緋道の神器


        第二十一話  ハーレム



 そこは何も無い空間だった。
 床は一面ベッドの様になっており、周囲は壁が無くずっと同じ状態になっているところからして異空間である事が分かる。
 目の前には極上の肉体、まさに美の女神としか言いようのない美しい顔と体があった。
 その肉体はただ美しいだけでなく、極楽へと誘う信じられないほどの快楽を与えてきていた。
 今はその快楽こそが全てであり、貪り征服する事にたまらない悦びがあった。
 ここがどこで自分が相手にしているのが誰であるのかは、分かっているはずだったがどこかボンヤリしてしまっている。
 あまりに長い間快楽に浸っていたせいで少々頭がボケているのかも知れない。
(ここは……そう、ユイリーエの故郷だ……そこで俺はユイリーエの母親と、ウィリーエとしてるんだよな……)
 顔を見つめると、ウィリーエはトロンとした表情でこちらに視線を向けてきた。
 そこにはもっと気持ち良くして欲しいとおねだりしている雰囲気があった。
「あっ、ああんっ……あっ、あっ、ああっ……」
 それに応える様にして腰の動きを強めると甘い声が漏れ、その反応に誇らしさが込み上げてきてもっと喘がせたくなる。
 初めてウィリーエと交わってからもうどのくらい経っただろうか。
 未迦知神の代理としてウィリーエに誘惑され、その肉体を抱き始めてからかなりの時間が経過している。
 何度射精したのか覚えていない。
 ここは外界から遮断された異空間であり、日の光や時計などという時間を把握する手段が何も無かったため全く時間の感覚がなかったのだ。
 それは普通ならば不安に感じる事であったが、そうした事もなく、神治はただウィリーエを抱き続けていた。
 何しろウィリーエの与えてくる快楽は凄まじく、何度しても我慢できなくなるため、セックスするのが楽しくて仕方が無かったからだ。
 ウィリーエにしても全く飽きずに、というか抱けば抱くほど激しく欲してきたため、終わらせる機会が全く無かったのである。
「あっ、あっ、あぁああああああああっ!」
「うぉっ!」
 何度目か分からない射精をすると、ゆっくりウィリーエの体の上に倒れ込む。
 柔らかなその肉体は、神治の体を包むように受け止めてきてたまらなかった。
 そうしているとすぐに肉棒が回復し、抱きたくなってくるのだからウィリーエの魅力は凄まじいと言えただろう。
「ねぇ、神治さまぁ……してる最中にさぁ、何度もわたしのことぉ……最高って言ってくれたけどぉ……それってどうなのぉ?」
「どうって何が……?」
 不意に尋ねてきたウィリーエの言葉に首をかしげる。
「もっちろんミカちゃんと比べてだよぉ……ミカちゃんとわたしを比べてぇ……どっちの方が最高なのかって聞いてるのぉ……」
「え? そんなの未迦知さまに決まってるじゃないか……」
(って、え……?)
 考えるまでも無く答えが口からこぼれた事に神治は驚いた。
 普通ならウィリーエに気を遣い、それなりに彼女を褒める言葉を言うはずなのだが、何故か聞かれた瞬間にそう答えてしまったのだ。
 まるで自分が男か女かと問われたかの様な、当たり前すぎる問いに答えた感じだった。
「ええっ? 即答なのぉ? ねぇ、せめてもうちょっと考えるとかしてよぉ……っていうか、わたしよりミカちゃんがいいわけぇ?」
「あ、うん……未迦知さまは最高だから……」
 ウィリーエのガッカリした様な問いに再び即答する。
 これまた自分でも驚くほどに早い答えだった。
「うわ〜〜ん、何よそれぇ。ただいま現在抱いてる女に向かって言うかなぁ……」
 ウィリーエは悔しそうに呟いている。
 それも当然だろう。セックスしている最中は、散々最高だと褒め称えていたのだから。
「いや、その……ゴメン……自分でも不思議なんだけど、考える間も無く答えが出ちゃったんだ……」
「どうしてぇ? どうしてミカちゃんなのぉ? だって神治さまってミカちゃんとまだ本気でエッチしてないんでしょう? わたしがしたみたいにすっごく気持ち良くされてないんでしょう? だのにミカちゃんなわけぇ?」
「う〜〜ん、そうなんだけど未迦知さまなんだよね。俺にとってあの人は憧れの存在で、何というか普通じゃないんだ」
「そんなぁ……」
 自分でも驚くほど簡単に未迦知神を称える言葉が口から発せられた事に神治は驚いた。
 そして実際口にしてみると、以前からそう考えていた様な気がするから不思議だった。
 自分はどんな女を抱いていても無意識の内に未迦知神と比較しており、常に未迦知神が最も優れていると判断していた様な気がしたのだ。
「ま、当然の結果じゃな」
 不意に違う声が聞こえたため、神治は慌ててそちらに視線を向けた。
 そこにはいつの間に入ってきたのか未迦知神が立っている。
「み、未迦知さま……どうしてここに……?」
「そろそろお主を助けてやろうと思ったのよ。だが我ながら実に良いところへ来たものじゃ……ふふ、そうか儂の方が良いか……」
 未迦知神は小さな体を誇らしげにそらし、嬉しそうに笑っている。
「何よぉ、これはまだわたしの魅力が分かってないからだもぉん。だからもうちょっとすれば、絶対わたしの方がいいって言うに決まってるわぁ」
「ふっ、負け犬の遠吠えは虚しいぞ。どれだけの間交わっておったと思っておるのじゃ? それにあれほど即答しているという事は、お主よりも儂の方が遙かに良い女であるという証であろう」
「うっ……うぅっ……」
 未迦知神の言葉にウィリーエは悔しそうに唸っている。
「この賭けは儂の勝ちという事じゃ、諦めるが良い」
「うわ〜〜ん、ミカちゃんの意地悪ぅ〜〜。もう知らないんだからぁっ」
 そう叫ぶとウィリーエは泣きながら部屋から飛び出していった。
 先ほどまでは存在していなかった扉がある事に気づいて驚く。
「あ〜〜、スッキリしたわい。たまにはこうして追い詰めてやると爽快じゃな」
 未迦知神は満足そうな笑みを浮かべて頷いている。
 神治は何が何だか分からない感覚になりつつも、先ほどの未迦知神の言葉に気になる部分があったためそれを尋ねる事にした。
「あの、未迦知さま……賭けって何のことですか?」
「いや、先日お主が儂に惚れているという話をあやつにしたのじゃよ」
 その言葉にドキリとする。
 確かにその通りではあるのだが、他人にそれを話されるのは恥ずかしかったからだ。
「そしたらあやつは自分の方がいい女だと言い出してな、お主の心を奪ってみせると宣言した訳よ。まあ、儂としてはその様な事はないと確信しておったゆえ、絶対にないと言ったところ、だったら賭けをしようと言われたのじゃな」
「どうしてそんな……絶対だって確信してたんですか?」
「ん? その様なこと当然であろ? お主にとって儂は超絶に好みな女であるからな。日頃の儂に対するお主の態度を見ていれば他の女になびく事など考えられんわ」
 何という自信だろうか。
 とはいえ、実際にそうなのだから仕方なかった。
 神治にとって未迦知神は絶対的な魅力を持つ女性だったからだ。
「まあ、そんな会話をして油断させたところであやつの魔の手から脱出した訳よ。お主には後で引き合わせようと思っておったのじゃが、ちょうどよく部屋の外に居たため引き込ませたという事じゃな。そしてあやつがお主をたらし込めるであろうほど待った後、再び部屋へ入ったのじゃ」
 なるほど、あの時はそういった状況だった訳だ。
「だけど酷いですよ、せめて心の準備くらいさせて下さい。いきなり凄く射精させられて死ぬかと思ったんですから……」
「そう言えば気になっておったのじゃが、お主、どうやってウィリーエの誘惑から逃れた? 本気になったあやつの誘惑はそうそう振り払えるものではないぞ? 儂はてっきりお主がボロボロになっておるかと思ったのじゃが……何やら逆にあやつを夢中にさせておった様ではないか。いくら神であるとはいえ、まだお主にはその様な事は無理だと思うておったのじゃが……」
「いや、俺にもよく分からないんですけどね。気がついたら凄く元気になってて、ウィリーエさんを押し倒していたんですよ……って、俺がボロボロになるかも知れないって分かってたのに賭けなんかしたんですか? それで俺がウィリーエさんを選んだらどうするつもりだったんです?」
「いやいや、そうなったとしてもお主が儂を選ぶと思っておったからな。実際そうであったろう?」
 確かにその通りだった。
(って、まさかそう答える様に術をかけてたとかじゃないよな?)
 あまりに簡単に自分が即答したため神治はそんな疑いを持った。
 だがよく考えてみればその様な八百長を未迦知神がするとも思えなかった。
 そもそも負けるなどという事を未迦知神は考えないもしないだろう。それだけの自信家なのだ。
 そうなるとあの即答行為は一体どういう事だったのだろうか。
(う〜〜ん、俺ってそんなに未迦知さまに惚れてるのかなぁ……)
 意識しないで返答できるなどというのは、自分の中であまりに当然すぎる事実だけであるはずで、そう考えると自分が完全に未迦知神に惚れている証の様に思えてきた。
「それにしても元気になった、か……ふむぅ、もしかしてあれか? 時折お主がなっておった荒々しい状態、あれにまたなったのか?」
「あ……はい、そうです。ウィリーエさんの事を呼び捨てて、様付けで呼ぶように言ってましたから……」
 未迦知神の言葉に意識を戻す。
 そして自分が再びあの興奮状態になっていたのだという事を改めて意識した。
 女性を乱暴に扱い、己を崇めさせようと欲する様になるあの状態は、以前から何度かなっているが一体何なのだろう。
「なるほど面白いのぉ……交わりの際、必ずではなく時折なるあの性格……ふむぅ……」
 未迦知神は興味深げに考え込んでいる。
「あの……あれって何なんですかね? もしかして二重人格とかそういうのなんでしょうか?」
「儂は専門家でないゆえよく分からんが、確実に言えるのはあれはお主そのものであるという事じゃ。人格が変わるといった事はなく、お主そのままでただ少々乱暴になるだけじゃな。そうなってしまう原因はおそらく深い部分……魂に何かある様に思えるの……」
「魂、ですか……もしかして穂智過と一体化したからそれの影響とか……」
 神治は淫妖である穂智過と魂を一体化させていた。
 それゆえ神となれたのだが、魂に何かあるとすればその事が原因に思えたのだ。
「それは違うな。お主申しておったではないか、当主になる前に姉にも同じようにしていたと。つまり穂智過と一体化する前からお主はそうした状態になっていた訳で、そうなると問題はお主個人の魂にある事になる」
 そうだった。
 初めて自分を様付けで呼ばせる様になったのは姉としていた時だったのだ。
 姉を抱いている内に激しい衝動に襲われ、そういう行動を取ったのである。
「一体何なんでしょう……」
 訳の分からない状態になっている自分自身に神治は不安を覚えた。
 このまま自分はおかしくなってしまうのだろうか。
 それは不気味な恐怖として重くのし掛かった。
「まあ、そう気にするな。今のところ何も不具合がある訳ではないし、あれはあれで結構面白いゆえ、そのまま楽しむのが良いのではないか?」
 不意に軽い口調で未迦知神にそう言われ、神治は肩すかしを食らった様な感覚を覚えた。
「そんな簡単に言わないで下さいよ。俺にとっては不安な事なんですから」
「じゃが実際問題として何か困ることでもあるのか? 逆に役立っていると儂は思うがの」
 確かに言われてみれば別に不具合は無いのだ。
 単に気分が荒々しくなり、様付けで呼ぶように相手に強制する恥ずかしさがある程度だろう。
 そしてその状態から行われる激しい行為は、女性たちに悦ばれはしても、嫌がられた事はなかったのだ。
「それはそうなんですけどね。でも気になるんですよ。ただでさえ穂智過なんていう存在と一体化している訳ですし、元々の自分をちゃんと把握しておきたいんです」
 穂智過は一体化しているだけで何もできないと教えられてはいるが、いつの間にか乗っ取られ、自分自身で無くなるのではないかという恐怖はずっとあったのである。
「ふむぅ、そうは言っても儂にはどうなっておるのか分からんからのぉ」
「そうなんですか? でも魂に何か問題があるって分かったじゃないですか?」
「儂はそこに問題があると感じただけじゃ。しかしそれがどういうものであるのかを説明するのは難しいのよ」
「そうなんですか……」
 いつも何でも説明してくれる未迦知神にそう言われ、神治はどうしたものかと途方に暮れた。
 確かに現状で何か問題がある訳ではないが、普通ではない様な事を言われて気にせずにいられるほど神経が太くはなかったのである。
「そこまで気になるのなら、専門家に調べてもらうか?」
「え? 専門家って、そんな人がいるんですか?」
 問題は魂などという訳の分からない部分であるのに、その様な事を調べられる人間がいるのだろうか。
「あ、もしかしてそういう事に詳しい神がいるんですか?」
 一瞬人間の専門家を想像してしまったが、よく考えてみればそんなはずもないだろう。
 問題が常識外の部分なのだから、その専門家にしても常識外の存在であるはずだ。
「いや、神ではないな……まあ、純粋な人間という訳でもないが……」
「一体どういう人なんです?」
「魔法使いよ……」
「ま、魔法使い……?」
 何ともファンタジーな名称が出てきた事に驚く。
「ちょうどこの付近に住んでおったはずじゃ。その者に聞けば何か分かるはずじゃぞ。うむ、ウィリーエのヤツに居場所を聞いてみるか」
 当たり前の事の様に話を進める未迦知神に神治は呆気に取られた。
「あ、あの……魔法使いって……魔法を使う人って事ですよね?」
「何を言っておるのじゃお主は……魔法を使うがゆえに魔法使いと呼ばれるのじゃろうが」
「そ、そうなんですけど……魔法なんてあまりに現実離れした事なんで……」
「……己も魔法の様な力を使っておるくせに、何を言っておるのやら……」
 未迦知神は呆れたように息を吐き出している。
 確かに言われてみれば自分もすでに現実離れした存在だった。
 それで魔法使いを非現実なものとして言うのはおかしな話だろう。
「取り合えずその者に会って調べてもらうのじゃな。どういう状態であるのか分かればお主も安心であろう?」
「そうですね……そうする事にします……」
 などと答えながら、やはり未迦知神は頼りになると神治は思った。
 これまで色々と助けてもらってきた事を考えると、今更ながら感謝の想いが湧き起こってくるのを感じた。
 特に今回、一番気になっていた部分で助言をしてもらった事でその想いが強くなったのだ。
「未迦知さま……ありがとうございます……」
 神治は真剣な表情をすると正座して深々と頭を下げた。
「な、なんじゃ、いきなり改まって……」
 突然の神治の行為に未迦知神は珍しく慌てている。
「いや、そういえばこうしてちゃんと感謝の気持ちを伝えた事がなかったと思ったんで……」
「そうか……ふむ、まあ良い心がけじゃな。そういうところは大切にするが良いぞ」
「はい……」
 少々照れた様子で嬉しそうに微笑みながら告げてくる未迦知神に答えつつ、やはり自分は未迦知神が大好きなのだと神治は思った。
 そしていつかは本気になった未迦知神とセックスしてみたかった。
(本気のミカちゃんなら、神治ちゃんじゃ姿を見た瞬間に射精しまくっちゃうって事だよぉ。体に触れたりしたらそれだけで意識が飛んじゃうかもぉ)
 ウィリーエに言われた言葉が頭に響く。
 自分はウィリーエの裸を見ただけで射精しそうになった。
 その様なウィリーエよりも凄いという未迦知神が本気になったらどんな状態になってしまうのだろう。
(神治ちゃんが可愛いから、神治ちゃんと一緒に気持ち良くなりたくてそうしてるんだと思うよぉ)
 未熟な自分を満足させるために未迦知神は合わせてくれている。
 そんな優しい未迦知神をいつか本気で満足させたい。
 神治はそんな想いを抱きつつ、目の前にいる可愛らしい女神の姿を見つめた。
「ではそろそろここから出るぞ。気が変わったウィリーエが戻ってきても何であるからな」
 どことなく落ち着きの無い口調で呟いている未迦知神に苦笑する。
 怖いモノなど無い様に思えていた未迦知神が、ウィリーエだけは苦手らしい事が分かったからだ。
 とはいえ神治にしても苦手で無いとは言えなかったのだが。
 あの押しの強さ、こちらの話を聞いていない性格は付き合う上でかなり疲れそうだったからだ。
 それでいてどこか好意を感じさせる部分もあるため、全く会わないというのも寂しく思えるのだから不思議だった。
 以前からウィリーエに対する未迦知神の態度を面白く思っていたが、身を持ってそれが理解できた感じだった。
 何よりかなりの快楽を味わえた事を考えると、また抱いてみたいという思いも強かった。
 しかしそれにはもう少し経験を積んでからの方が良いかも知れない。
 また子供の様にあしらわれては悲しいからだ。
(俺の変な部分……あれが最初から出ていれば大丈夫なんだろうけど……)
 時折現れる荒々しい自分。
 あの強い状態で初めからウィリーエを抱けるとしたら問題は無いのだが、そうは言ってもよく分からない状態でもあるためあまり歓迎できない気がした。
(魔法使いか……その人に調べてもらえば何か分かるのかな……)
 ファンタジーな職種が実在している事が驚きであり、それに自分が関わるのかと思うと奇妙だった。
(まるでRPGの主人公じゃん……)
 馬鹿な事を考えつつ、神治はいつの間にか傍に現れていた服を身に付けていった。
 おそらく未迦知神が用意してくれたのだろう。そうした細かい心遣いが嬉しかった。
「着替えたのなら早くせよ。ウィリーエに魔法使いの居場所を聞くにしろ、ここではまた何をされるか分からんからな」
「お待たせして済みません……って、え……?」
 本当に嫌がっているらしい未迦知神に苦笑しつつ部屋を出た神治は、突然目の前に壁の様なモノが現れたのに身を固くした。
 それは何やら巨大な物体だった。
 全体像を確かめようと視線を上に向けると、それが人であるのが分かる。
 四角い顔に立派な口ひげ、燃える様に逆立った金色の髪。
 プロレスラーの様に鍛えられ、圧倒的な存在感を与える肉体。
 そんな驚くべき巨漢が目の前に立っていたのだ。
「お前が神治か?」
 重々しい、腹に響く低い声で巨漢が尋ねてくる。
「は、はい……」
 気圧され、何も考えられなくなった神治はゆっくりと首を縦に振った。
「俺の名はガジギール。我が妻がすっかり世話になった様だな」
(!……)
 その名前を聞いた瞬間、神治の体は恐怖に包まれた。
 何しろつい先ほどまでこの目の前にいる巨漢の妻を抱いていたのだ。
 夫の居ぬ間に不貞を働いていたのである。
 しかも言葉からしてそれがバレているのは明らかだった。
「お前には礼をせねばならぬ。我が妻の相手をしてくれた礼をな」
 ニヤリと笑うガジギールの瞳は強い光を放っており、決して逃がさないという意志が感じられた。
(こ、殺される……)
 その強烈な圧迫感に神治の体はガクガクと震えだした。
 肉体的に比較しても大人と子供、筋肉の塊と並の体格という差があり、神としての力も比較にならないのはその発している「気」で明らかだった。
 ガジギールは傍にいるだけで「勝てない」と思わせるほどの圧倒的な力を感じさせたのだ。
 このまま自分はこの男に殴られ殺されてしまうに違いない。
 神治は未来が真っ暗になるのを感じた。
「な〜〜にを威嚇しておるか、この馬鹿者がっ」
 不意に未迦知神がそう叫ぶとガジギールの脚を蹴った。
 その事で神治は体から力が抜け、安心感に包まれるのを感じた。
 そう、自分には未迦知神が付いているのだから、いくら何でも殺される事はないはずなのだ。
 未迦知神はガジギールと昔からの知り合いであり、何とかしてくれるに違いなかった。
「何をするのだ未迦知殿」
 ガジギールは困った顔をして未迦知神を見ている。
「若者を無闇に脅すなと言うておるのじゃ。このっ」
 そう言いながら未迦知神はまた脚を蹴った。
「脅すなどとんでもない。俺はただこの少年に礼をしたいだけだ」
「ええい、くそっ。小さいというのは不便じゃな。以前は少し跳ねただけで頭に手が届いたというに、今は全く届かんわっ」
 不服そうに呟きながら未迦知神は再び脚を蹴っている。
 どうやら本当は頭を叩きたいのだが、背丈があまりに違いすぎて届かないらしい。
「そう言えば何故その様に小さくなっておるのだ? 俺としては以前の体の方がそそられて良いのだが」
 未迦知神は十一、二歳の少女の外見をしているが、つい数ヶ月前までは三十歳ほどの外見であったため、その姿を知っている者であれば気になる点だろう。
「儂の勝手じゃ。それより良い事を聞いた。この姿であればお主は儂を相手にせぬという事じゃな?」
「いやいや、そのくらいの少女とするのもまた良いからな。もし未迦知殿が受けてくれるのなら、喜んで相手をさせていただくが」
「ふんっ、ご免被るわ。お主は儂の趣味ではないからな。それよりとっととウィリーエの相手をしたらどうなのじゃ? また浮気をしておったのであろう? 散々愚痴を聞かされたぞ」
「う……そ、それは迷惑をかけた。あいつの愚痴はキツイからな……だがまあ、それは取り合えず置いておく。確かにウィリーエのフォローもしなければならんが、その前にこの少年に礼をしたいからな」
 再びギロリと睨まれ、神治は体をすくませた。
 何とか未迦知神が助けてくれる様に祈る。
「礼?……そうか、ふむ……まあいいじゃろう。神治には良い経験になるであろうからな。好きな様にするが良い」
 あっさりと引き下がった未迦知神に神治は目の前が真っ暗になった。
「み、未迦知さま……」
「その様な情けない顔をするな。お主にとって初めて逢う男の神であろうが。男として学ぶ点も色々あるはずじゃぞ。まあ、あまり学んで欲しくない点もあるがお主なら大丈夫であろうからな。とっくりと世話になるが良い」
 全く心配をしていない未迦知神の様子にガックリとなる。
 しかしその様子から殺されないらしい事が推測できたためある程度は安心できた。
 とは言っても、かなりキツイ行為をされるであろう事も分かったので悲しくもあったのだが。
「では部屋へ行くか。お前にはじっくりと礼をしたいからな。楽しみにしてくれ」
 丸太の様な腕が首に回され、グイと引き寄せられる。
「しっかり礼を受けるが良いぞ。ではな……」
 明るく笑いながら反対方向へ去っていく未迦知神を見つめつつ、神治はこれから自分はどうなるのかと不安になった。


「さ、ここだ。入ってくれ」
 首に回された腕に引っ張られ、神治はある部屋に入った。
 一体ここはどの様な場所なのか。拷問部屋だろうか格闘場だろうか、とにかく暴力のイメージが伴う場所に違いないと思いつつ、恐る恐る部屋の様子を確認する。
(あれ……?)
 だが予想に反してそこは普通の部屋だった。
 いや、庶民の感覚からすれば全く普通とは言えない豪華な部屋ではあったのだが、この城のレベルで言えば普通の部屋だったのだ。
 家具がほとんど置かれておらず、部屋の真ん中に大きなベッドがあるだけなのが奇妙な印象を与えたが、とにかく普通の部屋である事にホッとする。
 ベッドはかなりの大きさがあり、巨漢のガジギールでも十分使える様に思えたため、もしかしたら彼の寝室なのかも知れない。
 しかしこの様な場所で一体何をするつもりなのだろう。
「うわっ……」
 そう疑問に思っていると、不意に首に絡んでいた腕が動いてベッドに投げ出されたため驚く。
「さて、これからお前に礼を受け取ってもらうとするか。どうやら我が妻をかなり満足させてくれた様だからな。それなりの事をさせてもらうぞ」
 そう言いながらベッドに近づいてくるガジギールを見ているうちに、神治はとんでもない推測を思い浮かべた。
(ま、まさか……俺を襲おうってんじゃ……)
 普通であれば笑い飛ばせる事だったが、ガジギールとの体格の差を考えると、自分が少女の様に見られていてもおかしくない事に気がついたのだ。
 ガジギールほど逞しい男からすれば自分などは非常にか細く女性的に見えるだろうし、そういった年若い少年を好む男がいるというのを聞いた事があったのである。
 未迦知神の言っていた「経験」とはそういう意味なのではないだろうか。
 何しろ未迦知神にしてもウィリーエとそうした行為をしていた訳だし、神治にも同じ様に同性による性体験をさせようと考えていても不思議はなかった。
「ひっ……」
 それを証明するかの様にガジギールがのし掛かってきたため、神治は体を硬直させて出来るだけ離れる様に体を動かした。
「少しジッとしておれよ。すぐに気持ち良くなるからな」
 その様な事を呟きながらニヤリと笑ってくるのに鳥肌が立つ。
 自分は完全にノーマルだ、男より女の方がいい、という叫びが喉まで出かかるが、あまりの恐怖、生理的嫌悪感のためか口は動かなかった。
 このまま自分は男としての処女を失ってしまうのか。
 これほどの体格の男の肉棒ならば恐ろしく大きいに違いなく、その様なモノを突っ込まれたら傷を負ってトイレの時に苦痛を味わうのではないか。
 いや、そんな事より男に犯されるなど最悪だ。
 などといった思考がグルグルと回り、神治は体を震わせながら何とか逃げられないかと模索した。
「うむ、これだこれ。ちょっと待っておれよ。すぐに呼ぶからな」
 チリチリチリ〜〜ン。
 ガジギールが言うのと同時に綺麗なベルの音が響く。
(?……)
 一体何をしているのだろうと思いながらジッとしていると、ガジギールがベッドから起き上がり、その手に小さな卓上ベルが握られているのが見えた。
「入れ」
 しばらくしてドアがノックされ、それにガジギールが応えるのと同時に部屋に数人の女性が入ってきた。
 横一列に並んでペコリと頭を下げている女性達は全員で五人おり、皆がメイド服を身に付けている。
(あ……リアさんだ……)
 中央にはアンリーエ付きの女官であるリアがおり、面白がっている様な表情をしてこちらを見ていた。
「皆、この者の事は知っておるな? 俺はこの男に凄く感謝しておる。ゆえに俺の気に入りであるお前達に相手をさせようと思った。ゆえにお前達は張り切ってこの男、神治を満足させてやれ。分かったな?」
『分かりましてございます』
 女性達は同時にそう言いながら頭を下げた。
「では俺はこれからウィリーエの所へ行く。神治よ、存分に楽しんでくれい」
 そう告げると、ガジギールは巨体を揺らしながら部屋から出て行った。
(……)
 あまりに予想外の展開に神治は呆気に取られた。
 何しろつい先ほどまで犯されると思っていたのにも関わらず、その相手が何もせずに去っていったからだ。
 一体どういう事なのだろう。
「あの……リアさん、これって……」
「ふふ……神治さま、純潔を守れて良かったですね」
 リアは可笑しそうに笑っている。
 どうやら神治が動揺している理由が分かっているらしい。
 だがそれにしても、ガジギールはどうして何もせずに居なくなってしまったのだろう。
 自分の妻を抱いた男に対して怒りを覚えないのだろうか。
「ガジギールさんは……怒ってないのか……?」
「ふふ、どうしてその様に思われるのです?」
 思わず口にした呟きに、リアが微笑みながら尋ねてきた。
「いやだって、俺、奥さんとしちゃった訳だし、夫としては怒るんじゃないかって……ウィリーエさんもそう言ってたし……」
「確かに普段なら怒ってらっしゃいますね。でも今回は感謝されている様ですよ」
「何でですか?」
「それは……神治さまが素晴らしい男性であるためではないでしょうか?」
「え……?」
 やはりガジギールはそっちの趣味があるのかと思い動揺する。
「ふふ、そういう意味ではありませんわ。神治さまがウィリーエ様を満足させられたので、ガジギール様はご機嫌なのです」
「何でそうなるんです?」
 全然意味が分からなかった。
 何故自分の妻を満足させた男を気に入るのだろう。
 普通は憎しみの対象になるのではないだろうか。
「ガジギール様がお出かけになるとウィリーエ様は激しく欲求不満になられます。そこで多くの男性と関係を結ばれ何とかしようとされるのですが、悲しいかなウィリーエ様はあまりに強烈な性的能力の持ち主であられるため、満足感を味合わせてくれるほどの男性はいないのです。それは実際ウィリーエ様をお抱きになった神治さまならお分かりでしょう?」
 確かにウィリーエの欲求は底なしだった。
 あのまま未迦知神が現れなければずっと抱いていたに違いない。
「それゆえ満足できないウィリーエ様は、ご自分をほったらかしにしているガジギール様への恨みを強くされまして、いざガジギール様がお戻りになられるとそれはもう、恨み辛みと共に強烈に求められるのですわ。さすがのガジギール様もそれはお辛いらしくいつも愚痴をこぼされておられるのですが、今回は神治さまがウィリーエ様を満足させられたためにそういった事がないのですよ」
 どうやら欲求不満な妻に責められる事が無かったため感謝しているという事らしい。
 しかし浮気している事自体には何も問題は無いのだろうか。
 神治はその事をリアに尋ねてみた。
「あまり詳しくは存じませんが、神の方々は肉体とは別に魂での繋がりがあるそうで、その魂での繋がりが無ければ本当の意味での浮気とはならない様です」
 魂での繋がり。
 そう言えばアンリーエとそういった事をした様に思えたが、あれがそうなのだろうか。
 つまりただ体だけで交わる事は、神にとってはあまり重要な事ではないのかも知れない。
「簡単に言えば、精神的に愛し合ってさえいれば、肉体的には浮気をしても構わないという事らしいですわ。まあ、そうは言ってもあまりほったらかしにすると恨まれる様ですけど」
 何やら自分が家族に持っている義務に似ていたため神治は苦笑した。
 家の外で女性を抱いても良いが、家族に対する扱いを粗雑にすると恨まれるという点で全く同じだったからだ。
(そういや、みんなどうしてるかなぁ……)
 自分以外の男に抱かれる事ができない家族は、きっと今頃欲求不満になっているに違いない。
 もし今の状況を知られたら激しく怒られるだろう。
(できるだけ早く帰らないとマズイよね……)
 家族に対する懐かしさを感じつつ神治はそう思った。
「話はこのくらいにして、そろそろご奉仕をさせていただいて宜しいでしょうか?」
「え? ご奉仕って……?」
「もちろん、神治さまを気持ち良くさせていただく事ですわ。では失礼しまして……」
 リアはそう言うと、他のメイドたちと一緒にベッドへ近づいてきた。
 皆十六、七歳くらいだろうか驚くほどの美少女ばかりであり、その様な相手がベッドに乗ってくるのに動揺する。
 何しろ白人という容姿はまだ慣れてはおらず、その上美しいともなれば激しい興奮を覚えたからだ。
「服を着ていた方が宜しいですか?」
「え……?」
 リアは美しい顔を近づけながらそう尋ねてきた。
 アンリーエの美しさに紛れて意識しなかったが、こうして見るとリアがとんでもない美少女だというのが分かった。
 モデルや女優として十分以上に通用するほどの美しさを持っているのだ。
 他のメイドたちにしても同様であり、その様な美しい顔が迫ってくるのに神治は股間の一物がビクンビクンと震えるのを感じた。
「神治さまは私たちの着ている服がお気に召されている様ですので、着たままの方が宜しいかと思いまして」
 唇が触れるか触れないかというほどの距離でそう尋ねてくるため、そのジラされている様な感覚に神治は激しく興奮した。
「どうして俺が気に入ってるって分かったんですか?」
「そりゃあもう、あれほど見ておられれば分かりますわ。最初は体をご覧になっているのかと思いましたが、途中で思い出したんです、日本ではこの服を喜ぶ殿方がいらっしゃる事を……」
 耳にふぅっと息を吹きかけられたため体が震える。
「そんな事、よく知ってますね?」
「こう見えても日本は好きなんですよ。いつか行ってみたいと思ってまして……」
 リアの手が神治のシャツに伸び、ボタンを一つ一つを外していっている。
 他のメイドたちも手伝い服を脱がしていったため、神治はあっという間に裸にされてしまった。
「そして日本の男性も、こうしてお世話してみたいと……思っていたのです、んっ……」
 リアの唇が重なり、舌が入り込んでくる。
 同時に肉棒と体にヌルヌルとしたモノが当てられる感触があり、舌で舐められているが分かった。
 五人のメイドたちによって体中を愛撫され始めたのだ。
「んっ……んんっ……んっ……」
 口内に入り込んだリアの舌の動きは、これまでのどんな女性とも違った印象をもたらした。
 何というかこちらの快感を引き出すためだけに動いている感じがしたのだ。
 キスをした場合、普通は己自身も快楽を得ようとするものであるのに、リアには全くそういった様子がなく、神治が気持ち良くなる事だけを意識して刺激を与えてくるのが分かるのである。
 そしてそれは見事なまでの技巧を有しており、神治は一気に快楽に浸っていく己を感じていた。
 何しろ他のメイド達にしても技術が卓越しており、体中にそうした刺激を与えられるのがたまらなかったのだ。
(ああ……何だろこれ……)
 複数の舌が体中を舐め回すたびに蕩ける様な快感が走り、意識がボンヤリとした状態になっていく。
 強烈な快感という訳ではないのだが、そこにはジンワリとした徐々に染み入ってくる様な気持ちの良さがあり、神治はそれに身も心も委ねたくなった。
 まるで温泉に浸かっているかの様な心地良さがあったのだ。
「んんっ……んっ、んっ……いかがですか? 私たちのご奉仕は……?」
 うっとりとした表情のリアがジッと見つめてくる。
 視線を下に向ければ、肉棒を熱心に舐める二人の美少女の姿が見え、その桜色の唇に吸い付かれている様子にゾクリとした興奮が湧き起こった。
 残り二人の美少女は腹や脚に舌を這わせており、その熱心な様子に彼女たちを支配下においている様な気持ちの良さを覚える。
 全員がメイド服を着ているのがそうした支配欲をより満足させ、神治はまるで自分が王族にでもなったかの様な気分になった。
「凄く……いぃ……」
 意識がボンヤリとし、快楽という沼に沈んでいく様な感覚を覚える。
 これまで色々な女性とセックスしてきたが、これほどまでにゆったりとした気分になる事はなかった。
 リアたちとの交わりは、どこか肉欲とは異なるリラックスする様な快楽があったのだ。
「何でこんなに……気持ちいいっていうか……気持ちいいんだろぉ……」
 あまりの心地良さに意味不明な言葉を言っている事に気がつかない。
 その神治の様子にリアは可笑しそうな笑みを浮かべ、唇を舐め上げながら手で頬を撫でてきた。
(ああ……いぃ……何で触られているだけでこんな……)
 リアの手は微妙な動きで触れてきており、そうされているとうっとりする様な快感が走るのだから不思議だった。
 他のメイドたちも同じ様にして体に触れてきているため、体中が何とも言えない恍惚感に包まれていた。
 これまで神である女性たちに与えられた快感は強烈な嵐の様なものであったが、今リアたちに与えられている快感は、それとは違って柔らかで穏やかな、まるで小春日の様な温かい快感だった。
 体中がジワジワと蕩けていく様な心地良さがあったのである。
「私たちはこうしてお世話するのが仕事ですから……お仕えする方が心地良く快楽に浸っていただけるよう、技術を磨いてまいったのです……ですから神治さまが満足しておられるのは嬉しいですわ」
 ウィリーエとの交わりで高まっていた征服欲、支配欲といった雄としての激しい興奮が薄まり、穏やかな心境での肉欲が湧き起こっていく。
 通常興奮は激しさを伴っているものであるにも関わらず、今神治は穏やかな気持ちでの性的興奮状態にあった。
 リアたちを抱きたい気持ちに溢れているのに、心も体も凄く穏やかなのである。
 これまで激しすぎる落ち着かない衝動のせいで女性を強姦してきた神治にとり、それはあまりに驚きの事だった。
 これがリア達の力なのだろうか。
「強烈なセックスは激しい快感を与えますが、強烈であるがゆえに心身共に疲れが残ります。私たちにはそれを癒す力があるのですわ。そして癒しつつも快楽を味わっていただける技を身に付けているのです」
 神治の疑問を察した様にリアが告げてくる。
「うっ……」
 そして不意に射精しそうになったため慌てた。
 リアたちの愛撫は地味であるにも関わらずジンワリと染み入り、さらには精神的にボンヤリとした状態にさせるため、射精を耐えるといった意識が働かなくなっているのだ。
「どうぞ我慢なさらずに精をお放ち下さい。何にも縛られず、穏やかに精を放つこと……それが心身共に癒される事になりますから……」
「うぅっ……」
 そう言われた瞬間、神治は射精した。
 リアの言葉にはそうさせる力があったのだ。
 力といっても強制的なものではなく、そうする事が心地良く思える様な緩やかな誘いといった感じだろうか。
 ドクドクドクと放たれていく精液を意識しながら、神治は何とも言えない開放的な気分になっていた。
 これほど穏やかな射精をしたのは初めてだった。
 興奮を高めることなく静かな心のままで精を放つ行為。
 それにはどこかホッとする様な安心感があった。
「この後私どもの中に入れさせていただきますが、その時もお気になさらず、好きな時に好きなだけ精をお放ち下さい……」
 そう言われて神治は何とも気が楽になった。
 よく考えてみれば、これまでいかに自分が男らしくいられるか、相手の女性を気持ち良くさせられるかを意識してセックスしていた様に思えた。
 女性を満足させなければならない、といった使命感の様なものを抱いていたのである。
 それを気にせず、好きな時に射精していいとは何と気楽な事だろう。
 無論そう言われても普通ならやはり相手を満足させようという意識が働いただろうが、今の神治にはそういった事はなかった。
 それだけリラックスしているのだ。
「失礼します……」
 そんな事を考えている間に一人のメイドが腰に跨ってきた。
 すでに回復した肉棒が掴まれ、ゆっくりと膣穴に収まっていくのが見える。
「あっ……」
「うっ……」
 長い金髪をしたメイドは、快楽に顔を歪ませ徐々に肉棒を受け入れていった。
 ズブリズブリと肉棒が進むたびに亀頭が擦れ、たまらない快感が押し寄せてくる。
 名前を知らない美しいメイドの中は、蕩ける様な快感の坩堝だった。
 何しろ入れただけでかなりの気持ち良さがあり、すぐにでも射精したくなったからだ。
(あ……出していいんだっけ……)
 先ほどリアに言われた言葉を思い出した神治はどうしようかと思った。
 さすがガジギールが薦めただけあって常人以上の快楽を与えてくるメイドの膣は、このまま意識しなければ数度の摩擦で精を放ってしまうだろう。
 その様な相手にすぐ放つというのも物足りなさがある様に思えたし、やはり激しく喘がせた後に放つ方が気分がいいように感じられたのだ。
「神治さま……どうぞ精をお放ち下さい。そうされる事がより癒しを高めますので……」
 耳元でリアがそう囁いてくる。
「本当にいいんですか?」
「ええ、構いません。ガジギール様も私どもを相手にされる時はそうしておられます。できるだけ自然に精を放つこと。それが大切なのです」
 それは何とも奇妙な話だった。
 いかに射精しないでいられるかが男の凄さの様な感じがしていたのだが、それと正反対の事を言われているからだ。
 だがよく考えてみれば、そうして気を張っている事が疲れに繋がっているのかも知れない。
「分かりました……じゃあ……」
 神治は射精感に対して意識するのを止め、放ちたくなったらすぐ放つ事にした。
 せっかくここまで癒されているのだから、徹底的にそれを味わってみたくなったのだ。
「失礼いたします……」
 腰に跨ったメイドが軽く頭を下げた。
 波打つ金髪がキラキラしていて何とも美しい少女だった。
 青と白のヒラヒラしたメイド服に包まれたその肉体は、服の上からでも分かる豊満な雰囲気を感じさせ、その様な少女と繋がっている事に嬉しさが込み上げてくる。
「あっ、あっ、ああっ……」
 少女の体が上下に動きだし、可愛らしい吐息が口からこぼれる。
 動きに合わせて乳房がブルンブルンと揺れており、そのかなりの大きさに驚く。
 これまでも巨乳の女性を相手にした事はあるが、白人特有の肉体的迫力に圧倒されたのだ。
「あんっ……あっ、ああっ……」
 手を伸ばして胸をギュッと掴むと、少女はビクンっと体を震わせながら顔をしかめた。
 その様子を見た瞬間射精感が高まり、それを抑える事も耐える事もせず一気に精を放つ。
 ドピュドピュと放出される精液を感じつつ、神治は通常の射精とは異なる快感を得ていた。
(何だか妙な感じだ……射精したのに違う事をしたみたいで……)
 いつもと同じ射精であるはずなのに、どこか異なる感覚があるのが不思議だった。
 普段はもっと激しい満足感があったり征服欲が刺激を受ける様な爽快さがあるのだが、今の射精にはうっとりする様な穏やかさがあったのである。
 そして体中に与えられる刺激と、膣内の摩擦によってあっという間に肉棒が回復していくのが分かった。
 それはあまりに早い回復ぶりであり、回復すると同時に肉棒から快感が押し寄せてくるのだからたまらなかった。
(ああ……凄い……何か凄いなぁ……)
 そうした状況と似たような経験はあったが、それらが強烈な快感が原因であったのに比べ、今感じているのは穏やかな快感だった。
 興奮すらほとんど無い状態であるにも関わらず、肉棒はまるで強烈な刺激を与えられているかの様に元気一杯なのである。
「そのままドンドン射精して下さいませ。好きな時に好きなだけ……そうしていただくと私どもも嬉しいです……」
 その言葉に促される様に神治は再び精を放った。
 まだそれほど快感を得ていた感じは無かったのだが、我慢する意識が無いとあっさり出てしまうのだ。
 まるで温泉にでも浸かっているかの様な穏やかな心地良さが射精を促してしまうのである。
 ここまで早漏であるといつもなら情けなく感じてしまうのだが、その様な事を意識しないほどに神治はうっとりとした精神状態になっているのだった。


 ボンヤリする意識の中、神治は自分が快楽に包まれているのを感じていた。
 もう何度精を放ったのか分からない。
 それほど射精したのなら、普段であれば心身共に疲れを感じるはずだったが、全くそういう事がないのが不思議だった。
 逆に力がみなぎり、充実している様な感覚があるのだ。
 十分な睡眠をとって目覚めた様な感じであり、とにかく爽快で満足な心地良さがあったのである。
「あっ、あっ、ああっ……」
 肩まで伸びた金髪を揺らし、悶えているメイドの様子に射精感が高まり、その瞬間すぐさま精を放つ。
 いや、意識せずに射精した。
 ドクドクドクドク……。
 激しい勢いで精液がメイドの中に注ぎ込まれ、体中に穏やかな快感と、自分がひどく心地良くなっているのが意識された。
 数度の放出の後にゆっくり力を抜くと、何やらスッキリした感覚が体中に満ちているのが分かる。
(ああ……凄かった……)
 何かが終わった感覚があった。
 これで終わりなのだという認識が起きたのだ。
 その認識を補足する様にリアたちの愛撫が無くなり、神治はボンヤリとしていた意識を覚醒させていった。
 視線を向けると、メイドたちはベッドの傍らに整列し、ジッとこちらを見つめている。
「いかがでございましたか?」
「あ……うん……すっごく良かったです……これって何なんですか? 全然セックスした感じがしない……」
 リアの言葉に内心の感動を隠さずに答える。
「これまで神治さまが性行為時に得ていた心身の疲れを取り除いたのです」
「疲れ?」
「はい。神治さまご自身はお気づきではなかったでしょうが、これまでセックスをするたびに心と体の深い部分に少しずつ疲れが溜まっていたのです。私どもはそれを取り除いたのですわ」
「へぇ、そんなのがあるんですか……」
「そのままでも問題は無いものなのですが、取り除く事により快適な状態にする事ができるのです。まあ、簡単に言えばマッサージみたいなものですね。肩こりをちょっとほぐす様なものですわ」
 リアは肩を揉むジェスチャーをしながら微笑んでいる。
 それは普通ならば信じられない事だったが、確かに心も体もスッキリした感覚があるのだから事実なのだろう。
 何しろこれまでに無いくらい心身共に楽になっているのだ。
「凄いんですねぇ……凄く良かったですよ。ありがとうございます」
「いえいえ、これが私たちの仕事ですから」
 メイドたちは神治が喜んでいるのに嬉しそうな笑みを浮かべている。
 接待すべき客に満足してもらえたのだから当然の反応だろう。
 だが神治としては何か物足りない感覚があった。
 何しろセックスをした感じがしないからだ。
 確かに心身共に楽にしてもらったのは良かったが、やはりいつもと同じ様に抱きたい気持ちがあったのである。
 いや、いつも以上にそうした想いが強まっていると言えただろう。
 震えるほどに激しい肉欲が湧き起こっていたのだ。
 あまりに元気が余っていて、それを発散したいという欲求に溢れていたのである。
(ああ……何ていい女揃いなんだろう……)
 改めて見てもメイドたちはとんでもなく美しかった。
 これほど素晴らしい少女たちを抱かないなどあまりに勿体なさすぎた。
「ふふ、神治さま、私たちを抱きたいですか?」
「え? な、何で……」
 分かったのだろうかと驚く。
「その様に見つめられてはゾクゾクしてしまいますもの。神治さまの瞳には凄い力がありますのね」
 クスリと笑いながらリアはこちらに優しげな視線を向けている。
 別に意識していた訳ではないのだが、どうやら少し眼力の能力を使ってしまったらしい。
 だがそれを受けても表向き平然としているのだから、やはりこのメイドたちは只者ではなかった。
 常人であればすでに激しく欲情し、その場にへたり込んでもおかしくないからだ。
「その……リアさん達は凄く魅力的だから……できればちゃんと抱いてみたいって気持ちはあります……」
 ぎこちなくそう答える。
 何だか照れてしまったのだ。
 よく考えると、こうして「抱きたい」と相手に伝えるのはこれまであまり無かった様な気がした。
 家庭や学校ではあちらから抱いて欲しいと言い寄ってきたし、村中の女性を抱きまくった時も眼力で欲情させてから誘ったからだ。
 そういう意味で神治は、平常時の女性に対してセックスの誘いをするという行為にあまり慣れていなかったのである。
「私どもは構いません。どうぞご自由に抱いて下さいまし」
 その様子が可笑しかったのかリアは微笑みながら告げてきた。
「ところで全員を抱かれますか? それとも何人か選ばれますか?」
「え……?」
 その言葉に神治は意表を突かれた。
 初めから全員を抱くつもりだったからだ。
 何しろとんでもない美少女ばかりであり、抱かないでいられる相手は一人もいなかったのである。
「これは失礼しました。一応好みがあるかと思いましたのでお聞きしたのですが、どうやら無用な心配だった様です」
 リアはクスリと笑いながら再びベッドに乗ると近づいてきた。
「ではどうぞ……一人ずつでも全員と同時にでも、神治さまのお気に召す様になさって下さい」
 体を寄せてくるリアに激しい興奮が湧き起こる。
 それは先ほどまでは無かったいつも通りの興奮だった。
(やっぱりこうじゃないとな……)
 癒される様にして快楽を得るのも良かったが、こうして落ち着きの無い感じにならないとセックスをしている気がしなかったのだ。
 神治は口の中に唾液が湧き出るのを感じながら、背後からリアの柔らかな体を抱き締めた。
(おおっ、凄く柔らかい……)
 青いメイド服に包まれたその肉体は、服越しであっても蕩ける様な肉の感触を伝えてきた。
 興奮している分、その感触にはたまらないものがあり、緩やかに息づく豊満な胸に手を伸ばしてギュッと揉んでみる。
「あ……」
 リアが小さな甘い吐息をもらし、うっとりとした表情をするのにドキリとする。
 今まで彼女には陽気な印象を持っていたせいか、そうした色っぽい顔をされるとたまらなかったのだ。
 やはり女は抱いてみないと分からないものだ、などと思いながらベッドに横たえ、そのまま胸をやわやわと揉んでいく。
「あっ……んっ……あっ……」
 頬を上気させ、困ったような表情を浮かべるリアにますます興奮が高まる。
 メイド服の胸元をくつろげブラジャーを押し下げると目の前に生の乳房が現れ、その白くて巨大な肉の塊は何ともむしゃぶりつきたくなる衝動を起こした。
 青いメイド服から乳房がこぼれている様子はたまらなくいやらしく、神治は鼻息を荒くしながら桜色の乳首に吸い付いていった。
「あんっ、あっ……やぁっ……」
 チュパチュパと吸い、舌で絡める様に舐めるとリアは体をピクピクと震わせた。
 そうした可愛らしい様子は今まで知っていたリアの印象とまるで違い、そのギャップが激しい興奮を呼び起こしていく。
「リアさん……可愛いです……」
「恥ずかしいですわ、あっ……」
 頬を赤くしながら顔を背ける態度にますます興奮が高まり、神治はヒラヒラとしたスカートを捲り上げて白いパンティを顕わにした。
 ニーソックスとの間に挟まれた生の太ももがいやらしさを感じさせ、そこに舌を這わせて吸い付いていく。
「あっ、やんっ……そんな、あっ……やぁっ……」
 肉付きのいい太ももに吸い付き、舌で舐め回すとリアがクネクネと体を動かすのが可愛らしい。
 そのたびにスカートがヒラヒラと動き、改めてメイド服の魅力に興奮が高まっていく。
 自分はそれほどメイド服に執着があるとは思っていなかったのだが、よく考えれば未迦知神のゴスロリ姿にもかなり興奮していたのだから、似たような服であるメイド服に興奮しないはずはなかった。
 そう意識するとさらに肉棒が猛り、今すぐにでもリアの中に押し込みたくなってくる。
 いつもより激しくなっている衝動に押される様にしてパンティを引き下ろした神治は、ニーソックスの脚を左右に開いて肉棒を秘所に押し込んでいった。
 ズブ……ズブズブズブ……。
「あっ……あっ……はんっ……」
 落ち着かない気分に促され一気に根本まで押し込むと、リアはカチューシャの付いた頭を仰け反らせて悶えた。
「うっ……くっ……」
 肉棒は温かく柔らかな湿った肉に絡みつかれしごかれ、ジッとしていてもたまらない快感に包まれていた。
 見下ろせばまさにメイドとしか言いようのない、いや実際にメイドな訳だが、そうした少女が喘いでいる姿にゴクリと唾を飲み込む。
 はだけたメイド服の胸元では真っ白な乳房が揺れており、捲れ上がったスカートからはニーソックスに包まれた長い脚が震えている。
 そのまるで美しい人形であるかの様な外見に息を飲みつつ、押し込んだ肉棒から伝わってくる熱さに彼女が生きている人間だと改めて認識する。
 見事なまでに整った顔は快楽に上気し、漏れ聞こえる甘い吐息に神治の興奮は激しく高まっていった。
「あっ、あっ、ああっ……やっ、やっ、やんっ……」
 腰を前後させ始めるとか細い声が桜色の唇から漏れ、美しい顔が快楽に歪んで手が求める様にこちらに伸びてくる。
 肉棒は気持ちのいいヒダヒダに絡みつかれ、摩擦によって発生する快感を与えられており、それは何とも言えない気持ちの良さだった。
(はぁ……いぃ……リアさんって、凄くいぃ……)
 神であるウィリーエよりは劣るものの、普通の女性を相手にする時には感じられない強烈な快感が押し寄せてくるのに頬が緩む。
 やはり特殊な能力を持っているだけあって肉体も常人とは異なるのだろう。
「あんっ、あんっ、ああんっ……神治さま、あっ……神治さまいいです、あっ……いいのぉっ……」
 カチューシャを付けた頭が左右に振られるたびに金色の髪がキラキラと舞い、その何とも言えない美しさといやらしさに興奮が高まり、落ち着かない衝動が押し寄せて意識しなくとも腰の動きが激しくなっていく。
(うおぉっ……腰がっ、腰が軽いっ……)
 今までよりも腰がなめらかに動き、どんどんスピードが上がっていくのに神治は驚いた。
 先ほどリアたちにされたマッサージの様な性交の効果は肉体にも作用しているのだろう。
 とにかくまるで油でも差したかの様に腰が軽いのだ。
「やっ、やっ、やぁっ……凄い、あっ……凄いです、あんっ……神治さま凄いぃっ……」
 神治の強烈な突き込みにリアは涙を浮かべながら悶えている。
 その声が嬉しさを呼び、さらに腰の動きを速めさせた。
「あぅっ、あっ、ああっ……そんな、あんっ……そんな激し、あっ……そんな激しくしたら、あっ……おかしく、あんっ……おかしくなっちゃうぅっ……」
 金色の髪を振り乱しながら、メイド服のリアは悶え狂っている。
 腕と脚が蛇の様に体に絡み付き、逃すまいという感じでしっかり掴んでくるのにゾクリとしたいやらしさを覚える。
 それはそれまでどこか斜に構えている様な印象のあったリアとは別人であり、強く熱く男を求める女の姿だった。
 膣内もそれを表す様に肉棒にネットリと絡み付き、擦れる事で蕩ける様な快感を与えてきている。
 その肉体的な快感に加え、メイド服の美少女を支配している精神的な喜びは強烈な快感となって神治の心身を快楽の坩堝に追い込んでいった。
 何より心も体も軽く、リアの肉体を貪るのに爽快感があるのがたまらなかった。
「あんっ、あっ、あはぁっ……もうっ、もうっ、もぉっ……わたし、あっ……わたし駄目です、あんっ……わたし駄目なのぉっ……」
 背中に爪を立てながら限界を告げてくるリアの様子に神治も精を放ちたくなった。
「リアさんイくよっ……イくっ……俺もイくからっ……」
 それまで以上に力を入れ、まるで機械であるかの様な速度で腰を動かしていく。
「やんっ、やんっ、やぁっ……いいっ、いいっ、いぃっ……神治さまっ、神治さま、神治、あっ、あっ、あぁああああああああっ!」
「うぉっ!」
 リアの絶叫に合わせて精を放つ。
 体中に走る快感にうっとりしつつ、何度も何度も射精を繰り返しながらメイド姿の美少女の中に精液を注ぎ込んでいる事に満足感を覚える。
 この様な美しい、そして可愛らしい格好をした少女を己のモノとした事が嬉しくてたまらない。
 数度の射精の後、神治はゆっくりと体の力を抜いてリアから離れた。
 脱力感はさほどなく、それを表す様に肉棒も勃起したままだ。
 股間から湧き昇る激しい衝動は、もっと女を抱きたい、抱きたくてたまらない、といった想いで頭を一杯にし、早く肉棒を膣に押し込みたくて仕方がなくさせた。
「宜しくお願い致します……」
 その様な状態で傍にいるメイドに目を向けると、こちらが何も告げなくともそう言ってきたため驚く。
「神治さまのお好きなだけ……ご存分になさって下さい……」
 ペコリと頭を下げてくるのに興奮が高まる。
 改めて自分はここにいるメイドたちを好きなだけ抱いていいのだと思うと、すぐにでも全員を押し倒したくなったからだ。
(う……)
 目の前のメイドが横たわり、脚を大きく開いた。
 パンティを穿いておらず、秘所が丸見えになっているのに激しく興奮が高まる。
 すでに濡れていて、今すぐにでも肉棒を押し込める状態なのがいやらしい
「うおぉっ……」
 興奮の叫びをあげながらメイドを抱き締めると、勢い良く亀頭を膣穴へ突き込んでいく。
「あんっ……あっ……あっ……」
 ズブズブズブっと一気に収まる肉棒にメイドは頭を仰け反らせながら悶え、神治はそのまま腰を激しく動かしていった。


 周囲には金と白があった。
 メイド服を脱いだ美少女五人の裸体があったのだ。
 その状況を目にするだけでどんな男でも肉棒を硬くし、すぐにでも襲いかかりたくるのは確実だったろう。
 何しろそこにいる少女たちはとんでもなく美しい顔立ちをしており、肉体にしても透き通るほどの真っ白な肌に美しい金色の髪という眩しいばかりの容姿と、女の柔らかさを嫌というほど感じさせるふくよかな肉付きをしていたからだ。
 それはあまりに強烈な淫靡さを放っており、むしゃぶりつかずにはいられない様な落ち着かない衝動を呼び起こすものだったのである。
 その様な少女たちが胡座をかいた自分の体に甘える様にして絡みついているのだからたまらなかった。
 彼女たちに触れている部分は少女特有の滑らかな肌と、柔らかさを持ち始めた弾力のある肉の感触で一杯であり、そうした肉体がこちらの体に擦り付き受け止めている状況はまさに極楽と言えただろう。
 一人は座位の状態で繋がり合っており、他の四人は体に絡みつきつつ唇や乳房、秘所を愛撫されて悶えていた。
 同時に五人の少女を相手にしている状況は何ともたまらなかった。
 何しろ全員が白人の美少女であり、その日本人には無い美しさを持つ少女たちを従えている満足感は、肉体的なもの以上に精神的に最高の気分にさせたからだ。
「あっ、あっ、ああああああああっ!」
 肉棒を押し込んでいるショートヘアのメイドが絶頂を迎え、それに合わせて神治も精を放った。
 激しく精液が放出されるのをボンヤリ感じながら、押し寄せてくる強い快感と爽快感とは異なり、相変わらず脱力感が少ない事に驚く。
 とにかく体が元気で、少女たちをどんどん抱きたくてたまらない衝動が押し寄せてきており、早く精液を注ぎ込みたくて仕方がなかったのだ。
「次は君……」
 神治は隣にいる少女を四つんばいにさせると、背後から勢い良く肉棒を押し込んでいった。
「あっ、あんっ……」
 そのまま腰を動かしつつ、空いている手で他の少女の胸や秘所を愛撫し、二人と唇を重ねる。
 少女たちは神治の愛撫にうっとりとした表情を浮かべつつ、自らも舌を這わして体を擦りつけてきた。
 瑞々しく張りのある少女たちの肉体が絡み付くのにはたまらないものがあり、快感が押し寄せてくるのにゾクゾクした感覚を覚える。
 肉棒に感じる気持ちの良さも素晴らしかったが、こうして肌と肌で擦り合い、肉の温かみを感じ合っているのもたまらなかった。
 まさに自分が女肉に埋もれているといった実感が持てるからだ。
(ああ……最高だ……凄い……)
 自分はこの美しい少女たちを何度も抱き、数え切れないほど精を注ぎ込んでいる。
 それは男として誇らしい気分になる最高の状況だった。
「いかがですか神治さま……満足していただいているでしょうか?」
 唇を放したリアが尋ねてきた。
 キスをしていたもう一人の少女は、神治が答えるのに邪魔にならないよう、今度は耳を甘噛みしている。
「凄くいいです……たまらないですよ……」
「それは良かったですわ。私たちもお世話させていただいた甲斐があります、んっ……」
 リアは感謝するようにキスをしてきた。
「それにしても神治さまは凄いですね。もうかなり精を放たれたと思うのですけど、全然疲れた様子をお見せになられないのですから」
「リアさんたちのおかげですよ。さっきしてもらったので何か凄く体が軽いせいか、もう張り切ちゃってしょうがないんです。俺、すっごく元気ですからね。もっとリアさんたちを気持ち良くしてあげますから」
 神治はそれを証明するかの様に激しく腰を突き込んだ。
「あっ、ああんっ……」
 その刺激に繋がっているメイドは頭を仰け反らせて悶えている。
 自分でも不思議なくらいどんどん元気が湧いてくるのだ。
 女性を抱きたくてたまらないのである。
「それじゃ、今度はみんなを一度に抱いてあげますね」
 神治はそう言うと、隣にいるメイドの体を押し倒して肉棒で貫いた。
「ああんっ……あっ、あっ、ああっ……」
「あんっ、あんっ、ああんっ……」
 挿入されているメイドの声が漏れるのと同時に、もう一人、それまで神治が交わっていたメイドも声をあげた。
「気」をコントロールする事で、実際に入れていなくてもまるで肉棒がそこにあるかの様に感じさせる術を使ったのだ。
 これを使うと数人を同時に抱く事ができるのである。
「まあ、神治さまったらその様な術をお使いになるなんて……ふふ、そんなに私たちを一度に抱きたいんですの?」
 どうやら何が起こっているのか分かっているらしいリアが可笑しそうに笑っている。
 さすが神に近しく仕えているだけにこうした術についても知っているのだろう。
「皆さんが魅力的すぎるんです。もう順番に抱いてなんていられませんよ。一度に気持ち良くさせて、それで俺も気持ち良くなりたいんです」
 そう言いながら抱いている少女の膣内に「気」を残しつつ、もう一人の少女の中に肉棒を入れて動かし出す。
「あっ、あっ、ああっ……」
「ああっ、あっ、あんっ……」
「やっ、やぁっ、やんっ……」
 三人のメイドが微妙に異なる声を同時に発して悶えている。
 神治の股間にも通常の三倍の快感が押し寄せ、たまらない気持ちの良さに包まれていた。
 並の女性相手なら三人というのはよくしていたが、このメイドたちのレベルは人間離れしており、それゆえとんでもない快感となっていた。
(うぅ……こりゃ凄い……でもまだまだだ……)
 五人と同時に交わること、それが神治の狙いだった。
 白い肌と金色の髪を持つ美少女五人を同時に犯す行為は、きっと想像もつかないほどの快感があるに違いなかった。
 その夢の様な状況を味わいたかったのである。
「ああんっ……あっ、ああっ……」
 四人目に肉棒を押し込み腰を動かしつつ、押し寄せてくる激しい快感に歯を食いしばる。
 残るは一人、リアだけだ。
「リアさん……入れますよ……?」
「ふふ、凄いですね。神治さまはまだお若いですのに四人も同時に相手をされるなんて……」
「それだけリアさんたちが魅力的なんですよ」
「ふふ、ありがとうございます、あんっ……」
 感謝の言葉を述べるリアを抱き寄せつつ、一気に肉棒を押し込んでいく。
(ぐっ……こ、これはさすがに……うっ……凄すぎだ……)
 一瞬意識が遠のきそうになるほどの快感に体を仰け反らせる。
 何しろ一人であっても強烈な快感を与えてくる少女を五人も一度に相手にしているのだ。
 五倍のとんでもない快感が股間から体中に広がっているのである。
 その凄まじい快感の状態に呻きつつ、神治はついに五人の美少女を一度に抱いた事に激しい喜びを覚えた。
(俺は……俺はヤったっ……リアさんたちを一度に抱いているんだっ……)
 男として美しい少女五人を同時に支配下においているその状況に、震えるほどの満足感が押し寄せてきた。
「あんっ、あんっ、ああんっ……」
「はっ、はっ、はぁんっ……」
「やっ、やっ、やぁっ……」
「いいっ、いいっ、いいぃっ……」
「あっ、あっ、ああっ……」
 これまでに無い興奮に押される様にして腰を動かし出すと、五人は同時に喘ぎを発して体を震わせ始めた。
 そのまま腰の動きを変えるたびに全員が同時に呻きを漏らすのがたまらない。
 これまでも同じ様にして複数人の女性を抱いてはきたが、異国という見知らぬ場所で白人の美少女たちを相手にしているという認識が、それまでとは異なる気分の良さを感じさせた。
 視界一杯に白い肌と金髪がいやらしく蠢いており、その女肉に覆われている状況には何とも言えない満足感があった。
 この美しい少女たちを自分は自由にしているのだ。
 突き込み喘がせ、悶え狂わせているのである。
「あっ、ああっ、あんっ……」
「やぁっ、やっ、やぁんっ……」
「はぅっ、はっ、はぁっ……」
「あっ、やっ、はぅっ……」
「あんっ、はんっ、やっ……」
 定期的に肉棒を抜き、挿入する相手を変えては貫いていく。
 同じ相手で最後までしても良いのだが、こうして実際に入れる相手を変えていく方が満足感が強かったのだ。
 やはり視覚的に抱いている相手が変わる事に征服欲が刺激を受けるのだろう。
 少女たちはそれぞれ美しいのだが微妙な差異があり反応も異なるため、こうして順繰り抱いていると支配している感覚が強まってたまらなかったのである。
(うぅ……やっぱり五人と一度ってのは……強烈だ……)
 肉棒は五人分の快感を得ているため、凄まじい気持ちの良さが脳天に響いていた。
 少女たちもかなりの快感を得ている様で、体をくねらせてシーツを掴んだり、求める様に手を宙に伸ばしている。
 そろそろ次の相手に移ろうかと思った時、現在繋がっている少女が背中に腕を回し腰に脚を絡めて逃がすまいとしてきたため苦笑した。
 その激しく求められている状態に嬉しさを覚えつつ、このままでは次の少女に移れないと思い、ズンっと強く突き込む。
『ああんっ……』
 抱き付いていた少女が喘いで手足から力を抜き、同時に他の四人も体を仰け反らせて悶えたのに可笑しくなる。
 何と可愛らしい状況だろうか。
 自分が何かすると、この少女たちはすぐに反応を示すのだ。
 しかも一人でなく、五人全員が……。
 神治は何とも言えない愛おしさを少女たちに覚えた。
 これまで複数人を同時に抱いた事は何度もあったが、ここまで反応の良い相手はいなかったせいかその一体感に愛情を覚えたのだ。
 思えば彼女たちは自分をかなり癒してくれ、その後も激しい満足感を与えてくれたのだ。
 愛おしくなっても当然だろう。
 愛情の高まった神治は、リアたちにさらなる快楽を与えようと腰の動きを速め、力強い突き込みを行っていった。
「あっ、やっ、ああっ……」
「はぅっ、はっ、はぁんっ……」
「あぅっ、あっ、あんっ……」
「やっ、やぅっ、やはぁっ……」
「あんっ、ああっ、やぁっ……」
 数度突き込んでは抜き、隣の少女に素早く押し込んでは動く。
 それを高速で行い、とにかく腰を動かしまくる。
「こんなっ、あっ、こんなぁっ……」
「もうっ、もうっ、もぉっ……」
「わたし、あっ……わたしぃっ……」
「神治さま、あんっ……神治さまぁっ……」
「ダメです、やっ……ダメぇっ……」
 五人全員が喘ぎを激しくし、絶頂が近づいているのが分かった。
 それに合わせて射精しようと神治も腰の動きを速めていく。
「やっ、やっ、やぁああああああっ!」
「あっ、ああっ、あぁああああああっ!」
「はんっ、はぅっ、はぁあああああああんっ!」
「やんっ、やんっ、やぁああああああああっ!」
「あぅっ、あっ、あぁああああああああんっ!」
「うおぉっ!」
 少女たちの絶叫に合わせて、強烈な快感と共に精を放つ。
 ドピュドピュドクドクドクドクドク……。
 まるで五人全員の中に精液を注ぎ込んでいる様な感覚を味わいつつ、激しい快感を得ながら何度も何度も射精を繰り返していく。
 しばらくして射精を終えると、神治はゆっくりベッドに倒れ込んだ。
 ハァハァと荒い呼吸が部屋に響き、何となく視線を上げると呼吸を乱して震えている美しい五つの肉体が見えた。
「さすがは神治さま……素晴らしかったですわ……」
 リアがうっとりとした表情をして体をすり寄せてくる。
 他のメイドたちも同じ様にして寄って来たため、神治の体は柔らかで熱い女肉に包まれた。
 触れている箇所から伝わってくる感触に心地良い気分になりながら、再び早く少女たちを抱きたいという気持ちになっているのを感じる。
 自分でも驚くほど抱きたくてたまらなくなっているのだ。
 その証拠に股間の一物は、射精したばかりとは思えないほどすでに硬く大きくなっており、ビクンビクンと震えていた。
「あら、もうこんなに……ふふ、素敵ですわ」
 元気になっている肉棒を見たリアは笑っている。
 その嬉しそうな、早く快感を与えて欲しいとおねだりする様な笑みに、神治は激しい興奮を覚えた。
 他の四人にしても、リアと同じ様な表情をして肉棒を見つめているのだからたまらなかった。
 まるでそうする事で快感を与えられている様な錯覚を覚えるほどに、彼女たちの視線は刺激的だったのだ。
「リアさん、もう一回いいですか?」
「もちろんですわ。神治さまのお気に召すまま、何度でもどうぞ……」
 リアの言葉に合わせて他のメイドたちが頭を下げる。
 誰もが自分を早く貫いて欲しい、沢山愛して欲しいという目をして神治を見つめている。
 その様子に少女たちを支配下においている感覚を持った神治は、まるでハーレムの主にでもなったかの様な想いを抱きつつ、再びその柔らかで熱い肉の中に包まれていくのだった。












あとがき

 ガジギールの登場です。
 今回は神治に他人の妻を寝取った際の恐怖を味わってもらいました(笑)
 しかもその仕返しが暴力では単純でつまらないので、ある意味どんな男であってもノーマルであれば恐怖する「男に犯される」というのを入れてみた次第。
 まあ、実際にヤられてしまってはキツイので、神治の勝手な推測って事で怖がってもらいました。
 とはいえ、がたいのいいオッサンにのし掛かられるまではされたんで、それだけで十分嫌な訳ですが(笑)
 そんでせっかくヨーロッパに来たのだから、複数の白人美少女とも絡ませようってんで作ってみたのが今回の話なのであります。
 最初はこの話を入れるかどうか迷ったんですが、アンリーエの女官としてリアを出したら、結構お気に入りになったのでヤる事に。
 ああいう人好きなんで、好きになったらやっぱり抱かないといけませんからねぇ(笑)
(2007.11.7)



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