息子の劣情


 理恵が結婚してから、十八年が経とうとしていた。
 高校三年生の時、当時付き合っていた十歳年上の男性と出来ちゃった婚をし、今に至っている。
 夫に対しては特に強い恋愛感情を抱いていた訳ではなく、思春期にありがちの、年上男性に対する憧れから付き合っていただけだった。
 同世代の男の子には無い落ち着きと、IT企業の社長をしているという点が魅力となり、のぼせ上がったと言えるだろう。
 要は人間性よりも、「大人の男」として満足できる要素に惹かれていたのかも知れない。
 とはいえ、夫自身に対しても好意は抱いており、結婚に後悔は無いのだが、年を経るにつれ、徐々に老いというものが感じられるようになるのが気になっていた。
 顕著なのが夜の夫婦生活であり、以前は忙しくとも週に一度は抱いてくれていたのが、今は一ヶ月に一度あれば良いくらいになっている。
 年齢からくる精力の減退もあるだろうが、夫は基本的にあまり性的なことに関心がない方で、仕事をしている方が楽しいというタイプであったため、どうしても性的なことには意識が向かなくなっているのだろう。
 一方、自分は三十六歳という女盛りであり、元々性欲も強いせいか、抱かれないことに欲求不満を募らせることがあった。
 恋人として付き合っている頃に、まだ高校生だからと躊躇する夫に、無理矢理迫る形で抱かれたのもそれが原因だった。
 肉棒に貫かれた瞬間の脳天に響くような気持ちの良さは、性に無知だった自分を夢中にさせ、何度も夫に迫って抱かれた結果、若くして妊娠することになったのだ。
 そして卒業と同時に結婚をし、数ヶ月して男の赤ん坊が産まれた。
 自分の肉体から新しい生命が誕生する事に驚きと喜びを感じ、息子である駿に強い愛情を抱いた。
 恋愛経験が無かったこともあり、初めて感じる自分以外に対する強い執着は、毎日の生活を充実したものへと変えていった。
 駿が居てくれれば何も要らない。
 駿が笑ってくれるならそれで幸せだった。
 そうして幼い息子の成長を楽しみにこれまで暮らしてきた訳だが、駿も思春期となり、母親に対して素っ気ない態度をとるようになった。
 世間一般の話で聞いたような、汚らしく罵られたり、嫌悪の態度を取られないだけ良かったが、それでもよそよそしさを感じさせる言動は寂しかった。
 十七歳となった今も、以前に比べればマシになったとはいえ、それでもどこか一線を引いている雰囲気があった。
 何とか昔のような、仲の良い親子として付き合うことは出来ないだろうか。
 何かきっかけさえあれば、それによって変化が起こるのではないか、といった想いを抱くのが、最近の理恵の癖になっていた。
 息子と仲良くしたい。
 ただそれだけの、母親として当然の想いが頭の中をグルグルと回り、憂鬱な気分にさせているのだった。


 理恵は息子と夕食を共にしていた。
 夫は出張に出ていて、明日にならないと帰ってこない。
 これは最近よくあることで、その事で理恵の欲求不満は募るばかりだった。
 とはいえ、夫が家に居たとしても、抱いてくれるとは思えなかったため、気にしても仕方がなかったのだが。
 若い頃のように、迫って抱かれるなど出来るはずもなく、せいぜいが軽くお願いをし、断られたら諦める日々が続いていた。
 せめて息子との関係が良くなれば、そうした寂しさも紛らわすことが出来たのだろうが、特に変化が起こることもなく過ごしている。
 息子は食事を終えると、ごちそうさまの一言も言わず、居間でテレビを見始めていた。
 自分の部屋にテレビを欲しがっているのだが、それを許すと一緒に居る時間が減るため、理恵は断固として反対していた。
 こうして何を話すのでもなく、一緒に過ごしているだけでも嬉しかったからだ。これまで奪われては寂しすぎるだろう。
 息子は今流行りのドラマを観ており、どうやらお気に入りのアイドルがヒロインをやっているのが理由らしかった。
 そのアイドルを気に入っていると聞いた訳ではなかったが、息子の部屋には、彼女が表紙になっているいくつかの雑誌があったし、その中には息子が興味を持たない系統の雑誌まであった点からして間違いないだろう。
 そのアイドルは女の自分から見てもなかなかに可愛らしく、胸がかなり大きかった。
 もしかして息子は巨乳好きなのか、と考え、そう言えばたまに胸元に視線を感じることがあったのを思い出す。
 自分の胸は結構大きかった。
 若さでは勝てないが、胸の大きさなら負けはしない、などと対抗心を燃やしてしまったのを恥ずかしく思う。
 そう言えば、息子も恋人が居てもおかしくない年頃なのだと思うと、付き合っている女の子がいるのか気になった。
 それと同時に、何とも言えない気分になったのに驚く。何やら嫉妬したような気がしたからだ。
 しかし冷静に考えれば、アイドルに夢中になっているのだから、彼女などいるはずもないのだ。
 その考えにホッとしているのに苦笑してしまう。
 やはり自分は息子に対する執着が強いのだろう。
 普通の母親はこんな事を考えないのではないかと思うと、少し異常なのではないかと感じて辛くなった。
 だが感情というのは、抑えようと思って抑えられるものでもないのだから仕方ないだろう。
 そんな事を考えながら、ふとテレビ画面に視線を向けると、そこに映っていた光景に思わず硬直する。
 何故ならそれはキスシーンだったからだ。
 濃厚なキスという訳ではなく、軽くしているだけのものであったが、それでも息子と二人きりでそんなシーンを観ていることに動揺してしまう。
 ドラマはそこがラストシーンだったようで、今は次回予告が流れているが、家族と一緒にこうしたシーンを観るのは何とも気まずいものだった。
 特に今息子を意識していただけに、その想いは強くなった。
 息子も同じなのか、どこかそれまでとは異なった雰囲気を漂わせている。
 そういえば、好きなアイドルが演技とはいえキスをしていることをどう思っているのだろう。
 そんな事を気にしながら息子の様子をうかがっていると、大きく溜息をつきつつテレビを消そうとしているのが目に映った。
 ドラマが終わったのだから当然の行動なのだが、その動きにはどこか好きな相手がキスをした事に対する悲哀が感じられた。
 やはり辛かったのかも知れない。
 少し可哀想に思った理恵は、息子を慰めてあげたくなった。
 だがどうすればいいのだろうか。
 幼い頃であれば、頭を撫でて抱き締めたりした訳だが、高校生にもなった息子相手にそんな事は出来なかった。
 せいぜい言葉で慰めるしかないだろう。
 とはいえ、何と言えばいいのだろうか。
 そんな事を考えて混乱していたせいか、次の瞬間には思ってもみなかった言葉を口にしていた。
「駿ちゃん。あなた、キスしたことある?」
 息子はその言葉に驚いたようにすると、困った様子で視線をそらしている。
 理恵にしても驚いていた。
 自分は何を尋ねているのだろう。
「無いよ……」
 小さな声で応えてくるのに、一瞬可愛らしさを覚える。
 そのどこか恥ずかしそうにしている姿が、幼い頃と重なったからだ。
 この子はまだ子供なのだと改めて認識しつつ、それでいてキスのような事に対する興味は強いのだろうとも思う。
 思春期ともなれば、そうした事に興味を持つのは当然だからだ。
 先ほどのキスシーンにしても、食い入るように見ていたのは「好きなアイドルだから」というだけではなく、キス自体にも興味があったに違いない。
 そんな事を考えていたせいだろうか、続けてまたもや、自分でも思いもしなかった言葉を発してしまった。
「じゃあ、お母さんと試しにしてみる?」
「!……」
 息子が驚きの表情を浮かべた。
 そしてすぐさま表情を消し、あらぬ方向へ視線を向けている。
 それも当然だろう。
 実の母親に変なことを言われたのだから。
 自分にしても、どうしてこんな事を言ってしまったのか分からなかった。
 もしかしたら、そうした質問に恥ずかしがる息子の様子を見てみたかったのかも知れない。
 先ほど見た幼い頃を思わせる可愛らしさを、もう一度見てみたいと思ったと考えると納得出来たからだ。
 だがそれはあくまで、そうした様子を見てみたいだけであり、実際にキスをするつもりは無かった。
 親子でキスをするなどおかしいからだ。
「……うん」
 だから息子が肯定の返事をしてきた時には動揺してしまった。
 まさかそんな反応を示すとは思ってもみなかったからだ。
 てっきり黙って無視するか、激しく反発されるかだと思っていたのに、了承するとは予想外だったのである。
 とはいえ、こちらから言い出したことを今更断る訳にはいかなかったし、そんな事をすれば傷つけてしまうだろう。
 ここはもうキスをするしかなかった。
「……じゃあ……しましょう」
 努めて冷静な声で言ったつもりだったが、少し震えていたかも知れない。
 こちらの動揺を感じさせないようにゆっくり近づくと、息子の顔をジッと見つめる。
 大人びてきてはいたが、未だ子供を感じさせる雰囲気のある顔が少し硬くなっているのが分かった。
 自分は何度も経験していることだったが、息子にとっては初めての行為なのだから当然だろう。
 大きく息を吸い込んでから、ゆっくりと顔を寄せていき、幼い頃より大きくなった息子の唇に、軽く重ねてから離す。
 実際にしてみれば何のことはない、ただの唇の接触だった。
 する前は抵抗を覚えたものの、こんな事くらいなら親子でしても問題ないのではないかと思えてくるほど、それは単純なことだった。
 考えてみれば、外国では挨拶でしていたりするのだから当然のことなのかも知れない。
「どうだった?」
 少し余裕が出たせいか、落ち着いて息子に尋ねることが出来た。
 息子の初めてのキスの相手になれたことに、母親として妙な満足感も起きてくる。
「よく分からなかった……」
 だが息子の言葉は何とも残念な内容だった。
 その事にガックリきてしまう。
 ファーストキスなのだし、もう少し感動した様子を見せてくれても良さそうなものなのに……。
「……だから、もう一回いい?」
 しかし続けて、恥ずかしそうに告げてきたのに胸がキュンっとなった。
 何とも可愛くてたまらなかったのだ。
「いいわよ。じゃあ、次はゆっくりするわね。それなら分かるでしょ?」
 キスに対する禁忌の意識が弱まったこともあり、どこか嬉しさを覚えながらそう言ってしまう。
 自分が息子にキスを教えてあげるのだ、と思うと、妙にウキウキした気分になったのだ。
 最近避けられていたため、そうして頼まれることが嬉しかったのかも知れない。
 息子はこちらの言葉にコクリと頷くと、緊張した様子で身構えている。
 その様子に可愛らしさを覚えた理恵は、逞しさを感じさせるようになった肩に手を置きながら、再び唇を重ねていった。
 先ほどより長く唇を接触させ、そろそろいいかな、と思った頃に放す。
 そのまま顔をじっと見つめ、無言でどうであったかを尋ねるようにしていると、息子は少し呆けたような表情を浮かべながら、「もっとしてもいい?」と甘えるように言ってきた。
 それは幼い頃におねだりしてきた様子と変わらなかったため、何歳になっても息子は息子なのだと嬉しさが込み上げてきた。
 そうなると、キスくらい何度でもしてあげたくなってくる、というか、したくてたまらなくなった。
 愛する息子の唇に吸い付いて、好きなように貪りたくなったのだ。
 キスという形で愛情を表現したくなったのである。
 頷いてから唇を重ね、先ほどと同じ間隔のキスをした後、続けて短い間隔のキスをチュッチュッと数度行う。
 こうしたキスは夫とも何度もしているが、妙に初々しい感覚が起きており、心臓がドキドキして止まらなかった。
 キスをしているだけなのに、強烈な幸福感が湧き起っているのだ。
 キスがこれほど心地良いものだとは知らなかった。
 そうした事を繰り返している内に、それまで受け身だった息子が、突如自らも唇を重ねてくるようにしてきたため驚く。
 だがすぐさまその積極性を可愛らしく感じ、優しく応じていく。
 慣れない感じでキスをしてくる息子は何とも愛らしく、このままもっと続けていきたくなったが、それと同時に、このまま続けることに対する不安を覚えた。
 すでに「試しにキスをしてみる」といった状況を逸脱し、かなり際どい行為をしているように思えたからだ。
 このままエスカレートしていったら、親子として許されない行為に発展しかねないだろう。
 その不安は的中し、不意ににゅるりとしたモノが、唇を割って口内に侵入してきた。
 息子が舌を入れてきたのだ。
 いけない、と思い唇を放そうとするが、息子は肩を強く掴んで引き寄せてきた。
 予想以上の力強さに驚いていると、そのまま抱き締められ、舌が絡みついてきて強く吸われた。
 鋭い刺激に体がピクンっと反応を示し、股間にジワリとした感触が走るのに驚愕する。
 自分は息子に感じさせられた。
 息子を男として意識してしまったのだ。
 そう思った瞬間、強い嫌悪感が起こると同時に、それ以上の興奮が押し寄せてきた。
 愛する息子にキスをされ、感じてしまっている自分。
 それは母親として許されないことだったが、息子に求められているという事に強い喜びもあった。
 久しぶりに息子が自分を必要としてくれているように感じられ、だったらもっとしてあげても良いではないかと思えてしまったのだ。
 それはいけない、と理性が告げてくるが、ぎこちなく唇を擦り付け、たどたどしく舌を絡ませてくる息子の様子を見ていると、その愛らしさに流されそうになってくる。
 キスくらい教えてあげてもいいではないか。
 それで息子が喜ぶのなら、母親としてするべきだ。
 といった言い訳が頭に浮かび、止めることが出来ずに行為を続けていってしまう。
「んっ、んんっ……んふぅっ、んっ……」
 気がつけば、自らも息子の背に腕を回して強く抱き締め、貪るようにして唇を擦り合わせる状態になっていた。
 何とはしたない、母親として失格な行為をしているのだろう。
 理性がそう告げてくるが、息子に頼られているという母親としての喜びがそれを無視した。
 久しぶりに息子と一つのことを出来ているのだ。
 もっと続けていたかった。
「んんっ、んっ……んっ、んぁっ……」
 耳元に響く己のいやらしい吐息に恥ずかしさが起きる。
 だが愛する息子が落ち着き無く舌を絡ませ吸い付き、口内を舐め回し、自分に夢中になっているのだと思うと、蕩けそうなほどの快感を覚えた。
 顔を左右に入れ替えながら、拙くも荒々しく自分を求めてくる動き。それは何とも可愛らしくも愛おしいものだった。
 息子は自分を求めている。自分を欲しているのだ。
 そう考えると、これまで経験したことのない凄まじい喜びが心身を駆けめぐった。
 体から力が抜け、息子のなすがまま唇を蹂躙される事に気持ちの良さが湧き起こってくる。
 息子の荒い鼻息が顔に当たり、背にはしがみついてくる手の感触があることに充実感が起こる。
 息子とはいえ、男にこうして強く抱き締められ、貪るようにキスをされるのはいつ以来だろう。
 久しぶりに感じる女としての悦びに、理恵の興奮は高まっていった。
「んっ、んぁっ……んんっ……」
 不意に胸に刺激を覚えると共に、体に強い震えが走る。
 息子が乳房を掴んできたのだ。
 その瞬間、それまで快楽に蕩けていた母親の意識が恐怖を覚えた。
 理性が「いけない、止めなければ」と告げてくるものの、すでに蕩かされている女の本能がそれを拒んだ。
 肉体は久々の性的刺激に浸り始めており、もっと快楽を味わいたいという欲求が、理性の忠告を受け入れないのである。
 息子の手が荒々しく乳房を掴み、揉みしだいてくるのに、体がピクっ、ピクっ、と勝手に震えてしまう。
 テクニックも何もない、ただ荒々しく揉まれているだけだというのに、普段夫に与えられる以上の快感が起きているのだ。
 愛する息子にされている事で、悦びを感じてしまっているのだろうか。
(わたし、ここままじゃ駄目……)
 母親としての理性が禁忌を覚え、恐怖に震えているのが分かる。
 だが湧き起る快感がそれを無視させ、身を任せるよう促してしまっていた。
 今与えられている刺激は、それほどに気持ち良かったのだ。
「んっ……んはぁ……ふぁ……」
 しばらくして息子が唇を離したため、大きく息を吐き出しながら体から力を抜く。
 目の前では、息子との間に糸のように伸びた唾液が垂れており、そのいやらしい光景に、己がとんでもない事をしてしまったのだということが改めて認識された。
 あろうことか実の息子と、快楽を貪るキスをしてしまったのだ。何という事だろう。
 快楽に虚ろになった視界には息子の顔が映っており、そこには今まで見たことのない表情が浮かんでいた。女を欲する、肉欲に染まった男の顔だ。
 息子は自分を女として見ている。
 その事に母親として強い嫌悪感を覚えると共に、それ以上の激しい喜びが湧き起こった。
 いけないと思うがゆえに、興奮が強まってしまっているのが分かる。
 自分は息子との背徳的な悦びに染まりつつあるのだ。
 愛する息子を欲する、禁忌な肉欲にハマり始めているのである。
 息子に求められている、という想いが、強烈な悦びとなって理恵の心と体を縛ってしまっているのだ。
 すでに秘所は愛液で濡れており、その量は夫との行為では感じたことのないほどのものになっていた。
 キスと胸を揉まれただけでそうなってしまっているのである。
 自分は何と淫らな女なのか。
 何よりもっと息子に愛されたい、女として愛撫され、感じ、求められたいと欲してしまっているのだ。
 己のそうした想いに愕然としつつ、この後どうすればいいのかと考える。
 息子はおそらくこれ以上の行為を望んでくるだろう。
 思春期というヤりたい盛りの少年がここまでの事をしたのだ。
 途中で止められるはずもなく、一線を越えようとしてくるのは明らかだった。
 だがそれは許されないことだ。
 止めなければならないことだ。
 強く叱りつけ、叩いてでも止めなければならないだろう。
 自分たちが普通の親子として今後も暮らしていくには、そうしなければならないのである。
 何より息子の人生に、母子相姦というトラウマを残しかねないのだから、絶対にさせてはならなかった。
「お母さん……」
 だがその決意は、息子から発せられた声によって打ち砕かれた。
 今まで聞いたことのない、生々しい肉欲を感じさせる口調が、息子がどれほど自分を求めているのかを認識させたのだ。
 息子は雄だった。
 そして雌としての自分を求めている。
 さらに息子として、母親の自分を求めている。
 母親の自分に、女の体を教えて欲しいと、受け入れて欲しいとねだっているのだ。
 雄の臭いをさせながら、幼い頃のようにおねだりをしているのである。
 お母さんの体を自由にさせて、と。
 こちらを見つめる瞳はギラギラと肉欲の光を放っており、その視線にさらされているだけで快感の震えが走った。
 荒々しい鼻息が顔にかかり、雄の臭いを感じさせるそれは、子宮をキュウっと締まらせ、体中の力を排除してしまうかのようだった。
 息子を受け入れたい。
 受け入れてあげたい。
 母親として想いが、女としての肉欲がそう叫ぶが、理性がかろうじてそれを抑えていた。
 駄目なのだ。息子を受け入れてはいけないのだ、と。
 一度大きく息を吐き出し、息子の顔を見つめ直してから、否定の言葉を発しようと全身に力を入れる。
「駄目よ……駿ちゃん駄目……」
 しかし口から漏れた声は、あまりに弱々しく、何の効果も望めそうのないものだった。
 すでに遅すぎたのだろう。
 自分の体からは、息子を否定できるほどの力は無くなっていたのだ。
 この短時間で、息子の愛撫がそうした力を奪い取ってしまったのである。
 拒否するならば、二度目のキスの時だったに違いない。
 あの時ならば、まだ強く否定できたはずだった。
 だがあれを受け入れてしまった時点で、こうした結果になることは決まってしまったのだ。
「お母さんっ……」
 息子は震える声で叫ぶと、勢い良く抱きついてきた。
 強い興奮の震えが伝わってきて、今まで以上に息子の肉欲が高まっているのが分かる。
 どうやら弱々しい否定の言葉は、さらに肉欲に火をつけてしまったらしい。
 フー、フー、と荒い鼻息が顔に当たり、擦りつけるようにして抱きついてくる。
 そのまま背後に回り込んだかと思うと、両手が後ろから伸びて乳房を掴んできた。
「あんっ……やっ……駄目、あっ……」
 むにゅりと両の乳房が掴まれ、荒々しく揉まれていく。
 思わず発してしまった、息子には聞かせてはならない女としての声に恥ずかしさを覚える。
「大きい……凄い……柔らかい……」
 息子は感嘆の声を漏らすと、夢中になって乳房を揉んでいっている。
 豊満な膨らみが息子の手によってむにゅりむにゅりと形を変え、そのたびに走り抜ける快感は、体から力を奪っていった。
 荒い鼻息が背後から漏れ聞こえ、それが自分の体に興奮しているゆえだということに誇らしさを覚えつつも、許されないことをしているという罪悪感が強く襲いかかってくる。
 これ以上この行為を続けさせてはいけなかった。
 すぐにでも離れなくては、と思うが、体は言うことをきかなかった。
 心にしても、息子が己に夢中になっている様に、自分は女としてまだ魅力的なのだという歓喜が湧き起こっていた。
 愛する息子に女として求められることが、思っていた以上に嬉しさを生み出しているのだ。
 そして愛する息子に好きなようにさせてやりたいという母親としての想いが、防ぐ行動を阻害していた。
「あっ、嫌、やっ……駿ちゃん嫌ぁっ……」
 そう考えている間も息子は乳房を揉みしだいており、背後から掴まれた膨らみは、息子の劣情を受け止めて形を歪ませ、それと共に押し寄せてくる刺激に、理恵は眉根を寄せて喘いだ。
「お母さん僕……お母さん僕ぅ……」
 息子の甘える声が聞こえると共に、首筋に舌が這わされ吸い付かれ、ゾクリとするような快感が走り抜ける。
 そのまま舌が動いて顎の下を舐められると、体が勝手にクネクネと動いて切ない吐息を漏らしてしまう。
 その反応に息子は喜びの息を吐き出し、勢いづいて舐めるのを繰り返しながら、乳房を強く揉んできた。
「あんっ……駄目、やっ……駿ちゃん駄目、あんっ……もう止めて……」
 制止の言葉を告げるが、明らかに感じてしまっていると分かるいやらしい声では効果は無いだろう。
 息子の興奮は高まり、大きな鼻息が聞こえるのと同時に、強い力で床に押し倒された。
 犯されるっ。
 瞬間、そうした恐怖が湧き起こるが、愛する息子がしている事だと思うと強く反発することができない。
 何より目の前にある息子の顔は緊張に硬直しており、震える手で必死にブラウスのボタンを外そうとしているのを見てしまうと、その拙い様子に愛おしさが高まった。
 母親として導いてやりたくなる気持ちが強く起こり、息子にとり未知の存在である女体について、どう扱えばいいのか教えてあげたくなってくる。
 それは本来許されないことであり、否定しなければならないことだった。
 しかし積極的に否定出来ないのも事実だった。
 そうこうしている内にブラウスの前が開かれ、続けてブラジャーがグイと下に引き下ろされた。
 ブルンっといった感じで生の乳房が露わになり、それが息子の視線に晒されているのだと思うと、強い恥ずかしさと恐れが起き、思わず顔を背けてしまう。
 果たして自分の体は、息子の鑑賞に耐えうるものになっているのだろうか。
 犯されているのに何を考えているのだろうと思うが、女として息子に失望されるのは恐ろしかったのだ。
 ここまでしておきながら肉体の魅力が無いことを理由に止められたら、女としてこれほど悲しいことは無いだろう。
 日頃「自分の体はまだまだ美しさを保てている」と自信を持っていたが、それが若い息子に通用するのだろうか。そうした強い不安があったのだ。
「凄い……」
 だがその心配は、強い賛嘆を感じさせる息子の呟きによって消え去った。
 自分の乳房は、息子にとって十分魅力的なものだったのだ。
 瞬間、強い喜びが湧き起こり、思わずもっと見て欲しいとまで思ってしまう。
「お母さんの……オッパイ……」
 ごくりと唾を飲み込む音が聞こえ、息子の手が乳房を掴み揉んでくる。
 豊満な白い膨らみが歪み、その頂点にある桜色をした乳首が、得ている快感を示すようにプックリと勃起しているのに羞恥心を覚える。
 息子が力を込めるたびに白い肉の塊が変形し、弄ばれるようにして歪んでいくのは、まさに自分が息子に自由にされている象徴だった。
 先ほどまでの服越しと異なり、直接触れられていることで、指が柔肉に食い込んでいるのが見え、その感触が強く伝わることで、息子に乳房を揉まれているという認識が高まった。
「凄い……柔らかい……おっきぃ……」
 息子は鼻息を荒くしながら乳房を掴み、形が変化するのを楽しむようにして揉んでいっている。
 それは少し強かったため痛みを感じる時もあったが、興奮している息子の様子を見ていると、可愛らしさと強い愛おしさを覚えた。
 自分の乳房に、愛する息子が夢中になっている。
 ここ数年、一線を引かれたような接し方をされていた事を考えると、それはたまらなく嬉しいことだった。
「あんっ、あっ、ああっ……やっ……」
 不意に鋭い気持ちの良さが走り抜けたため、思わずいやらしい声を発してしまう。
 息子が乳首に吸い付いてきたのだ。
 赤ん坊の頃に吸わせて以来だったが、そうされるのは何とも言えない喜びがあった。「自分の子供」という意識が強まるからかも知れない。
 無論あの頃と異なり、母乳を求めてではなく、肉欲として吸われている訳だが、そうであっても同じ様な喜びを覚えた。
 求められている、という点で同じだからだろうか。
 食欲と性欲という違いはあるにせよ、必死に求めてくる姿は、赤ん坊の頃と変わりがなかったのである。
「あんっ……あっ、ああっ……やっ、駿ちゃん、やぁっ……」
 息子は乳首に何度も吸い付き、舌で弾くようにした後、チュウっと強く吸い上げてきた。
 そうされると強い快感が走り抜け、自分でも驚くほどに可愛らしい声を上げてしまう。
 息子相手に何という声を出しているのだ、という羞恥心が湧き起こり、顔が熱くなった。
 その一方、肉体は強い快感を覚えており、息子に愛撫されるたびに体が勝手にいやらしくくねり、淫らな反応を示してしまうのを止められない。
 単に乳房を揉まれ、乳首を吸われているだけであるのに、何故ここまで感じてしまうのだろう。
「やんっ、やっ……はぅっ、はっ、はぁんっ……駿ちゃん嫌ぁっ……」
 必死に抗うように叫ぶが、もはや何の意味も無い、どころか息子の興奮を高ぶらせる効果しかなかった。
 いや、そうだと分かっているからこそ、自分は否定の言葉を発しているのではないかと思い、愕然とする。
 自分は息子を興奮させ、もっと気持ち良くしてもらいたがっているのではないか。
 自分という雌を求める、息子という雄をさらに夢中にさせるべく、無意識の内にそうした言葉を発しているのだ。
 何と淫乱で、堕落した母親なのだろう。
 そう自覚すると、驚くことに秘所がキュウッと反応を示し、愛液が多く流れていく感覚を覚えた。
 自分は悦んでいる。
 この背徳的な状況を悦んでいるのだ。
 母子で許されない行為をしている事に、強烈な快楽を感じ、浸っていたいと願っているのである。
 その想いが、息子の行為を止めようとせず、流されるままに受け入れてしまっている原因だろう。
 このままでは、息子は今以上の行為を望んでくるはずだった。
 健康な十七歳の少年が、己の施した愛撫に女が反応し、いやらしく喘ぎ、くねる姿を見て、最後までしないでいられるなどあり得ないからだ。
 それだけは許しては駄目だ、と母親としての理性が告げてくるが、同じく母親の本能が、愛する息子の自由にさせてやりたい、とも願っていた。
 さらに息子の初めての女になる、といった歪んだ悦びに、ゾクリとした興奮を覚えてもいた。
 自分が息子に女の体を教える。
 他の女に盗られる前に、自分が息子を男にするのだ。
 それは恐ろしさを覚えると共に強い喜びを感じさせることであり、すでに現実になりつつある事でもあった。
 何故ならついに息子がスカートを捲り上げ、その震える手がパンティを引き下ろし始めたからだ。
 続けて両脚が持たれ、左右に開かれそうになるのに恐怖を覚える。
 すでに受け入れかけてしまっているとはいえ、犯される事への恐怖は女の本能に刻まれているのだろう、意識せずとも勝手に脚が閉じようと動く。
 しかしその前に息子の腰が間に入り込み、強い力で両脚が左右に開かれてしまった。
 息子は落ち着きの無い様子でズボンとパンツを下ろしつつ、震える手で己の肉棒を掴んでいる。
 久しぶりに見るそれは、夫のモノよりも大きいように思え、若さを主張するように勢い良くそそり立っていた。
 記憶にあるのとあまりに異なる形状にショックを受けるものの、幼い頃にも存在した小さな染みがあることに気づいて安堵の想いを抱く。
 これはやはり息子のモノなのだ。
 逞しく成長しているものの、愛する息子の一物なのである。
 肉棒は息子の今の心情を現すように、早く女肉に入れさせろとばかりにビクンビクンと震えており、その力強さに思わずゴクリと唾を飲み込んでしまう。
 一瞬、「これに貫かれたい」という思いがよぎるが、その瞬間を想像したことで、逆に恐ろしさが湧き起こった。
 ここへきて、母子相姦の恐怖が強烈に強まったのだ。
 息子の肉棒を実際に見たことで、それを受け入れるという現実が強く認識されたためだろう。
 想像ならともかく、現実として息子とセックスするなど、あまりに恐ろしい事だった。
 それだけは絶対にさせてはならない最後の一線、という認識が強く湧き起こったのである。
 受け入れてはいけない。
 息子の肉棒だけは受け入れてはいけなかった。
 その想いが肉欲を上回ったのか、逃げるようにして体を動かすことが出来た。
「駄目……それだけは駄目よ……駿ちゃんお願い、それだけは許して……」
 泣きそうな声で言いながら、離れようとさらに体を動かす。
 だが初めて女体に触れたことで、すっかり肉欲に染まっている息子にとり、その程度の言葉で止まるなど不可能なことだろう。
 もっと強く、それこそ頬を叩くくらいの抵抗をすればまた違うのだろうが、そこまで出来ないのが自分の限界だった。
 息子がこちらの腰を掴み、グイと引き寄せてくる。
 それに抗おうとするが、無理矢理抑え込まれてしまう。
 子供とはいえすでに高校生。女である自分よりも力があるのだ。
 そして肉棒も、大人の男と同じく女を悦ばせる力があるのは確実だった。
 その認識に、男を求める女の肉欲が強烈に反応を示し、愛液が今まで以上に漏れているのが感じられた。
「ヤらせてお母さんっ……僕、お母さんとしたいっ……」
 したくてたまらない、といった表情を浮かべ、甘えるように言ってくる様子に心臓がキュンっと反応する。
 それは昔から、息子が何かおねだりしてくる時にしていた表情、口調であり、その事で愛しさが強まっていく。
 だが母親としてこれだけは受け入れる訳にはいかなかった。
「駄目よっ……分かってお願い……私たちは親子なの。こういう事はしてはいけないのよっ……」
 ジッと見つめると、息子はたじろいだように視線をそらした。
 自分でもいけない事だと認識しているだけに、正面から否定されると弱いのだろう。
 しかし雄の肉欲はその程度で怯むことはなかった。
「僕、したいっ……お母さんとしたいんだっ」
 そう叫んだかと思うと、肉棒を掴んで入れようとしてくる。
「駄目っ……嫌っ、止めてっ……駿ちゃんお願いっ……」
 肉棒が秘所を擦るのに恐怖を覚えつつ、体をひねって挿入を避ける。
 しかしすぐさま強い力で押さえつけられ、動けなくされてしまう。
「したいんだっ……僕、お母さんとしたいんだよぉっ」
 息子の腰が落ち着き無く動き、肉棒が秘所を擦り、膣穴に触れてくるのにひやりとした想いを抱く。
 童貞の息子は、どこに男を受け入れる穴があるのか分からないのだろう、それだけがこの状況で唯一の希望だった。
「お願い分かってっ……駄目なのよっ、親子でするのは駄目ぇっ……」
 激しく体を動かし、逃げようとするが、予想以上に力のある息子の腕から逃れることが出来ない。
 何より逞しく成長している肉体に男を感じ、その魅力に力が抜けてしまっているのも大きかっただろう。
 愛する息子の逞しい肉体に抱かれてみたい。
 そういった許されない誘惑が起こっていたのだ。
(あっ、駄目っ……いけないっ……)
 そうした事を繰り返している内に、不意に肉棒の先が膣穴を捉えた感触を感じたため、慌てて外そうともがく。
 だが息子はその事で、ついに己が目的の場所に達したのだと気づいたらしく、グイと腰を押し込んで来た。
「嫌っ……嫌ぁっ……」
 次の瞬間、亀頭が膣穴にハマり込んだのが分かり、恐怖の叫びが口から発せられた。
「ぐっ……うぅっ……」
 息子はくぐもった声を漏らし、体を震わせながら、肉棒をさらに奥へと押し込んでくる。
 その顔は蕩けており、初めて感じる女体からの快楽に朦朧としているようだった。
「あっ……あぁっ……駄目、嫌ぁっ……」
 ズブリズブリと入り込んでくる太くて硬い肉の感触に、思わず顎が仰け反る。
 ついに息子の肉棒を受け入れてしまった。
 その衝撃が襲いかかり、さらには久々に感じる男のモノの感触に、快楽から一瞬目の前が真っ白になる。
 肉棒が襞をかき分け、奥へ入り込んでくると、蕩けるような気持ちの良さが起こり、自然と体が震えてしまう。
 何という素晴らしい存在感だろう。
 やはり肉棒を入れられるのは最高だった。
 だが相手が実の息子である事を思い出すと、途端に凄まじい恐怖に心が包まれる。
「うぅ……あったかい……お母さんの中、あったくて気持ちいぃ……」
 息子は押し寄せる快楽に頬を緩め、小刻みに体を震わせている。
 これほどだらしない表情を見るのは初めてだった。
 それも当然だろう。今息子が見せているのは、女体の快楽を知った男の顔なのだから……。
「お母さんのここ、僕のを締め付けて……グニュグニュってしてきて……うぅ……すっごく気持ちいいよぉ……」
 頭を仰け反らせ、たまらないといった様子で硬直している息子は、実に嬉しそうな顔をしていた。
 それほど喜ばせていることに嬉しさが起きるが、実の親子で繋がってしまった恐ろしさに心が硬直する。
「お母さんっ、僕っ、僕ぅっ……」
 そう叫ぶと同時に、息子が腰を動かし始めた。
 その瞬間、たまらない刺激が弾け、快感が脳天を突き抜ける。
「駄目っ、嫌っ……あっ、ああっ……」
 膣内を擦り上げる肉棒の動きに、体がピクっ、ピクっ、と勝手に動き、いやらしい声が口から漏れてしまう。
 言葉では否定するものの、肉体は久々に感じる男のモノの感触に歓喜を迸らせており、もっとして欲しくてたまらなくなっていた。
(やだ大きい、太いわ……駿ちゃんの……あの人のより、いい……)
 瞬間的に夫の肉棒と比較し、その大きさはもとより、与えられる気持ちの良さから、息子の方が上だと認識する。
 やはり母親と息子だから相性がいいのだろうか。
(って、駄目よ駄目……相手は駿ちゃんなのよ……気持ち良くなっちゃ駄目……駄目なの……駄目なのよぉっ……)
 母親の意識が、息子に与えられる快楽を否定しようとするが、それを上回る気持ちの良さが肯定させようとしてくる。
「お母さん、くっ……お母さんの中、うぅっ……凄い気持ちいいよっ……気持ちいぃっ……」
 嬉しそうに叫び、夢中になって腰を動かしている息子の姿に、母親の意識が喜びを覚える。
 同じ母親の意識でありながら、一方は行為を否定し、一方は行為を肯定していた。
 その相反する想いに意識が混乱していく。
 自分は息子との行為をしたいのか、それともしたくないのか、どちらなのだ。
「あんっ、あんっ、ああんっ……駄目、やっ……駄目よ、ああっ……そんな風にしちゃ駄目ぇっ……」
 想像以上に力強く突き込んでくる息子の動きに、思わずそんな声がこぼれる。
 行為自体を止めさせようとして発したのか、感じすぎるから止めて欲しいとして発したのか自分でも分からなかった。
 分かっているのは、息子の肉棒に突かれるたびに、恐ろしいまでの気持ちの良さが体中を駆けめぐるという事だった。
 これまでの男性経験では味わったことのない悦楽。
 それが息子との行為にはあった。
「凄い、うぅっ……お母さん凄いよぉっ……お母さんの中、気持ち良すぎるぅっ……」
 息子が自分の体で気持ち良くなっている。その現実に喜びが湧き起こり、子宮がキュンっと反応を示す。
 自分の肉体は、息子に抱かれ、息子の肉棒に貫かれる事に歓喜を覚えているのだ。
 胸元では、息子の腰の動きに合わせて豊満な乳房が前後左右に揺れ動いており、その事で自分が今、息子の支配下に置かれているのだという認識が強まった。
 今自分は、息子に抱かれている。
 息子に女として愛されているのだ。
 認識は快楽を強め、押し寄せる気持ちの良さに訳が分からなくなっていく。
「あっ、やっ、ああんっ……駿ちゃんの、あぁっ……駿ちゃんの凄い、あぅっ……駿ちゃんの凄いのぉっ……」
 あまりの気持ちの良さ、そして息子の言葉に釣られ、自らもそんな言葉を発してしまう。
 それはこの行為を受け入れ、もっと気持ち良くして欲しいと言っているのと同じだった。禁忌を恐れる心の壁に、ヒビを入れてしまったと言っていいだろう。
「やっ、やっ、やぁっ……いいっ、いいっ、いいのぉっ……駿ちゃんいぃっ……」
 思わず素直な感想を発してしまう。
 何という事を言っているのだろうと、理性が恥ずかしさに包まれるが、その一方で気持ちの良さが増しているのが分かった。
 何よりそう告げると、息子が嬉しそうな表情を浮かべたため、もっと言ってあげたくなってくる。
 何しろ息子の肉棒は、本当に「いい」のだ。蕩けるほどにたまらないのである。
(いけない事なのに……こんな感じちゃいけないのに……あの人とする時より凄く感じちゃってる……駿ちゃんのおちんちんで、わたし凄く感じちゃってる……)
 母親としての理性が苦悶の想いを抱かせるが、息子が腰を動かすたびに蕩けるような快感が迸り、受け入れてしまいそうになっていく。
 実際肉体的には受け入れてしまっている訳だが、心だけはそうしてはならないと決意していたのだ。
 しかし、あまりに気持ち良すぎる息子の肉棒を受け入れ続けている内に、その決意も揺らいでしまっていた。
 先ほど入れられた心の壁のヒビは、息子の肉棒が突き込まれるたびに大きくなっていたからだ。
「お母さんっ……お母さん大好きだよぉっ……僕、お母さんが大好きだぁっ……」
(!……)
 その言葉に衝撃を受ける。
 幼い頃には何度も言われた「大好き」という言葉。
 だがいつの頃からか言われなくなってしまったその言葉を、息子が今ハッキリと告げてきたのだ。
 それは大きな喜びとして襲いかかり、巨大な爆発となって心の壁を一気に破壊した。
 肉体的にも震えが走り抜け、子宮が喜びを表すように強い収縮を行っている。
 心も体も息子に蕩けさせられ、自分の全てが歓喜に溢れ、快楽に染まっていくのが分かった。
 もうどうなってもいい。
 息子に愛されるなら、息子に気持ち良くしてもらえるなら、どうなっても構わなかった。
 自分の全てを息子に委ね、息子に捧げるのだ。それこそが母親として当然の行為ではないか。
 先ほどまでであれば、狂気の沙汰と思えることを、当たり前のこととして受け入れている自分がいた。
 すでに心も体も息子に支配されてしまっているのだろう。
 だがそれこそが、自分が求めていたことなのかも知れない。
「駿ちゃん……駿ちゃん大好きよっ……お母さんもっ、お母さんも駿ちゃんが大好きぃっ」
 息子を抱き締めてそう叫ぶと、恐ろしいまでの歓喜が湧き起こった。
 自分たちは愛し合っている。
 お互いを求め、快楽を与え合っているのだ。
 これほど美しい親子愛は無いに違いない。
 心身共に繋がり合い、互いを想い合う今の自分たちは、世界で一番幸福な親子に違いなかった。
「あっ、ああっ、あんっ……いいっ、いいっ、いいわぁっ……駿ちゃんいいのぉ、やっ、やぅんっ……もっとよ、もっとお願いぃっ……」
 いやらしいおねだりに、息子は満面の笑みを浮かべて応えながら腰を振りまくった。
 喜びが体の動きを加速させているのだろう、それまで以上に突き込みが激しくなり、それに伴って快感が増していった。
「ああっ、あんっ……そこ、あっ……そこよ、ああっ……そこをもっと、あんっ……そこをもっと突いてぇっ……」
 逞しい腰に脚を絡みつかせ、逃がすまいとしがみつきつつ叫ぶと、息子がその通りに一生懸命突き込んでくるのに嬉しさで一杯になる。
 息子は自分を気持ち良くさせようとしてくれている。
 自分のために、自分の言うとおりに動いてくれているのだ。何と可愛いのだろう。
 拙い腰の動きではあったが、その慣れていない様子が逆に愛おしさを強め、たまらなさを生んでいた。
 息子は自分を求めてくれている。
 愛してくれているのだ。
 悦びが心と体を蕩けさせ、こちらも淫靡に腰を動かして息子を求めてしまう。
 それは客観的に見れば、年端もいかない息子をくわえ込み、いやらしく体をくねらせる淫乱な母親でしかなかっただろう。
 だが理恵にとり、今のこの時こそが最高に息子を愛し、息子に愛されている瞬間なのだった。
 息子と体を繋げ合うのが、これほど素晴らしいことだとは思ってもみなかった。
 何と自分は幸せな母親なのだろうか。
「うぅっ……お母さん僕、うっ……お母さん僕もうっ……くっ、ぐっ……僕もう駄目だよぉっ……」
 息子が切羽詰まった声を上げ、限界を告げてくる。
 夫との行為に比べれば短すぎる時間であり、本来ならば物足りなさを感じるはずだったが、その幼さを感じさせる切羽詰まった表情は、そんな想いを消し去った。
 心と体が愛おしさで一杯になり、急激に快感が高まっていく。
「いいわ、あんっ……いいのよ、ああっ……そのままイきなさい、あんっ……お母さんの中に思い切り、あぅっ……思い切り出してぇっ……」
 射精される。
 そう思った瞬間、妊娠の恐怖が起きたが、それ以上に息子の精子を受け止めたいという衝動が押し寄せてきた。
 何より息子の初体験を満足のいくものにしてやりたいという母親としての想いがそれを強めたのだ。
 許されることではないが、すでにここまでしてしまったのだから、最後まで十二分に経験させてやりたかったのである。
「あんっ、あんっ、ああんっ……凄い、あっ……凄いわ駿ちゃん、あぅっ……凄いの駿ちゃん駄目ぇっ……」
 激しさを増した突き込みに、頭を左右に振って悶え狂う。
 これほどまでの快感は、今まで経験したことがなかった。
 息子に愛され、肉棒で擦られると、おかしくなりそうなほどの興奮が押し寄せてくるのだ。
 もう自分は駄目だった。
 もう息子に抱かれずには居られなかった。
 息子のこの硬くて大きくて逞しい肉棒に貫かれずにはいられない体になってしまった。
 これまでとは別の意味で、息子無しでは生きていけない状態になってしまったのだ。
(だってこんな、凄く気持ちのいいおちんちん……たまらないんだもん……)
 うっとりとするような気持ちの良さに心が息子一色となり、膣内をゾリゾリと擦り上げる肉棒の感触に、狂いそうなほどの悦びを覚える。
 このまま達したら、自分は一体どうなってしまうのだろう。
 愛情と快楽が一体となった絶頂に、恐怖と期待の入り交じった想いが強まっていく。
「ああっ、駿ちゃんっ、駿ちゃんっ、駿ちゃぁんっ……お母さんの中に、あぅっ……お母さんの中にぃっ……駿ちゃんのを頂戴ぃっ……」
 息子の精液を注ぎ込まれたい、子宮にかけられたい。
 快楽に狂った口から、母親としての倫理観が欠落した叫びが迸る。
 だがそれは、息子の全てを己の物としたい、母親としての本能の発露とも言えただろう。
「お母さん、くっ……お母さんっ、お母さんっ、お母さぁんっ……僕の、ぐぅっ……僕の、僕のをぉっ……」
 限界に迫っている息子は、錯乱したように叫びながら、最後とばかりに腰を振りまくっていた。
 膣内を擦り上げる肉棒が体積を増し、精液が放出されるその時が迫っているのが分かる。
「ああっ、ああっ、ああんっ……もう駄目、あっ、あっ……もう駄目よ、あんっ、あっ……お母さんもう駄目なのぉっ……イくっ、イくっ、イっちゃうぅっ……やっ、やっ、やぁああああああああああっ!」
「うぅぁっ!」
 母子の叫びが重なり、その瞬間、大きく膨張した肉棒から精液が迸った。
 ドピュッ、ドピュッ、ドクドクドクドクドク……。
 子宮に何度も浴びせられる精液の感触に頭が真っ白になる。
 今自分の中に息子の、愛する息子の男としての塊が放出されているのだ。
 何と熱く、愛情を感じさせる迸りだろうか。
 まさに自分は、息子の全てを受け止めたのである。
 それは強烈に満足感と充足感を感じさせる状態だった。
「うぁ……あぁ……」
 息子はだらしない表情を浮かべながら、体をビクッ、ビクッと震わせて喘いでいる。
 初めて女の中に射精した快感に浸っているのだろう。
 快楽から幼さを感じさせるようになった顔は、気持ちが良くてたまらないといった想いに溢れていた。
 自分は息子をここまで気持ち良くしてあげられたのだ。
 その想いは、理恵の心を幸福感で満たした。
 凄まじい満足感だった。
 強烈な充実感に浸りながら、繰り返される射精をうっとりと受け止めていく。
 少しすると、射精を終えた息子が倒れ込んできた。
 ハァハァと荒い呼吸を繰り返しながら、自分の体の上で脱力したように横たわっている。
 その体を抱き締めると、昔に比べてすっかり男の肉体になっているのが改めて分かった。
 自分を女としてここまで感じさせたのだから当然だろう。
 だが興奮が去り、徐々に冷静になってくると、己のした行為の恐ろしさに戦慄が走り抜けた。
 自分は母親でありながら、息子とセックスをしたのだ。何と恐ろしいことだろう。
 抱かれている間は快楽から受け入れてしまったが、落ち着いてみれば、「するべきでは無かった」という後悔が押し寄せてきていた。
「お母さん……気持ち良かったよぉ……」
 だがそんな想いに気付かない息子は、満足そうな顔をして甘えるように抱きついてくる。
 その事に母親として激しい喜びを覚え、もっとヤらせてあげたい、といった想いが起きるが、これ以上してはならないという意識も強まった。
 自分たちがしたのは近親相姦なのだ。
 許されることではないのである。 
「駿ちゃん、よく聞いて……私たちはしてはいけない事をしてしまったの……分かるでしょ? 親子でこんなことをするのがどういうことなのか……だからね、今したことは忘れましょう?……いい?」
 諭すようにそう告げるが、息子は困ったようにして視線をそらした。
 そして強く抱きついてくると、泣き笑いの表情を浮かべながら顔を近づけてきた。
「無理だよ……僕、忘れられない……それにもっとしたい……お母さんともっとしたいんだ……」
 そう言いながら、すでに硬くなっている肉棒を押し付けてくる。
 息子にしてみれば当然だろう。
 何しろヤりたい盛りの年頃だ。
 一度で満足できるはずがないのである。
「駄目よ……お願い分かって……しちゃ駄目なの……」
 伝わってくる肉棒の感触に子宮がキュンッと反応を示すが、ここで受け入れてしまっては先ほどと同じことになってしまう。
 快楽に勝たなければならなかった。
 大人であり、母親である自分が、子供である息子を諭さなければいけないのだ。
 そうしなければ、このままズルズルと行為を繰り返してしまうだろう。
 それは許されないことだった。
「僕したいっ……したいよっ……するからねっ……」
 だが女体の味を知ったばかりの息子に、この程度の言葉が通じるはずもなく、勢いよくのしかかられてしまう。
「駄目っ……分かって駿ちゃ、ああっ……駄目よ駄目ぇっ……」
 抵抗する間も無く、再びズブリと肉棒が押し込まれた。
 瞬間、強烈な気持ちの良さが走り抜け、力が抜けていくのが分かった。
 そうなれば息子を止めることなど不可能だった。
 そのまま腰が勢い良く動き始め、蕩けるような快感が押し寄せてきたため、たまらなさを覚えた理恵の意識は、あっという間に真っ白になっていくのだった。


「あっ、あっ、ああっ……」
 自然と漏れてしまう己の声を意識しながら、理恵は今の状況を夢であるかのように感じていた。
 何しろ実の息子に抱かれているのだ。
 それは現実として認識するには、あまりに受け入れがたいものだったろう。
 あれから息子は求めることを止めず、もう何度抱かれたか分からない。
 朦朧とする意識のまま裸にされ、今は四つんばいになって背後から貫かれていた。
 息子に対してこのような姿を晒すなど恥ずかしくてたまらなかったが、それ以上に膣内を擦り上げる肉棒の感触は、受け入れずにはいられない気持ちの良さを伝えてきていた。
「あんっ、あんっ、ああんっ……いいわっ、いいの、ああっ……いいの駿ちゃんいいっ……」
 肉棒で突き込まれるたびに勝手に頭が仰け反り、賛嘆する言葉を発してしまう。
 息子の肉棒は実に甘美で、その硬さ太さは、これまで経験したことのない快楽を与えてきており、よもやこれほどまでに狂わされてしまうとは思ってもみなかった。
 何しろとにかく気持ちがいいのだ。
「お母さんもいいよっ……お母さんの中最高っ……僕たまんないっ……」
 嬉しそうに言いながら、さらに強く肉棒を突き込んでくる息子に喜びを覚える。
 許されない事をしているはずなのに、素晴らしい事であるかのように思えてくるから不思議だった。
 それが「いけない」と思いつつも、強く抵抗できずに受け入れてきてしまった理由だろう。
 自分とのセックスで喜びを得る息子の姿と、そこから与えられる快楽。
 それによって自分は、母親として、女として、妥協させられてしまっていたのだ。
 少しくらいなら構わないではないか、と。
「やっ、やぁっ、やぅんっ……凄い、ああっ……それ凄い、あんっ……駿ちゃんそれ凄いわぁっ……」
 腰を掴まれ、背中が曲がるほどに強く突き込まれると、肉棒の先が子宮に当たって強烈な快感が走り抜けた。
 こうした感覚は、夫との行為では無かったことだった。
 元々後背位という体勢ではほとんどしたことがなかったし、何より息子のモノは夫のそれより長いのだから当然かも知れない。
 この肉棒の逞しさも、自分が息子に夢中になってしまっている理由の一つだろう。
 何しろ入れられただけでたまらなくなってしまうのだ。
 膣内をゾリゾリと擦り上げるようにして押し進んできた後、全てを吸い出すかのように引き抜いてくる状態に、蕩けさせられてしまっているのである。
 時折子宮にこつんこつんと当たる感触が、それをさらに助長していた。
 息子の肉棒はまさに最高だったのである。
「こうっ?……これでいいっ?……どうお母さんっ……?」
「ああっ、あんっ……そう、あっ……それでいいわ、ああっ……それをもっとしてぇっ……」
 少し力を込めて同じように突き込んでくるのに、激しい快感が弾ける。
 そしてこちらが気持ち良くなるように気を遣っている息子の様子に、愛おしさが強まった。
 こうした息子の態度が、余計この行為を否定させなくしている理由だったろう。
 愛する息子が、自分を気持ち良くさせるために頑張っている。
 それは母親としてたまらなく嬉しいことだったからだ。
 その上、強烈な快感をもたらしてくるとなれば最高だった。
 いけない事であるのに、もっとして欲しいと望んでしまうのである。
「あぅんっ、あっ、ああんっ……やっ、強い、あっ……激し、ああっ……駿ちゃん凄いぃっ……」
 体中に痺れのような快感が走り抜け、力が抜けて腕を崩してしまう。
 尻を高く掲げた、あまりに恥ずかしい体勢に顔が熱くなるが、それ以上の快楽が押し寄せてきたため身を委ねてしまう。
「お母さん、うぅっ……お母さんっ……お母さぁんっ……」
 だらしなく顔を緩めた息子が、泣きそうな声をあげながら腰を強く叩き付けてくる。
 ズンっ、ズンっ、と胎内に響く突き込みに、蕩けそうな気持ちの良さが押し寄せ、思わず床に爪を立ててしまう。
「ああっ、あっ、ああっ……やっ、駄目、あっ……駄目っ、駄目ぇっ……」
 今更ながら、息子に対して何といやらしい声をあげているのかと思う。
 自分はとんでもなく淫らな状態と言えただろう。
 夫の留守に裸で四つんばいになり、実の息子に背後から肉棒を押し込まれ、いやらしく悶えている。
 妻としても母親としても最低だった。
 だがそう思えば思うほど、快感が増すのだから不思議だった。
 自分はいけない事をしている、許されない女だ、と思うたびに、気持ちの良さが激しさを増していくのだ。
「うぅっ……お母さんっ……お母さん大好きだよぉっ……」
 そして時折告げられる息子からの愛の言葉。
 それが幸福感を強烈に高めた。
 愛する息子が「大好き」と言ってくることに、心が蕩けてしまうのである。
「お母さんもよっ……お母さんも駿ちゃんが大好きっ……」
 体を正面向きにし、抱き合う形になりながらそう返すと、息子は甘えるようにして抱きついてきた。
 裸の体は逞しさを感じさせるほど大人に成長していたが、そうした姿は幼い頃そのままだ。
 愛しい息子は何も変わっていないのである。
 そう思うと、何でもしてあげたくなってしまい、こうしてズルズルと抱かれ続けてしまっていたのだった。
 本当は止めなければいけなかった。
 どんなに愛していても、気持ちが良くても、息子と結ばれるなど許される事ではないのだから。
 ゆえにこれは今夜だけのこと。
 今夜だけの特別の行為なのだ。
 そう思うと切なさが湧き起こり、息子の肉体をもっともっと記憶していたくなる。
 この胎内を擦り上げる、力強い肉棒の感触をもっと感じておきたかった。
「やっ、やっ、やぁっ……はぅっ、はっ、はぁんっ……あんっ、あんっ、ああんっ……」
 そうした追い詰められたような意識がさらに快感を強め、狂ったように悶えてしまう。
 逞しくなった背中に腕を回し、荒々しく動く腰に脚を絡みつかせ、 息子の全てを取り込もうとするかのように強く抱き締めると、もうそれだけで幸福感で一杯になった。
(駿ちゃんは私のもの……私のものなのぉ……)
 精神的な快楽は最大のものとなり、肉体的な快楽も絶頂を迎えようとしていた。
「くっ、お母さん、僕もうっ……僕もうイくっ……イくからっ……」
「いいわっ、いいのよっ、一緒にイきましょうっ……あっ、あっ、ああっ……駿ちゃんっ、駿ちゃんっ、駿ちゃぁんっ……やっ、やっ、やぁあああああああああっ!」
「お母さんっ、お母さんっ、お母さぁんっ!」
 母子の叫びが重なった瞬間、熱い迸りが膣内に弾けた。
 硬直する息子の肉体を感じながら、注がれてくる精液に強烈な快感を覚える。
(ああ……駿ちゃんのが……駿ちゃんのが沢山……私の中に入ってくるぅ……)
 何度目か分からない、蕩けるような瞬間に、理恵の意識は真っ白になっていくのだった。


 数日が経った。
 あれから息子との関係はかなり良好なものとなっており、その事だけを考えれば幸せと言えただろう。
 以前は家で一緒に居ても、会話することなく過ごしていたが、今は息子の方から話しかけてくるからだ。
 まるで昔のような関係に戻ったことに嬉しさを覚えるが、自分に向ける視線の中に、肉欲が含まれているのを感じると悲しくなってしまう。
 あの日以来、肉体関係は結んでいないが、明らかに息子の自分を見る目には、女に対するものがあった。
 それも当然だろう。
 何しろ自分は女としての姿を息子にさらけ出し、求められるまま抱かれてしまったのだから。
 いけない、許されないことだ、と意識しつつも、快楽に流されて息子に身を任せてしまったことは、強い悔恨として残っている。
 強引に迫られたとはいえ、受け入れてしまったのは自分なのだ。
 母親という立場を考えても、もっと厳しく拒否すべきだったのにそれが出来なかったのである。
 そこが自分という女の弱さだろう。
 息子に抱かれたという事実は、強い罪悪感となって、常に理恵を責め立て、苦悩させていた。
 しかしその一方、愛する息子に女として求められたという事に喜びを覚えてもいた。
 女として魅力ある存在だと思われていたことが嬉しかったのだ。
 夢中になって舐め回され吸い付かれ、体中を貪られる行為は、強烈な歓喜を呼び起こしたし、何より突き込まれた肉棒の充実感は、蕩けるような気持ちの良さとして強く記憶に残っていた。
 肉棒で膣内を擦られるたびに、頭がおかしくなるのではないかという快感が襲いかかり、訳が分からなくなった。
 あんな経験は、夫との行為では味わったことのないものだった。
 あれをまた味わってみたい。
 そんな危険な想いが湧き起こるが、強く否定し、抑え込んでいた。
 母親が息子に抱かれるなど、二度としてはならない行為だったからだ。
 だがもし息子に再び求められた時、自分はどうするのだろう。
 あれから息子はそうした事をしてこなかったが、自分を性的対象として見ているのは明らかだったし、年齢的にもヤりたい盛りなのだから、いつまた抱こうとしてきても不思議ではなかった。
 すでに親子で交わる禁忌は破られたのだから、息子が躊躇することはないだろう。
 抱き締められ、あの硬くて太い肉棒を押し付けられた時、自分は果たしてそれに抗えるのだろうか。
 そう思うと自信は無かった。
 しかし抗わなければならないのだ。
 自分は母親なのだから……。
 そんな事を思いつつ数日を過ごしてきた訳だが、今日は特別に危うさを感じる日だった。
 何故なら夫が出張で家に居ないからである。
 もしかすると、息子がずっと手を出してこなかったのは、夫が留守のこの日を待っていたのではないだろうか。
 仕事で忙しく、帰宅が遅いとはいえ、父親が帰ってくるという事実は、息子にとって行為に及ぶ際の足かせになっていたのではないかと思えたのである。
 そしてその足かせは今日無かった。
 家には二人きり。
 この状況は、息子の中の雄を解放してしまうのではないだろうか。
 そう思うと、強い恐怖と共に、期待を抱いてしまっている自分に苦悩が起きてくるのだった。


 夕食の後、息子は居間でテレビを観ていた。
 理恵は息子が行動を起こすのではないか、起こして欲しくない、と思いながら食器を洗っていた。
 このまま何事も無く、いつものように一緒にテレビを観ながら過ごせれば、普通の親子として居られるだろう。 
 しかしもし息子が襲いかかってきたら、もう自分たちは普通ではいられなくなるに違いなかった。
 一度は抱かれてしまったが、それだけであれば、一時の間違いとして受け入れられた。
 しかし二度目があれば、それは二人の関係として、セックスが常態化する第一歩となるように思えたのである。
 だからこそ、二度目は絶対にあってはならなかった。
 してはならないのだ。
 自分達は、普通の親子として今後も生きていくべきなのだから……。
「お母さん……」
「!……」
 しかしその想いは、不意に背中に感じた肉体の感触によって否定された。
 息子が背後から抱きついてきたのだ。
 これまで決してしてこなかった、肉体の接触をしてきたのである。
「今日はお父さんもいないし……いいでしょ……?」
 そう言いながら胸を掴んでくるのに愕然とする。
 やはり息子は夫の居ない日を待っていたのだ。
 最後の望みとして、抱きついてきたのは単なるスキンシップに過ぎないという期待をしていたのだが、乳房をいやらしく揉んでくる手の動きによって、それは儚い夢として消え去った。
「駄目よ……そういうのは駄目……駿ちゃん止めて……」
「いいじゃない……僕したいんだ……お母さんとしたいんだよぉ……」
 甘えるように言いながら股間を押し付けてくるのに、歓喜の痺れが走り抜ける。
 すでに硬く大きくなっている肉棒の感触に、肉体が反応を示したのだ。
 瞬間、数日前に味わった強烈な快楽の記憶が蘇ってくる。
「お願い我慢して……親子でするなんていけないことなのよ……」
 何とかそれを押さえ込み、諦めさせようと嘆願の言葉を告げる。
「分かってるけど……でも僕、我慢出来ないんだよ……したくてしたくてたまらないんだ……」
 甘えるようにして言われると決意が鈍った。
 そうして幼い頃を彷彿とさせる態度をとられると、思わず許してやりたくなってしまうのだ。
 何よりその辛そうな様子を意識してしまうと、自分の体で息子が楽になれるのなら、気持ち良くなれるのなら、ヤらせてあげたいと思えてきてしまうのである。
「こういう事は、駿ちゃんが好きになった女の子とすることなのよ? お母さんとすることじゃないの」
 自分の甘い心を必死に抑え、努めて厳しく聞こえるように告げる。
「でも僕、お母さんとがいいんだ……他の女の子なんて知らないよ。お母さんとだからしたいんだもん……」
 その言葉に心臓がキュンッとなる。
 自分とだからしたい。
 他の女よりも、母親である自分がいいのだ、と告げてくる息子に、強烈な愛情が起きた。
 しかしそれは否定しなければならないことだった。
 今度こそ否定しなければならないのである。
 親子でセックスするなど許されないことなのだから……。
「お母さんっ、僕ぅっ……」
「あっ、駄目、嫌っ……」
 我慢できなくなったらしい息子は、先ほどより強く乳房を揉みしだくと、そのまま首筋に舌を這わせてきた。
 両手で背後から乳房を鷲掴み、回すようにしながら首筋を何度も舐めてくる。
 チュッと強く吸い付かれると、思わず体を震わせてしまうのに苦悩する。
(このままじゃ私……また同じことを……)
 ジワジワと起きてくる快感に、思わず身を委ねたくなるのを必死に抑える。
「駄目よ駿ちゃん。分かって、あんっ……止めてお願いっ……」
 否定の言葉を発しつつ、離れなければと体を動かすが、息子の腕から逃れることができない。
 耳に肉欲を感じさせる荒い息が当たり、その興奮を感じさせる様子に秘所が濡れるのを意識する。
 すでに肉体は、息子の行為を受け入れ始めていた。
 それも当然だろう、数日前に味わった息子との交わりは、蕩けるような良さがあったのだから。
「お母さんのオッパイ、やっぱり凄い……凄いよぉ……」
「あんっ、やっ……あぁっ……」
 服の下に手を差し入れ、直接掴んでくるのにいやらしい声を漏らしてしまう。
 母親が息子に聞かせてはならない女としての声を、また発してしまった。
 その声に興奮したのか、息子の手の動きが荒くなり、もう片方の手はスカートの中に入り込んできた。
「そこは駄目っ……駄目よ。絶対駄目、ああっ……あっ、ああっ……駄目ぇっ……」
 パンティの上から秘所を撫でられ、体が跳ねるように反応してしまう。
 すでに濡れているのが息子に知られてしまった。
 その恥ずかしさに顔が熱くなり、与えられる愛撫によって体から力が抜けていく。
 ズルズルと腰が落ち、そのままのし掛かられて床に押し倒される。
 服が捲り上げられてブラジャーが引き下げられ、生の乳房が息子の目にさらされる状態になった。
 息子はハァハァと男を感じさせる息を吐きながら、乳房を回すようにして揉み、嬉しそうに顔を押し付けてきている。
 まるでお気に入りのオモチャを手にしたようなその表情に、愛らしさが湧き起こり、もっと自由にさせてあげたくなってくる。
 だがこのままではいけなかった。
 今していることは、親子でするべきではないことなのだから。
 逆らわなければ、と自分を叱咤し、体を動かそうとするが、次の瞬間、胸の突起に鋭い快感が走ったため意識が飛んだ。
 息子が乳首に吸い付いてきたのだ。
 舌を絡ませるようにして舐め回し、数度強く吸ってくるのに、痺れるような気持ちの良さが走り抜ける。
 この間の経験から、己の母親がどうすれば感じるのか理解しているのだろう。それは理恵にとり、たまらなく甘美な刺激になっていた。
「あっ、あっ……やっ、ああんっ……」
 いやらしい喘ぎが自然と口から漏れてしまい、体もピクンっ、ピクンっ、と痙攣し、脚が勝手にクネクネと動いてしまう。
 何といやらしい様だろう。
 そんな姿を息子に晒しているのだと思うと、激しい羞恥心が湧き起こる。
 だがすぐさまそれ以上の気持ちの良さが押し寄せ、どうでもよくなった。
「嫌、あっ……止め、あんっ……駄目、ああっ……」
 否定の言葉も途切れ途切れとなり、逆にいやらしさを高めてしまっているように思えた。
 実際息子の鼻息は荒くなり、愛撫の動きも激しくなっており、相当興奮しているのが分かる。
 このままでは肉棒を入れられてしまうだろう。
 その恐怖が湧き起こるが、先日味わったそれ以上の快楽の記憶が、「また入れられてみたい」という想いを呼び起こした。
(駄目よ駄目っ……それだけは駄目ぇっ……)
 必死に否定するものの、次々に与えられる愛撫に、すでに抵抗する事はできなくなっていた。
 数日前与えられた快楽の名残が、そうした力を奪い取っていたのだ。
 肉体は正直だ。強烈な快楽を与えてくれる息子を、優れた雄として、自分が精を受けるに望ましい雄として認識しているのだろう。
 肉体は、すでに己が息子の女であることを認識してしまっていたのである。
 せめて心だけは抵抗しなければ、と決意するものの、押し寄せる快楽はそれすらも許してくれなかった。
 蕩けるような気持ちの良さが、心を白く染めていっている。
(ああ……駄目……私……駄目ぇ……)
 ぼんやりとした意識が、スカートが捲り上げられ、パンティが引き下ろされるのを知覚している。
 息子がのし掛かってくるのが薄れる視界に映り、大きく息が吐き出されるのが聞こえると共に、秘所に何かが押し付けられるのが分かった。
 入れられる。
 息子に再び肉棒を入れられてしまう。
 そう思った瞬間、諦めのような想いと歓喜が湧き起こった。
 ズブリ……。
 亀頭がハマり込むと、息子の顔がうっとりとしたものに変わるのが見え、肉欲まみれの吐息が顔に当たる。
「あっ……ああっ……あぁあっ……」
 ゆっくりと入り込んでくる、膣襞をかき分けるようにして押し込まれてくる肉棒の感触に、蕩けるような気持ちの良さが溢れた。
(ああ……気持ちいい……駿ちゃんの、いぃ……)
 涙が出るほどの歓喜が理恵の心と体を包んでいた。
 これだ。自分はこれを求めていたのだ。
 この数日間、自分はこれが欲しくてたまらなかったのだ。
 入れられたことで、如何に己が息子の肉棒を欲していたのかが分かった。
 否定の意識など嘘っぱちだ。
 それはしょせん世間体を気にした表面的な欺瞞だったのだ。
 自分の本心は、息子の肉棒が欲しくて欲しくてたまらなかったのである。
 母親としては失格かも知れないが、いや、母親だからこそ、息子の肉棒を欲してしまうに違いなかった。
 血の繋がった息子の肉棒は、赤の他人のどんな肉棒よりも甘美であり、素晴らしく、また愛しいものだった。
 己が最も愛する者の生殖器なのだから当然だろう。
 女は愛する男のモノを求めるものなのだから。
「あっ、あっ、ああっ……やっ、やっ、やぁっ……」
 息子の腰が動き始め、勢い良く肉棒が抜き差しされていく。
 その気持ちのいい刺激は、一瞬にして意識を真っ白にした。
 目の前には、だらしのない表情を浮かべた息子の顔があり、その幼さを感じさせる様子にたまらない愛おしさが込み上げてくる。
 自分は抱かれている。
 愛する息子に抱かれている。
 何と幸せなことだろう。
「お母さんっ……お母さんいいよぉっ……お母さんの中っ、すっごくいぃっ……凄いっ、凄いよぉっ……凄いぃっ……」
 それしか言えないとばかりに叫び、夢中になって腰を振る息子の姿に嬉しさが込み上げてくる。
 自分は息子を気持ち良くさせてあげられているのだ。
 自分だけが気持ちいいのではない。
 息子も自分を抱いていることに悦びを覚えているのである。
 そう思うと強烈な幸福感が押し寄せてきた。
「あっ、ああっ……駿ちゃんいいわ、あんっ……駿ちゃんの凄くいぃっ……凄いのっ、凄いのぉっ……」
 ついに受け入れる言葉を発してしまった。
 そうなるともう止まらず、自らも腰を動かしてしまう。
 目の前で息子が歓喜の表情を浮かべ、さらに肉棒を強く大きく突き込んでくるのに悦びが溢れた。
「あんっ、あんっ、ああんっ……そうっ、そこ、そこぉっ……駿ちゃんそこをもっとぉっ……」
 求めるように叫ぶと、それに応えるようにして息子が腰を動かしてくるのに、痺れるような快感と愛情を覚える。
 息子はこちらが気持ち良くなれるようにしてくれているのだ。
 何と優しい子なのだろう。
 たとえ最初は性欲の高まりから襲いかかってきたのだとしても、受け入れてあげさえすれば、こうしてこちらが気持ち良くなることに気を遣ってくれるのである。
「やっ、やぁっ……駿ちゃん上手よ、あんっ……上手なの、ああっ……駿ちゃん上手ぅっ……」
 自然、返す言葉も褒めるようなものになった。
 実際息子の腰の動きは、そうするに値するほど自分を気持ち良くしてくれているのだ。
 数日前に教えたことを覚えてくれているのに違いない。
 その事がさらなる嬉しさを呼び起こした。
「ああっ、あっ、ああんっ……こんな凄いの、あっ……こんな凄いの初めてぇっ……やっ、やっ、やぁっ……駿ちゃんっ、駿ちゃぁんっ……」
 背中に手を回し、腰に脚を絡ませ、逃がすまいと抱き締める。
「うぅっ……お母さん締まるっ……締まるよぉっ……凄い、くっ……」
 快感に顔を歪める息子に愛おしさが高まる。
 今自分は息子を支配している。
 自分のモノにしているのだ。
 息子にとって自分こそが全てになっているのである。
 愛らしい。
 何と素晴らしい存在なのだろう。
「駿ちゃんっ……大好きっ、大好きよっ……愛してるわっ……」
「僕もっ……僕もお母さんが大好きっ……愛してるっ……」
 唇が重なり合い、舌が絡む。
「んっ……んんっ……んふぅっ……んっ、んぁっ、あっ、ああっ……」
 荒々しく唇を擦り合わせながら、激しく腰をぶつけ合わせる。
 まさに一心同体の交わりだった。
 自分と息子の想いは一つだったのだ。
 もっと愛し合いたい。
 もっと気持ち良くなりたい。
 親子であるからこその一体感。
 それはこうして抱き合い、繋がり合っているとよく分かった。
 まるで一つに溶けてしまったかのような肉棒と膣の状態に、理恵の意識は揺さぶられ、混濁していった。
 もう何も要らなかった。
 息子さえ、愛する息子さえいてくれれば、それで自分は何も要らなかった。
 息子とこうして繋がり合い、愛し合えれば、それだけで幸せだった。
「お母さん僕、くっ……僕もう、うぅっ……もう限界っ……」
「いいわ、あんっ……出しなさい、ああっ……お母さんの中に、あんっ……お母さんの中に出してぇっ……」
 息子の精液を受け止める。
 それこそ母親にとり、最も幸福感を味わえることではないだろうか。
 数日前、何度も味わったその感触こそが、こうして再び抱かれずにはいられなくなった原因に違いなかった。
 何しろ射精を告げられた瞬間、それまでとは比較にならない快感と喜びが押し寄せてきたからだ。
「あっ、あっ、ああっ……凄いっ、凄いっ、凄いぃっ……いいのっ、いいのっ、いいのぉっ……駿ちゃんっ、駿ちゃんっ、駿ちゃぁんっ……やっ、やっ、やぁあああああああああっ!」
「お母さぁんっ!」
 母子の叫びが重なると共に、息子の肉棒の栓が開かれた。
 勢い良く迸る精液が子宮に注がれるのを感じた理恵は、そのたまらない気持ちの良さに意識を真っ白にしていくのだった。












あとがき

 女性視点の話にしてみました。
 私は基本的に男視点で読むのが好きなので、これまでほとんど書いていませんでした。
 でも読む側ではなく書く側となると楽しいので、今回書いてみた次第。
 特に母親ってのは、息子に襲われても受け入れちゃいがちで、それでいて「許されない」って意識も強く持っているような感じがするのでいいんですよね。だから書いていると楽しい訳ですわ。
 私は「駄目なのに感じちゃう」ってのが好きなんですが、母親ってのはそれが一番いい感じに表現できるのですよ。
 母親だと、息子が甘えるようにしてくる部分もあって、それに流されちゃうのがたまらんのですな。
 姉でもそれは出来るんですけど、やはり甘えや禁忌さの意味では母親の方が強い感じなんですよね。
 だから女性視点では母親が一番いいかなぁ、と。
 まあ、男視点でも母親が一番いい訳ですけど(笑)
(2012.11.27)



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