緋道の神器


        第十五話  天女の娘



 目の前に二つのそっくりな体があった。
 歳はどちらも十四。
 その幼い肉体はすでに肉付き良く育っており、触れると気持ちのいい弾力がある。 
 道彦は四つんばいになっている双子の姪、紗智子と夜詩子の体を眺めながら、片方の膣に肉棒を押し込み、激しく動かしていた。
「ああっ、あっ、ああんっ……やっ、やぁっ、やはぁっ……」
 柔らかな尻を抱えて腰を振ると、可愛らしい声が上がって興奮を高める。
「ね、伯父さぁん。早く私にもぉ……」
 隣で四つんばいになっている夜詩子がおねだりをしてきた。
「もう少し待ってな……さっちゃんがあと少しでイくから……」
「あんっ、あんっ、ああんっ……やぅっ、やっ、やぁっ……」
 言葉の通り、紗智子は今にも絶頂に至りそうだった。
「ああっ、ああっ、ああんっ……駄目、あっ……私駄目、あんっ……私駄目ぇっ……はんっ、はっ、はふぅっ……イっちゃう、ああっ……イっちゃうの、あんっ……イっちゃうんだよぉっ……あっ、あっ、あぁあああああああんっ!」
 紗智子の絶頂に合わせて道彦も精を放つ。
 ドクドクドクと勢い良く吐き出された精液が幼い姪の膣に注がれていき、何度か射精を繰り返した後、道彦は力を抜いてゆっくりと腰を引いた。
(むんっ……)
 外れた肉棒はブランとした状態だったが、道彦が意識を向けるとあっという間に硬く大きくなった。
 それは「気」を操る事により可能となる、緋道村に伝わる技だった。
「ふふっ……伯父さんってすぐ回復するからいいよねぇ。哲ちゃんじゃこうはいかないもん」
 夜詩子は元気良く震えている肉棒をいやらしく見つめながら微笑んでいる。
「でも哲矢くんは沢山してくれるんだろ? いいじゃないか、ちょっとくらい回復が遅くても」
 道彦は姪たちと仲の良い少年の顔を思い浮かべながら答えた。
 幼い頃からよく知っているが、哲矢の精力はなかなかのものだったのだ。
「え〜〜? だけど早ければもっといいもん。硬くなるまで舐めて上げるのって大変なんだよぉ」
 夜詩子は不満そうな顔をしている。
「まあ、お前たちを満足させてくれる男はそういないんだから、少しくらい我慢してあげなよ」
「それは分かってるけどさぁ……私が言いたいのは、伯父さんが凄いって事だよぉ……」
 甘えるように見つめてくるのに嬉しくなってくる。
 だが道彦は、哲矢が自分と同じように瞬間的に回復できるのを知っていた。
 何しろそういった「気」の使い方を教えたのは自分なのだ。
 元々才能があったのか、哲矢はすぐに回復する技を覚え、その習得の早さに驚いたくらいなのである。
 それなのに二人とする時になかなか回復させないのは、おそらく肉棒を舐めてもらいたくてわざとそうしているのだろう。
 何しろ姪二人のフェラチオは非常に気持ちが良いからだ。
「でも今は神治くんも一緒なんだろ? だったら遅くてもいいじゃないか。うっ……」
 肉棒を押し込み、腰を動かし始めながら尋ねる。
「あんっ……それでも、あっ……神ちゃんはちゃんと、あんっ……早くしてくれるんだよ……あっ、それいいっ……」
 神治とは、やはり姪たちと仲の良い少年であり、最近当主となった今村で最も注目されている人物だった。
 化け物を封じるため長年地下にこもっていた緋道村の守護神、未迦知神を救った凄まじい能力の持ち主だ。
 未迦知神が封じていた化け物の穂智過は肉欲を操る淫妖であり、並大抵の人間では精を吸い取られ殺されてしまうため、これまで何人もの人間が穂智過に命を奪われていた。
 それを若干十四歳、しかもセックスの経験が一ヶ月にも満たない少年が倒したのである。
 初めに聞いた時は信じられなかったが、当主のお披露目の際に神治を見た瞬間、道彦はすぐさま納得がいった。
 神治はそれだけの事ができる「気」に溢れていたのだ。
(あれは……人ではない……)
 そう感じたのである。
 皆は隣の未迦知神にしか意識を向けていなかったが、道彦は神治の凄まじい「気」に気が付き、その潜在能力に戦慄した。
 並みの人間がこれほどの「気」を持てるはずもなく、何か人とは違う存在であるように思えたのだ。
 その後、転校そうそうに学校中の女生徒百人を相手にセックスした話を聞き、やはり尋常ではないと確信を持った。
(当主家の血がそうさせたのか……長い間の近親交配による血の重なりが、先祖返りとして神の力を得させたのか……)
 当主家には未迦知神の血が流れている。
 その血が神治の中に蘇っているのではないかと道彦は考えていた。
「あんっ、あんっ、ああんっ……やっ、やっ、やぁっ……」
 甘い声を上げる夜詩子を満足げに見下ろしながら腰をますます激しく振っていく。
「あっ、あっ、あはぁっ……いいっ、いいっ、いいぃっ……」
 夜詩子は頭を左右に激しく振り、豊かな乳房をブルブルと揺らして悶えた。
(ふふ……大きくなったもんだ……)
 双子の幼い頃を思い出し、すっかり女として成長したその肉体に興奮を高める。
「はんっ、はんっ、はぁんっ……イっちゃう、ああっ……私もうイっちゃうの、あんっ……私イっちゃうぅっ……あっ、あっ、あぁあああああああっ!」
 夜詩子の絶頂に合わせて精を放つ。
 ドクドクドク……。
 肉棒から押し寄せる快感に体をガクガクと震わせながら何度も射精を繰り返し、しばらくして精を放ち終えると、道彦はゆっくり肉棒を引き抜いて布団に倒れ込んだ。
 ハァハァと荒い呼吸をしている夜詩子を愛おしく見つめる。
「ねぇ……次はわたしぃ……伯父さぁん、早くぅ……」
 紗智子が上に乗り、大きな乳房を押し付けてきた。
「もう終わりだよ……そろそろ見回りに行かないと……」
「え〜〜? いいじゃないもうちょっと。私はまだしたいぃ〜〜」
「だけど仕事だからさ……」
「仕事仕事って、伯父さんは私と仕事、どっちが大事なのぉ?」
 ドラマで聞いた事のあるような台詞を言う紗智子に苦笑する。
「仕事、って言ったら怒るか?」
「うぅ〜〜、当たり前でしょっ。意地悪な伯父さんなんか、こうしてやるぅっ」
 突然紗智子は肉棒を掴むとパクッと口に含んだ。
「あ、こらっ……駄目だって、うぅっ……」
 すぐさまたまらない快感が押し寄せてくる。
「んぐっ……んぐっ……ほら、夜詩子も早くっ……んぐっ……伯父さん仕事行くって言ってるよっ……」
「え? それやだぁっ……分かった私もするぅっ……」
 絶頂の快楽から目覚めたのか夜詩子も加わってきた。
「うぅ……こら止めろ、うっ……伯父さんは仕事が、うぅっ……」
『知らないもぉ〜〜ん……私はもっとしたいんだもぉ〜〜ん』
 二人は同時に言いながら肉棒への愛撫を強めてくる。
「うっ……それ、うぅっ……いいっ……」
 さすが自分が長年仕込んできただけの事はある舌技だった。
 舐められているうちにみるみる肉棒が回復し、再び姪たちの肉体を味わいたい欲求が押し寄せてくる。
(しょうがない……もう一回ずつするか……)
 もともと可愛くてしょうがない姪たちのおねだりを無下にするのは嫌だったのだ。
 内心嬉しく感じながら、二人をまた抱こうとその愛らしい肉体に手を伸ばした時だった。
 ガタンッ。
 いきなり襖が開き、三十歳ほどの女性が部屋に入ってきた。
「兄さんまだしてるのっ? 早く行きなさいっ。時間は過ぎてるのよっ」
 それは道彦の妹であり、双子の母親である道子だった。
「あ、道子……いや、二人が放してくれなくてな……」
「そんな言い訳はいいんです。あんた達も、伯父さんの仕事の邪魔しちゃ駄目でしょっ」
『だってぇ〜〜、伯父さんともっとしたいんだもぉ〜〜ん』
 二人は同時に文句を言っている。
「昼間哲矢ちゃんたちに沢山してもらったんでしょっ。少しは満足しなさいっ。全く誰に似たんだかしつこいんだからっ」
(それはお前だろ……)
 道彦は、毎日抱いている道子の貪欲さを思い出した。
 何度絶頂を迎えてもいつまで経っても満足しないのだ。
 その血が二人の娘にも完全に受け継がれているのだろう。
(それに俺の血もあるのかな? っていうかうちの血筋か……)
 道子はあまりに貪欲であり、それは男が皆悲鳴を上げて逃げるほどだった。
 そのためなかなか相手が見つからず、ほとんど道彦が相手をしているくらいなのである。
 唯一他に当主家の人間が相手をしてくれていたのだが、どちらにせよ双子は、性的に凄まじい血を引いている事になった。
「という事だから、また明日な……」
 体を起こして服を身に付け始める。
『ぶ〜〜、つまんないのぉ〜〜』
 道彦は頬を膨らませて不満の声を上げる双子を面白く見つめながら、明日また沢山可愛がってやろうと思いつつ部屋を出て行った。


 暗い夜道を道彦は一人で歩いていた。
 こうして村の見回りをするのが仕事なのだ。
 それだけを聞くとずいぶん気楽な仕事のように思えるが、実はかなりの危険を伴っていた。
 村の外周を歩き、進入しようとしてくるモノを排除するというのがこの見回りの内容だったからだ。
 しかし別に人間を相手にする訳ではない。
 たまにそういった場合もあるが、ほとんどは今の世では認められる事のない生物たち、いわゆる化け物と呼ばれる存在が相手だった。
 緋道村は性に開放的な場であるため淫の気に満ちており、その「気」につられて様々な化け物が寄って来るのだ。
 人の精は化け物にとって美味なものであるらしく、それを求めて進入してくるのである。
 道彦の家は、代々化け物から村を守る仕事をしていた。
 性的な能力が高いのも、先祖が化け物たちと戦うことで身につけてきた成果なのである。
 道彦はそういった家の人間として育ち、将来は自分も仕事を継ぐのだと何の疑問も持たずに成長したのだが、ある時から家の仕事よりも違う事がしたいと思うようになった。
 成人の儀式を終えて女体の味を知った後、セックスに狂ってしまったのである。
 それ以来、村中の女を相手にとにかくセックスしまくり、毎日のように女体を貪った。
 道彦の体は性的にかなり優れており、皆に何度も抱かれることを望まれた事で自信を持った道彦は、いつしか村の外に出て、もっと多くの女を味わいたいという欲望に取り付かれたのである。
 大学進学を機に村を出、そこで様々な女を抱くのだと気合を入れて上京した。
(ふふ……馬鹿だったよな……)
 結果は散々だった。
 女は誰一人として道彦を相手にしなかったのだ。
 村でモテまくっていた道彦にとってそれはかなりショックな事であったが、理由はすぐに分かった。
(俺は……顔が悪かったんだよな……)
 そう、道彦はいわゆるブ男だったのである。
 女性にモテる顔立ちではなかったのだ。
 無論、緋道村においても美形の人間はモテる。
 だがそれ以上にセックスの上手さが重視されていた。
 いくら顔が良くても性的能力が低ければあまりモテず、たとえ顔が悪くとも性的能力が高ければモテた。
 幼い頃から誰がどれだけセックスに長けているのかが噂される緋道村では、自然と性的能力の凄さが知れ渡り、道彦としたがらない女はいなかったのである。
 ところが村の外の女にとって重要なのは第一に顔であり、顔が良くなければセックスにまでこぎつけられなかった。
 しかも少し仲良くなったからといってすぐにセックスさせてくれる訳ではなく、上手く自分への好意を高めなければならないのだ。
 幼い頃から友人たちと遊びのようにセックスをしてきた道彦には、顔の悪さを補うほど好意を持たせる話術の持ち合わせはなかった。
 そんな理由から、道彦の大学生活四年間はろくにセックスもできない散々なものだったのである。
(それだけならまだ良かったさ……)
 友人たちに誘われ、参加した合コン。
 そこで道彦は、村では聞かされた事の無かった侮蔑の言葉、蔑みの視線といったモノにさらされたのだ。
 自信満々だった心はあっという間に冷え込み、暗く後ろ向きな状態になっていった。
 そして大学卒業後、失意のまま仕方なく家業を継ごうと村に戻ったのだが、そこで道彦は新しい喜びに出会った。
(おじさぁんっ、はじめましてぇっ。さちことよしこでぇすっ)
 そっくりな顔をした幼女二人が、同時に声を上げ、同時に頭を下げてきたのだ。
 呆然とする道彦に突進してきた幼女たちは、そのままぶつかるように腰にギュッとしがみついた。
 見上げてくるクリクリとした真っ黒な瞳、輝かんばかりの明るい笑顔。
 冷え切っていた道彦の心に、二人の笑顔はまるで太陽のような温かな光を注いできた。
 それが姪たち二人との初めての出会いだった。
 妹の道子が子供を産んでいたとは聞いていたが、これほど大きくなっているのは予想外であり、さらにはこれほど可愛らしいとは思ってもみなかった。
 彼女たちの笑顔は道彦を無条件に受け入れ、慕ってくれている。
 それは都会で酷い扱いを受けていた道彦の心を強く鷲掴みにし、その日以来二人に夢中になる結果となった。
 何をするのにも紗智子と夜詩子の事を気にかけ、二人が喜ぶことなら何でもした。
 そしてついにはその幼い体を自分の物にするまでに至ったのである。
(あれは、あの子たちが八歳の時だったよな……)


「……というお話だ」
 道彦はいつものように布団に入った姪二人に本を読んでいた。
 もう小学二年生なのだからこういった事は退屈になるかと思ったのだが、楽しそうに聞いてくれている。
 姪たちのその笑顔は、道彦にとって何にも変えがたい最上のものだった。
(この子たちも、もう八歳か……)
 それを思うと、嬉しいような寂しいような感情が押し寄せてくる。
 あと三年、十一歳になれば、双子は男に抱かれるようになるからだ。
 それが緋道村の決まりなのである。
(初めては、俺が……)
 そう決めてはいるが、しかし姪たちは双子。
 確実に一人は他の誰かが抱く事になる。
(そんなのっ……嫌だっ!)
 可愛い姪たちが自分以外の男に抱かれるなど想像したくもなかった。
 しかし緋道村に住んでいる以上、それは仕方の無いことであり、自分が二人を抱けるのも村の決まりのおかげなのだからそれに不満を持つ訳にもいかない。
 だからせめて処女だけは自分がもらいたいと思っているのだが、どちらか一人はそれが不可能になるのだ。
(何とか当主さまにかけあって……)
 現在の当主は大らかな人物だった。
 上手く頼めばそういった特例も認めてくれるのではないか。
(いや駄目だ……当主さまがいいと言ったって、他のうるさ方が出てきたらお終いだ……)
 当主の権限は絶対ではあるが、かといって村の決まりを公然と破ることは認められていない。
 反対意見が出てしまえばそれを無視する事はできないだろう。
(じゃ……どうすれば……)
 そこまで考えたところで、双子がこちらをジッと見つめているのに気が付いた。
 急に黙り込んだ道彦を気にしているのだろう。
「あ……ごめんな……伯父さんちょっと考え事してたから……」
「ううん、いいの……伯父さんは私たちのこと考えてたんでしょ?」
「凄く真剣な顔してたから、絶対そうだよね」
 二人の姪は天使のような笑顔を向けてくる。
「はは……お見通しか。そうだよ、伯父さんは二人のことを考えてた……」
「で、結論は出た?」
「私たちのどっちが可愛いか」
「え……?」
 予想外の問いに驚く。
「だって私たちの事で考えるって言ったらそれしかないじゃない」
「これだけ似ててもやっぱり違うもんねぇ。伯父さんはどっちが可愛いの?」
 二人は面白そうに尋ねてくる。
「ちょ、ちょっと……そんなの答えられないよ……」
「え〜〜、それズルいよぉ」
「そうそう、ちゃんと答えなきゃ駄目ぇ」
 楽しそうに笑う双子に、道彦は困ったように頭をかいた。
「伯父さんは二人とも可愛いんだ……どっちがより可愛いなんて言えないよ……二人とも大事な姪だからね……」
『ぶ〜〜、誤魔化してるぅ〜〜』
「ゴメンゴメン、許してよ……」
 文句を言ってはいるが、本気で答えを欲しがっている訳ではない事は分かるので、許してもらおうと道彦は笑いながら頭を下げた。
「しょうがないなぁ……ま、許してあげるよ」
「うん、許してあげる……でもさ、だったら何考えてたの?」
「そうそう、私たちの可愛さの比較じゃないとしたら、他に何考えてたの?」
 双子の問いに、どうしたものかと道彦は困ってしまった。
 成人の儀式の内容は、その日が来るまで話すべきではないからだ。
 成人である十一歳になるまでは性に触れさせない。
 それがセックスに開放的な緋道村において、強姦と共に制限されている事柄だった。
(だけど……まてよ……)
 確かに成人の儀式まで自由はないが、全ての人間がセックスをしていない訳ではない。
 家によってはこっそりと子供たちの肉体を抱いている人間がいるのだ。
 特に女の子は家族に処女を散らされる事が多いらしい。
 何しろ可愛がっている少女の肉体を抱きたいと思うのは男として当然の衝動だからである。
 無論それは公には禁じられている行為だが、守っている人間が少ないのも周知の事実だった。
 家族であれば口止めは容易であったし、誰もがしている事なので、告げ口をすれば自分も言われるという状況だったりするからだ。
 そういった理由から、家庭内であれば成人の儀式前にセックスをしても許されていたのである。
(そうだよ……どうして忘れてたんだろ……しちゃえばいいんじゃないか……)
 道彦の家は当主家に近しいためかかなり厳格な家風があり、そういった決まりを破るといった発想が起きないように育てられていた。
 だが皆がしているというのに、どうして自分だけがそんな決まりを守らねばならないのか。
 これほど可愛い姪たちを抱かずにいるなど信じられない。
 村に帰ってから道彦は、妹の道子しか抱いていなかった。
 都会で受けた女性に対する不信感があったのもあるが、それ以上に双子たちに対する意識が強すぎて、他の女を抱くという発想自体が薄れていたのである。
 しかし今、道彦の中には激しい肉欲が湧き起こってきていた。
 これほど可愛い姪たちを自分が抱く。
 その想像をした途端、抑え切れない衝動が体中を駆け巡っていたのだ。
「伯父さんな……二人を愛してるんだ……」
『……』
 突然の愛の告白に、双子は驚いた顔をしている。
「だから二人を抱きたい……自由にしたいんだ……成人の儀式の前に……二人を大人にしたい……」
『……』
 息を呑む声が聞こえる。
 幼いながらも成人の儀式がどういったものであるのかを知っているのだろう。
 思えば自分が幼い頃も、ぼんやりとだがいやらしい行為である事だけは知っていた。
 こういった事はいくら隠していても伝わってしまうものなのだ。
「駄目かな?……二人は成人の儀式まで綺麗な体でいたいかい?……今伯父さんとするのは嫌かな……?」
『……』
 双子は顔を見合わせ、どうしたらいいのか迷うような表情をしている。
「い、いいよ……」
「うん……伯父さんだし……」
 しばらくして二人は少し緊張気味に頷きながらそう答えた。
「そ、そうかっ……伯父さん嬉しいよっ」
 道彦は受け入れられた事に喜びを感じつつ、まるで初体験の時のように心臓をバクバクと鼓動させた。
「じゃ、じゃあ、二人とも裸になってくれるかな?」
『え? 裸ぁ?』
「うん。裸さ。これからする事は基本的に裸でする行為だからね」
『そうなんだ……』
 双子は顔を見合わせた後、起き上がってパジャマのボタンを外し始めた。
 日焼け跡が微妙に残っている白い肌がさらされる。
 まだ細い、脂肪の全くついていない小さな裸体が目の前に現れた。
(う……いいな……)
 普段から一緒に風呂に入りその幼い肉体を見ているとはいえ、やはり抱く対象として意識すると興奮してくる。
 肉棒を押し込む女として認識することで、これまで無かった肉欲が湧き起こってくるのだ。
「さ、こっちへおいで……」
 道彦も服を脱いで裸になると、二人を招くように両腕を広げた。
『伯父さん……』
 小さな可愛らしい肉体が二つ擦り寄ってくる。
「さっちゃんよっちゃん……」
 包み込むようにして抱き締めると、生の肌が触れ合ってジワリとした快感が湧き起こってきた。
 まだ弾力はないが、温かな体温が二人の存在を感じさせて愛おしさが増していく。
「ふふ……あったかい……」
「何か……気持ちいいね……」
 双子は顔を見合わせながら微笑んでいる。
(ああ……何て可愛いんだ……)
 愛らしい天使が二人、自分の腕の中にいる。
 それは道彦にとって最上の喜びだった。
 この神聖な肉体を、自分はこれから汚すのだ。
 二人の美しい肉体に比べ、自分は何と薄汚れていることか。
 多くの女を抱き、精を放ってきた体。
 それがまだ何も知らない綺麗な肉体に触れているのである。
 道彦の体にゾクゾクするような興奮が湧き起こってきた。
「じゃ……まずはキスしよう……」
 道彦が囁くと、二人は一瞬真剣な表情をした後、うっとりしたように目を閉じた。
 微妙に上気した全く同じ顔がそこにある。
 白い顔の中でそこだけ薄く桜色に輝く小さな唇。
 その二つの唇を近くに寄せ、己のモノを押し付けていく。
『ん……』
 触れた瞬間、二つの体がピクッと震えるのが興奮を誘った。
 そのまま強く二人を抱き締めながら、スベスベとした肌の感触を味わう。
『んんっ……』
 舌を出して唇を舐め上げると、ビクビクっと体が動いて可愛らしい。
「二人も舌を出して……くっつけるんだ……」
 少し唇を放して言った後、すぐさま再び押し付ける。
 するとオズオズといった感じで二つの舌が伸び、道彦の唇を擦り上げてきた。
(うぅ……あぁ……何て……何て気持ちいい……)
 小さな舌が触れてくるだけで体が震えるほどの快感に包まれる。
 道彦は二人の体に自分の肌を擦り付けるようにして動かしながら、その小さな二つの頭を抱えて激しく唇を吸っていった。
『んんっ……んっ……んんぐぅっ……』
 双子がくぐもった声を漏らし、ギュッと抱きついてくる。
(ああ……可愛い……二人は何て可愛いんだろぉ……)
 今までも死ぬほど可愛いと思っていたが、こうして肌を合わせていると愛おしさがさらに増していく。
『んぐっ……んんっ……んぷはぁっ……』
 しばらくして唇を離すと、双子はぼんやりとした表情を浮かべて荒い呼吸を繰り返した。
 上気した顔が幼いながらも色気を感じさせて興奮を高める。
「さっちゃん……」
 道彦は二人の体を横たえると、紗智子の平たい胸に舌を這わせていった。
「きゃはっっ、くすぐったいぃ〜〜。きゃはははっ」
 紗智子が体を激しく震わせて笑い出した。
「ちょっと我慢してくれ。しばらくすると変わってくるから」
「うひゃっ、変わるって、きゃはははっ、なにぃ?」
 可笑しそうに笑いながら紗智子は体をよじらせた。
「伯父さぁん、成人の儀式ってくすぐる事なのぉ?」
 脇で夜詩子が不思議そうな顔をして尋ねてくる。
「そうじゃないんだよ。二人はまだ小さいからすぐには分からないと思うけどね。こうしてると大人の女の人は気持ち良くなるんだ」
「嘘ぉ、紗智子笑ってるだけだよぉ」
 夜詩子は納得できないように首をかしげている。
 紗智子はその言葉が聞こえないようで笑ったままだ。
(次はこうして……)
 ピンク色をした乳首に吸い付き、思いっきり吸い上げる。
「あっ、いやっ、きゃはははははっ……」
 一瞬感じたのかと思ったが、やはりくすぐったいだけらしい。
(まだ子供だからなぁ。すぐには無理だよね)
 道彦はそう思うと諦めずに何度も乳首を吸い、舐め上げていった。
「きゃはははっ……あはっ……あっ……はははっ……あっ……あはっ……」
 笑い疲れてきたのか紗智子の声が絶え絶えになってきている。
「あっ……あはっ……はっ……」
 やがて声が小さくなり、ただの呼吸音だけになった。
 フーフーと荒い呼吸を繰り返しながらジッとこちらを見つめている。
「おじ……あっ……伯父さぁん……何か……あっ……何かぁ……ああっ……」
 紗智子がそれまでと違い、体を微妙にクネクネと動かし始めた。
「ん? どうした? もうくすぐったくないのか?」
「うん……何か……あっ……何か変……ああっ……何か変だよぉ……」
 乳首をチュパチュパと吸い上げるたびに、紗智子の体に震えが走った。
「そうか……じゃあ、こんなのはどうだ?」
 そう言って下半身に移動すると、両脚を開いてまだ幼い膣穴に舌を刺し入れる。
「ひゃんっ……」
 体を跳ねさせる紗智子を見つめながら、クニクニと膣の中を舐め回す。
「ああっ……やっ……それぇっ……ああんっ……」
 紗智子は脚をバタバタと動かして悶えた。
「ふふ……気持ちいいか?」
「う、うん……何か変だけど……気持ち……いい……」
 一度快感を感じ始めるともうくすぐったくはないらしい。
 その成人女性と変わらない反応に道彦は嬉しくなった。
「あっ……ああっ……ああんっ……やっ、やぁっ、やはぁんっ……」
 幼いクリトリスを吸い上げ、舌先でいじると紗智子が可愛らしい声を上げ、膣穴からはダラダラと愛液が垂れ始めた。
(そろそろいいかな?)
 まだ小さい膣ではあるが紗智子も緋道村の人間だ。
 おそらくこれだけ濡れていれば道彦の肉棒を受け入れる事は可能なはずだった。
 そういった事を以前友人から聞いていたのである。
(そういやあいつも、姪が八歳の時に抱いたって言ってたな……)
 入れるまでが大変だが、入った瞬間が格別だ、とその友人は言っていた。
 何しろそれ以来、姪とのセックス無しではいられなくなったらしいため、その気持ちの良さは相当なものなのだろう。
 その時は話半分に聞いていたのだが、いざ自分が紗智子の体を抱いてみると、確かに今までにない興奮を感じていた。
 可愛がってきた姪の肉体を自分の物とするのだ。
 興奮しない方がどうかしている。
「さっちゃん……初めは痛いらしいけど、いいかい?」
 そう尋ねると、紗智子は幼い顔に真剣な表情を浮かべてコクリと頷いた。
「じゃ、いくよ……」
 細い脚を持つと大きく左右に広げ、己の怒張した肉棒をその幼い膣穴に近づけていく。
 隣では夜詩子が興味津々の体で覗き込んでいる。
 ツプ……。
「あ……」
 亀頭の先が膣穴に触れた瞬間、紗智子が小さな声を上げた。
 そのまま腰を進めるが、まだ硬い膣穴はなかなか肉棒を受け入れようとしない。
「く……」
 道彦は紗智子の腰をしっかり抱えると、力を込めて肉棒を押し進めた。
 ズブ……。
「あぅっ……」
 次の瞬間亀頭が膣穴に入り込み、紗智子が頭を仰け反らせる。
 そのままズブズブと肉棒を押し込んでいく。
「あっ……あっ……ああっ……あぐっ!」
 ある箇所を通過した時、紗智子が苦痛の声を上げた。
 どうやら処女膜を破ったらしい。
「痛いかい?」
 道彦の問いかけに、紗智子は頭を左右に振って否定した。
「我慢しなくていいんだからね」
 心配させまいとしているのか、痛みで顔を歪めながらも紗智子は微笑んでいる。
 その自分を気遣う様子に道彦は嬉しくなった。
「じゃあ、続けるよ」
 再び頷く紗智子の可愛らしい顔を見つめながら腰をさらに進める。
 ズブズブ……。
「あっ……ぐっ……うぐっ……」
 紗智子の苦痛の声が上がるが、それはすでに道彦の耳に届いていなかった。
 肉棒から伝わってくる激しい快感に意識を奪われていたのだ。
(何だ……これ……?)
 ほとんどの肉棒が収まったと思った瞬間、それまで感じなかった刺激に襲われた。
 肉棒を覆う膣襞が突然ヌメヌメと蠢き出し、まるで快感を感じる神経を直接擦るかのような快感を与えてきたのだ。
 それは強烈な締め上げの中で行なわれるせいか、肉棒の芯まで響くたまらない気持ちの良さだった。
「がっ……うっ……がはっ……」
 道彦は頭を勢い良く仰け反らせた。
 信じられない事に、すでに放出してしまいそうなほどに射精感が高まっている。
 これまで何人もの女を絶頂に導いてきた経験が、まるで無くなってしまったかのように早漏状態になっているのだ。
(うぉっ……出ちまうっ……出ちまうぅっ……)
 我慢しようとしても、膣襞がいやらしく蠢きそれを不可能にしている。
 紗智子のハァハァといったか細い呼吸が聞こえ、時折ピクリと体を震わせているのがたまらない。
 チラリと顔を見ると、ボンヤリとした表情を浮かべてこちらを眺めており、その幼いながらも上気した顔が女を感じさせていやらしかった。
「あ……おじ……さ……あっ……」
 声に誘われ、そのクリクリとした黒い瞳と目が合ったのがトドメだった。
(可愛い……)
 道彦の心は開放感に満たされ、我慢するといった意識すら無くなり、そのまま一気に精を放った。
 ドクドクドクドク……。
 道彦は体をガクガクと震わせ、何度も何度も精を放っていった。
 頭の中は真っ白で、精液が放出されるたびに快楽が体を包み込んでいく。
「あ……ああ……あ……ああ……」
 紗智子の小さな声が聞こえ、幼い少女の中に精液を放っているのだという認識が高まり快感が強まっていった。
 しばらくそうして精を放ち続けた後、ようやく射精を終えた道彦は、ゆっくり布団の上に倒れ込んだ。
 あまりに強烈な快楽のためか、体中が脱力して力が入らない。
「お、伯父さん……大丈夫……?」
 夜詩子が心配そうに声をかけてくる。
「大丈夫だよ……ちょっと疲れただけさ……」
「ふ〜〜ん……今のが成人の儀式なの?」
「そうさ……これがそう……ホントはもうちょっと長くやるものなんだけど……伯父さんが我慢できなくて……」
「我慢って?」
「さっちゃんの股の所から白いのが出てるだろ? それは伯父さんのオチンチンから出たものなんだよ……本当は……それを出さないように我慢するんだけど……それができなかったんだ……」
「どうして?」
「さっちゃんの中が……凄く……気持ち良かったから……」
 かなりの疲労だった。
 ただ射精しただけだというのに、どうしてここまで疲れているのだろう。
 相手が紗智子だからだろうか。
 愛する姪の体を抱くという興奮が、道彦を童貞少年のように変えてしまったのかも知れない。
「ふ〜〜ん……伯父さん気持ち良かったんだ……」
 夜詩子が楽しそうな表情をして覗き込んでくる。
「ああ……元々セックスってのは気持ちいいもんだからね。それがさっちゃんとしたら凄く良かったって事さ……」
「セックス? あ、今したことだね?……なるほどぉ、じゃあ私としても伯父さん、凄く気持ちいいのかなぁ?」
「そ、そりゃあ、双子だからきっと同じくらいに気持ちいいと思うけど……」
「ならさぁ、早く私にもしてよぉ。紗智子ばっかりズルイぃ〜〜」
 夜詩子は顔を近づけるとキスをしてきた。
「んんっ……んはっ……ふふっ、早くしよぉ……」
 幼いながらもやはり女なのだろう。
 紗智子が先に抱かれた事に対抗心を起こしているようだ。
「分かったよ。ちょっと待ってな……」
 ゆっくり起き上がると夜詩子の体を押し倒して覆いかぶさり、そのまま平たい胸に舌を這わせていく。
「ひゃんっ……やだっ、くすぐったいっ……」
 体を震わせて夜詩子が笑っている。
 そこら辺は紗智子と同じであったため、構わず舌を動かし小さな乳首を吸い上げていく。
「きゃはっ……やっ……やだぁっ……きゃはははっ……」
 くすぐったそうに悶える夜詩子の笑い声が部屋に響いた。
 乳首を回すように舐め、チュパチュパと何度も強く吸い付いていく。
「やっ……きゃはっ……あははっ……やぁっ……」
 夜詩子は頭を左右に振って激しく笑っている。
 しばらくそうして乳首を吸っていると、夜詩子の声に変化が訪れた。
「あっ……あんっ……やっ……なに?……変……」
 明らかにそれまでとは違う甘ったるい声になっている。
 女の喘ぎだ。
 体もくすぐったさとは違う震えを見せていた。
「気持ち良くなってきたかい?」
「ああっ……うんっ……変……あっ……変だけど……ああっ……気持ち……いい……」
 紗智子と同じように悶え始めた夜詩子の姿を満足げに見下ろしながら、道彦は舌の動きをさらに激しくしていった。
「あんっ、あっ……ああっ……おじ、あっ……伯父さぁん……」
 初めて感じる快感をどう処理していいのか分からないのだろう、夜詩子はピクピクと体を震わせている。
「もっと気持ち良くしてやるからな……」
 細い脚をグイと左右に開くと、まだ毛の生えていない秘所を覗き込む。
「やぁん……恥ずかしいよぉ……」
 可愛らしい声とは裏腹に、夜詩子のそこはすでに愛液でテラテラと光を放っていた。
 おそらく紗智子との行為を見ていたため、すでにかなりの興奮状態であったのに違いない。
 道彦はそのまま秘所に舌を這わせ、強く吸い上げていった。
「ああんっ、あっ……おじ、やっ……伯父さぁん、はぅっ……それ、ああっ……それ凄いっ……」
 ビクンっと体を跳ねさせ、夜詩子は激しく震えている。
「やっ、なんで、はんっ……そこ、あっ……そこ変、ああっ……変だよぉっ……」
 頭をブンブンと振りながら、手を握ったり閉じたりして喘ぐ。
 愛液がダラダラと垂れ、まるで早く肉棒を入れて欲しいと言っているかのように秘所がピクピクと蠢いた。
「じゃ、入れるからな……痛いと思うけど我慢して……」
 道彦が囁くと、夜詩子はコクリと頷いた。
 その様子を可愛らしく見つめながら、すでにギンギンになっている肉棒を近づけていく。
 ツプっ……。
「あっ……」
「うっ……」
 亀頭の先が小さな膣穴にハマり、二人は声を上げた。
 そのまま腰を進めると、ズブリズブリと肉棒が収まっていく。
「あっ……うっ……あぅっ……」
 ある箇所まで進むと、夜詩子が体を硬直させてうめき声を上げた。
「痛いかい……?」
 頭を振って夜詩子は否定した。
「そうか……」
 自分に心配をかけまいとしているその様子に愛おしさを感じながら、さらに肉棒を押し込んでいく。
「あぅっ……あっ……ああっ……」
 痛みに耐える夜詩子を見つめながら、肉棒に襲い掛かってくる快感に道彦は頭を仰け反らせた。
(ああ……やっぱりいい……よっちゃんのここも……最高だ……)
 双子の膣は、これまで道彦が経験したどんなモノよりも気持ちが良かった。
 肉棒を包む膣襞の感触がたまらないのだ。
 溶けて一つになってしまうかのような一体感があるのである。
 そして目に映る可愛らしい姿。
 十分美少女として通用する愛らしい顔、膨らみの無い平たい胸、脂肪の全くついていない細い手足。
 自分が今幼い肉体を支配しているのだと思うと、とてつもない興奮が押し寄せてくる。
「……あっ……うっ……おじ……あっ……」
 全く動かなくとも微妙に振動が伝わるのか、夜詩子がうめき声を漏らした。
 まだ快感を感じることのない未熟な体に肉棒を押し込んでいるという事実に、道彦は征服欲を刺激されて少し腰を引いてみた。
「あぅっ!」
「うがっ!」
 先ほどは無かった膣との摩擦の刺激により、一気に射精感が高まっていく。
(うぅ……ここまで凄いなんて……よっちゃんのここ……凄すぎる……)
 強烈な吸い付きが肉棒を襲い、もうそれ以上動けなくなる。
「はっ……あっ……おじっ……やっ……」
 それでもドクンドクンと肉棒自体が脈動し、膣も同じように微妙に蠢くため、チロチロとした刺激が道彦を襲った。
 何より可愛らしい声を漏らす夜詩子の上気した顔がたまらない。
「おじ……さぁん……」
 ボンヤリとした表情で夜詩子が見つめてきたのがトドメだった。
「よっちゃんっ!」
 姪の名前を叫ぶと同時に、道彦は一気に精を放った。
 ドピュドピュドクドクドク……。
 多量の精液が幼い膣に注がれていき、激しい開放感に包まれながら、道彦は何度も何度も精を放っていく。
(ああ……最高だ……たまらない……凄いよ……)
 道彦は体を震わせながら射精を繰り返し、しばらくして全ての精を放ち終えると、ゆっくりその小さな体に倒れ込んでいった。


 それから毎夜二人を抱くようになった。
 淫蕩な血がさせるのか、双子が快感を感じるようになるのに時間はかからず、快楽を知った二人は激しくセックスを求めてきた。
「あっ……ああっ、あんっ……凄い、ああっ……伯父さん凄いよぉっ……」
 四つんばいになり小さな尻をこちらに向けた夜詩子が、幼い容姿に似合わないいやらしい声を上げている。
「そうかいっ?……だったら今度はこうだっ……」
 両手で包めるほどに小さな夜詩子の尻を強く掴み、まるでそのまま持ち上げるかのように突き込んでいく。
「ああんっ、あっ、やぁんっ……凄い、あふっ……凄いよぉっ……あっ、あっ、ああんっ……」
 幼い肉体は押されるまま前後に揺れ、夜詩子は頭を左右に激しく振って悶え続けた。
「伯父さぁん、私にも早くぅ……」
 紗智子が隣で小さな尻を揺らした。
「よしっ、次はさっちゃんだっ……」
 夜詩子の体から肉棒を抜き、紗智子の穴に押し込んで腰を動かし出す。
「ああんっ……あっ、あっ、ああっ……いいっ、やっぱりいいっ……伯父さんのオチンチンいいよぉっ……」
 四つんばいになった小さな体が、道彦の動きに合わせて激しく揺れ動く。
「んもぅっ……私もうちょっとだったのにぃ……」
 隣で夜詩子が不満そうな声を上げている。
「ゴメンよっ……でも順番だろっ……」
 そう言いつつ肉棒を強く突き込む。
「あはんっ、あっ、ああっ……それ、あっ……それ凄い、あんっ……それ凄いのぉっ……」
 紗智子が甘い声を上げるたびに膣がキュッと締まり、肉棒に強烈な快感が伝わってきた。
 何度抱いても二人の肉体は気持ち良く、それは今まで抱いたどんな女よりも素晴らしいものだった。
(ああ……凄い……)
 自分がこれほどまで興奮するのは信じられなかった。
 何より二人を抱いていると、セックスを覚えたての頃のような感覚があるのが最高なのだ。
 慣れているはずのセックスが凄く新鮮に思えるのである。
 射精すら他の女を抱く時より早いくらいであり、まさに昔に戻っている感じだった。
「よしっ、次よっちゃんっ……」
 肉棒を引き抜き、夜詩子の尻を抱えて押し込む。
「ああんっ……あんっ、あんっ、ああっ……いいよぉっ……いいのっ……ああっ……いいんだよぉっ……」
 小さな体が腰を中心に前後に揺れ動き、自分が幼い子供とセックスしている認識が高まる。
(ああ……いいなぁ……こんな風に……さっちゃんよっちゃんみたいに……小さな体を抱いてると……凄く……気持ちいい……)
 この感覚は今までに経験した事のないものだった。
 二人の体を抱くようになってから、何故か激しい興奮を感じていたのである。
 成人女性とは違う華奢な肉体。
 細い手足と幼い顔。
 そして肌のすべらかさには信じられない気持ちの良さがあった。
(そうだよ……こういう若い……いや、幼い体を抱くと……俺は……俺は興奮するんだ……)
 そう、今まで感じた事のない快感の正体は、二人の肉体の幼さだった。
 これまで豊満な肉体が好みだった道彦は、年下の少女を抱く事がなかった。
 無論昔は同級生を抱いていた訳だが、大人になってからは一切抱いていなかったのだ。
 そして数年ぶりに幼い肉体を抱いた道彦は、その魅力にすっかり取り付かれてしまったのである。
 軽々とつかめてしまう細い腰、膨らみのない胸、そして肉棒を強く締めつけてくる膣の感触。
 それら全ては成人女性には存在しない、幼い少女だからこそ味わえるものだった。
(俺は……俺は……小さい女の子が好きだ……幼い体を抱いてると……たまらないんだぁっ……)
 最近は姪たちの友達にも欲情してしまうようになっていた。
 少女たちの姿を見るたびにすぐにでも抱き締め、体を舐め回し、肉棒を押し込みたくなる欲求が湧き上がっていたのだ。
 それほどまでに幼い肉体への執着が起きてしまっていたのである。
 つまり道彦はロリコンだったのだ。
「ああっ、ああっ、ああんっ……凄い、あんっ……凄いよ伯父さぁんっ……あっ、あっ、ああっ……」
 夜詩子の声が切羽詰ったものになってきている。
 絶頂が近いのだろう。
「あぅっ、あっ、ああっ……駄目、あんっ……もう駄目、ああっ……わたし、あっ……わたしもう駄目だよぉっ……やっ、やんっ……やぁああああああああんっ!」
 夜詩子が絶頂に至ったとみるや、続いて紗智子の中に肉棒を押し込む。
「あぅっ、あっ、あっ……凄い、あっ……凄いぃっ……」
 すでに射精感が高まっている道彦は腰の動きを強烈にしていった。
「あんっ、あんっ、あはぁっ……やっ、やっ、やぁっ……」
 押し寄せる快感に、紗智子は腕を崩して尻を高く上げる姿勢をとった。
 道彦はその可愛らしい尻をしっかり抱えると、さらに強く腰を叩きつけていった。
「やんっ、やんっ、やっ……それ、あぅっ……それぇ、あっ……それ凄いぃ、あはぁっ……」
 膝が浮き上がるほどに前に突き込み、高速で出し入れしていく。
「あふっ、あっ、あやぁんっ……いいっ、いいっ、いいのぉっ……あぐっ、あっ、あはぁっ……やっ、やっ、やぁあああああああっ!」
「うぉっ!」
 紗智子の絶頂に合わせて精を放つ。
 ドクドクドク……。
 多量の精液が流れ込むのに満足感を得ながら、何度も射精を繰り返していく。
 しばらくして最後の精を放ち終え、道彦はゆっくり布団に倒れ込んだ。
 はぁはぁと荒い呼吸を繰り返していると、双子がゆっくり起き上がって体の上に乗ってきた。
『伯父さぁん……大好きぃ……』
 トロンとした表情で甘えてくる二人の姿は、道彦にとって何物にも替えがたい最上のモノだった。
 己の行為で愛する姪たちが気持ち良くなっているのだ。
 これほどの幸福はないだろう。
『今度は……私たちが気持ち良くしてあげるね……』
 二人は頭を股間に移動させると、力を失っている肉棒をその小さな舌で舐め始めた。
「おっ……いいっ……」
 フェラチオを教えてから知ったのだが、二人のテクニックには驚異的なものがあった。
 さすが双子というべきか、二人でしている行為がまるで一人の意思でしているかのように見事に統一されているのである。
 何よりその可愛らしい頭を熱心に動かしている姿がたまらなかった。
 小さな二枚の舌が己の肉棒に絡んでいるのが何とも言えない嗜虐心をそそり、うっとりとした表情を浮かべる幼い顔も、見ているだけで射精してしまいそうになるほどだった。
(俺の……俺の可愛い姪たち……)
 これほど愛らしく自分に奉仕してくれる存在が他にあるだろうか。
 大学時代の悪夢が嘘のように、今の道彦は幸せだった。


(あれから道子に見つかっちゃったんだよな……)
 さすがに毎日抱いていては気づかれない方がおかしいだろう。
 烈火のごとく怒った道子をなだめ、何とか納得してもらうまでには少々時間がかかった。
 道彦は己がロリコンである事を明かし、姪たちを抱かないでいたらよその家の少女を強姦してしまうかも知れないと脅す事で道子を説得した。
 妙な脅し方もあったものだが、当主家に近い家として不祥事を起こす訳にはいかない意識がある以上、それはかなり有効な手段だったのだ。
 自分はどうしてここまで幼い体に夢中になってしまったのかと思う時もあった。
(だけど……俺って昔からそうだったんだよな……)
 成人の儀式以来多くの女性を抱いたが、高校生になった時から何か違和感を感じるようになった。
 それまでと違い、友人を抱いていてもそれほど興奮しなくなったのである。
 その時は同じ相手ばかりなので飽きてしまったのかと思い、新しい相手を求めて都会に出る事にしたのだが、今考えてみると友人たちの体つきが大人になってしまった事が原因に違いなかった。
 女の子は中学まではそれほどではないが、高校生になると多くが大人の体格になってしまう。
 その事が興奮を低くし、違和感を感じさせたのだろう。
 そして幼い姪たちを抱いた時の信じられないほどの高揚感。
 可愛がっていた事を差し引いたとしても、あれほど肉体に執着を持ったのは異常だった。
 二人の小さな唇を吸い、全く膨れていない胸に舌を這わし、幼い膣に肉棒を押し込んだ時のあの快感。
 まるで初めて女体に触れた時のような激しい興奮が体を突き動かした。
 すぐに果ててしまったのも当然だったろう。
 それ以来毎日のように抱いていったが、飽きるという事が全くなく、暇さえあれば二人を抱き、その青い肉体を味わいまくった。
(おかげで仕事にもやる気が出たよな……)
 道彦の仕事は淫妖を排除する事であったが、それはセックスによって行なわれており、正確には淫妖の見せる幻影とセックスする事だった。
 幻影は相手の人間が最も好む容姿、つまり少女が好きならば少女の姿が現れたため、現実に少女とセックスできないロリコンにとって、まさに夢のような職業だったのである。
 とは言っても、この仕事は誰にでもできるというモノではなかった。
 淫妖の与えてくる快楽はとてつもないものであるため、並の人間ではすぐに射精させられてしまうからだ。
 精は生命エネルギーであり、淫妖はそれを食するために何十回と射精させようとしてくる。
 そのためそれに逆らう事のできない人間は精を出しまくり、やがて衰弱して最後には死んでしまう。
 つまりこの仕事をする上での最低条件は、いかに射精しないでいられるかなのである。
 しかし射精しないでいるばかりでは、いつまで経っても淫妖を撃退する事はできない。
 何しろ淫妖は貪欲であるため、獲物が死ぬまで手放すことがないからだ。
 そこでこちらからも攻撃する必要が出てくる訳だが、その方法は淫妖を絶頂に至らせる事だった。
 淫妖は絶頂を迎えることで生命エネルギーを消費するため、何度か繰り返していれば死ぬ。
 つまり淫妖との戦いにおいては、いかに射精せずに絶頂させられるかが重要になっており、それゆえ耐久力が強く、性技に優れた人間のみがこうした村を守る仕事、「衛士」になる事ができたのである。


(今日は外れかな……)
 道彦は少し力を抜きながら周囲を見回した。
 淫妖は毎日現れる訳ではなく、一ヶ月に二、三匹といった割合で出現する。
 それも他の衛士が見回りの時に現れる事もあるので、そうそう戦う事はなかった。
(最近無いからなぁ……残念だなぁ……)
 本来命がかかっているのだから淫妖とは遭わない方が良いのだが、これまで手ごわい相手と接触した事のない道彦にとって、淫妖とは自分の理想の相手とセックスさせてくれるありがたいものでしかなかった。
 何しろ緋道村でさえ禁じられている、幼い少女たちと好きなだけセックスできるのだ。
 射精はほとんどできないが、それでも精神的な満足感が違った。
 できれば毎日でもしたいくらいに思っていたのである。
 それは不謹慎な考えだったが、姪たちが大人になりつつある今、自分の望む相手とセックスするためには淫妖を相手にするしかなかったのだ。
 幼い少女と知り合い、仲良くなる機会などそう無いため、もはやそれくらいしか道彦にとって楽しみはなかったのである。
(ん?……これは……)
 そんな事を考えながら、今日はもう出ないかと残念に思っていると、不意に弱い「気」を感じて道彦は立ち止まった。
 前方に淫妖らしき「気」があったのだ。
(ふふ……当たりだ……さてさて今日はどんな子かな……)
 淫妖によって思考の読み取り方が違うのか、それとも道彦自身の好みが変わっているのか、毎回違う少女が幻影として現れた。
 無論それは道彦の思考を読み取った姿であるため、一人残らず可愛い女の子ばかりである。
(居た……)
 月明かりに照らされた場所に、黒い服を身につけた十歳ほどの少女が立っている。
 ぼんやりとした雰囲気のある可愛らしい顔。
 腰の辺りまで伸びた長く美しい黒髪。
 微かに膨らんだ幼い胸。
 スカートから少しだけ見える細い脚。
 素晴らしかった。
 実に道彦の好みに合った少女だった。
(中身はどうかな……)
 淫妖にも様々あり、能力が高ければ高いほどその幻影は現実的な反応を示すのだ。
「ははっ……」
 道彦は小さな笑いを発しながら少女に近づいて行った。
 少女はその様子に恐怖の表情を浮かべ、逃げようと背中を見せる。
(ふふ……なかなかいいぞっ……)
 細い腕を掴み、こちらを向かせるとそのまま押し倒す。
「いやっ……やっ……」
 可愛らしい顔を歪めて少女が顔をそむけた。
 恐怖に震えるその姿に嗜虐心をそそられた道彦は、ゾクゾクするような興奮を感じつつ、そのまま黒い服をビリビリと破き、まだ膨らみの薄い胸を露出させた。
「やっ……いやぁっ……」
 少女が小さな声をあげながら、体を微妙にくねらせているのがたまらない。
 現れた白い膨らみを指で掴み軽く揉みしだく。
「やっ……やっ……やぁっ……」
 少女が頭を左右に振って泣き叫ぶ。
 道彦はピンク色の乳首に唇を押し付けると、強く吸い上げ、舌先で何度も弾いていった。
「やんっ……あっ……はぁっ……」
 感じているのか、少女の声に甘いものが混じってきた。
 その事に興奮を高めつつ、指で何度も胸を揉み、チュウチュウと吸っていく。
「あっ……やっ……あんっ……」
 嫌がっているのはそのままだが、体が感じる快感に耐えられないのか、少女は可愛らしい声を上げた。
 黒いスカートをガバっとまくり、白く細い脚をさらけ出す。
 まだ脂肪のついていない棒のような太ももに吸い付くと、唾液で染めていくかのように舌をベロベロと這わしていく。
「はっ……ああっ……やっ……」
 少女が上半身をモジモジとさせ、逃げるようにして頭の方へ体を動かした。
 それをグイと引き寄せ、そのまま舌を白いパンツに押し付けていく。
「あんっ……あっ……いやっ……」
 その瞬間、少女がビクビクっと体を震わせ、太ももで頭を挟んできた。
 そのままパンツ越しに幼い秘所を何度か吸い上げると、さらにビクンビクンと体が動き、少女が感じているのがよく分かった。
「やんっ……はぅっ……やぁっ……」
 小さな手が頭におかれ、股間へグイグイと押してくる。
 道彦はパンツに手をかけて一気に引き降ろすと、まだ毛の生えていない秘所へ直接舌を這わせていった。
「ああんっ、あっ……やぅんっ……」
 少女が体を仰け反らせ、体を小刻みに動かしている。
 溢れ出して来た愛液を吸い上げながら、道彦はペチャペチャと秘所を舐め続けた。
「あんっ、ああっ……やっ、やっ、やぁっ……」
 少女はガクガクと体を震わせて耐え切れないように頭を振っている。
「ふふ……じゃあ、そろそろ入れてやるからな……」
 体を起こしてズボンとパンツを脱ぎ始めると、その隙を突いたのか、少女が体を引きずるようにして逃げ出した。
 しかし立ち上がることができないのか、四つんばいになりながら移動している。
(ははっ……そこまでするかね……)
 その態度に道彦は楽しくなった。
 これはかなり自分の好みを理解してくれている淫妖だった。
 何しろこうして逃げる相手を押さえ込んで無理やりするのがたまらなく興奮するからである。
「逃がすかよっ」
 腰を強く掴み、グイと引き寄せる。
「いやぁっ……やっ……いやぁっ……」
 少女の口から悲痛な声が上がり、逃げようと必死に体を動かす。
(こいつは、上玉だ……)
 ここまで強姦される少女の反応を表現できるのはかなり能力の高い淫妖だった。
 精を出させるのが目的である以上、いかに相手の興奮を高める幻影を作れるかが重要なのだが、今相手にしている淫妖はそれが見事だったのである。
(本当に強姦してるみたいだもんなぁ……)
 しかし能力が高いという事は、それだけ手ごわいという意味でもあった。
 用心しなければならない。
 道彦はすぐに射精しないよう、肉棒に意識を向けて「気」による防御を高めた。
 こうしておけばそうそう射精する事はないのである。
 準備を終えた道彦は、待たせたのを怒っているかのように猛り狂っている肉棒を、少女の幼い膣へ一気に押し込んでいった。
 ズブッ……。
「あぁっ……」
「うぅっ……」
 少女が頭を仰け反らせ、道彦は腰を掴んでいる手に力を込めた。
「あぐっ……あっ……やぁっ……」
 快感に悶えつつも、少女は体を前に動かして逃げようとする。
「逃がさないって言ったろっ」
 そこまでする淫妖の素晴らしさに感動しつつ、肉棒をズンと突き込む。
「ああんっ……」
 ガクリと力を抜いて少女が腕を崩し、それと同時に肉棒にたまらない快感が押し寄せてきた。
(これは……大したもんだ……)
 元々淫妖は信じられないほどに気持ちのいい感触を伝えてくるのだが、今自分が肉棒を押し込んでいる膣はその中でも最高に良かったのである。
 温かでヌルヌルとした感触に加え、強くも弱くもないちょうど良い締め付け具合、そして膣襞が肉棒に絡みつき、奥へ奥へと誘ってくるのが極上だった。
(うぅ……たまらない……)
 これが本当の少女相手ならばさっさと射精してしまいたいくらいの気持ちの良さがそこにはあった。
 まさに男の種付けに対する本能を刺激する膣だったのである。
 だが淫妖相手の射精は命に関わることだ。
 そうそうする事はできない。
 道彦は気を取り直すと、ピクピクと震えている少女を満足げに見下ろしながら腰を動かし始めた。
「あんっ、あんっ、ああんっ……やっ、やっ、やぁっ……」
 肉棒が膣襞に擦れ、たまらない快感を伝えてくる。
 その意識が無くなるほどの気持ちの良さに、道彦は歯を食いしばって耐えた。
 この快楽に取り込まれたが最後、淫妖の思うまま射精させられてしまうだろう。
 そうなってしまったらお終いだ。
 道彦は肉棒の防御を高めつつ、早く淫妖をイかせようと、さらに激しく腰を動かしていった。
「やぁっ、あっ、はぅっ……あっ、やっ、はぁっ……」
 力強く腰が押し出されるたびに小さな頭が仰け反り、黒い髪が揺れ、可愛らしい唇から甘い声が漏れる。
 幼い少女がいやいやするように頭を振るその様は、嗜虐心をそそってたまらない興奮を湧き上がらせた。
「ああっ、ああっ、ああんっ……やんっ、やんっ、やはぁっ……」
 少女が耐え切れないように腕を崩し、尻を高く掲げるような姿勢をとった。
 そのまま小さな尻を抱えて猛烈に突き込んでいく。
「ああんっ、あっ、やぁっ……あっ、あっ、ああっ……はぅっ、はっ、はやぁんっ……」
 肉棒を包む膣襞がピクピク震え出し、どうやら少女の絶頂が近い事が分かる。
 道彦はその事に満足感を得ながら、このまま一気にイかせようと腰の動きに力を入れていった。
「あぐっ、あっ、あはぁっ……やっ、やぅっ、やぁんっ……あぅっ、あっ……ひゃっ、ひゃぅっ……やっ、やんっ、やぁああああああっ!」
 体をビクビクと震わせ、少女が力を抜いた。
 どうやら絶頂を迎えたらしい。
 だが道彦はそれを気にせず腰を振り続けた。
(ようやく一回か……こりゃかなり手ごわいかもな……)
 いつもならもっと早くイかせる事ができていたのだ。
 肉棒を通じて相手に「気」を送り込み、より強い快感を与えているのだが、それを受けていてこれだけの時間耐えているのだからなかなか手強い相手と言えるだろう。
 道彦はこれまで以上に気を引き締めると、さらに肉棒を強く押し込んでいった。


「あんっ、あんっ、ああんっ……やっ、やっ、やぁあああああんっ!」
 少女がしがみついて体を震わせている。
 もう何度目の絶頂だろうか、息も絶え絶えな様子で体の力を抜いている。
(もう少しかな……)
 少女から発せられている「気」は小さくなっていた。
 死は近いだろう。
「ああっ、あっ、あはぁっ……やぅっ、やっ、やぁんっ……」
 再び喘ぎ始めた少女の肉体を見下ろしながら、道彦は溜め息をついた。
(こりゃホント上玉だよな……こんないい体……久々だよ……)
 乱れた服から見える肌は真っ白で、微かな膨らみは荒い呼吸に激しく上下している。
「あっ、ああっ、あふんっ……」
 その頂点にあるピンクの突起は幼いながらも勃起し、吸い上げると少女は我慢できないように体を震わせた。
 膣は呼吸に合わせるように激しく収縮し、肉棒を奥へ奥へと誘うことを止めず、膣襞がヌメヌメと絡みついて、それ自体が快楽の素であるかのように気持ちの良さを伝えてくる。
 それは並の男ならば何度も射精してしまっている蠢きだった。
 だが道彦には利かなかった。
 たまらない快感はあるものの、「気」を操ることで決して精を放たない防御を作っていたからである。
 この鉄壁の防御を破った淫妖は未だ存在しない。
(そういや……穂智過ってのはどれくらい凄いんだろ……?)
 ふと過去に猛威を振るった淫妖のことが脳裏に浮かんだ。
 穂智過は村人を初め、多くの衛士を殺した淫妖である。
 道彦の性的能力は、高いとはいえ他の衛士と比べてそれほど抜きん出ている訳ではなく、また過去の衛士の能力が現在よりも低いと思えない以上、彼らを殺した穂智過の力は凄まじいものであったに違いない。
 優れた淫妖は獲物の望む幻影を作るが、さらに能力の高い淫妖は、その淫の気のみで人を惑わし精を吸い取るという。
 幻影はただの形式でしかなく、まるで人形のように無反応なのだそうだ。
 幻影を使って誘惑せずとも、人が狂うほどの淫の気を発して獲物を取り込む事が可能なのである。
 それは想像できないことだった。
 自分がそんな化け物と対峙したらどうなるのか。
 おそらく力を振り絞って逃げることしかできないだろう。
 だがその穂智過を当主の神治は倒した。
 とても信じられないことだったが、事実でもあった。
(神治くんは……どれほど凄い能力を持っているんだ……)
 衛士として並の人間よりも性的能力に優れている道彦は、その己を遥かに凌駕する神治の存在に畏怖の念を感じていた。
(だからこその当主……そして当主家という訳か……)
 性に開放的な緋道村において、唯一他家の血を入れる事を拒んでいるのが当主家だった。
 昔などは、家の女を一切外に出さないほどの徹底ぶりを示していたくらいなのである。
 その閉鎖的な状態も、当主家に流れる血を守るためだという理由から何となく理解はしていたものの、今初めてその真の理由を理解できたように思えた。
(あれほどの力……無くすなど許されまい……)
 現在村で最も能力の高い衛士である自分が畏怖を感じる存在。
 当主という肩書きではなく、その存在自体で相手に畏れを感じさせているのだ。
 そのような事はそれこそ神以外の何者でもないだろう。
(そうか……当主とは神と同じ……それに近しい力を持つ者という事か……)
 無論、当主だから必ずそうであるとは限らない。
 道彦がよく知る先代の当主にはそれほど力を感じなかった。
 だがだからと言って侮ってはならないのだ。
 そのための当主家の閉鎖性なのだから。
 たとえその代で神のごとき当主が現れなくとも、その血は脈々と当主家の中に流れ続け、近親交配により濃さを保ちつつ、まさに「神当主」とも言うべき存在を産み出す地盤となっている。
 緋道村の歴史を調べると、時折人間では不可能とも思える事を行なった当主の記載があった。
 おそらくそういった異業を成し遂げた当主たちは、今の神治のような人間であったに違いない。
 神の力を得、それを見事に操る存在。
 それが緋道村当主という訳だ。
(まあ、元々神が実際に存在するという事からして、この村はすでに異界と言えるんだよな……)
 緋道未迦知神。
 緋道村の守り神にして性の神。
 遥か昔に当主家の始祖を産んだ大いなる母神。
 今もその姿は、当主家の敷地にある神社に実体として存在する。
 当主のお披露目の際チラリとだけ見る事ができたが、何とも妖しい美しさを持つ女性だった。
 あまりに凄まじい「気」をその身にまとっており、自分などでは竦みあがって抱く事など不可能だろう。
 だがその未迦知神を神治は抱いたのだ。
 それが当主になるための儀式とはいえ、何とも凄まじい事だった。
 やはりそういった意味では当主家はどこか違っている。
 だが代々の当主は皆未迦知神を抱き、その力を頂いているのだから当然の事と言えるのかも知れない。
 ここ何代かは未迦知神が地下にこもっていたためそういった事は無かったが、それまでは必ず交わっていたのだ。
 そのたびに力を分け与えられ、人以上の力を身につけているのだとしたら、その凄さたるや想像以上のものがあるだろう。
 そういった血の積み重ねの結晶があの神治であるに違いない。
(俺はそんな当主と出会えて……幸せなのか……それとも……)
 己が仕えるべき相手が神のごとき存在である事に、道彦は戸惑いを感じずにはいられなかった。
「ああんっ、あっ、ああっ……やっ、やぁっ、やぁんっ……」
 己の思考に意識が向いているうちに、少女の喘ぎが激しいものになっているのに道彦は気が付いた。
 どうやら絶頂が近いようだ。
 これがおそらく最後になるだろう。
 この絶頂の後に、少女は死ぬ。
 それは何度も経験しているが、いつまで経っても慣れないことだった。
 いくら中身が化け物とはいえ、死ぬ姿をも幻影として見せられるのだから少々辛いものがあったのだ。
 もしかするとそれは、淫妖が最後に見せる抵抗なのかも知れなかった。
「あぅっ、あっ、ああんっ……はっ、はぁっ、はぁっ……あんっ、あんっ、ああっ……やっ、やっ、やぁああああああああんっ!」
 少女の体が今まで以上に硬直し、全身をガクガクと震わせた。
 目が大きく見開かれ、口からは涎がだらしなく垂れている。
 一見快楽の絶頂にいる状態だが、これは淫妖の断末魔であった。
 膣が強烈に締まり、肉棒を強く引き込んでくる。
「あぅ……あ……ああ……」
 少女の顔から表情が無くなり、ガクリと力を抜いた。
 膣から力が抜ける。
「うぉっ!」
 その瞬間、道彦は精を放った。
 ドピュドピュドピュドピュドピュ……。
 怖ろしいほどの勢いで精液が噴き出されていく。
 いくら「気」によって抑えていたとはいえ、快感を感じていたのは確かであり、それを封じている分いざ射精するとなると勢いが増すのだ。
「うぅっ……あぐっ……うおぅっ……」
 体を激しく震わせながら、道彦は何度も何度も精を放っていった。
 それはたまらない快感であり、まさに人と交わっていては味わえない強烈なものだった。
 しばらく射精を繰り返した後、最後の放出を終えた道彦は、ゆっくりと力を抜いて少女の上に倒れ込んだ。
「……」
 もう少女は何も反応を示さない。
 目は死人のそれと同じになっていた。
 肌の温かみや柔らかさはそのままだが、すでに生き物としての感触はない。
 だんだんと少女の体が薄まっていき、しばらくすると消えて無くなった。
(終わったな……)
 道彦はどこにいるとも分からない淫妖を探すように周囲を見回した。
 幻影の消失と共に淫妖の本体も消えていくため、これまで道彦はその姿を見たことがなかった。
 一体どのような姿をしているのかと興味を持ちつつも、見ない方がいいのかも知れないとも思っていた。
 しょせんは殺し合う間柄だ。
 相手の本当の姿など知らない方が幸せに思えたのである。
「ありがとうよ……」
 道彦は両手を合わすと、しばらく目を瞑って黙祷をした。
 いかに人に害をなす淫妖といえど、体を繋げ合い、快楽を与えてもらった相手だ。
 その死を悼んでもおかしくはないだろう。
「今までで最高だったよ……」
 すでに存在しない相手に向かって感想を述べる。
 道彦は一度大きく深呼吸をした後、ゆっくり立ち上がった。
 淫妖を倒したとはいえ、まだ見回りが終わった訳ではない。
 今日現れるのが一体とは限らないため、見回りは続けなければならないのだ。
 残りの場所に向かおうと、道彦は歩き出した。


(今日はこんなところか……)
 あらかた見回った後、そろそろ家に帰ろうかと道彦は思った。
 この後道子を抱かなければいけないのだ。
 あれほど道子が見回りを急かしていたのも、その後にある自分との行為を待っているからなのである。
(いい加減、兄離れしてくれないとな……)
 兄である自分が最も多く道子を抱いているというのは問題だった。
 近親相姦が認められているとはいえ、セックスが友好関係の証しである緋道村において、身内としかセックスしないのは良くない事であった。
 それだけ人付き合いが薄いのを証明しているようなものだからである。
(まあ、道子の場合、相手が根を上げちゃうからあまりするのもマズイんだけどな……)
 道子は一度の行為でかなりの回数を求めてしまうため、それに耐え切れない相手が嫌がるようになり、その結果付き合いが無くなってしまうのだ。
 それが分かっているので道子も他の男に抱かれないのである。
 双子の姪もそんな母を見ていたせいか、自分以外は幼馴染の哲矢と神治にしか抱かれていないらしい。
 哲矢も神治も並以上の精力の持ち主であるため、母親ゆずりの精力である二人の相手が可能なのだ。
(道子にもそういう相手がいればな……)
 言えば哲矢たちは抱いてくれるだろうが、年齢が離れているのが問題だった。
 ただセックスをさせたいのではなく、友人を作らせたいのだから、哲矢たちでは年齢に差がありすぎるのだ。
 それに道子は双子たちの母親であるため、どうしても「友人の母」という意識が強くなってしまうだろう。
(どうにかしなきゃな……)
 などと考えつつも、妹がいつまでも自分を求めてくれることに嬉しさを感じているのも事実だった。
(いいさ……このまま死ぬまで俺が面倒見てやればいいし……そのうちさっちゃんよっちゃんにも息子ができるかも知れないしな……)
 自分としては娘の方が嬉しいのだが、道子のためには息子もいてくれた方がいいだろう。
(どうせなら男女の双子ってのがいいんじゃないか?)
 二人にそれぞれ双子ができる。
 それはなかなか楽しい未来図だった。
 道彦はその想像に笑いながら、妹と双子の待つ家に帰ろうと歩く速度を速めた。
「ん……?」
 不意に感じた気配に思わず声を出してしまう。
(これは……何だ……?)
 先ほどまでは無かった「気」が感じられており、しかもそれは強いようでいて弱いようにも思える、何とも不思議な雰囲気を持っていた。
 本来は強烈な「気」の持ち主が、それを誤魔化すために抑えているように思えたのだ。
 その感覚は未迦知神と会った時にも感じられたことで、身近にいればその「気」の強さを伺えるが、離れていると全く感じないといった雰囲気を持っていたのである。
 先ほどまで分からなかったのも距離があったためだろう。
 これほど上手く「気」を抑えられるというのはかなりの淫妖だった。
(俺一人で……大丈夫か……?)
 手強そうな相手に不安の思いがよぎる。
 今まで淫妖相手に不安を感じたことはなかったが、この相手は今までに経験したことのない能力を持っていそうなのだ。
 何しろあの未迦知神と似た雰囲気を持っているのだから、下手をしたら穂智過並の淫妖であるのかも知れないのである。
 さすがにそのような相手では勝ち目はないだろう。
(だが……ここを離れては……)
 その隙に淫妖はどこかへ行方をくらませてしまうに違いない。
 衛士としてそれは許せない事だった。
 村へ侵入する淫妖は、たとえ命を落とそうとも防ぎきらなければならないのだ。
 それに敗れたとしても、己の精を与え淫妖を満足させれば、一時的に村人への被害を防ぐ事ができるのである。
 いわば人柱であり、それが衛士のもう一つの役割だった。
(ぐ……もしかしてヤバイか……)
 衛士をする決意をしてから、いつかは死ぬかも知れないと考えてはいたが、それがこうも早く感じられるとは思わなかった。
(だけど俺は……さっちゃんよっちゃんの娘とも……してみたい……)
 道彦は死にたくなかった。
 姪たちが大人になりつつある今、次はまだ見ぬ二人の娘を抱きたかったのだ。
 それまでは死ぬなど絶対に嫌なことだった。
 再び幼い肉体を思う存分味わいたかったのである。
(俺は死なない……俺は死なないぞ……)
 どんなに淫妖が強くとも、何としても生き残る。
 それは絶対に譲れない強い思いだった。
 そうした決意を抱きながら、生への執着、そして肉欲を高ぶらせつつ、道彦は「気」の存在する場所へと近づいていった。


 月明かりに照らされた周囲は、ぼんやりとした明るさがあった。
 街灯などというものが存在しないこの辺りでは、その微かな光だけが頼りだ。
(あれは……)
 少し先に人影がある。
 おそらくそれが淫妖、正確には淫妖の作った幻影に違いない。
 道彦は気合を入れてその方向へ近づいて行った。
「なっ……」
 しかし次の瞬間、目に映った少女の姿に思わず声を上げてしまった。
(なんて……なんて綺麗なんだ……)
 その少女は信じられないほどに真っ白な肌をしており、髪は月明かりに照らされて金色に輝いていた。
 年の頃は十四、五歳だろうか、胸は緩やかに膨らみ、その頂点には薄いピンク色の乳首が見える。
 こちらにゆっくりと向いた目は、青く輝いており、その瞳を見た瞬間、道彦は魂が抜かれたかのように何も考えられなくなってしまった。
 体がガクガクと震え出し、信じられない美しさに意識が蕩け出す。
(綺麗だ……綺麗……それに……何てたまらない……)
 股間の一物が痛いほど勃起し、今すぐにでも少女に飛び掛り肉棒を押し込みたい欲求が押し寄せ、ドクンドクンと心臓が激しく鼓動する。
(あ……)
 少女が誘うように手を差し伸ばし、それにより意識しなくとも勝手に脚が動いて少女の方へと歩き出した。
 道彦の頭には相手が淫妖である事や、このまま無防備に近づいては危険であるという事は完全に消え失せていた。
 ただ少女の傍へ近づき、その美しい肉体を抱き締め、肉棒を押し込んで無茶苦茶に動かしたいという欲望だけに占められていたのである。
(あ……うぅ……)
 肉棒が信じられないほどに強く勃起し、もう射精してしまいそうなほど敏感になっている。
 これほど耐え難い状態は初めてだった。
 全ての思考が肉棒に集中し、ただ抱きたい、目の前の少女を犯したいという思いに囚われていた。
(うぅ…)
 少女の体に手が届きそうな距離まで近づいた途端、急激に落ち着きが無くなり、少女を押し倒し、その体を舐め回し、肉棒を押し込みたい欲求がそれまで以上に強烈な勢いで湧き起こってきた。
 ブルブルと体を震わせながら耐えきれないように何度か大きく体を動かすと、次の瞬間道彦は地を蹴った。
「うがぁっ!」
 叫ぶと同時に飛び掛り、少女を地面に押し倒す。
 そのまま白く細い首筋に吸い付き、ほどよく膨れた胸を揉みしだく。
「うぁっ!」
 その瞬間射精してしまった。
 肌に触れただけで精を放ってしまったのだ。
 たとえ意識がぼやけているとはいえ、並の男ではない道彦がこれほど早く射精してしまうのは異常だった。
 相手はとんでもない淫妖である事が意識の片隅で理解できたが、すぐにそれは押し寄せる快楽に消されていった。
「うぅっ……あぁっ……」
 まるで白い宝石であるかのように美しい乳房を強く揉みしだき、その頂点にある薄い桜色をした乳首に吸い付くと、たまらない快感が体中を走り抜ける。
 口の中には蕩けそうな甘さが広がり、道彦は餓死寸前の人間が食べ物にありついたかのような勢いで、何度も何度も乳房を揉んでは舐め、乳首に吸い付いていった。
「うぐっ……うぅっ……」
 そうしている間も股間では肉棒が爆発し、精を放ち続けていたが、それが気にならないほど道彦は少女の乳房に魅了されてしまっていた。
 力を込めて乳房を揉み、思いっきり乳首を吸う行為は、それだけでこれまでしてきたセックスを忘れさせるほどの快楽があったのだ。
 乳房に触れているだけで、乳首に舌を這わすだけで、凄まじい気持ちの良さが押し寄せてくるのである。
「うごっ……うぐっ……」
 もう何度目か分からない射精が行なわれた。
 それを意識の片隅で感じた道彦は、己が何と勿体無い事をしているのか気が付いた。
 入れるのだ。
 入れるべきなのだ。
 今組み敷いている、この気持ちのいい少女の中に己の肉棒を思いっきり突き込むべきなのだ。
 そしてそこで射精する。
 それはきっと恐ろしく最高に気持ちのいい行為に違いない。
 その想像もできない快楽の瞬間に興奮を高めた道彦は、慌ててズボンとパンツを引き降ろすと、すでに精液にまみれている肉棒を取り出した。
 そして少女のこれまた真っ白な細い脚を開くと間に腰を入れ、ほとんど毛の生えていない小さな膣穴に亀頭を押し込んでいった。
 ズプッ……。
「うぁぅっ!」
 その瞬間、射精した。
 我慢できなかったというより、自ら望んでしたのだ。
 すでにもう射精する事について我慢するという意識は全く無くなっていた。
 とにかく少女の中で精を放つ。
 少女に包まれながら精液を注ぎ込む。
 それだけが道彦の頭の中に存在している全てだった。
「うぉっ……ふぅっ……がっ……」
 亀頭の先がやんわりとした膣襞に吸い付かれ、体中に快感が走り肉棒が一気に回復した。
 膣襞はまるでそれ自体が生き物であるかのように絡み付き、誘うように奥へ奥へと引き込んでくる。
「うぉっ!」
 その快感に耐え切れず、再び射精する。
 そして次の瞬間には膣の作用により肉棒が回復していく。
「がぁっ……がっ……うぐっ……」
 もう止まらなかった。
 いや、止めたくなかった。
 この少女の中に、柔らかくて温かいこの肉の中に入りたくてたまらなかった。
 意識せずとも腰が進み、ズブズブと肉棒が収まっていく。
「がはぁっ!」
 全てが入り込んだと思った瞬間、肉棒が消えたかのような錯覚があり、それとは別に恐ろしいまでの快楽が股間から押し寄せてきた。
 何とも信じられないその感触に驚きつつも、腰が勝手に動き出す。
「がぁっ!」
 一度出し入れしただけで射精してしまう。
 だがすぐさま回復し、肉棒が痛いほどに勃起していく。
「ぐがっ! がっ! おぐっ!」
 腰を振るたびに精が放出された。
 もう自分がいつ射精しているのか分からないほどそれは繰り返され、道彦は意識しないまま腰を振り続けていった。
「うぐっ! あがっ! おぅっ!」
 少女から伝わる快感はとてつもなく、普段のセックスでは肉棒に快感が集中しているのだが、今道彦が感じている気持ちの良さは体全体に広がっていた。
 肉棒はあくまで入り口にすぎず、そこから体中の神経に快感が津波のように襲い掛かっていたのだ。
「うぁっ! あぅっ! あがぁっ!」
 叫ぶたびに精を放ち、放つたびに快感が増した。
 腰は動き続け、止まる事の無い快楽が道彦を覆っていく。
「うぅっ! うぁっ! あぅっ!」
 肉棒が擦れるたびに激しい射精感が押し寄せ、それに耐え切れずすぐさま精を放ってしまう。
 いや、自分の意思で射精しているのだ。
 とにかくこの少女の中に精を注ぎ込みたい、精液で膣を一杯にしたい、という激しい欲求に精神が犯されていたのである。
「うぉっ! がぁっ! あぐっ!」
 道彦は何度も何度も精を放ちながら、すぐに回復する肉棒を出し入れしつつ、絶えることのない快楽にだんだんと意識を失っていった。


「うがぁっ!」
 もう何度目、いや何十回目か分からない精を放つ。
 その快感に浸りながら、道彦は今まで無いに等しかった意識が少し戻っている事に気が付いた。
(うう……何てこった、くそっ……いつの間にか沢山出しちまってる……このままじゃ……)
 意識を失っていたとはいえ、己がどれほどの精を放っていたのかは把握できた。
 淫妖の体内に放出した精液は全て吸収されているため正確には分からないが、疲労度などから大体の放出量は推測する事ができた。
 淫妖相手に精を放つことは死を意味する。
 その言葉の意味を、道彦は初めて実感するに至った。
 何しろ挿入した瞬間に射精してから、ずっと絶え間なく放ち続けていたのだ。
 しかも今まで経験したどんな相手よりもたまらなく気持ちのいい、いや、心地良い状態に心も体も満たされているのである。
 この桃源郷とも言うべき状態から、抜け出すなど不可能なことだろう。
(くそ……このままじゃ……このままじゃ死んじまう……)
 激しい疲労感は、明らかに生命力が枯渇している印象を与えた。
 このまま精を放ち続けては、あと数回の後に自分は死んでしまうだろう。
 それが分かっていても、体を離すことができないのは恐ろしいことだった。
 何より自分自身が「離れたくない。もうちょっとだけ」といった思いを持っているのである。
 まさにそれが淫妖の力であり、淫の魔力なのだろう。
 だがこうして意識を取り戻せたのは幸いだった。
 何しろ自分は衛士。
 対淫妖のための戦士だ。
 意識さえ取り戻せれば何とかなるはずだった。
(「気」を集中して……)
 気合を入れて肉棒に意識を向けると、射精感が少し和らぐ。
(これで……もう出さないで済む……)
 ホッとしたような残念な思いを抱きつつ、これからどうやってこの淫妖を倒すか、否、淫妖から逃れるかを考え始めた時だった。
(な……に……?)
 再び強い射精感が押し寄せてきた。
「気」による防御が効果をなしていないのだ。
 そんなものをあざ笑うかのように、凄まじい快楽が肉棒に襲いかかり、激しい射精感を呼び起こしてくる。
(馬鹿な……俺の力が……)
 これまでどんな淫妖の力さえも防いできた「気」の防御が破られている。
 先ほどより和らいでいるとはいえ、強い射精感を防ぐまでには至っていない。
 このままでは再び射精してしまうだろう。
「うぉっ!」
 そう思った瞬間には射精してしまっていた。
「気」の防御が全く役に立っていないのだ。
 こんな淫妖は初めてだった。
(俺は……死ぬのか……)
 先ほども死の覚悟をしてはいたが、何とかなるのではないかという考えもあった。
 だがこうして実際に射精をコントロールできなくなっている状態になった今、それが実感として感じられていたのである。
 淫妖に捕まった人間は精を放ち続けて死ぬ。
 先ほどから自分はかなりの回数射精してしまっている。
 これまでの経験からしてまだ大丈夫のようにも思えたが、この淫妖とのセックスは人間とする時とは違い、一回ごとの脱力が違っていたのだ。
 これが生命力を奪われているという事なのだろうか。
「うぁっ!」
 また射精した。
 だんだんと体の力が抜けていく。
 このままではかなり危険だった。
(くそぉ……)
 再び「気」の防御を試してみる。
「ぐっ……」
 だがそれは無駄な抵抗だった。
 いくら「気」を高め防御を固くしようとも、淫妖の発する淫の気はジワジワと染み入り、まるで快楽の蜜の中に入れられたかのような心地良さを伝えてくるのだ。
 この体に精を放て。
 射精し続けていれば最高の快楽を得られる。
 そんな誘惑が心を侵食し、防御しようとする気力すら奪っていく。
 もはやそれは射精感がどうとかいう問題ですらなくなっていた。
 道彦の意思、淫妖と戦っているのだという意識が消え去り、ただ「この美しい少女と自分はもっと一つになりたい」という想いが全てを支配していたのである。
 それは抗う事のできないとてつもなく甘い誘惑だった。
(俺は……もう駄目だ……)
 己の力をいくら振り絞っても勝てない事に、すでに道彦は諦めを感じていた。
 そして諦めは誘惑を加速し、自ら喜んで精を放つようになっていった。
(どうせ死ぬんだ……思いっきり……好きなようにして……そして死にたい……)
 この美しく気持ちのいい肉体と戦うのではなく、その身を委ね、受け止めてもらいたい。
 その極上の状態で死にたい。
 そんな思いが道彦を支配していった。
(凄く気持ちいい……こんな……淫妖なのに……いや……淫妖だからか……でも……こんな凄いの……初めてだ……たまらないぃ……)
 極楽があるならば、まさにこういった状態を言うのではないか。
 道彦はボンヤリした意識の中でそんな事を思いつつ、信じられないほどに心地良い感覚の中で、だんだんと意識を失っていった。
(ああ……死ぬのか……)
 己の呟きがきっかけとなり、道彦の心は完全に真っ白になった。


 神治は哲矢の家に向かっていた。
 紗智子と夜詩子の伯父であり、神治もよく知る道彦が入院したという事でその見舞いに行くのである。
 神治は道彦が単に幼馴染の伯父であるだけではない事を最近知った。
 衛士という、村に進入してくる淫妖を排除する職についている人間であり、それもかなり優秀である事を聞いていたのだ。
 そんな道彦が村の境近くで倒れているのが発見された。
 しかもその症状はどうやら精力の枯渇らしく、それは明らかに淫妖に襲われた人間の症状であり、衛士である道彦がやられたという事でかなりの問題になっていたのである。
 何しろ今村で最も優れた衛士が道彦であったため、その彼が敗れた相手となれば、相当手強い淫妖である事になるからだ。
 そんな事情から今回の見舞いは、ただ知り合いを見舞うというだけでなく、当主としての意味合いも含まれていたのである。
 また未迦知神いわく、やられた人間の状態を見れば、そこからある程度相手の強さも推測できるという事で、その淫妖に関する情報を得ようという趣旨もあった。
「あ、神ちゃん、こっちだ」
 病院の中に入ると、玄関ホールにいた哲矢が声をかけてきた。
「いやしかしビックリしたよな。道彦さんがやられるなんてよ……そんな強い淫妖が村にうろついてるとしたらやばいぜ……」
 哲矢は道彦がどういった仕事をしているのか知っているらしく、心配そうにしている。
「でも淫妖にやられても生きてるんだから、さすがだとは言えるけどな……」
 普通、淫妖に襲われた人間は生きてはいない。
 そういう意味で道彦は並ではないのだが、そんな道彦を追い込んだ淫妖の凄さを想像すると神治は気が重かった。
 果たしてそんな相手に何かできるのだろうか。
 伯母たちは神治ならば何とかできると考えたらしく、この淫妖に対する処理をするように言ってきた。
 無論神治も断るつもりはない。
 当主として村を守るのは当然の義務であり、個人的にもそうしたいと思っているからだ。
 しかし淫妖と戦う訓練を受けた道彦が勝てなかった相手に対し、自分などで歯が立つのか疑問だったのである。
 伯母たちの話によると、どうやら当主というのはそういう意味において衛士などより遥かに優れているらしい。
 当主の儀式において未迦知神の力を頂くことで神に近しい能力を得られるのだから、淫妖などに負けるはずがないと言うのだ。
 確かに神治は神の力を得ていた。
 正確には未迦知神に頂いた訳ではなく、神である穂智過と一体化したために得たのである。
 その意味では歴代の当主の中で最強と言って良いだろう。
 何しろ他の当主は人間でしかないのに、神治は神となっているのだから。
 そこまで分かっているのだからもう少し自信を持っても良いと思うのだが、そうは言っても実際に神としての実感を持てないでいる以上、無理なことなのだった。
「ここだ……」
 しばらく考えに耽っているとどうやら病室についたらしく、哲矢がドアをノックしている。
『あ、哲ちゃん……神ちゃんも……』
 中に入ると、紗智子と夜詩子が同時に声をかけてきた。
「さっちゃんよっちゃん、道彦さんはどうだい?」
「命には別状ないけど……」
「ずっと眠ったままなの……」
 二人は悲しそうに俯いている。
「美奈子姉ちゃんの話だと単なる衰弱だって言うんだけどな……何せ淫妖が関わってることだし、あまり分からないんだと……」
 確かに淫妖に襲われた人間の症状を診断するのは難しいだろう。
「神ちゃんなら何か分からないかって言ってたけど……」
「無茶言うなよ……俺だって普通の人間には違いないんだぜ」
 本当は神であるのだが、それを言う訳にはいかない。
 だが一応どんな様子なのかと思い、神治は道彦が寝ているベッドに近づいて覗き込んだ。
(!……)
 何か妙な感覚があった。
(何だろ……これ……)
 それはどこかで感じたことのあるような感覚だったのだが、しかしそれが何であるのか思い出せない。
(ふむ、なるほどな……これは……)
 不意に頭の中に声が響き、隣に立っている未迦知神が興味深そうに道彦を見ていた。
(未迦知さま……何か分かるんですか?)
(うむ、多少な……神治よ、儂はちと用事があるので戻る……)
(え?)
(安心せよ、この者はただ衰弱しておるだけで特に問題はない。こうして安静にしておれば大丈夫じゃ……では行くぞ……)
 次の瞬間、未迦知神の姿が消えた。
(ど、どこ行っちゃったんだ? もしかして瞬間移動とか?)
 周囲を見回しながら、初めて見た未迦知神の力に驚く。
 それにしても何を慌てていたのだろう。
 神治はそれが気になった。
「どうしたんだ神ちゃん?」
「あ、いや、別に……どうやら問題ないみたいだよ……ただ衰弱してるだけみたいだって……」
「ホントか?」
「あ、うん……多分……」
「そうか、神ちゃんが言うんなら大丈夫なんだろ。良かったな、さっちゃんよっちゃんっ」
 哲矢が嬉しそうに双子に笑いかける。
『う、うん……ありがとう神ちゃん』
 二人は同時に頭を下げた。
「って、別にお礼を言われるようなことじゃないよ」
『それでも……神ちゃんに大丈夫って言ってもらったら安心したから……』
 双子は感謝するように見つめてくる。
「しかし道彦さんをここまでにしちゃう淫妖ってどんなんだろうな……そういや神ちゃんは淫妖を見たことがあるんだよな。どんな感じなんだ?」
「え? ああ、でも見たといっても幻影らしいから」
「幻影?」
「うん、凄く美人の女の人の幻影を作って、それで男を引き寄せるんだって」
「へぇ〜〜、そりゃ凄いなぁ。そんで感じはどうなんだ? やっぱり人間とは違うのか?」
 哲矢が興味津々といった感じで尋ねてくる。
「そうだね、物凄い状態だというのは確かだよ。何しろ俺、訳分からなくなっちゃったから」
「ふへぇ〜〜、そりゃ凄い。でも神ちゃんがそうなるんじゃ、俺なんかじゃもっと変になるんだろうなぁ」
 神妙な顔をして哲矢は頷いている。
「そんな相手とちょくちょく戦ってるってのは……衛士ってのはホント大変な仕事だよ……」
 眠っている道彦の顔を見つめながら、哲矢は溜め息をついた。
(俺は穂智過しか知らないけど……他の淫妖ってのはどんな感じなんだろな……)
 未迦知神がいなくなってしまったため、聞くことができないのが残念だった。
 後で聞こうと思いつつ、神治は再び話を始めた哲矢の言葉に耳を傾けていった。


「ちょっとそこのあなた」
 不意に声をかけられた神治はそちらの方を見た。
(!……)
 次の瞬間驚いて体が硬直する。
 目に映った姿に衝撃を受けたのだ。
 そこには一人の少女が立っていたのだが、ただの少女ではなかったのである。
 あまりにも白い肌、金色の髪、そしてこちらを見つめる青い瞳。
 そこにいたのは白人、神治と同じくらいの年齢の白人の少女だったのである。
 顔立ちは非常に整っており、日本人とは異なるハッキリとした目鼻立ちが美少女としての輝きを放っていた。
「ちょっと聞こえてないの?」
 少しいらだったような声で少女が再び声をかけてきた。
「あ、いや、聞こえてますよ。何か用ですか?」
「少し聞きたい事があって……当主の家ってどこかしら?」
 少女は外見に似合わない流暢な日本語で尋ねてくる。
 もしかしたら見た目は外国人であっても、中身は日本育ちの完全な日本人なのかも知れなかった。
「あ、それなら俺も行きますから、案内しますよ」
 神治も家に帰る途中であったため、口で教えるよりそれの方が早いだろう。
「え? そうなの。じゃ、お願いしようかしら」
 少女はツンっと澄ました様子で、顎を少し上げてこちらを見下ろすようにしている。
「それじゃ、こっちです」
 手で方向を指し示すと少女が隣に寄って来たため、神治は少し緊張しながら歩き出した。
(近くで見ると……凄く綺麗だなぁ……)
 風になびく金髪は実に柔らかそうで、キラキラとそれ自体が光を放っているかのように美しい。
 髪自体は二つにくくられており、いわゆるツインテールと呼ばれる形になっている。
 肌は全く日焼けしておらず、血管が透き通って見え、まるで陶器のようだった。
「何?」
 不意に少女がこちらを向いたため、至近距離で正面から顔を見る事になった神治はドギマギしてしまった。
 見慣れていない美しさの急接近は強烈だったのである。
「い、いや……何でもないです……」
「そう……ところであんたって当主家の人なの?」
「え? ああ、そうですけど……」
「ふ〜〜ん、じゃ、当主ってどんな人だか教えてくれる?」
 どうやらこの少女は緋道村の事情に詳しくないらしい。
 今当主家に男は当主しかいないため、「当主家の人間」と言った時点で、神治が当主であるのはすぐに分かる事だったからだ。
 そういった事情を知らず、また当主家の場所を知らない事を考えてみても、少女が外部の人間なのは明らかだった。
「当主に用事なんですか?」
「当主って訳じゃないわ。でもそれをあんたに言う必要はないでしょ?」
 少女は冷たく言い返してくる。
 かなりキツイ性格のようだ。
 このような応対をする人間と話した事のない神治は面食らってしまった。
「ほら、何してんの。早く当主について教えなさいよ」
 黙っているとやはりキツイ口調で急かしてくる。
「あ、いや……何て言ったらいいのかなぁ……」
 自分自身の人柄について語るというのは何とも難しいことだった。
「何よ知らないの? もしかして当主家の人間ってのは嘘なのかしら?」
「ち、違うよ。俺は当主家の人間だよ。だけど、その……」
 自分が当主だと言ってしまおうかと神治は思った。
 どうせ家に着けば分かってしまうことなのだから、そうした方が良いのではないだろうか。
 この美しいが、キツイ性格の少女にその事を黙っているのは、後々宜しくない状況になるように思えたのだ。
 悪し様に罵られそうな感じがしたのである。
(ホント……可愛くていい体してるのに……どうしてこんなにキツイ喋りなんだろ……)
 神治は少女の柔らかそうに膨らんでいる胸元をジッと見つめながら溜め息をついた。
「実は……」
「はは〜〜ん、なるほどね……そういう事か……」
 自分が当主である事を言いかけた時だった。
 不意に少女が何か合点がいったような言葉を口にした。
「ふふ……そうならそうと言えばいいのに……」
 意味ありげに笑うと、突然腕を絡めてくる。
「えっ?」
 あまりに突然の事に驚いて体を硬直させてしまう。
「やだっ、可愛い……ずいぶん初心なのね……」
 少女は可笑しそうに笑った。
「いや、その……いきなりだったもんで……」
 確かに今の反応はまるで童貞の少年みたいだった。
 同世代の人間の中では、おそらく世界で一番女性経験があるであろうに、何とも恥ずかしい事である。
「でもあっちの方は凄いんでしょ? 何しろ緋道村の住人なんだし……もしかして初心だけどヤるとなると化けるとか?」
「え?……どうかな……」
 言われてみれば、自分はセックスをしている最中に荒々しい感じになる時があった。
 それを「化ける」という言葉で表せば確かにその通りなのかも知れない。
「ふふ〜〜ん、面白そうね……」
 少女は何かをたくらむような表情をすると、急に腕をグイっと引っ張った。
「って、ちょっと……」
 驚いていると、そのまま道の脇へ連れて行かれそうになる。
「しよ、ね?……私あんたとしたくなっちゃった……」
「したいって何を……」
「そりゃもちろん、エッチに決まってるじゃない……あんただってそのつもりだったんでしょ? さっきからいやらしい目で私の体見てたんだし……ほら、こっち来て……」
 どうやら体を盗み見ていたのがバレていたらしい。
 少女はそれを自分に対するセックスの誘いと取ったようで、腕をグイグイ引っ張り、道の脇にある森の中へと引き入れようとする。
「ちょっと、いくら何でも早すぎるでしょ。まだ知り合ってから少しも経ってない……」
「あらいいじゃない。私はあんたとエッチしたいんだから。それともあんたは私としたくないの?」
「いや……その……そういう事はないけど……」
 これほどの美少女に誘われて断る男などいやしないだろう。
「ならいいでしょ。しよ、しよ?」
 強い力で引かれ、さらにあまり逆らう気が起きないため、神治は森の中へと入り込んでしまった。
 本気で嫌がっている訳ではないのだから当然だろう。
 何しろこれほどの美少女だ。
 できるものならセックスしてみたいと思って当然であるのに、相手の方から誘ってきているである。
 逆らう事などできるはずがなかった。
「もう、初心なんだから……これでも嫌がるの? んんっ……」
 突然美しい顔が迫り、唇に柔らかな感触が広がったかと思うと、舌が唇を割ってにゅるりと入り込んできた。
(!……)
 その瞬間、神治の体は硬直した。
 激しい肉欲が押し寄せ、そのあまりの強さに体が震えだす。
「んっ……んふっ……んんっ……」
 少女はそのままピッタリくっつくと、頭を左右に入れ替えながら唇を重ね、体を擦り付けるようにしてきた。
(うぅ……こ、これは……)
 触れている部分から、まるで蛇が這うようにジワリジワリと快楽が押し寄せてくる。
 それは耐え難い快感を感じさせ、肉棒が一気に硬く大きくなった。
「んっ……んんっ……んはぁ、ふふっ……大きくなった……」
 そう言いながら肉棒に太ももを押し付けてくる。
 両腕が首に回り、下から覗き込むようにして見つめてくる青い瞳は淫靡な光に満ちていた。
「あ……その……」
 心臓がバクンバクンと強烈に脈打ち、信じられないほどの興奮が湧き起こってくる。
「私とするの……嫌……?」
 せつなげな表情で問いかけてくる少女に、神治の理性は一瞬で消え去った。
「うおぉっ!」
 少女の体を強く抱き締めると、そのまま森の奥にある少し開けた場所へ引きずるようにして連れて行く。
 地面へ勢い良く押し倒し、服を捲くり上げて隠されていた膨らみを顕わにする。
(!……)
 それはあまりに白かった。
 これまで様々な乳房を見てきたが、これほどまでに白い膨らみは初めてだった。
 その柔らかそうな肉の塊の頂点には、これまた色素の薄い、まさにピンクとしか言いようのない乳首が屹立している。
「うぅっ!」
 我慢できなくなった神治は、そのまま少女の乳房をギュッと掴み、激しく揉み上げると共に、ピンク色の乳首に唇を押し付け、思いきり吸い上げていった。
「あんっ……」
 可愛らしい声が少女の唇から漏れる。
(うぉっ、凄い……それに、美味い……)
 手のひらに伝わる肉の感触は極上と言える柔らかさであり、それでいて強く押し返してくる弾力もあるという、信じられない膨らみだった。
 口の中にある乳首からは、思わず意識が遠くなるような甘さが分泌されており、吸うことを止められない。
 神治は夢中になってその白い膨らみと突起を揉み、吸い、舐め上げていった。
「あんっ、やっ……もう、せっかちね……あっ……ふふっ……男はみんな獣、はんっ……初心なあんたも、あっ……一皮剥ければ獣よね……」
 少女は快感の声を上げつつも、楽しげに神治の様子を見つめている。
 それは余裕のある雰囲気であり、己の落ち着きのない状態と比較すると、何やら見下されているような印象を与えた。
(馬鹿にするな……)
 自分に従わなかった女はいない。
 これまでの経験が神治の中に雄としての自信と、女は全て己の物にするのだという欲求をもたらした。
 自分とセックスした女は皆喘ぎ、従わなければならないのだ。
 神治はもっとこの少女を感じさせてやろうと、乳房に対する愛撫を強めていった。
「あっ……んっ……ああっ……」
 少女が甘い声を上げる。
 ツンと澄ました雰囲気を持った少女が甘える声を発するのは興奮を誘い、心臓がバクバクと激しく脈打った。
「ふふっ……この程度で私が満足すると思ったら大間違い……もっと頑張らないと満足しないわよ……」
 その言葉は偽りではなく、確かに少女には余裕があった。
 感じているのは確実だろうが、まだまだ序の口といった雰囲気なのだ。
(くそっ……何てやつだ……)
 己の愛撫が通用していないというのは、男としてかなり傷つく事だった。
 これまでそういった経験のなかった神治は、焦りと共に激しい対抗心を持ち始めた。
(絶対気持ち良くして……泣き叫ばせてやる……)
 初対面の相手である事を忘れ、まるで憎らしい仇を迎え撃つかのように、神治は乳房への愛撫を強めていった。
「あっ……あんっ……あっ……」
 微かに漏れる少女の声は、それだけでたまらない快感を与えてくる。
 まるで鼓膜にも性感帯があるのではないかと思えるほど、その喘ぎ声を聞いているだけで射精しそうなくらいに肉棒がビクンビクンと蠢いてしまうのだ。
(くっ……凄い……)
 自分は何もされていないというのに、少女の反応だけで肉棒が反応してしまうのは驚くべきことだった。
 まるで何も知らない童貞少年になってしまったかのようだ。
「うふっ……そろそろ裸になろ?……服着たままじゃ気持ちの良さが半減だよ……」
 少女はそう言いながら神治の体を押しのけると、着ていた服と靴を脱ぎ、ゆっくり横たわった。
(うっ……!)
 そこには白い妖精がいた。
 透き通るほどに白い肌と森という場所がそうさせるのか、少女は幻想的な雰囲気をかもし出していたのだ。
 地面に横たわる少女の裸体は美しい上に淫靡さに満ち溢れており、見ているだけで射精しそうな快感が股間に押し寄せてくる。
 特に何故か靴下を脱がなかったため、「裸の体に靴下だけ」という姿が、妙な興奮を感じさせて抑えが利かなくなった。
「うぉぉっ!」
 神治は自分も服を全て脱ぐと、そのまま一気に少女の体に抱きついていった。
「うぅっ!」
 直接肌に感じられる少女の肉体は、ただ体を擦り付けているだけでたまらなかった。
 スベスベとしていながら、それ自体が快楽を与える能力を持っているかのように快感が伝わってくるのである。
「あぅ……うっ……うぅ……」
 神治は体をクネクネ動かし、少女と己の体を擦りつけながらしばらくその快楽を味わった。
 恐ろしい気持ちの良さに射精感が高まり、今すぐにでも精を放ちたくなってくる。
「どう? 私の体いいでしょ? こうして肌を合わせているだけでたまらないって感じよね……ふふっ、でもまだ射精しちゃ駄目よ……出すのはちゃんと入れてから、ね?」
 甘く囁いてくる少女の声は、やはりそれ自体が淫靡な力を持っているのか肉棒にズンズンと響く。
(入れる……?)
 この肉体に、少女の体の中に肉棒を入れる。
 そう思った途端、興奮が一気に高まった。
 こうしてただ肌を合わせているだけでもたまらなく気持ちがいいというのに、さらに肉棒を押し込んだりしたらどれほどの快感が押し寄せるのだろう。
 神治はその想像にそれこそ射精しそうになりながら起き上がると、少女の細くて真っ白な脚をグイと左右に開いた。
(うぉ……)
 あまりに美しい秘所に溜め息が漏れる。
 ほとんど毛の生えていない、まさにピンクとしか言いようのない襞が目の前にあるのだ。
 これまで多くの秘所を見てきたが、ここまで色素の薄いのは初めてだった。
 顔を近づけると微妙に蠢くピンクの肉が迫り、その様子に我慢できなくなった神治は、唇を押し付け強く吸い、舐め上げていった。
「ああっ……あっ、やっ……いいっ……いいの、あんっ……それ、ああっ……」
 溢れてくる愛液をジュルジュルと吸いながら、舌先を膣穴に押し込み、秘所全体を舐め上げていく。
「あふっ、ああっ……いいっ、あっ……いいじゃないの、あんっ……上手いわ、ああっ……そこ、はぅっ……もっと、あっ……そこをもっとぉ、やぁっ……」
 さすがに女の急所を攻めているためか、余裕のある言葉を吐きながらも、少女は明らかに快楽に染まりつつある声を上げている。
 その事に肉欲を高めた神治は、さらに舌の動きに力を入れ、もっと喘がせようと張り切った。
「ああんっ、やっ……それ、はぅっ……それぇっ……あっ、あっ、ああっ……いいわ、あんっ……いいの、あっ……いいぃっ〜〜」
 少女は頭を激しく振り、美しい金髪を乱して悶えている。
 青い瞳は淫靡に潤み、白い顔の中で唯一赤みを持つ唇からは涎が垂れていていやらしい。
「あっ、あっ、ああんっ……ね、あんっ……入れて、ああっ……早く、ああっ……早くぅ、やぁっ……早く入れてぇっ、ああんっ……」
 少女が求めるように腕を伸ばし、切なげな瞳でこちらを見つめてくる。
(凄い……凄すぎる……)
 今まで経験した事のない白人という容姿は最高だった。
 信じられないほどに白く美しい肌、動くたびにキラキラと光を放つ金色の髪、触れているだけで吸い込まれそうになる肉体の感触は、まさに極上の存在と言えるだろう。
 そして少女の持つ淫靡な雰囲気は、熟女すら敵わぬいやらしさに溢れていた。
(こんな……こんな娘がいるなんて……)
 村人とは思えないこの少女。
 一体どういう人間なのか。
 素性は分からないものの、触れているだけで射精しそうなほどの快感を伝えてくるのは凄まじかった。
 神治はそういった肉体の持ち主を他にも知っているし、すでに何度も抱いている。
 だがそれと、今己が対している少女が発するものは根本的に違うように思えるのだ。
 触れている箇所から、ジワリジワリと直接神経に作用してくるような感触は、それとは全く異なっているのである。
 いわば一体化しそうな、言葉を変えれば取り込まれそうな雰囲気があったのだ。
 そんな感触を、以前神治は経験した事があった。
(……まさか……)
 恐ろしい考えが脳裏に浮かぶ。
 そう、この感触はアレと同じ。
 アレ……。
 当主になる儀式の夜、迷い込んだ洞窟で交わった、いや精を吸い取られた相手。
 最高の快楽を獲物に与えて精を出させ、それによって生きながらえる存在。
 あの日以来、一体化し今も神治の中にいる化け物。
 淫妖、穂智過……。
 この少女の持つ雰囲気、肉体の感触は、その穂智過によく似ていたのである。
(でも……そんな……)
 だが考えてみればつじつまが合う。
 道彦が淫妖に敗れたのは昨夜。
 そして今日、今まで見た事のない、凄まじい肉体を持った少女が現れた。
 あまりにも怪しすぎる。
 この少女が道彦を追い詰めた淫妖であったとしてもおかしくはないだろう。
 その推測にドクンドクンと性の興奮とは別に心臓が激しく脈打った。
(淫妖か?……淫妖なのか……?)
 もしそうだとしたら、すぐにでも離れなければならない。
 このまま体を繋げてしまっては、待っているのは死だけだ。
 今はまだ挿入していないが、ぐずぐずしていれば耐え切れずに肉棒を押し込んでしまうだろう。
 それほどこの少女の魅力には凄まじいものがあったのである。
(淫妖……淫妖かもしれないけど……だけど……だけど入れたい……俺は……俺は入れたいんだ……)
 しかし神治の心は、すでに少女の中に肉棒を押し込みたい欲求で溢れてしまっていた。
 これほどの美少女、そして気持ちのいい肉体に肉棒を入れないなど、男として産まれて来た意味が無くなるではないか。
 そんな思いが、いや欲が脳に押し寄せていたのである。
 意識の片隅で、「これ以上続けるべきではない」と理性が危険を告げてくる。
 しかし神治は止まらなかった。
「お願ぁい、あんっ……もう、もう駄目ぇ、ああっ……入れて、やんっ……入れてくれないと、ああっ……わたし、やぁっ……わたしぃっ……やぁんっ……」
 先ほどまでツンケンしていた少女が、蕩けるような甘さでおねだりしてくるのはたまらなかった。
 可愛らしくもいやらしく悶えるその姿は、神治の理性を駆逐してしまうのに十分な破壊力を持っていた。
 もうどうでもいいではないか。
 少女が淫妖であろうとなかろうと、とにかく肉棒を押し込み動かすべきだ。
 そうしなければいけない。
(ヤるっ……俺はヤるんだっ!)
 何も考えられなくなった神治は、すでにギンギンに硬くそそり立っている肉棒を持つと、亀頭の先を美しいピンク色をした膣穴へと押し込んでいった。
 ズブリ……。
「ああっ!」
「うぅっ!」
 二人の声が重なる。
 強烈な刺激が押し寄せ、神治はそのまま肉棒全体を一気に押し込んでいった。
(はぅ……なんて……うぅ……なんて凄いんだ……がっ……凄すぎるぅ……)
 ズブリズブリと肉棒が収まっていくと、快楽の塊に包まれたかのように股間からは気持ちの良さしか伝わってこない。
 ただジッとしているだけで、もう射精してしまいそうになるほどの快感に体中が満たされていた。
 早く精を放てという誘惑が脳に押し寄せ、神治はすぐさま腰を動かし、激しい前後運動を開始した。
「ああっ、ああっ、ああんっ……あんっ、あんっ、ああっ……」
 少女が可愛らしい声を上げ、微妙に体を震わせる。
「ぐっ……うっ……」
 神治もくぐもった声を漏らした。
 何しろ肉棒を包み込むヒダヒダが細かく蠢き、単体の生物であるかのように吸い付いてくるのだ。
 それはまるで舌のようであり、意思を持って動いているのだとしても疑いようもないほどであった。
「ぐっ……かっ……」
 吸い付いてくるのがあまりに気持ち良く、まるで膣にフェラチオをされているかのようにたまらない刺激が襲いかかってくる。
 思わず腰の動きが激しくなり、神治はその気持ちの良さにただ身を委ねたくなった。
「ああっ、あっ、ああんっ……あっ、はぁっ、ああっ……」
 二つ分けした金髪を乱しながら、少女は快感の表情を浮かべて真っ白な肌を上気させている。
 顔だけではなく体中がほんのりと桜色に染まり、体全体がまるで神治の全てを取り込む膣であるかのようだ。
 少女の体は魅力的であり、淫靡であり、雄を誘う快楽の塊だった。
「あっ……はんっ……気持ち、あっ……いい……?」
 外見に良く似合う可愛らしい声が耳に甘く響き、神治は意識せずに頭を縦に振った。
「そう、あんっ……じゃあもっと、ああっ……気持ち良くなろ、やっ……私に沢山、はぅっ……精を頂戴ぃっ……」
 上気した顔に極上とも言える笑顔を浮かべて少女が誘ってくる。
 その笑顔に心臓を鷲掴みされたような錯覚を感じつつ、自然と腰の動きが早くなっていく。
「あんっ、あんっ、ああんっ……やだ、はぅっ……凄い、あっ……凄くて、ああっ……凄いの、あんっ……凄いよぉっ……あっ、あっ、ああっ……」
 少女は頭を左右に激しく振りながら、可愛らしくいやらしく悶えている。
 これに逆らって射精しない事など不可能だろう。
 たとえ少女が淫妖であろうと、淫妖に射精する事が死を意味しようと、神治はもはや精を放たずにはいられなかった。
 それだけ少女のもたらす快楽には凄まじいものがあったのだ。
「ああんっ、やっ、やぁんっ……凄いよ、ああっ……やだ、はぅっ……こんなの初めてぇっ……ああっ、あっ、あはぁっ……」
 可愛らしい少女が淫らに悶え、甘い声を漏らし、己を称える言葉を発して求めてくる。
 輝く金色の髪に、透き通るほど白い肌をした白人という、滅多に抱く事のできない外見は、優越感を刺激して興奮を高めた。
 肉体的接触に加え、そういった視覚的、聴覚的な刺激は恐ろしいまでに神治の心を侵食し、蕩けるような快感が触れている部分からジワリジワリと染み入り、そのまま一体となるかのような錯覚を起こさせる。
「あんっ、あんっ、ああんっ……いいのっ、いいっ、もっとぉっ……やっ、やっ、やぁんっ……」
 少女の腕が背中に回り、脚が腰に絡んで引き寄せられる。
 目の前に白く美しい顔が迫り、青い瞳にうっとりと見つめられると、死ぬほど精を放ち、己の精液で少女の膣を一杯にしたい思いが押し寄せてきた。
(出したい……)
 強い欲求が脳を支配する。
 放ちたかった。
 思いきり、心ゆくまで放ちたかった。
 それは体全体が望む、快楽への欲求だった。
 しかし相手は淫妖かも知れない少女。
 もし淫妖であれば、精を放つことは死を意味する。
 一度放ったが最後、止め処も無く射精し続けてしまうだろう。
 それは以前経験した淫妖との交わりから明らかだった。
(だけど、出したい……)
 湧き起こる欲求は、蕩けるような甘さで神治を誘惑した。
 思いっきり精を放ち、そのまま好きなだけ射精したらどれほど気持ちがいいだろう。
 死の恐怖と肉欲が混ざり合い、これまで感じた事のないほどに興奮を高めていく。
 生殖行為であるセックスで死を感じるとはおかしな話だが、昆虫や動物の世界ではそう珍しいことではない。
 雄が交尾の後、雌に栄養を与えるため身を捧げる事はよくあるのだ。
 この少女が淫妖であれば、まさに自分は彼女の栄養となるのである。
 それもまたいい。
 もうこのまま出してしまえ。
 この快楽の先にあるさらなる快楽を求めろ。
 出せ、出すんだ。
(!……)
 凄まじいまでの肉欲の快楽が頭に溢れ、目の前が真っ暗になって意識が飛び、自分が何をしているのかさえ分からなくなる。
 ただ腰だけが無意識ながら前後に動き続け、ついに精を放とうと体が硬直した瞬間だった。
(……!)
 頭の片隅に、何かボンヤリとした小さな光のようなものが浮かび、無くなっていた意識が戻ってくる。
(あれ?……なん、だ……?)
 初めは小さな光でしかなかったそれは、だんだんと大きさを広げていき、あっという間に脳内に広がっていった。
(ぐっ……こ、これはっ……あぅっ……これはっ……)
 まるで低音の音が響いているような重々しい震えが体中に伝わり、気分が高揚して今まで感じたことのない激しい興奮、何者も恐れない自信が湧き起こってきた。
(俺は……俺はっ……俺はっ!)
 何かしないではいられない落ち着かない衝動に心が包まれ、武者震いが体を駆け抜ける。
(俺はっ……俺はヤるんだっ……ヤるっ……女をっ……女を自分の物にっ……俺の物にしてっ……従わせてっ……全ての女を俺の物にっ……俺の物にするんだぁっ!)
 神治の目がカッと開かれ、体中にとてつもない力が充満し、肉棒がそれまでよりも硬く大きくなり、腰の動きが凄まじい早さとなった。
「ああんっ!……あっ、あっ、あやぁっ……あんっ、あんっ、あはぁっ……」
 少女の体が前後に激しく揺れ動き、突き込みに合わせて顔に快楽の歪みが走る。
 上に伸びている白く細い脚がブラブラと揺れ、足の指が握られたり開いたりを繰り返す。
「あぅっ、あぅっ、あはぁっ……なに? あっ……これは、ああっ……なんで? ああんっ……」
 少女の顔は快楽に歪みながらも驚きの表情になっていた。
 こちらを見上げる美しい顔を見た瞬間、神治の中にこの女を自分の物としたい激しい欲求が湧き起こった。
 無論肉体的にはすでに繋がっているのだが、心をも自分の物にしたくなったのだ。
 それは激しいまでの支配欲、独占欲だった。
「お前はっ……俺のっ……女だぁっ!」
 目が大きく見開かれ、一瞬光が発せられた後、その光が少女の目に吸い込まれた。
「ああっ! ああああっ! ああああああああっ!」
 その瞬間、少女が激しく体を震わせた。
 膣の中にそれまで以上の愛液が分泌され、肉棒の動きに合わせて溢れ出してくる。
「あああああっ! そんなぁああああっ! 駄目ぇええええええっ!」
 真っ白な乳房をギュッと掴んで強く揉み上げると、少女は叫び声を上げながら体をガクガクと震わせた。
 バチュッ、バチュッ、バチュッと、溢れる愛液を介在して神治と少女の体が擦れ合う。
「あっ、あっ、ああっ……嘘、ああっ、嘘っ、あぅっ……うそぉっ……」
 高速で動く腰の動きに激しく揺さぶられ、強く突き込まれる肉棒に、少女は何度も何度も頭を仰け反らせて悶えた。
(最高だっ……最高だっ……最高だぁっ……!)
 強烈な高揚感に、神治は笑いながら己の行為に酔いしれていた。
 股間から激しい快感が押し寄せるものの、いつの間にか射精感は消え失せ、ただ女を貪る気持ちの良さだけが体中に広がり、腰が機械のように強く激しく動きまくった。
「ひゃっ、ひゃぁっ、ひゃふっ……ひゃっ、あっ……やぁんっ……ああっ……あんっ、やっ……やんっ、やはぁっ……」
 少女はまるで狂ってしまったのではないかという喘ぎ声を上げながら、顔を淫らに緩ませ、涎をたらしてギュウッとしがみついてくる。
 背中に爪が立てられ痛みが走るが、それすらも快感に感じるほどに神治の体は快楽に満たされていた。
「やぅっ、あっ、らめ、ひゃっ……もうらめぇ、はぅっ……イくの、ひゃぅっ……イく、ひゃぁっ……イっちゃうっ、イっちゃうっ、イっちゃうぅっ……ひゃぁあああああああああんっ!」
 ガクガクガクと体を震わせて少女が悶えている。
 手脚にそれまで以上の力がこもり、膣内もキュウッと締め上がった。
「あ……ああ……あはぁ……」
 しばらくした後にゆっくり力を抜いた少女は、目を虚ろにさせ、口から涎を垂らしながら荒い呼吸を繰り返した。
「うぉっ……うぅっ……うぁっ……」
 次の瞬間、神治は体の中に何か強烈な力が流れ込んでくるのを感じた。
 体中が熱くなり、強烈な興奮が湧き起こってくる。
「がはぁっ……がっ……うがぁっ……」
 獣のようなうめき声を上げつつ、今まで以上に激しく腰を振り始める。
「ああぅっ……あっ……あっ……ああっ……」
 グッタリとしていた少女は、その刺激に微かな声を上げつつ、再び体を震わせた。
 神治はその様子を満足げに見下ろしながら、ますます腰の動きに力を入れていった。
 

「あひゃぁ、あぅっ、あやぁああああああっ!」
 少女の喘ぎが周囲に響き渡っている。
 もう何度目の絶頂だろうか、少女は体中に力を入れながら快楽を表現していた。
「あ……あ……ああ……あぅんっ! あんっ、あんっ、ああんっ……」
 絶頂が過ぎるとグッタリと力を抜くのだが、すぐに神治が腰を振り始めるため、すぐさま甘い声を上げ出した。
 今は四つんばいにさせ、後ろから肉棒を押し込んでいるのだが、ズブッ、ズブッ、とリズミカルに突き込むと、二つに分けた美しい金髪を激しく乱しながら、少女は何度も頭を仰け反らせた。
「あんっ、あんっ、ああんっ……やっ、やっ、やぁっ……」
 振り返ってこちらを見つめる顔は、神治にすっかり夢中になっている女の表情を浮かべていた。
(ああっ……何か最高だっ……物凄く気分がいいっ……こんなっ……こんな最高の気分っ……初めてだっ……!)
 神治はまるで全ての拘束から解放されたかのような晴れやかさを感じつつ、それと比例して高まっていく肉欲に急かされて腰を激しく動かしていった。
「あんっ、あっ、ああっ……はぅっ、はっ、はやぁんっ……」
 解放感と共に男として、いや雄としての自信が湧き起こり、女を支配下においている興奮が高まっていく。
 神治の中には少女に対する執着が溢れていた。
 それは愛情ではなく、単に己の物として所有しておきたい狩猟的欲求が促しているものだった。
「どうだっ?……いいかっ?……気持ちいいかぁっ?」
 真っ白な尻をギュッと掴み、それまで以上の早さと強さで肉棒を突き込んでいく。
「あはっ、あっ、ああっ……いい、やっ……いいの、はんっ……いいよぉっ……」
 泣きそうな顔をしながら、ブンブンと頭を激しく振って少女は悶えた。
「そうかっ……それっ……もっとしてやるぞっ……ほらっ、ほらっ、ほらぁっ……」
 小刻みに強く腰を動かす。
「ああんっ、あんっ、あんっ、やぁんっ……凄いっ、凄いのっ、凄いよぉっ……」
 涙を流しながら少女は頭を何度も仰け反らせた。
 二つに分けた金色の髪がサラサラと揺れ動き、少女の白い背中を覆い隠す。
 染みのない真っ白な肌とキラキラ輝く金髪は少女の魅力を引き立たせ、これほどまでに美しい存在を自由にしているのかと思うと嬉しさで体が震えてくる。
「どうだっ?……このまま俺の女にならないかっ?……俺の女になればっ……これからもこうして抱いてやるっ……どうだっ?……これからも抱かれたいだろっ?」
 肉体だけでなく心も手に入れ、完全にこの少女を自分の物にしたい。
 そんな思いで神治の頭は一杯だった。
「あなたの、あんっ……女、あっ……あなたの女に? ああんっ……」
「そうだ俺の女だっ……俺の言う事だけを聞きっ……俺のみを愛するっ……俺の言うとおりに生きる存在だっ……」
「わたしを、あっ……どうし、ああっ、あっ、ああんっ……凄い、やぁっ……凄いのぉ、あふぅっ……こ、こんな、あっ……こんなのおかしくなっちゃうぅっ……」
 一瞬少女は何かを言いかけたが、神治の突き込みが激しくなったため、頭を激しく振り、体を強く震わせながら悶え狂った。
「なる、あはぁっ……なるわ、あんっ……わたしは、はぁっ……あなたの、あっ……物、あぅっ……あなたの、ああっ……女として、はぅっ……生きる、ああんっ……」
 甘い声で喘ぎながら、少女は神治に従う、いや、神治の所有物となる言葉を発した。
「ふふっ……可愛いやつだなっ……よしっ、これからお前は俺の女だっ……俺に従って生きろよっ……」
 神治は満足げに笑いながら、背後から手を伸ばしてギュッと乳房を掴んだ。
「あ、ああんっ……凄い、やんっ……胸が、あっ……感じちゃうぅっ……」
 体をブルブルと震わせながら少女は悶えている。
「名前、ああっ……あなたの、ああっ……名前を、あっ……教えて、ああんっ……」
「俺の名は神治っ……神治だっ……緋道神治っ……それが俺の名だぁっ……」 
 叫ぶと同時に乳房をさらに強く掴み、少女の上半身を仰け反らせながら腰を強く突きこんでいく。
「ああんっ、あっ、あはぁっ……いいっ、いいっ、いいぃっ……」
 少女が激しく頭を左右に振ると、二つに分けた金色の美しい髪がキラキラと輝きながら乱れた。
「お前のっ……お前の名前はっ……お前の名前は何だっ……?」
 そのまま体をひっくり返して仰向けにすると、地面に手を付いて、激しく肉棒を出し入れしていく。
「あんっ、あんっ、ああんっ……わたしの、あぅっ……わたしの名前は、あっ……ユイリーエ、ああっ……ユイリーエよ、ああんっ……」
 可愛らしい顔を浮かべながらユイリーエは甘く喘いだ。
「そうかユイリーエかっ……ユイリーエっ……お前は俺の女だっ……いいなっ……?」
「わたしは、はぅっ……ユイリーエは、ああっ……神治の、あんっ……神治の女ぁっ……やぁっ……神治の女なのぉっ……」
 ギュッと抱きついてくるユイリーエの形のいい唇にむりゃぶりつく。
「んんっ……んっ……んんふっ、んっ……んんはぁっ……神治ぃっ……あっ、あっ、ああんっ……」
 うっとりとこちらを見上げるユイリーエの顔は、元が美しいせいか、すがってくるような表情をされるとたまらない魅力があった。
「ユイリーエっ……お前は可愛いっ……可愛いぞっ……最高の女だっ……」
 神治は強く抱き締め返すと、そのまま腰の動きを強めていった。
「ああっ、ああっ、ああんっ……神治、ああっ……神治、はぅっ……神治ぃっ……やっ、やぅっ、やぁっ……ユイリーエ、あんっ……ユイリーエもう駄目、はぅっ……ユイリーエもう駄目なのぉっ……あっ、あっ、あぁあああああああああんっ!」
「ユイリーエっ!」
 神治はついに精を放った。
 その時頭からは、ユイリーエが淫妖かも知れないという思いは消え去り、ただ己の女に精を注ぎ込みたいという欲求だけが支配していた。
 愛らしいユイリーエの中に精を注ぎ込まないでいるなどできるはずもなかった。
 たとえそれで死ぬのだとしても構わないと思えるほどの執着がこの射精にはあったのだ。
 精を注ぎ込む事が、ユイリーエを自分の物とする儀式のように思えたのである。
 ドピュッ、ドピュッ、ドピュドピュドピュ……。
 これまで溜まりに溜まっていた精液が、先を争うようにしてユイリーエの膣へと吐き出されていく。
「あ……ああ……ああ……」
 それを感じているのか、ユイリーエが溜め息のような喘ぎ声を漏らしている。
「ぐっ……うぅっ……ぐぅっ……」
 神治は強烈な快感に襲われ、体中を激しく震わせながら何度も何度も精を放っていった。
 それは普段とは違って終わりのない長い射精だった。
 いつもなら終わるはずの量はとっくに過ぎ、まるで体の中身全ての精を吐き出すのではないかという長い射精が続いていた。
 同じような状態として射精性交を知ってはいたが、それとはまた違う解放感がその射精にはあったのである。
「あぅっ……あっ……ああっ……」
 ユイリーエも絶頂が終わらないのか、体を硬直させていつまでも喘ぎ声を漏らしている。
 二人は最高の快楽に浸りつつお互いを抱き締め合い、唇を重ねて熱い視線を交し合った。
 心と体が一つとなり、心地良い感触にだんだんと意識が遠くなっていく。
 それに合わせて射精もようやく終わり、神治はそのまま意識を失っていった。


 気が付くと、己が柔らかいモノの上に寝ていることに神治は気づいた。
 それは先ほどまで最高の快楽を与えてくれていたユイリーエの体だった。
(綺麗だな……)
 改めて見てもやはり美しいその肉体に感嘆しながら、ゆっくり体を起こす。
 ユイリーエはまだ意識が戻らないのか、穏やかな呼吸を繰り返して眠っている。
 その顔を見つめながら、この美しい少女が自分の物になったのだという事に神治は満足感を得た。
 それはこれまで感じたどんな事よりも最高の気分だった。
 極上の女を手に入れる興奮。
 それは男にしか分からないものであろう。
 しかも相手はこれまでとは違う白人の少女なのだ。
 たまらない満足感で神治の心は一杯だった。
「ようやく目覚めおったか寝ぼすけめ」
 不意に声をかけられ、驚いてその方向を見る。
「あ、未迦知さま……」
 そこには呆れたような顔をして立つ未迦知神の姿があった。
「まったく、いつまで経っても戻って来ぬから何かあったのかと思ってみれば……こんな所でこんな相手とまぐわっておるとはな……お主はほんに好き者じゃのぉ……」
 未迦知神は深い溜め息を付いた。
「いや、だって仕方ないじゃないですか……こんな可愛い娘が抱いてくれって言うんですよ。ヤるのが当然ってもんでしょ……」
「……」
 神治の言葉に、未迦知神は一瞬奇妙なものでも見たかのような顔をした。
「ん? どうかしました?」
「いや、何やらまたお主が面白い変化を見せておると思ってな……」
「面白い変化? 何言ってるんですか、俺は別に変わってませんよ」 
 神治はニヤリと笑うと、起き上がって伸びをした。
「そうか……ふむ、それもまた上々……」
 未迦知神は呟きながら何やら頷いている。
 相変わらず黒くヒラヒラとした服を着ているその姿は実に魅力的であり、ミニスカートから伸びる健康的な白い脚はいやらしく、微かに膨らんだ胸元もむしゃぶりつきたくなる欲求を高めた。
 これまで抱いていたユイリーエも幼い体つきであったが、やはり未迦知神ほど未発達な肉体ではない。
 その違った女体の魅力に、神治はゴクリと唾を飲み込んだ。
 すでに肉棒は硬く大きくなり、ビクンビクンと勢い良く震えている。
「もしかして未迦知さま、ずっと見てたんですか?」
「いや、ずっとという訳ではないな……最後の方だけじゃ」
「そうですか……でもそのせいでちょっと興奮したりしてません? 俺、未迦知さまを抱きたくなってきたんで、良かったらこれからしましょうよ」
 神治はそう言いながら近づくと、未迦知神の小さな体を抱き締めた。
(う……気持ちいい……)
 それだけで快感が体中に広がるのはさすがだった。
 幼い肉体であるため柔らかさが足りないのだが、逆にその硬さに興奮が高まっていく。
「これっ、今はそのような事をしている場合ではなかろう」
 未迦知神は不機嫌そうに体をずらす。
「いいじゃないですか。俺、未迦知さまのこと愛してるから、いつでもどこでもしたくなるんですよ」
 追いかけるようにして抱き締め直し、体に頬擦りしつつその小さな尻を掴んで撫でる。
 まるでゴムボールのように気持ちのいい感触に嬉しくなった。
「あ、これっ、よさぬかっ……やめいと言うにっ……ええい、離さぬかっ」
 未迦知神はしがみついてくる神治から逃げようと体を動かしている。
「そんなこと言わないで……俺、未迦知さまとしたくてしたくてたまらないんですよ……」
 神治は未迦知神にキスしようと顔を近づけた。
 幼いながらも美しい顔が迫り、その事に興奮しながら黒々とした瞳を覗き込む。
「ああっ!……お、お主、あっ……一体何をっ……!」
「え? 何を言って、うぁっ!」
 突然未迦知神の体が跳ね、神治の体にも電気が流れたような衝撃が起こったかと思うと、次の瞬間いきなり吹き飛ばされた。
 少し体が浮いた感覚があった後、地面に激突する衝撃に体が硬直する。
「痛たたたた……何がどうなって……」
 起き上がりながら未迦知神の方へ視線を向けると、真剣な表情をしてこちらを見つめているのと目が合った。
「……お主、一皮剥けたな……」
 重々しい口調で語りかけてくる。
「え? どういう意味です?」
「いや、先ほど儂に叩き付けてきた眼力に凄まじいモノがあったのでな」
「眼力? 何ですそれ?」
「……」
 神治の言葉に、未迦知神は深い息を吐き出した。
「……また無意識とは呆れたものじゃの……まあよいが……」
 苦笑しつつ目の前まで近づいてくると、腰に手を当てながらズイと顔を押し付けるようにして見上げてくる。
「今お主は『眼力』という、見つめることでオナゴを感じさせ己の虜とする力を使ったのよ。いわば魅了の力じゃな……でまあ少々驚いたのでの、吹き飛ばしてしまった。許せ」
「あ、じゃあ、今吹っ飛んだのは未迦知さまのせいですか。酷いなぁ……」
「じゃから許せと言うておる。それにお主が悪いのじゃぞ。いきなり儂をあれほど……させるから……」
 途中で声を小さくしたため何を言ったのか良く聞こえず、さらには何やら視線を落ち着きなくそらしているのが気になった。
「何ですか? 俺、未迦知さまに何したんです?」
「ええぃっ、気にするな。済んだ事じゃ……」
 プイと横を向いて未迦知神は不機嫌そうにしている。
(って、どうしたんだろ?……怒らせるようなことしたかな……?)
 首をひねりながら今あった事を思い返す。
 吹き飛ばされたのは、どうやら無意識のうちに「眼力」という力を未迦知神に使ってしまったせいらしい。
 そしてそれは魅了の効果を持っており、女性を感じさせて虜にするという。
(え? それってつまり……)
 未迦知神は神治の眼力によって感じたという事ではないのか。
(いきなり儂をあれほど……させるから……)
 先ほどの言葉はそういう意味なのではないだろうか。
(俺……未迦知さまを凄く感じさせちゃったってこと……?)
 とても信じられないが、どうやら自分は見ただけで未迦知神を感じさせたらしい。
 それも未迦知神が驚くほどのレベルで。
 確かに吹き飛ばされたすぐ後の未迦知神の顔は、頬が少し上気しているように見えた。
(も、もう一回してみたら……)
 少し興奮しながら視線を向けると、不機嫌そうな表情をしてこちらを見ている未迦知神と目が合った。
「何を考えておる……?」
「え? いや、その……もう一回未迦知さまを感じさせてみたいなぁ、っと……」
 頭をかきながら冗談っぽく言ってみる。
「ふん、愚か者めっ。もうあのような手に引っかかるものか。あれはあくまで油断の産物じゃからの。お主ごときが何をしようとどうにかなる儂ではないわっ」
 怒ったように吐き出す未迦知神の姿に、神治は何やら可笑しくなった。
 どうもにも強がっているように見えたからだ。
「本当ですかぁ? だったら試してもいいでしょ? ちょっとやらせて下さいよ」
「な、何を言うておる……しても無駄じゃと言うのに……してどうする……」
 未迦知神は明らかに動揺しており、その様子から無駄な行為になるとは思えなかった。
「だから試しですよ試し……それで効かなきゃ納得しますから」
 神治はニヤリと笑うと未迦知神の目を見つめようとした。
「ば、馬鹿者っ。止めよと言うにっ……こ、これっ……」
 あまりに迫力のない未迦知神の肩を掴むと、片手で顔をこちらに向けさせる。
「未迦知さま……大好きですよ……」
 そう言いながら、目に意識を集中して未迦知神の瞳を覗き込む。
「あっ……ああっ……あああああああっ!」
 次の瞬間、未迦知神の体がブルブルと震え、甘い声を上げたかと思うと突然ガクリと力を抜き、ハァハァと荒い呼吸を繰り返しながらこちらに体重を預けてきた。
「……」
 そのあまりの反応の凄さに神治は驚いてしまった。
(こ……こんなに……?)
 性の神である未迦知神がここまでの状態になってしまうというのは凄すぎた。
 自分は神であるとはいえ、未迦知神とは比較にならない若輩者だ。
 それがどうしてこれほどの効果を出すことができたのだろう。
(で、でもこれって凄い……凄いや……)
 見るだけで感じさせるというのは思ったより面白いことだった。
 未迦知神ですらこうなるのだから、普通の女性であったならどうなってしまうのだろう。
「まったく……お主には困ったものじゃな……」
 息を乱しながら未迦知神が呟いている。
「すみません……でも未迦知さまが平気だって言うから……」
「儂はお主の精を少々受けすぎておるからの……お主の気には敏感になっておるのよ……今まではそれほどでもなかったが、やはりこの数時間で何かあったという事じゃな。今までのお主とは明らかに違っておる」
「何かって……」
 あった事と言えばユイリーエとセックスしただけだ。
 それが原因なのだろうか。
 神治は少し離れた場所でスヤスヤと眠るユイリーエを見つめた。
「何を見ておる?」
 急に黙り込んだのを不審に思ったらしく、未迦知神は声をかけながら神治の視線を追っている。
「ふむ、なるほどな……そういえば忘れておったが、くだんの相手はここにおったのじゃったな……しかし探している儂ではなく、お主が出会うとは面白いことじゃ……」
 未迦知神は何やら一人で納得している。
「あの……未迦知さま……?」
「こんな事ならば慌てて戻ることも無かったわい。一緒におれば良かったの……じゃがまさか交わっておるとはな。ま、見つけられたのじゃから問題はないがの」
 ユイリーエを見つめながら未迦知神は面白そうに呟いている。
 どうやらくだんの相手とはユイリーエの事らしい。
(って、まてよ……)
 そこまで考えて、神治はユイリーエが道彦を殺しかけた淫妖なのかも知れない事を思い出した。
 淫妖がもう一体いるとは思えない以上、道彦が相手をしたのもユイリーエなのだろう。
 そして今の言葉から、未迦知神がユイリーエを探していた事が分かった。
(でも……どうして探してたんだ……?)
 まさか殺すためだろうか。
 未迦知神にしてみれば、己の村で好き勝手にする淫妖など許しておけるはずもない。
 しかもその淫妖は、今村で最も優れた衛士を殺しかけたのだ。
 人間では勝ち目がないと判断し、未迦知神自身が始末をつけようと考えたとしてもおかしくはなかった。
 あの時病院から慌てていなくなったのは、そのためなのではないだろうか。
「未迦知さま……どうしてユイリーエを探していたんですか?」
 恐る恐る尋ねてみる。
「ユイリーエ? ふむ、この娘の名か……いや少々事情があっての……」
「もしかして、淫妖だからですか? 淫妖だから、道彦さんを殺しかけた淫妖だから、だから殺そうと思ってるとか?」
 神治は興奮しながら、まくし立てるようにして未迦知神に言い寄った。
「ん? 何を言っておるのじゃ?」
「淫妖だから、殺すつもりで探してたんでしょう?」
「なぜ儂がその者を殺さねばならぬのじゃ?」
 未迦知神は怪訝そうな顔をしている。
「いや、だから淫妖だから……道彦さんをあんなにしたから……そんな淫妖は殺すしかないんじゃ……」
「淫妖? 何を言っておるのじゃお主は……その者は淫妖などではないわ」
 予想外の言葉に驚いて固まる。
「で、でも……淫妖だからあんなに……」
「人とは思えぬほど気持ちの良い肉体を持っておるからと言って、必ずしも淫妖とは限らぬであろ。それともこの者はそれほど淫妖らしかったのか?」
 言われてみれば淫妖であるという証拠は何もない。
 ユイリーエは、ただ人間離れした肉体の持ち主というだけなのだ。
 その与えられる快楽の凄まじさから、勝手に神治が淫妖だと推測しただけなのである。
「じゃ、じゃあ、この子は……この子は何者なんです? 人間でも淫妖でもないとしたら……この子は一体……」
「簡単なことじゃ……儂らと同じ神よ……」
「なっ……!」
 あまりの事に呆然としてしまう。
「こうして儂らが存在しておる以上、他に神がいてもおかしくはなかろう? この者はヨーロッパの古い神の一族じゃ……ついでに言うと、儂の古い知り合いの娘でな」
「未迦知さまの……?」
「うむ、母親の方はこの村にも何度か遊びに来たことがあってな。その時に今回のような悪さを村人にしておったから、先ほど見舞った者を見た時にピンっときたのよ。これはまたあやつがしたのじゃと」
「悪さって……道彦さんがやられたような事ですか?」
「その通り。あの時は村中が大騒ぎになったからのぉ……おおそうじゃ、確か当主家の中であやつに夢中になった者がおったな。何やら禁欲の誓いを立てておった変わり者での。その誓いを無残にも破らせてしまったという訳よ」
 どこかで聞いた事のある話だった。
「あの……もしかしてそれって……治三郎って名前の人じゃ……」
「ふむ、覚えてはおらぬが……まあ、禁欲の誓いを立てる者なぞこの村ではそうおらぬからその者かも知れんな」
 それは驚くべき話だった。
 近親相姦を嫌い、厳しい精神修行を行なって女に対する欲を絶つことに成功した治三郎。
 その禁欲の誓いを破らせた天女がいたというのを以前従姉の静から聞いていたが、それがユイリーエの母であるかも知れないのだ。
 確か静も天女の正体は白人ではないかと推測していた。
 それに神であるのならば確かに天女と言えるだろう。
 その天女の娘がユイリーエだという事なのか。
「まあ、そういった事でな、儂に会いに来たのじゃろうから待っておった方がよかろうと神社に戻ったのじゃが……どうやら早とちりだったようだの。まさか娘の方とは……」
 未迦知神は溜め息をついた。
「しかも母親ソックリのいたずら好きときておる。まったく困ったことじゃ……」
 未迦知神は寝ているユイリーエを見下ろしながら、再び深い溜め息をついた。
「いたずらって……」
「決まっておる。人を誘惑し、精が枯渇するほどまで交わりを強要することよ。淫妖ではあるまいに、限度というモノをわきまえなければいかんっ」
 何やら珍しく未迦知神がいらだっているように思える。
 ユイリーエの母親とはよほど性格が合わないのだろう。
 とはいえ、遊びに来るような間柄でもあるのだから、呆れつつも嫌いにはなれないといった具合だろうか。
「ん……んふぁ……あぁ、よく寝たぁ……」
 背後でモゾモゾと動く気配がしたかと思うと、ユイリーエが大きく伸びをしながら起き上がっている。
「あ、神治お早う……」
 ぼんやりとした顔で呼びかけてくる。
「あ、ああ……お早う……」
 何やらあっけらかんとした雰囲気に拍子抜けしてしまう。
 先ほどまで淫妖かと思い、恐れていたのが馬鹿馬鹿しく感じられるほど、今のユイリーエは普通の少女にしか見えなかった。
 というより、神だと言われても信じられない。
「ん? どうしたの? 何か様子が変だよ」
「いや……別に……」
「そう? ならいいけど……」
 神治の知っている神と言えば未迦知神しかいないため、何やら重々しいイメージがあったのだが、ユイリーエの態度はあまりにも軽かった。
(って、俺も神なんだよな……人のこと言えないか……)
 苦笑していると、ユイリーエが顔を近づけて覗き込んでいるのに気が付いた。
「何?」
「う〜〜ん、やっぱり面白いなぁ。私をあれだけ感じさせた神治がこんなんだとねぇ……ただの人間、っていうか弱々しい感じなんだもん。あの神治を知らなかったら馬鹿にしてるところだよ」
 ユイリーエはそう言いながらニヤリと笑っている。
 その表情には何やら人を小馬鹿にしている雰囲気があった。
(そういやこの子って、こんな感じだったっけ……)
 ユイリーエと最初に会った時の事を神治は思い出した。
「で、こっちのおチビさんは誰? いつの間にかいるけど、神治の知り合い?」
 こちらは完全に馬鹿にした様子で未迦知神を見ている。
「えっと……こちらはこの村の……」
「神治の知り合いの娘じゃ、よろしくな」
 紹介しようとする言葉を遮って未迦知神は挨拶をした。
 どうやら怒っているようで顔がところどころピクピクと動いている。
「へぇ〜〜、知り合い。じゃ、もしかしてこの子も抱いたりしてるの?」
「え? あ、うん……毎日してるよ……」
「え〜〜、こんな子とぉ?……やめときなよ、私が沢山して上げるからさぁ……これからは私だけ抱いてよ、ね?」
 ユイリーエは横目で未迦知神を見ながら得意げに胸を押し付けてくる。
「それは無理というものじゃな。この者は守備範囲が広くての。ただ肉体の出っ張りや引っ込み具合が大きい程度では興奮せんのよ。こうして膨らみの薄い胸の方が興奮したりするでな」
 対抗するかのように未迦知神は胸をそらしている。
「そうなの。へぇ〜〜、神治ってロリコンでもあるんだ。ふぅん、でも私の魅力があればそんなこと関係ないもんね」
 あんたじゃ私の相手にならない、と言わんばかりにユイリーエは微笑んでいる。
「ははは……それはどうかのぉ。何しろ神治は儂にメロメロじゃからな。お主ごときに夢中になるなど絶対にありえん事ゆえ」
「でも世の中には絶対なんて無いからねぇ。他の女はともかく、私には絶対夢中になるわよ」
「ほぉ……絶対な……」
「そう……絶対にね……」
 絶対は無いと言いつつ「絶対夢中になる」とは矛盾しているのだが、二人ともその事に気づかず微笑みながら睨み合っている。
「……あんたなかなかいい度胸してるわね。小さいのに大したもんだわ」
「お主もな……まだ若いのになかなかの女っぷりじゃわい」
 二人はお互いを認め合うような言葉を言うと、ふっと笑い合った。
「ま、それでも神治は私の物だけどね」
「それはこちらの台詞じゃ。お主に神治はやらん」
 一瞬仲良くなるのかと期待したのだが、どうやらそれは気のせいのようだった。
「さ、おチビさんへの挨拶も済んだところで、神治にちょっとお願いがあるんだけど」
「ん? なんだい?」
 ようやく二人の対決が終わったらしい事にホっとしながら、ユイリーエの言葉に耳を傾ける。
「私ね、この村に人を尋ねて、って正確には人じゃないんだけど、とにかく会いたい人がいるんだ。そこに案内してくれない?」
「え? ああ……別にいいけど……どこに行きたいの?」
 チラリと未迦知神を見ながら尋ねる。
「この村の当主が住んでいるところ……」
「当主に何か用でもあるの?」
 先ほど未迦知神から聞いたため、ユイリーエが誰に会いに来たのか分かっているのだが取りあえず尋ねてみる。
「当主って訳じゃなくてね。当主の家にいる人に用事があって……ま、要するにこの村の神の未迦知さまに会いに来たのよ」
「未迦知さまに……」
「私の母さまは未迦知さまとは古い知り合いでね。そのお使いで今日は来た訳。一度お会いしてみたかったから凄く嬉しいのよねぇ。何しろ母さまは未迦知さまの事が大好きで、いつも私に話を聞かせてくれたから……母さま、話す時にいつもうっとりしちゃってるくらい未迦知さまの事が大好きで、私もそのせいか、まだお会いしたことはないんだけど昔から憧れの人になってて……カッコいいのよぉ〜〜」
 目の前にその憧れの人がいること、そして先ほど喧嘩していたのを知らないユイリーエは嬉しそうに語っている。
「あ、重大な事を教えるけど……実は私も神なのよ……」
 チラリと未迦知神の方を見ているのは、「どうだ畏れ入ったか」と感じさせたいのだろう。
 だが元々ユイリーエの正体を知っている未迦知神は、「それがどうした」と言わんばかりにつまらなそうな表情を浮かべている。
 神治にしても先ほど驚いたばかりなので、今度は何も反応をしなかった。
「あれ? 驚かないの?」
 神治たちの無反応ぶりに、ユイリーエは拍子抜けしたように力を抜いている。
「あ、いや……知ってたんで……」
「知ってたって……なんで? 普通の人間には分からないはずよ……ってそうか、神治は普通の人間じゃないんだ。私をあそこまで気持ち良くさせられるんだもんね。私が神だって分かっても当然か……」
 うんうん、とユイリーエは頷いている。
「そうじゃなくてね……さっき教えてもらったんだよ」
「誰に? 私の正体が分かるなんてかなりの力の持ち主よ。もしかして当主家の人間とか?」
「え〜〜っと、そこにいる未迦知さまに……」
 未迦知神を指差しながら、申し訳無さそうに神治は呟いた。
「ええっ? 未迦知さまがっ、未迦知さまがいらっしゃるのっ? どこっ? どこどこぉっ?」
 ユイリーエは未迦知神を無視し、他に誰かいないかと頭を忙しく動かして探している。
「いや、だから……そこにいるでしょ……」
「そこって……そこにいるのはおチビさんだけじゃない……」
「いや、だからね……そのおチビさんが……その……未迦知さまなんだよ……」
「何言ってるの。未迦知さまがこんなお子様な訳ないじゃない……それに『気』だって人間並にしかないし……」
「体は変えられるでしょ……それに『気』を抑えるのはキミだってやってたろ……」
「だけど……」
 ユイリーエは納得いかない様子で憮然としている。
「ま、信じられんのも無理はあるまいて……では少々『気』を高めてみようかの……」
「うわっ!」
「きゃっ!」
 未迦知神が呟いた瞬間、一気に膨れ上がった「気」が神治とユイリーエを吹き飛ばした。
 二人は少し離れたところまで飛ばされると盛大に尻餅をついた。
「あ痛たたたた……ちょっといきなり何す……る……」
 文句を言いかけたユイリーエはそのままの姿勢で固まっている。
 神治も身動きを取るのに苦労した。
 何しろ未迦知神はかなりの「気」を放出し、その重圧で体を動かすどころかまともに見る事すら辛いくらいだったのである。
 これほどの「気」を出したのは初めてではないだろうか。
「ふむ、久しぶりに力を入れてみたがかなりのモノじゃの。やはりお主に精をもろうておるのが効いておるな」
 未迦知神は嬉しそうに微笑んでいる。
「み……み……未迦知さま……ですか……?」
 ユイリーエは硬直したまま問いかけている。
「うむ、今更じゃが儂が未迦知じゃ……お主の母とはまあ、腐れ縁といった感じでこれまで付き合いがある……今日は使いご苦労じゃの」
 未迦知神は得意げに笑っている。
「……」
 ユイリーエは何も答えず、ただ未迦知神を呆然と見つめていた。
「あの……ユイリーエ……?」
 神治の呼びかけに、ユイリーエはビクンっと体を震わせると、物凄い勢いで飛び上がり、地面にひれ伏して土下座した。
「あ……あの……その……も、申し訳ございませんでした……わ、わたし……み、未迦知さまが……こんな小さ、可愛らしい姿になってるなんて知らなくて……無礼のほどはお許し下さい……」
 ブルブルと体を震わせながら縮こまっている。
「ふっ、分かれば良いのじゃ……先ほども言うた通りお主はなかなかの女っぷりじゃからの、別に気にしてはおらん……」
「ほ、本当ですか?」
「うむ……」
「本当に?」
「うむ……」
 未迦知神の言葉に、ユイリーエはふ〜〜っと息を吐き出した。
「ああ〜〜、良かった……思ったよりお優しい方で……あれだけ失礼なことをしたから、もう生きては帰れないかと思っちゃった……」
「なんじゃと?」
 未迦知神の眉がピクリと動いた。
「いや、その……母さまが……未迦知さまはおっかな、厳しい人だからって……」
「ふん、あやつの言いそうな事は想像つくが……言ってみよ……」
「あ、はい……その……昔ちょっといたずらをしただけで……体をバラバラにされたとか……」
「げっ……」
 あまりに想像外だった事に、神治は思わず声を上げてしまった。
「何がちょっとしたいたずらじゃっ。あの時は緋道村が壊滅しそうになったのじゃぞっ。あの程度で済ませてやって優しいくらいじゃわいっ」
「か、壊滅って……」
 一体どのようなことをしたのだろうか。
「物凄い数の淫妖を村に放ったのよ。あれを排除するのにどれだけ面倒だったことか」
「うわっ……そりゃ凄い……」
 それは想像しただけで凄まじい状況に思えた。
 しかしどうしてそのようなことをしたのだろう。
 どう考えてもいやがらせ、いや村を滅ぼそうとする意思の表れとしか思えないのだが。
「あやついわく、淫妖を倒せば倒すほど村を守る気が高まるゆえ、良かろうと思ったと言うのじゃな……」
「確かにそれは……」
 淫妖の遺骸には淫の気が詰まっているため、その周囲の気を高め、村を守る力となっていた。
 性的に優れた人間が産まれるのも、そういった村に満ちている気のおかげでもあったのだ。
「じゃが物事には限度というモノがある。いくら弱い淫妖ばかりとはいえ、衛士の数を遥かに上回ってはただの害悪でしかないわい」
 未迦知神は吐き出すように呟いた。
「母さまも、あの時は凄く反省したって言ってました……」
「あやつの場合、反省してもすぐにそれを忘れるからのぉ……ま、そういったとんでもないヤツということじゃよ」
 苦々しげに未迦知神は息を吐き出した。
 しかしその表情には何やら温かい雰囲気があるため、やはりユイリーエの母親に対して好意の感情があるのだろう。
「で、あやつの使いとはどういった内容なのじゃ?」
 気分を切り替えたのか、未迦知神はユイリーエに尋ねている。
「あ、はい……母さまの言葉をお伝えします……『久しぶりに自由になったんだから、遊びに来ない?』……とのことです」
「……」
 ユイリーエの言葉が終わると同時に、未迦知神は首をガクリと前に落とした。
「その程度……何故わざわざ娘を使いに出すのかのぉ……」
 深い息を吐き出しながら呆れるように呟いている。
「あ、それは、私が一度未迦知さまにお会いしたかったので無理やりお願いしたんです」
「さようか……しかしそれでいたずらしておるようでは敵わんの……」
 呆れたように未迦知神はユイリーエを見ている。
「いや……その……緋道村の実力が知りたくて……」
「実力?」
「母さまが、この村の人間は結構凄いからって言うんで興味出ちゃって……」
「だからと言ってもう少し手加減せぬか……お主が相手をした男はあやうく死ぬところじゃぞ……」
「あの人の精って凄く美味しかったから、つい調子に乗っちゃったんですスミマセン……でも大丈夫ですよ。命に別状はありませんから」
 性的能力の高い人間の精は美味らしい。
 どうやら道彦は、能力が高かったゆえにあそこまで追い込まれるほどヤらされてしまったようだった。
 ユイリーエにしてみれば、少し試すつもりがついのめりこんでしまったという所なのだろう。
「それにしても凄いですね緋道村って……あの人もそうだけど、神治なんて私を何度もイかせて……人間相手にあんなにイかされたのって初めてだよ……」
 ユイリーエは楽しそうに笑っている。
 それを見ながら神治と未迦知神は顔を見合わせた。
「神治は人間ではない……」
「え?」
「儂らと同じ神じゃ……ま、つい最近なったのじゃがな……」
「ってことは……その……未迦知さまをお助けした新しい当主って……」
「神治じゃ」
「……」
 ユイリーエは体の動きを止めると、ジッと神治の方を見つめている。
「あの……ユイリーエ?」
「う……わぁっ……凄い、凄い、凄い〜〜っ……神治がそうなんだっ……へぇ〜〜っ……もうっ、最高っ♪」
 嬉しそうに叫ぶとギュッと抱きついてきた。
「ちょ、ユイリーエ」
「私ねぇ、緋道村の当主が未迦知さまをお助けしたって聞いた時から、ずっとどんな男なんだろうって思ってたんだぁ。できたら一度相手してもらおうと思って……今回お使いを言い出したのも実はそれが狙いだったんだよねっ」
 ユイリーエははしゃぎながらさらに強く抱きついてくる。
「という事は儂はおまけか……」
 不機嫌そうに未迦知神が呟いた。
「い、いえ、決してそういう意味では……もちろん未迦知さまにもお会いしたかったんです。それでついでに当主ともエッチしたいなぁって……」
 慌ててユイリーエは弁解したが、未迦知神は胡散臭そうに見つめている。
「まあ、良い……どちらにせよお主の望みは叶った訳であるし、もう帰るが良いぞ……」
「え? そんなぁ……もうちょっと居させてくださいよ……」
「そういう訳にはいかん……お主は目を離すと何をしでかすか分からんからの……早々に帰れ……」
 未迦知神はプイっと横を向いた。
「でも私、神治の物になったんですよ。だからもっと抱いてもらってからじゃないと帰るなんて嫌です」
 言葉を示すようにギュッと抱きついてくる。
 さすが神と言うべきか、先ほどからユイリーエの体が触れているだけで肉棒が激しく勃起してしまっている。
「まあ、未迦知さまいいじゃないですか。ユイリーエだってもうあんな事はしないですよ。そうだよな?」
 神治としてもユイリーエの魅力的な肉体とできなくなるのは寂しかったので弁護してみた。
「え? うんっ……神治が毎日抱いてくれるなら他の男なんか相手にしないよ」
 ユイリーエはそう言いながら可愛らしく頬を擦り付けてくる。
「よし、毎日抱いてやるぞ……ほら、そうすれば大丈夫でしょ未迦知さま」
「当主のお主が決めたのなら別に儂は反対せん。どうせ困るのはお主じゃしの」
 未迦知神は不機嫌そうに呟いた。
(ありゃ、怒らせちゃったのかな?)
 考えてみれば未迦知神よりユイリーエの言葉を選んだ訳だから、不満を持ってもおかしくはなかった。
「怒らないで下さいよ。そのお詫びに今日は沢山しますから」
「……ふんっ、別に怒ってなぞおらんわ……まあ、儂を沢山抱くというのはお主の勝手じゃからの、好きにするが良い」
 未迦知神はまんざらでも無さそうに微妙な笑みを浮かべている。
 どうやら機嫌が直ったらしい。
「じゃ、しばらく居てもいいって事ですよね。やったぁ。じゃ、神治早速またしよ、ね?」
 ユイリーエは嬉しそうに体を押し付けてくる。
「って、おい、今したばかりだろ?」
「だってさっきのは神治まだ一回しか出してないじゃない。それじゃあんまり気持ち良くなかったでしょ? 今度は私が神治をすごぉく気持ち良くさせてあげるからぁ」
 いやらしく微笑みかけるユイリーエを見ていると、肉棒がピクンピクンと蠢き、抑えきれない肉欲が押し寄せてくる。
「じゃ、じゃあ……ちょっとだけ……」
 未迦知神の方を見ながら頷く。
「儂の事は気にするな。いつもの事であろ。沢山抱いてその者をもっとお主に夢中にさせるのじゃな。そうすれば村に被害が出ることはあるまいて」
 何やら冷たい視線を向けながら、未迦知神はもっともらしい事を呟いている。
 確かにユイリーエが自分に夢中になれば他の男への興味を失うはずだから、村に被害が出ることはないだろう。
 それはまさにその通りなのだが、どうも未迦知神の雰囲気が怒っているように思えて落ち着かなかった。
(どうしちゃったんだろ?)
 もしかして嫉妬しているのかと思ったが、自分が他の女性を抱くなどいつもの事であるためそうとは思えなかった。
「あの……未迦知さま……?」
「儂は先に帰る……お主は好きなだけその者を抱いておるが良いぞ……」
 そう言ったかと思うと、次の瞬間未迦知神の姿は消えてしまった。
「あ……」
 やはり怒っているように思えた。
 しかしその理由が分からない。
(何か悪い事したかなぁ……)
 神治は首をかしげつつ、先ほどから押し付けられているユイリーエの胸の感触に意識を集中させていった。
「ね、神治ぃ……早くぅ……」
 キラキラと輝く金色の髪、血管が透き通って見える真っ白な肌、こちらを見つめる青い瞳。
 そこには人ではない、神である少女が居た。
 緋道村の記録に残る天女の娘、ユイリーエ。
 彼女の肉体は、神治の中に強い欲望を湧き起こさせる魅力に溢れていた。
「ユイリーエ……」
 神治はその青い瞳を覗き込みながら、強く抱き締めた。
「ああっ……ああああっ……!」
 するとユイリーエが体を激しく震わせて力を抜いた。
「ど、どうしたの?」
「……もうっ、神治ったら凄いんだから……そんなにしなくても私、神治に夢中だよ……」
「凄いって何が?」
「今目で私を感じさせたじゃない……凄く強烈だった……」
「目……?」
 そういえば先ほど未迦知神にも同じようなことを言われた。
 それほど意識したつもりはないのだが、肉欲が高まった目で相手を見ると感じさせてしまうらしい。
(面白いな……もっと見たらどうなるんだろ……)
 神治は目に意識を集中してユイリーエの瞳を覗き込んだ。
「あっ! ああっ! あああああっ!」
 ユイリーエの体が激しく震え、ガクリと力が抜ける。
「……もう……駄目だって、あ……凄い……」
 もう見つめていないのだが、余韻があるのかユイリーエは体を震わせている。
(こりゃ面白いや……これからはこうして見るだけでイかせられるんだ……抱きたくなる相手ができたら試してみよう……上手くいけば好きな時に誰とでもできるぞ……)
 無論、ただ感じたからと言って普通はセックスなどできない。
 だがここは緋道村だ。
 自分を激しく感じさせた相手ならば、セックスしてみたいと思う女は多いに違いなかった。
(ふふ……ホントにハーレムになるなこりゃ……)
 好きな女を好きな時に好きなだけ抱ける力を自分は手に入れたのだ。
 神治はいやらしい笑みを浮かべると、腕の中でうっとりとしている美しい少女の肉体を抱き締め、そのまま激しく唇を重ねていくのだった。












あとがき

 またまた長い話に……。
 いや、どうもねぇ、最初の道彦の話を考えたら長くなっちゃって。
 ホントは彼の活躍はもっとあったのですが、泣く泣くカットしましたよ(笑)

 今回は村の裏の部分と、他人から見た神治について書いてみました。
 淫妖という設定を考えたので、それに対抗する能力者というのを出したら面白いんじゃないかと思ったのですな。
 それで前に名前だけ出した道彦を使って書いてみた訳です。

 ユイリーエに関しては、「日本人とは違った魅力の白人を出したら興奮するよなぁ」という安易な設定です(笑)
 ただの人間よりも神さまの方が面白いと思ったのでそうしました。
 性格的にはこれまでなかったキツめな感じにして、それを崩していくのを狙ったのですがいかがだったでしょう。

 ユイリーエは作品を考えた当初から出すつもりだったので、ようやく出す事ができて嬉しいです。
 取りあえず、初めに考えていた段階を一つクリアしたので何やら達成感がありますね。
 次の段階までまた頑張るとしますか。

 あ、ちなみにこの話で出てくる「眼力」は、某漫画の美少年キラーと呼ばれる少佐の技を参考にしたものです。
 その人はホモなんですが、私の場合はまともな形で使ってみました(笑)
 いやホント、こんな能力あったらウハウハですな。
(2005.9.28)



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