緋道の神器


        第三十七話  清楚な人妻



 神治は摩箕子の家の前に立っていた。
 いつもなら摩箕子を呼び出し、彼女の書庫へと向かうところだったが、今日の目的は違っていた。
 摩箕子の母親に呼び出されていたのだ。
 数日前、携帯電話に「是非ともお逢いたい」との連絡を受けたのである。
 どうやら摩箕子を通じて神治の存在を知ったようで、挨拶ともてなしをさせてもらいたいとの事だった。
 摩箕子の母親は緋道村の出身であったため、当主である神治に敬意を抱いていて、そうした事をせずにはいられないらしい。
 神治としてはそのような事は面倒であったし、村の外でまで当主として扱われるのは嫌であったから、始めは断るつもりだったのだが、最後に言われた一言で気が変わった。
「摩箕子にはこの事は内緒にして下さい」
 それは「二人きりで逢いたい。しかも誰にも知られずに」という意味を含んでおり、もてなしの内容がセックスである事を伺わせた。
 摩箕子の母親であれば、自分好みの美女である事が想像出来たため、そんな相手とセックスするのは良さそうだ、と考えた神治は肉欲をたぎらせた。
 そしてセックスする事を隠し、秘め事としてしようとする申し出も、何やら興奮を高めて気に入ったのだった。
 本来、緋道村の住人同士であれば、娘にその事を隠す必要は無いのだが、摩箕子は緋道村の事を知っているとはいえ、村の外で育っている以上、母親が父親ではない男とセックスする事を気にするかも知れないのだから、その配慮は当然に思えた。
 それでいて呼び出す場所が摩箕子も居るはずの自宅だというのが面白かった。
 敢えて娘の居る場所でこっそりと抱かれたいのだというその誘いは、神治の中の背徳的な興奮を強く刺激したのだ。
 それは何ともゾクゾクするシチュエーションだったからである。
 そんな妄想を逞しくしつつ呼び鈴のブザーを押すと、少しして摩箕子の母親が現れた。
「ようこそおいで下さいました、当主さま」
 年齢は三十代後半くらいだろうか、頭を下げたその人物は、母親だとすぐ分かるほど摩箕子と顔が似ていて、身にまとっている慎ましげで清楚な雰囲気も同じだった。
 年齢の分、そうした部分に深みがあって、控えめな女性としての魅力に溢れており、何とも言えない独特の色気を感じさせた。
 和服を着ているのもそれを強めているのだろう。
 挨拶を軽く交わした後、家の中へ招かれ、部屋へ案内されている間も、アップした髪と着物の隙間に見えるうなじにゾクリとした肉欲を覚えた。
 こうした魅力は和服独特のものであり、慎ましさの中にかいま見える女の部分に惹かれているのかも知れない。
 後ろ姿から大人の色気が漂い、神治は肉棒を硬くせずにはいられなかった。
 一見慎ましく清楚であるにも関わらず、どこか男を誘う雰囲気が感じられるのだ。
 すぐにでも押し倒し、喘がせたくなるような気持ちにさせられるのである。
 何とも男の嗜虐心を擽る女性だった。
「このたびはお忙しい中、ご足労いただきまして誠にありがとうございます」
 部屋へ着いてお茶が出された後、摩箕子の母親はそう言って深々と頭を下げた。
 そこは十畳ほどの和室で、神治が何度も訪れている摩箕子の書庫からはだいぶ離れていた。
 とはいえ、同じ敷地内にある以上、いつ摩箕子がやって来てもおかしくはない事から、そのような場所でセックスをするのかと思うと、何とも言えない興奮が起きた。
 もし摩箕子に見られたらどう思われるだろう、と考えると肉棒が硬く大きくなっていく。
「わたくしは香苗と申します。摩箕子がいつもお世話になっておりますようで、当主さまには何とお礼を申し上げて良いか……」
 そう名乗った摩箕子の母、香苗は再び深々と頭を下げている。
「いえ、本を貸してもらっているのはこちらですし、お世話されていると言ったら俺の方ですから……」
 あまり丁寧に扱われると、そうした事に慣れていない神治としては恐縮するばかりだった。
 村でもここまでされた事はなかったため、どうにも面食らってしまうのだ。
 さらにこの家の雰囲気がそうした想いを強めているのかも知れない。
 何しろ古い日本家屋であり、いかにも歴史のある富豪といった印象を感じさせるからである。
「畏れ多くも友人付き合いをさせていただいておりますようで、何とお礼を申し上げたら宜しいか……」
「友達なんてそんな大したものじゃないですよ。気にしないで下さい」
 頭を下げたままの香苗に慌ててしまう。
 あまりに丁寧に扱われるというのは、居心地が悪くなるものなのだ。
「いえ、うちの娘にとっては大したことなのです……お恥ずかしい話ですが、あの子には友人がほとんどおりませんで……当主さまもご存じの冴花さんが唯一の友人と言っても良いくらいなのです……」
 それは初耳だった。
 ああした大人しい性格だから友人は少ないだろうと思っていたが、まさかそれほどだったとは……。
「ですから当主さまが親しくして下さるというのは大変ありがたい事でして、親であるわたくしとしましても、非常に感謝させていただいているのです」
 ずっと頭を下げたままの香苗の様子に苦笑してしまう。摩箕子に友人が少ないことをよほど心配しているのだろう。
「今後とも娘を宜しくお願い致します」
 さらに深々と頭を下げる姿を見つめつつ、ふと目に映ったうなじにゾクリとしてしまう。
 和服に身を包み、髪をアップにした香苗の雰囲気は、まさに清楚な奥様という感じがあり、そんな相手を喘がせたらたまらないだろうと思えたからだ。
 何より今日はそうした趣旨で呼ばれているのだから、期待が高まっていたのである。
 娘である摩箕子の体はもう何度も味わっているが、その摩箕子に似た香苗の体はどうなのだろうと想像すると、股間の一物が疼いて仕方がなかった。
 早く抱きたいと思いつつ、あまり焦ってもみっともないと思った神治は、意識を切り替えて肉欲を抑えた。
「実は摩箕子に友人が少ないのは、わたくしのせいなのです……」
 ようやく頭を上げた香苗は、悲しそうな表情を浮かべるとそう語り出した。
「あの子がまだ幼い頃の事です。わたくしはあの子を村へ連れて行ったのですわ……無論、外で育てている子ですから、村の慣習には触れさせるつもりは無かったのですけれど……わたくしが目を離した隙に、あの子は見てしまったのです。親戚の者同士がしているのを……」
 緋道村で「している」とくれば、それはセックスの事だろう。
 摩箕子が以前語っていた事からもそれは分かった。
「そしてあの子にその事が当たり前だと、親しくしている者の証だと教えた者がおりまして……わたくしはそのような事をされているとはつゆ知らず、何度もあの子を村へ連れて行ってしまったのです……」
 それは摩箕子に聴いた話と同じだった。
 その後彼女はセックスを迫られ、その事で泣いてしまったのだと言っていたのだ。
「しばらくしてその事を知ったわたくしは、あの子を村へ連れて行かないように致しました……しかし摩箕子の意識には村での事が強く印象づけられたようで、学校でクラスメートに話してしまったようなのです。細かい事はまだお互い子供ですから、はっきりとは伝わらなかったようですが、やはり分かるのでしょう、いやらしい行為だと思ったクラスメートに苛められるようになったのです。そしてそれまで親しくしていたクラスメートにも距離を置かれるようになって……それであの子は……」
 そこまで語った香苗は、悲しそうに俯いた。
 以前、摩箕子が友人である事に執着を持っているように感じた事があったが、なるほどそうした過去のせいだった訳だ。
「それから摩箕子は人と距離を置くようになりまして、他人との接触を極端に恐れるようになったのです。冴花さんはああした方ですから友人も多いのですけれど、その方達ともあまり親しく出来ないようで……ですからあの子には、冴花さん以外の友人がずっと居なかったのですわ……」
 最初に摩箕子と会った時に示された緊張した態度は、そうした理由からきているものだったらしい。
 そんな状態であったとなれば、親としては友人になった神治に礼を言いたくなって不思議はなかった。
 これまでの香苗の態度は、何も当主に対する敬意だけでは無かった訳だ。友人となってくれた事への感謝の気持ちが強くあったのだろう。
 つまり今日の招きは、当主に対するものだけでなく、娘の友人になってくれたという事に対してのもてなしの意味もあるに違いなかった。
 神治としては当主としてもてなされるのには抵抗があったが、友人としてなら問題は無かったため、これで気兼ねなく香苗を抱く事が出来ると思えて嬉しくなった。
「ですから当主さまには何とお礼を申し上げたら宜しいか……本当にありがとうございます……」
 香苗は深々と頭を下げている。
 再び見えたうなじにゾクリとした肉欲が湧いた。
 だが今度はそれを抑えるつもりは無かった。
 そろそろもてなしを受けてもいいだろうと思ったからだ。
「そんなにかしこまらずに、当主なんて呼ばなくていいですから、どうぞ気楽に名前で呼んで下さい。俺もその方が嬉しいですから」
 そう言いつつ香苗の傍へ移動する。
「は、はい……当主さま、あ、神治さまがそう仰られるのでしたら……」
 香苗は少し恥ずかしそうにしつつ、視線をそらしている。
 その様子が何とも奥ゆかしさを感じさせ、股間の肉棒がグンッと力を増した。
 こうした相手を喘がせる悦びは、娘の摩箕子で散々味わっていたため、その成長した姿とも言える母親の香苗でも早く試してみたかったのだ。
「俺もあなたの事を香苗さんって呼ぶ事にしますから……今日は招いていただいてありがとうございます。十分楽しませてもらいますから……」
 そう言いながら香苗の横に座り、肩に手を回す。
「あ、あの……神治さま?……わたくしはその……」
 香苗は困ったようにしながら、視線を落ち着き無く動かしている。
「あなたみたいな人のもてなしなら、俺は大歓迎ですよ。実はさっきからもう我慢出来なくなってまして……香苗さんって魅力的ですから……」
 口を耳元に寄せ、囁くようにして告げながら強く抱き締める。
「あっ……い、いけません、わたくしはそのような……あの、誤解なさらないで下さい。今日はそのような趣旨でお呼びしたのでは、あっ……」
 押しのけようとしてくるを面白く感じつつ、胸を軽く揉みしだく。
「じゃあ、どういった趣旨なんですか? 香苗さんみたいに綺麗で魅力的な人にもてなしてもらえるとなったら、どんな男でもこういった事を想像しますよ……」
 続けて強く胸を揉みつつ、ゆっくりと畳に押し倒していく。
 緋道村の人間が、もてなすと言っておいてセックスで無いなどあり得ないだろう。
 これはきっと神治を興奮させようと、抵抗する芝居をしているのに違いない。
 実際神治は抵抗された事でさらに肉棒を硬くしていた。
 何より香苗の体からは、欲求不満を感じさせる「気」が溢れており、夫との夜の営みがご無沙汰であるのは分かったため、こうして抵抗しつつも抱かれたい想いで一杯なのは容易に察する事が出来たのだった。
「もっと一般的な、あっ……普通のもてなしです、あんっ……だからお願いです、このような、ああっ……駄目、んんっ……」
 形のいい唇に吸い付き、舌を押し込んで絡ませると、香苗の体が硬直するのが分かった。
 軽く押しのけようとしてくるが、その事もまた興奮を高める要素になった。
 香苗のような清楚な人妻に、「駄目」と言われつつ抵抗されるのは、強烈に征服欲を刺激され、抑えられない衝動を呼び起こすものだったからだ。
 そのまま口内を舌で蹂躙し、乳房を揉みしだいていくと、徐々に体から力が抜けていき、やがて大人しくなった。
「いけません……わたくしには夫がいるのです……」
「分かってますよ。だからいいんじゃないですか……旦那さんを裏切って、俺と気持ち良くなりましょう……?」
 すでに不倫を経験している神治としては、夫から妻を奪う事がたまらない悦びである事を知っていた。
 そして妻である女性が、夫を裏切る行為に激しく興奮を抱くことや、その際に不倫を否定する言葉を言う事によって、さらに興奮を得ようとしているのも知っていたのだ。
 意識してなのか無意識なのか、とにかくそうした言葉を発する事で、相手の男をも興奮させようとしているのではないかと思っていた。
 何しろ何度も不倫している相手が、いつまでもそうした言葉を発しており、神治はそれを耳にすると非常に興奮するからである。
「いけません……止めて下さい、あっ……駄目、やっ……神治さまお願いしま、ああっ……」
 香苗は小さな声で喘ぎ、控えめに悶えたため、清楚な印象を裏切らないその反応に神治は興奮を高めた。
 着物の合わせをグイっと開くと、真っ白な双乳が現れ、その美しさに一瞬見とれる。
 手のひらサイズの乳房は、理想的な形をしており、男ならば揉みしだき吸い付かずには居られない魅力を有していた。
「綺麗ですよ……凄く綺麗だ……香苗さんのオッパイって素晴らしいです……」
「は、恥ずかしいです……お願いします、もう止めて下さい……」
 泣きそうな顔をしながら視線をそらす香苗の様子に、益々肉棒が猛った。
 この女性は、男の嗜虐心を刺激するツボを心得ているのではないだろうか。
 もし芝居ではなく、本気でそうしているのだとしても、それは天性の才能と言えただろう。
 本気で止めたいのだとしても、これでは逆効果だからだ。
 この様な態度を取られては、もう止まれなくなるのが男というものだからである。
「あっ……やっ……神治さ、あっ……駄目、はぅっ……」
 柔らかな膨らみを両手で優しく揉みしだくと、形のいい顎が小さく仰け反った。
 頂点にあるピンク色の突起がそのたびに揺れ、我慢出来なくなった神治は吸い付いていった。
「あんっ……そんな、やっ……駄目です、あっ……」
 頭を左右に振り、口元に握った手を当てて悶える様子は、何とも興奮を誘った。 
 動きがさほど激しくないのも、香苗の持つ「清楚な奥様」という印象を強めてたまらなかった。
 これまで散々夫に喘がせられてきたであろうに、それを思わせない、まるで処女のような反応にゾクリとした興奮を覚える。
 実際その表情は、汚れを知らない乙女のようであり、そんな相手を愛撫しているのだと思うと、強い嗜虐心が湧き起こった。
「あ、駄目っ……そこは駄目です、ああっ……」
 着物を捲り上げて脚を露わにすると、香苗は強く抵抗を示したが、太ももに吸い付くようにして舐め回すとすぐに力を抜いた。
 肉付きのいい脚に舌を這わし、付け根からふくらはぎまで唾液で濡らしていく。
 そのたびに香苗の体が小刻みに震え、「あ……あぁ……」と色っぽい吐息を漏らすのに興奮が高まっていく。
 体を起こして上から見下ろすと、着物をはだけ、肩と乳房、そして太ももを露わにした色っぽい姿があり、その肌は雪のように白く、見ているだけでどうにかしたくなる魅力を有していた。
 特に乱れた着物から覗く肌の白さは、獣欲を刺激してたまらず、股間の肉棒を激しく猛らせた。
 形のいい眉が悩ましげに寄せられ、快感から上気した頬が桜色に染まっており、半開きになった唇からは熱い吐息が漏れていて、その清楚さを感じさせつつも、いやらしさを発している雰囲気に、神治は我慢が出来なくなった。
 肉付きのいい脚からパンティを引き抜き、自らもズボンとパンツを下ろすと、肉棒を持って秘所へと近づけていく。
「あ……」
 ズブリと亀頭が膣穴に収まった瞬間、香苗がピクリと反応を示したのに嬉しくなりながら、そのままゆっくり押し込んでいくと、その動きに合わせて美しい顎が仰け反っていくのに満足感を覚える。
 肉棒を包む襞は蕩けるような気持ち良さを与えてきており、そうしているだけでたまらなかった。
 吸い付くようにして絡みついてくるその蠢きは、多くの女性と経験してきた神治をして名器と思わせる良さがあった。
 清楚な印象と異なり、ここはまさに淫靡さに溢れた作りをしていて、そのギャップに興奮を覚えた。
「ああ……入れてしまわれたのですね……何ということでしょう。あの人に申し訳がたちません……」
 悲しげに呟きながら顔を背ける香苗の雰囲気には、どこか本気を感じさせるものがあり、神治は一瞬躊躇した。
 これはもしかしたら本当に自分との行為を嫌がっていたのではないかと思えたからだ。
 しかし香苗から発せられる「気」は悦びを感じさせたため、本当の意味で嫌がっている訳ではない事も理解出来た。
 そこは緋道村の出身、セックス自体に抵抗は無いが、一般社会において妻として暮らしている以上、こうした行為を受け入れる訳にはいかない、といった想いがあるのだろう。
 これまで多くの女性を相手にしてきた経験から、神治はそんな風に思った。
 つまり逆に言えば、半分は本気で嫌がっているのだ。
 そう思うと、ゾクゾクするような興奮が湧き起こった。
 何故なら嫌がる相手を快楽で従わせるというのは、何とも魅惑的な行為だったからである。
「黙っていれば分かりませんよ……それに、ずっとこうしたかったんでしょう? 男のモノを咥え込んで、気持ち良くなりたいって……」
「!……ち、違います……わたくしはそんな……」
 神治の言葉にハッとしたようにする香苗の反応に、神治は心の中でニヤリと笑った。
 今の表情が、まさに図星を突かれたといったものだったからだ。
 自分はセックスがしたくてたまらないのに、一般社会における貞操観念が邪魔して出来ない事を悲しんでいる、といったように思えたのである。
「ふふ、なら俺が、今日は思う存分気持ち良くしてあげますからね。もちろん俺も気持ち良くなりますよ。何しろもてなしてもらってるんですから」
「そういう趣旨でお呼びしたのでは、あっ、ああっ……駄目です、やめ、ああんっ……」
 否定するのを無視して腰を動かし出すと、香苗が甘く喘いだのに嬉しくなる。
 何しろその喘ぎは、慎ましさを伴った控えめなもので、「清楚な奥様」という印象を持つ香苗に実にピッタリなものだったからだ。
 肉棒を押し込んだらそれまでと違って激しく喘ぐのかと危惧していたため、その印象通りの反応に嬉しくなったのである。
「あっ、あっ……やっ、はぁっ……駄目、あっ……止め、あんっ……やぁっ……」
 囁くようにして喘ぎ、震えるようにして悶える香苗の姿に、神治は激しい高ぶりを覚えた。
 その自分を抑えた、まるで乱れている己を見せるのを恥ずかしく思っているかのような反応がたまらなかったからだ。
 そうした様子を見ていると、征服欲が刺激され、香苗をもっと乱れさせたくなってくるのである。
「あぅっ……やっ、はっ……駄目、嫌、あっ……やぁっ……」
 ズンズンと肉棒を突き込むと、それに合わせてか細い声が漏れ、はだけた着物から零れる乳房が前後に揺れる。
 形のいい眉が悩ましげに寄せられ、潤んだ瞳があらぬ方向を見つめているのに、神治はゾクリとした興奮を覚えた。
 清楚で控えめな女性が、自分の与える刺激に朦朧とし、快楽に染まりつつある様は、そうではない女性に対するよりも強烈な悦びとなったのだ。
 まさに今、自分がこの女を物にしている、といった感覚が強まるのである。
「あっ、駄目、あっ……いけません、ああっ……やめて、あっ……」
 そうした状況でありながら、逃れるようにして体を上方へ動かそうとしてくるのがたまらない。
 香苗は快楽に染まりつつも、貞操観念から現状の行為を否定しているのだ。
 気持ち良くてもいけない事なのだと理解し、そこから逃れようとしているのである。
 神治はその様子に激しい興奮を覚えつつ、追いかけるようにして前方へ手をつくと、大きく強く肉棒を突き込んでいった。
「ああんっ……あっ、あっ、ああっ……そんな、あっ……そんなのぉっ……」
 香苗の顎が大きく仰け反り、指が畳を強くひっかく。
 頭が小刻みに左右に振られ、快楽にあらがえない自らを嘆くかのような喘ぎが発せられる。
 その様子に満足感を覚えつつ、もっともっと快感を与え、香苗を自分の物にするのだと、神治は激しく腰を振っていった。
「やっ、やぁっ……はぅっ、はっ、はぁんっ……」
 着物のはだけ具合が大きくなり、桜色に染まった白い肌が目に映るのを色っぽく思う。
 いやいやといった感じで振られる美しい顔は、だらしなく蕩け、もう一押しで意識が快楽に落ちるのが分かった。
「はぐぅっ、あっ、ああっ……あんっ、あんっ、ああんっ……」
 それまでより激しく肉棒を突き込むと、香苗の腕と脚が蔦のようにして絡みついてきた。
 すでに体は神治を受け入れ、さらなる快楽を求めているため抑えられなくなったのだろう。
 あとはこのまま精神をもこちらの物にするだけだった。
「あっ、ああっ……やっ、駄目、あんっ……そんなの駄目ぇっ……やっ、やっ、やぁっ……でも、あっ……でもいい、あんっ……いいですぅっ……神治さま、ああっ……神治さまもっとぉっ……」
 ついに言わせた。
 自分を求める言葉を言わせたのだ。
 貞操観念の強い人妻に、自分を求めさせる言葉を言わせたのである。
 それは強烈な悦びとなって神治の心と体を包み込んだ。
「ああっ、神治さま、あんっ……神治さまもっと、あっ……神治さまもっとです、ああっ……神治さまもっとお願いしますぅっ……」
 潤んだ瞳でこちらを見つめ、自らも腰を動かして悶えるその様は、まさに淫靡さに溢れていてたまらなかった。
 清楚な女性がそうなっている事のギャップに肉棒は猛り、腰の動きは激しくなった。
 このような状態にしたのは他でもない自分。
 これでこの女は自分の物なのだ。
 そう思うと征服欲、支配欲が強く充足され、激しい満足感が押し寄せてきた。
「やっ、やぁっ……凄い、あっ……凄いです、あんっ……神治さま凄いですぅっ……こんな、あっ……こんなの初めてぇっ……」
 快楽に染まっても控えめな喘ぎ声は、囁くような調子で耳に響き、その慎みのある反応に、神治の射精感は一気に高まっていった。
「ああっ、あんっ……もう、もぉっ……ああっ、ああっ、ああんっ……駄目、駄目です、あっ……わたくしもぉ、あっ……わたくしもう駄目ぇっ……」
 限界が近い事を告げる香苗の言葉に、神治もこのまま精を放とうと力を入れて腰を振った。
「あんっ、あんっ、ああんっ……やっ、やっ、やぁっ……イくっ、イくっ、イっちゃいますぅっ……あっ、あっ、あぁああああああああああっ!」
「ぐっ!」
 細い体がくねり、硬直した瞬間、肉棒の栓を解放する。
 ドピュッ、ドピュッ、ドクドクドクドクドク……。
 勢い良く精液が迸り、香苗の膣へと注がれていく。
 柔肉に肉棒が締め上げられ、強烈に吸い付いてくるその蠢きに、神治はたまらない気持ちの良さを覚えた。
 肉棒が律動するたびに、ドピュッ、ドピュッと精液が放たれ、その際に発生する快感に頭が朦朧としてくる。
 何度経験しても、射精のこの瞬間は涎が出るほどに最高だった。
 眼下では、清楚な顔をだらしなく緩めた香苗が、「あ……あぁ……」といった甘い吐息を漏らしながら、ピクピクと体を震わせている。
 その艶めかしい様子に悦びを覚えつつ、最後の射精を終えた神治は、柔らかな女体に身を預け、ゆっくりと力を抜いていった。
 ハァハァといった二人の荒い呼吸が部屋に響く。
 隣にある香苗の顔には満足げな表情が浮かんでおり、その事に嬉しくなった。
 やはりこうして自分の行為で女性が満足してくれる事が最高だったからだ。
 そして神治はまだ満足出来なかった。
 もっともっと香苗を乱れさせ、自分に夢中にさせ、己に従うようにしたかったからだ。
 すでに肉棒は回復している。
 意識してそうしたのではなく、色っぽい香苗の姿を見ている内にそうなったのだ。
 清楚で慎ましい香苗が、悩ましげに色香を発している今の状態は、普通の女性がそうなっているよりも刺激が強かったのである。
 まだぼんやりとした様子の香苗を見つめつつ、このまま続けてしてしまおうと思った神治は、肉棒を再び膣穴へと押し込んでいった。
「あんっ……え? 神治さまいけません。これ以上は、あっ、ああっ……」
 否定する香苗の言葉を肉棒を突き込む事で黙らせる。
「そうですよ、いけないんですっ……でもだから俺はしたいんですっ……香苗さんといけない事がねっ……」
「そんな、あっ、ああっ……そんなの駄目です、あんっ……」
 逃げようと動く体をグイと引き寄せ、強く激しく肉棒を突き込んでいく。
 腰が律動するたびに香苗の表情から理性が消えていくのが分かり、その事に神治は満足な想いを抱くのだった。


「あっ、あっ、ああっ……」
 四つんばいになった香苗を背後から貫き腰を振っていると、何とも言えない良さがあった。
 着崩れた和服が独特の色気を発しており、そんな相手を獣のように抱いているのがたまらないのだ。
 肉棒を突き込むたびに長い髪をアップにした頭が動き、程良い大きさの乳房が揺れ動くのに興奮が高まっていく。
 下半身では白い太ももが着物から丸出しになっており、白い足袋だけを穿いた脚の状態が最高に色っぽかった。
 あれから何度も抱いているが、他の女性を相手にしている時よりも興奮が高いような気がするのは、この和服という存在が、洋服には無い色気を感じさせるせいかも知れない。
「はぁっ、はっ、はぅっ……やっ、やっ、やぁっ……」
 何より香苗の控えめで慎ましい喘ぎがそれを助長しているのだろう。
 か細く発せられるその声は、まさに大和撫子といった雰囲気を感じさせ、それが和服の魅力を強めているのに違いなかった。
 さらにどんなに乱れても慎ましさを失わない香苗の態度は、神治の獣欲を激しく刺激する部分があった。
「ああっ、いいっ、いいです、あんっ……神治さまいいのぉっ……」
 そして何より自分に夢中になったその様には、強烈な満足感があった。
 あれだけ夫に操を立てていた香苗が、自分の与える快楽に逆らえず、何度も精を胎内に放たれてしまっているのだ。
 それは夫から香苗を奪い取った感覚を強め、激しい悦びを生んでいたのである。
「凄い、あっ……凄いです、ああっ……神治さま凄いぃっ……はぅっ、はっ、はぁんっ……」
 振り返り、自分を賛美してくるその様は、まさに快楽に染まった女そのものだった。
 それでいて、どこか慎ましい雰囲気を感じさせるため、そのギャップに肉棒が猛ってしまうのである。
 それが香苗を何度も抱いてしまっている原因だろう。
 自分の物にするだけであればすでに目的は達成されているのだが、神治自身がもっともっと抱きたいという想いにとらわれていたのだ。
「あんっ、あんっ、ああんっ……わたくしもう、あっ……わたくしもう駄目、ああっ……わたくしもう駄目ですぅっ……」
 限界を告げてくる香苗に頷き返し、背後から乳房を掴んで揉みしだきながら、手のひらに伝わる感触を気持ち良く思う。
「ああっ、神治さま、あんっ……神治さまぁ、はぅっ……神治さま、神治さまぁっ……」
 慎ましい喘ぎが部屋に響き、その自分を求める声に激しい満足感が湧き起こる。
 すでに香苗の中では自分が一番なのだ。
 男としての一番は夫ではなく、自分なのである。
 その事に激しい悦びが溢れ、腰の動きがさらに強まった。
「あっ、やっ、はぁっ……凄い、あっ……凄いですぅっ……あっ、あっ、ああっ……神治さまが凄くて、ああっ……わたくし、わたくしぃっ……やっ、やぁんっ……」
 香苗が腕を崩し、上半身を畳に付けながら、下半身を高く掲げる姿勢をとった。
 そのいやらしい姿に肉欲を高めながら、尻が背中に付かんばかりに強く肉棒を叩き付けていく。
「あんっ、あんっ、ああんっ……駄目っ、駄目っ、駄目ですぅっ……神治さま駄目ぇっ……そんなにされたら、あっ……そんなにされたらわたくしぃっ……」
 頭を左右に激しく振り、畳を強くひっかく香苗の様子に、神治の射精感は限界に近づいていた。
 清楚な香苗のそうした乱れている様は、普通の女性の乱れよりも強烈な刺激となるからだ。
「あぐっ、あっ……やっ、やっ、やぁっ……もうっ、もうっ、もぉっ……駄目です、あっ……駄目ですイきます、ああっ……イきます神治さまぁっ……やっ、やっ、やぁあああああああんっ!」
「ぐぅっ!」
 香苗が体を硬直させ、絶叫した瞬間、何度目か分からない射精が行われた。
 ドピュドピュと精液が迸り、清楚で色っぽい人妻の胎内へと注がれていく。
 神治は形のいい尻をギュッと掴み、射精の快感に浸りながら、香苗を己の物としている悦びで一杯になった。
 数度の射精を繰り返した後、最後に大きく硬直して精液を放ち、ゆっくりと力を抜いていく。
 畳の上に腰を下ろし、フーッと息を吐き出すと、神治は目の前でいやらしく尻を掲げた姿勢で固まっている香苗の姿を見つめた。
 清楚可憐な人妻が、快楽にまみれ、はしたない姿勢で朦朧としている。
 それは何ともたまらない光景だった。
(そろそろ終わりにするかな……?)
 ふと辺りが暗くなり始めているのに気づいた神治は、そう思いながら障子が夕日で赤く染まっているのを見つめた。
「あ……わたくし……」
 小さな呟きが聞こえたため視線を戻すと、香苗がゆっくり起き上がり、着物の乱れを直して呼吸を整えているのが見えた。
 神治も脇に置いてあったパンツとズボンを穿き、改めて香苗の方へ視線を向ける。
 すると香苗は正座をして深々と頭を下げており、うなじが何とも色っぽさを感じさせたため、思わず再び肉棒を硬くしそうになった。
「当主さま、本日はまことにありがとうございました……しかしこのようなお戯れは今後お控え下さいますよう、お願い致します……わたくしは村の出身とはいえ、すでに村から出、夫を持つ身でございます。たとえ当主さまと言えど、村の外でこのような事をされるのは宜しくない事でございますゆえ……」
 丁寧にそう告げてくる香苗に苦笑する。
 神治に対する呼び方が「当主さま」になっているところから、今回の事を当主と村民という立場で行われた行為としたい思惑が感じられたからだ。
 自分は浮気をした訳ではなく、緋道村の慣習で当主に抱かれただけなのだと自分に言い訳を持ちたいように思えたのである。
 神治としては、香苗がそう思いたいのであれば、それで構わないと思っていた。
 何故ならその方が、次に抱く際にまた抵抗してくる事が予想出来たからだ。
 慎ましい香苗が夫以外の男に抱かれる事を否定し、抵抗しつつも抱かれ、喘いでしまう姿。
 それこそが神治の求める悦びだったからである。
 下手に受け入れられてしまっては、楽しみが減ってしまうというものだろう。
 そんな事を思いながら、神治は了解した事を告げた。
 香苗はその事にホッとしたように安堵の息を漏らしたが、神治が約束を守るつもりが無い事までは気がつかないようだった。
 すでに香苗は自分の物だと思っている神治にしてみれば、自分の女を抱くのに躊躇など必要無いからだ。
 そもそもどれほど取り繕うとも、刻み込まれた快楽の疼きは、除くことなど出来ないほど深く香苗の心と体に根付いているのである。
 神の与えた快楽に常人が逆う事など出来るはずもなく、香苗は自ら望んで神治を求めずには居られなくなっている状態にされているのだった。


「あっ、あっ、ああっ……」
 十畳ほどの広さがある和室。
 そこに敷かれた布団の上で、何も身に付けていない香苗が悶えていた。
 薄暗い部屋の中は、男女の交わりの匂いが籠もり、何とも言えない淫靡さで一杯だった。
 しかしいやらしく体をくねらせている香苗は、慎ましい清楚な女性の雰囲気を無くしておらず、その部屋の状態とのギャップに神治は肉棒は激しくたぎらせていた。
 あれから香苗とは何度も密会を重ねていた。
 何かしら理由を付けて神治を呼び出してくる香苗は、そのたびに強引に抱かれる状態になっていたのだ。
 押し倒される際に、必ず否定の言葉を述べ、軽い抵抗も示してくるのだが、それが本気でないのは明らかだった。
 何故ならすでに何度も同じ目に遭っているのだから、本当に嫌であれば呼ぶのを止めるはずだからである。
 そもそも本気であれば、二人きりで逢う事は止めるだろう。
 神治としても、さすがに人前では押し倒したりはしないからだ。
 しかし香苗は、必ず二人きりで逢うように呼び出してくるのであり、その事を考えれば、本気で嫌がっているなどとは思えなかった。
 いや、もしかしたら本気なのかも知れない。
 本気でいけないと思いつつも、それ以上に神治に抱かれる事を望んでいるのだ。
 夫を裏切っている事を悲しく思いつつも、その事で激しい興奮を覚え、そうした自分に苦悩しつつも欲情していく。
 そうした女性の心理は、以前知り合った人妻で経験済みだったのである。
「ああっ、あっ、あんっ……神治さま、あっ……神治さまぁっ……いいっ、いいっ、いいですぅっ……」
 雪のように白い肌が桜色に染まり、程良い肉付きの体がいやらしくくねる様は、何とも言えない良さがあった。
 細い手足が絡みつき、引き寄せてくる事で、熟れた女特有の包み込むような肉の感触が蕩けるような気持ちの良さを伝えてくる。
 求めるようにして強く抱き締められると、体全体の肌が擦れ合い、たまらない快感が走り抜けた。
 熱い膣襞に包まれた肉棒は、動くたびに強く吸い付かれ、腰の全てが持って行かれるのではないかという錯覚をもたらした。
 そうした成熟した女性の体に包まれる悦びは、まさに全身が女肉に覆われる気持ちの良さであり、若い女性相手では決して味わえない素晴らしい感触だった。
「あっ、あっ、ああっ……神治さま、あっ……神治さま激しい、ああっ……激しいです、ああんっ……わたくし、やっ……わたくしぃっ……」
 さらに囁くようにして聞こえる甘い喘ぎは、精神を蕩けさせるような感覚があり、聴いているだけで精を放ってしまいそうになった。
 控えめで慎ましい香苗の悶えは、他の女性とでは味わえない良さがあった。
 そうした女性であるからこそ、もっと快楽に狂わせ、淫らに悶えさせたい。
 そういう衝動が激しく起きてしまうのだ。
「あんっ、あっ……そんな、やぅっ……それ、ああっ……神治さまそんな、ああんっ……やっ、やっ、やぁっ……」
 激しい突き込みに、か細い甘い声が耳に響き、背中に回された腕がギュッと抱き締め、腰に絡んだ脚が強く締め付けてくる。
 そうされると、体の前面が女肉に押しつけられ、その蕩けるような気持ちの良さに朦朧としそうになる。
 何故女性の体は、こうして触れているだけでたまらないのだろう。
 しっとりとした肌と擦れ、柔らかな肉に絡みつかれ、体全体を包み込むようにされると、全てを投げ出して心と体を捧げたくなってしまうのだ。
 特に膣内に入り込んだ肉棒は、さらなる快楽に覆われており、意識が無くなりそうな気持ちの良さで一杯だった。
「ああっ……凄い、あっ……凄いですぅっ……やっ、やぁっ……神治さまの凄い、ああっ……神治さまの凄いのぉっ……駄目っ、駄目ぇっ……」
 擦れた小さな甘い声が耳を擽り、脳を気持ち良く刺激する。
 さらに褒め称えてくる事が自尊心を満足させ、もっともっと同じ事を言わせたくなった。
 目の前には清楚な人妻が淫靡に乱れつつも、己のはしたなさを恥ずかしがるように、悩ましげにしている顔があり、そのいやらしい表情に、ビクンっと肉棒が強く反応を示した。
「あっ、あっ、ああっ……いいっ、いいっ、いいですぅっ……それをもっと、あんっ……それをもっとお願いします、ああっ……神治さまそれをもっとぉっ……」
 肉棒を突き込むたびに、眉が悩ましく寄せられ、形のいい顎が小さく仰け反って、か細い声が慎ましく喘ぐ。
 その控えめながらそれでいて強く求めてくる姿に、男としての悦びが溢れ、もっともっと肉棒を擦りつけ、乱れさせたくなった神治は、上半身を起き上がらせると、布団に両手を付いてそれまで以上に激しく腰を振っていった。
「あんっ、あんっ、ああんっ……やだ、そんな、ああっ……そんなの、あんっ……そんな激し、ああっ……激しいですうっ……」
 汗で額に髪が張り付いているのが色っぽく、軽く握った手を口元に当て、いやいやと顔を左右に振っている様に、可愛らしさといやらしさを覚える。
 腰を動かすたびに慎ましい膨らみが前後左右に揺れ動き、その様子が目の前の女を己が自由にしている感覚を強めて満足感が高まった。
 真っ白な肌は快楽から桜色に染まっており、汗で光るその様は、まさに熟れた女の淫靡な姿だった。
「ああっ、はぅっ……わたくし、あっ……わたくしぃっ……駄目、あっ……こんな、あんっ……やだ、あぅっ……恥ずかしい、ああっ、あんっ……」
 それでいて慎ましく恥ずかしさを見せてきたりもするため、そのギャップに肉棒が激しく高ぶった。
 香苗のそうした反応は、まさに清楚な人妻を淫らに変貌させている事を感じさせ、たまらない良さがあったのだ。
 セックスをする前の、慎み深い人妻の様子を思い出すと、肉棒がさらに猛って仕方がなくなるのである。
「やっ、やっ、やぁっ……わたくしもう、あっ……わたくしもう駄目です、ああっ……わたくしもう駄目ぇっ……あっ、あっ、ああっ……」
 潤んだ瞳でジッと見つめ、限界が近いことを告げてきた香苗に頷き返した神治は、自らも一気に射精しようと、それまで以上に強く激しく腰を振っていった。
「ああっ、あっ、ああんっ……やだっ、やっ、やぁっ……イくっ、イくっ、イっちゃいますぅっ……やっ、やっ、やぁあああああああああっ!」
「くっ!」
 香苗が顎を大きく仰け反らせ、体を硬直させた瞬間、膣内が締め上がったため、その刺激に耐えかねた神治は、肉棒の栓を解放した。
 ドピュッ、ドピュッ、ドクドクドクドクドク……。
 勢い良く迸る精液を感じながら、押し寄せてくる快感にうっとりとなる。
 肉棒が律動するたびに快感が湧き起こり、その刺激に体を震わせながら何度も何度も射精を繰り返していく。
 眼下では惚けた表情をした香苗がか細い吐息を漏らしており、その様子を見ていると、自らの物とした実感を覚えて嬉しくなった。
 この女は自分の物。
 それはこれまで多くの女性に対して感じてきた想いだったが、何度実感しても飽きない感覚だった。
 これからもそうした想いを感じていきたい。
 気に入った女は絶対に抱いていきたい。
 己に夢中にさせ、身も心も虜にしていきたい。
 そんな事を思いながら射精を終えた神治は、柔らかな女肉に身を預けた。
 呼吸を整えつつ視線を向けると、淑やかさに淫靡さを感じさせる雰囲気をまとった香苗が、うっとりとした表情でこちらを見つめているのと目が合った。
(お前は、俺の物だ……)
 心でそう呟きながら抱き締めると、香苗は体を震わせ、全てを委ねるようにして目を閉じた。
 形のいい唇に吸い付き、熱い口内を貪りながら、その快楽に蕩けた体を愛撫していく。
 か細い喘ぎがその美しい口から零れるのを楽しく感じつつ、また一人優れた女を自分の物と出来た事に神治は激しい悦びを覚え、もっともっと可愛がってやるのだと、硬く大きくなった肉棒を、その熱く熟れた肉穴に押し込んでいくのだった。












あとがき

 前回、摩箕子の母親が緋道村出身という事を書いたので、今回はそれを絡ませた感じにしてみました。
 そして「緋道村出身なのにセックスに否定的」という要素を入れ、さらに清楚な人妻が快楽から不倫にハマっていく、という流れにしてみた次第。
 まあ、いくら緋道村で開放的な性の感覚があっても、外の社会であればそうはいきませんからね。
 真面目な性格の人間であれば、世間体を気にして躊躇するでしょう。
 そうした人間だと考えれば、香苗の言動もご理解いただけるのではないかと。
 まあ、本質はセックスが好きなので、少し強要されると流されちゃう訳ですが。
 そういう展開ってのが好みなので、今回はそういう感じにしてみた次第です。
(2011.8.6)

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