかしいだろ……」
 少し顔を上げた朱理は、真っ赤になりながらそう呟いている。
 体が小刻みに揺れており、動揺しているのが分かった。
 その様子は何とも可愛らしく、思わず抱き締めたくなるほどだ。
「いや、その……ごめんなさい……」
 思わず謝ってしまう。
 そして目の前にいる朱理が、紛れもなく女の子である認識を得た。
 今までも性別的な意味では理解していたが、それが抱きたくなるほどのレベルに達した感じになったのだ。
 体を好き放題に扱い、喘がせたり悶えさせたりしたくなる、つまりは女としての魅力を覚えたのである。
「実は胸を隠すっていうか、オレが女であることを隠すための道具があってさ、それを付けてるからバレなかったんだよ」
「道具?」
「そう、道具……これを付けてオレは生活してる訳」
 朱理が持ち上げて示したのは、プロテクターのようなものだった。
 警察官が身に付けているようなゴツいものではなく、もっと薄くて小さいものであり、確かにこれなら胸を隠すことは出来るだろう。
「ちょっと付けてみるけど、驚くなよ?」
 そう言いながら朱理がプロテクターを身に付けると、驚いたことに雰囲気が一変した。
 それまで抱きたくなるほど魅力的に見えていた朱理の容姿が、男のものにしか見えなくなったのだ。
「え……ちょっと待て……何だこりゃ……」
 あまりの事に衝撃を受ける。
 そこに居るのはいつも通りの、男の朱理だったからだ。
「不思議だろこれ、付けるだけで男にしか見えなくなるんだ」
「そんな馬鹿な……いくら何でもそんなの無理だろ普通。胸を隠せるのはともかく、雰囲気まで変わるなんてあり得ないよ」
 訳の分からない状況に神治は混乱した。
 どうやったらこんな事が可能になるのだろう。
「オレもそう思うけどね。でもこれをくれたのは普通じゃない存在だから……」
「普通じゃない存在?」
「信じられないと思うけど……その、神様ってヤツに……」
「神、様……」
 その言葉に驚きつつ、半ば納得する。
 確かに神であれば性別を誤魔化す術を使えるように思えたからだ。
 普通は信じられないだろうが、神の存在を知っており、さらに自分も神である神治には信じることができた。
 ただそういう術があることと、それを道具に加味出来るのか、という部分に疑問が残るくらいだった。
「うちはさ、そういう家なんだよ。神様を信じちゃってるの。だからしきたりも厳しい訳。信じてくれなくていいけど、オレは嘘は言ってないから」
 朱理は投げやりな感じでそう言っている。信じてもらえないと思っているのだろう。
「いや、信じるよ。実際それ付けてると男にしか思えないし。っていうか、本当に女だったのかって逆に疑うくらいだし」
 しげしげと朱理を見つめつつ、先ほどまであった女の雰囲気が見事なまでに消えているのに驚く。
「あ、あんまり見るなよ……」
 恥ずかしそうに朱理が呟くが、先ほどと異なり、全く可愛く思えないのだから不思議だった。
 逆に気色の悪さまで感じるのだから大したものだろう。
「そういう訳で、オレは男として暮らしてきたんだ。これで分かってくれたか?」
「ああ、分かったよ……でも男として暮らすのは本当に辛くないのか?」
「まあな。もう慣れちゃったし。それにいいこともあるしさ……」
「いいこと?」
 神治が尋ねると、朱理はそれに応えず、視線をそらした。
 その後、困ったような表情を浮かべると、どうしたものかと手持ちぶさたにしている。
「何だよ、どうしたんだ?」
 朱理はそれにも応じず、こちらをチラチラと見た後、何かを思いついたようにしてプロテクターを外した。
 再び可愛い女の子の朱理が現れたためドキリとしてしまう。
 この可愛さが、プロテクターを付けただけで消えて無くなるのだから恐ろしいことだった。
「緋道……お前、普通の人間じゃないだろ?」
「え?」
 予想外の、そして真実を突いた指摘にギョッとなる。
「オレ、そういうの分かるんだよ。お前は普通じゃない。凄い力を持ってる。違うか? 違わないだろ?」
 真剣な顔で告げてくるのに、どう応えたものか迷う。
 だがすぐに応えるべきだろうと思った。
 自分の秘密を明かしてくれた朱理に対し、こちらは隠しているのが気が引けたからだ。
「ああ、持ってるよ」
「やっぱりな。もしかしてお前の家って、神に近しい家柄じゃないか?」
「何で分かるんだ?」
「うちもそういう家だからな。うちはこのプロテクターをくれた神様の、部の民の当主をしているんだ」
 部の民の当主。
 まさに自分と同じ立場だった。
 何とも驚きの展開に、神治は呆気に取られた。
 緋道村のような、神に支配された地域が他にもあることは聞いていたが、まさかクラスメート、しかも自分が仲良くなった人間がそれに所属しているとは思わなかったからだ。
「うちも当主やってる。同じだな」
「そうなのか。やっぱりな。お前の力の強さからしたら、そうなんだと思ったよ」
 神治の言葉に、朱理は嬉しそうに微笑んだ。
 それは何とも可愛らしかったため、思わず抱き締めたくなってしまった。
 女状態の朱理はかなり神治好みであるため、可愛い仕草や言動をされると、そうした衝動が起きてしまうのだ。
「でもそれにしたって凄い力だな。お前から感じる力って凄いぞ。緋道の家はかなり神と近しいんじゃないのか? そうじゃなきゃあり得ないだろこの力の強さは」
「まあ、そんな感じかな。そこら辺で色々うちも厳しいんだ。お前んちほど凄くはないけど」
「そうか。色々あるよなこういう家だとさ……それにしても驚いたな。今までゴジュガイのせいで分からなかったけど、緋道がこんな凄いとは……」
「ん? 何だって? ゴジュ?」
「ゴジュガイ。漢字で書くと護呪鎧。これのことさ」
 朱理はベッドの傍にあったメモ帳に漢字を書くと、プロテクターを示しながらそう告げた。
「元々こいつは敵の呪的な攻撃から身を守るために作られたものなんだってさ。凄く強力なんだけど、そのせいで相手の力を感じられない状態にもなってしまうんで、戦闘用としては不向きだったみたいだな。まあ、性別を誤魔化して学校に通う分には問題ないから使っているんだけど、そのせいで緋道の力も感じられなかったんだよ。だから護呪鎧を外した今は凄く驚いている訳だ。お前の力の凄さにな」
 朱理はそう言いながらこちらに熱い視線を向けている。
 そこには何やら女の媚びのようなものが感じられたため驚いた。
 突然どうしたのだろう。
「え? ちょっと、何だよ……」
 不意に朱理が立ち上がり、すぐ傍に座ってきたためさらに驚く。
「実はうちにはもう一つしきたりがあってな……男に裸を見られた女は、その男の物になるってのがあるんだ……」
「な、何だそりゃ? 駄目だろそんなの。酷すぎるぞ」
 一瞬、朱理を自分の物に出来るのだと喜んでしまったことを恥ずかしく思いつつ、理不尽なしきたりに腹を立てる。
「まあ、さすがにそれは守らなくていいって言われてるけどな……でも何か守りたくなってきたんだよ……さっきからオレ、お前の力にやられちゃってる……お前凄すぎるよ。まるでうちの神様みたいだ……神々しさがあって、光り輝いてる……凄く綺麗だ……ああ……オレ、自分の全部を緋道にあげたい……」
 そう言いながら朱理は体を寄せてきた。
 こちらを見つめる瞳は潤んでおり、頬が上気して、完全に欲情しているのが分かる。
 何もしていないのに、どうしてここまでになっているのか分からなかったが、好みの容姿の女の子にこのようにされては肉欲が高ぶって仕方がなかった。
 しかし性的関係を持つクラスメートをこれ以上増やす訳にはいかない神治としては、必死に欲情を抑え込んだ。
「お前は当主家の人間だろうが。こういう事は同族としなきゃ駄目だろ。俺とこんなことしちゃ駄目だって」
「お前のとこはそうなのか? うちにはそんな決まりないぞ。優れた力を持つ人間の血を入れるのは普通だからな。お前がこれほど強い力の持ち主なら誰も反対しない。どころか大歓迎だ」
 それは驚きのことだった。
 緋道村の常識から、当主家の女は当主家以外の男に抱かれるのは良くないと思っていたのだが、そうではない当主家もあった訳だ。
「でもお前の方がマズいのか? 一族の人間じゃないオレは受け入れられないのか? そうなのか? だったら諦める……諦めるよ……」
 凄く悲しげな顔で告げられるのに、心臓が締め付けられるような愛らしさを覚えた。
 朱理は凄く可愛らしかった。
 このような女の子を抱けるのに、我慢しているなどあまりに馬鹿らしいだろう。
「マズくはないよ。でもいいのか? しきたりとか関係なく、お前としてはどうなんだよ。一人の女の子として俺と色々しちゃうってのはさ」
「ホントは駄目だな……緋道のことは好きだけど、それは友達としての好きだから……でも今のオレはお前に従えられちゃってる。お前の力に魅了されちゃってるんだ。だから何かおかしくなってる……抱かれたくなっちゃってる……体がおかしくなっちゃってるんだよぉ……」
 そう叫ぶと同時に強く抱きついてくる。
 胸元に大きな膨らみの感触が伝わり、その瞬間肉棒が硬く大きくなった。
 だが慌ててそれを抑える。
 心から自分に抱かれたいと思っているのならともかく、単に欲情したからでは、後で後悔しかねないからだ。
 以前はそうして無理矢理抱いていたことを思うと、何とも成長したものだろう。
「そうだ、護呪鎧だ。あれ付けろよ。そうすれば治まるだろ?」
 向かいのベッドに置いてある護呪鎧を示しながら告げると、朱理は泣きそうな、困ったような表情を浮かべた。
「あれ付けたらオレ、お前の物になりたくなくなっちゃう。そんなの嫌だよ。今の気持ち、無くしたくない」
 すがりつくようにしてそう告げてくるのを可愛らしく思ったが、すぐにその言葉がおかしな事に気がつく。
「って、何か矛盾してるぞ。お前さっき、友達として好きなだけだから、抱かれるのは駄目だって言ったじゃないか」
「……う〜〜、あれは嘘だよ……もぉっ、分かれよそれくらい。乙女の恥じらいなんだって……オレはお前に抱かれたい。これは嘘じゃない。心からそう思ってるんだ。それを誤魔化すために体がおかしくなってるって言ったんだよ……くそっ、言いたくなかったのに言わせやがって、馬鹿ぁっ……」
 朱理は顔を真っ赤にしながらそう叫ぶと、恥ずかしそうに顔を背けた。
「何でそんな突然。訳分かんないぞ。大体それって俺の力のせいで心もおかしくなってるってことだろ? だったら力の影響を受けないようにすれば、心だって元に戻るじゃないか」
「だから元に戻りたくないんだってばっ。緋道に対するこの気持ちを無くしたくない。オレは心も体もお前の物になりたいんだ。お前の物にして欲しいんだよ。お前の力でオレを一杯にして欲しいんだ。そうすれば護呪鎧を付けてもお前への気持ちを忘れないでいられるから……オレの魂にお前を刻んでくれ……緋道、お前の物だっていう証をオレの魂に……お願いだよぉ……」
 涙を流しながらそう告げてくる朱理に、神治はどうしたらいいのか分からなくなってしまった。
 朱理のこの想いは、神の力の影響でおかしくなっているだけであり、それを絶てば無くなってしまうものでしかないのだが、今の朱理はその想いで一杯であるため、無くすことを嫌がっている。
 しかし想いが無くなった後に尋ねれば、そうしてくれて良かったと答えるように思えた。
 一体朱理のためにはどうすればいいのだろう。
「緋道はオレが欲しくないのか?」
 すがるようにして言われた瞬間、震えが走った。
 そう、結局問題はそこだったのだ。
 自分がどうするかによって、朱理の今後は決まるのである。
 抱かずに護呪鎧を付ければ、今まで通り友人として付き合うことになり、抱いてしまえば、自分の女として扱うことになった。
 どちらを選んでも朱理自身は受け入れるだろう。何しろ選んだ時点で朱理の気持ちも確定するからだ。
(俺は……どうしたいんだろ……)
 目の前には、少し前まで男としか思っていなかった友人の姿があった。
 今や可愛らしく、抱きたくてたまらない容姿として存在する少女だ。
 素直に考えれば抱きたかった。
 自分の物にしたかった。
 しかしそれはいいのだろうか。
 朱理の人生を自分などが決めてしまって。
 それは凄く重いことのように思えた。
 だが考えてみれば、これまでも抱くことによって相手の人生を変えてしまったのではないだろうか。
 特に部の民となっている女性達は、確実にそれまでとは異なった人生を歩み始めているだろう。
 自分という存在を核とする人生に……。
 ならば今更もう一人増えたところで何が違うのか。
 朱理ほど可愛らしい少女ならば、自分の物にしておかなければ絶対後悔するはずだった。
 クラスメートということが引っかかったが、それも構わないだろう。
 積極的にこちらから手を出そうとしている訳ではなく、歩美達の時と同じく、成り行きでそうなっているのだから。
 これも自分の部の民を得る活動なのだ。
 そういった流れが来ているのだ。
 ゆえに朱理を抱くべきなのだ。
 神治の中で何かがカチリと噛み合ったように思えた。
「俺の物になるか?」
「なるっ、なるよっ。オレ、お前の物になるっ。お前の物にしてくれっ」
 嬉しそうに何度も頷きながら告げてくる姿に半ば呆れてしまう。
 あまりに強烈な執着を感じたからだ。
 抱いた後の女性からはこうした態度を取られたことは何度もあったが、抱く前からそうなっているのはどういう事なのだろう。
 もしかして強烈に相性がいいのだろうか。
「それじゃ埜々宮くん、じゃなかった、今は埜々宮さんか、ややこしいな」
「朱理。朱理って呼んでくれよ。お前の物になるんだから名前で呼んでくれ。いいだろ? お願ぁい」
 不意に甘える口調で言われたため、心臓が跳ねた。
 普段が男口調であるため、突然こうした可愛らしい喋り方をされるとギャップが凄くてたまらないのだ。
「お前、護呪鎧外したら性格まで変わってないか? そんな女の子っぽい喋りなんかしなかっただろ」
「だって今は女の子だもぉん……とか言うと嬉しいか?」
 ニヤリと笑いながら告げてくる口調はいつもの朱理なのだが、そこに強い可愛らしさが伴っているのが違っていた。
 こちらを見つめている大きな瞳は潤んでおり、「あなたの物です」と主張しているかのようであり、首筋まで伸びた髪は可愛らしい顔をより引き立てていた。
 男と思っていた頃と変わらないはずなのだが、女の子として認識した途端、魅力的な髪型になっているのだ。
 学校指定のTシャツの胸元を押し上げる膨らみは大きく、揉みたくてたまらない衝動を呼び起こした。
 小柄な体のくせに、何故胸だけはこれほど大きいのだろう。
 というか、これが普段は隠されていて、誰も気がつかないのだから勿体ないことだ。
 それをこれから自分は好きなだけ揉んでいいのだ、と思うと、肉棒が勢い良くそそり立った。
「朱理っ……」
 そう呼び捨ててから強く抱き締める。
 瞬間、柔らかな、心地良い女肉の感触が溢れたため、気持ちの良さに頭がボウッとした。
 朱理は女性として素晴らしい資質の持ち主のようだった。
 やはり元々部の民だからだろうか。
「緋道ぉ……」
 うっとりとした瞳でこちらを見つめ、早くどうにかして欲しいとばかりに訴えてくる様子に肉棒が激しく猛る。
 よもや朱理相手にここまで興奮するとは、少し前までは想像もしないことだった。
 女の子の朱理は、それだけ凄く愛らしかったのだ。
 こんな少女を抱かずにいるなど不可能だろう。
「朱理、可愛いぞ。お前、凄く可愛い……」
 そう言いながら小さな顎に手をやり、ゆっくりと唇を重ねていく。
「んっ……んんっ……んふぅ……」
 軽く口づけた後、そのまま舌を押し込み、口内を舐め回す。
 小さな舌に絡ませ、強く吸い付き刺激を与えていくと、朱理が背中に腕を回してギュッと抱きついてきた。
 体が小刻みに震えており、それは快感と緊張からきているように思えた。
 もしかしてこういう事をするのは初めてなのだろうか。
 今まで男のフリをしてきたとすれば、それもあり得ることだろう。
 つまり自分が朱理の初めての相手になる訳であり、それは何とも興奮を高めることだった。
「んんっ、んっ……んぁっ……んっ、んっ、んはぁっ……」
 荒々しくキスを繰り返しながら、胸元にある大きな膨らみを掴む。
 そのまま優しく揉んでいくと、朱理が切なげな吐息を漏らしながら力を抜いていった。
 ゆっくりベッドに押し倒し、唇を放してTシャツを捲り上げると、綺麗な乳房が露わになった。
 振動でたゆんと揺れたその物体は、白の塊であり、その頂点にポツンと桜色の突起があるのに肉欲が高ぶっていく。
「あんま見るなよ……」
 恥ずかしそうに顔を背ける朱理は何とも可愛らしかった。
「凄く綺麗だ。たまんないよ……」
 そう言いながら撫でるように乳房に触れると、朱理はピクッ、ピクっ、と体を震わせ、さらに恥ずかしそうに悶えた。
「緋道、何か慣れてる……やっぱり経験あるんだろ? 未生とかとしてるのか?」
 鋭い質問にどう答えたものかと一瞬迷う。
 だが全てを自分に捧げようとしてくれている朱理相手に、嘘を付くのは気が引けたため、正直に話そうと思った。
 何より部の民として育った朱理ならば、理解してくれるだろうと思ったからだ。
「してるよ。うちはそういうのをするしきたりなんでね。仲が良くなった相手とはこういう事をするのさ」
「何だよそのしきたり……男に都合良すぎるだろ」
「別に男だけじゃないさ。女も喜んでるよ。それどころか女の方が抱いて欲しいって言ってくる場合だってあるんだから」
「そうなのか?……オレ、経験無いから分かんないや……でも緋道に触れられてると、確かにそんな風に思えてくるかも……あっ、やっ……」
 桜色をした綺麗な乳首に吸い付くと、朱理が可愛らしい声をあげた。
 そのまま舌で弾くようにして舐めながらチュッ、チュッ、と何度も吸っていくと、甘い吐息が漏れ、体がモジモジと悶えるのにたまらない愛らしさを覚える。
「緋道ぉ……ヤバいよオレ、あっ……何かヤバい、あんっ……お前に色々されてると、やぅっ……何かどんどん、あっ……どんどん、ああっ……おかしくなって、やぁっ……」
 乳房を強く揉み、乳首を荒々しく舐めて吸っていくと、朱理は激しく乱れていった。
「あっ、そこは、やっ……駄目、あっ……まだ駄目、あっ、ああっ……ああっ……」
 ショートパンツの中に手を入れると、一瞬防ぐようにして手を掴んできたが、神治の指が秘所に触れた瞬間、すぐさま力が抜けていった。
「あっ、あっ……そんな、あっ……そんなのって、やぅっ……緋道、ああっ……緋道、あんっ……緋道ぉっ……」
 神治の指が動く度に、朱理の体は激しくくねり、顎が何度も仰け反って可愛らしい声が響いた。
 小柄な可愛らしい少女がそうして悶えている様には強烈ないやらしさがあり、神治の肉欲を激しく高ぶらせた。
 もう入れずにはいられない。
 そう思うと同時に朱理のショートパンツを脱がし、自らも服を脱ぐと肉棒を入れる体勢になる。
 眼下では、呼吸を乱しながら焦点の合わない目でこちらを見上げる朱理の姿があった。
「入れるよ?」
 そう告げると、朱理は一瞬どうしようかというような表情を浮かべたが、すぐにコクリと頷いた。
 そそり立った肉棒を秘所に寄せ、亀頭の先を初々しい膣穴へと押し込んでいく。
 ズブ……。
「あぅっ……」
「くっ……」
 二人の声が重なった瞬間、肉体が一つに繋がった。
 なかなかに感触の良い膣に大きく息を吐き出す。さすが部の民だけあって、肉体が常人よりも優れているのだろう。
 緋道村と違って、性の神を崇めている訳ではないようだが、それでも神に近しい当主家の人間ともなれば、そういった肉体的特徴を持つのかも知れない。
「あぅっ、いっ……」
 朱理は苦痛の声を漏らしながら体を硬直させている。
 その表情が何とも可愛らしく、肉棒がグンッと力を増した。
 好みの顔の少女が苦悶するというのは、どうにもたまらないのだ。
 ただ痛がっているのは可哀想なので、痛みを消す「気」を送り込んであげることにする。
「はぅ……はぁ……はふぅ……」
 すると朱理は気の抜けたような息を吐き出し、ぼんやりとした表情を浮かべた。
 それもまた何とも可愛らしく、今すぐにでも無茶苦茶にしたくなってくる。
 どうにも女の子になってからの朱理は、神治にとって欲情しやすい相手らしい。
 何とも喘がせ悶えさせたくてたまらなくなっているからだ。
「それじゃ動くよ?」
「え? ちょっと待っ、あっ、あっ、ああっ……馬鹿急に、あんっ……やっ、駄目、ちょっと、ああんっ……」
 普段の男喋りと違って、可愛らしい声を発しながら、朱理は体をクネクネと動かした。
 すでに快感しか得ていないはずだから、刺激に体が敏感に反応しているのだろう。
「嘘、あっ……やだ何これ、ああっ……凄い、あっ、あぁっ……凄いよこれ、あんっ……凄い凄いぃっ……」
 大きくゆっくりと突き込むと、朱理はそのたびに顎を仰け反らせ、驚いたような表情をしながら甘く喘いだ。
 初めて体験する性の快楽に戸惑っているに違いない。
 それを可愛らしく思いながら、神治は徐々に腰の動きを速めていった。
「やっ、やっ、やぁっ……緋道凄い、あっ、あっ……緋道凄いよ、ああっ……緋道の凄いぃっ……」
 朱理はそれしか言えないとばかりに、「凄い」を繰り返し、シーツを掴んで喘いでいる。
 小柄な体が前後に動き、それに合わせて豊満な乳房がプルンプルンと揺れるのが何ともたまらず、興奮が高まっていく。
 背は小さいくせに、どうして胸だけはこんなに大きいのだろう。
 しかもかなりの美乳だ。
 形はお椀を被せたような綺麗な丸みがあり、色も透き通るような白さがあって美しく、まさに理想の乳房と言えた。
 その乳房を自分は今自由に出来るのである。
 それは何とも嬉しいことだった。
「あぅっ……あっ、ああっ……やっ、胸をそんな、あんっ……緋道やぁっ……駄目だよぉ、やっ、やぁんっ……」
 揺れる乳房を掴み、回すように揉みしだくと、朱理が今まで以上に可愛らしい声をあげた。
「お前のオッパイって大きいし綺麗だからさっ……それに揺れてると揉みたくなるんだよっ……うん、いい触り心地だ。たまんないっ……」
 そう言いながらムニュムニュと揉んでいく。
「やぁっ、やっ、やぅっ……馬鹿ぁ、あっ、ああっ……そんなしたらやぁっ……駄目っ、駄目っ、駄目ぇっ……やっ、やぁんっ……」
 飛び切り可愛らしく悶える朱理に、肉棒が激しく猛った。
 何だろうこれは。
 普段の男っぽい朱理からは想像も出来ない反応だった。
 いくら見た目が女になったからといって、ここまで変わるものだろうか。
 もしかして護呪鎧には、女っぽさを封じる効果もあったりするのだろうか。
「朱理可愛いぞっ……何かスゲェ可愛いっ……俺たまらなくなってきたっ……」
 勢い良く腰を振り、それまで以上に刺激を与えるように肉棒を突き込んでいく。
「あんっ、あんっ、ああんっ……やだ、あぅっ……やだ凄い、ああっ……こんな、あっ……こんなの、ああっ……こんなの凄いよぉっ……」
 イヤイヤといったように頭を左右に振り、首筋まで伸びた髪を乱しながら朱理は激しく悶えた。
 短めの髪と小柄な体型が幼さを感じさせ、それがまた興奮を誘って腰の動きに力が入っていく。
「はぅっ、はぅっ、はぁんっ……緋道っ、緋道っ、緋道ぉっ……いいっ、いいっ、いいよぉっ……何かいいのぉっ……」
 両腕が背中に回り、両脚が腰に絡んで引き寄せられる。
 目の前に迫る顔は涙を流しており、気持ち良くて仕方がないといった様子を感じさせた。
「あっ、あんっ、あっ、あんっ……やっ、やぁっ、やぁんっ……」
 テンポよく腰を振っていくと、朱理がたまらないとばかりにギュッとしがみついてくる。
 瞳は潤み、頬は上気し、唇はだらしなく開かれており、意識が快楽に染まっているのがよく分かった。
 小さな頭を優しく撫でながら、強く大きく肉棒を突き込んでいく。
「あっ、やっ……オレ何か変、あっ……何か変だよ、あっ、ああっ……何か変になるぅっ……」
 絶頂が近いのだろうか、切羽詰まったような声をあげ、朱理は悶え狂った。
 膣内の蠢きもそれに合わせて激しくなり、肉棒を掴んでグニュグニュとなぶってくるのに射精感が高まっていく。
 このまま一気に朱理を絶頂に至らせ、その胎内に精を放とうと思った神治は、さらに腰を強く大きく振っていった。
「あんっ、あんっ、ああんっ……オレ、あっ……オレもう、ああっ……オレもう駄目だよぉっ……緋道っ、緋道っ、緋道ぉっ……やっ、やっ、やぁあああああああああんっ!」
「うぅっ!」
 朱理が叫ぶと同時に、膣内がキュウッと締まりあがった。
 その刺激は強烈で、肉棒が勢い良く吸引されるのがたまらず、神治は肉棒の栓を解放した。
 ドピュッ、ドピュッ、ドクドクドクドクドクドクドク……。
 意識して放とうと思っていたのに、まるで吸い出されるかのように射精してしまったのに苦笑する。
 やはり当主家の人間だけあって、並の肉体ではなかった訳だ。
 それまではさほどでもなかったのが、最後の最後でこちらを唸らせるほどの蠢きをしてくるとは、さすが当主家の人間といったところだろうか。このまま経験を積んでいけば、かなりの肉体になるだろう。
 将来が楽しみだと思いつつ、現在も強烈な気持ちの良さを与えられていることに、神治は歯を食いしばって耐えた。
 絶頂に至った瞬間に女として開花したというべきか、今肉棒が得ている刺激は、蕩けるほどに気持ち良かったのだ。
 まさに吸われているというか、腰が持って行かれるような錯覚を覚えるほどにたまらなかったのである。
 実際射精が止まらず、いつまでも続いてしまっていた。
 ここまで吸われるのは、人間相手では従妹の久美とする時くらいだろう。
(くっ……うぅっ……やべ、こりゃ良すぎるぞ……)
 射精が終わりそうになると、膣が微妙な蠢きを示し、さらなる射精を引き出してきた。
 久美の場合は、勃起を復活させてくる訳だが、朱理の場合は射精をそのまま持続させる感じだった。
 神治としては通常状態の意識で相手をしていたため、この強烈すぎる刺激は予想外であり、ちょっとした失態のように感じられていた。
 神である自分が、人間相手に精を吸い出され続けるなどだらしなさすぎるからだ。
 しかも相手はセックスをするのは初めての、処女だった相手なのである。
 未迦知神に知られたら、それこそ何を言われるか分かったものではなかった。
 だが今更神の力を使ってこれをしのぐのも微妙に感じられた神治は、通常状態のまま何とかしようと頑張ることにした。
「くっ、うぉっ……ふぅ……」
 しばらくして何とか射精を止められたが、その間にかなりの精を出してしまったように思えた。
 朱理の体は何とも凄まじいと言えるだろう。
 当の本人は、初めての経験に脱力し、荒い呼吸をして横たわっている。
 頬を上気させ、悩ましげな表情を浮かべながら、豊かな胸を上下させている姿は何とも色っぽかった。
 その小柄な肉体には、抱く前には無かった女の色気が強く感じられるようになっており、男を知ったことで、まさに女として花開いたという感じだった。
「緋道ぉ……緋道ぉ……」
 ぼんやりした顔の朱理が、甘ったるい声で呼びかけてくるのにドキリとする。
 あまりに可愛らしくいやらしい姿に、肉欲が一気に高まり、股間の一物があっという間に復活した。
 ビクンビクンと震えている肉棒は、痛いほどに硬く大きくなっており、すぐにでも再び入れたくてたまらなくなっていた。
「ね、もう一回……いいだろぉ?……しよぉ……?」
 潤んだ瞳に見つめられ、さらに心臓と肉棒が跳ねた。
 細い腕が首に絡み、引き寄せてくる。
 迫る可愛らしい顔には、惹き付けられずには居られない、強烈な淫靡さが溢れていた。
 これがついさっきまで処女だった少女の放つ色香だろうか。
 まるで男性経験豊富な熟女のものではないか。
 それでいて容姿は可愛い少女のものでしかなかったため、そのギャップに興奮が高まっていく。
「緋道ぉ……オレ、緋道の物だよぉ……だからもっとしてぇ……んっ、んんっ……」
 唇に吸い付かれた瞬間、抑えが効かなくなった。
 この愛らしい少女を無茶苦茶にしたい。
 好き放題に貪りたい。
 そのことで頭が一杯になったのだ。
「朱理っ……」
 神治は叫ぶと同時に、再び朱理の中へ肉棒を押し込んでいくのだった。


「あっ、あっ、ああっ……」
 何も身に付けない状態でベッドに横たわった朱理は、こちらの一突き一突きに合わせて可愛い喘ぎを漏らしていた。
 裸同士で絡み合うと、滑らかな肌の感触が直接感じられ、何とも心地良かった。
 特に小柄な体に不似合いの豊満な乳房が胸元で潰れる感触は、肉棒をさらに硬く大きくさせるほど興奮を誘った。
 目の前にある可愛らしい顔は快楽に歪んでおり、男だと思っていた頃には感じられない淫靡な魅力に溢れていた。
「あんっ、あんっ、ああんっ……緋道そこ、あっ……そこ駄目、やっ……そこ駄目だよぉっ……」
 ある箇所を擦るようにして突き込むと、朱理は「駄目」と言いつつ、もっとして欲しいとばかりにしがみついてくる。
 泣きそうな顔でこちらを見つめ、両腕両脚を強く絡みつかせてくるのに、荒々しい肉欲と庇護欲が湧き起こった。
「ここが駄目なのかっ?……ここかっ?……ここかぁっ……?」
「やぅんっ、やぅっ、やぁっ……駄目、あっ……駄目って言ったのにぃ、あっ、あぁっ……緋道の馬鹿、あっ……緋道の馬鹿ぁっ……やっ、やっ、やぁんっ……」
 さらに強く同じ箇所に突き込むと、朱理は左右に激しく頭を振り、首筋まで伸びた髪を乱しながら、涙目で喘いだ。
「そんなこと言って、ホントは気持ちいいんだろっ?……もっとして欲しいんだろっ?……こんな風にさっ……」
「ああんっ、あっ、あっ、あぁっ……あっ、あっ、あっ……やっ、やっ、やぁっ……」
 激しい勢いで腰を動かしていくと、朱理はそれに合わせて可愛らしい声を何度も発した。
 背中に回された腕がプルプルと震え、小さな手が爪を立ててくるのに痛みを覚えるが、それ以上の快感に益々肉欲が猛った。
「どうだっ? 気持ちいいかっ? いいだろっ?」
「うんっ……うんっ……凄くいい、あっ……凄くいいよ、あんっ……凄く気持ちいぃっ……緋道の凄く気持ちいいんだよぉっ……」
 可愛らしくもいやらしい笑みを浮かべて応える朱理の姿に益々肉欲がたぎる。
 普段ムスッとしている顔ばかり見慣れていたため、こうした笑顔を見せられると、その可愛らしさにドキリとしてしまうのだ。
 もっとこの笑顔が見たいとばかりに夢中になって抱いてしまうのである。
「やんっ、やっ、やぅんっ……いいっ、いいっ、いいよぉっ……緋道いいっ……もっと、あんっ……もっと、あぁっ……もっとお願ぁいっ……」
 さらにはこの可愛らしいおねだり。
 好みの容姿なだけに、甘ったるい調子で言われると、どうにも抑えが効かなくなってしまう。
 もっとしてあげたい。
 もっと自分に夢中にさせたい。
 もっと自分のモノにしたい。
 そうした想いが溢れてきてしまうのだ。
「あんっ、あんっ、ああんっ……凄い、あっ……凄いよ、ああっ……緋道凄いぃっ……こんな、あんっ……こんなの、ああっ……こんなの凄すぎるよぉっ……」
 甘い喘ぎと共に膣内がキュウっと締まり、肉棒に強く吸い付いてグニュグニュと揉みしだいてくる。
 その感触は何とも絶品で、普通の人間では味わえない良さがあり、神の快楽に近しいものがあった。
 やはり部の民だけにそうした資質があるのだろうか。
「やっ、やぁっ……はぅっ、はぁんっ……もう駄目、あっ……オレもう駄目だよ、ああっ……もう駄目になっちゃう、あっ、あっ、ああんっ……」
 突き込みに合わせて顎を仰け反らせつつ、朱理はもう耐えられないとばかりに大きく喘いだ。
 それと共に膣内の吸引が強烈になり、思わず射精しそうになるのを必死に抑える。
 初めて抱いてからもう何度目なのか忘れたが、抱く度に朱理の肉体は確実に成長をしているのが分かった。
 抱けば抱くほど気持ちの良さが上がっているため、次はもっと良くなるのではないかと思わせるのだ。
 まさに快楽の底なし沼に引き込まれるような魅力のある肉体なのだった。
「やっ、やっ、やぁっ……駄目、あっ……イく、あんっ……もうイっちゃう、ああっ……オレもう駄目なの、ああっ……イくっ、イっちゃうっ、イっちゃうょぉっ……やっ、やっ、やぁああああああああああんっ!」
 叫ぶと同時に強くしがみつかれ、膣内がそれまで以上に締まり上がった。
 その外と中同時の締め付けに、気持ちの良さが最高潮となり、神治は肉棒の栓を一気に解放した。
 ドピュッ、ドピュッ、ドクドクドクドクドクドクドク……。
 強烈な開放感と快感が押し寄せ、肉棒が勢い良く脈動していく。
 気持ちの良さが起きるたびに精液が迸り、朱理の胎内へと注がれていくのが感じられた。
「あ……あぁ……緋道ぉ……」
 ぼんやりとした声を漏らしながらこちらを見つめる朱理の顔は、蕩けるような快楽に染まっており、己が神治の物であると訴えているかのようだった。
 その事に満足を得ながら、強烈な吸引で吸い出されていく精液にたまらなさを感じた神治は、すぐにもう一度抱いてやらなきゃな、などと思いつつ、射精を繰り返していくのだった。


 あの旅行から数日が経った。
 朱理はあれから神治に対する態度を表面上は変えていないが、どことなく以前より親しさを感じさせるようになっていた。
 何より時折微笑むことがあるため、いつもムスッとしていた事をから考えると、大きな変化と言えるかも知れない。
 その事で益々女子の人気が上がっているらしく、今まで以上に不機嫌そうな表情になっているのが何とも言えなかったが。
 日頃は護呪鎧を付けているせいか、全く女性として意識することがなかったため、こちらの意識としては変化はなかった。
 何しろ完全に男にしか思えず、あの夜の事は夢ではなかったのかと思うくらいなのだ。
 しかし朱理の方は、護呪鎧を付けていても神治に対する意識が変わらないようで、時折熱い想いの籠もった視線を感じることがあった。
 どうやら護呪鎧の力よりも、朱理の想いの方が上回っているらしい。
 それほどまでに慕われるというのは本来ならば嬉しいことだったが、朱理を男として認識している状態ではどうにも気色悪さを感じて仕方がなかった。想いが単純に崇拝的なものであれば良いのだが、肉欲的なものを含んでいるからだろう。
 性的関係を結んだことからそうなっているのだろうが、男状態の時には出来るだけ抑えてもらいたいものだった。
 女状態の朱理は非常に可愛らしく、自分好みであったため、また抱きたいと思ったりするのだが、学校では護呪鎧を外すことはないし、学校以外で逢うことも無かったため、抱く機会は無かった。
 神治としては、また可愛らしい朱理を抱いてみたいと思うこともあったが、何しろ日頃が男にしか思えないため、そうした想いも強くはならないのだった。
 そんなある日、いつものように植物園の傍にある森でボーっとしていると、不意に声を掛けられた。
「よう、暇そうにしてるな」
 口調から朱理であることはすぐに分かったが、微妙な違和感を覚えて視線を向けると、そこに居たのは、何と女子の制服を身に着けた、女状態の朱理だった。
 どうやら護呪鎧を身に着けていないらしく、女の子の雰囲気が出ており、制服も実に良く似合っていた。
 首筋までの短い髪形や小柄な体つきが、可愛らしい女子高生といった感じを醸し出しており、大きく膨らんだ胸元や、ミニスカートから伸びる白い太ももが肉欲をそそってたまらなかった。
 どうしてそんな格好をしているのだろうと不審に思いつつも、何とも可愛らしい姿に嬉しくなってくる。
「可愛いな……」
「え?……そ、そう? そうか……?」
 思わず呟いた言葉に、朱理は一瞬にして顔を赤くすると、モジモジしながら目を逸らしている。
 その様子は実に愛らしく、思わず抱き締めたくなるほどだった。
 男状態ではあり得ないその衝動に、語呪鎧の力に改めて感嘆する。
「何でそんな恰好してるんだ? 学校じゃ男の格好してないとマズいんだろ? っていうか、その女子の制服はどうしたんだよ」
「ホントはマズいんだけどさ……緋道にどうしても見てもらいたくて……ほら、前に言ってたじゃんか、この学校の女子の制服って可愛いから好きだって……」
 そう言えば確かにそんな話をした覚えがあった。
 それを覚えていて、自分のためにしきたりを破ってくれたのかと思うと嬉しくなってくる。
「実はオレもそうだったんだ。だから学校には着ていけないけど、制服だけは買ってもらってたんだよ。どうかな、オレが着ても可愛いかな……?」
 心配そうな表情で尋ねてくるのに益々可愛らしさが高まった。
 普段は強気の印象が強いのだが、女状態になると何故かこうして弱気になるのが何とも面白かった。こうした性格の変化もやはり語呪鎧の影響なのだろうか。
「凄く可愛いと思うぞ。朱理の女子の制服姿って見てみたかったからな。予想以上に可愛いんでビックリした」
「ホントか? 本当にオレ可愛い?」
「ああ、可愛い。凄く可愛いぞ」
「そうか……そうかぁ……」
 朱理は嬉しそうに何度も頷くと、満面の笑みを浮かべている。
 普段ムスッとしているだけに、その笑顔は強烈で、見慣れない女子の制服姿も相まって、抱きしめたくてたまらない衝動が湧き起こった。
 何より制服の胸を押し上げる胸の膨らみに、あの夜の肉体の感触を思い出して肉棒がピクリと反応を示した。
「あ……」
 その衝動のまま思わず抱き寄せてしまい、腕の中でか細く声をあげる朱理に肉欲が激しくなった。
 普段こんな事をすれば強く反発したりするだろうに、女の子になった朱理は、一瞬弱々しく抵抗を見せただけで、後はされるがままになっている。
 その様子はどうにも嗜虐心を刺激したため、色々したくなってしまった。
 先日の旅行先で何度も抱いてしまったのにしても、普段とのギャップからくる大人しい様子に、喘がせ悶えさせる行為がたまらなかったからだ。
 あの時の様子を思い出すと、ムラムラと激しい欲情が高ぶって、肉棒が落ち着かなくなってくる。
 このままでは抱いてしまいそうだった。
 しかしここは学校であり、しかも野外なのだから抱く訳にはいかない、というかマズいだろう。
 神治は大きく息を吐き出すと、高ぶった肉欲を抑えた。
「ごめん……ついその……」
 そう言いながら体を放し、衝動的に抱いてしまいそうになった自分を恥じた。
 こうした衝動に流されてしまうとは、まだまだ修行が足りないだろう。
「何だよ、止めちゃうのか? オレ、久々に緋道に抱いてもらえると思ったのに……」
 朱理は不満そうに唇をとがらせている。
「いや、ここは学校だしさ。やっぱりマズいよ」
「でもせっかく女子の制服着てきたのに……オレ、緋道が喜んでくれると思ったから……」
「喜んだだろ。凄く可愛くて嬉しいよ」
「うん、だからそのまま抱きたくなるだろうと思って……男って好きだろ、制服姿の女相手にするの」
「そりゃまあ、そうだけど……でもやっぱり学校だしさ……」
「う〜〜、せっかく女子の制服着てきたのにぃ……」
 朱理は残念そうに下を向くと、そのまま押し黙った。
 その様子を見ていると、何とも申し訳なくなってくる。
 朱理は自分のために、しきたりを破ってまで女子の制服を着てきてくれたのに、その想いに応えてあげないというのは酷いように思えたからだ。
「まあ、しょうがないか。確かに学校じゃ誰かに見つかっちゃうかも知れないし……」
 納得してくれたらしい様子にホッとする。
「でも……キス、くらいならいいだろ? してくれよ……」
「え? う〜〜ん、そうだなぁ……」
 確かにキスくらいなら見つかっても大したことにはならないだろう。
「オレ、夢だったんだよ。学校で好きな男子とキスするの……ちゃんと女子の制服着て、女の子として、男の子とキスするのが……駄目、かな……?」
 上目使いでジッと見つめられると、その可愛らしさに治まりかけていた肉欲がまた高ぶった。
 そうなると「キスくらいはいいではないか」と思えてくる。
「そこまで言われちゃしない訳にはいかないな。いいよ、しよう。俺としても女子の制服着た可愛い朱理とキスしたいし……」
「本当か? わ〜〜……」
 朱理は胸の前で手を合わせると、嬉しそうに笑った。
 普段の男としての様子からは想像できない、何とも女の子らしい可愛い仕草にドキリとする。
 やはり護呪鎧には女の子らしさ自体を排除する効果があるのかも知れない。
「それじゃ、するからな……」
「うん……」
 両肩に手を置き、ゆっくりと顔を寄せていく。
 瞼が閉じられ、心持ち唇が前に突き出される。
 可愛らしい顔が迫り、桜色の唇に己の唇を重ねていくと、朱理がピクッと体を震わせるのが伝わってきた。
 何とも初々しいキスだった。
 すでにセックスを何度もしたというのに、妙な恥ずかしさがあるのは何なのだろう。
 そのせいか興奮も高まり、肉棒が固く大きくなってしまった。
「ん……んふ……ふぁ……緋道ぉ……」
 唇を放すと、朱理はうっとりとした表情でこちらを見上げている。
 それは何ともいやらしさを感じさせ、肉棒の硬度がさらに増していった。
「緋道、大好きっ……」
 朱理は不意に抱きついてくると、強く体を押し付けてきた。
 柔らかな女肉の感触が広がり、その心地良さに鼻息が荒くなった。
「ふふ、オレの体で硬くなってるな……やっぱりしたいんだろ?」
 股間に太ももを押し付けながら、朱理はいやらしく問いかけてくる。
「まあね……朱理の体ってエッチだから、したくないなんて言ったら嘘になるよ」
「じゃあ、しようよぉ……」
「だから学校じゃマズいって……」
「何だよケチぃ……」
 そう言いながら太ももをグイグイ股間に押し付けてくるのに気持ちの良さを覚える。
 弾力のあるその肉の感触は、触れているだけでたまらなかったのだ。
 今すぐにでも押し倒し、肉棒を突き込みたい衝動に何とか耐えているものの、ここまで猛ってしまうと、どうにも抑えるのに苦労する。
 神治自身したくてたまらなくなっているのだから、抑える力も弱まってしまっているのだろう。
「それじゃさ、オレが口でしてあげるよ。それならいいだろ?」
「え……?」
 神治が一瞬戸惑っていると、朱理は素早く地面に膝をつき、ズボンのチャックを下していった。
「あ、こら、駄目だろ勝手に……」
「いいじゃんよぉ。オレ、もう限界なんだよぉ。緋道のチンチンに触らないでいるなんて、もう耐えられないっ。だからいいだろ、ね?」
 ズボンの中から肉棒を取り出し、上目づかいにこちらを見上げながらそう告げられてしまうと、そのいやらしい構図に何も言えなくなってしまう。
 神治にしても、女子の制服を着た可愛らしい姿の朱理に、肉棒を舐められたいという気持ちが強くなっていたからだ。
 何しろ朱理のこの格好は滅多に見られないのである。その希少な機会を逃すなど、勿体なさすぎるだろう。
「ふふ、元気だな……緋道の凄いよ……ホント凄い……ん、んんっ……」
 朱理はうっとりとした目で肉棒を見つめた後、小さな唇を大きく開いて亀頭を口に含んだ。
「くっ……」
 気持ちのいい刺激が脳天に響き、そのたまらない感触に浸る。
 眼下では、女子の制服に身を包んだ朱理が、熱心に頭を動かして肉棒を舐めている。
 首筋までの短い髪と、豊満な乳房が揺れるのが淫靡さを感じさせ、肉棒がさらに猛っていった。
 初めてゆえのぎこちない動きだったが、それだけに初々しさがあり、その事から可愛らしさも高まったため、精神的な気持ちの良さが強まった。
 この愛らしい少女にもっと舐めてもらいたい。そうした想いに包まれていくのだ。
「緋道ぉ、気持ちいいかぁ? オレ、初めてだから分かんなくて……」
 一旦口を放した朱理が、不安そうに告げてくる。
「気持ちいいよ。凄くいい。もっとしてくれよ」
「そうか……うん、オレ頑張る。緋道のためにもっとするから……」
 朱理は嬉しそうに頷くと、再び肉棒を口に含んだ。
 亀頭に舌が絡みつき、包むようにして舐められ、肉棒全体に強くしゃぶりつかれると、強烈な快感が押し寄せてきた。
 小さな頭が動くたびに、んぐんぐといったぐぐもった声が聞こえるのが何とも可愛らしい。
 時折こちらを見上げてくる上目使いの瞳がたまらず、そのいやらしい視線に肉棒が硬度を増していった。
 愛らしい頭に手を置いて髪を指で梳ると、朱理が嬉しそうに微笑むのにこちらも嬉しくなってくる。
 自分の肉棒に可愛い女の子がむしゃぶりつき、熱心に舐めている様というのは、何ともたまらなかった。
 制服姿というのがまたたまらず、早くも射精感が高まっていくのを覚える。
「んぐ、んっ……んっ、んぐんぐ、んんぅっ……」
 それを察したのか、朱理の頭の動きが激しくなった。
 亀頭を包むようにして舌が絡みつき、裏筋をチロチロと舐められた後、肉棒全体を荒っぽく擦られると、もう限界になった。
「うっ、朱理っ……出るっ、出るぞっ……くっ……」
 告げるのと同時に精が迸ってしまった。
 まるで童貞少年のようにあっさり出してしまった事に驚きつつ、それだけの気持ち良さがある事にうっとりする。
 実際朱理に舐められていると実にたまらないのだ。
 初めてしたにしてはこの気持ちの良さは異常だろう。
 生まれついての資質があるのかも知れない。
 やはり部の民であるため、こうした能力に長けているに違いなかった。
「んん……ふぅ……飲んじゃった……」
 朱理はゴクリと精液を飲むと、嬉しそうな顔でこちらを見上げてくる。
 その愛らしい表情は何ともいやらしさを感じさせ、肉棒が再び硬く大きくなっていった。
「あ、また大きくなった……ふふ、面白ぉい……」
 朱理は肉棒をツンツンと突きながら笑っている。
「朱理の口が気持ち良かったからな。もっとしてもらいたくなっちゃったんだよ」
「そうなのか? オレの口、良かった?」
「ああ、凄く良かった。初めてでこれじゃ、凄い才能だよ」
 そう告げると朱理は嬉しそうにしたが、次の瞬間、ハッとしたような表情をしたかと思うと、急に押し黙った。
「どうかしたのか?」
「うん……思い出したんだ。うちの家のこと……」
「家のこと?」
「前に話しただろ、うちは部の民だって……特にうちは当主の家だから神様と繋がりが深くて、時々その……神様とエッチするんだよ……あ、オレはしてなかったけどな……オレの初めては、緋道にあげた、から……」
 恥ずかしそうに、それでいて嬉しそうに呟くのが何とも可愛らしい。
「神様の、いわゆる精ってやつ? それが欲しいらしくてさ……神様の精ってのには凄く力があって、凄くありがたいものになってて……出来るだけ出してもらえるようにしたいらしいんだよ……だから昔からエッチの技術を凄く磨いていたらしくて……そのせいで何か生まれつきそういうのに優れた子供が生まれてくるようになったとか何とか……だから普通の人でもうちの人間とエッチすると……そのぉ、他の人とする時より、凄く気持ちいいらしいんだ……特に神に近しい力を持つ人間が相手すると、さらに凄いらしいんだよ……」
 なるほど、朱理の肉体が気持ち良かったのにはそういう理由があったという訳だ。
 神に気持ち良くなってもらうための技術を磨いてきた一族であれば、神である自分が凄く気持ち良くなっても当然だった。
「緋道も凄い力の持ち主だから……オレの体、気持ち良かった、よな?」
「ああ、凄く良かったよ」
「そうか……それなら良かった……」
 朱理は大きく息を吐き出しながらホッとしたようにしている。
「何だよ。何が良かったんだ?」
「いや、この間してからずっと何もしてくれなかったから、オレの体って気持ち良くなかったのかなぁって心配してて……オレ、緋道に気に入ってもらえなかったのかと思ってたんだ……」
「何言ってるんだよ。あの日はあんなに抱いたじゃん。気に入らなかったらあんなに抱かないって」
「そういう風にも思ったんだけど、でもやっぱり抱いてもらえてないと不安になるんだよ……」
 抱かなかったことでそんな心配をさせていたとは驚きだった。
「馬鹿だなぁ。俺はあの風呂場でお前の裸見た時から、抱きたくてたまらなくなってたんだぜ。それくらい魅力的なんだよお前の体はさ。朱理の裸って凄く綺麗だからな。俺だって我慢してたんだから」
「そうなのかっ? 嬉しいよオレっ」
 朱理は目を輝かせて喜んでいる。
 それは普段の朱理しか知らない人間であれば、驚愕の表情だろう。何しろ普段の朱理は、ムスッとした不機嫌顔だからだ。
(そういや、あの時は凄い不機嫌だったよな)
 初めて朱理を抱いた旅行の日の事を話題にしたせいか、あの日の朱理が朝からずっと不機嫌だったのを思い出した。
 あれは一体何だったのだろう。何か理由があったのだろうか。今更ながら気になった神治は、その事を尋ねてみることにした。
「あ〜〜、あれね……実は風呂に入れないかと思ってさ。大浴場だと語呪鎧が使えないだろ? だから部屋に風呂が付いているか気になってて、それで不安だったからずっとあんな感じになっちゃってたんだ」
 なるほど、そんな理由があった訳だ。
 しかし風呂に入れないかも知れないという理由だけでああなるのは酷すぎだろう。あの時の朱理には、話しかけられないほどの雰囲気があったのだ。
「でも一日くらい風呂に入れなくたっていいんじゃないか?」
「そんなのよ嫌だよっ。汗臭いし、汚いじゃんっ」
 軽い気持ちで告げた言葉に強く言い返されたため、驚いて押し黙る。
 ここら辺は女の子ということだろうか。男であればそんな事を気にする人間は少ないからだ。
 だが今のこの可愛らしい姿を見れば、毎日風呂に入っていて欲しいと思ったりするのだから勝手なものだった。
 入浴について考えたせいか、あの時の朱理の裸体が脳裏に浮かび、肉棒がピクリと反応を示す。
 お湯で濡れた肉体というのは、何とも言えないいやらしさを感じさせるものがあり、衝撃的な出来事と相まって強く印象に残っていたのだ。
 あの体をまた抱きたい。
 その想いが強まり、朱理の肉体を舐めるようにして見てしまう。
 女子の制服に身を包んだ朱理は抜群に可愛らしく、大きめの胸の膨らみや、ミニスカートから伸びる白い太ももは、抑えきれないほどに肉欲を高めた。
 さらに先ほどされたフェラチオの気持ち良さもあったため、神治は我慢できなくなってしまっていた。
 このままこの場で朱理を抱いてしまいたい。
 女子の制服姿の朱理に肉棒を突き込んで喘がせ悶えさせたかった。
 その情景を想像しただけで、たまらなさが強烈になっていく。
「緋道ぉ……オレなら、いいんだぜ……?」
 こちらの心を見透かしたような言葉にドキリとする。
「オレは緋道の物だから……緋道がしたかったらしていいんだから……っていうか、オレがして欲しい……緋道ので、貫かれたい……入れて、入れてよぉ……緋道ぉ……お願ぁい……」
 潤んだ瞳を上目遣いにし、朱理は可愛らしくおねだりしてきた。
 容姿だけで興奮が高まっていたというのに、そこにこのような表情と言葉で誘惑されては、我慢するなど無理なことだった。
「朱理っ……」
 小さく叫ぶと同時に、朱理の体を抱き締める。
 瞬間、体の前面に女肉の気持ち良さが溢れたためうっとりとなった。
 そのまま朱理の体を後ろ向きにすると、近くにあった樹に手をかけさせ、制服のスカートを捲り上げて、パンティの間から肉棒を一気に突き込んでいく。
「あんっ……」
 朱理が頭を仰け反らせながら、嬉しそうな喘ぎを発した。
 肉棒は柔肉に強く締め付けられ、微妙に蠢く膣襞に快感を与えられていた。
 その吸い付いてくる感触に、神治は腰が蕩けそうな気持ちの良さを覚えた。
 なるほど、神の精を引き出すための体というのも納得だった。
 何というかこうして入れていると、早く精を吐き出したくてたまらないような切迫感を覚えるのだ。
 じわりじわりと膣襞が蠢き、射精のツボとも言うべき部分を責め立ててくるような感覚があるのである。
 この感覚こそが、あの旅行の日の夜、抑えられずに何度も朱理を求めてしまった原因だろう。
「あっ、あっ、ああっ……あんっ、あんっ、ああんっ……」
 細い腰を手で掴み、勢い良く肉棒を突き込み始めると、朱理の可愛らしい声が周囲に響いた。
 腰を振る度に小さな頭が跳ね上がり、首筋までの黒髪が激しく乱れる。
 制服の胸元では、大きな膨らみが揺れ動いて存在を主張しており、何とも言えないたまらなさを感じさせた。
 女子の制服姿の朱理を抱くのは、思っていた以上に興奮を誘うものがあった。
「緋道ぉ、あっ……緋道ぉ、ああっ……緋道ぉ、やぁんっ……」
 振り返ってこちらに潤んだ瞳を向けながら、朱理は激しく喘いだ。
 その様子には「もっとして欲しい」という想いが感じられたため、神治はさらに腰の動きを激しくしていった。
「はぅっ、はっ、はぁんっ……いいっ、いいよっ、いいのぉっ……あっ、ああっ……たまんないぃっ……」
 朱理は樹を掴んだ手に力を入れながら、叩き付けられる肉棒の衝撃と快感に耐えているようだった。
 零れる言葉は快楽に染まったものであり、己が如何に気持ちのいい状態であるのかを訴えていた。
 背後から手を伸ばし、制服の上から乳房を掴むと、そのむにゅりとした柔らかな感触に気持ちの良さが溢れる。
 乳房の形が制服の布地と共に歪むのが何とも言えない背徳感を呼び起こし、肉棒が激しく猛っていった。
 自分は今、学校の森で、女子の制服を身に着けた朱理と交わっているのだ。
 本来こういう事をしてはならない場所で、普段男のフリをしている朱理の中に肉棒を押し込んでいるのである。
 それは何とも興奮を誘う状況であり、肉棒が益々猛って仕方がなかった。
 何より初めて抱いた時に比べて快感の度合いが段違いになっており、その肉体の成長ぶりには凄まじいものがあった。
 まさに抱けば抱くほどに、朱理の中には神治を気持ち良くさせる刺激が増えていっているといった感じだった。
 もしかするとこれこそが、朱理の家に受け継がれている、神の精を引き出すための体の資質なのかも知れない。
「あんっ、ああっ、やぅっ……ああんっ、あっ、あはぁっ……」
 乳房を掴みながら腰を叩き付けるようにして突き込むと、朱理は腕を振るわせて激しく喘いだ。
 時折胸を強く掴むと、それと同時に膣内が締まったため、その快感にうっとりとなった。
「朱理……可愛いぞ……」
 そう呼びかけながら、ゆっくりと体を引き起こし、首筋に舌を這わせて所々にチュッチュッと吸い付きつつ、そのまま徐々に正面向きの体勢にしていく。
「んっ、んんっ……んんぅっ……んぁっ……」
 桜色の可愛らしい唇に吸い付きながら朱理の背中を樹に押し付け、白い両脚を抱えるようにすると、重力の作用でそれまで以上に肉棒が膣の奥へと入り込んだ。
「緋道ぉ……あんっ、深いぃ……」
 朱理はいやらしく微笑みながら、両腕を首に絡みつかせ、ギュッと抱きついてきた。
 スカートから丸見えとなった太ももは透き通るように白く、手のひらに伝わるその気持ちのいい肉の感触が、肉欲を激しく高めていった。
「やっ、やっ、やぁっ……凄い、あっ……凄いよ、ああっ……緋道凄いぃっ……」
 腰を叩き付けるようにして動かすと、朱理は泣きそうな顔で「凄い」と言うのを繰り返した。
 それは普段の男状態からは想像できない可愛らしさであり、聞いているだけで肉棒が猛って治まらなかった。
 この声質も神の精を引き出すための資質なのではないか、などと思いながら、神治は腰を振りつつ、肉棒から押し寄せる快感に浸っていった。
 やはりセックスは楽しかった。
 ここは学校であり、このような事をしているのは許されない訳だが、そうした状況であるからこそ、余計興奮してしまうのかも知れない。
 目の前では女子の制服姿の可愛い朱理が、こちらの一突き一突きに「あんっ、あんっ」と甘ったるい声を漏らし、背中に回した手に力を入れて悶えている。
 制服の胸元を押し上げる膨らみは激しく揺れており、そのたゆんたゆんとする様を見ているだけでも射精しそうになってくる。
「緋道ぉ、あっ、あっ……緋道ぉ、やっ、やぁっ……緋道ぉっ、緋道ぉっ、緋道ぉっ……」
 朱理は泣きそうな顔をしながらギュッとしがみつき、何度も何度も名前を呼んでいる。
 それに応えるようにして肉棒を叩き付けると、朱理は頭を仰け反らせ、背中に爪を立ててきた。
 痛みが走るものの、それ以上の満足感、一人の女を自分に夢中にさせている想いが押し寄せ、神治は心と体に気持ちの良さが溢れるのを覚えた。
「やっ、あっ、やぅっ……もう駄目、あっ……オレもう駄目だよぉ、あっ、ああっ……もうイっちゃう、あっ、ああんっ……」
 限界が近いらしい朱理に合わせて精を放とうと、射精感を調節しつつ、それまで以上に腰の動きを激しくしていく。
 この少女は完全に自分の物だった。
 快楽で満たし、自分に狂わせたのだ。
 普段は男として暮らしている少女を、自分は今女として扱い、喘がせ悶えさせている。
 この学校の人間、いや世の中のほとんどの人間が知らない朱理の本当の姿を自分だけが知り、しかもこうして肉棒で貫いているのである。
 それは何とも強烈な満足感と優越感を感じさせるものであり、たまらない甘美な快楽に浸らせるものだった。
 朱理は自分の物。
 その想いは蕩けるような悦びをもたらし、一気に射精感を高めていった。
「あんっ、あんっ、ああんっ……オレっ、オレっ、オレぇっ……駄目、あっ……駄目だよ、ああっ……駄目なのぉっ……やっ、やっ、やぁああああああああんっ!」
 朱理の体が硬直し、その瞬間精が迸る。
 ドクドクドクと放出されていく精液と共に、強烈な快感が脳天を突き抜け、たまらない気持ちの良さに痺れていく。
 次々と放出されていく精液を感じながら、神治は押し寄せる快感に身を委ねていった。
 しばらくして射精を終えると、ゆっくりと地面に腰を下ろし、朱理の体を樹にもたれかけさせる。
 朱理は「あ……はぁ……」といやらしい声を漏らしながら、体をピクっ、ピクっと震わせてぼんやりとしており、ジッとこちらを見つめている。
 その表情は神治に全てを捧げた女のものであったため、また一人、女を自分の物とした実感を得た。
 それは何とも言えない悦びを感じさせたため、神治はこれからもこんな女をもっと増やしたいな、などと思いながら、再び朱理を抱こうとのしかかっていくのだった。












あとがき

 男のフリをしている女の子、というのをやってみました。
 こういうネタは昔から漫画なんかだとよくある訳ですが、女だとバレた後に「二人だけの秘密」みたいになるのがいいんですよね。
 そうした共犯的な意識が親密度に影響を与えてラブに変わっていくという。
 今回はそういうのを描いてみたくて書いてみた次第です。
 あと「男っぽい女の子が、抱かれている時は可愛らしくなる」みたいなのもやってみたかったんですよね。
 それと「オレ」って一人称ですか。
 そこら辺を意識して書いてみた訳でありますわ。
(2013.2.8)

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