緋道の神器


        第九話  幼馴染の双子



 当主になる儀式から数日が過ぎ、夏休みが終わった神治は村の中学に初登校していた。
 学校が変わった訳だが、普通の転校生と違って怖気づくこともない。
 何しろその学校に居るのは、四年前まで共に勉学に励み、遊んだ仲間たちだからだ。
 教室の中にあるのは見知った顔ばかりだったのである。
「神治です。またこちらで暮らすことになりました。よろしくお願いします」
 ここ緋道村では皆名字が同じため、自己紹介となると名前だけになるのだが、しばらく村を離れていた神治にとってそれは奇妙な感じのすることだった。
 ペコリと頭を下げると拍手が湧き起こる。
 見知った間柄なのだからこういった挨拶は意味がないとは思うのだが、取りあえず親しき仲にも礼儀は必要である。
 ただどうも気になるのは、誰一人としてまともに神治の顔を見ないことだった。
 目が合うと、慌てたように逸らしてしまうのだ。
 知らない仲ではないのだから、お調子者の二、三人にからかわれてもおかしくないはずであるのにそれもない。
「じゃあ、神治くんは、あそこの席に座ってくれるかな」
 担任教師の指差す先に空いている席がある。
 神治は頷くとそこへ歩き出した。
 特に仲の良かった数人の顔が見えるが、彼らもやはり目を逸らしてしまう。
 憮然としながら、指定された席の近くまで行くと、そこでようやく求めたものに逢うことができた。
「よぉっ……」
 自分の席の前に座る少年が、満面の笑みを浮かべながら片手を上げて挨拶してきたのだ。
「哲ちゃん……」
 それは幼い頃から一緒に遊び育った、親友とも言える哲矢だった。
「久しぶり……ひひっ……出戻りかよ……」
 からかう感じで笑う哲矢は、他の級友たちとは違って記憶にある昔そのままの口調だった。
「ああ、またよろしくな……」
 目の前に出された手を軽く叩きながら席に着く。
 取りあえず変わらずにいてくれた人間がいた事にホッとしながら、神治は連絡事項を話し出した担任の声に耳を傾けた。


 学校が終わった後、歓迎会があるということで、神治は哲矢に案内されてある建物の前に来ていた。
「ここだよここ……」
 哲矢は扉を開くと中に入っていく。
(ここって……)
 そこは以前、静と初めてのセックスをした場所だった。
「どうしたんだ? 早く入れよ」
「あ、うん……」
 何やら少し照れくささを感じながら中に入っていく。 
「あっれぇ? まだ誰も来てないのかよぉ……」
 その哲矢の言葉にガッカリする。
 歓迎会には他に何人か来る予定であり、神治はそれを楽しみにしていたのだ。
 何しろ同じクラスの連中には避けられているようで、まともに話せるのが哲矢しかいない状態だったのである。
 せめて違うクラスの人間が居てくれることを期待したのだが、どうやら駄目だったようだ。
(俺……何かしたかなぁ……)
 嫌われるようなことをしたのかと思い、少し暗くなる。
「あっ、神ちゃんっ……神ちゃんだぁっ……」
「ホント、神ちゃんだぁっ……」
 背後から突然甲高い声が聞こえた。
 振り返ると、そこには白いセーラー服に身を包んだ二人の少女が立っていた。
 その顔には見覚え、どころか非常な懐かしさと親しさを感じさせるものがあった。
「も、もしかして……さっちゃんよっちゃん……?」
『せいか〜〜い……』
 二人は同時に答えた。
 それは哲矢と同じく、産まれた時から一緒に遊んでいた紗智子(さちこ)と夜詩子(よしこ)だった。
 彼女たちは一卵性双生児で、全くと言っていいほど区別がつかない。
『神ちゃん、再会していきなりだけど、もんだ〜〜い……どっちが紗智子でどっちが夜詩子でしょう?』
 やはり同時に尋ねてくる。
「こっちがさっちゃんで、こっちがよっちゃん……」
 神治はすぐさま答えた。
『せいか〜〜い……』
 二人は嬉しそうに笑った。
「どうして神ちゃんは私たちのこと分かるのかなぁ……」
「ホントホント、お母さんたちだって間違えるのに……」
 双子は顔を見合わせながら呟いている。
「いや……何となくなんだけどね……」
 何故か神治は昔から二人の区別がついた。
 顔も体もそっくりであるのに、どちらであるのか分かるのである。
 今まで間違えたことがないのはある意味才能と言えるだろう。
「何となくでもいいよ……私たちをちゃんと一人の人間として見てくれるの神ちゃんだけだもん……」
「そうそう、神ちゃんは私たちの王子さま……」
 二人は嬉しそうに笑っている。
(王子さま、か……)
 懐かしい言葉に思わず顔をほころばせる。
 昔読んだ童話に「真実を映し出す鏡」という、そっくりな双子を見分ける話があるのだが、その鏡を使っているのが王子さまだったのである。
 その話を読んで以来、二人は神治のことを王子さまと呼び、何かにつけ先ほどのような問題を出してくるのだ。
『さ、入ろうっ♪』
 二人に挟まれ腕を掴まれる。
(うっ……)
 途端、腕に柔らかな感触が感じられた。
 セーラー服の上からでも分かる、中学生にしては豊かな胸が腕に押し付けられているのだ。
「ちょ、ちょっと……」
 そのまま押されるように建物の中に入っていく。
 二人の顔が近くにあり、その美しさに神治は胸を高鳴らせた。
(さっちゃんもよっちゃんも……綺麗になったなぁ……)
 幼い頃も可愛い少女であったが、中学生になり、その大人びてきた顔立ちが女としての魅力を見せ始めていたのだ。
(ああ……いい匂いだ……)
 二人の体からは、雄の肉欲を誘う甘い香りが漂ってくる。
 美少女二人に左右から胸を押し付けられ、甘い体臭を嗅がされた神治は、興奮が高まり肉棒が硬くそそり立っていった。
(ふふっ……節操がないの……)
 突然、頭の中に声が響く。
(み、未迦知さま……話しかけないで下さいよ……)
 神治はその声に慌てながら答える。
 声の主は、緋道未迦知神(ヒドノミカチカミ)という緋道村の守護神である。
 未迦知神は、ずっと神社の地下で化け物を封じていたのだが、先日その化け物を神治が取り込んだため自由になることができたのだ。
 それ以来何故か神治を気に入り、背後霊のようにずっと張り付いているのである。
 一応他の人間には見えないようにしているのだが、こうしてたまに話しかけてくるのだ。
(良いではないか……ずっと黙っておるのはつまらんのじゃ……)
(だからって他の人がいる時は止めて下さい。俺が混乱するでしょ。声に出して返事しちゃうかも知れないじゃないですか。そしたら変な人ですよ……)
(その程度、サラリと処理せんか……全く、神ともあろうものが情けない……)
 未迦知神によると、神治は化け物と一体化したため神になったらしい。
 どうにも胡散臭い話なのだが、未迦知神は本当に神であるし、その神が言うことならば事実に違いないのだろう。
 一応それが原因と思われる変化もあったのだが、あまり神とは関係ないような部分であったため、どうも自覚が持てないでいるのである。
(まだ俺は修行不足ですから……そう言ったのは未迦知さまですよ……)
(ふんっ……じゃからこれはその修行じゃ……しっかりやれい……)
(神の修行も後でいいって言いましたよ……)
(お主のような未熟者はさっさと修行を始めた方が良い……)
(またそういう事を……)
 神治はガックリと力を抜いた。
『神ちゃん? どうしたの?』
 声をかけられ、慌てて意識を戻す。
 紗智子と夜詩子が怪訝そうに見つめている。
「い、いや……何でもないよ……ちょっと考え事してただけ……」
「そうなんだ……だったらいいけど……」
「急に怖い顔しちゃったからどうしたのかと思った……」
 二人は安心したように息を吐き出している。
「よぉっ、さっちゃんよっちゃん……ってお前らだけかよ……他のヤツは……?」
 哲矢は冷蔵庫からジュースを出しながら尋ねている。
「駄目……私たちだけよ……哲ちゃんたちのクラスは誰も来ないの……?」
「駄目駄目……うちのクラスの連中なんか、神ちゃんと目ぇすら合わせないからな……」
『そうなんだ……』
 双子は同時にため息を付いた。
「ま、いいじゃねぇか……神ちゃんを本当に好きな人間だけが集まったってことで……歓迎会なんだからな、中途半端なヤツはいらねぇいらねぇ……」
 哲矢はコップにジュースを注ぎながら威勢良く叫んでいる。
「あのさ……どうしてクラスの皆は、俺によそよそしいんだ?……俺、何かしたのかな……?」
 ずっと気になっていた事を尋ねると、哲矢たちは押し黙った。
「神ちゃんは何もしてねぇよ……これは奴らの問題さ……別に神ちゃんを嫌いになったわけじゃねぇんだ……ただ、どうしていいのか分からないんだろ……」
「どういう意味……?」
 哲矢の言うことは要領を得ない。
「神ちゃんは特別な存在だから……それでどう対応すればいいのか分からないの……」
 紗智子が代わりに答えた。
「特別って……あ、当主だから……?」
 確かに村において当主の存在は特別だった。
「ううん、当主ってのは関係ない……先代の当主さまは気さくな方だったし……当主だからって特別扱いはしないよ……」
 夜詩子が寂しそうに呟いた。
「じゃあ、何なのさ……?」
「未迦知さまさ……」
「未迦知さま……?」
 哲矢の言葉に、傍らにいる未迦知神を見る。
「神ちゃん、未迦知さまをお助けしただろ?……それがまず一つ……それと、新当主のお披露目の時に、その未迦知さまと親しげに話してたこと……これが一番効いてるだろな……ありゃぁ、たまらねぇよ……何しろこっちはおっそろしくてガタガタ震えてるってのに、その相手と平然と話してるんだからなぁ……」
 神治は当主になる儀式を行なった次の日、新当主のお披露目という事で村人全員に挨拶をした。
 神社の建物の中に座り、次々とやって来る村の人間相手に「よろしく」と言うだけだったのだが、何故かみんな平伏してブルブル震えていたのが気になっていた。
 だが今の哲矢の言葉でようやくその理由が分かった。
 皆、隣に座っていた未迦知神を畏れていたのだ。
「哲ちゃんも来てたんだ……全然分からなかったよ……」
 何しろ全員が平伏していたため、顔が見れなかったのである。
「ああ、行ってたよ……いや〜〜、あれは凄かったな……神様って話には聞いてたけど、あんなにおっそろしいものだとは……何しろ近づいただけで体が震えてきたからな……結局顔を見れなかったけど……どうなんだ? やっぱりスゲェ美人なのか?」
 その相手がすぐ傍にいるとも知らず、哲矢は下世話なことを聞いてくる。
「うん……凄い美人だよ……あんな綺麗な人は見たことないね……まさに神様って感じ……」
 それは本当のことなので正直に答える。
 だがその言葉を聞いた未迦知神が満足そうに頷いているのが何だか悔しかった。
「うひゃぁっ、そうなんだ……やっぱりチラっとだけでも見ておくんだったなぁ……って、あん時はそんな余裕なかったけどよ……」
「そんなに怖かったの?」
「ああ……あれは本能からくる怖さだな……殺されるとかそういうんじゃなく……とにかく畏れ多いっていうか……自分って存在が申し訳ないような気がしちゃうんだよな……」
 哲矢の言葉に双子がウンウンと頷いている。
「私も最初は見ようって思ってたんだけど、実際に傍に行ったらそんな余裕なかったもん……」
「そうそう、あれは凄いよねぇ……」
 双子は顔を合わせながら呟いている。
「そんなに凄いのか……」
 自分は少し圧迫感を感じる程度でしかないので、そこまで未迦知神を畏れるのが理解できなかった。
「という訳で、俺らにとっちゃ未迦知さまはとんでもない存在なんだ……だからその神様と平然と一緒にいられる神ちゃんも凄いってことさ……」
「俺はそんな凄い人間じゃ……」
「だけど、現実としてはそうなんだ……だからクラスの奴らはそんな相手とどう接していいのか分からないんだよ……」
 そこまで話すと、哲矢はふぅと息を吐き出した。
「でも……じゃあ、どうして哲ちゃんたちは、俺と普通に接してくれるんだい?」
 今の発言から、哲矢たちも他の級友たちと同じ印象を自分に持っているように思えた。
 それなのに何故以前と変わらぬ態度でいてくれるのだろう。
 その言葉を聞いた三人は、一瞬顔を見合わせてから、すぐに神治の方を見つめると、示し合わせたかのように一斉にニコリと微笑んだ。
「へっ、俺は神ちゃんの親友だぜ。それに産まれた時からの付き合いだ。神ちゃんが何になろうが態度を変えてたまるかっての」
「私たちだって同じよ」
「それにさっきも言ったけど、神ちゃんは私たちの王子さまなの。元々凄い存在なんだから、今更変わるわけないでしょ」
 三人の言葉に、一瞬呆気に取られる。
「あ、ありがとう……」
 そしてすぐに目頭が熱くなるのを感じながら頭を下げた。
 彼らは自分がどんな存在になろうと決して態度を変えないという。
 それはどんな権力者や金持ちであろうと、そうそう手に入れられるものではない。
 神治は彼らの無償の友情に胸が熱くなるのを感じた。
(良い友人を持っておるようじゃの……お主は幸せじゃ……)
 未迦知神が優しげに声をかけてくる。
(はい……俺は幸せです……)
 涙が溢れそうになり、慌てて下を向く。
「おぃおぃ、神ちゃん泣いちゃったのか? 馬鹿だなぁ、これくらいで泣くなよ。都会に行ってから涙もろくなったのかぁ?」
 哲矢がからかってくる。
「そ、そんな訳ないだろ……ゴミが入ったんだよ、ゴミが……」
 目を擦りながら誤魔化す。
「わぁ、ベタベタぁ……神ちゃんもうちょっと捻ろうよぉ……」
 夜詩子が可笑しそうに笑った。
 それにつられて全員が笑い出し、神治は久しぶりに友人たちと楽しく過ごしている実感を持つのだった。


「さて……宴もたけなわになってきた事だし……そろそろ始めるか……するぞ、さっちゃんよっちゃん……」
 用意されたお菓子やジュースをほとんど食べ終えた頃、哲矢が突然立ち上がった。
「え? 何するの?」
 それが何の事であるのか全く予想できない神治は、不思議そうに哲矢を見上げた。
「この緋道村で『する』といったら一つしかねぇよ……な、さっちゃんよっちゃん……」
『う、うん……』
 何故か双子は元気がなかった。
「だから何なのさ?……全然分からないよ……」
「何言ってるんだ……神ちゃん当主さまだろ。分からないってことはねぇだろ……」
 そう言われても分からないものは分からない。
 何しろまだ当主になってから数日しか経っていないのだ。
「え? 本気で分からないのか?……ありゃぁ……」
 神治のキョトンとした表情から、それが本当である事を理解したらしい哲矢は困ったような声を上げた。
「どういう事なんだ? 教えてよ……俺、離れてたから村のこと良く分からないんだよ……」
「教えてって言われてもなぁ……って、そうかっ……神ちゃん、もしかして成人の儀式をやってないのか……?」
「成人の儀式……?」
 それは何なのだろう。
 儀式というからには、何か大切なことなのだと思えるが。
「う〜〜ん……じゃあ、もしかして神ちゃんって童貞?……いやいや未迦知さまとしてるんだから、そんなはずないか……」
 何やら妙な言葉があったので気になった。
「俺が童貞だとどうなんだ?」
 女の子二人の前で言うには少々抵抗があったが、何か大事なことのように思えたので尋ねてみる。
「ええっ? 神ちゃん童貞なのかぁっ?」
 哲矢が大きな声を上げて驚いている。
「し、失礼なヤツだな……違うよ、童貞じゃない……」
 そこまで言って慌てて口を押さえる。
 普通の中学生が、そうそうセックスの経験があるはずないからだ。
 しかし三人の様子を見ても、誰一人としてその事を気にしている様子はなかった。
(どういう事だ……?)
 もしかしたら当主は性体験があって当たり前なのかも知れない。
 何しろ当主になる儀式自体、神とセックスする事なのだから。
 それは先ほど哲矢も言っていたことである。
「じゃあ、儀式はしたってことだよな……それなら何で村のこと知らないんだよ……」
 哲矢はぶつぶつと呟いている。
「だから儀式って何さ?……教えてくれよ……」
「え? 儀式を知らない?……でも童貞じゃないんだよな……何でだ?……あ、そうか……神ちゃんは当主家の人間だもんな……俺たちとはそもそも違うのか……」
「違うって……何が違うんだ?」
「う〜〜ん、どうしたもんかなぁ……知らないってことは、亜樹子さまが話してないって事だろう?……それを俺が言っていいものか……」
 哲矢は困ったように難しい顔をしてウンウン唸っている。
 ここで伯母の名前が出るとは驚いたが、どうやら哲矢が言っているのは、まだ自分が聞いていない事らしい。
 当主として学ばなければならない事柄は多いため、教わってない部分も結構あったのである。
『話してあげようよ……』
 それまでずっと黙っていた双子が同時に呟いた。
「そうだな……どのみち当主になったんだから、知らなきゃいけない事だし……亜樹子さまも怒らないだろう……」
 そう言うと、哲矢はゆっくりと腰を下ろした。
「じゃ、まず成人の儀式についてな……これはこの村独特のもんで、十一歳になると皆することなんだ……まあ、色々村のことを教わったりするんだけど……一番のメインは……セックスさ……」
「は?」
 間抜けな声を上げてしまう。
「この村じゃ、男も女も十一歳になるとセックスを経験するんだよ……それが大人の証ってわけ……」
「じゅ、十一歳って……」
 自分はその頃、セックスなどボンヤリとしか認識していなかった。
 なのにこの村の子供はそれを経験するというのだ。 
 そこまで考えて、今目の前にいる三人の友人たちもその村の子供だという事に気がつく。
(じゃ、じゃあ……もしかしてみんな……)
 紗智子と夜詩子もすでに処女ではないのか。
 神治は二人が肉棒を押し込まれ、あんっあんっと喘いでいる姿を想像してしまった。
「神ちゃんはしなかったのか?」
「え?」
「当主家のことはよく知らないけど、同じように十一歳で初体験はするはずだから……」
「い、いや……俺はその……村に居なかったし……」
「そうか……そういや外じゃこういう儀式がないんだもんな……でもよぉ……セックスしないでいられるなんて信じられねぇぜ……俺なんか毎日してるからなぁ……話によると、外だと高校生くらいにならなきゃしないって言うんだろ? しかも高校生になってもしてない奴の方が多いってんだからなぁ……」
 哲矢は呆れたように呟いている。
「十一歳で、できるものなの?」
 当時セックスの認識すらあやふやだった自分にとって、その年齢でできるものなのか気になった。
「おぅ、出来るぜ……いやぁ、今でも思い出すとチンポが硬くなるなぁ……俺の初めての相手って初音姉ちゃんなんだけどさぁ……これがいいのなんのって……いつもはおっかなくて俺のことぶっ叩いてばかりだったのに……いざチンポ入れて動き出したら『あんっ、あんっ』なんて可愛い声出しちゃってさぁ……しかも最後には『哲矢ぁ、哲矢ぁ』って俺にギュッとしがみついてきたんだぜぇ……もうそれ以来病みつきよ……毎日初音姉ちゃんとしまくってるぜ……」
 あまりの事に黙り込む。
 初音とは、神治も良く知っている哲矢の実の姉だったからだ。
「は、初音ちゃんが……って、お前の姉ちゃんだろ? 何でしてるんだよ……?」
「何だかああ見えて俺のこと愛してたみたいでさ……『絶対に最初の相手になるつもりだった』とか言ってたなぁ……」
 訳が分からない。
 十一歳で初体験をするにしても、どうしてそれが実の姉なのだろう。
 しかも初音自身がそれを望んだと言うのだ。
「それって……近親相姦……だろ……?」
「あ、ああ……外じゃそう言うんだよな……ここじゃ当たり前なんで忘れてたぜ……」
「当たり前……」
 自らが毎日近親相姦をしているとはいえ、それを友人もしているのだと聞くと酷くショックだった。
 しかもそれが当たり前ということは、他の家庭でもそうだという事になる。
「美奈子姉ちゃんは胸がデカイからいいんだぜぇ……母ちゃんは最近オッパイ垂れてきちゃったけど、アソコの具合は一番いいから止められないし……何より俺を凄く愛してくれてるからなぁ……」
 次々と語られる哲矢の家族に対する感想に、神治は呆然と聞き入った。
「やっぱり家族が一番だなぁ……って、あ、さっちゃんよっちゃんは別だぜ……二人は家族同然だからな……何しろ同じように毎日してるんだし……」
「!……し、してるって……?」
 哲矢の言葉に固まる。
「一番仲がいいしさ……儀式の次の日からヤりまくりよ……二人ともすっごくいい体してるんだぜ……神ちゃんにも早くしてもらいたい……って、そうだった、それをしようとしてたんだよな……」
 哲矢はそう言うと再び立ち上がった。
「ま、そんな訳で、成人の儀式を終えた奴は、それから誰とでも好きなだけセックスをしていいって事になるんだ……それがこの村の決まりさ……」
「そんな……」
 神治はあまりの事にショックを受けていた。
 近親相姦だけでなく、誰とでもするなど信じられない。
「神ちゃんもこの村に帰ってきたんだし、色んな女としてみなよ……って当主さまの場合、あんまりできねぇか……家族に睨まれちゃうもんなぁ……」
「ど、どうして……?」
 誰とでもしていいのなら、それを咎められるのは変だろう。
「いやぁ……当主家の場合、女は家族しか相手にしちゃいけないだろ?……それなのにその相手が外で他の女としてたら、そりゃ腹も立つわな……」
 そう言えばそうだった。
 当主家の女は同じ血を引く男としかしてはならなかったのだ。
 それが原因で久美は恋愛ができずに悲しんでいたのだから。
「ま、男は妊娠する訳じゃねぇからしても問題なし……だから結構昔から当主家の男は村の女としてて、そのせいでみんな多かれ少なかれ当主家の血を引いてるらしいぜ……俺と神ちゃんも親戚、いやいや、兄弟ってこともありえる訳だな……」
 ガハハッと哲矢は楽しそうに笑った。
「で、神ちゃんはどうなんだ?……あっちの方は沢山できる方か?……これからしても夜大丈夫か……?」
「え?」
「これからさっちゃんよっちゃんとして、夜に立たなくなったら亜樹子さまに睨まれちゃうだろ……だからどれくらいならOKかと思って……」
「どれくらいって……」
 神治はその事よりも、目の前に座る双子とセックスする事になりそうな雰囲気に驚いていた。
 確かに二人は魅力的な少女であり、ただの友人以上の想いもない訳ではない。
 だが、再会してすぐにするのもどうかと思うのだ。
 第一、その二人は先ほどから暗い表情を浮かべている。
 どう見ても自分とすることを喜んでいるようには思えなかった。
「俺のことより……二人の気持ちが大事だろ?……いくらしてもいいからって、無理やりは嫌だよ……」
 神治の言葉に、双子がハッとしたように顔を上げた。
「え〜〜? 何言ってるんだよ……二人が嫌がる訳ないだろぉ……?」
 哲矢は能天気な声を上げている。
「どうしてさ?……実際二人はさっきから暗くなってるよ……それって、哲ちゃんが俺と無理やりさせようとしてるからだろ……?」
 神治が言い終わると、哲矢はポカンとした表情を浮かべ、続いて可笑しそうに笑い出した。
「ひゃひゃひゃ……神ちゃん、それはない……それはないぜ……だって、何しろこいつら……」
『哲ちゃんっ!』
 突然双子が大声を上げたため、哲矢はビクッと体を震わせて喋るのを止めた。
「もういいから……ね、今日はこれでお開きにしよ……」
「そうそう……神ちゃんもゴメンね、哲ちゃんが変なこと言っちゃったから……」
 双子は慌てたようにその場を取り繕っている。
「なぁ〜〜に言ってるんだよぉ〜〜……本当にいいのかぁ?……今日くらいしかないぞぉ〜〜……上手い言い訳作って神ちゃんとできるのぉ〜〜……」
 哲矢がニヤニヤしながら呟いている。
『何言ってるのっ!』
 再び双子は大声を出している。
「何だよぉ、お前らが言ったんだぞぉ……『有希ちゃんに悪いけど、どうしても一回だけしたい』ってさぁ……」
『哲ちゃんっ!』
 双子は叫んだ後、神治の方にゆっくりと視線を動かし、目が合うとハッとしたように顔を真っ赤にして俯いた。
 それらの行動全て、顔が赤くなるのまでが二人同時であったことに、神治は何やら優れた芸術を見るかのように感嘆してしまった。
「ま、そういう事でさ……こいつらは神ちゃんとしたい訳……さっきから暗かったのはただ緊張してただけなんだよ……」
 哲矢は肩をすくめた。
「したいって……」
 一連の流れで、どうやら双子が嫌がっているのではない事は分かった。
 だがそれでも、あまりに急すぎる展開がどうも受け入れがたい。
「でも、俺はしばらく村から離れてたから……だから……いくら仲がいいからって……その……こんな急にするのは……」
 ブツブツと呟く神治の言葉に、双子は俯いたまま何も答えない。
「って、おいおいっ、そりゃないぜ……神ちゃん、女を抱きたいって気持ちに時間が必要なのか? いい女は抱きたい、好きな女は抱きたい、それが男の本能ってものだろ?……そんな想いに準備期間なんて必要ねぇよ……」
「で、でも……」
「外ではどうだか知らないけど、この村じゃあ、友達くらいに仲良くなったらセックスするのが当たり前なんだ……それが友情の証みたいなもんでな……でも神ちゃんは当主家の人間……そうそうしちゃいけない……だけど好きだから一度はしておきたい……そういった二人の熱い想いが分からないのか……?」
 一気に言い終えると、哲矢はドシンと胡坐をかいた。
(だからってなぁ……)
 理解はできるが、納得はできなかった。
 これが見ず知らずの女ならばそれほど抵抗はなかっただろう。
 だが相手は幼い頃から良く知っている幼馴染だ。
 安易に抱くことにどうしても抵抗があった。
 それに少々照れくささもある。
(ふふ……面白いのぉ……)
 突然、声が頭に響いた。
(未迦知さま……)
(儂をいきなり襲った者と同一人物とはとても思えんわい……)
(だ、だってあれは……)
(穂智過に惑わされておったのであろ……それと今と何が違うと言うのじゃ……?)
(何って……全然違うじゃないですか……)
(そうかのぉ……儂には同じように思えるぞ……)
(どういう事ですか?)
(うむ、どちらも「しても言い訳がたつ」という点でじゃ……)
(え……?)
(儂の時は穂智過、今の場合は、相手が望んだ……どちらかと言えば今の方がしても誰も文句を言わんと思うがな……儂が気の弱いオナゴで、今もお主に襲われたことを嘆いておったら、お主耐えられるかの?)
(そ、それは……)
(それに比べれば、望んでお主に抱かれたがっておるオナゴ二人を相手にするのに何を迷うことがあろう……もし今日抱かねば、恐らくお主は後悔するぞ……)
(後悔ですか……)
(お主に抱かれようと、わざわざこのような機会をこしらえておるのじゃ、何とも健気ではないか……それを踏みにじっては絶対に後悔すると言っておる……)
(未迦知さま……)
 確かにその通りかも知れない。
 神治は目の覚める思いがした。
「そうだね……俺が間違ってたよ……ここは緋道村なんだもんな……それに俺は当主だ、村のやり方に慣れなきゃいけないよな……」
「そうそう、その通り……当主だったら、村中の女を抱くくらいのつもりでいてくれないと」
 哲矢が無茶苦茶なことを言っている。
「さっちゃんよっちゃん、抱いていいかい……?」
 双子に向き直って尋ねる。
『いいの……?』
「うん……っていうか、二人みたいな可愛い女の子が俺としてくれるっていう方が信じられないよ……」
『そ、そんな……私たちなんか……』
 照れる言葉まで同時なので、思わず神治は笑ってしまった。
「それじゃ、話もまとまったところで始めるとしますか……二人とも、例のあれからしてやりなよ」
『う、うん……』
 哲矢の言葉に双子は頷くと、神治の傍に近寄り、両脇から体をピッタリくっつけてきた。
 両腕に柔らかな乳房が押し付けられ、心臓が鼓動を早める。
「あれってなにさ……?」
「まあ、お楽しみお楽しみ……」
 哲矢は面白そうに笑うだけで教えてくれない。
『神ちゃん……』
 双子の同じ顔が、左右から迫ってくる。
 そのうっとりとした妖しげな表情は、とても中学生とは思えない色気を漂わせていた。
『んっ……』
 唇が塞がれる。
 左右の口の端から二つの柔らかなものが入り込み、神治の舌に絡みつくと激しく吸い上げてくる。
『んっ、んんっ……んっ……』
 まるでステレオ放送のように、左右から同じ甘い吐息が聞こえてくる。
(ああ……何て甘い……さっちゃんもよっちゃんも……二人の舌って……甘い……唇も……何て柔らかいんだ……)
 とろけるようなキスとはこの事を言うのではないか。
 二人の唇と擦り合わせ、舌を吸い合っているだけで、体中の力が抜け、頭がぼぉっとしてくる。
 さらに体からはクラクラするような甘い香りが漂い、それを嗅ぎ始めてから肉棒が猛り狂って止まらない。
『んんっ……んっ……んんんっ』
 二人の体をギュッと抱きしめ、激しく唇を動かし、舌を絡ませていく。
 胸に四つの柔らかなものが触れ、その中学生にしては豊かな肉の感触に、我慢ができなくなるほど肉欲が高まっていく。
『んんっ、んっ……んんっ……』
 二人の乳房を左右からギュッと掴む。
 その弾力は強く、少し揉んだ程度ではすぐに押し返してくる。
『んっ、んんっ……んっ、ぷはぁっ……神ちゃぁん……』
 可憐な桜色をした二つの唇が甘く呟き、潤んだ四つの真っ黒な瞳が見つめ返してくる。
『私たちが……してあげる……』
 双子はそう言うと神治の体を押し倒し、ズボンとパンツを脱がした。
 すでにビンビンに硬くなっている肉棒がさらけ出される。
『神ちゃんの……』
 双子はうっとりと見つめながら、その唇を左右から肉棒に這わせていった。
「うぅっ……」
 普段とは違う、二箇所に感じる舌の感触。
 肉棒の全てが舌で覆われ、付け根から亀頭へと同時に舐め上げられる。
 さすが双子と言うべきか、息がピッタリで、まるで一人の人間に二枚舌が生えているかのようにその動きにズレがない。
「うぁっ……」
 舌先がチロチロと小刻みに動き、肉棒のあらゆる部分を刺激してくる。
 これまた一人相手では決して味わえない二箇所からの愛撫に、神治はたまらない快感を感じていた。
(こんなの……凄い……)
 チュパチュパと肉棒が左右から吸い上げられる。
 付け根からゆっくり上に進み、亀頭まで到達すると、舌を絡めるようにして蠢く。
 舌先がエラを擦り、亀頭全体を二枚の舌が覆っていく。
「うぁぅっ……うぅっ……」
 その初めての体験に、神治はもはや限界に近づいていた。
 一人相手のフェラチオならば伯母たちに散々されていたため慣れていたが、二人同時にされるこの双子の行為は、今までにない快感があったのだ。
「ああぅっ……」
 肉棒が夜詩子の口に含まれた。
 シュボシュボとリズミカルに出し入れされていく。
「神ちゃん……」
 紗智子の顔が迫り、唇が合わされる。
 舌が押し込まれ、絡みつかれた。
「んんっ……んっ……」
 キスとフェラチオ、この上下同時愛撫を行なわれ、神治の意識は朦朧としつつあった。
 何しろ普通一人が相手の時は、二箇所愛撫を行なうと片方に意識が集中してしまうものだが、二人でやられている今の状態ではそういったことがなく、どちらにも意思のこもった動きがされているのだ。
 しかも双子であるせいか、その愛撫を行なう呼吸がピッタリで、弱い部分を攻撃してくる瞬間が全くの同時なのである。
 つまり普段と比べて快感を受ける度合いが二倍になっており、自然と耐久力も二倍の速度で減少し、神治の我慢は限界に近づいていた。
「んっ……んっ……んんっ……!」
 神治のその様子に気づいたのか、いきなり舌と肉棒が同時に思いっきり吸引された。
「んんっ、んんっ……!」
 上下同時の強烈な吸い込みに、体の中身が全て持って行かれるような感覚を感じる。
(うぁ……凄い……ああ……なんだこれぇ……)
 舌と肉棒が無くなってしまったのではないかというほどのたまらない快感。
 そのとてつもない刺激に、神治は一気に精を放った。
「んっ、んっ、んんんんっ……!」
 ドクドクドクと凄まじい勢いで射精が行なわれ、その間も上下同時の吸引は止まらず、神治は何が何だか分からないくらい意識が朦朧としていった。
 意識が薄れた状態のまま射精が終わり、グッタリと力を抜く。
「じゃ、次は私が神ちゃんの精液欲しい……」
「うん……神ちゃんのって美味しいよ……」
 ぼやける意識の隅で、双子が楽しそうに会話するのが聞こえる。
 再び口と肉棒に快感が押し寄せてきた。
 一気に硬くなった肉棒を今度は紗智子が咥え、夜詩子が舌を吸ってくる。
「んんっ……」
 神治はたまらない刺激に意識を朦朧とさせながら、その快感に浸っていった。


 あれから同じように愛撫をされ、今度は紗智子の口に精を放った後、神治は再び二人がかりで肉棒を舐め上げられていた。
(ああ……何て凄いんだろ……)
 技術自体もかなり高かったが、口内の感触が並ではなかった。
 舞美ほどではないが、触れているだけでかなり気持ちが良かったのだ。
 さらにセーラー服に身を包んだ美少女二人が、己の肉棒に顔をよせ、舌を這わせているのは酷く興奮を誘う光景だった。
 学校で見る姿そのままで、本来するべきでない行為をしている。
 それはとてつもない背徳感だ。
 有希や佳奈とした時も同じような状態だったが、それが二人となると、さらに男としての支配欲が刺激され興奮が高まっていく。
(こ、これも一つのシチュエーションか……)
 以前、淫妖である穂智過に話した「精神的な興奮」が今実現していた。
 制服姿の美少女。
 しかも幼馴染で双子。
 彼女たちが普段着であったり、幼馴染や双子でなかったら興奮は下がっているだろう。
 幼馴染という、長年仲良くしていてもセックスをするような関係ではない二人に、こうして肉棒を舐められていること自体、ありえない状況だった。
「神ちゃんの……すっかりおっきくなったね……」
「うん……そろそろ入れてもらおうよ……」
 双子は頷き合うと、こちらを見ている。
「じゃ、じゃあ……今度は俺が二人を気持ち良くさせる番だね……」
 少し照れながら体を起こす。
「布団敷いたから……こっちでヤりなよ……」
 それまでずっと黙っていた哲矢が声をかけてきた。
「あ、ありがとう……」
 未迦知神が常に傍にいるようになって以来、誰かに見られながらする事には慣れたが、それでもそれが幼馴染の哲矢であると少々気恥ずかしさがあった。
「な、さっちゃんよっちゃんの今のワザ、いいだろ?……いつもしてもらうんだけど、スッゲェ気持ちいいんだよなぁ」
 哲矢が嬉しそうに笑っている。
「そ、そうだね……俺、二人がかりでされるのなんて初めてだったから興奮したよ……」
「え? 何だ? 家じゃしないのか? あれだけ女の人がいるのに……」
「し、しないよ……」
「え〜〜? 俺はてっきりみんなまとめて相手にしてるのかと思ったよ……」
 それは確かに興奮しそうだった。
 今度してみようかと思いつつ、誰が先に入れるかで揉めそうな気もした。
 その事を想像しつつ、実際これから双子とどのようにすればいいのかという事に神治は気がついた。
(どうしよう……?)
 肉棒が一本しかない以上、片方に入れている間はもう一人には入れることはできない。
「哲ちゃんって、いつもどうしてるの?」
 毎日双子としているという哲矢なら、何かいい方法を知っているのではないかと思い尋ねてみる。
「ん?」
「いや、一人ずつしか出来ないでしょ……」
「あ、そういう事か……いや、交代でしてるな……それしかねぇもん……」
 やはりそうするしかないのか。
 だがそれでは待たせてる方に申し訳ない気がした。
(ふふっ……律儀じゃの……)
(未迦知さま……)
(今のお主ならばいい方法がある……「気」じゃ……「気」を使こうて同時にオナゴをイかす……それをしてみぃ……)
(え、それって……どうするんですか……?)
 そのような方法があるのならありがたい。
(まず一人のオナゴに入れたのち、そこに「気」を残す……そしてもう一人のオナゴとする際に、そちらの「気」を同じように動かすのじゃ……さすれば二人同時に快楽を与えられよう……)
(そ、そんな事が……)
(ま、これはお主の能力の問題じゃからの……上手くいくかは分からんが、修行のつもりでしてみるが良いぞ……)
(は、はい……)
 どうせ何もしなければ一人ずつ相手にするしかないのだ。
 やってみる価値はあるだろう。
『神ちゃん……』
 布団に横になった双子に呼ばれ意識を戻した神治は、二人にゆっくりと近づいていった。
 チャックを外してセーラー服を捲り上げる。
 白い色をしたブラジャーが現れ、さらにそれを押し上げると中学生にしては豊かな膨らみがさらけ出された。
(うわ……綺麗……それに同じだ……)
 全く同じように膨れた四つの白く美しい乳房。
 その頂点でフルフルと揺れる桜色の乳首が、四つとも同じように勃起しているのが興奮と共に何やら可笑しさを感じさせた。
 神治は二人の真ん中に覆いかぶさると、その綺麗な白い塊に手を添えた。
(気持ちいい……)
 スベスベとしたその感触は、手のひらにたまらない気持ちの良さを与え、神治は我慢できないようにギュッと掴んだ。
『ああんっ……』
 双子の声が重なる。
 全く同時に、同じ言葉を発したことに楽しさを感じながら、さらに乳房を揉んでいく。
『あっ、ああっ、やんっ……』
 やはり同時に悶えるのが面白い。
 双子の乳房は、若いだけあって弾力が強く、掴むとすぐに押し返してくるのが気持ちいい。
 そのまま続けて激しく揉み上げ、グリグリと円を描くように乳房を歪ませていく。
『ああぅっ、あっ、ああんっ……やぅっ、あっ、いやぁんっ……』
 これだけしてもまだ同時に言葉を発する事に感動を覚えながら、神治は二人を向かい合わせにすると、横から乳首に吸い付いていった。
 こうすれば同時に乳首を吸えると思ったのだ。
 普段正面からするのとは違う感触に面白さを感じながら、口の左右に触れる二つの可憐な乳首をチュウチュウ吸っていく。
『あっ、ああっ、ああんっ……あぅっ、あっ、乳首ぃ、やんっ……乳首いいよぉっ……』
 もうここまでくると一つの芸術と言えるだろう。
 喘ぎ声から「乳首」という単語まで同じ時に発するのは、まるで一つの脳で二つの体を動かしているかのようだ。
 続けてスカートをバサっと捲くり、パンティと太ももを丸出しにする。
 普段は大っぴらにスカートめくりなど出来ないが、実際にしてみると、それは何とも男心をくすぐる行為だった。
 隠されたものを暴くような、たまらない興奮があるのだ。
 またこのスカートというのがヒラヒラとしているため、まるで「めくりたいでしょ」と誘っているかのように思えるのである。
 四本の形のいい太ももに手を這わせ、そのスベスベとした感触を味わいながら、舌で舐め上げていく。
『ああんっ、ああっ、やんっ……はぅっ、ああっ……あっ、あっ、ひゃぁんっ……あぅっ、あぅっ、やぁんっ……』
 双子は同時に頭を左右に振り始め、驚くことに同じ回数だけ動かした。
 その事に双子の神秘的な同一性を感じながら、いよいよとばかりにパンティを引き下ろしていく。
 二人の脚をグイと広げ、その女の部分を比較する。
(うぁっ……同じだ……全く同じ……)
 それは感動的だった。
 顔や体はそっくりであったが、この複雑な部分くらいは少しは違いがあるだろうと思っていたのに、全くと言っていいほど二人のそこは同じだったのだ。
『神ちゃん……きてぇ……神ちゃんのオチンチン……私たちに頂戴ぃ……』
 二人が潤んだ瞳でおねだりしてくる。
「う、うん……入れるよ……」
「じゃあ……私から……順番、決めておいたから……神ちゃんは気にしないで……」
 紗智子がそう呟く。
 さすが幼馴染というべきか、神治がどちらを先にするのか悩むのを見越していたのだろう。
「うん、分かった……じゃあさっちゃんから……」
 紗智子の秘所に肉棒を向け、膣穴に亀頭を押し込む。
「あっ……」
 さすがに今度は紗智子だけの喘ぎ声が聞こえ、その新鮮さに興奮が少し高まった。
 ズブズブと肉棒が進み、完全に収まる。
「はぁぅ……」
「うぅっ……」
 紗智子の気持ち良さそうな声と、神治の快感に耐える声が重なる。
 包み込むように肉棒を圧迫するその感触は、これまでしてきたどの女たちとも違う感じだった。
(やっぱり……血が繋がってないからかな……?)
 先ほどの哲矢の話からすると、繋がっていないとも言えないらしいが、それでもやはりどこか違った印象があった。
「ああんっ、あっ、はぅっ……神ちゃん、いいよぉっ……神ちゃぁんっ……」
 腰を動かし始めると、紗智子が気持ち良さそうに甘い声を上げた。
 その事で、今自分が幼馴染とセックスしているのだという事実を神治は改めて認識した。
 幼い頃はまさかこんな事をするとは想像もしていなかったが、今やセーラー服に身を包み、すっかり女らしくなった中学生の紗智子としているのだ。
「はんっ、はぁっ、やぁんっ……あぅっ、あぅっ、ああんっ……」
 紗智子の美しい顔が快感に歪む。
 神治はその様子を見ながら、これほど可愛らしい少女と幼馴染であった事に感謝せずにはいられなかった。
 何しろ当時仲の良かった事が、今股間から伝わってくる快感に繋がっているのだから。
 セーラー服からいやらしく胸をさらし、スカートを捲くり上げられている紗智子の姿にはたまらないモノがあった。
(ああ……さっちゃんいいよ……さっちゃんは何て可愛いんだ……)
 己の腰の動きで悶え、甘い喘ぎを上げる幼馴染の少女に、神治の興奮は高まっていく。
「あふぅっ、あっ、やんっ……もっと、ああっ……もっとぉ、ああんっ……神ちゃんもっとしてぇっ……」
 紗智子の要求に答えるべく、激しく腰を振り始めた神治の目に、こちらを寂しそうに見つめる夜詩子の姿が映った。
(あ、そうか……よっちゃんにもしなきゃ……)
 あまりにも気持ち良くなったため忘れてしまうところだった。
(未迦知さま……どうすればいいんですか……?)
 未迦知神に先ほどの「気」の使い方を尋ねる。
(そのまま腰を動かせ……その後一物に意識を集中し、その存在を知覚するのじゃ……)
(知覚ですか……)
 何やら難しそうな印象を覚えながらも、取りあえずは動かすということなので、腰を振り続ける。
「ああっ、ああっ、ああんっ……神ちゃん、やんっ……神ちゃんいいよぉ、あっ、あっ、やぁんっ……」
 紗智子が頭を左右に振り悶えている。
 胸で豊かな乳房がブルンブルンと上下に揺れ動くのがたまらない。
(意識を集中……チンポを知覚……)
 すると、頭の中に見えるはずのない膣の中の肉棒が浮かぶ。
 それはヌルヌルとした柔らかそうな肉に包まれ、とても気持ちが良さそうだった。
(って、実際気持ちいいんだけどさ……)
 苦笑しながらも、何とか知覚できたことを喜ぶ。
(どうやらできたようじゃな……ではそのまま次はもう一人のオナゴに押し込め……)
(はい……)
「え? 神ちゃん? な、なに?」
 神治は肉棒を引き抜くと、隣に座っている夜詩子を押し倒し、スカートをめくって脚を広げた。
「こ、神ちゃん……私はいいから……紗智子に……紗智子にしてあげて……」
 夜詩子は慌ててそう言ってくる。
 だがそれに構わず肉棒を押し込み、腰を動かし出す。
「あぅんっ、あっ、神ちゃん、ああんっ……私は駄目、あっ……紗智子にぃ、やぁんっ……」
 神治の行為を否定しながらも、夜詩子は肉棒の感触に悶え始めている。
(よし……先ほどの一物のイメージ……それをそのまま今動いている己の体と繋げよ……あちらも同じように動かしているつもりになるのじゃ……)
(はい……)
 紗智子の膣に収まっていた肉棒をイメージし、それを同じように動かすつもりになる。
「あっ、ああっ、え? 何で、ああんっ……嘘、はぅっ……何でなのぉっ……?」
 隣で紗智子が疑問の声を上げながら悶え始める。 
(ふむ、どうやら成功のようじゃな……やるではないか……)
(ありがとうございます……で、でも……俺も何だか……凄く気持ちいいんですけど……)
 先ほどから普段のセックスよりも凄まじい快感が押し寄せてきているのだ。
(それはそうであろ……何しろ感覚としても繋がっておるからの……お主は同時に二人のオナゴを相手にしておるようなものじゃ……)
(え? それって……)
 つまり二つ肉棒があり、どちらの快感も得ているということになる。
 快感が高いのも当然だった。
(では続いてこちらにも同じイメージを持て……さすればどちらに入れていようとも、お主は二人を同時に抱くことができようぞ……)
(は、はいっ……)
 何やら凄まじい快感の渦に引き込まれながらも、先ほどと同じように夜詩子の中にある肉棒を知覚する。
 そのまま肉棒を引き抜き、再び紗智子の膣に押し込み、続いて先ほどと同じように夜詩子の中の肉棒のイメージと体を繋げていく。 
「ああぅっ、あっ、神ちゃん、ああんっ……これってどういう事? やっ、はんっ……さっき私、ああっ……それに今は夜詩子が、やぁんっ……」
 隣では夜詩子が同じように悶えている。
 その体は快感に震えて蠢き、まるで透明人間に犯されているかのようだ。
「後で教えてあげるよっ……それより今はっ……一緒に気持ち良くなろっ……ね、さっちゃんよっちゃんっ……」
『やっ、ひゃぁんっ……』
 腰を強く突きこむと、二人が同時に頭を仰け反らせる。
 それは何とも不思議な光景だった。
 神治は二人を抱きしめると、その唇に軽くキスをしながら腰を激しく動かしていく。
『ああっ、ああっ、ああんっ……神ちゃん、やんっ……神ちゃん凄いよぉっ……』
 再び双子の喘ぎ声が同じものになった。
 このまま最後まで同じだとしたら、かなり凄いことだと思い、ワクワクしながら腰の動きを早めていく。
『ああぅっ、あんっ、やぁっ……はぅっ、はぅっ、はぁんっ……』
 いくら感じるとは言え、やはり本物を入れていない方に申し訳ないと思った神治は、ある程度の間をおきながら交代で肉棒を入れていった。
『やんっ、やぁっ、はぁんっ……あぅっ、はぅっ、ひゃぁんっ……神ちゃん、ああっ……神ちゃぁんっ……』
 二人が同時にギュッと抱きつき、同じように腰を振り始める。
 体に触れる四つの乳房の感触と、普通ならありえない二つの膣の感触が神治の快感を高めていく。
『あっ、あっ、ああんっ……神ちゃん、あっ……イく、ああっ……私、やんっ……イくのぉっ……』
 どうやら絶頂に至るのも同じようだ。
 その事に面白さを感じながら、自らも射精感が高まっていた神治は、最後とばかりに腰の動きに力を入れていった。
『あんっ、あんっ、あああんっ……神ちゃん、はんっ……神ちゃん、やんっ……神ちゃぁんっ……あっ、あっ、やぁんっ……もう駄目、ああっ……もう駄目だよぉ、やぁっ……もうイっちゃうのぉっ……あああああああっ……!』
「さっちゃんよっちゃんっ……!」
 ドクドクドクと激しい射精が行なわれていく。
 実際には紗智子にしか射精していないはずなのだが、夜詩子もまるで精液が流れ込んでくるのを感じているように、同じく体をビクビクと震わせている。
(ああ……何か凄いっ……凄いよぉっ……)
 神治の脳には、まるで射精を連続でしたような激しい快感が押し寄せていた。
(当然じゃ……お主は二回出したも同然じゃからの……このワザは、本来二人分の快楽を味わうためのものじゃからな……どうじゃ、たまらんじゃろ……)
 快感に真っ白となっている意識の中で、可笑しそうに笑う未迦知神の声が聞こえた。
 確かにその快感はとてつもなく、まるで射精している間に再び射精したかのような、強烈な快楽があったのだ。
 ビクッ、ビクッ、と最後の放出を終えると、二人の体の上に倒れこむ。
 はぁはぁと荒い息を吐きながら、柔らかな肉体の感触に浸る。
『神ちゃん……どういう事?……何で……こんな……』
 呼吸を乱しながらも、同時に尋ねてくる双子に苦笑する。
「俺も知りたいな……何でなんだ?……まるで神ちゃんが二人いたみたいだぜ……というか、チンポが二つあったみたいだ……」
 鋭いことを哲矢が指摘してくる。
「哲ちゃんの言う通りだよ……俺は、入れてなくても入れているように感じさせたんだ……」
『ええ〜〜!』
 双子だけでなく、哲矢までもが声を揃えて驚いた声を上げた。
「そ、それって何だよ……当主だからか? 未迦知さまに戴いた力ってことか?」
「う……ま、まあね……」
 本当は違うのだが、まさか自分も神になったからとは言いにくい。
「う〜〜ん、やっぱり未迦知さまはスゲェなぁ……そんな能力を授けちまうなんて……」
 哲矢は感心したように唸っている。
「でも私は嬉しかった……だって一人ずつですると思ってたのに……二人同時にしてもらえたんだもん……」
「そうだよ……私なんか後だったのに、一緒に抱いてもらえて……」
 双子は嬉しそうに微笑んでいる。
「やっぱり神ちゃんは私たちの王子さまだね……こんな凄いことしちゃうんだもん……」
「うん……凄いよ……神ちゃん凄い……」
 自分を絶賛している双子の言葉に照れながら、改めてそのそっくりな二人の体を見つめる。
(そういや……あそこの具合も同じだったなぁ……)
 何度も肉棒を出し入れして分かったのだが、この双子は膣の感触まで全く同じだったのである。
(って……俺、中に出しちまったっ……!)
 今まで子供を作ることを目的とした家族としかしていなかったため、避妊という事に意識が回らなくなっていたのだが、紗智子は他人なのだから子供が出来たら大変である。
「さ、さっちゃん……俺……中で出しちゃった……ごめん……」
『え……?』
 神治が頭を下げて謝ると、三人は一瞬ポカンとした表情を浮かべた後、可笑しそうに頬を緩めた。
「神ちゃん何謝ってるんだよ……意味が分からねぇぞ……」
「うん……どうして中に出したからって謝るの?……神ちゃんの精液凄く多くて、私嬉しかったよ……」
「そうそう……私にも沢山ちょうだいね……」
 三人は神治の謝った理由が分からないらしい。
 しかも双子は、逆に出してもらいたがっているようだ。
「え? え?」
 神治は訳が分からず目を白黒させる。
「なんだぁ? 神ちゃん本気で分かってないのかよ……って、まてよ……そこら辺の事も聞いてないのか?」
「う、うん……何のことだかさっぱり……どうして中に出して謝る必要がないのか分からないよ……だって妊娠しちゃうかも知れないじゃないか……」
 当主家においてはそれでも構わない。
 だが相手は仲がいいとはいえ、友人には違いないのだ。
 恋人でも結婚している訳でもないのだから、もし妊娠してしまったら大問題だろう。
「さっき言ったろ、俺と神ちゃんは親戚かも知れないって……」
「う、うん……」
「つまり、それだけ当主家の男は村の女に子供を産ませてるってことなんだよ……」
「で、でもそれは昔のことだろ? 今の世の中でそんなことしたら……」
「じゃあ、俺がいつも中に出してるとしたらどうだい?」
「え?」
「俺は二人とする時、いつも中に出してるぜ……というか、誰とする時でもそうさ……」
「そ、そんな事したら……妊娠しちゃうじゃないか……」
 いくらセックスが自由だと言っても避妊くらいはするべきだろう。
 しかも先ほど哲矢は母や姉としていると語っていた。
 それでもし妊娠したらどうするつもりなのだ。
「そうさ……それが何かマズイのか……?」
 哲矢は分からないといった表情をしている。
「だってそうしたら……そうしたら……」
「妊娠したら子供を産む……ただそれだけだよ……」
「じゃ、結婚するのかい……?」
「え? 誰と?」
「誰ってその妊娠させた相手と……」
「いや、しねぇよ……第一、俺が妊娠させたのか分からねぇしな……」
「ええっ? どうしてさ」
「だって、女にしたってしょっちゅう色んなヤツとするんだぜ……誰の子供かなんて分からねぇよ……」
 そう言えばそうだった。
 先ほどの哲矢の話を考えると、この村では十一歳を過ぎれば誰とでもセックスをしていい事になっている。
 つまり、下手をすれば村中の女を妊娠させることもありえるわけだ。
「さっちゃんよっちゃんは俺以外とはしないみたいだけど、家族とはしてるしな……あ、さっきのワザな、あれ、道彦さんが教えたらしいぜ」
 道彦とは彼女たちの伯父のことである。
 その事にショックを受けた神治は、思わず双子に視線を向けたが、二人は別にそれを気にした様子はない。
 当然の事なのだろう。
 家族であろうが他人であろうが、恋愛感情など関係なく自由にセックスをし、妊娠させても構わない社会。
 それがこの緋道村の現実なのだ。
「つまり、妊娠を気にしないでセックスしていいって事か……」
「まあ、そうだな……って、何で妊娠を気にするのか分からねぇけど、外ではそうなんだよな……うひゃぁ、外ってのは大変なんだなぁ……」
 浮気をして子供を作ってしまったら大問題になる外での常識は、浮気という発想自体がないこの村にとっては非常に奇妙なことなのだろう。
「だから、神ちゃんも気にしないでバンバン中に出していいんだぜ……ここは緋道村なんだからな、妊娠させたって誰も文句言わないし、それに神ちゃんの子供かどうかだって分からないんだから文句の言いようもないしな」
 ガハハっと哲矢は笑った。
 近親相姦の慣習を歪んだものと思っていた神治にとって、村全体がセックスに寛容というか、放任状態である事を知った今、家族との間でしか子供を作れない当主家の方がまともに思えてくるのは奇妙なことだった。
「これから神ちゃんは大変だぞぉ……村中の女からしたいと思われるだろうからなぁ……」
「え? 何で……?」
 自分がそんなにモテるとは思えない。
「だって未迦知さまをお救いしたヒーローなんだぜ……それだけスゲェ力を持ってるんだから、そんな男のチンポはどんな具合か試したくなるのが女心ってもんだろうよ」
 そういうものなのだろうか。
 だが級友たちの様子から見て、自分とセックスまでしようとする女性がいるとはとても思えなかった。
 神治はその事を告げてみた。
「え? ああ、あいつらね……違う違う、俺が言ってるのは当主としてのことさ……つまり、友人の付き合いは畏れ多いけど、女として抱かれたいって思うヤツは多いってこと……何なら明日にでも声かけてみなよ『セックスしよう』って……みんな喜んで抱かれると思うぜ」
 呆気に取られて哲矢の顔を見つめてしまう。
 まるで遊びと同じようにセックスを捉えている事に頭が痛くなる。
 だがそれがこの村の現実なのだろう。
(俺は当主なんだからな……慣れないと……)
 伯母からは少しもこのようなことは聞かされていなかった。
 故意なのか、当たり前すぎて忘れていたのか。
 どちらにせよ、こういった事は当主になる決定を下す前に知っておきたかった。
「じゃ、まあ取り合えずそんな感じで、大体分かってもらえたかな?」
「あ、ああ……要するに、セックスを気軽に出来るってことだろ?」
「そう、その通り……堅っ苦しいことを考えないで、いい女を見かけたらすりゃいいのさ……あ、もちろん無理やりはマズイけどな……」
 さすがに強姦は許されていないらしい。
 神治は何やらホッとする思いだった。
「でもその代わり、合意した相手となら好きなだけしていいんだぜ……さっちゃんよっちゃんとも良かったらこれからもしてやってくれよ」
『哲ちゃん……そんな……私たちは……』
 双子が同時に哲矢を止める。
「神ちゃんとしたいんだろ?……別に誤魔化すことねぇよ……」
『だ、だけど……神ちゃんは当主で……』
「当主だからって、別に家族以外しちゃいけないって事はねぇだろうがよ……お前たちくらい仲良かったら、それこそ家族みたいにしてもらったっておかしかねぇんだ……亜樹子さまだって許してくれるさ……」
 哲矢たちが言い争っているのを見ながら、やはり神治はこの村の慣習が奇妙に思えて仕方が無かった。
 本来、家族以外とする方が当然であるのに、この村、というか当主家においてはまったくの逆なのだから。
「やっぱり当主が家族以外とするのって、あまり良くないことなのか……?」
 そこら辺の道徳が神治には良く分からなかった。
「う〜〜ん、要はちゃんと満足させりゃいいんだと思うぜ……外でしまくって、家で出来なきゃそりゃ怒るだろうよ……さっきも言ったけど、当主家の女の人は家族以外とできないんだからな……まあ、神ちゃんの精力次第ってところか……で、実際のところ神ちゃんどうなんだ? 後二、三回しても大丈夫か……?」
「え?……あ、まあ、別に……」
 神治はあやふやに答えた。
 実は二、三回どころか、二、三百回しても平気そうなのだ。
 穂智過と一体化して以来、精力と体力が信じられないほど増え、いつまでもできる体になっていたのである。
 当主のお披露目があった日の夜、いつものように伯母たちを抱いていったのだが、それまでは最後の舞美を抱く頃にはヘロヘロ状態だったのが、まるで一番最初に相手をしているかのように元気が溢れていたのだ。
 あまりの事に驚いていると、未迦知神に当然のことだと笑われ、それだけの体力と精力を得たのだと告げられた。
 神治にとって、それが唯一、自分が人間で無くなったのだと実感した部分だった。
 何しろ他にはこれといって変化がないのだから仕方が無い。
(あ、そう言えば、さっきのワザは普通の人間じゃ無理だよな……)
「気」を使い、まるで肉棒があるかのように相手に感じさせ、自分も快感を得ることのできるワザ。
「気」を使うと言っていたが、この間見せられた未迦知神の「気」の凄さを考えれば、まだまだお遊び程度なのだろう。
「何だか適当だなぁ……大丈夫なのかよ……?」
 哲矢が不安そうな声を上げる。
「ああ、大丈夫さ……二人が満足するまでしても平気だよ……」
「って、おい、分かってるのか? この二人、スゲェんだぞ……俺、いつもヘロヘロにさせられて、初音姉ちゃんに怒られるんだから……」
『哲ちゃんっ! 何言ってるのよっ!』
 双子が顔を真っ赤にしながら叫んでいる。
 いくらセックスにオープンであっても、そういった部分はやはり恥ずかしいらしい。
「大丈夫だよ……俺、死ぬほど精力あるから……」
「うわっ……それってもしかして未迦知さまの力か? それとも元々そうなのか?」
「う〜〜ん、どうなんだろ?……前から一応結構回数はできたんだよね……」
「そうなのか……ま、その上未迦知さまの力が加わったのなら鬼に金棒ってことだな……じゃ、好きなだけしてもらえよ、さっちゃんよっちゃん」
『もうっ、哲ちゃん……』
 双子は恥ずかしそうに顔を背けた。
 全く同時に左右反対に顔が向いているのが面白い。
「じゃあ、今度は俺も加わらせてくれよ。さっちゃんとするから、神ちゃんはよっちゃんとしてくれ。そんでまた交代するってことで……」
「あ、うん……」
 神治はその言葉に妙な興奮を感じていた。
 他人に見られながらするのには慣れていたが、他人と一緒にするのは初めてだったからだ。
「へっへぇ……実はもうしたくてたまらなかったんだよな……二人とも神ちゃんとするの初めてだからか知らんけど、すっげぇ興奮してたから……いつもより喘ぎ声がデカイデカイ……」
『哲ちゃんっ!』
「なんだよぉ……いいだろ別に……それだけお前らがいい女ってことなんだからさ……」
 哲矢は不満そうに言いながらズボンとパンツを脱ぎ、スカートをめくって紗智子の脚の間に腰を入れている。
「そういう問題じゃないのっ……まったくデリカシーがない、あっ、あんっ……ちょっと、まだ駄目よ……言いたい事が、あっ、あっ、ああんっ……哲ちゃ、あぅっ……馬鹿、やんっ……」
 文句を言いつつ感じている紗智子の姿に神治は苦笑しながら、自分は何もしていないにも関わらず、甘い喘ぎ声が聞こえてくる事に、いつもと違う興奮を感じていた。
「神ちゃん……私たちもしよ……」
 夜詩子がとろんとした目つきをしながら首に両腕を回して抱きついてくる。
 胸に当たる乳房の感触がたまらない。
「う、うん……じゃあ、入れるよ……」
 夜詩子の体を倒しながら、スカートを捲くって肉棒を膣穴に近づける。
「哲ちゃん、あっ……哲ちゃん、ああっ……哲ちゃぁんっ……もっと、ああっ、もっとよぉっ……もっと激しくしてぇっ……」
 紗智子の激しい喘ぎ声が肉欲を高める。
 まるで雄の本能に「負けるな」と訴えられているかのように肉棒がビクンビクンと蠢く。
 一気に肉棒を押し込み、すぐさま高速で動かし出す。
「あぅっ、ああっ、神ちゃぁんっ……あんっ、あんっ、ああんっ……いきなり凄、あっ……凄いよぉっ……神ちゃ、やんっ……激し、あぅっ……激しすぎぃっ……」
 その強烈な突き込みに夜詩子が悶え狂っている。
「お、神ちゃんスゲェな……俺も負けてらんね……」
 哲矢が夜詩子の声に驚きながら、自らも腰の動きを激しくしていった。
「ああんっ、ああんっ、哲ちゃん、やぁっ……凄い、あふっ……いつもより凄いよぉっ……こんな、あんっ……こんなのぉっ……」
 紗智子がブンブンと頭を振り、バサバサと髪の毛を乱している。
 それを見た途端、神治の中で嫉妬とも悔しさとも思える複雑な対抗心が湧き起こり、腰の動きに力が入った。
「あぅっ、あぅっ、あっ、あっ、神ちゃ、ああんっ……神ちゃん、やんっ……凄、ああぅっ……凄いよぉ、やっ、はぅっ、ああっ……」
 夜詩子が背中に手を回し、ギュッと爪を立ててくる。
 痛みを感じつつも、そこまで悶えさせている事に誇らしさを感じる。
「うおぉっ……神ちゃんやるなっ……これならどうだっ……」
 ガンガンと哲矢が強く突き込む。
「あぅんっ、はぅんっ、やぁんっ……はぁっ、あぁっ、いやぁんっ……」
 ガクンガクンと紗智子が体を激しく仰け反らせる。
「俺だってぇっ……負けるかぁっ……」
 神治も負けじとズンズン突き込む。
「はぁぅっ、あぁぅっ、ひゃぁんっ……あんっ、あんっ、あああんっ……」
 夜詩子は髪を振り乱しながら頭を振り、シーツをギュッと掴んでいる。
 神治と哲矢は顔を見合わせ、お互いの行為を認めるようにニヤリと笑いながら、ますます腰を激しく動かしていった。
「あっ、あっ、ああんっ……やっ、はぅっ、やぁんっ……」
「あんっ、あんっ、ひゃぁんっ……ああっ、はんっ、いやぁんっ……」
 双子の甘い声が部屋に響く。
 同じ声が時間差で聞こえるそのサラウンドな喘ぎ声には、普段感じているのとは違う妙な興奮があり、肉棒が激しく猛った。
 さらに哲矢と二人で双子を抱き、腰を振り合っていると、何やら友情が深まっていくような気がして神治は楽しくなった。
「神ちゃんっ……俺っ……もうイきそうだっ……一緒にイこうぜっ……さっちゃんよっちゃんはどうだっ……?」
『ああっ、あっ、私はいいよっ……はぁんっ……』
 双子が同時に答える。
「俺もOKだっ……哲ちゃんイってくれっ……それに合わせるっ……」
「おおっ……じゃあラストスパートだっ……そりゃっ……」
 哲矢が激しく腰を動かし始め、神治も負けじと速度を上げる。
『ああっ、ああっ、ああんっ……もう駄目、やんっ……イくの、はぅっ……私もうイくのぉっ……あんっ、あんっ、やぁんっ……』
 哲矢との動きが同じになったためか、双子が全く一緒の声を上げている。
 神治の射精感も高まり、今にも精を放ちたくなってくる。
(まだだ……哲ちゃんが出すまで……もうちょっと……)
 そう意識すると、切迫感が少し治まってくる。
 これも穂智過と一体になってから可能になった事だった。
 我慢しようと思えばいくらでも射精せずに続けられ、出そうと思えば、それこそ童貞の初体験のように入れた瞬間に出すことができたのだ。
 どうやら己の射精を好きなように調整できるみたいなのである。
『はぁんっ、はっ、ひゃぁんっ……やんっ、やんっ、いやぁんっ……あっ、あっ、ああああっ……もう駄目、はぅっ……イくよっ、イくのっ、イくぅっ……やぁあああああっ……!』
「さっちゃぁんっ……!」
「よっちゃぁんっ……!」
 双子の同時の絶頂に合わせて神治も一緒に精を放った。
 ドクドクドクと激しい勢いで夜詩子の中に精液が注がれていく。
 神治はガクガクと体を前後に揺すりながらたまらない快感に浸った。
 快楽にぼやける目で隣を見ると、哲矢も同じように体を震わせているのが何か楽しかった。
 ビクビクと最後の放出を終えると、そのまま夜詩子の体の上に倒れこむ。
 哲矢も紗智子の体の上で荒い息を吐いている。
 四人の呼吸が部屋に響き、神治は三人との友情を感じて嬉しくなった。
(なるほど……友達になるとセックスするってのはいいのかも……何か凄く楽しいや……)
 緋道村では友人間で気軽に肉体関係を持つ。
 それは思ったより友情を深めるのに向いていると思えた。
 女の子相手はもちろんだが、男の友達と一緒にセックスをする事により、何かスポーツをしている時に感じる共感のようなものを得られたのだ。
 しかもセックスは本能の中でも最も重要な部分に属しているためか、今感じた共感はスポーツをしている時よりも強烈に思えた。
「ははっ……神ちゃんとすると楽しいなぁ……な、これからもヤろうぜっ……学校帰りにさ……いいだろっ?」
 哲矢が笑いながら誘ってくる。
「え? そりゃあいいけど……さっちゃんよっちゃんはいいのかい?」
『神ちゃんがしたいなら……私たちは構わないよ……』
「おいおい、素直に嬉しいって言えよ……お前ら神ちゃんのこと好きなんだろ?」
『哲っちゃんっ……!』
 哲矢の言葉に双子が大声を上げた。
「今さら隠したってしょうがねぇだろ……いいじゃんか、愛人ってことでよ……神ちゃんはいくらでもできるんだろ?」
「う、うん……まあ、一応……」
「ほらほら、問題ねぇよ……これから毎日しようぜぇ……とりゃぁっ……」
 哲矢は楽しそうに飛び起きた。
「じゃ、今度は神ちゃんはさっちゃんとな……俺はよっちゃんとするから……と、その前に服脱ごうぜ服……裸でやった方が気持ちいいからな……」
 哲矢の言葉に皆服を脱ぎ始める。
「うわぁ……」
 目の前にある二つの女体に、神治は驚嘆の声を上げた。
 裸になった双子の体は、全くと言っていいほど同じだったからである。
 顔が同じなのはよく知っていたが、裸になってもここまで違う所がないのは凄い事だった。
『やだぁ……神ちゃん恥ずかしいよ……』
 興奮のあまりジロジロと見ていたらしく、二人が顔を赤くしながら体を両腕で抱くようにしている。
「なに今更言ってるんだよ……もう色々な所見られちゃってるくせに……」
「でも、改めて見られると恥ずかしいんだもんっ……」
「そうそう……哲ちゃんに見られるのは慣れちゃったけど、神ちゃんには初めてだしぃ……」
 双子の視線が集中し、その芸術的とも言える同じ裸体に何やら奇妙な興奮を感じた神治は、肉棒がギンギンに硬くなっていくのを感じた。
『あ……凄い……』
 途端、二人の顔が肉欲に染まり、物欲しそうに視線が肉棒を捉えている。
「ああ……何か羨ましいなぁ……俺にもそういった初々しい態度をしてくれませんかねぇ……」
 哲矢が寂しそうに呟く。
「哲ちゃんには昔してあげたでしょ……それこそ今更なによ……」
「そうそう……まったく我儘なんだから……」
「うっ……」
 双子にやり込められ、哲矢は押し黙った。
「じゃ、じゃあ……そろそろしよう……」
 雰囲気を変えようと、神治は明るく呼びかけた。
「あ、ああ……そうだな……そうしようっ……じゃ、バックでしようぜっ……並んで二人を犯すんだっ」
『犯すってなによぉ……』
 元気良く叫んだ哲矢の言葉に、双子が不満の声を上げる。
「いや、別に変な意味はねぇんだよ……後ろからすると何か犯してるような感じがしてさ……しかもお前らを並べてヤると余計そんな風に思えるんだよなぁ……」
『いやねぇ……』
 二人は顔を見合わせて苦笑している。
「でも興奮するだろ?」
『そう言えばそうかも……』
 双子はクスクスと笑った。
「じゃ、そういう事で……ほら神ちゃん、さっちゃんとこっちに来なよ」
「あ、うん……」
 紗智子が四つんばいになり、夜詩子の隣に並ぶ。
「よしっ……おおっ、何か面白いなぁ……これから競争でもするみたいだ……って、さっきはそんな感じだったしなぁ……そうだっ……どっちが先にイかせられるか競争しようぜっ」
『え〜〜?』
 双子がまた不満そうな声を上げた。
「なんだよぉ……いいだろぉ……お前らは気持ち良くなるんだからさぁ……」
『だってぇ……せっかく神ちゃんがしてくれるのに……そんな遊びみたいの……』
「だから……これから毎日できるんだってば……別にいいだろ?」
『でもぉ……最初の日なのにぃ……』
「駄目かぁ?……頼むよぉ……俺ヤりたいんだよぉ……」
 神治は双子に反対されている哲矢が可哀想になってきた。
「さっちゃんよっちゃん、後で二人が満足するまで相手するからさ……取り合えず哲ちゃんのしたいようにさせてあげようよ……」
『神ちゃんが言うなら……』
 二人はニッコリと微笑んですぐに了解した。
「何だよ、その差は……」
 哲矢は不満そうに口を尖らせている。
『日頃の行いの差……』
「日頃って……神ちゃんは久しぶりに会ってから全然経ってないじゃねぇか……」
『だから神ちゃんはいいの……哲ちゃんは普段の態度が悪いから駄目ぇ……』
 双子は楽しそうに笑った。
「ちぇ……しょうがねぇなぁ……でもヤらせてくれるって事で良しとしよう……じゃ、神ちゃんいくぜ、準備はいいか?」
「ああ……先にさっちゃんをイかせればいいんだろ?」
「そうだ、負けねぇからな……よ〜〜い、どんっ」
 哲矢の合図と共に、二本の肉棒が二つの膣に収まった。
『あぅんっ……』
 双子の体が仰け反り、まるで楽器のように甘い喘ぎ声が発せられる。
「ああっ、ああっ、はぁんっ……やっ、やっ、いやぁんっ……」
「はぅっ、はぁっ、ああんっ……あっ、あっ、ひゃぁんっ……」
 神治と哲矢の激しい腰づかいに、二人は微妙にズレながらもほとんど同時に声を発している。
 見分けのつかない後頭部と背中が同じように揺れ動く。
「はぁんっ、はっ、はぁっ……哲ちゃん、やぁっ……そ、そんなのぉっ……はぅっ、あっ、ひゃぁんっ……」
 夜詩子の頭が仰け反り、ガクリと腕を崩して上半身で体を支える姿勢になった。
 高く突き出された尻がいやらしい。
(負けてらんないなっ……それっ……)
 神治はズンズンと思いっきり突き込む。
「ああんっ、ああんっ、いやぁんっ……神ちゃ、やっ、はぅんっ……駄目、あっ、駄目ぇっ……ひゃぁんっ……」
 紗智子も腕を崩して同じような姿勢になる。
 それを見た哲矢がさらに腰の動きを強くした。
「はぁぅっ、はっ、ああんっ……ああっ、哲ちゃん、あんっ……哲ちゃんいいよぉっ……やっ、やんっ……哲ちゃん大好きぃっ……」
 夜詩子がギュッとシーツを掴み、涙を流して悶えている。
 先ほどのぞんざいな扱いが嘘のように、哲矢に対する好意の言葉を口にしている事に苦笑する。
(このままじゃ負けちゃうぞ……もっと……もっと激しくしないと……)
 そう思った瞬間、神治の体に何かが走りぬけ、肉棒がビクンビクンと激しく蠢き、腰が驚くほどのスピードで動きだした。
「あっ、あっ、あっ……あんっ、あんっ、あんっ……駄目っ、そんなっ、凄いっ……はぅっ、はぅっ、はぅっ……神ちゃ、いやんっ、やっ、ああっ……」
 紗智子が混乱しているように頭を激しく左右に振って悶えている。
(な、なんだこりゃ……?)
 神治は自分の体の変化に驚いていた。
 今まで以上に膣を擦る感触がキツクなり、見ないまでも肉棒が大きくなっているのが分かる。
(お主がより激しさを求めたからじゃ……)
 未迦知神の呟く声が聞こえる。
(ど、どういう事ですか……?)
(このオナゴを先にイかせようと無意識に力を使ったのじゃな……いやはや教えてもおらんのに……まったく大したものというか……それだけ好き者というべきか……)
 未迦知神は苦笑している。
(力って……これって神の力なんですか……?)
(まあそうじゃな……「気」を肉体に作用させ、一物の太さと硬さを高めておる……それからついでに、腰の動きも「気」で補助しておるな……)
(それって……ズルじゃないですか……)
 哲矢はそんな力を使っていないのだから、勝負している以上良くない行為だろう。
(一概には言えんな……この力は修行次第で人間にも可能でな……昔教えたからの、皆学んでおるはずじゃぞ……もし使えなければコヤツの修行不足ということになる……)
 それでも修行もせずに使っているのでは、イカサマをしているようで心苦しい。
(まあ、そう気にするな……これもお主の才能じゃからな……教えてもおらんのに使っておるのじゃし……)
(でも……)
(では聞くがな……産まれつき運動能力が高いことがイカサマとなるのか?……記憶力が高い者はどうじゃ……?)
(そ、それは……)
 確かにそう言われればあらゆる事に元々能力差はある。
(お主はそれが性的な能力であるだけじゃ……気にする必要はあるまい……)
(そうですね……)
 しかし頭で納得できても、罪悪感のような思いを解消するには至らなかった。
(お主が相手にしておるのはオナゴの方であろ……この娘が喜べばそれで良いではないか……)
 未迦知神の言葉に、神治は目の覚める思いだった。
 哲矢には申し訳ないが、紗智子がより感じてくれるのが一番大事なことだ。
(分かりました……俺、さっちゃんをもっと感じさせます……)
 吹っ切れた神治は、さらに腰の動きを早めた。
「ああんっ、あああんっ、ひゃぁんっ……神ちゃん、ああっ……神ちゃん凄いよぉっ……こ、こんなの、あやぁんっ……やっ、やぁっ、はぁんっ……」
 巨大化した肉棒に凄まじい早さで突きまくられ、紗智子は何度も何度も頭を跳ね上げ、強く掴んだシーツを手元まで引き寄せている。
「あっ、あっ、あっ……ああっ、ああっ、ああああっ……神ちゃ、はぅっ……こんな、やんっ……こんなのぉっ……やっ、やぁっ、いやぁんっ……はぅっ、はぅっ、はぁっ……ああっ、あんっ、あんっ……あああああっ……」
 紗智子はまるで電流を流されているかのようにビクンビクンと激しく体を震わせている。
「すげ……さっちゃんがあんなになってる……」
「ホント……紗智子がおかしくなってる……」
 横を見ると、哲矢と夜詩子が呆気に取られたような顔をしている。
 腰の動きも止まったままだ。
 だが二人が驚くのも無理はなかった。
 紗智子の悶え方はすでに尋常ではなかったからである。
「あっ、あっ、ああっ……はやぁっ、あはぁっ、ひゃぁんっ……あんっ、あんっ、あああんっ………神ちゃ、ああんっ……もっと、もっと、もっとぉっ……神ちゃんの、あんっ……神ちゃんのオチンチン、やぁっ……もっと頂戴ぃっ……」
 振り返って見つめてくる紗智子の表情に神治は衝撃を受けた。
 目は何も見ていないように虚ろで、口からは涎を垂らし、顔全体が快楽に染まっているかのようにだらしなく緩んでいる。
 そのまるで意識を淫猥なものに支配されてしまったかのような姿は、もはや中学生とはとても思えない肉欲に染まったいやらしい雰囲気をかもし出していた。
(ほぅ……ビエキか……お主は本当に面白いのぉ……)
 未迦知神の感心したような呟きが聞こえる。
(び、ビエキ?……何ですかそれ……?)
(媚薬は知っておるであろ?……オナゴの体を肉欲に興奮させる薬じゃが……お主はそれを今、この娘に注いでおる……)
(な、な……何で……?)
(お主の体からは媚液、つまり媚薬の成分を含んだ体液が出ておるのじゃ……それをこの娘は膣に入れられておるのじゃからな……たまらんじゃろう……)
(そんなモノがどうして俺の体から……)
(またまたそれはお主の才能というべきか……教えてもおらんのに出しておるのじゃよ……)
 未迦知神は呆れたように苦笑している。
(おおかた、先ほどもっと感じさせようと張り切った際にでも無意識に使ったのじゃな……確かに媚液を注がれれば大抵の女は強烈な快楽に取り込まれるじゃろうからなぁ……いやはや、凄いというか何というか……)
「あひゃっ、ひゃぅっ、あやぁんっ……はぅっ、はぅっ、ひゃぁんっ……あぅっ、ああっ、あああんっ……神ちゃ、ああっ……神ちゃ、あやぁんっ……神ちゃぁんっ……」
 未迦知神と会話している間も、紗智子は上半身を激しく揺り動かし、狂ったように頭を振っていた。
 すでに哲矢と夜詩子はこちらを見るのに夢中で行為を止めてしまっている。
(あの……大丈夫なんですか?……こんなになっちゃって……)
 心配になって腰の動きを緩める。
「ああっ、神ちゃん止めちゃやぁっ……あっ、あっ、ああんっ……止めないで、はぁんっ……あんっ、あんっ、あやぁあんっ……もっと強く、もっと激しくぅっ……あぅっ、あぅっ、はぁんっ……紗智子を突いてぇっ……」
 自らも高速で腰を動かしながら、いやらしい表情でおねだりしてくる。
 それを見ているだけで肉棒がグンっと力を増し、腰の動きに力が入った。
(別に平気じゃろ。気持ちいいだけじゃ……ま、要するに男が欲しくてたまらない状態になっておるだけじゃよ……欲求不満の凄まじいヤツじゃな……それよりもっとしてやらんか……今この娘は最高の快楽の中におるのじゃからな……)
(は、はい……)
 確かに快感の絶頂でそれを止められてはおかしくなってしまうだろう。
 神治は慌てて腰の動きを早くした。
「はぐっ、はぁっ、ああんっ……そう、そう、そうだよぉっ……神ちゃんもっとぉっ……もっとしてぇっ……」
 紗智子が嬉しそうに微笑む。
 だがその微笑も、快楽のせいかまるで娼婦のように男を誘ういやらしさに溢れていた。
 神治はゴクリと唾を飲み、さらに腰の動きを激しくしていった。
(何やら羨ましいのぉ……媚液なんぞ久しぶりじゃからなぁ……よし、儂も参加するかの……)
 物欲しそうに紗智子の体を出入りする肉棒を眺めながら、未迦知神がとんでもない事を言ってきた。
(そ、それは止めて下さい……みんながビックリしちゃうじゃないですか……)
(ビックリする程度なら良いではないか……お主の作った媚液がどれほどのものか、ちと試してみたいのよ……どの程度男が欲しくなるのかをな……)
(あとで……今夜やりますから……取りあえずここでは我慢して下さいっ)
(そうは言ってもな……お主がまた媚液を出せるかは分からんし……)
(出しますっ……根性で出しますからっ……)
 確かに無意識に行なった事をまた出来るとは思えなかった。
 だがこの場に未迦知神が現れるのを防ぐためなら嘘も方便だ。
(仕方ないか……よし、今夜を楽しみにしておるぞ……)
 どうやら諦めてくれたようなので、ホッと息を吐き出す。
(でもそうか……このままだとよっちゃんにはこんなに気持ち良くさせてあげられないんだな……)
 自分の意思で出せない以上、少なくとも今日は夜詩子に媚液による快感を味あわせる事ができない。
 神治はそれを申し訳なく思った。
「って、あれ? 何だ?……チンポが気持ちいい……」
「変……何か変だよ……私の体……何か熱くて……」
 隣で哲矢と夜詩子が奇妙な声を上げている。
「うぉっ、よっちゃんのが……よっちゃんのが俺のを吸い込んで、ああっ……こりゃたまらんっ……」
「ああんっ、哲ちゃんっ……哲ちゃん早く突いてぇっ……哲ちゃんのオチンチンが欲しいよぉっ……」
 夜詩子が顔をだらしなく緩ませ、哲矢におねだりしている。
 その様子はまるで紗智子の雰囲気そのままだった。
「よ、よしっ……いくぞよっちゃんっ……」
「うんっ……早くぅっ、早くぅっ、ああんっ……あ、いいよぉっ……哲ちゃん最高っ……あっ、あっ、はぁんっ……」
 腰が動きだすと、たまらないように夜詩子が悶える。
「ふぁっ、スゲェっ……こんなの初めてだっ……よっちゃんの体が、ああっ……最高に気持ちいいっ……」
 哲矢も顔を緩ませ快感に浸りながら、腰だけは激しく動かしている。
(おお、またやりおったな……何とも凄いのぉ……)
(な、何がですか?)
(今度は媚液を気化させ、それをあちらのオナゴに吸わせたのよ……)
(気化って……)
(どうせ律儀なお主のことじゃ……片方だけでは悪いと思ったのであろ?……で、媚液の効果をあの娘にもしてやりたいと願った結果、直接は無理じゃから気体に変えて吸わせる方法をとったのじゃよ……)
(そんな……俺は……)
(まあ、無意識にしとるんじゃろうが……何とも凄いことじゃ……)
 自覚がないにも関わらず、勝手に望み通りの事をしている自分の体に驚く。
「ああんっ、ああんっ、やぁんっ……あっ、あっ、ああんっ……」
「やぅっ、やぅっ、ひゃぁんっ……はぅっ、はぅっ、やぁんっ……」
 双子はたまらないように頭を振っており、そのあまりの凄まじい乱れ具合に、神治は射精感が高まっていくのを感じた。
 自ら射精をコントロールできるとはいえ、意識しなければこれまで通り快感によって変化するため、二人の悶えはたまらない刺激となっていたのだ。
 神治は最後とばかりに腰を激しく動かしていった。
「はぁぅっ、はぁっ、ひゃぁぅっ……あんっ、あんっ、いやぁんっ……もう駄目、ああっ……もう駄目だよぉ、ああんっ……イっちゃうっ、イっちゃうっ、イっちゃうのぉっ……ひゃぁっ、はふぅっ、あやぁんっ……あっ、あっ、はぁんっ……神ちゃぁんっ……!」
「さっちゃぁんっ……!」
 紗智子の絶頂に合わせて精を放つ。
 ドクドクドクと流れ込む精液を感じながら、隣に意識を向けると、どうやら夜詩子も終わりが近いようだった。
「ああぅっ、あっ、やんっ……哲ちゃん、あんっ……哲ちゃぁんっ……もう、はぅっ……もう駄目、あんっ……もう駄目なんだよぉっ……はぅっ、あぅっ、ひゃぁんっ……イくの、ああっ……イくのぉ、やぁんっ……イっちゃうんだよぉっ……あああああああっ……!」
「よっちゃんっ、よっちゃんっ、よっちゃぁんっ……!」
 二人の叫びが部屋に響き、どうやら射精したらしい哲矢がガクガクと体を揺らしている。
 その様子を見ながら放出を終えた神治は、肉棒を抜いてその場にしゃがみこんだ。
「ぐっ……ぐぐっ……うぅっ……」
 うめき声が聞こえ、しばらくすると勢い良く哲矢が隣に座り込んできた。
「はぁ……はぁ……ああ……何か凄かったなぁ……急によっちゃんの中が気持ち良くなって……どうしたんだろ……?」
 満足げな顔をしながら夜詩子を見つめている。
「気持ち良くなったって……どんな風に?」
「こう、絡み付いてくるっていうか……いやそれはいつもなんだけど、その動きが凄く早いっていうか、吸い込まれるっていうか……」
 本当に気持ちが良かったのだろう、哲矢は快楽に緩んだ顔で夜詩子の体を眺めている。
(媚液の効果じゃな……なるほど女体に作用して、そこに入れておる男も気持ち良くさせるという訳か……)
 未迦知神が感心したように呟いている。
「神ちゃぁん……次はわぁたぁしぃ……私としよぉ……」
 夜詩子が起き上がってしなだれかかってくる。
「駄目よぉ……次もわたしぃ……」
 慌てて紗智子が抱きついてくる。
 二人の同じ顔をした美少女に挟まれ、生の肌にその柔らかな肉体の感触を感じ、肉棒が大きくなっていく。
「うふん……神ちゃんの、元気だよぉ……紗智子ぉ、今度は私の番なんだからいいよねぇ……?」
「ああん……私がまたしたいのにぃ……う〜〜ん、しょうがないから哲ちゃんで我慢するぅ……」
「我慢ってなんだよ……って、おいこらっ……」
 文句を言う哲矢を押し倒し、紗智子は肉棒を己の体に入れようとしている。
「あ、紗智子素早いなぁ……神ちゃんもほら、横になってぇ……」
 夜詩子に押され、神治も横たわった。
「ね、夜詩子……今度は私たちが競争しようよ……どっちが先にイかせられるか勝負するの……」
「あ、いいねそれ……やろうやろう……じゃ、いい? 用意、ドンっ」
 合図と共に双子は二つの肉棒をその体に収めた。
『あ、ああんっ……』
 まったく同じ声が同時に聞こえる。
『ああっ、ああっ、ああんっ……やんっ、やんっ、やぁんっ……』
 主導権を握ったため同じ動きになるせいか、双子は同時に腰を振り、同時に声を発している。
「なんかスゲェなぁ……うっ……いつもはこんな事しないのに……うぅっ……さっきっからまるで欲求不満になってるみたいだ……おおぅっ、気持ちいいっ……」
 哲矢が隣で快感の声を上げながら目を丸くしている。
「あ……それ、何か俺のせいらしいんだよ……」
「え? もしかして……また未迦知さまの力とか……?」
「う、うん……そんな感じかな……媚薬が俺の体から出てるみたいで……二人はそれでおかしくなってるんだよ……」
「媚薬ぅ?……スゲェな神ちゃんの体……女相手には無敵というか何というか……羨ましいなぁ……」
 冗談ではなく、本気で羨んでいるらしい哲矢の顔に、神治は複雑な思いになるのだった。


『あ……あ……ああ……』
 双子の小さな喘ぎが聞こえる。
 その目はぼんやりとして何も見ていないようだ。
 口もだらしなく開かれ涎が垂れていた。
『あ……あ……あ……』
 肉棒を押し込むたびに甘い声は漏れるものの、それはすでに弱々しく力の無いものとなっていた。
 体はピクリと反応を示すが、全く動いていないように見える。
 神治は夜詩子の膣から肉棒を抜くと、紗智子の中に押し込んだ。
『ああ……あ……ああ……』
 同時に双子が少し大きめの声を上げた。
 反応が薄くなっていても、やはり押し込む瞬間には快感が増すのだろう。
 神治はそれを面白く思いながら腰を動かしていった。
『あ……あ……あ……』
 再び静かな二人の喘ぎが発せられる。
 それはまるで穏やかな寝息のようにも聞こえた。
 双子の隣では、哲矢が疲れたように横たわっている。
 少し前に「俺はもういいやぁ……後は神ちゃん頼む……」と言って眠ってしまったのだ。
 神治も哲矢が止めたのだから今日はこれまでにしようと双子に言いかけたのだが、甘ったるい表情をしながら、まるで餓死寸前の者が食べ物を求めているかのような迫力をもって二人が襲い掛かってきたため、止める事ができなかったのである。
 自分が与えてしまった媚薬のせいとはいえ、少し辟易しながもその魅力的な肉体に神治はのめり込んでいった。
「気」を使う事で二人を同時に相手にしながら何度も精を放っていくうちに、だんだんと双子の方が疲れた様子を見せたのだが、媚薬のせいか肉棒を求めることを止めないためずっと続けていたのである。
『ああ……あ……ああああっ……』
 ビクビクっと双子が体を震わせ力を抜いた。
 それに合わせて神治も精を放つ。
 ドクドクドク……。
 何度放出しても減ることのない快感に浸りながら、これまた減ることのない量を紗智子の中に放っていく。
 精液が流れ込んでくる感触を感じているのか、双子は時折ビクッ、ビクッ、と体を小刻みに震わせている。
 しばらくして射精を終えた神治は、肉棒を抜いて二人の様子をうかがった。
 さすがに疲れ切ったのか、もう何も言ってこない。
 というより寝ているようだ。
 神治は苦笑すると、近くにあったバスタオルを双子にかけてやった。
「終わったのか……」
 哲矢がゆっくりと起き上がって声をかけてくる。
「うん……どうも媚薬が効きすぎちゃったみたいで、可哀想なことしちゃったかな……」
 自分の意思ではないとはいえ、欲求不満の状態にしてしまった責任はある。
「なに言ってるんだよ……あれだけ気持ち良さそうにしてたんだ……満足してるよ二人は……」
「そうかな……?」
「いつもは俺一人だからな……どうしても満足させるほどはできないんだよ……何せ一人でも凄いからな、こいつら……」
 いつもの行為を思い出しているのか、哲矢は苦笑している。
「これからは神ちゃんがいてくれるから安心だよ……ってかなりしちゃったけど、ホントに夜大丈夫なのか?」
「あ、うん……別に……」
 精力的にはまだまだ余裕がある。
「そうか……何かスゲェなぁ……やっぱ当主ってのは伊達じゃないんだな……当主家が血筋を大事にしてるのが分かったような気がするよ……」
 哲矢が感心したように呟く。
 だが本来の神治の精力はこれほどある訳ではない。
 全て穂智過と一体化し、神となったおかげであろう。
「本当だよぉ……」
「神ちゃん凄いのぉ……」
 双子のぼんやりとした声が聞こえた。
 ゆっくりと起き上がる二人の体が微妙にバスタオルで隠れていて色っぽい。
「何だか途中から訳分からなくなっちゃったけど……」
「すっごく気持ち良かったのだけは覚えてる……」
『神ちゃんはやっぱり私たちの王子さまだよぉ……』
 二人は神治の体にしなだれかかり、頬を擦り付けるようにして甘えてくる。
『また明日もしてね、王子さまぁ……』
 二つの可愛らしい唇が吸い付いてきて、甘い感触が口内に広がった。
「何かまだ変な感じだな……スゲェ色っぽいや……」
 哲矢が面白そうな表情をして二人を見つめている。
 とろんとした四つの瞳を見ているうちに、二人が可愛くて仕方のない感情が神治の中に湧き起こってきた。
(いいなぁ二人とも……でもこれからは毎日……毎日抱けるんだ……こんな可愛い女の子たちを……)
 家族と違って当主の義務といったような抱く理由がない分、自分の魅力だけで二人を抱いている感覚が強く、その事に神治は喜びを感じた。
(緋道村っていい村だなぁ……自由にセックスできるんだから……)
 いくら仲が良くても、普通の社会では恋人にでもならない限り幼馴染とセックスはしないだろう。
 だがこの村では、それが当たり前の事としてできるのだ。
 しかも合意に至れば、それほど仲良く無くてもできるのだから凄い事だ。
 ハーレム状態である村の現状に、雄としての本能が刺激され、もっと色々な女性としてみたいという欲求が押し寄せてくる。
(女として抱かれたいって思うヤツは多いってこと……何なら明日にでも声かけてみなよ『セックスしよう』って……みんな喜んで抱かれると思うぜ)
 先ほどの哲矢の言葉が蘇る。
(ホントに……いいのかな……?)
 クラスの中には自分好みの女の子も何人かいる。
 その子たちを抱けるのだろうか。
 少々気が大きくなっているのか、神治は普段なら考えないようなことを妄想しニヤリと笑った。
「あ、神ちゃんエッチなこと考えてるぅ〜〜」
「ホントだぁ……神ちゃんやぁらしぃ〜〜」
 双子の同じ声が両脇からステレオのように聞こえた。
「え?……そんな顔してた……?」
 慌てて顔を撫でる。
「してたな……まあ、男だし、しょうがねぇだろ」
 哲矢が面白そうに笑った。
「駄目だよぉ……今、他の女の子のこと考えてたもぉん……」
「そうそう……一緒にいる時には他の女の子のこと考えちゃやぁ……」
 双子が鋭い指摘をする。
 女の勘とは大したものだ。
「うひゃっ」
 突然二人が両耳に舌を差し込んできた。
 ゾクゾクするような快感に体を震わせて耐える。
「ね、私たちの事だけ見て……」
「今だけでいいから……」
 せつなげな表情で四つの瞳が見つめてくる。
「う、うん……今はさっちゃんよっちゃんの事だけ見るよ……」
 思わずドキドキしながら二人の顔を交互に見る。
『神ちゃん大好きぃ……』
 嬉しそうに体を寄せてくるのをますます可愛らしく思いながら、神治は二人をギュッと抱きしめた。
「じゃ、さっちゃんよっちゃんも満足したところで、今日はお開きにしますか」
 哲矢がゆっくりと立ち上がった。
『え〜〜、もう?』
 双子が不満げな声を上げる。
「『もう?』って……お前らまだしたいのかよ……」
 呆れた顔をして哲矢が呟く。
「したいっていうか……」
「もっとこうしてたいっていうか……」
 双子が体をさらに寄せてくる。
「二人がそうしていたいんなら、しばらくいいよ」
『わぁ、神ちゃん優しい』
 嬉しそうに体を擦り付けてくる。
「はぁ……何だかホントに変だなお前ら……いつもはそんなこと言わないのに……」
「それは哲ちゃんが相手だからだよぉ」
「そうそう、神ちゃんだからしたいんだもんねぇ」
 双子は顔を見合わせて頷き合っている。
「ちぇっ、どうせ俺は優しくないですよ……」
 ふて腐れたように呟く哲矢に、神治と双子は可笑しそうに笑った。
「ええぃっ、どうせなら最後にもう一発だっ、それで終わりにするぞっ、いいなっ?」
『え〜〜、まだしたいのぉ?』
 哲矢の口調を真似するように双子が笑っている。
「うるさいなっ、ただ抱いてるよりそれの方が終わりが分かりやすいだろっ? ほらっ」
 哲矢は夜詩子の体を強引に組み敷くと肉棒を押し込んでいる。
「あっ、ああんっ……もう、哲ちゃんったらぁ、何で私なのよぉ……私は神ちゃんとしたいの、あっ、あっ、やぁんっ……」
 文句を言いながらも気持ち良さそうに夜詩子が喘いでいる。
「神ちゃん、私たちもぉ……」
「うん、入れるよ、さっちゃん……」
 神治も紗智子を横たえ肉棒を押し込んだ。
「あっ、はんっ……神ちゃんいいよ、いいっ……あっ、あんっ……」
 すぐに甘い声が聞こえてくる。
「はぅっ、ああっ……哲ちゃんいいよぉっ……哲ちゃんの最高、ああっ、ああっ、いやぁんっ……」
 先ほどのぞんざいな扱いが嘘のように夜詩子が甘えた声を上げている。
 その様子を面白く思いながら見つめていると、隣で嬉しそうに微笑んでいる哲矢と目が合った。
「神ちゃんっ……そういや言ってなかったなっ……おかえりっ……おかえり神ちゃんっ……」
 腰を激しく動かしながら親指を立ててくる。
「はぁっ、あっ、ああんっ……お、おかえりなさい、やんっ……神ちゃ、あっ、あっ、ああんっ……」
「あんっ、あんっ、はぁんっ……おかえり、はんっ……なさい、やぁっ……神ちゃ、あんっ……神ちゃぁんっ……」
 紗智子と夜詩子も快感に歪んだ顔で微笑んでいる。
「う、うんっ……ただいまっ……みんなただいまっ……」
 神治は思わず目頭が熱くなった。
(さっちゃんよっちゃん、哲ちゃん……)
 三人の顔を順番に見る。
 それらの顔が記憶にある幼い頃の面影と重なった。
(ああ……俺は……みんなとセックスしてるんだ……産まれた時から知ってる……三人と……)
 目の前の少女たちは女として美しく成長し、自分ともう一人の幼馴染の体の下で気持ち良さそうに悶えている。
 自分は今、三人の幼馴染たちと一緒に性器を擦り合わせ、気持ちの良さを共有しているのだ。
(何か……幸せだなぁ……)
 四人で仲良く体を繋げている事に幼い頃の楽しい思い出が蘇り、神治は温かな思いに包まれていくのだった。












あとがき

 幼馴染です。
 ついでに双子。
 ついでに野郎も出しました(笑)
 幼馴染ってのは、家族とはまた違った感じの興奮があるんでヤりたいと思ってたんですよね。
 で、何かインパクトが欲しいと思った時に、テレビを見ていて「双子はいいなぁ」と。
 同時に喋ったり、体まで同じだったりと、普通とは違う楽しさがあったので書いてみました。
 でも実際する時には一人ずつになっちゃうので、それを解消するために神の力を使うということで。
 他の双子モノがどうなってるのか良く知りませんけど、同時にするのって普通の人間だとなかなか難しいですよねぇ。
 せいぜい口でするくらいかな?
 それから、単に女の子二人としているだけになっちゃうと双子にした意味がないので色々考えてみました。
 いかがだったでしょうか。
 あと、男の親友を出したのは趣味です。
 頼りになる友人って好きなんで。
(2004.11.27)



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