水道橋で尾道ラーメンを食べる。醤油ベースの、とてもラーメンらしいラーメンを食べたやうな心持ちがした。ところで、近所にもう一店同じ名前の店があるが、そこの味はどうなのだらうか氣になる。
千石の『千石ラーメン』を食べる(そのまんま)。トンコツベースのスープに味噌をもつて加へるのが特徴。たゞしよく掻き混ぜないと、あとで味氣ない思ひをする。
環七沿ひの『江戸つ子ラーメン』を食する。My Best of ラーメン。
環七沿ひの『香味屋』で、香味ラーメンを食べる。
この店は何時行つても滿員で、行列も珍しくないほどのお店なのだが、意を決して入つてみた。香味ラーメンはトンコツラーメンだと云ふのだが、一口食べてびつくり。薄い。凄くあつさりしてゐて、本當にトンコツなのか舌を疑つた。味がしない。でも決してまづいわけではない。不思議な體驗をした。
今日も外食だ。『神田小松屋』で醤油ラーメンを食べる。美味しい。 かういふオーソドックスな東京ラーメンに出逢ふと嬉しくなつて了う。 とても幸せな氣分になる。ちなみにレジスターが澁くて良い。
水道橋驛前の屋臺でラーメンを食する。至福のひとゝきを過ごす。屋臺で食べるラーメンはなぜこんなに美味しいのか。通常の二割増し位は味が良く感じられるよ。
再び『神田小松屋』へ。今日はこつてりラーメンを食べる。これは醤油とトンコツをベースとした味なので云ふほどこてこてとしてはいない。この間の醤油ラーメンと同じトーンを感じた。とても美味しくいたゞきました。ちなみにこゝは遲くまで店を開けてゐるのでありがたい。
巣鴨の『地藏そば』でお晝に醤油ラーメンを食べる。こゝはラーメン屋と云ふより、 ソバ屋さんなので、ラーメンだけ置いてある譯ではない。
かういふ店屋もののラーメンは、 專門店のものと比べ幾分落ち着いて大人しい印象を受ける。 ラーメン一筋といつた氣合ひの入つてゐる店より、 あくまでウチはラーメンもやつてゐますから、 と云ふやうな餘裕が味にでてゐるのだらうか。 こゝではうまく作用してゐるのかとても美味しい。
飯田橋の『びぜん亭』で支那そばを食する。
まづ店構へにびつくり。小料理屋のやうな粹な和風の建物。一階のウナギの寢床のやうな狹いカウンタを拔け、二階のテーブル席がまた狹くて澁くて良い。眼福々々。注文する前から雰圍氣に醉つて了ふ。
そしてラーメンでなくあくまで支那そばである。今日び支那なんて、シナ海とかシナチクとかシナトラ(お約束)とかしかお目にかゝれない言葉である。
醤油ベースのスープ。最初見た時鹽つぱいのでは、と危惧したが、食べ進むにつれ麺とスープが馴染むことによつて、それが全く氣にならなくなるから見事である。支那そばの王道。その名に耻ぢないクラシックな最高のラーメンでした。
私に初めてラーメンの奥深さを教へてくれた(そしてラーメン巡りをするきつかけを與へてくれた)常盤台の『球磨つ子』が潰れてゐた。I can not stand it !
江古田の『藏太鼓』で喜多方ラーメンを食べる。今まで意識して食べたことはなかたつが、喜多方というのは、かなり幅廣のちゞれ麺だ。けつこう味は濃いが普通の醤油ラーメン。
環七沿ひ(姥ケ橋)の『江戸つ子ラーメン』を食する。この頃美味しいラーメン屋に通ふたびいつも、ひよつとしたらもうこゝの『江戸つ子ラーメン』を美味しく感じられなくなるのでは、と云ふ危惧に見舞はれるが、一口スープを啜れば一氣に私の氣苦勞を一蹴してくれる。決して期待を裏切らない味。
同じく環七沿ひの東京トンコツ『ラーメンとんちゃん』へ。實はこの店には苦い思ひ出がある。以前こゝの暖簾をくゞつた時、私は何の氣なしにとんこつ味噌大盛りを注文した。そして眼前にドンと置かれたラーメンを見て仰天した。これはドンブリなのか!私の目の前には洗面器大の大きさのドンブリが鎭座してゐた(やうに見えた)。幾ら大盛りとは云へこの予想外の量の多さには完全に不意を突かれた。自分はこのラーメンを食べ切ることが出來ないのではないか?今まで數へ切れぬほどのラーメンを食べてきたが、食前からそんな疑念を浮かばせるラーメンにはお目にかゝつたことがない。
そこから先のことはよく覺えてゐない。何とか食べ切つた記憶はあるのだが。しかしこのラーメンがいつたいどんな味だつたのやらさつぱりだ。そして再び私はこゝの暖簾をくゞる。(續く)
(續き)一敗地にまみれた私は、再びこゝの暖簾をくゞつた。
前囘の轍は踏むまいと、けふは普通の豚骨醤油ラーメン(竝)を注文した。見慣れた大きさのドンブリ、普通のこつてりとした味のラーメンが出てきた。可も不可もない印象、一通り平らげて店を後にする。
…何か釋然としないものを感じる。ひよつとしてまた私は敗れたのか。
『江戸つ子ラーメン』でゴマ味噌ラーメンを食する。冬はやつぱり味噌ラーメンだ。コテコテ感がたまらない。食後の歸り道、吹き荒ぶ寒風も氣にならないね。
本郷三丁目の『末廣』で味噌ラーメンを食べる。こゝは色々なメニューがあつて目移りして了ふが、どれも美味しい。たゞ味噌ラーメンと云ふのはどれもけつこう味附けがコテコテしてゐるから、食べ比べを樂しむのには向いてゐないかもしれない。
常盤台の『味噌一』で味噌ラーメンを食する。專門店だけあつて見事な味。トッピング(卵やメンマ)がカンパで支拂はれるのは初めてだ。「味噌は身礎である」と云ふコピーとその由來を讀む。なかなか氣合ひが入つてゐる。
それにしても私の味噌ラーメンを形容する單語は、コテコテとかこってりの二つしかないのが情けない。尤もそれは味噌ラーメンの味をまだ掴みかねてゐる所爲でもある。醤油やトンコツに關してなら大まかであるが、私の中にスタンダードと云ふか「日本ラーメン水準原點」みたいなものがあつて、それを頼りに判斷出來る。しかしいまだ味噌ラーメンはよく分からない。
さう云ふ意味でこゝは、私が考へてゐる味噌ラーメンに一番近いところにあるのではないか、と思つてゐる。
新庚申塚の『映月軒』で特製ラーメンを食べる。不思議な味。すごくあつさりしてゐるのにとても豐かな風味。一歩間違へば、薄いだの、味氣ないといつたふうにとられて了ふかもしれないが、これは微塵もそのやうな危惧を感じさせない。たとへるなら、水のやうな(勿論滋味豐かな)ラーメンと云へるだらうか。氣が附いたらもうドンブリが空になつてゐる。何杯でも食べられさうだ。最近コテコテなラーメンばかり食べてゐたからすごく新鮮だ。
實はこの店は JAZZ を流すラーメン屋として有名らしい。店の前で思はず襟を正して了つたが、暖簾をくゞつてびつくり。店の片隅にある大きなスピーカーから落語のレコオドが流れてゐた。古今亭志ん朝の『富久』だよ。おい、久藏、火事だよ!
と威勢のよい志ん朝の聲に醉ひしれ、ついつい聞込んで了ふ。數多のラーメン屋を廻つたけど、落語聽きながらラーメン食べたのは生まれて初めてだ(そして何とその心地良いことよ)。結局そのまゝ酒飮みながら片面聞き通して了つた。
とある中華料理店の「臺灣燒きそば」を食べる。いざ目のあたりにして驚いた。燒きそばと聞いてゐたのだが、妙に眞つ赤な色をしたスープに浸けられてゐた姿を見て、どちらかといふと長崎ちやんぽんに近いものかも知れないと思つた。そして一口。…。豫想どほりの無茶苦茶辛いスープだつた。中華特有の豆板醤系の辛さだ。でも慣れると妙に美味しいのだけど、矢張り辛い。
それとこの味附けにしては、量が結構あるやうな氣がする。食べても食べてもなくらないので困惑した。外國の料理と云ふのは、當然その國なりの味附けや分量があるのだらうけど、日本にくらべるとやはり何かが過剩と云ふか違ふものを感じる。
結局スープは飮み干せなかつた。飮んだら夜眠れなくなりさうだ。
『江戸つ子ラーメン』を食べる。最早私にはなくてはならない存在になりつゝある。かういふとき言葉は無力だと思ひ知る。傳へる術が何もないときには。しかし言葉は何を傳へることが出來るのだらう。
本郷三丁目の『福のれん』で味玉ラーメンを食する。こゝは博多トンコツ專門店。一時通ひ詰めたくらゐのお氣に入りの店である。
一番の特徴は麺だといへる。平べつたくまたすごく細い麺である。あたかもそこでは足し算ではなく、乘法が行はれてゐるかのやうに、この獨特な麺とトンコツ白濁スープが組み合はさることによつて、それぞれ單獨では出し得ない豐饒な味はひを生み出すことに成功してゐる。麺とスープのマッチングといふ點では私の知る限り隨一の味であると思ふ。
ときどき替玉無料サァビスが行はれる點も見逃せない。
大和町の『らーめん山田屋』で山田屋ラーメンを食べた。トンコツラーメン。しかし麺が矢鱈太いので、これ東京トンコツなのかなあと戸惑ふ。勿論美味しいのだが。今度は極細麺で挑戰してみやう。
ちなみに店の前に張られてある埀れ幕に「魚沼産のがんこおやぢ」と記されてあるが、どのあたりがいつたい魚沼産なのか氣になる。
同じく大和町の『角煮そば本舖栄二』へ。
角煮を“つのに”と呼ぶことは流石にないが、いつたい何の角煮なのかが、よく分からないと二の足を踏んでゐるところだ。むろん想像どほりの豚の角煮だつた。
トンコツラーメンに角煮を乘せてゐる。もう胸燒けするくらゐこてこてしてゐるのではないかと危惧したが、意外とすんなり入る。さらにスープに舌をつけたとき、今までのトンコツラーメンでは全く味はへなかつた風味を感じて驚いた。私はウンチクグルメ漫畫の主人公ではないので、壁に掛けてある能書きで確認した。トンコツだけなく、貝柱、あさり、煮干しといつた海産物を用ゐてゐると知つて、成程合點がいつた。これだけの食材を使つて、オルケストラのハーモニーのやうに、キチンと味をまとめ上げてゐるのにとても感心しました。
家で沖縄そばを食する。まづ麺の太さに驚く。うどん(ほうたうに近いかも)のやうな、太く平べつたい麺である。スープはあつさりとした鹽味で具に角煮を乘せる。非常に食べやすいので、氣にいつた。今度はお店で味はつてみたい。
今囘は水道橋の西口の方の『尾道ラーメン・麺一筋』へゆく。例によつて「魂のラーメン」を食べる。素晴らしい。これが尾道ラーメンと云ふものか。スープは醤油ベースに小魚などを組み合はせてゐるので、見た目よりくどくなくあつさりしてゐる。そしてこのスープの爲にあるやうなちぢれ麺。すごくバランスのとれたラーメンだ。それから餃子が小龍包みたくて良かつた。一口で食べるのに實に手頃な大きさだ。
印象に殘つたのは、次のお店。
番外で、水道橋の屋臺。最近あつさりした醤油味が好みになつてきた。