霊媒師の母子


 透真(とうま)は、正座をして精神を集中させていた。
 目の前には火の付いたロウソクが置かれてある。
 それに息を吹きかけたり、風を起こしたりせずに消すのが透真のやるべき事だった。
 本来そのような事は不可能だろう。
 だが透真には出来るはずだった。
 何故ならそうした不可思議な力を持つ血筋に産まれていたからだ。
 実際透真の母は視線を向けるだけで火を消せるのである。
 しかしそれは能力の一旦であり、本質はもっと違った事に作用する力だった。
 霊媒だ。
 科学では解明出来ない不可思議な現象を解決する力であり、透真の家はその能力を代々受け継ぐ血筋だった。
 長男として産まれた透真も、当然のごとくその能力がある事を求められ、幼い頃から修行を行ってきた。
 だが天才と呼ばれる母とは異なり、十一歳になる現在も能力は大して使えなかった。
 こうしてロウソクの火すら消すのに苦労しているのだ。
(く……消えろっ……)
 心の中で強く念じると、目の前の火は微かに揺らいだが、消えるほどの影響は起きない。
 さらに意識を集中し、強く念じるが、やはり火は揺れるだけで消えなかった。
 もっと強く念じ、霊媒としての力を発揮しなければ火は消えないのである。
「そこまで……今日はこれで終わりにしましょう」
「……はい……」
 母の言葉に体から力を抜く。
 今日も昨日と変わらなかった。
 このまま自分は、ロウソクの火すら消せないで大人になってしまうのではないかと思うと暗くなる。
「あまり思い悩むのはおやめなさい。内へ内へと意識が籠もりすぎると、能力は発揮されにくくなりますよ」
「はい。すみません……」
 そう謝りつつ、近くへやって来た母に視線を向ける。
 そこには三十三歳になる美しい姿があった。
 整った顔立ちに腰までの長い黒髪、身に付けているのは透真と同じ修行用の白衣と袴であり、それが実に似合っている。
 母は幼い頃から透真の憧れだった。
 何しろ親族の中でも飛び抜けて能力が高く、世間にもかなり名が知られているほどの霊媒師だからだ。
 自分と同じ歳の頃には、すでに多くの霊を祓い、天才少女として名を馳せていたらしい。
 日本中の霊媒師から敬われるほどの母に、息子というだけで修行をつけてもらっている自分は何と幸せなのだろうと思う。
 透真が修行に必死になるのは、無論己を成長させるためであったが、憧れの母に喜んでもらいたいという想いも強くあった。
 そして成果が出せない事で苦悩するのも、母を悲しませるのが嫌なためだった。
「今日はもう風呂に入って体を休めなさい。いつまでも思い悩んではなりませぬよ? 透真さんはそうした癖がありますからね」
「分かりました、母(はは)さま……」
 透真が答えると、母はにこやかに微笑み、修行場から去っていった。
 一人になった透真は、大きく息を吐き出して今日の修行を振り返った。
 思い悩んではいけないとは言われたものの、どうしても悩んでしまうのだ。
(こんなんじゃ駄目だ……また母さまに叱られてしまう……)
 慌てて頭を振り、悩まないように気をつける。
 とはいえ、目の前にあるローソクの火を見ると、己の不甲斐なさに悲しくなるのだ。
 母に叱られるのは悲しかったが、期待を裏切り、失望させるのはもっと悲しかった。
 早く一人前の霊媒師になって母を喜ばせたい。
 透真にとって母は憧れであり、その母に喜ばれる事が一番の願いだった。
 それなのに自分はどうしてローソクの火ごときを消せないのか。
 思わずまた暗くなりそうになったため、再び頭を振る。
(駄目だ……もう考えるのはよそう。母さまの言う通り、風呂に入って忘れるんだ……)
 母の言葉に間違いはないため、自分の修行が上手くいかないのも思い詰めているせいなのだろう。
 もっと気を楽に、前向きに修行に励めば、案外簡単に火を消せるのかも知れない。
 母が言うのだからきっとそうに違いなかった。
 明日からは意識を切り替え、修行を頑張ろう。
 そんな事を考えつつ後片付けを終えた透真は、少しだけ前向きになりながら道場を後にするのだった。


「はぁ……」
 体を洗いながら、何度目か分からない溜息をついてしまう。
 道場を出る時には少し前向きになれた心も、風呂に入って落ち着いてくると、再び暗くなった。
 何しろ忘れよう忘れようと思っても、上手くいかない修行の事は常に透真の心を占めていたからだ。
 毎日同じことの繰り返しで、全く進歩の無い自分は全く情けなかった。
 素晴らしい能力の持ち主である母に指導してもらっているというのに、このままでは申し訳がなさ過ぎた。
 もっと修行を上手くこなし、母に褒められたい。
 先ほど別れ際に見た母の微笑みは、透真にとって何よりの元気の素だった。
 いつかあの笑顔を常に見られるほど優れた霊媒師になれたら……。
 そんな想像をすると嬉しさが込み上げてくる。
 美しい母が自分に対して嬉しそうに笑うのだ。
 それは想像するだに素晴らしい状況だった。
(母さまって、ホント綺麗だよなぁ……って、え……?)
 美しい母の姿を思い浮かべながら股間を洗い始めた透真は、不意に経験した事のない気持ちの良さを感じて驚いた。
 見ると股間の一物が大きくなっており、微妙に痛い感覚があった。
(これ、どうしちゃったんだろ……?)
 不思議に思っている間も肉棒はさらに大きくなり、普段の大きさとは比較にならない巨大な状態になった。
(こ、こんな大きくなってる……な、何で?……うっ……)
 あまりに大きくなった肉棒に驚きつつ、恐る恐る触れた瞬間、体に快感が走った。
 そのまま軽く握り締めると、ゾクゾクする感覚が起きる。
(え? これって……)
 不意に脳内に何かの光景が浮かんだ。
 顔はよく分からないが、母と同じくらいの年齢の女性が裸でおり、傍に自分と同じくらいの少年がこれまた裸でいた。
 二人はそのまま体を重ねて絡み、少年は女性の乳房を揉んで乳首に吸い付いている。
(何でこんな……いやらしいのが……)
 性的な知識の薄い透真にも、それが淫靡な行為である事が分かった。
 そして何故このような事が頭に浮かんでいるのか分からなかった。
 自分はこのようなものを見た事は無かったからだ。
 それなのに何故こんな光景が頭に浮かんでいるのだろう。
(うわ……凄い……)
 やがて脳内の光景は、少年が女性の股にある穴に肉棒を押し込み、腰を前後に動かす状態になった。
 それと共に女性の口から何とも言えない声が漏れ始め、その様子に透真の意識は集中していった。
 何だかよく分からないが、とにかく凄い事をしている感じがしたのだ。
 子供の自分が関わってはいけない、秘められた行為に思えたのである。
「う……」
 不意に触れている肉棒から、たまらない気持ちの良さが走り抜けた。
 一体この快感は何だろう。
 今までこの様な経験は無かった。
 触れているだけで、どうしてこの様な気持ちの良さがあるのだろうか。
「く……」
 そのまま肉棒を握っていると、何やらうっとりとするような快感が起きた。
 その気持ちの良さをもっと感じられないかと思って手を動かすと、徐々に強い快感が湧いてくる。
(はぅっ……何だろこれ?……気持ちいぃ……)
 続けて手を動かしていくと、今まで以上の快感が湧き起こったため、透真は体をビクッと震わせた。
 そうして肉棒を擦り続ける内に、だんだんと何かが体の奥底から湧き出てくるような感覚が発生し、少しした後にそれが一気に爆発した。
「うぁっ……」
 激しい快感と共に何かが肉棒から放たれたのだ。
 最初はおしっこをしてしまったかと思ったが、すぐに違う事が分かる。
 見た事の無い白い液体が肉棒から吐き出されているのである。
 そしてそれが吐き出されるたびに、蕩けるような快感が体中を走り抜けた。
(これって……ああ……凄く気持ちいぃ……)
 うっとりとしながら何度か白い液体を吐き出した透真は、しばらくすると力を抜いて腰を落とした。
 白い液体の放出が終わると同時に肉棒が小さくなっていく。
(今のって……何だったんだろ……?)
 突然起きた己の体の状態に、透真は怖くなりながら小さくなった肉棒を摘んだ。
「う……」
 すると気持ちのいい感覚が走り、脳内に再び女性と少年が絡む姿が浮かび上がった。
 見る見るうちに肉棒が硬く大きくなり、落ち着かない気持ちになってくる。
(また……さっきみたいに……)
 白い液体を出せるのだろうか。
 あの気持ちのいい感覚を味わえるのだろうか。
 透真は頭の中に浮かぶいやらしい絡みに意識を向けつつ、肉棒を掴んで激しく擦っていった。
 よく分からなかったが、とにかくこの気持ちの良さをもっと味わいたかったのだ。
「うぅっ……」
 しばらくするとまた白い液体を放つ。
 快感を感じつつ荒い呼吸を吐いていると、すぐにまた肉棒は硬くなった。
 脳内での少年と女性の行為が終わらないからだ。
 まるで操られているかのようにして肉棒を擦り、少しして白い液体を放つ。
 透真はその行為を何度も繰り返していった。
 そうしている内に、今自分のしている行為が、脳内で少年がしているのと同じ行為なのだという事に気がつく。
 自分は手で、少年は女性の股の穴でという違いはあったものの、肉棒を擦っている点で同じだったからだ。
(僕もああして……入れてみたい……)
 少年が肉棒を押し込んでいる穴は、何とも柔らかそうでヌルヌルしていて、凄く気持ち良さそうだった。
 あそこに入れたらどれほど気持ちがいいだろう。
 自分も同じように入れてみたかった。
 入れて腰を動かしてみたかった。
 透真は少年の事を羨ましく思いながら、何度も何度も肉棒を擦っていくのだった。


 いつもより長い風呂を終えた透真は、寝間着である薄地の浴衣を着て、自分の部屋の布団の上に座り、悶々としていた。
 先ほどの状態が続いていたからだ。
 肉棒を擦るのを何とか止め、自分の部屋へ来たものの、脳内では未だにいやらしい光景は続いていたし、肉棒も硬く大きくなったままだったのである。
 再び肉棒を握り、擦りたかった。
 だがそうしてしまえば、際限なくし続けてしまいそうに思えたため我慢していたのだ。
 一体どうしてこの様な状態になっているのか。
 強い疑問が起きる。
 見た事の無い光景が意識せずとも頭に浮かび、肉棒が信じられないほどの大きさのまま硬くなっている、というのはあまりに異常な事だろう。
(まさか、何か霊の仕業なのか……?)
 すぐさまそうした結論が思い浮かんだ。
 霊媒師を目指している人間が、何かに取り憑かれたなど恥ずかしすぎたが、今の状況はそうとしか思えなかったからである。
 自分は何かの霊に取り憑かれ、自分の意志とは関係なくいやらしい状態にさせられ、肉棒も己の物とは思えないほどの大きさにさせられているのだ。
 そうする事にどの様な意味があるのか分からなかったが、自分に取り憑いた霊の目的は、あの白い液体を吐き出させる事なのかも知れない。
 何しろ透真は肉棒を擦り、白い液体を吐き出したくてたまらない状態だったからである。
 このままではいけないと思いつつ、どうする事も出来ない己を不甲斐なく思う。
 母に知らせれば祓ってくれるだろうが、恥ずかしくて言う気にはなれなかった。
 何より母が落胆するのは確実だろうから、それが酷く辛かったのだ。
 とはいえ、今の状態のままでは自分はおかしくなってしまうだろう。
 何しろ今も無意識の内に手が股間へ伸びそうになっていたからだ。
 それを抑え、頭に浮かぶいやらしい光景から必死に意識をそらしていたのである。
 霊媒師は霊の誘惑に負けない事が大事であり、そうした修行をしてきているとはいえ、この誘惑はかなり強烈であったため、透真は酷く辛い状態だった。
 朝まで何とか耐え続け、そうしたら母に恥を忍んで打ち明けよう。
 透真はそう思いながら霊の誘惑に耐えていった。
「透真さん、宜しいですか?」
(!……)
 不意に声がかけられたため体を硬直させる。
 どうやら母が部屋の外に居るらしい。
 一体急にどうしたのだろうか。
 普段夜に母が部屋を訪れる事などなかったのだ。
 まさか今の自分の状態がすでに知られてしまっているのだろうか。
 それは酷く恥ずかしく、辛い事だった。
「ど、どうぞ……」
 動揺しつつ返事をすると、母は障子を開けて部屋に入ってきた。
 そしてそのまま障子を閉めると、正座してこちらをジッと見つめてくる。
(う……)
 その瞬間、透真は体に快感が走り抜けたのを感じた。
 肉棒がそれまで以上にいきり立ち、ビクンビクンと震えている。
 母の目を見た事で、急にそうした状態になったのだ。
(母、さま……?)
 何かいつもと異なる雰囲気を母から感じ、透真は激しく動揺した。
 母の目が自分の体を見つめると、それに伴って見えない手が撫でてくるように思えたのである。
 体中が母の手によって愛撫されているかの様な錯覚を覚えたのだ。
(!……)
 改めて母の顔を見た透真は慄然とした。
 そこには笑みをたたえて鎮座する母の姿があったのだが、その体からは妖しげな気配が出ており、まるで別人のようだったからだ。
 瞳は淀み、微笑みは強い色香を放っていて、透真の肉棒はそれだけで白い液体を放ちそうな状態になっていた。
(く……母、さま……)
 視線が勝手に動き、母の体を舐めるように見てしまう。
 寝間着として着ている薄地の浴衣は、体の線をよく分からせ、柔らかな肉を感じさせた。
 開いた胸元からは白く大きな膨らみが覗いており、それに思わずゴクリと唾を飲み込んでしまう。
 母の胸など見慣れているはずだったのに、今の自分は物凄く意識してしまっているのだ。
(あれに……吸い付きたい……)
 そんな事を思った自分に驚きつつ、慌ててその考えを振り払う。
 だが脳内で見た少年の行為を自分もしてみたいという欲求が起こり、母の体をいやらしい目で見てしまうのを止められなかった。
「ふふ、透真さん……男の目をしていますね……」
「え……?」
 不意に母が微笑みながらそう言ってきたため驚く。
 意味は分からなかったが、何か内心を見透かされたように思えたのだ。
「母を女として見ています」
 その言葉にハッとなる。
 それはまさに今の自分を表している言葉に思えたからだ。
 風呂に入る前の透真であれば、その意味は分からなかっただろうが、今なら分かった。
 それはきっと「いやらしい目で見ている」という事だろう。
 確かに今の透真は、母を以前とは異なるいやらしい目で見ていた。
 母を母ではなく、自分のいやらしい想いをぶつける対象として見てしまっているのだ。
 目の前の母を、美しい母を、柔らかそうな体をした母を、思い切り自由にし、好きなようにしたらどれほど気持ちがいいだろう。
 激しい興奮が湧き起こり、母に抱き付きたくて仕方がなくなっていく。
「股間の男の子(おのこ)もその様に猛々しく……ふふ、実に立派です……」
 指摘されて視線を向けると、浴衣を押し上げる形で肉棒が屹立しているのが分かった。
 その事に驚きつつ、恥ずかしさから慌てて股間を隠す。
「う……」
 その動きで肉棒が擦れ、思わず呻きを漏らしてしまった。
 先ほど風呂場で味わったものより、かなり快感が増しているように感じられ、それは母が目の前に居るせいではないかと思う。
 何故ならそこに居る母は、普段と違ってあまりにいやらしく、淫靡な魅力に溢れていたからだ。
 それは何とも耐え難い誘惑に溢れた体だった。
 この母をどうにかしたい。
 母に肉棒を擦りつけたい。
 白い液体を母にぶちまけたい。
 透真は落ち着かない激しい衝動に鼻息を荒くし、母の体を舐めるように見つめ続けた。
「その状態では、お辛いでしょう……?」
 母の問いかけにビクッと体が震える。
 そう、辛いのだ。
 この状態は酷く辛いのだ。
 早く何とかしたい。
 して欲しい。
 透真は母にこれを何とかしてもらいたくてたまらなかった。
「その様な目をして……ふふ、大丈夫ですよ。後は母に任せなさい……今、楽にして差し上げますから」
 母は丁寧な口調でそう告げると、ゆっくり近づいてきた。
 そのたびに白い肉がうねり、柔らかそうな体が傍に寄ってくるという現実に、透真は激しい興奮を覚えた。
 だがその一方で、目の前に居る母に対して不審の念もよぎっていた。
 この母は本当に自分の知っている母なのだろうか。
 何しろあまりに普段の母と違い過ぎるのだ。
 強烈な色香を発し、いやらしく自分を見つめてくるその姿は、まるで別人のようだったのである。
 特に体から発せられる「気」が妖しげだった。
 いつもの母からは、凛とした清らかさと力強さを感じさせる清廉な「気」が発せられていたが、今の母からはジンワリとした、触れたら蕩けてしまいそうな淫猥な「気」が発せられていたのだ。
 そのあまりに異なる「気」が、透真に微妙な警戒心を抱かせていた。
「大丈夫……安心なさい……」
 触れんばかりの距離に近づいてきた母は、まるでその事を見抜いているかの様に優しく囁くと、ゆっくり手を背中に回して抱き締めてきた。
「あ……」
 温かな、そして柔らかな感触が広がり、体中に快感が溢れる。
 何という気持ちの良さだろう。
 透真は自分の小さな体が、母の柔らかな肉体に包み込まれるのにうっとりとなった。
 まるで体が溶けてしまったかのような一体感があったのだ。
 周囲の肉が動いて擦れるたびに、蕩けるような快感が走って力が抜けていく。
「透真さん……すっかり大きくなって……立派ですよ……」
 ピッタリと体がくっつき、その状態でギュッと抱き締められると、一瞬意識が遠のきそうになる。
 肩の上に母の顎が乗っており、微かな呼吸音が聞こえるのに激しい色気を覚えた。
 胸に二つの柔らかな膨らみが当たっているのが感じられ、肉棒がさらにいきり立つ。
 母の柔らかな肉に強く押しつけられている肉棒は、たまらない快感を感じさせ、透真はその今まで経験した事のない蕩けるような気持ちの良さに、自分がおかしくなるのではないかと思った。
「これから母が、あなたを楽にして差し上げますから……」
 一旦体を放し、正面から見つめてきた母は、妖しげな微笑みを浮かべながらそう告げてきた。
 その潤んだ瞳は、まるで透真を吸い込むかのような印象があり、全てを委ねたくなってくる。
 いや、もう委ねてしまっているのだろう。
 何しろ先ほどまであった警戒心は、今やすっかり無くなってしまっていたからだ。
 この母が何かに取り憑かれていようが構わなかった。
 こうして母に抱き締められ、体をくっつけている事は透真にとって何よりの幸せであり、それ以外何も要らなかったからである。
「母さま……」
 快楽と幸福感で一杯になりながらそう呟くと、母はニコリと微笑みながら透真の浴衣の前を開き、下着を外した。
 ブルンっと勢い良く肉棒が立ち上がり、ビクンビクンと震える。
 すでに我慢の限界にきているらしい肉棒は、風呂場で見た時よりも巨大になっていて、強い痛みを感じさせた。
「立派ですよ……このような立派な男の子(おのこ)のお世話が出来るとは、母は誇らしいです……」
 顔を肉棒に近づけながらそう呟いた母は、上目遣いに微笑んだ。
「う……」
 その母の表情がたまらず、心臓が激しく鼓動し、肉棒が大きく震える。
「母さま……」
 もうおかしくなりそうだという気持ちを込めて呼びかけると、母は優しげに微笑みながら、肉棒にゆっくり手を伸ばしてきた。
「焦らしすぎましたね……ふふ、すぐに楽にして差し上げますから……」
「うぅっ……」
 母の柔らかで温かな指が肉棒に触れた瞬間、たまらない気持ちの良さが走り、透真は体を震わせた。
 自分で触れた時とは比べものにならない快感があったのだ。
「このように硬く、大きく……本当に素晴らしい……透真さん、あなたは母の誇りです……」
 肉棒が柔らかな手のひらに包まれると共に、温かな感触が股間に走った。
 そのまま母の手が上下に動き出し、それに合わせて強い快感が押し寄せてくる。
「はぅっ、うっ!」
 数度動かされた後に、透真は白い液体を放った。
 自分でしている時はもう少し出さないでいられたのだが、母の手の感触はそれを許してはくれなかったのだ。
 ドクドクと勢い良く迸っている白い液体をジッと見つめながら、先ほどまでより気持ちの良さが強くなっている事に驚く。
 やはり母に出してもらったからだろうか。
「ふふ、このように沢山……ですがまだまだですね……透真さんはもっと出来るはずです……」
 霊媒師の修行の時によく口にする言葉を言いつつ、母は指に付いた白い液体を舐めている。
(母さまが……僕の白いのを……)
 己が出したモノを母が舐めている事に、透真は激しい喜びを覚えた。
 よく分からなかったが凄く嬉しかったのだ。
 そう思っていると、ムクムクと再び肉棒が硬く大きくなった。
「回復力も素晴らしいです。これなら何度でも出来ますね……では今度はもう少し我慢してみなさい。そうすれば気持ちの良さが長く続きますから……」
「は、はい……」
 透真が返事をすると、母はうっとりとした表情で肉棒を見つめながら、ゆっくり顔を近づけてきた。
 そのまま赤い唇を大きく開くと、パクリと肉棒を口に含む。
「あぅっ……はぁっ……」
 瞬間、爆発的な快感が押し寄せて来たため、透真は一瞬頭が真っ白になった。
 すぐに意識は戻ったが、続けて感じる気持ちの良さに何も考えられなくなる。
(うぁ……これって……何……?)
 股間に意識を向けると、肉棒が湿り気を帯びた温かな肉に包まれ、ジンワリと舐められているのが分かった。
 それが何ともたまらず、全ての感覚がそこに集中しているのではないかと思えるほどに他に意識が向かない。
「ぐっ……はっ……」
 舌が肉棒の先に絡み付き、ネットリと舐め、吸ってくるのに腰が持って行かれるのではないかと思えるほどの快感が走った。
 母の肩に手を置き、強くしがみつくようにしていると、チュウっと強く吸われたため、思わず頭を仰け反らせる。
 何という気持ちの良さだろう。
 先ほど手で擦られた時も良かったが、こうして口に含まれるのとでは比較にならなかった。
 何より憧れの母が自分の肉棒を口に含んでいるという事が、激しい悦びを感じさせたのだ。
 まるで母を自分の支配下に置いたかのような感覚を覚えたのである。
「んっ……んぐっ……んんぅっ……」
 母は熱心に頭を動かし、肉棒を舐め、吸ってくれている。
 その様子はさらに母を自分の物にしたかの様に感じさせ、透真は嬉しくてたまらなくなった。
「うっ、うぁっ!」
 喜びは快感を促進させるのか、そう思った瞬間には白い液体を放っていた。
 ドクドクドクと放出されていく白い液体を感じながら、母の口にそのようなものを出している事に嫌悪感を抱きつつも、一方で憧れの母を汚した事に興奮も覚えていた。
 そして何より母が、白い液体を全て飲み干してくれている事が嬉しかった。
「んんっ……ん……ふぅ……沢山出ましたね」
「す、すみません。我慢出来なくて……」
 我慢するように言われたにも関わらず、大して耐えられなかった事を謝る。
「何を謝るのです。気持ち良かったのでしょう?」
「でも母さまが耐えるように仰ったのに、僕はそれを守れませんでした」
「あれは出来るだけ、という意味です。慣れていないあなたがそれほど我慢出来るとは思っておりませぬから」
「……」
 何だかいつもの霊媒師の修行の時の様に、母の期待を裏切っている気がして悲しくなった。
「またそのように思い詰めて……なりませぬよ。あなたは素晴らしい男の子(おのこ)。慣れさえすれば存分に母を満足させる事が出来るはずです。これから母がそうなるように教えて差し上げます」
 母はそう言いながら透真の肉棒を優しく揉みしだいた。
「う……」
 するとあっという間に肉棒が硬く大きくなる。
「この回復力の見事さ。これこそがあなたの才能を示しています。他の男の子(おのこ)ではこうはいきません。これだけでもあなたは素晴らしいのですよ?」
「そ、そうなんですか……」
 どうやら母に本当に褒められているのだと思った透真は嬉しくなった。
 いつも霊媒師の修行では悲しまれてばかりだったのに、この事では凄く喜ばれている。
 それは透真にとってひどく嬉しいことだった。
 そしてそれと同時に、母に対するいやらしい衝動が高まった。
 目が勝手に動いて母の体の線を追い、薄い浴衣に覆われた柔らかそうな体を見つめてしまう。
 その体を、脳内に浮かんだ少年がしていたように自分も抱き締め、撫で回し、吸い付きたい。
 浴衣から覗く白い肌、微かに漂ってくる甘い体臭、それらが透真の中に落ち着かない衝動を呼び起こしていた。
 特に合わせの間から見える胸の膨らみは、むしゃぶり付きたい強い欲求をもたらしていた。
 十一歳になったというのに母の乳房を欲するなど、自分は赤子のようではないかと思うが、それ以上に何ともモヤモヤとした気持ちで溢れていたのだ。
 触りたい、揉みたい、吸いたい。
 このまま母の体を押し倒し、無茶苦茶にしたくてたまらなかった。
「したいのですね?」
「!……」
 不意に母がそう言ってきたため、ビクッと体を震わせてしまう。
「何を」とは言わなかったが、母には今自分がしたい事が全て分かっているのではないかと思えた。
 何故なら母が浮かべている表情は、脳内に浮かんだいやらしい行為をする女性が、少年に向けていたものと同じだったからだ。
 母はあれをしたいのかと尋ねているのだろう。
「はい……母さま、したいです……」
 心臓が激しく鼓動し、小刻みに震える体を意識しながらそう答える。
「ふふ、では母があなたを男にして差し上げます……存分に味わいなさい。女の体というものを……」
 優しげに、そしていやらしく微笑みながら、腕を背中に回してくる母に悦びが溢れる。
(僕が母さまを……母さまをああいう風に出来るんだ……)
 脳内で絡む少年と女性の行為を思い出し、それを自分が母相手にするのだと思うと激しい興奮があった。
 憧れの、美しい母を自由に出来る。
 それは何ともたまらない事だった。
「さあ、いらっしゃい……」
 強く引き寄せられ、母の体と共に布団に倒れ込んだ瞬間、透真の中で何かが弾けた。
「!……っ……っ……」
 言葉にならない声を上げ、母の体を強く抱き締める。
 柔らかな肉の感触が体中に溢れ、頭がおかしくなりそうになった。
 そのまま浴衣の合わせを震える手で開き、現れた二つの白い膨らみに一瞬息を飲む。
(綺麗だ……)
 幼い頃何度も見たはずの母の乳房は、まるで別の存在であるかのように美しく、そしていやらしかった。
 果実のように丸い線を描くその肉の塊は、透真の中に存在しているドロドロとした熱い何かを激しく刺激した。
 この肉の塊にとにかく触れたい、吸い付きたい。
 無茶苦茶に、好きなように弄びたい。
 透真はその衝動に身を任せると、膨らみに手を伸ばしてギュッと掴んだ。
「あっ……」
 悩ましげな母の声が耳に響き、美しい顔が歪む様子に、透真はおかしくなりそうだった。
 そして手のひらから伝わってくる乳房の感触は、今まで経験した事のない心地良さを感じさせた。
(柔らかい……何て柔らかいんだ……)
 一度揉むと、止まらずに何度も何度も手を動かして揉んでしまう。
 そのたびに母の唇から「あっ……あっ……」といった悩ましげな声が漏れ、透真の奥底にある何かが激しい刺激を受けた。
 そのまま両手で強く揉み続け、形を変える肉の塊に見惚れていると、膨らみの頂点にある突起が揺れ動き、それに無性に吸い付きたくなった透真は口に含んだ。
「あんっ……」
 すると今まで以上に母が甘い声を上げ、体をピクッと震わせた事に悦びが溢れた。
 何やらこうして母を反応させるたびに、震えるほどの気持ちの良さが体を駆け巡るのだ。
 もっと母にいやらしい声をあげさせたい。
 もっと母の体をいやらしく反応させたい。
 そんな想いに包まれた透真は、それまで以上に強く乳房を揉み、乳首を吸っていった。
「あっ……いい、あんっ……透真さん、あっ……そうしてもっと強く、やっ……母の乳房を、あぁっ……吸って、あんっ……」
「!……」
 甘えるように発せられた母の言葉に心臓が激しく鼓動する。
 いつも凛々しく厳しい母が、まるで少女のように可愛らしい声をあげたのだ。
 それは透真にとってたまらなく興奮する事だった。
「あっ、んっ……そう、あっ……いい……それをもっと、やっ……透真さんもっとぉっ……」
 桜色の突起に舌を絡ませ強く吸うと、母がイヤイヤするように体を動かし、それでいてもっと吸って欲しいと言いながら後頭部を押してくる。
 透真はその可愛らしい母の姿に、嬉しさと男としての誇らしさを感じながら、乳房を揉み、乳首を吸うのを繰り返していった。
「あっ、ああっ……素晴らしいわ、あんっ……透真さん素敵ですよ、はぁんっ……」
 甘く喘ぎながら満足そうな笑みを浮かべ、そう告げてくる母の様子に嬉しさで一杯になる。
 今まで母にここまで褒められた事は無かった。
 普段の修行ではこれほど母を喜ばせることは出来なかったが、今の自分はそれが出来ている。
 それは透真にとってひどく嬉しい事だった。
 そしてもっともっと色々して母を喜ばせたかった。
 だがどうすればいいのだろう。
 性的知識の薄い透真には、どうすれば良いのか分からなかった。
「頭で考えては駄目ですよ。感じるのです。透真さんがどうしたいのかを……」
 母はそう告げると、全てを迎え入れる様にして両腕を大きく左右に開いた。
 横たわった母の体は美しく、透真はその体の中に入りたくてたまらない衝動を覚えた。
 その様な事は不可能だと分かっていたが、透真はどうしてもそうしたくなったのだ。
「入りたい……入りたいです……母さまの中に……」
「分かりました。いらっしゃい……」
 無理だと思いつつ感じたままに告げると、母はニコリと微笑みながら浴衣の下の合わせを開いた。
 白く細い脚が現れ、その美しさといやらしさにゴクリと唾を飲み込む。
 見れば股間の辺りには、何か肉の襞のようなものがあり、濡れているのが分かった。
 そこを見ていると、透真は無性に肉棒を押しつけたくなった。
「ここにあなたが入れる穴があります。入ってごらんなさい……」
 示された場所には確かに穴があった。
 そしてそれは、体全部は無理でも、肉棒だけなら入れられそうな感じだった。
 そう言えば、脳内で少年も女性の股間に肉棒を入れていたのだ。
 自分もあれをする事が出来るのだと分かると、透真は激しい興奮に包まれた。
(入れる……母さまの中に入れるんだ……)
 肉棒だけであっても母の中に入れる事が無性に嬉しかった。
 憧れの母、美しい母の中に、自分の一部が入り込むのだ。
 それはとてつもなく素晴らしい事の様に思えた。
「さあ、いらっしゃい。でも出来るだけ我慢するのですよ? そうすればそれだけ気持ち良くなれますゆえ」
「は、はい……」
 とはいえ、先ほど我慢出来なかった事を考えるとそれは難しいだろう。
 何しろ母のそこは、先ほど含まれた口よりも、遙かに耐え難い気持ちの良さを感じさせたからだ。
 入れた瞬間に出してしまってもおかしくはなかった。
 そうなればまた母を落胆させてしまう。
 それは嫌だった。
「ふふ、母は『出来るだけ』と言ったのです。始めはすぐに出してしまっても構いませんから、好きなようにしてごらんなさい」
「はい……」
 安心させるように告げてくる母に、透真は嬉しくなりながら肉棒を持った。
「これだけ元気な男の子(おのこ)であれば、母はそれだけで嬉しいのです。ゆえに気を楽に、透真さんが気持ち良くなる事だけを考えて、入っていらっしゃい……」
 肉棒を持った手を引かれ、股間の襞に近づけさせられる。
「う……」
 亀頭の先が肉に触れた瞬間、たまらない快感が走り抜けた。
 それと同時に勝手に腰が前へ動き、肉棒の一部が母の中に入り込む。
「は、母さまぁ……」
 先端が何か温かなモノに包まれた感触に、自分が未知の領域に踏み込んだ興奮を覚える。
 ついに母の中へ入ったのだという満足感が押し寄せ、喜びが溢れた。
「まだ、これからですよ……そのままゆっくり……母の中へ……」
 優しく体を引き寄せられ、肉棒が奥へ引き込まれていく。
 ズブ……ズブ……ズブ……。
「う……あぁ……」
 徐々に肉棒が温かで湿ったモノに包まれていき、その過程で強く圧迫されながら擦られると、たまらない快感が押し寄せてきた。
 そこは先ほど含まれた口よりも、さらに気持ちのいい場所だった。
 まさに肉棒が最も快感を得られる場所と言えただろう。
 何しろ恐ろしいまでの快楽が股間から湧き昇ってくるのだ。
(これで……全部……入ったの、か……?)
 しばらくすると、全てが収まったのかこれ以上進めない状態になったため、透真は体の力を抜いて母に身を預けた。
 ドクンドクンといった鼓動が響き、母と繋がっているのだという実感が湧き起こってくる。
「大きい……透真さんの大きいです。立派ですよ?」
 母が優しげな笑みと共に褒め称えてきたため、透真は激しい喜びに包まれた。
 こうしてピッタリと体を重ね、体の一部を繋げ合っている状態でそう言われると、信じられないほどの嬉しさがあった。
 肉棒という体の一部分でしかないものが入っているだけであるのに、まるで体全体が母の中に入り込んでいる様に感じられている事に驚く。
 自分の小さな体全てが、母に包み込まれている様に感じられたのだ。
「では次は、腰を動かしなさい……そうすればもっと、気持ち良くなれますゆえ……」
 その言葉に興奮が高まる。
 それは脳内に浮かんだ光景で、少年が女性に対して行っていた事であり、自分もしたいと思っていた行為だからだ。
 それを自分も出来る。
 透真はその事に激しい喜びを覚えつつコクリと頷くと、体を起こしてゆっくり腰を引いてみた。
「うぁっ……」
 ゾリゾリゾリといった感触と共に、たまらない快感が背骨を走り抜ける。
「あっ……あんっ……」
 それと同時に母の口からそれまで以上に甘ったるい声が漏れたため、心臓が激しく鼓動した。
 そしてそのまま意識せずとも勝手に腰が動き出し、激しい前後運動が行われ始める。
「あっ、あっ、ああっ……」
 腰の動きに合わせて母の口から甘い吐息が発せられ、それを聞くと腰の動きに力が入った。
(何だこれ?……凄く、気持ち、いぃ……)
 入れた瞬間も良かったが、こうして擦る運動を繰り返し始めると、さらにとんでもない気持ちの良さがあった。
 透真はもう何が何だか分からなくなりながらも、とにかく気持ち良くなりたい一心で腰を振りまくっていった。
「あっ、あんっ、ああっ……あっ、あぅっ……」
 何よりそうして動く事により、母が甘く喘ぐのがたまらなかった。
 肉棒を叩き付けるたびに母の顎が仰け反り、潤んだ瞳が甘えるように見つめてくる。
 それはまるで、母を自分の物にしたかのように思えて嬉しかった。
 いつも厳しい母が、自分の肉棒に貫かれ、擦られることで可愛らしく悶えているのだ。
 それは透真に今まで経験した事のない誇らしさを感じさせた。
「あんっ、あっ……そう、あっ……いい、あんっ……いいです、あっ……透真さんいいっ……もっと、もっとしてぇっ……」
 母がこうしておねだりしてくるのも最高だった。
 いつも命令する事の多い母が、自分におねだりをしているのだ。
 何と素晴らしい状況だろう。
 母のような優れた女性を、自分は今支配下においているのである。
「あっ、やっ、はぅっ……あんっ、あぁっ……やっ、やぁんっ……」
 こちらが腰を叩き付けるのに合わせて、はだけた浴衣から覗く豊満な乳房が揺れ動くのがいやらしい。
 自分の一突き一突きが母の顔を快楽に染め、少しずつ従わせていっているように思えて仕方がなかった。
 初めて体験する肉体的な快感はもちろんだが、こうして感じる精神的な快感もたまらなく素晴らしいものだった。
「ああっ、あんっ……いい、やっ……いいです、あんっ……透真さんいいのぉっ……」
 自分の行為で母が喜んでいる。
 それは透真がずっとしたくてたまらなかった事であり、その願いが叶っている事に激しい喜びが溢れた。
 もっともっと腰を振り、母を喜ばせなければ……。
「あんっ、あっ、あっ……やぁっ、いいっ、あんっ……いい、ああんっ……」
 無茶苦茶な動きでありながら、力強い前後運動である腰の動きに、母の声もさらに甘くなった。
 そしてそれを聞いていると、透真の快感も強く高まり、あっという間にあの白い液体を放ちたくなってくる。
「母さまっ……僕、あれが、くっ……あれが出ちゃうっ……」
 母は「出来るだけ耐えるように」と言っていたが、もう自分は母が望んだほどには耐えられたのだろうか。
 大好きな母を失望させないだけ我慢は出来たのだろうか。
 それだけがこのとてつもない気持ちの良さの中で唯一の気がかりだった。
「十分、あっ……十分です、あんっ……透真さんは母の予想以上に、あっ……耐えました、ああっ……だからもう思い切り、あんっ……思い切り出してしまいなさい、やぁっ……母の中に、思い切りぃっ……」
 まるでこちらの考えを読んだかのように母はそう言うと、背中に手を回してギュッとしがみついてきた。
 それと共に膣内がキュウッと締まり上がり、透真はもう我慢できない己を感じた。
「ああっ、あっ……あんっ、あんっ、ああんっ……母ももう、あっ……母ももう、ああっ……イくっ、イきます、ああっ……やっ、やっ、やぁあああああああああっ!」
「うぅっ!」
 母が絶叫すると共に肉棒がそれまで以上に締め上げられ、その瞬間透真は白い液体を放った。
 ドピュッ、ドピュッ、ドクドクドクドクドクドク……。
 脳天を貫く快感に体を硬直させ、何度も何度も白い液体放つ行為を繰り返していく。
 ガクガクと体が震え、何かが体から引き抜かれていくような感覚を覚える。
 どれくらい同じ事をしたのか分からないまま、しばらくして白い液体の放出を終えた透真は、力を抜くとゆっくり倒れ込んだ。
 母の柔らかな体が受け止めるのを心地良く感じながら、強い達成感を覚えつつ荒い呼吸を繰り返す。
「素晴らしかったですよ、透真さん……」
 耳元で優しくそう囁かれ、透真は幸せで一杯だった。
 信じられないほどの気持ちの良さに加え、母に褒められたのだ。
 透真にとってこれほど喜ばしいことはなかった。
 だがその一方で、何かゾクリとした異様な感覚も覚えていた。
 母がこの部屋に現れてから感じていた違和感が増したように思えたのだ。
 ジンワリと体にまとわりついてくる淫靡な「気」が強まり、透真の心と体に侵食してきたような印象を持ったのである。
(やっぱり母さまは……)
 何かに取り憑かれているのだろう。
 今自分にしてくれた事も、おそらくその霊が母にさせているに違いなかった。
 何しろこの行為は、あまりに淫靡でいやらしく、後ろ暗い雰囲気があったからだ。
 厳格な母がその様な事を自分にするとは思えなかったのである。
 そして今した事で、自分と母に取り憑いた霊が力を増したような気もしていた。
 二人が体を絡ませ、快楽を与え合った行為が、霊に対して力を与えた様に思えたのだ。
 恐らくそうする事が目的で、霊は自分と母に取り憑いたのだろう。
 原理は分からなかったが、自分たちが快楽を味わえば味わうほど、その霊は力を増すに違いない。
 しかしその推測が正しかったとしても、透真には止める術がなかった。
 何しろ母に対する欲情は強くなる一方であり、それを抑えるなど不可能だったからだ。
 先ほどまでなら出来たかも知れない。
 だが一度味わってしまった母の肉体はあまりに甘美であり、抱かないでいたら頭がおかしくなりそうだったのである。
 さらに交わっている最中に感じた「母を従えている」という悦びは、それ以上に強烈な刺激だった。
 普段従っている母を逆に従わせる快感。
 自分より体の大きな母を思い通りに喘がせ、悶えさせる爽快感。
 それはまさに母を心身共に支配している感覚をもたらし、たまらない快楽として透真を狂わせていたのだった。
「あなたもこれで大人です……でも立派な男性になるには、まだまだ経験が足りません……母をもっと悦ばせられなければ、一人前とは言えませんからね、ふふ……」
 母は妖しげな笑みを浮かべながら、首に腕を絡ませてきた。
 浴衣の間から覗く白い肌がいやらしく桜色に染まっており、柔らかな肉と滑らかな肌の感触が伝わってきてたまらない。
 動くたびに大きな肉の塊がたゆんっと蠢き、それに己が包まれている悦びに肉棒がグンッと力を増す。
「さあ、透真さんのなさりたいように……母の体を、もっと好きにしてご覧なさい……」
 その言葉に心臓が跳ねる。
この淫靡な肉体を、母の気持ちのいい肉体をまた自由に出来るのだ。
 それはたまらなく嬉しい事だった。
「母さまぁっ……」
 体を勢い良く起こし、真上から母を見下ろす。
 そうしていると、まさに母を支配下に置いている感じがして気分が良かった。
 潤んだ瞳が誘う様にこちらを見つめており、赤い舌がゆっくりと上唇を舐めるのが、震えるほどのいやらしさを感じさせた。
(吸い付きたい……ああ……母さまの唇に、舌に……吸い付きたい……)
 母の肉体に対する欲望に火が付き、落ち着かない衝動が押し寄せてくる。
 もう霊に取り憑かれている事や、自分が気持ち良くなる事がその霊に力を与えるかも知れない、などという事は頭から消え去っていた。
 透真の心は、先ほどのようにまた母を好きなように貪りたいという想いだけで一杯だったのだ。
「母の唇が吸いたいのですか? 良いのですよ、お吸いなさい。透真さんのしたいように……」
「!……」
 そう言われた瞬間、何も考えられなくなった。
 いや、ただ一つのことだけは考えられた。
 この目の前にある母の唇。
 これにどう吸い付くかだけは……。
「母さまっ……」
 顔を近づけ、母の唇に吸い付いていく。
 その瞬間、柔らかい唇の感触が伝わり、ゾクゾクする快感が唇から押し寄せてきた。
 母の舌が歯を押しのけてこちらの口内に入り込み、舐め回してきたのに体が震える。
 舌が絡み、強く吸い付かれるのに激しい快感が走った。
「んっ……んんっ……んっ、んふぅっ……」
 母の荒い鼻息が聞こえ、顔が左右に入れ替わって荒々しく唇を擦り合わせていく。
 そうしていると肉棒が痛いほどに勃起し、早く再び母の中に入れたくてたまらなくなった。
「んんっ……ふふ、また入れたくなってますね? いいのですよ、いらっしゃい……」
 母のその言葉に、透真は歓喜に包まれた。
 あの気持ちのいい行為がまた出来る。
 それだけで嬉しくてたまらなかったのだ。
 透真は先ほどの快感を思い出して体を震わせながら、今度は自分で母の股間に肉棒を近づけると、一気に押し込んでいくのだった。


「あっ、あっ……あんっ、ああんっ……」
 四つんばいになった母を後ろから貫きつつ、透真は強烈な快感を味わっていた。
 あれからもう何度母とこうして交わっただろう。
 少し前まで知らなかったこの気持ちのいい行為は、決して止められない魅力に溢れていた。
 肉体的な快感はもちろん、精神的にも素晴らしかった。
 何しろあの母を、憧れていた母をこうして従えているのだ。
 四つんばいにさせ、自由自在に喘がせているのである。
 自分の一突きごとに母は甘く悶え、「もっとして欲しい」とおねだりしてくるのがたまらなかった。
 それは普段の厳しい母からは想像出来ない可愛らしさだった。
「あんっ、ああっ……いいわ透真さん、ああっ……いいわぁっ……そこをもっと、ああっ……そこをもっとよぉっ……」
 振り返り、こちらを見つめる母の瞳に体が震える。
 そこには妖しげな色気があり、このまま心身共に蕩けてしまうのではないかと思えるほどの魅力があった。
「あっ、あんっ……あっ、あっ、ああっ……」
 背後から乳房をギュッと掴み、強く腰を叩き付けると、母が腕を崩して上半身を布団に押しつけ、下半身を持ち上げる姿勢になった。
 そのまさに「耐えられない」といった様子は、透真の征服欲と支配欲を刺激し、たまらない精神的な快楽を呼び起こした。
 その事で益々母に夢中になっていくのが分かる。
 自分はすっかり母の虜だった。
 もう今後は母のこの妖しげな魅力には抗えないだろう。
 それが霊の仕業だったとしても構わなかった。
 こうして母と快楽を共していけるのなら、他に何も要らなかったからだ。
 それくらい今目の前で喘ぐ母の姿は、何物にも代え難い、恐ろしいまでの魅力に溢れていたのである。
「くっ……うっ……」
 そんな事を思っていると、急激に白い液体を出したい衝動が強まって来たため、透真は呻いた。
「母さまっ……僕、もうっ……」
「いいわ、あんっ……出しなさい、あぁっ……母の中に沢山、あんっ……白いのを出すのぉっ……」
 布団に爪を立て、引き寄せる様にする母の痴態に興奮を高めた透真は、このまま一気に白い液体を放とうと腰の動きをそれまで以上に強く大きくした。
「あっ、あっ、ああっ……いいわ、いいの、いぃっ……もう私、あっ……もうわたしぃっ……やっ、やっ、やぁああああああああっ!」
「母さまぁっ!」
 母の絶頂に合わせて白い液体を放つ。
 ドクドクドクと勢い良く迸る白い液体を感じつつ、もう何度目か分からないこの行為に透真はうっとりとなった。
 そのまま数度白い液体を放つのを繰り返した後、ゆっくり倒れ込んで力を抜くと、ハァハァといった二人の荒い呼吸が部屋に響いた。
「素敵ですよ透真さん……あなたは本当に素晴らしいです……」
 普段なら全く聞けない母の褒め言葉。
 それを今夜は何度聞いたことだろう。
 その事が透真にとって嬉しすぎる事だった。
「今宵はこれまで……ですが明日の夜もまた参ります……一晩だけでは上手くいかぬようですから」
 最後の言葉の意味はよく分からなかったが、また明日も母を抱けるのだと思うと嬉しくなった。
「今宵の事は二人の秘密。決して誰にも話してはなりませぬよ?」
 真面目な顔でそう言ってくる母に、ゆっくりと頷く。
「くれぐれも今まで通りに。誰にも気づかれぬよう。例え母と二人きりである時であっても、それと感じさせる言動はしてはなりませぬ」
「は、はい……」
 母の強い言葉にコクリと頷く。
 一瞬背筋に寒気が走り、体が震えた。
 それは母に取り憑いた霊の本性だろうか。
 逆らえば殺されるかも知れないという想いが強く湧き起こったのだ。
 だが透真は約束を破るつもりは毛頭無かった。
 何故なら今後も母を抱ける事が嬉しかったからだ。
 そのためにも、昼間は決してこの事を口外するつもりはなかった。
 それは自分に取り憑いた霊が思わせたのか、透真自身の想いなのか分からなかったが、どのみち透真にとって母との約束は、破る事など出来ないものだったのである。


 翌日の母は、あの言葉通りいつもと同じだった。
 昨夜の出来事が嘘であるかのように全く変わらなかったのだ。
 もしや夢だったのではと思ったが、母を見ていると蘇ってくる女肉の生々しい感触が、あれが夢でない事を確信させた。
 だがそのせいで透真は普段通りではいられなかった。
 母の体を見るたびに肉棒が硬く大きくなり、意識が乱れまくってしまうからである。
 これも霊の仕業なのかと思いつつ、単純に自分の未熟さゆえかとも思う。
 もっと精神力が強ければ、たとえあの様な事があったとしても、乱れる事なく居られるに違いなかったからだ。
 実際母はそうなのである。
 とはいえ、母に昨夜の記憶があるかは疑問だったのだが。
 何故なら記憶があるのなら、母は霊を祓おうとするはずだからだ。
 厳格な母が、己と息子に取り憑いた霊を放っておくなど考えられなかったからである。
 だがその一方で、記憶があったとしても、母はあの行為を受け入れているかも知れないという想いもあった。
 自分と同じ様にあの行為に悦びを見出し、もっと抱かれたいと願っているのではないかと思ったのだ。
 何しろ昨夜の母はとても気持ち良さそうに、満足げにしていたため、記憶があったとしても、あの快楽をもっと味わいたいと考えていてもおかしくなかったからである。
 一体どちらなのか分からなかったが、透真としてはどうでも良かった。
 母を抱ける事には変わらなかったからだ。
 今夜も母をまた抱ける。
 そう思うと、いつもは苦しい修行にも強いやる気が湧き、透真は必死になって修行を行っていくのだった。


「あっ、あっ、ああっ……」
 裸で胡座をかいた透真の腰の上に、同じく裸の母が跨って体を上下に揺らしている。
 股間で繋がり合った母子は、体を擦り合わせる事で快感を得ていた。
 昼間、母の事で悶々としていた透真は、夜になってそれが強まったため眠れずに苦悩していたのだが、そこへ約束通り母が現れ、昨夜の続きを行う事になったのだ。
「あんっ、あっ、ああっ……透真さん、あっ……いいっ……」
 腰を突き上げると、母が頭を仰け反らせて悶えた。
 長い黒髪が乱れ、豊満な乳房が揺れ動くのに興奮が高まる。
 この母の痴態。
 これを見ていると肉棒が強く猛った。
 もっともっと母を喘がせ、甘い声をあげさせたい。
 その衝動で透真の心は一杯だった。
 おそらくこの衝動こそが自分に取り憑いた霊が起こしているものなのだろう。
 何故ならそれは、あまりに自分の意志とはかけ離れた衝動だったからだ。
 これまでの人生で、ここまで自分の意志で抑えられない衝動など無かったのである。
「やっ、やっ、やぁっ……いいわもっと、あんっ……透真さんもっと、ああっ……それをもっとぉっ……」
 激しく乱れる母を見ていると、昼間とは別人過ぎて驚く。
 やはりこの母は、自身の意識を奪われていて、霊が見せている人格なのだろうか。
 自分の一突き一突きで甘く喘ぎ、もっとして欲しいと腕と脚を絡みつかせてくるのは、霊がしている事なのだろうか。
 そう思うと本当の母を抱けていないという事で寂しくもあったが、それでも母の体には変わりがなかったため嬉しくはあった。
 何やら母に隠れて母の体を自由にしている様に思え、その事に妙な興奮があったのだ。
 例えるなら寝ている母の体を抱いているような、そんな不遜な感覚があったのである。
 そしてもし母に意識があるのなら、それは自分と同じように快楽に染まり、自分を求めてくれている事になったため嬉しかった。
 さらにその事を昼間は隠しているのだと思うと、激しい興奮があった。
 母と二人の秘密。
 それをこうして持つ事が出来ているのだ。
 それは透真にとって何より嬉しい事だったのである。
「あんっ、あんっ、ああんっ……凄いっ、凄いっ、凄いぃっ……透真さん凄いのぉっ……」
 興奮が高まったため、それまで以上に肉棒を強く突き上げると、母は大きく体を仰け反らせて後ろに倒れ込んだ。
 ハァハァと甘い吐息を漏らしつつ、潤んだ瞳で見上げてくる母の姿はたまらなくいやらしい。
 この妖しげな色香を放つ状態が自分を狂わせるのだ。
 霊に取り憑かれているという恐怖すらも消し去り、快楽を求めさせるのである。
 透真の心も体も、母のその姿に夢中であり、あの白い液体を放たずにはいられない気持ちで一杯になっていたのだった。
(もっと沢山……何度も……母さまの中に出したい……)
 震えるほどの興奮を覚えながら母にのし掛かる状態になると、透真は腰を荒々しく動かしていった。
「ああっ、あっ、あんっ……やっぱり上からだと、あっ……上からだと凄い、あんっ……透真さんの男の子(おのこ)が、やっ……凄いぃっ……」
 握った手を口に当て、母はイヤイヤという感じで頭を左右に振った。
 それが何とも可愛らしく、また自分が母を征服している感覚が強まった透真は、さらに強く肉棒を叩き付けていった。
「やんっ、やんっ、やぁんっ……駄目、それ駄目ぇっ……透真さんそんな、あぅっ……それは駄目よ、やぁっ……」
 駄目と言いつつ、母は強くしがみついてきたため、本当はもっとしてもらいたがっているのだと透真は思った。
 何度か母とこの行為をしたことで、そういった否定の言葉が要求の意味を含んでいる事を理解していたからだ。
「母さまっ……これが駄目なんですかっ?……これですかっ?……これが駄目なんですねっ?」
 母が求めた腰の動きをしつつそう尋ねる。
「あぅんっ、あっ、ああっ……駄目って、あっ……駄目って言ったのにぃっ……あっ、あぁっ……それは駄目なのよぉっ、駄目ぇっ……」
 背中を仰け反らせ、涎を垂らしながら母は激しく喘いだ。
 自分より大きな体が、己の腰の動き一つでこの様に狂う様は、何とも気分のいいものだった。
 腰の動きを変えるだけで母は淫靡にくねり、甘く喘ぐのである。
 今まで自分にとって母は決して逆らえない存在だったが、この行為に関しては自分が母を逆らえなくしているのだ。
「母さま、これはどうですっ? これはどうですかっ?」
「ああんっ、あっ、ああっ……それ駄目っ、あっ……それ駄目よ、あんっ……それされたらわたし、あぁっ……おかしくなっちゃうぅっ……」
 さらに激しく悶える母の姿に、透真は強い満足を覚えた。
 自分は母を支配している。
 母は自分の物だ。
 そうした想いが心を喜びで溢れさせ、それと共に肉棒が限界を告げてきたため、透真は最後とばかりに勢い良く腰を振りまくった。
「あっ、あっ、ああっ……もうっ、もうっ、もぉっ……わたし、あっ……わたしイくっ、イっちゃう、あんっ……イっちゃうぅっ……透真さんっ、透真さんっ、透真さぁんっ……やっ、やぁあああああああああああっ!」
「母さまぁっ!」
 母が体を硬直させ、ギュッと抱き付いてきた瞬間、透真は肉棒の栓を解放した。
 勢い良く白い液体が迸り、ドピュドピュッと母の中へと注ぎ込まれていく。
 そのたびに快感が脳を貫き、たまらない気持ちの良さにうっとりとなる。
 そのまま白い液体を放ちつつ、これからももっとこの快楽を味わいたいと思いながら、透真は母の体の上に倒れ込んでいくのだった。


 それからの透真は、昼は今まで通り霊媒師としての修行をし、夜は母と交わる日々を送るようになった。
 霊に何かされるのではないかと心配していたが、特に何もなく、これまで通り暮らす事が出来ていたのだ。
 しかしその事とは別に驚く事があった。
 霊媒師としての能力が急激に伸び始めたのだ。
 今までの停滞が嘘のように、あっさりと修行をこなせるようになったのである。
 取り憑いた霊が何かしたのかとも思ったが、そのような事をして霊に得があるとも思えなかったため関係は無いのだろう。
 もしかしたら以前母が言っていたように、思い悩まないようになったために上手くいくようになったのかも知れない。
 何しろ母を抱くようになってからの透真は、何事にも前向きに、くよくよせずに臨む事が出来るようになっていたからだ。
 それは「何があっても夜は母さまを抱ける」という喜びのためであり、実際母を抱いていると嫌な事は消えていってしまったのである。
 そういう意味で母との交わりは、単に快楽の行為ではなく、霊媒師としての能力を高める事にも繋がっていたため、欠かす事の出来ないものになっていた。
 今日もいつものように母と何度も交わった透真は、そんな事を思いながら、隣で荒い呼吸をして脱力している母に抱き付いていった。
 柔らかく温かい母の肉体は、こうしていると何とも落ち着くのだ。
 自分はこのまま母を抱き、男としても霊媒師としても一人前になってみせる。
 そんな想いを抱きながら、透真は愛する母の顔を見ようとそちらへ視線を向けた。
(!……)
 その瞬間、体が凍り付く。
 何故ならそこには、何とも恐ろしげな冷笑を浮かべた母の顔があったからだ。
 今までも別人の印象があったが、これはそれとも異なる感じだった。
 酷く冷酷で、恐怖を感じさせる、そんな雰囲気があったのである。
「透真さん、母はこれで帰ります」
 不意に冷笑を止め、無表情になった母は、そう告げると勢い良く起き上がった。
 その口調は、ただ事実を淡々と述べるだけの、全く感情を感じさせないものだった。
 その事に驚きつつ見上げていると、母は続けて妙な事を言い出した。
「ようやく宿りました……」
「え……?」
 何を言っているのか分からなかった透真は、黙って母を見続けた。
「ゆえに明日からはもう来ません」
「!……」
 続けて発せられたその言葉に驚く。
 何故急にそんな事を言い出したのだろう。
「は、母さま……」
「ではさようなら」
 母は透真の呼びかけに取り合わず、そのまま部屋から出て行ってしまった。
(どうして……)
 透真は混乱していた。
 何しろあまりに突然すぎたからだ。
 何故母はもう来ないなどと言ったのか。
(何かが宿ったみたいな事を言ってたけど……)
 あの雰囲気はおそらく取り憑いた霊の本性であろうから、霊にとって大事な事なのかも知れない。
 それが「宿った」ゆえに、もう自分に抱かれる必要は無くなったという事だろうか。
 逆に言えば、その何かを宿すために自分とああした行為をしていたという事だろう。
 一体それが何であるのか分からなかったが、透真にとって重要なのはそこではなかった。
 もう明日からは母を抱けない。
 それは酷く悲しい事だった。
(母さま……)
 透真は母が去っていった方を見つめつつ、母をこの場に引き留め「明日も抱かせて下さい」と言えなかった己を不甲斐なく感じるのだった。


 その日から母は言葉通り部屋へ来なくなった。
 透真はその事を悲しんでいたが、それ以上に困ったのが体の衝動だった。
 以前と変わらず母を求め、抱きたくてたまらない状態になっていたのだ。
 どうやら母に取り憑いた霊と、自分に取り憑いた霊とでは目的が違っていた様で、母の方は目的が達成されていても、こちらはそうではなかったらしいのである。
 強い欲求が母の体を欲し、肉棒がいきり立って治まらず、風呂場で何度か白い液体を出してもみたが、全く効果はなかった。
 元々最初に母を抱いた時もそうであったのだから、自分の手で出しても駄目なのだろう。
 母に、あの柔らかな肉体に包まれて出さないと、この衝動は治まらないに違いない。
 そしてそれが自分に取り憑いている霊が目的としている事に思えた。
 だが母は部屋を訪れないため、その目的は達成される事は無く、透真だけが霊の起こす衝動によって苦しむ結果となった。
 一方、霊媒師としての能力は順調に伸び続け、母が驚くほどになっていた。
 厳しい母が時折褒めるようにまでなっており、それは交わりの際に褒められた言葉と重なったため、透真はその場で襲いかかりたくなる衝動を抑えるのに必死になった。
 母を抱きたい。
 母の中に肉棒を押し込みたい。
 そんな想いで透真の頭は一杯だった。


「透真さん、宜しいですか?」
 そんなある日、いつもの様に悶々としたまま寝ようとしていた透真の部屋へ、母が久しぶりに訪れた。
 また抱かせてくれるのだろうか。
 当然だろう。
 母がそれ以外の用事で部屋を訪れた事などないのだ。
 また抱かせてくれる。
 母のあの柔らかな体を好きに出来る。
 それは素晴らしい事だ。
 そうした思考が一瞬のうちに行われ、透真の心と体は激しい興奮に包まれた。
「ど、どうぞ……」
 期待に胸を膨らませながら返事をすると、障子が開いて母が部屋へ入ってきた。
 相変わらず美しく、柔らかそうな肉体が目に映る。
 昼間も同じようにして見ていたが、手を出す事は出来なかったため悶々としていたのだ。
 しかし夜の今なら好きに出来る。
 母の柔らかな肉体にむしゃぶりつき、美しい顔を快楽に歪ませられるのだ。
 それは数日間お預けを食らっていた透真にとり、非常にたまらない事だった。
「は、母さまっ……」
 我慢できず、勢い良く母に抱き付き、落ち着き無く唇を押しつける。
 その瞬間、蕩けるような快感が体中を走り抜け、やはり母は最高だという想いで頭が一杯になった。
 このまま母と交わり、久しぶりの気持ちの良さを味わうのだ。
「んっ……んんっ……」
 だが母の方は違っていたようで、一瞬驚いたようにした後、離れるようにして体を激しく動かし始めた。
 何やら嫌がっているように思えたため、もしかしたらいきなり抱き付いて唇を重ねた事を怒っているのかも知れない。
 そう思いつつも、このまま気持ち良くすれば母も許してくれるだろうと思った透真は、胸元に手を伸ばして乳房をヤワヤワと揉みしだいた。
「んっ、んぁっ……透真さん、んっ……何をっ……」
 だがその事で母は益々体を激しく動かし、強く胸を押し返し始め、最後には突き飛ばすようにして体を放した。
「一体どうしてこの様なっ……透真さん、自分が何をしているのか分かっているのですかっ?」
 母は呼吸を乱しながら、怒ったような顔をしてこちらを見つめている。
「何って……分かってます。母さまと気持ち良くなるんです。今までずっとそうしてきたじゃないですか」
 何を今更言っているのだろうと思いながら答える。
 母が夜に部屋を訪れて自分に抱かれる。
 それはすでに当たり前の事だった。
 少し前にそれを止めると母は言ったが、再び始めるために来たのだろう。
 それなのに何故怒ったようにしているのか透真には分からなかった。
「やはり……あれは夢ではなかったのですね……」
 だがその言葉を聞いた母は、ハッとした表情をした後悲しげに呟くと、クタクタとその場に座り込んだ。
「は、母さま……どうしたのですか……?」
「私は、ずっと夢だと……あのような事……母子で何と恐ろしい……」
 尋常ではない母の様子に驚いて問いかけるが、母はそれに答えず暗く呟いている。
「夢であるとばかり……けれどあれほど生々しいのはおかしいと、ずっと怪しんではいたのですが……まさか本当に……しかし何故……何故なのです透真さんっ。何故あの様なことをっ」
 母は急にこちらを向くと、透真の両腕を掴んで叫んだ。
「何故って……その……僕が苦しんでいたら、母さまが楽にして下さると仰って……それでああして……」
「私が? 私がしたというのですか? いえ、確かにそのような記憶があります……でも一体何故……私はあの様な事をするつもりなど無かったというのに……」
「母さまどうしたのですか? 何を仰っているんです?」
 何が何だか分からなかった。
 母は何を言っているのだろう。
「……どうやら母は、何かに取り憑かれていたようです」
 その言葉でようやく理解する。
 すっかり忘れていたが、母には抱かれている時の意識が無い可能性もあったのだ。
 そして今の言葉から、それが事実である事が分かった。
 いや、夢だと言っている点からして、ぼんやりとは意識があったのかも知れない。
「母は少し前まで毎夜夢を見ていました。それはあなたと……その、交わる夢です……」
 それは夢ではなかった。
 何しろ実際に透真は毎夜母を抱いていたのだから。
「それはあまりに生々しく、まるで現実の様でした……しかし夢は夢です。現実ではありません……母はそう思いました……そしてここ数日その夢も見なくなったため、安堵の想いを抱いておりました……」
「安堵」という言葉に悲しみが広がる。
 それは母が自分との交わりを嫌悪している事を意味していたからだ。
「そして本来ならば……そう、本来ならばそれで満足するべきだったのです……しかし母は満足出来ませんでした……どうしても本当に夢であったという確証が欲しくなり、夢と同じように透真さんの部屋を訪れてみれば分かると……突然訪れた母をいぶかしげに見る透真さんの姿があれば、あれは夢であったと安心出来ると……そう思っていたのです……ところが実際部屋を訪れてみれば、あのように……」
 抱き締められて唇を重ねられた事を言っているのだろう。
 確かにあのような事をされれば、夢でなかったと確認できたはずだった。
「ああっ、母を許して下さいっ。たとえ夢であると思っていたとはいえ、あのような事をっ……あれは決して母の意志では、母の意志ではないのですっ。何かが母を操り、透真さんをあのように誘って……うぅっ……私は母親失格です。私は母親としてあなたに取り返しの付かない事をしてしまいました……」
 母は顔を伏せると悲しげに呟いている。
 霊媒師であるにも関わらず、何かに取り憑かれ、操られてしまったのだとすれば悔しいに違いない。
 だが透真としてはそんな事はどうでも良かった。
 問題は、母が自分との交わりを嫌悪しているという点だ。
 何故それほど嫌がるのだろう。
 自分も同じように取り憑かれているが、その事で困った事など無いのだ。
 むしろ喜ばしい事ばかりであったため、母がここまで苦悩するのが分からなかった。
「母さま、謝られる必要なんて無いですよ。僕も何かに取り憑かれていますから。僕も取り憑かれた霊のせいで母さまを抱いてしまったんです」
「何ですって?……それは本当ですか? まさかそんな……」
 透真の言葉に驚いたようにした母は、姿勢を正すと、真剣な表情をしてこちらを見つめてきた。
 すると次の瞬間、母の目から強い力が放たれ、透真の体に何かが突き刺さる感覚が走った。
(!……)
 それは体の芯に響くような衝撃を伝え、少しすると治まっていった。
「確かに透真さんの体からは妖しげな『気』が出ています……これは一体何なのか……いえ、そのような事より私は何を……今まで透真さんの何を見てきたのでしょう……息子が何かに取り憑かれている事に気づかないなど……霊媒師として失格です……」
 母はあまりの事に涙を浮かべながら悲しげに呟いている。
 一方透真は、己に起きた変化に驚いていた。
 母に霊媒師としての力を浴びせられた瞬間、頭がスッキリし、それまでとは異なる意識になったのだ。
 自分が何かに取り憑かれている事が急に怖くなり始めていたのである。
(僕は……一体……)
 もしかすると、今まで自分は取り憑いた霊に意識を操られていたのだろうか。
 そのせいで「霊に取り憑かれる」という事に平気で居られたのかも知れない。
 何しろ今はその事が怖くて仕方がなかったからだ。
「母さま……僕、急に怖くなってきました……これをさっきまでは普通だと思っていただなんて……霊に取り憑かれていると分かっていたのに、それを何とも思わなかっただなんて……ああっ、やっぱり僕は霊媒師として駄目なんでしょうか……」
 自分のあまりの不甲斐なさに悲しくなる。
「それは違います。この取り憑いた霊は狡猾なのですよ。何しろ母にも存在を今まで感知させなかったのですから……しかも薄々と何かがおかしいと思えたにも関わらず、母は何もする事が出来ませんでした。ですから修行中の透真さんが、取り憑かれていると知りつつも、それに危機感を抱けなかったとしても当然なのです」
 言われてみればその通りだった。
 優れた母を騙せるような相手なのだ。
 自分のような未熟な人間が騙されても当たり前だろう。
「それよりも、取り憑かれていると気づけたのは素晴らしい事ですよ。そういう点であなたには才能があるのです。自信を持ちなさい」
(!……)
 母に褒められた事に喜びが溢れる。
 やはり自分は母が大好きだった。
 大好きな母が褒めてくれるのなら、何でもするだろう。
 これからも頑張って修行を積み、一人前の霊媒師となって母にもっと褒めてもらうのだ。
 以前はそれも虚しい想像だったが、今は現実味があった。
 何しろ自分の力は着実に伸びているからである。
 褒められる回数も日に日に増えており、それはまさに至福の時だった。
 そう、母は沢山褒めてくれたのだ。
 自分の腰の動き一つで「素晴らしいですよ透真さん」と甘い声を上げながら褒めてくれたのである。
 あの素晴らしい状態を味わうためにも、自分は母の体をもっともっと抱き、喘がせ、存分に母を満足させなければならないだろう。
 この母の肉体を存分に味わい、愛撫する事で、母に褒めてもらうのだ。
(……え? 僕は一体何を……)
 途中からおかしな発想をしている事に驚く。
 純粋に母が好きだという事を考えていたはずなのに、それがいつの間にか肉体的な快楽を求める事へと変わっていたのだ。
 母を快楽の対象として扱う意識に替わっていたのである。
(何てことだ……取り憑かれているのが恐ろしいって分かったのに、まだ僕は……)
 取り憑いた霊の思惑に流されている事が悔しかった。
 だが考えてみれば、これまでもそうして取り憑かれていると分かっていながら、快楽を求めて母を抱いていたのだ。
 あの脳内に浮かんだ光景。
 少年と女性の絡み合う姿を見た時から、自分は同じように母を抱く事を望んでいたのである。
 それは取り憑かれていようがいまいが関係のない、透真自身の正直な気持ちだった。
(そうだよ僕は……母さまを、抱きたいんだ……)
 そう認識すると、ムクムクと肉棒が硬く大きくなった。
 それと共に落ち着かない激しい衝動が湧き起こり、母をいやらしい目で見つめてしまう。
 すでに透真の頭からは、自分に取り憑いている霊を排除する事より、母と気持ち良くなる事の方が重大事に思えていた。
 以前の様に母と交わり、快楽を得られるなら、別に何に取り憑かれていても構わなかった。
「安心なさい。これから母があなたに取り憑いている霊を祓いますゆえ」
「それよりも母さま……僕、こんなになっちゃってるんです……」
 透真は浴衣の前を開くと、そそり立っている肉棒を示した。
 それはすでに巨大な、子供の物とは思えないほどに、いや、大人の男としてもかなり巨大な状態になっていた。
「!……」
 母はそれに視線を向けると、一瞬息を飲み、ジッと見つめた後、慌てて視線をそらした。
「お願いします母さま。僕のこれを、何とかして下さい。以前のように楽にして欲しいのです」
 母の近くへ寄り、手を握る。
「と、透真さん。何をしているのです……そのような事は……」
 母は視線を泳がせると、困ったようにして呟いている。
「僕のこれは、取り憑いた霊のせいなんです。そのせいで母さまの事をいやらしく考えてしまって……ずっとそうなんです……だから僕のこれをどうにか……どうにかして下さいっ」
 母の手を取り、肉棒に触れさせる。
 そうすればこのモヤモヤしたものが晴れるように思えたのだ。
 実際母に白い液体を出してもらうと、実にスッキリした状態になれたため、その経験がそうさせたのだろう。
「い、いけませんっ……祓いますから、手を、手を放すのですっ……」
 母は体をピクッと震わせると、頬を紅潮させた。
 何度も抱いてきた経験から、母が興奮しているのが分かる。
 肉棒に触れた事でそうなったのだろう。
 母にとっては夢のような経験だったとはいえ、何度も透真の肉棒でよがっていたのは事実なのだ。
 そしてそれは今や本当の事だと母も自覚しているゆえに、その肉棒に触れた事で興奮したに違いなかった。
「あの気持ちのいい行為をしましょう。あれをすれば楽になりますから……」
 母の肩に手を回し、ゆっくり体を寄せていく。
 そうすると肉棒がさらに硬く大きくなり、それを感じた母が体を小刻みに震わせ始めた。
 心持ち呼吸が荒くなっているのが分かる。
「な、何を言っているのです。そのような事、母子でするなど……」
 母は落ち着き無く視線を泳がせると、困ったように呟いている。
「でも今までずっとそうしてきたじゃないですか。僕のこれを母さまが受け入れて……僕が腰を動かすと、母さまは気持ち良さそうにしてましたよ? もちろん僕も凄く気持ち良くて……ですから母さま、また僕と一緒に気持ち良くなりましょう?」
 これまで母を抱き、支配してきたためか、普段なら決して出来ない砕けた態度で母に誘いかける。
「駄目です……透真さん気をしっかり持ちなさい。このような事は……」
「もう駄目です。僕はもう我慢できないんです。いいでしょう? 母さま……僕と一緒に、ね?」
 そう言いながら母を抱き締め、ゆっくりと布団の上に押し倒す。
「あっ……透真さん駄目です、あっ……駄目、止め、あんっ……」
 抵抗するのを無視し、乳房をギュッと掴むと母の体から一瞬力が抜ける。
 そのまま浴衣の合わせを開き、乳房にむしゃぶり付くと、母は荒くも甘い吐息を漏らしながら、逃げるようにして上へ動いた。
「あぅっ……あっ、ああっ……このような、あっ……このような事を、あんっ……母子でこのようなぁ、あっ、あぁっ……」
 乳首を摘み、強く吸い上げると、母は顎を仰け反らせて悶えた。
 以前は優しく誘ってきた母が、今日は嫌がり、逃げようとしている。
 それは透真に今まで感じた事のない興奮を感じさせた。
 嫌がる母を無理矢理抱く。
 それは信じられないほどに興奮する事だったのだ。
「ああっ、駄目です、あっ……そこは駄目、あんっ……そこをそんな風にしては、あっ……駄目ぇっ……」
 秘所に指を這わせ、突起を擦ると母が可愛らしく喘いだ。
 それは快楽に染まった声でありながら、以前には無かったどこか理性を感じさせる雰囲気があったため、新鮮な感じがしてゾクゾクしてくる。
 おそらくこれは霊とは関係ない、母自身の声であり、息子に抱かれる事を嫌悪しているがゆえのものに違いなかった。
 その母をもっと気持ち良くし、完全に自分に従わせられたらどれほど気分がいいだろう。
 始めから自分に従っていたこれまでと異なり、無理矢理従わせる行為に激しい興奮があった。
「あっ、ああんっ……そんなっ、ああっ……舐めるなんて、あぅっ……舐めたら駄目ですっ……やっ、やぁんっ……」
 頭を股間に移動させ、突起を舌で舐めると、母は体をガクガク震わせて悶えた。
 こうされると弱いのは、何度も抱いてきた経験からすでに知っているのだ。
 可愛く喘ぎながら「もっと舐めて。沢山舐めて」とおねだりされた事が何度もあったのである。
「ああっ……私そんな、あんっ……そんなにされたら、ああっ……もう、あっ……もう駄目に、あぅっ……駄目になるうぅっ……」
 母はそう叫びつつ、呼吸を乱しながら潤んだ瞳で見つめてきた。
 それは「早く入れて」と訴えているように見えたため、透真は母も内心自分を求めてくれていると認識し、肉棒を持つと膝立ちになった。
「あ……駄目です……それだけは……入れるなんて、駄目……」
 母は小さな声で呟いているが、何も抵抗はしてこない。
「もう何度も入れてるじゃないですか……母さま、前みたいに一緒に気持ち良くなりましょう?」
 そう言いながら肉棒を押し込んでいく。
「あぅんっ……あぁっ、嫌っ、嫌ぁっ……」
 肉棒がズブズブ入っていくと、母はそれに合わせて顎を仰け反らせつつ、悲しげに叫んだ。
(ああ、気持ちいい……やっぱり母さまの中は最高だ……)
 透真は久々に味わう母の肉の感触に満足な想いを抱きつつ、押し寄せてくる快感にうっとりとなった。
 肉棒を根本まで押し込むと、一旦動きを止めて大きく息を吐き出す。
「……入れて、しまったのですね……ああっ、何てこと……早く抜きなさい。母子で交わるなど許されない事なのですよ? あなたはそれを分かっているのですか……?」
 母は視線を逸らしつつ、悲しげに呟いている。
「僕、こうしないと駄目なんです……母さまとこうしないと、おかしくなってしまいそうで……だから止められないんですっ」
 そう叫ぶと同時に腰を動かし出す。
「何を言って、あっ、あぁっ……腰を動かしては、あんっ……なりません、やっ……透真さん言う事を聞きなさい、あぅっ……そんな風に動かしては、やっ……駄目、あんっ……駄目だと言っているのが、あっ……分からないのですか、ああんっ……」
 普段なら恐ろしい母の叱責も、可愛らしく喘ぎ、甘えるように言われては興奮を高めるものでしかなかった。
 そして厳しく凛々しい母のそうした変化に激しい悦びが湧き起こった。
「あっ、あっ、ああっ……動きが、あんっ……動きがそんな、ああっ……透真さんの腰の動きが、ああっ……男の子(おのこ)が強く、あんっ……当たって、あっ……奥に、ああっ……奥に当たるぅっ……」
 興奮が高まっているせいか、いつもより強く大きく肉棒を叩き付けていくと、徐々に母の声が蕩けていった。
 毎夜抱いていた事で、どうすれば母が一番悦ぶのか分かっていたため、それを実践したのだ。
 母は奥に届くほどに強く肉棒を叩き付けられると、狂わんばかりに悶えるのである。
「嫌、やぁっ……そんなに強く、ああっ……駄目よ駄目、あんっ……透真さん駄目ぇっ……」
 布団の端をギュッと掴み、頭を左右に振って激しく喘ぐ母の姿に肉棒が益々猛る。
 腰の動きもさらに荒々しくなり、透真は夢中になって母を抱いていった。
(母さま……綺麗だ……それに何ていやらしい……)
 白い肌がうっすらと桜色に染まり、豊満な乳房が振動に合わせて揺れる様を見ていると、体の奥底から元気が湧いてくる。
 大好きな母が、自分の腰の一突き一突きで甘く喘ぎ、求めるように体を震わせるのだ。
(これって何て気持ちいいんだろ……そんで何て素晴らしいんだろ……母さまとこうしてると、僕は最高に幸せだ……)
「母さまぁっ……」
 ギュッと抱き締め、小刻みに腰を強く振る。
「あんっ、あんっ、ああんっ……透真さ、あぁっ……凄い、あんっ……凄いの、あぅっ……こんな事はいけないのに、あっ……母子でこんな事は、ああっ……でも、あっ……透真さんが凄いから、あんっ……透真さんの男の子(おのこ)が、あっ……凄いから、あぅっ……母はもう、あっ……母はもぉっ……」
 髪を振り乱しながら背中に腕を回し、腰に脚を絡ませ、母は強くしがみ付きながら甘く喘いだ。
 すでにそこには威厳のある母の姿は欠片もなかった。
 可愛らしく喘ぐ、一人の女がいるだけだ。
「母さま僕っ……僕もうっ……出るっ……出ちゃいますっ……」
 興奮が強まったせいか白い液体が出る感覚も強まり、透真は限界を告げると共にそれまで以上に腰を振った。
「え? だ、駄目です、あんっ……それは駄目、あぁっ……それだけは、あぅっ……出すのは、あっ……中に出すのは駄目ぇっ……」
 一瞬理性が戻ったのか母はそう言ってきたが、透真にはもう止める事は出来なかったし、止めるつもりもなかった。
 そもそも久しぶりに母の中に放つのだ。
 その最高に気持ちのいい行為を止められる訳がなかったのである。
「あっ、ああっ……やっ、やっ、やぁっ……もうっ、もうっ、もぉっ……駄目っ、駄目っ、駄目ぇっ……あっ、あっ、あぁあああああああああっ!」
「母さまぁっ!」
 ドピュッ、ドピュッ、ドクドクドクドクドクドク……。
 勢い良く迸る白い液体を感じながら、透真は何度も放つのを繰り返した。
 放出がされるたびに快感が脳に響き、信じられない気持ちの良さに口元がだらしなく緩む。
 見れば母は「あ……あぁ……」とか細い喘ぎを漏らしつつ、ビクビクと体を震わせて快楽に染まった顔をしている。
 その様子を見つつ最後の放出を終えた透真は、力を抜き、ゆっくりと母の上に倒れ込んだ。
 ハァハァといった荒い呼吸が部屋に響き、母子はしばらくジッとしていた。
「出して……しまったのですね……あぁ……私たちは母子であるのに……何てことを……」
 母は悲しげにそう呟きながら、こちらをジッと見つめている。
 潤んだ瞳が何ともいやらしく、それを見ている内に、肉棒はあっという間に力を取り戻した。
「母さま……もう一度しましょう。僕、母さまとしたいです」
「何を言っているのです。もうこのような事はなりませぬ。母子でしてはならぬ事なのですよ?」
 母は驚いたようにして否定している。
 だがすでに快楽でおかしくなっている透真にそれは意味のない言葉だった。
「僕と母さまは、もう何度もしてるじゃないですか。それがどうして急に駄目になるのですか?」
「そ、それは……あれは母が何かに取り憑かれていたためで……」
「今も僕は何かに取り憑かれています。だって母さまを抱かないとおかしくなりそうなんですから」
「ならば母がそれを祓いますゆえ、だからもう止めるのです」
「別に祓わなくてもいいじゃないですか。僕は母さまともっと気持ち良くなりたいです。もし祓ってしまったら出来なくなってしまいます」
「そ、そんな……そのような事を……透真さんあなたは……」
「僕はします。母さまを抱くんですっ」
 母の言葉を聞かず、透真は再び体にのし掛かっていった。
 柔らかな肉が感じられると、肉棒がグンッと力を増す。
 やはり母とこうしていると気分が良かった。
「駄目っ、駄目ですっ。止めるのです透真さん、あっ、あんっ……」
 嫌がる母を無理矢理四つんばいにし、背後から思い切り突き込む。
 瞬間、凄まじく気持ちのいい快感が走り抜けた。
(ああ、気持ちいぃ……母さまとこれが出来るなら、僕はもうどうなっても構わない……)
 透真は己がおかしくなっているのを感じつつ、それよりも母との快楽を選んだ。
 そしてこれからも母をこうして抱き、愛していく事を決意すると、激しく荒々しく、それでいて母に対する強い愛情を抱きながら、肉棒を叩き付けていくのだった。












あとがき

 今回はちょっとオカルトチックなノリにしてみました。
 設定も霊媒師の親子ということで、普通じゃない母子相姦が書けたかと思います。
 私は「自分の意志じゃなく、何かに操られてセックスしてしまう」というのが好きで、いつも書きたい書きたいと思っているのですが、どうも上手い設定が思いつかないんですよね。
 というか、書いている内に明るくしてしまう癖があるので、暗い雰囲気が作れないのが駄目なのかも(笑)
 でも今回は一念発起して頑張って書いてみた次第。
 上手い具合に暗さと淫靡さを感じてもらえたら嬉しいです。
(2009.8.7)



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