狂気の相姦


 翔太(しょうた)は、その部屋の立派さに少々困惑していた。
 そこは叔母の美菜子(みなこ)に提供されたマンションの一室なのだが、さして収入がある訳ではない自分たちが生活するには、分不相応に思えたからだ。
 とはいえ、良質の部屋を用意されて不満があるはずもないため、ありがたく受け入れるつもりだったが。
「凄くいい部屋ねぇ。素晴らしいわぁ」
 少し離れた所では、母の早苗(さなえ)が物珍しそうに部屋の中を見回している。
 その横顔は美しく、幼い頃から友人達に羨ましがられた事が多かったため、翔太にとって自慢の母親だった。
 年齢は三十八歳だが、背が低いことや少々童顔な点、そして挙動の落ち着きの無さから若く見られる事が多く、今も短めの髪を揺らしながらキョロキョロしている様子には、少女のような雰囲気を感じさせる部分があった。
 小柄な割に胸は豊満で、ウェストは締まっており、男であればつい目がいってしまうプロポーションの持ち主だ。
 若く見えても歳相応の色香も醸し出しており、通りすがりの男に、いやらしい視線を向けられる事もしばしばあった。
 高校の友人達にも、冗談交じりに「お前の母さんみたいな人に筆下ろししてもらいたい」などと言われたことがあるくらいであり、息子としては少々困惑してしまう魅力の持ち主でもあった。
「気に入ってもらえて嬉しいわ。急に探したものだから、そんなに選んでいられなかったのよ」
 美菜子はそう応えると、小さく笑っている。
 年齢は三十六歳で、かなりの美人であり、肩胛骨の辺りまで伸びた黒髪と、スラリとした肢体、そして胸元の大きな膨らみが魅力的な女性だった。
 きびきびとした雰囲気や、グレーのスーツに身を包んでいるのが、「出来る女」という印象を与え、実際大きな会社の社長をしているそうだから、印象通りの優れた人物なのだろう。
 これまで翔太の家は親戚と付き合いが無かったため、美菜子の事もつい最近知ったばかりだった。
 どうしてそんな状態なのか不思議だったが、母にその事を尋ねると、暗い表情を浮かべて口ごもったため、強く聞くことは出来なかった。何か話しにくい事情があるのかも知れない。
「本当にありがとう。こんな部屋まで用意していただいて、あなたには感謝してもしきれないわ」
 早苗が深々と頭を下げて告げたため、翔太も慌ててそれにならった。
「そんな、頭を上げて。私にとってあなたは義姉なんだから、これくらいして当然よ。親戚なんですもの」
 美菜子の返事は、普通であれば何の変哲もない内容と言えただろう。しかし翔太にとっては、複雑な想いを抱かせるものになっていた。
 何しろ今回自分たちが引っ越さなければならなかった理由は、まさにその親戚の問題ゆえだったからだ。
 事の起こりは数ヶ月前だった。
 突如として母の様子がおかしくなり、父の死を嘆くようになったのだ。
 父は翔太が幼い頃に亡くなっていたため、今更どうしてその事でおかしくなるのか分からなかった。
 母の恐怖の源は、どうやら父の親族のようで、彼らのことを語りながら極端な怯えを示し、酷いことをされるのだと言い始めたのである。
 父との結婚の際に大反対され、それを無視して結婚した事を恨まれているので、仕返しをされるというのだ。以前は父が守ってくれていたが、今はそうではないから怖いというのである。
 先日近所に親戚の一人が現れ、挨拶をされたそうで、その事から恐怖が起きてしまったらしい。
 しかし挨拶をしてきた程度で何かされるというのも考えすぎだったし、実際その後に何も起きていないのだから、これは母の被害妄想としか言いようが無かった。
 それもかなり強烈なものだ。何しろ怯えていて、精神的に追い詰められているのがよく分かるからである。
 このままでは母はおかしくなってしまうだろう。
 病院へ連れて行った方がいいだろうか、などと思いもしたが、下手にそう告げては強く反発される気がしたため、なかなか言い出す事が出来なかった。
 そうこうしている内に、「隠れなきゃ。早く家を引っ越しましょう」と早苗は言い始め、実際荷物をまとめるまでになってしまった。
 まさかそのような事までするとは思っていなかった翔太は、驚きと共に恐怖を覚え、こんな母をどうすればいいのかと苦悩した。
 そしてついにある日、「引っ越しするから」と言う早苗に急かされるまま、ろくな荷物も持たずに家を出る事となり、車で数時間移動した後に辿り着いたのが、このマンションという訳だった。
「それでも感謝させて。あなたには本当に感謝してるの。ありがとう」
 早苗は美菜子の両手を包むようにして掴むと、涙を流して何度も頭を下げている。
 父の親族を恐れているのに、何故父の妹である美菜子だけは平気なのかと疑問に思ったが、当時ただ一人結婚に反対せず、逆に協力してくれたのが美菜子なのだそうだ。そのため母は強い信頼を置いており、頼っているという訳だ。
 実際かなり安心しているようで、美菜子と会ってから落ち着きが出てきているように思えた。
 このマンションの手配にしても彼女がしてくれたのであり、親族との問題にしても、「絶対見つからないようにしてあげるし、その間に自分が話を付けてあげる」と言ってくれたらしい。
 そうした実際的な処理をしてくれ、さらに言葉に力強さを感じさせる美菜子の存在は、母にとり、父に代わる新たな頼れる存在として認識されているのだろう。
 親族との間に問題があると思い込んでいる母を納得させるには、美菜子のような存在に、「もう大丈夫」と言ってもらうことが必要なのかも知れない。
 そういう意味で、まだ子供でしかない自分では役者不足なのだった。
 その事が少し悲しく感じられもしたが、これで母も安心して暮らしていくことが出来るのだと思うと、美菜子に対する感謝の想いがさらに強くなった。
「翔太くんも、もう少ししたらまた高校へ通えるようにしてあげるから、少しの間だけ我慢してね?」
 優しく微笑みかけてくる美菜子の美しい顔に、思わずドキリとしてしまう。美人に正面から見つめられ、笑顔を向けられるというのには、かなり強烈なものがあったからだ。
 母と同年代の女性相手に、何を動揺しているのかと思うが、魅力的なのだから仕方ないだろう。母にしても、高校の友人達に魅力的な女性として評価されていたのだから、他人であれば、そうした感情を抱くのにおかしな年齢ではないのかも知れない。
 そんな事を考えつつ、恥ずかしさを感じながら視線をそらし、小さく「ありがとうございます」と呟くと、美菜子がクスっと笑うのが聞こえたため、顔が熱くなった。
 自分は美菜子にどう思われているのだろう。いい歳をして母親を助けられない駄目な息子と思われているだろうか。
 そう考えると、己が情けなく感じられてしまう。
 美菜子のような素晴らしい女性を目の前にすると、どうにも己の駄目なところが意識され、恥ずかしくなってしまうのだ。「自分のような男では、決して相手にされない女性」という意識が起きるからかも知れない。
 美菜子のように優れた女性には、やはり同じように優れた男でなければ釣り合わないのだ。この知的で美しく、魅力的な女性を抱けるのは、そうした男だけだろう。
(でも……一度でいいから、美菜子さんみたいな人とセックスしてみたい……)
 そんな想いを抱きながら、母と話している美菜子の肢体をジッと眺める。
 胸元の大きな膨らみを見ていると思わず鷲掴みしたくなり、そのまま吸い付いたりしたらどんな感じなのだろうと想像を逞しくさせる。
 ソファに押し倒し、スーツのスカートを捲り上げ、奥に隠された秘所に肉棒を押し込んで腰を動かしたら、美菜子はどんな風に声を上げ、どんな風に反応を示すのだろうか。
 してみたかった。
 美菜子とセックスしてみたかった。
 自分の初めては、美菜子のような女性としてみたかった。
 年上の女性に筆下ろしをしてもらうという、思春期の少年であれば誰もが思い描くであろう妄想を頭に浮かべながら、翔太は美菜子の体を眺め続けた。
(!……)
 不意に美菜子がこちらを見たため、激しく動揺してしまう。
 その綺麗な瞳が、「全部分かっているのよ」と告げているように感じられ、己のいかがわしい想いを見透かされたように思えて恥ずかしくなる。
 美菜子は楽しげに微笑んでいるのだが、それはまるで「しょうがないんだから」と甘くたしなめているような感じがあり、その事に心臓が強く鼓動していく。
「それじゃ、翔太くんも元気でね。また来るから」
 優しげに告げた美菜子が脇を通り過ぎると、甘い香りが鼻を擽り、体が少し触れたことに震えが走り抜ける。
 ほんの一瞬だったが、美菜子の肉体に触れられたことに興奮を覚え、思わず抱き締めたくなる衝動を覚えた。
 その事にボーッとしながら美菜子の後ろ姿を見つめていると、早苗が「ほら、お見送りしましょ」と背中を押してきたため、慌てて玄関へと向かう。
 最後にもう一度「またね」と優しく微笑んでくる美菜子に、心臓の鼓動を激しくしながらたどたどしく応じつつ、素敵な叔母がまた来てくれる日の事を、翔太は心待ちにするのだった。


 それから数日間、翔太達は部屋に籠もって暮らすこととなった。
 母の不安が無くならない以上、外へ出かける、といった誰かに居所を知られる可能性のある行為をする訳にはいかなかったからだ。
 翔太にしてみれば馬鹿馬鹿しいことだったが、美菜子に「お母さんの不安に、本気になって相手をしてあげるのが大切なのよ」と言われたため、これまで自分がそうしてこなかったことを反省した。
 部屋に籠もるとなると色々不都合が生じるが、食料はかなりの備蓄を用意してくれていたし、数日後にはまた届けてくれる事になっていたので心配する必要はなかった。
 翔太も母もどちらかと言えばインドアな人間であったため、外へ出られないから苦痛になるという事もなく、また暇つぶし用に映画のDVDや小説、漫画などを用意してくれていたので問題はなかった。
 母は最初の頃こそ不安定な状態である事が多かったが、徐々に安心感が強くなったのか、不安な様子を見せるのが減っていった。
 その事に翔太はホッとし、これならば思ったよりも早く元の生活に戻れるだろうと嬉しくなった。
 しかしそれが浅はかな考えだったと気づくのに、それほど時間はかからなかった。
 ある日、いつものように夕食を終え、何か映画でも観ようかと母に声をかけた時の事だ。
 早苗はこちらの声が聞こえていない様子でボーッとしたままであり、何度声をかけても反応を示さなかった。絨毯の上に座った状態で、宙を見つめているだけなのだ。
 慌てて肩を揺さぶると、ようやくこちらへ視線を向けたが、翔太の心配そうな表情に驚いたのか、「どうかしたの?」と逆に聞かれる始末だった。
「声をかけても返事しなかったから心配したんだ」と告げると、早苗は「ちょっと疲れてるみたいだから。ごめんね」と明るく笑った。
 実際その表情には力が無く、疲れているのだという事が感じられた。
 表面上は明るくなったにせよ、やはり心の中では不安で一杯なのかも知れない。
 ずっと一緒に居るのにその事に気が回らなかったとは、何とも情けないことだった。
 美菜子に言われた、「本気になって相手をする」というのを守れていなかったのだ。もっと母の不安を真剣に受け止めなければいけなかったのである。
 とはいえ、その言葉通りにするにはどうしたらいいのだろう。
 自分には一体何が足りないのか。
 そう考えて思いついたのは、母の気持ちになってみる事だった。
 母は父の親族に怯えているのだから、自分もそうした立場に置かれていると仮定して考えるようにするのだ。
 相談などもした方がいいだろう。要は不安な気持ちをお互い吐き出し合う関係になる、といったところだろうか。
 考えてみれば、以前から早苗は、何度も「怖い」「不安なの」という事を口にしていたが、自分はそれを軽く流してしまっていたように思えた。そうした想いが態度に表れていたのかも知れない。
 そんな状態では、自分を頼りにしてくれないのは当然だった。言うことを真面目に取り合ってくれない人間に、信頼を置くはずがないからだ。
 息子だというのに何と冷たい態度だったのだろう。これからはもっと親身になって母と会話しなければ。
「お母さん、僕が間違ってた。僕、お母さんのこと、ちゃんと考えてなかった。ごめんね。これからは僕も、親戚とのこと真剣に考えるから」
 翔太がそう告げると、早苗はハッとしたように目を見開き、俯いてからゆっくりと話し出した。
「ううん、謝るのはお母さんの方よ。翔ちゃんに心配かけちゃうなんて、本当情けない母親よね……でもあの人達のことを考えると、どうしても怖くて……」
 小さく震えながら呟いている母の姿に、庇護欲が強く刺激され、同時に自分が間違っていたことに改めて気がつく。
「怖がる理由が普通ではない。病気なのだ」というのはどうでもいい事だった。問題は、母が本気で凄く怖がっているという点であり、それを支えてあげられるのが、傍に居る自分だけだという事なのだ。
 何より母は女性で、自分は男なのだから、こういう時に頼りになる存在にならなければいけないのである。実際的な面で出来ることは無いかも知れないが、精神的な面だけでも支えになるべきだった。
 そう決意した翔太は、小さく息を吐き出してから母の背中に腕を回すと、おずおずといった感じで抱き締めた。
 少々恥ずかしかったが「相手を安心させるには、抱き締めるのが良い」という事を以前読んだ覚えがあったのでしてみたのだ。
 早苗は一瞬体を硬直させたが、すぐに力を抜き、少しすると安堵した息を漏らした。
 どうやら上手くいったらしい。母を安心させる事が出来たのだ。
「僕、何も出来ないけど、お母さんのために頑張るから。だからお母さんも僕を頼って……頼りないかも知れないけど……」
「そんなことないわ。翔ちゃんは頼りになるわよ……今だってお母さんのことを思ってくれてるじゃない。凄く嬉しい……」
 己の情けなさに悲しくなりながら告げると、涙混じりの声でそう返された。
 続けて背中に腕が回され、強く抱き締められた事に喜びが溢れる。
 母は自分を頼りにしてくれている。必要としてくれているのだ。何と嬉しい事だろう。
「お母さん……」
「翔ちゃん……」
 母子は強く抱き締め合った。
 安堵の想いと、母の温かさが感じられ、心地良さに心と体が包まれていく。
 母に対してこんなに強い愛情を覚えたのはいつ以来だろう。何より抱き締め合うことがこれほど心地良いとは思ってもみなかった。
 自分はずっと守られてきた。母に頼りながらこれまで育ってきたのだ。だがこれからは、自分が母に頼られるようにならなければ……。
 そんな事を考えながらジッとしていると、高揚していた気分が段々と落ち着いてくるのが感じられた。
 そうなってくると、母親とはいえ、女性を抱き締めている事に恥ずかしさを覚え始める。
 慌てて離れようと体を後ろへ引くと、それを止めるようにして早苗が力を込めてきた。
「えっと、お母さん……まだこうしてた方がいい?」
「翔ちゃんはもういいの? お母さんはもっとこうしてたい……」
「は、恥ずかしくてさ……」
「ふふ……だけど先に抱き締めてきたのは翔ちゃんなんだから、もう少し我慢してね」
「わ、分かったよ……」
 楽しげに言ってくる早苗の様子に、ホッと息をつく。
 どうやら少しは恐怖を弱めることが出来ているらしい。
 そのためであるなら、ちょっとくらいの恥ずかしさは我慢するべきだろう。
 とはいえ、一旦高揚が冷めてしまうと、触れている母の肉体を意識せずには居られなくなった。
 何しろ自分は年頃なのだ。いくら母親とはいえ、女性の柔らかな肉体に触れていれば、体が反応してしまうのである。
 前面にあるフニャリとした肉の感触は、どうにも落ち着かない衝動を呼び起こし、股間の一物が硬く大きくなりそうになるのを必死に抑えなければならなかった。
「翔ちゃぁん……これからもお母さんを守ってねぇ……」
 早苗が甘えるように体を押しつけてきたため、その柔肉が強く認識され、特に胸元にある二つの膨らみの感触は、強烈な快感を呼び起こした。
(お母さんの……おっぱい……)
 そう思った瞬間、肉棒が一気に硬く大きくなった。
 ムクムクと体積を増し、ズボンに押さえつけられる状態になったため痛みを覚える。
 少し動いて位置をずらすと解消されたが、替わりに母の体に押しつける状態になったため、慌てて腰を引く。
 その瞬間、早苗の鼻から大きな息が漏れたため、もしかして気づかれたのではないかとギョッとなるが、特に何も言ってこなかったので大丈夫だったのだろう。
 このようなことが知られたら、恥ずかしいどころの騒ぎではなかった。
「翔ちゃん、そろそろ映画を観ようか。今日は何にする?」
 不意に早苗が体を放したため、ホッと息を吐き出しつつ、股間を押し上げている一物の存在がバレないよう、脚で隠す姿勢をとる。
「まだ観てないのって、何があったっけ?」
「色々あるわよぉ。沢山あるもの」
 意識をそらすために尋ねると、早苗は立ち上がってDVDを確認しに行った。
 その隙に大きく息を吐き出し、一物が小さくなるよう祈る。
 だが目は母の体を追っており、その柔らかな曲線をなぞっていた。
 母親に対して何をやってるんだと思い、慌てて視線を外すが、脳内では、先ほど味わった甘美な感触を反芻することを止められなかった。
(お母さんって、美人だし、体もいいもんな……少しくらい興奮したってしょうがないよ……)
 心の中でそんな言い訳をし、自分の行為に正当性を持たせるものの、良くない行為である事には変わりはなかった。
 自分は母親に欲情している。何と異常な事だろう。
 そう考えて落ち込むが、別に実際に手を出している訳ではないのだから、構わないではないかとも思う。
 しょせん妄想でおかしくなっているだけの話なのだ。忘れればいいのである。
 今の自分は、予想外に気持ち良かった母の肉体に当てられているだけだろう。映画でも観て意識を切り替えれば、すぐにいつも通りになれるはずだった。
 そんな事を考えていると、早苗が楽しげな顔でDVDを持って戻ってきた。
 先ほどと違って不安定さを感じさせない様子に、少なくとも今は恐怖を忘れさせられているのだと嬉しくなる。
 やはりこうして明るくしている母を見るのは幸せだった。これからもそう出来るよう、努力していかなければ。
 そんな想いを抱いた翔太は、取り敢えず今は映画を観て、母と一緒に楽しく過ごすのだと、DVDをプレイヤーにセットし、再生ボタンを押すのだった。


 夜。
 外は強風が吹いていて、窓がガタガタと音を立てていた。
 少々うるさく感じられた事から、なかなか寝付けないでいるのに溜息を付く。
 だが寝付けないでいる本当の理由は別にあった。股間で熱く昂ぶっている一物のせいだ。
 ベッドへ横になってからというもの、ある事を思いだし、興奮してしまっていたのである。
 それは、先ほど母と抱き合ったことだった。
 実の母親とはいえ、思春期になってから触れた母の肉体は、妙な色気を感じさせ、肉欲を高めさせた。
 こちらの体を受け止める、あのムニュリとした心地良さ。体温の温かさと、微妙に蠢く肉の反応に、心臓の鼓動が激しくなった。
 あの時自分は、己の抱き締めているのが女なのだと、気持ちのいい肉体なのだと強く認識したのだ。
 母親に対し、そのような想いを抱いているのに罪悪感を覚えるものの、それ以上の興奮を感じているのも事実だった。
 出来ればずっとああして抱き締めていたかった。
 いや、もっと色々触れてみたいと思っていたのだ。
 相手は母親だというのに……。
(何を考えてるんだっ……)
 いかがわしい想いを抱いていることに辛くなり、頭を激しく振って追い払おうとする。
 息を強く吐き出し、大きくなってしまった股間の一物に虚しさを覚えつつ、もう寝ようと決意する。
 こうしていつまでも起きているから余計なことを考えてしまうのだ。他の楽しいことを考えて、さっさと寝てしまおう。
 そう思いながら、何となく部屋の中を眺める。
 電灯を消してはいるものの、小さな電球を点けているため視界はさほど悪くなく、周囲の物が目に映った。
 勉強机に本棚、そして今自分が横になっているベッド。
 それがこの部屋に置かれている家具だった。
 本棚には教科書や参考書、問題集がしまわれていて、勉強するのに困らないようになっていた。学校へ行けなくなっても勉強だけはしておくようにと、美菜子が用意してくれたのだ。
 これまで勉強する事を面倒くさく感じていたが、いざ出来なくなる環境になると、勉強したくなるから不思議だった。
 実際この数日は、自分でも驚くほどに勉強していたのである。
 再び学校へ行けるようになったとしても同じように出来ればいいのだが、そうなったらきっとしなくなってしまうだろう。人間、余裕が出てくるとサボるようになるからだ。
 そんな事を考えていると、益々目が冴えてきてしまったので辛くなった。
 余計なことは考えず、とにかく眠ろう。
 そう思い、意識を切り替えようと寝返りを打った時だった。不意に部屋のドアがノックされた。
 こんな時間にどうしたのだろうと思いながら体を起こし、「何?」と返事をする。
「まだ起きてた? それとも起こしちゃったかな?」
 ドアが開き、薄明かりの中、早苗が部屋へ入ってくるのが見える。
 白いパジャマ姿が目に映り、思わず視線が胸の膨らみへ向いてしまうのを慌ててそらす。
 先ほど思い出していた感触が、また蘇りそうになるのを必死に抑えながら、翔太は大きく息を吐き出した。
「起きてたよ。何だか眠れなくてさ」
「そうなんだ。実はお母さんもなの。だから翔ちゃんに会いたくなっちゃって……」
 早苗はそう言いながら近づいてくると、ベッドへ腰を下ろした。
 パジャマというあまり見慣れない、しかも薄地の服である事に、思わず動揺してしまう。
 肉体を近くに感じたことからも、先ほどの接触を思い出して心臓の鼓動が激しくなった。
「ね、一緒に寝てもいい?」
「え……?」
 不意に予想外の事を言われたため心臓が跳ねた。一緒に寝るという言葉に性的なイメージを抱いたからだ。
 しかし自分達は親子なのだから、そんな想像をするのはどうかしているだろう。慌てていかがわしい想いを頭から追い払う。
「嫌かな? 翔ちゃんももう高校生だもんね。お母さんと一緒になんか寝たくないよね」
 早苗は寂しげに呟きながら俯いている。
 そんな様子を見てしまうと、無性に元気づけたくなってきた。
 一緒に寝るくらい良いではないか。幼い頃はよく一緒に寝たのだから。恥ずかしさはあるものの、母を元気づけるためであれば、それくらいは我慢するべきだった。
 だがそうした息子としての想いとは別に、「またお母さんの体に触れられるかも」といった肉欲からの期待も起きているのに嫌悪感を抱く。
 結局自分は、母の肉体を性的に見てしまっている。セックスの対象として認識しているのだ。何と歪んだ人間なのだろう。
「いいよ、一緒に寝ても……」
 邪な想いを誤魔化すため、素っ気ない口調で応えると、早苗は嬉しそうな笑みを浮かべた。
「ありがとう。それじゃお邪魔するわね」
 布団の中へ体を入れてくるのにドキリとしつつ、シングルベッドである事から、否応なくくっつく状態になるのに体が硬直する。
 母の肉体の温かさと柔らかさが、パジャマ越しに伝わり、さらに薄地の素材である事から、それがより強く感じられるのに、鼻息を強く吹き出してしまう。
 パジャマの隙間から、白い膨らみが少し見えたため、その事に心臓が激しく鼓動し、震えが走り抜けた。
 母の乳房が、柔らかそうな膨らみが、すぐそこにあるのだ。
 思わず唾を飲み込みそうになり、慌ててそれを抑えると、乳房を意識しないよう視線をそらす。
「ね、ちょっと抱き締めてもいい?」
「え?」
「お母さん、何だか寂しいの……それでね、さっき翔ちゃんと抱き締め合った時、凄くホッとしたから……だからまた、したいなって……駄目、かな?」
 切なげな瞳でそう言われては、断れるはずもなかった。何より先ほど自分を頼るように提案していたのだから、受け入れるのは当然の事だった。
 とはいえ、母を性的に意識している今の状況で抱き締められるのには不安があった。これまで以上に興奮してしまう可能性があったからだ。
「いい、けど……」
 動揺を隠しながら了承すると、早苗は嬉しそうに笑った。そしてゆっくり体を寄せ、包むようにして抱き締めてくる。
 体の左側にムニュリとした肉の感触が押し寄せ、その気持ちの良さに、思わず大きく鼻息を漏らしてしまう。
 股間の一物がムクムクと大きくなっていくのが感じられ、その事がバレないよう腰を引いて誤魔化す。
 首筋に母の吐息がかかるのにくすぐったさを覚えつつ、高まってしまう興奮を必死に抑えながら、翔太はジッと耐えていった。
 そうして少し経った頃だろうか、不意に手が頭に触れてきた。
 撫でるように動いた後、強く掴み、強引に顔を母の方へと向けさせてくる。
「翔ちゃんお願い。お母さんを抱き締めて……何だか怖いの。凄く怖いの……でも翔ちゃんに抱き締めてもらえたら、大丈夫だと思うから……」
 そこにあったのは、何とも悲しげな、恐怖を感じている顔だった。先ほどから微妙に震えているのも感じられていたため、どうやら不安が高まっているらしい。
 自分の部屋へ来たのは、寂しかったというより、怖くなったからだろう。夜になり、一人になったことで色々考えてしまったのかも知れない。
「うん……」
 そんな母を放っておけるはずもなく、素直に頷く。
 だがその一方、またあの気持ちのいい感触が味わえるという事に、強い期待を抱いている自分も居た。
 母の不安を何とかしようとしているはずなのに、性的な方へも意識が向いてしまっているのだ。先ほど味わった快楽が、若い肉体をそう駆り立てていたのである。
 母の方へ体を向けると、途端にグイと引き寄せられた。
 体の前面が柔らかい肉の感触に覆われ、そのことに蕩けるような気持ちの良さを覚えつつ、自らも母の背中に手を回して抱き締める。
「ん……」
 思わず零れたといった感じの吐息に色っぽさを覚えながら、肉棒が勢い良く勃起しているのを気に掛ける。
 だがそんな想いを無視するかのように、早苗は体を押しつけてきたため、股間が思い切り接触する状態になった。
 勃起しているのは完全にバレているだろうから、どう思われているかと心配して視線を向けると、そこには強い恐怖心に染まった母の顔があった。
「翔ちゃん……お母さん怖い、怖いの……」
 そう呟きながら強くしがみつき、体をグイグイと擦り付けるようにしてくるのに圧迫感を覚える。
 それと同時に、柔肉の感触に興奮が湧き起こったため、鼻息を思い切り吹き出してしまう。
 不意に首筋に湿ったものが触れたのにギョッとなるが、それが母の唇の感触だと認識した事でさらに驚愕した。母は首筋にキスしてきたのだ。
「翔ちゃん……翔ちゃん大好きよ……」
 感触が首から顎へと上り、そのまま頬、額と顔中に広がっていく。
 突然のキスの嵐に、翔太はどうすることも出来ず、されるがままになった。
(!……)
 だがさすがに唇に触れてきた時には、慌てて体を放そうとした。
 しかし強引に引き寄せられ、何度もチュッチュッとキスをされてしまう。
 強く唇を押しつけられたと思うと同時に、ニュルリと舌が入り込んで来たため、その異常な行為に、母はどうしてしまったのだろうと思う一方、こちらの舌に絡みつき、口内を舐め回してくる動きに興奮が増していった。
 そうしてねちっこいキスを繰り返されていく内に、意識がボーッとし、体中から力が抜けていくのが感じられた。
 目の前には、母のトロンっとした今まで見たことのないいやらしい顔が存在しており、その様子に肉欲が激しく高まっていく。
(お母さん……)
 母を求める意識が強烈になり、こちらからも柔らかな肉体を強く抱き締めると、舌を絡ませていく。
「んっ……んんっ……んふぅっ……」
 淫靡な吐息が聞こえ、体が押しつけられるのに合わせてこちらも擦り付ける。
 恥ずかしさが無くなり、逆にもっといやらしい行為をしたくなった事から、肉棒をグイグイと押しつけ、湧き起こる快感を味わっていく。
 胸元に当たっている乳房の感触が興奮を呼び起こし、それに触れたくてたまらなくなった翔太は、母にのし掛かるようにすると、手を乳房へ伸ばしていった。
 手のひらにムニュリといった感触が広がり、その独特の柔らかさに鼻息が荒くなる。
 そのまま指を食い込ませ、何度も揉みしだくと、蕩けるような快感が湧き起こった。
 抵抗してこないことから許されたと認識し、両手で鷲掴んで夢中になって揉んでいく。
「んんっ……んっ、んっ……んんぅっ……」
 唇を荒々しく擦り付けながら、乳房を回すようにして揉んでいくと、母の体に小刻みな震えが走り抜け、自分の与えた刺激で反応するその様子に、味わったことのない興奮が押し寄せてきた。
 少ししてから唇を放すと、目の前に母のぼんやりとした顔があり、その女を感じさせる表情にドキリとする。
 それはまさに男を求める顔であったため、まるで他人であるかのような錯覚が起きた翔太は、さらなる行為に進むのに躊躇を感じなくなった。
 震える手でパジャマのボタンを一つ一つ外していき、前を開いて乳房を顕わにする。
 寝る際にはブラジャーを付けないのか、目の前には生の乳房が存在しており、その予想以上の迫力に目が釘付けになった。
 幼い頃、一緒に風呂へ入った際に見ていたはずだったが、久しぶりに見るそれは、何とも言えない美しさといやらしさを感じさせた。
 大きく膨らんでいる乳房は、母が動くたびに微妙に揺れ、強烈に興奮を誘った。
 脂肪の塊でしかないにも関わらず、何故こうも魅力的に感じられるのだろう、などと思いながら、大きく鼻息を吹き出し、魅惑の膨らみに直接触れていく。
 手のひらにしっとりとした肌と温かな肉の感触が伝わり、少し力を込めると、フニュリといった感じで指が吸い込まれる柔らかさに歓喜する。
 先ほどもパジャマ越しに触れはしたが、直に触れるのとでは大違いだった。何しろ触れているだけで、手が快感を得ているような、そんな素晴らしさがあったからだ。
 美しい膨らみが歪む様子もたまらず、鼻息を荒くしながら何度も揉んでいってしまう。
 頂点にあるプックリとした突起が、乳房が形を変えるたびに位置を移動し、そのまるで誘っているかのようにフルフルと揺れる様に我慢できなくなった翔太は、勢い良く吸い付いていった。
「あっ……んっ……翔ちゃぁん……」
 早苗の吐息のような呼び声が耳に響き、甘える口調に興奮が湧き起こる。
 口内にはコリコリとした乳首の感触があり、それを思い切り吸い上げると、「あっ……ああっ……」と切なげな声が漏れたため、肉棒がグンっと力を増した。
 舌で転がすようにして舐めつつ、吸っては放し、吸っては放しを繰り返し、それを両方の乳首に対して行っていると、信じられないほどに元気が溢れてきた。
 叫びたくなる衝動を抑えながら乳房を強く揉みしだき、乳首を舐め、吸っていくと、おかしくなりそうなほどに興奮が高まっていくのが感じられた。
(入れたい……入れたいよ……お母さんの中に、入れたい……)
 股間で猛っている肉棒を、母の中に入れたかった。
 それは近親相姦であり、許されない行為だというのは分かっていたが、ここまで高まってしまった肉欲は、とてもではないが倫理や道徳などでは抑えようがなかった。
 今股間で爆発しそうになっている衝動を開放しなければ、自分は狂ってしまうだろう。
 そんな想いに駆られ、鼻息を荒げながら体を起こした翔太は、母のパジャマのズボンに手をかけると、パンティごと一気に引き下ろしていった。
 続けて肉付きの良い両脚を掴み、左右に開いて覗き込むと、複雑そうな襞が目に飛び込んできた。
(これが……女……)
 目の前には、初めて見る女の花園があった。
 それはヌラヌラと濡れており、微妙に蠢いている様が強烈に興奮を誘った。
 見ているだけで肉棒が昂ぶり、無性に中へ入れたくなる衝動が起きてくる。
 本能が、雄としてどうすればいいのかを教えてくれているのだろう。ここへ入れろと、肉棒を押し込めと教えているのだ。
 その衝動に押されるまま、パジャマのズボンとパンツを脱いだ翔太は、はち切れんばかりに硬く大きくなった肉棒を手に持つと、膣穴があるであろう箇所へと近づけていった。
 目的の穴を探りつつ、「ここだ」と思ったところで腰を前へ押し出すが、どうにも上手く入らない。
 何度か同じようにしてみるものの、全て外れてしまう。
 焦れば焦るほど、見当違いの所へ押しつけているように思えてきて、何とも悲しい気分になった。
「もっと、下よ……」
 不意に小さな声が聞こえ、早苗が合わせるように体を動かしてきたのに喜びが溢れる。
 母も自分との結合を求めてくれているのだ。
 肉棒の位置を調整し、入れようとするが、まだ上手くいかない。
「もうちょっと下……もうちょっと……そう、そこ。そこよ……そこに入れて……そう、そのまま押し込んで、あぁんっ……」
 誘導に従って動かしていき、亀頭が何かにハマったような感触が起きた瞬間、そこが正解だと告げる母の言葉に驚喜しながら腰を前へ押し出すと、ウニュンっといった感じで肉棒が中へ入り込んだ。
 途端、肉棒が温かくて湿ったモノに包まれ、ウネウネとした襞に吸い付かれる感触が起きると共に、全身が強烈な快感で覆われていった。
(気持ちいい……お母さんの中、あったかくて、すっごく気持ちいいよぉ……)
 頭を仰け反らせ、顔を惚けさせながら、股間に押し寄せてくる快感に浸る。
 ジッとしていても膣襞が肉棒に絡みつき、吸い付いて嬲ってくるのがたまらない。
 どうして母の中はこんなにも気持ちがいいのだろう。
「翔ちゃん……愛してるわ……」
 そう言われながら抱き締められると、温かい想いが湧き起こり、強い愛情が溢れてきた。
 こんなにも自分は愛されている。母に強く愛されているのだ。それは何と幸せなことだろう。
「僕も……僕もお母さんを愛してる……」
 普段であれば恥ずかしくて言えない言葉も、今なら素直に口にすることが出来た。
 実際頭は、母という女を愛する事で一杯になっており、もっともっと愛の証を立てたくて仕方がなくなっていた。
「嬉しいわ……ね、翔ちゃん、お母さんを沢山愛して……訳が分からなくなるくらい、強く激しく愛して欲しいの……お母さんを翔ちゃんで一杯にして……お願い……」
 悲しげな、辛そうな表情を浮かべながら言ってくるのにハッとなる。
 おそらく母は、不安が強まって苦しんでいるのだ。それを自分に何とかして欲しい、愛情で包み込むことで忘れさせて欲しい、と求めているに違いなかった。
 そしてその方法としてセックスを求めているのだ。自分とセックスをして、強い愛に包まれたいと欲しているのである。
 そう確信した翔太は、大きく頷くと、一度深呼吸をしてから、ゆっくりと腰を動かし始めた。
 途端、肉棒が膣襞と擦れ、それまで以上の快感が湧き起こってくる。
 その事に頭を大きく仰け反らせて耐えながら、意識しないでも腰が勝手に動いていくのに驚きつつ、そのたびに押し寄せてくる快感にうっとりとなった。
「あっ、ああっ……いいわ、あんっ……上手よ翔ちゃん、あっ……お母さん気持ちいいわぁ……」
 早苗の甘い声が耳に響き、その褒め称えてくる言葉に、男としての自尊心が刺激を受ける。
 自分は母を悦ばせている。女を満足させられているのだ。
 それは強烈な喜びとなって翔太の心を包み込んだ。
 そしてこちらが腰を動かすたびに母の顔が快楽に歪み、はだけたパジャマから覗く豊満な乳房が、タプンタプンと前後左右に揺れるのに、女を支配している誇らしさを感じて嬉しくなった。
 女を抱くとは何と素晴らしいのだろう。
 愛する女を自由にし、悦ばせ、自分も気持ち良くなる。
 セックスとはあまりに魅惑的すぎる行為だった。
「いいっ、翔ちゃんいいわぁ……あっ、あぁっ……もっとして、もっとよぉっ……翔ちゃん好き、翔ちゃん大好きなのぉっ……」
 何より求められ、愛されながらするセックスの何と気持ちのいいことか。
 母に愛されているという想いが強まると、快感までもが高まるから不思議だった。
「僕も気持ちいいっ。お母さん気持ちいいよぉっ……お母さん好きっ、大好きだぁっ……」
 そして自らも愛の言葉を述べ、強く大きく腰を動かすと、それだけで幸福感で一杯になった。
 母は素晴らしい女性だった。
 もっともっとその肉体を味わい、愛し合いたかった。
 だが初心者の悲しさか、すでに射精感は限界まで高まっていた。
 あと数度でも擦れれば、耐えきれずに精を放ってしまうだろう。
 その事に己のふがいなさを感じつつ、その一方でいよいよ女の中に射精するのだという事に、興奮が激しく高まっていった。
「お母さんっ……僕っ、僕ぅっ……出るっ、出るよぉっ……」
 これまで以上に腰を大きく速く動かし、最高の状態での射精を目指していく。
「いいわっ……いらっしゃい、あっ、あんっ……翔ちゃん来て、あんっ……翔ちゃん出してぇっ……」
 早苗の両脚が、まるで逃がすまいとするように腰に絡みつき、グイと引き寄せてくるのに嬉しさが爆発する。
 己の精が求められている事に、雄の本能が刺激を受けているのかも知れない。
 その喜びと、限界まで高まった射精感に、翔太は頭を朦朧とさせながら、無我夢中で腰を振りまくっていった。
「あっ、ああっ……イくっ、イくのっ。お母さんイっちゃうぅっ……あっ、あぁああああああっ!」
「うぁっ!」
 早苗の絶叫と共に膣内が締まり上がり、それに絞り出されるようにして翔太は精を放った。
 頭が真っ白になり、強烈な快感が押し寄せてくる。
 激しい勢いで精液が迸り、母の胎内へと注がれていくのが感じられる。
 肉棒が律動するたびに射精が行われ、それと共に発生する蕩けるような快感に、頭が朦朧として何も考えられなくなった。
 体をガクガクと震わせながら、何度も押し寄せてくる快感に浸りつつ、しばらくしてようやく射精を終えた翔太は、脱力して倒れ込んだ。
 柔らかな女肉の感触を心地良く感じながら、うるさく耳に響く己の呼吸を意識する。
 ついに女を知った。
 セックスしたのだ。
 その達成感と満足感で、翔太の心は一杯だった。
 だが少し冷静になってくると、「母親を抱いた」という事に恐ろしさを感じ始めた。実の母親相手にセックスするなど、あまりに異常な事だからだ。
 母が悲しみから自分にすがってきた事や、初めて触れた女体への興奮を抑えられなかった、という理由があるにせよ、親子で交わって良いという事にはならないだろう。
 行ったのは近親相姦なのであり、許される事ではなかった。自分たち親子は、何ということをしてしまったのか。
 その事に恐怖を感じると共に、一方で強い興奮を覚えているのも事実だった。
 普通ではない初体験をした事で、異常な性的高揚を得ているのかも知れない。
 目の前には、脱力して惚けた母の顔があり、ほつれた髪が数本、額に張り付いているのが色っぽかった。
 潤んだ瞳がこちらを見つめていて、そのいやらしさを感じさせる視線に思わずドキリとしてしまう。
 すでに自分は母に女を感じていた。肉欲の対象として見るようになっていたのだ。
 肉体関係を結んだのだから当然とはいえ、やはり罪悪感を感じさせる事ではあった。
 これから自分たちはどうなってしまうのだろう。
 誰にも知られるはずの無い事ではあるが、近親相姦の罪を犯した事実は消えてなくならないのだ。
 禁じられた行為をしてしまった。
 恐ろしい事をしてしまった。
 そうした想いが翔太の心を強く責め苛んでいた。
「翔ちゃん……愛してるわ……」
 不意に早苗が、そう呟きながら抱き締めてきた。
 柔らかな女肉を押しつけられる気持ちの良さ、そして母親に包まれているという安堵感が、罪悪感と恐怖を薄れさせていく。
 同時に母に対する強い愛おしさが湧き起こり、肉欲が激しく高まった。
 体を覆う柔らかな女肉の感触に、肉棒が勢い良く勃起し、再び母を抱きたい気持ちが押し寄せてくる。
 瞬間、「いけない、許されない事だ」という想いを抱くが、それ以上に、「今更何を言っているのだ。すでに抱いてしまったではないか。禁忌を犯してしまったではないか。ならば今我慢する事に何の意味があるだろう」といった妥協が浮かび、躊躇の意識を消し去っていった。
 この気持ちのいい体の中に、また入りたい。
 雄の本能が求める衝動に素直に従う事にした翔太は、すでに硬く大きくなっている肉棒を掴むと、鼻息を荒くしながら母にのし掛かり、再び魅惑の花園へと押し入っていくのだった。


 裸同士で触れ合っていると、どうしてこう気持ちがいいのだろう。
 母のしっとりとした肌触りを体全体で味わいながら、翔太はそんな事を思った。
 あれから数日が経ったが、その間親子は毎日交わっていた。
 早苗に不安から強く求められ、翔太も肉欲に流されるまま、昼夜問わずセックスを繰り返していたからだ。
 初めて知った女体の魅力はあまりに強烈で、湧き起こる衝動を抑えることなど出来ず、また二人きりで閉じこもっているという環境も良くなかったのだろう。母子は淫らな日々を過ごすこととなった。
 食事や風呂など以外の時間は裸で絡み合う、といった状態になっていて、まさに快楽を貪ることに夢中になっていると言えた。
 ベッドの上でいやらしくくねり、淫らな動きをする早苗は、もはや母親というより一人の女だった。
 真っ白な肌は上気して桜色に染まっており、均整の取れた豊満な肉体は、こちらの動き一つで激しくも緩やかにも蠢いた。
 形のいい唇は半開きになっていて、突き込みが行われるたびに淫靡な喘ぎを発している。
 美しい顔が快楽に歪むのを見るたびに、股間の一物が猛って止まらなかった。
 女を自由にするとは、何と素晴らしいことか。
 母を抱いてから何度も思っていることをまた思いながら、翔太は腰の動きを少し速めていった。
「あんっ、あっ、ああんっ……」
 甘えの吐息を漏らして、早苗が求めるように腕を背中に回してくる。
 引き寄せられたことで迫った瞳は、息子を見つめるのとは異なる光を放っていた。
 これまでの人生で見たことのなかった、母の女としての顔。そして男を求める瞳。
 上唇を舐め、もっとして欲しいとねだってくるその様子は、自分が母の恋人になったかのような錯覚をもたらした。
「いいわ翔ちゃん……もっとよ、あんっ……もっとね、ああっ……そう、そこをもっと、ああっ……上手、あんっ……すっごく上手ぅっ……」
 この数日の交わりで覚えた母が悦ぶ動きをすると、早苗はうっとりとした表情を浮かべつつ、甘えるように微笑んできた。幼い頃から褒められる際に見てきたのと同じ顔でありながら、それとは異なるいやらしさを含んでいる顔だ。
 恋人のような面を見せつつも、母親として息子を慈しむようにしてくるのがたまらない。
 もし他人が相手であれば、このような感覚は得られないだろう。これは血の繋がった母親相手だからこその喜びに違いなかった。
 熟れた肉体は、こちらの激しい劣情をやんわりと受け止め、どこまでも吸い込んでいくような感覚があり、思い切り肉欲をぶつけられるのが嬉しかった。
 これが同年代の少女であったなら、このような無茶は出来なかったに違いない。こちらの荒っぽい動きに、泣きながら嫌がる可能性があるからだ。
 しかし母親であれば、性に慣れた熟女として荒っぽい動きを受け止め、息子に対する愛情から喜びを覚えるのだ。
 まさに母親というのは、息子が初めての性体験をするのに適した存在なのかも知れなかった。
「あんっ、あっ、ああっ……翔ちゃん激し、あっ……激しいわ、ああっ……いいっ、いいっ、いいのぉっ……もっと激しくぅ、あっ、ああっ……激しく突いてぇっ……」
 荒々しい腰の動きに、早苗は頭を左右に振り、髪を乱しながら悶え狂った。
 悦ばれ、求められればさらに淫らにさせたくなるのが男の性(さが)だろう。翔太は呼吸を荒げながら、肉棒を思い切り奥へと突き込んでいった。
「ああんっ、あっ……当たる、あっ……当たるのぉ、あっ、ああっ……子宮まで来るぅ、あっ、ああっ……翔ちゃん凄いわ、あんっ……翔ちゃん凄いぃっ……」
 亀頭の先に何かが当たる感触があったが、どうやら子宮らしい。
 己の産まれた場所に触れている事に不思議な想いを抱きつつ、その事で母が悦ぶのならと、翔太は益々勢いづきながら腰を振っていった。
 子宮に精液が入り込めば妊娠する。
 その事を考えると、すでに母を妊娠させているかも知れない訳で、それは恐ろしくもあったが、やはり不思議な感じもした。
 息子である自分が、母を妊娠させるという事に実感が持てないからだ。
 それ以前に、セックスが妊娠に繋がる事への実感が無いため、余計にそう思うのだろう。
 ただでさえセックスが妊娠の原因と思えないのに、ましてや母が自分の子を妊娠するなど想像外の事だった。
 そうした実感の無さが、平然と避妊もせずに母親とのセックスを繰り返せる理由だったかも知れない。
「翔ちゃん、あっ、ああっ……お母さんもう駄目、あっ……もう駄目よ、あんっ……もうイくっ、イっちゃうのっ……一緒にっ、一緒にぃっ……」
 腕を背に回し、脚を腰に絡みつかせ、早苗は逃がすまいとするようにしがみついてくる。
 愛情の高まりが執着を強めているのだろう。そして息子の精を受け止めたいと欲する母親としての歪んだ想いがそこにはあるのかも知れない。
 そう、母も求めているのだ。息子の精が己の胎内へ注ぎ込まれることを。
 それでこそ愛情を実感出来るに違いない。
 翔太も母の中へ射精していると強い愛情を覚えるため、きっと同じなのだと思った。
 自分たちは、愛情を求めて直接精液を子宮へ注ぎ込むことを望んでいた。それこそが互いの存在を認識し、結びつきを確認する手段に思えたからだ。
 快楽を伴う生殖器の結合。それも直に触れ合い、擦れ合う行為。
 それによって愛情を得られている、という想いがあったのである。
「お母さんっ……僕っ、僕出すよっ、出すからねっ……」
「いいわっ……来てっ、来て翔ちゃん、ああっ……翔ちゃん来てぇっ……」
 これまで以上に激しく大きく前後した翔太の体が、次の瞬間硬直し、「うっ、うぁっ!」という叫びと共に精が迸った。
「あっ、ああっ……翔ちゃんのが、あっ、ああっ……翔ちゃんのが出てるぅっ……あっ、ああああああああっ!」
 息子の精液の放出に、うっとりとした表情を浮かべながら、早苗は叫んで体を仰け反らせた。
 肉棒に絡みつく膣襞の収縮が激しさを増し、その搾り取られるような感覚に苦痛のような快感を覚えながら、翔太は母の中へと何度も精を放っていった。
 少しして射精を終えると、脱力して柔らかな肉体の上に倒れ込む。
 荒い呼吸を繰り返しながらボーッとしていると、不意に肉棒が掴まれ、そのままゆるゆるとしごかれ始めたため、気持ちのいい刺激に頬が緩んでいく。
「翔ちゃんのオチンチン、いつの間にこんなに素敵になって……お母さんビックリしちゃったわ……お母さんを夢中にさせて、悪い子ね……」
 母親らしい口調で母親らしからぬ言葉を発する早苗に、翔太は自分たちが禁断の行為をしているのだという意識を強くした。
 すっかり肉欲に染まり、快楽に流されている自分たち親子。
 母は父の親族に対する恐怖でおかしくなっており、自分も母の体に対する肉欲でおかしくなっていた。
 他には誰も存在しないこの部屋で、快楽に溺れて送る淫らな日々は夢のようだ。
「お母さんも素敵だよ。僕、お母さんに夢中だよ……」
 豊満な乳房に手を乗せ、優しく揉みしだく。
 肉欲でそうしているというより、その柔らかな感触を楽しんでいるのだ。揉んでいると幸せな気分になれるのである。母の乳房はどうしてこんなに素敵なのだろう。
 そんな風に思っていると、やがて肉棒が硬く大きくなっていった。
 これでまたあの気持ちのいい場所へ入ることが出来る。その喜びに笑みを浮かべながら起き上がり、母を促して四つんばいにさせ、背後から突き込んでいく。
「ああんっ……いいわ、翔ちゃんのおっきくて硬ぁい……何回もしてるのに、どうしてまだこんなに元気なの……?」
「お母さんがエッチだからだよ……僕はお母さんを見てるとたまらなくなっちゃうんだ……」
 そう言いながら細い腰を持ち、ゆっくりとピストン運動を開始する。
 肉棒が膣襞と擦れ、吸い付かれるのに、腰が持って行かれるような快感を覚える。
「あっ、あんっ……いいっ、それもっと、あっ……翔ちゃんもっとぉっ……」
 甘えるようにおねだりしてくる早苗の言葉に、無意識の内に腰の動きが速くなっていく。
 何度味わっても母の中は最高だった。この快楽のせいで自分はおかしくなってしまったと言えただろう。
「あんっ、やだ、もう腕が、ああっ……この姿勢、無理、あっ、あんっ……」
 すでに疲れ果てているのか、早苗は腕を立てていられないようで、四つんばいの姿勢を保てなくなっていた。
 ベッドに上半身を押し付け、尻を掲げた体勢で疲れたように喘いでいる姿を見ていると、強い満足感が起きてきた。母の全てを蹂躙し、支配している悦びが感じられたからだ。
 白い背中をボンヤリと眺め、腰を動かすたびに漏れ聞こえてくる「あっ、あっ……」という擦れたような甘い吐息に耳を傾けていると、実に心地良く、このまま母といつまでも快楽に浸っていたい気分にさせられていく。
 一日中セックスばかりしていると、他のことが考えられなくなり、ただ快楽を貪ることだけに意識が向いていった。他にやるべき事が無い状況だけに、そうなっていくのも仕方ないだろう。
 何よりこうして抱いていると、母が父の親族に対する不安を口にする事がなかったため、それが嬉しかったというのもあった。
 このまま自分が抱き続ければ不安など忘れてしまうのではないだろうか。
 そう考えると、もっともっと母を抱いていかなければ、などと思ってしまう。
 そんな事を頭に浮かべながら、ふとベッドの傍にある時計に目を向けた翔太は、そこに表示されている今日の日付を目にして引っかかった。何か用事があったような気がしたからだ。
 部屋へ閉じこもり、学校を休んでいる自分に予定などあるはずもないのだが、確かこの日付は何かがある日だという記憶があったのだ。それは一体何だろう……。
 しばらく考えてからハッとなる。そう、今日は美菜子が来る日だった。自分たちの様子の確認や、食料の補給をしに美菜子が訪れる日だったのである。
 慌てて時刻を確認すると、あと一時間もすれば来てしまうのが分かってギョッとなった。このままでは自分たちが淫らに過ごしてきたのがバレてしまうではないか。
「翔ちゃんどうしたの? 止めちゃやぁよぉ……」
 腰の動きが止まったため、早苗が甘えた口調で不満を告げてきた。
「お母さん、今日って美菜子さんが来る日だよ。早く準備しないと」
「え? 美菜子さん?……美菜子さんがどうかしたのぉ?」
 快楽に染まっている早苗は、あまり頭が働かないらしく、呑気な笑みを浮かべて問い返してきた。
「だからっ、一時間くらいしたら美菜子さんが来ちゃうんだってっ。このままだと僕たちのこと、美菜子さんにバレちゃうよっ」
 少し語気を強めて言うものの、早苗はまだボンヤリとした顔で見つめてくるだけであり、状況が分かっていない様子だった。
「美菜子さんねぇ……そうそう、今日はそうだったわねぇ……でも、取り敢えず最後までしましょ。だってまだ一時間もあるんですもの、大丈夫よぉ」
 淫靡な笑みを浮かべていやらしく尻を振って来るのに呆れてしまう。母には近親相姦がバレる事への恐怖が無いのだろうか。
 とはいえ、確かに「まだ一時間もある」と考えれば、余裕があるように思えた。
 ならばせっかく途中までしているのだから、最後までした方が良いだろう。何しろすでに興奮が高まっている以上、それを吐き出さなければ落ち着かないからだ。
 そう考えてしまう自分も、かなり頭が快楽に侵されているのかも知れない。
 快楽は通常の感覚を奪い、楽観的な思考にさせるのだろうか。
 考えてみれば、母が不安を口にしなくなったのも、セックス漬けの日々を送るようになってからなのだから、案外合っているのかも知れなかった。
「そうだね、じゃあ続きしよう。でも時間が無いから一気に行くよ?」
「ええ、でも手抜きはやぁよ? ちゃんとしてね。お母さんを満足させてくれなきゃ怒っちゃうんだから」
「分かってるって」
 甘えるように注文を付けてくる早苗に頷きながら、腰を強く掴むと肉棒を叩き付けていく。
 これで一旦終了、という意識から、翔太は思い切りしようと、それまで以上に腰の動きに力を入れていった。
「あんっ、あんっ……激しい、あっ……翔ちゃん激しいわ。こんな激しいの、素敵よぉっ……」
 さすがに疲れているせいか少々腰が言うことを聞かなかったが、それでも先ほどよりは勢いのある突き込みに、早苗は嬉しそうな喘ぎをあげた。シーツを掴んで引き寄せているのが、己の与えている快楽の強さを感じさせてたまらない。
 やはりこうして母を悦ばせるのは最高だった。もっと見ていたいとも思うが、取り敢えず今は、お互いに早く満足するようにしなければいけないだろう。
 散々抱き続けているというのに、一旦とはいえ止めるとなると物足りなさを覚えるのだから、我ながら何と肉欲に狂っているのかと苦笑しつつ、翔太は母の魅惑的な肉体を貪っていくのだった。


 セックスを終えた後、シャワーを浴び、身支度を調えてから掃除をし、お茶の用意をしていると呼び鈴が鳴った。どうやらギリギリ間に合ったらしい。
 一応取り繕えていると思うのだが、美菜子にバレやしないかと少し不安になる。何しろ数日間セックス漬けであったため、普通の雰囲気に戻っているか心配だったからだ。
 部屋へ入ってきた美菜子は、特に不審を覚えた様子を示さなかったため、大丈夫だったのだろうとホッと息を吐き出す。
「思ったより元気そうで安心したわ。ずっと部屋に籠もりきりだから心配してたのよ」
 そう告げてくる美菜子の横顔は、相変わらず美しく、思わず見とれてしまう。
 それは以前も同じだった訳だが、今は女の体を知ったせいか、肉体を吟味するような見方になっているように思えた。さらについ先ほどまで母を抱きまくっていたため、肉欲的な意識が強くなっているせいもあるだろう。
 思わず服の上からその肉体を眺め、裸になった際の様子を想像し、愛撫したらどう反応するだろうか、といった事に想いを巡らせてしまう。
 相手は叔母である訳だが、最近まで知らなかっただけに、他人の女性という感覚の方が強く、そうしたいやらしい想いにあまり躊躇が起きないのだ。
「心配して下さってありがとう。最初は辛かったりもしたんだけど、翔ちゃんが凄く励ましてくれて。そのおかげで元気が出たのよ」
 早苗はにこやかな笑みを浮かべ、こちらを見ながら嬉しそうに告げている。
 その様子に、美菜子は一瞬意外そうな顔をし、戸惑った様子で頷いていた。以前とあまりに違っているので驚いているのだろう。母は自分とのセックスでかなり不安感を減らし、明るくなっていたからだ。
「そう、翔太くんがね……見違えたわよ。凄く元気で驚いちゃった」
「私のことを凄く心配してくれて、色々してくれたの。ほら、この子って年頃でしょう? 以前はちょっと避けられてるかなって感じがしてたのに、それが無くなって。私のことを気遣ってくれるの」
 早苗は誇らしげに語っているが、それはきっとセックスの事なのだろうと思うと苦笑してしまう。確かに母に対して親身になっては居るが、単にそれだけではここまで元気にはならなかったはずだからだ。
 セックス漬けになったことで、女として肉体的な満足を得、さらに母親としても「息子に愛されている」という意識が高まっているのだろう。
 翔太自身、そうした感覚を得ていたので、母も同じなのではないかと思った。
「それは良かったわね。翔太くん偉いわ」
 美菜子に褒められたため嬉しくなる。思わずそのぽってりとした唇に目が行ってしまい、そこに吸い付く妄想を浮かべて興奮を覚えた。
「翔太くんも大丈夫? 外へ出たいんじゃない?」
「いえ、大丈夫です。元々インドアな方ですし、出られなくても全然……DVDとか用意して下さったんで、それで楽しんでます」
 本当は母の体で楽しんでます、とは言えないよな、などと思いながら、美菜子ともセックスしてみたい、という想いが強まった。
 母は童顔で可愛らしかったが、美菜子は「出来る女」といった感じの大人の雰囲気があったため、そんな女性とセックスしてみたかったのだ。
 キリリとしたこの顔は、肉棒を入れられたらどう変わるのだろう。そう思うとたまらなくなった。
「それなら良かったわ。もう少し待ってね。また学校へ行けるようにしてあげるから」
 心配そうに告げてくるのに感謝の気持ちを抱くと共に、向けられた笑顔にドキリとする。美菜子のような美女の笑顔には、強烈な刺激をもたらす部分があったからだ。
「宜しくお願いします」
 動揺しつつ頭を下げると、美菜子は嬉しそうに微笑んだ。
 それにはどこか、必要以上の好意を感じさせる部分があったため、心臓が鼓動を速める。男として好ましさを抱いてくれているように思えたのだ。
 実際は甥を可愛く思う程度の好意でしかないのだろうが、そうした願望を抱いてしまうほどに、美菜子は魅力的な女性だった。
「食料は、取り敢えず一週間分持ってきたわ。あと何か必要な物はあるかしら? 欲しい物でも構わないけど」
 そう尋ねてくるのに、「本来は避妊具を頼むべきなのだろうな」と思い苦笑してしまう。
 実際問題として、避妊具は付けるべきだった。セックスすれば妊娠する可能性があるのであり、母親と息子の間に子供が出来るなど、恐ろしすぎるからだ。
 それは今更な想いではあったが、美菜子の来訪により、自分たちのしている行いが、社会的に許されない行為であるのを、改めて意識したのかも知れない。
 母と二人きりでセックス三昧で暮らしていると、どうにも意識が狭まり、常識の無い状態に陥ってしまうため、早急に普通の生活に戻った方が良いように思えた。
 その一方、セックスを楽しめる今の環境を捨てたくない、と思っているのも事実だったのだが。
「親族の件も、何とかなりそうな感じよ。さすがに昔のことだから、拘っている人も少なくてね。この調子だと、じきに朗報をお知らせできると思うわ」
「そうなんだ。良かった……」
 早苗は美菜子の言葉に驚いた様子で目を見開くと、安堵の息を漏らしている。
 とはいえ、元々何も問題のないことなのだから、美菜子にしても、あくまでそれっぽい話をしているだけでしかないのだが。
 要は母が納得するかどうかが問題であり、美菜子はそれを上手くやってくれているという訳だ。
「翔ちゃん、もうすぐ大丈夫になるって。良かったわね。そうしたらまた普通の暮らしに戻れるわよ」
 早苗は嬉しそうに微笑みながらそう告げている。以前であれば「もうすぐ大丈夫になる」と言われても、信じられないのが伝わってくる不安げな雰囲気があったが、今はそれが心の底から安堵しているように思えた。
 かなり心が安定してきているのだろう。母は順調に回復してきているようだった。
「それじゃ、私はそろそろ帰るわね。もし何かあったら連絡を頂戴。すぐに駆けつけるから」
 そう告げた美菜子は、最後にもう一度何か必要な物はないかと確認し、颯爽と部屋から去って行った。
 その後ろ姿に、頼りになるカッコ良さと、女性としての魅力を感じてボーッとしていると、不意に早苗が後ろから抱き付いてきた。
「翔ちゃん、美菜子さんのこと、好きなんでしょう?」
「え……?」
 急に何を聞いてくるのかと驚きつつ、少々恥ずかしい質問であったため、どう答えればいいかと戸惑う。
「凄く魅力的だものね。でもお母さんのこと、捨てちゃ嫌よ?」
「何言ってるんだよ。僕がお母さんのこと捨てる訳ないだろ。そりゃ美菜子さんは素敵だけど、僕はお母さんが一番大事なんだから」
「ふふ、ありがとう……あんまり翔ちゃんが美菜子さんのこと見てるから、ちょっと心配になっちゃったの」
 もしかしていやらしい目で見ていたのがバレたのだろうか。そう思うとかなり恥ずかしくなった。
「いいのよ、ただ見てるだけなら。それならさすがに何も無いもの……それより美菜子さんも帰ったことだし、さっきの続き、しましょう?」
 そう言いながら股間に手を伸ばしてくるのにさすがに呆れてしまう。数日間ヤりまくったというのに、まだ足りないのだろうか。
 しかし翔太にしても、美菜子の体に刺激を受けていたため、その提案を断る気にはならなかった。何より母の回復の原因が、この数日間のセックスによるものであれば、もっとした方が良いからだ。
 セックスは愛情を高める効果があり、愛情は何よりも人を幸せにする作用があった。
 ならばこれからも母と交わり、愛情を確認し合うべきだった。そうすれば、母は不安など感じず、逆に幸福を感じて生きていくことが出来るからだ。それこそが親孝行というものだろう。
 そんな風に母とのセックスを正当化した翔太は、甘えるように抱き付いてくる柔らかな肉体に興奮を高めつつ、目の前にある桜色の唇にむしゃぶりついていくのだった。


 校門を出た翔太は、家へ向かって歩いていた。
 こうして学校指定の制服に身を包んでいると、己が高校生なのだという実感が得られて嬉しくなった。
 あれから少しの時間が経過し、翔太は新しい高校へと通っていた。母の状態がかなり正常に戻ったため、閉じこもりの生活から解放されたのだ。
 セックスの効果はやはりあったようで、日に日に母の中から不安が消えていくのが感じられ、その様子から頃合いだと思ったのか、美菜子が「親族に話を付けたからもう大丈夫」と告げたのが大きかったらしい。
 精神が安定した状態で、頼っている美菜子から太鼓判を押されたことから、不安はほとんど無くなったようだった。
 これで自分たち親子は元の生活へ戻れる事になった訳だが、母はまだ頼りになる美菜子の傍を離れたくないらしく、以前住んでいたマンションへ戻ることを嫌がった。
 そのため美菜子の自宅の近所にあるマンションで暮らすこととなり、翔太はそこから通える距離にある高校へと編入したのだった。
 まだ新しい制服には馴染めないが、それでも再びこうして学校へ通えるようになったのは嬉しい事であり、そのための手続きをしてくれた美菜子には、感謝の想いで一杯だった。
 母も美菜子に紹介してもらった職場で働いており、生活費を稼げるようになった事から、自分たち親子は、ほぼ以前と同じ状態に戻れたと言えるだろう。
 たった一つ、決して他人に知られてはならない秘密を抱えている点を除いてだが。
 母との近親相姦。
 それは未だ続いていた。
 さすがに以前のような、昼夜問わず毎日何度もする、といった狂った状態は無くなっていたが、時折不安を感じるらしい母に求められて抱くことがあった。
 翔太にしてもヤりたい盛りであるから、誘われれば抱いてしまうのだが、普通の生活に戻ったせいか、このような事はやはりおかしい、という想いが強まっていて、自分から求めることは控えていた。
 母の精神状態はかなり落ち着いてきている事から、もう少しすれば求めてくることも無くなるだろう。
 それは本来喜ばしい事のはずだったが、素直にそう思えないでいる部分もあった。時折とはいえ、セックス出来ている今の状況が無くなる事に不安を感じていたからだ。
 自分は、母を全く抱かない状況に耐えられるだろうか。あの素晴らしい、蕩けるような快楽を味わわないでいる事に耐えられるだろうか。
 そうした不安がどうしても起きてしまっていたのだ。
 そんな事を考えながら歩いていると、いつの間にか、今住んでいるマンションの傍まで来ていた事に気がつく。
 そして入り口付近に、見覚えのある車が止まっているのを目にしたため嬉しくなった。美菜子の車だったからだ。
 あの素敵な叔母と会うのは、いつになっても喜びを感じさせる事だった。無論、母が一番大切ではあったが、やはり美菜子は認識的にはまだ他人の感覚が強かったため、純粋に女性として惹かれている部分があったのだ。
 翔太の姿を確認したのか、運転席のドアが開き、中から美菜子が出て来るのが見えた。
 相変わらずの美しい顔と、見事なプロポーションにドキリとしつつ、少し高揚している己を自覚する。
「翔太くん元気?」
「は、はい、元気です」
 笑顔を向けられため、思わず動揺しながら答える。もう何度も会っているはずなのに、こうして近くに居るとどうしてもそうなってしまうのだ。たまらない魅力が強烈な刺激となっているせいだろう。
「お母さんは、まだ仕事よね? 翔太くんは暇かしら?」
「ええ。特に用事は無いですけど」
 本当は宿題をさっさと済ませてしまうつもりだったが、美菜子の誘いとなれば別だ。この素晴らしい女性と一緒に居られるのなら、宿題などどうでもいいことだった。
「それじゃ、これから一緒に来てくれない? 少し話があるのよ」
「いいですけど」
「良かった。それじゃ乗って」
 にこやかに微笑みながら車を示してくるのに頷いて応えつつ、ドアを開けて乗り込む。
 すぐに美菜子も乗車してきて、シートベルトを締めると車を発進させた。
 助手席から眺める美菜子の横顔は、キリリとしていて美しく、スーツの胸元を押し上げる膨らみも豊満で、思わず唾を飲み込んでしまうほどだ。
 母の乳房は何度も揉んだが、美菜子のはどんな感じなのだろう。形や肌触りも違うのだろうか。
 そんな事を考えつつ、タイトスカートから伸びる脚に視線を向けると、弾力の良さそうな白い太ももが目に映り、その事でも興奮してしまう。
 この肉付きのいい太ももを抱え、顔を挟んで頬ずりしたらどんなに気持ちいいだろう。
 そのまま両脚を広げ、魅惑の花園へ肉棒を押し込んだら、美菜子はどんな声を上げて喘ぐだろうか。
 母と同じなのか。それとも異なる反応を示すのか。
 そんな事ばかり想像していると、股間の一物が硬く大きくなってしまった。
 肉棒がズボンに押さえられ、窮屈さを覚えたため、さりげなく腰の位置をずらして調整する。
 叔母相手に何をやっているのだ、と思うが、未だ親戚という実感が持てないせいか、欲情を向けるのを止められなかった。
 もしこうしたいやらしい想いを抱いている事が美菜子に知られたら、一体どうなるだろう。
 嫌悪されるだろうか。いや、美菜子の事だから楽しげに苦笑するだけにも思えた。彼女には、こちらの劣情を笑って受け入れてくれるようなイメージがあったからだ。そうした年上女性としての包容力が強く感じられたのである。
「学校はどう? 楽しくやってる?」
「あ、はい。凄く楽しいです」
「そう、良かったわ。あそこね、実は私の母校なの。凄くいい学校なのよ。だから翔太くんにも通って欲しくて勝手に決めちゃったんだけど、大丈夫だったかな?」
「全然大丈夫です。っていうか、母校だったんですか。へぇ、あそこで美菜子さんも高校生活送ったんですね」
「もうかなり昔の話だけどね。こんなおばさんの高校時代じゃイメージ湧かないでしょ?」
「とんでもないです。凄く可愛い高校生だったんだろうなって思いましたよ。そういや、当時から今の制服なんですか?」
「そうね。細かいところはちょっと変わってるけど、私もああいうの着てたわ」
「うわ〜〜、美菜子さんが着たら似合いそうですね。その頃に会ってみたかったなぁ。まあ、僕なんかじゃ相手にされなかったでしょうけど」
「そんなことないわよ。きっと私の方から声かけちゃうわね。翔太くんって私の好みだもの」
「え? そうなんですか?」
「ええ。今高校生だったら、きっとアタックしちゃうわね。私って、好きになった相手にはぶつかっていくタイプだから。翔太くんが断らなければ、絶対付き合ってるわよ」
「断るなんてあり得ませんよ。美菜子さんみたいな人に告白されたら、絶対付き合いますって」
 美菜子の高校生時代を想像すると、きっと大人びた感じの先輩だろうな、と思えた。同級生ではなく先輩のイメージを持つのは、やはり美菜子に対しては「年上の女性」という意識が強いからだろう。
「ふふ、ありがとう。でも現実は凄い年の差だもんねぇ。さすがにこんなおばさんじゃ相手にしてくれないでしょ?」
「そんな事ないです。今だって告白されたら付き合っちゃいますよ。僕の方は全然オッケーです」
「嬉しいわ。じゃあ、告白しちゃおうかなぁ。あ、でも子持ちじゃさすがに駄目でしょ?」
「え? お子さん居るんですか?」
「ええ、実はそうなの。翔太くんにとってはいとこになるわね」
「そうだったんですか……」
 それは少々驚きだった。美菜子ほど魅力的な女性であれば、結婚していても不思議はないし、そうなれば子供が居るのも自然だったが、何となく独身のイメージが強かったからだ。
 それにこの素晴らしい女性を独占している男が居るのだと思うと、何とも言えない腹立たしさを覚えた。
「旦那さんはどんな人なんですか?」
「あ、結婚はしてないのよ私。ちょっと上手くいかなくてね。でも子供だけは出来たから育ててるって訳」
「そうなんですか」
 その事にホッと息をつく。やはり美しい女性は誰のものでもない方が良かったからだ。
「まあ、そうした関係まで行ったんだから、夫みたいなものなんだけどね……実は翔太くんってね、その人に似てるのよ。付き合っちゃうって言ったのも、実はそういう事もあったからなの。翔太くんって、ホント私の好みなんだから」
 こちらへ視線を向けながら、微笑んでくるのにドキリとする。
 こんな素敵な女性に告白されたら断れるはずがなかった。冗談ではなく本当に告白されないだろうか。そうなったらこの魅力的な肉体を思う存分味わえて最高だろう。
 叔母であるのだからあり得ない想像だったが、やはり親戚という意識が薄いせいか、そうした妄想を膨らませてしまっていた。
「今度うちの子、紹介するわね。ちょっと大人しいんだけど、私に似て凄く可愛いわよ。翔太くんが良ければ付き合ってもいいから」
「え? いとこって女の子なんですか?」
「そうよ。歳は翔太くんの一つ下でね、実は同じ学校へ通ってるの」
「え?」
 それは驚いた。小学生くらいだと思っていたため、まさかそんな近い年齢とは思ってもみなかったからだ。しかも同じ学校へ通っていたとは……。
「どう? 興味湧いてきた? 翔太くんとも気が合うと思うから、仲良くしてもらえると嬉しいわ。実はね、大人しいせいかあまり友達がいないみたいなのよ」
 少し心配そうな表情を浮かべているのに、母親らしさを感じて妙な嬉しさを覚える。
 これまで「完璧な女性」というイメージがあったせいか、そうした人間味を感じさせる部分を見たことで、身近な想いを抱いたのかも知れない。
「是非紹介して下さい。僕もまだ友達少ないですから」
「ありがとう。それじゃ、今度連れてくるわね」
 美菜子はそう言って嬉しそうに笑った。
 この美しい女性の娘であるなら、きっと凄く可愛いに違いない。それだけでも会うのが楽しみになった。
 何よりこれまで親戚づきあいをした経験が無かった事から、従妹というのは未知の存在であったため、一体どんな感じなのだろうとワクワクした。
 そこから話は近況の事などに移り、母がかなり回復している事を告げると、美菜子は非常に喜んでくれた。
 そうして車中での会話を楽しみながら少し過ぎた頃だろうか、不意に車の速度が緩んだため、目的地に着いたのかと思い、視線を外へ向ける。
 目の前にはお洒落な雰囲気のある十階建てほどのビルがあり、一階にはファッションに疎い翔太でも知っている有名ブティック店が入っていた。
 こんな所でどうするのかと思っていると、車はそのままビルの地下にある駐車場へと入っていった。
 駐車スペースに止めた後、美菜子が「ここよ」と告げたため、ドアを開いて降りる。
 近くにあったエレベーターへ乗り込むと、押されたボタンは五階であったため、どうやらブティックへ行くのではない事が分かった。
 五階に到着して降りると、そこは会社のオフィスのようで、名前からして一階のブティックを経営している企業のようだった。
 美菜子がオフィスへ入ると、周囲から声をかけられ、「社長」という単語が聞こえたことから、どうやらここが美菜子の会社なのだというのが分かった。
 美菜子はいくつか指示を出すと、翔太を促して再びエレベーターに乗り込んだ。
 今度は十階へ上がったが、そこにある部屋は住居のような状態になっていたため、誰かが住んでいる場所に思えた。
「ここって、私が仕事で忙しくて帰れない時に使う部屋なの。邪魔は入らないから安心してね」
 質素な感じの部屋ではあったが、全ての調度品が高級なものであるのが何となく分かった。必要最低限の物しかないが、全てが機能的であり、それでいてお洒落な雰囲気になっているのは、美菜子の性格が表れているのだろう。
 促されてソファに腰掛けると、美菜子はキッチンへ向かい、少しすると珈琲を入れたカップを持ってきた。
 一口飲むと、凄く美味しかったため、やはり高級品なんだろうな、などと思う。
「今日はね、翔太くんにちょっと話があるの。凄く大事な話」
 雑談をしながら少し過ごし、珈琲が無くなりかけた頃だろうか、不意に美菜子が真面目な顔をして告げてきた。
「あなたのお母さんが、うちの親族を怖がっている理由なんだけど、何かお母さんに聞いてる?」
「結婚の時に凄く反対されて、それで強引に結婚したから恨まれてる、ってくらいです」
「まあ、大体そういう感じね。その事について詳しく話しておこうと思って、それで今日来てもらったの」
 それは興味ある内容だった。何しろ母はその事を話すのを嫌がったため、事情がよく分からなかったからだ。
「まず、どうして結婚に反対されたのかって事なんだけど、うちは古いしきたりに凄く拘っているところでね、恋愛結婚なんか絶対に認めなかったのよ。特にあなたのお母さんの家は、昔うちの家の家臣だったって事もあって、格式が合わないって事で余計駄目だったのね」
「格式」などという古めかしい言葉が出てきたことに驚く。今どきそんな事に拘っている人間が居るのだろうか。
「普通の家なら何の問題も無いのだけれど、父は、ああ、あなたから見るとお爺ちゃんね、お爺ちゃんは絶対に許さなかった。それであなたのお父さんは勘当されてしまったの。だからお母さん達は駆け落ちして結婚したのよ」
 今度は「勘当」に「駆け落ち」だ。何とも時代錯誤な言葉の連発に苦笑したくなってくる。まるで時代劇の話を聞いているようではないか。
「まあ、そうした拘りを持ってるのって、実はお爺ちゃんだけだったりするんだけどね。他の人はみんな結構そこら辺は甘くなってるし。だから本当なら問題ないはずだったんだけど、お爺ちゃんは親族の中で凄く権威のある立場にあって、逆らったりしたら大変な事になるのよ。だから誰もお母さん達に甘い態度を取れなくて、関わることが出来なくなっちゃったの……ごめんなさいね」
 そのような事情があるとは驚きだった。そういう事であれば、今回のことで母が他の親戚を頼らなかったのも納得できた。
「結婚した当時は、お母さんに対してかなり酷いことがされたわ。みんな本気でしていた訳じゃないんだけど、やられる方にしてみればそんな事分からないし……お母さんは多分その時の事を思い出してしまったんだと思う。もう長いこと何もされていなかったはずなんだけど、忘れられる事でもないでしょうから……」
 様子がおかしかった時の母はかなり怯えていたが、それにはそうした理由があった訳だ。実際に酷いことをされていたのだとすれば、親戚の姿を見かけて動揺するのも無理はないだろう。そこから精神状態が不安定になれば、益々恐怖を覚えても当然だった。
「私に電話してきた時は本当にビックリしたわ。凄く辛そうな声だったから……それで慌てて会いに行ったんだけど、あんな状態になってたんで、どうしたらいいのかさすがに困ったわよ。それで取り敢えず安心できるようにしてあげる必要があると思って引っ越しの手続きをしたんだけど、あなたに何も知らせずにしてしまったのは申し訳ないと思っていたの。本当、ごめんなさいね」
「母を安心させるには、すぐにやる必要があったんでしょう? 仕方ないですよ」
「そう言ってもらえるとありがたいわ」
 あの時の母の状態を考えれば、即座に動いた美菜子の判断は正しいだろう。あのまま放っておいたら、もっと酷くなっていたに違いないからだ。
「当時私は二人の味方になって、協力してあげたんだけどね。駆け落ちの手はずを整えたりして……でもその後がちょっと大変だったわ。協力してたのが父に、お爺ちゃんにバレちゃって。凄く叱られたのよ」
 美菜子には助けてもらった、と以前から聞いてはいたが、そうした事情がある中での協力だったとすれば、今回の件で凄く頼りにするのも納得だった。
 しかしそうなると大丈夫なのだろうか? 今まで美菜子がしてくれた事は、祖父の意向に逆らっているように思えるのだが。
「僕らを助けて大丈夫なんですか? さっき関わると大変なことになるとか言ってたと思いましたけど」
「まあ、マズいと言えばマズいでしょうね。でも私自身、もう勘当寸前だから似たようなものなのよ。会社経営なんてしてるから凄く嫌がられてて……さっきも言ったけど、お爺ちゃんは古いしきたりに拘ってるから、女が働く、なんてのは駄目な訳。そりゃ今は就職くらいはさせてもらえるけど、それも少ししたら見合い結婚させられてお終い。せいぜい社会勉強程度の扱いね。そんな考えの人間にしてみれば、女が社長やってます、なんてのは最悪な訳よ。だから私はお爺ちゃんに凄く嫌われてるの」
「それじゃ僕たちに関わったら余計マズいんじゃ。勘当されちゃわないですか?」
「その点はぬかりないわよ。色々根回ししてるから。親戚にも商売している人が多いから、その支援とかしてね。つまり私がこの仕事辞めたら困る人が沢山いるって訳。そういう人達がお爺ちゃんを宥めてくれてるの。だから私は大丈夫」
 何とも凄いものだと感心してしまう。さすがは有名ブティック店を経営しているだけのことはあった。印象通りの優れた人な訳だ。
「話はそんな所ね。他に聞きたいことはある?」
「いえ……特には無いです」
 これだけ聞ければ十分だった。長年気になっていた親戚の事が分かったため、何やら重苦しいものが体から抜けたような感じがして、翔太はホッと息を吐き出した。
「じゃあ、ここからは今の話をしましょう。どう? 生活で困ったこととかない? 何でも言ってちょうだいね。遠慮は要らないから。そうだ、欲しいものとかある? 叔母さんが買ってあげるわよ?」
 自分のことを「叔母さん」と呼びながら優しく言ってくるのに、これまでとは違った印象を覚えて嬉しくなった。身近に感じられたように思えたのだ。
「いえ、これ以上ご迷惑をおかけする訳にはいきませんから」
「いいのよ。だって私はあなたの叔母なんだから。叔母が甥にプレゼントしたっておかしくないでしょう? というか、私がしたいの。だって翔太くんって可愛いんですもの。今まで何もしてあげられなかった分、色々してあげたいのよ。だからね、欲しい物を言って。叔母さんに何か買わせてちょうだい」
 身を乗り出して言ってくるのに驚く。普段と違って感情が強く出ているように思えたからだ。
 美しい顔が近くに迫り、強い眼差しで見つめられているのに恥ずかしさを覚える。思わず視線を下へ向けると、豊満な胸が目に入ったため心臓が激しく鼓動した。
「ほ、欲しいものは、特に無いです。今は学校へ行けているだけで凄く楽しいですから……そうだ、編入するのにお金を出してもらってるんだから、それで十分ですよ。買ってもらったのとはちょっと違いますけど、それじゃ駄目ですか?」
「それはそうだけど、でもそういうのじゃなくて、もっと高校生らしい物よ。服とかコンポとか、そういうの欲しくないの?」
「それはまあ、欲しくない訳じゃないですけど、どうしてもって訳じゃないですし。それなのに買っていただく訳には……」
「う〜〜、翔太くんってば欲しがらないわねぇ。兄さんそっくり」
「え? そうですか? 父ってそうでしたっけ?」
「兄さんはね、あまり物を欲しがらなかったし、プレゼントされても表面上は嬉しそうにしてたけど、特に物自体に執着は持ってなかったわね。私も色々プレゼントしたけど、本当に喜んでくれたのって無かった気がする」
「へぇ、そうなんですか……」
「そうなんですか、って、翔太くんも同じだって言ってるのよ?」
「え? 僕はそんな事ないですよ」
「でも欲しい物が無いとか言ってるじゃない」
「いや、別に無い訳じゃないですよ。さっき言われたのはそれほど欲しい物じゃなかったからで……」
「じゃあ、凄く欲しい物って何?」
「え? そうですねぇ……」
 そう言われると思いつかなかった。わざわざ買ってもらいたくなるような物が無いのだ。
「ほら答えられないでしょう? つまり無い訳よ。翔太くんも兄さんと同じね。欲しい物を聞かないであげちゃった方が良さそうだわ。そうしたら喜んでくれるのよね」
「まあ、貰ったらそりゃ喜びますけど……」
「ふふ、やっぱりね。じゃあ、これからはどんどんプレゼントしちゃうわ。今まで出来なかった分、色々してあげるんだから」
 美菜子はそう言って立ち上がると、こちらへ移動してきて隣へ腰掛けた。ソファのクッションが沈み、体が傾いた事で肩が触れたため、慌てて反対方向へ体重を移動させて離れる。
 何故急に隣へ座ってきたのかと不審に思いつつ、接触しそうな距離に魅惑的な肉体が存在している事に、心臓の鼓動が激しくなった。一瞬だけ触れた美菜子の体の感触は実に柔らかくて心地良く、思わずもう一度触れさせたくなってくる。
「翔太くんって、やっぱり兄さんに似てるわ。兄さんの高校生の頃を思い出しちゃう。あの頃は高校生の兄さんが大人に見えたけど、今は高校生は可愛く見えるわね。これって相手が翔太くんだからかしら?」
 体を寄せながらそう囁いてくるのに、心臓が爆発しそうなほどに激しく脈打つ。
 何故美菜子はこんな風にしてくるのだろう。「可愛い」と言っているから、小動物に対するような感覚を抱いているのだろうか。それは男としては少々腹立たしい捉えられ方だったが、もし抱き締められたりしたらと思うと、その事に期待の想いが強まっていった。
「ね? 抱き締めてもいい?」
「え?」
「翔太くんのこと、ずっと抱き締めたかったの。今までは出来なかったけど、こうして叔母と甥として親しくなったんですもの、したっていいでしょ?」
 普通は叔母と甥であってもしないだろう。幼い頃であれば違うだろうが、高校生になった甥相手にする事ではなかった。
 だがそうされる事を望んでいた翔太にとっては、まさに夢のような誘いであったため、喜んで受け入れることにした。
「い、いいですよ。美菜子さんがしたいなら、どうぞ……」
「うわ、いいの? 良かった。嬉しい……」
 心臓をバクバクさせながら答えると、美菜子は両手を胸の前で合わせて嬉しそうに微笑んだ。その際に豊満な胸が揺れたため、その事にドキリとしながら、落ち着き無く視線をそらす。
「それじゃ、するわね……」
 美しい顔が迫り、肉感的な体が近づいてくるのに、心臓が痛いほどに鼓動する。
 ゆっくりと両腕が背中に回され、引き寄せられるのと同時に、体の前面に柔らかな感触が広がり、さらにギュウっとしがみつかれたことで、体が肉のクッションに覆われた。
 母の肉体とは微妙に異なるその感触に、新鮮な心地良さを覚えつつ、漂ってくる甘い匂いにクラクラしてくる。化粧品の匂いに混ざって美菜子の女の香りが感じられ、その事に股間の一物が強く反応を示した。思わずそのまま押し倒しそうになり、慌てて力を抜く。
 これはあくまで叔母が甥を可愛く思って抱き締めているだけなのだから、性的な行為として受け取ってはいけないのだ。凄く世話になっている美菜子に襲いかかっては、まさに恩知らずとしか言えない酷い人間になってしまうだろう。
 そう考えながら湧き起こってくる劣情を必死に抑えていると、美菜子が体を擦り付けてくるような動きをしてきたため、胸に押しつけられている乳房の感触が微妙に変化した。
 耳元に「んふ……」という色っぽさを感じさせる声が響き、首筋に息がかかるのにおかしくなりそうになっていく。
「う……」
 不意に股間に何かが押しつけられている感触が起きたため、思わず快感の呻きを漏らしてしまう。どうやら美菜子の膝が当たっているらしい。
 刺激的な接触に興奮を高めるが、続けて回すように押しつけられたのにはギョッとなった。さすがにその動きはマズいからだ。
「ふふ、硬くなってるわね。感じちゃった? 可愛いわ……」
 意識してそうしたのだとばかりに告げてくる美菜子に、もしかして誘惑されているのだろうかと鼻息を荒く吹き出す。
 しかし他人であるならともかく、叔母なのだからあり得ないだろうと、必死に自分を抑え込んだ。
「いいのよ、しても。したいんでしょう? 叔母さんは、翔太くんのしたいことなら、何でもさせてあげるんだから……」
 そう囁かれると共に、股間の一物を掴まれたため驚く。
 そのままズボンの上からゆっくりと上下に擦られるのに気持ちの良さが広がり、体が勝手にピクっ、ピクっ、と反応してしまう。
 どうしてこのような事をしてくるのだろう。叔母と甥でするには許されない行為をしてくるのは、あまりに変だった。
「何でこんな……マズいですよ……」
「そうね。普通は駄目よねこういうこと……でもね、私はしたいの。だって翔太くんがあんまり可愛いんですもの……翔太くんはどう? 私と、叔母さんとエッチなことしたくない?」
 その言葉にドキリとする。
 美菜子とエッチなことをする。それはずっと夢見てきたことだったからだ。それが今実現しようとしている。ならば拒否する理由などなかった。
「したいです……美菜子さんとエッチなことがしたいです、うぅっ……」
 擦れた声で告げると、肉棒がギュウっと握られたため、呻きながら体を硬直させる。
 目の前の美菜子は満面の笑みを浮かべており、それにはいやらしさを感じさせる部分があったため、ゾクっとなった。
「嬉しいわ……ふふ、嬉しい……私ずっと思ってたのよ。翔太くんに抱かれたいって、ずっと思ってたんだから……」
 色っぽい表情を浮かべながら、潤んだ瞳でうっとりと見つめられるのに、心臓が鷲掴みされたような感覚を覚える。
 こんな色っぽい仕草は、母にはされた事はなかった。それが新鮮な刺激となって興奮を高めていった。
「僕もです……僕も、美菜子さんとしたいって、ずっと思ってました……」
 迫ってくる美しい顔に見とれながら答えると、美菜子は嬉しそうに、そしていやらしく微笑み、瞼を閉じながら唇を寄せてきた。
 柔らかな感触が唇に起き、そのまま強く擦り付けられる。
「んっ、んんっ……」といった甘い吐息が聞こえると共に、口内に舌が入り込んできて、擽るように舐め回してくるのに体が震え、後ろへ倒れかかる。
 母とする時とは異なる、どこか蹂躙されているような感じのあるキスに、まるで美菜子に犯されているような錯覚を覚える。実際のし掛かられながら一方的にキスをされているのだから、似たようなものだろう。
 こちらも何かしなければと思うのだが、どこか逆らえない圧迫感があり、されるがままになってしまう。元々美菜子に対しては強く出られない意識があったため、こうした事に関しても受け身になっているのだ。
 キスも実に巧みで、母との経験では存在しなかった強い刺激を覚えていた。
 どうやら美菜子はかなりキスが上手いらしく、唇を擦られ、舌で吸われ、舐められているだけで、意識がぼんやりとしてきていた。
 体から力が抜けていき、ずるずるとソファの上に横たわってしまう。
「んっ、んんっ……ふふ、翔太くん可愛いわ。すっごく可愛いわよ……こんな顔が見たかったの……ね、気持ちいいでしょう?」
 唇が離れ、互いの間に唾液が伸びるのを認識しながら、嬉しそうに微笑む美菜子をぼんやり眺める。
 こちらの体の上に跨り、見下ろしてくるその姿は、まさに自分を支配している女王といった感じだった。
 それには何とも言えない心地良さがあり、全てを委ねたくなる想いが起きてきた。
「それじゃ、もっと気持ち良くしてあげるわね。翔太くんの、叔母さんに見せてね……」
 そう告げた美菜子は少し後ろに下がると、ズボンのベルトに手をかけて外していった。
 続けて腰を上げるように指示され、パンツごと引き下ろされる。
 下半身が丸出しになり、勢い良く屹立している肉棒が顕わになった。
 その事に恥ずかしさを覚えるものの、それを嬉しそうに、そしてうっとりと見つめている美菜子の様子に、強い誇らしさを抱いた。
「ふふ、立派ね。可愛い顔してるのに、ここは凄く立派よ。素敵だわ……」
 そう褒め称えながら優しく触れてくるのに、ゾクリとした快感を覚える。
 指で摘まれるようにされた後、軽く握られ、上下にしごかれると、気持ちの良さが股間に溢れた。
 そのまま美菜子の顔が近づき、口が大きく開かれるのに、フェラチオをされると分かって興奮が高まった。憧れだった美菜子に肉棒を咥えてもらえるとは、何と幸せなことだろう。
 形のいい唇が肉棒を飲み込むと、温かで湿った感触が広がった。
 舌がなぞるようにして動き、ペロリと舐めてくるのに気持ちの良さから震えが走り抜ける。
 亀頭を包むようにされた後、付け根の方から舐め上げられ、そのまま口全体で擦るようにしてくるのにうっとりとなった。
 美しい美菜子が、己の肉棒を口に含んで愛撫してくれているのだと思うと、素晴らしすぎて泣きそうになった。「してくれたら最高なのに」とずっと願っていた事をされているのだから当然だろう。
 だがこれだけで満足してはいなかった。ここまで来たらもっと凄いことを、そう、美菜子とセックスをしたかった。
 目の前の魅惑の肉体を、好き放題舐め回し揉み尽くし、肉棒を押し込んで無茶苦茶に腰を振ってみたい。
 そうなったら美菜子はどんな風に悶え喘ぐのだろう。
 これまでは想像するしかなかったが、あともう少しでそれが実現するのだ。
 その信じられない状況に、翔太は頭がおかしくなりそうなほどに興奮し、あっという間に肉棒が限界に達していった。
「美菜子さっ……あっ、くっ……」
 事前に射精する事を告げようと思った時には遅く、翔太は体を硬直させると精を放った。
 強烈な快感が起きると同時に、股間からドクンドクンと精液が迸っているのが感じられる。
 美菜子は一瞬苦しそうな表情を浮かべたが、すぐさま嬉しそうな顔をして肉棒に食らいついている。
 数度の射精を終えて力を抜くと、精液を舐め取るようにして舌が絡み、吸い上げてきたため硬直する。射精後の敏感な状態にその刺激は強烈すぎだった。
 あっという間に肉棒が硬く大きくなり、再び精を放ちたくて仕方が無くなっていった。
「んふ……ふふ、元気ね。出したばかりなのに元気。やっぱり若いのね。素敵よ翔太くん……」
 肉棒から口を放して微笑みかけてくる美菜子は、美しくもいやらしかった。
 上唇をペロリと舐める仕草があまりに色っぽく、その艶めかしい雰囲気に心臓が激しく鼓動していく。
「私が欲しい? 欲しいわよね? ね、欲しいって言って。そうしたら叔母さん、翔太くんの好きにさせてあげるわ」
「欲しいです……美菜子さんが欲しい……」
「ふふ、じゃあいらっしゃい。叔母さんの体を好きにしていいわよ……」
 その言葉を聞くや否や、翔太は勢い良く起き上がると、鼻息を荒くしながらのし掛かっていった。
 首筋に吸い付くと同時に、以前から触りたくてたまらなかった豊満な乳房へ手を這わせていく。
 力を込めるとムニュリといった感じで指が食い込み、その魅惑的な弾力にうっとりとなった。
 白い顎の下を舐めながら吸い付くと、美菜子が「あっ……はんっ……」といった吐息を漏らし、クネクネと体を動かすのに興奮が高まっていく。
 体の下に柔らかな肉の感触が存在し、それに身を預けているとたまらなく気持ち良くなった。
 この魅惑的な肉体を直接味わいたい。そう思った翔太は、スーツとその下のブラウスのボタンを外すと、ブラジャーに包まれた白い膨らみを顕わにした。
 母のよりも少し大きい膨らみに見惚れつつ、続けてブラジャーを取り去ると、プルンっといった感じで乳房が全てをさらけ出した。
 真っ白な肌が形作ったその曲線は、造形としての素晴らしさを感じさせ、プクンっと突き出ている突起は、綺麗な桜色をしていて、まるで芸術作品のように目に映った。
 美人の美菜子にピッタリの美しい乳房であり、それをこれから自由にしていいのだという事に、悦びの震えが走り抜けた。
 ゆっくりと手を近づけ、包むようにして触れていくと、フニュリといった感触が広がり、乳首の硬さが手のひらを擽ってきた。
 それを潰すようにして揉んでいき、吸い込まれるような柔らかさを味わいつつ、力を抜いたり入れたりを繰り返して何度も揉んでいく。
 様々な形に変化する膨らみに強い興奮を覚えつつ、フルフルと揺れる乳首に誘われるようにして吸い付いた翔太は、突起を舌先で転がしながら、口内に広がる甘さを味わっていった。
「あっ……あんっ……おっぱい吸ってるのね……翔太くんが私のおっぱい……ふふ、嬉しいわ……」
 優しく頭を撫でられるのに心地良さを感じつつ、夢中になって乳首を吸い、乳房を揉みしだいていくと、それだけで肉棒がはち切れんばかりに硬くなっていった。
 何しろ憧れの美菜子のおっぱいなのだ。それを好きにしているのだから、強烈な興奮があって当然だろう。
「美菜子さん……僕っ、僕ぅ……」
 早く入れたくてたまらなくなり、美菜子にねだるように言ってしまう。
 まるで童貞に戻ったかのような落ち着きの無さに我ながら苦笑しつつ、ふと、美菜子は自分のことを童貞と思ってるのではないかと思った。
「ふふ、入れたいのね? いいわよ。でも落ち着いてね。焦ると上手くいかないから」
 やはり童貞だと思っているらしい言葉に、何だか騙しているような気がして後ろめたさを覚えたが、別にこちらからそう告げた訳ではないのだから構わないだろう。
 そんな事を考えながらタイトスカートに手をかけて捲り上げ、ゆっくりとパンティを引き下ろしていく。
 そのまま肉付きのいい両脚を左右に開くと、秘所が丸見えになったため、ゴクリと唾を飲み込んだ。
 はだけたスーツ姿というのは何ともそそり、その事で肉棒がビクンと脈打つのを感じながら、ゆっくりと腰を前へ進めていく。
 肉棒を手に持ち、膣穴へ近づけると、興奮して手が震えたため、亀頭が上手く穴にハマらなかった。
「ほら、落ち着いて。ここよ、ここに入れるの。ね、分かる?」
 どうやら入れる場所が分からないと思われたらしいその言葉に苦笑しつつ、この失敗はちょうど良かったな、などと考えてしまう。
 美菜子は童貞を導くことを楽しんでいる節があったため、できるだけ童貞っぽく見えた方が喜んでもらえるように思えたからだ。
「そう、そこ。そこに入れるの……そのまま押し込んで……あんっ。ね? 入ったでしょ?」
 亀頭が膣穴に入り込むと、途端に快感が広がった。
 そのままゆっくり腰を前へ進めると、肉棒が膣襞と擦れ、絡みつかれ、吸い付かれることで、蕩けるような気持ちの良さが押し寄せてきた。
「うぅ……美菜子さぁん……はぅ……凄く気持ちいいです……」
 童貞のフリをするまでもなく、かなりの快感にうっとりとなった。
 母の中とは異なる感触に新鮮な想いを抱きつつ、ついに憧れの美菜子と繋がったのだという事に嬉しくなる。
「ふふ、可愛いわ……それじゃ、動いてごらんなさい。もっと気持ち良くなるから」
 その言葉に頷きつつ、ゆっくりと腰を引いてみる。
 すると肉棒への吸い付きが強くなり、腰が持って行かれそうな快感が起こった。
 その事に震えた呻きを漏らしながら、今度は押し込んでいくと、奥へ吸い込まれるような快感が起きたため、体をガクガクと震わせてしまう。
 これは母とはかなり違う、というか、異なる快感があるように思えた。
 母の中は包み込まれるような気持ちの良さがあったが、美菜子の中はねっとりと絡みついてくるような気持ちの良さがあったのだ。
 その味わったことのない刺激は、射精感を強烈に高め、思わず精を漏らしてしまいそうになった。
 その動揺が伝わったのか、美菜子が小さく「ふふ……」と笑ったのに恥ずかしくなる。
 童貞のフリをするつもりが、これではまるきり童貞そのものだったからだ。無論、童貞と思われた方が良いのだが、素でそれっぽい反応をしてしまった事に情けなさを覚えたのである。
「あっ、あっ……いいわ、あんっ……そうよ、そうやって、あっ……思い切り腰を振って、あぁっ……翔太くんのしたい感じで、あんっ……してぇっ……」
 恥ずかしさから無茶苦茶に腰を動かしていくと、美菜子が甘ったるく悶えた。
 念願の美菜子が喘ぐ姿を見られたことに、強い興奮と喜びが湧き起こり、憧れの女性を従えている事に、身も心も満足感で一杯になっていく。
「美菜子さんっ……美菜子さぁんっ……」
「もっとして、あっ……もっとよ、ああっ……翔太くん、もっとぉっ……いいっ、いいわぁっ……素敵、ああっ……素敵なのぉっ……」
 肉棒を突き込んでいくと、美菜子の体が前後に動き、豊満な乳房がタプンタプンと揺れ、その振動が伝わってくるのが、肉体の繋がりを感じさせて最高だった。
 今自分は、ずっと憧れていた美菜子の体と繋がっているのだ。性器を擦り付け合って快感を与え合っているである。
 美菜子のような素晴らしい女性に肉棒を押し込み、喘がせ悶えさせ、「もっとして欲しい」とおねだりされるのは、何と気持ち良く、素晴らしい事なのだろう。
 スーツ姿であるのが、また高揚感を高めている感じだった。
 美菜子のスーツ姿は、いつ見てもキリリとしていて、いかにも「出来る女」という印象を与えたため、そうした女を従わせ、自由にしているという状況は、これまで経験した事のない悦びとなって心と体を包み込んでいた。
 母を初めて抱いた際も、母親という存在を屈服させた、立場の逆転のような悦びを覚えたが、美菜子とのそれは、さらに強烈であるように思えた。
 何しろ美菜子に対しては、「この人には勝てない」という想いが強かっただけに、その女を征服しているとなれば、悦びも強烈になったからだ。
「あんっ、あっ、ああっ……翔太くん凄いわ、あっ……翔太くん凄いの、ああっ……こんなの初めてぇ、ああんっ……」
 頭を左右に振り、人差し指を噛みながら喘ぐ美菜子の姿に、己が凄い存在になったような錯覚を覚える。
 優れた美菜子がここまで自分を褒め称えるなど、最高の気分だった。
 もっともっと美菜子を悶えさせ、快楽に狂わせたい。そうした想いが強まるが、それ以上に、初めて味わう美菜子の体は強烈であったため、射精感を抑えるのも限界だった。精神的な高揚が強かったせいか、興奮がいつもより激しく高まっており、すぐにでも射精してしまいそうなほどになっていたのだ。
 その事に情けなさを覚えるものの、どうせなら最高の射精にしたいと、美菜子の中に初めて放つ経験を素晴らしいものにするのだと、翔太はこれまで以上に強く大きく腰を振っていった。
「うっ、美菜子さん僕、くっ……もう出ちゃうっ……」
 不意に膣内が激しく収縮を起こし、肉棒がそれまで以上に吸引されたため、思わず精を漏らしそうになった。慌ててそれを抑えながら限界を告げると、実に情けない口調になっていたため恥ずかしくなる。
 先ほどから完全に初心者のようになってしまっていた。自分を童貞だと思っている美菜子に対してはそれで良いのだが、男としてまだまだ経験不足であるのを実感させられる事でもあったため悲しくなった。
 やはり美菜子は凄い女性だった。セックスにおいても高いレベルを持っているのであり、自分などではまだまだ太刀打ちできない存在なのだ。
 そんな女性と、今自分はセックスをしている。何と素晴らしい事だろう。
「いいわよ、あっ……好きな時に出しなさい、あっ、あんっ……思い切り、叔母さんの中に出してぇっ……」
 自らを「叔母さん」と呼んでいる事に、ゾクリとした想いを抱く。そう言われるたびに、美菜子が血の繋がりのある相手である事を認識し、興奮が高まっているように思えたからだ。
 今回異常に興奮しているのも、単に憧れの対象を抱けているというだけでなく、そうした近親相姦の禁忌の想いも感じているせいかも知れない。
 自分は母親だけでなく、叔母ともセックスをしている。
 それは非常に許されない行為なのだという意識が起きると共に、だからこそたまらない良さがあるのだろうとも思った。
 そしてまもなく美菜子の中に精を放つ。それは叔母の膣に甥が射精するのであり、もし美菜子が妊娠すれば大変な事になるだろう。
 そんな想像をすると恐ろしさを覚えたが、それ以上の興奮が湧き起こったのも事実だった。
「来てっ……翔太くん来てぇっ……出して、叔母さんの中に出してぇっ……あっ、あぁあああああああっ!」
「うっ、うぁっ!」
 美菜子の膣内射精の要求と共に、それに応じたかのように肉襞がこれまで以上に強く絡み吸い付いてきたため、翔太の我慢は限界に達した。
 ドピュっ、ドピュっ、と勢い良く精液が迸り、強烈な快感が脳を痺れさせる。
 ガクガクと体が激しく震え、肉棒が律動するたびに射精が行われ、気持ちの良さが体中に広がっていく。
 美菜子は硬直したまま、時折小さく震えを示し、甘い吐息を漏らしていた。
 それをぼんやりと見下ろしつつ、自分が美菜子の中に射精をしているのだという事に、翔太は信じられない想いを抱いた。
 今更ながら、どうしてこんな事になっているのだろうと不思議だった。いくら可愛く思ってくれているにせよ、叔母と甥の関係でセックスするなどおかしいからだ。何故美菜子は誘惑してきたのだろう。
 そんな事を考えつつ射精を終えた翔太は、力を抜いて美菜子の上に倒れ込んだ。
 柔らかな女肉が受け止めてくれ、その心地良さにうっとりとなる。
 自分はこの素晴らしい肉体を抱いた。
 憧れの美菜子を抱いたのだ。
 何と幸せすぎることだろう。
「翔太くぅん、素敵だったわぁ……ふふ、今の顔、兄さんに似てる……やっぱり兄さんにそっくりぃ……可愛い。んっ、んふっ……」
 頭を抱えるようにされ、ねちっこいキスを数度される。
 舌が絡みついてきて吸われ、口内が舐め回されていく内に、肉棒が再び硬く大きくなっていくのが感じられた。
 鼻息が荒くなり、また美菜子を抱きたくてたまらなくなった。
「またしたい? 叔母さんを、また抱きたくなっちゃった?」
 その言葉に大きく頷くと、すぐさま引き寄せられ、抱き締められた。
 柔肉の感触が体の前面に押し寄せ、蕩けるような快感が湧き起こっていく。
 このたまらない肉体を何度でも抱きたかった。
 好きなだけ抱けたらどんなに幸せだろう。
 そうしなければ満足できなかった。
 そして美菜子はそうさせてくれるのだ。優しくてエッチな叔母は、甥の望みを無下にしないからだ。
 そんな素晴らしい状況に悦びを覚えた翔太は、体を起こすと肉棒を手に持ち、再び魅惑の蜜壺の中へと入り込んでいくのだった。


 翔太は美菜子の自宅に招かれていた。
 先日別れ際に、「これからはちゃんと親戚づきあいしましょう。そうだ、今度うちへ遊びに来るのはどう?」と言われたため、それを今日実現させたのだ。
 美菜子の自宅にも興味があったし、何より従妹と会ってみたいという想いもあった。美人である美菜子の娘だから可愛いのは間違いないため、その事にかなりの期待を膨らませていたのである。
 本来ならば早苗も同席するところだが、母はその事を聞くと表情を暗くし、「翔ちゃんだけで行ってきて」といって同意しなかった。
 どうやら未だに父の親族と関わる事には抵抗があるらしい。美菜子が来るのは構わないが、自分が美菜子の家へ行くのは迷惑をかけると思っているのだ。
 その事は母の不安に関わる部分であるため、それ以上勧めることもできず、翔太は一人で遊びに行くことにしたのだった。
 美菜子の家は、二人で住んでいるにしてはかなり大きめで、彼女によく似合うお洒落なたたずまいの造りになっていた。
 案内されて居間へ入っていくと、一人の少女がソファに座っているのが見えた。
 おそらく彼女が、従妹の結衣(ゆい)だろう。年齢は十六歳で、翔太と同じ高校へ通っている一年生だ。
 顔は母親に似てかなり美しく、腰の辺りまであるストレートロングの黒髪が魅力的だった。
 まさに美少女という言葉がピッタリの雰囲気を漂わせており、実際思わず見とれてしまうほどの美しさがあった。
 結衣は一瞬こちらへ視線を向けたが、目が合うと慌ててそらし、俯いて大人しくしている。
 少ししてから「こんにちは」と小さく呟いたのが聞こえたが、顔は上げずにジッとしたままだ。
 その様子から大人しい性格が感じられ、容姿の雰囲気と相まって、まさに清楚可憐なお嬢様といった印象を受けた。
 こちらも挨拶してから頭を下げ、美菜子に促されるまま向かいのソファへ腰を下ろす。
 近くで見ると益々美しさを感じさせたため、心臓がドキドキと激しく鼓動してしまった。
 これまで何人もの同年代の少女と接してきたが、ここまで美しく、清楚な雰囲気があるのは初めてだった。何というか体からオーラが出ていて、大人しい態度とは裏腹に、強い存在感を感じさせたのだ。
 それは美菜子からも感じているものであったため、美人というのは皆そうしたものを持っているのかも知れない。
 一見華奢に見える体つきだが、胸元はかなり膨らんでおり、肉付きの良い肉体であるのが分かった。
 そういう所も母親譲りなのだろう。将来は美菜子と同じように巨乳になるに違いなかった。
「翔太です。宜しくお願いします」
「ゆ、結衣です。宜しくお願いします……」
 翔太が頭を下げると、結衣は慌てた様子で同じようにし、目が合うと動揺したようにそらしている。その反応が初々しくて可愛らしかった。
「ふふ、あなたたちまるでお見合いしてるみたいよ。親戚なんだからもっとリラックスしなさい。これからちょくちょく会うようになるんだからね」
 見合いという言葉に思わずドキリとしてしまう。結衣ほどに可愛い少女ともなると、冗談であっても意識してしまうからだ。
 結衣の方はさらに強く反応を示しており、顔を真っ赤にして俯いている。
 何と初心な少女だろう。とても美菜子の娘とは思えないほどの純情ぶりだった。
「あらやだ、結衣ったら真っ赤ね。もしかして本気にした? それとも翔太くんがカッコいいから意識しちゃってるの? 私はいいのよ別に、あなたたちが結婚しても。二人とも大好きですからね。そうなったら嬉しいわ」
「お、お母さん……やめてよぉ……」
 困ったような顔をしながら小さく呟く結衣の姿は、実に可愛らしかった。
 そんな様子を見ていると、思わずからかってみたくなる衝動が起きたため、美菜子が見合いの話を告げたのも、そうした理由からなのだろうと苦笑する。実際美菜子はいたずらを楽しむような目で結衣を見つめているのだ。
「翔太くんはどう? この子をお嫁さんにするの。母親から見ても凄く可愛い子だと思うんだけど。同じ年頃の男の子としてはどうかしら?」
「あ、え〜〜、可愛いと思います。クラスに居たら絶対モテますよ」
「ふぅん、じゃあ結婚してもいい?」
「いきなり結婚ってのはちょっと……」
「じゃあ、付き合うってのは? 恋人にするのはどう?」
「いやまあ、その……そりゃもちろんいいですよ。結衣さんのような人なら、断る理由はないですから……」
 恥ずかしさを感じながらも正直に答える。実際そうなったら嬉しいし、何より肯定した方が、そのきっかけになるかも知れないと思ったからだ。
 翔太の言葉に、結衣は一瞬こちらに視線を向けたが、慌てて俯くと、モジモジと体を動かしている。
「良かったわね結衣。恋人にしてもいいって。ほら、付き合っちゃいなさい」
 面白がって美菜子が薦めているのに苦笑する。
 普通の娘であれば強く反発するか、笑って冗談にして流すのだろうが、結衣は困ったように「やめてよぉ」と小さく呟くだけだった。
「それじゃ、これから二人は付き合うってことで。だから呼び方も、もっと砕けた感じにしなさい。そうね、いとこなんだし『翔ちゃん』『結衣ちゃん』ってのがいいわね。ほら二人とも言ってみて」
 先ほどの翔太の「結衣さん」という呼び方が気に入らなかったのか、美菜子はそんな事を促してきた。確かに同じ年頃のいとこであれば、さん付けでは呼び合わないだろう。
 だが翔太としては、初対面で気安く呼ぶのには少々抵抗があった。結衣も同じなのか、不満そうな顔をして美菜子を見つめている。
 しかし強気の美菜子相手に、そんな理由だけでは対抗し続けることは出来ず、結局翔太は何度か促された後、「結衣ちゃん」と呼ぶ事になった。相手は年下であるし、内心そう呼びたいとも思っていたため、あまり抵抗が無かったからだ。
 一方結衣は、さすがに年上を「ちゃん付け」で呼ぶのには強い抵抗があるらしく、頑として「翔太さん」という呼び方を崩さなかった。
 その頑固さが可笑しかったのか美菜子は大笑いし、それで満足したらしく、その後は強要することはしなかった。
「これでいとこ同士の交流も完了ね。今まで事情があってずっと会ってなかったけど、これからは仲良くしましょう? もちろん付き合っちゃってもいいわよ。相手が翔太くんと結衣なら、どちらの恋人としても私的に合格だし。だから付き合うことにしたら報告すること。お祝いしてあげるからね」
 美菜子は楽しげに告げながら、嬉しそうに微笑んでいる。
 おそらく結婚などの冗談を言うことで、自分たちの緊張をほぐそうとしていたのだろう。実際翔太は、先ほどよりも穏やかな気持ちで結衣と接することが出来ていたし、結衣にしても、視線をあまり外さなくなっていたからだ。
 そうして和やかな雰囲気を持てたせいか、その後はケーキを食べながら、たわいもない話をして楽しんでいく事が出来た。
 結衣とは同じ高校へ通っているおかげで共通の話題も多く、何より二人とも読書が好きという事から、本の話題で盛り上がることができた。
 気づけばクラスメートの女子と話すような感覚になっていて、このまま何度か会えばもっと親しくなっていけるように思えた。
 夕食をごちそうになった後、帰宅する事になったが、見送りに出てきた結衣が、「また来て下さいね」と小さく、恥ずかしそうに呟いているのが何とも可愛らしかった。
 帰りの車の中で美菜子は、「あの子が私以外の人に、あんなに話すのなんて初めて見たわ。それに凄く楽しそうだったし。やっぱりいとこなのね。安心してるのよ」と言っているのに嬉しくなった。
 そう言えば以前、美菜子から「結衣は友達が少ない」と聞いていたが、この引っ込み思案そうな性格では納得だった。
 ならば自分がこれから仲良くしていってあげなくては、と思いつつ、冗談で言われた「付き合う」という言葉を意識してしまう。何しろ結衣は異性として十二分に可愛らしく、またかなり好みであったため、本当にそうなったら嬉しかったからだ。
 そんな事を考えた翔太は、今度はいつ会えるかな、と思いつつ、そう言えば同じ高校へ通っているのだから、学校で会えばいいのだという事に気がついて苦笑する。携帯電話の番号やメールアドレスは交換済みだし、後はこちらからアプローチすればいいだけだった。
 それには少々勇気が必要だったが、今日かなり親しくなったように思えたのだから、さほどハードルは高くないだろう。
 家へ帰ったら早速メールをしてみようか、などと思いつつ、隣に座る美菜子の顔を見つめた翔太は、そのどこか結衣と似ている造形に、「やっぱり親子なんだな」と思うのだった。


 広いベッドの上で、翔太は美菜子と裸で絡み合っていた。
 あれから数日後、美菜子の誘いに乗ってラブホテルへ来ていたのだ。
 叔母を抱くことに躊躇がないと言えば嘘になったが、母を抱くことに比べれば禁忌の想いは少なかった。長い間存在を知らなかった事から、他人のような感覚がまだ強いせいだろう。
 ゆえに誘われてしまえば、断るほどの気力は起きなかった。一度味わった美菜子の肉体への衝動を、抑えることなど不可能だったからだ。何より最近母がほとんど求めてこなくなっていたため、性欲が高まりまくっているというのもあった。
 目の前には美麗な裸身が横たわっており、その吸い付いてくる肌に触れ、舐めていると、それだけで肉棒がいきり立った。
 余分な贅肉の無い見事なプロポーションでありながら、触れると熟女特有の柔肉が感じられ、抱き締めると、うっとりするような心地良さがあるのが素晴らしかった。
 生の肌同士が擦れ、肉同士が触れ合うと、それだけで気持ち良くてたまらず、全てを委ねて甘えたくなる衝動が湧き起こった。
「あっ、あんっ……翔太くぅん、あぁっ……いいわっ、いいわぁっ……それもっと、あんっ……それもっとぉっ……」
 肉棒を突き込むと、美菜子が可愛らしく喘いだ。
 普段のキリリとした雰囲気からは想像できないいやらしい姿であり、有名ブティック店の女社長という面を知っているだけに、余計にそのギャップは強烈になった。
 豊満な美しい乳房が前後左右に揺れ動き、掴むと指が食い込んで、蕩けるような気持ちの良さが手のひらに広がった。
 そのまま回すようにして揉みしだくと、美しい形がいやらしく歪み、その事に満足感を覚えつつ何度も同じようにしていく。
 手を離すと元の見事な造形に戻るのも素晴らしく、翔太は揉んだり放したりを繰り返しながら腰を激しく振っていった。
「あんっ、あっ……凄いわ、あっ……凄い、あんっ……翔太くん凄いぃっ……あっ、ああんっ……」
 貫かんばかりに強く大きく肉棒を突き込むと、美菜子が頭を左右に大きく振り、シーツを握り締めて喘いだ。
 乱れた髪が汗で額に張り付いているのが色っぽく、潤んだ瞳がうっとりと見つめてくるのがたまらない。
 こうして自分の与える刺激に激しく反応を示す様を見ていると、美菜子を支配している気分が高まって最高だった。
「もう駄目、ああぅっ……もう駄目よぉ、あっ、ああっ……叔母さんもう駄目なのぉっ……イっちゃうっ、イっちゃうぅっ……」
 逃がすまい、といった感じで腰に脚を絡ませてきながら、美菜子は限界を告げてきた。同時に膣内の蠢きが激しさを増し、膣襞が肉棒に吸い付いてくるのに、思わず射精しそうになる。
 歯を食いしばってそれに耐えていると、背中に手を回され引き寄せられたため、目の前に美しい顔が迫った。
 淫靡に微笑みながら見つめてくるその瞳には、強い執着が感じられ、自分が美菜子を夢中にさせているのだという実感を得た翔太は、嬉しさで一杯になった。
 この素晴らしい女は自分の物なのだ。
 自分に従う女なのである。
 そんな誇らしさが込み上げ、射精感が一気に増幅していく。
「ああんっ、翔太くんちょうだいぃっ……叔母さんの中に、あぁっ……叔母さんの中にぃっ……あっ、あぁああああああああっ!」
「うぅっ……美菜子さぁんっ!」
 両腕両脚が強く絡みつき、膣内が強烈に締まり上がった瞬間、精を放つ。
 迸る精液と、押し寄せる快感に、心と体を翻弄されながら、射精のたびに起こる快楽に頭を真っ白にさせていく。
 少しして精を放ち終えて力を抜くと、耳元に美菜子の荒い呼吸が強く響いた。
 優しく頭を撫でられているのにホッとするような想いを抱きつつ、翔太はその心地良さに身を委ねていった。
「ふふ、良かったわ。素敵よ翔太くん。もうすっかり一人前の男ね。叔母さん、何度もイかされちゃったわ」
 目の前にある美しい顔が紅潮し、汗が浮かんでいる様子は、普段よりも若々しさを感じさせ、結衣の顔と重なって見えた。やはり親子のせいか、よく似ていたのだ。
「結衣には見せられないわね、こんな姿。何しろあの子と同じくらいの男の子としちゃってるんですもの。見たらきっと、顔を真っ赤にして凄く怒るに違いないわ。まあ、その前に凄く恥ずかしがるでしょうけど」
 美菜子はクスッと笑うとこちらを見つめてきた。その顔が再び結衣と重なったため、結衣に見られた状況を想像してしまい、強い罪悪感と背徳的な興奮を覚える。
「翔太くんはどう? もしお母さんが、自分と同じくらいの男の子とセックスしてたら、どう思う?」
「それは……」
 物凄く腹が立つだろう。母が自分以外の男に抱かれるなど想像したくもなかった。
「ふふ、その顔で分かっちゃったわ。翔太くんってホントお母さんを大切にしてるわよね。他の男に取られるのは凄く嫌だってのが伝わってきたわよ」
「いや、その……」
 その指摘に慌てて顔を撫でる。マザコンだと遠回しに言われた気がして恥ずかしくなったのだ。
「気にしなくていいのよ。家族を大切に思うのは当然ですもの。私だって結衣が可愛くてしょうがないし。あの子も私のことを凄く大切に思ってくれてるしね。だから翔太くんがお母さんのことを大切にしていても、全然おかしいと思わないわよ。むしろ誇っていいことだと思う」
「ありがとうございます」
 美菜子に言われると、途端にマザコンであることが誇らしく感じられるから不思議だった。こうした言葉に説得力のあるところが美菜子の魅力なのかも知れない。
「私もあなた達くらいの時に、兄さんの事が凄く大切だったわ。凄く大好きだったの……それがある日ね、彼女が出来たって紹介されたのよ。それがあなたのお母さん」
「へぇ、そうなんですか」
 両親の馴れ初めなど聞いたことがなかったため、興味深く耳を傾ける。
「兄さんが選んだ人ですもの、私もあなたのお母さんのことを受け入れたわ。でもね、内心は凄く嫌だったの。だって私の大切な兄さんを奪ったんだから許せないわ。翔太くんだってそうでしょう? 今お母さんが誰かと結婚するって言ったらどう? 嫌でしょう?」
「それは、嫌ですね……」
「しばらくして、結婚するって聞いた時はどうしようかと思ったわ。凄く許せなくて、あなたのお母さんを殺したくなったくらい。でも我慢したの。だって兄さんが悲しむから。だから我慢して、結婚の手助けまでしちゃった。兄さんが喜んでくれたし……でも子供が産まれるって聞いた時は、さすがに我慢出来無くなっちゃった……」
 そこまで語ると、美菜子は大きく息を吐き出した。そして黙ったまま何かを思い出すようにして宙を見上げてから、不意に小さく微笑んだ。
「ごめんなさいね、こんな話をして。もう済んだことなのにね。今はもうあなたのお母さんに対しては何も思ってません。だから安心して。むしろあなたみたいな子供を産んでくれて感謝してるの。ホント兄さんにそっくりなんですもの」
 その言葉に少々嫌な気分になる。どうにも父の代わりだと言われているように感じられたからだ。
「ふふ、怒っちゃった? お父さんにそっくりって言われて。それだとお父さんの代わりみたいだもんね」
「え? いや、その……」
 心を見透かされた指摘に、恥ずかしくなって視線をそらす。
「確かに初めはそういう部分もあったけど、今は違うわよ。翔太くんは翔太くんですもの。いくら似てても兄さんじゃない。年齢だって違うしね。あなたは私の可愛い甥。年下の可愛い男の子。そんなあなたに私は夢中なの。ふふ、甥を食べちゃうなんて、悪い叔母さんよね?」
 美菜子はそう言いながら肉棒を掴んで来た。いきなりの刺激であったため、体を硬直させてしまう。
「でも翔太くんには、もっと年相応の相手とも付き合って欲しいわ。そうした事が人生経験として大切だと思うし……ね、前にも言ったけど、結衣はどう? あの子と付き合わない?」
「え? そりゃ結衣ちゃんなら嬉しいですけど、結衣ちゃんが何て言うか……」
「大丈夫よ、あの子も絶対あなたの事が好きだから」
「どうして分かるんですか?」
「ふふ、あの子は私に似てるからね。だからあなたの事が好きになるのよ」
 よく分からない理屈だが、親子だけに好みが似ているという事だろうか。
「だから付き合っちゃいなさい。まあ、それまでは私が独り占めしちゃうけど。ね、もう一回しましょ?」
 美菜子はそう言いながら起き上がると、ゆっくり腰を下ろしてきた。
 亀頭が膣穴にハマり込み、気持ちのいい感触が押し寄せてくる。
「あぁ……いいわ、やっぱりいい……」
 こちらを見下ろしながら淫靡な笑みを浮かべ、美菜子はうっとりとした表情を浮かべている。
 美しい体が上下に動き出し、そのたびに胸元の大きな双乳が揺れるのに興奮を高めた翔太は、もっと美菜子の淫らな姿が見たいと、勢い良く腰を突き上げていくのだった。


 学校からの帰り道、翔太は家へ向かって歩いていた。
 最近はクラスメート達と下校することも多くなっていたが、今日は久々に一人だった。
 話す相手もいないため、考え事をしながら歩いているのだが、頭の中に渦巻いているのは美菜子との事だった。
 叔母でありながら、もう何度も抱いてしまっていた。
 いけない事だと分かっているのだが、どうしても止めることが出来ない。
 何しろ相手は美人でスタイル抜群の熟女であり、その蕩けるような肉体は、何度味わっても満足することがなかったからだ。
 さらに凄く可愛がってくれているため、甘えたくなる気持ちが高まり、つい誘いに乗ってしまうのである。
 相手が叔母だという事を抜きにすれば、十七歳の少年としては夢のような生活を送っていると言えただろう。何しろ好きなだけセックスが出来ているのだ。同じ年頃の少年の多くが未だ童貞な事を考えれば、実に恵まれた環境に居るのは間違いなかった。
 その一方、美菜子との関係が歪んでいるという認識もあった。
 叔母という事もあったが、母と同じくらいの年齢である事を考えれば、そうした大人の女性が、自分のような子供とセックスしているというのは異常なことだからだ。
 美菜子は自分を可愛がってくれているし、愛してもくれているだろうが、それは男に対する愛情ではなく、甥に対する愛情でしかないだろう。そうした想いでセックスをするというのは、やはり良くないことに思えた。
 本来自分は高校生なのだから、もっと年相応の相手とセックスをする、というか恋人にするべきだった。美菜子も言っていたが、普通に同じ年頃の異性と恋愛をし、セックスをするのがまともな事であり、大切な事でもあるのだ。
 そう考えると、頭に浮かぶのは結衣のことだった。
 あの可愛くて大人しい少女を恋人に出来たら、それは幸せに違いない。そしてあの華奢な体を抱き締め、貪れたら、どれほど気持ちがいいだろう。
 清純な結衣に対し、いやらしい想いを抱くことに少し後ろめたさを覚えるものの、だからこそ余計に昂ぶってしまう部分もあった。
 先日会った時の感じでは、自分に好意を抱いてくれているようだったから、もっとアプローチしていけば付き合うことができ、セックスにまで至れる可能性はあった。
 しかし情けないことに、現状はメールすらあまり送れておらず、内容的にも「今日は学校でこんな事があった」といった、連絡事項のようなものしか書けていなかった。
 一応返事はくれるものの、相づち程度のものでしかなかったため、恋愛感情以前に、友人レベルの会話としても盛り上がっていない状況と言えただろう。
 結衣は大人しいのだから、自分の方がもっと積極的にいかないと、恋愛的に意識してもらうのは難しいに違いない。
 だがその積極性が、自分にはどうにも足りなかった。恥ずかしいという想いが強いせいか、そうした行動を取れないのだ。クラスメートの女子相手であればそうでもないのだが、結衣ほどに可愛い少女ともなると、どうしても意識してぎこちなくなってしまうのである。
 メールの内容にしても、あまり変なことを書いては嫌がられるのではないかと思い、結果として連絡事項のような内容になってしまっていた。何とかしたいとは思うのが、結衣宛に送るのだと思うと、どうにも緊張してしまうのである。
 せっかく魅力的な美少女と知り合え、しかも好意を持たれていると思えるのに、そこから先に踏み出せないとは、何と情けない事だろう。
 そんな自分にため息を付きつつ歩いていると、ふと目の端に見たことのある顔、どころか、たった今思い描いていた顔が映ったため驚いた。
 慌てて視線を向けると、やはりそこに居たのは結衣だった。
 何やら二人の男子高校生と一緒であり、異なる制服である点から他校の生徒と思えたが、どういった関係なのだろう。
 大人しい結衣が、他校の男子生徒と友人であるというのは考えにくいため、これはナンパでもされているのかも知れない。
 しかし中学時代のクラスメートと偶然出会った、という事もあり得たため、どうしたものかと躊躇しつつ様子をうかがっていると、やはりナンパであるように思えてきた。
 結衣の表情がどうにも困ったような感じになっていたのと、その男子高校生二人の雰囲気が軽薄そうに見えたからだ。
 ならばここは助けてあげるべきだろう。
 とはいえ、あまり高圧的に出ては反発された時に怖かったし、何より結衣の知り合いという可能性も無くなった訳ではないから、さりげなく接してみた方が良いかも知れない。
「やあ、何してるの?」
 近づいて声をかけると、結衣の視線がこちらへ向いた。それに釣られるようにして男子高校生達の顔もこちらへ向く。
 改めて見るとなかなかのイケメン達であり、これはモテそうだな、と思った。
 結衣は翔太の姿を確認した瞬間、ホッとしたような表情を浮かべ、続けて勢い良く傍へ寄ってきた。そのまま隠れるように後ろへ回り込み、制服の裾を掴みながら、泣きそうな顔で、訴えるようにしてこちらを見つめている。
 その庇護欲を感じさせる様子に、頼られている嬉しさと誇らしさで心が一杯になった。
 一方、ここまで怖がらなくてもいいんじゃないかとも思って苦笑する。何しろ目の前の男子高校生二人は、凄く悲しそうな顔をして、困ったようにしていたからだ。きっと悪い人達ではないに違いない。
「一緒にお茶でもどうかと思って誘ってたんだけど……どうやら怖がらせちゃったみたいだ。ごめんね」
 軽く頭を下げてくる二人に、やはり悪い人間ではないとホッとしつつ、結衣の方を見ると、困ったようにして俯いていたため、どうしたものかと思う。ここは自分が代わりに受け答えするべきだろうか。
「彼女は大人しいんで。あと知らない男が苦手みたいなんです。だからちょっと怖くなっちゃったんだと思います」
「そうか、そりゃ悪いことしちゃったなぁ。まあ、もし良ければまた今度、怖くなくなったら相手してね?」
「宜しくぅ」
 男子高校生二人は、明るくそう告げるとあっさり去っていった。
 きっとそれほど結衣にこだわりはなく、可愛かったので軽く声をかけてみただけに違いない。結衣がすぐに断れば問題なかったが、大人しい彼女はそれが出来ずに長引かせてしまった、といったところだろう。
「大丈夫?」
 振り返って尋ねると、可愛らしい顔が安堵の表情を浮かべており、黒々とした瞳がジッとこちらを見つめていたのにドキリとしてしまう。
 久しぶりに見たが、やはり凄い美少女だった。
 何より白い制服が実に似合っていて、それが清純さを高めていてたまらなかった。
「あ、ありがとうございました……」
 ニコリと微笑まれ、お礼の言葉を言われるのに心臓が激しく鼓動する。美少女だけに、笑顔には強烈な刺激があったからだ。
「偶然通りかかったからね。まさかこんなとこでナンパがあるとは思わなかったよ。取り敢えず質の悪い人達じゃなくて良かった」
「はい……悪い人達じゃなかったと思います。でも私、初めての人ってどうしても怖くて……」
「しょうがないさ。僕だって初めてだと緊張するしね。それよかこれから帰るんでしょ? 途中まで一緒にどう?」
 この機会を逃すのは勿体ないと、意を決して誘ってみる。せっかくこうして逢えたのだから、もっと一緒に居たかったのだ。
「あ、はい……」
 恥ずかしそうに俯きながら了承してくるのに、心の中でガッツポーズを取る。これで少しの間ではあるが、結衣と二人きりで歩ける事になった。何と素晴らしい事だろう。
 結衣もその事を意識しているのか、どこか落ち着きなさげにしており、頬を少し赤らめてモジモジしている。
 その様子には心臓が締め付けられるような可愛さがあったため、叫びたくなるような衝動が湧き起こった。結衣はこうした態度を取ると、凄くそられるものを感じさせるのだ。抱き締めたくなる反則的な可愛さがあるのである。
「……」
「……」
 連れだって歩き始めるものの、しばらく無言の状態が続いた。緊張のあまり、何を話せばいいのか分からなくなっていたからだ。
 必死に何か話題は無いかと考えるが、どうにもいいネタが思い浮かばなかった。
 焦れば焦るほど上手くいかず、このままでは何も話せずに終わりかねなかった。
「あの、メール……いつもありがとうございます」
「ああ……いや、つまんない内容でごめん」
 不意に結衣が話しかけてきたため驚きながら応える。すぐに何か言わなければと焦り、落ち着きのない感じで返してしまったのが恥ずかしかった。
「そんな事ないです。学校であった事とか、教えてくれて嬉しいです」
「でもただの連絡事項みたいになっちゃってるでしょ? もうちょっと捻らなきゃっていつも思ってるんだけど、難しくてさ」
「翔太さんらしくていいと思います」
「そ、そうかな?」
「はい……」
 視線を向けると、結衣は楽しそうに微笑んでいた。
 その柔らかな笑顔が可愛らしく、心臓が激しく鼓動する。
 低い背丈と華奢な体、そして腰の辺りまで伸びた美しい黒髪が清楚さを感じさせ、思わず見とれてしまう。
 目を下へ向けると、制服の胸元が大きく山を描いており、その細身の体に不似合いな豊満さに唾を飲み込む。
 さらに視線を下へ移動させると、短いプリーツスカートから白い太ももが伸びているのが見え、その美味しそうな様子に思わず舐め回したくなった。
 以前会った時は普段着だったが、制服姿の結衣は可愛らしさが増しているように思えた。このまま抱き締めて胸を揉み、太ももを撫でさすったらどれほど気持ちがいいだろう。
 視線を再び顔へ戻すと、黒々とした瞳がこちらをジッと見上げていたため、慌ててそらした。もしかしていやらしい妄想をしていた事に気づかれただろうか。
「あの、翔太さん……少し聞きたい事があるんですけど、いいですか?」
 どうやら大丈夫だったらしい事にホッとしつつ、何を尋ねてくるのかと身構える。
「うちのお母さんの事なんですけど……翔太さんと居るときに、様子が変な事ってありますか?」
 奇妙な質問に首をかしげる。美菜子の様子に特におかしな点など無かったと思うが。
「いや、気がつかなかったけど……美菜子さん、様子がおかしいの?」
「何て言うか、凄く上機嫌で、悪く言えば浮ついているというか。とにかく変なんです」
「上機嫌なんだ。う〜〜ん、僕と居る時は普通な感じだけどなぁ」
「全然普通じゃないんです。この間も、翔太さんがうちに来た時なんて凄くて、どうしちゃったんだろうって思いましたから」
 確かにあの時の美菜子ははしゃいでいたようにも思えた。しかしあれは、緊張している自分たちを和ませるためにしていたのではないだろうか。
「そうですね。あの時はそういう部分もあったと思うんですけど……でも普段も変なんです。毎日って訳じゃないですけど、時々凄く上機嫌になっていて……とにかく変なんです。だから気になっちゃって……」
 翔太の推測に結衣はそう応えると、困ったようにして俯いている。
 確かに母親がそんな状態では気になるだろう。悪い方向への変化では無いが、理由も分からず上機嫌になっているというのは、落ち着かないに違いないからだ。
 結衣の心配そうな顔を見ていると、何とかしてあげたくなってきた。
 だが上機嫌になる理由を考えてみても、あまり思いつかない。美菜子のイメージからして物質的なことではないように思えたため、何かしら精神的なことだろうか。
「う〜〜ん、もしかして恋人が出来たとか……」
 何となく思いついた推測を口にしてから、「これはマズかったかな?」と後悔する。
 何故なら今の自分と美菜子の関係は、恋人同士とも取れるものだったからだ。下手にそれを匂わせる発言は控えるべきだったろう。
 とはいえ、美菜子の自分に対する想いは、叔母が甥を可愛がるものでしかないだろうから、そこまで心配しなくても良いかも知れなかったが。
「やっぱりそう思いますか? 私もそうじゃないかとは思ったんですけど……でもうちのお母さんって、今まで恋人を作ったことないんです。だからどうもしっくりこなくって」
「恋人を作ったことないって、一度も?」
「はい。お父さん以外、好きになった人って居ないみたいなんです」
 それはまた、何とも純愛な事だった。あれほど華麗な美菜子の事だから、過去に居た恋人の数も多いのではないかと思っていたのだが、どうやら恋愛に関しては一途な方らしい。
「なるほど、だとすると確かに気になるね」
「はい……」
 不安そうに呟く結衣は、すがるようにこちらを見つめている。
 その愁いを帯びた表情は、実に可愛らしくもそそるものがあり、強い庇護欲と肉欲を呼び起こした。
 思わず抱き締めて「大丈夫だよ」と頭を撫でてあげたくなる衝動を覚えたが、慌ててそれを抑え込む。そんな事をしたら嫌われてしまうからだ。
 何とかして抱き締めても嫌われない関係になりたいものだったが、そうなるためには親密度をもっと深める必要があるだろう。しかし逢うことすらままならない今の状態では、それは夢でしかなかった。
(待てよ……これって使えないか?)
 不意に、この「美菜子の様子がおかしい」というのは使えるのではないかという考えが浮かんだ。親身に対応することで、会ったり話したりする機会を増やせるように思えたのだ。
 悩んでいる事に付け込むようで嫌な感じもしたが、美菜子の様子が気になるのも本心なのだから構わないだろう。
「じゃあこれから美菜子さんの事を注意して見るようにするよ。それで何かあったら結衣ちゃんに報告する。それでどう?」
「え? そんな事してもらっては申し訳ないです」
「いいんだよ。僕たちいとこ同士じゃないか。それに僕にしたって美菜子さんが変なのは心配だしね」
「そ、そういう事でしたら……お願いします」
「それでどうせなら、こうして直接会って報告する形にしてもいい? 同じ学校だから帰る時にすれば不便じゃないし。それに僕ね、今まで親戚って会ったことなかったから、こうして従妹と会うのって、何か楽しくてさ」
「そうだったんですか……分かりました。そういう事なら直接会うようにします……それに……報告が無くても、一緒に帰ったり、するのもいいと思いますし……翔太さんが楽しいなら、そうする方がいいと思います……」
 頬を紅くしながら、たどたどしく言ってくるのに嬉しさで一杯になる。どうやら結衣も、自分と会うことを嫌がっていない、どころか、会いたがっているように思えたからだ。
 どうにか結衣と会う口実が出来た。この機会を逃さず、今後はもっともっとアプローチしていくべきだろう。そしていつかは、結衣と恋人同士になるのだ。
 そんな想いを抱きながらその後も話を続けていくと、緊張がほぐれたせいか自然と会話していく事が出来た。
 結衣は大人しいため、あまり話題を振ってくる事はなかったが、こちらの話をよく聞いてくれ、時折感想を述べてきたりもしたため、話していて気持ちのいい相手だった。
「今日は相談に乗っていただいてありがとうございました」
 別れ際、結衣はそう言って頭を下げた。
 小さな頭が動くと綺麗な黒髪が揺れ、その様子に思わず見とれてしまう。何をしても絵になる少女だった。
「別に大したことじゃないよ。それに美菜子さんの事なら僕も気になるし」
「それなら良かったですけど……」
 結衣は恥ずかしそうに呟くと、落ち着かない様子で俯いている。そうした姿は実に可愛らしく、頭を撫でたくなる衝動を覚えた。
「それとは別に、その……色々話して下さってありがとうございます。私なんかが相手でつまらなくは無かったですか?」
「そんな事ないよ。結衣ちゃんと話すの楽しかったよ」
「あ、ありがとうございます……」
 翔太の言葉に、結衣は頬を少し紅潮させて頭を下げた。その低姿勢な態度に苦笑してしまう。
「そんなかしこまらなくてもいいから。僕たちいとこ同士じゃない。もっと砕けた感じでいいんだよ?」
「でも、私はこれが普通なので……」
 困ったように呟くのに再び苦笑してしまう。きっと実際そうなのだろう。結衣は誰に対してもこうした丁寧な態度をとっているに違いなかった。
「そうか。なら別にいいんだ。結衣ちゃんが僕に気を遣っているかと思って言っただけだから。結衣ちゃんにとってそれが楽ならそのままでいいよ。僕の方は気にならないしね」
「はい」
 翔太の言葉に、嬉しそうに微笑むのにドキリとする。何度かこうして笑顔を向けられるが、その度に動揺してしまうのだ。
「結衣ちゃんの方でも、僕に思うことがあったら遠慮無く言っていいからね。例えばメールが多くて嫌だとかさ」
「そんなことありませんっ。翔太さんのメールは、いつも楽しみにしてますからっ。もっと多くても構わないくらいですっ」
 急にそれまでより強い口調で言ってくるのに、驚くと同時に嬉しくなった。どうやら自分のメールは喜んでもらえているらしい。
 しかし本当にあんな連絡事項のような内容で良いのだろうか。結衣はいいと言ってくれているが、自分がもらった状況を想像すると、どうにも面白い内容とは思えなかった。
 取り敢えず今後は、もう少し凝った内容にする事にしよう。その方がメールでの会話も弾むようになるはずだからだ。
「それよりその……一つお願いがあるんですけど、いいですか?」
「いいよ、何?」
「あの、呼び方なんですけど……翔太さんは年上ですし……その、従兄ですから……えっと……お兄ちゃん、って呼びたいなぁって……思ってるんですけど……わ、私は一人っ子なので、兄が居るのに憧れてて……翔太さんが従兄だって知ってから……ずっとそう呼びたいなぁって、思ってたんですけど……駄目、ですか?」
 顔を真っ赤にし、いつも以上に落ち着きなく言っているのが可愛らしかった。そんな少女が自分の事を「お兄ちゃん」と呼んでくるなど素晴らしすぎるだろう。翔太にしても、妹が欲しいと思ったことは何度もあるので、この提案は実に嬉しいことだった。
「全然OKだよ。僕も一人っ子だから、妹が出来たみたいで嬉しいし」
「本当ですかっ? うわぁ、ありがとうございますっ」
 結衣は胸の前で両手を組んで嬉しそうにしている。満面の笑みを浮かべているのが実に魅力的であり、美少女としての輝きを放っていた。
「そ、それじゃ、早速呼んでみますね……お、お兄ちゃん……」
 頬を赤く染め、上目遣いに恐る恐る告げてくるのを聞いた瞬間、何とも言えない快感が走り抜けた。結衣ほどの美少女に「お兄ちゃん」と呼ばれるのには、ゾクゾクとした嬉しさを呼び起こす作用があるのだ。
「な、何か恥ずかしいですね……」
「うん、そうだね。でも呼んでもらって嬉しかったよ」
「そ、そうですか? なら良かったです」
 ホッとしたような、そして嬉しそうな表情を浮かべて結衣は俯いている。
 そんな可愛らしい姿を見ていると、思わず抱き締めたくなってきた。それは先ほどまでより強い衝動であったため、どうやら「お兄ちゃん」と呼ばれたことで、かなり高揚しているらしい。
「今日は本当に楽しかったです……私その……いつもはこんなに話せないんです……友達とも、自分から話すのなんてほとんどなくて、相づちばかり打ってることが多くて……でも翔太さん、じゃなかった、お、お兄ちゃんが相手だと普通に話せて、自分からも相談なんかして……凄く驚いてます……」
 結衣は真面目な顔になると、そんな事を告げてきた。
 そう言えば、美菜子もそのように言っていたのを思い出す。大人しい性格なのだからあり得ることだったが、それでいて自分に対してはよく話すという事は、やはり安心してくれているのだろう。
「だからその……今日は凄く楽しかったです。ありがとうございました……よ、良かったらまた私と話して下さい……そ、それじゃ、失礼しますっ」
 結衣はペコリと頭を下げると、左右に視線を落ち着き無く動かした後、不意に走り去ってしまった。
 突然の行動に呆気にとられつつも、その様子に可愛らしさを覚える。
 そして結衣と会う機会を得られた事と、「お兄ちゃん」と呼ばれるようになった事に嬉しさを覚えた。
 これからはどんどん結衣と会い、もっともっと親しくなっていこう。そしていつかは恋人になれるくらいの関係になるのだ。
 そんな風に思った翔太は、「お兄ちゃん」と呼んでくる結衣の可愛らしい姿を思い出し、叫びだしたくなる衝動を抑えつつ、家に向かってスキップ気味に歩いていくのだった。


 結衣とはそれから一緒に下校する事が多くなった。
 自然と親密さも増していき、買い物に付き合うといったデートのような事も何度かし、日に日に結衣に対する想いは強くなっていた。
 母や美菜子とは異なり、年下の少女であるのが新鮮な感覚をもたらし、また大人しい性格であることから、自分が主導権を握れる点も心地良かった。
 結衣はとにかくこちらを立ててくれるのであり、何をするにでも「お兄ちゃんはどうですか?」と尋ねてくるため、その甲斐甲斐しい姿に、すっかりメロメロになっていると言えただろう。
 これまで年上の女性達に甘えることで幸せな気分に浸っていたが、結衣に対しては、自分に甘えさせ、導くことに喜びがあるように思えた。
 そこから起きる愛おしさは強烈で、もしかしたらこれこそが恋愛感情というものなのかも知れない。
 結衣もこちらに恋愛的な好意を抱いているのか分からなかったが、ここまで慕ってくれているのだから、そうだと考えるのが自然だろう。
 まだお互いの気持ちを確認してはいないが、すでに恋人同士のような感覚になっているのだから、付き合っているも同然だった。
 翔太としては、さらにもう一歩進み、肉体的な関係を持ちたかったが、いかんせん相手は大人しい結衣だ。あまり急いでは怖がられてしまう可能性があったため自重していた。
 普通の男子高校生であれば、早く肉体に触れたくて落ち着かなくなるだろうが、母や美菜子で経験を積んできたせいか、そうした部分では抑えが効いているようだった。
 何より美菜子からは、女の子に対する態度についても指導されており、冗談なのか本気なのか、「結衣みたいに大人しい子を相手にする時は、ちゃんと段階を踏んで、優しくしてあげないと駄目よ」などと言われていた。
 もしかしたら、すでに自分たちの関係に気づいているのかも知れない。
 それはそれで構わなかったが、以前から結衣と付き合うように言われていた事を考えると、どうにも美菜子の手のひらの上で恋愛しているように思えてきて、苦笑してしまう事でもあった。
「どうかしたんですか?」
 不意に声をかけられたため、意識を戻す。
 目の前には、首をかしげてこちらを見つめる結衣の姿があった。
 そこは美菜子の家の結衣の自室であり、学校帰りに誘われたため遊びに来ていたのだ。
 床に腰を下ろした結衣は制服を身につけており、その清純さを感じさせる服装は、美少女らしさを高めていてたまらなかった。
 長い黒髪が白い制服にかかっているのが清らかな色気を感じさせ、思わず唾を飲み込んでしまう。
 もう見慣れたはずであるのにそうなってしまうのは、それだけ結衣が魅力的過ぎるからだろう。あまりに眩しく、触れるのに躊躇してしまう雰囲気がありつつも、無性に抱き締め、押し倒したくなる衝動を呼び起こす部分も持っているのだ。
 例えるなら、美しく降り積もった雪原を、壊したくないと思いつつも、踏み荒らしてもみたくなる感覚と似ていると言えばいいだろうか。
 結衣には、そうした相反する想いを抱かせる部分があったのである。
「いや、結衣ちゃんとこんな風にしてるのって、改めて考えると不思議なことだなぁって思って。ほら、ちょっと前まではお互い全然知らなかったじゃない。それが今はこうして仲良くしてるからさ」
 慌ててそう誤魔化しつつ、内心の動揺を悟られないようにする。
「そうですね。私もそう思います。最初に従兄が居るって聞いた時は、怖い人だったらどうしようって思ったんですけど、全然そんな事なくて。優しい人で良かったです……」
「もしかして、もっとカッコいいヤツを想像してたりしなかった? ご期待に添えなかったかなぁ」
「そんな事はありません。お兄ちゃんはカッコいいです。その……前に助けてくれましたし……」
「助けたって……ああ、もしかして学校帰りにナンパされてた時のこと?」
「はい」
「でもあれは助けたってほどの事じゃ。ただ声をかけただけだし……」
「それでも私は安心したんです。お兄ちゃんが来てくれて、それで凄くホッとして……だから私にとってお兄ちゃんは、凄く凄くカッコいい人なんです」
 真剣な表情で、ジッと見つめられながら言われたため恥ずかしくなった。あの程度のことでそこまで感謝されると、逆に気が引けてしまうからだ。
「まあ、感謝してくれてるのは嬉しいかな。実はあの時ちょっと怖かったんだよね。何しろ相手は二人だったし、おっかない人かも知れなかったから」
「それで声をかけてくれたんだから、やっぱり凄いです。お兄ちゃんはカッコいいです」
 微笑みながらそう告げられたため、嬉しさが込み上げてきた。結衣ほどの美少女に褒められまくると、おかしくなりそうなほどに嬉しくなるのだ。
 こうして自分を立てる言動をよくしてくるため、結衣と話していると凄く気分が良かった。最近は結衣とばかり一緒に居るようになっているのも、それが大きいだろう。
「不思議なんです。お兄ちゃんとは初めて会った時から凄く安心できて……今もこうして部屋で二人きりなのに、全然怖くないんです。私、男の子って苦手というか、ちょっと怖くて……教室でみんなと一緒に居る時に話すのだって駄目で、二人きりなんて絶対駄目で……なのにお兄ちゃん相手なら全然平気なんです。こんなに話せるのが自分でも不思議なくらいで……」
 結衣は俯きながら、一言一言を確認するようにして語っている。
 確かに普段の結衣はあまり喋らなかった。こちらの言うことを聞いている方が多く、たまに喋ってもさほど長くは話さないのだ。だから今のように熱心に言葉を発している姿は珍しいことだった。
 というより、かなり高揚していると言えただろう。頬が紅潮して、少々落ち着きの無い雰囲気があったからだ。
 そんな姿はなかなかに可愛らしく、普段が大人しいだけに面白さを感じさせた。
「私……お兄ちゃんとこうして仲良くしてもらえて、凄く凄く嬉しいです。凄く凄く嬉しくて、何だかおかしくなりそうなくらいなんです。今も二人きりで居ると、体の中から何かが飛び出しそうになってて、落ち着きが無くなってて、こんな風にやたらと喋っちゃって……ああ、私……変ですごめんなさい……」
 そこまで言うと、結衣は急に黙り込んだ。
 そのまま大きく溜め息を付くと、暗い表情をして俯いている。
「私……やっぱり変です……お兄ちゃんにこんな……おかしいんです。いけないんです……でもやっぱり抑えられません……どうしたらいいのか分かりません……」
 結衣は頭を左右に大きく振りつつ、辛そうに顔を歪めている。
 一体どうしたのだろう。何をそんなに苦しんでいるのだろうか。
「今日の私、変です……ごめんなさい……少し頭を冷やしてきます。珈琲のおかわりを入れてきますね」
 力なく微笑むと、結衣はそう言って、カップの乗ったトレイを取ろうと手を伸ばした。
 しかし目測を誤ったのか、カップを弾いて倒してしまっている。
 中に珈琲が少し残っていたため、零してはマズいと思った翔太は、反射的に手を伸ばした。
『あ……』
 互いの声が聞こえると共に、手の甲に滑らかな感触が起きた。同時に伸ばした結衣の手のひらが触れたのだ。
 不意の接触に動揺しつつ、結衣の手に触れられていることに喜びを覚える。
 恥ずかしがり屋の結衣の事だから、真っ赤になりながら手を引っ込めるだろうと思っていると、予想に反していつまで経っても手は動かなかった。
 意外に思い視線を向けると、結衣は真面目な顔をしてこちらを見つめており、その顔には微笑みが浮かんでいた。
 その様子にドキリとしつつ、続けて手をギュッと掴まれたため動揺してしまう。
 一体どうしたのだろう。結衣にしては大胆過ぎる行動だった。
 さらには上半身を乗り出すようにし、ゆっくりと瞼を閉じて、唇を寄せてきたのには驚愕してしまった。
 これはキスしていい、という合図だろう。というより、して欲しいと要求されているのだ。
 これまで手を握ったことすら無かったというのに、何故これほどまでに積極的になっているのか。先ほどから様子がおかしかったが、もしかしたら結衣自身も訳が分からなくなっているのかも知れない。
 そんな状態でキスしてもいいのだろうか、と考えたが、翔太自身、ずっと前からしたいと思っていた行為であるため、止める気にはなれなかった。
 何より桜色をした形の良い唇が迫ってきていたため、吸い付きたくてたまらなくなっていたのもあった。
 これを途中で止めるなど無理だと確信させる魅力があったため、翔太はこちらからも顔を出すと、愛らしい唇に自らの唇を重ねていった。
 接触した瞬間、くすぐったい刺激が起きると共に、結衣の体が小さく震えるのが感じられた。
 少ししてから放すと、目の前には瞼を閉じた可愛らしい顔があった。
 桜色の唇がわずかに開いており、その様子にゾクリとした興奮を覚える。結衣の中に存在する、女としての淫靡さを見たように思えたのだ。
「好き……お兄ちゃん好きなの……私、お兄ちゃんのことが好きなんです……」
 泣きそうな表情を浮かべ、結衣は愛の告白をしてきた。
 そうなのだろうと、そうであって欲しいと願っていた言葉を言われたことに、翔太は歓喜の想いに包まれた。
「僕も、結衣ちゃんの事が好きだよ……」
 そう返すと、結衣は一瞬にして満面の笑みを浮かべた。
 その笑顔を見ていると幸せな気持ちで一杯になり、それと同時に、これでこの可愛らしい少女が自分の物になるのだという喜びが湧き起こった。
 抑えられない衝動に押されるまま、か細い肩に手をかけて引き寄せる。
 今度はこちらから唇を寄せ、吸い付いていくと、結衣が体を硬直させた。
 そのまま優しく抱き締めながら、強めに唇を押しつけていく。
 結衣は少し逃げるように動いたが、すぐに自らも押しつけるようにして来た。
 舌で歯をこじ開け、口内に押し込むと、「んっ、んんっ……」といったくぐもった声を漏らし、腕を強く掴んでくる。
 舌を絡ませ吸い上げ、口内を舐め回し、強く抱き締め続けていると、やがて脱力してこちらに身を預けてきた。
 思っていた以上に柔らかさのある肉の感触に心地良さが広がる。やはり胸が大きいだけに、細身であっても体全体の肉付きが良いのだろう。
 唇を放して顔を見ると、結衣はボーッとした表情のまま、あらぬ方向に視線を彷徨わせていた。
 初めて体験した快感に、意識が朦朧としているのだろう。その表情は実に色っぽく、普段の清純さとのギャップから、興奮が高まっていった。
「おにぃちゃん……」
 ぼんやりと呟く声に頷きつつ、もう一度軽くキスをしてから、今度は首筋に舌を這わせていく。
 チロチロと舐め回し、時折強く吸い付くと、結衣は大きく息を吐き出した。
「結衣ちゃん、可愛いよ……」
 耳元でそう囁くと、顔を真っ赤にして俯くのがたまらない。出会った頃からこうした反応は変わらず、それが自分が結衣に夢中になった要因の一つだった。
 このままもっと色々してみたい。そう考え、ゆっくりと胸元へ手を伸ばしていく。
 下から持ち上げるようにして乳房に触れると、結衣は一瞬体を硬直させたが、嫌がる素振りを見せなかった。
 そのまま優しく揉むようにし、膨らみがフニュリとへこむのを制服越しに感じながら、その心地いい感触に鼻息を漏らしていく。
 手のひら一杯に掴める肉は、重量感があってなかなかのものだった。これまで大人の女性達の胸を揉んできたが、自分と同じ年頃の少女のは初めてであったため、何とも言えない感慨を覚えた。
「あ……ん……おにぃちゃ、あ……」
 回すようにして揉み、時折強めに掴むと、結衣が困ったような吐息を漏らした。その甘く可愛らしい声音に、肉棒が一気に硬く大きくなっていく。
 清純な結衣が性的な反応を示す様は、普通の女性がするよりも興奮を感じさせるものがあり、それをもっと見てみたいと思った翔太は、さらに刺激を強めようと、制服のボタンを外していった。
 息を飲む声が聞こえるが、特に抵抗してこない事から、受け入れてくれているのだろうと判断し、ボタンを全て外してしまう。
 白いブラジャーに覆われた大きな膨らみが姿を現し、そのどこか可愛らしさを感じさせる雰囲気に鼻息を荒くしながら、続けてブラジャーを引き下ろしていく。
 プルンっといった感じで生の乳房が顕わとなり、その張りのある膨らみに思わず見とれてしまう。
 これまで母と美菜子の乳房を見てきたが、それらと違って初々しさを感じさせるのは、やはり若さからくる印象だろうか。
 色白なせいか、透き通るように白い肌に覆われているのが実に美しく、その頂点にある二つの突起は綺麗なピンク色をしており、全体的に実に美麗な乳房だった。どこか幼さを感じさせる雰囲気があり、その事で触れるのに躊躇を感じさせるのが、ゾクリとした興奮を呼び起こした。
 先ほど制服の上からは揉んだが、直接触れたらどんな感じなのだろう。そう思いながら手を乗せていくと、滑らかな肌触りが感じられ、その感触の良さに驚く。
 そのまま手に力を入れると指が食い込んだが、すぐに強く押し返されるのに弾力の良さを覚えて嬉しくなった。
 自分の手が、初々しい乳房の形を歪ませているのに興奮を覚えつつ、鼻息を荒くしながら何度も揉んでいってしまう。
 フニフニと伝わってくる感触は強い弾力があり、母や美菜子のとは違うように思えた。やはり若い、というより幼いゆえに存在する要素なのだろうか。
「あ……ん、んふ……や……」
 回すように揉みしだき、時折乳首を摘むようにしていくと、結衣が可愛らしい声を上げて悶えた。頭を小さく左右に振り、困ったような表情で、潤んだ瞳で見つめてくるのがたまらない。
 その様子に我慢できなくなり、今度は乳首に吸い付いていく。
 ピンク色をした突起を舐めてから、チュウっと吸い上げると、結衣が「あんっ……」といった声を漏らしながら顎を仰け反らせた。
 可愛らしい反応に満足の鼻息を吹き出しながら、そのまま舌先で回すようにして乳首を弾き、強く弱く何度も吸い上げる。
 続けて反対の乳首にも吸い付いて同じ事を行いつつ、空いている乳房をヤワヤワと揉んでいく。
 結衣は快感に耐えられなくなったのか、後ろに倒れたため、翔太はのし掛かる状態になりながら行為を繰り返していった。
(凄い……結衣ちゃんのおっぱい……可愛いおっぱい……甘くて美味しい……)
 瑞々しい乳房に顔を埋め、頬ずりしながら、湧き起こる唾液を塗りつけるようにして舐め回し、吸い付いて揉んでいく。
 まさに至福と呼べる状況を堪能しながら、耳に響く可愛らしくもいやらしい喘ぎに、興奮が最高潮に達していくのが感じられた。
 もうここまで来たら止まらなかった。
 ヤるしかなかった。
 結衣とセックスしたかった。
 そう決意した翔太は、いよいよ挿入の行為へ移るのだと、一旦体を起こすと、結衣の体を上から眺めた。
 制服をはだけ、乳房をさらした結衣は、ぼんやりとした表情を浮かべて、潤んだ瞳でこちらを見上げている。
 乳房には唾液が大量についており、テラテラと光っているのが何ともいやらしい。
 真っ白な肌の所々に自分の付けた赤い跡があり、それがまるで結衣を支配している証のように思えて誇らしかった。
 清純な印象のある結衣だけに、そうした淫らな姿は興奮を強烈に誘い、肉棒は先ほどから痛いほどに勃起していた。
 単に女性に対してする行為であれば、もう何度もしてきているが、結衣のような清楚な美少女に対してしているのだという事が、震えるほどの肉欲を呼び起こしていた。まるで初体験の時のように、心臓がバクバクと鼓動を強め、手が震えて呼吸が激しく乱れているのだ。
 いよいよとばかりに、プリーツスカートを捲り上げ、パンティに包まれた股間を顕わにする。
 白の布地が、周囲の肌の透き通るような白さを際立たせ、三角形の布地が下腹部の美しさを高めているように思えた。
 この布の下には、結衣の秘密の花園が存在しているのだと認識し、さらにすでに濡れているところから、感じているのが分かって嬉しさを覚える。
 結衣のような清楚な少女であっても、刺激を与えれば愛液を漏らし、男を受け入れる準備をするのだ。
 その事に結衣の女の部分を感じて、興奮が激しさを増していく。
 パンティに手をかけ、ゆっくり引き下ろすと、愛らしい唇から大きな吐息が漏れるのが聞こえた。
 だが何も言ってこないところから、許してくれているのだと解釈し、そのまま一気に脱がしてしまう。
 細い両脚を左右に開き、顔を近づけると、そこには美しい秘所が存在していた。
 ピンクの襞が慎ましく重なり合っている姿が美麗であり、このままずっと鑑賞していたくなるような魅力があった。
 だがその一方で、ヒクヒクと微妙に震え、愛液を垂らしている様には淫靡さがあり、清楚な結衣のそんな部分を見た事に、痺れるような興奮を抱く。
 そっと指を這わせてみると、小さな体がビクンっと強く反応を示し、そのまま撫でるように動かすと、小刻みな震えが起きた。
 桜色の唇からは「あっ、あっ……」といった可愛らしい声が断続的に漏れ、その事に翔太の興奮は否応なしに高まっていった。
 もうこれ以上引き延ばすのは辛かった。
 早く入れたくてたまらなかった。
 本来ならもう少し愛撫してから入れるべきなのだろうが、このような愛らしくもいやらしい様を見せられては、我慢するのは無理だった。
 鼻息を荒くしながらズボンとパンツを脱いで膝立ちになると、肉棒を持って秘所へと近づけていく。
 覆い被さるようにしながら「入れるよ?」と小さく囁くと、結衣は一瞬ハッとしたような表情を浮かべたが、すぐにコクリと頷いた。
 亀頭の先が秘所に触れた瞬間、結衣の体が硬直したが、そのままジッとしていると、やがて力を抜いていったため、肉棒を押し込んでいく。
 ズブリ……。
 亀頭が膣穴に入り込み、襞に覆われる快感に頬を緩める。
 目の前では結衣が不安そうな表情を浮かべていたため、微笑みかけて安心させつつ、そのままグイっと肉棒を進めていく。
「あっ……いぅっ……」
 ある箇所を通過する際、結衣がそれまで以上に体を硬直させ、苦痛の声を漏らしたため、処女膜を破るのだと認識した。
 考えてみれば、処女を相手にするのは初体験であり、結衣の初めての男になるのだという事に、何とも言えない喜びが湧き起こる。
 苦悶の表情を浮かべ、苦しそうに呻くのを可哀想に感じながらも、肉棒を強烈に締め付けてくる感覚に、これまでの経験にはない新鮮さを感じ、「これが処女か」と感慨深さを覚えた。
 肉棒が全て収まると、一旦動きを止め、大きく息を吐き出す。
 眼下にある美しい顔は、泣きそうな、困ったような笑顔を浮かべており、結衣が苦痛を感じつつも、喜びを得ているのだという事が伝わってきた。
「結衣ちゃん、入ったよ。僕たち一つになったんだ」
「はい……お兄ちゃんと一つになれて……私、幸せです……」
 目に涙を溜めながら、結衣は嬉しそうに呟いている。
「これからちょっと動くけど、大丈夫?」
「はい……私は大丈夫ですから、お兄ちゃんがしたいようにして下さい……」
 そうは言ってくれるものの、見るからに辛そうであったため、抑え気味の動きにした方がいいだろう。
 これまでの母や美菜子との経験から、余裕を持って相手を出来るのが誇らしかった。
 これが自分も初体験であれば、気持ちの良さを求めて、がっついたように腰を振りまくっていたに違いない。
 そうなっていたら、結衣の体を必要以上に傷つけてしまっただろう。何しろ今肉棒に与えられている快感は、かなり強いものだったからだ。どうやら相性がいいのか、入れているだけでも、震えるほどの快楽があったのである。
 肉棒に隙間なく張り付いた襞がグニュグニュと蠢き、吸い付いて引き込むようにしてくるのがたまらず、思わず頭を仰け反らせてしまう。
「それじゃ、動くよ?」
「はい……」
 大きく深呼吸してから、ゆっくりと腰を引いていく。
 すると逃がすまいという感じで膣全体が吸い付いてきたため、腰が持って行かれるような快感を覚えた。
 その気持ちの良さに体をブルッと震わせながら、続けて再び押し込んでいく。
 すると今度は奥へ奥へと誘うように吸い付いてきたため、どこまでも引き込まれるような快感が押し寄せてきた。
 たまらず口を大きく開き、唇を震わせてしまう。涎が垂れそうになるのを慌てて抑えつつ、大きく息を吐き出す。
(結衣ちゃんの中、すっごく気持ちいい……)
 肉棒を包み込む温かさと湿りがまた格別で、その状態で肉棒が擦れると、蕩けるような快感が押し寄せてきた。
 母や美菜子との行為でも、こうした感覚は起きたが、それが微妙に強く感じられるのは、やはり相性の良さゆえかも知れない。
 そのまま腰を振りながら視線を結衣へ向けると、彼女は辛そうに眉根を寄せながら、それでいて笑顔を浮かべ、絨毯に爪を立てている。
 痛みを感じているのは確実だが、それとは別に喜びも得ているらしい。
 その事に嬉しさを覚えつつ腰を振っていると、少々動きが速くなっているのに気づいたため、慌てて抑える。
 意識せずとも、気持ちの良さからそうなってしまったのだ。それだけ結衣の膣内の感触に魅了されているのだろう。
 少しの間そうして動いていると、いつの間にか結衣の表情から苦痛が消えているのに気がついた。「あっ、やっ……」といった甘い吐息も聞こえてきており、どうやら快感を感じるようになっているようだった。
 これならばペースを上げても大丈夫だろうと思った翔太は、腰の動きを少しずつ速めていった。
「お兄ちゃん、あっ……私何か変です、ああっ……体が急に、あんっ……変ですぅ……」
 結衣は怯えたような口調で言いつつも、快感に蕩けているような表情を浮かべている。そのいやらしさを思わせる顔は、普段の清楚な印象とのギャップを感じさせ、肉棒が激しく猛った。
 それまで以上に腰を強く叩き付けつつ、夢中になって肉棒を擦り上げていく。
 はだけた制服から覗く乳房が、突き込みに合わせてプルンプルンと揺れ動き、その振動が肉棒を通じて伝わってくるのに、結衣と繋がっていることの実感を得て嬉しくなった。
 可愛らしい顔が快楽に歪み、泣きそうな表情で甘く喘ぐ姿に、一人の女を自由にしている悦びを覚える。
 自分は結衣のような美少女を抱いている。こんなに可愛くて、自分を慕っている少女を抱いているのだ。これほど嬉しいことは無かった。
 これまでも、結衣が自分に甘えるようにしてくるのを嬉しく感じていたが、今こうして肉棒で快感を与えることで甘く悶え喘がせているのには、それ以上の悦びがあるように思えた。やはりセックスというのは男にとり、最高の快楽を覚える行為なのだ。
「あっ、ああっ……何か来る、ああっ……何か来るよぉ、あっ、ああっ……お兄ちゃん、お兄ちゃぁんっ……」
 絶頂が近いのか、初めて経験するその感覚に、怯えるようにしながら結衣は悶えている。
 すでに意識が快楽に飲まれているらしく、与えられる刺激を求めるように体を動かしており、普段の大人しい様子からは想像できないその淫靡な姿は、結衣が美菜子の娘である事を感じさせた。
(大きくなったら、結衣ちゃんも美菜子さんみたいに、もっとエッチになるのかな……?)
 そんな想像をしつつ、成長し、大人になった結衣も抱いてみたいと思った。
 まずはその第一歩として初めてのセックスを完了させるのだ。結衣の中に精液を、己の白くてドロドロした液体を注ぎ込むのである。
 その事を考えると興奮が最高潮に達し、射精感が限界まで高まった翔太は、一気に精を放とうと、腰の動きを速く大きくしていった。
「あっ、ああっ……駄目、あんっ……駄目ぇっ……わたしっ、わたしぃっ……あっ、あぁあああああああっ!」
「くっ!」
 結衣の絶頂の叫びと共に、肉棒の栓が解放され、精が迸った。
 ドクドクドクと放出されていく精液を感じつつ、肉棒が律動するたびに押し寄せてくる快感に頭を仰け反らせる。
 結衣は体を小刻みに震わせながら甘い吐息を漏らし、「何か出てる……出てるのぉ……」と呟いている。精液が流れ込んでくる違和感に、恐怖を覚えているのかも知れない。
 その様子を可愛らしく感じながら射精を繰り返し、しばらくして最後の精を放ち終えた翔太は、床にゴロリと転がった。
 息を乱しながら隣の結衣へ視線を向けると、惚けた表情を浮かべ、荒い呼吸を繰り返しているのが見えた。
 結衣とセックスをした。
 出会った時から可愛らしく思い、抱けるものなら抱いてみたいと欲していた少女と、ついに結ばれたのだ。
 それは実に素晴らしく、満足感で一杯になる状況だった。
 何より結衣が処女であったことが、彼女の全てを己の物に出来たように思えて最高だった。これまで処女を相手にした事はなかったため、余計にそうした想いが強くなっているのかも知れない。
 初めての相手を導き、セックスを経験させる行為。
 そこには、何とも言えない誇らしさを感じさせる部分があった。
(美菜子さんも、僕を最初に相手にした時、こんな感じだったのかなぁ……)
 翔太にとって初めての相手は母だったが、あの時の母は恐怖から逃れるために交わった面が強いため、童貞を導いたような感慨は抱いていないように思えた。
 そういう意味で余裕のあった美菜子は、今自分が感じているような、相手を初体験へと導いた充実感があったのではないだろうか。
「お兄ちゃん、ありがとうございました……これで私、お兄ちゃんの物です。大好きです。愛してます。ずっとずっと愛してます。大好きです」
 結衣は満面の笑みを浮かべ、興奮した様子で愛の言葉を呟いている。
 その自分に執着している姿に嬉しさを感じつつ、これからも結衣を抱けるのだという事に悦びが溢れた。
「僕も結衣ちゃんが大好きだよ。愛してる」
「本当ですかっ? 嬉しいですっ」
 釣られて同じように愛の言葉を告げると、予想以上の反応の良さを示したため驚く。黒々とした瞳が輝きを放っているように大きく見開かれ、嬉しくてたまらないといった笑みを浮かべているのだ。
「私、昔から『こんなお兄ちゃんが居たらいいなぁ』って想像してたんです。それでこの間初めてお兄ちゃんと逢った時に、理想そのままの人だったんで感動して、その後もメールをもらったり、助けてもらったりして、本当に理想のお兄ちゃんっていうか……だから私、凄く嬉しくて……」
 普段の大人しさが嘘のように、結衣は勢い良く喋っている。初めてのセックスを終えたことで高揚しているのだろう。
「抱いてもらえて嬉しいです。幸せです。これで私、お兄ちゃんの物です。こんなに愛してもらって、私、嬉しすぎておかしくなりそうです。だから言っちゃいますね。実は私、というか、お母さんも含めてなんですけど、私たちはお兄ちゃんに隠し事をしてるんです」
 突然妙な事を言い出したため驚く。一体何を隠していると言うのだろう。
 だがニコニコして告げているところからして、悪い内容ではないように思えた。何か自分をビックリさせる計画でも立てているのだろうか。
「私とお兄ちゃんの関係なんですけど、いとこってなってますけど、実は違うんです。実は兄妹なんです。母親は違いますけど、父親は同じで、異母兄妹なんですよ」
 一瞬何を言われたのか分からず固まる。
 少しして、告げられた言葉の意味を理解した翔太は、その予想外過ぎる内容に、一体どういう事なのかと混乱した。
 兄妹?
 父親が同じの異母兄妹?
 結衣は何を言っているのだろう。
「ちょ、ちょっと待って……僕と結衣ちゃんが兄妹? それって本当なの?」
「本当です。この間お母さんに聞きましたから」
 結衣の様子には嘘を言っている感じはなかった。だからもしそれが嘘だとすれば、美菜子が嘘を教えたという事だ。
 しかしこのような事で嘘を教えるなど冗談にしても悪質だろう。そしてそんな悪質な冗談を、美菜子が結衣に話すとは思えなかった。からかう事はあっても、それは可愛がっているゆえであり、本当の意味で悪意のある行為をするはずがないからだ。
 つまり今告げられた事は、事実であると解釈すべき事になった。
「それってつまり、僕のお父さんが、結衣ちゃんのお父さんでもあるってこと?」
「はい。私のお父さんは、お兄ちゃんのお父さんです」
 あまりの事に頭がクラクラとしてきた。一体何がどうなっているのか。
「お母さんは、お父さんの事がずっと大好きだったんです。でも兄妹だから諦めてたみたいなんですけど、お父さんが結婚して、子供が出来たって聞いたら我慢出来なくなっちゃったみたいで、それでお父さんに気持ちを打ち明けて抱いてもらったんだそうです。それで生まれたのが私なんですよ」
 まるで素晴らしい出来事であるかのように、歪んだ兄妹愛の顛末を語る結衣を呆然と眺める。
 美菜子が実の兄である父に抱かれた? そんな事があるのだろうか。
 だが思い返してみれば、先日似たような話を聞かされた覚えがあった。確かに美菜子は、「我慢できなくなった」と言っていたのだ。
 その続きの出来事として、今結衣が述べた内容があったのだとすれば、異母兄妹だというのもあり得る事になった。
「お父さんとお母さんの関係って、凄く悲しいですよね。だって絶対に結婚出来ないんですもの。愛し合って私が生まれたのに、戸籍上は結婚させてもらえないなんておかしいと思います」
 結衣は不満げに呟いていたが、すぐに嬉しそうに笑った。
「でも私たちは大丈夫ですよね。表向きはいとこ同士だから結婚出来ますから。私それが嬉しくて。お父さんとお母さんが出来なかった結婚を、実の兄妹での結婚を、私たちで実現することが出来るんです」
「け、結婚……?」
 思わず口にした言葉に、結衣は満面の笑みで応えた。
「そうです。結婚です。私とお兄ちゃんが結婚するんです。私はしたいです……その、お兄ちゃんは……嫌、ですか?」
 あまりに突拍子もない展開になっている事に混乱する。何故このような事になっているのだろう。
(って、俺……妹と、しちゃったのか……)
 ふと自分がとんでもない事をしたのだというのに気づく。
 結衣が実の妹だとすれば、近親相姦した事になるからだ。すでに母親や叔母としているとはいえ、それでも妹となると別問題に思えたのである。
 というより、結衣はその事を知っていて、何故抱かれたのか。実の兄に抱かれることに嫌悪感は無かったのだろうか。
「ちょ、ちょっと待ってよ。結衣ちゃんは僕と兄妹だって知ってた訳だよね? ならどうしてこんな……僕に抱かれたの? 兄妹でこういう事するのが駄目だって、分かってるよね?」
「はい。本当はいけないんですよね……でも私、お兄ちゃんの事が好きなんです。だからどうしてもお兄ちゃんの物になりたくて……妹だって先に言っちゃったら、お兄ちゃん、抱いてくれないと思って……もし結婚は嫌だって言われても、抱いてもらえれば嬉しいので、つい騙すみたいにしちゃったんです。ごめんなさい」
 謝っているのは、あくまで兄妹だと隠していたことであり、抱かれることへの問題意識は無いらしい。
 何ということだろう。結衣は実の兄との性行為を気にしていないのだ。
 しかし考えてみれば、自分も母親と叔母を抱いているのだから同じようなものだった。つまりここは「さすがは兄妹、そっくりだ」とでも笑うべきところなのかも知れない。とても笑える事ではなかったが。
「だから結婚は断られても我慢します。お兄ちゃんが嫌ならしょうがないですから……その、私と結婚するの……嫌、ですか?」
 不安げな表情を浮かべ、上目遣いになりながら、探るようにして見つめてくるのにドキリとする。その弱々しさを感じさせる様子には、強い庇護欲を呼び起こすものがあったからだ。結衣には見る者に、「守ってあげたい」と思わせる雰囲気があったのである。
 実際翔太の心には、そうした想いが湧き起こり、結衣の望むようにしてあげたいとする衝動が押し寄せていた。
「嫌、じゃないけど……」
「じゃあ、いいんですねっ? 嬉しいですっ」
 つい呟いてしまった言葉に、結衣は強く反応を示し、嬉しそうに微笑んでいる。
 その様子に、後戻り出来ない事をしてしまった認識を得て怖くなった。
 だが考えてみれば、結衣のような可愛い少女と結婚出来るというのは、凄く幸せなことだろう。実際妹だと知らされなければ、むしろ積極的にそう思ったに違いないからだ。
 それに母親や叔母と肉体関係を持った事を考えれば、世間的には従妹でしかない結衣と結婚するなど、大したことではないように思えた。
「お兄ちゃんは十七歳だから、まだ結婚は出来ませんけど、その、婚約はしてもいいですよね? 私、お兄ちゃんと婚約したいです」
「え? 別にそんな事しなくても……」
「嫌ですか? 私、婚約するのも夢だったんです。許嫁に憧れていたので……」
 悲しげに俯く結衣を見てしまうと、断っている自分が悪人であるような気がしてくる。何より本心としては嬉しくてたまらなかったため、断る気力が起きなかった。
「分かった。いいよ婚約しても……」
「うわぁ、嬉しい。お兄ちゃん大好きですっ」
 嬉しそうに抱き付いてくる結衣は、あまりに可愛かった。このような少女と婚約、そして結婚するなど、本来夢のようなことだろう。
 しかし結衣は、実の妹だった。
 そんな相手と結婚するのは許されない事だ。
 何しろ結婚するという事は、子供を作るという事なのだから。
 実の兄妹で子供を作る。それは恐ろしい行為に思えた。
 だが結衣は、その結果として生まれた子供なのであり、そして同じように、実の兄と子供を作ろうとしている。
 それは何とも言えない歪みの連鎖に思えた。
 これから自分たちはどうなるのだろう。将来本当に結婚する事になるのだろうか。
 そんな事を思っていると、結衣が甘えるように頬ずりしてきたため、その可愛らしさに心が癒されるのを覚えた。
 この愛らしい少女が、自分の妹。
 そう考えると、今まで以上に愛情を覚えるから不思議だった。やはり肉親の情というのは強いものなのかも知れない。
 しかしだからといって、肉体関係を持っていいという訳ではなかった。
 とはいえ、母や美菜子とセックスをし、その事に喜びを得ていた事を考えれば、結衣に対して同じようにしてしまっても、仕方のないように思えた。
 そんな葛藤を抱きながら結衣を引き寄せた翔太は、自分はこれからどうなっていくのだろうと不安を覚えつつ、その小さな頭を優しく撫でていくのだった。


「あっ、ああっ……いいわ翔太くん、あんっ……そこいぃっ……」
 テーブルに手を付き、立った状態で背後から肉棒を出し入れされて喘ぐ美菜子の姿は、実にいやらしかった。
 はだけたスーツの胸元から豊満な乳房を晒し、タイトスカートを捲り上げられて、尻を丸出しにしている様子には、普段の知的な雰囲気は欠片もなく、淫らに男を求める女が居るだけだった。
 そこは美菜子の会社が入っているビルの私室であり、以前セックスをする際に利用した部屋だ。
 先日結衣に告白された、「自分たちは異母兄妹」という事を確認しようと訪れたのだが、それを言う前に誘惑され、逆らえずに抱いてしまっていたのである。
「ああんっ、激しい……今日は激しいわ、あっ、ああっ……翔太くん何か凄く元気よ、あんっ……激し過ぎるわぁっ……」
 そう言われ、確かにかなり高揚している事に気がつく。異母兄妹の件を美菜子に尋ねようとしているため、気持ちが昂ぶっているのかも知れない。
 何より先日結衣を抱いたばかりである事から、その母親を抱いているというのが、背徳的な興奮を呼び起こしている部分もあるのだろう。結衣と結婚の約束をしたくせに、その母親と交わっている、といった状況が、浮気のような感覚をもたらしているのだ。
 いや、順番で言えば、美菜子を抱いてから結衣を抱いているのだから、結衣との方が浮気と言えるように思えた。
 だがそうなると、自分は最初に母と関係を持っているのだから、美菜子と結衣との事は、どちらも浮気になるのではないか。
 などと色々考えると、余計に肉棒が猛った。
 どのみち複数の女性を相手にし、しかもそれら全てが近親相姦であるのだから、普通ではない行為をしていることになるのだ。
 そうして「自分がしているのは異常なセックス」と認識すると、興奮がさらに高まっていくから不思議だった。
 いけない事なのに興奮が高まる。いや、いけない事であるからそうなってしまうのだろう。何と人は、不条理な生き物なのだろうか。
「あんっ、あっ……ホント凄いわ、あっ……今日は凄いの、ああんっ……翔太くん凄すぎて、叔母さんおかしくなっちゃうぅっ……」
 テーブルに付いた手をガクガクと震わせ、振り返って喘ぐ美菜子の顔を見ると、結衣と重なってドキリとした。親子だけに顔の造形が似ているのはもちろん、快楽に蕩けている際の表情が瓜二つだったのだ。
 親子ともなると、このような部分まで似るのだと妙な感心をしつつ、母娘二人を夢中にさせている状況に、男としての誇らしさが昂ぶっていく。
 そんな事を考えながら腰を振っていると、美菜子が兄である自分の父と肉体関係を持ち、その結果として結衣を産んだというのが頭に浮かんだ。
 父も妹である美菜子を、こうして抱いたのだろうか。
 自分と異なり、最初から妹だと認識して抱いたのだから異常と言えるが、自分も母親を抱いている事を考えると、父と同じようにしているのだという妙な感慨を覚えた。
「それいいっ……それいいわ、あっ、ああんっ……それをもっと、あっ……ああぅっ……」
 美菜子がいやらしく腰を捻った瞬間、膣内がキュウっと締まり上がったため、呻き声を漏らす。膣襞が肉棒にヌメヌメと絡みつき、強く吸い付いてくるのに、思わず精を漏らしそうになった。
 全てはこの気持ちの良さがいけないのだ。本来手を出してはいけない近親者を抱いてしまうのは、まさにこの蕩けるような快楽ゆえだった。
 肉棒を押し込む事で一旦女として認識してしまうと、身近に居て互いに好意を抱いている相手だけに、抱かずには居られない状態になってしまうのである。
 それを防ぐために近親相姦の禁忌があるのだろうが、いざそれを破ってしまえば、今度は逆にその禁忌が快楽を強め、他人を相手にするよりも執着を高めてしまっているように思えた。母や美菜子を抱いている最中、心の片隅に「自分は許されない事をしている」という想いがあるのだが、それが逆に興奮を高める要因となっているのだ。
 禁忌を破る行為には、人を狂わす麻薬のような効果があるのかも知れない。
「ああんっ、もう駄目、あっ、あっ……もう駄目よ、ああっ……叔母さんもう駄目なのぉっ……」
 頭を左右に激しく振り、涙混じりの声で喘ぐ美菜子を見ていると、強烈な誇らしさが押し寄せてきた。
 女を自由にする快感。それは何物にも代え難い悦びだった。
 特に目の前で悶え狂っているのは、社会的に成功している大人の女性であり、そんな相手を、まだ子供でしかない自分が屈服させているというのには、同じ子供である結衣を抱いている時には味わえない、強烈な精神的快楽があった。
 それに加え、肉体的な良さとしても、こちらの全てを包み込むような肉の感触がたまらず、その熟女ならではの柔らかさ、包容力は、強い安堵と癒しを感じさせる部分があった。
 膣内はそれがさらに顕著であり、ウニュウニュと肉棒に絡みつき、嬲られることで蕩けるような快感が押し寄せており、まるで精を全て吸い出されてしまうような恐怖にも似た良さがあった。
「翔太くん、ああっ……翔太くぅんっ……イくっ、イっちゃうぅっ……いいっ、いいっ、いいぃんっ!」
「くっ……」
 美菜子の絶叫と硬直に合わせて精を放つ。
 射精のドビュッといった感触が起きる瞬間、痺れるような気持ちの良さが脳を襲い、頭が真っ白になった。
 自然と口が開き、涎が垂れそうになるのを抑えつつ、ガクガクと小刻みに腰を振って、射精の快感を存分に味わっていく。
 しばらくして精を放ち終え、力を抜いた翔太は、近くにある椅子に腰を下ろした。
 テーブルの上では、美菜子がだらしない表情を浮かべて突っ伏しており、その姿にいやらしさを覚えると共に、そうさせたのが自分である事に誇らしさを覚えた。
「良かったわぁ……ホント翔太くんって、どんどん上手になってるわね。もうたまらないわよ……」
 のろのろと体を起こしながら、美菜子はそう呟いて微笑んでいる。
「珈琲でも飲む? それとももう一回したい? ふふ、時間的に厳しいけど、少しくらいなら何とかなるわよ」
 淫靡な笑みを浮かべる美菜子に、肉棒が反応を示してしまうが、それをグッと抑える。
 今日は話があって来たのだ。ここでまた抱いてしまっては意味が無いだろう。
「あの……美菜子さんに聞きたいことがあるんです」
「あら、何かしら?」
「結衣ちゃんの事で……この間結衣ちゃんが言ってたんですけど……僕と結衣ちゃんが、その、異母兄妹だって……」
 そう告げた瞬間、美菜子の顔が無表情になった。
 しかしすぐさま優しく微笑むと、嬉しそうに見つめてくる。
「ええ、その通りよ。結衣の言ったのは本当のことよ」
 その言葉に愕然とする。そうなのだろうと思ってはいたが、いざ美菜子の口から聞かされると、衝撃を覚えたからだ。
「じゃ、じゃあ……結衣ちゃんのお父さんは、僕のお父さん……」
「そう。あの子の父親は、あなたのお父さんね」
「どうしてそんな……」
「前にも言ったでしょう? 私は兄さんが大好きだった。それであなたが産まれたのを聞いて、我慢できなくなったって。だからお願いして抱いてもらったの」
「いや、いくら好きだからって、普通はそんなことしないでしょう」
「そうね、普通ならしないわよね。でもあの時の私は普通じゃなかった。おかしくなっていたのよ」
 美菜子は淡々とした口調でそう告げると、小さく微笑んだ。
 それは暗さを纏ったものであり、「おかしくなっていた」という言葉に真実味を感じさせる部分があった。
「私にとって兄さんは全てだった。昔から大好きだったのよ。だから自分が妹だって事を何度も呪ったわ。他人だったら結婚出来るのに、どうして自分は妹なんだろうって。でも結婚は出来なくても、抱かれる事は出来るし、子供だって作れる。その事に気づいた時、私はおかしくなったのだと思うわ」
 そう呟く顔は、歪んだ笑みを浮かべており、ゾクリとするような怖さを感じさせるものがあった。
「兄さんは、私を抱いたことで凄く苦悩してた。それでもね、私を抱くことは続けたのよ。口では否定の言葉を言っていたけど、私がお願いすると、我慢できないようにして抱いてくれたわ。何度も何度も……」
「そ、そんな……」
 一度の過ちならばともかく、父は繰り返し抱いたというのか。それは近親相姦というだけでなく、母に対する裏切りでもあった。
 そう考えた瞬間、自分も結衣を裏切っているではないか、と思えて辛くなった。結衣とは結婚の約束をしたというのに、その母親とセックスしたのだから。
「さすがに私が妊娠したのを知ってからは耐えられなくなったみたい。抱いてくれなくなったわ。でも結衣のことは気にかかったみたいで、時々だけど会いに来て、結衣を可愛がってくれたの。私はそれだけで満足したわ。その時だけ私たちは本当の家族だったから。いえ、本当の家族ではあるのよ。単に戸籍上そうじゃないってだけで。私たちは兄さんにとって、もう一つの家族だったの」
 嬉しそうに、そして強い言葉で美菜子は告げている。
「このまま家族として兄さんと暮らしていける。そう思っていたのだけれど、兄さんは死んでしまった。凄く悲しかった……でも私には結衣が居た。兄さんの残してくれた結衣が。だから幸せに生きていくことが出来たの……そして翔太くん、あなたと会った時、私は凄く嬉しくなったわ。だって兄さんに生き写しだったんですもの。それまであなたの事は、兄さんを奪った憎い女の子供、としか思っていなかったけど、実際にあなたの顔を見たら、そんな気持ちは消えて無くなった。翔太くんは兄さんのもう一人の子供。兄さんの残してくれたもう一人の子供だって思えたのよ」
 そう語る美菜子の目は、翔太に対する強い愛情に満ちていた。それは最初に会った時から感じていたものであり、今も変わらぬ美菜子の想いなのだろう。
「あなたの事が凄く大切なの、愛しているの。そう思っている内に、止まらなくなって誘惑しちゃった……ふふ、あの時のあなたの反応、兄さんにそっくりだったわよ。それでもう私はおかしくなった。あなたが欲しくて欲しくてたまらなくなったの」
 今度は淫靡な眼差しで見つめてくるのに、股間の一物がピクンと反応してしまう。すでに何度も抱いていることで、美菜子のそうしたいやらしい仕草に敏感になっているのだ。
「だけどさすがに私じゃ、年齢的に不釣り合いだって自覚もあるわ。それに叔母と甥じゃ、また同じことの繰り返しだし。だから思ったの、結衣なら大丈夫だって。あの子なら戸籍上はいとこだから、あなたと結婚できる。そうすれば義理の息子としてあなたを私の物に出来るってね。ただそれには結衣の気持ちもあるから、どうだろうって会わせてみたら、あの子、すぐにあなたのこと大好きになったみたい。やっぱり私の子よね。兄を好きになるんだから」
 美菜子は楽しそうに笑うと、遠くを見る目をしている。結衣の事を思い出しているのだろうか。
「それでアドバイスしてあげたの。抱かれなさいって。早く自分の物にしてしまいなさいって。結婚と婚約の約束、そうした形式上のことでも結びつきを作っておきなさいってね。そうしたら上手くいったみたいね。翔太くん、あの子と結婚の約束をしたんでしょう?」
「ど、どうしてそれを……」
「あの子はね、何でも私に話してくれるのよ。だからあなたが結衣を抱いたのも知ってるわ。あの子、幸せそうにしてたわよ。『お兄ちゃんに抱かれて、凄く嬉しい』って。『早く子供も欲しい』って言ってたわね。ふふ、ホント私にそっくりなんだから……」
 美菜子は再び楽しげに笑った。
「翔太くん、結衣と結婚してちょうだい。それが私の今の夢なの。大好きな二人が結婚してくれることが……結衣みたいに可愛くていい子、他に居ないわよ。あなたに夢中で、あなたの事ばかり考えているしね」
 それはそうだろうが、やはり妹だというのには問題があるように思えた。
 どうせなら、教えずにいてくれれば、悩まずに済んだであろうに。
「言わないで欲しかったって顔ね。でも駄目よ。あなたには知っておいて欲しいの。その上で結衣を愛して欲しい。妹であっても愛して欲しいの。それが私の望みだから。私には出来なかった事を、結衣には叶えて欲しいのよ」
 寂しげに呟く美菜子の姿から、父と夫婦として結ばれなかった事への悲しさが伝わってきた。
「あの子のお腹には、もうあなたの子供が居るかも知れないわよ。避妊せずにしたんでしょう?」
 その言葉にドキリとする。確かにその可能性はあった。そしてそれは母や美菜子にも当てはまる事なのだ。
「子供が出来たら責任を取らないといけないわ。ふふ、もちろん私のは取らなくていいわよ。でも結衣のは取らないと駄目。結衣を捨てるなんて、絶対に許さないんだから」
 狂気を感じさせる視線を向けられ、翔太は震えが走るのを感じた。
 美菜子はどこかおかしかった。いや、そういう意味では最初からおかしかったのかも知れない。実の兄に抱かれることを求め、その息子に抱かれることを求めたのだから。
 だが翔太にしても人のことは言えないだろう。母親を抱き、叔母を抱き、妹を抱いたのだから。
「結衣を大切にしてくれるなら、翔太くんが気持ちのいいこと、何でもしてあげるわ。翔太くんが望むことをいくらでもしてあげる。結衣に内緒で、これからも抱かせてもあげるわよ。ふふ、娘に内緒で娘の夫に抱かれるなんてのも素敵ね。そんな許されない関係を持ちましょう? いいでしょ、翔太くん」
 娘を大切にするように言いながら、一方で娘を裏切るように勧めてくる。美菜子の倫理観はどうなっているのだろう。
 いや、それも今更だった。美菜子の倫理観はとっくに崩壊しているのだ。
「それじゃ、早速またしましょうか。将来の義母と浮気するの。どう? 興奮しない?」
 いやらしく囁いてくるのに、ゾクリとした興奮を覚える。淫らな視線に肉棒が強く反応を示し、硬く大きくなった。
 背徳感は肉欲を高めるのか、結衣を裏切る、浮気をする、といった意識が起きると、激しい興奮が湧き起こった。
 さらに裏切る相手が妹であり、浮気の相手がその母親であると認識することで、さらに肉棒が昂ぶっていく。
「美菜子さんっ」
 擦れる声で叫びながら、翔太は美菜子の体にしがみ付いていった。そのままテーブルに仰向けに押し倒し、勃起した怒張を秘所へと押し込んでいく。
 悦びの吐息を漏らす美菜子の姿に、興奮を高めながら腰を動かし始めた翔太は、心の片隅で「自分は何と愚かなのか」という想いを抱きつつ、押し寄せてくる快楽に身を委ねていくのだった。


 自分は実の妹を抱いている。
 四つんばいにさせた背後から、何度も突いて喘がせている。
 その事を意識すると、何とも恐ろしい気持ちになった。
 そのせいだろうか、結衣の中に肉棒を押し込む際に、鳥肌が立つほどの背徳感を覚えたのは。
 綺麗なピンク色をした襞がめくれ上がり、形を歪ませて肉棒をくわえ込んでいくのを見ている間、己が許されない行為をしている認識が押し寄せてきた。
 近親という意味では、すでに母と美菜子を何度も抱いているのにそうなってしまうのは、二人と違って結衣が年下で、こうした経験が少ない相手だからだろう。こちらが悪いことに巻き込んでいるような感覚を覚えるのだ。無論、誘ってきたのは結衣の方である訳だが、それでもそれをたしなめない、拒否しないのは、年上としての責任を果たしていないように思えたのである。
 そんな事を考えながら何となく周囲に視線を向けると、可愛らしい小物が置いてあるのが目に映った。
 そこは結衣の自室であり、全体的に可愛らしさに溢れている部屋だった。
 そのような部屋でセックスをしている。それも実の妹と。などと考えると、己は何といかがわしい存在なのかと思えて悲しくなった。
 だがそれ以上に、歪んだ興奮が湧き起こっているのも事実だった。
 美菜子に衝撃的な告白を聞いた後、結衣を訪ねた翔太は、甘えるように抱き付き、誘ってくる彼女を拒めなかった。
 少し前に母親である美菜子とセックスしていた事を考えると、母娘を同じ日に連続して抱くなど、あまりに背徳的で淫らな生活をしているように思えてくる。
 しかも体位まで同じというのが、余計罪深さを感じさせた。
 それは翔太が望んだのではなく、美菜子と結衣から促されてした事であり、まさか事前に二人で示し合わせていた訳ではないだろうから、偶然だとすれば親子の不思議な繋がりを思わせた。
 それにしても、結衣を実の妹だと認識したというのに、こうして抱いてしまう自分は何なのだろう。
 とはいえ、母親と叔母を相手にセックスし続けている事を考えれば、妹を抱くことに禁忌の想いを抱くのも今更な気もしたが。
 そうした妥協が、近親相姦であると知りながらも結衣を抱いてしまう原因なのだろう。
 何より可愛い少女に熱烈に求められ、その魅惑的な肉体を押しつけられては、耐えられるはずもなかったのだが。
 ベッドの上で四つんばいになった若い、いや幼い裸身は、これまでの母や美菜子との交わりでは、経験したことのない素晴らしさに満ちていた。
 染み一つ無い、真っ白な張りのある肌に、長い黒髪が掛かっているのが美しく、また肉欲をそそってたまらなかった。
 こちらを振り返り、微笑む可愛らしい顔に、華奢な肩、細い腰、そして形の良い小ぶりの尻が、少女らしさを感じさせて背徳的な想いを呼び起こした。
 一方、胸元で揺れる乳房はかなりの大きさがあり、結衣が女としての性徴を十分にしている事を認識させた。
 十六歳という肉体は、未成熟な雰囲気を持ちつつも、それでいて大人と同じ機能を備えており、そのアンバランスな状態が特殊な魅力を感じさせているように思えた。
 世の中には女子高校生好きの中年男性が居るが、それも今なら納得出来た。これほど魅力的な肉体であれば、金を出してでも抱きたくなるのは当然だからだ。それが美少女ともなれば余計だろう。
 これまで熟女ばかり相手にしてきただけに、そうした普通の高校生であれば認識しようの無い事も、実感として感じる事が出来ていた。熟女の肉体を知っているだけに、少女の肉体だけが持つ素晴らしさを、強く認識出来るようになっていたのだ。
 それにしても、快楽を覚えた少女というのは、何といやらしいのか。清純で大人しい結衣が、ここまで淫靡に艶めかしい姿を見せるのは、まさにセックスの快楽ゆえに違いなかった。そしてその状態にさせているのが、他でもない自分だと認識すると、強烈な喜びが湧き起こってくるのだ。
「あっ、あっ、ああっ……」
 背後から肉棒を突き込むたびに、結衣は甘い吐息を漏らし、頭を仰け反らせた。
 真っ白な背中が眩しく目に映り、肉付きのいい尻に強くそそられる。
 四つんばいになっている事で体積を増したように見える乳房は、腰の動きに合わせてぷるんぷるんと揺れており、その豊満な膨らみに興奮が高まっていった。
 華奢な体に長い黒髪がまとわりついているのが色っぽく、こうして後ろ姿だけ見ていると、まるで大人の女性を相手にしているかのようだ。
「お兄ちゃん、気持ちいいですぅ……凄いよぉ、あっ、あんっ……」
 だが振り返り、こちらを見つめる顔は幼さを残しており、その淫らな表情とのギャップに、大人の女性には存在しない、内に籠もった色気を覚えた。
 先日処女膜を破られた膣内は、これまでの交わりですっかり肉棒を受け入れる状態になったのか、今では実に心地いい感触を与えてきていた。未だ強く締め付ける部分はあるものの、それがまた快感を生んで、蕩けるような良さとなっていたのだ。
 この素晴らしい少女が自分の物。そう考えると震えるほどの喜びが起きてくる。
 美しく、自分に夢中で、気持ちのいい肉体をした少女。
 そんな相手とセックスをし、将来結婚することが出来るなど、夢のような話だろう。多くの男が羨む状況であるのは間違いなかった。
「ああっ……胸をそんな、やぁっ……あんっ、ああんっ……」
 手を伸ばし、背後から豊満な乳房をムニムニと揉みしだくと、結衣が甘ったるい声を漏らした。
 華奢な体に不似合いなこの大きな膨らみは、清楚な結衣の中にある女の部分を象徴しているようでたまらなかった。
 清純な美少女であっても、こうして肉棒を押し込まれ、擦られればいやらしく悶え喘ぎ、膣穴から愛液を垂らして、もっとして欲しいと淫靡な顔でねだってくる。
 普段の可憐な雰囲気には似つかわしくない、それでいていやらしさに満ちた今の姿は、強烈なギャップとなって嗜虐心を刺激した。
「ああんっ、あっ、そんなの、ああっ……そんなの凄い、凄いよぉっ……お兄ちゃん凄いのぉっ……」
 ズンっ、ズンっ、と強く大きく突き込むと、結衣は涙混じりの声で喘ぎながら腕を崩した。
 上半身をベッドへ押しつけ、尻を掲げるその体勢は、己の与える刺激が強烈なものなのだと実感させ、嬉しさを呼び起こした。
 白い尻を掴むと、手のひらに弾力の良さが伝わり、滑らかな肌触りを堪能しながら腰をさらに強く突き込んでいく。
「ああぅっ、あっ……もう駄目っ、私駄目ですぅっ……やっ、やはぅっ……お兄ちゃんっ、駄目ぇっ……」
 こうして後背位で抱いていると、どうしても美菜子の姿と重なった。ただでさえ似ている母娘であるのに、ここへ来る直前、同じ体位で抱いていたせいだろう。
(僕は、美菜子さんと結衣ちゃんを抱いてる……親子二人を……凄すぎるよ……)
 魅力的な女性二人、それも母娘を夢中にさせている事に、誇らしさと背徳感が強烈に高まっていく。
 自然と腰の動きも激しくなり、それによって結衣の喘ぎが切羽詰まったようなものになっていった。
「イくっ、イっちゃうぅっ……お兄ちゃん、あっ、ああっ……おにぃ、お兄ちゃぁんっ!」
「結衣ちゃんっ!」
 互いを呼び合いながら絶頂を迎え、精液を放つのは非常に気持ち良かった。
 愛する少女の中に、自身の肉欲の迸りが放出されていくのが感じられ、そうして精液を注ぎ込めば注ぎ込むほど、結衣が己の物になっていくように思えてたまらなかった。
 少しして射精を終えると、脱力して腰を下ろす。
 ハァハァと荒い呼吸をしながら、未だ掲げられたままの白い尻に目を向け、秘所からだらりと精液が垂れるのを眺める。
 それは清純な少女には不似合いな状態であり、自分がそうさせているのだと思うと、美しいものを汚している歪んだ喜びが湧き起こった。
 結衣がゆっくりと起き上がり、快楽に染まったとろんっとした表情を浮かべながら寄りそってきた。甘えるように頬ずりしてくるのが何とも愛らしい。
「お兄ちゃん大好きです。大好きすぎて大変です。私、お兄ちゃんになら何をされても構いません。愛してるんです」
 潤んだ瞳で告げてくるのに、嬉しさと共に少し怖さを覚える。自分に全てを捧げてくる言葉が、己に託された責任を感じさせるせいかも知れない。強い依存心を向けられているように思えるのだ。
 とはいえ、可愛い少女に真剣に愛情を向けられると、逆らえないのも事実だった。無意識の内に、受け入れたくなる衝動が起きてしまうのだ。
 結衣は、それほどまでに強烈な魅力のある少女だった。
「私はお兄ちゃんを愛してます。だからお兄ちゃんが、お母さんとセックスしてても気にしません」
「!……」
 不意に告げられた爆弾に、心臓が飛び出るかと思った。「お母さん」という言葉から、一瞬母との事かと思ったからだ。
 しかしこの場合は美菜子との事だろう。その事に少し安堵するものの、どちらにせよ結衣に知られてはマズい、という点では同じだった。
 それにしても、何故美菜子との事を知っているのだろうか。
 いや、単に鎌を掛けただけかも知れない。とはいえ、告げられた際に体が震えてしまっていたため、接触している結衣にはバレバレの状態になっていた。これでは誤魔化すのは無理だろう。
「やっぱりしてるんですね?」
「う、あ……うん……実はそうなんだ。でもどうして分かったの?」
「だってお兄ちゃんの体から、お母さんの匂いがするんですもん。それも体中から。それじゃ分かります」
 正直に認めると、結衣はそんな事を告げてきた。
 そう言えば先ほど美菜子を抱いてから、シャワーを浴びずに来ていた。それでは匂いが残っていても当然だろう。何とも言えない失敗だった。
「前から時々お母さんの匂いがしてましたけど、お兄ちゃんに抱き付いているのを見たことあったから、そのせいかなぁって思ってたんです。でも今日は凄く匂ったからそうなんじゃないかなって……」
 それでも普通は、「セックスした」などとは考えないだろう。何しろ叔母と甥なのだ。
 しかし近親相姦の結果として生まれ、自らも実の兄に抱かれる事を望んでいる結衣だけに、そうした思考が働いたに違いない。そしてそれは正解だった訳だ。
「あの、いつからなんですか? いつからお母さんとこんな……」
 もうこうなったら隠していても仕方なかった。翔太は正直に話してしまう事にした。
「今の学校に編入してすぐの頃かな。親戚の事情を教えてもらって、それで……」
「そんな頃から……ならお母さんが上機嫌になってたのって、そのせいだったんですね。お兄ちゃんに抱いてもらってたから……恋人が出来たって思ったのも間違ってなかったんだ……」
 以前結衣から、「お母さんが妙に上機嫌なので不思議だ」という話を聞かされていたが、その原因が自分との肉体関係によるものだったとすれば、確かに辻褄があった。
「しょうがないお母さん……でもお兄ちゃんは素敵だから仕方ないですよね。これからもお母さんのこと、宜しくお願いします。抱いてあげて下さい」
 てっきり悲しまれるかと思いきや、何やらこれからも美菜子を抱いて欲しいと言われたため驚く。普通自分以外の女性を抱いているなど許せないだろうに。
「私、今までずっとお母さんにお世話になってきて、何も恩返しが出来てないんです。何か喜ぶことをしてあげたくても、お母さんって仕事以外での楽しみが無いみたいなので。お母さんに聞くと『あなたが居てくれるだけで幸せなの』とか言われちゃってて……そんなお母さんが凄く嬉しくなるのなら、私、お兄ちゃんがお母さんを抱いても我慢できると思うんです」
 美菜子に対して強い恩義と愛情を抱いているため、美菜子が喜ぶことであれば、自分が辛くても耐えられるという事だろうか。
「でもお母さんには内緒ですよ? 私が知っているのに気づいたら、絶対遠慮しちゃいますから。本当はお兄ちゃんに抱かれたくてたまらないのに、我慢しちゃうと思うんです。他のことだと自分を優先させるのに、私のことになると我慢しちゃうんですお母さんって……そういう訳ですから、お兄ちゃん、お母さんのこと、宜しくお願いします」
「あ、うん……」
 真剣にお願いされる事に戸惑ってしまう。美菜子との関係は浮気であるのに、その浮気をしていいと言われているのだ。美菜子にも同じように言われている事を考えると、やはりこの親子は、どこかおかしいのかも知れない。
 だがそうした二人を愛している自分もおかしいのだろう。事実これからも二人を抱けるという事に、強い喜びを感じているのだから。
 そんな事を考えながら小さく溜め息をついた翔太は、甘えるように頬ずりしてきた結衣を優しく抱き締めると、その愛らしい頭を優しく撫でてあげるのだった。


 翔太は、机に向かって勉強しながら、この数日で知った事を思い返していた。
 父と美菜子、そして結衣との関係だ。
 結衣は、父とその妹である美菜子との近親相姦の結果生まれた少女であり、自分にとって異母妹だった。
 そして翔太自身も、妹である結衣とセックスをし、将来結婚する約束までしている。
 さらに美菜子との関係は結衣にバレており、結衣は美菜子を今後も抱いて欲しいとお願いしてきた。
 あまりに異常過ぎる状況であり、歪み過ぎた倫理状態だった。
 その上、二人には知られていないが、自分は母親の早苗とも肉体関係があった。
 この事は決して知られてはならない事だったが、いつかはバレてしまうのではないかという恐れもあった。この間の美菜子の匂いのように、ちょっとした失敗から気づかれてもおかしくないからだ。
 それに母に、美菜子や結衣との事が知られてもマズいだろう。結衣だけであれば従妹であるため問題無いが、美菜子との事がバレれば、そこから過去の父と美菜子の関係まで明らかになりかねないからである。
 今の母にそのような事実はあまりにキツすぎるだろう。下手をしたら改善した不安の状態まで元に戻りかねなかった。何しろあれほど信頼している美菜子が、実は自分を裏切っていた、という事になれば、壊れてしまう可能性があったからだ。
 何とかその事だけは知られないようにしなければならなかった。普通であれば、兄妹の近親相姦など想像だにしないだろうが、母自身が息子である自分と肉体関係を持っている以上、意識が向かないとは限らないのだ。
 結衣以外との関係を絶てば、一応世間的にはまともな状態になる訳だが、そう出来ないでいる自分は、やはりおかしいのかも知れない。そういう意味で、妹である美菜子を抱き続けた父の血を引いているという事なのだろう。
 父は美菜子が妊娠した事で肉体関係を絶てたようだが、果たして自分はどうなのか。魅力的な美菜子に誘惑されても、抱かないでいられるだろうか。
 そんな事を考えていると、どんどん気が重くなっていく。
 そうして何度目かの溜め息をついていると、不意に部屋のドアがノックされたためギョッとなった。知られてはマズいことを考えていたため、母がやって来た事に緊張したのだ。
 とはいえ、頭の中で考えている事がバレるはずもないため、ホッと息を吐き出しながら返事をする。
「入るわね……あら、勉強してたの? 偉いわ翔ちゃん」
 早苗の言葉に笑みで答えつつ、椅子へ座ったまま母の方へ体を向けた翔太は、目にしたパジャマ姿に違和感を覚えた。
 それは以前、父の親族から隠れていた時に着ていたものであり、初めて母と関係を持った際に着ていたものだったからだ。
 このマンションへ越してきてから新しいパジャマを買ったため、最近はこの姿を見ていなかったのだが、何故そのようなものを身につけているのだろう。
「新しい学校は楽しい?」
「うん、楽しいよ。友達も出来たしね」
「そう、それは良かったわ。お母さんのせいで学校を変わることになっちゃって、本当に悪かったって思っているの」
「いいんだよ。お母さんは大変だったんだから。それに今の学校って楽しいから、変わって良かったって思ってるし。そうそう、あの学校って美菜子さんの母校なんだってさ。それで選んだとか言ってたよ」
「そうなの……美菜子さんのね……」
 美菜子の事を口にした途端、早苗の表情が曇った。
 いつもであれば、美菜子の事を聞くと嬉しそうにするのに、一体どうしたというのだろう。
「美菜子さんはね、お父さんのことが大好きだったのよ」
 不意に母がそんな事を告げてきたため、驚くと共に不安になる。何しろそれは、先日美菜子達に聞かされた内容だったからだ。
 まさか母は、父と美菜子の関係に気づいたのだろうか。
「へぇ、そうなんだ。僕には兄妹が居ないから分からないけど、兄妹っていいものなんだろうね」
「そうね。お母さんにも居ないけど、お父さんと美菜子さんの関係を見ていたら、いいものだって思えたわ」
 どうやら一般的な兄妹の話であるようなのでホッとする。
 そういう事であれば、いくら話して構わなかった。
「お父さんとお母さんはね、駆け落ちして結婚したのよ。お母さん達の家ってどちらも凄く厳しくてね。それで結婚を許してもらえなかったの。だけどお母さん達は結婚したかったから、勝手に結婚することにしたのよ。でもそれって凄く大変な事だったの。その時に手伝ってくれたのが美菜子さん。美菜子さんは親切で、手際も良くて、凄く感動したわ。こんな人が手伝ってくれるのなら、大丈夫だって安心出来たの」
「今も社長やってるし、凄い人は昔から凄いって事だね」
「そうね。凄い人なのよ……でもお母さんね、最近思い出したの。美菜子さんって、少し怖いところのある人だったって……」
 その言葉にドキリとする。それは翔太も感じた事があるからだ。美菜子は兄である父に対する想いに関しては、異常なものがあったのだ。
「手帳をね……美菜子さんの手帳を偶然見ることがあったんだけど……中にお父さんの写真が挟んであって……お父さんの行動が事細かに書かれてあって……お母さんの名前が書いてあるところに、何度も×印が付けてあって……それを見た時、何だか怖かったのを思い出したの……いくら大好きだからって、普通は兄妹の写真とか行動なんて、自分の手帳に挟んだり書いたりしないでしょう? だからこれは何なんだろうって……」
 明らかにそれは、父への想いが溢れたものだろう。×印は母への憎しみの表れに違いなかった。当時はそうだったと美菜子が言っていたからだ。
 とはいえ、それはその頃の話であり、今の美菜子は、母に思うところは無いはずだった。
「でも実際の美菜子さんは凄く優しくて普通だったから、きっと何か理由があるんだろうって思って忘れることにしたの。気にしても仕方のない事だったし……だけどそれから別の事が気になるようになったの」
「別のこと?」
「美菜子さんのお父さんを見る目よ。凄く熱い視線をお父さんに向けていて、あれは妹が兄を見る目じゃなかったわ。恋する目だった……兄妹だけど、美菜子さんはお父さんに恋してたんじゃないかと思う……」
 その推測は正しかった。まさか母がその事に気づいていたとは驚きだった。しかし気づいたからといって、どうなるものでもなかっただろうが。
「それでね、今もそれと似た目をしているのを見たの……翔ちゃんを見ている美菜子さん、あの時と同じ目をしてた……さすがに恋じゃないと思うけど、それと同じくらい強い想いを翔ちゃんに持ってるんじゃないかって……そう考えたら、何だか翔ちゃんを取られるんじゃないかって怖くなっちゃって……」
 それはある意味当たっていた。美菜子の計画としては、結衣と結婚させることで翔太を義理の息子にすることだからだ。
 とはいえ、それで母との繋がりが絶たれる訳ではないのだから、取られることにはならないのだが。
「何言ってるんだよ。そんな事ないって。それに取られるって言ったって、どうするのさ。僕とお母さんを引き離すの?」
「そういう意味じゃないの。お母さんが言っているのは心の問題。翔ちゃんが、お母さんより美菜子さんを大事にするようになるんじゃないかって、お母さんを捨てて、美菜子さんを一番に考えるようになるんじゃないかって思って……」
「それは無いよ。そりゃ美菜子さんは素敵な人だけど、そこまで好きになったりはしないよ」
「ええ、お母さんもすぐにそう思ったわ。さすがに年齢が離れているものね。だから美菜子さんなら大丈夫だと思ったの……でもね、この間見たのよ。翔ちゃんが女の子と歩いているの。同じ学校の制服を着た、美菜子さんにそっくりな女の子……ねえ、あれって美菜子さんの娘さんでしょう?」
「あ、うん。そうだよ。結衣ちゃんって言うんだ」
「翔ちゃん、あの子のこと、好きなんでしょう?」
「え……?」
「だってそんな雰囲気があったわ。それにあの子の方は翔ちゃんに夢中って感じだった。美菜子さんと同じ、美菜子さんがお父さんを見ていたのと同じ目をしてた……きっと物凄く翔ちゃんの事が好きなのね……」
 何と答えたものかと困ってしまう。ここで下手に「付き合っている」と言えば、母は益々不安になってしまうだろう。ましてや結婚のことなど言えるはずも無かった。今の母は、どうやら以前の不安定な状態に戻っているように思えたからだ。
 父の親族に対する恐怖は解決したはずであるのに、一体どうしてしまったのだろう。
「取られちゃう……」
 小さく聞こえた声にハッとなる。
 見れば早苗は恐怖したように顔を歪め、小刻みに体を震わせていた。
「翔ちゃんを取られちゃう……私の大事な翔ちゃんを取られちゃうぅ……」
 追い詰められたように「取られちゃう」を繰り返し、ヨロヨロと近づいてくる。
「ね、お母さんを捨てないで。捨てないでお願いよ……」
 母の顔は、以前不安でおかしくなっていた頃と同じになっていた。どうやら翔太を結衣に取られると思い込み、捨てられる恐怖に取り憑かれているらしい。
「僕がお母さんを捨てる訳ないじゃないか。大丈夫だよ。ずっと一緒に居るから」
「お願い、捨てないで。捨てないで翔ちゃん。お願いよぉ……」
 早苗が泣きそうな顔をし、のし掛かるようにして抱き付いてきたため、背もたれがきしむ音を立てた。
 胸元で乳房の潰れる感触が広がり、股間に太ももが押しつけられているのが感じられる。
 柔らかな女肉の感触が体の前面に広がり、気持ちの良さに鼻息を大きく吹き出す。
「大丈夫だよ。僕がお母さんを捨てるはずがないじゃないか」
 首筋に髪の毛が触れ、その擽られているような感触にゾクゾクしながら、宥めようと優しく囁く。
「でもあの女の子のこと、好きなんでしょう? お母さんより好きになってるんでしょう?」
「そんな事ないよ。僕はお母さんの方が好きだよ」
 実際愛情という意味では、母に対する想いの方が上だった。
 確かに結衣に対しては可愛いという意識は強くあったが、それは表面的なものでしかなく、母に対するような、心の奥底で依存し、求めるような愛情は無かった。
 それは母親ゆえに存在する、揺るぎようのないものであり、本来であれば母親に対する愛情でしかなかったものなのだろうが、肉体関係を経たことにより、男女の愛としての要素も含んでいるように思えた。
「本当? 本当にお母さんの方が好き?」
「お母さんの方が好きだよ、大好きだ。僕はお母さんが大好きだ」
 不安げな表情で尋ねてくるのに頷いて応えつつ、ぽってりとした唇が、まるで誘うように震えているのに、吸い付きたくなる衝動を覚える。
「嬉しい……でも凄く不安なの。不安なのよ翔ちゃん……」
 潤んだ瞳が強い色気を感じさせ、肉欲が高まっていく。
 これは初めて母を抱いた時と同じ状況だった。あの時も不安で苦しむ母に抱き付かれ、救いを求めるように見つめられたのだ。身につけているパジャマまで同じであったため、その記憶が鮮明に蘇ってくる。
 まさかそれを狙ってこのパジャマを着てきたのだろうか。最近は全く求めてくる事が無くなっていたが、結衣の事で不安がぶり返し、また抱いて欲しいと、抱くことで安心を与えて欲しいと、そう望んで部屋を訪れてきたのだろうか。
 そんな風に意識した瞬間、股間の一物が反応を示し、肉欲がさらに強さを増していった。
 以前堪能した淫猥な肉体と、母親を犯す背徳的な悦び。
 その許されない、それでいて蕩けるような快楽の記憶が蘇り、脳を痺れさせる。
 柔らかな女肉が誘うようにのし掛かり、美しい顔がゆっくりと近づいてくるのが見える。
「翔ちゃん、愛してるわ……」
 その言葉と共に唇が塞がれ、舌が入り込んできた。こちらの舌に絡んで強く吸い付き、口内を舐め回してくるのに、肉棒が激しくいきり立っていく。
 しがみつくようにして抱き締められ、グイグイと押されることで女肉に体が覆われていくのを感じる。
 荒々しく唇同士が擦り合わされ、貪るように吸い付かれるのに、気持ちの良さが広がっていった。
 こうなってしまえば我慢出来なかった。早苗がむしゃぶりつくようにして来るのに合わせ、こちらも夢中になって唇を擦り付けていく。
「んっ……んんっ……んふぅ……」
 胸元へ手を伸ばし、豊満な乳房を揉むと、嬉しそうに鼻息を漏らすのに可愛らしさを覚える。そのまま数度揉んだ後、パジャマの中に手を入れ、直接乳房を掴む。
 しっとりとした肌と、吸い込まれるような肉の感触に心地良さが手のひらに広がり、強く揉みしだいていく。
 このまま自分は、また母とセックスしてしまうのか。
 そう思うと、何とも言えない気分になった。
 前の時は、自分もどこかおかしくなっていたせいか、さほど抵抗を感じなかったが、今は抱く事が無くなり、普通の状態となっていたため、強い躊躇を覚えたのだ。
 とはいえ、美菜子や結衣との関係を考えれば、とても「普通の状態」とは言えなかったのだが。
 しかし、未だ他人のような感覚のある美菜子達を抱くのと、完全に母親として認識のある早苗を抱くのとでは、全く違うと言えただろう。「許されない」と感じる度合いが違うのだ。
 近親相姦の禁忌の想いというのは、結局精神的なものに違いなかった。何しろ結衣とは血の繋がりがあるにも関わらず、妹だと知らずに抱いていた時には、禁忌の想いが無かったからだ。
 逆に、もし今母と血縁関係が無いのだと知らされたとしても、それで抱く事への禁忌の想いは無くならないだろう。「肉体的に問題はない」と理解することは出来ても、長年培ってきた「母親」という認識は、許されない想いを抱かせるように思えたからだ。
 家族として認識している相手を抱く行為。それこそが近親相姦における強い禁忌を感じさせる部分に思えた。
 ましてや肉体的にも母親であるとなれば、どんな言い訳を用いたとしても、抱くことの罪悪感は無くならないだろう。
 そしてそう思いつつも、実際早苗に肉体を押しつけられ、キスをされ、誘われてしまえば、止められずにその肉体を求めてしまうのだから恐ろしいことだった。
 理性によって止めようとしても止まらない。抑えようとしても次々と湧き起こってくるこの許されざる肉欲は、まるで蟻地獄にハマってしまったような、抜け出せない恐ろしさを感じさせた。
 だがそれが不快という訳ではなく、むしろ喜ばしく感じられてしまうところが、より恐怖を感じさせる呪いのように思えた。
「翔ちゃん、お母さんを愛して……捨てないで、お願いよ……」
 早苗のすがりつくような瞳に、内心の動揺を隠しながら微笑んで応える。
 もうこうなったらヤるしかなかった。母は自分を求めているし、自分も母を求めていた。自分たち母子は、すでに互いの肉体を繋ぎ合わせずには居られない状態になっていたのだ。
 そんな諦めにも似た想いを抱きつつ、その一方で「それでもいいじゃないか」という喜びも覚えていた。母と愛し合い、生きていく。それは素晴らしい事のように思えたからだ。
 そうなると積極的な想いが湧き起こり、その豊満な肉体を存分に味わいたくなった。
 翔太は鼻息を荒くすると、受け身だった状態から、攻めの姿勢に移ることにした。
「お母さんっ……」
 擦れた声で囁きながら、首筋に舌を這わせて舐め回し、強く吸い付いていく。
 そのたびに早苗が「あっ、あぁっ……」と可愛らしい吐息を漏らしつつ、小刻みに震えを走らせるのに興奮を覚える。
 乳房を回すようにして揉みながら、乳首を摘んで優しく捻ると、肉付きのいい体がいやらしくくねり、逃げるように、それでいてもっとして欲しいというように動くのを堪能する。
 パジャマのボタンを外し、現れた美麗な乳房に見惚れつつ、その魅惑的な膨らみを強く掴んでいく。
 白く綺麗な肉の塊が、揉まれることで形を変えるのにいやらしさを覚え、そのまま乳首に吸い付いていくと、「あんっ……」と可愛らしい声を漏らすのに満足感を覚えた。
 こちらの与える刺激に、そうして反応を示す様子を見ていると、母を支配している実感を得られて最高だった。
 ムニュムニュとした乳房の感触は、何度揉んでも飽きることがなく、いつも新鮮な想いを抱かせ、その豊満な膨らみに顔を押しつけ、頬ずりすると、心地良い感触が押し寄せてきてホッとなった。
 こうした安堵感が起こるのは、赤ん坊の頃の記憶が蘇るためだろうか。美菜子や結衣の乳房に対するよりも、母の乳房に対する想いの方が強いように思えるのは、もしかしたらそのせいなのかも知れない。
「あっ、ああっ……翔ちゃんもっと吸って、あんっ……もっと、あぁっ……いいわぁ……可愛いぃ……」
 早苗も吸われている事で同じような想いを抱いているのか、まるで赤ん坊にするように頭を抱き寄せ、背中を優しく撫でてきている。
 そうされると、さらに安堵の想いが高まり、愛情が強まっていった。
「お母さん……大好きだよぉ……僕、お母さんが大好きだ……」
 乳首を思い切り吸い上げ、夢中になって乳房を揉み、顔を擦り付け、しがみついて母を求めていく。
「お母さんもよ……お母さんも翔ちゃんが大好き……大好きよ……」
 強く抱き締められ、頭を撫でられると、温かい想いに満ちていく。
 母との交わりには、性欲の発散とは別に、こうして癒される部分があった。
 まるで幼い頃に戻ったような感じになり、強い愛情を覚え、母に対する依存心が高まっていくのだ。
 この心地良さがある限り、自分は母から離れる事は出来ないだろう。
 これから結衣と付き合っていくにせよ、それは変わる事が無いに違いなかった。
「翔ちゃん愛してるわっ、愛してるのっ……放さないっ、放さないんだからぁっ……」
 早苗は、激情に駆られたようにして叫んだ後、勢い良くしゃがみ、翔太のズボンのベルトを外してパンツごと引き下ろした。
 すでに勃起している肉棒が勢い良く立ち上がり、それをうっとりとした表情で見つめた早苗は、唇を大きく開くと、パクリと咥え込んできた。
 見慣れた母の顔の中に、己の肉棒が埋まっている。
 それは実に異様な光景であり、またそれゆえに興奮してしまう事でもあった。
 本来このようなモノを咥える所ではないのに、そうしている状況、そしてそれが息子である自身のモノである事が、余計背徳感を呼び起こしていた。
 肉棒に早苗の舌が絡みつき、強く吸ってくるのに、呻き声を漏らして頭を仰け反らせる。
 傍らにある机に肘をつくと、そこには問題集が広げてあり、自分がつい先ほどまで勉強していたのだという意識が強まる。
 勉強していたのと同じ椅子に腰掛けた状態で、パジャマをはだけて乳房を晒した母親に肉棒を咥えられ、いやらしく舐められている。
 何と異常な状況だろうか。
 だがその異常さこそが興奮を高め、普段よりも肉棒を猛らせていた。
 早苗は翔太の反応に嬉しそうに微笑みながら、熱心に頭を動かし、肉付きのいい尻を振ってフェラチオを続けている。
 亀頭が舌に包み込まれ、ねっとりと舐め回されると、ゾクゾクとした快感が湧き起こり、思わず射精しそうになってしまう。
 肉棒全体を口内で擦り上げるようにして舐められ、時折チロチロと擽られるようにされるのがたまらず、我慢できなくなってくる。
 セックスとは異なる気持ちの良さのあるこの行為は、肉棒を咥える母の顔が見えるという点で、視覚的な刺激としてもそそるものがあった。
「翔ちゃんちょうだい……お母さんの口に、翔ちゃんの熱いの……出して……」
 とろんっとした表情を浮かべ、上目遣いでそう告げられると、強烈な色っぽさを覚えて射精感が高まった。
 このいやらしい女の口に、思い切り射精したい。ドロドロの精液を飲ませたい。
 そうした想いに肉欲が昂ぶり、母の頭を掴むと、腰を前後に激しく動かしていく。
「んんっ……んっ、んぐっ……んんぁっ……」
 早苗は苦しそうに顔を歪ませたが、すぐさま嬉しそうな表情になると、腰の動きに合わせるように顔を動かし、舌を絡ませ吸い上げてきた。
 その刺激は実にたまらず、一気に射精感が限界まで達した翔太は、思い切り精を放っていった。
「!……」
 ドクドクドク、と迸る精液を感じながら、押し寄せる快感に浸る。
 眼下では、早苗が肉棒にむしゃぶりついており、そのまるで精液を残らず吸い出そうとするかのような姿に、ゾクリとした想いを抱く。
 少しして射精を終えた翔太は、力を抜いて椅子の背もたれに身を預けた。
 早苗は惚けた表情を浮かべながら、精液を舐め取ろうと熱心に舌を這わせていて、射精直後の敏感な状態にそうされたことで、すぐさま肉棒の硬度は増していった。
「うふ、翔ちゃんのもうおっきくなった……翔ちゃん大好きよぉ……」
 回復が早いことを喜びながら、母は物欲しそうにこちらを見つめてくる。
「ねぇ、入れて……翔ちゃんのオチンチン、お母さんの中にちょうだぁい……」
 甘えた口調で微笑みながら告げてくるのに、淫靡な可愛さを覚える。熟女でありながら童顔である母のおねだりには、色気と幼さの混じり合った魅力があるのだ。
「じゃあ、僕の上に乗って……」
 そう提案すると、早苗は嬉しそうに頷きながら、パジャマのズボンとパンティを脱ぎ、落ち着きの無い様子で、椅子に座った翔太の腰を跨いできた。
 一度大きく呼吸した後、肉棒を手に持ち、ゆっくりと腰を下ろしてくる。
 チュプっと愛液が絡む音が聞こえると共に、肉棒が湿った温かな肉の中に吸い込まれていくのが感じられる。
 途端、蕩けるような快感が湧き起こり、頬がだらしなく緩んだ。
 肉棒が膣に包まれると安堵感が生まれ、このまま全てを委ねたくなる心地良さが押し寄せてきた。
 体重が掛かっている事でより奥に入り込んでいるのか、挿入感が深く感じられ、みっちりと締め付けてきながら、膣襞が揉みしだくような蠢きを示してくるのに、痺れるような快感を覚える。
(気持ちいぃ……やっぱりお母さんの中はいいよ……)
 久しぶりに味わう母の中は、格別な良さがあるように思えた。美菜子とも結衣とも異なる膣の感触は、まるで鍵穴と鍵が合わさるような、強烈な食い込み感があるのだ。やはり母子だけに、そうした部分の相性が優れているのかも知れない。
 他の女性の体を知った事から、そんな想いを抱きながら、目の前にある美しい顔を眺める。
 生まれた時から、ずっと見続けてきた母の顔。
 だがそれは今、あまり見慣れない顔になっていた。最近になって知った、女としての顔だ。
 潤んだ瞳が求めるように見つめ、口がだらしなく開いて、舌がチロチロと動いているのがいやらしい。色白の肌が上気して桜色に染まっており、髪の毛が汗で額に張り付いているのが色っぽさを感じさせる。
 これは母であって母でなかった。息子を慈しむ姿とは異なる、息子に欲情する姿なのだ。他の女に取られまいと、必死に息子を求め、己を女として抱くよう誘う、淫らな母親の姿なのである。
「あぁ……翔ちゃんのオチンチン、すっごくいいわぁ……どうしてこんなにいいのぉ……」
 早苗は肉棒の感触をじっくり味わおうとするように、ジッとしたまま動かなかった。
 その顔には実に満足げな表情が浮かんでおり、自分が母を悦ばせられているのだという実感が込み上げてくる。
 そしてもっと体全体で母を感じたいと思った翔太は、早苗のパジャマを脱がすと、自らも服を脱いでいった。
「ああっ、翔ちゃぁん……」
 早苗が甘えるように抱き付いてきたため、生の肌と肌が触れ合い、ゾクリとした快感が湧き起こった。しっとりとした熟女の肌が体を覆い、吸い込まれるような肉の感触に包まれるのに、全てが母に取り込まれたような錯覚が起きてくる。
 元々自分は母の中で誕生し、この世に出てきたのだ。母の中こそが故郷であり、最も安堵出来る場所なのである。
 こうして生まれ故郷に入り込み、包まれていると、そんな想いが強く湧き起こった。
(僕の……生まれてきた場所……すっごく気持ちいぃ……)
 母を抱き締め返しながら、妙な感慨を覚えつつ体を擦り付けていく。
 まるで幼い頃に戻ったように、母の胸に抱かれているのが心地良かった。
「翔ちゃんっ……あっ、ああっ……翔ちゃぁんっ……」
 早苗が腰を上下させ始めると、肉棒が吸い上げられるような快感が起こり、その強烈な気持ちの良さに頭を仰け反らせる。
 目の前では、母がトロンっとした淫靡な表情を浮かべており、豊満な乳房が上下左右に揺れ動いているのにいやらしさを覚える。
「あっ、あんっ……いいわ、いいの、あっ……翔ちゃんもっとしてぇっ……」
 細い腰を支えるように持ちながら、こちらも肉棒を突き上げ始めると、早苗が嬉しそうに喘いだ。
 その反応に満足しつつ、さらに勢いを付けて腰を持ち上げるようにしていく。
 体重全てが掛かっているせいか、ズンっ、ズンっ、といった重々しい衝撃が押し寄せ、それによる擦れが強い快感を呼び起こした。
 柔らかな肉体を強く抱き締め、その心地良い女肉の感触を味わっていると、母と繋がり合っている事の喜びが強まっていく。
 そうして少しの間、座位での交わりを楽しんだ翔太は、そろそろ思いきり抱きたいと考え、一旦肉棒を引き抜くと、近くにあるベッドへ母を押し倒した。
 いつも自分が寝ているベッドの上に、裸の母が横たわっているという光景には、実に背徳的な興奮を感じさせるものがあった。
 細身でありながら、熟女ならではの肉付きの良さがいやらしさを感じさせ、どこに触れても柔らかいその肉体に性欲が昂ぶっていく。
 童顔な顔はすでに淫らに蕩けており、これから自分が激しく突き込めば、それがさらに淫靡になっていくのだと思うと、落ち着かない衝動が湧き起こった。
「お母さぁんっ……」
 小さく叫びながら母にのし掛かり、再び肉棒を押し込んでいく。
 亀頭が入り込むと同時に一気に腰を進め、奥まで突き刺す。
 温かく湿った肉に包まれているのがたまらず、膣襞が蠢いて絡みついてくる気持ちの良さに顎を仰け反らせた。
 再び一つになった事に、ホッとするような安堵を覚えると共に、母の中の良さを改めて認識する。
 この強く優しく包み込む感触は、やはり素晴らしかった。何度味わっても満足する事のないこの感覚は最高だった。
 美菜子や結衣もそれぞれ良かったが、今自分が入り込んでいる蜜壺には、二人には無い一体感があった。やはり母子であるがゆえに、そうした独特の良さがあるのかも知れない。
 これほどまでに自分を気持ち良くさせてくれる存在は、他に居ないだろう。
「あぁ……翔ちゃんが入ってくると、お母さん凄く安心するわ……それにすっごくいいのぉ……」
 早苗も同じような想いを抱いているのか、そんな事を呟いている。
 自分たちは親子は、こうして繋がり合うことで互いを癒しているのだ。方法は許されないことだが、それでも自分達にとっては、愛情の発露のための行為なのである。
「僕も同じだよ。お母さんの中に入ってると凄く安心するし、凄く気持ちいい……たまらないよ……」
 そう告げながら母に抱き付いていき、腰を小刻みに動かし出す。
 体の前面に柔肉の感触が広がり、特に胸元で乳房の潰れる感覚がたまらない良さを生んだ。
 早苗の腕が背中に回って引き寄せ、脚が腰に絡みついてくると、さらに一つになれたように思えて幸せな気分になった。
 耳元では甘い吐息と「あっ、あっ……」という喘ぎが響き、動く度に擦れる肌と、ぶつかり合う肉の感触で、意識が快楽に染まっていく。
「あっ、あんっ……翔ちゃんいいわ、ああっ……翔ちゃんもっとよ、あんっ……もっと突いてぇっ……」
 強くしがみつきながら求めてくるのに嬉しさを覚えつつ、母をもっともっと気持ち良くしてあげるのだと、腰の動きを激しくしていく。
 自分たちは、心も体も一つだった。
 愛し合い、求め合い、快楽を与え合う。
 何と素晴らしい親子関係だろう。
 世間では許されない行為ではあるが、こんなにも心も体も気持ち良くなれる行為を、どうして止めることが出来ようか。
 この素晴らしい女を、誰にも渡したくはなかった。
 自分の物にして、自分だけが愛し、貪っていきたかった。
「お母さんは僕のだよっ……僕のだからねっ……」
 強い独占欲が湧き起こり、翔太は強烈な衝動に押されるまま、腰をさらに激しく振っていった。
 早苗の喘ぎが大きくなり、体の震えも強くなっていく。
「ああんっ、あっ、ああっ……お母さんは翔ちゃんの物よ、あっ、あっ……翔ちゃんが居てくれれば、ああっ……翔ちゃんがお母さんを抱いてくれれば、あぅんっ……もう他に何も要らないのぉっ……」
 早苗はそう叫ぶと、背中に爪を立て、腰に絡ませた脚を強く締めてきた。
 その「放さない」という強い意思を思わせる動きは、自分に対する愛情と執着を感じさせ、翔太は嬉しさと誇らしさを感じると共に、一人の女を、母を完全に手に入れたのだという確信を得た。
 唇を荒々しく重ね、舌を絡ませ吸い合う事で、チュプチュプといった唾液の音が耳に響くのをいやらしく感じながら、腰を大きく引いてから思いきり突き込むのを数度繰り返していく。
 早苗が「んんっ……」とくぐもった喘ぎを漏らし、体を硬直させてブルブルと震えている様に、自分に従う女の可愛らしさを感じて悦びが溢れた。
「あぅんっ、あんっ、ああんっ……凄いぃっ……翔ちゃん凄いの、ああぅっ、あっ……お母さんもう駄目、あんっ……もう駄目よぉっ……」
 早苗は苦しげな、それでいて気持ち良さげな喘ぎを発しながら、頭を左右に激しく振り、シーツを握り締めて悶え狂った。
 そこに居るのは、完全に自分に従ったいやらしい女だった。母親ではあるが、自分の女でもある存在だ。
 この感覚を味わってしまっては、もう母を抱かないで居るなど不可能だろう。どうして先ほどまでは抱かずに居られたのか不思議なくらいだ。
 これほど可愛くいやらしく、自分を癒し、愛してくれている女を、どうして抱かずに居られるだろうか。
 このまま一気に精を放ち、自分の物だという証を注ぎ込みたい。
 高まる射精感にそんな事を考えつつ、母の様子も限界に近づいているのを感じながら、ラストスパートとばかりにピストン運動を激しくしていく。
「ああっ、イくっ……イっちゃうぅっ……お母さんイっちゃうのぉっ……あっ、あっ……翔ちゃんっ、翔ちゃぁんっ!」
「お母さぁんっ!」
 絶叫しながら頭を大きく仰け反らせ、今まで以上に強くしがみついてくる早苗に合わせて思い切り精を放つ。
 ドピュッっと勢い良く精液が迸るのが何度も続き、そのたびに押し寄せてくる快感にうっとりとなる。
 目の前には、口をだらしなく開き、時折「あ……あぁ……」と色っぽい吐息を漏らしている顔があった。
 意識は朦朧としているはずだったが、目だけはこちらをジッと見つめており、その瞳は自分に対する強い愛情を感じさせた。
 精液を注ぎ込むたびに、熟れた体がピクピクと震えを走らせ、膣内では肉棒がキュウキュウと締め付けられている。
 母の中に射精するのは最高だった。妊娠する恐れもあったが、これを止めるなど不可能だろう。これほどまでに自由に出来、素晴らしさを感じる肉体は他に無いからだ。
 母は最高の女だった。
 自分にとって何者にも代え難い素晴らしい女だった。
 これからもずっと母を愛し、抱いていこう。
 美菜子と結衣の事はあったが、母との関係は二人とは異なる特別なものだ。
 母を抱くのに理由は要らなかった。何しろ決して揺るがない強い愛情で結びついているのだから。
 そう思った翔太は、最後の射精を終えると、柔らかな肉体の上に倒れ込んでいった。
 耳に早苗の荒い呼吸と共に、「愛してるわ、翔ちゃん……」という囁きが聞こえてくるのに、強い幸せを感じながら……。












あとがき

 少々狂っちゃっている感じの話を書いてみました。
 恐怖から逃れるために息子に抱かれる母親。
 兄への想いを解消するために甥を誘惑する叔母。
 実の兄と知りつつも、恋し求める妹。
 いや〜〜、いいですねぇ、こういう狂った感じの女性陣。
 オタク用語には、「ヤンデレ」という、病んだ言動で好きな相手を求めるキャラを表す言葉がありますが、今回の話はまさにそんな感じでした。
 最初は母子をくっつけるネタとしてだけ考えたんですけどね。
 アダルトビデオで、恐怖から逃れる理由でヤっちゃう母子相姦の話があったもので、ああ、こりゃいいなぁ、と。
 そこから叔母が誘惑してくる理由に、「実は甥の父親である兄が好きだった」という昔読んだ官能小説のネタを絡ませ、最後にアニメや漫画でよく出てくる、兄に本気で恋する妹ってネタを加えてみた訳です。
 そしたらもう何か狂いまくりですよ。
 母親も途中で回復したと思ったら、今度は息子を取られる恐怖から求めてしまったりして。
 最後は母親で締めたかったので、回復した母親をどうまた抱かせるかってのを考えたら、もう狂っちまえってノリでヤっちゃった次第。
「息子が取られる」ってので強姦的に誘惑してくるのは、母子相姦モノではよくある展開ですしね。それを最後に入れてみた訳です。
 我ながら読み返してみるとゾクゾク来たので、やはり私はこういうのが好きなんだなぁ、と思いましたわ。近親相姦には、ある程度狂気の部分があった方が興奮しますからね。
 またこういう話を書ければ良いな、と思っております。
(2017.7.10)



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