緋道の神器


        第二十話  天女



 神治は目に映る見慣れない建物に感嘆の息を漏らしていた。
 ユイリーエの故郷を訪れて二日目、未迦知神が友人のウィリーエと「旧交」を温めている間、暇な神治は城の中を案内してもらっていたのだ。
 ヨーロッパだけあって石造りの建物が多く、数百年前から存在しているという説明が何度も出てくるのが驚きだった。
 日本ではそういったものは大切に扱われている印象があるため、日常生活で普通に使われている事に仰天したのだ。
 そして赴く先にいる人々にしても当然のごとく白人ばかりであり、その事もここが外国なのだという意識を持たせた。
 飛行機などに乗らずにやって来ていたため、どうしても家の近所にいる様な感覚を持ってしまい、こうした普段自分が触れているものとは違う状況に出くわした事に激しく驚いていたのである。
「……という作りなのです」
 傍らで説明していた少女がこちらをジッと見つめてくる。
 年齢は十六歳。
 真っ白な肌に青い瞳、そして腰の辺りまで伸びた金色の髪がキラキラと輝いているその少女は、信じられないほどの美しい顔に微笑みを浮かべ、神治の事をうっとりと見つめていた。
 彼女の名はアンリーエ。
 この国の王女であり、神治にとって大切な存在だった。
 昨夜アンリーエと愛し合い、身も心も繋ぎ合った神治は、すっかり彼女に夢中になっていた。
 出会った時から惹かれるモノを感じてはいたが、今やアンリーエ無しではおかしくなってしまうのではないかと思えるほどになっていたのである。
 こうして一緒にいるだけで頭はボンヤリとし、幸せな気持ちになってくる。
 アンリーエに微笑まれるだけで、もう何もいらず、どうなってもいいと思えるくらいの状態になっていたのだ。
 それはベタ惚れ、というより中毒と言った方が合っているくらいにアンリーエに夢中になってしまっていたのだった。
「アンリーエは、凄く綺麗ですね……」
「ありがとうございます……」
 神治が告げると、アンリーエは恥ずかしそうに頬を赤くした。
「三十六回目です……」
 不意に横から淡々とした声が聞こえてきた。
 視線を向けると、アンリーエ付きの女官であるリアが呆れた様な顔をしながら神治とアンリーエを交互に見ている。
「最初にその会話をされてから、もう三十六回も同じ事を繰り返されてますよ……」
「そうか……でもいいじゃないか、何度見ても姫さまは綺麗なんだからさ……」
 自分でも自覚はあるのだが、どうしても言ってしまうのだ。
 何より恥ずかしそうにするアンリーエが可愛くてたまらないため、やめられないのである。
「それはそうですけど……こう何度も繰り返されますと、傍に控えている私といたしましては実に何と言いますか、非常にムズムズしてしまうのです」
 リアは困った様な表情を浮かべて呟いている。
 まあ、簡単に言えばバカップルのイチャイチャぶりを見せられて辟易しているといったところだろう。
 もし自分がリアの立場にいれば、やはりたまったものではないと思っただろうからその気持ちはよく分かった。
「良いではないですかリア。せっかく神治さまがわたくしの事を褒めて下さっているのですから……」
 アンリーエは気にした様子もなく、逆に嬉しそうに微笑んでいる。
 育ちの良い姫君であるアンリーエには、バカップルという概念すら無いに違いなかった。
「そりゃ、姫さまは喜んでおられるのでしょうけど……その、たまには違う言葉でも良いかと思いまして……」
「確かに言われてみればそうだよね。でもアンリーエの顔を見ると、綺麗って言葉しか思い浮かばないんだよなぁ……だってこんなに綺麗なんだもん……」
「まあ、ありがとうございます……」
 アンリーエは頬に手を当てると恥ずかしそうに俯いている。
「三十七回目、ですね……」
 大きく溜息を付くリアの様子を見ていると、いかに自分たちがバカップル状態になっているのかが神治にも分かった。
 そう自覚しているのだから止めれば良いとも思うのだが、それが出来ないほどに神治はアンリーエに夢中になってしまっていたのである。
 アンリーエを見ただけで、溜息と共に「綺麗」と思わず口にしてしまうのだ。
(だって本当に綺麗なんだもんなぁ……)
 まさに芸術としか言いようのないアンリーエの顔を見つめながら、神治は幸せな気分に浸った。
 視線を少し下げれば、白いドレスを押し上げる豊かな胸の膨らみが目に映る。
 昨夜はその膨らみを始めとするアンリーエの柔らかな肉体を、思う存分触りまくり舐め回し、貪りまくって味わったのだ。
 その事を思い出すだけで股間の一物が硬くなるほどであり、もし人目が無ければこの場で押し倒していただろう。
「神治さま……その、宜しければ……」
 その様な事を考えていると、アンリーエがおずおずといった感じで何かを訴える様にして見つめてきた。
 その瞳はすでに何度も見て知っている、欲情に濡れたものだった。
 おそらく神治の興奮を察して抱かれても良いという事を示してきたのだろう。
 何故そう思うのかと言えば、昨夜交わってからというもの、アンリーエは神治の気持ちを察する様になっていたからだ。
 それは不思議な事だったが、どうやら魂での繋がりを持った事が原因らしい。
 細かい思考が分かるほどではないが、どういった気持ちでいるのかくらいは分かるのである。
 神治にしてもアンリーエの気持ちが何となく分かったため、今彼女が自分に抱かれても良いと思っているのが察せられた。
「いえ、いいんです。今は案内して下さるだけで十分ですから……」
 だがその申し出を神治はやんわりと断った。
 他の女性なら喜んで受け入れただろうが、さすがに相手が一国の王女ともなれば、この様な道端で抱く訳には行かなかったからだ。
 無論、言えばアンリーエは一緒に部屋へ来てくれるだろうが、そこまでしては歯止めが効かなくなり、ずっと抱き続けてしまうに違いなかった。
 今朝も目が覚めてからリアが部屋へ来るまでの間に何度も抱いてしまったのだ。
 もし彼女が来なければそのまま抱き続けていただろう。
 昨夜は魂の繋がりを持つといった行為をしたためか途中で疲れて寝たのだが、今や一日中、いや数日間抱き続けるくらいの性欲に溢れていたのである。
 神治自身はそうして交わる事に異存はなかったが、アンリーエはそうもいかないだろう。
 何しろ一国の王女なのだ。
 自分と違って色々と予定があるだろうから、好きな様に抱いていていいはずがなかった。
 神治はアンリーエに対して夢中になっていたが、そういった事を無視して抱いてしまうほど理性が無くなっている訳でもなかったのである。
 自分自身も比較にならないレベルであるにせよ、責任者という立場になっていたせいかも知れない。
 それにおそらく今夜も泊まる事になるだろうから、それまでは我慢し、実際抱くとなったら激しく愛そう、などといった事を考えていたのだった。
「神治さま……その……わたくし……」
「綺麗ですよ、アンリーエ……」
 神治のその想いを察したのか、顔を赤くしているアンリーエに優しく囁く。
「あ、ありがとうございます……」
 アンリーエは嬉しそうに微笑みながらこちらをジッと見つめてきた。
「三十八回目です……」
 リアの呆れたような声に苦笑してしまう。
 我ながら間抜けな状態になっていると言えただろう。
 だが止められないのだから仕方がない。
「では……次はこちらへ……」
 そんな事を思いつつ、恥ずかしそうに俯きながら再び案内を始めたアンリーエの後に続いて神治も歩き出した。


「ここはガジギール様たちのお住まいです」
 アンリーエは他のものとは微妙に趣の違う建物を示しながら中に入っていった。
「ここがユイリーエの家って事ですか?」
「さようです。今はいらっしゃいませんが、ユイリーエ様はここに住んでいらっしゃいます」
 本人が居ない間に暮らしている住居に入るというのは何とも微妙な感じがしたが、そこはさすが神の居る場所であるせいか、宗教的な建物になっていたため、生活的な感覚は薄かった。
(そういや、神ってどういう暮らしをしているんだろ?)
 一般的な神の概念は神秘的すぎて意味が無かったし、実際に知っている未迦知神は自分と行動を共にしているため分からなかったのだ。
「こちらがウィリーエ様のお部屋です」
 アンリーエの声に意識を戻すと、目の前に少し大きめの白い扉があるのに気づく。
「もしかして、未迦知さまはこの中にいるんですかね?」
「そうだと思います」
 その言葉に少々興味を持つ。
 昨日連れ去られて以来、未迦知神がどうなっているのか気になったのだ。
 あの時愛撫をされていた点や、リアに聞かされたウィリーエの行状からして、今頃中では激しい交わりが行われているに違いなかった。
 とはいえ女同士での交わりについて知らない神治は、一体どういう状況になっているのか想像もできなかった。
 少し覗いてみようか、などと思い、扉に近づいた時だった。
「いい加減にせんか〜〜!」
 不意に大声がしたかと思うと、爆発音が部屋の中から伝わってきた。
 続けて何か言い合いをしているのが聞こえ、一体何事かと思っていると、急に部屋の扉が開いて中から未迦知神が飛び出してきた。
 何故か、いや当然と言うべきか、真っ裸であったためギョッとする。
「み、未迦知さま……?」
「待ってぇ〜〜、ミカちゃぁ〜〜ん……」
(え……?)
 ウィリーエらしい声が聞こえたと思った瞬間、目の前にいた未迦知神が突然横に移動した。
「つ〜〜かま〜〜えたぁ〜〜。んふふっ、わたしから逃げようなんて、ミカちゃんったら意地悪なんだからぁ〜〜」
「うわっ!」
 腕を掴まれ、グイと引っ張られた神治は部屋の中に倒れ込んだ。
 後ろで扉の閉まる音が聞こえ、周囲が静けさに包まれる。
(ここは……)
 そこはベッドの上だった。
 部屋の入り口にその様なものがあるのかと奇妙に思ったが、今来た方を見ても扉が無かったため驚く。
 それどころか床さえ見えないのだ。
 そこは床が全てベッドになっており、周囲を見渡しても壁は存在しておらず、それでいて外の風景が見える訳でもないという、何やら異空間の様に思えた。
「ミカちゃ〜〜ん、もう逃がさないからねぇ〜〜♪」
 不意に体が何か柔らかなモノに包まれた。
 ウィリーエが抱き付いてきたのだ。
(うおっ……何だこりゃ?……すげぇ……うっ……き、気持ちいぃ……)
 その途端体から力が抜け、頬がだらしなく緩む。
 ウィリーエと触れている部分からとんでもない快感が伝わってきたのだ。
 ただ抱き付かれているだけであるのに、まるで体全体が肉棒になってしまったかの様に蕩けそうな快感が押し寄せてきたのである。
 股間の一物は勃起し、ビクンビクンと痛いほどに蠢いており、気を抜いたらそのまま射精してしまいそうになるほどの快感がそこにはあった。
「って、あっれぇ〜〜? ミカちゃんじゃなぁ〜〜い。あなただぁ〜〜れぇ?」
 ようやく未迦知神ではない事に気づいたのだろう、ウィリーエは幼い口調で呟きながらこちらを見つめてきた。
(うわっ……裸だ……)
 ウィリーエは何も身に付けておらず、その見事なまでの肢体がさらけ出されており、その様子に心臓が激しく鼓動し、落ち着かない気分になっていく。
 体中が目の前にいる女を犯せと急かしているかの様に性的な衝動に包まれているのだ。
(き、綺麗だ……そんで凄くエッチで……たまらない……)
 至近距離に迫ったウィリーエの顔はさすがユイリーエの母親だけの事はあり、絶世の美女といった感じで、見ているだけでおかしくなりそうなほどの美貌だった。
 化粧を全くしていない顔は透き通るほどの白い肌によって形作られており、美の女神といっても過言ではないほどの美しさを示していた。
 白い顔の中で唯一桜色をした唇は半開きになっており、そこから赤い舌がチロチロと見えるのがいやらしい。
 少し離れた事で見える様になった胸元には、手に余るほど大きな乳房が二つ、その存在を主張するかの様に体の動きに合わせてタプンタプンと揺れている。
「んふっ……分かったぁ、あなた神治ちゃんでしょう? ミカちゃんのお気に入りの神治ちゃん」
「え、ええ……」
 その肉体の美しさいやらしさに圧倒され、無意識のままコクリと頷く。
「やっぱりねぇ。匂いがミカちゃんに似てるもの。ふふ、ミカちゃんが気に入るのも分かるわぁ。か〜〜わいい〜〜」
 再びギュッと抱き締められ、顔を巨大な乳房に押しつけられた神治は、息苦しくなりながらも柔らかな肉の感触にうっとりとなった。
「あの……俺、アンリーエを待たせてるんで……」
 脳裏に心配しているに違いないアンリーエの姿が浮かぶ。
 その様子を考えるだけで幸せな気分になるのだから不思議だった。
「え〜〜? そんなの駄目よぉ〜〜。せっかく来たんですもの、楽しみましょう? ミカちゃんは逃げちゃったけど、神治ちゃんならわたしは構わないしぃ。聞いてるわよぉ、結構凄いんですってぇ?」
 だがウィリーエは逃がすまいといった感じでギュッと抱き付いてくる。
 どうやら彼女の興味はすでに未迦知神から自分に移っているらしい。
 そうした様子とこれまで聞いてきた話から考えるに、ウィリーエには何を言っても聞いてもらえない様な気がした神治は困った。
「で、でも……せっかく案内してくれてるんで……」
 本来ならばこれほど妖艶な美女に誘われたのだから喜んで相手をしたい所だったが、アンリーエに対する想いは強烈であり、そちらを優先したかったのだ。
「案内なんていつでもできるじゃない。それよりわたしと気持ち良くなりましょ? ミカちゃんが逃げちゃったんだから、神治ちゃんが頑張ってよね?」
 何故自分が未迦知神の尻ぬぐいをしなければならないのか分からなかったが、そうして触れられながら誘われていると、だんだんと抱きたい気持ちが強まってくるのだから凄まじかった。
(でも俺は……アンリーエと一緒に……一緒に居たい……んだけど……うぅ……)
 アンリーエの清楚な魅力に心が惹かれるが、体は決して動こうとはしなかった。
 抱き付かれて動きを封じられているからではなく、触れている肉の感触が体を縛っていたのだ。
 この気持ちのいい肉から離れたくなかったのである。
(うぅ……何て凄いんだ……俺、おかしくなりそ……)
 そうされていると徐々に心もウィリーエを抱きたくなり、アンリーエに対する想いが薄れていく。
 アンリーエも良いが、ウィリーエも良いではないかと思えてくるのだ。
 それでも何とか抵抗しようと試みるが、ウィリーエに触れている部分からジワリジワリと快感が伝わり、それが心にまで染み込んで神治の意識を性欲で満たしていった。
(ああ……俺……したい……抱きたい……女を抱きたい……)
 激しい肉欲が心と体を包み込み、すぐにでもウィリーエを押し倒したくて仕方が無くなってくる。
 無論未だにアンリーエに対する想いはあるのだが、彼女を放っておいてもウィリーエを抱きたくてたまらなくなっていたのだ。
 いわば強烈な性的衝動のせいでおかしくなっていると言えただろう。
 まるで以前の禁欲状態の時に起こる抑えられない衝動の様だった。
 それは修行によって抑えられる様になったはずであったのに、その状態と同じ様に激しく興奮してしまっていたのである。
(修行が駄目だった……訳じゃないよな……)
 その点に関しては自信があった。
 修行を終えた次の日、神治はどのくらい自分が性的衝動を抑えられる様になったのか試したのだ。
 丸一日セックスせずにいた後、裸の状態の未迦知神たちを見ても興奮しないでいられたのである。全く欲情しないでいられる様に自分をコントロールできたのだ。
 無論それは意識しての事であるため、通常状態であれば普通に欲情はするのだが、今感じている様な抑えられない、次の瞬間には襲いかかってしまうのではないかというほどの興奮は起きない様になっていたはずだった。
 それがまるで修行が意味をなしていないかの様に、神治はウィリーエを押し倒したくてたまらない状態になっていたのである。
(これってやっぱり……ウィリーエさんが凄いからって事だよな……?)
 相手は未迦知神の友人である神だ。
 しかもあの未迦知神をしばらくの間捕まえていられる様な相手なのである。
 自分の様なひよっこが太刀打ちできなくても当然だろう。
(そういや……この人が天女なんだよね……)
 不意に以前聞いた話が頭に浮かぶ。
 神治の先祖で、近親相姦を嫌ったゆえに禁欲の修行をした治三郎。
 その治三郎の禁欲の誓いを破らせたのが、ある日突然村に現れた天女と称される女性、つまり今目の前にいるウィリーエだった。
 治三郎は女性に興奮しないで過ごせる様になっていたのが、天女に出会った瞬間に欲情したそうだが、神治も現在、修行によって抑えられる様になったはずの激しい性的衝動をウィリーエによって引き起こされてしまっていた。
 つまり先祖と子孫の二人してウィリーエにやられている訳で、それは何とも苦笑するしかない状況と言えただろう。
「じゃ、まずは気持ち良〜〜くしてあげるねぇ。サービスだよ〜〜」
 そんな事を考えていると、ウィリーエがそう言いながらニンマリとした笑みを浮かべて体を離した。
(え……?)
 その瞬間、自分の体から服が無くなっている事に気づいて驚く。
 おそらくウィリーエがどこかへやってしまったのだろう。
 続けてすでに裸であるウィリーエの姿が見えた途端、神治は思わず射精しそうになった。
(嘘だろ……見ただけで……出しちゃいそうになるなんて……)
 先ほどまでも見えていたはずの裸体は、今や別の物体と化したかの様に淫靡な雰囲気を醸し出しており、その白い肌が見えるだけで、ただ乳房がタプンっと揺れるだけで精を漏らしてしまいそうになった。
「んふっ……凄く元気……それにまだまだ若いんだねぇ。ちょっと力を使ったら、もうこんなに……ふふっ、か〜〜わいい〜〜」
「ぐっ……がっ……」
 ウィリーエに肉棒を掴まれた瞬間、耐える間もなく神治は射精してしまった。
 ドピュドピュっと精液が勢い良く放たれ、押し寄せてくる快感に意識が朦朧とし、理性が崩れていく様な感覚を味わう。
 それと共にこのまま快楽に身を委ね、ずっと気持ち良くなっていたい衝動が押し寄せてきた。
 脳裏に浮かぶアンリーエの姿が遠くなり、だんだんと薄らいでゆく。
 今や神治の頭には、目の前のウィリーエの事しか存在しなくなっていた。
「ふふっ……触っただけで出しちゃうなんて……やっぱり若いわぁ……可愛い……こんな可愛いからミカちゃんも気に入っちゃってるんだねぇ……」
 そう言いながらウィリーエが肉棒をゆるゆると上下にしごき出すと、あっという間に回復したため驚く。
 射精の余韻が終わらないうちにそうされた事で、ガンっと頭を叩かれたかの様な気持ちの良さが押し寄せ、神治は体を仰け反らせた。
「ほらぁ、もっと楽にしてぇ……気分を楽にするとぉ……もぉっと気持ち良くなるよぉ〜〜」
 ゆっくりと体を押し倒され、ベッドの上に仰向けになる。
 そのままウィリーエが重なってくる様にしてきたため、生の肌と肌が擦れ、そのゾクゾクする様な快感が股間に響いた瞬間、神治は再び射精してしまった。
「やだぁ、また出しちゃったのぉ? もう、ホント可愛すぎぃ。ふふっ、本当にウブなんだぁ……」
(!……)
 その言葉にショックを受ける。
 自分は緋道村の女性数百人を満足させてきたというのに、今自分にのし掛かっている女神からすればまだまだお子様であり、まさに早漏の童貞少年みたいなものでしかない事が分かったからだ。
 確かに触れられただけで射精しまくっているのだから、そう思われても仕方がないだろう。
(っていうか……何でこんなに凄いんだよ……未迦知さまより凄いじゃんか……)
 未迦知神とは普通にセックスできていたというのに、どうしてウィリーエ相手ではここまで耐えられなくなっているのか。
(そう言えば……さっき力を使ったとか言ってた様な……)
 裸を見て射精しそうになった際に言われた言葉を神治は思い出した。
 あの時に何かされたのかも知れない。
「お、俺に……何かしたんですか……?」
「え〜〜? 別に何もしてないよぉ……」
 神治の問いに、ウィリーエは可愛らしく小首をかしげて否定した。
「でもさっき、力を使ったって……それに俺こんなに出しちゃって……これってあなたが何かしたからなんでしょ?」
「ちょぉっと違うかなぁ。わたしが使ったのは神治ちゃんの理性をちょこっとだけ緩くする術だもぉん。リラックスしてもらうためのねぇ。こんなにピュッピュッ出してるのはぁ、神治ちゃんがウブだからぁ。わたしの体に興奮しすぎちゃってるからだねぇ」
「そ、そんな……」
 その言葉が正しいとすれば、自分は何かされたからではなく、ウィリーエの魅力によって射精している事になった。
 裸を見ただけで我慢できないほどに興奮してしまっているのだ。
 修行をした事でその様な状態にはならないと思っていたため、それはかなりショックな事だった。
「こんなんじゃミカちゃんも大喜びなんじゃなぁい? 自分の体に触れただけで射精しちゃうなんてぇ」
「未迦知さまとはこんな風にはなってないです。もっと普通にしてますから」
 そう、未迦知神とセックスする時にこうなる事は無かった。
 普通の女性とするのと同じ様に抱けていたのだ。
 それがどうしてウィリーエの時にはこうなってしまうのか。
「ふぅ〜〜ん、そうなんだぁ。やっぱミカちゃんって優しいよねぇ。ちゃんと神治ちゃんが満足できる様に相手してあげてるんだもん」
「え? それってどういう……」
「本気のミカちゃんなら、神治ちゃんじゃ姿を見た瞬間に射精しまくっちゃうって事だよぉ。体に触れたりしたらそれだけで意識が飛んじゃうかもぉ」
(!……)
 その言葉に驚きつつ、「本気」という言葉が気になった。
 まさか自分が抱いている時の未迦知神は本気ではない、つまり感じている訳ではないという事なのだろうか。感じているフリをしていただけなのか……。
 そう思うと激しい失望感が押し寄せてきた。
 これまで持っていた男としての誇りがガラガラと崩れていく様に感じられたのだ。
「その……未迦知さまは、俺がしたんじゃ感じてなかったって事なんですか? もっと凄くないと感じないって事なんでしょうか……?」
 不安になりながら尋ねる。
「ううん、そういう意味じゃないよぉ。別に本気にならなくても感じるだけならできるからねぇ。わたしが言っているのはぁ、相手を夢中にさせていっぱい射精してもらうってこと。わたしたち神はセックスする時にどれだけ精を引き出せるかってのが大事だからね。気に入った相手の精はたっぷり欲しいからどんどん出させるのが普通なの。まあ、相手が神だとそう簡単にはいかないんだけど、神治ちゃんみたいにウブな子だとそれこそ取り放題ってことなのよ。だから可愛くてたまらないんだなぁ。それなのにミカちゃんは普通にさせてあげてるんでしょ? そういう意味でミカちゃんは神治ちゃんに優しくて、つまり本気を出してないってことだね」
 その言葉にホッとする。
 どうやら感じさせていなかった訳ではなく、未迦知神が神治の精を得るのを抑えてくれているという事らしい。
「わたしだったらとにかく出させちゃうからねぇ。他の事なんかどうでも良くなる様にして……ふふ、今神治ちゃんがアンリーエちゃんの事を忘れてわたしを抱きたくなってるみたいにぃ」
 そう言われてハッとする。
 そう、自分はアンリーエと一緒に居たいはずだったのだ。
 それなのにいつの間にかその事が意識から無くなっているのは驚きだった。
 アンリーエと一緒に居るよりもウィリーエを抱こうとしていたのである。
(俺……何やってるんだ……)
 急いで戻ろうと起き上がりかける。
「ダァ〜〜メ、神治ちゃんはわたしとセックスするのぉ」
 だがウィリーエの体がのし掛かってきたためそのまま後ろに倒れてしまう。
(ぐっ……)
 続けて滑らかな肌と柔らかな肉の感触が押し寄せ、体から力が抜けていった。
 さらには先ほどと同じ様に性的衝動が高まり、アンリーエに対する想いが薄れていく。
「アンリーエちゃんの事はいいじゃない。今はわたしと気持ち良くなろぉ……ふふ、たっぷり精液頂戴ねぇ……」
(うっ……)
 不意に感じられたウィリーエの淫靡な雰囲気に股間に快感が走った。
 口調自体はそれまでと同じなのだが、体から発せられているオーラがとてつもなくいやらしいものになっており、それだけで肉棒が反応してしまったのだ。
「それじゃ、いただきまぁ〜〜す、んぐっ……」
「ぐぁっ……」
 肉棒を口に含まれ、その瞬間襲いかかった快感に神治は体を仰け反らせると共に射精した。
 手で触れられている時も凄かったが、口内はそれ以上の物凄い気持ちの良さがあったのだ。
 亀頭に存在する快感を感じる神経が直接刺激を受けているかの様に、ウィリーエの口や舌の粘膜に触れられるだけでとてつもない快感が押し寄せ、意識しないまま射精してしまうのである。
「うぐっ……くっ……」
 ウィリーエの口の中は快感が最も強まる温かさになっており、塗られる唾液は媚薬の様に肉棒の蠢きを活性化させ、包み込んでくる口内の粘膜やベロリと舐めてくる舌は、触れるだけでまるでそこに気持ちの良さの素があるかの様に快感を感じさせた。
「うぉっ……ぐっ……あぅっ……」
 そんな事を考えている間にも何度も射精が繰り返された。
 とにかく我慢できない、いや、認識すらできない状態で精を放ってしまうのだ。
 射精している間に射精している状態で、尿道の途中から吸い出されている様な奇妙な感覚があった。
 ドピュドピュといった精を放出する感覚だけはあるのだが、いつまで経ってもそれが終わらず、休むことなく射精し続けているのである。
 似たような状況として射精性交があったが、あれが精が放出し続ける状態であるのに比べ、これは一回ごとに射精する行為を繰り返している点で違っていた。
 普通の射精を休むこと無く続けている状態と言えばいいだろうか。
 男にとって最も快感を得る射精の瞬間、それを続けて体験しているのだ。
 そしてその状態は、自分の意思で放出しているというより、吸い出されているとした方が正しいだろう。
 自分で射精をするのではなく、まるで掃除機で吸い取られる様にして肉棒を吸引され、精液を吸い出されているのだ。
「んんっ……んっ……すっごく美味しぃ〜〜……んっ、んぐっ、んんっ……神治ちゃんの精液って美味しすぎ、んぐっ……こんな美味しい精液初めてぇ〜〜」
 時折顔を放して感想を述べつつ、ウィリーエは吐き出される、いや、自ら吸い出している精液をゴクゴクと飲んでいる。
 吸い出しているという言葉が正しいのを証明するかの様に、彼女が口を放すと射精もその瞬間止まるのだ。
(こ、こんな……俺の……俺の精液が吸われてる……吸い出されてるぅ……)
 これまで女性に精液を飲まれる事に快感を覚えてきた神治だったが、今体験している状況には恐怖を覚えていた。
 何しろこちらが意識して出しているのではなく、強引に、とはいってもとてつもなく気持ちがいいのだが、吸い出されているからだ。
 そこにはこのまま吸われ続けたらどうなってしまうのだろうという恐怖があったのである。
 無論これまでも大量の精を放ってきたが、自分が主導権を握らずに射精している事が恐ろしかったのだ。
 それにまるで肉棒が自分の物では無くなってしまったかの様に感覚がなく、自由にならないのがさらに怖かった。
 いや、感覚自体はあった。
 凄まじい快感という感覚が。
 だがそれ以外は全て無く、気持ちの良さを感じながら射精をしているだけなのだ。
 このままでは自分は射精し続けて最後は死んでしまうのではないだろうか、という思いに至る。
 しかしそうした恐怖を感じながらも、今の状況を何とかしようとする意識が働かないのだから不思議であり、その事が余計に恐ろしかった。
 ウィリーエの口内はあまりに気持ちが良く、そこから肉棒を抜くなど考えられない事だったのだ。
 ここから抜くくらいなら死んだ方がマシだと思えるほどにたまらなく気持ちが良かったのである。
 目に映る光景も、それを助長するかの様にたまらないものがあった。
 今自分の肉棒を咥えている美女。
 そう、美女としか言いようのない美しいウィリーエの姿に魅了されていたのだ。
 真っ白な、本当に真っ白な、血管が透き通って見えるほどに白く透明な肌。
 まるでそれ自体が輝きを放っているかの様にキラキラとしている金色の髪。
 まさに神という呼び名がふさわしい、これこそ美の造形だと言えるほどに整った顔。
 細身でありながら、抱き締めずにはいられなくなるほどに肉の感触を思わせる体。
 理想的とも言える形をし、豊満な大きさの何とも柔らかそうな乳房。
 その女として完成された、男であれば誰もが抱きたくなる美麗な顔と欲情をそそる肉体をした美女が、己の股間に顔を寄せ、愛おしそうに肉棒を口に含み快楽を与えてくる。
 そしてその快楽はこの世のモノとは思えない、人が相手では決して味わう事のない、まさに天上の快楽とも言うべき凄まじいものだった。
 その状況からどうして離れることができるだろう。
 たとえ死ぬのだとしても、その快楽と引き替えならば死を選ぶのではないだろうか。
 それほどまでの想いが神治の中にはあった。
 そしてその事から、何故これまで未迦知神が自分に対して本気を出さなかったのかが何となく理解できた。
 今ウィリーエにされている行為はとてつもなく気持ちがいいのだが、それ以上におかしくなってしまいそうな恐ろしさがあったからだ。
 相手に全てを委ね、そのまま快楽の世界に身も心も捧げてしまう様な、いわば快楽の奴隷となってしまいそうな雰囲気があったからである。
 そうした相手の人格を奪いかねない、快楽を享受する事だけを目的にしてしまう様な状態になるのを未迦知神は怖れたのだろう。
 実際、現在の神治はそうなりかけているとしか思えないほどに、快楽の虜になりつつあったのだ。


「ぐっ……くっ……ふぐっ……」
 もうすでに何度射精しているのか、どのくらいの時間が経っているのか分からなかった。
 とにかく肉棒に与えられる刺激と、精液を吸い出される快感に意識を朦朧とさせながら、神治はその状態に身を任せていた。
 体に力が入らない。
 以前から射精は生命力を放つことだと未迦知神に聞かされていたが、まさにそれが理解できる状況だった。
 今の神治は何をする気力も起きず、ただ精液を吸い出されるままになっているからだ。
「んんっ……んっ……ふぅ……あ〜〜、美味しかった。神治ちゃんって何て美味しい精液出すんだろ。これじゃミカちゃんが気に入るのも当然だね」
 肉棒を放したウィリーエが満足そうに笑いながら口を拭っている。
(お、終わり……?)
 その事に悲しさを覚える。
 今与えられていた快楽にもっと浸っていたかったからだ。
「それじゃ、そろそろ本番だよぉ? わたしと気持ち良くなろぉ?」
 ウィリーエは神治の体を跨ぐと、未だに勃起している肉棒を持ち、ゆっくりと腰を落としてきた。
 どうやらいよいよセックスをする事になるらしい。
 その事実に激しい興奮が湧き起こる。
 フェラチオでここまで気持ち良くされたのだから、セックスの快楽は想像もできないものになるに違いないからだ。
 それをこれから味わえるのだと思うと、恐ろしいほどの興奮が押し寄せてくる。
(!……)
 ズニュリと肉棒が膣穴にハマり込んだ瞬間、意識が跳んだ。
 目の前が真っ白になって何も感じられなくなる。
 いや、股間にある快感だけはハッキリと分かった。
 そしてすでに射精している事も。
 フェラチオをされている時と同じ様に意識せずとも精を放っているのだ。
 というより、やはり吸い出されているらしい。
 強烈な吸引によって精液が放出させられているのである。
 肉棒が収まっている場所はまさに天国だった。
 この世のものとは思えない極楽。
 それがウィリーエの膣だった。
 肉棒全体が、柔らかで温かで湿りを帯びた襞にグニュグニュと揉まれ掴まれ吸い付かれ、肉棒に存在する快感を感じる器官すべてに何かが入り込み、取り込んで一体化してしまったかの様な妙な感覚があった。
「ぐっ……うぅっ……」
 その凄まじい快感に口から喘ぎが漏れる。
 自分で腰を動かさずとも肉棒が勝手にビクンビクンっと動き、それを助ける様に周囲の肉襞も蠢いていてたまらない。
 そして意識せずとも射精は行われているのだが、フェラチオをされていた時と同じく射精が終わるとすぐに射精をする状態で、いつまで経っても精を放つ行為が止まらなかった。
「うふんっ……わたしのここはいいでしょぉ? ミカちゃんが本気出してないってことは、こういう性器だけで感じ合うやり方もしてないって事だよね? ふふっ、これってまるでわたしに抱かれているみたいでしょ?」
 確かにそうだった。
 肉棒を押し込み、腰を動かす事で喘がせる事が女を抱く行為だとすれば、肉棒を包まれしごかれ、喘いでいる今の神治の状態は、まさにウィリーエに抱かれていると言えただろう。
 上に乗られて見下ろされているのもそれを感じさせた。
「うぅっ……ぐっ……あぐっ……」
 実際押し寄せてくる射精の快感に、神治は先ほどからまるで女性が喘ぐ様に情けない声を漏らしているのだ。
「やっぱり神治ちゃんは可愛いねぇ……前にガジちゃんにもしたけど、ぜ〜〜んぜん可愛くないんだもん。何かムスッとしてるだけでさぁ。でも神治ちゃんはこ〜〜んなに可愛い声出しちゃって……くふふっ、最高ぉ〜〜♪」
「ガジ、ちゃん……?」
 一体誰の事だろうと、朦朧としながら尋ねる。
「あ、わたしの旦那さまの事だよぉ。今はいないけどねぇ、こ〜〜んな顔した人ぉ〜〜」
 そう呟くと、ウィリーエは唇を重ねてきた。
(あぐぅっ……)
 舌が吸われ、その快感に意識が遠のきそうになる。
 口内にウィリーエの舌が触れただけでとてつもない快感があったのだ。
 肉棒を咥えられている時の事を考えればその刺激は当然のことであったかも知れない。
 そうしてボンヤリとする意識の中に、不意にプロレスラーの様な巨漢の中年男性が浮かび上がった。
 立派な口ひげを生やしており、西洋の神話に出てくる神のような印象があった。
「ガジギールって名前なんだけどぉ。ミカちゃんに聞いてないかな?」
「そ、そういや……聞いて、ました……」
 ガジギールはこの国における最高神であり、ユイリーエの父親だ。
 そして今自分と交わっているウィリーエの夫でもあった。
(って……俺、旦那がいる人としちゃってるのか……)
 不意に自分が不倫をしているのだという事実に気がつく。
 緋道村にいる時は配偶者という概念が無かったため忘れていたが、普通の社会では夫のいる女性が他の男とセックスするのは許されない事だった。
 今のこの状況が夫であるガジギールに知られたら大変な事になるのではないだろうか。
(こ……殺されちゃうんじゃ……)
 先ほど頭に浮かんだガジギールには、人間であろうが食べてしまいそうなほどの獣じみた迫力があった。
 そもそも神なのだからそれくらいしてもおかしくはないのだ。
 その事に激しい恐怖が湧き起こる。
(だけど待てよ……ウィリーエさんがこんな気軽に俺としてるんだから……この国も緋道村みたいに浮気の概念が無いのかも……)
 未迦知神の友人の国であるのだからそうした慣習がある可能性もあった。
 昨日未迦知神が連れて行かれた時に、「ウィリーエは気に入った相手ができると数日は部屋に籠もる」とリアも言っていたではないか。
 つまりウィリーエはこういう行為をしょっちゅうしているという事になり、他の男とセックスしていても夫であるガジギールは腹を立てないのではないだろうか。
「あの……俺とこんな風にして……ぐっ……旦那さんは怒らないんでしょうか?」
 一応確認のために尋ねてみる。
「え? ああ〜〜、そういうのぉ……う〜〜ん、えっとねぇ……ふふっ、そりゃあ……怒るんじゃないかなぁ……」
「え?」
「ガジちゃんってさぁ……自分はいっつも浮気してるくせに、わたしが気に入った子と気持ちいい事してると怒るんだよねぇ。わたしが寂しいって言ってもほっとくくせにさぁ……」
 血の気が引くのが分かった。
 あのプロレスラーみたいな外見の男が怒るとなれば、それは確実に暴力を伴っているに違いないからだ。
 自分などボロボロにされてしまうだろう。
 いや、下手をすれば殺されてしまうかも知れない。
「ふふっ、ちょっと驚かしちゃったかなぁ? 大丈夫、今はいないよぉ……だからぁ、ガジちゃんが帰ってくるまでたっぷりしよぉ……」
「そういう問題じゃないですよ……俺、もう止めますから……」
 慌てて体を放そうとする。
 浮気が道徳的に許されていない、というよりガジギールにとって許せない行為だとすれば、呑気にセックスしている場合ではなかったからだ。
(え……?)
 だが動かなかった。
 体を動かそうとしてもピクリともしないのだ。
「うふんっ、駄目だよぉ、嘘付いちゃぁ。神治ちゃん、わたしとしたいんでしょう?」
 ウィリーエがそう呟くと、会話をしている間に止まっていた膣内の蠢きが再び激しくなった。
「ぐっ……うぐっ……うっ……」
 肉棒がしごかれるたびに射精が行われた。
 それはちょうど女性が肉棒を出し入れされると快感を得るのと同じであり、膣内が蠢くと神治の口からは快楽の呻きが漏れていった。
「うふんっ……ホント神治ちゃんってか〜〜わいい〜〜。それにこれもなかなかいいしねぇ……んんっ、やっぱり人間じゃないから保ちがいいわぁ……人間の男の子だともう立たなくなってるもんねぇ……それなのにまだこんなに元気ぃ……あんっ、たまらな〜〜い……」
 ウィリーエの体がピクッと震えた。
 全く快感を得ていない様にも見えたが、やはりそれなりに気持ち良くはなっているらしい。
「そ・れ・じゃ……いよいよ動くよぉ〜〜。ふふっ、気持ち良くなってねぇ……わたしも気持ち良くなるからぁ……せ〜〜の……あっ、あっ、ああっ……」
 そう言うのと同時にウィリーエの腰が上下に動き出した。
「!……」
 その瞬間、神治は呻き声すら発する事ができずに射精した。
 あまりに強烈な快感が押し寄せると逆に何も反応できなくなるらしく、体は硬直したままだ。
 ただ肉棒だけが膣襞に掴まれ、吸い付かれ、さらには今までなかった激しい摩擦運動を加えられて射精を繰り返していた。
(これは……地獄だ……)
 強烈な快感は恐怖を感じさせるらしい。
 神治は己の一物が収まっている部分が与えてくる恐ろしいまでの快楽に意識を朦朧とさせていた。
 もう射精している事すら意識になかった。
 ただ快感だけが継続的に押し寄せてくるのだ。
 それは脳を蕩けさせ、自分が不倫をしている事、旦那に見つかったら殺されるという恐怖を消していった。
 無論アンリーエの事もすでにどこかへ消えている。
 とにかく今はこの快楽を味わいたい、この快楽の中に浸っていたいという思いで一杯だったのだ。
 神治はウィリーエにまさに犯されているという状況のまま、射精を繰り返していった。


 どのくらい経っただろうか。
 神治は自分がどうなっているのか認識できない状態になっていた。
 あまりにも気持ち良すぎてすでにまともに思考できないくらいになっていたのだ。
 ただ股間から押し寄せてくる快楽だけが全てだった。
 自分の腰の上に跨った女性の美しさなど関係なく、ただ純粋な刺激、股間に押し寄せてくる快感だけが射精を促していたのである。
(ああ……凄い……こんなの凄いよぉ……)
 周囲がよく見えず、ただウィリーエの肉体だけが視界にあった。
 だがそれもボンヤリとした白く眩しい存在としてしか認識できず、それが動くたびに快感が押し寄せ、肉棒から何かが迸っているのを感じるだけだった。
 体中は快楽に染まり、ずっとこの状態でいられたらどれほど幸せだろうかと神治は思った。
(俺……もういいやぁ……このまま……このままでぇ……)
 そう思い、ギリギリ持っていた最後の意識を手放そうとする。
 緩やかに感覚が薄れ、心が快楽で満たされていくのを感じる。
「……」
 何かが聞こえるが、もうすでにそれが言葉であるのか単なる音であるのかすら分からない。
(ああ……真っ白だ……真っ白……落ちていく……下に落ちて……)
 意識が白くなり、落ちていく感覚だけがあった。
(落ちて……白い……白……ん?……あれは……)
 不意に何かが見えた。
 それは微かな光を放つものであり、何か力を感じさせるものだった。
 だんだんと近づいてくるそれを、神治はボンヤリと眺めた。
 すでに気力は無くなっていたため、そのまま光が大きくなっていくのをジッとしたまま受け入れる。
(ああ……光が……広がっていく……)
 体全体が光に包まれた、そう思った瞬間だった。
(うっ……おっ……おおっ……うおおっ……!)
 突然激しい力が、物凄い力が体の奥底から湧き起こってきた。
 続けて意識がハッキリとし、自分がどこにいるのか、何をしているのかが分かる。
 一面がベッドの空間で、妖艶な美女と交わっているのだ。
 ウィリーエは腰の上で激しく動き、快楽に頬を上気させ、だらしない表情を浮かべながら喘いでいる。
「あんっ、あんっ、ああんっ……いいわっ、いいっ……神治ちゃんいいっ……神治ちゃんのこれって最高っ……あっ、あっ、ああっ……」
 相変わらず押し寄せてくる快感は凄まじく、神治は蕩けそうな想いを抱いたが、それでも先ほどの様な意識を失うほどの凄さは無くなっていた。
 普通に女性と、とはいえ極上ではあったが、セックスしている感覚だったのだ。
「あっ、あんっ、やっ……まだ保つなんて、あんっ……凄い、ああっ……まだまだいけるのねぇ、やっ、やっ、やぁんっ……」
 激しく悶えているウィリーエの膣の中では、未だに肉棒は精を放っていた。
 それゆえに神治の体は硬直し、何もできない状態になっている。
(凄い……何て……何ていい女なんだろ……)
 自分の腰に跨ったウィリーエは、まさに絶世の美女だった。
 金色の髪を激しく揺らし、透き通るほどに白い肌を快楽の桜色に染め、柔らかで滑らかな肉体を擦りつけているその姿は、これまで神治が経験した女性の中でも群を抜いて美しく、色っぽく、そしていやらしかった。
 この様な女性と自分は今繋がっている。
 性器で繋がり合い、擦り合い、快感を与え合っているのだ。
 上下運動により、膣を肉棒が刺激し、肉棒を膣が刺激し、そこから湧き起こってくる快楽を共有しているのである。
 だがそれは一方的なものでもあった。
 何故なら神治の意思がなかったからだ。
 神治はただ横たわり、ウィリーエが欲し、与えてくる快楽を享受しているだけなのである。
 そこには肉体があるだけで、神治という存在は無かった。
 ウィリーエは快楽を得るために神治の体を利用しているに過ぎず、たとえこの体が誰のものであっても気にはしなかっただろう。
 ウィリーエにとっては快楽こそが目的で、神治に抱かれたいと思っている訳ではないからだ。
 浮気するのを気にしないのも当然だ。
 何しろウィリーエは自慰をしている様なものなのだから。
 自慰をするのに誰の許可を必要とするだろう、何の不具合を感じるだろう。
 神治はそうしたウィリーエの自慰の相手として選ばれただけなのだ。
(そんなの……嫌だ……)
 激しい怒りが湧き起こってくる。
 自分は男だ。
 多くの女を従えてきた男なのだ。
 それが性的玩具の様な扱いをされて黙っていられるものか。
 この女を抱き、思い知らさなければならない。
 自分が男であることを、どのような女であっても従わせられる男であることを、この女に分からせてやるのだ。
(うおぉぉっ!)
 激しい怒りと共に体が動き、跳ね起きる。
「キャッ……え? 何?……え? 神治ちゃん……?」
 神治が起き上がったため、尻餅をついたウィリーエは何が起こったのか分からない様子で呆気にとられている。
 腰に跨った姿勢でひっくり返ったため、両脚が開いて男を受け入れる体勢になっているのがいやらしい。
 すでに興奮状態にある秘所はダラダラと愛液を垂らしており、男であれば肉棒を押し込まずにはいられない雰囲気がそこにはあった。
 そしてさすがは神なのか、まさに神秘的とも言える淫靡な誘惑が体を貫き、見ているだけで肉棒がビクンビクンと震えた。
 先ほどは裸体を見ただけで射精しそうになったが、今は普通に欲情しているだけであるのに嬉しさが込み上げてくる。
 こうなってしまえば相手はただの女だ。
 両脚を開き、早く肉棒を入れてくれとせがんでいる女でしかないのだ。
 ならばその誘いに応えてやろうではないか。
 そして喘がせ、悶えさせ、自分の女にするのだ。
「うおぉぉっ!」
 荒々しい興奮が湧き起こり、神治はウィリーエに襲いかかった。
 すでに受け入れ体勢ができている両脚の間に体を入れ、肉棒を押し込んでいく。
「あっ……」
「うっ……」
 ズブリと肉棒が収まり、途端たまらない快感が体を走り抜けた。
 先ほどと変わらない強烈な快感が押し寄せてくるが、今の神治には余裕があった。
 快感自体はたまらないのだが、射精にまでは至らないのだ。
「え? 神治ちゃんどうしたの? え? 何で? 平気なの? 出さないでいられるの? さっきと何で違うのぉ?」
 呆気に取られた様子でウィリーエは目を丸くしている。
 それはそうだろう、先ほどは触れられただけで射精していた相手が、肉棒を入れても平然としているのだから。
 神治はそれに答えず、これが返答だと言わんばかりに腰を動かし始めた。
「あっ、あっ、ああっ……やだ、いきなり、あんっ……嘘、あっ……凄い、あっ……凄いわ神治ちゃん、ああっ……オチンチンが凄ぉいっ……」
 ウィリーエは何が何だか分からないといった顔をしながらも、与えられる快感に頭を仰け反らせた。
「あんっ、あっ、ああっ……こんな、あぅっ……こんなの凄い、あっ……こんなのぉっ……やっ、やっ、やぁんっ……」
 背中に腕が回り、腰に脚が絡んでギュッと抱き締められる。
 すると膣内もしっかりと肉棒を掴みしごいてきたため、神治はそのたまらない快感に呻きを漏らした。
「嘘ぉ? これでも出さないのぉ? あっ、ああっ……神治ちゃん凄ぉい、あんっ……これじゃさっきと、あっ……さっきと別人だよぉ、あんっ、あんっ、ああんっ……」
 別人……。
 まさに言い得て妙だったろう。
 神治にしても己の体が変わったかの様な印象を覚えていたからだ。
 どうして先ほどは全く耐えられなかったのが、今は普通に抱いていられるのか。
 あまりにも奇妙な事だった。
「俺は俺だっ……さっきの情けなく出していたのも俺だしっ……こうしてっ、お前をヒィヒィ言わせているのもっ……同じ俺だっ……何か不満があるのかっ?」
 そして乱暴な言葉が発せられるのに驚く。
 自分でも意識しないうちにそうした口調になっていたのだ。
 というより、激しい高揚状態になり、とにかくウィリーエを、目の前の女を従えたくてたまらず、乱暴な言葉がこぼれたというべきだろう。
「やだ神治ちゃん、あんっ……そんな喋り、ああっ……もしかしてこっちが地、あんっ、なのぉ?……あっ、あっ、ああっ……」
 不快に感じたというより、面白がっている様子でウィリーエはこちらを見ている。
 そのまるで幼い子供の様なクリクリとした青い瞳は、新しい玩具を見つけた喜びに溢れていた。
「だからどっちも俺だっ……それよりその呼び方はやめろっ……神治さまと呼べっ……」
「え? うっそぉ、あんっ……そんなやだ、ああっ……素敵すぎ、あんっ……素敵すぎよぉ、ああっ、あっ、ああんっ……ガジちゃんみたいなこと、あんっ……言って、ああっ……」
 神治の言葉にウィリーエはますます面白そうな様子になりながら喘いでいる。
「何だそれはっ……ガジギールが何か言ったってっ……?」
 突然出たウィリーエの夫の名前に首をかしげる。
「あんっ、あっ、ああんっ……ガジちゃんも、あっ……自分の事はガジギール様と呼べって、あっ……そう言うの、あんっ……」
「ふん、そうかっ……それでお前は呼んでるのかっ……?」
「呼ばないわよぉ、あっ……自分の旦那を、あっ……様付けでなんか呼べないもぉん、ああっ……」
「じゃあっ……俺の事も呼ばないのかっ……?」
「ううん、呼ぶ、あっ……神治ちゃ、神治さまは呼ぶわぁ、あんっ……だって、あっ……凄くいいんだものぉ、あっ……神治さま素敵、あっ……神治さまいい、あんっ……神治さまもっとぉっ……」
 突然の「神治さま」連呼に神治は最高の気分を味わった。
 先ほどまで自分を喘がせていた相手を今や逆に喘がせ、それどころか様付けで呼ばせているのだ。
 これほどの立場の逆転はないだろう。
「あんっ、あんっ、ああんっ……いいっ、いいっ、いいぃっ……神治さまいいの、あっ……神治さま素敵、ああっ……神治さま最高っ……やっ、やっ、やぁんっ……」
 褒め称えてくるウィリーエは最高だった。
 目の前にある顔はいやらしく歪み、蕩ける様な表情でさらなる快楽を求める様にして抱き付いてくる。
 それはつい先ほどまで余裕たっぷりで見下ろしていた顔と違い、かなり切羽詰まった快楽の表情だった。
 その事が誇らしくてたまらず、神治は貫かんばかりの勢いで肉棒を叩き付けていった。
「はぅっ、はっ、はぁんっ……こんな、あっ……こんなの凄い、あっ……こんなの凄いよぉっ……あんっ、あんっ、ああんっ……」
「凄いかっ? 凄いのかっ? これならどうだぁっ?」
「ああんっ、あっ、ひゃぁんっ……それ凄い、ああっ……それ凄すぎよぉっ……あぐっ、あっ、あはぁっ……」
 ウィリーエは口をだらしなく開き、涎を垂らしながら悶え狂った。
 そこには最初の頃の女神としての神秘的な美しさは無く、いやらしく乱れる一人の女、いや極上のいやらしさを見せる女がいるだけだった。
「そんなに凄いのかっ? じゃあお前の夫と比べてどうだっ? お前の夫と俺とっ……どっちが凄いっ?……どっちのチンポが欲しいんだっ? 言ってみろぉっ……」
「ああっ、あんっ……そんなの、あっ……そんなの神治さま、あんっ……神治さまよぉっ、ああっ……ガジちゃんはこんな、あっ……ガジちゃんはこんな元気じゃないもん、やぁっ……」
 凄まじい腰の動きに、ウィリーエは頭を左右に振って悶えながら答えた。
 その言葉にドクンっと心臓が跳ねる。
 勝った。
 勝ったのだ。
 未だに知らないウィリーエの夫に自分は勝ったのである。
 姿だけは見せられたため知っているが、あのプロレスラーの様な男よりも自分の方が性的に優れている事が証明されたのだ。
 それはたまらない優越感として神治の心を喜びで包んだ。
 ガジギールはこの国における最高神であり、ウィリーエとの夫婦生活も数百年にわたっているのだろう。
 そんな夫のモノよりも、自分の方が、自分の肉棒の方が優れている、ウィリーエを気持ち良くさせられているのだ。
 それはとてつもない精神的な快感となって神治を悦ばせた。
 そして先ほどと違い、ガジギールに対して恐怖を感じていない事を不思議に思った。
 自分は今、他人の妻である女を抱いているのだから、その事が夫に知られたらただでは済まないだろう。
 あのプロレスラーの様な男に殺されるかも知れないのだ。
 だが神治はそんな事よりも、夫の居ぬ間に妻を犯している状況に激しい興奮を覚えていた。
 恐ろしい夫であるという意識が逆に興奮と快感を呼んでいたのである。
「ウィリーエっ……お前は俺のモノだっ……俺のっ……俺のモノだぁっ……」
 激しい興奮と共に肉棒を高速で出し入れしていく。
「やんっ、やんっ、やぁんっ……そう、あっ……そうよ、ああっ……わたしは神治さまの、あんっ……神治さまのモノ、ああっ……わたしは神治さまのモノなのぉっ……」
 その夫を裏切る言葉に激しい興奮が湧き起こる。
 すでに肉体的には裏切っている訳だが、これで精神的にも裏切った事になるからだ。
 ウィリーエは夫よりも自分を選んだのだ。
 自分の方が夫より素晴らしい男だと認めたのだ。
 それはたまらない快感となって神治の心と体を包み込んだ。
「ああっ、わたし、あっ……わたし、あんっ……わたしダメぇ、ああっ……感じ、あっ……感じちゃって、ああっ……感じすぎるぅっ……」
 ウィリーエは体をビクンビクンと震わせ、顎を何度も仰け反らせた。
 目は虚ろになり、涎が垂れまくっているにも関わらず美しい顔は、まさにいやらしさの極致にあると言えただろう。
 神治は汗で額に張り付いている金色の髪を眺めながら、神であろうとやはり女は女なのだと妙なところで感心をした。
 未迦知神もそうだったが、こうして喘がせているとそれまで感じていた神秘性など吹っ飛び、女の魅力が溢れ出すのだ。
 しかもそれは極上の魅力であったため、その様な相手を抱け、喘がせている状態には最高の気分を感じさせるものがあった。
「あぅっ、あっ、あぅんっ……やっ、ひゃっ、やはぁんっ……もうっ、もうっ、もぉっ……イっちゃう、あっ……わたしイっちゃう、ああっ……わたしイっちゃうのぉっ……」
 限界が迫っている事をウィリーエは伝えてきた。
 すると膣内もウニュウニュと激しく蠢き出し、そのたまらない刺激に神治は呻き声を漏らした。
 さすが神の膣だけあり、その肉棒を取り込んでしまうかの様な吸い込みには凄まじいものがあったのだ。
「やっ、やぅっ、やぁっ……神治さま、あっ……神治さまもうダメ、あっ……神治さまもうダメよぉっ……あっ、あっ、ああっ……イくっ、イくっ、イくぅっ……やんっ、やんっ、やぁあああああああああああんっ!」
「うおぉっ!」
 ウィリーエの絶頂の叫びと共に、これまで以上の激しい吸引が膣内で起こり、そのたまらない快感に押される様にして神治は精を放った。
 ドピュドピュドクドクドクドクドク……。
 凄まじい勢いで精液が放出され、湧き上がってくる快感に神治は歯を食いしばって耐えた。
 キュウッ、キュウッ、といった感じで膣内が締まり、肉棒に刺激が押し寄せる。
 その強烈な蠢きは、肉棒の中から精液を全て吸い出そうとするかの様であり、掃除機でされている様な激しい吸引に神治は頭を仰け反らせた。
 ドピュッ、ドピュッ、と何度も何度も射精が行われるが、いつまで経っても終わる事がなく、強烈な快感の状態のまま神治は精を放ち続けた。
「ふぅ……はぁ……はぁ……」
 どのくらい経っただろうか、何度したか分からない射精を終え、激しい満足感を覚えた神治は、荒い呼吸をしながらゆっくりと肉棒を引き抜いた。
 相手が神である場合精液は吸収されているのだが、許容以上の量があったのか、ドロリといった感じで精液が膣穴からこぼれるのに淫靡な喜びを覚える。
 自分はこの美しい女神の中に精液を放出したのだ。
 先ほどまでの様に吸い出されるのではなく、こちらから注ぎ込んだのである。
 そこには主導権を握った喜びがあり、男として女を支配しているといった征服欲における満足感があった。
 眼下では、今まで肌を重ねていたウィリーエがボンヤリとした様子で惚けている。
 腰の辺りまで伸びた長く美しい金色の髪は、それ自体が光を放っているかの様にキラキラとし、汗によって顔や体に張り付いていた。
 血管が透けて見えるほどに白く透明な肌は桜色に染まり、肉体が快楽を得ている事を表している。
 胸元にある大きく形の良い乳房は、体が少し動くたびにタプンっといった感じで揺れていていやらしい。
 股間にある今まで肉棒を取り込んでいた秘所は、まるでまだ満足していないかと言わんばかりにパクパクと蠢いていて、内部の気持ちの良さを思い出させた。
 白いシーツに投げ出されたその肉体は、まさに美の女神、いや淫の女神と言うべき美しさといやらしさを感じさせた。
 その証拠に、神治の股間の一物はウィリーエの肉体を見ている内にあっという間に硬さと大きさを取り戻し、今精を放ったばかりであるのが嘘の様に元気な状態になっていた。
 無論、神の力を使えばその様な状態にする事もできたが、これは何も意識せずになった、まさにウィリーエの魅力による反応だった。
「うふぅん……神治さまぁ……素敵だったわぁ……」
 その様な事を考えていると、ウィリーエがゆっくりと起き上がり、上目遣いにこちらを見つめてきた。
 その熱い視線にはもっとして欲しいという意思が感じられ、肉棒をさらに痛いほどに反応させる力があった。
「ね、もっと……もっとしましょぉ……わたしぃ、神治さまのオチンチンが欲しいのぉ……」
 甘ったるい、鼓膜が蕩けそうな口調で、男であれば逆らえない淫靡な雰囲気を醸し出しながら、ウィリーエはしなだれかかる様にしておねだりしてきた。
(うっ……)
 肌と肌が触れた瞬間、肉棒がビクンビクンと激しく蠢く。
 まるで早くあの気持ちのいい穴の中へまた入れろと訴えているかの様だ。
 それは神治にしても同じだったし、何よりこれほど甘える姿を見せられて何もせずにいられるはずはなかった。
 何よりこの女はすでに自分の物なのだ。
 もっと抱き、とことんまで味わい尽くすべきだろう。
「ウィリーエ……」
 名前を呼び捨てながら、神治はその肉体をギュッと抱き寄せた。
「あんっ……神治さまぁ……んっ……」
 トロンっとした表情を浮かべながら、嬉しそうに顔を近づけてきたウィリーエの唇に吸い付いていく。
「んんっ……んっ……んぁっ……んふぅっ……」
 顔を左右に入れ替えながら、お互いの唇を貪る様にしてねちっこいキスを繰り返していく。
 絡みつく舌や擦れる唇はまさに絶品で、それだけで射精感が激しく高まった。
「んっ、んっ、んんっ……んっ、んんっ……んっ……」
 ウィリーエはキスをしながら擦りつける様にして体を寄せてくると、そのまま胡座をかいた神治の上に腰を下ろしてきた。
「んんっ、んっ……んぁっ、あっ、ああっ……」
 肉棒が膣穴にハマり、その快感に神治は頭を仰け反らせた。
(やっぱいい……ウィリーエの中は最高だ……)
 これまで抱いてきた女性たちの中でも最高の部類であるウィリーエの膣は、入れているだけでたまらず、そのまま射精したくなるほどだ。
 さらには動かなくとも肉棒を刺激してくるその蠢きは、まさに極楽と言える状況と言えただろう。
 先ほどまではこれによって何も考えずに射精しまくったのであり、最後に精を放出時に何度も放ち続けたのも、この蠢きの吸引力のせいだった。
 とにかく射精しているとたまらなく気持ちが良く、すぐに回復させられ精を放つ様に促されるため、油断しているとあっという間に主導権を握られ、身を任せたくなる衝動が湧き起こるのである。
 無論そうするつもりは無かった。
 抱くのではなく、抱かれるなど男として耐えられなかったからだ。
 とはいえ、あの全てを委ねる状態というのもある意味魅力的ではあり、気が向けばそうなってもいいと思える部分もあった。
 これは相手が遙かに年上なウィリーエであるため、甘える様にして抱かれたいという感覚が神治の中にあったせいかも知れない。
 元々神治は伯母や母を抱く時にそうした想いを抱いていたからだ。
 だが今はそうするつもりは無かった。
 ウィリーエは己の女としたばかりであり、そこまで甘える感覚は無かったからである。
(未迦知さまなら……いいかもな……)
 初めて会った時から憧れ、これまで様々な面で自分を導いてくれた未迦知神。
 あの美しい、可愛らしい女神になら、全てを委ねて甘えるのも良いだろう。
「あ〜〜、神治さまったら、他の女のこと考えてるぅ〜〜。バカぁ〜〜」
 不意にウィリーエが不満そうな顔をして睨み付けてきた。
「うっ……」
 同時に膣内も強烈に、痛いほどに締まったため神治は苦痛の呻きを漏らした。
「わたしの体ってそんなに良くないかなぁ? 神治さまは物足りない? ねぇ、どうなのぉ?」
(うわっ、か、可愛い……)
 続けて悲しそうな顔をしながら小首をかしげて尋ねてくるのに心臓が跳ねる。
 ウィリーエは見た目は三十代の美女なのだが、こうした幼い態度を取るせいか、まるで年下の少女であるかの様な魅力があったのだ。
 それがまた似合っているせいか、激しい庇護欲が湧き起こり、それと共に乱暴に扱いたくなる嗜虐心も押し寄せてくるから凄まじかった。
「そんな事はないぞ。ウィリーエは凄くいい。俺がこれまで抱いてきた女の中でも最高さ」
「ホントぉ?」
「本当だ」
 泣きそうな顔をして尋ねてくるのに頷いて答える。
「嬉しぃ〜〜。じゃあ、もっと激しく、凄くしてね? わたしをもっと滅茶苦茶にしてぇ〜〜」
 ギュッと抱き付かれると、ウィリーエの方が大きいせいか、体全体が滑らかな肌と柔らかな肉に包まれている状態になってたまらない。
「分かったよ……まあ、言われなくてもそうするけどな……」
 神治は首筋に舌を這わせながら、ゆっくりと腰を突き上げ始めた。
「あっ、あっ、ああっ……はぅっ、いいっ、あんっ……神治さまのオチンチン、あっ……いいっ……」
 小刻みに、まるでマッサージ器であるかの様に神治は腰を細かく動かした。
「やだ、あっ……やだ何これ、あっ……やっ、あんっ……やだ変、あっ……これ変だよ、あっ……変なのぉっ……」
 その刺激にウィリーエは顎を仰け反らせ、頭を激しく左右に振った。
 すると金色の髪がキラキラ光りながら周囲に舞い、その美しさに見とれる。
 今自分が抱いている肉体は何と美しいのだろうか。
 これまで幾人も女性を抱いてきたが、やはり白人の体の美しさはその中でも素晴らしかった。
 無論日本人の体も素晴らしいのだが、見慣れない造形の美しさは新鮮な味わいとして神治の美的、性的感覚を強く刺激していたのである。
 これまでも白人であるユイリーエやアンリーエを抱いては来たが、彼女たちはまだ幼いせいかこうした完成された女としての白人女性の美しさに触れるのは初めてだったのだ。
「あんっ、あっ……はんっ、あっ……胸、あっ……胸を、ああっ……胸をそんなぁっ……」
 まさに肉の塊というべき乳房を両手で持ち上げる様にして掴み、ギュッと握りしめつつ指先で乳首を弾くと、ウィリーエが泣きそうな顔をして悶えた。
 どうやらかなり感じる箇所らしい。
 巨乳は感じにくいという俗説を否定するかの様なその反応に、神治は嬉しくなりながら何度も乳房を揉みしだいていった。
「ああっ、あっ……やっ、やっ……そんなに揉んじゃ嫌ぁ、あぅっ、あっ……そんな、あっ……そんなのは駄目ぇ、ひゃぁんっ……」
 続けて揉みつつ、乳首に口を押しつけ思い切り吸い上げると、ブルブルと体を震わせるのが可愛らしい。
 乳房と同じくやはり大きな乳首は、口の中に入れて転がす様にすると何とも言えない心地良さがあった。
 唇が乳首に触れると、いつまでも吸い付いていたい気持ちにさせられるのである。
 これほど吸いやすい乳首は他に無いだろう。
「あぅっ、あっ、あやぁんっ……ダメって、あっ……ダメってダメぇっ……神治さまそこばっか、あんっ……そこばっかダメぇんっ……」
 乳首にチュウっと吸い付き、弾く様にして舌を動かすと、ウィリーエはガクガクと体を震わせ、頭を何度も仰け反らせた。
「やぅっ、やっ、やはぁっ……揉むのも、あっ……揉むのもダメよぉっ……あんっ、だからって吸っちゃ、あっ……吸うのもダメぇっ……やだ、あっ……それやだぁっ……」
 乳房を揉み、乳首を吸っていく事で、ウィリーエは激しく悶えた。
 肉棒を押し込んでいるというのに、そちら以上に反応を示しているのだから面白い。
「あんっ、あっ、あぐぅっ……あっ、あっ、ああっ……」
 続けてギュッと抱き締め、体全体を擦り合わせる様にして上下運動を繰り返す。
 そうすると体中からゾクゾクする様な快感が押し寄せ、神治はうっとりとなった。
 何しろウィリーエの肉体はどこに触れても気持ちがいいため、それを胸や腹などといった敏感な肌で味わうと、蕩けそうな快感に包まれるからだ。
「やっ、やぁっ、やぁんっ……神治、あっ……神治さま、ああっ……神治さま凄いのぉっ……」
 目の前にある青い瞳は快楽に潤み、薄桜色をした唇からは涎がだらしなく垂れている。
 顎の下を擽る様にして舐め回し、首筋を強く吸っていくと、口の中に甘い味わいが広がって肉棒がビクンっと反応を示す。
 それはまるで媚薬を飲まされたかの様な感覚であり、ウィリーエの体はその全てが男を悦ばせる物質でできているかの様に思えた。
 抱き締めているだけで射精しそうになる快楽で溢れていたのだ。
「あんっ、あっ、ああっ……はぁ、ああ……はぅ……次はぁ……後ろからするのねぇ……うふん、いいわぁ……激しく、激しくしてねぇ……」
 さらに激しく責め立てたくなった神治は、一旦肉棒を引き抜くとウィリーエを四つんばいにさせた。
 大きな尻が目の前に迫り、その肉の迫力に興奮を高めつつ一気に肉棒を押し込んでいく。
 ズブっ……。
「あっ……」
「ぐっ……」
 すでに何度も味わっている感触だったが、改めて入れ直すとやはりとんでもなく気持ちのいい場所であると思った。
 何しろとにかく何もしなくてもたまらないのだ。
 膣自体が射精を促す刺激を次々と与えてくるため、ただジッとしているだけでも十分に快感を得られるのである。
 その状態で射精し続ける事に満足しても構わなかったが、やはりそれ以上の状態に神治はなりたかった。
 動いた時の刺激はさらなる快感を呼び起こすからである。
 何よりそれによってウィリーエが激しく悶えるのを見るのが最高だった。
 やはり男は肉体だけでなく、精神的にも女を抱いているのだろう。
 いかに自分が女をよがらせ、喘がせているかによって快感を得るのだ。
「あっ、あっ、ああっ……あんっ、あんっ、ああんっ……」
 白い尻をガッチリと掴み、膝立ちになって高速で腰を動かし出すと、ウィリーエが頭を仰け反らせて悶えた。
 真っ白な背中に金色の美しい髪が広がり、こちらの動きに合わせて揺れ動くのに興奮が高まる。
 自分は今、絶世の美女を抱いているのだ。
 絶世の美女を四つんばいにさせ、後ろから肉棒で貫き喘がせているのである。
 それは神治の中の雄を満足させるたまらない状態だった。
 世の中でこれほどの美女を自由にできる男はどれほどいるだろうか。
 その思いは優越感を刺激し、己が物凄い存在になった様な満足感を覚えさせた。
「あんっ、あっ、あはぁっ……いいっ、いいっ、いいぃんっ……神治さまいい、あっ、神治さまいいの、あっ……神治さまもっとぉっ……」
 体と体がぶつかり合い、性器同士が擦れ合うたびに快感が押し寄せ、甘い喘ぎが周囲に響く。
 ウィリーエはシーツをギュッと掴み、美しい金髪を左右に振りながら、何度も頭を仰け反らせた。
「やんっ、やんっ、やぁっ……そんな、あっ……そんなの、あんっ……そんなの凄いぃっ……わたしダメ、あっ……わたしダメなの、あんっ……わたしダメなのよぉっ……」
 貫かんばかりの勢いで腰を動かすと、こちらに泣きそうな表情を向けてくるのがたまらない。
 そのままガクリと腕を崩したため、尻だけが高く持ち上げられた姿勢になった。
 同時に膣内もキュウっと締まり上がり、その早く精を寄こせと言わんばかりの体の反応に神治は歯を食いしばった。
「あふっ、あっ、ああっ……もうっ、もうっ、もぉっ……わたしイく、あっ……わたしイっちゃう、ああっ……わたしイっちゃうのぉっ……やっ、やっ、やぁんっ……」
 もう限界といった感じで振り返ってくるウィリーエの表情にゾクリとした想いを抱く。
(何て……何ていやらしいんだ……)
 まさに淫靡な女神というべきか、この姿を見て射精せずにいられる男などいないだろう。
 一気に射精感が高まり、神治はラストスパートとばかりにそれまで以上に強く早く腰を振りまくった。
「あんっ、あんっ、ああんっ……ダメ、あっ……イく、あんっ……もうっ、やっ……わたし、あんっ……わたしわたしぃっ……やんっ、やんっ、やぁあああああああんっ!」
「うぉおっ!」
 ウィリーエの絶頂と共に強烈な吸引が起こり、それに耐えられなくなった神治は一気に精を放った。
 ドピュドピュドクドクドクドクドク……。
 激しい勢いで精が放出され、そのたびにとてつもない快感が湧き起こった。
 ウィリーエの尻をギュッと掴みながら、ガクガクガクと体を震わせつつ何度も何度も射精を繰り返していく。
 いつまで経っても精の放出は止まらず、押し寄せてくる快感に神治は頬をだらしなく緩めた。
 しばらくしてようやく射精を終えると、ゆっくりと横に倒れ込む。
「はぁ……すてきぃ……神治さまぁ……すてきよぉ……」
 うっとりとした顔をしたウィリーエがギュッと抱き付いてくる。
 子猫の様に頬ずりし、甘える様にしてくるのが可愛らしい。
 そうされると肉棒が一気に回復するのだから凄まじかった。
 触れられているだけで体中に快感が走るのだ。
「ね、もっとぉ……もっとしましょぉ……わたし、もっと神治さまとエッチしたぃ〜〜、んっ、んんっ……」
 首にしがみつき、唇を重ねてくるのにさらに快感が高まる。
 口内に舌が入り込んでこちらの舌に絡みついて吸ってくるのがゾクゾクする様な気持ち良さを与えてきた。
「するに決まってるじゃないか。俺だってもっとウィリーエとしたいからな……」
「本当?」
「ああ、本当だとも……」
 そう言いながら乳房をギュッと掴む。
「ひゃんっ……もう、エッチぃ……でもでもぉ、エッチな神治さまって素敵ぃ……」
 可愛らしく微笑むウィリーエを見ていると、抱かずにはいられない衝動に身も心も包まれた。
 そのままのし掛かり、肉棒を押し込んでいく。
「あぅんっ……嬉しい、あっ……そう、そうよ、あっ……そうやってもっとぉっ……」
 腰を動かし出すと嬉しそうに微笑みながら喘ぐのに興奮を高めつつ、神治はさらなる快楽を求めて肉棒を出し入れしていった。
 そこには目の前の美女を抱く、極上の肉体を抱く意識しかなかった。
 相手がただの女ではなく他人の妻であり、それを抱くのが不貞な行為であること、また部屋の外では自分を案内しようと待っている可憐な少女がいる事などは、すっかり頭から消えていた。
 その様な事を気にとめる余裕はすでに無くなり、柔らかで湿り気のある肉の中に己の一物を押し込み、腰を振る行為にしか意識は向かなかったのだ。
 それこそが全て、女を喘がせ、精を注ぎ込む事が全てだったのである。
「あっ、あっ、ああっ……いいっ、いいっ、いいぃっ……神治さま凄いぃっ……」
 己を褒め称えるウィリーエの様子に誇らしくなる。
 自分はこの美しくもいやらしい女神をこうして自由にし、快楽を得ている。
 最初は子供の様にあしらわれていた自分がだ。
 それは何とも誇らしく、満足感をもたらす状況だった。
(そうだっ、俺は凄いっ、俺は凄いんだぁっ……)
 異国の地でその国の女神を悶え狂わせている事に神治はとてつもない興奮を覚えつつ、いつまでも尽きる事のない肉欲に突き動かされ、貫かんばかりの勢いで荒々しく腰を振っていくのだった。












あとがき

 ようやくここまで来ました。
 天女の登場です(笑)
 あのネタを考えた時に、いつか天女の国へ行かせようと思っていたのでそれを実現させた訳ですよ。
 大分前に考えついた事なので書けた事が嬉しいですわ。
 また一区切りついたって感じですか。
 今回の話は、とにかく神治をとんでもない快楽の世界へ招待しようという趣旨で書きました。
 前回、前々回とかなりロマンチックな綺麗な描写になっていたので、久しぶりにエロスな世界に戻った感じですかね。
 やはり熟女相手にはこういういやらしさが無いと楽しくありませんわ(笑)
(2007.9.27)



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