緋道の神器


        第四話  可憐な従妹



「こんなに遅くなっちゃって平気かなぁ」
 伯母の家に向かう途中、暗くなり始めた周囲を気にしながら神治(こうじ)は呟いた。
「大丈夫よ。実はね、神ちゃんが来るのは夕方って母さんたちには言ってあるの」
 横を歩く従姉の静は、そう言うと笑った。
「え? 何でそんな遅く……確か昼には着くって連絡しといたはずだけど」
 自分の記憶に間違いがあったかと思い尋ねる。
「最初から途中であの小屋に寄るつもりだったからね」
「寄るって、でも休憩だったらそんなに時間かからないでしょ」
「休憩って言ってもぉ、別の意味の休憩よぉ」
 静は色っぽい口調で囁く。
「別の意味って……」
 神治は、それがラブホテルの休憩を意味しているのだと気づいて顔を赤くした。
「ふふっ……まったく神ちゃんは、あんな凄いことするくせに純情なんだから」
 静は楽しげに笑う。
「まあ、そのつもりは無かった、というのは嘘で、実は神ちゃんが襲って来なかったら私の方から誘惑するつもりだったのよ」
「え?」
 静の言葉に驚く。
 つまり最初から自分とセックスするつもりだったという事なのか。
「やっぱり当主になるかも知れないんだし、ちょっと試してみたかったのよ。それに母さんがやたらと機嫌良かったからね。どれほどのものかと思って」
「そうなんだ……で、どうなの? 当主として俺は……」
「今更聞くの? あれだけ私を気持ち良くさせて……言ったでしょう、私はあなたのモノなのよ……この意味、分かるでしょ」
 つまり合格だという事らしい。
 しかし、昔から憧れていた静にここまで甘えた口調で囁かれると嬉しすぎてたまらない。
 さすがにあれほどしたためか肉棒は硬くならないが、ムラムラと性欲だけは湧き上がってくる。
「うふっ……どう、興奮した? またしようか?」
 静は楽しそうに聞いてくる。
「そりゃぁ興奮したけど……でももう時間ないよ。家についてからにしよう」
 静とまたできる、その事に神治の興奮は高まった。
「ふふっ……いい子ね。でも家でするのは無理よ。取り合えず今日は」
「なんで?」
「あら、忘れたの? あなたにメロメロになってるのは私だけじゃないってことを。家ではあなたのオチンチンを今か今かと待っている美女がいるんだから」
 静はニヤリと笑う。
 そう、今向かっている先は伯母の家だ。
 自分の筆おろしをしてくれた、母の姉。
 美人でスタイルが抜群の熟女である。
 思わず伯母の乱れる姿を思い出し、肉棒が硬くなってくるのを感じた。
(う、嘘だろ……)
 先ほどあれだけ静としたというのに、まだ硬くなる己の肉棒に神治は呆れた。
「どうしたの?」
「い、いや、なんでもない……」
「そう……それより、家で待ってるのは母さんだけじゃないわよ。有希ちゃんと久美ちゃんも待ってるわ」
 静の言葉に神治は二人の従妹たちを思い描いた。
 自分と同い年で、数ヶ月遅く産まれた有希。
 大人しい性格で、神治が遊んでいる後ろからいつも付いて来ていた。
 引っ越す時に泣いていたのを覚えている。
 何に対しても我慢して受け入れる有希が、あの時だけは駄々をこねて伯母たちを困らせていた。
 神治も有希との別れは悲しかった。
 いつも一緒にいたし、何より彼女は可愛く、密かに好きだったのだ。
 ただ小学生の自分は、照れくさくてそれを素直に言うことができなかった。
 どんな少女に成長しているのだろう。
 神治は楽しみが増えた気がして嬉しくなった。
 もう一人の従妹の名前は久美。
 二歳年下で、活発な男の子みたいな子だった。
 負けず嫌いで、神治と同じ事をしようとして出来ずに悔しがってよく泣いていたのを覚えている。
 妹の舞美とは違ったその性格に、もう一人妹がいるような気がして神治は可愛く思っていた。
 彼女ももう小学六年生だ。
 少しは落ち着いているだろうか。
「どう? 今度は年下よ。神ちゃん年上ばかり相手にしてきたから年下は新鮮でしょ」
 静の言葉に吹き出す。
「な、何を言ってるんだよっ」
「え? だって初めてでしょ年下とするの。いいわよぉ、まだ青い肉体で」
 静は楽しそうに笑う。
「だ、だから……どうしてそうなるの?」
 なぜ自分が従妹たちとセックスする事になるのだろうか。
「どうしてって……神ちゃん、まさか二人は抱かないつもり?」
「そりゃそうでしょ。有希ちゃんはともかく、久美ちゃんはまだ小学生だよ」
「え? でもあの子たちもう経験あるのよ。今更気にしてもしょうがないでしょ」
「え……?」
 静の言葉に足が止まる。
(経験がある……?)
 つまり、有希も久美もすでにセックスをしているという事なのか。
 あの二人がセックスをしている。
 同い年で大人しくて清楚可憐なイメージのある有希。
 年下の生意気で男の子みたいな久美。
 その二人が男の肉棒を咥え込み、悶えよがっている。
 神治は思わずその様を想像してしまう。
 しかもそれは神治の記憶にある二人でしかないため、有希は小学四年生、久美は小学二年生であり、かなり卑猥なイメージだった。
 股間の肉棒がグンッと力を増した。
「ちょっと分かってるの? うちはそういう家なんだからね。有希ちゃんも久美ちゃんも、父さんと兄さんに抱かれて二人とも処女じゃないのよ。回数だけだったら神ちゃんより上なんだから」
 何とも頭の痛くなる話だった。
 自分も母や伯母としているとはいえ、同じ事を年下の従妹たちがしていると思うとどうも調子が狂う。
「いい加減慣れなさい。あなたはそういう家の当主になるかも知れないんだから。それにどのみち誰かしらとは子供を作ってもらうんだし」
「え? でも当主にならなければ関係ないんでしょ」
「馬鹿ね、何でうちが近親相姦してると思ってるの。血を大事にしてるって母さんに聞かなかった? 当主は責任職だから押し付けはしないけど、子供を作ること自体は嫌でも協力してもらうつもりなの」
「そ、そんな……」
 確かに伯母も「自分とセックスするのは神治の義務だ」と言っていた気がする。
 セックスと子供を作る事を別の問題のように思ってしまっていたが、セックスすれば子供ができるのだ。
 これまで全て相手の体の中に精液を放ってきたのだから、もしかしたらもう妊娠させていてもおかしくない。
 母を妊娠させたら大変なことだ。
「別にいいでしょ。気持ちいいことなんだし。それとも私とセックスするのは嫌?」
「そ、そんな訳ないだろ……でも、しずねぇは俺との子供が出来てもいいの?」
「別にいいわよ。そのためにしてるようなものだし。何で中で出させたと思ってるの?」
 グゥの音も出ないとはこの事だ。
 静はちゃんと子供が出来ることを認識してセックスしていた。
 それに引き換え自分はどうだ。
 何も考えず中で出しまくってしまった。
「あら、今頃中に出した事を後悔してるの? 全く男はこれだから……ちゃんと避妊しないとねぇ」
 全くもって静の言う通りである。
 肉欲に任せて出しまくって、それで子供を作ることに抵抗を感じているのでは無責任すぎる。
「まあ、それほど深刻にならないで。神ちゃんがした相手はみんな神ちゃんとの子供が出来ても気にしないんだから。というより喜ぶわよ」
「で、でも母さんは……」
 そこまで言って、ハッと口を押さえる。
 母との事は言うべきではないからだ。
「そうねぇ、叔母さんか……」
 しかし静には聞こえてしまったようだ。
「まあ、確かに叔母さんは嫌かも知れないわね。そういうのが嫌で本家を出たわけだし……でももし男の子だったら貴重だから強引にでも産んでもらう事になっちゃうわね。気の毒だけど」
 静は神治が母とセックスした事に関しては何も言ってこない。
 まるでそれが当たり前であるかのように。
 そこまで考えて、自分が馬鹿なことを心配していたのに気が付く。
 緋道の家は近親相姦をしているのだ。
 今まで自分が相手にしてきたのが伯母や従姉だったためそれほど感じてはいなかったが、これは異常なことだ。
 もし引っ越さず本家で暮らしていたら、母だけでなく姉や妹たちとも当たり前にセックスをしていたに違いない。
 それが普通と言われて育てば疑問に思うはずがないのだから。
「そこら辺は叔母さんの運次第ってことかしら。まあ、神ちゃんもお母さんの気持ちを尊重するのなら、もうセックスはしないようにするしかないわね。辛いでしょうけど」
 何と非常識な言葉か。
 しかしまさにその通りなので、自分は異常な事態にいるのだという事を神治は改めて思った。
 従姉の静はともかく、伯母に筆おろしされ、母を抱いたのだ。
 普通ではない。
「当主になるかどうかは別として、神ちゃんこっちで暮らした方がいいかもね。できない相手と毎日顔を会わせるより、いつでもできる相手といた方がいいでしょ」
 確かに性欲を抑える方法を見つけたとしても、セックスできないというのは辛そうだ。
 一度知ってしまった女体の甘美な味を口にしないで暮らすのは耐え難いだろう。
「ね、そうしなさいよ。うちは天国よぉ。私や母さんだけじゃなく、有希ちゃんや久美ちゃんだっているんだし」
 静の言う通り、一緒に暮らせば伯母や静と毎日セックスできる。
「でも……有希ちゃんや久美ちゃんとするのはちょっと……」
 年下の従妹たちとするのにはやはり抵抗があった。
 昔から一緒に育った年下の二人と肉欲に任せてしてしまうのは、何だか酷いことをしているような気がしてしまうのだ。
「神ちゃんは本家から離れて育っちゃったからね。そういう所で引いちゃうのはしょうがないか。まあ、久美ちゃんはしない方がいいと思うし……」
「なんで?」
「あの子はね、兄さんの事が好きだったから……」
 謙吾のことを語りだした静は辛そうな表情を浮かべた。
「父さんにも抱かれなかったのよあの子。お兄ちゃんにしか抱かれないって言って」
 確かに久美は謙吾によく懐いていた気がする。
「そうなんだ……」
「だからね、するのなら有希ちゃんにしときなさい」
 そうは言われてもやはり抵抗がある。
「いいじゃないの。別に強姦しろって言ってるんじゃないんだから。どうせなら告白して恋人にでもしちゃえば? 好きなんでしょ、あの子のこと」
「え? な、なにを……」
 いきなり図星を突かれて動揺する。
「分かってるのよぉ。昔から神ちゃんは有希ちゃんのこと気にしてたもんね」
「そ、それは……」
「誤魔化さなくてもいいわよ。それにあの子も神ちゃんのことが好きなんだから問題ないでしょ」
 確かに有希は自分を好いていてくれてたと思う。
 だがもう四年経っているのだ。
 気持ちも変わっているかも知れない。
「ふふ〜〜ん、いいこと教えてあげましょうか? 神ちゃんが来るって聞いたらあの子、凄く嬉しそうにしてたのよ。大人しいあの子が興奮しちゃって、やたらとお喋りになっちゃっててね。私と母さんはもう大笑い」
 大人しい有希がお喋りな様子は神治には想像できなかった。
 だがそれは、神治と会うのをひどく楽しみにしているという事だ。
「嬉しいでしょ? 自分の来るのを嬉しそうに待ってる美少女がいるなんて。着いたらアタックあるのみよ。あの子もしばらくしてないから欲求不満に違いないわ。激しくしてあげることね」
 静の言葉に神治は目を白黒させた。 
 小学生の頃の記憶しかない神治にとって、そんな有希と激しくセックスするというのはまるで拷問しているようにしか思えない。
「まあ、有希ちゃんだけじゃなく母さんも早くしたいだろうし、本家にいる間、神ちゃん忙しいわよ。頑張って子供作ってね」
「子供か……」
 どうしてもそれには抵抗がある。
「神ちゃんには抵抗あるのかも知れないけど、子供は沢山作ってもらいたいのよ。じゃないとうちの家系は私たちで終わっちゃうんだし」
「え?」
 新しい事実を教えられ神治は驚いた。
「だって、身内でしか子供を作らないんだから、唯一の男である神ちゃんとの間に子供が出来なきゃそれまでってことでしょ。よその男との間に出来てもそれはもう緋道家の跡取りにはなれないの」
 自分が非常に大事な使命を持っている事に神治は初めて気が付いた。
「だから神ちゃんには子作りは絶対してもらうわ。母さんが取り合えず遊びに来るように言ったのも、その間に神ちゃんから子種を取れるだけ取るつもりなんだと思うし」
「子種」という言葉がやたらと現実感を持たせ、神治は自分が何やら家畜にでもなったような感覚を受けた。
「じゃ、じゃあしずねぇが俺としたいのも……子種が欲しいってこと……?」
「馬鹿ねぇ。私はそんなこと思ってないわよ」
「で、でも今……」
「今言ったのはあくまで建前。私は家のために自分を曲げてまでセックスなんかしないわよ。神ちゃんだからしたいの」
「だけど……」
 納得できない神治の様子に、静はため息をついた。
「あのねぇ。さっき言ったでしょ。私は神ちゃんにメロメロなの。だからセックスしたいの。母さんだって最初はどう思ってたにせよ、今は神ちゃんだからセックスしたいと思ってるに違いないわ」
「そう、なんだ……」
「神ちゃんはもっと自分に自信を持った方がいいわよ。あそこまで私を気持ち良くさせられる男なんていないんだから」
 静の言葉に、神治は少し自分に自信を持てるような気がした。
「あ、家が見えてきた。まあ、細かいことは気にしないで、気持ち良くセックスしましょ」
 微笑かける静の美しい顔を見つめながら、神治はどうしたらいいのかと悩むのだった。


 玄関に入ると、奥から伯母が駆け出してきた。
「神ちゃんいらっしゃい。伯母さん待ってたわよ」
 すでに欲情してるのか、顔を上気させて今にも飛び掛らんばかりの伯母の様子に、神治は少し恐怖を感じて身を引いた。
「母さん、あんまり脅かすと神ちゃん逃げちゃうわよ」
 後ろで静がクスクス笑っている。
「あ、あら……ごめんなさいね、伯母さんあんまり嬉しくて」
 神治の様子に気がついたのか、伯母は顔を赤くさせて自分を落ち着かせている。
「どうも、これからご厄介になります」
 頭を下げ、挨拶をする。
「ええ、こちらこそ。さあ、上がって」
 伯母に促され、家に上がる。
 案内されるまでもなく、以前我が家として住んでいた記憶を思い出しながら居間に向かう。
「あ、いらっしゃい……」
 居間に入ると、そこには神治と同い年くらいの少女がいて、神治の顔を見ると一瞬顔をパッと明るくし、それをすぐに抑えるようにすると小さな声で挨拶をしてきた。
 その顔には見覚えがある。
 有希だ。
 Tシャツにスカートといった格好に、美しい黒髪が腰の辺りまで伸びている。
 四年の歳月が少女を大人に近づけたのか、その顔には昔なかった女としての色気を少し漂わせていた。
(か、可愛い……)
 有希は神治の好みそのままだった。
 理想を具現化したかのように、完璧な外見だったのである。
 鼓動が激しく打つのを抑えることができない。
 ここまで有希は可愛かったのだろうか。
 四年前の自分はどうしてこのように可愛い相手に平然としていられたのか。
 確かに可愛いとは思ってはいたが、ここまで動揺するほどではなかった。
 いや、神治の見る目が変わったのかも知れない。
 思春期を向かえ、さらに伯母たちとの性体験が女に対する見方に影響を与えてないとは言えないだろう。
 神治がジッと見つめていると、有希は恥ずかしそうに顔を背けた。
 その様がたまらない。
 ムラムラと湧き上がった肉欲が、今すぐ有希を押し倒せと叫んでいる。
「神ちゃん、さ、こっちに座って」
 肉欲に支配されそうになった意識が伯母の声で振り払われた。
「あ、うん……」
 神治は有希から目を離さず腰を降ろした。
「ご飯の用意するわ。たくさん食べてね」
 伯母は楽しそうに台所へ向かい、有希もその後に付いて行った。
 思わず有希の姿を目で追ってしまう。
「どう? 可愛いでしょ?」
 突然静に声をかけられ、驚いた神治は体を震わせた。
「え? な、なにが……?」
 ひどく動揺した声で返事してしまう。
「ずいぶんご執心ね。まあ、気持ちも分かるけど。あの子まさに美少女って感じだもんねぇ。女の私でさえ可愛く思っちゃうくらい。年頃の神ちゃんが夢中になっちゃうのも分かるわ」
「え? いや、その……」
「さっきも言ったけど、あの子神ちゃんのこと好きよ。さっさと好きって言っちゃいなさい」
「う、あ、うん……」
 有希のことで頭が一杯で、何が何やら分からない。
「あ〜〜、何か母さんが気の毒だわ。こんな神ちゃんとするなんて……」
 静は面白そうに呟くと、テレビを付けてニュースを見始めた。
 一方神治は、頭の中にこびり付いた有希の姿にボーっとしていた。


 やがて食事が運ばれ始め、机の上に皿を置いていく有希の姿を見つめながら、神治は胸の鼓動を高鳴らせた。
 食事の準備が終わる頃、一人の少女が居間に入ってきた。
 小学生くらいのその少女は、短い髪の毛にTシャツ・ショートパンツといった活動的な格好をしている。
 久美だった。
「いらっしゃい……」
 彼女は神治を一瞥すると、そう一言だけ呟き座った。
「あ、うん……」
 元気一杯だった四年前の印象とあまりに違うその様子に、神治は戸惑い思わず久美を見つめてしまう。
 やはり思春期になったから大人しくなったのだろうか。
 それはそれで構わないのだが、あまりに素っ気ない態度に神治は寂しさを感じた。
 何をしていても突っかかってきて、勝てないと悔しそうに泣いていた久美を、神治は鬱陶しく思いながらも可愛く思っていたのだ。
 それが全くではないが、無視に近い形で出迎えられては悲しすぎる。
 声をかけようと思っても、久美の表情はそれを拒否していた。
 食事が始まり、嬉しそうな伯母の質問に答えつつ、目が合うと恥ずかしそうに俯く有希を可愛く思ったり、全くこちらを見ない久美を寂しく思ったりと、忙しい環境で箸を進める。
 その様子を面白そうに静が見ているのが何だか悔しかった。
「久美ちゃん、いい態度よねぇ」
 食事が終わり、昔自分の部屋だった場所へ荷物を置きに行こうとすると、静が笑いながら声をかけてきた。
「何かあったの? やっぱ思春期になったから? 反抗期とか?」
 思いつく理由を告げてみる。
「違うわ。あの子昨日までは元気だったわよ。あんな不機嫌そうじゃなくね」
「え? じゃあ……」
「理由は簡単。神ちゃんが来たからよ」
「何でさ」
 久美に嫌われる事をした覚えは無い。
「さっき言ったでしょ。あの子は兄さんにベタ惚れだったって。神ちゃんが来るってんで、絶対抱かれないという意思表示なのよ、あれは」
「う……なるほど……」
 確かにあんな不機嫌な態度をとられていては、抱く隙などないだろう。
「ま、取り合えずあの子は止めときなさい。若い子なら有希ちゃんがいるんだし。あ、それとも神ちゃんは小学生を相手にしたいのかな?」
「ばっ……何言ってるんだよっ……」
 からかう口調の静の言葉に顔を赤くしながら、神治は自分の部屋に歩いていった。


 あれから三日経った。
 神治は、昼は当主の仕事について教わったり、宿題をしたりして過ごし、夜は伯母と静とセックスをするという日々を送っていた。
 伯母たちの肉体は魅力的で、セックスを覚えたばかりの少年にとって今の生活は夢のようなものと言えた。
 ただ従妹二人とは相変わらず会話できず、寂しい思いをしていた事も確かだった。
 今朝も用事で学校に出かける有希に声をかけようとして逃げられ、友達と遊びに行くらしい久美には視線すら合わせてもらえなかった。
 久美には理由があるのだから仕方ないにしても、有希とは話がしたかった。
 昔のように仲良く話したり遊んだりしたかった。
(昔のようにか……)
 四年前にはなかった有希に対する胸の高鳴り。
 こんな自分が昔のように有希に接せられるかどうかは自信がなかった。
(そうか……有希ちゃんも一緒なんだな……)
 そこまで考えて、どうして有希が自分を避けるのかが分かった。
(恥ずかしいんだ……)
 昔から引っ込み思案で大人しかった有希にしてみれば、思春期を迎えた今、従兄とは言っても同じ年頃の男と話すなどというのは恥ずかしくて仕方ないんだろう。
 嫌われているという可能性もあるが、顔を見るたびに恥ずかしそうにする様子からそうは思えない。
(何とか話せないかなぁ……)
 そんなことを考えながら、神治は暇になった午後、家の周辺を散策していた。
 田舎だけあって広い敷地には、ちょっとした森や神社まである。
(まあ、話してもドキドキしちゃうんだけどね……)
 自分自身も、有希と話はしたいがいざ話したらどうなるのか分からなかった。
 何を話せばいいのかもよく分からない。
(昔は話すことなんか考えずに話してたのになぁ……)
 神社の建物の前まで来ると中を覗き込んだ。
(これの中もどうなってるんだろ……)
 有希のことを取り合えず脇へ追いやり、昔から建物自体は見ていたが、中まで見たことのない神社に興味をもった神治は扉を開けてみた。
(あ、結構普通じゃん……)
 建物の中はちょっとした広さがあり、奥には神を祭る祭壇があった。
(何だこりゃ……)
 手前には ちゃぶ台と布団がたたんで置いてある。
 雰囲気にそぐわない日常的な物品に、神治は首を捻った。
(何でこんなものがあるんだ……?)
 触れてみると、全く普通のちゃぶ台と布団でしかない。
 ちゃぶ台に埃はかぶっておらず、布団もふかふかとしていて実用に耐える感じだ。
 神社にどうしてこういうものを置いているのか分からなかったが、そういうお供えをする神なのかも知れないと思って納得する。
 奥の祭壇を近くで見ようとそちらに向かって歩き始めた瞬間だった。
(うっ……)
 突然神治は股間の一物が一気に硬くなるのを感じた。
 息が荒くなり、激しい肉欲の興奮が高まっていく。
 ズボンの中で痛いほど勃起している肉棒は、早く開放しろと叫んでいるようだ。
(女……女が欲しい……)
 神治の頭は肉欲に染まり、まるで祭壇に女がいるかのようにそちらへと足が動いた。
「駄目っ!」
 突然発せられた声に、ハッと意識を取り戻す。
 声のした方へ振り向くとそこには有希が立っていた。
 学校帰りなのか白いセーラー服姿のままだ。
「ゆ、有希ちゃん……」
「その祭壇には近づいては駄目。近づいては駄目」
 繰り返しそう言うと、神治の腕を取り入り口の方へと引っ張る。
 触れられている腕が熱い。
 Tシャツから出ている腕に有希の長い黒髪が触れ、気持ちのいい感触を伝えてくる。
 至近距離に有希の顔があり、その可愛らしい顔に神治は見とれた。
 細く形のいい眉。
 気弱な光を放つ、潤んだ瞳。
 なだらかな山を描く鼻。
 白い肌にそこだけうっすらと桜色を見せる小さな唇。
 再会してからこれほど近くで有希の顔を見たことがなかったが、近くで見れば見るほど可愛かった。
 白いセーラー服に身を包み、服の上からもある程度成長した胸の膨らみが分かる。
 短めのスカートからほどよい太さの太ももが伸びており、白い靴下が脚の白さと相まってその魅力を高めていた。
 たまらない。
 意識は取り戻したが、未だに肉棒は硬くそそり立ち性欲は高まっている。
 どうしてここまで欲情しているのか分からない。
 まるで初めて伯母とセックスした後のように、したくてたまらない状態に神治はなってしまっていた。
 しかも極上の美少女が接するばかりの距離にいるのだ。
 肉欲を抑えることなどできるわけがなかった。
「ゆ、有希ちゃんっ……!」
 神治は抑えられなくなった欲情を開放し有希に背後から抱きつく。
「え? こ、神ちゃんっ?」
 有希は一瞬驚いたように体をこわばらせ、すぐに離れようと体を動かした。
 神治は有希の顎を持つと自分の方へ向け、その愛らしい唇に吸い付いた。
「んっ……んんっ……んんんっ……!」
 有希は驚いたように目を見開き顔を離そうとしたが、神治は頭を押さえて離すまいとする。
 舌を口内に送り込み、奥で縮こまっている有希の舌を見つけると絡めて吸い上げた。
「んんっ……んんんっ……」
 舌を激しく絡め、吸い続けていると、やがて有希の体から力が抜けていき神治に体重を預けてきた。
 有希ははぁはぁと荒い息を吐きながら、ボンヤリとした表情を浮かべている。
 神治は首筋に舌を這わし吸い付きながら、セーラー服に包まれた乳房を揉みこんでいく。
「あっ……いやっ……あんっ……いやぁっ……」
 有希は体を震わせながら悶えた。
 セーラー服から伸びる白い手が、行為を止めさせようと神治の腕を弱々しく掴むが、その程度では止まらない。
 神治の脳はすでに肉欲に支配され、目の前にいる美少女を犯すことしか考えられなかった。
 白いセーラー服の下に手を入れ、ブラジャーの隙間に差し込むと可憐な乳房を直接掴む。
(ああ、有希ちゃんのオッパイ……有希ちゃんのオッパイだぁ……何て気持ちいいんだろぉ……)
 肉欲に朦朧とする中、神治は愛らしい従妹の乳房を掴んでいるという喜びに震えた。
 まだ硬さの残る有希の乳房は、伯母のような吸い込まれる感触はないが、揉むとすぐに押し返してくる張りの良さがある。
「あんっ……神ちゃん……あっ……止めてぇ……」
 弱々しい声で有希が神治を制止する。
 しかしその声は神治の興奮を高める役割しか果たさなかった。
 再会してから胸を高鳴らせていた美少女を抱きしめ、唇を合わし、肌に舌を這わせ、乳房を揉みしだいているのだ。
 あまりの興奮に、神治はそのまま射精しそうな快感を覚えていた。
 乳首を見つけると、指で掴みクリクリと動かす。
「ああんっ……あっ……駄目ぇっ……」
 快感に震えながら有希が神治の方へ顔を向け、目で止めるように訴えてくる。
 しかしその潤んだ瞳は神治をさらに興奮させ、再び唇に吸い付かせる結果しか招かなかった。
 とにかく凄まじい肉欲の衝動が体を突き動かし、有希を犯せと急き立てているのだ。
「んんっ……んっ……んんっ……」
 舌を激しく絡ませ乳房を揉みながら、神治は片手を太ももに伸ばした。
 スベスベとした肌に手を這わすと、たまらない感触が手のひらに伝わってくる。
 そのままスカートの中に手を差し入れ、パンティの上から秘所をなぞり始めた。
「あっ……だ、駄目っ……神ちゃん駄目っ……」
 有希が声を上げる。
 だが神治は指の動きを激しくしてそれを黙らせる。
「あっ……ああんっ……あぅっ……ああっ……」
 しばらくそうして首筋に舌を這わせ、乳房を揉み、秘所をなぞり続けていると、有希はブルブルと体を震わせガクッと力を抜いた。
 有希の上気している可愛らしくもいやらしい顔を眺めながら、神治は傍に置いてある布団を素早く床に敷くと、そこに有希を横たえた。
 セーラー服をまくり上げ、すでにブラジャーからまろび出ている有希の白い乳房を見つめる。
 小さいが形良く膨らんでおり、その頂点には雪の上に桜の花びらが落ちているかのように淡いピンク色をした乳首があった。
(吸いたい……こんな綺麗な乳首……吸いたいぃ……)
 有希の大人しい性格にピッタリな、あまりにも可憐な乳首にたまらなくなった神治はむしゃぶりついた。
 思いっきり吸い上げ、舌で激しく舐め上げる。
「あんっ……ああっ……あぅんっ……」
 その刺激に有希が再び悶え始めた。
 可愛らしい顔が快感に歪み、小さな唇から喘ぎ声が発せられている。
 ある程度女の体になっているとはいえ、まだ子供の域を出ない少女を犯すというのは、今まで成熟した女性しか相手にしてこなかった神治にとって新鮮な興奮だった。
「あぅっ、あっ、はぅんっ……あっ、ああっ、ああんっ……」
 しばらくそうして乳房を揉み乳首を吸った後、顔を股間に持っていき、太ももに頬ずりする。
 有希の肌は最高だった。
 スベスベとしたそれは触れているだけで気持ちがいい。
 このすべらかな感触は伯母たちにはないものであり、少女ならではの瑞々しさがもたらすものであろう。
 神治は太ももで自分の顔を挟み込むと激しく頬を擦りつける。
 するとセーラー服のスカートが乱れて艶かしい。
 ヒラヒラとしたスカートから伸びているというのが、ただ太ももを見せられるよりも興奮を誘い、神治は舌を這わせ口付けていった。
「ああんっ、あっ、いやぁんっ……あぅっ、ああっ……」
 有希が激しく悶える。
 徐々に唇を上げていき、パンティの上から股間に吸い付いた。
「あっ、あぐぅっ、あっ……だ、駄目だよ、はぅんっ……そ、そこは駄目ぇっ……」
 有希が頭を押さえてくるが、激しく舌を動かすとその力は抜けていった。
 秘所を見たくなった神治は、パンティに手をかけると一気に脱がす。
「駄目ぇ……」
 有希の悲しい声が響く。
(綺麗だ……)
 今まで伯母たちの秘所を見てきたが、ここまで綺麗なのは初めてだった。
 やはり使い込んでないせいなのか、ピンク色をしたその部分は有希の可憐さを表しているようであり、それでいてすでに快感を得、愛液で濡れている様は、男を誘う淫蕩さを思わせた。
 生唾を飲み込んだ神治は、舌でクリトリスに吸い付き舐め上げていく。
「あぐっ、あっ、はぁんっ……あっ、あぅんっ、ああんっ……」
 有希がいやいやといった感じで頭を左右に振り、神治の頭を太ももでギュッと挟んでくる。
 押し返そうとして頭に置かれていた手も、今度は逆に股間に押し付けている。
 かなり気持ちがいいのだろう。
 指を膣穴に差し込み、激しく出し入れする。
「あっ、はぁっ、ああっ……いっ、いいっ、いいよぉっ……ああんっ……」
 ついに有希が神治の行為を受け入れる声を上げた。
 嬉しくなった神治は、もっと気持ち良くさせようと舌と指に力を入れていく。
「ああっ、あっ、あんっ……いいっ、気持ちいいよぉっ……神ちゃぁんっ……あっ、ああっ、あはんっ……駄目ぇっ、あっ、あああっ……!」
 有希が体をガクガクと震わせ、脱力したように力を抜いた。
 神治は股間から顔を上げると、上から有希を見下ろす。
 はだけたセーラー服から乳房を、まくれたスカートから愛液で濡れた秘所をさらしながら、有希ははぁはぁと荒い息を吐いている。
 白い肌を上気させ、朦朧とした目をしながら、微かに開いた口からは小さな舌が動いているのが見えた。
 いやらしい。
 あまりにもいやらしい姿だった。
 清楚な印象がある有希だからこそ、その肉欲に乱れた姿がたまらない。
 清純さを表す白を貴重としたセーラー服も、逆に淫蕩さを高める要素にしかなっていなかった。
(犯せ……早く犯せ……お前の肉棒をぶち込め……)
 頭のどこかで急かす声が響いている。
 神治はまるでこれが初体験でもあるかのように落ち着き無くズボンを脱ぎ、パンツを下ろして肉棒を股間に近づけていく。
 愛液で濡れた秘所が肉棒を受け入れる。
 にゅるりといった感触と共に肉棒がハマり、強烈な快感が押し寄せてきた。
「あぅんっ……あっ、はぁっ……」
 虚ろな目をしながら、有希がこちらを見つめている。
 その切なげな表情がたまらなず、神治は腰を激しく動かし始めた。
「あぐっ、あっ、ああんっ……いやっ、あっ、いやぁ……」
 有希は肉棒を抜こうと体を頭の方へ移動させるが、そうはさせまいと神治は腰を深く押し込み動かした。
「あぅんっ、あっ、ああっ……神ちゃん、あっ……いや、ああんっ……こんな風にするのいやぁっ……」
 泣き叫ぶ有希の姿がたまらない。
 肉欲に支配された神治は、嫌がる有希を犯す行為に激しい快感を感じていた。
 本来ならば無理やりするなど決して容認できない事なのだが、現在の神治は、どこからか聞こえてくる声に意識を乗っ取られてしまっていた。
(犯せ……もっと犯せ……この極上の女を犯しまくれ……)
 その声の内容は、有希と再会してからずっと密かに願っていた思いと一致し、さらに実際に肉棒を押し込み快感を得ている神治にとって、逆らうことなどできない甘い囁きだった。
「あんっ、あっ、やんっ……あんっ、ああんっ、あっ……いやっ、いやぁっ、いやぁんっ……」
 有希は頭を左右に振り、可愛らしい声を上げている。
 精神は拒否しても、肉体が快感を受け入れ始めてしまっているのだろう。
「あっ、ああんっ、あんっ……やっ、ああんっ、あっ……やんっ、あっ、あぅんっ……」
 すでに声は艶かしいものだけになっている。
 自分の理想とも言える美少女が、その美しい黒髪を振り乱し悶えている姿は、それまでの性体験には無かった獣的な欲情を神治に起こさせていた。
 この美しい少女をもっと悶えさせたい。
 自分の肉棒でもっと激しく狂わせたい。
 そんな思いが押し寄せてくる。
「あぅんっ、あっ、ああんっ……はぁんっ、あっ、ああっ……」
 有希が激しく悶えるたびに、肉棒を包む肉壁が動きまくり、精を寄越せと柔らかく締め付けてくる。
 年齢のせいか伯母たちに比べ膣内は硬いのだが、絡み付いてくる肉襞の蠢きの激しさは凄まじかった。
(凄い……有希ちゃんは何て凄いんだ……)
 神治は快感にますます腰の動きを早めていく。
「あぐっ、あっ、あぅんっ……あっ、はぁっ、ああんっ……神ちゃん、あっ……神ちゃぁんっ……」
 有希は神治の背に手を回しギュッと抱きついてきた。
 それが行為を受け入れてくれたように思え、神治は興奮が高まるのを感じた。
「あんっ、ああんっ、あっ……やっ、ああっ、あんっ……いいっ、はぁっ、やぁんっ……神ちゃんいいっ……神ちゃんいいよぉっ……」
 セーラー服をはだけさせ、形のいい白い乳房を上下に激しく揺らして悶える有希の姿は、肉棒から押し寄せる快感と相まって、物凄い興奮を与えてくる。
(俺は今、有希ちゃんを犯してる……見るだけでドキドキした有希ちゃんを……可愛くてたまらない有希ちゃんを犯してる……チンポを押し込んで、悶えさせているんだ……)
 そのとてつもない精神的な高揚は、神治のこれまでの経験を吹き飛ばすかのように、今にも発射しそうなほど射精感を高まらせていた。
「うぅっ……出るっ……出るよっ……有希ちゃん出るぅっ……」
「神ちゃん、ああっ……いいっ……いいよっ、あぅん……出してぇ……」
 有希の、自分を受け入れてくれる言葉がたまらない。
「有希ちゃん、有希ちゃん、有希ちゃぁん……!」
 絶叫と共に、ドクドクドクと激しく精液が有希の中に吐き出されていく。
「あぅっ……神ちゃんっ……神ちゃんっ……神ちゃぁん……!」
 それを感じたのか、有希も叫びながら体を仰け反らせている。
 長く続く射精は、やがてビクビクと震える肉棒の動きと共に終わり、体の力が抜けた神治は有希の上に身を横たえた。
 二人の荒い息が重なる。
(もっとだ……もっと犯せ……もっと精を吐き出せ……)
 快感に浸る神治の頭に声が響く。
 それに反応したかのように今放出したばかりの肉棒に力がみなぎり、肉欲も激しく高まっていき、すぐにでも精液を放出したい衝動に駆られた。
「有希ちゃん……!」
 神治は得体の知れない衝動に興奮し、有希の桜色をした小さな唇に吸い付き、激しく舌を絡ませていった。
「んんっ……んっ……んんんっ……」
 唇を離すと、有希はトロンとした表情でこちらを見つめている。
 その顔にたまらなくなった神治は、再び腰を動かし始めた。
「あんっ、あぅんっ、あっ……いいっ、いいよぉっ……神ちゃんいいぃ……」
 有希がギュッと抱きしめてくる。
「あっ、あっ、ああっ……神ちゃん、あんっ……もっとっ……もっと私を感じてぇ……」
 有希の腰が動き始め、それまで以上に肉襞が肉棒に快感を与えてくる。
 自然と神治の腰の動きも激しくなっていった。
「やんっ、あっ、はぁんっ……やだっ、神ちゃん凄いっ……あぅっ、あっ、ああんっ……」
 それまでと違って積極的な有希の様子を疑問に思いながらも、押し寄せてくる肉欲に神治はその事を考えることなどできなかった。
「やぁっ、凄いっ、やぁんっ……激しい、あっ……激しいのぉっ……神ちゃん激しいよぉっ……」
 長く美しい黒髪を左右に激しく振りながら、脚を神治の腰に絡みつかせ、自らも腰を振り続ける有希の姿は、普段の清楚な様子と激しいギャップをもたせ、たまらない快感をもたらしていた。
「はぅっ、あっ、はぁんっ……駄目、ああんっ……もう駄目ぇ……ああっ……神ちゃん私ぃ、あっ……もう駄目なのぉっ……」
 涙を流しながら悶え狂う有希の姿に、神治の限界も迫っていた。
「あぐぅっ、あっ、はぅんっ……凄い、あぅんっ……凄いよぉっ……ああんっ、はぁっ、あぅっ……あんっ、あんっ、ああんっ……もうイくっ……あっ……イくよぉっ……ああっ……イっちゃうぅっ……ああああっ……!」
 有希の絶叫と共にギュッと肉棒が締め上げられ、その激しい快感に神治は精を放った。
 ドクドクドクと先ほどに劣らぬ量の精液が吐き出されていく。
 神治はガクガクと体を震わせ、最後の射精を終えると全身の力を抜いて有希の体の上に倒れこんだ。
 有希と自分の鼓動が聞こえる。
 まるで一つの体になったかのように近くで聞こえるその鼓動に心地よさを感じながら惚けていると、またあの声が聞こえてきた。
(もっとだ……もっと出せ……もっと精液をこの女にぶちまけろ……)
 再び肉棒が大きくなっていく。
 神治は肉欲で朦朧としたまま、腰を振り始める。
「あんっ、ああっ、あっ……神ちゃん、あっ……わたし変、あんっ……変なのぉっ……」
 有希も神治の動きに合わせるように腰を動かしている。
「あっ、あぅんっ、ああっ……体が熱くてぇ、あっ……神ちゃんが、あんっ……欲しくて、ああんっ……たまらないのぉっ……」
 有希のいやらしい言葉に神治の興奮が高まる。
「やんっ、あっ、はぁんっ……神ちゃんの、あんっ……オチンチンで、あっ……突いて欲しくて、ああっ……しょうがないのぉっ……」
(!……)
 有希がオチンチンと言った事に、神治は激しい興奮を覚えた。
 あの大人しい有希が、清楚な有希がオチンチンと言ったのだ。
 そこまで自分を求めてくれている。
 神治は有希が愛おしくてたまらなくなり、今まで秘めていた思いをぶつけたくなった。
「有希ちゃんっ……俺はっ……俺は有希ちゃんが好きだっ……」
 神治の言葉に有希はハッとした表情を浮かべる。
「昔から好きだったけどっ……この間久しぶりに会ってっ……もうそれから有希ちゃんの事がっ……頭から離れないっ……」
 言った。言ってしまった。
 肉欲の高まりに乗せられ、ついに自分の思いを告白してしまった。
「……」
 有希は何も言ってこない。
 答えがない事に神治は怖くなり、そこで改めて自分が有希に何をした、いや何をしているのかを思い出した。
(俺……有希ちゃんを襲っちゃったんだよな……嫌がる有希ちゃんを無理やり……)
 肉欲に意識が支配されていたとはいえ、襲ってしまった事には変わりない。
 そんな相手に好きだと言われても受け入れるとは思えない。
 神治は自ら己の恋に終止符を打っていたのだと気がつき、それを悔やんだ。
「嬉しい……」
 有希がポツリと呟いた。
「え?」
 有希の言葉が聞き違いかと思えた。
「神ちゃんから言ってくれるなんて……嬉しい……」
 確かに有希は嬉しいと言っている。
「私……私も神ちゃんのこと、好きだよ……大好きっ……」
 ギュッと抱きついてくる。
「有希ちゃんっ」
 神治も抱きしめる。
 その途端、ムラムラと肉欲が高まっていく。
 それは怖ろしいまでの興奮で、胸が破裂しそうなほどバクバクと脈打っていた。
「有希ちゃんっ……止まらないっ……有希ちゃんが欲しくてっ……死にそうだっ……」
「私もっ……私も神ちゃんが欲しくてたまらないのぉっ……」
 神治と有希の腰が同時に動き始めた。
 二人はガッチリと抱き合い、唇を激しく擦り合わせ、舌を絡める。
「んんんっ……んんっ……んんんっ……」
 凄まじい早さで腰を動かしていく。
「やっ、あっ、はぁんっ……あんっ、やんっ、ああんっ……あぅっ、あっ、やぁんっ……」
 有希の可愛らしい喘ぎ声が響く。
 たまらない。
 神治の頭は有希に対する思いで一杯になっていた。
 こんなにも可愛い娘が、自分を好きだと言ってくれ、自分の肉棒を受け入れ気持ち良くよがっている。
 神治はこのまま死んでも構わないと思える勢いで、有希の肉体に肉棒を出し入れしていった。
「神ちゃん、あっ……神ちゃん大好きぃっ……やんっ、あんっ、ああんっ……私もう、どうなってもいいぃっ……あんっ、はぅんっ、いやぁんっ……もっと、あっ……もっと激しくしてぇっ……」
 有希の願いに答えるべく、神治はさらに激しく腰を動かしていく。
 もう何が何だが分からなかった。
 神治の耳には有希の喘ぎ声だけが響き、もっと快楽を、もっと快楽をと急かすように腰が動いていく。
(犯せ……犯せ……もっと……もっとこの女を犯せ……)
 ただ唯一その声だけが、まるで魂に直接響いてくるように聞こえ、そのたびにグンッと肉棒に力がみなぎり、神治は有希の中に精を放ちたくて、有希の膣を己の精液で溢れさせたくてたまらなくなった。
「有希ちゃんっ……俺のっ……俺の精液っ……受けてくれっ……俺っ……たくさんっ……有希ちゃんの中に出したいんだっ……」
「私も、あんっ……神ちゃんの精液、あぅんっ……いっぱい欲しいっ……ああんっ……出して、あっ……たくさん出してぇっ……」
 狂ったように叫ぶ有希の姿に神治は興奮し、ますます腰の動きを早めていく。
「いやぁんっ、はぅんっ、ああんっ……神ちゃん凄い、あんっ……たまらない、はんっ……こんな、あっ……凄いのぉっ……」
 有希は頭を左右に振り、そのたびに長い黒髪が乱れ動いた。
「やんっ、はぁっ、あぅんっ……駄目ぇ、あんっ……私、あっ……私、ああっ……おかしくなっちゃうぅっ……」
 口からは涎が垂れ、目は虚ろになっている。
 大人しい、清楚な有希の普段とはあまりに違う乱れ具合に、神治の射精感は限界まで高まっていった。
「出るっ……有希ちゃん出るよっ……俺っ……出るよっ……」
「あっ、あぅんっ、あぁっ……出してぇ、あっ……私もイくっ……ああんっ……私もイくのぉっ……私イくぅっ……ああああっ……!」
 強烈な肉襞の吸引に、神治は一気に精を放った。
 ドピュドピュドクドクドク。
 激しい、今までで一番激しい勢いで、凄まじい量の精液が放出されていく。
 神治は体をガクガクと震わせ、有希の体をギュッと抱きしめながら射精していった。
 有希も神治の背中を抱きしめ、脚で腰をガッチリと捉えている。
 それはまるで己の中に神治を取り込もうとするかのようだ。
 有希の膣は、神治の肉棒から精を搾り取ろうと激しく蠢き、それに答えるかのように肉棒もなかなか射精を終えない。
 神治はいつまでも続く放出に悶えながら、こちらも有希の肉体に入り込もうとするかのように体を押し付けていく。
「有希ちゃぁん……!」
「神ちゃぁん……!」
 二人の声が重なり、それが合図であるかのようにビクッビクッと肉棒が震え、最後の射精を終えた。
 荒い息を吐き出し、神治は有希の肉体の感触に心地良さを感じながら力を抜いていった。
「有希ちゃん……好きだよ……」
「私も……神ちゃん好き……」
 唇を合わせ、優しいキスをする。
 お互いの気持ちを確かめ合い、神治は至福の思いでいっぱいだった。
(まだだ……まだ足りない……もっとむさぼれ……この女を犯しまくれ……)
 再びあの声が聞こえ、それが合図になっているかのように肉棒に力がみなぎってくる。
(何なんだ、これ……この声は何なんだよ……)
 だが神治のその思いとは裏腹に、肉欲がムラムラと湧き上がり、思考が薄れていくのだった。
「神ちゃん……私……私……神ちゃんが欲しくてたまらないのぉ……」
 有希がギュッと抱きつき腰を動かし始める。
 清楚な顔立ちに似合わぬその淫蕩な行為に、神治の興奮は高まっていく。
 さらに肉襞がヌメヌメと動き、肉棒を刺激してきた。
 たまらなくなった神治は、再び腰を動かし始める。
「あっ、ああっ、ああんっ……」
 有希は嬉しそうに喘ぎ声を上げ、背中に回した腕と、腰に絡めた脚に力を入れた。
 密着感が強まることで、有希に対する愛情と肉欲が高まり、神治はさらに激しく腰を動かしていくのだった。


 あれからどれくらい経ったのか。
 辺りはすっかり暗くなっている。
 神治はずっと有希を抱いていた。
 いくら精を放っても、あの謎の声が聞こえるとすぐに肉棒は回復し腰が動き始めるのだ。
「あっ……あっ……あっ……」
 有希も虚ろな目を浮かべながら、送られてくる快感に反応を示し、弱々しい声を上げていた。
 神治の意識は、すでに自分が何をしているのか分からないほど朦朧としてしまっている。
 ただ腰だけが動き、有希との行為を続けていた。
(俺は……何をしてるんだ……)
 少し戻った意識で自分がどうなっているのかを確認する。
「あっ……あっ……あっ……」
 有希の弱々しい声が耳に入る。
(そうか……有希ちゃんとしてるんだ……)
 腰から伝わってくる快感を感じる。
(でも……どうしてしてるんだっけ……)
 記憶では有希とは話しすら出来てなかったはずだ。
 なのにセックスをしているのは何故だろう。
(もっとだ……もっと犯せ……)
 どこからか声が聞こえる気がする。
(分からないや……でもいいじゃないか……こんなに気持ちいいんだし……有希ちゃんは可愛いし……)
 有希の顔を見つめながら神治は笑った。
 有希も気持ち良さそうにしている。
 細かいことを気にしてもしょうがない。
 少し意思を持って腰を動かす。
「あんっ……あっ……はあんっ……」
 微妙に力がこもった腰の動きに、有希の声が乱れた。
(可愛い……可愛いよ……有希ちゃん……)
 有希の悶える姿に興奮した神治は、もう何度目か分からない精液を放った。
(有希ちゃん……好きだよ……好き……)
 朦朧とする意識の中で、神治は伯母と静の声が聞こえているような気がした。


 気がつくと、自分の部屋で寝ていた。
 激しく疲労しているのを感じる。
 体が上手く動かせない。
(どうしたんだ……?)
 必死に記憶を巡らせる。
 よく思い出せない。
 凄く気持ちのいい事と、嬉しい事があった気がするのだけは覚えている。
(そう、有希ちゃんと……)
 相手は有希だった。
 そこまで思い出し、記憶が一気に蘇る。
(そうだよ、有希ちゃんとしたんだ……それで告白して……)
 その後の有希の返事を思い出し、再び幸福感に包まれる。
(って、それからどうしたんだっけ……)
 セックスをしたまでは覚えている。
 だが、それからどうやって自分の部屋まで戻ったのか思い出せない。
(え〜〜と、どうしたんだ……)
 どうしても思い出せない事にイラついていると、部屋のドアがノックされた。
「どうぞ……」
 神治が答えるとドアが開き、入ってきたのは静だった。
「あら、気がついたのね……」
 静は嬉しそうに笑っている。
「まったく……見つけた時は驚いたわよ。まさか神社でしちゃってるなんてね」
 ニヤニヤと笑っている様子からして、有希との行為を見られたらしい。
「でも気絶するほどするのはどうかしらね。女の子はもっと労わってあげなきゃ。興奮するのは分かるけど」
 可笑しそうに笑う。
「俺、気絶してたの……?」
「そうよ。覚えてないの? 夜遅くなっても戻ってこないから、心配して母さんと探してたら、神社で二人してしてるんだもの。ビックリよ」
 やはり見られてしまったようだ。
「有希ちゃんは……?」
「ああ、部屋で寝てるわ。別に平気だから安心しなさい。疲れてるみたいだけどね」
 自分の体が重いのは疲れているせいか。
 確かにあれほどセックスをすれば体力も無くなって当然だろう。
 しかしまさか意識を失うほどするとは思わなかった。
 その原因となっているのはあの謎の声だろうか。
 あれは一体何なのだろう。
「しずねぇ、あの神社って一体どういうモノなの?」
 声の原因が神社にあるのではないかと思い尋ねてみる。
 何しろ祭壇に近づいた途端に勃起し、肉欲が高まったのだ。
 関係がないとは思えない。
「え? 緋道の村の守り神よ。知ってるでしょう」
「知ってるけど、そうじゃなくて……」
 静は分からないといった表情をしている。
「俺、あそこに入った時に、その、チンチンがいきなり硬くなって、凄くセックスしたくなったんだ」
「……」
 神治の言葉に、静は真剣な顔になった。
「神ちゃん……あの神社はね。確かにうちの守り神なんだけど、何の神様か分かる?」
「え?」
「性の神様よ」
「性って、セックス?」
「そう、セックス。うちの家系の精力が凄いのは、昔その神様と交わった、セックスしたからだと言われてるわ」
「神様と……」
 想像できないことだった。
 だが自分の怖ろしいほどの精力を神がかりなものと考えれば妙に納得はできた。
「じゃあ、祭壇に近づいた途端に欲情しちゃったのは、その神様の力ってこと?」
 神治が尋ねると、静は首を振った。
「違うわ。確かに神様はそういった力を持っているけど、今はその力を使えないの」
「どうして?」
「化け物に捕らわれているから……」
「化け物……」
「ふふ……まあ、そういうのは比喩よ比喩。あんまり本気にしないでね」
 静は可笑しそうに笑った。
「なんだ……そうなのぉ?」
 神治も可笑しそうに笑う。
 あまりにも静の表情が真剣だったので、宗教的な狂信を思わせたのだ。
「で、どうして神様が化け物に捕らわれているかと言うと、暴れてた化け物を封印したためらしいわ」
「封印?」
「そう、神様の力で出られないようにしてるのね。でもその代わり神様自身もそこから動けなくなっちゃってるみたい。だから正確には捕らわれてる訳じゃないんだけど、その化け物のせいで出られないんだから同じことね。化け物とずっと一緒なんてかなり気の毒だと思うわ」
「確かにね……」
 静の苦笑に合わせて神治も笑った。
「それ以来、あの神社には神様の他に化け物がいるってこと。で、そいつが性の化け物なんで、いくら封印してるといっても近寄ると欲情させられちゃうらしいのよ。何しろ村の人間を襲う時に、まず欲情させておびき寄せたっていうくらいだから」
「そうなんだ。それで祭壇に近づいたらあんな風に……」
「だから私たちは祭壇に近づかないようにしてるの。取り合えず凄く気を張っていれば大丈夫だから、掃除の時とか必要最低限な時だけ近づくようにしてね」
 静の言っている事は理解できる。
 だが、しょせん神とか化け物とかは比喩でしかない。
 どうして祭壇に近づくと欲情してしまうのかは原因が分からなかった。
「でも、実際はどういう理由なの? 化け物ってのは比喩なんでしょ。なんで興奮しちゃうのさ?」
 神治の問いに、静は一瞬目を逸らしながら話し出した。
「う〜〜ん、まあ、よく分からないわね。何か人を欲情させるガスが出てるのかも知れないし。でもま、そういった事を調べるのは野暮ってものよ」
「野暮……?」
「あそこには神様がいて、化け物に捕らわれている。そういった信仰があるんだから、それをわざわざぶち壊しても誰も幸せにはならないでしょう」
 何やら静らしくない答えだった。
 周りがどう言おうと調べようとするのが彼女の性格なのだから。
「でも俺、声が聞こえたんだよね」
「声?」
「うん。『女を犯せ』って、してる最中ずっと……」
「ふ〜〜ん、そうなると幻聴作用を促すガスも出てるのかなぁ」
 静はやはり何だか彼女らしくない落ち着かない様子で呟いている。
 何かを隠しているのかも知れない。
 だがそれを聞き出すのは無理だろう。
 何せ静と口論して勝ったためしなどないのだから、上手くはぐらかされてしまうのがオチだ。
「まあ、あそこには二度と近づかないことね。って、一度は行かなきゃいけないけど、それ以外は行かない方がいいわ。ただでさえ神ちゃん欲情しやすいんだから」
 静の言葉に顔を赤くする。
「だけど、一度は行かなきゃいけないってのはどうして?」
「当主になる儀式はあそこでするからよ」
「え? でも俺、まだなるかは決めてないよ」
 神治が答えると、静は面白そうに鼻で笑いながら顔を近づけてきた。
「神ちゃん、有希ちゃんほっとくつもり?」
「え?」
「あの子に告白したんでしょ? だからセックスしたんじゃないの?」
「い、いや、その……」
 まさか先に襲ったとは言いにくい。
「好きだって言っといて、その後はハイさようならじゃ可哀想すぎるわよ。ちゃんと恋人らしく傍にいてあげなさい」
 確かに静の言う通りだった。
 自分の気持ちとしても、このまま有希と別れるのは辛い。
 以前と違い、神治は有希のことが好きでたまらないのだから。
 それにもっと彼女とセックスしたいのも正直な気持ちだった。
「ま、あと数日あるんだしゆっくり考えなさい。どうせあっちでの心残りなんて叔母さんのことでしょう」
「なっ……!」
 図星を突かれて動揺する。
「ふふん……お母さんのオッパイが恋しくて離れられないってところかしら? 意味が違うはずなんだけど、まさにピッタリね」
 静は自分の言葉に笑っている。
 確かに母の乳房は魅力的だし、何より膣の感触が最高だった。
 実の母としているという背徳感もたまらない。
 さらには嫌がる母を犯すというのが凄く興奮するのだ。
「叔母さんたちもこっちに呼んじゃえば? どうせもうしちゃってるんだしいいじゃない。佳奈ちゃんや舞美ちゃんともしたいでしょ?」
 とんでもない事を言う。
 母とはしたいが、姉と妹にはさすがにしたくなかった。
 自分の中の倫理観を保つには、姉と妹とはセックスしてはいけない気がするのだ。
「でもどのみちこっちにいるしか手はないと思うわよ。例の治三郎の研究ね、あれ、あんまり効果なさそうだし」
「え? どういうこと?」
「現代じゃちょっと合わない感じなのよ。ま、詳しいことは明日にでも話すから、今日はゆっくりしてなさい。じゃあね」
 静はそう言うと部屋を出て行った。
 一体どういう事なのだろう?
 欲情を抑える頼みの綱が無くなり、神治は途方に暮れた。
(まあ、こっちにいれば平気なんだけどさ……)
 しかしそれでも自分をコントロールできないというのは、やはり嫌な気がする。
 どうしたものかと考えていると、再びドアがノックされた。
「どうぞ……」
 答えるとドアが開き、入ってきたのは有希だった。
「有希ちゃん……」
 顔を見た瞬間、有希との行為が蘇り股間が熱くなる。
(おいおい、駄目だろ……)
 慌てて意識を逸らす。
「具合はどう……?」
 有希は小さな声で尋ねてくる。
「あ……ああ、大丈夫だよ。ちょっと疲れてるだけ。それより有希ちゃんは大丈夫? その……激しくしちゃったから……」
 言いながら神治は顔を赤くする。
 見ると有希も顔を赤くして俯いていた。
「その……ごめん。俺、有希ちゃんを……」
 そこまで言いかけると、有希がそれを遮った。
「大丈夫だから……私、気にしてないから……ううん、ホントは気にしてる……あ、でもそういった意味じゃなくて……」
 急に押し黙った後、いきおいよく顔をあげ、神治の目をジッと見つめた。
「私……私……嬉しかったから……神ちゃんとああなって……嬉しかったから……ちゃんと告白してからしたかったけど……でも、嬉しかったから……だから気にしないで……」
 呆気に取られる神治の視線に耐えられなくなったのか、慌てて俯く。
 有希は体をモジモジとさせ、落ち着きないように視線をあちこちに向けている。
「あ、俺……その……」
 何と言っていいのか分からない。
 肉欲に捕らわれ、興奮のあまり告白をしてしまったが、それ以前があまりに酷すぎる。
 セックスしたのを有希は喜んでくれているが、無理やりしてしまった事には変わりない。
 それはいくら謝っても許されるものではないだろう。
 それを有希は許してくれるどころか嬉しいと、気にするなと言っているのだ。
 何と健気で優しい少女なのだろう。
 神治は有希の、自分に対する思いにどう答えていいのか分からなかった。
「神ちゃん……あの……私もう行くね……お母さんにもまだ無理するなって言われてるし……」
 なかなか神治が返事をしないせいだろう、有希は部屋を出て行こうとする。
 それを止めなければと神治は焦った。
「有希ちゃんっ!」
 神治の声に有希はビクッと体を震わせ振り返る。
「俺っ……俺っ……有希ちゃんの事が好きだっ……あの時も言ったけど嘘じゃないよっ……!」
 有希は顔を赤くしながら嬉しそうにしている。
「だからっ……そのっ……俺とっ……」
 そこまで言うと、神治は一旦黙り、息を大きく吸い込んで叫んだ。
「俺と結婚してくれっ……!」
 部屋の中が静まり返る。
 言ってしまった後に、神治は自分が何を言ったのか混乱していた。
(あれ? ここは『付き合ってくれ』じゃないのか……?)
 結婚ではあまりに早すぎる。
 それに二人ともまだ十四歳、結婚など出来はしないのだ。
(あ、言い直そう、付き合ってくれって……結婚じゃあんまり変だもんな……)
 神治が慌てて言い直そうとした時だった。
「うん……いいよ……」
 有希が俯いたまま恥ずかしそうに言った。
「え……?」
「ふつつか者ですが、宜しくお願いします……」
 有希は床に正座すると、頭を下げる。
 時代劇に出てくる花嫁の決まり文句に神治は動揺してしまう。
「い、いや……その、こちらこそ……」
 慌てて起き上がると正座をして頭を下げ返した。
 取り返しのつかない事をしてしまったのに気が付き、どうしたものかと途方に暮れていると、部屋の外から笑い声が響いてきた。
「あっははははっ……ああ可笑しいっ……あっははははっ……!」
 笑いながら入ってきたのは静だった。
「あんたら面白すぎ……ふふっ……神ちゃんもいきなりプロポーズとはねぇ……はははっ……」
 可笑しそうに笑い続ける。
 しばらくすると、ようやく笑いが治まったらしい静がニヤニヤしながら神治の方を向いた。
「ご結婚おめでとうございます、と言いたいところだけど……神ちゃん何か忘れてない?」
 静の言葉に首を捻る。
「また忘れてるみたいだからヒントあげるけど、最初にこっちに来た時、私と何を話した?」
「しずねぇと……あっ!」
 とんでもない事を思い出す。
「そうよ。神ちゃん私にもプロポーズしてるの」
「え……」
 有希が驚いた表情をしている。
「有希ちゃん、気をつけた方がいいわよぉ。神ちゃんって追い詰められるとすぐにプロポーズするんだからぁ」
 可笑しそうに笑いながら静が言う。
「ほ、本当なの? 神ちゃん」
 有希が必死な顔で問い詰めてくる。
「う……確かにしたけど、あれは子供の頃のことで……」
「あ〜〜ら、そんなこと言って、今だって子供じゃない……ということは、さっきの有希ちゃんに対するのも子供だからって将来反故にするつもり?」
 グゥの音も出ない。
 だから静には勝てないのだ。
「神ちゃん……」
 悲しそうな顔で有希が見つめている。
「あの……その……いや……」
 何と言えばいいのか分からない。
「あはははっ……大丈夫よ有希ちゃん、私気にしないから……あなたが結婚しなさい……うちの場合結婚しなくたってする事はできるしね」
 静は普通ならとんでもない内容である事を明るく言った。
 神治はその言葉にホッと息を吐き出す。
 静が絶対に結婚するとか言い出したら大変だったからだ。
 まあ、元々からかって言っているのだろうが、それでも分からないのが女心というのものだ。
「本当にいいの? お姉ちゃん……」
 有希が辛そうな顔で聞いている。
「だからいいって言ってるじゃない。しょせん名目でしかないんだから別にいいの。それよりしっかり手綱握っときなさいよ。こんな調子じゃ、また誰かにプロポーズしかねないから」
 ニヤニヤしながら神治の方を見る。
「え? し、しないよもう……」
「本当……?」
 有希が疑うような目で見つめている。
「しないしないっ、絶対しないっ……!」
 慌てて言い切る。
「ま、その辺にしといてあげなさい。今神ちゃんが有希ちゃんに夢中なのは確かなんだし。こっちに来てからずっと有希ちゃんのことばかり見てたの気づいてたでしょ」
 有希は顔を赤くして頷く。
「そうそう、だから安心して……でもまあ、たまに思い出させるのもいいと思うけどね」
 静はまた可笑しそうに笑った。
 神治は、静と一緒に楽しそうに笑う有希の可愛らしい横顔を見つめながら、やっぱりプロポーズをして良かったかな、と思うのだった。












あとがき

 女子中学生ですよ〜〜♪(ちょと興奮気味)
 いやぁ、有希ちゃんは可愛いですねぇ。
 同い年の恋人的なキャラを出そうと思って考えたんですけど、予想以上に可愛い娘になりました。
 あそこまで美化するつもりは無かったのが、いつの間にやら凄い美少女という設定に。
 まあ、可愛い方がいいですからねぇ。
 しかも「大人しい」という何とも嗜虐性をそそる性格。
 いいですねぇ。
 さて、いよいよ対象年齢も下がってきて、犯罪の領域になりました(笑)
 これからどんどん年齢を下げていって幼稚園児に手を出したらどうなるんでしょ。
 取り合えず色々なシチュエーションを試すという趣旨でやってますんでそのうち出るかも知れません。
 現実に出来ない事をしちゃうのが小説の醍醐味ってやつでもありますしね(笑)
(2004.8.4)



一覧へ   トップへ