似非職人工房

■MEGA-SCSIで何ができるのか(全6回)
文:
似非職人工房 柏崎 太郎

草の根ソフトハウスSYNTAXさんが発行するMSX情報誌「MSX PRESS」で連載されていた同名のコーナーをWeb化したものです。


MEGA-SCSIに関するお問い合わせは、90円切手を貼った返信用封筒を同封の上、似非職人工房までどうぞ。

〒285-0836
千葉県佐倉市生谷1566-374 柏崎太郎 方 似非職人工房


第1回 MSXとSCSI

MEGA-SCSI
MEGA-SCSI カートリッジ

似非職人工房では、MSX用SCSIカートリッジ、“MEGA-SCSI製品版”を200名を越えるMSXユーザーの皆さんにお届けしてきました。連載第1回の今回は、MSXにMEGA-SCSIを導入する事の意味とその必要性について考えてみたいと思います。

MEGA-SCSIとハードディスクやMO、Zipなどを導入すると、フロッピーとは比べ物にならないほど高速・大容量のディスク環境を手に入れることができるので、膨大な量のプログラム、画像データの製作、編集や管理に威力を発揮します。また、CD-ROMやスキャナなどのSCSI機器を導入すれば、さらに強力なソフトウェア開発環境を構築することができます。

しかし、多くのMSXユーザーの側から見るとハードディスクやSCSIはまだ普及している周辺機器とは言えません。したがって、“要ハードディスク!”といったソフトを作成しても、全てのMSXユーザーがその恩恵にあずかれるというわけではありません。(もちろん、そういったソフトを否定するつもりはありませんし、筆者もそういったソフトの製作に興味はあります。)

ですから、MEGA-SCSIの“効能”は、今の時点では

  • フロッピーでの管理が大変になってしまったデータの整理に役立てる。
  • 従来の環境で動くソフトを、より効率的に製作し、効率化によって得られた余力を作品のクオリティ向上のために使う。

などのこと程度しかないのかもしれません。もちろん、MSXユーザーの多くにハードディスクやSCSIが普及したとすれば話は変わります。

以上の議論から考えると、必ずしも全てのMSXにハードディスクやSCSIが必要ということはないのかもしれません。しかし、MEGA-SCSIを導入する事によって、MSXの活用法が大きく広がることも事実です。次回以降は、MEGA-SCSIによって広がるMSXの活用法について説明したいと思います。

iroiro
MEGA-SCSIとハードディスク、Zip、
CD-ROM 2台、テープドライブ、スキャナ
次回予告 “SCSI機器いろいろ”…MEGA-SCSIには、ハードディスクに限らずいろいろなSCSI機器を接続して使用することができます。

第2回 SCSI機器いろいろ

皆さんこんにちは。連載第2回目の今回は、MEGA-SCSIで使用できるSCSI機器の紹介と、その特徴についてお話ししたいと思います。

  • ハードディスク、Zip、MO、PDなど
  • Zip
     Zipドライブ

    主にデータ保存のために使われる、最も一般的なSCSI機器です。これらを大きく分類すると、ハードディスクに代表される固定ディスクと、Zip、MO、PDなどのリムーバブルディスク(媒体の交換が可能なディスク)の2種類に分けることができます。

    ハードディスクは、ディスクの交換ができない代わりに、大容量で非常に高速の製品が出ています。現在一般的に売られている製品は、1GB(=1000MB)以上の容量のものがほとんどです。

    リムーバブルディスクは、フロッピーのようにディスクを交換することができるディスクです。ディスクの容量が足りなくなった場合には別のディスクに交換することにより、手軽に大容量を得ることができますが、速度の面ではハードディスクにやや劣ります。

    リムーバブルディスクの中で最近おすすめなのは、Zipドライブです。ドライブが安価(約二万円)で、MOやPDと比べて高速アクセスが可能です。



  • CD-ROM
  • CD-ROM
     CD-ROMドライブ

    MEGA-SCSIには、CD-ROMドライブを接続して使用することもできます。

    MSXにおけるCD-ROMの活用方法ですが、MSX用のCD-ROMソフトはあまりありませんので、データ集CD-ROMや他機種(Windowsマシン、サターンなど)用CD-ROM、フォトCDなどからデータを入力(データインポート)して使用する事が主になります。

    こういった使用法は、現在の時点ではあまり一般的ではありませんが、今後、データインポート環境が整備されるにつれて使い道が多くなるでしょう。



  • イメージスキャナ
  • scanner
    イメージスキャナ 

    エプソンから発売されているGT-5000などのスキャナを使用して、写真やイラストを高品質カラーでMSXに取り込むソフトが現在開発されています。(完成次第、ユーザーの皆さんにお届けします)

    画像の拡大・縮小や縦横比および色や明るさの調整が自由にできるので、今までのハンディスキャナでの作業と比べて、取り込み→補正のプロセスを大幅に簡略化することができます。

    次回予告 “仮想FDでゲームをする”…大量のフロッピーのゲームやその遅さに悩まされている方は多いと思います。MEGA-SCSIの仮想FDモードを使うと、こういった悩みが一気に解決します。



    第3回 仮想FDでゲームをする

    仮想FD

    皆さんこんにちは。今回は、MEGA-SCSIの大きな特徴の一つである、仮想FDモードについて解説します。

    仮想FDモードとは、文字通り、ハードディスクにコピーしたフロッピーディスクのデータを、あたかもフロッピーを扱っているかのようにアクセスする機能です。仮想FDモードでは、MEGA-SCSIはフロッピーディスクインターフェースになりすまします。

    フロッピーへのアクセスがあった場合には実際にフロッピーにアクセスするのではなく、ハードディスク上のデータ(イメージファイル)をアクセスします。(図1、2)仮想FDモードによって、フロッピーではアクセス速度が遅くて投げ出してしまったようなゲームなどを、ハードディスク上で快適に遊ぶことができます。

    仮想FDモードは、フロッピーの動作をまるごとエミュレートするので、フロッピー上のファイルをハードディスクにコピーしただけでは動かないようなソフトでもハードディスクにインストールして遊ぶことができます。ただし、コピープロテクトのエミュレート機能はないので、コピープロテクトのかかったソフトはプロテクトを解除してからでないと仮想FDモードで動かすことはできません。

    また、イメージファイルを通常のDOSやBASICで使う一つのドライブとして割り当て、イメージファイル内のファイルの読み書き、編集をすることもできます。 ちょうどUNIX(ワークステーション等で使われているOS)でいうマウント機能のような感じです。


    プリメ娘
    仮想FDでプリメも快適! (元から速いけど)

    ブランクディスクをイメージファイル化したものをこの機能で割り当てると、以前フロッピー上で行っていた同人ソフトなどのマスターアップ作業(完成したプログラム、データをフロッピーにまとめ、販売できる形にまとめる作業)をハードディスク上で行うことができ、とても便利です。(最後に、マスターアップの終わったイメージファイルをフロッピーに書き戻し、デュプリケートを行います)

    次回予告“ビデオ録画” …MEGA-SCSIとソニーのビデオデジタイザを使用して、テレビやビデオの映像と音声をリアルタイムでハードディスクに録画・再生することができます。次回はこのビデオ録画の活用法と可能性について解説します。


    第4回 ビデオ録画

    ギガデモ
    メガデモを越えたギガデモ

    みなさんこんにちは。この連載もようやく折り返し地点を迎えることができました。北風吹きすさぶ今日この頃のMSX界ですが、似非職人工房はこれからも頑張ります。

     さて、今回はMEGA-SCSIを使用したビデオ録画について解説します。

     ビデオ録画と言っても、別にMSXで録画予約をするとかいった事ではなく、MSX turbo Rとソニーのデジタイザを用いて、MEGA-SCSIに接続したハードディスクに、動画と音声をあたかもビデオを録画するようにリアルタイムで記録、再生する事です。

     このビデオ録画再生を行うプログラムは、EVA(Ese Video Authorizer)と名づけられています。このプログラムでは、128×106ドット、秒間10ないし12コマの動画と、15.75kHzの音声を同時に記録再生することができます。

    Tilburg
    Tilburgイベント会場

    このプログラムを応用して、動画とCDの音声を同期再生させるデモンストレーション(通称ギガデモ)が作られました。このギガデモは、オランダTilburgでのMSXイベントにて大きな反響を頂きました。また国内の各種MSXイベントでも展示をしているので、ご覧になった方もおられるでしょう。

    また、サターンなどの次世代ゲーム機用のCD-ROMに入っているシネパック形式の動画データをEVA形式に変換するプログラムがあります。(めらまん氏作) これを利用すると、ゲーム内で使用されているアニメシーンをMSX turbo R上で鑑賞することができます。話しによると、コンバートしたデータでディスクが一杯になって困っている人もいるとかいないとか。

    次回予告“似非RAMディスク”…MEGA-SCSIに内蔵されている、似非RAMディスクの活用方法について解説します。

    第5回 似非RAMディスク
    第6回 これからのこと

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