緋道の神器


        第三十話  夢



 神治の下で女体が蠢いていた。
 寝間着である浴衣をはだけ、白い肌を晒しながら動く姿は獣欲をそそり、心臓を激しく鼓動させた。
 零れ出た豊満な乳房は体が動くたびに揺れ、柔らかさを感じさせるその様は、むしゃぶりつきたくなる衝動を呼び起こした。
 触れる肌はしっとりとしており、擦れるだけで肉棒が疼き、こちらの体を受け止める肉の感触には蕩けるような心地良さがあった。
 すでに股間の肉棒は激しく猛っており、早く女肉の中へ収めろと主張している。
 何度も抱いた経験から、入れる前からその感触が想像出来、落ち着かない気分になっているのだ。
 数え切れないほど女性を抱いてきたが、これほど心地良さを感じさせつつも、荒々しい衝動を呼び起こす体は他にないだろう。
 やはり母は最高だった。
「駄目っ、嫌っ、神ちゃん止めてっ……」
 のし掛かる神治の体を、母は懸命に押し返そうとしている。
 何度抱いても最初に抱く時の母はいつもこうだった。
 一度快楽に浸ると淫乱になるのだが、それまでは神治に抱かれるのを嫌がるのだ。
 神治がすでに忘れかけている近親相姦の禁忌。
 それを母は思い出させてくれるのである。
 ゆえに母とのセックスには激しい興奮があった。
 東京での生活でセックスに対するやる気を取り戻した神治は、家族をようやく抱く気になる事が出来たのだが、やはり母とセックスする時が一番興奮した。
 久しぶりという事もあったせいか、母の抵抗に獣欲を激しく刺激されたのだ。
 無理矢理押し倒し、服を剥ぎ、体を好き放題愛撫し、強引に肉棒を押し込んで喘がせる。
 強姦そのものでしかないその行為をしていると、信じられないほどに快感が走った。
 それに加えて肉体的には強烈な一体感があったため、神治にとって母を犯す行為には、他の女性相手では味わえない特別な良さがあった。
 何しろ家族を抱く気になれたのも、母を犯したい気持ちが強まったためだからだ。
 東京で人妻相手に不倫をし、強姦的にセックスをする事に悦びを感じた時、無性に母を犯したくなったのである。
「あっ、あんっ……入れちゃ駄目、あっ……入れちゃ嫌ぁっ……」
 逃げようとするのを押さえつけ、無理矢理肉棒を入れていくと、母は悲しげに叫んだ。
 その様子はゾクゾクする快感を呼び起こし、神治は激しく興奮しながら腰を強く動かし始めた。
 母を犯したい。
 母と気持ち良くなりたい。
 母を沢山愛したい。
 性欲的に肉体を欲し、また恋愛的に女性を愛するのとは異なる感覚が、母に対する欲求の中にはあった。
 自分を造り上げ、産んだその肉体の中に帰り、一体となる。
 身も心も母の中に入る事で、全てが心地良く、また気持ち良くなるのだ。
 自分でもよく分からない激しい執着が母とのセックスにはあった。
 母親として愛しつつも、女として抱かずにはいられない強い欲求。
 母親として包まれたいと思いつつも、女として支配したい想い。
 神治の中にはそうした相反する意識があった。
 そしてそれは母にしても似たような部分があると言えただろう。
 快感に浸るまでは母親としてセックスを拒否し、一旦絶頂を迎えると女として息子を求める。
 そのまさに別人としか思えない変化は、母の中にある相反する部分が、分かりやすい形で現れている様に思えたからだ。
「あっ、あっ、ああっ……入れちゃ駄目って言ったのにぃ、ああっ……それにこんな激しく、あっ……突いちゃ駄目よ、あんっ……親子でこんな風にしちゃ、あぁっ……駄目ぇっ……」
 まだ序の口である母の乱れを眺めつつ、言葉では否定しながらも受け入れ始めている母の様子に嬉しくなる。
 何故ならそれは、理性が逆らってもこちらの与える快楽に母の体が抵抗出来ないでいる証だからだ。
 そうして徐々に母を快楽に染め、自分に夢中にさせるのが楽しいのである。
 一旦絶頂を迎えると強烈に求められるため、この楽しみはそれまでの間だけだった。
 性格が変わったとしか思えないあの変化は本当に不思議だった。
 何故母はあんな風になるのだろう。
 それは伯母や姉達には無い変化であったため、実に不思議だった。
(そういや俺も……)
 そこで神治は、己もセックスの際に性格が変わったとしか思えない変化を起こす事があるのを思い出した。
 何とも荒々しい感じになり、自分の事を「様付け」で呼ばせる恥ずかしい状態になるのだ。
 あれは母の変化と似ていると言えただろう。
 荒々しくなるとセックスに対して積極的になるため、そういう意味で淫乱になる母と同じであるように思えたのだ。
 やはり親子だけにそういった部分が似ているのかも知れない。
(って、あれは魂が原因なんだっけ……)
 自分の荒々しさは過去世、つまり緋道神治として産まれてくる前の、自分であって自分ではない人物の影響だという事を以前教えてもらったのだ。
 つまり母の魂にも何かしらそうした部分があり、それがセックスの際に出ているのかも知れない。
 過去世の人格が影響を与える場合は色々あるらしいのだが、それがセックスをしている時であるという点で、自分と母はやはり親子なのだろう。
「あんっ、あんっ、ああんっ……凄い、そんな、あっ……それ凄い、あんっ……それ凄いのぉっ……」
 イヤイヤといった感じで頭を振り、いやらしく喘ぐ母の姿は最高に気持ち良かった。
 始めはあれほど嫌がっていたのが嘘のように、今やすっかりこちらの腰の動きに夢中になっている。
「駄目、あっ……嫌、あんっ……こんなの駄目ぇ、あっ、ああっ……親子で駄目よこんな、あんっ……親子でこんな気持ち良く、あっ……気持ち良くなるなんて、やっ、やっ、やぁんっ……」
 それでいて未だに否定の言葉を言ってくるのが興奮を誘った。
 そうした「親子でセックスしてはいけない」という事を意識させられると、心臓が激しく鼓動し、肉棒がそれまで以上に猛るのだ。
 自分は禁忌を犯している。
 実の母親を犯しているのだ。
 嫌がる母親を無理矢理抱いているのである。
 そうして「許されない事をしている」という意識が強まると、射精感も一気に高まった。
 数多くのセックス経験を積んでも、この母との交わりは、まるで童貞に戻ったかのように射精するのが早かった。
 それだけ興奮しているという事だろう。
「母さんっ……イくよっ……俺もう出すからっ……母さんの中に出すからっ……いいよねっ……?」
「嫌ぁっ……駄目よ、あっ……出すのは駄目ぇっ……中は、あんっ……中は駄目よぉっ……赤ちゃんが出来ちゃう、あっ、ああっ……」
 母は以前より妊娠を忌避する言葉を言うようになっていた。
 最近有希が妊娠した事が判明したため、自分もそうなる事を恐れたのだろう。
 多く抱かれている以上、妊娠する確率は高いのだ。
 神治はそうして妊娠を嫌がる母の様子に興奮を覚えたため、射精する際には必ず中に出す事を告げるようにしていた。
 そうする事で「自分は母親との子供を作るかも知れない」といった禁忌を意識し、楽しんでいたのである。
 とはいえ、望まない限り妊娠させないで済む能力が神治にはあったため、絶対大丈夫ではあったのだが。
 しかし母の妊娠を恐れる様子を見ていると「もしかしたら妊娠するのでは?」といった想いを抱けて良かったし、何よりいつかは本当に母を妊娠させたいとも思っていたので、それは全くの偽りの想いではなかったのだった。
「あっ、あっ、ああっ……神ちゃん、やぁっ……神ちゃ、あっ……神ちゃぁんっ……あっ、あっ、あぁあああああああああっ!」
「母さんっ!」
 母の絶頂に合わせて精を放つ。
 ドピュドピュっ、ドクドクドクドクドク……。
 激しい勢いで放たれる精液を感じつつ、満足の想いに浸る。
 快感が強かったためか、普段より多くの精液が放出されており、やはり母とのセックスは最高だと神治は思った。
 この後は淫乱になった母が激しく求めてくるのだが、それもまた気に入っていた。
 母が自分を狂ったように求めてくる事に強い愛情を感じたからだ。
 あそこまで母親に愛されている息子は、世界中探してもそうは居ないだろう。
 自分は何と幸せなのだろうと思いつつ、隣でゆっくり起き上がり「神ちゃぁん」と甘ったるく呼びかけてきた母に、神治は嬉しさを覚えるのだった。


「東京では、何か新鮮な経験でもしたのか?」
 胡座をかいた神治の股間に顔を寄せ、肉棒をいじっていた未迦知神がそんな事を尋ねてきた。
 その言葉に一瞬心臓が跳ねる。
 未迦知神には満里奈や美子の事は話していたが、唯一翔香の事だけは隠していたからだ。
 どうにも不倫というのは後ろ暗い感じがしたため言えなかったのである。
 冷静に考えれば、緋道村には不倫という概念自体が無いのだから、言っても構わないと思うのだが、何故か言い出せず、ずっとそのままになっていたのだ。
 そして時間が経てば経つほど言いにくくなり、結局隠してしまっている状態になっていたのだった。
「まあ、色々と……おかげでやる気も戻りましたし……」
 無難な返答をしながら、恐る恐る未迦知神の様子を伺う。
「ふむ、それは確かに良かったわい。あのままでは儂もつまらなかったからの」
 未迦知神は何かに気づいた様子も無く、指先で肉棒を弄んでいる。
 その事にホッとしつつ、射精しないように意識を集中する。
 何しろ未迦知神に触れられているだけで、激しい快感が押し寄せてきていたからだ。
 気を抜いたらあっさり射精してしまうのである。
「有希も妊娠したゆえ、後は無事赤子が産まれるのを待つばかりじゃしな。当主家としてはまずまず良い状況であろう」
「はい……」
 有希の妊娠については神治は複雑だった。
 本来嬉しいはずなのだが、自分のような子供が父親になるという事に何とも言えない不安があったからだ。
 間接的にはすでに父親になっているとはいえ、どうにも微妙感があったのである。
「赤子と言えば、村の外では夫以外の男との間に出来た子供を産むのは大変らしいの」
「え?……あ、そうですね。大変だと思います……」
 急に変わった話題にギョッとなる。
 別におかしな繋がりでは無いのだが、何やら未迦知神の口調に妙な感じを覚えたのだ。
 特に不倫を連想させる内容であったため、余計それを感じたのである。
(ま、まさか気づいてる、とか……?)
 いくら神とはいえ分かるはずがない、と思いつつ、未迦知神ならありえるかも、と思って怖くなる。
「夫以外の男と交わるなど許されない事になっているらしいからのぉ。ホンに大変じゃ」
「そ、そうですね。ま、まあ、一応法律的には問題ないみたいですけど……」
「ほう、そうなのか。では倫理的、道徳的な問題か」
「そ、そうですね……そうだと思います……」
 やはり気づかれているのではないかと思ってヒヤヒヤする。
 未迦知神が不倫に怒るとは思わなかったが、隠していた事には怒るかも知れないからだ。
「なるほどのぉ、そういった事は変わらぬものよな……するとやはりその結果として産まれてきた子は、肩身の狭い想いをするのじゃろうか?」
「え? いや、どうなんでしょう。まあ、何となく辛そうな感じはしますけど……人によるんじゃないですかね?」
 実際世の中にはそうして産まれてきた子供もいるのだろうが、彼らがどういった環境に置かれているかは知りようがなかった。
「そうであろうな。周囲に居るのが、罪は親にあり、産まれてきた子には無いと思える者ばかりであれば、その子は不幸ではあるまい……」
 未迦知神は遠くを見るような目をすると、寂しげに呟いている。
 急にどうしたのだろう。
 そう言えば以前も似たような話題で暗くなっていたような気がしたが、何か辛い思い出でもあるのだろうか。
「お主もヤる気を取り戻せたとはいえ、相手を孕ませる事だけは気を遣うのじゃぞ? 村の中でならいざ知らず、外では問題になるであろうからな。それが人妻となれば尚更じゃ」
 その言葉にビクッと体を震わせてしまう。
 やはりバレているのだろうか。
「それからあまり無理矢理すぎると嫌われるぞ。誰もがお主の母と同じという訳ではないのじゃからな。嫌よ嫌よも好きの内、などと言うが、それを見誤り、本気で嫌がっているのに気づかなければ、お主自身が不幸になるからの」
「う……」
 もう完全にバレているのだろう。
 未迦知神の話はお説教な内容になっていた。
「あの、未迦知さま……どうして分かったんですか?」
「ん? 何の話じゃ? 儂は一般論を述べているだけじゃが。今後もしそういう事があるとしたら、という話じゃ」
 何か含むような笑みを浮かべながら、未迦知神はそう答えた。
 これは黙っていた事への意趣返しなのだろう。
 どうやら少々怒らせてしまったらしい。
「えっと……その……」
 どう謝ればいいのか分からず口ごもる。
「儂が傍に居なくなったからと言って、羽を伸ばしすぎてはいかんぞ。これから東京の学校へ進学するつもりならば余計じゃ。遠くだから大丈夫などと思っていても、儂らに距離はあって無きがごとしじゃからの。儂はいつでもお主の生活を見に行くゆえ」
 ニヤリと笑いながら告げてくる言葉で合点がいった。
 瞬間移動が出来るのは何も自分だけではないのだ。
 おそらく未迦知神は、神治の東京での生活に興味を持ち、こっそり見に来ていたに違いない。
 そこであの様な不倫をし、さらにはその事を隠していたとあれば、皮肉の一つも言いたくなって当然だった。
「はぁ……、未迦知さまには敵いません……」
 神治は体から力を抜いて肩を落とした。
「はっはっはっ……まあ、当然のことじゃな。儂を欺こうなど、まだまだ無理よ。もっと女修行を積み、いい男として成長せぬとのぉ。そのためにも人妻との不倫も良いであろう。ただ相手を本気にさせるのだけは注意せよ。村と違ってそうなったら問題じゃからな」
「はい……」
 隠していたのが馬鹿らしくなるほど簡単にそう言われ、神治はこんな事なら始めから正直に話しておけば良かったと思った。
 そうすればこうした皮肉を言われる事も無かっただろう。
 だがあの時は、何となく言い出しにくかったのだから仕方なかった。
(あ〜〜、ホント俺って馬鹿……)
 己の未熟さに悲しくなり、大きく溜息を付く。
「ほれほれ、その様に暗くなるな。どれ、ここは一ついつもより気持ち良くしてやろうかの」
「え?……ちょ、ちょっと待って下さい。それは駄目、うぁっ!」
 止める間もなく未迦知神の小さな口が肉棒をパクリと含んだ瞬間、強烈な快感が襲いかかり、神治は我慢する間もなく射精してしまった。
 そしてそのまま快感は続き、射精も終わる事無く続いていった。
 以前に比べ、未迦知神は射精に関して容赦が無くなっており、油断しているとこちらの意志とは関係なく精を出させられてしまうのだ。
 性的な能力にかなりの自信を持てるようになっていた神治としては、この事はガツンっと頭を叩かれたようなショックがあった。
 自分など、未迦知神が少し本気になればこの様にあっさり射精させられてしまう事が分かったからである。
 今も必死に耐えようと術を使って抵抗を試みているが、あまり効果が無かった。
(どうじゃ? 気持ち良いであろう?)
 不意に頭に未迦知神の声が響いた。
 口が使えないため心の声で話しかけているらしい。
「気持ちいいです、けど……ちょっと強すぎて、くっ……意識が、うっ……」
 ドクドクドクと射精し続ける快感に朦朧としながら答える。
(これくらいで情けないのぉ。儂を妻にしたいと思うておるくせに、この程度で根を上げる様では駄目駄目じゃぞ。もっと儂が本気を出しても耐えられねばな。というか、それに対抗し、逆に儂を快楽で満たすほどにならねばいかんわ)
 無茶な事を述べる未迦知神の言葉を聞きつつ、本当に意識が遠のき始めた神治は慌てた。
 このまま気絶してしまったら、それこそ何を言われるか分かったものではない。
 もっと意識を集中し、未迦知神から与えられる刺激を中和して快楽のみを味わえる状態にしなければ。
「分かってます……未迦知さまを気持ち良くさせ……頑張って……」
 そう言っている間にも急速に意識が遠のいていくのが感じられた。
 どうやら「いつもより気持ち良くしてやろう」という先ほどの言葉は嘘ではなかったようで、未迦知神の与える刺激は普段より強烈になっていたのだ。
(くっ……もう駄目、かも……)
 いつもはもう少し耐えられるはずなのだが、今日はもう限界だった。
 そしてそう思った次の瞬間には、神治の頭は真っ白になっていたのだった。



 気がつくとそこは別の部屋だった。
 あれから気絶して運ばれたのだろうか。
 そんな事を思いつつ周囲に意識を向けると、近くに小さな人影があったため、ほたるだろうかと思う。
 部屋の中は薄暗かったので顔の確認が出来ないのだが、十一、二歳ほどの背格好で、和服を着ていた点からそう判断したのだ。
 同じ年頃の久美と舞美は滅多に和服を着ないし、未迦知神は最近ゴスロリばかりであったため、和服を着ているのはほたるくらいだったのである。
 ほたるであれば、抱き締めて可愛がらせてもらって、未迦知神に責められた心と体を癒してもらおうかと思った。
 神治にとり、ほたるは家族の中で一番安心でき、穏やかで居られる相手だったからだ。
「父さま……」
 呼びかけようとした瞬間、向こうから声をかけられたため驚く。
 そしてその呼びかけが、今までされた事の無いものであったためさらに驚いた。
 確かにほたるにとって自分は父親であったが、普段は「当主さま」か「神治さま」と呼ばれていたため、そういった呼び方には慣れていなかったのだ。
 急にどうしたのだろうと思い、その事を尋ねようとして、体が動かない事に気がつく。
 驚愕しつつも、もしかしたら意識の無い間に未迦知神に精を引き出されまくり、そのせいで動けなくなったのではないかと推測する。
 以前、精を出しすぎて疲労困憊し、同じように動けなくなった事があったのだ。
 未迦知神は少々怒っていたから、罰としてそうされたのではないかと思ったのである。
「父さま……」
 再び呼びかけてきたほたるは、ゆっくりと近くに寄ってきた。
 衣擦れの音が静かな部屋に響き、だんだんとその小さな姿がぼんやり見えてくる。
(あれ……?)
 次の瞬間、神治は月明かりに照らされた顔が、ほたるでは無い事を認識して驚いた。
 そしてそれは他の家族でもなかったため、一体何者なのだろうかと思う。
「父さま、お加減が宜しくないのですから、無理はなさらないで下さい」
 心配そうに告げてくる少女の言葉に混乱する。
 自分は彼女の父親ではないし、病気でも無いのだから、そのような言葉は合っていないからだ。
 人違いだと言おうとし、口が動かない事に驚く。
 いくら疲労しているとはいえ、口すら動かせないなどあり得ないだろう。
「大丈夫だ……」
 そんな事を思っていると、急に勝手に口が動いて、自分の意志とは関係ない言葉を述べた。
 さらには手が動き、少女の頭を撫でたため、一体自分の体はどうしてしまったのだろうと思った。
(!……)
 そして己の腕が目に映った瞬間、もう何が何だか分からなくなった。
 何故ならその腕は、自分の腕であるはずのその腕は、全く別人のモノだったからだ。
 全体的にゴツゴツしており、血管が浮いていて、大人の男の腕に見えたのである。
(この体って……俺のじゃないのか……?)
 視線が下に向いた事で目に映った肉体は、自分のものとは異なる筋肉質の逞しい肉体だった。
 これはもはや自分が別人の体の中に居ると考えるしかなかった。
 しかし何故他人の体を自分の体のように認識してしまっているのだろう。
「俺はお前の事が心配だ……恐らく俺はお前が大人になるまで生きてはおられぬだろう……そうなれば、お前を守ってやる事が出来ぬ……」
「何を仰るんです。父さまは死にませんっ。私が大人になっても生きてるんですっ。だからそんな事は言わないで下さいっ」
 神治の意識が入っている体の持ち主が悲しげに呟くと、少女は泣きそうになりながら反発した。
 どうやらこの体の男は、病気なのか先行きが長くないらしい。
 少女の父親であるらしいから、娘の行く末を心配していて、少女の方はその事を理解しつつも認めたくないといったところだろうか。
「済まぬな……しかしこれは事実ゆえ。認めなければならぬのだよ……」
「父さまぁ……」
 少女は男に抱き付くと、悲しげな顔でジッと見つめてきた。
(!……)
 それは何とも可愛らしい泣き顔であったのだが、幼いながらもどこか色香を感じさせる部分があり、神治は思わず興奮してしまった。
 悲しげにしている父娘の様子を見ている時にそんな事を思うなど、自分は何と下劣なのだろうと少々罪悪感を覚える。
「俺の死は避けられぬ……だが、死んだとしてもお前を守る方法がある事を俺は知った」
「え? 父さまが助かるのですか?」
「それは無い。最初に言ったであろう、死は避けられぬと……しかしお前を守る方法はあるのだ」
「どういう事です?」
 それは神治も気になった。
 死んだとしても守る事が出来る方法とは一体何だろう。
「ただそれは、人として許されぬ方法でな。さすがにお前にそれをするのもどうかと躊躇しておる……ふふ、すでに一度は禁忌を破っている身でありながら、さらなる禁忌を犯す事には躊躇いを感じるとは、我ながら面白いことよ……」
 男は自嘲気味に笑いながら、少女の頭を優しく撫でている。
「禁忌とは、一体何なのです?」
 少女の問いに、男は一瞬動きを止めた。
 そしてそのまま少女の頭から手を放すと、大きく息を吐き出した。
「お前は、己の出生について知っておるな?」
「……はい。私は許されない存在だと、そう言われていますから」
「俺がしようとしているのは、その事だ。再び許されない存在を生み出す事により、お前を守ろうとしているのだよ」
「許されない存在……では、弟か妹が出来るという事でしょうか?」
「そうではない……」
 こちらをジッと見つめてくる少女の純粋で真っ直ぐな瞳に、神治は男が激しい躊躇を抱いているのを感じた。
「ではどういった事なのでしょう?」
 素直に尋ねてくる少女の言葉に、男は苦悩の想いを抱いていた。
 それはそれまで以上に強く、激しい感情の動きを感じさせるものであると共に、男に大きな決意をさせたようにも思えた。
「お前を、母親と同じにするという事だ……」
「私を? 母さまと同じに……?」
 少女は言われた意味が分からないようで小首をかしげている。
「まだ幼いお前には理解出来ぬであろう。ゆえにこれは許し難い行為なのだ。しかし俺はする。そうしなければお前を守ることが出来ぬからな」
「父さま……?」
 言われた言葉の意味が分からないらしい少女は、不安そうな目をしてこちらをジッと見つめている。
「これから俺のする事に従うのだ。お前を母と同じ、俺の妻とするゆえ」
「私を妻に?……それは一体……父さまの妻は母さまではないですか」
 驚いたように告げてくる少女に、男は軽く笑った。
「その通り……しかしお前の母は、俺にとっては娘でもある。つまり母とお前はどちらも俺の娘という事だ。言っている意味が分かるか?」
「え?……母さまが、父さまの娘? ええっ……?」
 少女は混乱した様に視線をあちらこちらへ動かして落ち着きを無くしている。
「俺は、自分の娘を妻としたのだ。それは許されぬことなのだよ。お前はその結果として産まれたゆえに一族の者から冷たい扱いをされてきた。そしてそのお前を守るために、俺はお前を妻とする」
「そんな……どうして?……私が父さまの……何で……?」
 混乱した様子で意味の無い言葉を呟いている少女を抱き締めると、男はゆっくり布団の上に横たえた。
 そのまま着物の前を開くと、白い肌を露出させる。
 混乱しているせいか、父親がする事だからか、少女は抵抗する事無くされるままだった。
(まだ胸の膨らみすらない、この様な幼い体に、俺は何をしようとしているのだろう……だがすでに女としての機能が備わっているのが感じられる……色香があるのがその証だ。無意識なのだろうが、男を誘う色香が出ているからな……これはやはり血のなせる技と言うべきか……)
 男の心の声が神治の頭に響いてくる。
 どうやらこの男は、娘であるこの少女を抱くつもりらしい。
「俺の妻となり、子を産め。さすれば俺はお前を守り続ける事が出来るのだ」
「父さま何を、あっ……」
 男は静かに告げると同時に少女にのし掛かった。
 膨らみの全く無い胸に指を這わし、小さな乳首を指先で潰すようにして撫でる。
「あっ……やっ……何これ、あぁっ……」
 少女は快感の声を発し、体をくねらせている。
 性的な経験の無い少女がここまで敏感に反応するのは本来驚くべきことだったが、神治は納得出来ていた。
 何故なら男の体全体から、女を性的に狂わす「気」が大量に発せられていたからだ。
 ここまで強烈な淫の「気」を浴びせられては、幼い処女であろうと簡単に悶えて当然だった。
「あんっ、あっ……そこをそんな、やぁっ……父さま、あっ……父さまぁっ……」
 まだ縦線でしかない秘所に指を這わせると、少女がガクガクと体を震わせた。
 同時に乳首に舌を這わせ強く吸い上げると、小さな頭が激しく左右に振られた。
「あぅっ、あっ、あぐぅっ……父さま変、やっ……わたし変っ、あぁっ……父さまわたし変になっちゃうぅっ……」
 狂わんばかりに悶え喘ぎ、少女は体全体で快楽を表現していた。
 単に乳首を舐め、秘所を撫でているだけだというのに、ここまでおかしくなるのは不思議だった。
 送られている淫の「気」が多いとはいえ、それでもここまで乱れるのは普通ではなかったからだ。
(さすがだな。この程度でここまでになるとは。やはり淫蕩な血ゆえか……男を惑わす恐るべき素質よ。俺ですらかなりたぎり始めておる……くく、禁忌ゆえに罪悪感を覚えるかと思っていたが、久々に欲情が高まってきおったわ……)
 男の心の声に、神治は自分が先ほど少女に色香を覚え、興奮したのを思い出した。
 どうやらこの少女自身にも男を求め、誘う性質があるらしい。
「準備はすでに整っておるようだな。では我が妻にする事にする。ゆくぞ」
 男は硬く勃起している肉棒を取り出すと、少女の両脚を大きく開き、まだ幼い秘所へと押し込んでいった。
 ズブリ……。
 亀頭が一気にハマり込み、何かを突き破る感覚が走る。
「あっ、ああっ……何? 何なの? 父さまぁっ……」
 すでに処女膜を破ったはずだが、少女は痛みを感じるどころか快感を得ているように見えた。
 男の力ゆえか、少女の資質ゆえか、どうやら痛みは無いらしい。
「これが妻になるという事だ。お前は俺の妻となったのだ。こうして男の子(おのこ)に貫かれる事こそ妻の証よ」
「私が……父さまの妻に、あっ、ああっ……父さまの、あぅっ……妻に、はぁっ……」
 ズブズブと入り込んでいく肉棒に喘ぎつつ、少女はどこか嬉しそうな笑みを浮かべている。
 それはすでに女の顔だった。
 男を咥え込み、己の物とした女の悦びの顔だ。
(むぅ……何と具合の良い女淫(ほと)か……この者の母もそうであったが、娘の女淫(ほと)とは父親の男の子(おのこ)との相性が良いのであろうか……うっ、それにしても……これはあまりに、良すぎる……)
 快楽の呻きを漏らしながら、男は押し寄せてくる快感に震えた。
 同じ感覚を得ている神治は、それが確かに素晴らしく具合のいい膣だというのが分かった。
 何しろ自分が母と交わる際の感触と似ていたからだ。
 ピッタリと合わさっていて、実に心地良くも気持ちのいい、たまらない良さがあったのである。
「あっ、あっ、ああっ……やっ、やっ、やぁっ……」
 男が腰を動かし出すと、少女の喘ぎが激しくなった。
 小さな体が前後に揺れ、乱れた髪が汗で額に絡みつくのが何ともいやらしい。
 潤んだ瞳はジッとこちらを見つめており、それが強い興奮を誘った。
 幼い容姿と相まって、滅茶苦茶にしたくなる衝動を呼び起こす表情だったのだ。
「あんっ、ああっ……父さま、あっ……父さま凄い、あんっ……父さま凄いよぉっ……」
 男も神治と同じように感じたのか、腰の動きに力が入り出した。
 ズリュズリュと秘所と肉棒が擦れる音が部屋に響き、そのたびに少女の体がいやらしくくねる。
「あっ、あんっ……あぁっ、ああんっ……父さま、はぅっ……父さまわたし、あっ……父さまぁっ……」
 細い脚が腰に絡み付き、小さな手が背中に爪を立て、強くしがみついてくる。
 愛らしい体が全身で快楽を求めており、男がその様子に興奮と愛情を高めているのが分かった。
 快楽と共に、少女に対する熱く深い想いを感じたからだ。
 しかしそれは神治の知っている愛とは異なり、どこか狂気を感じさせるものだった。
 だがそれも当然だろう。
 そもそもこれは単なる近親相姦ではないのだ。
 何か特殊な術を行うための交わりなのである。
 実際男の体からは、淫の「気」とは異なる妙な「気」が発せられていた。
「あんっ、あんっ、ああんっ……父さまわたし変、あぁっ……わたし変だよぉ、あっああっ……わたし変になっちゃうぅっ……」
 少女は絶頂に恐怖を覚えているのか、快楽の喘ぎの中に恐れの声をあげていた。
 男はその様子を愛おしげに見つめつつ、何かを成し遂げようとする強い決意を抱いているようだった。
「やっ、やっ……父さま何か来る、あっ……何か来るよぉ、あんっ……わたし、わたし、わたしぃっ……あっ、あっ、あぁああああああああっ!」
 少女が全身を硬直させて叫んだ。
 それを見下ろしながら男も精を放つ。
(う……うぅ……)
 男の快感が伝わってきたせいか、神治は自分が射精したかのような状態になっていた。
 そしてそれと共に、精液とは異なる何かが体から抜けていくのを感じた。
(我が魂よ……新たな生命として宿れっ……)
 男が念じる強烈な意志が頭に走り抜ける。
 凄まじい衝撃と共に恐ろしいほどの快感が湧き起こり、神治の意識は段々と薄まっていくのだった。


「あっ、あっ、ああっ……」
 ボンヤリとした感覚の中で、可愛らしい喘ぎが聞こえていた。
 そちらへ意識を向けると、先ほどの少女が狂わんばかりに悶えているのが見えた。
「父さま、父さまぁっ……」
 可愛らしく求めてくる少女の姿に、男はさらに腰の動きを強めていた。
「ふはははっ、いいぞ、くっ……お前は最高だっ……ははははっ……」
 男の意識は歓喜に包まれていた。
 いや、狂気と言った方が良いだろう。
 強烈に女肉を求め、快楽を欲している衝動が強く伝わってきたからだ。
 小さな体を突きまくり、快感を得る事に夢中になっているのが分かる。
 少女は痛々しいほどに突かれていたが、その表情からは彼女も快楽に夢中になっているのが十分に伝わってきた。
 顔がだらしなく緩み、男に必死にしがみついているその様は、何ともいやらしい女の痴態といった感じだったからだ。
 それはまさにセックスに取り憑かれた男女の姿と言えただろう。
「何度抱いても、毎日抱いても飽きぬっ……お前は素晴らしいっ……すでに子は宿ったが、お前を抱くのは止められぬっ……止められる訳がないっ……ああっ、我が命が残り少ない事をこれほど悔いた事は無いぞっ……」
「父さま、あんっ……その様なことを、あっ……仰らないで、ああっ……もっとわたしを、あぅっ……もっとわたしを抱いて、あんっ……これからもわたしを抱いて下さい、あっ、ああんっ……」
 どうやら二人はもう何日も交わっているらしい。
 先ほどまであった少女の初々しさや、男の躊躇が一切消えている事を考えるとそれが納得出来た。
 神治は己がどうしてこの様な状態になっているのかと、今更ながらの疑問を抱きつつ、男を通じて伝わってくる強烈な快感に意識がまた飛びそうになるのに耐えた。
 少女の膣は、先ほど以上に強烈な快感を与えてきていたからだ。
 男の肉棒を咥え込み、擦り吸い付く蠢きは、まさに極上と言えるものであり、男が夢中になるのも納得出来た。
「くぅっ……何という女淫(ほと)よっ……お前のここは素晴らしすぎるっ……俺は生まれ変わっても、再びお前を抱くと誓うぞっ……お前を守れるだけではなく、この快楽をまた味わう事が出来るとはっ……何と素晴らしい事かっ……」
 男の腰の動きがさらに速まり、限界が近づいているのが分かる。
 その快楽を味わっている神治も頭が朦朧としてきた。
「やっ、やっ、やぁっ……父さまっ、父さまっ、父さまぁっ……わたし、あぅっ……わたしもう、あっ……わたしもぉっ……あっ、あっ、あぁあああああああああっ!」
「うおっ!」
(うぁっ!)
 男が精を放つと同時に、神治の意識は真っ白になった。


 気がつくと、そこは道端だった。
 どうやら田舎道らしく、周囲には緑に溢れた、見る者に懐かしさを感じさせる風景が広がっている。
 そして目線が低い点と、時折目に映る体の作りからして、自分がまた他人、おそらく十一、二歳くらいの少年の体の中に入っているのだという事が分かった。
 これはおそらく夢なのだろうが、それにしても不思議な夢だった。
 そもそも夢というのは記憶が元になっているのだから、知らない人間が出てくるのはおかしいだろう。
 他にも場所や衣服が現代ではありふれていない状態になっている点も気になった。
 今自分が入り込んでいる体にしても、着物を身に着けていて、わらじを履いているのだ
 まるで大昔の日本という感じだったのである。
(……)
 そんな事を考えていると、不意に誰かの声が聞こえたため驚く。
 内容としては特に意味の無いもので、話しかけられたという感じではなかった。
 それは言葉というより、想いとした方が合っているだろう。
 心の呟きが聞こえてきた感じなのだ。
 もしかすると体の持ち主である少年の心の声かも知れない。
(!……)
 そう思った瞬間、少年の心、気持ち、思考と思われるモノが大量に押し寄せてきた。
 それは何やら暗く、弱々しい、後ろ向きなものであり、世界から愛されていないという感じの悲しいものだった。
 何故少年がそのような想いでいるのか分からなかったが、もしかしたら不憫な日々を送っているのかも知れない。
 そんな事を思っていると、不意に少年の歩みが緩くなった。
 視線の先に、数人の子供がたむろしているのが見える。
 やはり着物を身に着けており、近所の遊び仲間といった風情だ。
 少年はその姿に怯んだ感じだったが、意を決すると、今度は歩く速度を上げて近づいていった。
 何もされずに早々に立ち去りたい、といった想いが伝わってくる。
「待ちなさい」
 だがそれは許されなかった。
 数人いる子供達の中で、少年より二、三歳年上と思われる少女が声をかけてきたのだ。
 美しい顔立ちをしてはいるが、表情は厳しかったためキツい印象のある少女であり、雰囲気から子供達のリーダー的存在に思えた。
「汚らわしい。何故お前のような汚らわしい者がこんな所に居るの?」
 少女の言葉に少年は体を震わせた。
「父親と娘の間に産まれた子っ。許されない、汚れた存在っ」
 その言葉に神治は驚いた。
 何故なら先ほどまでの夢が、まさに娘を孕ませた父親のものだったからだ。
 まさかこの少年は、あの二人の子供なのだろうか。
 不思議な夢だけに、そうした繋がりがあってもおかしくないだろう。
 そしてその推測が合っているかはともかく、この少年はそうした事情を持っている人間である事だけは分かった。
 本人の心が、それが事実であると語っていたからである。
 少年は発せ続けられている少女の中傷に、「自分が何故このような目に遭わなければならないのか」といった悔しさを抱きつつ、足早にその場を去ろうとした。
(!……)
 だが次の瞬間足を引っかけられ、その場に倒れ込む。
「誰が行っていいと言ったのかしら?」
 少女は楽しげに笑うと、顎を振って周囲の子供達を促した。
 誰かに腕を掴まれたかと思うと無理矢理立ち上がらせられ、そのまま後ろから強くこづかれる。
 バランスを崩して倒れそうになった所を再び誰かに掴まれ、違う方向へと強く押されて倒れ込む。
 何度もこづかれては転び、立ち上がらせられた所でまたこづかれ、倒され、といった事を繰り返され、少年は暴力を受け続けた。
 どうやら少年はこうして日頃から虐められているらしく、しかもそれは子供からだけではなく、大人からも陰口を叩かれているようだった。
 少年の存在は、村において許されないものとして認識されているようで、特にこの少女は潔癖な性質があるため強く当たってくるらしい。
 さらに言えば、少女の父親が村における権力者である事と、少年と親族であるという点が余計に苛立ちを与えているらしかった。
 少女は潔癖な性質ゆえに、身内にそのような存在が居ることが許せないのだろう。
 神治はこづかれる少年の心の声からそうした情報を読み取った。
「もう私の前に断りもなく出てきては駄目よ」
 しばらくしてそう告げた少女は、子供達を引き連れて去っていった。
 暴力行為がようやく終わった事にホッとしつつ起き上がった少年を意識しながら、神治は少年の置かれている立場に激しい憤りを覚えた。
 何という酷い扱いだろう。
 今までこれほど激しい虐めの現場を見たことのなかった神治にとり、それは何とも衝撃的なものだった。
 多くの人間が一人をよってたかってこづく。
 それは許される事ではなかった。
(……)
 そんな事を思いながら、少年がとぼとぼと歩いているのを意識していると、不意に安堵と温かい想いが湧き起こった。
 少年の心から、そういった感情が伝わってきたのだ。
 見れば目の前には一軒の家が建っている。
 どうやら中には少年の母親が居るらしい。
 少年は母親に会えるため嬉しくなっているのだ。
「ただいま帰りました」
「おかえりなさい」
 少年の言葉に、母親が姿を現す。
 それは二十代前半の着物を身に着けた若い女性で、非常に美しかった。
 そして先ほどの推測は間違っていなかったらしく、女性には夢で見た少女の面影があった。
 おそらくこの母親は、父親に抱かれていたあの娘の成長した姿なのだろう。
「すぐにご飯にしますからね。外は楽しかった?」
 優しく微笑みながら告げてくる母親の言葉に、少年の心は激しく動揺した。
 頭の中で、少女の中傷の言葉が渦巻く。
 少年の心はあっという間に暗くなり、強烈な辛さが湧き起こった。
 何故自分はあのように言われなければならないのか。
 何故あのように酷い目に遭わされなければならないのか。
 少年には分からなかった。
「母さま……僕、産まれてきてはいけなかったの?」
「!……」
 少年の問いに、母親は一瞬体をビクッとさせた。
「そんな事はありませんよ」
「でも、みんなが僕のこと、産まれてきてはいけなかったって……」
「みんなの言うことなど気にしては駄目です。あなたは私と父さまに求められて産まれてきたのですから……他の誰が何を言おうと、それだけは信じなさい」
「はい……」
 少年は納得したように答えた。
 だがそれが嘘なのは神治には分かった。
 大好きな母を悲しませたくないため、納得したフリをしたのだと、少年の心が告げていたからだ。
 そもそも少年自身、自分の生い立ちに関して嫌悪感を抱いていたため、皆が嫌悪するのも本当は理解出来ていたのだ。
 自分の父親が母親にとっても父親であるという事は、何とも言えない後ろ暗い雰囲気を感じさせていたからである。
 さらに言えば、母親の母親、つまり少年にとっての祖母も、父親の娘だと知っていたため、より「自分は虐められても当然」といった想いがあったのだ。
 少年は、それらの事が本当の事であるかを母に尋ねてみたかったが、尋ねたら母が悲しむだろうと思うと聞けなかった。
 何より確認するまでもなく、そうだという実感があったのだ。
 何故ならいつの頃からか、夢を見るようになっていたからである。
 夢の中での少年は、亡くなった父親の体に入り込んでいる状態になっており、自分と同じくらいの年齢の母に裸で抱き付かれ、「父さま、父さま」と叫ばれていたのだ。
 母達が何をしているのか分からなかったが、それが凄くいやらしく、いけない事である様に思えた少年は、自分が酷く言われるのはきっとこの行為のせいに違いないと思っていた。
 実際夢の中でも「許されない事」と父が口にしていたのである。
(あれを、この子も見ていたのか……)
 神治はあの近親相姦の様子を少年が見ていた事を不憫に思った。
 自分にとっては他人事でしかないが、少年にとっては自らの両親の事であり、何よりそれが原因で虐げられているのだとしたら辛いに違いなかったからだ。
 少年の記憶によると、どうやら毎夜のごとくその夢を見ているらしいため、その事について誹謗中傷を日々受けていれば、暗くなって当然だった。
 神治は何と酷い事だと思い、少年に同情した。
 しかし少年の方は少々違っていたらしく、神治が予想もしなかった意識を持ち始めているようだった。
(母さま……)
 少年の、母親に対する強い想いの籠もった心の声が聞こえてくる。
 だがそれは、本来息子が母親に抱くには許されない想いが含まれていた。
(! この子、母親に……)
 少年は母親に欲情していたのだ。
 夕飯の支度をしている母親の後ろ姿を見つめている少年の目は、母親ではなく女を見るものになっていたのである。
 呼吸が荒くなり、心臓の鼓動が激しくなっていて、脳内では父親に愛撫される母親の姿が浮かんでいた。
 自分も父のしている事を母にしてみたい、といった強い想いが伝わってくる。
 股間の肉棒はすでに硬く勃起していて、少年はそれを擦って快感を味わっていた。
 対象さえ普通であれば十一、二歳であれば問題の無い行為だろう。
 だが相手は母親だ。
 それは宜しくない事だった。
 神治自身は構わないと思うが、少年は近親相姦が原因で虐げられているのだから、これ以上それを悪化させる行為をするのは良くないだろう。
(でも……無理だよな……)
 しかし少年の母親に対する想いを改めて認識すると、仕方がない事だとも思った。
 周囲の人間が全て敵である少年にとり、唯一自分を愛し、慈しんでくれる母親は絶対的な存在だったからだ。
 少年にとって愛する対象は母親のみで、他の人間など関係なかったのである。
 本来であれば、それは母親に対する家族愛として何の問題もないものだったろう。
 しかし少年は疑似体験とはいえ、夢の中で母親を抱いているのだ。
 女としての母親を知っているのである。
 そうなってしまえば、肉欲を向けてしまっても仕方のない事だった。
 何より目の前にいる少年の母親は、若さに溢れ、豊満な体つきをしていて、十分に抱きたくなる魅力に溢れていたのだ。
(母さま……)
 美しくいやらしい母の姿に、少年の我慢は限界に近づいているように思えた。
 周囲の人間は自分にキツく当たるが、母はいつも優しかった。
 大好きな母ともっと一緒に居たかった。
 抱き締め、体を重ねたかった。
 一つになる事で、母との繋がりを深めたかった。
 夢の中での父と母も、繋がる事で愛情を深めていたように思えたのだから、自分も同じようにすれば、もっと母と仲良くなれるのではないか。
 そうだそうしよう。
 あの母の柔らかそうな体を抱き締め、自分の大好きだという気持ちを伝えるのだ。
 少年は鼻息を荒くしながら、そう決意をした。
 神治にはそれが性欲の高まりからくる興奮だというのが分かったが、少年の母親に対する想いが純粋であるのも分かった。
 純粋な想いであるがゆえに、性欲も高まっていたのだ。
 男にとって性欲は、愛情でより強くなるものだからである。
「母さまっ……」
 少年は背後から母親に抱き付くと、ギュッと力を入れた。
「まあ、急にどうしたの?」
「僕、母さまが大好きですっ」
「私もあなたの事が大好きですよ」
 まさか息子が欲情しているとは思っていない母親は、優しく抱き締め返してきた。
 その事に少年の心は嬉しさに包まれ、同時に柔らかな肉の感触を感じた事で肉棒がビクンビクンと蠢いた。
 それを強く母親の体に押しつけてみると、蕩けそうな快感が走ったため、「うっ」と軽く呻く。
「母さま……母さま……」
 興奮を高めた少年は、さらに激しく肉棒を擦りつけていった。
「あっ……駄目ですよ。さ、離れて」
 母親は少年の行為に気づいたが、さすがに欲情しているとまでは思わなかったようで、微笑みながら体を放そうとしてきた。
 しかしすでに母を抱く決意をしていた少年にとり、それは出来ない相談だった。
 ここで離れたらいつもと同じだ。
 自分はもっと母と仲良くなりたい。
 そんな想いが伝わってくると同時に、少年の目は母親の豊かな胸の膨らみに吸い付いていた。
 夢の中で父が母にしていた行為の中に、胸を揉む行為があった。
 幼い母の体はまだ膨らみと呼べるものでは無かったが、父は指先で摘むようにして揉んでいた。
 それはとても魅惑的であり、少年もいつかしたいと思っていた事だった。
 それを今から自分はするのだ。
 興奮に震える手が母親の胸元へ伸び、柔らかな膨らみをギュッと掴む。
「あっ……駄目ですそんな……いけません……」
「僕……僕ぅ……」
 未だ欲情に基づく行動だと認識していないらしい母親は、困ったような顔をしながら離れるように体を動かしている。
 それが自分を拒否しているかの様に感じられた少年は、悲しくなりながら、逃がすまいとさらに抱き付いていった。
 手で何度も乳房を揉みしだき、その気持ちのいい感触を味わう。
「あっ……放しなさい。何を、あっ……」
 さすがに少年が異常な状態になっていると気づいたらしい母親は、それまでより必死になって離れようとしたが、少年が強くしがみついているため離れる事は出来なかった。
 美しい顔が迫り、髪が乱れて首筋が見えた事に、少年は激しい興奮を覚えた。
(白い……綺麗だ……吸い付きたい……)
 首筋に対する欲情を覚えた少年は、そこに唇を押しつけ、舌で舐め回した。
「やっ……駄目、あっ……やめなさ、あんっ……いけません、はぁっ……」
 母親の甘い声に少年の心臓が跳ねる。
(母さまのこんな声、夢でしか聞いたことない……ああ、聞いてると凄く落ち着かなくなってくる……)
 少年は母親の普段とは異なる様子に激しい興奮を覚えつつ、着物の合わせに手を差し入れて乳房を直接掴んだ。
 その柔らかさ、気持ちの良さに鼻息が荒くなる。
 そのまま股間を母の体に押しつけて動かすと、たまらない快感が湧き起こった。
「嫌、あっ……駄目です、あんっ……やめて、あぁっ……」
 乳房を揉みながら首筋に舌を這わし、一物を擦りつけていると、母親は悲しげな、それでいていやらしい声をあげながら、徐々に体から力を抜いて床に倒れ込んだ。
(この子……俺と同じだ……)
 少年の様子に、神治は以前の自分を重ねていた。
 抑えられない肉欲を大好きな母親にぶつける。
 それは神治自身が経験した事だった。
 激しく高まりすぎた性欲を持てあまし、母を押し倒してしまったのだ。
(このまま、抱かせてもらうといい……)
 その時の事を思い出した神治は、少年を応援したくなった。
 まるで自分の事であるかのように感じられ、少年が母親という絶対的に己を愛してくれる存在と一つになる事を望んだのである。
 実際そうした後に周囲の反応がどうなるかも予想出来たが、今この少年には母親の強い愛情と、性欲を受け止めてくれる柔らかな肉体が必要だと思ったのだ。
 おそらく母親に受け入れてもらえさえすれば、今後少年は強く生きていけるだろう。
(そうだよ……お母さんを抱くんだ……)
 そうした神治の想いと、少年の「母さまを抱きたい」という想いが重なり合い、その瞬間、神治の心は少年の心と一つになっていった。
 今までは少年の体を自分の物のように感じていたとはいえ、他人の体である自覚があったが、それがまるで少年本人になったかのような感覚になったのだ。
 少年の想い、少年の愛情、少年の興奮、それらが全て己のものとして感じられるようになったのである。
(僕は、俺は、母さまが、母さんが、大好きだ……)
 意識が少年そのものとなり、少年の母親を自分の母親として認識する。
 以前同じようにして母を求め、母を襲い、母に対する愛情を深めた経験が、少年との一体化を進めたのだろう。
 共感の高まりが意識の融合をもたらしたのだ。
 少年と一体化した神治は、目の前の女性をもはや他人とは感じていなかった。
 自分の母、愛する母として意識していたのである。
 その母を今から自分は抱く。
 抑えられない肉欲をぶつけ、受け止めてもらうのだ。
「母さまっ、母さまぁっ……」
 今や少年と一つになった神治は、激しい肉欲に急かされて母にのしかかると、着物の合わせをグイと開いて白い膨らみを顕わにした。
(綺麗だ……)
 荒い呼吸を吐きながら、目の前にある物体の美しさに見とれる。
 幼い頃から何の想いを抱く事もなく見てきた肉の塊が、今や全く異なった物体として目に映っている事に違和感と興奮を覚える。
(何だろ?……凄く吸い付きたい……舐めたい……無茶苦茶にしたい……)
 二つの柔らかな膨らみを見た瞬間、それまで以上の荒々しい衝動が湧き起こった。
 この肉の膨らみをどうにかしなければ、自分はおかしくなってしまうだろう。
 そんな想いに突き動かされ、少年は両手でギュッと乳房を握り締めた。
「あんっ……そんな強くしては、あっ……駄目です、あぁっ……そんな風にしては駄目、やぁっ……」
 そのまま何度も揉みしだき、回すようにしていくと、母がゆっくりと頭を左右に振って喘いだ。
 火照った頬と、潤んだ瞳が何ともたまらない。
 もっともっと母に触れたい、いやらしい状態にしたい。
 幼い性欲に火が付き、少年は目の前で揺れる桜色の突起に吸い付いていった。
「あっ、ああっ……吸っては、あんっ……駄目、やっ……吸っては駄目です、あぁっ……」
 その言葉に逆らい、乳首を何度も強く吸って舌で弾くようにして舐め回すと、母はそのたびに顎を仰け反らせて悶えた。
(何ていやらしい……そして何て可愛らしい……)
 母に対してこれまで抱いたことの無い想いが浮かぶ。
 今の母は少年の知っている母ではなかった。
 このように女臭い母など知らなかった。
 いや、知ってはいた。
 夢の中では。
 今の母は、夢の中で父と裸で絡んでいる時の姿そのものだったのだ。
(僕が、父さまみたいに母さまを喜ばせているんだ……)
 自分が産まれた頃には死んでいた父。
 そのため父と母の仲がどうであったのかは知らなかったが、あの夢を見て以来、両親が強く愛し合っているのを感じる事が出来て嬉しかった。
 そして一方で、母に愛され、母を自由に抱く父を羨ましく感じてもいた。
 自分も父のように母を抱きたい。
 母の体を舐め回し、吸い付き、甘く喘がせたい。
 ずっとそう思っていたのだ。
 そして今、ついにそれが実現した。
 父と同じように母を抱き、喘がせているのである。
 こんなに嬉しい事はなかった。
「あっ、ああっ……そんな、やっ……駄目です駄目、あんっ……やめ、あっ……」
 逃げるようにして上へ動く母の体を押さえ込み、少年は愛撫を繰り返しつつ、徐々に母の着物を脱がして自らも服を脱いでいった。
 衣服を剥ぐごとに顕わになる白い肌は獣欲を激しく刺激し、心臓を強く鼓動させた。
 触れている肉は柔らかく、押さえ込むために掴むたびに、ゾクゾクする快感が走り抜ける。
(母さま……気持ちいぃ……母さまと裸でこうしていると、凄く気持ちがいい……)
 母を裸にし、自らも裸になった少年は、そのまま体を重ねたのだが、その瞬間、たまらない気持ちの良さが起きたのに感動した。
 生の肌で感じる母の肉体は最高だった。
 擦れるたびに快感が走り、体全体の神経が母の柔肌、柔肉を認識するのがたまらない。
 母を愛し、求め、一つになりたいと願っていた少年にとり、その状態はとてつもなく嬉しい事だった。
(もっと一つに……繋がらなくちゃ……)
 夢の中で父は、母の股の穴に肉棒を入れていた。
 自分も同じ事をし、母とさらに強く繋がりを持ちたい。
 少年は母に対する強い愛情と肉欲に染まりながら、膝立ちになると母の股間に肉棒を近づけていった。
「い、いけませんっ。それだけはっ……しては駄目、駄目よっ……」
 それまで以上に抵抗をする母を強く押さえる。
 いつもなら母の方が力があるのだが、今の自分は何故か体の大きな母を押さえられるほどの力があった。
 その事に男としての誇らしさを覚えながら、このまま肉棒を押し込めば、夢の中の父のように、さらに男らしくなれるのではないかと思う。
 夢の中の父は、母を組み敷き、自由に貪り、まさに男としての強さを感じさせたからだ。
(僕も、父さまみたいに……)
 母を自分の妻にしたい。
 父は夢の中で、娘である母を妻にすると言っていた。
 肉棒を股の穴に入れるのがその証だと。
 ならば息子である自分が母を妻にするのも、同じようにすればいいのだろう。
 自分を愛してくれる女性など母以外存在しない少年にとり、妻に出来るのも母しかいなかったのだ。
 何よりもう入れたくてたまらなかった。
 何度か肉棒を擦りつけた事で、そうすると気持ち良くなるのは分かっていたし、夢の中で見、そして先ほどチラリと見た母の股の穴は、ヌルヌルとしていて肉棒を入れたら何とも気持ちが良さそうだったのだ。
「母さまっ、母さまっ……」
 少年は激しい興奮に包まれながら腰を前に進めた。
「くっ……」
 数度外れた後、肉棒の先が偶然穴にハマった瞬間、とてつもない快感が走って体が硬直する。
 初めて経験するその気持ちの良さに、少年の頭は真っ白になった。
「あ、ああ……嫌、駄目……あぁ……」
 意識の片隅で、母が悲しげに、それでいて甘く吐息をもらすのを認識する。
 その様子に悦びを感じていると、意識せずとも腰が勝手に動き出し、肉棒を奥へと押し込んでいった。
 ズブズブと肉棒が膣襞と擦れ、熱い肉に包まれていくのに強烈な快感を覚える。
(気持ち、いぃ……母さまの中って……凄いぃ……)
 少年はもう何が何だか分からなかった。
 自分の体全てが、温かくて湿った何かに包まれており、それがとてつもなく気持ちがいいのだ。
 そのまま鼻息を荒くしながら、押し寄せてくる快楽を味わっていく。
「ああ……入れて、しまったのね……何ということを……親子でこんな……」
 母は悲しげにそう呟くと、悩ましく視線をそらした。
 その素振りは今まで母が見せた事のないもの、いや、夢の中で父に見せていたものであったため、少年の心は激しい興奮に包まれた。
 自分が母にそのような表情をさせる事が出来たのだという事が誇らしかったのだ。
(う……)
 それと同時に、微妙に動いた事で起きた振動により、快感が発生した事に驚く。
 そしてそれが、夢の中で父が気持ち良さそうにしていた原因だという事に気づいた。
(動かせば……もっと気持ち良くなる……)
 夢の中で父は腰を激しく前後させていたから、同じようにすればさらに気持ち良くなるのだろう。
 早速それを確かめてみようと腰を動かしてみる。
「あっ、あっ、ああっ……駄目よそんな、あんっ……動かしては駄目、あぁっ……駄目なのぉっ……」
 動くたびに湧き起こる強烈な快感、そして母の甘い喘ぎに、少年の心は歓喜に包まれた。
 母は「駄目」と言っているが、夢の中で喜んでいた状況と変わらない事からそれが嘘だというのが分かる。
「母さまっ、母さま気持ちいいよぉっ……母さまぁっ……」
 腰を荒々しく振り、信じられない気持ちの良さを訴える。
「駄目よ、あんっ……気持ちいいから駄目なの、あぁっ……気持ちいいから親子でしては、あっ……駄目ぇっ……」
 自分の一突き一突きで母が頭を左右に振り、豊満な乳房が揺れるのに激しい興奮が起きる。
 今自分は母を支配しているのだ。
 自分が腰を振れば振るほど母は甘く喘ぎ、体を震わせるのである。
 その事が少年にはたまらなく嬉しかった。
「母さまっ、母さま大好きだよぉっ……母さまぁっ……」
 肉棒が擦れるたびに体の中身が引き抜かれるような快感が走り、頭が真っ白になる。
 このような気持ちの良さを与えてくれる母に、少年は今まで以上に惹かれていった。
 以前から愛していたが、交わった事で強烈な愛情と執着が母に対して起こったのだ。
「あんっ、あんっ、ああんっ……そんな強く、ああっ……強い、あんっ……そんな強くされたら、わたしぃっ……」
 さらに強まった少年の突き込みに、母は快感に震え、喘ぎを激しくした。
 その様子を見ている内に、少年は肉棒から何かが出そうな感覚を覚えた。
「母さまっ……僕、何か出ちゃうっ……何か出ちゃうよぉっ……」
「! それは駄目、あんっ……出しては駄目よ、あっ……出しては駄目なの、ああっ……」
 少年の言葉に母は動揺し、体を離そうとするものの、少年の腰が動くと力を抜き、されるがままになった。
 すでに快楽に染まっているため逆らうことが出来ないのだ。
「このままでは、あんっ……わたしはまた、あぅっ……父さまの時と同じ、あんっ……あっ、あっ、ああっ……」
「母さまっ、母さまっ、母さまぁっ……」
 二人の声が強まり、快感が高まっていくのが分かる。
「嫌っ、駄目、あぁっ……もうわたし、ああっ……イってしまう、あんっ……息子に抱かれて、ああっ……イってしまう、あっ……そんな、そんなのぉっ……やっ、やっ、やぁあああああああああっ!」
「うぁっ!」
 少年は叫ぶと同時に体を硬直させた。
 自分の中から何かが放たれていく感覚と共に、たまらない快感が走るのにうっとりとなる。
 体から勝手に何かが出ている感覚に恐怖しつつも、それを上回る気持ちの良さに頭が朦朧としていく。
 しばらくして放出が止まり、それに合わせて脱力した少年は、母の体の上に倒れ込んだ。
 ハァハァという己の荒い呼吸を意識しながら、自分が父と同じことをしたのだという事に強い満足感を得る。
 すぐ近くには悲しげな、それでいてどこか嬉しそうな表情をした母の顔があった。
(僕は、母さまを僕の物にしたんだ……)
 理由は分からなかったが、そうした実感があった。
 母との繋がりが深まったように思えたのだ。
 あの行為をした事で、自分と母は確かに一つになれたように思えたのである。
(そうだよ……母さまは僕の奥さんになったんだ……)
 夢の中で父の言っていた言葉を思い出し、喜びが溢れてくる。
 そして改めて母の体を見つめていると、その美しさ、いやらしさに肉棒が再び硬く大きくなった。
(もっとしたい……母さまともっと……)
 先ほど味わった快感、そして愛情を確認したくなった少年は、体を起こすと再び肉棒を押し込もうとした。
「あ……また、するのですか?……しては、駄目なのに……」
 ボンヤリとした母の声が聞こえ、それが否定の言葉にも関わらず、どこか期待しているように聞こえた少年は、母も自分を求めてくれていると思い、嬉しくなった。
「母さま……大好きです……」
 そう呟くと同時に、肉棒を押し込む。
「あっ……ああっ……」
 ピクピクと体を震わせて悦ぶ母の反応に少年は嬉しくなりながら、そのまま激しく腰を振っていくのだった。


「あっ、あっ、ああっ……」
 あれから数日が経った。
 少年は毎日母を抱き、快楽と共に愛情を深めていた。
 抱けば抱くほど母の体は気持ち良くなり、自分に対する想いも強まっているように思えたのだ。
 そんな母を一日でも抱かないでいる事は出来ず、それこそ昼夜問わず抱いていたのである。
「いいわっ、いいです、あんっ……いいのぉっ……やっ、やぁっ……」
 母の態度には以前と比べ、甘える雰囲気があった。
 前は自分が甘えているだけだったが、今はどこかこちらを頼っているような、男として立ててくれている感じがあったのだ。
「淫らな母を許して下さいね、あんっ……母はもう、あぁっ……あなた無しでは耐えられない、あっ、ああっ……あなたの男の子(おのこ)で貫かれなければ、あっ……我慢出来ないのですぅっ……」
 母は両腕両脚を絡みつかせ、逃がすまいといった感じでしがみついてくる。
 腰の動きも求めるように自ら振っており、何ともいやらしかった。
 荒々しく口づけ、実の息子を求める母の姿に、少年は激しい興奮を覚えた。
 まさに女の性欲が強烈に主張されているその姿は、男としてそそられずにはいられないものがあったのだ。
「僕だってっ……僕だって母さまを抱かないとっ……我慢出来ないですっ……ああっ、母さまぁっ……」
 嵐のような母の愛情表現に負けじと激しく腰を振る。
 肉棒を出し入れするたびに母が狂ったように喘ぎ、体を震わせるのを満足げに見下ろしながら、豊満な乳房をギュッと掴む。
「ああんっ、あっ……いいっ、いいっ、いいぃっ……もっとして、あっ……もっと、あんっ……もっとよぉっ……」
 髪を振り乱して悶える母の姿は、少年にとって強烈な刺激だった。
 もう何度も見ているはずであるのに、一向に慣れる事がないのだ。
 母をこうして快楽に狂わせ、自由にしていると、激しい興奮が湧き起こってくるのである。
 母が愛おしくてたまらず、そんな母を絶対に守るのだという意識が高まっていく。
「あんっ、あんっ、ああんっ……母はもう、あっ……イく、ああっ……イくの、あんっ……イっちゃうぅっ……あっ、あっ、あぁあああああああああっ!」
「うぅっ!」
 母の絶叫に合わせて精を放つ。
 ドクドクドクと放出されていく精液と共に激しい快感が走り抜ける。
 何度経験してもこの瞬間の気持ちの良さは最高だった。
 これがある限り、母を抱く事は絶対に止められないだろう。
 そんな事を思いながら射精を終えた少年は、ゆっくりと体を横たえた。
 ハァハァという荒い呼吸が部屋に響くのを聞きつつ、愛する母の顔を見ると、母も幸せそうな表情で自分を見つめてくれているのが嬉しかった。
 しかし母は少しすると、不意に暗い表情になって視線を逸らした。
「このような事になってしまって……ご免なさい。私がもっとしっかりしていれば、あなたをこのような状態にしないで済んだというのに……」
 悲しげにそう告げてきた事に少し後ろめたさを覚える。
 この状態は、元々自分が無理矢理抱いた事から始まったにも関わらず、母は己の責任のように感じているからだ。
 そう思わせてしまった事が悲しかったのである。
「辛くなどありません。僕は母さまと愛し合えて幸せですから……」
「でも村の者達は、以前よりあなたを白い目で見ているのでしょう? 虐めも激しくなったのでしょうし……それは全て私の責任です。母親としてあなたを拒めなかった私の……」
「いえ、それは違います。僕が無理矢理母さまを抱いたのですから」
「始めはそうです。でも今は、私の方が熱心にあなたを求めてしまっています。ですからこれは、あなた無しでは耐えられない私の責任なのです……」
 少年の心には複雑な想いがあった。
 村中に知られている自分と母の関係。
 それ自体は問題なかった。
 自分は母を愛し、母も自分を愛してくれているのだから、そんな二人が交わる事に何の引け目も感じなかったからだ。
 しかし「父親に似ているから息子も誘惑したに違いない。淫乱な女だ」などといった母に対する中傷は、少年には耐え難いものだった。
 自分が悪く言われるのは耐えられたが、母が悪く言われる事は許せなかったからだ。
 今や少年にとって母は、母親としてだけでなく、愛する一人の女性としても大切だったのである。
 その大切な女性が誹謗中傷にさらされているのだから、憤って当然だろう。
「母はもうあなたに抱かれずにはいられないのです。こうして悔やんでいる間にも、あなたの男の子(おのこ)へ視線がいき、早くまた入れてもらいたいと欲しているのですから……何と罪深いのでしょう……」
 そう言いながら母の手は肉棒を掴んでいた。
 表情も自然と緩まり、肉欲に染まった顔になっている。
 実際母は淫乱なのだろう。
 他の女性は知らないが、ここまで自分を求め、抱かれたがるのは異常に思えたからだ。
 しかしそれが強い愛情ゆえだと思える少年にとっては気にならない事だった。
 何より自分にしても、母無しでは居られないほど母に夢中になっていたのだから。
「ああっ、もう我慢できないっ。淫らな母を許して……」
 母はそう叫ぶと、肉棒を口に含んで愛おしそうに舐め出した。
 その肉欲に狂った言動は、射精して一旦落ち着いた少年の肉欲に再び火を付けるのに十分ないやらしさがあった。
 愛する母に肉棒を咥えられる事は、たまらなく嬉しく幸せな行為であり、何より母を支配しているという感じがして最高だったのである。
 少年は母に対する愛おしさを強めながら、股間から湧き起こる快感に身を委ね、優しく母の頭を撫でていくのだった。


 それから数日後、母は呼び出しを受けた。
 母の母、少年にとっては祖母であり、父親が同じなため姉でもある女性からだ。
 祖母は母と同じく「父親に抱かれた娘」であるのだが、村人から虐げられていなかった。
 それは彼女が村における権力者であるためだった。
 元々は父が権力を持っていたのだが、それを祖母が受け継いだのである。
 祖母は父を母に奪われた事を恨んでいたため、その力を使って母を虐げているのであり、村人もそういった後ろ盾があるゆえに、本来ならば権力者の娘として敬うべき母を虐げていたのだった。
 同じ父の娘という立場であるのに、どうして母ばかりが虐げられるのか。
 それが少年には悔しかった。
 現在の自分と母との関係は、母を責める格好の材料であるから、祖母は相当にきつい事を言ったに違いない。
 帰ってきた母は、暗く落ち込み、しばらく塞いだままだった。
 無理をして笑みを浮かべる姿がいたたまれず、少年は何故母がこのような目に遭わなければならないのかと憤慨した。
 自分にもっと力があれば守ることが出来るだろうに。
 だが現実の自分には、そんな力など無かった。
 何故自分には力が無いのか、守れない自分は何と情けないのか、そういった想いで頭が一杯になる。
 自分一人が辛かった時には無かったその想いに、少年の心は激しく猛った。
 体の奥底から落ち着かない、暴れ出したい衝動が湧き起こり、体が震え出す。
 悔しさと悲しさが強まって、顔が歪んでいくのが分かる。
 そんな状態を母に見られたくなかった少年は、外へ飛び出すと無茶苦茶に走り出した。
 とにかく全力で走りまくり、心に存在する強い感情を発散させようとする。
 周囲の風景が全く目に入らず、自分がどこを走っているのかすら分からない。
 大声で喚いていた気もするし、何度か転んだ気もするが、痛みを感じる事もなく、夢中になって走りまくった。
 しばらくして大きく滑り、派手に倒れた所でようやく走るのを止める事が出来た。
 荒い呼吸を繰り返しつつ、走ることしか出来ない自分に情けない思いを感じながら、ボンヤリとその場に佇み続ける。
(あれは……)
 そしてふと目に入った巨大な門の姿に、そこが憎むべき祖母の住む屋敷である事に気がついた。
 どうやら祖母に対する怒りが、無意識の内に足を向けさせたらしい。
 先ほどまでであればそのまま怒鳴り込み、無茶苦茶に暴れ回っただろうが、落ち着いてしまった今ではその様なことをする気力はなかった。
 そもそもそういった事をする気概があるのなら、日頃から虐めてくる相手に食ってかかっているだろう。
 少年は大人しい気質であるため、先ほどまでのように怒りに包まれている状態ならともかく、落ち着いてしまえば人に文句を言うなど恐ろしくて出来ないのだった。
 少し前までは平気で見ていられた巨大な門に対しても、徐々に恐れが湧き起こってくる。
 それはまるで祖母の権力の大きさそのものであるかの様に少年には感じられ、改めて祖母に対する恐れを感じたのだ。
 この様な場所にいつまでも居ては、見つかった時に何を言われるか分かったものではなかった。
 早々に立ち去った方がいいだろう。
 そう思って起き上がり、歩き出そうとした時だった。
「待ちなさい」
 不意に誰かに声かけられ、恐る恐るそちらへ視線を向けると、自分をいつも虐める少女が立っているのが見えた。
 途端に恐怖で体がすくむ。
「私は言ったわよね。私の前に断りもなく出てきては駄目って。それがどうしてこんな所に居るのかしら?」
 少女は珍しく一人だったが、そうであっても恐ろしさに変わりはなかった。
 年齢も体つきも少女の方が上だったからだ。
 そもそも何かされても逆らう気力が少年には無かったのである。
「そう言えばあなた、母親と汚らわしい事をしているみたいね。やっぱり汚れて産まれてきた人間は、汚らわしい事をする様になるって事なのかしら。ホント汚らわしいわ」
 蔑みの視線が強く突き刺さる。
 自分が母を抱いているのは事実であったため否定出来ないが、汚らわしいというのは腹が立った。
 母を抱いている時、少年は強い愛情を覚えるのだ。
 それにあの気持ちの良さ。
 それらが汚らわしいとはとても思えなかったのである。
 そもそも自分と母がしている行為は、大人であれば皆がしているという事を知っていたため、そうして普通にしている行為が、何故母親が相手になると汚らわしくなるのか理解出来なかった。
「よほどあなたの母親って淫乱なのね。子供のあなたにそんな事をしちゃうなんて。他に男はいくらでも居るでしょうに、相手にされないからって実の息子を誘惑するなんて相当おかしいわよ。まさに淫乱女だわ」
「!……」
 そう言われた瞬間、治まっていた怒りが再び湧き起こった。
 例えどんな相手であろうと、母を侮辱するのは許せなかった。
 強い怒りと憎しみが体中を包み込み、少女の顔を憎々しげに睨み付ける。
「な、何よ。急にそんな目をして……ふ、ふんっ、怖くないんだから。しょせんあんたは汚れてるのよ。私には何も出来ないんだから……ま、まあ、せいぜい今後は私の前に現れないことね……」
 少女は驚いたようにした後、動揺した感じで呟くと、そそくさと去っていった。
 どうやら自分の目つきは相当悪かったらしい。
 あの少女がたじろいだくらいだから、よほどの事だろう。
 初めて少女にやり返せた事に嬉しさを覚えつつも、後で今まで以上に虐められるのではないかと思うと暗くなった。
 取り合えず今は何もされずに済んだ事にホッとしながら、自分も早く立ち去ろうと家の方へ歩き出そうとした時だった。
「お待ちなさい」
 再び声をかけられ、まさか少女が戻ってきたのかと思いつつ、声が大人のものである事に気づく。
 視線を向けると、一人の女性が立っているのが見えた。
 それは何度か遠くからなら見たことがある、この屋敷の主であり、少年にとって祖母であり姉でもある女性の姿だった。
 年齢は四十歳くらいだろうか、母に似ているその美しい姿に、憎しみを忘れて一瞬見とれてしまう。
「あなたは……あなたがどうしてこんな所に居るのかしら?」
 女性の言葉から、自分が誰であるのかを知られてしまったらしい事に焦る。
 汚れた存在と思われている自分が屋敷の傍に居たのは、女性にしてみれば気に食わない事だろうから、後で母がまた酷い目に遭わされるのではないかと思ったのだ。
「膝をどうしたの?」
 女性は傍までやって来ると、優しげな顔で尋ねてきた。
 そこで初めて膝が血でにじんでいるのに気がついた少年は、ジクジクとした痛みが感じられるのに慌てた。
 何度か転んだ時に出来た傷だろう。
「転んだんです。僕、もう行きますから」
 簡潔に答え、そのまま立ち去ろうとする。
「何を言っているの、そのままじゃ駄目よ。きちんと薬を塗らないと。さあ、こちらへいらっしゃい。私が塗ってあげますから」
「いいんです……」
「良くないわ」
 母を虐める人間の世話にはならないと思い、そのまま優しい促しを振り切って帰ろうとした時だった。
(!……)
 女性の手が肩に触れた瞬間、意識が遠くなった。
 触れられている部分から、何とも言えない甘美な快感が走り抜けたのだ。
 肉棒が一気に勃起して痛いほどに硬くなり、呼吸が荒くなって激しい肉欲が湧き起こってくるのが分かる。
 抑えられない肉欲が、母を抱く時に起こるのと同じ肉欲が強烈に湧き起こっているのだ。
 無性に女が欲しくてたまらなくなり、目の前の女性の体を舐めるように見てしまう。
 全体的に柔らかさを感じさせる女性の肉体は実に魅力的であり、特に豊満な胸の膨らみは強烈な肉欲を呼び起こした。
 このいやらしい体を抱き締め、大きな乳房を揉みしだいたらどれほど気持ちがいいだろう。
 そんな欲求で頭が一杯になり、何が何だか分からなくなっていく。
「こっちよ……」
 女性の声に意識を戻すと、いつの間にやら屋敷の中に入り込んでしまっている事に気づいて驚く。
 女性の体に夢中になるあまり、自分がどのような行動を取っているのか認識出来なくなっていたのだ。
 母に辛く当たる人間の体に意識を奪われるとは何と情けないことだろう。
 さっさとこの場から離れ、家へ帰るべきだ。
 潔癖な少年の心はそう告げていたが、幼いながらも女を知った肉体は、目の前に居る女を己の物にしろと訴えており、それを抑える事は出来なかった。
 何より女性の目は誘うようにこちらを見つめており、触れている手からは蕩けるような快感が伝わってきていて、その誘惑をはね除ける気力など少年には無かったのである。
 この女性に肉棒を押し込み、甘く喘がせて精を放ったらどれほど気持ちがいいだろう。
 そんな妄想に鼻息が荒くなり、頭が朦朧としてくる。
「ここで待っててね……」
 ボンヤリとした頭に女性の声が聞こえたかと思うと、その瞬間、自分が大きな部屋で座っている事を発見して驚愕する。
 何と言うことだろう。
 自分はすっかりこの女性に手なずけられてしまっている。
 促されるまま部屋まで来てしまったのだ。
 本来ならば殴ってもいいくらいに思っている相手であるのに、体に触れられ優しい言葉をかけられた事で心地良い気分になり、湧き起こる肉欲のせいで何も考えられなくなって、されるがままになっていたのである。
「薬を持ってきたわ。さ、塗ってあげますからね?」
(!……)
 不意に体が柔らかなモノに包み込まれ、一瞬意識が途絶える。
 女性が背後から優しく抱き締めてきたのだ。
 甘い匂いが感じられ、それによって気力の抜けた少年は力を抜いた。
「この薬はよく効くから大丈夫よ。でもまずは傷口を綺麗にしないと……」
 そう言うと女性は膝に顔を近づけてきた。
 背中に当たる柔らかな感触が倍増し、少年は何が何だか分からなくなった。
(う……)
 次の瞬間傷口をペロリと舐められ、微妙な痛みと快感が走り抜けて体が硬直する。
「あら、痛かったかしら? ならしっかり抱き付いていてね。ほら、こういう風に……」
 女性は少年の体を逆向きにすると、自らの胸に顔を押しつけさせるようにした。
(!……)
 母とは異なる乳房の感触に、少年の興奮は激しく高まった。
 それと共に罪悪感が湧き起こる。
 今の自分は母を裏切っているように思えたからだ。
 憎むべき相手の体に興奮しているのだから当然だろう。
 だが少年は女性の体を欲していた。
 まるで愛する母を抱く時と同じように。
 母の体と同じくらい愛しく思えてしまい、今すぐにでも抱き締め返したくなったのだ。
 それは許されない事だった。
 しかしそう思えば思うほど興奮は激しく高まっていった。
 求めてはいけない、だが求めずには居られない、そういった想いが妖しい快感をもたらしていたのである。
「私の事を憎んでいるかしら?……当然よね、あなたのお母さんに酷い事をしているのですもの……」
 不意に発せられた女性の問いかけに驚く。
 何より自身の行為を悔やんでいる様に聞こえる口調が気になった。
 てっきり嬉々として母を虐めているのだと思っていたからだ。
「私も良くないと思ってはいるのだけれど……でもどうしようも無いのよ。あなたのお母さんは、私の一番大切な人を奪ったのだから……」
 やはり罪悪感を感じているらしい。
 そして女性の述べた母を虐げる理由に、少年は辛くなった。
 確かに母は、祖母から父を奪ったからだ。
 理解していたはずの事だったが、改めて奪われた当人から聞かされると違った印象があった。
 これまでは母が絶対的な被害者に思えていたのだが、実際に奪われた側の様子を知ってしまうと、「この女性が母を虐げても仕方がない」といった想いが起きてしまったのだ。
 しかしだからと言って、母に酷い事をしているのを認めるつもりはもちろん無かったのだが。
「もし今、お母さんが誰かを愛するようになったら、あなたはどうする?」
「え……?」
 続けて発せられた予想外の質問にハッとなる。
「あなたは今、お母さんが愛しているのは自分だけだと思っているでしょう? でもそうじゃなくなるの。あなた以外の男の子を、あなたと同じ、いえ、それ以上に思えるくらいお母さんが愛するようになるのよ。そんな状態に、あなたは耐えられる?」
「……」
 そんな想像はした事も無かった。
 そして想像してみると、激しい怒りと悔しさが湧き起こった。
 その相手を殴り、母を奪い返したい想いで一杯になったのだ。
「耐えられないでしょう?」
 女性の問いかけに、思わず頷いてしまう。
 だがそれは、母に対する女性の行為を認めたと同じであり、少年にとって認めてはならないはずの事だった。
 慌ててそうした想いを振り払い、どんな理由があっても母に対して酷い事をするのは許せないのだと思い込む。
 しかし先ほどまでのように強く憎む事は出来なくなっていた。
 この女性も辛いのだという同情心が起きてしまっていたからだ。
「さ、薬を塗りましたよ。今度から気をつけなさいね?」
「……あ、ありがとうございました」
 苦悩している間に手当てが終わっていた事に驚きつつ、質問されていた間は治まっていた肉欲が再び高まってきたのに気づく。
 何しろずっと密着しているのだ。
 甘い体臭や柔らかな肉の感触が伝わってきているため、一旦意識してしまえば抑えられなくなるのである。
 何よりずっと自分を憎んでいると思っていたのに、女性は母のように凄く優しくしてくれたため、その事で惹かれ始めていたのも大きかった。
 肉棒がビクンビクンと震え始め、それをどうにかしなければおかしくなりそうだった。
「あら?……ふふ、大変。こんな所が腫れているわ……」
「うっ……」
 女性は妖しげに笑った後、不意に肉棒をギュッと掴んできた。
 そのまま優しく揉み撫でられたため、体が硬直し、快感が頭に響く。
「あの……」
「いいのよ、いいの……ジッとしてなさい。ここも治療してあげますから……」
 女性のいやらしい微笑みに心臓が跳ねる。
 その雰囲気から、どうやら女性がいやらしい行為を、自分と母がいつもしている行為をしようとしているのが分かった。
 女性の笑みが、母が肉棒を欲している時の微笑み方にそっくりだったのである。
 何故そのような事をしてくるのか分からなかったが、すでに女性の魅力にハマっている少年にとり、それはどうでもいい事だった。
 今は股間で猛っている肉棒を何とかしてもらう事が最優先事項だったからだ。
「さあ、腫れている所を見せてちょうだい……」
 女性がそう言うのと同時に下着が脱がされ、股間が丸出しになる。
 肉棒が勢い良く起き上がり、興奮からビクンビクンと震えた。
「ふふ、凄いわ……それじゃ、さっきみたいに舐めてあげるわね……」
 女性はうっとりとした表情を浮かべながら股間に顔を寄せてくる。
 次の瞬間、パクリと肉棒が咥え込まれ、舌が絡みついてきた事で体が硬直した。
「うぁっ……くっ……」
 すでに母で何度も経験している行為だったが、感触が微妙に違っていた。
 年齢の差なのか、ネットリとした感じが強かったのだ。
 熟女の色気を感じ、興奮が高まっていく。
「うっ……」
 亀頭を覆うように舌が絡みつき、強く吸われる事に腰が持って行かれるような快感が起きる。
 裏筋をチロチロと舐められ、そのもどかしい刺激に体がビクビクと震えた。
 続けて肉棒全体が口に含まれて激しく出し入れされると、体中から力が抜けていった。
(何て、気持ちいいんだ……)
 母相手では存在しなかった刺激を与えられ、少年は初めて経験する気持ちの良さにうっとりとなった。
 何より母を虐めている相手に気持ち良くさせられているという事が罪悪感を感じさせ、それがより興奮を高めていた。
 してはいけない、と思えば思うほど気持ちの良さが高まるのだ。
 それは母を抱いている時に味わっている感覚と似ていた。
(母さま……うぅっ!)
 見上げてきた女性の顔が一瞬母と重なり、その瞬間精を放つ。
 親子であるから顔が似ているのもあったが、日頃母としているのと同じ行為をしたためその感覚が強まったのだろう。
 ドクドクドクと放出されていく精液に快感を覚えつつ、それを飲んでいる女性の様子に精神的な興奮を覚える。
 母を虐げている相手に精液を飲ませているという状況が、まるで仇討ちをしたかのように思えたのだ。
 そしてそれによって、母としている時に感じるよりも強烈な征服感を感じた。
 このままこの女性を組み敷き、肉棒を押し込んで喘がせたらどうだろう。
 自分の肉棒で女性を支配下に置くのだ。
 それは何とも経験した事のない気持ちの良さを味わえそうな気がしてたまらなかった。
 視線を下に向ければ、そこには柔らかそうな、いやらしい肉体があった。
 この体を自由にしたらどれほど気持ちがいいだろうか。
 好きなように舐め回し、揉み、肉棒で突きまくるのだ。
 そう思い始めると、沸々と肉欲が湧き起こり、我慢が出来なくなってくる。
 呼吸が荒くなって体が震え始め、今すぐにでも目の前にある女体にむしゃぶりつきたくて仕方がなかった。
「いいのよ……いらっしゃい……」
 いやらしく誘ってくるその言葉がきっかけとなった。
「うぁっ!」
 少年は勢い良く女性を押し倒すと、着物の前を開いて豊満な乳房をさらけ出した。
 丸くて重みのある白い物体は、劣情にさらに火を付け、少年は呻き声をあげながらむしゃぶりついていった。
「あっ、ああっ……いいわ、あんっ……いいっ……あっ、あっ……」
 女性は悦びの声をあげ、色っぽく体をくねらせている。
 しっとりとした肌に触れると、それだけで手のひらからジンワリとした快感が染み込み、こちらの体を受け止める肉の感触には、そのまま取り込まれるような快感があった。
 全身から甘い体臭が漂い、それを嗅いでいると目の前の女体を抱くことしか考えられなくなってくる。
 その熟女ならではの魅力は若い母には無いものであり、少年は夢中になって熟した肉体を味わっていった。
(凄い……こんな体があるなんて……あぁ……おかしくなりそうだ……)
 初めて体験する熟れた肉体。
 どこまでも吸い込んでいくかの様な柔らかすぎる肉は、少年の劣情を全て包み込むかのようだった。
 ムニュムニュと乳房を揉み、乳首に吸い付いていると興奮が物凄く高まり、頭がボンヤリしてくる。
 女性の体に触れていると、それだけでおかしくなっていくのだ。
 意識の片隅で、女性の手が自分の体から衣服を脱がしていくのが分かる。
 快感に喘ぎつつもそうしている女性に比べ、一心不乱に乳房を貪っている自分は何と余裕が無いのか。
 まるで女性の手のひらの上で遊ばれているような感覚を覚えた少年は、悔しさで一杯になった。
 女性を支配し、母の無念を晴らすつもりが、逆に自分の方が夢中になってしまっているのだ。
 しかし目の前で妖しくくねる白くて熟れた肉体を見ていると、そんな事はどうでもよくなっていった。
 今はこの気持ちのいい体をもっと味わうべきだろう。
「あんっ、あっ……いいわ、いいわよ、あっ……もっと強く、あんっ……いぃっ……」
 女性が頭を仰け反らせると共にグイとこちらの体を引き寄せ、裸同士になった体が密着する。
(うぁ……き、気持ちいぃ……)
 生の肌同士が擦れ合い、温かで柔らかな肉に包まれる感触はまさに極上だった。
 身長の差もあって、少年の体は女性の体の中に全て収まり、全身が気持ちのいい感触で一杯になったのだ。
 何より女性の体は柔らかく、熱く、蕩けてしまいそうな感触で溢れていてたまらなかったのである。
 このまま女性に取り込まれたい。
 そんな想いが高まると共に、股間の肉棒が激しく震える。
 もう我慢出来なかった。
 早く中に入りたい。
 この女性の中に肉棒を押し込みたかった。
「さ、私の中へいらっしゃい……」
 その願いを了承する女性の言葉を、耳元で優しく囁かれた少年の獣欲は激しく高まった。
 勢い良く上半身を起こすと、一気に肉棒を押し込んでいく。
「あぅんっ……あっ、ああっ……」
 ズブッ、ズブズブズブ……。
 母で慣れているはずであるのに、少年に余裕は全くなかった。
 初めて味わう熟女の肉体を逃がしたくないという想いがそうさせているのだろう。
(うっ……何だこれ?……凄いぃ……)
 実際女性の中は経験した事のない気持ちの良さで一杯だった。
 強くも弱くもない程良い圧迫感と、熱くて湿った膣襞が肉棒に絡み付き、蕩けるような快感をもたらしてくるのだ。
 まるでぬるま湯に長時間浸かっている時のような、惚けさせるような気持ちの良さがそこにはあった。
 母との交わりでは弾力のある肉の中に入る感じだったが、女性の中はこちらを全て受け止めるような、底なし沼のような感触があったのである。
 それはいつまで快楽を味わっても底が見えないのではないかと思わせる、恐ろしさを伴う快楽だった。
「ふふ、元気ね……こうして繋がってるだけで、んっ……私を気持ち良く……してくるわ、あぁ……」
 まだ腰を動かしてはいないが、肉棒が強く鼓動しているため、それによって起きている微妙な快感を女性も感じているのだろう。
 何しろ肉棒はピッタリと膣襞に絡みつかれ、鼓動程度の動きであってもよく分かるのだ。
 母を抱いている時にもそれはあったが、熟れた肉体であるせいか、その密着感が強かったのである。
「あなたの男の子(おのこ)は父さまのと同じ……やっぱり父さまの子ね……素敵よ……」
(!……)
 その言葉にハッとなる。
 考えてみればこの女性は、自分の祖母であり姉でもある人なのだ。
 同じ父親の子でありながら、祖母と孫という異常な関係であり、そんな相手と交わっているのだと思うと急に恐ろしさが湧き起こった。
 そもそも母や自分が辛い目に遭っているのも、そうした親子での交わりが問題なのであり、自分が今父と同じ行為をしているのだという事に気づいたのである。
「ふふ、動揺してるのね? 父さまと同じ事をしているって……」
 まるで心を読んだかのように告げてきた女性に驚く。
「でももう遅いわ。あなたは私と繋がった……弟で孫であるあなたは、姉であり祖母である私と交わるのよ」
 改めて口にされると動揺が激しくなった。
 思わず肉棒を抜こうと体を引くと、白い脚がまるで蛇のように腰に絡み付き、逃がすまいとしてくる。
「駄目よ今更……あなたは父さまの生まれ変わり。私を抱かなければいけないの……ふふ、こうして繋がっているとよく分かるわ。あなたの男の子(おのこ)は父さまそのもの。私の体を貫いて、愛を与えてくれる……ああ、可愛いわ。あなたは何て可愛いのっ」
 女性がギュッと抱き締めてくる。
 間近に迫った瞳には狂気が感じられ、少年は恐怖を覚えた。
 この女性は狂っている。
 まともではないのだ。
 自分と父を重ね、父を求めるようにして自分を求めているのである。
 何と恐ろしい執着だろう。
 だがそうして恐怖する一方で、興奮している部分もあった。
 禁忌を犯しているという感覚が、激しい性的悦びとなっていたのだ。
 姉であり祖母であるこの女性。
 彼女自身も父の子であり、その父との間に母を作り、母は父に抱かれて自分を産んだ。
 その母を自分は抱き、今は祖母を抱いている。
 まるで父がした事を逆になぞっているように思え、その事に妙な興奮を覚えたのである。
「あっ、あっ、ああっ……」
 興奮が体を動かしたのか、自然と腰が動き出し、女性の中を激しく突きまくった。
 肉棒が擦れると蕩けるような快感が走り抜け、少年は思わず頭を仰け反らせた。
 女性の膣は極上で、腰を引くと逃がすまいと絡み付き、押し込むと奥に引き込むように吸い付いてくるのだ。
 そうした部分は母と同じであったが、母よりも肉棒に対する吸い付きが強烈なのが凄まじかった。
 母との交わりには愛があり、心身共に一つになっている感覚が強かったが、この女性との交わりは、肉体のみが一つになり、溶けていってしまうような感覚があった。
 肉棒が、いや腰全体が引き抜かれそうであり、体の中身が吸い取られるような感じがしたのだ。
「あんっ、あんっ、ああんっ……いいわっ、いいのっ、いいぃっ……」
 女性は狂ったように頭を振り、悶えている。
 長い髪の毛が乱れ、何とも色っぽい。
 女性の喘ぎが高まれば高まるほど、膣内もキュウキュウと締まり上がり、少年は強い快感を覚えた。
 母との交わりでは、優しく肉棒を包まれ、快感を与えられる感じがしたが、この女性との交わりでは強い刺激があった。
「あっ、ああっ……いいわ、あんっ……元気ね、あぁっ……若いから、あんっ……強く叩き付けて、あぁっ……響く、響くわ、あっ……奥に響くぅっ……」
 少年の腰つきに、女性は顎を仰け反らせて甘く喘いでいる。
 その様子に、自分が女性を支配している実感を持った少年は激しく興奮した。
 村で権力を持った、本来逆らえない相手であるはずの女性を、今自分は好きにしている。
 腰の動き一つで喘がせ、甘い吐息を吐かせているのだ。
 それは何ともたまらなく気分のいい事だった。
「ああんっ、いいっ、いいのぉっ……もっとよ、もっと、あぁっ……もっとして、もっと突いてぇっ……」
 腕と脚が強く絡み付き、潤んだ瞳が求めるように見つめてくる。
 そうした姿を見ていると、肉棒がさらに猛って腰の動きに力が入っていった。
 慣れない肉体との交わりに、母を抱く時にはない興奮が高まっていく。
「ああぅっ、やっ、やぁんっ……凄い、凄いの、あんっ……凄いわぁっ……あっ、あっ、ああぁっ……」
 狂ったように悶え、頭を激しく振り、髪を乱す女性の姿は、いやらしさで一杯だった。
 その状態にしているのが他ならぬ自分だと思うと、何ともたまらない精神的な快感を覚える。
 肉体的な快楽としても女性の体は気持ち良く、特に膣が肉棒に与えてくる刺激には蕩けるような良さがあった。
「くっ……僕もう、出ちゃいますっ……」
 強烈な快感に射精感が急速に高まった。
「いいわ、出して、あんっ……中に出して、ああっ……あなたの子だねを、やぁっ……あなたの、父さまの子だねを、あんっ……私に、私に頂戴ぃっ……」
 女性がさらに強く両腕両脚を絡みつかせて抱き付いてきた。
 それは一滴の精液すら逃がすまいとする意志の表れのように感じられ、何より「父さまの子だね」と言っている点が、女性の父に対する執着の恐ろしさを感じさせると共に、ゾクリとした激しい興奮を呼び起こした。
 祖母と孫であり、姉と弟でもある自分達の間に子供が出来たら、それは一体どんな存在なのか。
 そしてそれは母との間でもあり得る事なのだと思った瞬間、強い恐怖と快感が体に走り抜けた。
 父と祖母、母、そして自分は親子姉弟で交わりまくっている。
 何と淫らなのか。
 そう、淫らなのだ。
 母との愛のある交わりではさほど感じなかった淫猥さが、女性との交わりには感じられ、同じ事を父達もしてきた結果として自分が産まれたのだと思うと、後ろ暗い淫靡な感覚が起こった。
「あんっ、あんっ、ああんっ……もうイく、あぁっ……もうイくわ、あんっ……もうイくのぉっ……やっ、やっ、やぁっ……駄目、駄目、駄目ぇっ……あっ、あっ、あぁあああああああああっ!」
「うぅっ!」
 女性が絶叫すると共に、少年も精を放った。
 ドクドクドクと勢い良く迸る精液を感じながら、強い快感と満足感が押し寄せてくるのにうっとりとなる。
 何より自分が精を注ぎ込んだことで、女性との間に子供が出来るかも知れないという事が、背徳的な興奮を呼び起こしていた。
 これまでも母との交わりで禁忌の想いを感じてはいたが、「子供が出来る」という事を意識した事で、それがより強まったのだ。
 女性との間、そして母との間に子供が出来るかも知れない。
 それは何とも恐ろしさを感じさせると共に、ゾクゾクする興奮を呼び起こすものだった。
「あ……あぁ……はぁん……」
 甘い吐息を漏らしながら、女性が満足げな笑みを浮かべている。
 その様子を見ていると、射精の途中の肉棒が激しく猛った。
 この女性は何と素晴らしく、いやらしい体をしているのだろう。
 これまで祖母は憎らしいだけの存在だったが、今は違っていた。
 魅力溢れる女として強い好意を抱くようになっていたのである。
 母を虐める存在に対して好意を抱くなど許されなかったが、こうして自分の行為で甘く喘ぐ姿を見てしまうと、以前のようには憎めなかった。
 何よりもっとこの体を味わいたいし、出来れば子供を作ってもみたかった。
 この女性、そして母を妊娠させ、自分の子を産ませてみたかったのだ。
 そんな背徳的な妄想を抱きつつ最後の射精を終えた少年は、体の下にある柔らかで温かな女肉の感触に、再び肉棒を硬くしていくのだった。


 目の前に少女が座っていた。
 少年の事を「汚らわしい」と言っていたあの少女だ。
 彼女は肌が見える薄い着物を身に付け、布団の上で悄然としている。
 これから少年に抱かれるためだった。
 何故その様な事になっているのかと言えば、少年が村における権力者となる可能性が出てきたからだ。
 祖母である女性を毎日抱き、夢中にさせた結果、少年は女性の跡継ぎとなったのである。
 それによって村人の態度は一変し、虐められる事が無くなり、逆に媚びを売られるようになった。
 その一環として、少女は少年に差し出されたのだ。
 村における祖母の権力は絶大で、その跡継ぎである少年の妻になる事は、そうした権力を手に入れるのに等しかったため、少女はその事を目論む父親の命令で少年の嫁候補とさせられたのである。
 虐めをされてきた相手を妻にするなど本来は嫌なことであるはずだったが、少年には少々違った想いがあった。
 祖母の跡継ぎとなった事で起きた村人の変化、自分に媚びを売ってきた態度から、権力の凄さを痛感していたのだ。
 目の前に居る少女は、今も自分の事を「汚らわしい」と思っているだろうに、自分に抱かれなくてはならない。
 そうした少女の意志を踏みにじる行為によって、これまで自分と母がされてきた事を思い知らせる事が出来ると思ったのである。
 嫌がる少女を感じさせ、最後は自ら求めさせる状態にする。
 そうやって屈服させ、支配する事に激しい興奮を覚えていたのだ。
 実際心臓は激しく鼓動し、肉棒は痛いほどに勃起していた。
 あの偉ぶっていた少女を、これから自由に出来ると思えば思うほど、肉欲が高まっていたのである。
「!……」
 少年が動いた瞬間、少女はピクッと体を震わせた。
 これからされる事に恐怖しているらしく、表情がこわばっている。
 それは今まで自分がされてきた行為を思い返すと、何とも気分のいい事だった。
「嫌……」
 肩に手をかけると小さな声が聞こえたが、少女は慌てて飲み込むようにして押し黙った。
 本来は嫌でたまらないのだが、少年の得た権力の前には何も出来ないのだ。
 その事に改めて悦びを覚えた少年は、そのまま少女の体を抱き締めた。
 母や祖母とは異なる、まだ硬さの残る肉の感触にゾクリとした快感が起きる。
 初めて同世代の少女を抱くのだと意識すると、肉棒がビクンっと震え、心臓が激しく鼓動した。
 ゆっくり少女の体を布団の上へ押し倒し、着物の合わせを開く。
 白い肌とふくらみかけの乳房が目に映り、ゴクリと唾を飲み込む。
 まだ子供の印象を残す初々しい肉体は、母達を抱く時とは異なった興奮があった。
 母達の肉体は、体を重ねると柔らかく受け止めてくる感じがしたが、少女の肉体は弾力があって跳ね返される感覚があったのである。
「ぁ……」
 小ぶりの乳房をギュッと掴むと、少女が小さく喘ぐ。
 これまた母達とは異なる堅めの感触に、新鮮な思いを抱いた。
「ん……あ……んん……はぁ……」
 そのまま両手で掴み、ゆっくり揉みしだくと、少女は困ったような顔をしながら体をピクピクと震わせた。
 時折睨みつけてくる事にドキリとしつつ、それ以上は何も出来ない事に爽快感を覚える。
 こちらのする行為に嫌悪感を抱きつつも、少女はそれを止めさせる事は出来ないのだ。
 以前であれば暴力を使ってでも止めただろう。
 だが今は、そんな事をすれば嫁候補から外れてしまう事になるため出来ないのだ。
 その事に暗い喜びを抱きつつ、もっともっと気持ち良くさせ、少女を本気で感じさせてやろうと少年は思った。
 そうしてこそ本当の意味で少女を支配した事になるからである。
「あっ……やっ、嫌っ……それ、あっ……」
 ピンク色をした小さな乳首に吸い付き、弾くようにして舐め回すと、少女は布団をギュッと掴んで甘く喘いだ。
 キツい目元が緩み、快楽の表情が浮かぶ様に満足な想いを抱く。
「あっ、んっ……やっ、はぅっ……あぁっ……」
 そのまま乳房を揉み、乳首を吸い、首筋にも舌を這わせていくと、少女は体をクネクネ動かしながら、どうしたらいいのか分からないように悶えている。
 呼吸は乱れまくり、頬は紅潮していて色っぽかった。
 まだ子供であるのに、そういった様子は母達と同じなのだと思うと、妙な面白さを覚える。
 このまま秘所に肉棒を押し込んだら、やはり同じように喘ぐのだろうか。
 そんな疑問を抱きつつ、股間に顔を寄せて小さな突起に舌を這わせていく。
「あぅっ……あっ、あぁっ……そこ駄目、やっ……それ駄目、ああんっ……」
 その瞬間、少女は激しく体を震わせ、それまで以上に大きく喘いだ。
 そのまま舐め続けると顎を何度も仰け反らせ、少年の後頭部を掴んで股間に強く押しつけてくる。
 その様子に満足感を覚えた少年は、いよいよとばかりに起き上がると、肉棒を持って秘所に近づけていった。
 少女は快感にグッタリとしており、何も反応を示さない。
「くっ……」
 亀頭の先が膣穴にハマると、気持ちのいい感触が湧き起こった。
 そのまま硬い膣穴に手間取りながら押し込んでいくと、何かを突き破るような感覚があった。
「あぐっ……痛っ……」
 少女が痛みに顔を歪める。
 だがその事に対する気遣いは無かった。
 これまでの仕打ちを考えれば当然の痛みだと思ったからだ。
「いぅっ……ぐっ……」
 腰を動かし出すと、少女は痛みに耐える表情を浮かべながら苦痛の呻きを漏らした。
 だがそのまま動き続けていると、徐々に声に甘いものが混じり始めた。
 予想していたよりも早く痛みは止んだらしい。
 しかし痛みで仕返しをする気はあまり無かったため、快感を感じ始めたのは良い事だった。
 このまま快楽を味合わせ、自分に従わせるのが目的だったからだ。
「あっ、あっ、ああっ……何? これ、あっ……やっ、嘘っ……」
 少女は自らが得ている感覚に驚いているのか、疑問の声を発している。
 その事に満足な想いを抱きつつ腰を強く動かすと、甘い喘ぎが大きくなり、少女が激しく乱れた。
「あんっ、あんっ、ああんっ……やっ、何でこんな、はぅっ……こんなの、やぁっ……変っ、変だよぉっ……」
 頭を左右に振り、激しく悶える少女の様子に興奮が高まっていく。
 自分を虐げてきた存在が、今や腰の動き一つで自由に喘ぐのだ。
 それは何とも気分のいい事だった。
 何より元々少女は整った顔立ちであったため、快楽に染まった顔は実にそそったのである。
「やっ、こんな、あんっ……凄い、あっ……こんなの凄い、やぁっ……」
 褒め称える言葉を言いつつ、少女が背中に腕を絡ませてくるのに苦笑する。
 自分に抱かれるのを嫌がっていたはずであるのに、今やすっかり求めるようにしているからだ。
 どうやらすでにかなり快感に浸っているらしい。
 ならばいよいよ仕返しをするべきだろう。
「気持ちいいですか?」
「!……」
 腰の動きを緩やかにしながら尋ねると、少女は一瞬ギョッとした表情を浮かべた後、悔しそうに視線を逸らした。
 自分がすっかり少年の行為に夢中にさせられていた事に気づいたのだろう。
 目つきが急にキツいものになり、困ったようにしているのが面白かった。
「どうなんですか? 答えて下さいよ」
 答えを促そうと腰を強く突き込む。
「あんっ……そ、そんなの分からない。分からないわ。私はただ抱かれているだけだもの、あっ、ああっ……」
 予想通り曖昧に答えてきたのに苦笑しつつ、それがどこまで続けられるかと思いながら腰の動きを強めていく。
「もっとハッキリして下さい。どうなんです?」
「あっ、ああんっ……やだ、ちょっと、あっ……そんな風にしたら、やぁっ……」
 小刻みに肉棒を突き込むと、少女はだらしなく口元を緩めた。
 キツくなっていた目もいやらしく潤んでいる。
「これでも分かりません? 僕に貫かれて、擦られて、気持ち良くなってませんか?」
「やっ、やぁっ……分からないわ、あんっ……分からないの、あぁっ……分からないんだからぁ、あっ、ああっ……しょうがないでしょ、やぁんっ……」
 どう考えても気持ち良くなっているのに、必死に誤魔化す少女に苦笑する。
 だがこのまま続けていけば、いずれ「気持ちいい」と言うのは間違いなかった。
 その状況を思い浮かべながら、少年はさらに激しく腰を振っていった。
「あんっ、あんっ、ああんっ……嫌っ、あっ……こんなの、やんっ……こんなの嫌よぉっ……」
 頭を左右に振り、涙ぐみながらそう叫ぶ少女の様子に興奮が高まる。
 口では「嫌」と言ってはいるが、すでに腰は求めるように動いているのだ。
 ずっと自分を虐げていた少女を組み敷き、自由に喘がせる事の何と気分のいいことか。
「そりゃ嫌でしょうねっ……僕に、父親と娘の間に産まれた汚らわしい男にこうされてちゃっ……汚らわしい僕のこれは、気持ち良く無いでしょうっ?……こうされてもっ、全然良くないでしょうっ?」
「あっ、あっ、ああっ……嫌っ、止め、あんっ……そんな突かれたら、あぅっ……わたし、あぁっ……わたしおかしく、あっ……おかしくなっちゃうぅっ……」
 少年が激しく腰を動かすと、少女は耐えられないように頭を左右に振り、快楽の喘ぎを発した。
 年齢も身長も立場も上だった少女を、こうして従えている事は、何とも言えない悦びだった。
 あれほど「汚らわしい」と蔑んでいた自分に、少女は抗う事が出来ないのだ。
 逆に媚びを売り、子だねを得なければならないのである。
 何とも気分のいい事だった。
 口だけは相変わらず嫌悪の言葉を発するが、腰を一突きするだけでだらしなく乱れては全く意味はなかった。
 逆に強がっているのがよく分かり、何とも可愛くなってくるのだ。
 年上の少女を可愛らしく感じ、従える悦び。
 少年の心は激しい満足感で一杯だった。
「やっ、やぁっ……駄目、あぁっ……わたし、ああんっ……いい、いいっ、あっ……気持ち、気持ちいいよぉっ……」
 ついに言わせた。
 表面上だったとしても、自分を認めさせる言葉を言わせたのだ。
 それはまさに少女を屈服させた瞬間だった。
「あぁっ、あんっ……もう、もぉっ……わたし、わたしもう駄目ぇっ……」
 すでに快楽に染まっている少女は、絶頂を迎えようとしていた。
 このまま沢山の精液を注ぎ込んでやろう。
 もし妊娠したらこの少女を妻とするのも悪くなかった。
 彼女の父親は村で権力を持っているため、味方にすると何かと都合がいいからだ。
 何より少女の強がっている態度を見ている内に、何とも可愛らしさを感じ、気に入り始めていたのである。
「あぅっ、あっ、やんっ……はぅっ、はぅっ、はぁんっ……イくっ、イくっ、イっちゃうぅっ……やっ、やっ、やぁあああああああああんっ!」
「うっ!」
 快楽の頂点でギュッと抱き付いてくる少女を心地良く感じながら精液を放つ。
 強烈な快感が頭を走り抜け、何度も何度も射精を行っていく。
 つい数日前まではあり得なかった状況に苦笑しつつ、少年は押し寄せてくる快楽に身を委ねた。
 あれほど憎らしかった少女は、今や可愛い存在でしかなかった。
 自分の腰の動き一つで悶える姿を見ていると、愛しさが湧き起こったからだ。
 快感の絶頂で惚けている少女の顔は何とも美しくもいやらしく、その顔を見ていると愛情を感じたのである。
 自分に夢中になって喘ぐ姿を見ていれば、そうなってもおかしくないだろう。
 これから毎日抱いていけば、もっと可愛くなり、妻として十分愛せるようになるかも知れない。
 虐められていた少女を妻にする。
 それは何ともゾクリとした快感を伴う想像だった。
 あれだけ自分を嫌っていた少女を自分の妻にするのだ。
 そして汚らわしい男である自分の子を孕ませてやりたい。
 その時この少女がどんな顔をするのか見物だった。
 少年はそうした歪んだ悦びを抱きつつ、脱力してぐったりしている少女に再びのし掛かると、すでに回復して硬くなっている肉棒を押し込んでいくのだった。


 目が覚めた。
 一瞬どこに居るのか混乱しながら、そこが見慣れた場所である事に気がつく。
 ここは神社、未迦知神の居る神社の本殿だ。
 どうやらようやく目が覚めたらしい。
 ずっと夢の中の少年と意識を一つにしていたせいか、自分が緋道神治に戻った事に違和感があった。
 自分自身に戻ったはずなのに違和感があるとは妙な事だったが、あの夢はまるで自分自身の事であるかのように感じられていたため、そうなってしまったのだ。
(それにしても……気持ちのいい夢だったなぁ……)
 思い返すと、肉棒が歓喜の震えを起こすほどだ。
 母親を抱き、祖母を抱き、憎たらしかった少女を征服したあの興奮。
 久しぶりに味わった背徳的な興奮は、神治の中に激しい悦びをもたらしていた。
 やはり女は素晴らしい。
 少し前までセックスに対するやる気を失っていたのが嘘のように、今やすっかり女を抱きたくてたまらなくなっていた。
 まるでセックスを覚えたての頃の興奮が蘇ったかのようだ。
 少年の意識に同化し、初めてセックスを経験した時の気持ちを思い出したせいかも知れない。
 さらに言えば、夢の中で味わったのはどれも神治が悦びを覚えるシチュエーションであったため、余計に興奮が大きかったのだろう。
 母親とした激しい劣情を受け止めてもらうセックス。
 祖母とした誘惑されるセックス。
 少女とした無理矢理犯していくセックス。
 それらは全てが女を支配する事に繋がっていて、凄く気分が良かった。
 自分を産みだした母親、権力の象徴であった祖母、そして自分を虐げていた少女。
 彼女たちを征服した悦びは、男としてたまらない気持ちの良さがあったのだ。
 単純に女を支配するだけではない事に、ゾクゾクするような悦びがあったのである。
 セックスにはこうした楽しみがある。
 単に抱くだけではなく、相手との関係やセックスに至るまでのシチュエーションによって興奮が大きく変わるのだ。
 今回見た夢の内容は、そういった事を改めて実感させてくれた。
 少年の、セックスの悦びに目覚めたばかりの興奮は、今の神治では得られない素晴らしさがあり、それを疑似体験した事でセックスの良さを再認識したのである。
(それにしても、何でこんな夢を見たんだろ……)
 改めて考えると、何とも不可思議な夢だった。
 自分の知らない人々、風景。
 おそらく過去の時代に生きていたと思われる少年と意識を一体化させ、彼のセックス経験を共有した。
 夢とは本来記憶から再構築されるもののはずだが、どれもこれも自分の記憶には無いものばかりなのが謎だった。
 以前魂を調べてもらった際にも似たような夢を見たが、今回のはあれよりもさらにリアルになっていた気がした。
 前の時は相手が喋っている内容が聞こえなかったが、今回は互いの言葉がよく分かり、さらには視点となっている少年の心すら分かったからだ。
 もしかすると、あの記憶は自分の過去世のものなのだろうか。
 魂を調べてもらった時も過去世が関わっていた点からして、ああした夢は過去世の記憶なのかも知れない。
 そう考えれば何となく理解できた。
 あの少年は自分の過去世であり、それゆえ自分の事のように感じられたという訳だ。
(まあ、何の根拠も無いんだけど……)
 しょせん夢は夢。
 いくらリアルな夢を見たからといって、それが過去世だと決めつけるのも早計だろう。
 何より証明する方法など無いのだから、考えるだけ無駄かも知れない。
(それより誰かを抱きたくなってきたなぁ。夢で興奮しすぎたせいかも……)
 好き放題にセックスをしていた少年の様子を思い出し、自分もああして女性を抱きたくてたまらなくなった。
 そもそも夢の中では何度も射精していたが、現実の体は何もしていないのだ。
 その分欲求不満になっていたのである。
 朝になれば誰か起きてくるだろうから、そうしたらすぐにでも抱かせてもらおう。
 神治はそんな事を思いながら、最近は無かった強い性衝動に嬉しさを覚えつつ、自分には自由に抱かせてくれる女性が大勢いることに喜びを覚えるのだった。












あとがき

 今回は前回までの流れからちょっと外れる感じになりましたが、それにはいくつか理由があります。
 まずは前回の話で強姦的な悦びを感じたので、神治的に強姦となったら母親だろうと思った事。
 それから何となく(笑)未迦知さまを出したくなった事。
 この二つで序盤の部分が出来上がりました。
 その上で、神治のセックスに対するやる気を完全に戻すための、性的意識を盛り上げるエピソードが必要って事で、夢の話を考えた次第。
 この夢に関しては、色々な要素を散りばめてますが、今のところ「こういう事だ」と完全に分かる内容にはしてません。
 神治とどういう関係があるのか、あの夢の内容はどう繋がっているのか、といった事は、今後徐々に書いていくつもりです。
 まあ、今回の話は要するに「娘との間に出来た娘を孕ませる父親と、それで産まれた息子が母親と祖母を抱いていく」というの書きたかったってだけなんですけどね(笑)
(2009.11.17)



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