緋道の神器
第二十六話 思春期の悩み
「何やら最近は有希と張り切っておる様じゃな」
未迦知神にからかわれる様にして言われた神治は苦笑した。
そこは当主家にある神社の本殿。未迦知神が暮らしている場所だ。
神治は家族を順に抱いた後、ここで未迦知神達を相手に過ごすのが夜の日課になっていた。
大抵はそのまま全員を相手にセックスするのだが、今日は何もせずにのんびりとしている。
ここに居るのは性欲をコントロール出来る者がほとんどのため、セックスせずとも問題が無かったからだ。
ゆえにこうして世間話をするだけで過ごす日もあったのである。
「知ってたんですか?」
「うむ、有希が報告に来ておるからの」
「え? 有希ちゃん、そんな事してるんですか?」
「あやつなりに罪悪感があるのではないかな。自分だけが昼間お主を独占している事を。お主、すっかり女漁りをしなくなったではないか」
確かに今の神治は身内以外抱いていなかった。
今はとにかく有希を抱きたくて仕方がなかったからだ。
そのため家族と巫女たちといった、自分が当主、そして神として抱かなければならない者たちだけを相手にしていたのである。
「すでにお主ら、夫婦になったということか」
「え? どういう意味ですか? 俺たち結婚してませんよ?」
「儂が言っておるのは名目上の婚姻の事ではない。魂における繋がりよ。互いが互いを夫、妻と認め合う状態の事じゃ。そうなった者達は互いを求め合い、常に傍に居たがり、肉体的にも繋がりを持ちたがる。そういう事じゃな」
「魂の繋がり、ですか……」
その言葉には聞き覚えがあった。
ガジギールの国で会った少女、王女アンリーエと魂の繋がりを持った事があるからだ。
そう言えばあの時も、四六時中アンリーエを抱きたい感覚に包まれていた気がした。
その事を思い出した今も、瞬間的に肉棒が疼き、アンリーエが傍に居ない寂しさに心が包まれたため驚く。
「アンリーエの事を思い出しておるな。そう言えばあの者ともお主は魂の繋がりを持ったのじゃったな。すでに妻が二人か。お主にしては上出来じゃの」
「そうなんですか? でもアンリーエは結婚とは違うって言ってましたけど」
「まあ、あの者の一方的な想いだけでは婚姻に至らなかったであろう。じゃがお主、あの者を受け入れておらなんだか? 妻にしても良いという程に、アンリーエを想ったのではないか?」
言われてみれば確かにその通りだった。
自分はアンリーエを愛おしい存在だと考えていた。
有希より以前に会っていれば、躊躇無く受け入れたに違いない。
いや躊躇はしたが、結局あの後、自分は確実にアンリーエに夢中になっていた。
その想いは、アンリーエを妻として受け入れていたと言ってもおかしくはないだろう。
「つまり俺は……あの時アンリーエと結婚していたって事ですか?」
「そうじゃろうな。別れ際のお主たちの様子を考えても、儂にはそう見えたしの。お主自身どうなのじゃ? 今もアンリーエを欲しておらぬのか? 傍におらぬ事が耐え難い寂しさになっておらぬのか?」
それは先ほど感じた想いだった。
そして意識を向ければ向けるほど、アンリーエが傍に居ない事に寂しさが募ってくる。
「不思議です。今までこんな寂しく感じなかったのに……どうして急に……」
「それだけお主が浮気っぽい男だという事じゃ」
「え? そ、そんな……」
あまりに分かりやすい理由を告げられ、神治は動揺した。
自分はそれほど浮気っぽい男なのだろうか。
「自覚が無いとは困ったものじゃの。お主は現在二人のおなごを妻とし、儂に対してもそれに近い想いを抱いておる。もし儂が受け入れれば三人のおなごを相手に魂の繋がりを持つ男となる訳じゃ。その様な男が浮気っぽくないなどと言えるか?」
確かにその通りだった。
自分は三人の女性に対して同じ様な想いを抱いているのだ。それは否定出来なかった。
「ふふ、ようやく理解できた様じゃの。まあ、生来の浮気性といったところか。幼い頃にも有希以外のおなごに婚姻を申し込んだそうだしの」
「あ、あれは別でしょう。しずねぇに対するのは憧れっていうか……恋愛感情なんてよく分からない頃のことですから……」
「まあ、そうとも言えるがな。だが今現在、恋愛感情を理解した上で、三人のおなごに対して想いを抱いておるというのは、浮気性と言えるであろ?」
「う……」
そう言われては反論できなかった。自分はやはり浮気性な男なのだろうか。
「まあ、何にせよ、それが悪い事とは儂は思わん。たった一人にしか愛を向けられないなど狭量の極みじゃ。優れた男ならば多くの女を愛するべきであろう」
「未迦知さまって、浮気を認めるんですか?」
「それぞれのおなごに対し、きちんと相手をすれば気にはせぬ。優れた男が多くのおなごに求められるのは当然のことゆえな。儂が気に食わぬのは、一度愛すると言っておきながら、それきり何もせぬ様な男じゃな。自分のモノにしたらほったらかしにするなど許せぬ行為じゃ。だからお主、きちんとアンリーエの相手もするのじゃぞ。時折ガジギールの国へ行き、愛してやるのじゃ。分かったな?」
「は、はい……」
何とも迫力のある視線を向けられながらそう言われ、神治は体を震わせながら頷いた。
口調には表れていなかったが、未迦知神の様子にはどこか恐ろしさを感じさせる雰囲気があったのだ。
もしかしたらそういった扱いを受けた事があるのだろうか。
そう思うと、嫉妬の心が湧き起こる。
自分が知っている未迦知神など、何百年生きてきている中の一部でしかない。
過去、未迦知神がどう生き、どんな男を愛してきたのか知らないのだ。
「そう言えば……未迦知さまは、俺と魂の繋がりを持ってくれないんですか?」
これまで何度も抱いてきたが、アンリーエや有希の時の様な感覚を持ったことはなかった。
つまり未迦知神は未だ自分を受け入れてくれていないという事だろう。
愛してくれているのは感じるが、それは母親が子供に抱く様なものであり、恋愛的なものではなかった。
神治が恋愛的に愛しているのを未迦知神は分かっているが、それを受け入れていないのだ。
「その様な事、言わずとも分かるであろうが。お主の様な危なっかしい未熟者、儂が妻になるなどありえぬわ」
そう言い切られ、ガックリと肩を落とす。
分かってはいたが、ハッキリ言われた事が悲しかったのだ。
「儂を妻にしたければ、もっと良い男になる事じゃな。まあ、焦ることはあるまいて、まだお主は大人にすらなっておらぬのじゃからな。子供が大人を惚れさせるなど、なかなか出来ることではないからの」
言われてみれば確かにその通りだった。
アンリーエと有希は自分と同じ年頃だが、未迦知神は遙かに年上なのだ。
普通の感覚でも子供が大人と恋人同士になるなど稀であるだろうに、かなりの年齢差のある自分と未迦知神とでは、よほどの事が必要であるに違いなかった。
そもそも自分は無意識の内に未迦知神を頼っている部分があった。
その様な男では夫の資格などないだろう。
「パパぁ、お腹すいたぁ……」
そんな事を考えていると不意に声がかけられ、神治は声の主を確認すると笑みを浮かべた。
いつの間にかミカが傍に寄ってきていたのだ。
神治の精液で栄養補給をしているミカは、性欲とは関係なく求めてくるため、今も胡座をかいた膝にのし掛かり、ズボンのチャックを勝手に降ろして肉棒を取り出している。
「しょうがないな。大人しくしてるんだぞ?」
「うん。ミカ、大人しくしてる」
嬉しそうに頷いたミカは、神治の肉棒を口に含むと美味しそうに舐め始めた。
押し寄せてくるたまらない快感に一瞬うっとりしつつ、「気」を調節する事で瞬間的に湧き起こった射精感を抑える。
本来はすぐに射精すべきなのだが、こうしてミカに肉棒をしゃぶられている事に愛情を感じるため、長く舐めてもらいたいと思ったのだ。
「神治さま済みません……ミカさんどうしても神治さまの精液が欲しいと言うので……」
ほたるが申し訳なさそうに言ってくる。
ミカの面倒はほたるが見ているため、制止できなかった事を気にしているのだろう。
「いいんだよ。別に俺も未迦知さまも気にしてないから。それよりこっちにおいで」
「はい……」
コクリと頷いて近寄って来たほたるは、そのまま後ろ向きに膝の上に腰掛けた。
神治がそうして欲しいと望んだからだ。
巫女であるほたるは、神治の望む事がある程度分かるのである。
「ほたるちゃん、可愛いよ……」
そう言いながら頭を優しく撫でた後、胸元に手を伸ばして白衣の合わせの間から手を差し込み、少し膨らみ始めた薄い胸をゆっくり揉み始める。
「あ……」
微かな吐息を漏らし、ピクッと体を震わせるのが可愛らしい。
「ふむ、それにしてもここも賑やかになったものじゃの。儂が戻った時は誰もおらなんだのに……」
「そうですね」
感慨深げに呟く未迦知神に笑いかける。
指先に触れた乳首をクリッと捻ると、ほたるが「はぅっ」と可愛らしい声をあげるのに嬉しくなりつつ、もう片方の手で「美味しい、美味しい」と呟きながら肉棒を舐めているミカの頭を撫でてやる。
金色の髪が美しく輝いており、神治は自分は何と素晴らしい娘を二人も持ったのだろうと思った。
(有希ちゃんとの赤ちゃんも、二人みたいに可愛い子だといいなぁ……)
どんな子供が産まれてくるだろうと想像した神治は、その事で何やら楽しくなった。
「ところで有希ちゃんが妊娠しているかどうかって、未迦知さまは分かりませんか?」
「分からぬでもないが、別に確認するまでもないであろ?」
「え? どうしてですか?」
そう尋ねながら、ほたるの口の中に指を入れ、優しく奥歯を撫でる。
「んっ……んぅ……」
小さな顔を歪め、甘い吐息を漏らすのが可愛らしい。
「お主が子を望んだのじゃ。その瞬間、有希の腹には子が宿っておるからじゃよ」
「それってどういう……」
「お主は神ゆえに、望めば子などすぐに作れるという事じゃ。無論相手に力があれば別じゃが、そうでなければ妊娠させるなぞ自由自在という事よ」
それは何とも驚きの言葉だった。
だが言われてみれば、安産の神などもいるくらいなのだから、神ならそういった事が調整できても不思議はなかった。
「んっ、んっ……」
未迦知神の言葉に納得しながら、ほたるの桜色をした唇に吸い付き、舌を絡ませる。
するとほたるが体をピクピク震わせ、求める様にしがみついてくるのが可愛らしい。
「あぅっ……パパぁ……」
そのままミカの胸元に手を伸ばし、ピンク色のメイド服の上から乳房を揉むと、肉棒から口を離して甘える様にこちらを見上げてくるのがたまらない。
強弱を付けて揉みしだかれるのが気持ちいいのか、ミカは尻をフルフルと揺らしながら肉棒を再び舐め始めた。
こうしてほたるとミカを同時に愛撫していると、二人が可愛くてたまらなかった。
快楽を求めるためではなく、愛情表現としてそうしているのが幸福感を呼び起こすのだ。
(でもそうなると、妊娠させたくない場合や、妊娠を意識していない場合はどうなるんだろう……)
細かい愛撫を二人にしながらも、神治の頭は未迦知神に言われた言葉を考えていた。
最近はこうしてセックスをしながら色々考え事をする様になっていたのだ。
無論、他の女性としている時は機嫌を損ねられかねないためしないが、ほたるとミカに対しては、そういった事をしても許される気がしたからである。
一応二人に嫌ではないか尋ねてみると、ほたるは「わたしは神治さまの巫女ですから、神治さまのされたい事が、わたしのしたい事です」と大人しいながらも毅然と答え、ミカは「パパが気持ち良くしてくれるなら何でもいい」と、どうでも良い事である様に言われた。
「未迦知さま。俺、今までしている最中に妊娠の事なんか考えてなかったんですけど、そういう場合はどうなるんでしょう?」
自分に対し、強い愛情を持ってくれている娘二人を可愛く感じながら、気になっている事を未迦知神に尋ねてみる。
「まあ、意識しておらねば通常の人間と変わらぬであろうな。じゃが無意識の内に妊娠に対する忌避があれば妊娠はせぬじゃろう。相手を妊娠させないという事も神であればできるゆえ」
なるほどそれは分かりやすかった。
神治は結婚した訳でもない相手を妊娠させるつもりは無い、というかさせたいとは思っていなかったため、これまでのセックスの相手は誰も妊娠していない可能性は高いだろう。
本来なら緋道村では構わない行為ではあったが、村の外で得た道徳観は、そういった行為を許さなかったのだ。
そして最も妊娠の可能性が高いはずの家族に関しても、他人以上に妊娠させたくない意識は強いため、これまで誰も妊娠しなかったのも納得だった。
有希の「誰も妊娠していない気がする」という勘はあながち間違っていなかったという訳だ。
「やっ……はぅっ……あっ……」
ほたるの白衣をはだけ、桜色の乳首に吸い付くと、可愛らしい吐息を漏らすのに興奮が高まる。
「んんっ……んぁっ……パパ、やぅっ……」
そのままミカの太ももをさすり、スカートの中に手を入れて秘所を撫でると、耐えられない様に頭を仰け反らせたのを満足げに眺める。
(それにしても、妊娠を調節できるってのは凄いなぁ……)
要するに妊娠を気にせずセックスしまくれるという事であり、逆に妊娠をさせまくって自分の子供をそこら中に作る事も可能なのだ。
思わず多くの女性が自分の子を身ごもり、赤ん坊を抱いている姿を脳裏に浮かべた神治は頬を緩めた。
それは男にとって何やら満足感をもたらす未来図だったからだ。
「ふふ、何やら外道な妄想を見ておるようじゃの。じゃがそれもまた良し。この緋道村であれば構わぬことゆえ、張り切って村中のおなごを孕ませるが良かろう」
思い切り頭の中を言い当てられ、神治は何とも言えず赤面した。
実は少し本気で思っていたりしたので、言葉にされたのが恥ずかしかったのである。
「何じゃ、急に元気が無くなったの。儂に言われてやる気が無くなったか? いかんぞ、男たるものもっと気合いを入れんとな」
動揺した事でほたるとミカに対する愛撫が止まったため、その事でまたもや頭の中を知られてしまったのを恥ずかしく思う。
「で、でもさっき未迦知さま、女性の相手を適当にするのは駄目みたいに言ってませんでした?」
「それは恋愛に関してであろう。単に孕ませるだけであれば、別にそんな気遣いなど不要じゃ。恋愛は男女にとって重要な事であるが、交わり自体は単なる快楽行為でしかないからの。好きなだけするが良いわ」
言われてみれば、これまで自分はそうした事を理解して多くの女性を抱いてきたのだから、今更気にしているのは変だろう。
とはいえ妊娠となると、どうにも恋愛と絡めて考えてしまうのだ。
「まあ、そう気にするな。この村に居る限り、お主の種であるかなど分かるものではない。ゆえに相手を孕ませる事などさしたる問題ではないのじゃ。この村の者は、誰の種であろうと己の家族として受け入れるゆえな」
その言葉にハッとなる。
そう言えば緋道村においては、誰が父親であるかは分からない状態なのだ。
そして誰の子供であろうとも、自分の子供として分け隔て無く育てるのである。
以前聞いた時はさほど気にしなかったが、改めて考えると実によく出来たシステムである様に思えた。
まさにセックスを楽しむためのシステムと言えただろう。
「そういうのって、未迦知さまが考えたんですか?」
「さてな。じゃが快楽行為である交わりと、男女の重要事である恋愛を絡めて考えるのは馬鹿馬鹿しいと儂は思うておる。男というのは、出来るだけおなごを抱きたいという本能があるゆえ、その事を己に対する愛情の深さと結びつけるなぞ意味がないゆえな」
言われてみればその通りだった。
男は別に愛していなくとも、美人でスタイルの良い女性であれば抱きたくなるものだ。
それは恋愛感情など関係なく、ただその女を抱きたい、女の中に射精したい、という肉体的な欲求でしかないのである。
いわば「美味しい料理を食べたい」とする食欲に似た様なもので、優れた料理人を求める事を愛情の深さと結びつけるなど馬鹿馬鹿しい事だった。
「それに……誰の種であり、誰が産んだのであろうが、産まれてくる子には何の罪もないのじゃからな。その事で不幸になる子なぞ、居ない方が良いのじゃ……」
未迦知神は不意に悲しげにそう呟くと、どこか遠くを見る様な目をした。
普段の陽気な姿からは想像できない寂しげな様子に、神治はどうしたら良いのかと困ってしまった。
「未迦知さま、悲しいの?」
そんな事を思っていると、突然ミカが尋ねたため驚いた。
神治の股間で肉棒を舐めていたはずであるのに、いつの間にか未迦知神の傍に寄り、心配そうに見つめていたのだ。
「心配させて済まんな。大丈夫じゃ。それより神治の精が欲しいのであろう? そろそろ飲ませてもらうが良い」
未迦知神はそんなミカの頭を優しく撫でると、立ち上がって近づいてきた。
「神治よ、直接的な娘ではないとはいえ、この者達を大切にするのじゃぞ」
「は、はい……」
やはりどこか様子のおかしい未迦知神を不審に思いつつ、再び肉棒を咥え込んだミカの様子を見つめる。
「では儂は少し外に出ておる。今宵は月が綺麗じゃからな。月見酒でもするかの」
「分かりました……ぐっ……」
未迦知神が横を通り過ぎる際に肩を叩いた瞬間、強烈な快感が走り抜けため、神治は意識しないまま精を放ってしまった。
強い淫の「気」を送り込まれたのだ。
「ふふ、まだまだじゃな。もっと己を磨くが良いぞ神治。いい男になれば、もたれかかって酒が飲めるというものじゃ」
可笑しそうに呟きながら去っていく未迦知神の後ろ姿に、神治はやはりいつもと違う雰囲気を感じた。
一体どうしたというのだろう。
だが自分の様な未熟者では、未迦知神の想いを受け止めるのは無理に違いない。
だからこそ未迦知神はこの場を去ったのだ。
いつか未迦知神の言葉通り、もたれかかられて酒が飲める様になれればいいのに、いや、なりたいものだと神治は思うのだった。
そんな日からまた数日が経った。
神治は昼間から神社の本殿に籠もり、ほたるとミカを抱いていた。
「あっ、あっ、ああっ……」
小さな可愛らしい体が前後に動くのを見つめつつ、膨らみの薄い胸が微かに揺れ、真っ白で滑らかな肌が桜色に染まっている様子に情欲を高める。
控えめな喘ぎを漏らしながらイヤイヤといった感じで悶えるほたるの姿にはたまらないものがあり、大人しい雰囲気の少女が快楽に悶える様子は嗜虐心をそそって肉棒を激しく猛らせた。
青い果実にすらなっていない、蕾とも言うべき幼い体を、肉棒で貫き好き放題に蹂躙する行為は、爽快感を伴う快楽だった。
「あっ……あぁっ……神治、さまぁっ……」
そしてどれだけ激しく扱われようと、自分を慕い、求めてくる態度は、可愛くて慈しまずにはいられない衝動をもたらしてくる。
巫女とはそうした存在だと聞いてはいるが、ほたるの様に幼い少女のこうした様子には特別な想いを抱かずにはいられなかった。
何より間接的とはいえ、娘であるのだからそうした想いはより強かった。
「あぅっ、あっ、あぁっ……やっ、やっ、やぁあああああああああっ!」
「くっ、うぅっ!」
ほたるの絶頂に合わせて神治も精を放つ。
ドクドクドクと注がれる精液を感じながら、愛する娘との交わりにホッとした想いを抱く。
「パパぁ、次はわたしぃ……」
射精を終えて横たわると、すぐさまミカが肉棒にむしゃぶりついてきた。
嬉しそうに肉棒を舐める小さな頭を撫でつつ、神治はゆっくりと体を起こした。
そのまま豊満な乳房を揉みしだきながらミカを四つんばいにさせ、後ろから一気に肉棒を押し込んでいく。
「あんっ……」
頭を仰け反らせて甘い吐息を漏らす様子を愛おしく感じつつ、形のいい尻を撫で回して白い背中を軽く舐める。
「あっ、あっ、ああっ……パパぁ、やっ、やぁっ……」
勢い良く肉棒を出し入れすると、ミカは体をプルプル震わせ、嬉しそうに腰を振った。
美しい金髪が背中にかかり、真っ白な肌が桜色に染まっているのがいやらしい。
日本では滅多に抱けない白人美少女の体を味わっている事に、神治は満足な想いを抱いた。
「あんっ、あんっ、ああんっ……パパっ、パパっ、パパぁっ……」
こちらの突き込みに合わせて頭を仰け反らせ、甘く喘ぐミカの姿は最高に可愛らしかった。
まだ産まれてから数日しか経っていないにも関わらず、ミカの肉体は見事なまでに美しく、いやらしかった。
その素晴らしい体に肉棒を突き込み、快楽を貪っていると、何もかも忘れられる様な気分になるのが、神治にとって気の晴れる事だった。
最近どうにも落ち込むというか、心のどこかが淀んでいる様な感じがして、楽しくないのだ。
そのせいなのか性欲も減退気味であり、神治は女性に対する性的衝動をあまり覚えなくなっていたのである。
妊娠の話を未迦知神に聞いてからというもの、まるでそれが理由であったかの様に有希を抱く衝動は治まり、ある意味自由に女性を抱ける状態になったのだが、今度は前述の理由からセックスに対する意識が薄くなっていた。
この様な事は初めてであり、一体自分はどうしてしまったのかと神治は悩んだ。
そしてその悩む行為がさらに性欲を減退させているのか、ますますセックスに対する意識が薄れる状態になっていた。
取り合えず当主としての義務である家族の相手は何とかしているが、家族にも乗り気でないのが分かるらしく、「無理をしなくていいから」とまで言われてしまう始末だった。
そんな状態であるせいか悩みは益々深くなり、神治は気の晴れない状態で鬱々と毎日を過ごしていたのである。
今も昼間から神社の本殿に籠もってほたるとミカを抱いているが、それは言わば鬱憤晴らしの様なものであり、快楽はあっても楽しくない状態だった。
しかしセックスをしていると快楽で頭が一杯になり、その瞬間だけは悩みから解放されるため、止められない行為である事も確かだった。
ほたるとミカはそんな神治の様子に気づいてはいるが、以前の「考え事をしながらのセックス」の時と同じく、変わりなく受け入れてくれているのがありがたい事だった。
家族は「気にしないでいい」とは言ってくれるものの、どうしてもこちらを気遣っている雰囲気を感じさせるため、抱けば抱くほど申し訳なさが強まる傾向があったが、ほたるとミカにはそうした部分が無く、本当に気にせずに抱けたのだ。
そのおかげで神治は一心不乱に快楽を求め、言わば自慰の様なセックスをする事ができ、悩みで淀んだ気分を晴らす事が出来ていたのである。
「やっ、やっ、やぁっ……いいっ、いいのっ、パパいいよぉっ……」
それまで以上に強く突き込むと、ミカが腕を崩して尻を高く掲げる体勢になった。
その事に支配欲を刺激された神治は、真っ白なミカの尻を掴むと、さらに腰の動きを速めていった。
「あんっ、ああっ……パパっ、それ、あんっ……それもっとぉっ……」
ミカのおねだりに神治は無意識の内に応じ、その行為を繰り返した。
そしてそれによって激しく頭を仰け反らせるミカを冷めた目で見つめる。
意識が現実から離れたため、精神的な快楽が薄れたのだ。
こうした事はちょくちょくあり、それがセックスに対する意識を弱めている原因でもあった。
(俺……いつまでこんな事するんだろ……?)
最近よく考える様になった事が頭に浮かぶ。
セックスしている最中、不意に己のしている行為が虚しくなるのだ。
セックスするのは気持ちいいし、家族も愛している。
だがずっとセックスをし続けなければいけない様な感覚が、虚しさを呼び起こしているのだ。
このままで自分はいいのか、毎日セックスばかりしていていいのか、といった意識が心にのし掛かり、重く暗い気持ちにさせるのである。
「あっ、ああっ、パパぁっ……凄いよぉっ……」
涙を流して悦ぶミカに応える様に腰の動きが速まる。
意識しなくとも快楽に体が反応し、相手が求める行為を勝手に行うのである。
(まるでセックスの機械だな、俺……)
以前であればそうした状態に嬉しさを感じ、自分は何と凄いのだろうと思っただろうが、今の神治にはそれが己の意志を無視している様に思えて悲しかった。
愛するミカを機械的に抱いてしまっている己が卑しい存在に思え、自分自身が許せなくなってくるのだ。
「やんっ、やんっ、やぁっ……ミカもう、あっ……ミカもう駄目だよぉっ……ミカイっちゃうぅっ……あっ、あっ、あぁああああああああああっ!」
(!……)
ミカの絶頂に合わせて精が迸る。
強烈な快感に一瞬意識が戻り、押し寄せてくる快楽に頭が真っ白になる。
ドクドクドクと注ぎ込まれていく精液を感じながら、神治はどうして自分はこの気持ちの良さを楽しめなくなってしまったのだろうと悲しくなった。
射精を終えるとそのまま横になり、ミカを抱き寄せ、近くに来たほたるに口付ける。
「パパぁ、気持ち良かったよ。パパ大好きぃっ」
全くの純真な気持ちから発せられるミカの言葉は、悩んでばかりいる神治にとってさわやかな風の様な心地良さがあった。
「……」
一方ほたるは一言も発せず、ただ大人しく傍に寄り添い、慎ましさを感じさせる微妙な甘えの雰囲気を示しており、それもまた小春日の日差しの様に神治の心を温かく包み込んでくれた。
そうした二人の態度は、今の神治にとって何よりもありがたいものであり、唯一心が慰められる事だった。
神治は二人を抱き締めると、少し幸せな気分になりながら、これから自分はどうすればいいのか悩むのだった。
遠くで電話が鳴っている音がした。
居間でうたた寝をしていた神治は、その音に体を起こすと、電話のある部屋まで歩いていった。
どうやら家には誰もいないらしく、他に電話を取りにくる者はいなかった。
「はい、神治ですが……」
緋道村では皆同じ名字であるため、下の名前を名乗るのがマナーだったが、未だにこれには慣れる事がなかった。
家の電話など滅多に出ないから当然なのだが。
「あ、神ちゃん? 私、静よ」
「え? しずねぇ?」
久しぶりに聞く従姉の声に嬉しさが込み上げる。
何しろ去年の夏に別れて以来、ずっと会っていなかったのだ。
静自体は正月に帰って来たらしいのだが、その時神治は修練場に籠もっていたためすれ違ってしまったのである。
「どうしたの? 伯母さんに用事?」
「うん。ちょっと送ってもらいたいものがあって。本なんだけど私の部屋にあると思うから、それをすぐに送ってくれる様に伝えてくれない?」
「分かった。で、何て本?」
静の告げた本は、少々難しいタイトルで、近くにあったメモに書くにも漢字が分からずひらがなで書くしかない様なものだった。
(こりゃ大学で使う本かな? 急ぎってのも授業で必要とか……って、今出しても着くのはいつになるかなぁ……)
頭の中で小包が届く日数を計算しようとした瞬間、神治は自分が馬鹿な事をしている事に気がついた。
(何だ、俺が届ければいいんじゃん)
そう、自分は瞬間移動が使えるのだから、別に小包で送らずとも直接届ければいいのだ。
東京までなら楽に移動出来るはずだから、本さえ見つけられれば一瞬で静に手渡せるだろう。
「それじゃお願いね?」
「分かった。ちゃんと届けるから」
そう言って電話を切った神治は、今まで何故この事に気づかなかったのか苦笑しつつ静の部屋へ向かった。
自分は時間を気にせず遠出が出来る能力を手に入れたというのに、その事をすっかり忘れていたとはマヌケだった。
静が東京に居ようが一瞬にして移動できる以上、すぐ近くに住んでいるのも同然だったのだ。
(そうなると、しずねぇも抱いてあげられたんだよね……)
しばらく抱いていない静に対し、申し訳無さが起きる。
そしてそれと同時に「しなければ」という意識に気が重くなった。
本来静を抱く事は、神治にとって素晴らしい行為のはずだった。
それが今や辛い事になっているのだから、やはり自分はどこかおかしくなっているのだろう。
そんな事を考えながら静の部屋へ行った神治は、目的の本を探そうと本棚をジッと眺めた。
しばらくして目的の本を見つけると、今度は地図を取り出して静の住んでいるマンションの位置を大まかに把握する。
そうやってイメージを作る事で、思った通りの場所へ移動するのが可能となるのだ。
意識を集中すると静の存在が感じられ、その状態になると誤差なく移動出来るのである。
(よしっ)
移動する、と意識した瞬間、目の前の風景が一瞬にして変わり、自分が別の場所へ移ったのが分かった。
周囲は女性らしい雰囲気と香りのある六畳ほどの部屋だった。
「!……」
息を飲む声が聞こえ、目の前で静が大きく目を見開いているのが見えた。
そこまで驚いた顔をした静を見たのは初めてであったため、神治は妙な可笑しさを覚えた。
「しずねぇ、本、持ってきたよ」
手にした本を掲げながら笑いかける。
「こ、神ちゃん? どうやって……さっき電話で話してたのに……」
いつも知的な静が呆然とした表情をしているのは新鮮だった。
年下の自分からしてみると、幼い頃から静という存在は、知らない事は何も無いという印象であったため、そうやって驚いているのが珍しかったのである。
「伯母さんから聞いてない? 俺、瞬間移動が出来る様になったんだよ」
「瞬間移動って……あの漫画とかであるやつ?」
「うん。その瞬間移動」
神治が頷くと、静は一瞬よろけた様にした後、手を額に当てて唸った。
「ちょ、ちょっと待って……瞬間移動よね? 超能力の?」
「まあ、そうだね。俺の場合、超能力って言うより未迦知さまの力なんだけど」
「ああ、そうね。未迦知さまの力ね……神ちゃんは当主だから、そうした力を戴いている訳か……うん、ようやく納得できた」
静は大きく息を吐き出すと、普段の冷静な顔になった。
「それにしてもとんでもないわね。私も歴代当主の話は聞いてるけど、瞬間移動なんて凄い技、使ってる当主なんて知らないわよ」
「そうらしいね」
それもそうだろう。本来この力は神治自身、つまりは神の力なのだから。
「んでこれが言われた本」
取り合えず用事を済ませようと本を手渡す。
「ああ、ありがとう。そうね、本を送ってもらう様に頼んだんだっけ……で、瞬間移動が出来るから直接持ってきたって訳か……しばらく会ってないうちにホント凄くなっちゃったね、神ちゃん」
静は呆れた様な笑みを浮かべると、再び大きく息を吐いた。
そんな仕草をしていても静は何とも美しく、絵になっていた。
(やっぱりしずねぇは綺麗だなぁ……)
久しぶりに会った静の姿に、神治は感慨深い想いを抱いた。
何しろ幼い頃から憧れの存在だった相手だ。
そうした想いは何年経っても薄れるものではないらしく、懐かしい想いを抱いたのである。
そしてその静を自分は抱いたのだ。
一年前、緋道村に戻ってきた際、好き放題に貪り、その後も毎夜その肉体を味わった。
それは未だに素晴らしい記憶として残っている。
何しろ静は肉体だけでなく、精神的にも優れた女性であり、神治にとってそんな女性が自分の物になった事が信じられないほどに嬉しかったからだ。
思えば最初抱いた時は、そのせいで肉体が静を抱けなくなるのを怖れ、肉棒が勃起したままになってしまう、などという事もあった。
当時神治は神ではなく、「気」の操り方すら知らなかったというのにそうなった事を考えると、元々セックスに関しては才能があったのかも知れない。
「それじゃ、早速する? そのつもりで来たんでしょ?」
優しい微笑みを浮かべながら静が尋ねてくる。
緋道村の住人同士で「する?」という問いかけは、セックスの誘いだった。
神治としてはそのつもりは無かったのだが、静にしてみればわざわざ瞬間移動してまで自分の所へ来た事から、神治が静を抱きたがっていると判断してもおかしくなかった。
おそらく伯母から現在の神治の状態について何も聞いていないのだろう。
「うん、実はそうなんだ。いいかな?」
ここで久しぶりに会った静に気を遣わせるのが嫌であったため、神治は出来るだけヤる気を感じさせる様にして笑った。
「もう、相変わらずなんだから。でも嬉しいわ。私も神ちゃんとするの久しぶりだもの」
静はそう言って手を差し伸べてくる。
その手を取ると強く抱き締め、柔らかな肉体の感触に心地良さを覚える。
「ふふ、やっぱりいいわ。神ちゃんは素敵……」
股間に触れてくる静の手の感触に、肉棒が一気に硬く大きくなった。
精神状態がどうであろうと、神治の肉体は性的な事に敏感であり、ヤる気が無くてもセックスだけは出来るのだ。
「それじゃ隣の部屋へ行きましょう? そっちにベッドがあるから……」
「いや、ここで抱きたい。俺、ここでしずねぇを抱きたいよ」
静の誘いをそう言って断る。
ベッドなどという落ち着いた場所でするより、この場で犯す様にして抱いた方が良い気がしたからだ。
ただでさえヤる気が薄いのだから、出来るだけ興奮を誘う状況にしたかったのである。
「でもベッドでゆっくりした方がいいじゃない。せっかくだから沢山抱いて欲しいし」
「俺、ゆっくりなんて嫌なんだ。しずねぇを無茶苦茶にしたい。いいでしょっ?」
そう言うなり床に押し倒す。
気分が乗らないだけに、自らを高揚させるには強姦チックにしたかったのだ。
「ちょっ、もう怒るわよ。いくら久しぶりだからって、あっ……こら、やめ、あんっ……神ちゃん何でこんな、やっ……そこは駄目、やぁんっ……」
抵抗するのを乳房を揉み、首筋を舐める事で黙らせる。
特に首筋は静が最も弱い箇所であったため、効果は絶大だった。
「やっ、やぁんっ……やっ、そこは駄目って、やぁっ……前から言って、やぁっ……」
まだ少ししか愛撫していないにも関わらず、静はすでに顔を上気させ、熱い吐息を漏らしている。
先ほどまでの落ち着いた様子からは想像も出来ない可愛らしい声がたまらなかった。
ヤる気は無いにせよ、そうした様子の静を見ると興奮が高まった。
初めて抱いた時から、この変化が神治にはたまらない魅力だったのだ。
普段しっかりしていて厳しい静が、首筋を舐めるだけで可愛らしく悶える。
そのギャップは他の女性を抱いている時には味わえない快感だった。
昔から精神的にかなり依存していた静が、こうして愛撫を受けている時だけは自分に従う存在へと変わるのだから、神治にとってこれほどたまらない状況はなかった。
「しずねぇ、可愛いよ。俺、しずねぇが大好きだ……」
「やぁっ、馬鹿、あんっ……首は駄目って、あっ、やぁんっ……駄目、あぁっ……そこばっか駄目なのぉっ……」
首筋を舌でベロリと舐めまくり、小刻みに激しく吸い上げると、静は体をビクビクビクッと震わせ、もう絶頂しそうなほどに悶えまくった。
一年前まで毎夜見ていたその痴態を懐かしく感じながら、神治は久々に味わう静の体を激しく責め立てた。
とにかく静を気持ち良くさせ、自分の変化に気づかれない様にしたかったのだ。
「しずねぇっ、しずねぇっ……」
静の名を呼びながら、服を脱がして豊満な膨らみを顕わにする。
ブラジャーを下ろすと桜色の乳首が現れ、その美しさに一瞬見とれた後、吸い付いていく。
「あんっ……もう、しょうがないんだから、やっ……神ちゃんったら全然変わってない、あっ……これじゃ去年村に来た時と同じ、あんっ……」
言われてみれば確かに去年再会した時と同じ状況になっていた。
静との初体験は、神治が無理矢理襲いかかった事から始まったからだ。
その事に苦笑しながら乳房を揉みしだき、その柔らかさを心地良く感じる。
スカートを捲り上げ、パンティを引き下ろすと秘所に指を這わせていく。
「あっ、やっ……凄いわ、あんっ……もう何か触られているだけで感じちゃう、あっ……一年前とは全然、あっ……全然違うのぉっ……」
可愛らしい声を上げるのにゾクリとした快感が走る。
普段キリリとしている静がそういった声を出すのは、本当にたまらなかった。
そしてその事が肉体的な興奮を呼び起こすのか、神治のヤる気とは関係なく肉棒は痛いほどに勃起していた。
精神と肉体は別のものなのか、冷めている心と違い、肉棒はヤる気満々なその状態に神治は苦笑した。
「あ、今笑ったわね? しょうがないでしょ久しぶりなんだから。それに神ちゃん、何かホント凄くて、わたしおかしく、あっ……こら、まだ喋ってるのに、やっ……駄目ってもう、あぁっ……そこは、やぁっ……首筋は駄目って、あっ……駄目なの、やぁんっ……」
険しかった顔が快楽に蕩けた状態に変わるのは何とも見物だった。
そういう意味で静を抱くというのは、神治にとって本当にたまらない事だった。
幼い頃からの憧れの女性であり、いつも頼って従ってきた相手を自由に悶えさせる。
それは何とも言えない精神的な快感をもたらすものだったからだ。
(だからこそ、しずねぇには凄く気持ち良くなってもらわないとね……)
冷めた心に静の与えてくる精神的な快楽は嬉しいものだった。
何故ならある程度セックスに対して前向きになれるからだ。
そんな静を神治は思いきり気持ち良くさせてあげたかった。
「入れるよ? しずねぇ」
その問いかけに静が頷くのを確認した後、ズボンとパンツを脱いで肉棒を秘所に押し込んでいく。
「あっ……あぁっ……あぁんっ……いいわぁ、やっぱりいい……神ちゃんのオチンチン、いぃ……」
静がうっとりとした表情をしながらギュッと抱き付いてくる。
その様子を満足げに見下ろしながら、そのまま腰を動かし、静の中を強く擦りあげていく。
「あっ、あっ、ああっ……激しい、あんっ……神ちゃんいきなり激しいよぉっ……」
勢い良く腰を叩き付け、とにかく静が気持ち良くなる様に頑張る。
肉棒が膣穴で擦れるたびに、静が顎を仰け反らせ、長い黒髪を乱すのがいやらしい。
幼い頃から憧れの美女が自分の腰の動き一つで甘く喘ぎ、可愛らしく悶える様子は本当にたまらなかった。
どうして普段はあれほどキリッとした静が、肉棒で突かれるだけで少女の様な可愛らしさを見せる様になるのだろう。
そういう意味でセックスというのは女性を幼くさせるものなのかも知れない。
「あんっ、あんっ、ああんっ……神ちゃん、あっ……神ちゃんいいよぉっ……もっともっともっとぉっ……」
幼女の様にしてねだってくるのにゾクリとした興奮を覚える。
そしてセックスに対してヤる気が無いはずであるのに、精神的な興奮がある事に神治は刹那的な悦びを感じた。
これが自分がセックスを否定しつつも離れられない理由だろう。
ミカやほたるを抱く事で憂さ晴らしをしているのも、この心身共に押し寄せてくる快楽が意識をぼやかせるからだ。
快楽に夢中になる事で嫌な考えが頭から消えるのである。
「しずねぇっ……しずねぇっ、気持ちいいよぉっ……」
久しぶりに抱いている事でさほど義務感を感じていないのか、どこか甘える様にしてセックス出来ているのが心地良かった。
ミカやほたるに対しては蹂躙する様にして抱いているのだが、今は身を委ねる様にして抱いており、それが何とも良かったのだ。
「やっ、やっ、やぁっ……もうイく、あっ……もうイくの、あぁっ……もうイくよぉっ……あんっ、あっ、あはぁっ……神ちゃんっ、神ちゃんっ、神ちゃぁんっ……やっ、あっ、やぁああああああああああっ!」
「しずねぇっ!」
静にギュッと抱き締められた瞬間、神治は思いきり精を放った。
ドクドクドクドクと勢い良く吐き出されていく精液を感じながら、久しぶりに静を己の物とした悦びに浸る。
何度か射精を繰り返し、そのたびに押し寄せてくる快感を味わいつつ、神治は静の満足げな微笑みを見つめた。
しばらくして射精を終えると、そのまま横に倒れ込む。
ハァハァといった荒い呼吸が部屋に響き、二人はお互いを見つめながら微笑みあった。
「やっぱり素敵ね。一年ぶりだからホント強烈だったわ。神ちゃん最高っ」
静は嬉しそうに抱き付いてくる。
そうやって褒められるのは何度経験してもたまらなかった。
幼い頃から神治にとり、静に褒められるのは最高に喜ばしい事だったからだ。
「それならもっと抱いてあげるよ。いいよね?」
静にさらに喜んでもらいたいと思った神治はそう告げた。
すでに手は乳房を軽く揉んでおり、自分がそれだけヤる気があるのだとアピールする。
「ふふ、いいわよ。ホント神ちゃんはスケベよね」
「しょうがないじゃん。しずねぇって素敵なんだもん」
内心のヤる気の無さを隠すため、そんな事を言いながらのし掛かっていく。
「やんっ……もう、首筋ばっか……そんなにいいのそこが、やぁんっ……」
首を舐めると静が呆れた様に告げてくる。
「うん、だってしずねぇが可愛いくなるからさ。たまらないんだよ」
「私はそれが恥ずかしいんだけど、あんっ……やっ、やぁっ……駄目、あんっ……そんなにそこ舐めちゃ、やっ……駄目って、やぁんっ……」
微妙に逃げる静を抱き寄せつつ体中を愛撫していくと、実に可愛らしく喘ぐのに興奮が高まる。
この調子であれば、何とか静を満足させられそうだった。
神治はホッとしながら、静をさらに気持ち良くさせようと頑張っていくのだった。
窓の外は夕焼けだった。
あれからベッドに場所を移した神治達は、裸になって何度もセックスしまくった。
久しぶりである静へのサービスと、実際に激しく求めてくる静の要望に応えようとしたのだ。
今は横になった神治の腰の上に静が跨り、騎乗位で交わっている。
下から見ると、豊満な乳房がより美しく見え、快楽に蕩けた静の表情もたまらなくいやらしかった。
特に腰を動かすたびに頭を仰け反らせる様子と、汗で額に張り付く黒髪が色気を醸し出していて最高だった。
自分は何と素晴らしい女性とセックスしているのだろうと思うと、その事に喜びを覚えると共に、そんな女性とのセックスを楽しめない自分はどうしてしまったのだろうとも思った。
一瞬暗くなりそうになった自分を叱咤し、勢い良く上半身を起こすと激しく下から突き上げる。
「ああんっ、あっ、あぁっ……神ちゃん素敵、あんっ……神ちゃんいいよぉっ……」
背中を仰け反らせ、後ろに手を付きながら快感に耐える静の様子を満足げに見守る。
続けて柔らかな体を強く抱き締め、胸元に押しつけられる乳房の感触にうっとりとなった。
「しずねぇ、大好きだよ……」
桜色をした唇に吸い付き、口内を舐め回す。
「んんっ……んっ、んぁっ……キスも上手く、あっ……なったね、あぁんっ……」
嬉しそうな笑みを浮かべ、頭を抱き締めてくる静に強く肉棒を突き上げる事で応える。
そのまま体をひっくり返して後背位の体勢にすると、形のいい尻を掴んで激しく突き込んでいく。
「あっ、あっ、ああっ……いいっ、いいっ、いいぃっ……」
白い背中がほんのりと桜色に染まっており、これまで自分が静に与えてきた快楽が分かる事に嬉しくなる。
そして強く肉棒を出し入れするごとに、泣きそうな声で甘く喘ぐ静の様子に激しい満足感が込み上げてきた。
何とか静を気持ち良くさせる事が出来た事に達成感を覚えたのだ。
「あんっ、あんっ、あぁんっ……もうイく、あっ……もうイく、あぁっ……神ちゃんもうイくのぉっ……やっ、やっ、やぁっ……」
絶頂が近いらしい静に合わせ、神治も射精感を高めていく。
「やんっ、やっ……凄いっ、凄いっ、凄いぃっ……駄目、やっ……あっ……わたしもう、あぅっ……神ちゃ、あぁっ……やっ、やぁっ、やぁああああああああああっ!」
「うっ!」
静が体を硬直させると共に精を放つ。
ドピュッ、ドピュッ、と勢い良く放たれる精液を意識しながら、これで今日は終わりだという事に神治はホッとした。
行為を始める前に静が「最後の一回」と言ったからだ。
何度か射精を繰り返した後、ゆっくり体を放すとそのまま横に倒れる。
呼吸を整えつつ「これでしずねぇも満足してくれただろう」という事を考えている自分に気づいた神治は、その事が凄く嫌になった。
あれだけ気持ち良くセックスしていたというのに、自分はそれを義務として考えているのが分かったからだ。
何と嫌な男だろう。
いつからこれほどセックスが億劫になってしまったのか。本当に分からなかった。
「ん? 神ちゃんどうかしたの? 何だか元気が無いけど」
「え? 別に元気だけど?」
不意に内心を見透かされた言葉を言われ、神治は動揺した。
どうやらセックスを終えた事で油断したのか、元気のない様子を見せてしまったらしい。
「そうなの? それにしては変よ? もしかして何かあった? 誤魔化してないでちゃんと話してみなさい。私に隠し事しても無駄だって分かってるでしょ?」
こうなると静に誤魔化しは効かなかった。昔から隠し通せたためしがないのだ。
神治は大きく溜息を付くと、観念して今の自分の状況を語る事にした。
「ふ〜〜ん、面白い事になってるのね。まあ、毎日好き放題にセックスしてれば飽きもくるか……」
「飽き?」
「そうよ。神ちゃんは要するにセックス、というか今の性的環境に飽きてるんでしょ? 楽しくないってのはそういう事じゃない」
言われてみれば確かにそんな気がした。
何しろいつでもどこでもセックスができ、毎日とにかくセックスしまくっているのだ。
そうした変化の無い状況が、飽きを感じさせる要因になっていても不思議ではなかった。
「本当ならヤりたくなければヤらなきゃいいんだけどね。義務って意識しちゃってる訳か……神ちゃん真面目だからなぁ、母さん達に悪いって思っちゃってるのね……ふ〜〜、まさに思春期の悩みって感じよねぇ。そういうのは神ちゃん自身が納得しないと解決しないからなぁ……」
静は困った様にして笑うと、優しく頭を撫でてきた。
そうされると、何やら幼い頃を思い出して神治は甘えたくなった。
思えば昔は嫌な事があると、こうして静に慰めてもらったのだ。
その事を懐かしく感じながら、神治は体を寄せると静の体に抱き付いた。
「ふふ、甘えん坊さん……でもセックスに対するヤる気が無いって事は、こうしている時も、神ちゃんはセックスしたくはなっていないのよね?」
「うん。しずねぇの体が柔らかくて気持ちがいいって感じはするし、こうしてもらってると凄くいい気分だけど、このままセックスしたいとは思わないんだ」
「ふ〜〜ん、面白いのねぇ。そんな風に抱きたくならないなんて……普通なら不能になったのかと思うけど、さっきは前以上に私を気持ち良くしてくれた訳だし……ただヤる気が起きないだけってのがねぇ……」
静は何かを考える様にしている。
それは幼い頃から見慣れた知的な表情であり、神治はそんな時の静がとても好きだった。
「ねぇ、神ちゃん。どうせならしばらくこっちに居たら?」
「え?」
「そうすれば無理にセックスしないで済むし。まあ、瞬間移動出来るから抱きに帰れない訳じゃないけど意識的に楽だと思うのよ。ああ、もちろん私を抱く必要はないからね?」
予想外の申し出に驚いたが、確かによく考えてみるとそれがいい様に思えた。
実際家族は「無理に抱かなくて良い」と言ってくれているのだ。
それを無理して抱いていたのは神治なのである。
それは「抱かなくては」という意識があったせいなのだが、こちらに居ればそういった事も治まるかも知れない様に思えた。
ここは静の誘いに甘えてみるのが良いのではないだろうか。
「なるほど、それはいいかもね……」
「いいでしょ? だからしばらくこっちで暮らしなさいよ。私も神ちゃんともっと一緒に居たいし。ずっと離れてたから寂しかったんだからね?」
静にそう言われると嬉しくて仕方がなかった。
自分が静にとって凄く大切な存在だというのが感じられたからだ。
「でもしずねぇは、俺が抱かなくてもホントにいいの?」
「あのねぇ、私はずっと神ちゃんに抱かれないで過ごしてきたのよ。だから抱かれなくても大丈夫なの。そういった自己管理は出来てます」
確かに言われてみれば、この一年、静は神治に抱かれていないのだ。
それが続くと考えれば今までと変わらないだろう。
「それに神ちゃんのヤる気が無いのに抱かれたって少しも嬉しくないわよ。さっきしたのだって、本当は嫌だったんだって思うと腹が立つし。まるで私がセックスしたくて仕方のない淫乱女みたいに思われてたんじゃないかって」
「う……ご、ごめん……」
家族とセックスするのが義務であり、毎日当たり前の様に求められ抱いてきたせいか、いつの間にか女性は自分に抱かれたがり、抱かないと可哀想だという様な感覚が起きていたのかも知れない。
「まあ、分かってくれればいいわ。でもこれからはヤる気がないのに抱こうとしないこと。もし気を遣って抱こうとしたら怒るからね」
「分かった……」
「うん、良し……じゃあ、これから宜しくね?」
神治が頷くと、静はニコリと微笑んで額を軽くこづいた。
それが何ともくすぐったい気持ちにさせ、やはり自分は静が大好きだと神治は思った。
そしてそんな静と一緒に暮らす事にワクワクする想いをもった。
静と二人きりで暮らすというのが凄く嬉しかったのだ。
「それにしても、結構いい部屋だよね、ここ……家賃高いんじゃないの?」
改めて部屋の中を見回すと、かなり広く、また高級感の漂う雰囲気があったため、とても大学生の一人住まいには見えなかった。
「あら? 当主としてのチェック? まあ、確かに一般的な大学生が住むには高い部屋でしょうね。でもこれくらいうちの収入ならいいでしょ?」
そう言われて神治は戸惑った。
よく考えると、家の収入がどうなっているのか知らなかったのだ。
「あ、もしかしてまだそういう事は知らないの?」
「うん、もう少ししてからでいいでしょうって、伯母さんが……」
当主として知るべき事は色々学んでいるのだが、経済的な事に関しては、子供の内は触れないでいる方がいいと言われたのである。
神治にしてもその方が良いと思ったので気にしていなかった。
「まあ、うちはいわゆる金持ちではあるのよね。あんな村に居るからそうは見えないけど……そういう訳でこうした部屋にも住めるって訳。ここって神ちゃんが一緒に住んでも全然大丈夫な広さがあるから、安心してちょうだい」
「ありがとう」
返事をしつつ、神治は自分が金持ちの家の当主であり、将来は高額の金銭を扱う事になるのだという事に少々怖い印象を覚えた。
これほどの部屋を維持出来るとなれば、一般的なサラリーマンの収入では絶対に払いきれないだろうから、収入はかなりのものだろう。
その様な財産を扱う事に自信が持てなかったのである。
「ところで、うちってどんな商売してるの?」
一体どの様な収入源になっているのか気になった神治はその事を尋ねてみた。
そもそも誰が働いているのだろうか。
伯父はすでに死んでいるし、伯母が何かの商売をしているとは思えなかった。
伯母がしているのは村の管理的な仕事で、金を儲ける様なものではなかったからだ。
「そうねぇ……簡単に言えば、人身売買かな?」
「は……?」
あまりに予想外すぎる答えに思考が一瞬停止する。
それでは犯罪ではないか。
「今は違うけど、起源としてはそんな感じなのよ。取り合えず人の繋がりで利益を生む商売ってとこね」
「よく分からないよ……」
「ちょっと込み入っているからね。それはまた追々話して上げるわ。それより今はそんな事を気にせず学校の勉強に励みなさい。母さんが仕事の内容を話さなかったのもそのせいだと思うし。神ちゃん来年は受験でしょ?」
「う……思い出したくないことを……」
神治は村の高校へ進学する予定であり、そこは村で唯一の高校であるせいか受験とは名ばかりの試験があるだけなのだが、当主として恥ずかしくない点数を取るように伯母や母に言われているのだ。
当主代行の伯母には試験結果は筒抜けであったため、誤魔化せないのが辛いところだった。
「良かったら勉強も見てあげようか? あ、そうすればこっちで暮らす言い訳にもなるし、いいんじゃない?」
静は楽しそうに笑っている。
確かに静に勉強を見てもらえるのはありがたいし、そうした言い訳というのもあった方が良い様に思えた。
「じゃあ、お願いするよ。宜しくね、しずねぇ」
「任せておきなさい。丁寧に教えて上げるから」
何やら小学校時代に宿題を教わった時の事を思い出した神治は懐かしくなった。
「ふふ、何だか楽しいわね。これからは昔みたいに過ごせるのかな。神ちゃんが小さかった頃みたいに」
同じ様な事を思ったのか、静が懐かしげに呟いている。
神治はそんな様子を見つめながら、やはり静は素敵な女性だと思うのだった。
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