SCHON GUITAR
NS6 '86



赤いパーツはピーク・セレクト・スイッチ
青いパーツはゲイン・トリムポット



デカイ割に中身のない・・・まるで誰かさんのような
でもPUへ通じるホールは狭い



低音弦になるほどブリッジに近くなる


ドア横のエア・インテーク

 
ギタリストの夢は儚かった
 
 これ以上ギターが増えないように「ニール・コレクションはレスポール(+PE)だけ」と自分自身を納得させようと思っていた矢先に、こんなヤツを見つけちゃほっとけない。(ニール自身が立ちあげたショーン・ギターがないのはコレクションとしてはヤッパリ説得力に欠ける・・・とも思っていたし。このままG−505、TOM ANDERSON、PRSといってしまったら完全に経済破綻してしまう。)
 しばらく仕事が忙しく、数週間ぶりに覗いた御茶ノ水の楽器屋に4日前に店頭に並んだばかりというコイツが私を待っていた(これぞ神の思し召し)。アメリカで買い付けてきたばかりというデッドストックものである。

 発売当時の現地価格が$1,199であることから考えても店頭価格は割高であったが、全くの新品は今後まず見つからないであろうことと、今まで中古屋で見てきたものがトレモロ付きばかりで相当程度が悪いにもかかわらず法外な値段をしていたこと(絶対数が少ないから完全に足元を見ている。仕入れ価格は相当叩いているはずのボロギターでも目ン玉飛び出るほど高い)から購入を決断した。もともとトレモロ付きでないものが欲しかったし(やっぱりFRTだとニュアンスが出しにくい)、できればフェラーリ・レッドが・・・なんてことにはこの際目をつぶった。

 ショーン・ギターだからといってもちろんニールのハンドメイドってな訳はない(ブライアン・メイじゃないっての)。ニールのアイデアをJACKSONで具現化したものでBODYデザイン以外はいわば既製品。 ヘッドデザイン、スルーネック、PU&サーキットはJACKSONそのものである。

 −「誰もがレス・ポールやストラトのコピーをしていて、それを見ているのがつまらなくなってきた時に、自分の頭に新しいギターのデザインがあった。ギターを弾き始める前はそもそもアーティストでもあったし、線を引くのはお手のものだったんだ。オリジナルのあのデザインが完成するのに2年かかったよ。弾き心地もサウンドも最高だと思うし、幅広い音が出せるギターだ。ストラトやレス・ポール、それにSGのような音も出せる。」−(86/11のGM誌のインタビューより。横内健亨氏によるチェック&レポートもあり。) ギターを弾き始める前って10歳ぐらいの頃だろ、アーティストって言われてもな〜(笑)

 メイプルのスルーネックの両サイドにアルダーのウイングが付けられてBODYがかたちづくられている。BODYでのメイプルの幅はちょうどPUのアンダープレートと同じぐらいの幅があるため、見た目より結構重量がある。ネックはJACKSONらしく幅広であり若干薄目だがアメリカ人ならジャストフィットというサイズで慣れるまですこし時間がかかる。ジャンボフレットの採用も同様。エボニーの指板は12フレットのみにインレイが入れられているシンプルなもの。JEM−10THのようなTree of Lifeのインレイもポジションが把握しにくいが、このタイプも判りづらい。ナットはカーボン製。25 1/2のロングスケールで24フレットは珍しい。

 BODY TOPにある印象的なテイルピース(?)はニール所有のフェラーリ・テスタロッサのサイド・エア・インテーク(MID-SHIPエンジンへの空気吸入口)のデザインからニールがインスパイアされたもの。弦はテレキャスターなどと同じ裏通しのタイプ。このテールピースの位置は低音弦になるほどテンションが稼げるし、デザイン的にも○である。ただテスタロッサというよりは60年代アメリカン・カーで多用されたクローム・パーツを想像させる。

 PUは前後ともJACKSON製のJ-85でアクティブサーキットJE-1000でコントロールされる。J-85はアルニコVを使用し微かなヴィンテージ臭を残しながらもパワー化した80年代らしいPUでプリアンプJE-1000によってゲイン・ブーストすることができる。ピックアップセレクターは5ポジションでそれぞれのPUがハムバッカーとして機能する2つのポジション以外はシングルPUのコンビネーションとなりハーフトーンも出せる。2HBタイプのほかにSSHタイプもあり。シングルPUはニールとJACKSONの共同開発したものらしくポールピースの見えないタイプ。

 ブルーのフィニッシュは厚めのポリエステルでホワイト・ピックガードとの組み合わせは相当おもちゃっぽい雰囲気が漂う。ニールはFRT付きのイエローをメインとして使用していた。(BAD ENGLISHの頃)
 テイルピースがブリッジから離れているのでより一層ブリッジ自体が華奢に見える、見た目はFRT付きのほうがメカニカル感がUPしてベターかも。

 JACKSONというと派手なペイントの変形ギターでHR/HM専用というイメージが強く、どうせサウンドもクセのある使いにくいギターだと思い込んでいた。そのためこれまで手にしたことがなかった(所有のフィル・コリンモデルは日本製しかも90年代で本物のJACKSONとはいえない)。はじめて弾いてみてそのバランスのよい出音におどろいた。低中音域はスムースで高音域もしっかり出る。スルーネックで魅力的なサウンドを出すものはこれがはじめてである。JACKSONが高価であるのは決してペイント代がかさむからじゃなかった。ヴィンテージ・レスポールやフェンダーのサウンドの魅力とは全く異なるが目標とするサウンドを出す為にすべて理詰めで設計されPUまでも自社開発するというメーカーの姿勢がすばらしいギターを生み出している。すぐに有名リプレイスメントPUを載せたがる国産メーカーにもぜひとも見習って欲しい。ヘビメタ野郎以外も80年代JACKSON USA未体験の方はぜひ一度おためしください。(な〜んて生意気。本物のJACKSON FANにショーンギターはホントのJACKSONじゃないよなんていわれそう。)

 SCHON GUITAR社は理由についてはよく知らないが数年でポシャッてしまい、ニール自身も現在では所有機の大半を手放してしまった。86年〜90年代中ごろまでの10年間に渡り使用された。



追記/97年3月号のPLAYER誌のロック○ンの広告にフェラーリ・レッドのNS6発見。販売価格はナント43万円、どひゃ〜。たしかに魅力的な色だけどこの値段で買った人ほんとにいるのかな〜。上にも書いたけど現地価格1200ドルなんすから。ボリ過ぎだぞロッ○イン。(2001.12.31)

 −ピーク・セレクト・スイッチ−
 1は高域、2は中域、3は低域を強調するスイッチで計8パターンのセッティングが可能。
 −ゲイン・トリムポット−
 ゲイン・ブーストを0(1:1)から10(1:4)まで調節することができる。(2003.03.07)

 

ニールはブルーも使っていたんですね
結構うれし〜



Nealが80年代に所有していたSchon Guitarたち
(なんでブルーだけないんでしょうか)
今ではほとんどを手放してしまった


SCHON GUITARのサウンドが
30min楽しめるプロモビデオ
ヒョコヒョコ出てくるGALも◎

89年にYG誌で
自分のエンドース機を持って対談
 互いのギターを誉めあったりして
かわいいもんだ