對照表騷動:覺え書き

はじめに

經緯とそれらの感想(ボヤキとも云ふ)をごく簡單に記したもの。後日書き加へてゆきます。

經緯

發端

最初は『闇黒日記 平成14年2月28日』經由で知つた。

2002年2月2日・3日
「東雲&東風フォントの全貌」で古川さんにチラリとご紹介頂いていたクワクチヤウWatanabe明朝プロジェクトの挫折もしくは潜行についての小文を今ごろこのような形で紹介してみようと思い立ったのは、JIS漢字の性質やウェブページの性質について理解なさっていないように思われる“正字正かな関係者”が作成した「今昔文字鏡による正字と新字の対照表」を、JIS漢字の性質について理解なさっていないように思われる“正字正かな関係者”が労作と評されていたことに対する罵倒として機能することに気づいたから。明朝体活字における新字体字形と正字体字形の対照を行うとか「文字鏡書体における新字体字形と正字体字形の対象」ならばまだ話は理解できるけれども、どんなフォントでレンダリングされるか判らない文字符号(で示した字体)と「文字鏡書体」を比較して何になるというのか、小一時間(以下略)。

闇黒日記』平成14年2月28日より

吃驚した。そりやあ、確かにJIS 漢字の性質やウヱブペイジの性質について理解してゐないのは事實だけれども。

そして管理人の野嵜さんはこのやうに答へてゐる

img要素のalt屬性の値に扱(新)とか扱(旧)とか記述すればそれで良いのかと言へばさうでもあるまいなどと思つたり思はなかつたり。

と言ふか、今昔文字鏡による正字と新字の對照表【ア行】は「テキストと畫像を比較してゐるものである」と見るのがウェブの常識なのですか。

ウェブで文字の話をするのは無理であるか無駄であるかするらしい。「言葉 言葉 言葉」を疊めと云ふ事ですか、内田さん?

文字コード關係の事に口うるさい連中は、どうして一々嫌みたらしいんだらうね。正字正かな關係者のリソースにつけるけちのつけ方が冷たい感じなのは、表記の事なんざどうでも良いと連中、思つてゐるからだらう。

もつとも、正字正かな關係者の多くがオヤヂで、技術方面の話から取敢ず逃げようとする傾向があるのも事實。

野嵜さんにとばつちりを喰らはせて了つたやうで申し訣ないです。

實年齡からすれば、まだおやぢではないのですが、確かに技術方面(日本語方面も!)は全く得手ではありません。どうしても後手々々に廻つて了ひます。

翌日(3/1)

ペトロニウスさんの日記を讀み勵まされる。

どんなフォントでレンダリングされるか判らない文字符号(で示した字体)と「☼☽」の内田氏は主張されてゐるみたいですね。一面においては間違ひではないのでせうが、文字コードには例示字体と云ふものがあります。JIS第1水準漢字には、「当用漢字」が全て載つてゐますが、其の例示字体は「当用漢字字体表」に掲げられた字体になつてゐます。

何処かの誰かがこの例示字体から若干外れた書体でフォントを作成されようが、其れが其の侭、例示字体まで改変を加へたとは言へないでせう。唯、「かう云ふ風に表示させる事も出来ますよ」と云ふ事を表したに過ぎません。

「ウェブの常識」とは言ひますが、私は今迄、規定された文字コードの例示字体が基本だと思てゐました。又は、総論と各論を混同されてゐるとも申せるでせう。

何かの日記』所載、H14-03-01「ウェブの常識」より

後日談

ところで、その内田氏の問題の文章が無くなつてゐた。(3/2 時點)

2002年2月2日・3日: 「東雲&東風フォントの全貌」で古川さんにチラリとご紹介頂いていたクワクチヤウWatanabe明朝プロジェクトの挫折もしくは潜行についての小文を今ごろこのような形で紹介してみようと思い立ったのは、 何かの気の迷い

☼☽

氣の迷ひで許されるのなら(以下略)。

そして、翌日『闇黒日記 平成14年3月2日』にて以下の書き込み。

この筆者は、扱(旧)なる文字列と扱(新)なる文字列とを比較してゐるらしい。或は、扱(旧)なる文字列は旧字であり、扱(新)新字である、と主張したいらしい。

平成14年5月2日

内田 明さんから、メール『修正された「対照表」について』を頂きました。許可を得てゐますので、こゝに転載します(マークアップは舩木による)。

舩木様、はじめまして、“騒動”の内田明と申します。

Googleでの検索にて舩木様が「弁明」をなさっていたり、その後対照表を修正なさっていたりすることを知りました。

かつて私が野嵜さんを挑発しつつ舩木様に対して無視を決め込んでいた理由である、後述の“道義的問題”についてもご自身でお気づきになられたようなので、メールをお送りしようと考えた次第です。

さて、一般に、

ならば文字符号で指し示しておけば読み手にも区別が可能ですけれど、

については、双方を画像化するなどしなければ、本質的に、区別ができません。

かつての舩木様の「対照表」にはそのような“技術的問題††”が存在したわけですが、現在は、後者の字種/字体について双方を文字鏡画像で示すよう改訂されておいでなので、技術的問題は解消されております。文字符号で区別可能な字種/字体まで画像化する必要は、全く、ありません。

舩木様の「対照表」が、『旧字旧かな入門』の著者をはじめ、ウェブで「対照表」を利用する可能性がある全てのユーザに対して舩木様ご自身が胸を張って差し出せるようなものに育っていくことをお祈り申し上げます。

道義的問題
「今昔文字鏡による正字と新字の対照表【ア行】」は、良く言って《『旧字旧かな入門』からの引用以外にさしたる内容を持たないコンテンツ》、普通に言えば《対照表のつくりまで含めて単なるパクリ》にしか見えない。
††技術的問題
“新字新かな”であろうと、“正字正かな”であろうと、変体仮名や合字(連綿体ではなく活字1文字の「こと」・「より」など)が乱舞する表記であろうと、計算機の力を借りて自分で書いた文を自分でウェブや紙束にて publish する場合、編集者や組版担当者、印刷業者など《著作物を publish できるように著作者をサポートする仕事のプロ》の助けを借りることができませんから、いきおい、文字符号やフォントや publishing language 等の仕様もしくは性質について多少なりとも著作者自身が理解しておく必要があると私は感じています。
恐らく、MS明朝やMSゴシック、あるいはOsakaや細明朝、もしくは平成書体などで「今昔文字鏡による正字と新字の対照表【ア行】」をご覽になるのであろう多くの方は、著者の意図通り、正字と新字が対照されている様を眺められたことでしょう。
けれども、IANA に登録されている Shift_JIS のソースである JIS X 0208:1997 は、例えば《“「区鳥」の鴎”も“「區鳥」の鴎”も同一符号で示す》ことと、《その符号を可視化するフォントをどちらの字体で実装しても良い》ことを定めています。
そのため、常用漢字の字体が新字体であっても“鴎”の類を正字体で実装している「秀英明朝体」や「DFPパブリ」などのフォントが実在し、こうしたフォントで「今昔文字鏡による正字と新字の対照表【ア行】」を眺めると、ナンセンスが出現してしまいます。
“正字”と“新字”の符号が異ならないものについては、双方を画像で示すなどの工夫が必要である――

2002/05/11記す