緋道の神器
第二十二話 銀色の少女
周囲には美しい自然があった。
深い緑色をした森林が広がっているそこは、ヨーロッパのある国、日本で知り合った神の少女ユイリーエの故郷近くだった。
ある出来事から自分の魂について興味を持った神治は、それを調べるために魔法使いの家へ向かう途中だったのだが、城を出てから数時間、未だに目的地に到着していない。
(はぁ〜〜、参ったなぁ……)
神治は辺りの美しい風景を眺めながら、今日何度目か分からない溜息を付いた。
いつもならすぐ相談に乗ってくれる未迦知神の姿はない。
代わりに居るのは、神治と同じ年頃の神の少女ユイリーエだ。
ユイリーエは神治がこちらへ遊びに来てからずっと留守だったのだが、つい先日戻って来て、事情を聞くと張り切って案内すると告げてきた。
しかしその案内というのが、実はかなり怪しかった事が今では分かっていた。
何しろ一時間ほどで着くと言われた魔法使いの家に未だに着かないからだ。
要するに道に迷ってしまっていたのである。
「う〜〜んっと、こっちだったかなぁ……」
隣でブツブツ呟いているユイリーエを横目で見ながら、神治は再び溜息をついた。
(やっぱり未迦知さまが一緒に来てくれれば良かったのに……)
そうは言っても、魔法使いの居場所を知らない未迦知神が来た所で意味はなかったのだが、いつも頼りにしているせいかそうした依存心があったのである。
(あの地域は少々面倒じゃからな。儂がおらぬ方が良いのよ)
一緒に来ない理由を、未迦知神は困った様な表情をして説明した。
魔法使いの住んでいる地域は、ユイリーエの父親であるガジギールとは別の神が支配しており、何やらガジギールたちとはあまり上手くいっていないそうなのだ。
さらに未迦知神自身も昔少々問題を起こしていたため、下手に一緒に行ってはいらぬ諍いを起こしかねないという事だった。
その神はほとんどの相手に対しては鷹揚な態度で接するのだが、一度揉めるとそれをかなり引きずるらしい。
(儂やウィリーエが行ったりしたら、いきなり雷でも落とされかねんな)
未迦知神の言葉に、何と過激な神なのだろうと思う。
だがそれは一旦仲がこじれた相手に対してであって、神治の様に初めてであれば普通に受け入れてくれるとの事だった。
ユイリーエの場合は、ガジギールの娘であるためあまり良い印象を持たれてはいないものの、本人がまだ何かした訳ではないので、ある程度は大丈夫であるらしい。
「あ〜〜ん、分からないよぉ。どうしよ、一旦帰ろうか?」
「もっと早くそうして欲しかったな。分からなくなったら人に聞く。これ大事だよ」
少々イラついていたため、キツイ口調で説教っぽく告げてしまう。
だがそれも仕方ないだろう。
何しろ最初にユイリーエの動きが止まってから何時間も経っているのだ。
そして神治が何度も「一旦帰ろう」と提案しても「大丈夫大丈夫。分かるから」といって今までうろついていたのである。
「だって分かると思ったんだもん。ゴメンねぇ」
「しょうがないな。じゃ、戻るとするか、って、え?」
瞬間移動をして戻ろうと身構えた瞬間、神治は目の前に現れた何かに驚いた。
(女の子……?)
それは一人の少女、それもかなりの美少女だった。
年齢は神治より二、三歳下だろうか。背は頭一つ分低く、足首の辺りまである長い銀色の髪に真っ白な肌をした美しい少女だ。
形の良い眉がキッと釣り上がって、銀色の瞳が強い光を放ってこちらを見つめている。
白いドレスが風になびいており、その胸元がほとんど膨らんでいない事に思わず可愛らしさを覚える。
こちらへ来てからずっと豊満な肉体の女性ばかり目にしていたため、こうした幼い体に懐かしさを覚えたのだ。
「ここで何をしている?」
不意に発せられたキツイ言葉遣いにドキリとする。
だがすぐにこの少女にはそうした口調が似合っていると思った。
「ユ、ユ、ユリィ……あんたどうしてここに……?」
ユイリーエが動揺した感じで尋ねている。
「どうしてだと? 何を言っているのだお前は。ここは我らが一族の治める地。一族の一員である私が居て当然であろうが。お前の方こそ何故ここに居る?」
蔑んだ目を向け、ユリィと呼ばれた少女はユイリーエに詰問している。
話の内容からして、どうやら来る前に聞かされたこの地域を支配する神らしい。
「わ、私はその……神治を……そ、そうっ、神治を案内してきたのよっ」
「神治? ふむ、この者の事か? で、どこへ案内するつもりだ?」
「ぐ……そ、それは……」
ユイリーエは困った様に押し黙った。
それも当然だろう。
道に迷っていた以上、下手に目的地を告げては、今居る場所が全くの見当違いであった場合かなりの恥となるからだ。
「言えぬのか? まあ良い。どうせ道に迷っておったのだろうからな」
「うっ……」
すでにそれがバレてしまっていることに、ユイリーエはガックリと肩を落とした。
「で、お前、神治と言ったか。どこへ行くつもりなのだ?」
ユリィはこちらへ目を向けると尋ねてきた。
(う、うわ……凄い……)
真正面からその強い視線を受け止めた瞬間、何か強烈な波動が伝わってきたため驚く。
小さな体であるはずなのに、まるで巨人に相対したかの様な迫力を感じたのだ。
「ん? どうした? 何を黙っている?」
ズイっと顔を近づけてきたため思わず体を引いてしまう。
アップになったユリィの顔はとんでもなく美しく、見ているだけでうっとりとなった。
そのまま唇を重ねたくなる衝動が押し寄せてきたため、落ち着こうと深呼吸を繰り返す。
「ルシーヌっていう魔法使いの家に行くつもりなんだけど……」
抱いたらどんな感じなのだろう、といった妄想を抱きながら神治は目的地を告げた。
「ルシーヌ? あの魔女に何の用があるのだ?」
「それは……」
「あなたには関係ないでしょっ」
神治が答えようとするのをユイリーエが遮った。
「関係はあるな。我が領地に住む者に、危害を加えるかも知れん輩を近づける訳にはいかん」
ユリィは横目でユイリーエを見た後、そちらに体を向けて腕を組んだ。
「わ、私たちが危害を加えると思っているのっ?」
「目的が分からない以上、そういう可能性を予測してもおかしくはあるまい? 私はお前を信用していないし、この者などはたった今会ったばかりだからな」
「失礼なこと言わないでよっ。神治はねぇ、日本からわざわざ来てるんだから。遠方からのお客に対して酷い事を言っているとは思わないの?」
「遠方から来ていたとしても、それが悪人でないという証明にはなるまい。それにお前にとって客だとしても、私にとっては客ではないからな」
「こうしてあなた達の支配する地域に来ているんだから客じゃない。それともあなた達の一族は誰であろうと門前払いにする訳?」
「ふむ、そうだな。この者については受け入れるとしよう。で、受け入れがたいお前はここで帰れ。お前については十分知っているからな。門前払いさせてもらう」
「な、何よっ。私の何が悪いって言うのよっ」
「以前我が領地でしでかした事を忘れたとでも言うのか?」
「う……」
ずっと舌戦をしていた二人の少女だったが、ユリィの発したその一言で決着が付いた。
急にユイリーエの勢いが無くなったのだ。どうやら弱味を握られているらしい。
「若い男を何人も衰弱させた事、私は忘れぬからな。父上たちに話していないのを感謝してもらいたいものだ。もしそうなっていたら今頃お前は雷の的だぞ」
その言葉でユイリーエが何をしたのかが分かった。以前緋道村でも同じ様な事をしたからだ。
「で、でも、私が居ないと神治をルシーヌの家に案内できないし……」
「安心しろ。それは私がしてやる」
「う……だ、だけど……」
反論できなくなったユイリーエはしどろもどろになりながら何か呟いている。
「もういいよユイリーエ。後はこの人に案内してもらうから。でも本当にいいの? 迷惑じゃないかな?」
後半はユリィに視線を向けながら尋ねる。
「気にする必要はない。この者の言った通り、取り合えずお前は今から私の客だ。客の世話をするのは当然のことだからな」
「そうなんだ。じゃあ、お世話になります」
「む?」
ペコリと頭を下げると、ユリィが奇妙な顔をしたため不審に思う。
「どうかしたの?」
「いや、今のがお辞儀というやつかと思ってな。なるほどお前が日本から来たのだという事を理解した」
そう言えばヨーロッパにはお辞儀の習慣はなかったのだと思い出す。
「という事で俺はユリィに案内してもらうから。ここまでありがとう、ユイリーエ」
「ううん、じゃあ私は帰るから。その女に変な事されない様に気をつけてね」
「お前ではないのだから変な事などせん」
また睨み合っている二人に苦笑する。
その様にしていると、逆に仲が良いのではないかと思えてくるから不思議だった。
ユイリーエの行状をユリィが父親たちに報告していない点からしてもそんな感じがした。本当に嫌っていたら嬉々として報告し、この国へ入れなくしてしまうに違いないからだ。
「そういや、ユリィとユイリーエって何となく似た名前だね」
『!……』
ふと思いついた事を告げると、二人の様子が固まったためギョッとなる。
何かマズイ事を言ってしまったのかと、神治は二人の顔を交互に見つめた。
「神治っ、先は私っ、私だからっ。ユリィは私の名前を真似たのよっ」
「何を言っておるかっ。我が名は偉大な祖先から戴いたものだっ。それを真似たのはお前の方であろうがっ」
「違うわよっ。私が先っ」
「間違っているぞっ。先は私だっ」
何やら先ほどより険悪なムードになって二人が睨み合っている。
「えっと……どちらが先かはともかく、どうして似た名前になってるの?」
『……』
あまりの剣幕に驚きつつもう一度尋ねると、二人は視線をそらして困った様な表情を浮かべた。
「……私たちは、同じ日に産まれたから……そういう場合は似た名前にするって……」
「だから先に決まった名前に、もう一方は合わせる必要があって……」
「本当はそんなのしたくないんだけど……」
「そうする事が決まりというか、そうするのが流れというか……」
「とにかく同じ日に産まれた者同士は……」
「似た様な名前にするのが良いこととされているのだ……」
二人は唇をとがらせてブツブツ言っている。
その同じ様な表情、お互いに言葉を繋げている様子を見ていると、何とも息が合っていて苦笑してしまう。
そう言えばアンリーエもユイリーエと同じ日に産まれたゆえに似た名前になったと言っていたのを思い出した。
と、そこまで考えて奇妙な事に気がつく。
アンリーエはユイリーエという名前が先に決まっていたからこそ似た名前を付けられた訳で、同じ様にユリィたちもどちらかが先に決まっていなければ似た名前を付けられないのではないだろうか。
それがハッキリしていないとは奇妙な事だった。
「どちらも先だって言ってるけど、どうしてそれが分からないの?」
「う……」
「それは……」
神治の問いに、ユイリーエたちは一瞬お互いの顔を見た後、慌ててそっぽを向いている。
「たまたま……その、たまたまお互いあらかじめ決めていたのが……」
「似た名前だったのだ……」
これまた息の合った様子で二人は答えた。
要するにお互い考えていた名前が、話し合う必要も無く似ていたという事らしい。
「随分と凄い偶然だね」
「ぐ、偶然なんかじゃないよっ。ユリィが真似したのっ」
「何を言うっ、真似たのはお前の方であろうがっ」
二人は再びギャーギャーと言い争いを始めた。
言葉の内容からすると、偶然似た名前になっていたのが嫌な二人は、どちらかが事前に調べて真似たに違いないと考えている様だった。
だがどうせ話し合いで決めるというのに、わざわざ前もって相手の名前を調べるなどするはずもないのだから、やはり偶然というのが正解なのだろう。
「本当は偶然なんでしょ?」
『……』
神治の言葉に二人は押し黙った。
おそらく第三者である神治を納得させるだけの根拠が無いのだろう。
それほどあやふやな事であるのに、あそこまで言い争うというのも虚しい感じがするが、彼女たちがそうしてしまう気持ちも分からなくはなかった。
何しろ自分が嫌っている相手と偶然同じ名前になるなどあまり嬉しい事ではないからだ。
とは言え、二人が本当に仲が悪いかどうかは、先ほどの息の合い具合からして怪しいところだったが。
『……』
何か言い返してくるかと待っていると、やはり上手い言い訳が思いつかないのか二人は全く喋らず、困った様に視線を動かしているだけだった。
「ええと……それじゃ、取り合えず案内してもらえるかな?」
少々気まずい雰囲気になってしまった事を気にした神治は、それ以上追求するのは止めにして明るくそう告げた。
「あ、うむ……了解した……こちらだ……」
「じゃあ、私は帰るから……」
二人はどこか気の抜けた様な口調でそう呟くと、お互いの顔を見ずに反対方向へ移動し始めた。
その様子にホッとしつつ、女の子の激しい言い争いなど初めて見た神治は、何とも言えない想いを抱きながら大きく息を吐き出した。
そしてユイリーエに軽く手を振って別れの挨拶すると、ユリィの後へ付いて行くのだった。
案内された場所は街だった。
魔法使いというのは山奥に住んでいる様なイメージを持っていた神治は、その事を不審に思いつつ、現実はそんなものか、などと思ったりもした。
そして街中を歩いていると、ユリィに向かって多くの人が挨拶してくる事に驚く。
彼女の姿が全ての人間に見えている事もそうだったが、この地域における神であるにも関わらず、一向に畏れられている様子が無かったからだ。
敬われている雰囲気はあるが、何というか神秘的な意味ではなく、目上の存在に対する感覚しかないのである。
「ん? 何だその様なことか」
神治が尋ねると、ユリィはどうでもいい様な事を聞かれた様子で答えた。
「我らはこの地において信仰の対象となっておらんからな。支配者ではあるが、権力者としても何か強制している訳ではないため、畏れる意識があまり芽生えぬのだろう」
「信仰の対象じゃない? だって君は神なんだろ? ここの人たちは部の民じゃないの?」
「部の民ではあるが、我らのやり方は他の神とは違うのでな。お前からは奇妙に思えるかも知れんが、別に問題はないのだ」
「そうなんだ……」
神になって日の浅い神治にとっては、そう言われてしまえば納得するしかなかった。
何しろここは異国なのだし、未迦知神のやり方と違っていても別におかしくはないからだ。
「って、教会じゃんっ!」
不意に目に映った建物にギョッとなる。
それは教会。
神治も外部からなら何度も見た事のあるキリスト教の教会だった。
「何を驚いておるのだ? 別に普通の教会であろう?……ああ、そういえば日本はそれほどキリスト教が浸透している訳ではなかったな」
ユリィは神治の様子を勝手に解釈して納得している。
だがそんな事に驚いていた訳ではなかった。
たった今「信仰の対象ではない」と聞いたばかりだったが、さすがに他の宗教の施設がある事に驚いたのだ。
「き、キリスト教が信仰されている訳?」
「うむ、カトリックだな。この地域に住んでいる者のほとんどはそうだ。少数だが仏教徒もいるぞ」
「い、いいのそれって?」
「ん? 何かマズイのか?」
「い、いや……他の神が信仰されているってのがさ……」
「ああ、我らは気にせぬ。他の神、例えばガジギールなどはその件で昔かなりやり合った様だが、我らは受け入れた」
さも当然の様に言い切るユリィに唖然となる。
だが人間にも色々いるのだから、神にも色々いて当たり前なのかも知れない。
神治はそう自分を納得させると、先入観などというのはこうした異文化に触れた時にやっかいなものなのだなと思った。
「さ、ここが我が屋敷だ。入るがよいぞ」
なかなか立派な建物の前に着くと、ユリィは門を開いて中へ促した。
「お、お邪魔します……」
その屋敷は立派ではあるが、神が住むにはあまりに普通の、人間的すぎる建物だった。
これまで会った神たちは、いかにも「神のおわす場所」といった雰囲気の建物に住んでいたため、ここまで普通だと何とも奇妙だった。
「少々待っておれ。今茶を出すからな」
客間らしい部屋へ案内された神治がソファに腰掛けると、ユリィはそう言って出て行き、しばらくしてからティーセットを乗せたトレイを持って戻ってきた。
(何か高そうだなぁ……)
目の前に置かれたティーセットは素人目にも高級に見え、おそらく中に入っている紅茶も高級なものに違いなかった。
アンリーエの城で何度か似たような紅茶を飲んだからだ。
「いただきます……」
一口飲むと、予想通り何とも言えない香りと味わいがあるのに唸る。
「それにしても……ここには君一人しかいないのかい?」
召使いの一人でも居そうな雰囲気であるのに、手ずからユリィが紅茶を淹れてくれたため少々気になった。
「うむ。私は自分の事は自分で出来るからな。他に誰もいらぬ。下手に気に入らぬ者が居ても腹立たしいしな。まあ、気に入る様な者ができたら分からんが」
そう言いながらユリィは紅茶を啜った。
「ご両親は?」
「両親? ああ、しばらく前に他の国へ行くと言って出かけてから会っておらん」
「そう……」
何やら寂しい状況になっている事に思わず溜息が漏れる。
だがその事を詳しく尋ねるのも失礼だと思った神治は何も言わなかった。
(そういや俺もしばらく親とは会ってないなぁ……)
不意に日本の家族を思い出した神治は、そろそろ戻らないといけないよな、などと思った。
(って、あっ……!)
そしてその事で、自分が何をしようとしていたのかを思い出す。
「ゆ、ユリィ……ルシーヌさんはどこに居るんだ? 俺、ルシーヌさんに会いに来たんだからさ」
すっかり忘れていた目的を告げる。
ユリィと会話している間に、まるでこの屋敷へ遊びに来たかの様な気分になってしまっていたのだ。
「ああ、そうだったな……だがすぐ会わせる訳にはいかん」
「なんでだよ?」
つまらなそうに否定するユリィに反発を覚える。ユイリーエを追い返す時に、自分が案内すると言っていたではないか。
「先ほども言ったであろうが。私はお前の事を全く知らん。ゆえにその様な者を案内する訳にはいかんのだ」
そう言えばそうも言っていたのを思い出して少し怯む。
確かに自分にしても、よく知らない人間を友人の家へ案内する気にはならないだろう。
「俺はルシーヌさんに会えないってこと?」
「まあ、少し会話した限りでは、お前が怪しげな者ではない事は分かったがな」
「じゃあ……」
「とはいえ、まだまだ浅い。もっと知らなければ確信は持てぬ」
それはもしかして数日、いや下手をしたら数十日もかかる事なのではないだろうか。
何しろ神ともなれば人間とは違った感覚で物事を捉えるからだ。数十日くらい大した事だとは思わないかも知れない。
そんな考えが浮かんだ神治はうんざりした。
これは一旦帰って、こっそりルシーヌの家へ向かった方が良いのではないだろうか。
「今、私に隠れてルシーヌの所へ行こうと考えたであろう?」
「いっ……」
内心を見透かした様な言葉に思わず声が漏れる。
これではその通りだと言った様なものだろう。
「くっくっくっ……何とも正直なヤツだな。まあ、安心しろ。要するにもっとお前の事が分かれば良いのだ。ルシーヌを害する者でないと分かれば私は案内する」
「でもそれってどのくらい待てばいいんだよ。あまり時間がかかるんじゃ困るんだけど……」
「別にさほど時間はかからん。もう少し話をしたかったところだが、お前が急ぐと言うのならここらで切り上げるか……付いて来い」
そう言って立ち上がったユリィが部屋から出て行ったため、神治は慌てて付いていった。
そこは明らかに寝室だった。
何故なら部屋には大きなベッドが一つ存在しているだけだったからだ。
(まさかね……)
二人きりの状態で寝室へ案内されたとなれば、やる事は決まっていると思えたが、本当にそうなのだろうかと警戒心が起こる。
何しろユリィは神治がどういった人物であるかを探ろうとしているのだ。
もしかしたらこうした状況ですぐに襲いかかるかどうかを試しているのかも知れない。
そう思った神治は、できるだけ平静を装ってジッとしていた。
(!……)
だがすぐにシュルっといった、布が擦れて落ちる音が聞こえためギョッとなる。
そちらに眼をやると、案の定ユリィが服を脱いでいたため心臓が激しく鼓動した。
「ちょ、ちょっと……」
「ん? どうした、お前も早く服を脱げ」
驚いて声をかけると、ユリィは不審そうな表情を浮かべながらそう言ってきた。
「な、何でそうなるのさ? どうして服を脱がなきゃいけないんだよ?」
「決まっておろう。これから私とセックスをするからだ」
「!……」
予想はしていたが、ズバリそう言われた事に動揺する。しかも何故そうしなければならないのかは全く分からないのだ。
「……何でセックスするのさ?」
大きく深呼吸をしてから尋ねる。
「短時間で相手を知るのにはそれが一番だ。快楽の前では誰も己を偽れん。さ、何をしている、早く服を脱げ」
素っ気なくそう言い、下着を脱いで完全な裸体となったユリィはベッドに横たわった。
片肘をついてこちらを見つめてくるのが何ともいやらしい。
(う……)
その姿に神治は息を飲み、股間が熱くなるのを感じた。目の前にある肉体がとんでもなく魅力的だったからだ。
真っ白な肌に銀色の髪が絡みついていてそれが何ともいやらしく、膨らみの薄いなだらかな胸と、幼さの残る体つきが逆に艶めかしさを感じさせて強烈な色気を醸し出している。
その小さいながらまるで熟女の様に肉欲をそそる体に、神治の興奮は激しく高まっていった。
滑らかに違いない白い肉体は、どこでも良いから触れたい気分にさせ、胸元にある小さなピンクの突起は吸い付かずには居られない衝動を呼び起こした。
まだ完全に女になりきっていないその体は、妖精の様な魅力に溢れており、強烈に淫靡な印象を与えてきた。
(うぅ……)
すでに肉棒は痛いほど勃起してしまっていた。
普段ならすぐにでも襲いかかっている状況だったが、これが試験なのではないかと疑っている神治は必死に肉欲を抑えた。
修行により、そういった衝動を抑えられる様になっているはずだったが、相手が神であるせいか、それとも修行が足りないのか、とにかく激しく興奮してしまっていたのだ。
目の前にいる美少女からは、男を誘う「気」が溢れ出し、見ているだけで射精したくなるほどの衝動が起きていたのである。
元々ユリィに対して好意を抱いている神治には、そうされると抗えない部分があった。
どこか安心できる雰囲気を感じているせいか、自分を律する意識が緩くなっているのだ。
普段初対面の相手には丁寧な言葉を使うのに、ユリィに対しては初めからくだけた言葉遣いだったのもそのせいだった。
「何をしている、私を抱きたくないのか? まあ、私ほどの美しい女に誘われて嫌な男などいるはずもないがな」
ユリィは見下ろす様にしてこちらを見つめ、女としての自信に溢れた言葉で促してくる。
そしてその事で、神治は何故自分がユリィに気を許しているのかが分かった。
(この娘って、未迦知さまに似てるんだ……)
喋り方や態度、そして自信に溢れている様子がまさに未迦知神と同じだったのだ。
年齢からくる差か、まだ青臭い雰囲気はあるものの、その根幹にある性格は未迦知神に似ていると言えただろう。
(うっ……ちょっとヤバイかも……)
そう意識した事でさらに興奮が高まった。
似ているとはいえ別人であるユリィは、自分の愛撫にどう反応するだろう。喘ぎ方や求めてくる様子は同じなのだろうか。
などといった興味が湧き、ユリィを抱きたくてたまらなくなったのだ。
「早くせよ。セックスしなければお前を理解できないではないか」
(!……)
痺れを切らしたユリィが起き上がって手を引っ張ったため、そのままベッドに倒れ込む。
その瞬間、身に着けていた服が消え去り、裸で体を重ねる状態になった神治は、生の肌で感じるユリィの肉体の感触にうっとりとなった。
(うぉっ……き、気持ちいぃ……)
不意打ちの快感だったせいか、いつもより強烈に感じられたその気持ちの良さは、神治の理性を駆逐するのに十分な効果があった。
たとえこれが試験であったとしてそれがどうしたというのだ。
その結果ルシーヌに会えなくなったとしても、代わりにこれほどの肉体を楽しめるのならそれで十分ではないか。
そう思った神治は、そのままユリィの体をギュッと抱き締めると、まだ硬さを感じさせる肉の感触を存分に味わった。
「ふふ、ようやくヤる気になった様だな、んっ……」
嬉しそうに微笑むユリィの唇に落ち着き無く吸い付き、舌を押し込んで絡める。
「んっ、んっ……んぅっ……んぁっ……」
至近距離に迫るユリィの顔はとても美しく、透き通っている肌の下に見える血管が艶めかしかった。
口内も触れるだけで痺れる様な快感が走り、甘い唾液が吸い付かせるのをやめさせない。
「んんっ、んっ……んはぁっ……あっ、あんっ……」
しばらくして唇を放すと、そのまま首筋に舌を這わせながらその滑らかな体を撫で回す。
「あっ、やっ……ふふ、なかなか元気ではないか、あっ……大人しいかと思えばいきなり、あんっ……男はやはり分からないものだな、ああっ……」
面白そうに見つめてくる瞳にゾクリとした興奮を覚える。
少しの愛撫ですでに白い肌は桜色に染まりつつあり、それが自分の行った行為の結果だと思うと満足感が込み上げてくる。
言葉では偉そうな口調で喋っているが、ユリィの肉体はもう快楽で満ちているに違いなかった。
もっと快感を与え、悶えさせたい。そんな欲求が湧き起こってくる。
視線を下に向ければ、ほとんど膨らみの無い真っ白な胸が見え、唯一ピンク色をした突起がプクンっと自己主張をしているのに吸い付きたい衝動が押し寄せてきた。
「あんっ……あっ、あっ……そんな風に、あんっ……強く吸っては、やぁっ……」
乳首をチュウっと勢い良く吸い上げ、舌で弾く様にして愛撫すると、ユリィはビクビクと体を震わせながら上へ逃げる様な動きをした。
「あっ、やんっ……やっ……」
それをグイと押さえ込み乳首を強く吸うと、ビクンっと体を硬直させたため、その様子に興奮を高める。
それはまさに女を自由にしている快感だった。
逃げようとする動きを封じて自分に従わせているのが、女を支配する悦びとなり、快感となって神治の体を走り抜ける。
(ちっちゃいな……この娘は……)
年上とは思えない幼い肉体が目の前でクネクネと快楽に悶えている様子には、何とも言えない背徳的な魅力があった。
最近こうした未発達な肉体を抱いていなかったせいか、新鮮な激しい興奮が押し寄せてくるのだ
(ああ……スベスベだ……胸も、可愛い……)
体に手を這わせるたびに滑らかな感触が感じられ、胸に吸い付くたびに微妙な肉の弾力があってたまらなかった。
幼い肉体だけが持つ微かな女としての魅力が、豊満な肉体を抱く時には無い背徳的な興奮を呼び起こしていく。
「あっ、やんっ……ああっ、あっ……」
体の輪郭をなぞる様に手を這わせ、肉のほとんど無い胸を指で摘む様にして揉みしだくと、ユリィが頭を左右に振るのが可愛らしい。
そのまま下半身へ手を移動させ、太ももをサワサワと撫でさすって小さな尻をギュッと掴む。
「やっ、あっ……そこは、あんっ……いい、あっ……もっと、やっ……」
指で秘所を擦ってクリトリスを捻ると、ピクピク体を震わせるのに興奮が高まる。
続けて体全体を確認する様に舌を這わせながら下へ向かい、太ももから足の先まで一気に舐め上げていく。
指をペロペロと舐め、チュウっと吸い上げた後、体を起こして上からユリィの体を見下ろす。
ハァハァと呼吸を乱し上気している顔がジッとこちらを見上げているのは可愛らしく、この国へ来てから味わっていなかった幼さゆえの魅力を改めて感じさせた。
真っ白だった肌は今や桜色に染まっており、そこからこの少女が十分に快楽を得ているのが推測できた。
一見挑む様にこちらを見つめている瞳からも、男を求める光が放たれているのが分かり、それをこれから快楽の光に変えてやるのだと思うと、神治は武者震いの様な興奮を覚えた。
「入れるよ?」
「構わぬ、早くせよ、あっ、あぅんっ……」
返事を聞いた瞬間に膣穴に亀頭を入れ、一気に押し込んでいく。
ズブズブズブ……。
「あっ、ああっ……ああんっ……」
甘い声が響き、頭を仰け反らせたユリィは、泣きそうな顔でこちらを見上げてきた。
その様子は可愛らしくも肉欲をそそるものであり、強気で高飛車な少女が甘く喘いでいる姿には何ともたまらないものがあった。
己の肉棒がそうさせているのだと思うと誇らしさが込み上げ、ユリィに対する執着が強まっていく。
「ユリィ、可愛いよっ……キミって凄く可愛いっ……」
「ば、馬鹿者、あんっ……その様な、あっ……ことを、ああっ……」
微笑みかけつつ腰を動かし出すと、ユリィが恥ずかしがりながら悶えるのに興奮が高まる。
(うぅっ……やっぱいいな……予想以上に、いぃ……)
これまで神の女性としてきた経験から、ユリィの体もかなり気持ちがいいに違いないと思っていたが、想像していた以上に快感がある事に驚く。
何というか妙に激しい興奮があるのだ。
もしかしたらしばらくぶりに幼い肉体を抱いているせいかも知れない。
豊満な肉体も良かったが、やはりこうした初々しい体を抱くというのには精神的な意味での快感が強かったのだ。
「あっ、やっ、ああっ……」
そしてこの可愛らしい声。
小さな体に可愛い声という組み合わせは、何とも嗜虐心と征服欲を刺激してたまらなかった。
「あぅっ、あっ、ああんっ……」
体重が軽いせいか、腰を激しく叩き付けるたびに体全体が前後に揺れ動く様子は、まさに幼い少女を抱いているという意識を強め、その事が益々興奮を高めさせて突き込みを荒々しくさせていく。
(くぅっ……締め付けも、うぅっ……最高だっ……ユリィのここって、締まるぅっ……)
まるで処女の様に強烈に肉棒を締めてくる膣はそれだけで気持ちが良かった。
温かでヌルヌルとした膣がギュッと掴んで逃がすものかといった感じで締めて付けてきており、さらに膣襞が絡んで吸い付いてくるため、腰を引き抜かれるのではないかというほどの快感があったのだ。
「あっ、やぁっ……はっ、はぅっ……やぁんっ……」
頭を左右に振り、握りしめた手を口に当てては放し、ブルブルと震えているユリィの姿は強烈に可愛らしかった。
動くたびに美しい銀色の髪が桜色に上気した顔にかかっていやらしさを感じさせ、涙目の銀眼がこちらを切なそうに見上げてくるのもたまらず、神治は狂った様に腰を振りまくった。
(うぅっ……もう出したいっ……まだちょっとしか動いてないのにっ……)
さすが見た目が幼くとも神なのか、油断していた神治の未熟さゆえか、射精感はすでに限界まで高まっていた。
「あぅっ、あんっ、もう出したい、のか?……何とも早漏、あっ、だな、ああんっ……だが私も、あぅっ……私ももうっ、ああっ……だから出して、あっ……出していい、あんっ……出していぃっ……いい、いい、いいのぉっ……」
偉ぶった口調で告げてきたものの、すぐに頭を仰け反らせ、白い喉をさらしながら甘い声で叫び出したユリィにゾクリとした興奮を覚える。
自分の腰の動きが原因でそうなっている事に誇らしさを覚えた神治は、その小さな体をギュッと抱き締めると、今まで以上に激しく肉棒を突き込んでいった。
「やっ、やっ、やぁっ……いい、あっ……気持ち、あんっ……気持ちいいよぉっ……こんな、あんっ……こんにゃのぉっ……」
腰の動きに合わせて神治の半分しか無いのではないかと思えるほど小さな頭が上下にガクガク動き、そのたびに銀色の美しい髪が額にかかる。
快楽に染まった銀眼は、蕩けそうな光を放って求める様にこちらを見上げており、それはまさにユリィが神治のモノとなった瞬間だった。
身も心も自分が与える快楽に染まったのだ。
それは男としてたまらない状況だった。
「ああっ、ああっ、ああんっ……凄くて、あっ……激しくて、ああっ……いいぃっ……はぅっ、はっ、はぁんっ……もう、もうっ、もぉっ……やっ、やっ、にゃあああああああああっ!」
「うぉっ!」
ユリィの絶叫に合わせて精を放つ。
ドクドクドクと迸っていく精液を感じながら、神治はうっとりとした気持ちの良さに浸っていた。
自分は何と幸せなのだろう。
会ったばかりの美少女を抱き、こんな風に気持ち良くなっているのだから。
それも格別の気持ちの良さだ。
ユリィの体はさすが神だけあって、これまで神治が抱いてきた女性の中でもたまらない良さがあった。
(くっ……凄いよユリィ……キミって、うっ……凄くいぃ……)
肉棒は自ら精液を放ちつつも、グニュグニュと蠢く膣によって吸い出されてもいた。
そのまるで掃除機の様に吸引してくる膣の動きは、射精の快感も相まって意識を遠のかせそうになる作用があった。
それほどユリィの中に放つ行為には、凄まじい快感を感じさせる部分があったのだ。
「くっ……ふぅ……」
何度か射精した後、最後の精を放った神治はゆっくりとユリィの上に倒れ込んだ。
(あ〜〜、良かった……ユリィって最高だ……)
満足の想いに浸りながら、顔を擽る銀色の髪を見つめる。
(綺麗だなぁ、この髪……)
美しい銀髪を撫でながら、ユリィの小さな頭に顔を寄せて頬ずりする。
フニ……。
(ん……?)
妙な感触があったため、驚いてそちらへ視線を向ける。
(えっと……何だこれ……?)
そこには何か、銀色の毛で覆われた妙な物体があった。
(って、え〜〜……まさかこれって……)
少し顔を離してみると、それが見覚えのあるものだという事が分かる。
だがそれは現実に見た事があるという訳ではなく、漫画やアニメでの話だった。
(ネコミミ、だよな……?)
銀髪の頭から生えている二つの物体は、漫画やアニメでよく見る「ネコミミ」と呼ばれるものにしか見えなかった。
(何でこんなものが……いつの間に付けたんだ?)
知らない間にユリィがふざけて付けたのかと思い、クイっと引っ張ってみる。
「うにゃっ……」
(ヘ……?)
その途端、妙な声が聞こえたため驚く。
「うにゅ、うにゅぅ……」
続けてクイクイ引っ張ると、それに合わせて可愛らしい声が聞こえてきた。
まるで本当に頭から生えているかの様なその反応に驚いていると、不意に背中に何かが触れたためそちらへ視線を向ける。
(こっちは……尻尾……?)
そこにあったのは、銀色の毛に覆われた猫の尻尾らしきものだった。
ネコミミにネコシッポ。
そのまるでコスプレをしているかの様なユリィの状態に呆気に取られる。
(う〜〜ん、こういう格好でするのが好きなのか? でもそれだったら最初からそうしてくれればいいのに……)
こうした趣味を否定するつもりはないが、急にされては驚くではないか。
「あ〜〜、良かったにゃ。お前はなかなかいいにゃ」
そんな事を思っていると、ユリィが妙な語尾で喋りながら体を起こしたため呆れる。いや変な意味で感心した。
ここまでネコミミ少女になる事にこだわるとはなかなかのものだろう。これが噂のコスプレイヤーというヤツなのだろうか。
「ん? どうしたんだにゃ? にゃにか変な事でも……」
そこまで喋ったユリィは不意に黙り込んだ。
そして何か驚いた様な表情を浮かべて固まった後、ゆっくりと手を頭にやっている。
「にゃ、にゃ、にゃぁ〜〜! にゃんでこんな風になってるんだにゃ〜〜!」
そのまま両手を頭にやると、泣きそうな顔をしながらうずくまった。
どうやらこの状態はユリィにとっても予想外だったらしい。
「にゃ〜〜、にゃ〜〜、にゃんで……にゃんでぇ〜〜」
(か、可愛い……)
ネコミミ、ネコシッポ、そして「にゃ」で喋っているユリィは何とも言えず可愛らしかった。
さらにオロオロとした様子で体を左右に動かしているのが愛らしさを誘った。
「そうだにゃっ。お前、お前がっ……う〜〜、にゃんて事にゃ〜〜」
不意にキッとこちらを睨み付けてきたかと思うと、そのまま悲しそうな表情で見つめてくる。
「一体どういう事なんだよ。何でそんな風になってるんだ?」
神治は容姿が可愛らしいゆえに自然と起きてしまう笑みを抑えながら尋ねた。
「そ、それは……言いたくないにゃ……」
ユリィは困った様にうなだれている。
「言いたくないんじゃしょうがないけど……ずっとこのままなのかい?」
「ずっとこのままって訳じゃ……でもしばらくは戻らないにゃ……」
落ち着かない様子で体をフルフル動かしながら呟いている姿は非常に可愛らしく、神治はそのまま抱き締めて頬ずりしたくなってきた。
(うぅ……反則だこんなの……たまらないよ……)
ほんのりと桜色に染まった白い肌とそれに絡みつく銀色の美しい髪、そして微かに膨らんだ胸とその頂点にあるピンク色の突起。
そういった通常の部分だけであっても強烈な性的刺激を与えてくるほどの美少女だというのに、そこへ可愛らしいネコミミとネコシッポが加えられ、さらに「にゃ」という語尾で喋られてはおかしくなりそうだった。
今まで知らなかったが、どうやら自分はネコミミ少女にかなり欲情する性癖だったらしい。
(うぅ……ユリィ……可愛いよユリィ……)
ユリィを見れば見るほどその衝動は強まっていき、神治はあまりの事に体を震わせ始めた。
その間もユリィは「にゃあにゃあ」鳴きながら困った様に頭を振っており、それが強烈に可愛らしくてたまらない。
(こんな……こんなの……うぅ、もう我慢できないっ……)
「ユ、ユリィっ……」
ついに自分を抑えられなくなった神治は、ユリィに飛びかかるとギュッと抱き締めて頭に頬ずりした。
「にゃっ。にゃにするんだにゃ?」
「何って、抱き締めてるんだよ。別にいいだろしても。さっきまで同じ様にしてたんだし」
そう言いながらネコミミの辺りをサワサワと撫で回し、ネコシッポを握る様にしながらスルスル触る。
「そ、それはそうにゃけど、うにゃっ……そ、そこは、にゃぅっ……何か違うにゃ、にゅっ……さっきと違う、にゃ、にゃあんっ……」
ネコミミを口に含んで舐め、ネコシッポをギュッと掴むと、ユリィは体をブルブル震わせて悶えた。
(これってたまらないよ……何かさっきより凄くエッチだ……)
そのあまりに可愛らしい格好と態度、そして体中から発せられている妙な色気にやられた神治は、股間で猛りまくっている肉棒をユリィの中へ入れたくて仕方が無くなった。
「ユリィっ、もう我慢できないっ。ヤるよっ、ヤるからねっ?」
そう叫ぶとそのまま四つんばいにさせ、後ろから肉棒を押し込んでいく。
「うにゃんっ……いきなり強引にゃ、にゃうっ……そんにゃ風に、にゃっ、にゃっ、にゃあんっ……」
ズブズブズブと肉棒が勢い良く入り込んでいくのに合わせて、ユリィの体がビクビクビクと震える。
ベッドに付いた手はシーツをギュッと掴み、ネコシッポの生えた小さな尻が小刻みに揺れた。
(これって……可愛くて、そんでエッチだ……)
目の前にある長いネコシッポを掴んで撫でる。
「にゃっ、そこは駄目にゃ、にゃんっ……そういう風にしちゃ、にゃあっ……」
振り返り文句を言ってくるのを無視し、シッポを掴んだまま腰を動かし出す。
「にゃっ、にゃっ、にゃあっ……駄目だと言ってるにょに、にゃっ……駄目って、にゃあんっ……」
ネコミミ・ネコシッポ姿で四つんばいにさせ、後ろから貫いて「にゃあにゃあ」と甘い鳴き声をあげさせていると、まるで本当の猫を相手にしているかの様な錯覚を覚えて妙な興奮が起きてくる。
だが体のほとんどや、振り返りこちらを見つめる顔は人間であったため、そのギャップがたまらなかった。
「ユリィ、可愛いよっ……可愛くていいっ……可愛いよぉっ……」
背後から薄い胸に触れ、乳首を摘んで捻りながらガシガシと腰を叩き付ける。
「にゃぅっ、そこは、にゃんっ……そんにゃのぉっ……にゃっ、にゃっ、にゃぅっ……」
ネコミミの生えた可愛らしい頭を左右に振ってユリィは悶え狂った。
どうやら猫状態になっている今の方が先ほどより快感を得ているらしく、乱れ具合が比較にならないほど激しくなっている。
「ユリィっ……いいよユリィぃっ……いいぃっ……」
抱かれている側の悶えが激しくなれば抱いている側の興奮が高まるのも当然で、神治も勢い良く腰を振りながら、肉棒から押し寄せてくる快感に頭を朦朧とさせた。
(これって……くっ……凄い……凄すぎるよぉ……)
膣内も変わったのではないかと思えるほどに、肉棒に与えられる刺激が凄まじくなっていた。
まさに動物的というか獣的というか、膣内には荒々しくも強烈な蠢きがあり、これでもかと肉棒に絡み付いて吸い付いてくるのだ。
それは並の男であれば耐えられない凄まじい快楽の坩堝だった。
「にゅふっ、にゅぅっ、にゅあっ……にゃぅっ、にゃっ、にゃあっ……」
ネコミミとネコシッポの毛が逆立っており、ユリィの得ている快感の強さが伝わってくる。
その様子に興奮を高めた神治が強く腰を突き込むと、腕がガクリと崩れ、尻だけが高く突き出される体勢になった。
「うにゃっ、にゅっ……凄いにゃっ、凄いにゅっ、にゃあんっ……」
振り返り、涙目でこちら見つめるユリィは、ネコシッポをフルフルと震わせながらいやらしく悶えた。
その様子にさらなる興奮を覚えた神治は、凄まじい強さと速さで腰を動かしていった。
「にゃふぅっ、にゃっ……ふぅっ、ふにぃっ、ふぅっ……ふにゅぅっ……」
興奮が激しくなってきたのか、ユリィの口からは猫の交尾時そのままの声が漏れ、その事がこちらの与えている快楽の強さの証明に思えて嬉しくなる。
「ふぅっ、ふにぃっ……しゅぅっ、ふにゅっ……にゃぁ〜〜っ」
ユリィが体を硬直させ、仰け反ると膣内もキュウっと締まり上がり、その刺激に射精感が高まっていく。
「ユリィ、俺っ……もうっ……もう出そうだっ……」
慣れない容姿、鳴き声のせいか、我慢があまり効かなくなっているらしい。
とにかくこの可愛らしいユリィの中に精を放ちたくてたまらなくなっているのだ。
それは特別な存在へ遺伝子を注ぎ込みたい雄の本能なのかも知れない。
「にゃふぅっ、にゃっ……ふぅっ……にゃふっ、にゃっ、にゃぁんっ……」
自らも求める様に腰を振り、ネコシッポを立てながらながら鳴いているユリィの様子に、神治の我慢は限界に達した。
「にゃっ、にゃっ、にゃあっ……にゃふっ、にゅあっ、にゃぁあああああああああっ!」
「うぅっ!」
呻きと共に精を放つ。
ドクドクドクと勢い良く放出されていく精液を感じながら、神治は何ともたまらない快感に浸った。
(す、吸われるぅ……)
こちらから放出している感覚とは別に、吸い出されている感覚もあったため意識が遠のきそうになる。
先ほども同じ様な状態になったが、今度はその勢いが物凄かったのだ。
「にゃ……にゃぁ……にゃふぅ……」
ユリィも切羽詰まった様な、それでいて可愛らしい鳴き声を漏らしながら体を小刻みに震わせている。
するとさらに吸引が強くなり、神治は一瞬意識が無くなるのを覚えた。
キュウっと締め上げられた肉棒が快感の悲鳴をあげ、腰の感覚が薄れるのを感じる。
「くぅ……ふぅ……」
ようやく射精を終えた神治は、肩で呼吸をしながらゆっくりと体から力を抜き、ユリィの上に倒れ込んだ。
ハァハァと荒々しい呼吸をしつつ、今経験した快楽を思い出してうっとりとなる。
(何て凄いんだ……)
単に猫的になっただけでなく、セックスにおける快楽が凄まじくなっているのだから驚きだった。
「にゃぁん……ふにゅぅ……」
ユリィは本物の猫の様に頬ずりをしてくると、甘える様に鳴いてくる。
(何というか……たまらない可愛らしさがあるね……)
神治は昔から猫が好きだったせいか、どうにもこうした猫っぽい態度をとられると可愛くて仕方がなかった。
(それにしても……どうしてこんな風になっちゃったんだ……?)
先ほども疑問に思ったが、実に奇妙な現象だった。
「ユリィ、これって一体、んっ……」
説明を求めようとした途端、口を塞がれたため驚く。
キス、というより唇をペロリと舐められた事で体に快感の痺れが走った。
ゾクリとする様な気持ちの良さに体が包まれ、肉棒が一気に回復してすぐにでも膣に押し込み動かしたくなってくる。
(もういいや……後で聞けばいいよ……)
些細な疑問などどうでもいいではないか。それより今はユリィの肉体を味わうのだ。
そんな想いに包まれた神治は、膝立ちになると再び肉棒を押し込んでいった。
ズブリ……。
(うっ……)
強烈な快感が肉棒から湧き上がり、背骨を通じてそれが伝わって、蕩けそうな気持ちの良さに体中が包まれる。
「ユリィ、いいかい? またするよ?」
入れてから聞くのもおかしな話だったが、我慢できなかったのだから仕方がないだろう。
「にゃ……」
ユリィも快楽のせいなのかまともな言葉が喋れなくなっているらしく、ただ振り返って頷くだけだった。
その様子を可愛らしく感じながら、そのまま勢い良く腰を振り始める。
「にゃっ、にゃっ、にゃぁっ……にゃふっ、にゃっ、にゃあんっ……」
甘い鳴き声に興奮を高めながら、神治は自分が実に奇妙な状況でセックスしているのだと自覚しつつ、強烈な快楽に包まれていくのを感じるのだった。
目を覚ますと窓の外はすっかり暗くなっていた。
もう真夜中だろう。
あれから神治はずっとユリィを抱いていた。
猫状態になったユリィはあまりに可愛らしく、その甘える様な態度がたまらずに何度も抱いてしまったのだ。
無論凄まじい快感があるのも理由だった。
そうして身も心もユリィに夢中になっていたため、どうしても止める気になれずにその可愛らしい肉体を貪り続けたのである。
とにかく抱きたくてたまらず、そうしている内にいつの間にか意識を失ったのか、気がつくと寝ていたのだった。
(凄かった……)
まるで獣になってしまったかの様に、とにかく快楽を求めて腰を振りまくってしまった。
実際最後の方など、自分も何か訳の分からない言葉を叫びながら交わっていた様な気がする。
押し寄せる快楽と、可愛らしいユリィの様子に頭がおかしくなってしまったのかも知れない。
とにかく猫化した後のユリィは、神治を虜にする恐ろしい魅力に溢れていたのだった。
それにしても一体何故ああした状態になったのだろう。
そんな事を思いながらふと隣に視線を向けると、銀色の瞳がこちらをジッと見つめているのに気がついた。
「お前……凄いのだな……」
ユリィがそれまでの甘い様子とは違った、しっかりとした口調で告げてきたため一瞬驚く。
こちらに向けられた視線は最初の頃のキツイ感じに戻っており、ネコミミ・ネコシッポも無くなっているところから、どうやら元に戻ったらしい事が分かった。
「もう『にゃ』って語尾は付けないのかい?」
「言うなっ……あれは……あれは忘れろ……」
力が抜けた様な口調でユリィは呟いている。
「忘れろと言われてもなぁ。あんなに可愛いと忘れられないよ」
「う……だが忘れるのだ。でなければ殺す……」
(こ、殺すって……)
本気でないのは殺気が無いことで分かるのだが、そのくらい嫌だという事なのだろう。
「忘れてもいいけどさ……だったらどうしてああなるのか理由だけでも教えてよ。じゃないと気になって忘れられそうもないし……」
「そ、それは……ふむ、確かにそうかも知れんな……分かった話してやろう。だが聞いたら忘れるのだぞ、よいな?」
「努力します」
その返事が不満なのかユリィは一瞬眉を歪ませたが、仕方がないといった感じで息を吐いた。
「……我らは、普段はこうした人の姿をしているが本来は猫なのだ。銀猫の一族という」
「銀猫……なるほど、銀色の猫ね」
ユリィの髪と瞳は銀色であり、先ほど生えていたネコミミとネコシッポも銀色の毛で覆われていた。
「初めは単に人型が便利という事で姿を変えていたのだが、長年そうしている内にそれが通常の状態になっていったのだ。何しろ人と関わるには人型の方が抵抗が少ないからな。社会的にも猫型よりは人型の方が都合が良いという事もあってそうなっていった訳だ。姿を現すたびに悪魔だ何だと言われては大変であるし」
確かにキリスト教が支配する社会では、喋る猫など悪魔として迫害されかねないだろう。
「それが数百年と続いてきたものだから、いつしか猫の姿をする事に羞恥心を覚える様になったのだ。例えるなら人が裸を晒す感覚と同じだな。だから我らは猫形態を他人に見られる事をひどく恥ずかしく感じるのだ」
なるほど、それゆえあれほどうろたえていた訳だ。
普通の人間の感覚にしてみれば、気がついたら裸、いや完全に猫になった訳ではないから、半裸状態になっていた様なものだろう。
「で、何でそんな恥ずかしい状態になったのさ?」
人前で裸になる人間がそうそういないのと同じだとすれば、何故ユリィが猫化したのか分からなかった。
「う……その……」
核心部分を尋ねた途端ユリィは口ごもっている。どうやら言いにくい事らしい。
「ほら、忘れるからさ、教えてよ」
「ぐ……」
ユリィは困った様に俯いた後、意を決したのかこちらをキッと見つめた。
「……だからだ」
「え?」
だがその声は小さく、よく聞き取れない。
「気持ち……気持ち良かったからだっ」
続けてユリィは大声で叫び、慌てて視線をそらした。
「そ、そんなんで?」
「快楽が強まると本来の姿の方が強まってしまうのだ……耐えてはいたのだが、お前が……その……良かったので……耳と尻尾が出てしまった……」
ユリィはそっぽを向くと、恥ずかしそうに頬を赤くしながら呟いている。
(か、可愛い……)
その様子は何とも言えず、見ている神治にゾクゾクする様な興奮を与えた。先ほどと同じく、抱き締めて無茶苦茶にしたい衝動を呼び起こしたのだ。
今はすっかりネコミミとネコシッポは引っ込んでしまっているが、それが出ている状態で交わっていた時の猫の様なユリィの様子が脳裏に浮かび、股間の肉棒が硬く大きくなっていく。
「ゆ、ユリィ……ユリィ可愛いよ、可愛いっ」
神治は抑えられない衝動に支配されるとユリィを勢い良く押し倒した。
「こ、こら、何だいきなりっ。落ち着けっ」
「今更何言ってるんだよっ。もう何度もこうして抱いてるじゃないかっ」
先ほどまでの態度と違って激しい抵抗を示してきたため、カッとなった神治はユリィの体をベッドに強く押しつけた。
「だが私としては十分お前が理解できたゆえ、もう抱かれる必要はないのだ」
「理解ってなんだよ? 俺の何が分かったって言うんだ?」
「ルシーヌの家へ案内するのに危険の無い男だという事が分かったのだ」
「そんなの関係ないだろっ」
「か、関係ないって、お前はルシーヌの所へ行くのじゃなかったのか?」
呆れた様に呟くユリィの言葉に、確かにその通りだと思いつつ、激しく押し寄せてくる衝動にどうでも良い事の様に思えてくる。
「それはそうだけどっ、今はユリィを抱く方が大事だよっ。ユリィにもっと俺を知ってもらいたいんだっ。だからいいだろっ?」
そう言いながら首筋に舌を這わし、乳首をクリクリと捻る。
「何を言って、あっ……馬鹿、やめろ、あんっ……」
「ふふっ、感じてるんだね? 早くさっきみたいに可愛くなってよっ。可愛く『にゃ』って言ってよっ」
「なっ、馬鹿を言うなっ。私はもうあんな風には、あっ……やめ、あんっ……ダメ……」
乳首を強く吸い上げつつ、股間に手を伸ばしてクリトリスを擦る。
「もうどこが弱いか分かってるんだからねっ。ユリィはここをこうするとっ」
「ああんっ、ダメ、やっ……そこは、そこはダメにゃぁ〜〜っ」
そうユリィが叫んだ瞬間、引っ込んでいたネコミミがピョコンっと飛び出した。
「これこれ、これがいいんだよっ。もっとしてあげるからねっ。だからユリィも可愛くなってよっ」
「にゃ、にゃにを……こんなのはダメにゃ、ダメって、にゃぅっ、にゃっ、にゃぁんっ……」
スルっといった感触が脚に触れたため視線を向けると、ネコシッポが絡みついているのが見えた。
(可愛い……ああっ、何て可愛いんだろ……)
半猫化といった状態のユリィはたまらなく愛らしかった。
人の様でありながら猫の様であり、その中間の存在としての魅力は神治の性的な意識を強烈に刺激した。
先ほど狂った様に腰を振ってしまったのもそれが原因と言えただろう。
(俺っ……俺っ、ユリィとしたいっ……ユリィとしたいんだぁっ……)
目の前のネコミミ・ネコシッポな銀髪の美少女を犯せるのなら、何を捨てても構わない。そんな想いが神治の心と体を包み、その小さな白い肉体を抱き締めさせていく。
「どうしてこんにゃ、にゃあっ……ダメにゃ、神治ダメ、にゃぅんっ……」
そのまま四つんばいにさせると、もう何度も味わった膣穴へと肉棒を押し込む。
ズブズブズブ……。
(うぅ……やっぱ凄い……気持ちいぃ……)
ユリィの態度とは裏腹に、その肉体は歓迎、どころか暴力的なまでの勢いで肉棒を包み、奥へ引き込む様にして吸い付いてくる。
「うぐっ……くっ……」
その精を放出させようとする強烈な蠢きに、神治は頭を仰け反らせ、意識が飛びそうになるのを必死になって耐えた。
(何でこんな……凄すぎだよ……)
このままではきっとまた狂った様に腰を振り、ユリィを何度も求めてしまうだろう。
だがそうなったとしても別に問題は無いのだ。何しろユリィも気持ち良くなってくれているのだから。
そして自分はユリィが可愛くてたまらないのであり、愛すべき存在は自由に愛するべきだろう。
そう結論づけた神治は勢い良く腰を振り始めた。
「うぅっ、ユリィっ……もっと気持ち良くなってっ……もっと俺を理解してよっ……ユリィ、ああっ……ユリィ可愛いよぉっ……」
ユリィに対する執着が強烈に強まり、自分でも抑えられない不可思議な衝動に押されるまま、神治は目の前にある美しくも可愛らしい銀猫の少女の肉体を味わっていった。
「何を言って、にゃっ……ダメ、にゃぅっ……そんな風にされたら、にゃぁっ……またおかしく、にゃうっ、にゃっ、にゃぁんっ……」
否定している声が甘える鳴き声に変わっていくのがたまらず、それだけで射精してしまいそうになるのに耐える。
「うぅっ、いいよユリィっ……くっ、可愛いっ……ああっ……可愛くて気持ちいぃっ……」
ネコシッポの生えた小さな尻をギュッと掴み、貫かんばかりの勢いで腰を振ると、肉棒がチュウっと吸い取られる様な感覚が起こり、頭が朦朧としてくる。
先ほども意識を失ってセックスしまくってしまったが、早速その兆候が出てきた様だ。
(こんな、うっ……たまらない……あぁぅ、凄いよユリィっ……)
自分の全てが快楽に包まれ、ユリィの中へ入り込んでしまうのではないかと思いながら、神治はとにかく腰を振った。いや、勝手に腰が動いていった。
それはまるで体自体が腰を動かし、快感を味わいたいと欲しているかの様だった。
「にゃぅっ、にゃっ、にゃあんっ……神治、にゃっ……神治いぃ、にゃぅっ……神治いいにゃぁっ……」
ユリィも似たような状態にあるのか、快楽に染まった瞳を向け、求める様に腰を振ってくる。
ネコミミの生えた小さな頭がこちらの突き込みに合わせて前後に揺れ動き、銀色の美しい髪が背中で波打っているのがいやらしい。
「ユリィ、あぅっ……ユリィ、うぅっ……ユリィ、あぐぅっ……」
「神治、にゃぁっ……神治、にゃふっ……神治、にゃあんっ……」
小さな背中に体を寄せ、覆い被さる様にして肉棒を叩き付けていくと、耐えきれなくなったのかユリィがガクリと腕を崩した。
そのまま背後から抱き締めつつ腰を動かし、ゆっくりと正面向きに体勢を変えていく。
「にゃっ、にゃっ、にゃふぅんっ……いいにょ、神治いい、にゃぁんっ……神治いいにょぉっ……にゃっ、にゃあっ、にゃふっ……」
手脚を絡みつかせ、ギュッと抱き付いてくるユリィを強く抱き締め返し、体全体が性器と化したかの様に擦りつけ、一つになる事を望む様に強く押しつけていく。
体前面に感じるユリィの滑らかな肌と温かな肉の感触がたまらない。
「ふにゅぅっ、そんにゃ、にゃぅっ……そんにゃにしたら、にゃっ……わたし、にゃぅっ……んんぅっ……んっ……」
切羽詰まっていくユリィの声に興奮を高めながら、神治は可愛らしい唇に吸い付き、舌を絡ませて貪っていった。
そうする事により、さらに一体感が増し、ユリィの中に自分が溶けていってしまう様な錯覚を覚える。
(ああ……気持ちいぃ……何て気持ちいいんだろぉ……)
上下の穴で繋がりながら、体をもっと一つにしたい、そんな想いが湧き起こるのを感じつつ、徐々に意識が薄れていくのを覚える。
おそらく先ほどはこうして意識を失ったのだろう。
「にゃぅっ……しゃぁっ……にゃふぅっ……神治、にゃぅっ、神治、にゃあっ……」
快感を訴える可愛い鳴き声が射精感を促す。
肉棒、いや体全体が快楽に染まり、ユリィと触れているあらゆる箇所から凄まじい快感が押し寄せてくる。
「にゃあっ、にゃっ、にゃぅっ……にゃっ、にゃっ、にゃあっ……」
理性の光を失い、肉欲に染まったユリィの瞳からは、「もっとして。もっと自分に快楽を与えて」といった意志が伝わってくる。
それは精神が訴えているのではなく、肉体が、快楽を求める体が、肌と粘膜を通じて訴えてきている言葉だった。
神治の肉体もそれに呼応しているのか、意識せずとも腰の動きが強く速くなっていく。
「にゃふっ、にゃっ、にゃあっ……わらしもう、にゃぅっ……神治わらし、にゃっ……わらしもう、にゃぁっ……」
もう限界、といった様な切ないユリィの言葉と共に、ツタの様に絡みついた細い手脚がギュッとしがみついてきて膣内が強烈に締まり上がる。
その事で急激に快感が強まったため、神治の射精感は限界まで高まっていった。
「にゃっ、にゃぅっ……イくっ、イくっ、イくっ……もう、にゃっ……もう、にゃぅっ……もうイぅっ……にゃっ、にゃっ、にゃあぁああああああああっ!」
「うぅぉっ!」
二人の絶叫が重なると同時に肉棒から精が迸った。
勢い良く精液が放出され、そのたびに押し寄せてくる快感に体を震わせながら、神治は恐ろしいまでの気持ちの良さに体が包まれていくのを感じた。
(たまらない……こんなの……たまらないよ……)
先ほどは意識の無いままこれを何度も味わったのだろう。
同じ状況になったせいか、神治にはそれが分かった。
どうりで気がついてユリィを見た時、抑えられないほどの強烈な肉欲の高まりを覚えた訳だ。
これほどの快楽を何度も経験しては、見るだけで抱きたく、いや射精したくなって当然だった。
意識が無くても体の方はユリィの肉体の快楽地獄、いや神だけに快楽天国と言うべきか、それを覚えていたのだから。
その証拠に、射精を終えた肉棒はすでに痛いほどに勃起しており、神治の意識がある事が鬱陶しいとばかりにビクンビクン震えている。
「にゃぅっ……また……またするのにゃ?……ヤりすぎ、にゃぅんっ……にゃっ、にゃっ、にゃぁんっ……」
肉体の欲求に答えるべく再び腰を動かし始めると、ユリィが呆れた様な声をあげた。
だがそれが本心でない事はすぐに分かった。
何故ならその銀色の瞳は悦びの光を放ち、小さな唇は笑みを浮かべていたからだ。
「するのなら、にゃぅっ……徹底的に、にゃっ……私を気持ち良くさせるのにゃ……分かったにゃ?」
快楽に上気した顔に嬉しそうな表情を浮かべ、ギュッと抱き付いてくるユリィに、ドキンっと心臓が鼓動する。
(可愛い……)
「にゃぅんっ……」
答える代わりに勢い良く肉棒を突き込むと、ユリィは白い喉を仰け反らせて悶えた。
「にゃっ、にゃっ、にゃあっ……神治いい、にゃぅっ……神治いいにゃ、にゃぁんっ……神治もっとぉっ……にゃっ、にゃっ、にゃあんっ……」
そのまま求める様にピストン運動を続けていくと可愛らしい鳴き声が耳に響き、その事でユリィに対する肉欲と愛おしさを強めた神治は、このままだと先ほどの様にしばらく抱き続けてしまうに違いないと思いつつ、押し寄せてくる快楽に身を任せていくのだった。
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