緋道の神器


        第十六話  修練場



 神治はこの三ヶ月、楽しい日々を過ごしていた。
 何故なら休日は一日中、そして平日は学校が終わるとすぐに村をうろつき、気に入った女性を見つけてはセックスしまくっていたからだ。
 ここ緋道村では、知り合い程度でも気軽に肉体関係を持つため、そういった事が可能となっていたのである。
 だがさすがに初対面の人間といきなりできる事は稀であったため、神治の行為はかなり異常と言えたのだが、それには一つの秘密があった。
 三ヶ月前に手に入れた「眼力」という能力により、見つめるだけで相手を性的に感じさせる事ができるようになっていたのだ。
 それにより、会った瞬間相手を性的興奮状態に追い込み、自分を求めさせていたのである。
 無論、普通はいくら感じたからといってそうそうセックスをするはずもないのだが、ここ緋道村においては違っていた。
 村の住人は常に性的能力の高い者と交わる事を楽しみにしているため、見つめるだけで感じさせる相手などは、「一体どれほどの快楽を与えてくれるのか」と惹かれずにはいられない存在だったのだ。
 神治はこの三ヶ月ですでに百人ほどの女性と交わっており、それだけの人数を相手にした事にたまらない喜びを感じていた。
 男として、いや雄として多くの雌に種付けする行為は激しい興奮である。
 それは本能からくるものなのだろうが、何とも言えない震えるほどの快感があった。
 数ヶ月前、中学生を相手に二日で百人ほどとセックスをしたが、それとはまた違った思いが今回の行為には存在した。
 あの時は事前に用意された状態であり、相手も初めから抱かれる事を望んでいたが、この三ヶ月間行なってきたのは、道端などでいきなり声をかけて行為に及ぶという、何とも狩猟的側面があったからである。
 自分の力で相手をその気にさせ、己の物とする快感。
 それは強姦における興奮にも似たたまらない喜びだった。
 以前親友の哲矢に、「当主だったら、村中の女を抱くくらいのつもりでいてくれないと」などと冗談交じりに言われた事があったが、今神治がしているのはまさにそれを実践している状況と言えただろう。
 とにかく気に入った女という女を自分の物とし、精を注ぎ込む事を非常に楽しんでいたのである。


「あの、お姉さん……ちょっといいですか?」
 前を歩いているスーツ姿の女性に神治は声をかけた。
「え、なに? あっ……」
 振り向いた瞬間、意志を込めて目を見つめると、女性は体をビクビクっと震わせ、頬を上気させた。
 太ももを微妙に擦り合わせているのは、突然襲った刺激に股間が濡れてしまったためだろう。
「こっちで俺と……しませんか?」
 首で道の脇を指し示し、来るように促す。
 緋道村で「しないか?」と問いかける事はセックスの誘いであり、それだけの事で皆気軽に肉体関係を結んでいた。
 とはいえ、それは知り合い程度の関係になってからの話であるため、このように初対面で、しかも道端で誘うのは滅多にされる事ではなかった。
「え、ええ……いいわよ……」
 だがその女性は戸惑いながらも承諾の言葉を呟き、ゆっくりと近づいてくる。
 それを確認した神治は、道の脇にある森の中に入り込み、少し開けた場所まで女性を連れて行くと、大きな木に寄りかからせるようにして優しく抱き締めた。 
「お姉さんのこの服、何かいいですね。俺、興奮しちゃいますよ」
「これってただのスーツよ……こんなので興奮するの?」
 年齢は二十四、五だろうか、知的な雰囲気のあるその女性は、美しい顔を上気させながら可笑しそうに笑った。
「当然でしょ。お姉さんみたいに綺麗な人が着てるんだから……」
 そう褒め称えながら、ゆっくりと唇を重ねていく。
 その女性が休みの日になぜスーツ姿なのか、どういった仕事をしている人間なのか、そんな事は神治にとってどうでも良いことだった。
 問題はこの女性が美人であり、気持ちの良さそうな体をしているという事だけだ。
「んっ……んんっ……んぅ……ありがと……なかなか口も、キスも上手ね……」
 ボォっとした表情を浮かべながら女性は嬉しそうに微笑んでいる。
 その言葉に再び唇を重ねる事で答えながら、そのままほど良く膨れている乳房をスーツの上から鷲掴んで揉みしだく。
「んんっ、んっ……んんっ……」
 女性がピクっと体を震わせるのを満足げに見ながら、神治は顔を左右に入れ替えて唇を激しく擦り、舌を強く吸っていった。
「んっ、んっ、んふぅっ……んんっ……んぁっ……」
 スカートを捲り上げてパンティの上から秘所を撫でると、女性は小刻みに体を震わせ、耐えられないように体を預けてきた。
「気持ちいいですか?」
「ええ、何か凄いわ……キスして……少し触られた、だけなのに……」
 荒い呼吸を繰り返しながら女性は潤んだ瞳を向けてくる。
「もっと凄くしてあげますね……」
 胸元のボタンを一つ一つ外し、シャツを捲くり上げてブラジャーに包まれた膨らみを顕わにする。
 続けてブラジャーを押し上げると、柔らかそうな乳房の先端ではすでに乳首が嫌というほど勃起しているのが見え、神治はそれにチュッと吸い付いて舌で絡めるようにして吸っていった。
「あっ、あんっ……ああっ……いいわ、あっ……いいっ……あなたいいぃっ……」
 もう片方の乳房をギュッと掴み、回転させるように揉みしだきながら口の中にあるコリコリとした感触を味わう。
「ああっ、あっ……やっ……ああんっ……」
 体をクネクネと動かしつつ、女性は呼吸を乱して甘い声を上げ続けた。
 再び秘所に手を持っていき、そこに刺激を与えながら乳房への愛撫を強めていく。
「あんっ、ああっ……やっ、はぅっ……ああっ、いいっ……もっと、あんっ……ね、もっとぉっ……」
 まるで年下の少女であるかのように甘えてくる女性の様子に嬉しくなってくる。
 もう何度こうした姿を見ただろうか。
 女は快楽に浸り始めると皆幼さを表してくる。
 男に甘え、さらなる快感を求めてくるのだ。
 それは男にとり、支配欲を刺激されるたまらない反応だった。
 特に年上の女性を相手にしている今のような状況ではそれがさらに強まった。
 年長者という、本来己より上の存在である相手を自由にする事が、年下を相手にする時よりも支配欲を刺激するのだろう。
 ここ最近神治が年上ばかりを相手にしているのもそれが理由だった。
「ああっ、あっ……あなたいいわ、はぅっ……凄いの、あんっ……触られ、あっ……舐められてる、やんっ……だけなのに、ああっ……こんな、あぅっ……こんなにぃっ……」
 女性は頭を左右に激しく振って悶えている。
 はだけたスーツから白い肌を見せ、頬を上気させて甘く喘ぐその姿にはたまらないモノがあった。
 スーツという本来固いイメージのある服装を乱し、隠された柔らかな肉体を貪っているという状況が興奮を誘うのかも知れない。
 防御が固いゆえに、それを突破しているような快感があるのだろう。
「あっ、ああっ……やんっ……ね、入れて、あぅっ……もう入れて、あっ……わたし、ああっ……わたしもう我慢できないのぉっ……」
 体を小刻みに震わせながらギュッと抱き付いてくる女性の態度に嬉しさを感じつつ、神治はその望みを叶えようと立ち上がった。
「じゃ、入れますよ……立ってするんで気をつけて下さいね……」
 泣きそうな表情を浮かべながら頷く女性に笑いかけると、パンティをゆっくり引き下ろし、赤いハイヒールを履いた細い脚を抱えた神治は、女性を木に押し付けるようにして一気に肉棒を膣穴へ押し込んでいった。
「あぅんっ……あっ、あっ、ああっ……いいっ、凄い、あっ……いきなり凄いわぁっ……」
 女性の体重を持ち上げるようにして強く突き込み、荒々しくピストン運動を開始する。
 立ってしているため重力の作用があるせいか、一突きごとにズン、ズン、と体全体に響くような迫力があった。
「あぐっ、あっ、ああんっ……こんな、あっ……こんなの、ああっ……こんなの凄いぃっ……」
 それは女性の方も同じであるらしく、体が下に落ちるたびに頭を激しく仰け反らせ、背中をギュッと掴んでくる。
 視線を下に向けると、タイトスカートが激しく捲くれ上がり、白い太ももが丸出しになっているのが見えた。
 普段女性の大切な部分を隠しているスカートが腰布のような状態になっているのは凄く卑猥であり、まさに女を己の物とした証しのように思えて満足感が込み上げてくる。
「ああっ、あっ、ああんっ……いいっ、いいっ、いいぃんっ……凄い、あぐっ……凄いの、ああっ……あなた凄いぃっ……」
 己を褒め称えてくる女性を可愛く感じながら、神治はさらに突き込みを激しくしていった。
「あっぐ、あっ……あんっ、あんっ、ああんっ……もっとっ、もっとっ、もっとぉっ……」
 しがみ付いてくるのをさらに強く突き上げ、しばらくそうして何度かピストン運動を繰り返した後、ゆっくりと女性の体を下ろす。
 快楽に朦朧としているのを促し、木と向かい合わせで尻をこちらに突き出す姿勢をとらせると、今まで肉棒で荒しまくっていた秘所が丸見えとなり、その淫猥な状態に興奮が高まった。
「今度は後ろから……入れます、よっ」
 形のいい尻を掴み、再び肉棒を押し込んでいく。
「あぅんっ、あっ、あっ、ああっ……いい、あぅっ……いいわ、ああっ……後ろからがいいっ……」
 背後からという新たな挿入感に興奮を高めたのか、女性は頭を仰け反らせて悶えている。
 その様子を眺めながら、神治は柔らかな尻を抱えて腰を前後に激しく動かしていった。
「あぐっ、あっ、ああっ……やんっ、やっ、やぁんっ……」
 スーツ姿の女性が少女のような可愛らしい声を上げ、快楽を求めて尻を振る姿はたまらなかった。
 大人の象徴であり、仕事という人間ならではの行為をするための服であるスーツに身に包んだ女性を抱く事は、まるで己の肉棒で貫く事により、女という気取った仮面を剥ぎ取り、欲に狂う雌を呼び覚ましているような行為に思えたのだ。
「ああんっ、あっ、ああっ……はぅっ、はっ、はぁんっ……いいわ、あぅっ……いいの、あんっ……たまらないわぁっ……」
 快楽に溺れる時、どんなに澄ました女であろうとも必ず最後は一匹の雌となる。
 それはこの数ヶ月、多くの女性と交わる事で結論付けた神治の認識だった。
 どれほど地位や身分、年齢に差がある女であろうと、抱いている時だけは皆同じ雌でしかない。
 快楽を味わう行為になってしまえば、しょせん人間は動物になってしまうのだ。
 そこにはどんな知識や経験も意味を成さないだろう。
 ただ快楽を求め、味わう欲が溢れているだけなのだ。
「あぐっ、あっ、ああんっ……凄いっ、凄いっ、凄いぃっ……あんっ、あんっ、あやぁんっ……」
 振り返ってこちらを見る女性の顔には淫靡な表情が浮かび、知的さを思わせた美貌はすでに淫猥に歪み、口からは知性の欠片もない喘ぎが漏れ続けた。
「ああんっ、あっ、あはぁっ……それ、あっ……それよ、ああっ……それをもっとぉっ……」
 いやらしく乱れる女性の姿に神治の興奮も高まり、腰の動きにも力が入っていく。
「あんっ、あんっ、ああんっ……駄目、あっ……もう駄目、ああっ……もう駄目なのぉっ……」
 限界が近いらしい女性の言葉に、神治も一気に射精しようと腰の動きをさらに強めた。
「やっ、やっ、やぁっ……私イく、あぅっ……私イくの、ああっ……私イっちゃうぅっ……あっ、あっ、あぁあああああああああんっ!」
「うぉっ!」
 女性の絶頂に合わせて精を放つ。
 ドピュドピュドクドクドクドク……。
 肉付きのいい尻をギュッと握り締め、歯を食いしばりながら射精していく。
 ビクンっ、ビクンっ、と肉棒が震えるたびに己の精液が女性の胎内に注がれていくのを感じる。
「く……う……ふぅ……」
 何度か腰を振り、そのたびに精を放った後、神治は力を抜いて女性の体から手を放した。
 そのまま木にしがみつくようにしている女性を見ながら、また一人の女を己の物とした喜びに浸る。
「ああ……良かったわ……あなたって、まだ子供なのに凄いのね……」
 女性がゆっくりと振り返り、ボンヤリした顔のまま呟いてくる。
「ありがとうございます……でもお姉さんの体も凄くいいですよ……」
「ふふ、ありがとう……」
 嬉しそうに微笑みながら、女性は木に寄りかかるようにして座った。
 神治もその横に腰掛け、肩をくっつけるようにして体重を預ける。
「でも不思議ねぇ……あなたとは初めて会ったのに……何でしちゃったのかしら……?」
 女性は不思議そうに己の行為を振り返っている。
「俺はお姉さんとしたくなったんです。そしてそれにあなたは答えてくれた。男女の関係なんてそんなものでしょ? 過程なんかより、結果的に気持ち良ければそれでいいじゃないですか」
 そう言いながらジッと女性の目を覗き込む。
「あっ……やだ……」
 その瞬間、女性は体をビクビクと震わせて甘い声を上げた。
「どうしたんですか?」
 理由が分かっているにも関わらず、神治はニヤリと笑いながら問いかけた。
「もうっ、それよそれっ。その目、その目がいけないの……あなたの目に見つめられると私……我慢できなくなっちゃう……さっきしちゃったのもそのせいなんだから……」
「嫌でした?」
「そんな訳ないでしょ、あなたは素敵よ……その証拠にまた私、したくなってるんだから……」
 女性はそう言いながら唇を重ねてきた。
 舌を激しく絡ませ、吸い合いながらお互いの唾液を交換する。
「んんっ、んっ……んふぅ……ふふ、不思議な目……その目を見てると抱かれたくてたまらなくなるわ……」
「みんなそう言いますよ」
 神治はそう呟きながら女性を押し倒し、今度は上からその甘い肉を貪ろうとのしかかっていくのだった。


 スーツ姿の女性と数度交わった後、神治は再び散策を始めた。
 こうしてこの三ヶ月、女を抱いては歩き、抱いては歩きしていたのだ。
 村とはいえ広大な広さがあり、大都市と比べて遥かに少ないとは言うものの、それなりに人口のある村の中では、神治を当主と知らない人間も多く、ただの中学生として振舞えるのもこの行為が楽しい理由の一つだった。
 何より目に付いた女性をすぐに抱けるというのは、男としてたまらなく興奮と喜びを感じる事であり、三ヶ月間続けられるほどの面白い遊戯のようなものだったのである。
(あ……いい女……)
 そんな事を思っていると、不意に目の端に神治好みの女性が映った。
 歳は三十代後半くらいだろうか、庭先で洗濯物を干しているその女性は実に肉感的なそそる体をしており、動くたびに胸元で豊満な膨らみがプルルンと揺れるのがたまらなかった。
「こんにちは……」
 ゴクリと唾を飲み込みながら、すぐにでも抱き締めたい衝動を抑えつつ静かに声をかける。
「はい?……あぁっ!……な、なに? あっ……」
 目が合った瞬間、女性は体を小刻みに震わせ、耐えられなくなったようにクタクタとしゃがみ込んだ。
「大丈夫ですか? どうしたんです?」
 ヌケヌケとそんな事を言いつつ近づいていく。
「いえ、急に私、ああっ!……こ、これって……」
 女性は神治を見上げた途端、再び目が合ったためかまた体を震わせている。
「取り合えず中に入りましょう。休んだ方がいい」
 肩に手を回すと、ゆっくり立ち上がらせる。
「あ、あなたは……?」
「俺は通りすがりの中学生です……家には誰かいるんですか?」
「い、いないわ……私一人なの……」
 ハァハァと息を乱しながら部屋に上がる女性に付いていきながら、神治は心の中でしめしめと思った。
 家族がいなければ思う存分セックスできるからだ。
 別に家族がいようと止められる事はないのだが、やはり誰もいない方が何となく落ち着くのである。
「じゃ、帰ってくるのはいつ頃なんです?」
 何回セックスできるだろうかと思いながら尋ねる。
「帰って……くる……?」
 だがその言葉を聞いた瞬間、女性は何故か寂しそうな表情を浮かべて黙り込んだ。
「どうしたんですか?」
「何でもないわ。帰ってくるのは……そう、夏頃かしらね……」
 女性は小さな声で答えながら、遠くを見るような目をしている。
「随分先ですね……」
 その奇妙な答えに神治は首を捻った。
 夏になるにはまだ半年ほどあったため、それまで帰って来ないというのが良く分からなかったのだ。
 どういう意味なのかと考えつつ、ゆっくり女性を畳の上に座らせる。
「あの子は夏休みにならないと帰ってこないから……」
「あの子?」
「息子よ。今東京の大学に通ってて、あっちで一人暮らしをしてるの……」
 なるほど、それならば夏まで帰って来ないという意味も分かった。
「他に家族はいないんですか?」
「ええ、うちは私一人……」
 それは何とも寂しい状況だった。
 とはいえ、近所同士が家族同然であるこの緋道村においては、それほど辛いという事はないように思えた。
 何しろ隣の家というのはお互い最もセックスしやすい環境であり、相当に仲が悪くない限りはかなりの親しさで付き合っているからだ。
 この女性が寂しそうなのは、おそらく息子と離れているためだろう。
 神治も以前、数日ほど家族と離れていた時に、母に「寂しかったわ」と言われた事があったため、この女性もきっと同じに違いないと思ったのである。
「それは寂しいですね……でもそれなら、俺が息子さんの代わりをしましょうか?」
「え……?」
「小母さんを……抱かせて下さい……」
 そう言いながら強く抱き締める。
「ああっ……だ、駄目よそんな……会ったばかりなのに……」
 女性は少し抵抗を示す言葉を言うが、本気で嫌がっているようには見えなかった。
「でも俺、さっきから小母さんを抱きたくて仕方ないんです……小母さんは違いますか? 俺を見て興奮してないですか?」
「そ、それは……」
 弱々しく逸らす視線は肯定を表していた。
 というより、最初に快感を感じたとしか思えない声を上げているのだから確認するまでもないのだが。
「いいですよね? 嫌ならハッキリ言ってください。それなら止めますから……」
「そんな……でも……」
 女性はどうしたらいいのか分からないのだろう、あやふやな言葉しか発しない。
「いいんですね? じゃ、しますよ……」
「ああっ、駄目ぇ……」
 そう言いつつも全く逆らわない女性をさらに強く抱き締め、その肉付きの良い唇に吸い付いていく。
「んんっ……んっ……んんっ……」
 舌を押し込み絡ませると、されるがままであったのは少しの間だけで、すぐさま女性は積極的に舌を吸ってきた。
「んっ……んんっ、んっ……」
 唇を激しく擦り合わせながら、会った瞬間から目をつけていた豊満な乳房に手を伸ばし、服の上からギュッと掴む。
「んんっ! んっ……んふぅっ……」
 女性の手が神治の腕を強く握り締め、放そうとするかのように引っ張ってくるが、そのまま乳房を荒々しく揉みしだくとガクリと力を抜いた。
 その膨らみは非常に柔らかい上、なかなかの弾力を持っており、大きさと相まってたまらない快感を手のひらに伝えてきた。
 予想通り揉み心地の良い乳房を夢中になって揉みながら、神治はゆっくりと女性の体を押し倒していった。
「んっ、んっ、んんぅっ……んっ……」
 顔を左右に入れ替えながら激しいキスを繰り返しつつのしかかっていくと、体全体に女肉の柔らかな感触が広がって興奮が高まる。
 熟女らしく脂の乗ったその肉体は、まるで男を誘うために存在しているかのように神治の欲情を高めて落ち着きを無くさせていった。
「んっ……んはぁ……あぁ……あ……」
 唇を放すと、女性は朦朧とした様子で虚ろな目をこちらに向けてくる。
「素敵ですね……たまらないです……」
 そう呟きながらゆっくりと女性の服を捲くり上げ、ブラジャーを押し下げると、多量の肉の塊が現れてプルルンと揺れ動いた。
 膨らみの頂点では快感の度合いを示すようにプックリと乳首が勃起しており、男ならば吸い付かずにはいられないであろうそのさまに、神治は荒々しく唇を押し付けていった。
「ああんっ……あっ……はぅっ……」
 チュパっと吸い上げると、女性が体を小刻みに震わせて甘い声を上げた。
 そのまま強く吸い付き、舌を絡ませながら乳房を揉みしだいていく。
「あんっ、あっ……やぁっ……ああっ……あっ……」
 頭を左右に振りながら潤んだ瞳をこちらに向け、女性は少女のように悶えた。
 その様子に興奮を高めた神治は、乳首を激しく弾きながら何度もチュパチュパと吸っていった。
「あっ、あっ……やぁんっ……はぅっ、あっ……はぁんっ……」
 甘い喘ぎ声を漏らしながら快感を得ている女性を見つめつつ、手を伸ばしてスカートを捲くり、パンティを脱がしていく。
 すでにヌレヌレな秘所に指を這わし、ポツンと立ち上がっている突起を優しく撫でる。
「ああんっ! あっ、ああっ……それ、あっ……それぇっ……」
 神治の頭に置かれた手に力がこもり、ブルブルと震えているのが分かる。
「もっと気持ち良くして欲しいですか?」
 そう問いかけると、女性は勢い良く首を縦に振り、潤んだ瞳で早くして欲しいと訴えてきた。
 その様子に満足な思いを持ちつつ体を下に移動させると、スカートの中に頭を突っ込み、勃起した突起をベロリと舐め上げる。
「ああっ! あっ、ああっ……やぁっ……あっ……ああんっ……」
 続けて包み込むように舌を動かし、荒々しく刺激していく。
「はぅっ、あっ……はぁんっ……いっ、ああっ……いいの、あんっ……いいぃっ……」
 我慢できないように体をクネクネとさせ、女性は太ももで頭を強く挟んできた。
「あんっ、あっ……やぁんっ……もう、ああっ……もう駄目ぇっ……あっ、ああっ……ね、お願ぁい、はぅっ……入れて、ああっ……早く入れて、あんっ……あなたのぉ、入れてぇっ……」
 その言葉に神治は満足な笑みを浮かべながら起き上がった。
 こうして女性の方から自分を求めさせるのは最高に気分が良かった。
 無論強引に押し込むのもそれはそれで快感なのだが、甘えた声でおねだりされるのがたまらなかったのである。
「じゃ、入れますよ……」
 すでにギンギンになっている肉棒を持ち、濡れに濡れている熟れた女肉へと押し込んでいく。
「あぁんっ……」
「うぅっ……」
 亀頭が収まった瞬間、ヤワヤワとした感触と共に蕩けるような肉の快楽が湧き起こってくる。
 ジットリと染み入るように膣襞が肉棒に絡み付き、優しく締め上げてくるのだ。
 それは若い肉体ではありえない、熟女ならではのうっとりするような心地良さだった。
「あっ、あっ、ああっ……あんっ、あんっ、ああんっ……」
 腰をゆっくり動かし出すと、年齢に不似合いな可愛らしい声が部屋に響く。
 その外見との差異がまた、己の与えている快楽の強さを思わせて興奮が増していった。
 どれほど気取った女であろうと、こうして肉棒を押し込み、腰を動かしさえすれば幼子のように喘ぐのだ。
 それは男にとり、女を支配下に置いている証明のように思え、支配欲を刺激されるたまらない状態だった。
「やっ、はぅっ、やぁっ……あんっ、はぁっ、やぁんっ……」
 腰の動きに合わせて豊満な乳房が揺れ動き、その振動が肉棒を通じて伝わってくると、まさに今自分が女性と繋がっているのだという実感をもたらして興奮が高まっていく。
「ああっ、あっ、ああんっ……いいっ、いいっ、いいぃっ……若い、ああっ……若いの、あんっ……若いわぁっ……」
 女性は強く抱き締めてくると自ら唇を重ね、舌を絡みつかせてきた。
「んんっ……んっ……んはぁっ……やっぱり若い子はいいわ、あんっ……若いと元気で、あぅっ……たまらないぃっ……あっ、ああっ……こんなのあんっ、久しぶりよぉっ……」
 どうやら若い男としばらくしていなかったらしい。
 女性は嬉しそうな表情を浮かべつつ、逃がすまいとするかのように両脚を腰に絡ませてくる。
「あっ、ああっ、ああんっ……オチンチンが、あぅっ……こんなに激しく、ああっ……突いてきて、はんっ……たまらない、ああっ……あなた、あぅっ……あなた凄いわ、やぁっ……息子より凄いのぉっ……」
 見たこともない相手ではあったが、他の男より優れていると褒められて嬉しくない男はいないだろう。
 神治は会った事もない女性の息子に勝った喜びに、さらに腰の動きを強めていった。
「あぅんっ、あっ、ああっ……そんなの、あっ……そんなの凄いぃっ……駄目、いやっ……ああんっ……そんなにされたら、はぅっ……わたし、あっ……わたしぃっ……やっ、やっ、やぁんっ……」
 背中に爪が立てられ、腰も強く挟まれる。
 自然と膣内もキュウっと肉棒を締め上げ、神治は限界を感じた。
「そろそろ俺っ……イきますよっ……いいですかっ……?」
「いいわっ、いいの、ああんっ……出して、はぅっ……思いっきり、ああっ……あなたの精液ぃっ……あっ、あっ、ああんっ……」
 女性は小刻みに頭を仰け反らせながら、いやらしい微笑みを浮かべて甘く喘いでいる。
「ああっ、あっ、ああんっ……もうっ、もうっ、ああっ……もう駄目よぉっ……やっ、やぁっ、やぁんっ……イっちゃうっ、イっちゃう、あはぁっ……わたしイっちゃうのぉっ……あんっ、あんっ、あぁあああああああああんっ!」
「うぉっ!」
 女性の絶頂に合わせて神治も精を放つ。
 ドピュドピュドクドクドクドク……。
 勢い良く精液が放出されていく。
 尿道を刺激してくる感触に恍惚の表情を浮かべながら、神治は何度も何度も射精していった。
 しばらくして全ての精を放ち終えると、ゆっくり女性の体の上に倒れ込む。
 ハァハァと二人の荒い呼吸が部屋に響き、神治は女肉の心地良い感触にうっとりとなった。
「あなた……凄いわ……わたし、こんな気持ち良かったの初めてよ……」
 女性が快感に上気した顔で見つめてくる。
「そうですか……喜んでいただけて俺も嬉しいです……」
 神治はニッコリと微笑み返した。
 初めは強引に感じさせている以上、女性が快楽を得てくれる事が一番の喜びだったのだ。
 こうして自分だけでなく相手も気持ち良くなってくれれば、それはすでにお互いの共同行為となり、無理やり行為に及んだという罪悪感を持たないで済むからである。
「最初はちょっと強引だったけど……それでも凄く良かったから……」
「スミマセン……小母さんを見たらたまらなくなっちゃって……」
「実は私もそうなの。私も最近若い子としてないから……だからあなたみたいな男の子を見ると、ちょっと興奮しちゃってたのよね……」
 女性は自らを笑うように苦笑している。
「どうしてしてないんですか? 息子さんがいるなら知り合いに若い人とかいるでしょ?」
 息子がいるのならばその友人とも交流があるはずであり、それなりに関係があってもおかしくなかった。
 実際神治も友人の哲矢の母や姉たちと何度もセックスをしているのだ。
「うちの子、あまり家に友達を連れてこなかったのよ。だから機会が無くてね……私の知り合いって大人ばかりで、唯一若かったのが息子だったの……」
 女性は寂しそうに息を吐き出している。
「それに若いって言っても息子ももう二十歳になるし……あのね、私ってあなたくらいの男の子としたいのよ……子供って感じの年齢の子とするのがいいの……」
 どうやら女性の言う「若い」とは、「幼い」という意味らしい。
 女のロリコンといったところだろうか。
「じゃあ、もっとしてもいいですか? 俺、もうこんななんで……」
 起き上がり、すでに回復している肉棒を女性に見せる。
「まあ、やっぱり若いのね。凄く元気……ふふ、いいわぁ……」
 トロンとした表情で呟きながら女性は肉棒を見ている。
「小母さんが魅力的だから……俺、たまらないんです……」
 豊満な胸を揉みしだきながら、再び肉棒を押し込んでいく。
「あんっ、ありがと……私もたまらないわ……早く動い、あんっ……そう、ああっ……そうよぉっ……」
 激しく腰を動かすと、女性は甘い声を上げて喘いだ。
 神治はそれを満足げに見ながら、その熟れた肉に身を委ねていくのだった。


 狭い部屋で神治はまぐわっていた。
 少々意識が朦朧としている。
 なぜなら現在受けている快楽が強烈であり、その気持ちの良さにうっとりとしていたからだ。
「あっ、あっ、ああんっ……やっ、やぁっ、やぁんっ……」
 横たわった腰の上では、四十歳ほどの美女がウェーブのかかった長い髪を振り乱しながら、甘い声を上げて激しく体を揺らしている。
 女性の体が上下するたびに、股間から押し寄せる気持ちの良さが脳を蕩けさせた。
 だが神治の口から快楽の声が発せられる事はなかった。
 なぜならそこには肉付きの良い唇が吸い付き、鼻のみでの呼吸しか許されていなかったからである。
 神治の顔に覆いかぶさっているのは、腰の上で喘いでいる女性と同じくらいの年齢の熟女であり、これまた同じく飛び切りの美人だった。
 ストーレートロングの髪を鬱陶しげにかき上げながらキスを繰り返すその女性の舌の動きは、さすが緋道村の住人だと思わせる見事な技巧を有しており、唇が擦れる感触と相まって股間に激しい快感を響かせていた。
「んんっ……んっ……んぁっ……んっ、んっ、んふぅっ……」
 チューっと舌が吸い上げられると肉棒までもが引っ張られるような感覚があり、思わず射精してしまいそうになる。
 だがその刺激は別の箇所から押し寄せる快感によって逸らされた。
 乳首の辺りにチリチリとした、それでいて強烈な快感が感じられていたのだ。
 そこにはこれまた他の女性たちと同年代の美女が顔を伏せており、神治の体にネットリと舌を這わせていた。
「あ……ん……んん……ふぅ……ん……」
 舐められる程度でそれほど感じるはずはないのだが、この女性の舌に触れられるだけで気持ちの良さが押し寄せてきていた。
 どうという箇所ではないはずの腹をペロリと舐められただけで、震えるほどの快感が体中を駆け抜けるのだ。
 ショートヘアの頭を熱心に動かし、時折敏感な乳首にチロリと触れてくるのがたまらず、思わず体を動かしてしまう。
(ああ……この人たち……この人たちって凄すぎだよ……)
 三人の熟女による愛撫を受け、朦朧とした意識の中で神治は溜め息を付いた。
 もうどれくらいこうされているだろうか。
 道端で見かけた美女三人を、いつものように眼力で感じさせて行為に及ぼうとしたのだが、いきなり腕を掴まれ近くにあった小屋に連れ込まれたかと思うと、一気にズボンを脱がされ、三人がかりで肉棒を舐められてしまったのだ。
 先ほど述べた舌の凄さはショートヘアの女性だけに限らず、全員が同じように舐めるだけで強烈な快楽を与えてきた。
 その凄まじい舌をもって肉棒を完全に包み込み、それぞれがそれぞれの意思をもって舐め上げてくるのだからたまったものではなかった。
 色っぽい熟女三人がいやらしい微笑みを浮かべながら、強烈な快感を与える舌で、さらには長年磨いてきたであろう技巧を凝らして愛撫してくるのだから、それに耐えられる男などそういるはずもない。
 すでに神治はそのフェラチオにより、十回以上も射精させられてしまっていたのである。
 無論能力を使えば射精を抑えることも可能ではあったが、無理にそうする必要を感じていない神治は、ただの十四歳の少年として熟女たちの愛撫に反応していたのだ。
 それゆえ常人と変わらぬ間隔で精を放ち、ただ回復力だけは超人的であったため、何度も同じ行為を繰り返していた。
 そして数度の射精の後、さすがに脱力して横たわったところで一人の女性が肉棒を膣に咥え込み、もう一人が唇に吸い付き、最後は体を舐めてくる現在の状態になったのである。
 その後は絶頂に至るたびに女性たちが担当交代を行ない、神治は訳が分からなくなるほど射精を繰り返させられていたのだった。
「あっ、あっ、ああっ……いいわっ、あっ……いいの、ああっ……いいぃんっ……もうイく、あんっ……もうイくわ、ああっ……ボクもイって、あっ……一緒に、あぅっ……一緒にぃっ……あんっ、あんっ、あぁあああああああんっ!」
「んんっ!」
 腰に跨った女性が絶頂の叫びを上げると同時に膣内がキュッと締まり、さらにはキスをしている女性が舌を思い切り吸い上げ、肌を舐めている女性が乳首を激しく吸ってきたため、その強烈な快楽に神治は朦朧とした状態で精を放った。
「あ……ああ……ああん……」
 ビクビクと震えた後、腰に跨った女性がガクリと力を抜いた。
 それと同時に神治も精を放ち終え、体を脱力させる。
「んっ……」
 だがすぐさま唇と乳首に刺激が加えられ、それによってビクンと体が反応すると、股間の肉棒が回復していった。
「ふふ……ホント、ボクって凄いわよねぇ。こんなに凄いなんて小母さんたちビックリよ……」
 腰に跨っていた女性が体を起こしながら呟いている。
「そうそう、もう回復しちゃってるし……若いって言ったって限度ってものがあるわよね……凄すぎよぉ……」
 体を舐めていた女性が微妙に笑いながら見つめてくる。
「私たちのこの技をされてまだまだ元気なんて……信じられないわ……」
 キスをしていた女性が顔を離しながら呆れた顔をしている。
「技って、この三人がかりのヤツですか?」
 ボンヤリとする頭で尋ねる。
「ええ、これをされた男の子はみんなしばらく動けなくなっちゃうの。私たちはその時の顔が好きなのよ。みんなぐったりしていて可愛いから」
 どうやらこの熟女三人組は精神的な意味でのサドらしい。
 責めまくってグッタリした相手を見るのが好きとはかなりのものだ。
「だけどボクったら、いつまで経ってもこんなに元気なんだもの……さすがに疲れちゃったわ……」
「そうよね、私も口が疲れちゃったわよ……」
「この技って、三回に二回は口を使うからねぇ……」
 三人は同時に溜め息を付いた。
「じゃあ、今度は俺が小母さんたちを気持ち良くさせてあげますよ」
「え? いいわよ。私たちは責めるのが好きなんだから」
「うんうん、男に責められるなんて大人を相手にする時だけで十分」
「ボクみたいな可愛い男の子を相手にする時は、責めるだけでいいの」
 神治の提案はすぐさま却下された。
 しかしこれまで責められてばかりいた神治にしてみれば、このサド三人組を自由に喘がせてみたいという思いが強かった。
「でももう疲れちゃったんでしょ? だったらいいじゃないですか。俺も小母さんたちを抱いてみたいんですよ」
「けどねぇ……」
「う〜〜ん……」
「されるのはなぁ……」
 三人の乗り気ではない様子に少しイラ付いた神治は、目に力を入れて熟女たちを見つめた。
「ああっ!」
「やっ!」
「なにっ?」
 途端、三人は体を震わせて床に手を付いた。
 その隙に起き上がった神治は背後に回りこむと、ストレートロングの女性の腰を掴んで一気に肉棒を押し込んでいった。
「あんっ……あ、ボク。駄目よそんな、あっ……駄目って、あっ、あっ、ああんっ……」
 否定の言葉を言うものの、腰を激しく動かすとすぐに喘ぎ声を上げている。
「ね、ボク。私たちは、ああっ……って、どうして……?」
 何かを言いかけるウェーブ髪の女性を目で黙らせると、一旦肉棒を引き抜き、驚いた顔で見ているショートヘアの女性の尻を抱え持つ。
「一体何を、ああんっ……そ、そんな、ああっ……あんっ、あんっ、ああっ……」
 問答無用で膣に肉棒を突き込み、乳房を握り締めながら荒々しく腰を前後に動かしていく。
「あっ、ああっ……わたし、あんっ……どうして? ああんっ……」
 同時に肉棒が収まっていないはずのストレートロングの女性も甘い声をあげ、まるで透明人間に犯されているかのように一人で喘いでいる。
 それは「気」を使う事で可能な複数人を相手にする技だった。
 これを使えば、肉棒を入れていなくとも実際に挿入しているかのような感覚を与える事ができ、さらには自分自身もその分の快感を得られるのだ。
「こ、これって……あ、あなたは一体……?」
 ショートヘアの女性の体を放し、続けて驚きの声を漏らしているウェーブ髪の女性の腰を持って肉棒を近づけていく。
「俺はちょっとした力があってね……三人を一緒に抱けるんですよ……」
 ズブリと膣に亀頭を差し込み、そのまま一気に奥まで押し込む。
「ああんっ……そんな、あっ……そんなのぉっ……あんっ、あんっ、ああんっ……」
 ウェーブ髪の女性が声を上げるのと同時に他の二人も喘ぎ始める。
 神治はその様子を満足げに見下ろした。
 先ほどのように一方的に愛撫されるのも気持ち良かったが、やはり女はこうして従わせた方が気分が良かった。
 これほどの美女たちを四つんばいにさせ、それぞれを背後から貫き、一突きごとに微妙にズレながら頭を仰け反らせる様子を見ていると、男としての支配欲が高まり、肉棒がビクビクと震えるのだ。
「どうですかっ?……いいでしょっ、皆さんっ……」
「あんっ、ああっ、凄い、あぅっ……こんなぁっ……」
「いい、あんっ……いいわ、いいのぉっ……あっ、あっ、ああっ……」
「やぁっ、激し、あんっ……あっ、あはぁっ……」
 三人三様に甘い声を上げ、そこは共通しているのか熟女たちはさらに快楽を求めるように尻を可愛らしく振っている。
 その様子には先ほどまでの責められる事を嫌がっていた雰囲気はどこにも無く、神治の送る快楽を素直に受け入れている雌がいるだけだった。
 神治は数回腰を振ると別の膣へ移動する行為を繰り返し、三人を満遍なく貫いていった。
「駄目、あっ……駄目よこんな、ああっ……駄目なのぉっ……」
「奥まで、ああっ……奥まで響くわ、あぅっ……凄いのぉっ……」
「若いから、あぅっ……動きが、あんっ……痺れるのぉっ……」
 三人の美女が体を震わせながら悶える姿は最高だった。
 特に使い込まれた膣の感触はさすが熟女と言うべきか、肉棒を柔らかく包み込み強烈に吸い付いてくるのがたまらない。
 一人でも絶品と言えるのに、それが三人分ともなればとてつもない快感があって当然だった。
 しかも能力を使い、肉棒を押し込んでいない相手からの刺激も受けているため、三倍の気持ちの良さが股間から脳に押し寄せ、蕩けるような快楽に体中が包まれていた。
「ああっ、あっ、ああんっ……はぅっ、はっ、はぁっ……」
「やっ、やぁっ、やぁんっ……あっ、あっ、あぁっ……」
「はぐっ、はっ、はぁんっ……やっ、やっ、やぁっ……」
 微妙にズレて聞こえてくる喘ぎ声も、己が三人の女を自由にしているという認識を高めさせ、精神的にも興奮が強まった。
(くぅっ……凄いっ……この人たち、凄いよっ……)
 これまでも三人を同時に抱いた事はあったが、今感じているほどの快感は無かった。
 熟女ばかりなのがその原因かもしれない。
 どうすれば男が喜ぶのか染み込んでいるその熟れた肉体は、すでに存在自体が男を狂わす媚薬となっているのだろう。
 吸い付かれる滑らかな肌。
 指が食い込む柔らかな肉。
 欲情を高める甘い体臭。
 獣性を刺激する淫らな喘ぎ。
 意識せずともそれら全てが肉欲をかきたてる雌の媚として神治を誘っていたのだ。
 特に膣はその最たるモノとして、押し込んだ肉棒を蕩けるほどの柔らかさ温かさで包み込み、ヌメヌメとした蠢きでもって優しく愛撫していた。
 早く精を放ちたい。
 この気持ちのいい場所へ己の精液を注ぎ込みたい。
 そういった本能の欲求が神治の射精感を限界まで高めていった。
「ああっ、あっ、ああんっ……素敵よ、ああっ……素敵、あんっ……素敵ぃっ……」
「はんっ、はっ、はぁっ……最高、あっ……最高なの、あんっ……最高よぉっ……」
「やんっ、やっ、やぁっ……凄い、あぅっ……凄くて、ああっ……たまらないわぁっ……」
 熟女たちの得ている快感が高まれば高まるほど膣内の締め付けも強くなり、我慢できないほどの刺激となって神治を責め立てていく。
「もう俺っ……あぅっ……もう駄目ですっ……くっ……もうイきますよっ……」
「いいわっ、いいのっ、いいのよぉっ……出して、ああっ……出してぇっ……」
「私も、あぅっ……私も駄目、やんっ……私も駄目なのぉっ……」
「思い切り、ああっ……思い切り私の中に、はぅっ……ぶちまけてぇっ……」
 振り返って喘ぐ三人の言葉にさらに興奮が高まり、もう終わりだとばかりに神治は腰を激しく振った。
 押し寄せる快楽に意識が朦朧として、誰の膣に入れているのか分からないまま肉棒を激しく出し入れしていく。
「あんっ、あんっ、ああんっ……もう駄目、あぅっ……もうイくの、ああっ……もうイっちゃうのぉっ……あっ、あっ、あぁあああああああっ!」
「やっ、やっ、やぁんっ……私イく、ああっ……私イくの、あぅっ……私イっちゃうよぉっ……あんっ、あんっ、あぁあああああああああんっ!」
「はんっ、はっ、はぅんっ……凄くて、あぅっ……凄いから、ああっ……凄いのよぉっ……やっ、やっ、やぁあああああああああっ!」
「うおぉっ!」
 三人が同時に絶頂に至り、その強烈な刺激が渦となって押し寄せてきたため、限界一杯だった神治はついに肉棒の栓を開いた。
 ドピュドピュドクドクドクドク……。
 激しい開放感と共に、誰だか分からない柔らかな肉の中へ精が放出されていく。
「くっ……うぅっ……くぅっ……」
 ガシガシガシと小刻みに腰を振りながら、何度も何度も射精していく。
 たまらない快感に朦朧とする意識のまま、しばらくそうして精を放った後、ゆっくりと肉棒を引き抜いて後ろにゴロンと転がる。
 荒い呼吸を繰り返しながら、神治は今体験したたまらない快感の余韻に浸った。
「ボクって不思議な事ができるのね……」
「こんなの初めてよ……」
「信じられないわ……」
 三人は激しい交わりによっていやらしさの増している肉体を近づけながら、潤んだ瞳で見つめてきた。
 それだけで肉棒は回復し、また同じように抱きたい欲望が押し寄せてくる。
「あら……?」
「まぁ……?」
「もうなの……?」
 これまでかなりの回数をこなしているのにも関わらず、あまりに早いその回復力に三人は呆れたような嬉しそうな顔を浮かべた。
「あの、またいいですか? 俺、小母さんたちをまた抱きたいんですけど……」
『……』
 熟女たちは一瞬顔を見合わせた後、笑ったまま何も言わない。
「あの?……って、うわっ……」
 不審に思っていると突然三人に抱き付かれ、顔が柔らかくて温かいものに包まれた。
「いいに決まってるでしょ」
「こんなに気持ち良くされちゃって」
「嫌な訳ないじゃない」
 六つの豊満な乳房に埋もれて窒息しそうになりながら、その答えに嬉しくなってくる。
「ホントは責められるのは嫌なんだけど……」
「ボクは別よ……」
「だって凄いんですもの……」
 柔らかな肉の感触に興奮が高まり、ビクンビクンと肉棒が跳ねる。
「じゃ、今度は正面からいきますよ……」
 神治は熟女たちを抱き締めると押し倒し、そのまま肉棒を押し込んでいくのだった。


 熟女たちとの蕩けるような交わりを数回繰り返した後、神治は再び村を散策していた。
 しばらく好みの女性に出会わず歩いているうちに、何やら村の外れ辺りまで来てしまったらしく、周囲はかなり寂しい状況になっていた。
 日も陰り始めており、そろそろ帰宅しても良い時間だった。
(今日はお終い?)
 不意に頭に声が響いた。
(ああ、もう時間も遅いしね)
 神治は視線を隣に向けながら頭の中で答えた。
 そこには金色の髪と真っ白な肌、そして青い瞳を持つ少女が立っていた。
 年齢は神治と同じくらいの十四、五であり、信じられないほどの美少女だ。
 今日一日ずっと傍にいたのだが、誰にも気づかれる事がなかったのは、神治以外に見られる事のない術を使っていたためである。
 彼女の名はユイリーエ。
 見た目は普通の人間でしかないが、実はヨーロッパの古い神の一族だった。
 三ヶ月ほど前に緋道村へやって来たのだが、その時にした神治とのセックスを気に入り、それ以来ずっと傍にいるようになったのである。
(しかしホンに好きモノじゃのぉ、お主は。かれこれ三ヶ月も女漁りか……)
 ユイリーエとは違った声が頭に響く。
 それはユイリーエの隣にいる十一、二歳ほどの少女が発したものだった。
 黒いヒラヒラとした服を身に付けたとんでもない美しさを持つその少女は、外見に不似合いな年寄りめいた口調で呟きながら呆れた顔をしている。
(だって自由にセックスできるのに、しないなんて勿体無いじゃないですか。それにせっかく見るだけで感じさせられる力があるんだし、ヤらなきゃ損ですよ)
(ふ〜〜、何ともヤる気満々じゃな……良い事なのやら悪い事なのやら……)
 神治の答えに黒い服の少女は溜め息を付いている。
 彼女の名は緋道未迦知神。
 ユイリーエと同じく人ではなく、ここ緋道村の守護神であり性の神だった。
 村に害をなす淫妖を封じるために長い間地下に篭っていたのだが、神治がその淫妖と一体化したため今は自由の身となっていた。
 そしてそれ以来、何故か神治の傍に居て何かと口出ししてくるのである。
(ま、取り合えず今日は終わりですけどね。こんな寂しいところじゃ女性どころか誰もいないでしょうから)
 周囲に民家は無く、草木だけが生い茂るその場所は、人が通ることすら滅多に無さそうに思えた。
 事実、この付近に来てから誰にも会っていないのである。
 神治はそう告げると回れ右をし、家に帰ろうと来た道を戻ろうとした。
(ん……?)
 しかし目端に妙な物が見えたため足を止める。
 道の脇に小道があり、見るとその先に階段があったのだ。
(こんな所に……階段……?)
 ここは村の外れであり、人が利用するものなど無さそうな場所であったため、その階段は非常に奇妙に思えた。
(ん? どうしたんじゃ?)
(いや、あの階段は何かと思って……)
 神治の挙動をいぶかしんだのだろう、そう尋ねてきた未迦知神に階段を示す。
(ああ、あれは修練場への階段じゃな)
(修練場?)
 聞いた事のない言葉に首をかしげる。
(良い機会ゆえ、行ってみたらどうじゃ?)
(どういった場所なんです?)
(行ってみれば分かる)
 未迦知神は何やら楽しげに笑っている。
 その事を不審に思いながらも、興味を持った神治は行ってみる事にした。
 小道に入り階段の傍まで寄ると、それはかなり上まで続いているらしい事が分かった。
 何しろ頂上がよく見えないのだ。
(これを昇るのか……)
 少々行く気が薄れたが、それを上回る好奇心が体を動かし、神治は階段に足をかけると一段一段昇り始めた。
 これだけ長い階段を昇るのは久しぶりであったため、少々息を切らして昇っていくと、しばらくしてようやく頂上にたどり着いた。
 目の前にはかなり大きな門があり、それは実に固そうで、ちょっとやそっとでは壊れそうにないほど頑丈に見えた。
(ここが、修練場?……一体何をするところなんです?)
(巫女を育てる場所じゃ)
(巫女? 巫女ってあの神社にいる巫女ですか?)
(さよう、神に仕える者じゃな。要するに儂の世話をする人間のことじゃ)
(未迦知さまの……世話ですか……?)
 そう言われると何やら奇妙だった。
 普通「神に仕える」となれば、祈りを捧げたりするような行動を想像させるものだが、ここ緋道村では目の前にいる少女の世話をする事になるからである。
(でもそんな人、うちに来てないですよね。どうしてですか?)
 未迦知神は当主家の敷地にある神社に住んでいるため、もし巫女が来ているとしたらすぐに分かるはずなのだが、これまで神治は家族以外の人間がいるのを見たことが無かった。
 巫女がするのだという未迦知神の世話にしても伯母の亜樹子がしていたのだ。
(それはの……む、開くぞ……)
 未迦知神が理由を言いかけると、目の前にある門がゆっくりと開き始めた。
 人が一人通れるほどの空間ができると中から誰か出てくる。
「これは未迦知さまに当主さま、いらっしゃいませ。そちらの方は外国の神であらせられますね。お初にお目にかかります。わたくしはこの修練場の責任者、巫女の葉那(ような)と申します」
 年齢は四十歳くらいだろうか、白衣に黒い袴といった巫女装束に身を包んだその女性は、美しい顔に笑みをたたえながらペコリと頭を下げた。
 驚いた事に未迦知神とユイリーエの姿が見えているらしい。
 しかも未迦知神だけでなくユイリーエの正体を見抜いているところから只者ではないように思えた。
「未迦知さまたちが見えるんですか?」
「はい。お二人の神々しくも美しいお姿がハッキリと見えてございます」
「未迦知さま……?」
 尋ねるように未迦知神の顔を見る。
「先ほども言ったであろうが。巫女とは神に仕える者。仕える対象が見えなければ困るであろ? それゆえこの者たちは常人よりも優れた能力を身に付けておるのよ。儂らが見えるのもその一つじゃな」
「でも、ユイリーエが神だってのも分かってるみたいですよ」
「神は人と違う『気』を持つゆえ、それで分かるのじゃ」
「左様でございます。当主さまも神となられ、まことに喜ばしく思っております」
 未迦知神の言葉を継ぐようにして葉那が答えた。
「な、何で知ってるんです?」
「じゃから『気』で分かったのじゃよ。巫女とはそういうモノなのじゃ」
 未迦知神とユイリーエ以外から初めて神と呼ばれ、神治は激しく動揺した。
 人間である相手からそう呼ばれた事が、何やら自分がやはり違った存在であるのだと意識してしまったからだ。
「ふ〜〜、まだそうした意識の切り替えができておらぬのじゃな。修行不足よの」
 ボソッと呟く未迦知神の言葉に苦笑する。
 確かにいい加減、神である事に慣れるべきだろう。
 神だと言われるたびに動揺しているのでは、いつまで経っても成長などできるはずもない。
「どうぞ中にお入り下さい。精一杯のおもてなしをさせていただきますので」
「いや、でも……もう帰らないと……」
 葉那の誘いには興味があったが、あまり遅くなると家族に叱られると思った神治は断ろうとした。
 以前外泊をしてかなり恨まれ、それ以来帰りが遅くなるだけでも敏感に反応されているからである。
「ここはもてなしを受けるが良いぞ。この者にとっては久しぶりの当主の来訪ゆえ、そうしてやるのが当主としての勤めというものじゃ」
「え? そうなんですか?」
「うむ、本来巫女と当主は身近な関係でなければならぬ。じゃが、これまでは事情があってそれができなかったからの。偶然とはいえこうして修練場を訪れた訳であるし、もてなしを受けるが良いであろう」
 未迦知神がそこまで言うのなら断る訳にはいかなかった。
「当主家の方へはわたくしが連絡を入れておきますゆえ、ご安心下さいまし」
 そう呟きながら中へ促す葉那に続いて門をくぐる。
 修練場の中は外と特に変わらなかったが、ただ周囲がぐるりと高い崖で囲まれているのだけが違っていた。
 外部から隔絶した空間と言えるだろう。
 そんな事を思っていると背後で門の閉まる重々しい音がした。
「随分と頑丈そうな門ですね」
「修練場は外部の人間と接触を持たないための場所ですから、こうして誰も入って来られないようにしているのです」
「って、俺はいいんですか?」
「ええ、当主さまは別でございます。ただお一人、修練場にいるわたくし達がお会いできる男性ですので」
「え? じゃあここには女の人しかいないんですか?」
「左様でございます。とはいえ、現在はわたくしと修行中の巫女が一人しかおりませぬが」
「ずいぶんと少ないんですね……」
 修練場などというから、何十人もの巫女がいるのかと思っていたのだ。
「巫女になるには素養が必要でございますゆえ、なかなかそれに適した者がいないのです」
 確かに一見しただけで未迦知神とユイリーエ、そして神治すらも神と見抜いた能力は並の人間とは異なっていた。
 そもそも姿を隠していた二人を認識できている時点で村の誰とも違うと言えただろう。
 これまで神治の傍に立つ未迦知神に気が付いた者などいなかったのだから。
(でも男と会わないってのは……凄いなぁ……)
 それは何とも徹底しているように思える事であったが、同時に奇妙な事でもあった。
 確かに巫女と言えば乙女というのが相場であり、男と接触を持たない方が良いというのは分かる。
 だがここは性に開放的な緋道村であり、巫女たちが仕えるのは性の神である未迦知神だ。
 性の神を崇めるのに、男と接触を持たないというのはどう考えても変だろう。
 それともそういった村の慣習から外れ、性的なことから離れている存在だからこそ、巫女としての価値があるという事になるのだろうか。
 そんな事を考えながら葉那の案内に従って歩いていくと、しばらくして一軒の家の前に着いた。
「わたくしは当主家への連絡とお茶の準備をしてまいりますので、少々お待ち下さいまし」
 中に入り、八畳ほどの部屋に通されて全員が席に着くと、葉那はそう言って頭を下げて部屋から出て行った。
「ふ〜〜ん、何か凄いのね……」
 不意にそれまで黙っていたユイリーエが呟いた。
「凄いって何が?」
「え? あの人よ。葉那って人。人間にしては凄いじゃない」
「あ、うん。そうだね。一発で神だって見抜くなんて凄いよ」
「って、何言ってるのよ。そうじゃないでしょ」
 神治の返事にユイリーエはガックリと力を抜いている。
 どうやら神治とは違った意味で葉那を評価しているらしい。
「そうじゃないって、それ以外に何が凄いんだよ?」
「え〜〜? もしかして分かってない?」
「分かってないって何が?」
 神治はユイリーエの言っている意味が分からなかった。
「う〜〜ん、神治って凄いんだか凄くないんだか分からないなぁ」
「それがこやつの面白いところよ」
 困ったように呟くユイリーエに未迦知神が可笑しそうに笑っている。
「どういう意味ですか?」
 全く訳の分からない神治は不満そうに未迦知神の顔を見た。
「ま、そこら辺の事はもうすぐ分かる……そうじゃ神治よ、あの者とは交わらぬのか? なかなかに良いオナゴと思うがの」
「え? ああ、そういやすっかり忘れてました。何かこの場所の事に興味がいっちゃってたもんで……確かに葉那さんは魅力的ですからね、戻ってきたら抱くことにしますよ」
 とは言ったものの、神治は葉那の姿を思い浮かべても全く興奮していない自分を感じていた。
 あれほどの美人でスタイルも良い女性であるにも関わらず、どうにも食指が動かないのである。
 その事と未迦知神が珍しく女性を抱くことを勧めているところから、葉那には常人には無い何かがあるのではないかと思った。
 ユイリーエが「凄い」と言っているのもおそらくそこら辺が関係しているのだろう。
「お待たせ致しました。粗茶ですが、どうぞ……」
 部屋に戻ってきた葉那が湯のみを机の上に置いていく。
 その様子を見ながら、やはり目の前にしても欲情しない自分を神治は奇妙に思った。
(まあいいさ……どうなるか面白いじゃないか……)
 これまでとは違う状況に楽しくなってくる。
 何しろここのところ望めばすぐに抱けていたため、少々物足りなさを感じていたのだ。
 何か普通とは違う展開があるのならそれを試してみたかったのである。
「あの、葉那さん……」
 声をかけると同時に目に意識を集中する。
 これで自分と目が合った瞬間、葉那は感じるはずだった。
「はい? 何でしょう?」
 しかしこちらに顔を向けた葉那は何事も無いように平然としている。
(え……?)
 眼力の使い方を誤ったのだろうかと思い、再び目に力を入れて見つめるが、葉那は首をかしげるだけで反応を示さない。
「どうかなさいましたか?」
「い、いえ……何でもないです……」
 不思議そうにしている葉那に神治は困ったように呟いた。
 一体どういう事なのだろう。
 自分の眼力が駄目になったのだろうか。
 そんな事を思っていると、不意に未迦知神の笑い声が部屋に響いた。
「くっくっくっ……どうじゃ? これが巫女というものよ。お主ごときの眼力では通用せんのじゃ」
「そ、そんな……でも未迦知さまには通じてるじゃないですか。それなのにどうして葉那さんには駄目なんです?」
 神に通じて巫女に通じないというのでは力のバランス的におかしいだろう。
 神に仕えるのが巫女であるのだから、神に通じるものなら巫女にも通じてしかるべきだからだ。
「前にも言ったであろう。儂はすでにお主の『気』に触れすぎたゆえ敏感になっておるとな。そうでなければ効かぬわ」
 確かに以前、未迦知神はそのように言っていた。
 だがそうなると自分の力に対して自信が無くなってくる。
 何しろこの三ヶ月間、村の女百人を自由に抱いてきた自信の源は、好きな時に感じされられる眼力の力があったればこそだからだ。
 そしてそれまで神として自覚のなかった神治にとり、己が神であると思える根拠の一つとなっていたのがこの能力だったのである。
 その能力が巫女とはいえ、神でもない相手にあっさり破られては自信も無くなろうというものだ。
「そんなに落ち込まないで。大丈夫、神治はまだ神に成り立てなんだからそのうちもっと凄くなるわよ。それに今のレベルでだってもっと力を込めて使えばこの人にも効くと思うし」
「え? そうなの?」
 慰めるようにして言ってきたユイリーエの言葉に少し元気になる。
「余計な事は言わんでいい。せっかく落ち込んでおったというに……」
 困ったように未迦知神が呟いているところから、どうやらそれは本当の事らしい。
 それより気になるのは、未迦知神が自分を落ち込ませようとしていたらしい事だ。
「未迦知さま、俺を落ち込ませたかったんですか?」
「ふんっ、別にそういう事ではないがの。ここのところ少々調子に乗っておるようじゃったから灸を吸えてやろうと思っただけじゃ。村中の女だけでなく、ユイリーエのような若い神すらも夢中にさせ、さぞや得意であったろうと思ってな。男は女を自由にできると分かると途端に偉そうになるからの」
 ぷいっと横を向いて未迦知神はそんな事を言っている。
 最近機嫌が悪いように思えていたのだが、もしかしたら派手すぎる女漁りに腹を立てていたのかも知れない。
 いやよく考えてみれば、初めてユイリーエと会った頃にも彼女を抱く事に対して怒っていたように思えたのだから、問題は女漁りというより、そうして神治が得意になっている状態なのだろう。
 確かにあの時の自分は得意になっていたように思えた。
 ユイリーエという若く美しい神を己の物とし、さらには眼力によって未迦知神すら自由に感じさせる事ができるようになっていたのだから。
 下手をしたら無意識のうちに未迦知神の相手をおざなりにしていたという事も考えられた。
 もしそうだとしたら反省する必要があるだろう。
(どうせそろそろ飽きてきてたし、今日でこういうのは止める事にしようかな……)
 その最後の仕上げとして、巫女である葉那を抱くのはなかなか良いかも知れない。
 だがそのためには眼力を使わなければならないのだが、葉那にはそれが効かないのだ。
 ユイリーエは力を入れればいいと言っていたが、これまで力の調節などした事の無い神治はどうすれば良いのか分からなかった。
(少し試してみよう……)
 目に意識を集中し、能力が高まるよう念じながら葉那を見つめる。
 だが先ほどから目が合っているにも関わらず、彼女は全く反応を示さなかった。
「無駄無駄……今の状態でいくら眼力を試そうがこの者には効かぬわ」
 未迦知神が冷たく言い放つ。
「でも未迦知さま、神治くらいならその気になれば十分効くと思いますけど……」
 ユイリーエが不思議そうに疑問の声を上げた。
「まあ、お主の言うことも間違ってはおらぬ。普段の神治であればとっくにこの者を感じさせておったであろうな。じゃが相手はただの人ではない、巫女じゃ。その点を考慮に入れぬといかんぞ」
 未迦知神は諭すようにユイリーエに語っている。
「そうは言っても……う〜〜ん、何が問題なんだろう?……巫女って……あっ、そういう事か……」
 不意に何か思い当たったようにユイリーエが嬉しそうな声を上げた。
「分かったのかユイリーエ?」
「うん、分かっちゃった。未迦知さまの仰ってること」
「どういう事なんだよ?」
「つまり、問題はこの人にあるんじゃなくって神治にあるって事」
「俺に……?」
 言っている意味が分からない。
「未迦知さまが仰ったでしょう? 普段の神治なら問題ないって……」
「俺、普段と何か違うのか?」
「自分で分からない? 普段眼力を使う時とどう違うのか」
「え? 普段との違い……?」
 少し考えてみる。
(いつもは……いい女だと思った瞬間、適当な言葉をかけながら近づいて行って……目を見るんだよな……それは今だってしてる……葉那さんがいい女だから抱きたくて……それで眼力を使って……ん?……どこが違うんだろ?)
 ウンウン唸っている神治を横目で見ながら、未迦知神はつまらなそうに笑っている。
「分からないかなぁ? もうっ、じれったいわねぇ……いいわ、私が教えて上げる」
 自分で考えるように仕向けておいて、答えが出るのを待っていられないユイリーエに苦笑する。
 だがすぐに教えてもらえるのだからその短気さに感謝すべきだろう。
「答えは簡単、神治にヤる気が足りないのよ」
「ヤる気? なんだそりゃ?」
「ヤる気ったらヤる気よ。女を抱きたいっていうスケベ心。もっと具体的に言えば、自分のペニスを押し込んで喘がせたいって気持ちね。要するに欲情が足りないってこと」
「欲情って……」
 そう言われてみれば、それは神治自身も感じていた事だった。
 葉那を初めて見た時も、いい女だと思いつつ抱こうという気持ちが起こらなかったのだ。
 先ほど未迦知神に指摘された時は「修練場が気になったから」と誤魔化したが、実はあの時まで葉那を抱くなどという発想自体が無かったのである。
 確かにそれは不思議な事であったが、だからと言ってその事が眼力の強さと何の関係があるのだろうか。
「分からんか?」
 未迦知神が尋ねてくる。
「はい。全然分からないです……」
「仕方ないのぉ。ま、分かったところでお主にはどうしようもないであろうからな。教えてやる事にするわい」
 得意げに笑いながら未迦知神はこちらを見つめてくる。
「お主のようにまだまだ未熟な者にとり、無意識下で使われる力というのは重要じゃ。お主はこれまで眼力を使う際、オナゴに対する欲を力として無意識のうちに使っておったのよ。それを利用すれば未熟であったとしてもかなりの強さの力を使う事が可能じゃからな。何しろお主は肉欲に関しては人の頃から並外れておったからの。使用する力もかなりの物になっておったという訳じゃ」
 それは何とも驚きの言葉だった。
 自分は己の性欲を力として使っていたらしい。
 しかし以前から肉体が勝手に様々な能力を使っていた事を考えれば、性欲を無意識の内に力としていたとしてもおかしくはなかった。
「って事は……今はそれが出来てない?」
「その通り。それがこの者に眼力が通用せぬ理由じゃな」
 未迦知神は満足げに頷いている。
「でもそうなると、どうして俺は葉那さんに欲情しないんでしょう。こんなに魅力的な女性なのに……」
「ありがとうございます……」
 葉那は嬉しそうに頭を下げた。
 その顔は何度見ても美しく、肉体も実に抱き心地が良さそうな素晴らしいものであったが、神治の肉棒は全くといっていいほど反応を示さず、抱きたいという気持ちも全然起こらなかった。
「そんなの簡単よ。この人はそうした『気』を全て絶ってるもの」
 ユイリーエが得意げに笑いながら言ってくる。
「『気』を絶ってる?」
「うん。人間は誰しも異性を誘う『気』をある程度は出しているものなんだけど、この人はそれを完全に絶っているの。そうなると相手に抱く気を全く起こさせないから、神治が欲情できなくても当然って訳。私がさっき凄いって言ったのも、そこまで『気』をコントロールできてる事に驚いたから。どう? 凄いでしょ?」
 まるで己の手柄であるかのようにユイリーエは誇らしげに胸をそらした。
 しかし確かにそれは凄い事だった。
 何しろ神である自分ですら未だ「気」のコントロールが出来ていないにも関わらず、人間の葉那が出来ているのだ。
 しかも「気」を完全に絶つなど、今の神治にはとても真似のできない事を葉那はしているのである。
「葉那さんって凄いんですねぇ。人間でもそういう事が出来るなんてビックリですよ」
 神治が驚きを表すと、葉那は少し俯きながら微笑んだ。
「確かに人間でも可能ではありますが……わたくしども巫女は、正確には人ではありません」
「え? 違うんですか?」
「半分人間といったところでしょうか。後の半分は……淫妖です」
「え……?」
 あまりに予想外の言葉に体が硬直する。
 神治にとって淫妖という単語は恐怖の対象であったからだ。
 神となり、並みの淫妖ならばまず負ける事はないと未迦知神に言われてはいるものの、実際神治は対峙した淫妖に命を奪われかけたのだ。
 その経験が無意識のうちに心の奥底に恐怖心を持たせているらしく、「淫妖」と聞くだけで体が硬直してしまうのである。
「わたくしども巫女は、淫妖の子供なのです」
「淫妖の、子供……?」
 それは何とも複雑な響きのある言葉だった。
「淫妖に襲われた者はほとんどが死にますが、女に限ってごくたまに生き残る事があるのです」
「そ、それはどうして……?」
 聞くまでも無く理由は分かったが、どうしても尋ねずにはいられなかった。
「そうした者の体には、淫妖の子だねが宿っているからです」
「……」
 葉那の言葉に神治は呆然となった。
 単なる化け物だとしか思っていなかった淫妖が、人間と子供を作っていたとは……。
 しかしまるで違う種の間で子供など出来るのだろうか。
 そこまで考え、淫妖が普通の生物とは異なった存在である事を思い出す。
 そんな相手に一般的な医学知識が通じるはずもないだろう。
「何故このような事が起こるのか分かりません。しかし淫妖に犯され生き残った女の子供は、必ず人とは異なった能力を持って産まれてくるのです。無意識のうちに人を惑わす『気』を放ち、周囲の人間を肉欲に狂わせるような……」
 それは何となく分かった。
 淫妖は人が交わる時に放出する生命力を吸い取って生きているため、その血を引く子供が意識せずにそうした行為を促す「気」を発する可能性はあるからだ。
「淫妖の子として産まれた子供は、すぐにこの修練場に連れてこられ、巫女として『気』を操る事を学びます。人を惑わす『気』さえ抑えられるようになれば、村での生活に支障が無くなりますから」
 なるほど、だからこの場所は人里離れた場所にあり、簡単に入れない作りになっているという事か。
 男が入れないというのも納得だった。
 不用意に近づけば、修行中の巫女の『気』に狂わされ、見境無く襲い掛かってしまうに違いないからである。
 しかしそうなると、どうして当主だけは入る事が許されているのだろうか。
 当主といえど男。
 巫女の発する『気』に惑わされ、襲わないという保証はない。
 神治はその事を尋ねてみた。
「当主さまは常人よりも優れた能力をお持ちですので、ほとんどの場合そういった事は起こりません。無論、能力の高い修行不足の巫女の『気』に惑わされる可能性はありますが、そうならないよう、未熟者は当主さまに近づけない決まりになっております。今も一人修行中の巫女がおりますが、そうした事情ゆえ、挨拶に参らぬご無礼をお許し下さいまし」
 葉那はゆっくりと頭を下げた。
「いえ、別に気にしてないですから」
 そう答えつつ、神治は何やらここが凄い場所なのだと思った。
 淫妖とのハーフである人間がおり、その能力を抑える事ができるように修行しているというのだ。
 葉那に対して自分が欲情できないのもそうした修行の成果だという。
「まもなくその者の修行も終了し、指導に当たっていたわたくしの仕事も無くなります。そうなれば未迦知さまのお世話をさせていただけるようになりますゆえ、ご面倒をおかけしますが、どうぞそれまでもうしばらくご猶予を戴きたく存じます」
 葉那は未迦知神に頭を下げた。
「うむ、そう気にせんでもよい。巫女の指導をするお主が修練場を離れる訳にはいかぬのは当然じゃからの。それに儂はこやつの傍にいる日々を送っておるゆえ、実際世話をしに来てもおそらく暇になるであろうしな」
 未迦知神はカッカッカッと笑った。
 修練場に入る前、何故未迦知神の世話をする巫女が家にいないのかと疑問に思ったが、今の言葉でその理由が分かった。
 巫女の修行には指導者が必要であり、現在一人しかいない巫女の葉那が修練場を離れる訳にはいかなかったのだ。
「前当主が亡くなってからお主も寂しい思いをしておったであろう。今宵は存分に満足させてもらうが良いぞ」
「当主さまさえ宜しいのでしたら……」
 不意に話が自分の方へ向いた神治は驚いた。
「え? 何の話ですか?」
「鈍いわねぇ。神治がこの人を抱くってことよ」
 ユイリーエがつまらなそうに呟く。
「な、何でそうなるんだよ?」
「当主が唯一修練場に訪れる事を許可された男であるのがそういった理由だからじゃ。修練場において指導をする立場の巫女、そしてある程度修行を終えた巫女の欲求のはけ口となってやるのが当主の務めゆえ」
 そんな仕事まであるとは驚きだった。
「で、でも俺……できるんですかね?」
 神治は不安な声を上げた。
 何しろ「抱く」と意識したにも関わらず、全くといっていいほど肉欲が湧き起こって来ないからだ。
 葉那を「いい女」「抱きたくなる女」と認識してはいるものの、普段なら放っておいても高まる興奮が無く、股間の一物も柔らかく小さいままなのである。
 この状態で抱く事など不可能だろう。
「ふっふっふっ……その心配はいらぬ。巫女がその気になれば嫌でも抱きたくなるわ。そう、これ以上ないというくらいにな……勉強になるぞ……くっくっくっ……」
 何やら気持ちの悪い笑みを浮かべながら未迦知神は呟いている。
「どうも良く分からないけど、分かりましたやりますよ……葉那さん、抱かせてもらいます。いいんですね?」
「はい。宜しくお願い致します……」
 ゆっくりと頭を下げる葉那を見つめつつ、神治は初体験の時よりも緊張している自分を感じていた。
 何しろ体が反応しないのだ。
 どうすればいいのか分からないという意味では初めての時以上に困惑していると言えたし、「男として相手を満足させられないのでは?」という思いは恐怖にも似た緊張をもたらしていたのである。
 男にとって不能になる事ほど悲しい状況はない。
 何しろ本能において生殖活動は最も重要な部分であるのだから、それができない事は生物として不完全な意味を持つのだ。
 さらには相手が極上の女ともなれば、それを相手にできないという悔しさ、悲しさはかなりのものと言えただろう。
「どうぞこちらへ……」
 葉那に促されて隣室へ移動する。
 そこには布団がすでに敷かれており、葉那はその上に正座をすると床に手を付いて深々と頭を下げた。
 神治は緊張で体を硬くしながら葉那の傍に近づいて行く。
「ふふ……そう不安にならんでも良い。そのうち嫌でもこの者を抱きたくなるであろうからな」
 未迦知神が元気付けるように囁いてくる。
 その言葉を信じないでもなかったが、やはり実感として感じられない以上、不安は拭えなかった。
「では、失礼致しまして……」
「え……?」
 葉那が顔を上げた瞬間、急激に股間の一物が硬く大きくなった。
 何も意識していないにも関わらず体が勝手に反応したのだ。
(う……こ、これは……)
 そして続けて湧き起こってくる激しい肉欲。
 それまである意味物体でしかなかった葉那の姿が、みるみるうちに女として、それも極上の女として認識されていく。
 腰の辺りまである長く美しい黒髪。
 細長の控えめな作りをした整った顔立ち。
 華奢な体つきでありながら、そこだけは大きく膨らんだ胸元。
 巫女装束の間から見える雪のように白い肌。
 それらが一斉に神治の雄としての意識に飛び込んできたのだ。
(いい……凄くいい……何ていい女なんだ……)
 これまで感じなかった葉那の女としての魅力が体中を駆け抜け、今すぐにでも襲い掛かりたくなる衝動を起こして武者震いのように体を震わせる。
 股間では痛いほどに勃起した肉棒がビクンビクンと暴れまくり、早く女肉に包まれたいと叫んでいる。
(俺……俺ぇ〜〜!)
 すでに神治の頭には葉那のことしか存在しなかった。
 いや、葉那という認識すら無かっただろう。
 ただ目の前の女、いや雌を己の物としたい欲求で一杯だったのである。
「うぉおおおおっ!」
 叫び声を上げると同時に葉那に飛び掛る。
 布団に押し倒し白衣の胸元をガバっと開くと、現れた豊満な乳房をギュッと掴み荒々しく揉みしだく。
「あっ……ああっ……」
 微かに漏れる甘い吐息に射精しそうな思いを持ちながら、続けて桜色をした美しい乳首に吸い付いていく。
 甘い味わいが口内に広がり、そのまま思い切り吸い上げ、舌先で転がしていくのを繰り返す。
「はんっ……あっ、ああっ……」
 ピクッ、ピクッ、と反応を示す白い肉体に興奮を高めつつ、神治は何度も乳房を愛撫していった。
 葉那の体に触れている手のひら、唇、舌からたまらない快感が押し寄せ、さらには布越しであるにも関わらず、触れている全ての部分から染み入るように快楽が押し寄せてくるのは狂わんほどに気持ちのいい状況だった。
「あっ……はぁっ……あんっ……」
 耳に響く甘い声に鼻息を荒くしながら、じかにこの気持ちのいい肉体を味わいたいと思った神治は、落ち着き無く己の服を脱ぎ、続けて葉那の巫女装束も脱がしていった。
 服が全て取られた葉那の裸体はあまりにも美しく、血管が透き通って見える肌の白さはたまらなく肉欲を誘った。
 そのまま擦り付けるようにして体を重ねると、熟女独特の絡み付くような肌触りと吸い込まれるような柔らかい肉の感触が体全体に広がっていく。
「あ……ん……」
 葉那の熱い吐息が聞こえ、美しい口が微かに開かれて舌が上唇を舐めるのが見えた。
 それに誘われるように唇にむしゃぶり付き、舌を押し込んで絡ませていく。
「んっ……んんっ……んふぅっ……」
 舌が吸われ、口内を擦られるたびに股間に快感が響き、触れている肌も蕩けるような気持ちの良さを伝えてきた。
 こうして裸で絡み合っていると、自分の体全てが肉棒と化し、葉那の体全体が膣となって肉体が包まれているかのような錯覚を感じる。
(うぅ……もっと……もっと入りたい……もっと奥に……)
 葉那の体に触れている部分はとんでもない快楽に満たされており、そうでない部分は寒さを感じるほどの悲しさがあった。
 この肉体から離れたくない、離れては死んでしまう、と思えるほどの執着が湧き起こり、さらなる結合を求めて肉棒を膣穴へと押し込んでいく。
 ズブリ……。
「ああっ……」
「ぐっ……!」
 葉那の甘い声と神治のうめき声が同時に発せられた。
 ハマり込んだ肉棒に膣襞がウネウネと絡み付き、まるで快楽神経を直接刺激してくるかのようにたまらない快感が押し寄せてくる。
 肉棒は温かくヌメリを帯びた膣全体にギュウッと締め付けられ、グニュグニュとした微妙な蠢きによってたまらない気持ちの良さを与えられていた。
「ぐぁっ……あぐっ……」
 その刺激に神治は声を上げ、無意識のうちに腰を動かし出した。
「あっ、あっ、ああっ……いっ、いいっ、いいですぅっ……当主さま、あぅっ……当主さま、あっ……当主さまぁっ……」
 葉那の嬉しそうな声が耳に響き、それに反応するように神治の腰の動きも激しくなっていく。
「あんっ、あっ、あはぁっ……凄い、あっ……凄いです、あんっ……凄いのぉっ……」
 背中に手を回し、腰に脚を絡みつかせ、葉那はギュウッと抱きついてくる。
 そうすると体全体に感じられている気持ちの良さが倍増し、神治は思わず体を仰け反らせようとしてグイと押さえられ、密着した状態のまま腰を振り続けた。
 いや、押さえられたのではない。
 神治の肉体が葉那から離れる事を拒否して勝手に己を縛ったのだ。
 この素晴らしい、気持ちのいい肉から離れる事を体が容認しなかったのである。
 肌と肌をピッタリとくっつけ、擦り合わせてまぐわう今の状態は、肉棒以外の部分からもたまらない快感が押し寄せ、通常のセックス以上の気持ちの良さが存在していた。
 まるで肌全てが肉棒となってしまったかのように体全体が快楽の喜びに溢れているのだ。
 体を擦り合わせれば合わせるほど快感が増すのだからたまらない。
 肌だけではなく、肉もまたたまらなかった。
 極上のクッションの上に乗っているかのように気持ちのいい感触が体を受け止め、体重を預ける形で体を重ねているためか、己の全てが葉那の肉に包まれ、抱き締められているかのように感じられるのである。
 それには産まれてくる前の母親の胎内にいた頃の記憶が蘇るような、そんな安心感があった。
 ただ異なるのは激しい快楽が伴っている事だろう。
 唯一本当に葉那の体内に入り込んでいる肉棒には蕩けるような気持ちの良さが押し寄せており、この快感を味わえるのなら他に何もいらないと思わせるほどのとてつもない快楽があったのである。
「うぉっ……ぐっ……がぁっ……」
 神治はうめき声を上げながら、腰を無茶苦茶に振りまくった。
 そこには技術は何も無く、ただ擦る事で快楽を得ようとする動物の本能としての動きがあるだけだ。
 目は虚ろで何も認識しておらず、耳も微かに葉那の甘い吐息を聞き取るくらいしかできなかった。
 快楽だけが全てであり、自分が触れている女肉の気持ちの良さを欲する思いしか存在しなかった。
「ああっ、あっ……ああんっ、あっ……当主さまぁ、あぅっ……当主さまぁ、やぁんっ……」
 葉那の目が妖しく光を放ち、強く抱き締めてくる。
「ぐっ……がっ……」
 すると触れている肌から今まで以上の気持ちの良さが感じられ、膣内の蠢きも激しくなって射精感が高まっていく。
 快楽にボンヤリとする頭は、まるで自分の体がドロドロに溶け、葉那と一体化するかのような錯覚を感じさせていた。
 実際に体を密着させているせいか、葉那の心臓の鼓動がうるさいほどに聞こえ、熱い吐息が己の呼吸のように感じられたため、本当に取り込まれたのではないかと思えるほどに一体感があった。
「ああんっ、あっ、ああっ……当主さま、はぅっ……当主さまもう、あんっ……わたくし、ああっ……わたくしもう駄目です、ああんっ……」
 絶頂が近いらしい葉那は、肩を甘く噛み、背中に爪を立ててくる。
「ぐぉぅっ!」
 まるでそれがスイッチであったかのように神治は絶叫を上げ、腰の動きを早めると共に、限界近くまで高まった射精感に顔を歪めた。
「あんっ、あんっ、ああんっ……やっ、やっ、やぁんっ……イきます、はぅっ……イく、あっ……イくのぉっ……あっ、あっ、あぁああああああああっ!」
「ぐっ、がっ、がぁっ……!」
 葉那の絶頂に合わせて精が放たれる。
 ドピュドピュドクドクドクドク……。
 激しい勢いで精液が熟れた膣に注がれていく。
「うっ……くぅっ……」
 神治は固定されたままの状態で小刻みに体を震わせ、何度も何度も精を放っていった。
 しばらくして全ての射精を終えると、ガックリと力を抜いて葉那の体に体重を預ける。
 耳元でハァハァといった荒い呼吸が聞こえ、ドクンドクンと心臓の音も響き、やがてそれが胸の位置だけでない事に気づく。
 股間から、肉棒からも激しい鼓動が聞こえるのだ。
 ドクン、ドクン、ドクン……。
 音が大きくなるほどに、力を失ったはずの肉棒が硬さを増していくのが分かり、それに伴って肉欲も強くなっていく。
「当主さま……」
 朦朧とした意識の中で囁かれた言葉に目を向けると、葉那の瞳が妖しげな光を放っており、それを見た瞬間、目の前の肉体にむしゃぶりつきたくなる欲求が湧き起こった。
 まるで見つめられる事で雄としての本能が刺激されたかのように、激しい獣欲が押し寄せてきたのだ。
「うぉっ……ぐぅっ……」
 唸り声を上げると同時に神治は再び腰を振り始めた。
 そうしないではいられなかったのである。
 そして肉体もそのように欲しているのか、意識せずとも凄まじい早さで動いていく。
「あっ、あっ、ああっ……」
 葉那の甘い吐息が耳に響き、それを聞いた神治の体はブルリと震えるとさらに激しく腰を振っていった。


「あんっ、あんっ、ああんっ……」
 体の下で悶える淫猥な葉那の姿に興奮が高まる。
 いや、興奮というより切迫感と言った方がいいだろうか。
 とにかくこの極上の肉体の中に精を放ちたい、そんな思いが脳を支配し、腰を動かさずにはいられないのだ。
 あれから神治はかなりの回数の射精を行なっていた。
 放つたびに葉那の体から押し寄せてくる快感に肉棒がすぐに回復し、その妖しげな瞳と目が合うと興奮が凄まじく高まり、襲い掛からずにはいられない落ち着かない衝動に支配されてしまったのだ。
 それはまるで、これまで自分が女性相手に眼力を用いてしてきた状況と同じと言えた。
 淫妖の血を引いているだけあって、葉那にはそうした力があるのかも知れない。
「あっ、あっ、あぁっ……」
 恐ろしいまでの白さを持つ肉体が絡み付き、吸いつくようにして神治の体を捕らえている。
 無論、物理的に固定されている訳ではないのだから、離れようと思えば何時でもできただろう。
 しかしそれを許さないのが、他ならぬ神治自身だった。
 精神が、肉体が、この気持ちのいい女体から離れることを拒絶しているのだ。
 触れているだけで蕩けるような快感が押し寄せ、擦り合わせるだけで肌が歓喜の悲鳴を上げ、押し付ける己の重みを吸い込むように受け止める肉が心地良い安心感を生み、心も体も快楽の絶頂に満たされていたのである。
「ああんっ、あっ、あはぁっ……」
 ただこうして体を密着させ、腰を振り、その胎内に精を放つ。
 その行為の繰り返しがたまらない快感であり、止める事のできない至福の時だった。
 極楽浄土が存在するならば、まさに今自分が埋もれているこの肉体こそがそれだろう。
 この肉の中に己の全てを注ぎ込み、そこでいつまでも生きていたい。
 そんな想いで神治の心は一杯だった。
「やっ、やっ、やぁんっ……当主さま、はぅっ……当主さ、あっ……当主さまぁっ……」
 グイと抱きつかれるたびに意識が遠のくほどの快楽が押し寄せてくる。
 実際時折記憶の飛んでいる事があり、葉那の肉体が与えてくる快楽の凄まじさを実感させた。
 何しろ気が付くと射精をしている最中だった事もあるくらいなのだ。
 意識を戻した瞬間にたまらない快感で脳が覆われている状態というのは凄まじいものがあった。
「ああっ、あっ、ああんっ……はぅっ、はっ、はぁんっ……」
「うぐっ……」
 膣内がキュウっと締まり、ヌメヌメと擦り上げるようにして絡み付く膣襞の蠢きに耐え切れず精を放つ。
 ドピュッドピュッ、と衰える事のない勢いで精液が放出され、たまらない快感が脳に押し寄せる。
「くっ……」
 射精を終えた後、力を抜こうとして新たな刺激に体が硬直する。
 肉棒をチロチロと舐められているかのような快感が感じられ、思わず向けた視線に葉那の顔が映ると、激しい肉欲の衝動が湧き起こり、もっと精を放ちたくて仕方が無くなっていく。
 神治は夢中になって腰を振り、できるだけ早く、何度も精を放ちたいという思いに駆られながら葉那の体を貪っていった。


(あ……俺……)
 葉那の上でボゥっとしていた自分に気が付く。
 白み始めている外の様子から、どうやら一晩中葉那を抱いていたらしい。
 別に意識が無かった訳ではない。
 確かに抱いていた記憶はあるのだが、あまりに強烈な快感のためか何度したのか分からなくなるほど夢中になってしまったのだ。
 何という快楽だろう。
 まるで初めてセックスをした時のように、何も考えずにただ腰を振りまくってしまった。
 そして精を放つ時のあの快感。
 そこには体の中身が全て吸い出されるのではないかと思えるほどの気持ちの良さがあった。
 何より葉那の肌に触れ、擦り合わせているだけでまるで射精しているかのような感覚を味わえるのが最高であり、己の体全てが取り込まれ、包まれるような状況は信じられないほどの快楽を与えてくれたのだ。
 それに夢中になり、とにかくセックスがしたい、いや、射精したくてたまらずに何度も何度も葉那の肉体を貪ったのである。
 このようなことは初めてだった。
(いや、初めてじゃないか……)
 数ヶ月前、神社の地下にいた淫妖「穂智過」との交わりの際にも同じ感覚を持った。
 相手と一体化したい、全てを包んで欲しいと思わせる快楽。
 己の肉体全てが肉棒と化し、相手の体全体が膣となり、中に入り込みたい欲望に心も体も一杯になる淫妖の誘惑。
 それと同じ状況が葉那との交わりにはあったのだ。
(本当に……淫妖の血を引いているんだな……)
 人間同士のセックスではありえない、身も心も取り込まれる事を望む交わり。
 それを体現する葉那は、普通の人間であるとは言えないだろう。
 淫妖とのハーフであるというのも納得だった。
 それに確かにこれほどの力があるのでは、能力を抑える術を持たずに人と生活する事は不可能に思えた。
 修行を終えるまでこうした場所に隔離されるようにして暮らすのも仕方のない事なのかも知れない。
「どうやら目が覚めたようじゃの……どうじゃ、凄かったであろう?」
 未迦知神が声をかけてくる。
「ええ。まさかここまでおかしくされちゃうとは思いませんでしたよ」
 葉那の上から起きながら答える。
 体を離して隣に座ると、再び肌を合わせたくなる欲求が押し寄せてくるのは凄まじい事だった。
「いくら神であろうとも、修行が足りなければあっさりと虜にされてしまうという訳じゃ。これが巫女であったから良いものの、淫妖だとしたらお主はすでに死んでおるな」
 確かにそれは事実だ。
 全く手も足も出ず、自分の意思とは関係なく射精し続けていたのだから。
 いや、意思はあった。
 己の意思で葉那を抱き、精を放つことを望んだのだ。
 まさにそういったところに淫妖の力の恐ろしさがあると言えるだろう。
 嫌々ながらするのではなく、嬉々としてしてしまうのだから止めることなどできる訳がないのだ。
 そしてこれが巫女ではなく淫妖であったならば、確実に死ぬまで射精させられていたに違いなかった。
 その事を思うと恐怖に体がブルっと震えた。
「お主はここ最近、オナゴに対して自信を持っておったようじゃがな、しょせんはまだまだ未熟者よ。こうして優れた能力を持つ者を相手にすれば、いとも簡単に身も心も奪われてしまうのじゃ」
 未迦知神の言葉通り、たとえ淫妖相手でも何とかなると思っていたが浅はかだった。
 神の力を使えば、以前のように意識を奪われる事はないと思っていたのだが、心構えができる前に奪われてしまえばそれまで。
 何もできずにただ精を放つしかない自分がいるだけだった。
「巫女ってのは、凄いんですね……」
 淫妖の血を引いているとはいえ、神である自分を翻弄し、延々とセックスさせ続けた葉那の能力はかなりのものと言えるだろう。
 しかも夢中になっていてあまり分からなかったが、葉那の方は自分ほど乱れていたようには見えなかったのである。
 そこら辺がこれまで積んできた経験の差のように思えた。
「それゆえ当主は巫女を大切にする。能力が高い者はこの緋道村にとって宝じゃからの。これからは定期的にここを訪れるが良いぞ。勉強になるであろうからな」
「はい……」
 未迦知神たち神とは違った淫妖の能力を持つ巫女の肉体は、確かに神治にとって学ぶべきところがあるだろう。
 何よりこれほど気持ちのいいセックスができるのだから喜んでしたいくらいだ。
「葉那さん、これからよろしくお願いします」
「当主さまのお望みのままに……」
 神治が声をかけると、葉那は顔を赤くしながら頭を下げた。
 肉体を合わせたせいか葉那の態度には女の媚が感じられ、神治はその事に興奮を覚えた。
 これほどの美人で肉体的魅力に溢れ、しかも狂わんばかりの快楽を与えてくれる存在。
 そんな相手とまたできるのかと思うと嬉しくなってくる。
 しかももうしばらくすれば葉那は家に来ると言うのだ。
 そうすれば毎日その肉体を味わえるだろう。
 それは何とも恐ろしくも楽しみな事であり、神治は武者震いのように体を震わせるのだった。












あとがき

 今回は「能力に目覚めた神治が、ちょっと暴走気味に村の女の人を襲いまくる」という話でした。
 あ〜〜、何とも羨ましい限りですな。
 っていうか、知り合い程度の関係になれば同じような事をみんなしている訳で、やっぱり緋道村はパラダイスだと思ってみたり(笑)
 昔の日本は緋道村と似たような感じで、夜這いとか祭りとか、性に関する開放的な風習があったので、そういう意味では現代に比べて男は幸せだったと言えるのかも知れませんね。
 やりたい盛りの思春期にエッチできないってのはある意味拷問ですからのぉ(笑)
 まあ、その代わりに自慰の文化がかなり発展した訳ですけど。

 最初はただヤりまくるだけの展開でしたが、最後に巫女という新たな設定を出してみました。
 これも初期段階ではただの人間だったんですけど、どうせなら性的能力を高めさせようという事になり、だったら淫妖とのハーフにしてしまえ、って感じでこんな設定に。
 これまで淫妖は男しか襲わないように見せてましたけど、女を襲ってもいい訳ですからね。
 っていうか、エロアニメやエロゲー、菊地秀行先生の小説などでは化け物に襲われるのは女性ばかりですし(笑)
 それでその結果として子供が出来るというのもゾクゾクしますしね。
 人間なのに淫妖並の快楽を与えてくれるってのは凄くたまりませんよ。
 やはり狂うほどの快楽ってのは魅力的ですな。
(2006.5.24)



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