緋道の神器
第二十八話 奇抜な少女
神治は静の部屋に居た。
キッチンでは満里奈がいそいそと料理を作っている。
満里奈とは静の大学を見学に行った際に知り合ったのだが、色々な事情からセックスする関係になった。
そして何度か交わった後、何やら満里奈の様子がおかしくなり、やたらと神治の世話を焼きたがる様になったのだ。
そしてどうしても食事の世話をしたいという満里奈の申し出を受け入れ、こうして静のマンションへ一緒に来たという訳だった。
本来なら美人のそうした申し出は気分の悪いものではなかったが、満里奈には少々積極的すぎるというか、妙な迫力があったため、神治はその事がどうにも気になっていた。
「なるほどね、だから満里奈が私の部屋に居る訳か……」
横に座った静が面白そうな表情を浮かべて呟いている。
少しして戻ってきた静に、神治は事の顛末を全て話したのだ。
「セックスで気持ち良くして信奉者を作るなんて、さすが神ちゃんね、普通じゃないわ」
「信奉者って何だよ。別に満里奈さんはそんなんじゃないだろ」
「だってあれは恋してる女の目じゃないわよ。何か新興宗教にハマった人間の目みたいじゃない。あの子、すっかり神ちゃんに夢中よ。恋愛的にじゃなく、崇拝している感じでね」
それは神治も思っていた事だった。
これまで女性から恋愛的に好かれた経験が何度かあったので、そうした時の女性の目というのは覚えがあったのだが、満里奈が向けてくるのはそれとは異なった強さと執着を感じさせるものだったのだ。
「新興宗教にハマった人間」というのが一番しっくり来ると言えば、まさにその通りだったのである。
「神ちゃんとのセックスって凄いからなぁ。それに慣れてない、っていうか、初体験で経験しちゃったら、そりゃ神ちゃんを崇拝しちゃうかもね」
「何言ってるんだよ。あんな風になる人なんか他にいないじゃないか。だから満里奈さんが特別なんだって……」
「分かってない様だから言っておくけど、緋道村の人たちを基準にして考えちゃ駄目よ?」
「え?」
「村の人たちは多かれ少なかれ未迦知さまの血を引いているし、そうでなくても『気』の扱いを習っているから、普通の人より快楽に耐性があるの。つまりそれだけ性に関しては凄い人間ばかりってことね。何しろ村の人間とセックスした外の人は、村の人間に夢中になってしまうくらいだから」
「そんな事が……」
「まあ、言っておかなかったのは悪かったけど、まさかセックスするとは思わなかったし……」
それはそうだろう。
神治はセックスをする気になれないから村を離れ、静の部屋で暮らしているのだ。
「その上、神ちゃんは当主だからねぇ。未迦知さまの力を戴いているとなれば、それこそとんでもない気持ちの良さを与えちゃったって事になる訳よ」
さらに言えば神治は神であるのだから、より快楽が強烈になっていてもおかしくないだろう。
神治はこれまでの経験から満里奈に与える快楽を調整した訳だが、その調整自体がすでに通常より高めになっていたという訳だ。
「さっき満里奈と話したけど、神ちゃんは神々しいって、神さまみたいだって言ってたわよ? あの子にとってそれだけ神ちゃんとのセックスは凄かったって事でしょうね。だからまるで神さまに仕えるみたいな感覚になっちゃってるんじゃないかしら」
言われてみれば、満里奈の態度はまさにそんな感じだった。
巫女のほたるが自分に対してしている態度とどこか似ており、それは神に仕える信者としての態度と言えただろう。
先ほど静が「信奉者」と言っていたが、まさにそれが正解だったという訳だ。
「どうしたらいいのかなぁ……」
「別にどうもしなくていいんじゃないの? 嫌になったらあっちからそう言ってくるでしょ」
「でも、こんな風に色々してもらうんじゃ……」
「それも満里奈が勝手にやっている事だし、神ちゃんは普通にしてればいいのよ。それにセックスが原因で崇拝しているんだから、抱かなければそのうち目が覚めるんじゃない? って、あ、そうか。あの子は神ちゃんをヤる気にさせる事が出来るんだっけ。ふふ、何か凄いっていうか、羨ましいわねぇ……まあ、満里奈はいい女だし、神ちゃん良かったわね」
満里奈は特殊な力の持ち主で、無意識の内に相手を自分の意志に従わせる事が出来た。
ゆえに神治にセックスをする意志がなくとも、満里奈が望めばしたくなる状態にさせられてしまうのだった。
「何言ってるんだよ。満里奈さんは村の人間じゃないんだから、何度も抱いたらマズいじゃないか」
「別にあっちから抱いて欲しがってるんだからいいじゃない。避妊さえしておけば何も問題はないわよ。あ、それとも避妊しなかったの?」
「し、したけどさ……でもそういう問題じゃないだろ。人と人との付き合いとして、恋人でも無いのにセックスするなんて良くないよ」
神である神治は、望まなければ絶対に妊娠させないで済むため避妊は必要なかったのだが、いくら妊娠しないとはいえ、安易にセックスし続けるのは良くない事だろう。
何しろここは緋道村ではないのだ。
「ふふ、やっぱり神ちゃんは村の外で育った人間ね。そういう部分をちゃんと気にするんだ。村の連中とは大違い」
「え? 他の人たちは違うの?」
「そうよ。村から東京に出てきた連中は結構しまくってるわよ、セックス。それも恋人にもならずにね」
「そんな……」
「顔のいいヤツなんてもうヤり放題。一度キスでもしようもんなら相手はメロメロになっちゃうから、そこら中にセックスフレンドを作ってる訳。でも遊び感覚の村の連中と違って相手の方は本気になる事があるから、そうなると騒ぎになったりして、母さんはそうした調停でも苦労してるんだから」
何とも凄い話だった。
だがよく考えると、自分もそういった連中と同じ事をしたのだと気づいた神治は、何やら憂鬱になった。
「満里奈の事なら大丈夫よ。あの子は今言った場合とは違うから。多分神ちゃんに恋人が居るって言っても動揺しないと思うわ。何せ恋愛感情じゃないんだからね。崇拝する神さまに奥さんが居たって気にする人はいないでしょう?」
それは確かにそうだった。
惚れているのなら自分以外の異性に意識が向くのは腹が立つだろうが、そうでなければ恋人が居ようが結婚していようが関係ないに違いない。
「まあ、あの子の能力は神ちゃんのリハビリにいいかも知れないから、どんどん抱いてあげなさいよ。って、神ちゃんがどう思っているのかは関係ないんだっけ。あの子が『抱いて欲しい』って思ったら、神ちゃんも抱きたくなっている訳か……ホント面白いわねぇ」
静は楽しげにクックックッと笑っている。
何やらからかいのネタを提供してしまった様にも思えたが、満里奈の事に関しては、静の部屋に押しかけている以上、説明せざるを得なかったのだから仕方がなかった。
「お二人とも、ご飯が出来ましたよ〜〜」
キッチンの方から満里奈の声が聞こえ、そちらに視線を向けると美味しそうな料理が並んでいるのが見える。
「取り合えず私としては、タダでお手伝いさんを雇えた様なものだから嬉しいけどね。だから神ちゃん、しばらくこっちで暮らしなさい。逃げちゃ駄目だからね?」
「う……分かった……」
緋道村へ帰ってしまえば解決するのでは? と思った瞬間にそう言われ、神治は完全に思考を読まれていた事にガックリしながら頷くのだった。
神治は夏休みが終わってからも、静のマンションで暮らしていた。
未だにセックスに対する意欲が回復しないためそうしているのだ。
だが家から離れて暮らすのはともかく、学校を休む訳にはいかなかったので、瞬間移動を使って静の部屋から通う様にしていた。
以前修練場に籠もっていた時は、一応罰という建前があったため学校を休めたが、今は表面上問題が無かったため、休む訳にはいかなかったのである。
学校へ通っているとセックスに誘われる事もあったが、以前と比べてそれはほとんど無くなっていた。
どうやら罰という形で長期に休んでいる間に、「あまり当主さまにセックスを求めすぎると迷惑になりかねない」という雰囲気が出来上がったらしい。
無論、誘ってくる女性も居たのだが、神治が何度か断っている内にそれも無くなった。
それは数ヶ月前まで女性を漁りに漁っていた状態からすると異常に思われかねない態度だったが、どうやら勝手に変な風に解釈して納得してくれている様だった。
流れている噂によれば、「当主さまは、今までの様に誰でも受け入れるのではなく、今後は自らが認めた相手としかセックスしない」という感じだった。
実際神治はセックスが嫌になり始めた頃から、家族や親しい女性としかセックスしなくなっていたため、ある意味信憑性の高い噂と言えただろう。
別に女性を選別するつもりは無いのだが、それまでの行状が行状なだけに、そう思われても仕方がなかった。
そんな感じで神治の生活は、意に沿わないセックスをしないで済む状態になっており、そういう意味でかなり楽なものになっていたのだが、この状態がいつまで続くか分からないという点では少々辛い状態でもあるのだった。
「嘘……」
いつもの様に学校を終えた神治が静のマンションの近くに瞬間移動すると、背後から声が聞こえたためギョッとなった。
振り返って見ると、そこには神治と同じくらいの年齢の少女が、驚いた顔をしてこちらに視線を向けている。
その少女はパッチリとした大きな瞳に、腰まである長い髪を頭の二箇所で括ったいわゆるツインテールと呼ばれる髪型をしており、さらにはヒラヒラとしたロリータ系の服に身を包んでいたため、まるで漫画やアニメに出てくるキャラクターの様な印象があった。
それだけであれば構わないのだが、問題はその少女が神治の姿を見て驚いている様に思えた事だった。
どう見ても瞬間移動の現場を見たために驚いている感じだったのである。
だがそれは本来あり得ない事だった。
何故なら神治は瞬間移動の現場を見られない様に、姿を消す術を使っていたからだ。
この状態で神治の姿が見えるのは、ある程度「力」を持った人間だけだったのである。
(力があるって事か……)
満里奈の様に、一般の社会にもある程度の力を持った人間は存在した。
この少女も同じ様に何かしらの力があるのかも知れない。
だがそんな事は今はどうでもいい事であり、取り合えずはこの場をどうするべきかが問題だった。
何しろ一般社会においてあり得ない瞬間移動の現場を見られたのだ。
何とか誤魔化さなければならないだろう。
すぐに瞬間移動を行って幽霊であるかの様に思わせるか、それとも何事も無かったかの様に平然と立ち去るべきか、神治は誤魔化す手段を色々と模索し始めた。
少ししてから「ここはやはり幽霊ネタで行くべきか」と結論づけ、再び瞬間移動をしようと身構えた、その時だった。
「う……宇宙人だ……宇宙人だぁっ!」
突然目の前の少女が大声で叫んだためギョッとなる。
一体何を言っているのかと思いつつ動揺していると、少女はそのまま続けて喋り始めた。
「キミって宇宙人だよね宇宙人っ。いきなり突然現れたのは宇宙人のハイテク技術で宇宙船からテレポートしてきたんでしょうっ? スーパーテクノロジーってヤツだねっ」
少女は目をキラキラと輝かせ、長いツインテールを激しく揺らしながら素早い動きで近づいてくると、神治の両手を包むようにして持ち、顔を物凄く近くまで寄せてきた。
「いや〜〜、初めて見たなぁ宇宙人っ。見た目は地球人と変わらないんだねっ。それとも中身はやっぱりタコとかイカとかトカゲとかそんな感じなのかなっ? 地球人に警戒させないためにそうしてるんだよねっ? 映画で観たよそういうのっ。うんうん、やっぱり外見は大事だもんねぇ。人間第一印象で変わるって言うしっ」
ハイテンションでまくし立てる少女の言葉に、神治は呆然となった。
一体何を言っているのかすぐには分からなかったのだ。
そして少女の言った内容を咀嚼したところ、どうやら彼女が神治の事を宇宙人だと思い込んだらしいのが理解できた。
取り合えず幽霊だと思わせようとしていた神治としては、勘違いしてくれたのはありがたかった、はずなのだが、頭から宇宙人だと断言されるとどうにも反発心が起きてきた。
「あの、俺は宇宙人じゃないよ……」
「ふんふん、顔は結構私好みかもっ。やっぱりいい顔の方が印象もいいもんねっ。あ、そうそう自己紹介がまだだったねっ。私の名前は伊部美子(いべみこ)。美子ちゃんって呼んでくれると嬉しいなっ。そんで私はキミの事を『宇宙人くん』って呼ぶ事にするからっ」
少女、美子は神治の言葉を無視して話を続けていた。
どうにも他人の言う事を聞かないタイプらしい。
「あの、えっと……聞いてくれるかな? 俺は宇宙人じゃないんだよ」
「宇宙人くんが地球へ来た目的って何なのかなぁ。まさか侵略っ? 地球の危機っ? ああっ、哀れ美子ちゃんは侵略者と接触したために殺されてしまうのかっ。次週へ続くっ」
何やら勝手に殺される状況を脳内で展開させ、しかもシリーズ物のドラマの次回予告的に発言している事に脱力する。
「いや、その……別に侵略しないから、殺さないから……」
「ええっ? 違うのっ? 侵略じゃないっ? じゃあもしかして調査とかっ? 未開の惑星に住む原住民の調査のために、可愛い女の子を攫って人体実験っ? 気がつくと美子ちゃんは実験台の上に横たえられ、変な薬を打たれてあら大変っ。次に目を覚ますと微妙に記憶が無くなっていて、頭には変な痣が出来ているのだぁっ」
ようやくこちらの言葉に応えてくれたと思いきや、すぐさま自分の世界に突入し、訳の分からない言葉をまくし立てている。
「そうじゃなくってっ、俺は地球人だからっ。宇宙人じゃないのっ」
大声を出して否定する。
そして言ってから、自分は何を叫んでいるんだろうと恥ずかしくなった。
「え……? 宇宙人じゃない? え〜〜? でもだってさっき急に現れたよっ。それって宇宙人だからでしょっ? 宇宙人じゃなきゃ出来ないよそんな事ぉっ」
「いや、別に地球人でも出来るの。俺にはそういう力があるんだよ。えっと、ほら、超能力者、あれだから。テレポートするエスパーが出てる漫画とかって読んだことない? あれだよあれっ」
「エスパーねぇ……ふ〜〜ん、嘘臭〜〜い。宇宙人くん、嘘でしょそれ。だってわたし、宇宙人くんって人間っぽい感じがしないよぉ。もっと何か凄くて人間離れした感じがするもんっ。それって宇宙人くんが宇宙人だからでしょうっ?」
その言葉にドキリとする。
確かに神治は人間ではなくなっているからだ。
だがそこで神だと言うのも微妙感があった。
よく考えてみれば、宇宙人だろうが神だろうが、どちらにしても普通の人にしてみれば大した違いのないトンデモ話でしかないからだ。
それを真面目に「宇宙人だ、いや神だ」などと言い合いするのも馬鹿らしく思えたのである。
「取り合えず宇宙人って事でいいよ。そういう事だから、じゃあね……」
どうせもう会う事もない相手なのだ。訂正に固執する必要は無いだろう。
そう思った神治は、さっさとこのハイテンション少女から離れようと歩き出した。
「あ、行くの? じゃあ私も帰ろうっと」
ところが美子は、神治の横に付いて一緒に歩き出した。
「ちょ、何で付いてくるのさ」
「え? 私もそっちに行きたいだけだよん。別に宇宙人くんの後を付けてる訳じゃないからご安心めされい。でも誤解されるのも嫌だから先に行くねっ、バッハハ〜〜イ♪」
美子は神治の前に出てくると、その場で足を支点にクルリと回転し、両腕を頭の上で大きく振って走って行ってしまった。
(何だったんだ……)
神治は呆気に取られつつ、今の少女について反芻した。
顔はなかなかに整っており、ツインテールやロリータ系の服装もよく似合っていて可愛らしかった。
ヒラヒラとした白いブラウスと、これまたヒラヒラとした水色のスカートを身に付けているのだが、そういったファッションは似合わない人間がすると微妙感が強かったが、美子は実に似合っていた。
最初の印象通り、漫画やアニメから飛び出してきたかの様に、その格好に違和感を感じさせなかったのである。
奇抜な言動をしているため、逆にそういった格好である事が合っている様に思え、全体的に可愛らしさと奇妙な魅力を感じさせたのだった。
特に先ほど回転した際にスカートがフワッとまくれ、凄く可愛らしさが出ていたのは実に良かった。
元々ゴスロリを着た未迦知神を可愛く感じていたせいか、似た様な格好をしているだけで可愛さを感じたのかも知れない。
とはいえ、そういった可愛さも言動の奇妙さで全て台無しになっていたのだが。
あれでまともに喋っていれば、きっとモテるに違いないのに、せっかくの可愛さが吹き飛んでしまっているのだから勿体ないだろう。
まあ、本人がそれで幸せであるのなら別にどうでもいい事ではあるのだが。
(あれでもう少し話が通じればね……って、え? 嘘だろ……?)
そんな事を考えつつ路地から通りに出た神治は、少し先に見えた光景にギョッとなった。
何故なら美子が静のマンションへ入って行くのが見えたからだ。
あの独特の格好と長いツインテールを見間違えるはずもないから、美子であるのは確実だった。
まさか同じマンションの住人なのだろうか。
少々不安になりつつマンションへ近づいていくと、まだエレベーターが下りて来ていなかったため、エレベーターホールに居た美子と再び並ぶ事になった。
美子が居なくなるまでマンションへ行くのを待っても良かったのだが、それは何やら自分が負けた様な感じがしたため、神治は堂々と一緒にエレベーターに乗る事にしたのだ。
「あれぇ? 宇宙人くんもここに住んでるのぉ?」
「まあね……」
「ふ〜〜ん、そうなんだぁ。このマンションには宇宙人の秘密基地があった訳だねぇ。そいつは美子ちゃんビックリだよっ」
美子は体を軽く揺らし、ツインテールをピョコピョコさせながら面白そうに呟いている。
その様子を眺めながら、もう何を言われてもまともに取り合うのは止めようと思った神治は、そのまま黙っている事にした。
そうしている内にエレベーターが下りてきたため、乗り込んで階のボタンを押そうとすると、目的のボタンを美子が押したため驚く。
(同じ階なのかよ……)
これはますます今後も会う可能性が高くなってきたと思ってうんざりしてくる。
やはり美子がいなくなるまでエレベーターに乗るのは止めるべきだったかも知れない。
内心後悔しつつ黙っていると、しばらくしてエレベーターが目的の階に到着し、ドアが開いたので降りる。
「うわっ、宇宙人くんも同じ階なのっ? もしかしてやっぱり私を狙っているんじゃないのかなっ? 大胆にも後を付け、美子ちゃんを攫おうっていう魂胆なりですかぁっ?」
続いてエレベーターを降りた美子は、笑顔で怯えた様な素振りをし、少しも怖がっていない様子で体をブルブル震わせたため、神治は何とも脱力する気分を味合わされた。
どうにも怖がる事を楽しんでいる様に見えて仕方がなかったのだ。
そしてそこまで怖がっている様子を演出されると、呆れるというより感心してしまった。
「別に攫わないから安心してくれ。本当にこの階に住んでいるんだよ。偶然ってヤツ」
「本当に? でも宇宙人なのに何もしないの?」
「別に宇宙人だからって敵対的な行動を取るとは限らないだろ。友好的に地球人を見守っててもいいじゃないか」
取り合えず宇宙人である事を否定するのは諦めたため、せめて行動の意図を誤解をされない様にしたい思ってそう告げる。
「友好っ。うん、友好的な宇宙人はいいねっ。人類皆兄弟っ。銀河は僕らの故郷さっ。うんうん、仲良くするのは大切だねっ」
美子は嬉しそうにそう言うと、神治の手をとって握手を何度も繰り返した。
大きな瞳が嬉しそうに輝いているのが何とも印象的だった。
「まあ、そういう訳で宜しく。一応自己紹介しておくよ。俺は緋道神治。中三」
ここまで来ると、もう普通に付き合っていくしかないだろうと思った神治はそう告げた。
避けるのすら馬鹿らしい感じがしてしまったのだ。
それに美子の言動には全く悪意が感じられなかったため、そんな相手に一方的に悪意を抱くのもおかしな話だと思ったのである。
「あ、偶然だねぇ、美子ちゃんも中三だよぉっ。仲間仲間っ……って、ええっ? 緋道ってことは、もしかしてお隣の静お姉さんと関係あるなりかっ?」
「あ、うん……従弟だよ……って、何だ隣に住んでたのか……」
突然大きな声をあげた美子に驚きつつ、告げられた意外な事実にさらに驚く。
今まで隣の住人について気にした事はなかったが、よもやこの様な変な人間が住んでいるとは思わなかった。
「あれぇっ? でもお隣には静お姉さんしか住んでなかったんじゃなかったっけっ? 一体いつの間に引っ越してきたなりかっ? やっぱり宇宙人のハイテク技術なんじゃらほいっ?」
「いや、引っ越してきたって言っても、荷物なんかほとんど無いしね。元々住んでた従姉の所に居候する感じだし」
「むむぅ、従姉とはこれ重大なりっ。もしかして静お姉さんも宇宙人だったりするのかなっ? でも静お姉さんは人間だよっ、地球人だよっ、宇宙人くんとは全然違うよっ。あ、もしかして従弟ってのは仮の姿で、地球で活動するための隠れ蓑ってヤツとかっ? 静お姉さんは騙されているんだねっ。まさに宇宙人、驚異の科学力ってヤツだぁっ。それなら納得でありますっ。作戦了解っすっ」
勝手に自己完結した美子は敬礼をすると、キリッとした表情でこちらを見つめている。
その様子を可笑しく感じつつ、名前を教えても結局「宇宙人くん」と呼ばれる事にガッカリする。
あだ名にしても恥ずかしすぎたからだ。
「美子ちゃん、何騒いでいるの? また面白いモノでも……って、あれ? 神ちゃん?」
不意に横のドアが開くと、中から静が現れた。
どうやら話しながら歩いている内に、静の部屋の前まで来ていたらしい。
「あ、静お姉さんこんにちはっ。今日も素敵に騙されているんですねっ。でも大丈夫、宇宙人くんは友好的な宇宙人ですからっ」
美子は敬礼をしたまま静の方を向くと、得意げにそんな事を言っている。
「騙されているって何のこと? 宇宙人くんって……あ、もしかして神ちゃんのことかな? この人が宇宙人くん?」
「その通りですっ。宇宙人くんは友好活動のために静お姉さんを騙して、従弟のフリをして地球に潜入しているのですよっ」
静がこちらを指さしながら面白そうに尋ねると、美子は先ほど話していた内容をそのまま告げた。
本当に神治が宇宙人であれば、秘密にしていた事をあっさり暴露された事になるのだが、美子はそういう事は気にしないのだろうか。
ある意味他人の秘密を軽々しく話している事になるので、神治は少し呆れてしまった。
「そうなの? でも私にとっては従弟だからなぁ。せっかく教えてもらっても信じられないわ。ごめんなさい」
「いいんですっ。どうせそう洗脳されていると思ってましたからっ。これで宇宙人くんの技術が凄いものだと確認できましたっ」
今の言葉を解釈すると、要するに「洗脳されているから、正体をバラしても信じてもらえないし、そういう風に他人に言われた事で解けるほど弱い洗脳をしている訳ではない事が確認できた」という事だろうか。
つまり先ほど秘密をバラしたのは、口が軽い訳ではなく、洗脳の確認をしたという訳だ。
「それじゃ私はそろそろ行くわね……あ、神ちゃん、私ちょっと出かけなきゃならないから、今日の勉強は自習ね」
「あ、うん。分かった……」
神治は最近静に勉強を見てもらっていた。
初めは同居する際の建前のつもりだったのだが、試しに教えてもらったらかなり良かったため、そのまま続けていたのである。
「静お姉さん、行ってらっしゃいっ」
「あ、行ってらっしゃい」
ツインテールの頭をペコリと下げて挨拶をする美子に釣られ、神治も思わず頭を下げる。
奇妙な言動をするところはあるものの、美子はこうした事に関して礼儀がきちんとしているらしい。
「ふふ、行ってきます……」
神治の様子が面白かったのか、静は楽しげに笑いながら去っていった。
これは後で何か言われるかも知れないな、と思いつつ、静がエレベーターの中に入るのをジッと見つめる。
「自習って事は、宇宙人くんは暇なのかな?」
「え? いやまあ、いつもなら勉強を見てもらっているから、暇って言えば暇だけど……」
「それじゃ、私とゲームしよっ。テレビゲームで対戦だぁっ」
美子はそう言いながら、答えを聞く前から腕を引っ張って自分の部屋へ連れて行こうとしている。
「え? あ、まあ、そうだね……別にいいか……」
本来なら受験勉強をしなければならないところなのだが、思わず同意してしまう。
神治はいつの間にやらこのおかしな少女に惹かれるモノを感じていたため、一緒に遊ぶのも良いかも知れないと思ったのだ。
「私は強いよぉっ。宇宙人くんの宇宙レベルのテクニックでも勝てないと思うなっ」
「そりゃ楽しみだ。どれほどのものか見せてもらおうじゃないの」
神治はすっかり友人感覚になった美子の楽しそうな顔を見つつ、妙な知り合いが出来たものだと苦笑するのだった。
「また私の勝ちだねっ。う〜〜ん、美子ちゃんてば最強ぉっ」
テレビゲームのコントローラーを振り上げ、ツインテールの髪を揺らしながらガッツポーズを取る美子の姿を、何とも言えない想いを抱きながら見つめる。
そこは美子の部屋だった。
十畳ほどの広さがあり、造りは同じマンションであるため静の部屋と変わらないのだが、美子の趣味で埋め尽くされている事で、何ともファンシーな状態になっていた。
そこかしこにヌイグルミが置かれてあり、カーテンやベッド、絨毯はピンクが基調なものがほとんどで、まさに「女の子の部屋」という感じだった。
そんな状態であるせいか一見派手派手しく見えるのだが、その実何とも落ち着く感じがするため、奇妙な安堵感を感じさせる状態でもあった。
アンバランスな様でいて、妙にバランスが取れているのである。
そういう意味で美子自身に似ていると言えただろう。
美子は一見奇抜な言動から落ち着かない印象を与えられるのだが、実際にしばらく一緒にいる内に、神治は何とも安心感を感じる様になっていたのだ。
いつもニコニコとしていて楽しげにしているせいか、無意識の内にそれに釣られるせいかも知れない。
最近セックスの事で暗くなりがちだったのだが、美子とゲームしている間に楽しい気分にさせられたのだ。
そういう意味で、誘いに乗って美子と遊んだのは実に良い選択だったと言えただろう。
だが実際のゲーム内容は散々だった。
何しろ何度やっても全く勝てないのだ。
落ち着きのない言動をしている点から、美子はテレビゲームなどは弱いのかと思っていたのだが、神治よりもかなり上手かったのである。
ゲームの内容はタイムを競い合うもので、直接戦い合うものではないため、純粋に神治と美子の技量の差が現れているのだった。
この部屋で唯一重厚感を感じさせる、50インチはあるであろう巨大なテレビの画面には、美子の出したタイムが表示されており、それは神治が出したタイムとは比較にならない速さだった。
その事に少々悔しさを感じるものの、このゲームをあまりやった事が無かった神治としては、ゲームの持ち主である美子に勝てなくても当然ではあった。
「どうしたのぉ、宇宙人くん。このままじゃ今日は一度も勝てないで帰る事になりまするよぉ〜〜」
嫌味っぽい口調でそう告げてくる美子に、少々腹が立ってくる。
だが陽気な雰囲気と、変な風に体をくねらせている様子の可笑しさから、本気になっては怒れなかったのだが。
「仕方ないだろ、このゲームってあまりやった事ないんだから」
「そんなのは言い訳だよん。宇宙人くんのやる気が足りないのさっ。実際私は初めてやった時から、今の宇宙人くんよりいいタイム出してたですよぉっ」
「え? 嘘……」
「本当ですなりぃ〜〜。美子ちゃんってば天才っしょっ?」
そう言われては悔しかった。
今度は意地でもタイムを上げてやろうという想いが強まり、気合いが入ってくる。
「くそぉ、じゃあもう一回だっ」
「うんうん、なかなかいい感じで燃えて来たじゃないですかん。でもまだまだちょっと足りないねぇ……そうだっ。もっと燃える様に、勝ったらご褒美を上げる事にしますかなっ」
「ご褒美?」
「そうだよんっ。宇宙人くんが張り切っちゃうご褒美ぃ〜〜。それはねぇ……じゃ〜〜ん、美子ちゃんのオッパイに触る権利だぁっ〜〜」
そう言いつつ美子は胸を突き出すと、両手で持ち上げる様にして示した。
改めて見ると、なかなかに大きな胸だった。
ヒラヒラとした白いブラウスを押し上げる乳房は、見事なまでに山を作っており、触ったら実に柔らかそうな印象を持たせた。
あまりに珍妙な言動のため、そういった部分に意識が向かなかったのだが、美子は結構いいスタイルをしていたのだ。
全体的に細身なのだが、微妙にふっくらとしていて、抱き締めたら気持ちの良さそうな体をしていたのである。
顔も造形自体が整っているのに加え、常にニコニコしている事が可愛らしさをより強めている様に思えた。
「あれ? 宇宙人くんってば全然動揺してないねぇ。普通ならもっと慌てるはずなのに。何でなのかなっ?……う〜〜ん、もしかしてホモっ? 男色家っ? ボーイズラブな人だったりするのですかなりぃ〜〜?」
美子は楽しげに笑いながら親指を突き出してくる。
確かに年頃の男としてはあまりに反応が薄すぎたかも知れない。
喜ばないにせよ、少しは恥ずかしがるべきだっただろう。
セックスに対するヤる気が無いせいもあって、ついうっかり反応するのを忘れてしまったのだ。
「別に俺はホモじゃないよ。実は女性経験が多いんでね。だから胸に触れるくらいじゃ動揺しないの」
普段なら隠すべき事だと思うのだが、美子に対しては何を言っても大丈夫の様な感覚が起きていた神治は正直にそう答えた。
「ふへぇ〜〜、凄いんだねぇ。さすが宇宙人だよぉ。それってもしかしてあれ? 宇宙人の技術で騙くらかしてしちゃってるの? おおっ、酷いっ、外道っ、女の敵っ、何たる許されざる男だろうかっ。どう思いますか皆さんっ」
美子は両腕を大きく左右に広げ、まるでそこに観客がいるかの様にして振り返るとそう叫んだ。
「別に騙してないよ。みんながしたがるからしてるだけ。俺ってこう見えてモテるんだぜ」
そう。皆がしたがるから、自分は頑張ってセックスをしてきたのだ。
無論自分も楽しんではいたのだが、今はそれが義務感や、強制されてしているかの様に感じられているため、セックスが楽しくなくなっていたのだった。
「モテモテかぁ。宇宙人の魅力ってヤツだねっ……でも宇宙人くん、その割に元気ないね。もしかしてモテるのに飽きてる?」
「え……?」
「だって普通モテるなんていったら、もっと自慢げに、楽しそうに言うよ。それなのに何だかモテるのが面倒臭いみたいな感じなんだもん」
内心を見透かしたかの様なその言葉に、激しく動揺する。
ハチャメチャな言動をしているくせに、何とも鋭い事を言ってくる少女だった。
「そうだね……実はそうなんだ。だから最近つまらなくてさ……しずねぇの所に来てるのも、そのせいなんだよ……」
何やら自然と口が動いて、悩みについて喋っていた。
その事に一瞬驚くが、相手が美子であるためすぐに気にならなくなった。
美子には何やらそういった事を話しても、安心できる雰囲気があったのだ。
「へ〜〜、せっかくモテるのにねぇ。まあ、それも仕方ないか、女がよりどりみどりじゃ、当たり前になっちゃってる訳だもんねぇ。まさにモテる者の悩みってヤツだねっ」
改めて言われてみると、何とも贅沢な悩みと言えただろう。
これまで自分がセックスをしてきた相手は実に多彩であり、多くの男が羨む状況なはずだったからだ。
それに飽きたというのは、何とも傲慢な悩みに思えた。
(でもヤる気が起きないんだからしょうがないんだよ……)
どれほど他人から見て羨む状況であろうが、当人が満足出来なければ幸せではないのだ。
それゆえ自分は今、何とか昔の様にセックスが楽しめる状態に戻りたいのである。
「それならさぁ、やっぱりオッパイを触る権利を賭けて私と勝負だよっ」
「は……?」
何でそうなるのだろう。
言っている意味が分からなかった。
「要するに宇宙人くんって、今までは簡単にエッチな事が出来ていた訳でしょ? 簡単だから飽きたんじゃないの? そこでエッチな行為は勝負に勝たなきゃ出来ない様にするのさっ。それって新鮮じゃないかいっ? ラブリーな美子ちゃんは、勝負に勝たなきゃ絶対エッチな事をさせないのでありますよっ。いくら頼まれたって絶対にさせてあげないなりっ。だけど勝負に勝てばエッチな事をさせてあげるという事なんですなこれがっ。そして宇宙人くんはその勝負に勝つ事は不可能な訳ですよ、ふはははははっ……」
腰に両手を付け、胸を反らして大笑いする美子の様子に苦笑する。
確かに言われてみれば、性行為をするのにこうした条件を付けてきた相手は初めてかも知れない。
しかも現在の神治では、まず美子に勝つのは難しいだろう。
つまり美子の体には絶対に触る事ができないのだ。
「なるほど……ふふ、面白いじゃないか……面白いよ……確かにそりゃヤる気が出てくる」
別にエッチな行為をしたい訳ではなかったが、「ゲームに勝てなければ触れない」という状況は、今までに無い感覚を湧き起こらせた。
そして自分と絶対にエッチな行為をしないと断言している少女に対し、激しい敵愾心が起きてくる。
何やら「お前とエッチな事をしても、どうせ大したことはない。だから別にしたくもない」と言われている様な感じがしたからだ。
ゆえに「もし自分が勝ったら、その時にはとんでもない快楽を与え、夢中にさせてやる」といった闘争心が激しく湧き起こってきたのである。
これはエッチな行為をしたいというより、自分の事を低く見ている美子に対し、いかに自分の性的能力が凄いのかを証明したくなったのだ。
(胸に触る事が出来たら、すぐにイかせてやる……)
そうなったら美子はどうするのか。
この常識外れの少女が神の与える快楽に、どういった反応を示すのか非常に興味があった。
「ふふん、どうやら勝負をしたくなってきたみたいだねっ?」
「ああ、おかげさんでね。でも本当に勝負に勝ったら胸に触っていいの? 普通嫌だろそんなの」
「う〜〜ん、だって別にオッパイって脂肪の塊だからねぇ。触ったって構わないよん。美子ちゃん、女の子の友達とよく触りっこしてるし、それが宇宙人くんになるだけだもん。気にならないっすっ」
そういう問題だろうかと少し疑問に思う。
だが相手は美子なのだから、そうした感覚が普通とは違うのだろう。
「でも触っていいのは勝負に勝ったらだからねっ。それまでは駄目だよ〜〜ん。無理矢理触ろうとしたらポリスマンを呼んじゃうんだからっ。それから宇宙人の技術で誘惑するのは無しねっ。それされちゃったら美子ちゃん逆らえないしぃっ」
どうして逆らえないと断言できるのか分からなかったが、おそらくそれも独自の理屈があるのだろう。
「了解した。まあ、取り合えずは勝ってからだからな。よしっ、勝負だっ」
「OKOK……んじゃ再勝負だね。レディー、ゴオーっ」
勢い良く拳を天井に突き上げながら、美子は楽しそうに笑った。
そこには負けたら胸を触られる、という普通の女の子なら嫌がるであろう雰囲気は欠片も無かった。
というか、結局神治のやる気を出させて、ゲームを楽しくしたいだけなのかも知れない。
神治にしても、実際に胸に触れるかどうかはともかく、何やらゲームをするのが楽しくなってきたので嬉しくなるのだった。
「か、勝った……」
神治はテレビ画面に表示されているタイムに激しい感動を覚えていた。
結局あの日は一度も勝つ事が出来ずに帰ったのだが、その後数日通い続けて負け続け、ようやく今日何とか勝つ事が出来たのだった。
タイム的には一秒差にも満たないものであったが、それでも勝ちは勝ちだった。
「ありゃ〜〜、美子ちゃんってばついに敗北ですかぁ。う〜〜ん、まさにこけの一念ってヤツだねっ。宇宙人くんおめでとうっ」
何百回と負けている相手にそう言われても嬉しくは無かったが、取り合えず勝てた事実に神治は喜びを覚えた。
横に座る美子は相変わらずロリータ系の、水色を基調としたワンピースを身に付けているのだが、スカートが敷物の様に床に広がっているのが何とも童話の世界の様で可愛らしかった。
「んじゃ早速勝者の権利をどうぞ。景品の贈呈です」
美子は真面目な口調でそう告げると膝立ちになり、水色のヒラヒラに包まれた胸をこちらに突き出してきた。
「え? 何だっけ?」
「うわぁっ、さすがモテモテ宇宙人っ。普通忘れるかなぁ、美少女のオッパイに触れる権利をぉっ」
神治が疑問の言葉を発すると、美子は脱力した様に前のめりに体を倒した。
ツインテールの髪がバサッと床に落ち、蛇の様にのたくっているのが何とも面白い。
「あ、そっか……」
美子に言われてようやく約束の事を思い出す。
何しろあまりに負け続けたため、すっかり頭から抜け落ちていたのだ。
未だにセックスに対するヤる気が起きていない事で、余計意識が薄かったせいもあるだろう。
そうした状態であったため、いざ触れるとなってもあまり触る気は起きなかったのだが、約束は約束だ。
勝者の権利として堂々と触らせてもらう事にしよう。
「それじゃ失礼して……」
「うん、どうぞどうぞ」
美子はそう言いながら再び胸を突き出してきた。
神治は手を伸ばすと、水色のヒラヒラの服の上から乳房に触れてみた。
指に力を入れるとフニっとした感触と共に膨らみがへこむ。
(うん、結構いい胸だな……)
数多くの女性の胸を揉んできた神治の経験からして、美子の胸の感触は実に良かった。これならば形や肌触りも良いだろう。
(ちょっと生の状態で触ってみたいかも……)
この胸であればきっと気持ちいいに違いないため、直接触れてみたくなった。
(って、あ……)
そしてそんな事を考えている自分に驚く。
何故なら自然に性的な行為をしたくなっていたからだ。
それは最近の神治にはあり得ない衝動だった。
(もしかして、もっと揉めば俺……)
セックスしたくなるのではないかと思い、続けて力を込めて胸を揉もうとした時だった。
「はい、そこまで〜〜。時間切れ〜〜。もう踊り子さんにはお手を触れないで下さ〜〜いっ」
不意に美子が風俗店の店員の様な口調で告げ、体を放した。
「え? ちょっと待って、もう少し……」
「駄目駄目ぇっ。もう勝った分は触ったでしょ? っていうか、宇宙人くんってオッパイに興味無くなってたんじゃないのかに? それなのに何でもっと触りたがるのさ? あ、もしかしてあれって嘘っ? うわっ、私ってば騙されたってことぉっ? 酷いっ、酷いよぉっ。宇宙人くんが女の体に飽きてるって言うから触らせてあげる事にしたのにぃ。それが嘘だったなんてぇっ。実はホントはオッパイに触りたくてたまらなかったって事ですかぁっ? そんなの詐欺だよ詐欺ぃっ。この極悪詐欺師っ。女の敵っ。責任取れ。結婚しろっ」
最後に妙な一言が加わっていたのが気になったが、激しく怒り出した美子の様子に神治は慌てた。
何しろ今美子が言った内容は、確かに神治が胸に触るために騙した様に聞こえたからだ。
「い、いや、別に騙した訳じゃ……飽きてたってのは本当だってっ。それが何故か急に治ったっていうか……美子ちゃんを騙して触ろうだなんて思ってないよ。本当に俺は女の体に興味が無くなってて……って、あれ? 待てよ?……確か触っていいって言い出したのはそういう話をする前だよな?……そうだ、そうだよっ。俺が飽きたって話をする前に『触っていい』って言ってきて、それで俺の反応が鈍かったからそういう話になったんじゃないか。全く、何が騙しただ。全然違うじゃないかっ」
「あ、ありゃ〜〜ん? そうだったけぇ〜〜? うわん、怒らないでゴメンチャイ。美子ちゃんちょっと勘違いしちゃったなりぃ。でも治ったんだから良かったじゃないの。女の子に飽きてたのが治ったんでしょ?」
「えっ?……あ、うん……そうだね、ちょっと治ったかも知れない……」
反撃として責め立てようと思った瞬間、その言葉を聞いて押し黙る。
そうなのだ。
いつの間にか神治は、美子の体に対していやらしい衝動を覚えていたのである。
それは最近全く無かった女性の体に対する欲情であったため、実に驚くべきことだった。
「それはおめでとうっ。ナイスな回復ってヤツだねっ。これで宇宙人くんもまたヤり放題だぁっ」
何とも下品な言いように苦笑する。
女の子なのだからもう少し言い方を変えて欲しかった。
だが純粋に祝福してくれている事には嬉しくなったし、何より治った原因はどうやら美子の胸に触った事に思えたため、何とかもう少し触らせてもらいたくなった。
何しろ少しは性欲を持てたとはいえ、まだまだ完全という訳ではなかったからだ。
「ありがとう……でもまだ治ったかどうかハッキリと分からないんだよ。だからもうちょっと触らせて欲しいんだけど……駄目かな?」
「う〜〜ん、そうだなぁ。まあちょっとくらいなら考えてあげない事もないけど……またゲームで勝ったらだねっ」
「え? 勝たないと駄目なの……?」
「そりゃ当然でしょう。こんな美少女のオッパイに触ろうってんだよ? 何の障害も無いなんて嘘くさいじゃない。私は高嶺の花なんだからねっ」
何が嘘くさいのか分からないし、高嶺の花が自ら胸を触らせる提案をするとは思えないのだが、取り合えず無理矢理納得する事にした。
「つまり、高嶺の花の美少女の胸に触るには、ゲームで勝つという障害を乗り越えろって事か」
「そう、その通りっ。いい女を求めて戦い合う男達っ。それこそが燃えってヤツじゃないかいっ? 男共に取り合われる美しい少女としては、感動の嵐にまみれて大興奮ってヤツさっ」
戦うのは自分と美子であり、男とは取り合ってはいないのだが、それも取り合えず無理矢理納得する事にした。
「よぉし、分かったっ。こうなったら今まで以上に気合い入れる事にするぞっ」
何しろまたセックスをしたくなるか否かの瀬戸際なのだ。
ここは何としてでももう一度美子の胸に触りたかった。
「おおっ、何やら凄いことになってるねぇっ。まさに宇宙人、明鏡止水のスーパーモードってヤツっ? コントローラーを持つ手が光って、カチカチ唸ってるよぉ〜〜っ」
神治の興奮に影響されたのか、美子もそれまで以上に盛り上がっている。
動くたびに豊かな胸がプルンと揺れ、その事に神治は己の目が惹き付けられているのに気づいた。
今まではいくら揺れていても気にならなかったのに、今や以前の様な性的な視線を美子の胸に向けているのだ。
(これは、いけるかも……)
このまま美子の胸に触っていけば、もしかしたら完全にセックスに対するヤる気が戻るのではないだろうか。
神治はそんな期待に胸を膨らませながら、楽しげにしている美子を見つめつつゲームをしていくのだった。
「よし、勝った……」
あれからまた数日後。
神治は徐々に美子に勝てる様になっていた。
すでに何回か胸を揉み、そのたびごとに興奮が高まっているのを感じていた。
何故だか分からないが、とにかく美子の体に触れると以前の様な性欲のたぎりを覚えるのだ。
これはゲームに勝つ事が原因なのか、美子だからなのか分からなかったが、とにかく美子とゲームをし、勝った後に胸に触ると興奮が起きるのである。
そのため神治は、夢中になって美子とゲームをし、毎日胸を揉ませてもらっていたのだった。
「あ〜〜、負けちゃったぁ。う〜〜ん、最近宇宙人くん強くなっちゃったからなぁ。参ったよぉ……」
美子はガッカリした様に言いながらも、嬉しそうにニコニコしている。
今日もいつもの通りロリータ系の服に身を包んでおり、白いブラウスにピンクのスカートという格好だった。
服にはヒラヒラとしたものが沢山ついていて、美子が動くたびに揺れている。
神治は「この服装を見るのにも慣れてきたなぁ」などと思いつつ、美子の笑顔をジッと見つめた。
「それにしても宇宙人くん、随分元気になったよね。初めて会った時は、凄〜〜くつまらなそうな感じだったのに、今は楽しそうだもんっ」
確かに気分は明るくなっていた。
やはり美子に対して欲情する様になっているからだろう。
何よりその事が影響しているのか、他の女性に対しても性的な意識が回復している様に思えるのが大きかったかも知れない。
美子に対するほどではないが、静の体に対しても以前より意識する様になっていたのだ。
このまま上手くすれば、おそらく静の体にも触りたくなるに違いなかった。
「それじゃ、そんな宇宙人くんにご褒美をあげちゃおうかなぁっ。今回からオッパイに触る事以外もしていいよんっ。チューもオーケーさ。チューしながらオッパイ揉んでいいからねんっ」
その言葉にドキリとする。
そして視線は自然と美子の唇に向けられた。
それは桜色をしていて、実に可愛らしい、吸い付きたくなる唇だった。
(お、俺……美子ちゃんとキスしたくなってる……)
その事に喜びが溢れる。
胸に触れたくなる意識以外にも、キスをしたくなる意識が復活していたからだ。
それは神治としては確かに嬉しい事なのだが、美子的にはキスまで許していいのだろうか。
いくらハチャメチャな性格をしているとはいえ、胸に触られるのとキスをされるのとではかなり次元が違うと思うのだが。
「キス、していいの? ホントに?」
「うん、いいよんっ。宇宙人くんなら良いよのさ。それにその方が女の子に飽きてるのを治すのにいいんじゃないかと思ったのだよ。胸ばかりじゃ刺激が少ないっしょっ。美子ちゃんは宇宙人くんの友達だからねっ。それくらいは全然オーケーなりっ」
「……」
その言葉に、神治は思わず胸が熱くなった。
美子はかなりふざけた態度をとっているが、その実神治の事を気遣ってくれているのが伝わってきたため、それが凄く嬉しかったのだ。
「美子ちゃん……俺……その、ありがとう……」
「へ? どうしたのん?」
「いや、俺がここまで楽しく過ごせる様になったのって、美子ちゃんのおかげだからさ。感謝の気持ちを伝えたかったんだ……」
「ふ〜〜ん、でもそれはお互いさまだよぉっ。美子ちゃんだってこうして毎日遊んでもらえて嬉しいもんっ。宇宙人くんには感謝だねっ」
「いや、俺は他にも飽きてるのを治す手伝いもしてもらってるし……」
「いいのいいのそんなのはっ。美子ちゃんと宇宙人くんは友達なんだからさぁっ。友情の前には勝てないモノなど何もないのだよっ。宇宙人くんの駄目駄目な状態も、美子ちゃんとのエッチな行為で復活だぁっ。よぉしっ、友情の証ぃっ」
そう言った瞬間、美子は唇を重ねてきた。
それは一瞬の接触だったが、妙に熱さを感じさせるキスだった。
「えへへ、自分からしちゃったよぉ。まあ、これは今まで美子ちゃんが勝ってきた分のご褒美ってヤツだねっ。おおっと、そうなるとつまりっ、美子ちゃんは宇宙人くんにエッチな事がし放題という事ではないくぁっ。こいつは涎ものなりぃっ」
そんな陽気な美子を見ていると、体の奥底から何か重く強い感情が湧き起こってくるのを感じた。
それは恋愛感情とも家族愛とも異なる、何とも言えない感覚だった。
「美子ちゃん……」
何やら急に美子に対する愛おしさが強まった神治は、真剣な顔をしながら体を寄せていった。
「ちょ、ちょっと待って……シリアスだよ宇宙人くんっ……もっと楽しく、チューするなら楽しくねっ? シリアスはいやんっ」
「俺は楽しいよ? 美子ちゃんと色々するのが楽しい……だからこうした事も、楽しくできるんだ……」
何やら美子が動揺しているのを面白く感じながら、神治は真面目な表情のまま体を抱き寄せた。
「ひゃんっ」
すると美子は体を震わせ、今まで見せた事のない困った様な表情を浮かべた。
その様子を可愛く感じつつ、桜色をした唇に吸い付いていく。
「んっ……んんっ……んふっ……」
舌を押し込み、縮こまっている美子の舌と絡ませて唇を擦り合わせる。
美子は神治の肩を掴んで放そうと押してきたが、舌を強く吸うと一瞬体を硬直させた後に力を抜いた。
しばらくそうしてキスを繰り返していると、美子の体がクタクタと床に倒れ込み、神治はのし掛かる状態になった。
唇を放して顔を見ると、美子は惚けた表情を浮かべ、唇を半開きにしたままハァハァと小さな吐息を漏らしている。
(可愛い……)
そこに横たわっているのは、無茶苦茶な言動を繰り返す変人な少女であるはずだったが、同時に神治の愛撫に蕩けて意識を朦朧とさせている初々しい少女でもあった。
(俺、凄くしたい……)
神治は美子の体に触れていると、何故だか凄くセックスがしたくなっていた。
美子を自分の物にし、自由に体を貪りたい衝動が起きていたのだ。
最近は満里奈の力でそうした状態になる事はあったが、自然と性欲が起きてきたのは本当に久しぶりだったため、その事に激しい喜びが湧き起こった。
何しろようやく自然に女性の体を凄く抱きたくなっているのだ。
それは神治がずっと求めていた状態だったのである。
「美子ちゃん……俺、美子ちゃんとしたい……駄目かな?」
「し、し、したいって何かな?……う、宇宙人くんは、美子ちゃんと何がしたいなり?」
美子はオドオドした様子を見せながら、口調は相変わらずふざけた感じで尋ねてくる。
「セックス、だよ……」
「う……せ、せっくすぅ? あ、あの男と女が合体するヤツでありますか?」
「そうだよ。俺は美子ちゃんとセックスしたいんだ。というか、美子ちゃんじゃないと駄目なんだ。何しろ他の人とは全然したくならないんだから……」
「そ、そうだったなりね。宇宙人くんは飽きちゃってたんだ……なのに美子ちゃんとはしたいと言うでありますか?」
「そう。こうして、色々したいんだ……」
そう言いながら首筋をペロリと舐める。
「ひゃんっ……こ、こら宇宙人くん、勝ってもいないのにしちゃ駄目だよぉ、やっ……駄目って、あっ……駄目なのにぃっ……」
そのまま首筋を舐め回しつつ、乳房を揉みしだいていくと、美子が可愛らしい声をあげた。
普段のふざけた態度に慣れているせいか、その女の子らしい反応は神治にとって新鮮な魅力だった。
「でも俺、もう我慢できないんだ……というか、我慢してこの感覚が無くなるのが怖いんだ……せっかくこうしてしたくなってるのに、途中で止めたらまたこの感覚が無くなっちゃうんじゃないかって……」
「そ、それは分かるけど……でも美子ちゃんとしては、勝負の景品としてちょっと触らせてあげようと思っただけで……セックスまでしちゃうのは、ちょっと違うかなぁって……」
「でもキスは許してくれたじゃないか……だったらセックスだって……」
強引な理屈で説得しようとしつつ、ブラウスのボタンを外して手を差し入れ、乳房を直接掴む。
「あっ、駄目だよぉっ。宇宙人くん強姦強姦っ。レイプは犯罪なりっ。やめて助けてエッチエッチぃっ」
情けない声でそう哀願されると、少々気がそがれる。
だがセックスに対するヤる気自体は減らなかった。
何しろ自分はそうした変な言動をする美子を抱きたくなったからだ。
とはいえ、あまり無理矢理抱くのも嫌だった。
せっかく自分のヤる気を回復してくれた恩人なのに、嫌な想いをさせたくなかったからだ。
「美子ちゃん……俺とするの、嫌?」
真面目な顔をして尋ねる。
神治にしてみれば、美子とはすでにかなり仲良くなっており、普通なら恋愛関係になってもおかしくない感覚があった。
好意の強さを考えれば、十分セックスを許してくれるように思えたのだ。
「い、嫌じゃないけど……でも、ただするだけってのは嫌なのさ……だって普通にしたら、恋人みたいになっちゃうかも知れないでしょ?……美子ちゃん、そういうの嫌なんだわ……」
何とも通常とは異なる意見に苦笑する。
普通の女の子であれば「恋人にならないでするのは嫌」と言うだろうからだ。
だがその事に関しては神治も同意見だった。
美子とはずっと友達でいたかったため、恋人みたいにはなりたくなかったのである。
「私、宇宙人くんとの今の関係が好きだから……普通に恋してるみたいにエッチしちゃったら……そしたら、もう今みたいに遊べなくなっちゃうよ……宇宙人くんとは、もっと楽しく遊びたいのです……」
美子は表情を暗くしながらそう呟いた。
いつもニコニコしているだけにその変化は強烈な刺激があった。
暗い顔で興奮するなど変だったが、美子はそうした表情をするのが珍しかったため、何やら特別な事をしている感じがしたのだ。
「じゃあ、友達としてセックスしよう。それならいいだろ?」
「はにゃ? 友達として? セックス、するでありますか……?」
「そうだよ。俺たちは友達として、友情の証としてセックスするんだ。仲がいいから、お互いが気持ち良くなる様に遊びみたいにするのさ。ほら、ゲームしてると楽しいだろ? ああいう風に相手と遊んでいるのが楽しい感覚でセックスもするんだよ」
神治の脳裏には、去年初めて緋道村へ戻り、幼馴染達と再会した時の事が浮かんでいた。
あの時初めて幼馴染達と一緒にセックスをしたが、何とも楽しく、友情が深まる感じがしたのだ。
それ以来何度も一緒にセックスしているが、そのたびごとに友情が深まっている様に思えていたのである。
「じゃあ、セックスしても美子ちゃんに惚れないの? 友達のまま? 毎日ゲームで遊んでくれる?」
「ああ、友達だ。ゲームだって毎日するよ。俺だって美子ちゃんとはずっと友達でいたいからね」
「それがホントなら嬉しいけど……う〜〜ん、セックスはするのに友達のままなんだ……難しいなりね……」
「そんな難しく考えないで。ただ気持ちのいい事をするだけなんだからさ……いいだろしても? 美子ちゃんは友達だから、すっごく気持ち良くしてあげるから……」
「うわっ、宇宙人くん、今すっごくエッチな顔した。女ったらしだっ。エロ師匠だっ。美子ちゃんもその餌食にされてしまうなり〜〜」
「そう、餌食にしちゃうんだよ。いただきま〜〜す」
敢えてふざけた感じで言いながら、神治は美子の唇に吸い付いていった。
今の説得が効いたのか、美子は抵抗せずに大人しく受け入れている。
「んっ……んんっ……んふっ……んっ、んっ……んんっ……」
舌を押し込み、絡ませて強く吸っていくと、美子の体から力が抜けていった。
そのまま唇を放して上から見つめると、美子はうっとりした表情を浮かべながらボーッとしている。
「どう? 気持ち良かった?」
「はぅ……宇宙人くん、キス凄いにゃ……こんなの凄いれすよ……」
「でもまだまだこれからだよ。セックスはもっと気持ちいいから……」
そう言いながらブラウスのボタンを全て外し、完全に前を開く。
続けて可愛らしいブラジャーを引き下ろすと、プルンっといった感じで真っ白な乳房が顕わになった。
その頂点ではピンク色の乳首が揺れていて激しく性欲を刺激してきたため、久々に感じる肉欲のたぎりに神治は嬉しくなった。
「あぅ〜〜、脱がされちゃったよぉ。宇宙人くんのエッチぃ……」
そう言いつつも前を隠そうとしないのは、受け入れてくれているという事なのだろう。
見下ろせば、白とピンクの体がそこにあった。
白いブラウスにピンクのスカート。そして肌の白さ、唇と乳首のピンクがまさにそういった感じを思わせたのだ。
白とピンクというのは肉欲を刺激するのか、神治は無性に美子の体にむしゃぶりつきたくなった。
何より美子の体は全体的に肉付きが良く、ふっくらとしていて何とも抱き締めたくなる衝動を呼び起こす体だったのだ。
肌の白さと相まって、まるでつきたての餅で作られた様な印象があったのである。
「綺麗な体だね……」
そう言いながら抱き締めると、予想通りたまらない肉の柔らかさの感触が体中に溢れた。
一度抱いたら再び抱きたくなる気持ちの良さがそこにはあったのだ。
「う〜〜、宇宙人くんのエッチぃ。悔しいから私も負けじと抱き締めてやるぅ……」
美子はそう言いながら背中に腕を回してくると、ギュッと力を込めてきた。
ツインテールの頭が迫り、その髪を優しく撫でた後、もう一度唇を重ねる。
「んっんっ……んふぅっ……ふぁ、気持ちいいねぇ……宇宙人くんとのチューは何か凄いよぉ……」
「俺も気持ちいいよ。美子ちゃんの体って、抱いてると凄くいい……柔らかくて最高だ……」
そのまま手を伸ばしてプルンっとした乳房を掴む。
ゆっくり手を動かすと形が変わって何ともいやらしい。
「あ、オッパイ揉まれちゃった、んっ……何か今までより、あっ……エッチな感じ、あんっ……何でかなぁ……?」
「そりゃそうだよ。俺、ずっとこういう事をする気が起きなかったんだから。でも今は凄くしたくなってる。だから触り方も今までとは違うんだよ……それに、美子ちゃんもこうした雰囲気で揉まれるのは初めてだろ? だから興奮してるんじゃないか?」
そう言いながらさらに乳房を強く揉み、ピンク色の乳首に吸い付いていく。
「それはそう、あんっ……だ、だけど、あっ……す、吸われちゃ、あんっ……宇宙人くんにオッパイ、あっ……吸われ、やぁっ……」
両手で乳房を回すようにして揉みしだき、乳首を交互に舐めて吸うと、美子は体をピクピク震わせ、泣きそうな表情を浮かべた。
それが何とも興奮を高め、神治はもっともっと美子をいやらしくしたくなった。
何しろ普段ニコニコ馬鹿な事を言っている姿しか知らなかったため、こうして普通の女の子の様に愛撫に喘ぎ、熱い吐息を漏らして悶える姿が新鮮だったからだ。
そして新鮮ゆえに興奮も強まり、久しぶりに蘇ったセックスに対するヤる気も盛り上がっていたのである。
「あっ、やぁっ……宇宙人くぅん、あっ、ああっ……そこ、やだ、あんっ……そんな風にしちゃ、やぁんっ……」
はだけたブラウスから覗く白い肌を舐め回し、あらゆる箇所に吸い付いて撫で回していくと、美子が激しく悶えた。
そのままピンクのヒラヒラとしたスカートを捲り上げ、パンティの上から秘所を指でなぞると、さらに悶えが激しくなった。
「あっ、あぅっ……やんっ、そこ触っちゃ、あっ……駄目、やんっ……エッチエッチぃ、やぁっ……」
パンティの中に指を入れ、秘所を直接いじると、美子は顎を仰け反らせ、イヤイヤといった感じで頭を振った。
ツインテールの髪がムチの様に舞って何とも可愛らしい。
パッチリとした大きな瞳も潤んでいて、「もっと気持ち良くして欲しい」と訴えているかの様だった。
「あっ、はぁっ……凄い、あっ……凄いよぉ、あんっ……そこをそん、あぁっ……駄目、やっ……宇宙人くぅんっ……」
可愛らしく体をくねらせ、神治の与える快感に浸っている美子は、何ともたまらなかった。
元々ハチャメチャな言動を除けば十二分に美少女であったため、こうして快楽状態になっていると何とも言えないいやらしさがあったのだ。
「はぅっ……そこは、やんっ……そこ、あっ……そんなの、ああっ……舐めたら、やぁっ……気持ち良くて、あっ……気持ちいいよぉっ……」
股間に顔を移動させ、クリトリスを刺激すると、美子がビクビクビクっと体を震わせた。
そしてもっとして欲しいのか、神治の後頭部を掴むと強く股間に押しつけてくる。
「あふっ、あっ……やっ、やっ、やぁんっ……駄目、あっ……そんなに、あぁっ……凄い、はぅっ……宇宙人くん凄い、あっ……凄いぃっ……」
頭を左右に激しく振り、耐えられない様にして体を震わせた後、美子はガクリと力を抜いた。
どうやらイったらしい。
神治は美子を気持ち良くさせられた事に満足しながら、今度は自分が気持ち良くさせてもらおうと思った。
見下ろすと、美子は寝起きの様なボンヤリした顔をし、微妙に笑顔を浮かべている。
ヒラヒラとした白いブラウスと、ピンクのスカートが可愛らしさを感じさせつつ、それがはだけ、豊満な乳房と、肉付きのいい太ももが顕わになっているのがいやらしかった。
「入れるよ? 美子ちゃん……」
「ふぁ……入れるのぉ?……セックス、しちゃう……しょうがないなぁ……」
困った様な笑みを浮かべながら、美子はどうやら了承してくれたようだった。
あまりに神治が積極的であるため、それに根負けしたのかも知れない。
自分でもここまで強引にするつもりはなかったのだが、それだけセックスに対するヤる気が薄れていた事に対して悩んでいたという事だろう。
せっかく回復したヤる気を無駄にし、ここでセックスしないなど悲しすぎたのだ。
(それに美子ちゃんとも、もっと仲良くなりたい……)
セックスをすれば、幼馴染達との様に仲の良さがさらに深まるのではないかと思えた。
そういう点では、いつの間にか神治もすっかり緋道村の感覚に染まっていたという事だろう。
そんな事を思いつつズボンとパンツを下ろした神治は、美子のパンティを脱がすと肉棒を秘所へ近づけていった。
ズブ……。
「あっ……」
亀頭が膣穴にハマった瞬間、美子が小さく呻いた。
ようやく美子と繋がれた事にホッとした想いを抱きつつ、ますます快楽を味わいたくなっている己に気づいて嬉しくなる。
完全にセックスがしたくてたまらない状態になっていたからだ。
「あぐっ……いっ……痛っ……ぐっ……」
そのままゆっくり肉棒を押し込んでいくと、美子は体に力を込め、苦しそうに悶えた。
(う……さすが美子ちゃん、ここも凄いね……)
苦悶の表情を浮かべる美子を見つめつつ、神治は股間から押し寄せてくる快感に呻いた。
美子の体は初めて男を受け入れたにも関わらず、見事なまでに肉棒に吸い付き、奥へ奥へと誘ってきていたからだ。
その蠢きは、神治の経験からしてかなりの具合の良さと言えただろう。
(こりゃ男が夢中になる膣だな……)
今後経験を積んでいけば、男が気持ちの良さに泣きながら腰を振る様になるに違いなかった。
そういった良さが美子の膣からは感じられたのだ。
(でもしばらくは、俺が独り占めするけどね……)
美子に恋人が出来るまでは、自分が友人として抱き続けるつもりだった。
これほどの膣であると分かった以上、毎日でもしたくなるからだ。
(って、俺、かなりしたくなってるなぁ。これって他の人が相手でもそうなのかな? それとも美子ちゃんだけ……?)
以前の様にセックスに対するヤる気がかなり上がっている事に驚く。
そしてそれが美子限定なのか、他でもそうなのか気になった。
(帰ったらしずねぇで試してみようかな……)
そんな事を思いながら、腰をゆっくり動かし出す。
「あぐっ、ぐっ……痛い、うぅっ……宇宙人くん、ぐっ……痛いよぉっ……」
すると美子が苦しげに呻いた。
初めてなのだから仕方ないのだが、いつもニコニコしている美子が痛がっているのは見ていて何とも辛かったため、神治は「気」を使って痛みが和らぐ様にしてあげた。
そもそも神治にとってこのセックスはリハビリなのであり、それに協力してくれている美子には出来るだけ嫌な想いはさせたくなかったのだ。
「あっ……あ、あれ?……痛く、ない……」
美子が驚いた様にしている。
急に痛みが消えたのだから当然だろう。
神治はその事を確認すると、これで思い切り抱けるとばかりに腰を勢い良く振り始めた。
「あっ、あっ、ああっ……やだっ、何これ、あっ……宇宙人くん、あっ……何これぇっ……」
腰が動くたびに美子は顎を仰け反らせ、初めて体験する快感に甘い吐息を漏らしている。
ヒラヒラとしたブラウスの間から覗く大きめの胸が、前後左右にブルンブルンと揺れ、その様子に興奮が高まっていく。
美子の体はまだ幼いけれど、十分肉付きが良くて女の体を感じさせたため、それを組み敷いている状態に男としての悦びが溢れた。
身に付けているロリータファッションの可愛さも、その想いを強めていると言えただろう。
「あっ、やっ、ああっ……こんなの、あんっ……こんなの初めて、あっ……気持ち、あっ……気持ちいいよぉっ……」
美子はツインテールの髪を振り乱しながら、押し寄せてくる快感に悶えている。
白いブラウスとピンクのスカートに付いたヒラヒラが、一突きごとに揺れるのが面白い。
「あぅっ、あっ……それ凄い、あっ……それ、あんっ……それぇっ……やっ、やぁっ……」
肉付きのいい太ももを持ち上げ、のし掛かる様にして突き込むと、美子は床に指を立てて喘いだ。
腰を動かすたびに持ち上げた脚が揺れ動き、何とも言えないいやらしさを感じさせる。
「あっ、あっ、ああっ……何か凄い、あっ……凄いよぉっ……あんっ、あっ、やぁっ……宇宙人くん、宇宙人くぅんっ……」
美子は泣きそうな顔になりながら、助けを求める様にしてしがみついてくる。
背中に回った腕が強く掴んで来る事に嬉しさを感じながら、膣内も強く締まってくる事に快感を覚える。
(これだよこれ……女を抱く気持ちの良さ……こうして女を自由にするのが気持ちいいんだ……)
神治は忘れていた女を従える悦びを思い出し、精神的な快感を得ている事に嬉しくなった。
「あんっ、あっ……やっ、やぁっ……ダメっ、ダメっ、ダメぇっ……おかしく、あんっ……おかしくなっちゃうぅっ……」
特にこうして女の普段とは違う面を見られるのがセックスの良さだった。
どんなに清楚な女であろうと、快楽に染まってしまえば肉棒の突き込みにいやらしく喘ぐのである。
美子にしても、普段はあれほど馬鹿っぽいにも関わらず、快楽に染まった途端、何とも可愛らしくていやらしい態度を見せており、それが自分だけが知っている顔であるという事に満足感が湧き起こった。
(そうだよ……こうして女の普段の顔を崩して……本心を、いやらしい本音を暴くのが……それが最高に気持ちいいんだ……)
神治の中で荒々しい何かが目覚めた様に思えた。
この感覚も実に久しぶりだった。
これが出るとセックスはさらに気持ち良くなり、何も余計な事を考えないで済む様になるのである。
「やっ、やぅっ……わたし、あっ……わたしもう、あっ……わたしもうダメだよぉっ……あんっ、あんっ、ああんっ……」
絶頂が近いらしい美子に合わせ、神治も射精感を高めていく。
久々の満足できるセックスであったため、射精も最高の気分でしたかった。
「あっ、あっ、ああっ……凄い、あっ……凄、あんっ……そんな、あっ……そんなの、あんっ……そんなのぉっ……やっ、やっ、やぁああああああああああんっ!」
「うぅっ!」
ドピュッドピュッ、ドクドクドクドクドクドク……。
美子の体が硬直すると共に、神治は肉棒の栓を解放し、思い切り精を放った。
凄まじい勢いで精液が放出され、あまりに量が多いためか、膣内に収まりきれずに漏れているのが分かる。
どうやら無意識の内にいつも以上の量を出しているらしい。
それだけ自分はこの射精に悦びを覚えているのだという事を神治は実感した。
(ああ……気持ちいい……やっぱりセックスはこうじゃないと……最高だ……)
何度も何度も、それこそ終わりが無いと思えるほどに射精を繰り返す。
普段常人相手には抑えている射精の量を解放しているのだ。
それだけ神治の心は、美子の中に精を放ちたい気持ちで溢れていたのだった。
「あ……うぅ……あぁ……」
美子が快楽の呻きを漏らしている。
その表情はだらしなく蕩けており、意識が朦朧としているのが分かった。
体も小刻みに震え、かなりの快感を得ている様だった。
少しすると瞳の色が快楽一色になり、ガクガクとそれまで以上に体が震えだした。
(おっと、マズい……)
慌てて「気」を引き締める。
あまりに嬉しかったせいで、つい淫の「気」を抑えるのを怠ってしまったのだ。
以前、近くにいるだけで絶頂に至らせる状態になっていたが、それと同じ状態になりそうになっていたのである。
もしそのままにしておくと、美子はあまりの快楽のために狂ってしまうだろう。
「あ……はぁ……ふぅ……」
神治が「気」を抑えると、美子は大きく呼吸をし、体から力を抜いた。
どうやら通常の状態に戻った事に安堵しつつ、神治も射精を終えると力を抜いて横に倒れ込む。
久々に満足できるセックスであったため、何とも言えない達成感があった。
「宇宙人くぅん……」
美子はトロンとした表情をしながら、胸に顔を寄せ、甘える様に頬ずりしてきた。
それは普段の馬鹿っぽい様子からは想像できない女の子らしい媚びであったため、そのギャップに興奮が強まる。
この隠されていた一面を呼び覚ましたのは自分なのだという想いに肉欲が高まり、肉棒が一気に勃起した。
(ホント俺、セックスがしたくなってる……)
ヤる気が復活している現状に嬉しさを感じつつ、そうしてくれた美子への感謝の気持ちが湧き起こる。
そしてもっともっと美子を気持ち良くさせてあげなければ、と思った神治は、再び美子の上にのし掛かっていった。
「美子ちゃん、またするよ? いいよね?」
そう言いながら、答えを聞かずに首筋に吸い付きつつ乳房を揉んでいく。
「あんっ……いいよ、あっ……気持ちいいから、あぁっ……してもいい、やぁっ……」
すでに快楽にハマったのか、美子は嬉しそうに呟いている。
神治はその返事に満足しながら美子を抱き締めると、優しくキスを繰り返した。
「んっ、んんっ……んふぅ……宇宙人くんとのキスって凄い……もう美子ちゃん蕩けそうだよぉ……」
うっとりした瞳を向けながら、可愛らしくそう言ってくる美子に、肉棒がビクンっと反応を示した。
何とも言えない愛おしさといやらしさを感じたからだ。
この少女の中に肉棒を入れたい。
思い切り肉棒を出し入れしたい。
数え切れないほど射精したい。
雌を求める本能が、神治にセックスする事を要求していた。
それは以前であればいつでも起きていた衝動だったが、今の神治にとっては久々に感じられるものだった。
「美子ちゃんっ、俺っ……」
もうたまらない、という言葉を言い切れず、神治は落ち着かない状態で美子を四つんばいにさせると、後ろから一気に肉棒を押し込んでいった。
ズブ……、ズブズブズブズブ……。
「あぅんっ……あっ、あぁっ……はぁんっ……」
「うぅ……」
肉棒が膣内を擦りあげるとたまらない快感が走り抜ける。
名器と呼べる美子の膣は、神治の肉棒を歓迎するかの様に吸い付き、ウネウネと絡みついてきた。
温かく湿った膣襞のいやらしい蠢きは、肉棒に激しい快感を与え、神治の脳に強烈な刺激を与えた。
(す、凄い……)
射精感が急激に高まった事に驚く。
美子のそこは、まるで神治の肉棒に合わせて作られたかの様にピッタリとハマる感覚があったのだ。
入れているだけでジワジワと気持ちの良さを伝えてくるのである。
これは家族と交わっている時によく感じるものであり、どうやら美子の膣は神治と相性が良いに違いなかった。
「あっ、あっ、ああっ……やっ、やっ、やぁっ……」
神治が腰を振り始めると、美子は頭を仰け反らせ、ツインテールの髪を激しく乱した。
ピンクのスカートがいやらしく捲れ上がり、突き込みごとにふわっふわっと膨らむのが何とも可愛らしくもいやらしい。
ロリータファッションというのは刺激的な可愛さがあるせいか、性的な意識で見ると快感を呼び起こすのだ。
セーラー服やナース服などもそうだが、特殊な服装というのは性欲を刺激する効果があるのかも知れない。
「あぅっ、あっ、ああっ……やっ、オッパイをそんな、やんっ……駄目、あっ……宇宙人くん駄目ぇっ……」
背後から乳房を掴み、ギュッギュッと揉みしだくと、美子が甘く喘いだ。
「あんっ、あんっ、ああんっ……それ、やっ……それ凄い、あんっ……それ凄いよぉっ……」
乳房を鷲掴みにしたまま肉棒を叩き付ける様にすると、美子が頭を左右に振り、体をプルプルと震わせて悶えた。
その勢いでピンクのスカートが完全に捲り上がり、尻が丸出しになっているのがいやらしい。
ピンクのヒラヒラとしたスカートから顕わになった尻は、まるで皮を剥かれた果物の様に見え、妙な興奮が湧き起こった。
神治は白い尻を持つと、ペチペチと軽く叩きつつ、それまで以上に強く腰を振っていった。
「あっ、やっ、はぅっ……宇宙人くんもっと、あっ……宇宙人くんもっとぉっ……宇宙人くんもっとだよぉっ……」
振り返り、泣きそうな顔でそう言ってくるのに興奮が高まる。
可愛らしいロリータな服をはだけ、上気させた顔を快楽に歪めながら訴えられてはたまらなかった。
意識せずとも腰の動きが速まり、肉棒を強く大きく出し入れしてしてしまう。
「あんっ、あっ……やぁっ、やぅっ……あっ、あっ、ああっ……」
美子は腕を崩し、上半身を床に付ける様にすると、爪を立てて喘いでいる。
イヤイヤする様に頭が揺れており、それが何とも言えない満足感を神治の中に呼び起こした。
今自分は美子を支配している。
美子を自由にしているのだ。
これまでずっとゲームで勝てなかったため、セックスではいきなり自分が優位に立てている事に奇妙な喜びがあった。
「あぅっ、あっ、ああっ……わたしもう、あっ……わたしもうダメぇっ……わたしもうダメだよぉっ……やっ、やっ、やぁっ……」
自らいやらしく腰を振りながら、美子は限界が近い事を告げてきた。
それに合わせて神治も射精感を調整し、一気に射精しようと激しく腰を振っていく。
「あんっ、あんっ、ああんっ……いいっ、いいっ、いいよぉっ……凄い、あっ……凄いの、あぁっ……凄いんだよぉっ……やっ、やっ、やぁああああああああっ!」
「うっ!」
美子が絶頂に至ると同時に精を放つ。
勢い良く迸る精液を感じながら、押し寄せてくる快感に浸る。
神治は体全体で快楽を受け止めながら、ピクピクと震えている美子を見つめつつ、何度も精を放っていった。
「あ……はぁ……はぅ……」
しばらくして射精を終えると、美子の可愛らしい吐息を聞きつつ体を放す。
上気した顔をこちらに向け、美子は嬉しそうに笑っている。
そしてそんな様子を見ていると、さらにセックスがしたくなっている自分に気づいた神治は嬉しくなった。
ここまで自主的にセックスをしたくなったのは本当に久しぶりだったからだ。
「美子ちゃん、またいいかい?」
「んにゅぅ……宇宙人くんのエッチぃ……でも、気持ちいいからいいよぉ……」
完全にセックスにハマっているらしい美子の言葉に苦笑しつつ、こうして何度もさせてくれる事が、自分のセックスに対するヤる気のリハビリになっているのだと思うと感謝の気持ちが起きた。
そしてその恩返しとしてもっともっと美子を気持ち良くしてあげなければと思いつつ、神治は美子の体にのし掛かっていくのだった。
「あっ、あっ、ああっ……やっ、やっ、やぁっ……」
胡座をかいた神治の膝の上に座った美子は、産まれたままの姿で激しく腰を振っていた。
あれから場所をベッドの上に移し、お互い裸になって交わっていたのだ。
目の前では大きな胸が上下にゆれ、ツインテールの髪が乱れている。
可愛い顔は上気しまくり、印象的な大きな瞳は、潤みまくっていやらしさを感じさせた。
「はぅっ、あっ……宇宙人くん、あっ……宇宙人くん気持ちいい、やぁっ……宇宙人くん気持ちいいよぉっ……」
美子は神治の背中に手を回し、我慢できない様にしてしがみついている。
泣きそうな表情がたまらず、神治は腰を勢い良く突き上げた。
「あっ、あぁっ……オチンチンが、あんっ……オチンチンが当たる、あっ……オチンチンが当たってるの、あんっ……凄い、あっ……凄いぃっ……」
背中に痛みが走り、美子が爪を立てているのが分かった。
その事に苦笑しつつ、美子の体を後ろに倒してのし掛かる。
「あぅんっ、あっ、あぅっ……やぁっ、やっ、やぁんっ……」
そのまま大きく強く肉棒を突き込むと、美子はさらにギュッとしがみつき、肩に歯を立ててきた。
「こら、痛いぞ……」
「だって、あんっ……だって凄いんだもん、あっ……宇宙人くん凄いんだもん、やっ……宇宙人くんのオチンチン、あぁっ……凄いんだもぉんっ……」
刺激的な褒め言葉を返され、神治は嬉しくてたまらなくなった。
ここまで褒められると、もっと凄くしてあげたくなってくる。
「あっ、あんっ、ああんっ……やっ、何これ、あっ……凄い、あぁっ……もっと凄い、あっ……さっきより、あんっ……もっと凄いよぉっ……」
美子が体を硬直させ、ピクピク震えるのを可愛らしく感じる。
「そんなに凄いかっ? いいのかっ? これでどうだっ?」
あまりに反応良く喘ぎ、神治を褒めながら悶える美子に嬉しさが増した神治は、淫の「気」を強めに送りつつ腰を振った。
「あぅっ、あっ、やぁんっ……凄、あっ……やはぁっ、やぅっ……凄い、あっ……おかしく、あんっ……やっ、わたしぃっ……」
快感が強すぎたのか、意味不明な感じで言葉を発しつつ、美子は頭をブンブンと振って強くしがみついてくる。
それに合わせて膣内がキュウキュウと締まり上がり、肉棒に強烈に吸い付いてきた。
(う……美子ちゃんのここって……凄いな……)
セックスするたびに成長しているのではないかと思えるほど、抱けば抱くほど美子の膣は感触が良くなっていた。
今も思わず神治の意識が飛びそうなほどの快感が走ったのだ。
実際あまりの気持ちの良さに涙ぐんでいるくらいだった。
「美子ちゃんっ、気持ちいいよっ……美子ちゃんは最高だっ……」
そう褒めつつ、さらに肉棒を強く叩き付ける。
「ああぅっ……やっ、ああんっ……宇宙人くん、あぁっ……わたし、あんっ……わたしも、やっ……凄、あっ……気持ちい、やぁっ……最高、ああんっ……」
激しく喘ぎつつ、とぎれとぎれに言葉を発しているのが何とも可愛らしい。
幼さを感じさせる顔がいやらしく歪み、パッチリとした大きな瞳が潤んで見つめてくるのに神治の射精感は激しく高まった。
美子も絶頂が近いのか限界の声を上げており、このまま一気に射精しようと神治は腰の動きを早めていった。
「あんっ、あんっ、ああんっ……もうイく、あっ……もうイくの、あぅっ……もうイっちゃうぅっ……わたし、あっ……わたしダメ、あんっ……わたしダメだよぉっ……あっ、あっ、あぁあああああああああんっ!」
美子の絶頂に合わせて精を放つ。
ドクドクドクと放出されていく精液を感じながら、押し寄せてくる快感に浸る。
もう何度美子の中に精を注ぎ込んだだろうかと思いつつ、これほど積極的にセックスし続けられた事に幸福感を覚えた。
本当に久々に心身共に満足できるセックスを行えたのだ。
その事で美子に感謝の気持ちを抱きつつ、しばらくして射精を終えた神治は、ゆっくり体を放すと横に転がった。
隣で美子はハァハァと荒い呼吸を繰り返し、ボンヤリと天井を見つめている。
その顔はいつものハチャメチャな言動をしている少女と同じようでいて、大人びた女の雰囲気もあったため、奇妙な感覚を覚えた。
「良かったかい? 美子ちゃん」
「うん、すっごく良かった。気持ち良かったよ……宇宙人くんとのエッチ、凄く気持ち良かった……さすが宇宙人だね。これじゃモテモテになるのも分かるなり……」
セックスの時にはなかった妙な口調で答えつつ、美子はうっとりとこちらを見つめてくる。
「それに宇宙人くんの言った通り、ゲームみたいにどんどんしたくなってる……それに宇宙人くんのこと、すっごく好きになってる……美子ちゃんの友情魂が激しく燃えあがっているなりね……もう大親友にしたいって感じっ? んっ……」
美子はそう言いながら軽いキスをしてきた。
「本当に友情なのかい? 惚れたりしてない?」
恋愛感情を持ってしまうのではないか、というのが美子の不安であったため、大丈夫だったのかと尋ねる。
「うん、惚れてないよっ。だってあんまり気持ち良すぎるんだもんっ。恋するとかそんな気持ちなんかどっか行っちゃったよっ。気持ち良くて気持ち良くて、宇宙人くんをもう放したくないっていうかっ。もっともっとエッチしてもらいたいって言うかっ。この気持ちって何だろっ? 宇宙人くんがすっごい存在って感じがしてっ……う〜〜ん、そうっ、凄い宇宙人が降臨したみたいな感じっ?」
「何だそりゃ? 普通の宇宙人とは違うのか?」
妙な例えに苦笑する。
元々神治を宇宙人と思っているのに、それとどんな違いがあるのだろう。
「私、宇宙人くんと初めて会った時、宇宙人くんが普通じゃないってのは分かったんだっ。だってテレポートしてたし、何かオーラみたいなのがあったからっ。でもそれは普通の変さなんだよっ。普通に変なだけなのっ。だけど今エッチしてもらった時は違ったのっ。凄〜〜い変さっていうか、『うわっ、この人って凄いっ』って思えるくらい強烈な何かを感じたんだよっ。もしかして宇宙人くんって、高次元の存在なんじゃないかなっ?」
「こ、高次元? 何だよそれ?」
何やら新しい単語が出てきたため首をかしげる。
「凄い宇宙人ってことさっ。単に宇宙人ってだけだと、私たちと変わらない訳だよっ。要するに他の惑星に住んでいる、科学力が地球より発達しているってだけのねっ。でも高次元の存在となると別なんだなぁっ。高次元の存在ってのは、精神的な部分で私たち以上の存在って事なのさっ。要は神さまみたいな存在ってことだねっ」
その言葉に驚く。
どうやら美子は、神治が神である事を感覚的に見抜いているらしいからだ。
今の言葉は、神治が常人と異なる力の持ち主だという事だけでなく、人間以上の存在である事も見抜いている様に思えたからである。
言葉は違っているものの、まさに的確に正体を見抜いているのだから恐れ入ったとしか言いようがなかった。
「ね、宇宙人くんっ。宇宙人くんって、宇宙人の神さまなのかなっ?」
「え……?」
あまりにストレートに聞かれたため、どう答えれば良いのかと戸惑った。
「ただの宇宙人にしては凄すぎるし、神さまなんじゃないかって思ったんだよぉっ。どうなんだいっ? 神さまじゃないのかにっ?」
「い、いや、まあ……何て言ったらいいか……」
神治としては、家族にすら秘密にしている事を美子に話していいものだろうかと思った。
だがよく考えれば、すでに宇宙人と思われているのだから、あまり変わらないのかも知れない。
それに美子であれば話しても構わない気がした神治は、神である事を認めようと思った。
「実は……」
「う〜〜ん、でもこういうのは秘密にしておいた方がいいのかもねっ。いざって時に『実は俺は神だったんだ』って感じで助けてくれる方がカッコいいしっ。美子ちゃんも『うすうす凄い存在だって気づいていたけど、まさか神だったなんてぇっ』って感じで驚くシーンが必要だと思うしさっ」
(「驚くシーン」ってなんだよ……)
相変わらずの変な発言に苦笑しつつ、神である事を話そうとしていたのが途中で腰砕けになった神治は脱力した。
(まあ、そこが美子ちゃんらしいんだけど……)
すでにバレている事ではあるけれど、自分の口で「神だ」と告げるのは少し抵抗があったため、それを強制しなかった美子に神治は密かに感謝した。
「それよりもう一回しよっ? 美子ちゃん、宇宙人くんとエッチするの、すっごく楽しくなっちゃったっ」
「俺もそうだよ。美子ちゃんとすると楽しい。だから凄くしたいんだ……」
そう言いながら美子の体にのし掛かろうとした時だった。
「ただいま〜〜」
不意に部屋の外で玄関のドアが開く音がし、誰かが帰ってきたのが分かった。
「あ、ママが帰って来ちゃったよ。もうそんな時間なんだぁ……って事で、残念だけど今日はお開きだねっ」
「そりゃそうだよっ。マズイって……」
全く動揺せず、いつもの様にゲームを止める時と同じ口調で言ってきた美子に困惑しつつ、神治は慌てて立ち上がると服を身に付け始めた。
「んにゃ? 何がマズイのかな? 別にいつもと同じじゃない。だからそんな慌てないでいつもみたいにゆっくり……」
「何言ってるんだよっ。いつもと同じな訳ないだろっ。ゲームをしてたんじゃないんだからっ。二人して裸でベッドの上に居る所なんて見られたら大変だってっ。それこそもう会わせてもらえなくなるかも知れないんだぞっ」
「あ、そうだったなりっ。エッチしてたんだっけっ。そりゃ確かに大変だぁっ。あっと、美子ちゃんも服着なきゃっ……あ〜〜、宇宙人くん、ブラジャーどこかにゃっ?」
「知らないよっ」
「でもブラジャー取ったの宇宙人くんだよぉっ。どこに置いたのさっ」
「そういやそうか……って、そんなのよりとっとと何か着ろっ。取り合えず服を着ておけば誤魔化せるんだからっ」
「ふにゃっ、そうだねっ。うん、美子ちゃん服着るよっ。えいっ、へんし〜〜んっ」
美子は変なかけ声と共に、近くにあったブラウスを身に着けている。
二人はバタバタしながら、何とか美子の母親に見つかる前に服を着る事が出来た。
それから慌てて窓を開け、部屋に満ちているであろうセックスの匂いを消そうとノートや雑誌でバタバタ仰ぐ。
そこまでするとようやく安心する事が出来た。
「美子ちゃん、そろそろ遅いわよ。もうお終いにしなさい……神治くんもいつもありがとうね。この子と遊んでくれて」
一息ついた途端、部屋のドアがノックされ、美子の母親が顔を見せた。
そして毎日遊びに来ているため、すでに顔なじみになっている神治に気安い感じで声をかけてくる。
「いえ、俺も楽しいですから。じゃあ、そろそろ帰りますんで……」
「んじゃ美子ちゃんはお見送りぃ〜〜」
神治は内心動揺しながら、いつも通りに見える様にしながら部屋を出た。
そしてどうやらバレていないらしい事にホッとする。
「ふふ、今日は楽しかったよんっ。エッチって最高だねっ。またしようねっ? んっ……」
美子は珍しくヒソヒソした口調でそう告げてくると、母親が離れているのを確認してから軽く唇を重ねてきた。
「俺こそありがとう。美子ちゃんのおかげで、飽きてたのがだいぶ治ったと思うから……」
強い感謝の気持ちを抱きながら頭を下げる。
「気にしない気にしないっ。美子ちゃんと宇宙人くんは友達、ううん、大親友なんだからさっ。だからまたしようねっ? 美子ちゃん楽しみにしてるからっ」
嬉しそうに笑う美子を見つめつつ、神治はいい友達が出来た事に嬉しくなった。
思えばここまで心身共に一つになれる友達など、他には居ないだろう。
今後もゲーム、セックス共にしていければ楽しいに違いないと思いながら、神治はドアを閉め、最後までニコニコと手を振っていた美子の顔を瞼に焼き付けるのだった。
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