神が与えしいも


 父の和真(かずま)が亡くなった。
 まだ四十五歳でありながら癌になり、若いために進行が早く、助からなかったのだ。
 その事はショックではあったが、時間が経つほどに慣れていく部分もあったし、何より働き手を失った状態で、これからどうすれば良いのかという不安の方が強かった。
 十九歳の自分、沙谷蓮(さたにれん)は、今年大学生になったばかりであり、二つ上の姉、明梨(あかり)にしても、大学三年生でしかなかった。
 母の早紀子(さきこ)は病弱で、まともな仕事が出来る状態ではなかったため、これまで家計は父の収入に頼り切りだった。
 とはいえ、ある程度の保険金が下りたことから、自分と姉が大学を卒業するまでの学費は何とかなりそうであり、生活費にしても数年は保ちそうだった。
 そのため、早々に生活に困窮するということはなかったのだが、出来るだけ節約した生活をすべきではないかというのが、家族三人の共通した想いでもあった。
 そんな時、叔父の武彦(たけひこ)から、「格安の一軒家があるから、こちらへ引っ越してこないか?」という誘いがあった。
 紹介された家の価格は驚くほど安く、無理なく購入出来る額であったことや、元々明梨が武彦の所有する家を無料で借り、一人暮らしをしていたため、家族が近くで暮らせるという良さもあった。
 自分の通う大学までは少々遠くなってしまうが、その程度であれば問題は無いも同然だった。
 さらに武彦は、病弱な早紀子でも、無理せずこなせる仕事も紹介してくれると言ったため、結論として蓮達家族は、叔父の言葉に甘え、引っ越すことにしたのだった。


 これから住むことになる家の前に立った蓮は、夏の強い日差しに目を細めながら、予想していた以上に田舎な風景に、圧倒されるような想いを抱いていた。
 周囲には建物が無く、多くの木々に覆われており、少し離れた場所には畑や田んぼが広がっていて、さらに遠くには山も見えた。
 これまで都会で暮らしていた蓮にとり、まさに異世界とも言うべき風景がそこにはあった。
 目の前にある家は、平屋の一階建てで、かなり古くはあったが問題無く住める状態になっていた。新築の立派な家とはいかないが、家賃を払わずに暮らせるのはありがたい事であり、何よりこれが自分達の所有物であるのだと思うと、妙な誇らしさもあった。
 ここ沙谷那村(さやなむら)は父の故郷なのだが、これまで一度も訪れたことはなかった。母の実家へは何度も遊びに行っていたが、こちらへは来たことがなかったのだ。
 それを今更ながら不思議に思いもしたが、特に問題あることでも無かったため気にはならなかった。
 何しろ祖父母や父の妹である叔母はすでに亡くなっていて、父方の親類は叔母の夫である武彦と、その娘の由衣(ゆい)だけだったからだ。
 そして彼らは、ちょくちょく蓮の家へ遊びに来ており、親戚づきあいはきちんと行われていたのである。
「何ボーッとしてるの? 早く荷物の整理を始めましょ」
 声が聞こえたため意識を戻すと、こちらを見つめる早紀子の姿があった。
 母の年齢は三十九歳。
 身内の贔屓目を抜いたとしても、なかなか美人と言える顔立ちをしており、長い黒髪をアップにした髪型をしている。
 病弱なためあまり出歩かないせいか、肌は白く、細身の体と相まって、弱々しさを感じさせる雰囲気があった。垂れ目で、眉を寄せ気味にする癖があることから、常に悲しんでいるような表情になっているのも、そうした印象を強める要因になっているだろう。
 父が亡くなってからは、それが強くなっている感じであり、もっと笑顔にしたいというのが、最近の蓮の想いだった。
「そうだね。さっさと終わらせちゃおう。姉ちゃんが来てないけど、そんなにかからないと思うしさ」
 明梨が手伝いに来ると言っていたが、何やら友人に呼び出されたそうで、遅れるとの連絡があった。
 とはいえ、荷物はそう多くないため、最初から手伝ってもらうほどではなかった。早紀子と二人で十分なのだ。
 ただこういう場合、明梨を無視して始めてしまうと、後々不満を言われるため、あまり気の進まない事でもあった。
「しょうがないわよね。いつまでも待ってられないし。始めちゃいましょ」
 早紀子は困ったような笑みを浮かべると、促すように背中を叩いてくる。
 蓮も苦笑を浮かべてそれに応じつつ、家の中へ入ろうと、玄関に近づいていった。
「もしかして、こちらへ越して来られた方ですか?」
 不意に背後から声をかけられたため、少し驚きながら振り返る。
 するとそこには、親子連れらしい三人の姿があった。
 三十代くらいの女性と、中学生らしい男の子、そして小学五、六年生に見える女の子だ。
「ええ、そうなんですよ。宜しくお願いしますね」
 早紀子は笑顔で答えながら、軽いお辞儀をしている。
 慌てて蓮も頭を下げ、「宜しくお願いします」と挨拶をした。
「私は少し先に住んでおります、理那(りな)と申します。この子は息子の快斗(かいと)、それと未那(みな)ですわ」
 その女性、理那はそう名乗ると、子供たち二人を示しながら紹介してきた。
 名字を口にしなかった事に違和感を覚えたが、この村では皆が同じ「沙谷」という姓を使っているため、村の中ではお互いを下の名前で呼び合っているのだという事を、引っ越してくる前に武彦に教えてもらっていた。
「私は早紀子と申します。この子は蓮です」
 母もその事を思い出したのか、名字抜きの自己紹介をしている。
「武彦さんのご親戚の方ですね。お話は伺っています。私はこの村で色々雑務などをしていますので、分からない事があったら遠慮なく仰って下さい」
「それはありがとうございます。何かありましたら伺わせていただきます」
 早紀子は何度も頭を下げ、恐縮した様子でお礼を述べている。
「こちらこそ明梨さんにはいつもお世話になっていますわ。面倒なことなどを本当によく手伝って下さって、凄く助かっています」
「あの子らしいです。昔から人の世話を焼くのが大好きな子でしたから」
 明梨の事を褒められて嬉しいのか、早紀子は笑みを浮かべながら応じている。
 蓮にしても、引っ越して早々、姉が村民に感謝されているのだという事を知って誇らしくなった。
「蓮さんも大学生でしたわよね? 色々不便なこともあるでしょうけれど、この村のことを気に入っていただけると嬉しいですわ」
「はい。ありがとうございます」
 笑顔と共に視線を向けられ、少し緊張しながら答える。理那はなかなかの美人であったため、目が合うとどうにも動揺してしまうのだ。快斗と未那にしても顔立ちが良かったため、何とも目の保養になる親子だと思った。
「快斗くんは、中学生?」
「あ、そうです……」
 早紀子の問いかけに、快斗は視線をそらしながら恥ずかしそうに呟いている。
「三年生なんですよ。申し訳ありません。この子ったら最近こんな感じで……」
「いえいえ、快斗くんくらいの年頃なら当然ですよ。この子も似たようなものでしたから」
 中学生くらいの年齢は、知り合いですら素っ気ない態度になりがちではあるが、それが見知らぬ相手となればなおさらだろう。だがそうした様子も、快斗の場合、顔立ちが良いせいか、魅力的に感じられるから不思議だった。
「あなたは、何年生?」
 今度は未那の方へ目を向けた早紀子は、目線が合う位置までかがむと優しく問いかけている。
「……」
 だが返答は無かった。
 問いかけられた事に気づいてもいない様子で、無表情のままボーっとしており、大きな瞳が、右から左、左から右へと交互に動いている。
「申し訳ありません。時々こうなってしまうのですわ。普段はもっときちんとしているのですけれど……」
 恐縮した様子で理那は頭を下げている。
 何とも妙な子だな、と思いながら未那を見つめていると、不意にこちらへ視線が向いた。
 先ほどまでフラフラしていた大きな瞳が静止し、瞬きもせずにジッと見上げてきている。
 そのまま瞳を全く動かさず見つめてきたため、その事に耐えられなくなった蓮は視線をそらした。
 少しして目を戻しても、まだ見つめられており、その状況にどうしたものかと困ってしまった。
「あら、まあ……蓮さんが気になるのかしら……ごめんなさいね」
 理那は苦笑気味にそう告げると、頭を下げている。
 美少女に気に入られたというのは嬉しくはあったが、無言でジッと見つめられ続けるというのは、さすがに辛いものがあった。
「それでは私達は、これで失礼させていただきます。これから宜しくお願いしますね」
 申し訳なく思ったのか、理那は未那の手を引っぱって歩き出した。
 それに逆らっている様子は見受けられないが、未那の顔はずっとこちらへ向いており、大きな瞳がジッと見つめ続けていた。
「綺麗なご家族だったわね。お母さんも美人だし、息子さんも娘さんも凄く可愛いわ」
 早紀子は大きく息を吐き出しながら、少し先を歩いている親子の後ろ姿を眺めている。
 見れば快斗が理那に話しかけていたため、親子仲は良いのかも知れない。あの年頃にしては珍しい光景だが、反抗期にならない人間もいるので、彼もおそらくそうなのだろう。
 蓮にしても反抗期は無かったため、別に何ら不思議な事ではなかった。早紀子に対してウザったく思うことなど無かったのだ。小学生の頃と変わらず、母の事は大好きなままだった。それは今も同じであり、毎日一緒に楽しく過ごしていたのである。
「それじゃ、片づけを始めましょうか。さ、家に入るわよ」
 気を取り直したように、少し大きな声で告げた早紀子は、玄関のドアを開くと中へ入って行っている。
 それに続いて、蓮も家へ足を踏み入れていった。
 中の様子を見回すと、やはり古めかしい雰囲気はあったが、ある程度リフォームしてくれていたようで、生活に困るような状態にはなっていなかった。これならば十分快適に生活出来るだろう。
「なかなかいい家じゃない。これからここが我が家になるのね」
 同じように思ったのか、早紀子が感動したような口調で呟いている。
 その横顔を眺めつつ、父の和真が亡くなった時の母の悲しい表情を思い出した蓮は、もう大丈夫なのかな、と嬉しくなった。
 三ヶ月前、和真を失った早紀子は凄く落ち込んでいたのだ。
 生来病弱なせいか、健康で力強さを感じさせる和真の存在は、母にとり精神的な意味でも頼りになる存在だったのだろう。その父が病気で亡くなったというのは、かなり大きな衝撃を与えたようだった。
 和真の死からしばらくの間、暗い表情を浮かべていることが続いていたのだが、最近になってようやく笑顔を見せるようになっていた。
 この引っ越しにしても、経済的な理由以外にも、父との思い出のある家から移ることで、意識を切り替えさせようという狙いもあった。
 これからは、母と姉と自分、三人での家族としての思い出を、この新しい家で作っていくのだ。
(ま、取り敢えずは二人だけどね)
 明梨は一人暮らしを続けたいという理由で、以前から住んでいる家に住み続けている。とはいえ、近所ではあるので大して変わらないのだが。
「さあ、荷物を片付けちゃいましょ」
 リビングへ入った早紀子は、そこに置かれた段ボールを示しながら笑顔で呟いている。
 それに頷いて応じながら、蓮は段ボールの箱を持ち上げ、荷物の片付けを始めていくのだった。


 引っ越しの作業があらかた終わり、近隣の家への挨拶が済んだ頃、蓮たちは武彦の家へと来ていた。引っ越しの祝いに、夕飯をご馳走すると言われたのだ。
 にこやかに出迎えてくれた武彦は、相変わらずの若々しさに溢れていた。
 確か四十四歳になっていたと思うのだが、どう見ても三十代、下手をしたら二十代でも通用するくらいなのだ。
 隣には、従妹の由衣が立っていた。
 彼女は十七歳の高校二年生であり、肩までの長さの髪と、少々幼さを残した可愛らしい顔立ちをした少女だった。昔からちょくちょく遊びに来ていて仲良くしていた事から、蓮にとっては妹のような存在だった。
 久しぶりに顔を合わせたが、かなりの美少女へと成長していたため驚きを覚えた。以前は子供的な可愛らしさしかなかったのに、今や女性としての魅力を感じさせる雰囲気が出ていたからだ。
 四人で食卓を囲んでいると、しばらくして明梨もやって来た。どうやら大学での用事が終わったらしい。
「せっかく手伝いに来たのに、二人でさっさと終わらせちゃってるんだもんなぁ」
 到着早々そんな事を不満げに呟いていたため、早紀子と一緒に笑ってしまった。予想した通りの反応だったからだ。
 明梨は、昔から人が困っていると手助けしないではいられない性格であり、今日遅れてきた理由にしても、大学の友人に頼まれた雑用をこなしていたためだった。本来姉がしなくても良い事のようなのだが、わざわざ引き受けたらしい。
「別に蓮ちゃんと二人で十分だったから、気にしなくていいのよ」
「そうなんだろうけど、せっかくだから手伝いたかったの」
 早紀子の言葉に、明梨は苦笑しながら肩をすくめている。
 そんな様子を見ていると、「やっぱ姉ちゃんって綺麗だよな」などという想いが起きた。先ほど由衣の美少女としての成長ぶりを感じたため、姉についても意識が向いたのだ。
 明梨は、早紀子に似て整った顔立ちをしていたため、昔から可愛らしくはあったが、最近は大人っぽさが出てきたせいか、「美人」と評する方が似合う感じになっていた。
 肩甲骨まで伸びたストレートロングの黒髪が清楚さを感じさせ、その事が女性としての魅力を高めているように思えた。
 性格も明るく、世話好きな言動をするところから、男女問わず人気があった。中学、高校と同じ学校だったが、クラスメートに「お姉さんを紹介して欲しい」と言われた事が何度もあったくらいなのだ。
 蓮にしても姉のことは大好きであり、これまで離れて暮らしている事に寂しさを感じていたたため、今後はちょくちょく逢えるのだと思うと、密かに嬉しく思っていたのだった。
「明梨ちゃんは、ほんと世話好きだよな。近所の人にもよく感謝されるよ、『いい姪御さんですね』ってさ」
 武彦が楽しげに呟いている。おそらくこの村でも、困っている人の手伝いをしているのだろう。昼間会った理那もそう言っていたし、一緒に暮らしていた頃にも、よくそういった事をしていたからだ。
「若い奴らにも人気だからな。明梨ちゃんに夢中になっている男は結構居ると思うぞ。モテモテってやつだ」
「そんな事ないですって」
 武彦の言葉に、明梨は苦笑気味に否定している。だが恥ずかしそうにしている様子からして、叔父の言う通りなのだろう。
 それは誇らしい事ではあったが、心配になる部分でもあった。何故ならモテるということは、それだけろくでもない男が、ちょっかいを出してくる可能性もあったからだ。
(姉ちゃん、胸もおっきいからなぁ……)
 明梨の大きく膨らんだ胸元を横目で眺めながら、この大きさでは周囲の男達の劣情を誘っても仕方ないよな、などと思う。早紀子の胸も大きいので、やはり遺伝なのだろう。
 そんなことを考えている流れから、ついもう一人の女性の胸元へも視線が向いてしまった。
 由衣の胸は、母達に比べると小さくはあったが、それでも十分な膨らみがあると言えただろう。この間会った時より、大きくなっているかも知れない。
 あと数年もすれば明梨と同じく巨乳になるのかな、などと考えていると、目が合ったので慌ててしまう。
「蓮ちゃん、これどうぞ」
「あ……ああ、ありがとう」
 いかがわしい妄想をしていたため、恥ずかしくなりながら礼を言いつつ、差し出されたお椀の中身へ目を向ける。
「ん? これって何?」
 料理自体は野菜の煮付けのようだったが、見たことの無い野菜が含まれていたため気になった。一見里芋のように思えるが、赤い色をしていることに違和感があったのだ。
「里芋だよ。うちの村でだけ取れる芋なの」
「へぇ〜〜、珍しい色してるね」
「ほんと、赤いわ」
 早紀子も少し身を乗り出してお椀の中身を眺めている。ピンク色の里芋なら見たことはあるが、ここまで真っ赤なのは初めてだった。
「うちの村ではしょっちゅう食べるものだからな。まずはこいつに慣れてもらわないと。どこへ行っても出されるからね。ちょっとうんざりするかも知れないけど我慢してくれ」
 武彦が笑みを浮かべながらそう説明している。
「味は凄く美味しいよ。ただね、ほんとよく出されるから、それだけは覚悟しといた方がいいよ」
 明梨が苦笑気味に呟いていたため、実際かなり出されるものなのだろう。とはいえ、味が良いのだとすれば問題無いようにも思えた。
「さ、二人とも食べた食べた。うちの村の味だからな」
 武彦が手を差し伸べながら勧めてきたため、早紀子と二人、同時に芋を箸で掴み、口の中へと放り込む。
 噛みしめると煮付け独特の味わいと共に、里芋の味が口内に溢れた。
「ん、美味しい。こりゃ凄く美味しい」
「ほんと美味しいわ。こんな美味しい里芋を食べたの初めて。これって由衣ちゃんが料理したの?」
 早紀子と二人で絶賛する。お世辞では無く正直な感想だった。味付けも良かったが、里芋自体の味がかなり美味しいのだ。
「そりゃ良かった。由衣が作ったんですよ。良かったな由衣」
「うん……」
 褒められて嬉しいのか、由衣は恥ずかしそうに笑みを浮かべている。
「この里芋にはアンチエイジングの効果もあったりするから、そこも気に入ってるんだよね」
 明梨の言葉に耳を傾けつつ、今度は人参を口の中へ放り込む。
 これまで食べて来た人参よりも美味しさはあったが、里芋ほどの劇的なものは感じなかった。やはりこの里芋は特別美味しいという事なのだろう。
「アンチエイジングって、確か老化防止のことよね? そんな成分が含まれてるの?」
 若さを保つ話のせいか、早紀子が興味を持った様子で尋ねている。女性としては気になるところなのだろう。
「そうみたいよ。何しろこの村へ来て驚いたのが、年齢より若く見える人が多いってことだし。見た目で推測した年齢より、大抵十歳は上なんだよね。三十代かと思ってると四十代だったりしてさ。それって多分この里芋を毎日食べてるからだと思う。叔父さん見れば分かるでしょ。叔父さんみたいな人が沢山居るってことよ」
 確かに以前から、武彦は年齢より若く見えるとは思っていた。単に童顔のせいかと考えていたのだが、どうやらこの里芋のせいという事らしい。
「実際若く見えるってだけじゃなく、肌もホント綺麗なのよ。この間会ったおばさんなんて、六十代だってのに肌がつやつやでさ。凄いったらありゃしない。だから私も今のうちから里芋を沢山食べることにしてるの。母さんもそうしなね」
「そんな効果があるなら、食べない訳にはいかないわね。沢山いただくことにするわ」
 早紀子は嬉しそうに笑いながら、里芋の入った器を手にしている。
 蓮は別にアンチエイジングに興味は無かったが、あれほど美味しければ食べる理由はあったため、再び箸で里芋を摘まむと口の中へと放り込んだ。
 噛み締めると、美味しい味わいが広がって幸せな気分になる。何と美味い里芋だろうか。
 早紀子を見ると、同じように凄く嬉しそうな表情を浮かべていたため、やはり美味しいのだろう。
 ここまで美味いと、癖になりそうな気がしてきた。アンチエイジングはともかく、村の人間がこの里芋を好んでいるというのも納得のところだった。
「これで母さんと蓮も、村の一員ってことね。あとは当主様への挨拶をするだけか」
「当主様?」
 明梨が口にした言葉に首をかしげる。
「食事の後で話そうかと思ってたんだが、実はうちの村では、新しく村民になる人には、当主様への挨拶をしてもらっているんだよ。だけど別に身構えなくてもいい。当主様は気さくな方だし、新しく入ってくる人をいつも歓迎してるからね」
 武彦がにこやかな笑みを浮かべながら説明してくる。
 こうした村ではありがちの慣習というやつだろう。挨拶くらいしても何ら問題は無い、というより「当主様」と呼ばれるような人は偉いのだろうから、そうした人物に挨拶しておくのは普通に礼儀であるように思えた。
「その、当主様というのは、どういった立場の方なんですか? 村長とは違うんですか?」
 疑問に思ったのか、早紀子がそんなことを尋ねている。
 確かに「村長」ではなく、「当主」という呼び方になっているのは気になった。偉い役職だというのは何となく分かるが、実際どういう立場なのだろう。
「村長は別に居るんだがね。そちらはまあ、行政としての責任者って感じだな。当主様というのは、そうした事と関係なく、昔からこの村で最も尊ばれている存在なんだ。村の精神的な支柱というか。ちょっとした信仰みたいなものかな」
「信仰、ですか。じゃあ、神様みたいな感じで……」
「まあ、ちょっと違うんだが、そう解釈すると分かりやすいかも知れないな。それだけ村にとっては大切な存在なので、二人には挨拶してもらいたいんだよ」
 真面目な顔になりながら武彦が告げてきたため、少々緊張を覚える。おそらく都会で暮らしてきた自分達には想像出来ないほどに、村において大切な存在となっているのだろう。
「そういう事なら、むしろこちらからお願いします。ご挨拶させて下さい。蓮ちゃんもいいわよね?」
「うん」
 早紀子が尋ねてくるのに合わせて頷く。
「そいつは良かった。じゃあ、夕飯を食べ終わった後、さっそく行ってもらっていいかな。こういう事は早い方がいいから」
「それは構いませんけど、もう夜なのにいいんですか? 失礼になりません?」
「むしろ夜の方がいいんだよ。昼間は色々とあってね」
 おそらく忙しい人なのだろう。重要視されている役職ともなれば、様々な役割を担っている事が多いからだ。
「ま、取り敢えず今は料理を楽しんでくれ。ほら、もっと芋を食べて食べて」
 武彦が勧めてくるのに笑みで応えつつ、お椀の芋を口へと運んでいく。
 やはり美味しい芋だった。自然と箸が進み、次々と食べていってしまう。
 これをしょっちゅう食べられるというのは実に喜ばしい事だろう。その点だけでも、この村へ引っ越して来て良かったと蓮は思うのだった。


 食事の後、蓮と早紀子は武彦に連れられ、山近くにある大きな屋敷を訪れていた。
 そこは「当主様」の住居であり、村民に敬われている存在だけあって、かなり立派な建物だった。
 中年女性が出迎えてくれたが、彼女は当主の家族という訳ではなく、身の回りの世話をする係の者らしい。そうした人間が何人かいるのだという事を武彦が説明してくれた。
 通された部屋は十畳ほどの広さで、奥の方には簾がかかっており、よく見えない状態になっていた。
 まるで時代劇に出てくる高貴な人物の部屋のようだ、などと思いつつ目を白黒させていると、「ここで待っていてくれ」と告げた武彦は、世話係の女性と共に部屋から出て行ってしまった。
 どうしたものかと早紀子へ視線を向けると、「座って待っていましょう」と言われたので、簾の近くまで行って腰を下ろすことにした。
 お喋りをする雰囲気ではなかったため、そのまま黙って待ち続け、少しした頃だろうか、不意に簾の向こうにある左側の襖が開いて、小さな人影が姿を現した。
 その人影はトコトコと蓮達の前まで歩いてくると、正座をして、軽く頭を下げてきた。
「よくいらっしゃいました。私が当主の沙耶(さや)です。これからこの村に住むそうですね。宜しくお願いします」
 簾の向こうから女性の声が聞こえてきた事に驚く。「当主」などというから、年老いた男性をイメージしていたためだ。
 簾のせいで容姿が分からず、年齢は推測しにくかったが、声の調子からして三十代か四十代くらいだろうか。
「こちらこそ、宜しくお願い致します」
 隣で早紀子がそう言って頭を下げたため、蓮もそれにならった。
「都会に住んでいたのでは、色々不便を感じる事もあるでしょうけど、この村にも村ならではの良いところがありますから、気に入ってくれると嬉しいです」
「先ほどこの村で採れる里芋をいただきましたが、大変美味しかったです。それだけでもこの村へ引っ越してきて良かったですわ」
「そうですか、芋を食べたんですね? それで美味かったと。それは良いことです。そちらのお兄さんはどうですか? 口に合いましたか?」
「はい。とても美味しかったです」
 こういう場合、お世辞でもそう言うだろうが、実際凄く美味かったため、嘘をつく必要もなく正直に答える。
「二人とも美味しかったですか。そうですか。親子でそうであるとは実に良いことです。あなた達は、この村の住人となるのにピッタリという事でしょう。あれは合わない人には不味いものですから。この村へ越してくる人がたまにいますけど、芋が合わなくて出て行ってしまうんですよ」
「あら、そうなんですか? あんなに美味しいのに、不味いなんて人も居るんですねぇ」
「駄目な人にはどうしようもないですからね。この村では、どこへ行ってもあれが出ますから、駄目な人にとっては辛いでしょう」
 確かに不味い食べ物をしょっちゅう出されるのでは、辛くて嫌になるだろう。それにこうした田舎では、そういった付き合いが出来ないのでは、住み続けるのは難しいのかも知れない。
「まあ、あなた達は美味しかったのなら問題ないでしょう。これから宜しくお願いしますね」
「はい、こちらこそ宜しくお願いします」
「お願いします」
 早紀子と一緒に頭を下げ、笑みを浮かべる。
 そして顔を上げた瞬間、簾の向こうに見える沙耶の顔が、一瞬迫ってきたような錯覚を覚えたためギョッとなった。
 無論、実際そんな事はなく、気のせいでしか無かったのだが、何とも妙にリアルに感じられた錯覚だった。
 当主は、これで挨拶は終わりとばかりに立ち上がると、「それではまた」と告げ、部屋から出て行ってしまった。
 結局最後まで簾を上げなかったが、何か理由でもあるのだろうか。
 おそらくそうした慣習なのだろうが、何とも時代掛かったものだと思いつつ、緊張が解けたせいか、大きく息を吐き出す。
「それじゃ、帰りましょうか。もういいんでしょうから」
 早紀子に促され、それに応じてゆっくりと立ち上がる。
「って、あら? キャッ……」
 不意に早紀子がバランスを崩したため、慌てて手を伸ばして支える。
「……ごめんなさい。ちょっと立ちくらみしちゃった……」
 大きく息を吐き出しながら笑みを浮かべる母に、「大丈夫?」と告げつつ手を放す。
「ええ、もう大丈夫よ。さ、行きましょう」
 今度は問題無く歩き出した早紀子に続いて、蓮も部屋を出ていくことにした。
 母の後ろ姿を眺めながら歩いていると、何やら頭がクラクラとしてきたため驚きを覚える。自分も立ちくらみを起こしているのかと思ったが、どうにもそういう感じではなかった。
 意識が少々ぼんやりしているような感じがあるところからして、もしかしたら風邪を引いたのかも知れない。
 今日は早寝をした方がいいだろうか。そんな事を考えながら、心持ちフラフラする体を動かしつつ、蓮は早紀子に付いて歩いて行くのだった。


 家へ帰り、風呂に入ってから、蓮と早紀子はパジャマ姿でテレビを見ていた。
 床に腰を下ろし、母と並んでこうしていると、何やら安心感を覚えてくる。
 やはり初めての土地へ引っ越してきた事で緊張していたのだろう。それが早紀子と二人きりで過ごしている状況になったことで、「今まで通り、何も変わらないのだ」という認識が強まり、気が楽になったのかも知れない。
 当主の家へ行った際に感じた、めまいのような感覚は相変わらず続いており、意識もぼんやりしていて、熱があるような感じもあった。やはり風邪を引いたらしい。
 しかも悪化してきたのか、先ほどよりフラフラするような感覚が強くなっていた。
 実際後ろに倒れそうになったため、慌てて床に手を付いて支える。
 熱を測って確認しようかと思うが、体温計がどこにあるのか分からなかった。荷物を片付けたとはいえ、大ざっぱにしただけであり、どこに何があるのかを把握していないのだ。
「母さん、体温計ってどこにしまったっけ?」
「あら? 熱があるの?」
「うん。何か頭がボーッとしてて……」
「蓮ちゃんもなの? 実は私もなのよね。やっぱり疲れちゃったのかしら……」
 母も同じ状態なのに驚きつつ、引っ越し早々二人して風邪を引くとは、何とも面倒なことになっているなと思う。
「私も測りたいんだけど、どこにしまったのか分からないのよねぇ。この体調じゃ探す気にもなれないし……」
 改めて早紀子の顔へ視線を向けてみると、ほんのりと赤みを帯びており、ボーッとした表情を浮かべているのが見て取れた。
「これで分かるかしら……」
 不意に、早紀子の手が伸びて額に当てられたため驚く。どうやら熱を測ろうという事らしい。だが触れる側の手も平熱以上になっているのでは、体温の違いは分からないだろう。
「熱のある同士でやるんじゃ、意味無いんじゃない?」
「それもそうねぇ。っていうか、蓮ちゃんにこうするのって久しぶりな気がするわ。何か懐かしいわねぇ」
 早紀子は額に手を添えたまま、楽しげに微笑んでいる。
 子供の頃は、熱を出すとよくこうされたものだった。中学生になってからは、恥ずかしくて嫌がりはしたが、内心は安堵していたのを思い出す。
 実際今も手を当てられていると、心地良さが感じられ、身を委ねたくなるような感覚があった。
 熱のせいかフラフラしている状態でもあるため、このまま横になりたくなってきた。早く自室へ行って休んだ方がいいかも知れない。
「母さん俺……あ……」
 体を起こそうと力を込めた瞬間、不意に支えにしていた右腕から力が抜け、倒れそうになった。
「危ないっ」
 早紀子が慌てて抱き留めてくれたたため事なきを得たが、体勢を立て直そうとしても上手くいかず、どうにも力が入らない。
 呼吸も何やら荒くなり、体全体が火照ってきているような感じがした。
 これはかなり熱が上がったのかも知れない。
 そう認識するとさらに力が抜け、母へ体を預ける状態になった。
「蓮ちゃん大丈夫?」
 優しい声が聞こえ、背中に手が回されて抱きとめられているのが分かる。それは実に心地良く、懐かしい想いが広がって、うっとりとした気分になった。
 母に抱き締められるのはいつ以来だろう。
 母性を感じさせる柔らかな肉体が意識され、全てを委ねたい気持ちで一杯になってくる。
 熱が高まっているのか、意識がボーッとしており、頭がクラクラして思考が上手く出来ない。
 周囲を認識しようとしてもよく分からず、感じられるのは、己を包み込む心地良い感触だけだ。
(ああ……気持ち、いい……)
 早紀子の体と触れ合っているだけで安堵感が広がり、それをもっと味わいたくてたまらなくなる。
 いつの間にか頭に手が置かれ、優しく撫でられているのに気づく。
 それは幼い頃によくされた行為であり、意識も当時のものに戻っていくような感じがした。
 幼児的な甘えの感覚に流されるまま、母の体に頬ずりし、強く抱き付いてしまう。
 すると柔らかな感触が広がり、心身共に癒されていくのが感じられた。
「蓮ちゃん……」
 早紀子の慈愛溢れる声が耳に響き、それにより益々心地良さが高まっていった。
(母さぁん……)
 甘えの意識も強くなり、この気持ち良さをもっと味わいたいとばかりに強くしがみついていく。
「……」
 早紀子の唇から大きな息が吐き出され、ギュッと抱き締め返された。
 体の前面が柔らかさで溢れ、そのあまりの気持ち良さに、頭がさらに朦朧としていった。
(母さんの体って、柔らかい……女の体って、こんなに柔らかいんだ……)
 幼い頃の記憶にあるよりも、柔らかさを感じさせる母の体。
 その魅惑的な感触に、いつまでも浸っていたい想いで一杯になっていく。
(あ……これ……)
 不意に単なる心地良さとは異なる感覚が、己の中で起きているのに気づいて動揺を覚える。何故ならそれは、母親に対して抱いてはならない感覚だったからだ。
 早紀子の柔らかな体、そのムニュリとした柔肉が押しつけられるたびに、股間に気持ちのいい刺激が走り抜けたのだ。
 それは、性的快感だった。
 つまり今の自分は、母を性的対象として意識している事になった。
 早紀子にいやらしい意識を向け、性的な意味でその肉体を、女体として認識してしまっていたのだ。
 罪悪感が起こる。
 母親に対して何ということを思っているのだろう。
 慌てて意識を反らそうと思うが、熱で頭がボーッとしているせいか上手くいかない。
 せめて離れようと体を動かしてみるが、どうにも力が入らなかった。
 今の自分の状態に気づかれていないかと不安になり、早紀子へ視線を向けると、そこにはぼんやりとした笑みを浮かべた顔があった。
 頬が火照って、目がうつろな状態になっているところからして、やはり母も熱があるらしい。
 その表情は何とも色っぽく、女としての印象を強くもたらしたため、思わずドキリとしてしまった。
 瞬間、「いけないものを見てしまった」という想いが起き、視線を外すが、一旦認識した印象をぬぐい去ることは出来なかった。
「蓮ちゃん……」
 不意に名前が呼ばれたかと思うと、ギュウっと抱き締められ、頬ずりをされた。
 性的に意識している状態でそのような事をされてはたまらなかった。
 強まった女肉の感触に動揺が激しくなり、体全体を包み込むムニュムニュした刺激に、蕩けるような気持ちの良さが広がっていく。
 特に胸元で潰れる二つの柔らかな膨らみを意識すると、性的な感覚が強まり、落ち着かない衝動が激しくなっていった。
(あ、ヤバっ……)
 そう思った時には遅く、股間に走り抜けた刺激に、ムクムクと一物が勃起してしまった。
 これだけの事をされては当然だったが、実の母親相手に何をしているのかと、その許されざる反応に強い罪悪感が起きてくる。
 だがそうして申し訳なさを覚える一方、押しつけられる柔肉の感触に、快感を覚えているのも確かだった。
 肉棒が反応を示した事で、体全体が欲情状態になってしまい、すでに性的に意識しないという事は不可能になっていた。
(母さんの体……気持ちいい……)
 鼻息を荒くしながら、柔肉の感触を少しでも味わおうと、体を擦り付けるように動かしてしまう。
 そのたびにジンワリと伝わってくる女肉の柔らかさに快感を覚えつつ、幼い頃に戻ったかのように、甘えの想いが強まっているのが感じられた。
 やはり相手が母親であるせいか、どこか甘えたいと欲する衝動があるのかも知れない。それが性欲と結びつき、強い執着を生んでいるように思えた。
(母さん……ああ、母さぁん……)
 早紀子への強い思慕、そしてこの気持ちのいい感触を手放したくないとする衝動が、母の体を強く抱き締めさせ、頬ずりを繰り返させていく。
 通常であれば、したくても恥ずかしくて出来ないに違いなかったが、今は熱でおかしくなっているせいか、素直に行うことが出来た。むしろ夢中になってしていると言えただろう。
「あ……」
 少々力を込めすぎたせいか、耐えきれなくなったらしい早紀子が後ろへ倒れ込んだ。
 自然とのし掛かる状態になり、母と重なり合う。
 体を受け止める柔らかな感触にうっとりしつつ、まるで性行為をしているかのような状況に、熱とは別の理由で呼吸が荒くなった。
 早紀子の手が背中へ回され、優しく撫でてくるのに幸せな気分になると共に、体の下で微妙に動く女肉の感触に快感が高まっていく。
「蓮ちゃん、大好きよ……」
 愛情の籠もった言葉が告げられると共に、頬に湿った感触が起きた事に驚く。
 早紀子がキスをしてきたのだ。
 そのような事をされたのは、いつ以来だろうと思いながら、恥ずかしさとこそばゆい嬉しさ、そしてドキドキとした想いに包まれる。
 視線を母へ向けると、そこには何とも幸せそうな笑みがあった。
 熱で惚けた表情をしているものの、そのせいで余計に温かみのある微笑みになっており、まさに母性の塊のような慈愛を感じさせた。
 一方、それとは別に妖しげな女の色香も感じられ、その母性と色香という相反する魅力に包まれている己の状況に、幸福感で一杯になっていく。
 早紀子に対する強い愛情、そして肉欲が湧き起こり、強烈な執着を覚える。
 自分の母は、何と愛らしいのだろう。
 そして自分は、何と愛されているのだろう。
 そうした想いが込み上げ、嬉しさと甘えの想いから、しがみつくようにして体を擦り付けていってしまう。
「蓮ちゃん、可愛い……」
 再び頬にキスをされ、チュッチュッと、繰り返し唇が押しつけられる。
 早紀子の強い愛情を感じつつ、自分も同じように愛情を示したいと思った蓮は、母の頬へと唇を接触させていった。
 このような事をしたのは生まれて初めてかも知れない。記憶に無いほど幼い頃にはしたのかも知れないが、自意識が芽生えてからするのは初めてだった。
 普段ならとても出来ることではなかったが、熱で頭がボーッとしているせいか、ためらうことはなかった。
「蓮ちゃん……」
 早紀子は感動したかのような声を漏らすと、それまで以上に激しくキスをしてくるようになった。
 蓮も負けじとキスを返し、母子はお互いの頬に唇を繰り返し押しつけ、愛情を確かめるように抱き締め合った。
(!……)
 不意に唇に起きたそれまでとは異なる感触に、驚いて体を硬直させる。
 今触れたのが、母の唇に思えたからだ。
 目の前では、早紀子が同じように動きを止め、目を丸くしていたため、やはりそうなのだろう。
 母親と、唇同士のキスをしてしまった。
 その事に何とも言えない衝撃を覚える。
 しかし早紀子の方は、驚いていたのは少しの間だけで、すぐに笑みを浮かべると、こちらの首に両腕を絡ませ、ゆっくりと顔を近づけてきた。
 何をするつもりなのか予想はついたが、それに対して嫌悪感は起きず、むしろ自分もしたいと思った蓮は、そのまま母の行為を待った。
 熱で惚けた早紀子の顔が間近に迫り、潤んだ瞳が徐々に閉じられていく。
 母子の唇が再び重なり、今度ははっきりとその事を認識する。
 少しして放されたが、すぐにまた重ねられたかと思うと、何かが口の中に入り込んできたのが分かった。
 舌だ。
 早紀子が口内へ舌を入れてきたのだ。
 さすがに親子でそこまでしてはマズいだろうと思ったが、口の中で蠢く舌から受ける甘美な刺激に、すぐにどうでも良くなった。
 こちらの舌に絡み付き、吸い付き、舐め回してくる動きは、初めて経験する行為として激しい興奮を呼び起こした。心臓がバクバクと鼓動し、股間で一物がビクンビクンと律動を繰り返していく。
 与えられる快感に意識が朦朧とし、さらなる気持ちの良さを求めて唇を押しつけていってしまう。
「ん……んっ……んんっ、んふぅ……ふぁ……ふぅ……蓮ちゃんとキスぅ、しちゃったぁ……」
 少しして唇が離れると、早紀子はぼんやりとした口調でそう告げ、ちょっとしたいたずらをした後のような、楽しげな笑みを浮かべた。
 その瞳は潤みを帯びており、上気している頬と相まって、何とも色っぽさを感じさせるものがあった。
 母親に色気を感じるなど、本来嫌悪感を覚えるはずの事だったが、それ以上に未知の体験をした事で強烈な興奮が起きていた。
 もっと母の体に触れてみたい。
 女の体を味わってみたい。
 そうした雄としての肉欲が昂ぶり、抑えきれない衝動が込み上げてくる。
 それは母親に対して抱いてはならない性的欲望だったが、今はむしろ母親だからこそ許してくれるのではないかという期待があった。
 何しろ親子でするはずのないディープキスを、性的行為を、早紀子の方からしてきたのだ。つまりそれは、自身へ肉欲を向けていいと許可しているように思えたのである。
 ならばさらに一線を越えた行為をしても、母は許してくれるに違いなかった。
(おっぱい、揉みたい……)
 男であれば、誰しもがしたくてたまらない行為。女性の胸元に存在する柔らかな膨らみを、思い切り揉みしだいてみたかった。
 今の母ならば、やらせてくれるだろう。
 自然と手が動き、早紀子の胸元へと移動していく。
 バクバクと心臓が鼓動すると共に、股間の一物がいきり立つ。
 パジャマの上から手を押しつけ、掴むようにして動かすと、瞬間、手のひらに気持ちのいい感触が広がった。
(柔らかい……)
 思春期に入ってから、揉みたくてたまらなかった乳房の感触が、今手のひらにあった。
 悦びが湧き起こり、自然と手が揉むことを繰り返していく。
 豊満な乳房に指が食い込み、押し返される感触に、たまらない気持ちの良さが溢れた。
 何と素晴らしいのだろう。おっぱいとはこれほど柔らかいものだったのか。
「蓮ちゃん……」
 不意にかけられた声に、ビクっとなって体を硬直させる。
 叱られるのでは? という想いが起き、恐怖から母の顔を見ることが出来ない。
 先ほどは「許してくれるに違いない」と思ったが、それは勝手な推測でしかなく、実際はそうではないかも知れないのだ。
「いいのよ。触りたいんでしょう? お母さんのおっぱい、もっと揉んでいいのよ」
 優しげに告げられた言葉に、安堵と共に悦びが全身に駆け抜ける。
 許された。
 母は胸を揉むことを許可してくれたのだ。
「か、母さん……」
 震える鼻息を吹き出し、勢い良く上半身を起こすと、両手で双乳を鷲掴む。
「んっ……」
 瞬間、早紀子の唇から吐息が漏れ、そのいやらしさを伴う発声に興奮を抱く。
 ゆっくりと両の乳房を掴み、揉むことを繰り返していく。
 目の前で二つの丸い膨らみが形を変える様を見ていると、激しい興奮が湧き起こり、手のひらに押し寄せる乳房の弾力に悦びが溢れた。
 時折早紀子の唇から、抑えきれないという感じで、「あっ……」「んっ……」といった吐息が漏れるのがまたたまらず、己の与える刺激に母が反応を示しているのだという事に、強烈な誇らしさが起こった。
(おっぱい、見てみたい……)
 やがてパジャマの上からでは物足りなくなり、生で乳房を見て、揉んでみたくなった。
 ここまでさせてくれたのだから許してくれるだろう。
 そうは思うものの、やはり不安を消し去ることは出来ず、恐る恐るといった感じで早紀子の顔を覗き込む。
 するとそこには、何とも優しげな微笑みが浮かんでいたため、これならば大丈夫だと安堵の想いが起きた。
 そのまま手がパジャマのボタンへと伸び、震えながら外す作業を行っていく。
 徐々に肌があらわになっていくのを凝視しつつ、やがて眼前に綺麗な二つの膨らみが現れた事に、心臓が激しく高鳴った。
 その柔らかな肉の塊は、白い肌で覆われていて、上気してほんのりと桜色をしていた。
 頂点にはピンク色の突起が存在し、その思わず吸い付きたくなる形状にゴクリと唾を飲み込む。
 赤子の頃の自分は、これを咥えて母から栄養を貰っていたのだと思うと、何とも言えない感慨が起こった。
 そしてそれ以上に、早くむしゃぶりつき、思い切り吸い上げ、舐め上げたい衝動が押し寄せてきた。
 本来授乳器官でしかないものに、何故ここまで性的衝動を呼び起こす力があるのか。そんな疑問を抱きながら、まずは生の感触を味わうのだと、手を乳房へと伸ばしていく。
 触れた瞬間、フニュリといった柔らかさと、しっとりした感触が手に溢れ、これまで以上の心地良さに、自然と頬が緩む。
 続けてフニュフニュと揉みしだいていくと、丸い膨らみが指に押されて形を変え、それに合わせて中心にある乳首が移動する。
 それはまるで誘っているかのように感じられ、我慢出来なくなった連は、顔を寄せ、プクンっとした突起を口に含んだ。
「あっ……」
 軽く吸い上げると、早紀子の唇から甘い吐息が零れた。
 その声にドクンっと心臓が跳ね、そのまま勢い良く吸い、舌で舐め回し、吸っては放し、吸っては放しを繰り返す。
 その間も乳房を揉む行為は止めず、夢中になって母の乳房を味わっていく。
(母さん……母さん……ああ、母さんのおっぱい……おっぱい凄いよぉ……)
 訳が分からなくなりながら、一心不乱に乳房への愛撫を続けていく。
「あっ……んっ……あぁっ……」
 早紀子は与えられる刺激に、断続的に甘い吐息を漏らしつつ、クネクネと体を動かし、背中に回した腕で強く引き寄せてくる。
 そうされると顔が豊満な双乳に埋まったため、苦しさを覚えるものの、顔面に溢れる柔らかさにたまらない想いを抱いた。
 天国のような状況に幸せ気分に浸りつつ、乳房を揉み、乳首を吸っていくのを繰り返していく。
 しばらくしてある程度乳房に満足すると、今度は女性器を確認してみたくなった。
 何しろ男には無い器官であり、どのような形状をしているのか知りたかったからだ。
 通常であればそのようなことを要求出来なかったが、強烈な興奮状態にあるせいか、勢いのままやってしまえ、といった想いがあった。
 早紀子にしても同じ状態であるように思えたため、受け入れてくれるに違いなかった。
 大きく息を吸い込むと、起き上がり、母のパジャマのズボンに手をかけ、少し持ち上げるようにして、パンティごと一気に引き下ろしてしまう。
「あっ、やだっ……駄目よ蓮ちゃんっ……」
 早紀子が恥ずかしそうに否定の言葉を叫び、下半身を押さえるようにして体を硬直させた。
 しかし本気で嫌がっているのではない証拠に、こちらを見つめる顔には、嫌悪ではなく、困惑の表情が浮かんでいた。
「俺、見てみたいんだ。お願い」
 これならば大丈夫だろうと安堵の想いを抱きつつ、甘えるように頼み込んでみる。
 そのおねだりに、早紀子はどうしたらいいのか分からない様子で視線を彷徨わせている。
「……しょうのない子ね」
 少し考えるようにした後、息を吐き出すようにして告げてきた言葉に、歓喜の想いが湧き起こった。母は許可を与えてくれたのだ。
 ドキドキしながら肉付きの良い両脚を掴み、左右へと開いていく。
 股間へ顔を寄せ、視線を向けると、そこには内臓を思わせる、貝のような肉の襞があった。
 男性器と違って柔らかそうであり、そこにあるはずの穴へ肉棒を入れるのがセックスなのだと思うと、激しい興奮が湧き起こった。
 指を伸ばし、襞に触れると、早紀子がピクッと体を震わせる。
 そのまま探るようにして触れていくと、複雑な形状が見て取れ、これが女性器なのだという実感を得た。
 上の方に突起があるのが見え、これがクリトリスなのだろうと思うと同時に指を這わせていく。
「あっ、やっ……」
 早紀子がビクビクっとそれまで以上の反応を示したため、やはり敏感な部分なのだというのが分かる。
 ならばもっと触れ、舐めたりする事で、母を気持ち良くさせてみたい。
 男としての征服欲が湧き起こり、蓮は舌を伸ばしていった。
「あんっ……だ、駄目よ舐めちゃっ。舐めるのは駄目っ……」
 ペロリとした瞬間、早紀子が驚いたように否定の言葉を叫んだが、最初に聞こえた甘い吐息により、もっとしたくてたまらなくなった。やはりここを刺激すると、女は気持ちがいいらしい。
「あっ、あんっ……駄目って、あっ……駄目よぉっ……」
 何度も舌を這わせていくと、早紀子は体を小刻みに震わせ、困ったような喘ぎを漏らした。女である事を意識させるその声に、興奮は爆発的に高まり、もっと母を乱れさせようと熱心に舐め回していく。
「あんっ、あっ、やぁっ……そんなにしたら、ああっ……駄目ぇっ……」
 ビクビクビクっ、と抑えが効かないようにして震える早紀子の姿に驚きを覚えると共に、自分の与える刺激でここまで反応を示すのだという事に悦びがあった。
 体の奥底から落ち着きの無い衝動が押し寄せ、股間では肉棒が痛いほどに勃起していた。
 この硬く大きくなっているモノをどうにかしたい。母の中に、目の前の気持ち良さそうな穴へ入れ、思い切り擦り上げてみたい。
 そうした想いが押し寄せ、もう我慢出来なくなった。
 入れる。
 母の中に肉棒を入れるのだ。
 その許されざる禁忌の発想に罪悪感が起きると共に、ゾクゾクとした興奮が湧き起こった。
 ここまで来たら、最後までしないでは居られなかった。このような機会など、もう二度と無いに違いないからだ。
 通常ではあり得ない、おかしくなっている今の状況だからこそ、母は受け入れてくれているのであり、明日になれば許してくれない可能性は高いのである。
 ならばセックスを体験するには、今をおいて他に無かった。
 母親相手に初体験する事に、躊躇が無いと言えば嘘になるが、大好きな母が相手であるなら、後悔はしないと思った。
 むしろ安心して行えるだろう。何しろ生まれた時から自分の事を理解している相手なのだ。失敗しても何も恥ずかしくないし、導いてもくれるに違いないからである。
「母さん……俺、入れたい……」
 その言葉に、早紀子はハッとしたような表情をして固まった。
「……何を言ってるの? 分かってるの? お母さんなのよ?」
「分かってるよ。でも入れたいんだ」
「親子でするのは駄目なのよ? 近親相姦なの。しちゃいけない事なの」
「そうだけど……でも入れたいんだ。母さんと、セックスしたいんだよ」
 直接的な単語で告げると、早紀子は動揺した様子で視線を左右へ動かし、大きく息を吐き出して顔をそむけた。
「……お母さんが変な風にしちゃったから、おかしくなっちゃったのね。でもお願い我慢して。親子でするなんて、いけない事なんだから」
「でも俺、したいんだ。ヤりたいんだよ」
 母から告げられる否定の言葉に、必死になって食い下がる。
 親子でセックスするなどいけない事だと分かっている。しかし今の自分は、母の中へ入れないではいられなかった。それほどまでに心身共に性欲に染まっていたからだ。
 眼下には、眉根を寄せ、困ったような表情を浮かべた早紀子の顔があった。垂れ目がいつも以上に泣き顔のような印象を強め、それが嗜虐心をそそって色っぽさを感じさせる。
 身につけているのは、前をはだけたパジャマの上のみであり、白い肌に覆われた肉体がさらけ出されていて、これまで見たことのなかったその姿は、母を女として強く認識させた。
 この美しい肉体を持つ母を相手に、初めてのセックスを経験出来たら、それはきっと素晴らしいに違いない。
 無論近親相姦の禁忌を犯すことへの恐怖はあったが、だからこそ興奮している部分もあった。
 どうしてもしたかった。
 母とセックスしたかった。
 母の中へ肉棒を入れ、擦り上げ、思い切り射精してみたかった。
「……そんなに……お母さんと、したいの……?」
 しばらく黙っていた早紀子が、不意に恐る恐るといった感じで尋ねてきた。
 その様子には、もう受け入れてくれそうな雰囲気があったため嬉しさが爆発する。あと一押しで、母はセックスを許してくれるに違いない。
「したい。したいよ」
「でも親子なのよ? それでするのは良くないでしょう?」
「そうだけど、でもしたいんだ」
 先ほどと同じやり取りが繰り返される。
 早紀子もその事に気づいたのか、困ったようにして押し黙った。
 そして少しすると、大きく息を吐き出し、視線を落ち着かない様子で彷徨わせている。
「その……お母さんとして、後悔しない? 初めてが母親なんておかしいでしょ? それでいいの? 蓮ちゃんだって、そのうち彼女が出来るだろうし、そうすれば好きな女の子と初めてをする事になるのよ。その方が良くない?」
「そんな事ないよ。母さんとなら全然後悔しない。それに彼女なんていつ出来るか分からないし、今母さんとするのは凄く嬉しいよ」
 断言する蓮に、早紀子は微妙な表情を浮かべて見つめてきた。
「……しょうのない子ね……いいわ。お母さん、蓮ちゃんとしてあげる」
 ついに了承を得られた事に、強烈な悦びが湧き起こった。
 それと同時に、いよいよセックスを体験するのだという興奮に、心臓が激しく鼓動していく。
「でもいい? これは本当はいけない事なの。しちゃいけない事なのよ? 特別なんだからね。分かってる?」
「うん。分かってるよ」
「誰にも言っちゃ、駄目だからね?」
 早紀子の念押しに、コクリと頷く。
 言われずとも、誰かに話すことなどあり得なかった。
「……じゃあ、入れてみて……慌てないでね。ゆっくりでいいんだから」
「う、うん……」
 一旦了承すると、覚悟が決まったのか、早紀子は優しく導いてきた。
 その態度に嬉しさが込み上げ、母に対する愛情が強まっていく。
 慌ててパジャマのズボンとパンツを脱ぐと、すでに強く勃起している一物を手に持ち、肉付きのいい太ももの間へ腰を入れる。
「ほら、ここよ。分かる? さっき見たから分かるわよね? ここに入れるのよ?」
 早紀子は自ら股間に手を伸ばし、入れやすいように穴の位置を示してくる。
 この中へ入れたら、どれほど気持ちがいいのだろう。これまで手で自慰をした事はあるが、女性器の中ともなれば、比較にならない良さがあるに違いなかった。それをこれから自分は知ることになるのだ。
 心臓をバクバクと鼓動させながら、震える体を抑えつつ、ゆっくりと肉棒を近づける。
 亀頭の先が秘所に当たり、その刺激にビクッと体を震わせつつ、ゆっくりと前へ押し出していく。
 ……だが上手く入らなかった。
「そこじゃないわ。もっと下よ」
 早紀子の言葉に、慌てて肉棒を下へ向け、もう一度突き出してみる。
 しかしまた入らない。
 焦って何度か入れる動きをしてみるが、どうにも上手くいかない。
「大丈夫だから落ち着いて。ほらこっちだから」
 早紀子が手を伸ばし、肉棒を掴んで来たため硬直する。これまで他人に触れられた事などなかったため、その新鮮な刺激に衝撃を覚えたのだ。
「ここよ。さ、ゆっくり前に動いて……そう、そうやってゆっくり……」
 言われるまま腰を押し出していくと、亀頭の先が何かにハマるような感覚が起きた。
 ここか、とばかりにさらに突き出すと、先端が温かくて湿ったものに包まれるのが感じられた。
 ジンワリとした気持ちの良さが押し寄せ、腰から背骨を通じて快感が涌き昇っていく。
(ふぁ、あったかい……き、気持ちいぃ……)
 ほんわかとするような快感に、頬がだらしなく緩み、下半身が硬直する。
「うん、入った。入ったわね。蓮ちゃんのが入ったわ」
 褒め称えるような口調で告げられ、その事に嬉しさが込み上げてくる。ついに女の中へ入ることが出来たのだ。何と素晴らしいのだろう。
「そのまま奥へ入れてみて……そう、そうやって奥に……うん、いいわ、いいわよぉ……」
 早紀子に言われるまま腰を押し出すと、そのたびに一物が温かくて湿った肉をかき分け、奥へと入り込んでいくのが感じられた。
 ゾクゾクするような快感が湧き起こり、体が小刻みに震えていく。
 やがてこれ以上進めないという位置まで肉棒を押し込むと、大きく息を吐き出して動きを止める。
「蓮ちゃんが……お母さんの中に、入っちゃった……」
 早紀子は感動したような口調で呟くと、背中に腕を回して抱き締めてきた。
 至近距離に、泣きそうな、嬉しそうな顔があり、今自分が母と一つになっているのだという実感が起きる。
「これっていけない事だけど、お母さん何だか嬉しくなっちゃった……大きくなったのね蓮ちゃん。もうすっかり大人の男の人だわ……」
 息子の成長を感じたのか、早紀子は涙ぐみながら強く引き寄せてくる。
 顔が近づくのと同時に瞼が閉じていき、唇に吸い付かれた。
「んっ……んんっ……んふっ……」
 舌に絡みつき、吸い付き、愛撫してくる動きと共に、早紀子の色っぽい吐息が耳に響く。
 膣に収まった肉棒から鼓動が伝わり、その事で今自分が母に包まれているのだというのが強く認識される。
 母の中は何と温かく、そして気持ちが良いのだろう。まさに全てを包み込まれているような癒しの素晴らしさがあった。
 少しして唇が離れると、早紀子は呼吸を乱しながらジッと見つめてきた。
「お母さんの中はどう? 気持ちいい?」
「うん、スゲェ気持ちいい」
 母の中は、温かくて湿っていて、締め付けてきて最高だった。
 それは初めて味わう快感であり、股間から蕩けるような気持ちの良さが押し寄せてきていた。
 これが女の中なのだ。
 何と素晴らしいのか。
「じゃ、そろそろ動いてみる?」
「う、うん……」
 早紀子に促され、ゆっくりと腰を引いてみる。
(ふぁっ……何これ? 凄ぃ……)
 肉棒に絡みついた襞が蠢き、まるで腰を引き抜かれるような快感が走り抜ける。
 自慰をする時とは比較にならない、強烈な快楽がそこにはあった。
 意識せずとも腰が勝手に動き出し、ガクガクと前後に振られていく。
 そのたびに膣襞に掴まれた肉棒は、吸い付かれ、嬲られ、快感を与えられまくった。
「母さん、うぅっ……母さぁんっ……」
 唇をワナワナと震わせ、床についた手に力を込めながら、無茶苦茶に腰を動かしていく。
 頭の中は真っ白で、訳が分からなくなっていた。
「いいわよ蓮ちゃん、あっ……蓮ちゃんいい、あっ、あっ……そう……そうやってもっと、あんっ……」
 こちらの突き込みに合わせて、早紀子の体が前後に動き、豊満な乳房が揺れている様子に、今確かに母と繋がり合っているのだという実感を得る。
 自分はセックスをしているのだ。
 女を自由にしているのである。
 そう思うと、強烈な自信が湧き起こっていった。
「あっ、あっ……ああっ……蓮ちゃん上手、あんっ……蓮ちゃん上手よぉ、あっ、あんっ……そうやってもっと、あっ……もっと腰を動かすのぉっ…………」
 褒め称えてくる言葉に、自尊心が強く擽られる。
 セックスをしながら褒められると、どうしてこれほど嬉しいのだろう。
 己の行為が母を悦ばせているのだという事実に、震えるほどの悦びが押し寄せてきた。
「あんっ、あんっ、ああんっ……激し、ああっ……激しいわ蓮ちゃん、あっ、あっ……それいい、あんっ……それいいわぁっ……」
 嬉しさが腰の動きを強め、それにより早紀子の喘ぎが高まっていく。
 眉根を寄せ、潤んだ瞳で愛おしそうにこちらを見上げてくる姿は、淫らな女そのものだった。
 これまで見たことのない、母の女としての顔。
 それは衝撃を覚えると同時に、ワクワクするような悦びをもたらすものでもあった。
「あっ、あぅっ、あぁんっ……いいっ、いいっ、お母さんいいわぁっ……お母さん、蓮ちゃんのがいいのぉっ……」
 男女の行為をしながら、母親として息子を褒め称えてくる。そのギャップに、強烈な背徳感が湧き起こった。
 今自分達は、母子でするには許されない行為をしている。
 そう思うと気持ちの良さがさらに高まり、もう訳が分からず、とにかく腰を振りまくる事しか出来なかった。
「ああんっ、あっ、ああっ……蓮ちゃん凄い、あっ、あっ……蓮ちゃん凄いの、ああんっ……」
 早紀子が頭を左右に振り、耐えられないとばかりにしがみついてくるのに、誇らしい悦びが駆け抜ける。
 目の前にある母の顔は、淫らに緩み、半開きになった唇の間からは、舌がチロチロと蠢くのが見えた。
 何といやらしい姿だろうか。
 これまで息子である自分には、決して見せなかった、母の雌としての顔。
 それが今、さらけ出されているのだ。
(母さんは、俺の女だ……)
 一人の女を手に入れた悦びが湧き起こり、もっともっと母を悶え、乱れさせたくなった。
 しかし初心者である蓮の耐久力は、すでに限界だった。
 男としてまだまだ未熟な肉棒は、経験豊富な熟れた膣に容赦なく蹂躙され、強烈な快楽を与えられまくっていた。さらには初体験という精神的な興奮も凄まじい事を考えれば、これまで耐えられていた方が奇跡と言えただろう。
「あんっ、あんっ、ああんっ……蓮ちゃん、あっ……蓮ちゃぁんっ……」
 早紀子が甘えるように名を叫び、両脚を腰に絡みつかせ、しがみついて来たのがトドメだった。
 膣内がキュウっと締まり上がり、その強烈な吸い付きに抗うことなど、初心者の蓮には不可能な事でしかなかった。
「うっ、うぁっ!」
 意識する間もなく精液が迸り、蕩けるような快楽が、腰から一気に脳天へと駆け上っていく。
 ドピュッ、ドピュッ、ドクドクドクドク……。
 肉棒が何度も大きく律動し、そのたびに精が迸っていくのを意識の片隅で認識しながら、涌き昇ってくる快楽に身を委ねる。
 自慰の時とは比較にならない強烈な気持ちの良さに頭を真っ白にしつつ、ガクガクと体を震わせ、頭を仰け反らせていく。
 しばらくして精の放出を終えると、蓮は大きく息を吐き出し、母の上へと倒れ込んだ。
 柔らかで温かな肉に受け止められる事に心地良さを覚えつつ、荒い呼吸を繰り返し、脱力していく。
 頭に早紀子の手が置かれ、優しく撫でられるのに癒される想いを抱きながら、何と素晴らしい体験をしたのだろうと、嬉しさで一杯になった。
「良かったわよ……上手ね蓮ちゃん……凄いわ」
 絶賛してくる早紀子に、歓喜が湧き起こる。
 自分は母を満足させられたのだ。上手くやれたのだ。
 その事が男としての誇らしさを昂ぶらせた。
 それと同時に、力を失っていた一物がムクムクと硬さと大きさを回復していくのが感じられた。
 もっと母とセックスしたかった。
 あの気持ちの良さを、もっと味わってみたかった。
 何しろ明日になったら、もう出来ないかも知れないのだ。
 そう思うと、今夜の内に何度もしておかなければ、という想いが起こった。
「ね、母さん」
「なぁに?」
 こちらへ向いた早紀子の顔は、上気して赤みを帯びており、汗で額に張り付いている数本の髪の毛が色気を感じさせた。
 潤んだ瞳が見つめてくるのに、ドクンっと心臓が強く跳ねる。
「その……また、したい……」
「え? もうしたいの? だって今出したばかりでしょ?」
「そうなんだけど……駄目、かな?」
 やはり二度目は許してくれないだろうかと不安になり、恐る恐る尋ねる。
 早紀子は少しの間驚いた顔をしていたが、すぐに苦笑を浮かべると、優しく頭を撫でてきた。
「ふふ、しょうのない子ね……いいわよ。いらっしゃい」
 受け入れてくれた事に嬉しさが爆発する。
 これでまたあの気持ちのいい行為をする事が出来るのだ。
 鼻息を荒くしながら勢い良く起き上がり、慌てて挿入の体勢をとる。
「ほら、落ち着いて……じゃあ、今度は自分で入れてみて」
 優しく導いてくる早紀子に頷き、先ほどの状況を思い出しながら肉棒を近づけていく。
 今回は一度で亀頭の先が上手くハマり、そのまま押し込むと、奥へ入り込んでいくのが感じられた。
 肉棒が膣襞と擦れ、快感が涌き昇ってくる。
 やはり母の中は、たまらなく気持ち良かった。
「うん、入った。ちゃんと入れられたわね。偉いわ」
 褒められた事に喜びを抱きつつ、思い切り突き込むようにして腰を動かし出す。
「あっ……あっ……ああっ……いいわ蓮ちゃん、あんっ……蓮ちゃんのオチンチン、凄くいいっ……」
 女を感じさせる喘ぎを吐きながら、甘えるように抱き付いてくる早紀子に、誇らしさが高まっていく。
 今度はもっと長く保たせ、母をもっともっと気持ち良くさせるのだ。
 そう決意した蓮は、男としての支配欲が充足していくのを感じながら、勢い良く腰を振っていくのだった。


 意識が朦朧としているのは、熱のせいだろうか。
 かなり頭がボーッとし、体中が火照っているのが感じられる。
 やはり風邪を引いたのだろう。
 本来であれば安静にすべきところなのだろうが、そう認識しても、セックスを止めることは出来なかった。今のこの気持ちの良さを手放したくはなかったからだ。
「あんっ、あんっ、ああんっ……」
 蓮が腰を振るたびに、部屋に甘ったるい声が響いた。
 布団の上で四つん這いになった早紀子は、肉棒を突き込まれると頭を仰け反らせ、長い髪を振り乱しながら悶えまくっていた。
 白い肌は上気して桜色に染まっており、肉付きのいい尻からは熱が伝わってきている。
 それは性行為による体温の上昇だけとは思えない熱さであり、母もやはり風邪を引いているのだろう。
 親子して風邪を引きながらセックスし続けるとは、何と愚かな、そして許されない行為をしているのか。
 そうした想いが起きるが、早紀子の口からも「止めましょう」といった言葉が発せられる事はなかった。
 聞こえてくるのは、男を誘う女としての喘ぎだけだ。
 時折こちらへ振り返る顔にしても、行為を止めたいと感じさせる表情は浮かんでおらず、声も顔も、「もっとして」とねだっているようにしか思えなかった。
 そうして母子は、熱で朦朧とする頭と火照った体を休ませることなく、禁じられた行為をし続けていたのだった。
 最初にセックスをしてから、もうどれくらい経っただろう。
 熱のせいか、はたまた興奮しすぎたせいなのか、よく覚えていなかったが、場所を蓮の部屋へ移し、布団を敷いて裸になって絡み合い、何度も射精を繰り返している事だけは記憶にあった。
 我ながら、これほど精力があるとは思ってもみなかった。
 自慰をする時は、一度放てば満足出来るというのに、今の自分は、まるで際限が無いかのように、早紀子の肉体を求め続けていた。
 射精しても、母の美しい体のラインを見、白く滑らかな肌に触れ、柔らかな女肉に身を預けていると、ムクムクと肉棒が硬く大きくなり、落ち着かない衝動が起きてくるのだ。
 そして一旦抱き始めてしまえば、夢中になってその柔肉を貪り、濡れそぼった蜜壺に若竿を押し込み、擦り上げずには居られなかった。
 母の肉体は麻薬だった。
 一度知ってしまえば抜け出せない、快楽の底なし沼だった。
 よもや女の体が、これほど気持ちのいいものとは思ってもみなかった。
 これまでこの快楽を知らずに生きてきたとは、何と勿体ない事か。
 もっと早くセックスをすれば良かった。
 これまで身近にこれほど気持ちのいい体があったというのに、何故手を出さなかったのか。
 無論、母親に対して性欲を抱くなど、あり得ない事だから当然なのだが、こうして実際にセックスをしてしまうと、女である事に変わりない事がよく分かった。
 十分性欲の対象となる、いや、むしろ赤の他人より抱きたくなる相手であるように思えたのだ。
「いいっ、いいっ……あっ、あんっ……蓮ちゃんいいわ、あっ……素敵よぉっ……」
 褒め称えてくる早紀子の言葉に、ドクンっと心臓が跳ね、熱で朦朧とした頭に悦びが走り抜ける。
 こちらへ振り返った顔は、悩ましげに歪んでおり、女としての色香に溢れていた。
 その一方、見つめてくる瞳には優しげな光があって、母親としての慈愛が伝わってくるのが感じられた。
 それはまさに、女としての面と、母親としての面が現れている姿と言えただろう。
 男女の行為であるセックスをしていても、早紀子は母親として息子を愛する事を忘れていないのだ。
 母子によるセックス。
 それは本来許されないことだったが、実際していると、何とも母親の慈愛を感じさせる行為に思えた。
 これは、初めてのセックスだったというのも大きいのだろう。
 相手が母親であることで、緊張することなく、見栄を張ることもなく、己の未熟さをさらけ出しつつ抱くことが出来たからだ。
 それは、幼い頃に母に全てを委ねていたのと同じような感覚と言え、そうした依存心、安心感を感じさせるものがあった。
 さらにその感覚が、性器によって繋がり合っていることでより強く感じられ、今自分が入っているのは、己が生まれた場所であり、そこへ帰ってきた、という認識を高めた。
 それはまさに他人の女性相手では味わえない、母親とのセックスならではの感慨と言えただろう。この甘えるようにして抱く行為は、赤の他人相手では決して存在しない良さに違いなかった。
「そう、あっ……そうやってもっと、ああっ……そこをもっと、あんっ……そこをもっと強くぅっ……」
 肉付きの良い尻を抱えて強く突き込むと、早紀子は腕を崩し、腰を高く掲げる体勢になった。
 布団に顔を押しつけ、涙ぐんだ声で喘ぎながらシーツを引き寄せる姿は、「屈服させた」という印象をもたらし、征服欲を強烈に刺激した。
 幼い頃から上の存在として敬い、甘えてきた母を、こうして従わせる行為には、何物にも代え難い素晴らしさがあった。
 ズンっ、ズンっ、と突き込み、それに合わせて母の体が前へ押し出されるたびに、「あんっ、あんっ……」という可愛らしい喘ぎが部屋に響き渡る。
 それはこうしてセックスするまで、息子の自分には聞かせたことのない、母の女としての声だった。
 そう、今や早紀子は自分の女だった。
 母親でもあるが、女でもあるのだ。
 肉棒を突き込まれ、快楽を求めて泣き叫ぶ雌なのである。
「ああっ、あんっ……もう駄目、あっ……もう駄目よぉ、あっ、あっ……蓮ちゃん駄目なのぉっ……」
 布団に爪を立て、頭を左右に激しく振りながら、涙声で乱れる早紀子の姿は最高だった。自分が母をこんな状態にしているのだと思うと、誇らしくてたまらなかった。
「母さんっ、母さぁんっ……」
 さらに力を込めて腰を叩き付けると、早紀子の尻が背中にくっつきそうなほどに折れ曲がった。
 母の顔がこちらへ向き、ねだるように見つめてくる。
 唇を寄せて吸い付き、ねちっこいキスを繰り返していく。
 舌が絡み合い、吸い合い、ゾクッとした快感が走り抜ける。
「蓮ちゃん大好きよ、あんっ……愛してるわ、あっ、あぁっ……」
「俺も母さんが大好きだっ……愛してるっ……」
 普段であれば、恥ずかしくて言えない言葉が自然に出ることに驚きつつ、こうしてお互い激しく求め合っているのだから、それも当然なのだろうとも思う。
 自分は母が大好きなのだ。
 早紀子を愛しているのである。
 そう心の中で呟くと、母を己の女とした認識が強まり、ドクンっと心臓が強く鼓動した。
(欲しい……もっと母さんが、早紀子が欲しい……)
 狂ったような執着が湧き起こり、肉棒がいきり立って、腰の動きが激しくなっていく。
「母さんっ……早紀子っ……早紀子ぉっ……」
 名前で呼んだ瞬間、ゾクッとした興奮が湧き起こった。
 母親を名前で呼び捨てる、しかも裸でまぐわい、肉棒を突き込みながら……。
 まさに男女の関係を思わせる、今自分達は、母子であると同時に男と女なのだと認識させるその行為には、何とも背徳的で刺激的なものがあった。
「ああっ……名前でなんて、あんっ……そんなの、ああっ……そんなの駄目、ああんっ……駄目なのに、あっ、ああっ…………」
 早紀子の顔が悩ましく歪み、困ったような、それでいて嬉しそうな表情が浮かぶ。
 おそらく母も、同じような背徳感を覚えているのだろう。何しろ息子に名前で呼び捨てられたのだ。女として求められ、愛されている実感を覚えたに違いない。その証拠に、こちらを見つめる瞳には、それまで以上に女としての色香が強烈に漂い始めていた。
 それはまさに、母の女としての顔が強まった瞬間だった。
「ううっ、早紀子っ……早紀子いいよっ……早紀子ぉっ……」
 何度も名前を呼び捨て、強烈に腰を振っていく。
 そうしていると、母を己の女に出来た事が強く感じられ、男としての誇らしさ、支配欲が充足していくのが分かった。
「あっ、あっ、ああっ……やだ凄い、あっ……それ凄いの、ああっ……そんな、あんっ……そんなにしたら、ああっ……お母さんおかしくなっちゃうぅっ……」
 強い突き込みに合わせて頭を仰け反らせ、涙を流して早紀子は悶え狂った。
 肉棒は膣襞に強く絡みつかれ、嬲られ、射精感が強烈に高まっていく。
 すでに何度もセックスしたおかげで持久力は高まったものの、まだまだ未熟な若竿は、これ以上精の迸りを抑えるのには無理があった。
 美しい熟女の淫らな喘ぎと悶えは、視覚的に興奮を高め、人妻として経験を積んだ膣肉の感触は、容赦なく快感神経を刺激しまくるからだ。つい先ほどまで童貞だった蓮が、耐えられなくても道理だろう。
 高まりまくった射精感を解放すべく、それまで以上に肉棒を突き込んでいく。
「ああんっ、ああんっ、ああんっ……いいっ、いいっ、いいぃんっ……蓮ちゃんっ、あっ……蓮ちゃん、ああっ……蓮ちゃぁんっ……あっ、あっ、ああああああああああああっ!」
 絶叫と共に早紀子の体が硬直し、膣内がキュウっと締まり上がる。
 その刺激に耐えられるはずもなく、また耐えるつもりもなく、蓮は思い切り精を迸らせた。
 ドピュッ、ドピュッ、ドクドクドクドクドクドク……。
 脳天を貫く快感が繰り返され、全身に蕩けるような気持ちの良さが広がっていく。
 目の前では汗まみれの上気した女体が、ピクッ、ピクッ、と打ち震えており、それがまるで己が母を、この女を支配している証拠のように感じられて誇らしくなった。
 自分は母を、早紀子を己の物としたのだ。
 強烈な満足感に浸りながら、終わりが無いと思えるほどに射精を繰り返し、しばらくして精を放ち終えた蓮は、ゆっくりと脱力していった。
 早紀子の体へのし掛かり、そのまま横へと倒れ込む。
 母子の荒い呼吸が部屋に響き、汗だくの互いの体が触れ合うのに、肉の生々しさを覚える。
 自分は母と、セックスをしたのだ。
 それも何度も……。
 隣にある美しい裸身に見とれながらそんな事を思いつつ、実に気持ち良かったこれまでの行為を反芻していく。
「蓮ちゃん……」
 早紀子が甘く囁きながら、慈愛に満ちた笑みを浮かべて優しく抱き締めてくる。
 頭を撫でられるのに心地良さを覚えつつ身を任せていると、徐々に呼吸が穏やかになっていき、それと共に性欲も高まっていくのが感じられた。
 毎度これの繰り返しだった。
 終わった直後は満足するのだが、すぐにもっとしたくなるのだ。
「……えっとその……母さん……」
「ふふ、名前で呼ぶのはもう止めたの?」
 セックスの最中はともかく、名前で呼ぶのは恥ずかしさがあったため、普段通りの「母さん」に戻して尋ねると、早紀子は可笑しそうに笑みを浮かべた。
「いやその……やっぱ慣れないんで……それに、嫌じゃない?」
「嫌じゃないわ。でも蓮ちゃんに名前で呼ばれると、何だか変な感じはするわね」
 早紀子は恥ずかしそうに目をそらしたが、どこか嬉しそうにも見えた。
「それでその……さ、早紀子……」
「ふふ、やっぱり変な感じね。どうしたの?」
「もう一回、いい?」
「やだ、またなの? もう、蓮ちゃんったら凄いのね。でもちょっと休ませて。さすがにお母さん疲れてきちゃった……」
 取り合えず名前で呼びかけるのに挑戦しながら尋ねると、早紀子は可笑しそうに笑いながらそう応えた。
 その反応に恥ずかしさを覚えながら、それでも母を名前で呼び捨てることに嬉しさを覚える。
 早紀子は実際疲れているように見えたため、少しくらい休憩を入れてもいいか、と思ったが、それ以上に先ほどの気持ち良さを、また早く味わいたい衝動が強まってもいた。
 母の名前を呼び捨てながら、もっとセックスしてみたかったのだ。あの感覚は、まだ少ししか味わっていないのである。
 そう意識すると、途端に欲情が強烈になった。それは我慢出来ないほどになっていき、休憩しているなど耐えがたいほどになった。
「早紀子っ」
「え? ちょっと待って……蓮ちゃんまだよ。まだって、待って……」
 勢い良く体を起こし、のし掛かると、早紀子は慌てたように否定の言葉を述べてきた。
「ごめん。俺、早紀子としたくてしたくてたまらないんだ。だからいいよね?」
「やだもう……あれだけしたのに、まだそんなに元気があるの? 蓮ちゃん凄すぎよ。でもお願い。もうちょっとだけ待って、あっ、駄目……駄目よ、まだ駄目、あっ……まだ駄目ってばぁ、やあぅんっ……」
 抵抗してくる早紀子を力でねじ伏せ、強引に肉棒を押し込んでいく。
「駄目って言ったのにもぉ……馬鹿ぁ……」
 少女のような口調で非難してくるのが何とも可愛らしい。
 少し唇を尖らせているようにしているのが幼さを感じさせ、そんな母の様子にゾクゾクするような興奮が湧き起こった。
「早紀子っ……早紀子可愛いよっ……」
 たまらない衝動に押されるまま、勢い良く腰を振っていく。
「あっ、あっ、あっ……蓮ちゃんの馬鹿、あっ……まだ駄目って言ったのに、あぅっ……こんな風にされたら私、あっ、あんっ……蓮ちゃんに夢中になっちゃうぅっ……」
 可愛らしく叫ぶ姿に、母の新しい面をまた一つ見られた悦びを覚えつつ、興奮を高めた蓮は、肉棒を強く勢い良く叩き付けていくのだった。


 翌朝、蓮は幸せで一杯だった。
 何しろ昨夜は、死ぬほどに気持ちのいい行為をしたからだ。
 母とセックスをした。
 それも何度も。
 それは何と素晴らしく、幸福に満ちたひと時だったろう。
 母と愛し合い、快楽を与え合ったのだ。
 それは実に素晴らしいことだった。
 思い出すだけで体中に快感が走り抜け、悦びが満ち溢れてくるほどだ。
 あのような行為をまた出来るとなれば、それはあまりに幸せ過ぎることだった。
 しかしそうした想いとは別に、恐怖を感じている部分もあった。
 何しろ実の母親とセックスをしたのだ。
 近親相姦をしたのである。
 それは許されざる行為であり、世間に知られたら後ろ指をさされる行いだった。
 もちろん昨夜のことは二人だけの秘密であるから、バレるはずもないのだが、そうではあっても罪悪感はあった。まともな倫理観、道徳観を持つ蓮としては、自らを責め立てる想いが起きてしまうのだ。心の片隅に、「自分はとんでもない事をした」という想いが存在し、それが良心をチクチクと刺していたのである。
 そうした罪悪感が起きているのと、何より気恥ずかしさのせいで、今朝は早紀子と全く目を合わせることが出来なかった。
 母も同じなのか、どこか落ち着かない様子で、必要最低限の事しか口にしなかった。
 そうした雰囲気であるため、母子はギクシャクとした状態で食事を済ませる事になった。
 あまりに居たたまれなかった蓮は、「村の見物をしてくる」と告げ、さっさと出かけてしまった。
 早紀子は武彦に紹介された職場へ出勤する予定であり、すぐに家を出るのだから、焦ってそうする必要はなかったのだが、待つ事が出来なかったのだ。
 家を出て一人になって歩いていると、ようやく気持ちが落ち着いてきた。
 とはいえ、ぼんやりしながら村の中を歩き回っている間も、頭に浮かぶのは、昨夜の早紀子との情事だった。
 白い肌をピンク色に上気させ、豊満な肉体を淫らにくねらせ、乱れる姿。
 形の良い唇からはいやらしい喘ぎが漏れ聞こえ、潤んだ瞳がこちらを見つめてくる。
 昨夜までは知らなかった、母の女としての顔。
 自分を男として求め、それでいて息子として愛してくる様子に、おかしくなりそうなほど夢中になり、その肉体を貪った。
 母とのセックスは、何と素晴らしかったことだろう。
 思い出すだけで股間の一物がいきり立ち、もう一度あの柔らかで温かい肉体に包まれたいとする衝動が湧き起こってくる。
(母さんっ……母さんとしたいっ……)
 今すぐにでも家へ戻り、早紀子を抱き締め押し倒し、その体を貪りたかった。
 昨夜のように裸でまぐわい、快楽を与え合いたかった。
 しかし母は、これから仕事に行くのだ。その邪魔をしてはいけなかった。
 そもそも初出勤の日に遅刻したら、何かあったのかといぶかしく思われ、下手をしたら二人の関係がバレてしまうかも知れない。
 それだけは避けなければならなかった。
 自分たちは親子なのだから、肉体関係があるなどと知られたら終わりだった。
 何故親子は、セックスしてはいけないのだろう。
 愛し合う関係という意味では、恋人や夫婦と何ら変わりないというのに。
 いやむしろ、母子であるというのは、他人でしかないそれらの関係より、よほど深い繋がりがあるのではないだろうか。
 恋人や夫婦は、愛情が薄れることがあるかも知れないが、母親と息子の関係には、そのような事はあり得ないからだ。
 母親は息子を強く慈しみ、息子は母親を強く慕う。
 その強固な繋がりは、あらゆる男女の関係の中で、最も愛情が深いもののように思えた。
 そう、自分は母を、早紀子を愛している。この世の誰よりも愛しているのだ。
 これまでも愛してはいたが、肉体関係を持ったことにより、それはより深いものになったように思えた。
 母を抱きたい。
 あの柔らかな肉体に包まれながら、愛情の籠った声で「連ちゃん」と呼ばれたかった。
(母さんっ……うぅっ、母さぁんっ……)
 肉欲が爆発的に高まり、湧き起こってくる落ち着かない衝動をどうにかしようと、全力で走り出す。
 何も考えず、無茶苦茶に脚を動かしていると、やがて息が切れてきた。
 苦しさが起こり、それと共に体の中に巣くう淫靡なものが吐き出されていくような感じがした。
 しばらく走った後、もう限界だというところで足を止め、激しい呼吸を繰り返す。
 そう言えば、昨日はかなり熱があったというのに、今朝は随分元気になっている事に気がつく。
 昨夜は熱で朦朧とした時もあったというのに、何とも元気に回復したものだ。
 こうして抑えられないほどに性欲が湧き起こっているのも、体が治っている証拠だろう。
 とはいえ、熱が出ていた昨夜も、無茶苦茶セックスをした訳だが。
 まさかセックスを何度もして汗をかいたから、そのせいで治ったのだろうか。
 そんな馬鹿な考えに苦笑する。
 時刻を確認すると十二時を過ぎていたため、家へ帰って昼飯にしようと思った。
 ただ歩いていただけなのに、何と時間の経つのが早いことか。
 逆に言えば、それだけ悶々としていたという事なのかも知れない。
 来た道を戻り、少し歩いて家へ着くと、居間のテーブルの上に、早紀子の用意してくれた料理が置かれてあるのが見えた。
 それはいつもと変わらない事だったが、ひどく嬉しさを覚えたのは、やはり昨夜の経験が影響しているのだろう。
 おかずは野菜の煮付けだった。昨日、武彦の家でご馳走になった際、少し分けてもらったものだ。
 あの里芋も入っており、食べるとやはり美味しかったため、この独特の旨味は癖になりそうだな、などと思う。
「由衣ちゃんって、料理上手いよな……」
 これを調理したのは由衣だというのを思い出し、そんな事を呟く。
 由衣の事を思い出すと、その可愛らしい顔が浮かんできて、これまでとは別の意味で嬉しさが起きた。
 同時に、改めて自分が歪んだ性欲に染まっているのだというのも認識する。
 本来であれば、母親である早紀子ではなく、由衣に欲情すべきなのだ。久しぶりに会った従妹は、実に魅力的な少女に成長していたのだから。
 実際由衣に対する欲情も起きないではなかったが、それ以上に母に対する欲情の方が強くなっているのが、今の自分がまともではなくなっていると言える部分だろう。
 とはいえ、まともじゃないから何が悪いというのだ、という想いも強くあった。
 自分はそれだけ母を愛していたし、母も自分を愛してくれているのだから、欲情したところで何が悪いのか。
 世間にバレなければ別にいいではないか。
 そう、家の中でセックスしているだけなら、他人に知られることはないのだ。
 だったら気にせず、今夜も早紀子とセックスしよう。
 自分が望めば、母もきっと昨夜のように応じてくれるに違いないのだから……。
 そう思った蓮は、己を力づけるようにして里芋を口に放り込むと、がっつきながら昼食を食べていくのだった。


 昼食を食べ終えた蓮は、特にやることも無かったため、再び村の散策でもしようかと家を出る事にした。
 歩いていて脳裏に浮かぶのは、やはり早紀子のことばかりだった。
 正確には、その肉体と言うべきか。
 どこに触れても柔らかく、体を預けると優しく受け止めてくる感触。
 女体特有のあの心地良さは、何度思い出してもたまらなかった。
 早くもう一度味わってみたかった。
 それもあと数時間もすれば叶うのだ。
 早紀子が仕事から戻ってくれば、抱けるのである。
 すでに蓮の中では、母が受け入れてくれることは確定事項となっていた。
 あの優しい母が、自分のおねだりを拒否するとは思えなかったからだ。
 何よりすでに一度許している行為となれば余計だった。
 今更「駄目」とは言わないだろう。
 そうした期待を膨らませながら歩いていると、道の先に人がいるのが見えた。
 知らない人かも知れないが、挨拶をした方がいいだろうかなどと考える。こうした田舎では礼儀をきちんと守らないと、色々弊害があるのではないかと思えたからだ。
 しかしそれは杞憂に終わった。近づいたことで見えてきたのが、自分の知っている顔だったからだ。
 姉の明梨と、昨日引っ越してきた際に家族で挨拶をしてくれた少年だ。
 名前は何であったか忘れてしまったが、顔は何となく覚えていたので、あの時の少年だというのは分かった。
 それにしても、どうして二人が一緒に居るのだろう。
「あ、蓮じゃない。何してるのこんなところで?」
 こちらに気づいた明梨が声をかけてくる。
 夏らしく、Tシャツにホットパンツといった服装をしており、まだ日焼けしていないのか、白い肌が眩しく目に映った。
 何より薄着であることから、胸元の大きな膨らみと、健康的な太ももが強調されていて、姉とはいえ、思わずいやらしい視線を向けそうになったため、慌てて意識をそらす。
「散歩だよ。姉ちゃんこそ何してるの?」
「私は手伝い。あそこにあるプリントが取れないかって考えてる。快斗くんのなんだけど、風で飛ばされちゃったんだって」
 明梨が指さした先には木の枝があり、そこに白い紙らしきものが引っ掛かっているのが見えた。
 少年の名前は快斗だったか、と思いつつ、学校帰りらしいワイシャツにスラックスといった夏の制服姿を一瞥する。
 続けて視線を上へ向け、プリントがある位置を確認すると、どうやら背伸びした程度では届かない高さに思えた。だが梯子が必要というほどではなく、ちょっとした椅子があれば何とかなりそうではあった。
「快斗くんに、『私が馬になるから乗って取りなよ』って言ったんだけどね。快斗くん、嫌だって言って。『なら快斗くんが馬になる?』って聞いても、それも嫌だって……だからどうしよかって考えてたの」
 視線を向ければ、快斗は困ったような、恥ずかしそうな表情で俯いている。
 それは当然のことだった。何しろ中学生と言えば、思春期真っ盛りの年頃だ。
 明梨のような綺麗なお姉さんと接触する行為など、乗るにせよ乗せるにせよ、かなりの決意が居る行為に違いなかった。
 無論、嬉々としてやる少年も居るかも知れないが、見るからに大人しそうな快斗では無理な注文に思えた。
「そういう訳だから、蓮、馬になってよ。私が乗って取るから」
「了解……えっとここら辺でいいかな……?」
 明梨の指示に即座に従い、木の傍へと寄り、体を前に倒して、手で膝を持つ姿勢になる。
 本音としては面倒だったが、姉に逆らっても無駄だというのは、幼い頃からの経験で分かっていたし、何より思春期真っ盛りな少年に、これ以上恥ずかしい想いをさせ続けるのも可哀想に思えたのだ。
「もうちょっと低くなって……うん、そのくらい……じゃ、乗るよ?」
 合図と共に背中に重みが発生し、脚に強烈な負荷がかかる。
 明梨は細身とはいえ、それなりに体重はあるのだから当然だったが、これをしばらく維持すると思うと辛かった。
「それじゃ少し高くして……んじゃ、立つからね。動かないでよ……?」
 指示通り脚を伸ばして背中の位置を高くし、姉が立つのを待つ。
 それまで以上に負荷がかかり、背中に足が置かれて、明梨が立ち上がっていくのが分かった。
 腹に力を入れて踏ん張りつつ、この状況が早く終わるのを待つ。
「よっとっ……んっ……もうちょいっ……よし、取れたっ……」
 その言葉の後、明梨がゆっくりとしゃがんでいくのが感じられたため、姿勢を低くして降りやすいようにする。
 視界に白い脚が映ると同時に背中から重みが消え、楽になったため大きく息を吐き出す。
「はい、どうぞ」
「あ、ありがとうございます」
 明梨にプリントを手渡された快斗は、恥ずかしそうに受け取ると、こちらにも視線を向け、礼を言って頭を下げた。
「そのプリントってさ、進路希望の調査でしょ? 快斗くんは目指す高校とか決まってるの?」
 そう尋ねられた瞬間、快斗は表情を曇らせた。
 大した質問ではないと思うのだが、何か思うところでもあるのだろうか。
「あ、聞かれたくなかったのならゴメンね。別に答えなくていいから」
 明梨も慌ててそう訂正している。姉にしてみれば、世間話のつもりで尋ねたのだろうから、ここまで極端に反応されては気が引けるだろう。
「いえ、聞かれたくないって訳じゃなくて……ちょっとどうしようかな、って思ってたんで……志望校がちょっと遠いところにあって、しかも全寮制なんで、そこにしちゃうと、家を出ないといけないから……」
 なるほど、それは確かに悩みどころかも知れなかった。中学生の年齢では、親元を離れるというのは、かなり決意が居ることだからだ。
「そっか。そりゃ考えるよね。近場じゃ良さそうなとこはないの?」
「ある事はあるんですけど、一番はやっぱり全寮制の方なんで……」
 高校生活というのは、色々な意味で重要であるから、出来れば一番気に入ったところへ行きたいのは当然だろう。無論、そのためには入試で合格する必要がある訳だが、最初から諦めるとなると、全く別の話だった。
「う〜〜ん、難しいねぇ。私は近場に希望の高校があったからなぁ。蓮はどうだった?」
「俺は特に拘りなかったから、近場で受かりそうなところから選んだなぁ……」
 参考にならない意見を二人で述べながら、悩める中学生にどうアドバイスしたら良いかと考える。
「まあ、最後は自分がどうしたいかだと思うよ。そうやって決めれば、あとで間違ったような気がしても、後悔は無いと思うから。逆に自分の気持ちを無理やり抑え込んで決めたら、凄い後悔すると思うしさ。快斗くんがしたいようにするのが一番だよ」
 明梨の告げた内容は、確かにその通りではあったが、それをどうやって見極めるかが、難しい部分と言えるだろう。
 しかし快斗には心に響いたようで、驚いたような顔をして、明梨の顔を見つめている。
 だがそれも少しの間だけで、すぐに恥ずかしそうに視線をそらした。
「ありがとうございます。何だか気持ちがスッキリしました。これから自分がどうしたいのか、よく考えてみます」
 そう告げた快斗は、もう一度頭を下げてから、「それじゃ、失礼します」と言って去っていった。
 その後ろ姿を見送っていると、不意に明梨がこちらへ顔を向け、ニコリと微笑んだ。
「何だかあんたが中学生の頃を思い出しちゃった。あの頃は可愛かったよねぇ。背も小さかったし。快斗くんより小さかったんじゃない?」
 快斗の背丈は、百七十センチある自分より頭一つ分低かったため、百五十センチくらいだろうか。中学三年にしては低い方だろう。
 自分も中学一年まではかなり低かったが、三年になる頃にはもっとあったため、今のは姉の勘違いだった。
「俺はもっとあったよ。あの頃は姉ちゃんより大きくなってたじゃん」
「そうだったっけ? 何かイメージだと、凄く小さかった感じがしたんだけど。一年生の頃の印象が強いのかなぁ。その頃はまだ小さかったでしょ?」
「そりゃね。小学生の頃は、背の順で前の方だったし」
「そうそう。あんた可愛かったんだよねぇ。頭を気軽に撫でられたしさ。今撫でようとしたら手を伸ばさなきゃ」
 明梨は笑みを浮かべると、頭の方へ手を伸ばして来て撫でる素振りをしている。
 そう言えば、幼い頃はよく姉に頭を撫でられたものだった。それをされなくなったのは、確か中学の途中からだった。何度嫌がっても撫でられていたため、それが無くなった時はかなりホッとしたのだが、あれは手が届きにくくなったのが理由だった訳だ。
「久しぶりに撫でてやろ、えいっ」
 頭の上に手が置かれ、クシャクシャに動かされるのに苦笑する。あの頃はこの行為を恥ずかしく思ったものだが、今はどうでもいい印象しかなかった。
「そういやあんた、まだうちに来たことないよね? これからどう? どうせ暇なんでしょ?」
「ああ、そうだね。お邪魔するよ」
 本当は早紀子の帰りを待ち遠しく思っているのだが、まだ時間はあるため遊びに行っても問題はないだろう。
「ついでに夕飯もご馳走しちゃおっか? 私が手料理作っちゃうよ。母さんも呼んで三人で食べよ?」
 一瞬、早紀子も来ると色々意識してしまい、明梨に何か感づかれるのではないかと不安がよぎったが、さすがにそれは無いだろうと思い直す。
「別にいいよ」
「よし、決まりね。じゃあ、母さんには私が連絡しておくから」
 了承するや否や、明梨はきびすを返して歩き出した。
 その後について行きながら、考えてみれば三人での食事というのは久しぶりだというのを思い出す。明梨が一人暮らしを始めてからは、一緒に食事をする機会がほとんど無かったからだ。
 そんな事を考えていると、自分達が家族である事が強く意識され、昨夜の早紀子との行為に対する罪悪感が起きた。
 自分と母は、親子でしてはならない行為をした。
 それは家族の絆を壊す行為であり、姉に対する裏切りでもあった。
 酷いことをしてしまったのだという想いが広がり、やはり母親とセックスするなどいけなかったのだ、と後悔の念が起きてくる。
 だがその一方で、凄く気持ち良かったのだという想いもあり、あれをもう二度としないという事は、無理だというのもよく分かっていた。
 ならば母以外とセックスすればいいのだろうが、自分にはそのような相手はいないし、今から作るというのも大変な気がした。
 何しろ普通は、まず恋愛関係にならなければセックスは出来ないからだ。
 それにセックス目的で恋人を作るというのも酷い話だろう。
 世の中にはそうして気軽に恋人を作る人間もいるようだが、自分には無理なことだった。
 だとすれば、すでに自分を受け入れてくれている母に、またお願いしたくなるのは仕方のないことではないだろうか。
 悪いことだというのは分かっている。
 明梨に対する裏切りだということも。
 何より亡くなった父に対しては、あまりに酷いことをしているという自覚もあった。
 だがこの衝動を抑えることは、おそらく無理だった。
 すでに知ってしまった、母の気持ちのいい体。
 あれを忘れることなど、不可能だからだ。
 食事が終わったら家へ帰り、昨夜のようにまた早紀子を抱こう。
 そう決意をした蓮は、少し先でスマホをいじり、母へ連絡をしている姉の様子を見つめながら、密かに嬉しさと興奮を高めて歩いて行くのだった。


 明梨の家は、蓮達の住む家と似たような造りの建物だった。
 若い女性の一人暮らしであるせいか、どこか華やかな印象があるのが違っているくらいだろうか。
 あとは部屋の中に独特の匂いが漂っているのもそうだった。昔から明梨の部屋を訪れると、鼻を擽った姉の匂いだ。
 その事に「姉の部屋、つまり女性の部屋を訪れているのだ」という認識が起き、妙な緊張を覚えてしまう。
 以前はそのような事は無かったのだが、昨夜女の体を知ったせいだろう。明梨を女として意識する部分が強まっていたのだ。
 何よりこれから二人きりで過ごす事を考えると、余計に意識しているように思えた。
 先ほど連絡があり、早紀子は来られないことが分かったのだ。職場で歓迎会を開いてもらえることになったそうで、帰りは遅くなると言うのである。
 その事にガッカリする想いがあると共に、どこかホッとしている部分もあった。母の体を求める気持ちは強かったが、やはり「許されない」という想いもあったからだ。
 明梨の用意した夕飯は焼き肉だった。
 しかしあの里芋の入った野菜の煮付けもあったため、「これ、昼も食べた」と少々不満げに告げると、明梨は「だからよく出るって言ったでしょ。文句言わず食べる」と苦笑しながら、器をこちらへ差し出してきた。
 昨日一緒に食事をして、この芋が出た事は知っているのだから、別の料理にすればいいのにと思うのだが、結局明梨もこの里芋が気に入っているのかも知れない。実に美味しそうにパクパク食べていたからだ。
 蓮にしても文句は言ったものの、一旦口にしてしまうと、その美味しさに夢中になって食べてしまった。
 そうして食事を終えた後、しばらくの間、二人で楽しく会話して過ごす事になった。
 久しぶりの姉弟水入らずという状況のせいか、話が弾み、気がつけば深夜近くになっていたのに驚く。
 思えば妙にテンションが高くなっているというか、明梨と話すのが楽しくて仕方なかった。やはり久々に会ったことで嬉しかったのだろう。
 この時間であれば早紀子も戻っているはずだから、そろそろ家へ帰っても良いかな、などと考えると、母の体をまた抱けるのだという興奮と悦びが起こってくる。
「ね、今日は泊まっていきなよ」
 しかし不意に明梨がそんな事を告げてきたため、どうしたものかと困ってしまった。肉欲的には当然断りたいところだったが、久しぶりに会った姉の提案を無下にするも気が引けたからだ。
「久しぶりにあんたと話してたら何か楽しいからさ。もっと話してたいなぁ、って」
 明梨は照れくさそうな顔をしながら、組んだ手を落ち着き無く動かしている。幼い頃ならともかく、この歳になって弟に対し、「もっと話していたいから泊まっていけ」と告げるのは恥ずかしかったのだろう。
 蓮にしても、面と向かってそう言われた事に少々動揺していた。思春期になってから、姉があからさまに自分への好意を示してきたのは初めてだったからだ。
「別に、いいよ……」
 そのせいだろうか、つい了承の言葉を呟いてしまった。
 口にしてからすぐ後悔したが、今更断る訳にもいかなかった。何しろ予想していた以上に、明梨の顔が嬉しそうだったからだ。
 これで今夜は、早紀子を抱けない事になった。
 その事に残念な想いが起きてくるが、考えてみれば母とはこれから毎日一緒に過ごすのだから、今日くらいは明梨と過ごしてもいいかも知れない。
 そんな風に考えると気持ちが切り替わり、久しぶりに姉弟二人きりで過ごすことへの楽しさが起こってくる。
 同時に、姉とはいえ、女性と二人きりで夜を過ごすのだという事に意識が向いて動揺する。やはり早紀子を抱いたことが影響して、明梨を性的に見てしまっているらしい。
「じゃあ、母さんには私が連絡しておくね」
 明梨はこちらのそんな内心には気づいた様子もなく、スマホを取り出して文字を打ち込み始めている。
 その様子を眺めていると、姉の女性らしい体のラインが目について、微妙な興奮を覚えた。瑞々しさのある白い肌は、早紀子には無い若い魅力を感じさせ、興奮を湧き起こらせたからだ。
 慌ててそれを振り払い、視線を別の方向へと向ける。
「『分かりました』だってさ。んじゃそろそろお風呂にしよっか。あんた先に入りなよ。って言ってもシャワーだけどさ。それとも湯船に浸かりたい?」
「え? あ、ああ……シャワーでいいよ、うん……」
 性的な妄想をしていたところへ、「風呂」という裸を連想させる単語を言われたため、動揺してたどたどしい返事になってしまった。
「そう。じゃあ、風呂場はそこだから。どうぞお先に」
 明梨は当然こちらの内心に気づいた様子もなく、風呂のある方を指さしている。
「俺が先でいいの?」
「お客さんなんだから当然でしょ。それにあんたの方が、お風呂入ってるの短いじゃん。私は長いからさ」
「そりゃそうか。じゃあ、先に入るわ」
「Tシャツ貸してあげるから、それ着なね。下着は替えがないけど」
「ありがと」
 日中汗をかいていたので、下着を替えられないのは少々気になったが、泊まるというのに一旦家へ戻るのも変な感じがしたし、一日くらいなら別に構わないだろう。
 替えのTシャツを渡され、風呂場へ行くと、造り自体は古くさいが、洗面や風呂桶などは最新のものになっているのが分かった。そこら辺は自宅もそうなのだが、叔父がわざわざリフォームしてくれたらしい。
 その事に改めて感謝の念を抱きつつ、服を脱いで浴室へと入っていく。
 シャワーを浴び、体を洗っていると、「何だか今日は疲れたな」という想いが起きた。特に何かあった訳ではないが、昨夜のことでずっと悶々としていたせいかも知れない。
 もし家へ帰り、早紀子に会っていたらどうなっていたか。セックスを求め、母もそれに応じてくれ、昨夜と同じ状況になっただろうか。
 母の柔らかな体の感触が思い出され、「やはり家へ帰れば良かった」という後悔が起きてくる。
 だが一方で、近親相姦の泥沼へハマらずに済んだ、という安堵の想いがあるのも確かだった。いくら気持ちがいいからと言っても、母親とのセックスは許されないものだからだ。
 改めて「自分はとんでもない事をしたんだな」と認識するが、それ以上に早紀子を求める衝動は強く、もっと抱きたくてたまらない想いがあった。
 股間の一物が力を持ち始めるのが感じられ、思わず握って擦りたくなるのを慌てて振り払う。
 姉の家で自分は何をしようとしてるのか。いい加減、いやらしい妄想は止めよう。
 そう考えながらシャワーの勢いを強くし、まるで肉欲を洗い落とそうとするかのように強く体を擦っていく。
 シャワーを終えて浴室から出、体を拭いて服を身につけ始める。
 Tシャツに頭を通す瞬間、いつもと異なる匂いが鼻を擽り、姉の服を借りているのだという認識が起きた。
 家族とはいえ、他人の服を着るというのにはどうにも落ち着かない部分があり、特にTシャツは肌に直接触れるものであるせいか、その感覚が強いように思えた。
 普段は明梨がこの服を着ているのだと意識すると、自然と目が胸元へ向いた。
 あの大きな胸がいつもここにあるのだな、と思わず考えるが、それを慌てて振り払う。姉にまで性的意識を向けるのは避けたかったからだ。
 気を取り直して大きく息を吐き出し、風呂場を出て居間へ戻っていく。
「あ、もう出たんだ。やっぱり早いね」
 そう告げてくる明梨に苦笑で応えつつ、少し動揺しながら腰を下ろす。
 何故なら視線が姉の胸元へと向き、その大きな膨らみを認識してしまったからだ。
 そうならないよう気をつけていたつもりだったが、どうやら逆効果だったらしく、思い切り見てしまったのだ。
 明梨の服装がTシャツだったのも余計そうなった原因だろう。風呂に入る前と変わらないのだが、先ほど意識したせいで、妙に性的な方向で捉える状態になっていたのだ。
「じゃ、私もお風呂入るね」
「あ、うん……」
 その言葉にも動揺してしまう。思わず姉が風呂へ入る姿、つまり裸体を想像してしまいそうになったからだ。
 明梨がドアを閉めるのを確認してから、大きく息を吐き出す。
 一体自分は何をやっているのか。母だけでなく姉にまで性的な意識を向けてしまうとは。
 だがそんな想いとは裏腹に、シャワーの音が聞こえた途端、明梨の裸身を想像してしまって困惑する。
 どうにもマズかった。意識が性的なことに染まりすぎていた。
 今夜は明梨と二人きりだというのに、何故こうもおかしくなっているのだろう。
 そもそも昨夜はあれほどセックスをしたのだから、性欲は充足されているはずだった。なのにどうしてこんな風になっているのか。
 しかも明梨を性的に意識しているというのもおかしかった。こんな事は今まで無かったのだ。
 やはり母と一線を越えたことが原因なのだろうか。そのせいで、姉に対しても女を意識するようになってしまったのだろうか。
 脳裏に、昨夜の早紀子のあられもない姿が浮かぶ。
 汗まみれの裸身をくねらせ、肉棒を突き込まれるたびに甘い吐息を漏らす母。
 それは紛れもなく「女」であり、「男」である自分を惹き付けて止まない、いやらしい体だった。
 そしてそれは、明梨にも言えることだった。
 姉の若さ溢れる肉体は、母の熟れた肉体とは異なる魅力を秘めているに違いなかった。
 抱いてみたかった。
 明梨の体を舐め回し、あの大きくて張りのありそうな乳房を両手で鷲掴みにし、好き放題に揉みしだいてみたかった。
 肉棒を押し込み、思い切り擦り上げてみたかった。
 昨夜味わった凄まじい快楽を、姉の体でも体験してみたかった。
 そんな事を考えていると興奮が高まり、股間の一物に落ち着きが無くなってくる。
 思わず手が伸び、ズボン越しに少し擦ってしまう。
 すると気持ちのいい刺激が起き、その事にうっとりとなった。
(母さんの中、たまんなかったなぁ……)
 昨夜何度も入れ、擦り、精を迸らせた早紀子の膣の感触が蘇り、その素晴らしい記憶を思い出しながら、力を入れて擦っていく。
 脳裏に早紀子の淫らな姿が浮かび、その事で益々手の動きが激しくなる。
 ついには我慢出来なくなり、チャックを下ろして肉棒を取り出すと、直接掴んでしごき始めてしまう。近くにあるティッシュ箱を引き寄せ、射精してもいいように備える。
 いつ明梨が風呂から上がってくるか分からないというのに、ここまでしてはマズかったが、どうにも抑えられなくなっていた。
 気持ちの良さが溢れ、ハァハァと呼吸が乱れていき、頭がボーッとして、何だか熱が出てきたような感じがしてくる。
 風邪はもう治ったと思ったのだが、そういう訳では無かったらしい。どうやらぶり返してしまったようだ。
 考えてみれば、病み上がりなのに無茶苦茶走ったりしたのだから、そうなってもおかしくないだろう。
 しかしそうした事が気にならないほど、股間から押し寄せる快感は強かった。
 擦れば擦るほど、気持ちの良さが増していくのだ。
 自慰でこんなに感じたのは初めてかも知れない。
 早紀子のことを思い浮かべ、早紀子とのセックスを思い出しながら擦ると、いつもより快楽が強まるのだ。
(母さん……母さぁん……また母さんとしたい……したいよぉ……)
 すぐにでも家へ帰り、早紀子を押し倒して肉棒を押し込んで擦り上げ、精を注ぎ込みたかった。
 何故そうしなかったのか。
 そうすれば良かった。
 今からでも間に合う。すぐに家へ帰ろう。
 そんな想いを抱きつつ、肉棒を激しく擦るのを続けていく。
 熱のせいなのか頭はボーッとしているのだが、それとは裏腹に、いやらしい妄想は逞しくなっていった。
(ああ……母さん……母さぁん……)
 妄想の中の早紀子が、甘えるように見つめてくる。
 その実際に経験した光景は、おかしくなるほどに興奮を高めさせた。
 母の、早紀子の自分に甘える姿。
 それは強烈なたまらなさがあった。
 もうイきそうだった。
 このまま精液を放出したかった。
 ティッシュを抜き取って股間に当て、射精の準備をする。
 これでいい。
 このまま一気に出そう。
 この気持ちのいい塊を、思い切り吐き出してしまうのだ。
 そう身構えた瞬間だった。
 突如バタンっという大きな音が響いたため、ギョッとなって硬直する。
 それは浴室のドアが閉まる音であり、明梨がまもなく部屋へ戻ってくる合図でもあった。
 射精寸前まで高まった興奮は、「姉に自慰がバレる」という恐怖に一気に冷め、早く痕跡を消さなければという焦りに変わった。
 運良く射精はしていなかったため、慌てて一物をズボンにしまうと、使いかけたティッシュを丸めてゴミ箱へ捨てる。
 呼吸を整えるために深呼吸をし、手近にあった本を手に取る。
 明梨が大学で使っているものなのか、それは歴史に関する本だった。
 パラパラとめくり、何となく良さげに思える部分から読み始める。
 これで「明梨が風呂に入っている間、本を読んでいた」という体裁が完成した。
 ホッとしつつ、もし本の内容を聞かれても良いように早いペースで読んでいく。
 少しすると部屋のドアが開き、明梨が入って来たらしいのが分かった。
「ん? 何読んでるの?」
 声に視線を向けると、部屋の入り口で頭をタオルで拭いている姉の姿があった。
「歴史の本だよ。暇だったから……」
「ふ〜〜ん……」
 どうやら不審に思われないで済んだらしく、明梨は気にした風もなく近づいてくると腰を下ろした。
 その様子をつい目で追ってしまったため、肉棒に快感が走り抜ける。
 一旦冷めたとはいえ、射精寸前まで高まっていた性欲は、ちょっとした刺激で復活するからだ。風呂上がりの明梨の姿には、そうなるのに十分な魅力に溢れていたのである。
 Tシャツにホットパンツという、入浴前と変わらぬ服装ではあったが、火照って桜色になった肌と、濡れて黒光りする髪が、若々しい色香を感じさせる状態になっていた。
 しかもタオルを持つ手が動くたびに、胸元の大きな二つの膨らみが揺れる様は強烈だった。
 慌てて本へと目を落とし、落ち着きを取り戻そうとするが、さすがにこれほど近くに居られては無理だった。
 視界はふさげても、耳には容赦なく呼吸音が聞こえてきたし、何より鼻にはシャンプーの香りが漂ってきていた。
 自分も同じシャンプーを使用した訳だが、明梨から匂ってくるのは別格で、何やら色香を感じさせるものがあったのだ。
 心臓がバクバクと鼓動し、どうしていいのか分からず、とにかく本を読む事しか出来ない。
 先ほどよりも熱が上がったようで、顔が熱く、頭が朦朧として、本の内容が全く頭に入ってこなかった。
 一方で、股間の一物は少し前の状態にまで見事に復活していた。視線を向けられれば気づかれてしまうため、慌てて脚で隠すようにする。
「ねぇ、寝る時どうする? 布団無いけど、あんた私のベッド使う?」
「え? い、いいよ別に床で。絨毯の上に何か敷けばいいでしょ」
 不意に尋ねられたため、少々動揺した感じで答えてしまう。というより、「寝る」「ベッド」という言葉に、性的な連想をしたのも大きいだろう。
「でもお客さんだしさ。あんたベッド使いなよ。私は床でいいからさ」
「いや、客って言ったって家族なんだからさ。ここは姉ちゃんの家なんだし、姉ちゃんがベッド使えばいいよ」
「家族」という言葉を口にした事で罪悪感が起きた。自分は家族である姉に対し、強い欲情を向けている。改めて考えればとんでもない事だ。
 しかし抑えようとしても、どうにも上手くいかなかった。何より頭がクラクラとしていて、意識を性的な方からそらす事が出来ないのだ。
 風邪が悪化してきているだろう。体の火照りもかなり熱くなっていた。そのくせ股間の一物は痛いほどに勃起し、早く何とかしろとばかりにビクンビクンと震えていた。
 己の意思とは関係なく張り切っている一物に呆れながらも、その想いとは裏腹に、目はチラチラと姉の肢体を見てしまっていた。
 どうしてもそうせずには居られないのだ。
 たわわな二つの膨らみが、ぽよんぽよんと揺れる様は、実に美しくもいやらしい、魅力的すぎる光景だったからである。
「でもなぁ、やっぱお客さんではあるしさ。今日はサービスってことで、あんたがベッド使う方がいいと思うんだ」
 そう言われると、提案を受け入れた方がいいかと考える。善意で勧めてくれているのに、あまり断るのも良くないように思えたからだ。
 その方が姉も喜ぶに違いないし、そうするか、と了承の言葉を告げようと息を吸い込んだ時だった。
「じゃあ、一緒に寝る? 二人でベッドで」
 耳に届いた言葉に固まる。
 本来はどうという事のない内容のはずだった。姉弟が同じベッドで寝たからといって、何ら問題は無いからだ。
 しかし今の自分にとり、それは実に困る提案だった。何しろ隣で姉が寝ていたら、その体を意識せずに居るなど不可能だからだ。
「結構大きめのベッドだから、二人で寝ても大丈夫だと思うし。そうしよっか?」
 明梨はこちらの思惑に気づくはずもなく、いや、気づかれても不味いのだが、楽しげに尋ねてくる。
「ベッドはこっちの部屋だよ。ほら、ちょっと来てみて」
 どうすべきか迷っている間に、明梨は立ち上がり、寝室の方へと移動してしまった。
 楽しそうに手招きされたため、何も言えずに付いていくしかなかった。
「ね、おっきいでしょ? このベッド、叔父さんが用意してくれたんだけど、寝ると広くていいんだよね。だからあんたにも使ってもらいたかったんだけど、まあ、二人で寝るってのも、何か懐かしくっていいかもね」
 幼い頃、姉弟で一緒の布団で寝たことがあったが、一人で寝るときとは異なる雰囲気があって楽しかったのを覚えている。明梨はその事を思い出しているのかも知れない。
「ちょっと試しに寝てみよっか」
 姉はそう言いながら、ベッドへ横になった。
 笑みを浮かべ、早く来いとばかりに見つめてくるのに心臓が大きく鼓動する。
 何故なら思っていた以上に、ベッドに横たわる姉の姿が魅惑的だったからだ。
 自分への好意を含んだ笑みを浮かべる可愛らしい顔。
 横になっても大きさの減じない胸元の膨らみ。
 ホットパンツから伸びる、健康的な白い太もも。
 そうした若い女体としての魅力が、どうだと言わんばかりに示されているのだ。
「ほら、あんたも早く来なさいよ」
 手を差し伸べ、誘ってくる動きに、心臓がバクバクと鼓動する。
 明梨は単に一緒に横になるよう告げているだけなのだが、蓮の中では、姉の肉体と接触する性的行為になっていたからだ。
「い、いいよ別に……」
 今すぐにでも姉の体に飛び込みたい衝動が起きていたが、何とかそれを抑え込んで答える。このような状態で姉の傍に横たわったら、どうなってしまうか分からなかった。
「だけど試しに寝てみないと分からないじゃん。狭すぎたら止めるんだからさ」
 明梨は少し機嫌を損ねた様子で告げてくる。あまり断り続けると怒ってしまうかも知れない。
 だがそうだとしても動く訳にはいかなかった。
 しかし一方で、視線は姉の体を舐めるようになぞっていた。せめて見ないでいれば、この肉欲の昂ぶりも抑えられるだろうに、どうしてもそうする事が出来ないのだ。
 胸元のラインから膨らみの形状を想像し、太ももの肉が重なり合う部分がへこんでいる様子から、その弾力と柔らかさを妄想する。
 全体的に肉付きの良い体は、見ているだけで落ち着きを無くさせる魅力に溢れていた。
 特に胸に関しては、その大きさ、美しい形から、より執着が強くなっていた。
 あの柔らかそうな膨らみに顔を埋め、好き放題にしたらどれほど気持ちがいいだろう。
 いけないと思いつつ、明梨に気づかれるかも知れないのに、そうした妄想を止める事が出来なかった。
「ふ〜〜、しょうがないなぁ。蓮ってば結構頑固だよね。私はさっきから待ってるってのに」
 明梨は困ったような口調で告げると、上半身を起こしてこちらへ身を乗り出して来た。
 Tシャツの隙間から胸の谷間が見えるのにドキリとする。実に柔らかそうな肉の膨らみが、生の状態で視界に映ったのだ。
「ほらぁ、一緒に寝よ。ね?」
 腕を掴まれ、強く引かれたため、よろけるようにしてベッドへ膝を突く。
 そのままさらに引っ張られた事で倒れ込む状態となり、姉の両肩の隣に手を突いたことで、まるで押し倒したような体勢になってしまった。
 眼下では明梨が楽しそうな笑みを浮かべ、こちらを見上げている。
「ふふ、押し倒されちゃった。エッチ」
「ね、姉ちゃんが引っ張ったんだろっ」
 自分でも思っていた事を指摘されたため恥ずかしくなった。
 顔がそれまでよりも熱くなっているのが分かる。
「そうだけどさ。でもあんた、ずっとこうしたかったんじゃないの? だってさっきから私のこと、エッチな目で見てたし」
「!……」
 突然の内心を見透かした言葉に体が硬直する。
 バレていた。
 自分が性的に意識している事が見抜かれていた。
 衝撃に震えが走り抜け、軽蔑される恐怖に身がすくんだ。
「ふふ、しょうがない弟だねぇ。お姉ちゃんをエッチな目で見ちゃうなんて……でもま、私も同じだから、人のことは言えないんだけどね……」
 笑みを浮かべ、不意に妙なことを口にした明梨に混乱する。
 今のはどういう意味なのか。
 言葉そのままに受け取れば、姉も自分をエッチな目で見ていたという事になるのだが、まさかそんな事はあり得ないだろう。
「私もね、あんたに、ずっとこうされたかったの……」
 だが続けて発せられた言葉は、その推測が事実だと告げるものだった。
 いや、冗談だろう。からかおうとして言っているに違いない。昔から姉は、そうやって自分をからかってきたのだから……。
「ふふ、冗談だと思ってる? まあ、そうだよね。普通は冗談だと思うよね……」
 明梨は少し悲しそうな表情を浮かべると、ゆっくりとこちらへ手を伸ばしてきた。
「でもね、冗談じゃないんだよ……私はね、お姉ちゃんはね、あんたとこういう事がしたかったの……」
 自身のことを「お姉ちゃん」と言い直し、優しく微笑みながら背中に腕を絡ませてくる。
「ベッドの上で、あんたに押し倒されて……」
 強く引き寄せられるのに抗うことが出来ず、徐々に体が近づいていく。
「こうして……キス、するの……」
 後頭部に手が添えられ、前へ押し出されると同時に、明梨の瞼が閉じられていく。
 予想外過ぎる展開に混乱しつつ、迫ってくる美麗な顔と、桜色をした唇に意識が集中していく。
 ずっと求めていた行為が行われようとしている事に嬉しさが爆発し、鼓動が鼓膜にうるさく響く。
 心の片隅で「したら駄目だ」と呼びかける声がしたが、もはや何の意味もなさなかった。
 笑みを浮かべ、瞼を閉じていく明梨の妖しげな雰囲気に、それまで以上に肉欲が昂ぶっていった。自分の姉は、何と魅惑的な女なのだろう。
 逆らうことなく身を任せている内に唇が接触し、甘美な刺激が走り抜けた。
 姉とキスをした。
 蓮の頭は真っ白だった。
 その一方で、何故明梨がこのような事をしてくるのか、という疑問があった。
 欲情していた自分がしたのなら分かる。
 だが明梨からされるというのは訳が分からなかった。
「ふふ、しちゃった……」
 少しして唇が離れ、うっとりとした表情でこちらを見つめてくる姉と目が合った。
「ね、もっとしよ……んっ、んふっ……」
 再び強引に唇が塞がれ、今度は舌が押し込まれてきた。
 口内で明梨の舌が動き、舐め回し吸い付いてくるのに快感が走り抜ける。
 強く舌を吸い上げられる事で体が硬直すると共に、すでに硬く勃起していた肉棒が、ビクンビクンっと震えまくった。
「んんっ、んぅっ……んっ、んんっ……」
 顔が激しく動き、後頭部が強く掴まれ、思い切り抱き寄せられる。
 明梨の体に密着し、柔らかな感触が押し寄せ、その心地良さに幸福感を抱く。
 やはり女の体は最高だった。触れているだけで、押しつけられているだけで、蕩けそうなほどにたまらないのだ。
「んっ、んっ……んんっ……んふぁ……はぁ……良かったぁ……」
 しばらくして唇が離れ、明梨の満足したような溜め息交じりの感嘆が聞こえてくる。
 こちらへ向けられた瞳には、今まで見たことのない、色気を感じさせる光があった。 それは昨夜、早紀子との交わりで散々見た、家族には決して見せない、「女」としての目だった。
「あんたとね、ずっとこうしたかったんだ。こっちで一人で暮らし始めてから、ずっとあんたの事ばかり、蓮の事ばかり考えてた……蓮とこういう事がしたいって、ずっと思ってたの……」
 泣きそうな表情を浮かべながら、強い口調で告げてくるのに衝撃を覚える。
 姉が自分の事を強く求めていた。弟に対する以上の想いを抱いていたというのだ。
 あまりに想像外の事に、どうしたらいいのか分からなくなる。
「あんたはどう? 蓮は、お姉ちゃんとエッチなこと、したくない?」
 その言葉にドキリとする。
 明梨の体を、この魅力的な肉体を、自由に貪れるのだという悦びに、鼻息が大きく吹き出る。
「ふふ、したくない訳ないよね。さっきからお姉ちゃんのこと、エッチな目で見てたんだもん。したくてしたくてたまらなかったんでしょ?」
 楽しげに告げつつ、頭を優しく撫でてくるのに、恥ずかしさと温かさを覚える。
 明梨は自分のいやらしい想いをお見通しであり、それを分かった上で、これまで普通に接してくれていたのだ。
「いいよ、しても。っていうか、私がして欲しいの。あんたにエッチなこと、して欲しいの。ずっとずっと、そうして欲しかったんだからぁ」
 切なげな表情で告げてくるのに、激しい愛おしさを覚える。
 明梨は、自分に抱かれたいと、エッチなことをして欲しいと、そう望んでいるのだ。
 それを断る理由など、どこにも無かった。
「お、俺も姉ちゃんと、したい……姉ちゃんとエッチなことしたいよっ」
 それまで必死に抑えていた欲望を解放するようにして叫ぶと、震えながら首筋に吸い付いていく。
「や、あっ……やんっ……蓮、あぁっ……蓮ぅっ……」
 歓喜の声を発し、明梨が強く抱き付いてくる。
 背中に回された腕がギュッと引き寄せてくるのに、快感と幸福感が湧き起こった。
 何故姉が自分とエッチなことをしたいと思うようになったのか。いつからそんな風になってしまったのか。疑問はいくらでもあったが、今はそんな事より、目の前の美味しそうな肉体を貪るのが先だった。
 訳の分からない理由とはいえ、魅惑的な女体を自由に出来る機会を逃すなど、あり得ない事だからだ。
 相手は実の姉ではあるが、すでに母親とセックスした事から、その禁忌の想いは薄れていた。むしろ禁断の実を貪ることに、悦びを覚え始めていると言えたのかも知れない。
 家族を見る目が変わった時点で、以前の自分とはすでに違っていたのだ。
 姉であろうと女であり、魅惑的な肉体を持つ相手であれば、抱きたくなって当然だった。さらに自分に好意を抱き、抱いて欲しいと望んでいるとすれば、何も躊躇する理由は無かった。
「あっ……やっ……あんっ……蓮、あっ……蓮っ……」
 首筋を舐め回し吸い付き、柔らかな肉体の感触を全身で味わいながら、豊満な乳房に手を伸ばし、揉みしだいていくと、それだけでたまらない快感が脳に溢れた。
 女肉と触れ合い、舐め、感触を味わうのは、震えるほどに最高であり、止める事など出来ない行為だった。
「姉ちゃんっ……姉ちゃぁんっ……」
 甘えるようにして呼びかけつつ、Tシャツを捲り上げて生の乳房をさらけ出す。
 ぷるんっといった感じでまろび出た双乳は、真っ白で、美麗な形をした素晴らしい膨らみだった。見惚れるほどの、理想的な造形なのだ。
 直接手で触れると、滑らかな感触と温かさが伝わり、掴むようにして手を動かすことで、張りのある柔肉の蕩けるような快感が広がった。
 頂点にあるピンク色の突起に唇を寄せ、ペロリと舐めてから吸い付いていく。
「あんっ……やっ、あんっ……蓮いいよ、あっ……いいよぉっ……」
 チュパチュパと何度も吸っていくと、明梨が耐えがたいようにして頭を左右に振り、顎を仰け反らせた。
 左右の突起を交互に舐め回し、吸っては放し、吸っては放しを繰り返し、豊満な乳房を無茶苦茶に揉んでいく。
 今自分は、憧れだった乳房を自由にしていた。
 思春期になった頃から気にしていた姉の胸を、いけない事だと思いつつも、何度もチラチラ見ては性的意識を向けていた膨らみを、好き放題にしているのだ。
 嫌悪感を抱き、「姉の胸だぞ」と己を叱りつけ、意識しないようにしながらも、どうしても意識せずには居られなかった豊乳を、こうして思い切り舐め、吸い、揉みしだいている。
 それはあまりに強烈な興奮だった。
(ああ……スゲェ……スゲェよぉ……スゲェよ姉ちゃぁん……姉ちゃんのおっぱい、大好きだよぉ……)
 乳房のことで頭を一杯にしながら、夢中になって貪っていく。
 昨夜も母の乳房を堪能した訳だが、姉の乳房に対する想いには、特別な想いがあるように思えた。「同じ年頃の女の子の体」というのが大きいのかも知れない。より若い個体を欲する生殖本能が刺激を受けたという事もあるのだろう。
 とにかく明梨の乳房に対しては、以前から強い執着があったのは確かだった。
 これまでは「実の姉だから」という事がブレーキとなり、嫌悪感によって薄められていた訳だが、今やそれは無くなったため、思い切り欲望を解放出来ていた。おかしくなるほどに夢中になって乳房を貪っているのも、そうした解放感が影響を与えているのかも知れない。
 大きくて美しく、柔らかで張りのある明梨の乳房は、蓮にとって理想そのものと言えるものだった。
(そうだよ……俺、昔から姉ちゃんのおっぱいが欲しかった……姉ちゃんのおっぱいを揉みたくて、吸いたくて……でもそれはしちゃいけないことで……それでもどうしてもしたくて……ずっとそんな風に思ってたんだ……)
 これまで無意識の内に抑え付けていた姉への欲望、特に乳房への執着を、思い切り解放するように、無茶苦茶に貪っていく。
 ピンク色の突起を舐め、吸い、真っ白な二つの膨らみを揉み、形が変わるその様に強烈な満足感を覚える。
 ああ、今自分は姉の、明梨の乳房を自由にしているのだ。
 好きなように舐め、吸い、揉みしだいているのだ。
 その充足感には、おかしくなるほどに気持ちの良いものがあった。
「あっ、やんっ……やっ、蓮、あぅっ……蓮っ、蓮ぅっ……」
 乳房への荒々しい愛撫に、明梨はビクビクと体を震わせ、時折潤んだ瞳をこちらへ向けながら、甘ったるい喘ぎを漏らしている。
 その視線と声には、温かなものが含まれており、自分に対する愛情を感じさせて幸せだった。
「姉ちゃんっ、姉ちゃぁんっ。ああっ、大好きだよぉっ……」
 甘えるようにして姉への愛の言葉を口にする。
 以前から大好きだと心の中では思っていたが、面と向かって告げる事など出来なかった。
 しかし今は、そうすることが当然のように思え、また、抱かせてくれている感謝の気持ちから、自然と言葉になって零れ出た。
「私も、お姉ちゃんも……連の事が大好きっ……」
 明梨は嬉しそうに叫び、ギュッと抱き締めてくる。
 愛されているのだという事が強く感じられ、喜びが爆発する。
 幼い頃から大好きだった姉に、「自分も大好きだ」と言われ、狂わんほどの嬉しさが押し寄せてきた。
「姉ちゃん、姉ちゃんいいよね? こっち、いいでしょ?」
 愛情の昂ぶりから興奮が激しさを増し、さらなる性的行為をしたいと、ホットパンツへ手を掛ける。
「いいよ。蓮の好きなようにしていいから。お姉ちゃんのここ、好きにしていいよ」
 明梨が嬉しそうに微笑みながら、少し腰を浮かせるのに合わせ、下着ごとホットパンツを引き抜く。
 眼下には、姉の裸身があった。
 首の辺りまでTシャツが捲り上がっただけの、他には何も身に付けていない姿だ。
(ふぁ……綺麗だ……)
 真っ白な肌に覆われた、美麗な体に思わず見惚れてしまう。
 胸元の大きな二つの膨らみ。
 キュッと引き締まったくびれと、魅惑的なカーブを描く腰。
 そして太くも細くもない引き締まった太もも。
 全体的に程良く丸みを帯び、抱き締めたら心地良いと思わせる肉付きの良い体。
 女体として理想的な造形がそこにはあった。
 早紀子の裸身も見事だったが、明梨もそれに負けじと素晴らしかった。
 さすが親子だけあって似ているのだろう。
 何より姉には、母には無い若さゆえの魅力があった。
 肌の滑らかさと、肉の強い弾力。
 これは早紀子の体では経験していない、新鮮な魅力だった。
(姉ちゃんの、ここ……)
 いよいよとばかりに太ももを両手で持ち、左右に広げて顔を近づける。
 股間へ視線を向けると、そこには綺麗なピンク色をした襞が存在していた。
 母の秘所は、熟女らしい淫らな雰囲気を感じさせたが、姉のそこは清らかないやらしさを感じさせるように思えた。
 どちらも「ここへ入れたら気持ち良さそう」と思わせる点では同じだったが、入れた後の感触に違いがあるような印象があった。
 果たして姉のここは、母に入れた時とどう違うのだろう。
 そんな事を考えつつ、まずは姉を気持ち良くさせるのだと、指と舌を這わせていく。
「あっ、やんっ……やっ、ああっ……」
 明梨が可愛らしい声を上げ、ビクビクビクっと体を震わせるのに満足感を得る。
 自分の与えた刺激に反応を示されると、強烈な悦びが走り抜けるのだ。
 もっと姉を悦ばせたい。自分のする事で淫らに喘がせたい。
 そうした想いから、蓮は夢中になって秘所への愛撫を続けていった。
「あっ、あっ……やっ、やんっ……」
 プクンっとした突起へ舌を這わせ、擽るように舐めていくと、明梨が泣くような喘ぎを漏らしながら、頭を左右に激しく振った。
 昨夜の早紀子もそうだったが、ここを刺激すると実に可愛らしい反応があるのが最高だった。
 幼い頃から上の存在として従ってきた母や姉が、ただ舐めるだけで、まるで少女のような愛らしさを示すのだ。
 まるで幼女が駄々をこねているようなその様子は、強い嗜虐心と庇護欲を呼び起こし、もっとそうしたくてたまらなくさせるものがあった。
「やっ、やぅっ……あっ、あんっ……蓮、あっ……蓮いいよぉっ……もっと、ああっ……もっとしてぇっ……」
 潤んだ瞳で見つめてきながら、さらなる愛撫を求めてくる明梨に、ドクンっと大きく心臓が鼓動する。
 何という愛らしさだろう。姉のこのような姿を見て、愛さずに居るなど、己の物にしないで居るなど、不可能な事だった。
 蓮はおかしくなりそうなほどに興奮しつつ、指と舌を激しく動かしていった。
「あっ、ああっ……やっ……あっ、やぁっ……あっ、あっ、ああああああああっ!」
 不意に明梨が激しく震えを放ち、硬直し、少ししてから脱力した。
「ふぐっ、ふぅ……やぁ……イっちゃったぁ……」
 悩ましげな表情を浮かべ、恥ずかしそうな口調で告げてきたのに驚く。
 どうやら明梨は、指と舌の愛撫だけで絶頂してしまったらしい。
 これは早紀子との経験では無かったことだった。
「蓮にされるとぉ……わたしぃ……何かすっごく感じちゃうみたいぃ……」
 トロンっとした瞳でこちらを見つめ、甘えるように告げてくるのに嬉しさが爆発する。姉は自分の愛撫だからこそ凄く感じたと言うのだ。男としてこれほど誇らしい事はないだろう。
 その想いに呼応するように、股間では痛いほどに肉棒がいきり立っていた。
 もうこれ以上我慢するのは無理だった。
 早く明梨の中へ、この気持ちの良さそうな襞の中へ、怒張を押し込みたかった。
「姉ちゃん……俺、入れたい……」
「ん、いいよ……お姉ちゃんも、蓮のが欲しい……」
 笑みを浮かべながら優しく了承してくるのに、嬉しさと興奮が湧き起こる。
 落ち着き無く服を脱ぎ捨て裸になると、明梨も首に残っていたTシャツを取り、完全な裸身になった。
 そのまま迎え入れるようにして自ら両脚を大きく開き、両腕を差し伸べてくる。
「おいで……お姉ちゃんの中に、入っておいで……」
 母性を感じさせる雰囲気で告げられた言葉に、温かな想いを抱きながら、肉棒を手に持ち、ゆっくりと膣穴へと押し付けていく。
 同時に体を姉へ重ねると、背中に両腕が回り、腰に両脚が絡んできた。
 まさに明梨に包まれる状態になりながら、腰を少しずつ前へ押し出していく。
「あっ……入って、あんっ……蓮のが入って、来る……あっ、ああっ……」
 肉棒が温かで湿った肉に覆われ、キュッと締め付けられるのに、腰が引っこ抜かれるような快感を覚える。
 昨夜早紀子の膣が与えてきたのとは微妙に異なる刺激に顎を仰け反らせつつ、湧き上ってくる気持ちの良さに頭が朦朧としていく。
 しばらくしてそれ以上押し込めないところまで着くと、蓮は動きを止めて大きく息を吐き出した。
「入った……蓮のが全部入ったよぉ……蓮っ、蓮ぅっ……大好きぃっ……」
 笑みを浮かべながら涙を流し、ギュッと抱き付いてくる明梨に、強い愛おしさが起こってくる。
 それと同時に、これまで知らなかった姉の自分に対する強い執着に、驚いている部分もあった。まさかこれほどまでに愛してくれているとは思わなかったからだ。
 だがこうして肉体を重ね合わせ、性器で繋がり合い、愛の言葉を告げられて嬉し泣きまでされては、こちらも明梨に対して強い愛情を抱かずには居られなかった。
 幼い頃から慕ってきた可愛らしい姉が、自分を強烈に愛してくれているのだ。その想いに応えないで居るなどあり得ないだろう。
 実際体の奥底から、明梨に対する愛おしさ、己の物にしないでは居られない強い執着が湧き起こっていた。
 それは性欲に強烈に作用し、この愛らしい肉体を無茶苦茶にし、貪り尽くさずには居られない衝動を呼び起こしていった。
「姉ちゃんっ。俺も、俺も姉ちゃんが大好きだよぉっ……姉ちゃんっ、姉ちゃぁんっ……」
 腰を激しく前後に動かし出し、己の中で重々しく渦巻いている衝動を解放するように肉棒で突きまくっていく。
「あんっ、あんっ、ああんっ……蓮、ああっ……蓮、あっ……蓮ぅっ……」
 明梨は両腕両脚でしっかりと抱き付き、涙を流しながら悶えている。
 嬉しそうにこちらを見上げ、幸せな笑みを浮かべるその姿に、歓喜の想いが爆発する。
 姉の肉体に包まれ、姉の愛情に包まれてするセックスの、何と気持ちの良いことか。
 昨夜の早紀子との母性に包まれたセックスも良かったが、それとはまた異なる心地良さがあった。
 それはどちらも、家族ゆえに存在している快楽なのだろう。
 長年培ってきた家族愛が肉欲に混じり合い、昇華されることによって得られる悦びなのだ。
「やっ、やぁっ……あっ、あっ、ああんっ……蓮、あっ……蓮いいよぉ、あぅっ……蓮もっと、あっ……蓮もっとぉっ……」
 さらなる快楽を与えてくれとばかりに告げられる言葉に、意識せずとも腰が激しさを増していく。
 強い突き込みを行うたびに、明梨は可愛らしい声をあげ、いやらしく体をくねらせている。
 何とたまらない光景だろうか。
 自分は今、幼い頃から慕ってきた姉を、快楽に狂わせ、好き放題に貪っている。
 そしてもっともっと無茶苦茶にしたい衝動で一杯だった。
「ああっ、あっ、あんっ……やっ、やっ、やぁっ……」
 腰を動かせば動かすほど、明梨は淫らに悶え、可愛らしく喘ぐ。
 まさに姉を支配下に置いている状態であり、征服欲が凄まじい充足を覚えた。
 昨夜の早紀子との交わりでもそうだったが、長年従ってきた相手だけに、こうして逆に従える状況には、強烈な悦びがあった。
 自分は今、姉を自由にしている。
 女として支配しているのだ。
 素晴らしすぎて泣きそうだった。
 興奮が射精感を高めるのか、すでに肉棒が限界に近かった。
 早紀子との経験で慣れたとはいえ、昨日まで童貞だった蓮にとり、明梨の若さ溢れる女体の魅力は、あまりに刺激的だった。
 あともう少しで精を漏らしてしまうだろう。
「姉ちゃんっ……姉ちゃんっ……俺もうっ……出るっ、出るよぉっ……」
「いいよ、あっ、あんっ……中に、ああっ……お姉ちゃんの中に、あっ……蓮のを出してぇっ……」
 明梨は切羽詰まった口調で告げると、嬉しそうな笑みを浮かべ、膣内で射精する事を求めてきた。
 その言葉にゾクリとした興奮を覚える。
 姉の中に精液を注ぎ込む。
 それは何と背徳的な行いだろうか。
 己の証を刻みつけるような感覚を覚えて嬉しさが爆発する。
 可愛くて素敵な姉の中に、精液を思い切り放つのだ。
 その行為の素晴らしさに、蓮は最高の射精にしようと、腰をそれまで以上に激しく振っていった。
「あんっ、あんっ、ああんっ……蓮っ、蓮っ、蓮ぅっ……お姉ちゃんもう、ああっ……お姉ちゃんもう駄目だよぉっ……イく、あっ……イくぅ、ああっ……イっちゃうよぉっ……やっ、やっ、やぁあああああああああんっ!」
「姉ちゃぁんっ!」
 明梨の絶叫に合わせ、肉棒の栓を開放する。
 ドピュッ、ドピュッ、ドクドクドクドクドク……。
 解放感と共に、強烈な快感が背骨を通じて脳へと涌き昇っていく。
 一瞬目の前が真っ白になりながら、股間で肉棒が律動するたびに精液が放出されていくのが感じられた。
 明梨はビクッ、ビクっ、と体を小刻みに震わせ、だらしない笑みを浮かべて放心している。
「ああ……蓮のが……蓮のが出てるぅ……凄いよぉ……」
 とろんっとした表情で、あらぬ方向を見つめながら呟くその姿は、何とも言えないいやらしさに溢れていた。
 その様子に、連は姉を己のモノにしたのだという実感を覚えつつ、射精を繰り返していった。
 しばらくして精を放ち終えると、脱力して倒れ込む。
 柔らかで温かな肉が受け止め、明梨の手が優しく頭を撫でてくるのに幸福感で一杯になった。
 自分は今、愛する姉と一つになったのだ。
 何と素晴らしいことだろう。
「蓮……私、すっごく幸せだよ……ずっと蓮とこうなりたいって思ってたから……それが実現して、すっごく嬉しい……」
 明梨は満足そうに告げると、頬にキスをしてきた。
 その事にくすぐったさを覚えつつ、改めてどうして姉がここまで自分に執着を持つようになったのかが気になった。
 以前までは、自分を弟として可愛がってくれてはいたが、こうしたまるで恋人に対するような愛情はなかったはずだからだ。一体何があったというのだろう。
「姉ちゃん……何でその……俺とこんな風にしたいって……思ったの?」
「嫌だった?」
 蓮の言葉に、明梨は不安そうな表情を浮かべ、逆に尋ねてきた。
 そこには見捨てられる事を怖がるような雰囲気があったため、姉の自分に対する強い執着を感じさせた。
「別に嫌じゃないけど……ただ気になって。だって前はこんなんじゃなかったじゃん」
「そうだね……でも前からあんたの事が大好きだっていうのは同じだよ。前はそれに気づいてなかったんだと思う……こっちで一人暮らしを始めて、あんたと離れて暮らしている内に、何か凄く寂しくなって……蓮に会いたいって、会って抱き締めてもらいたいって、セックスしたいって思うようになったの……」
 必死な様子で告げてくる明梨に困惑を覚える。
 いくら逢えなくて寂しかったといっても、それで弟とセックスしたいと思うなどあり得ないからだ。
「いや、それ極端すぎるでしょ。会えなくて寂しいってのは分かるけど、でもそれでセックスしたいっておかしいじゃん。だって弟だよ。何で弟とセックスしたいって思うのさ」
「あんたは思った事ないの? お姉ちゃんとセックスしてみたいって」
 そう尋ねられると一瞬躊躇してしまう。何故なら明梨を性的対象として見た事はあるからだ。「姉ちゃんがセックスさせてくれたなぁ」と思ったことは確かにあったのである。とはいえ、実際に本気でそうしたいと思った訳ではなかったが。
「そりゃ、その……姉ちゃんっておっぱい大きいし、ちょっと揉んでみたいとか思ったことは……」
「セックスは? 私としたいって思ったことは無いの?」
「う……まあ、思っただけなら……あるよ。女の体ってどんななのかって思ったし……でもだからって、本気でしたいって思ってた訳じゃないから」
 正直に口にするのははばかれたため誤魔化そうとしたが、直接的に追求されては無理だった。
「うん。普通はそうだよね。私も前はそうだったし。あんたのオチンチンとかどんな感じなんだろうって気になったりもしたし、あんたとエッチな事をしたらどんなだろうって考えたりした事もあるけど、本気でそうしたいなんて思わなかったもん」
 それは意外だった。まさか明梨がそのような事を考えていたとは思わなかったからだ。
「だけどね……ここで、一人で暮らしてるとね……凄く寂しくて……寂しくて……そんで蓮の事が凄ぉく恋しくなっちゃったの……蓮が傍に居てくれたら、一緒に暮らしてくれてたら、きっと寂しくなかったんだって……そんで気づいたんだ。私は昔から蓮の事が大好きだったんだって……大好きで大好きで、抱いて欲しいって思っちゃうくらい愛してたんだって……」
 熱烈な愛の告白に、激しい動揺と嬉しさが込み上げてくる。
 実の姉に恋人のように思われていることに嫌悪感が無いとは言い切れなかったが、それ以上に、これほどまでに愛されている事に強い喜びがあったのだ。
「だからね、蓮がこっちに引っ越してくるって知った時、すっごく嬉しかった……蓮に抱いてもらえるって、そう考えたらたまらなくなっちゃって……まだ早いかなって思ったけど、今日こんな風にしちゃったの……」
 明梨はうっとりとした表情で、ジッとこちらを見つめてくる。
 その瞳には一途な強い想いが感じられ、思わずたじろいでしまうほどのものがあった。
「ねぇ……こんなお姉ちゃん嫌?……弟とエッチしたがるお姉ちゃんは嫌?……蓮の事が好きで好きでたまらないお姉ちゃんは、嫌?」
 小首をかしげ、不安そうな顔で甘えるように尋ねてくるのに、心臓が激しく鼓動する。
 強い執着に少々怖さを感じはするものの、それほどまでの愛情を向けられる事には強い嬉しさもあったからだ。
 何よりこのような可愛らしい姿を見せられて、突き放すことなど出来るはずもなかった。魅力溢れる容姿をした女性が、自分を求め、愛して欲しいとせがんできているのだ。拒絶する事など出来るはずがないだろう。
「嫌じゃないよ……俺も姉ちゃん大好きだもん……」
「嬉しいっ……蓮、大好きだよぉっ。んっ、んんっ……」
 歓喜の叫びと共に強く抱き付かれ、唇に吸い付かれる。
 舌が入り込み、口内を激しく貪られる。
 顔を左右に入れ替えながら、荒々しい口づけが繰り返されていく。
 その刺激に股間の一物が復活し、落ち着かない肉欲が押し寄せてきた。
「んっ、んんっ……んふぅっ……ふぁ……はぁ……蓮とのキスって、やっぱり気持ちいぃ……」
 とろんっとした表情を浮かべ、甘えるように頬ずりしてくるのに、愛おしさが爆発する。
 欲しかった。
 この愛らしい女が欲しかった。
 柔らかくて弾力のある体の中に、もう一度肉棒を押し込み、擦り上げ、思い切り射精してみたかった。
「姉ちゃん、大好きだよぉっ」
 抑えられない衝動に押されるまま、首筋に吸い付き、舌を這わせて舐め回していく。
 豊満な乳房へ手を伸ばし、ヤワヤワと揉みしだくと、たまらない感触が手のひらに溢れた。
 やはり姉の乳房は最高だった。弾力があって柔らかく、実に揉み心地が良いのだ。
「ね、蓮……もう一回、しよ?」
「うん」
「あ、一回じゃなくて沢山ね。沢山、何回も、お姉ちゃんのことを抱いて。ね、お願い」
「うん。何回だって抱くよ。姉ちゃんが満足するまで。いや、姉ちゃんが満足しても、俺が満足するまで抱くから」
 そう応えつつ、上半身を起こして肉棒を手に持ち、ゆっくりと挿入していく。
「嬉しい……あっ……蓮のが入って、やっ、あっ……」
 肉棒がズブズブと入り込んでいくのに合わせ、明梨が可愛らしい声をあげ、強く抱き付いてくる。
 こちらを見上げる愛らしい顔を眺めながら、蓮は自分はこんなにも姉に愛されているのだと嬉しさで一杯になりながら、強く腰を振っていくのだった。


「あっ、あっ、ああっ……」
 ベッドの上で四つんばいになり、背後から肉棒を突き込まれている明梨は、蓮が腰を振るたびに甘い喘ぎを漏らしていた。
 突き込みに合わせて頭を仰け反らせ、時折振り返って嬉しそうな笑みを向けてくるのに、幸福感で一杯になる。
 可愛らしい姉を自由にし、愛情の籠もった瞳で見つめられるのは、これまでの人生で一番の幸せな状況だった。
 幼い頃から慕い、憧れてきた姉は、今や自分のものだった。
 自分に抱かれ、自分の肉棒で貫かれる事に歓喜する、一人の女だった。
 姉でありながら女でもある相手を抱いている状況に、蓮は強い背徳的な悦びを覚えていた。
 その一方、恐怖を覚えている部分も存在していた。
 何しろ近親相姦なのだ。
 昨夜の早紀子に続いて家族と交わった事は、常識的な倫理観、道徳観の持ち主である蓮にとり、己が異常な行為をしているという想いを強く感じさせる事だった。
 母親、姉と裸で抱き合い、性器を繋ぎ合わせ、快楽を与え合う。
 何と汚らわしい、許されない行為をしているのか。
 目の前で裸身を汗まみれにしながら、与えられる快楽に喘ぎ悶える明梨の姿を見ていると、自分たちが獣になったような錯覚を覚えてくる。
 それも当然だろう。何しろ家族同士で交わる、近親相姦をしているのだから。
 倫理道徳に反する行為をしているのだ。獣であって当然だった。
 そうした罪悪感が存在している一方で、それ以上の快楽も得ていた。
 許されない行為だからこそ、余計に気持ちが良くなっている、そんな気がしてならなかった。
「あんっ、あんっ、ああんっ……蓮っ、いいよ蓮、あっ、ああっ……蓮もっとぉ、やぅっ……もっとしてぇっ……」
 シーツを強く握り締め、耐えられないとばかりに頭を左右に振る明梨に、ゾクゾクとした興奮が湧き起こる。
 今自分は、姉を支配下に置いていた。幼い頃から従ってきた姉を、逆に従えているのだ。
 その立場の逆転の状況に、強烈な誇らしさを覚える。
 それは昨夜の早紀子との行為の際にも感じたことだったが、やはりたまらないものがあった。
 もっと姉を従わせたい。
 その想いから腰を強く大きく突き込むと、明梨の喘ぎと悶えがさらに激しくなった。
「ああんっ、あっ、あっ……凄い、あぅっ……凄、うぐっ……やっ、やっ……凄いよぉっ……」
 耐えきれないようにして腕を崩し、尻だけを掲げた状態でベッドに突っ伏した明梨は、シーツを引き寄せ、涙声で喘ぎまくった。
 張りのある尻を掴み、さらに突き込みを荒々しくしていく。
「ああっ、あっ……蓮っ、蓮っ、ああっ……蓮大好きぃっ……蓮っ、蓮ぅっ……」
 自分の名を叫び、もっとしてとばかりに腰を振る明梨は、あまりに可愛らしく、そしていやらしかった。
 そんな姿を見ていると、姉を己のものとした実感を得られてたまらなかった。
 そしてさらにその想いを強めたいと思った蓮は、昨夜早紀子にした事を、明梨にもしてみたくなった。
「明梨っ……明梨ぃっ……」
 名前を呼び捨てた瞬間、母の時にも感じた興奮が湧き起こった。
 性器で繋がり合いながら、姉を名前で呼び捨てる。
 そのまさに女として認識する行為に、肉欲が激しく昂った。
「やっ……何それ、あんっ……名前でなんて嘘、あっ、ああっ……駄目よそれ、ああっ……駄目ぇっ……」
 明梨の顔が歪んだため、一瞬怒らせてしまったのかと思ったが、すぐにその表情が喜びである事が分かった。そもそも姉は、自ら誘うほど自分を愛しているのだから嫌がるはずがなかったのだ。
「明梨っ……明梨っ……明梨ぃっ……」
 安心すると共に、もっと姉を己のものと実感したいと思った蓮は、愛情を込めて名前を呼び捨てながら、快楽を求めて勢い良く肉棒を叩き付けていった。
「駄目、あっ、ああっ……名前で呼ばれると駄目よぉ、あっ、あんっ……嬉しくて、ああっ……嬉しすぎて何か変になっちゃう、やっ、やぁんっ……」
 明梨はうっとりとした表情を浮かべながら、これまでより甘ったるい声で喘ぎ、ビクッ、ビクッと快楽に身を震わせた。
 何といやらしく、素晴らしい光景だろうか。
 己の行為で、愛する姉が乱れ狂い、名前を呼び捨てられて、嬉しそうに悶えている。
 姉の女としての顔が、これでもかと顕わになり、それを見ていると、強烈な満足感と幸福感が高まって全身を包み込んでいった。
 射精感も高まっていき、すぐにでも精を放ちたくてたまらなくなるのを必死に抑え込む。
 今得ているこの気持ち良さを、出来るだけ長く持続させたかった。
 湧き起こってくる高まりをそらし、もう少し、もう少しと腰を振っていく。
「やっ、やんっ……蓮ぅ、やっ、やぁっ……蓮凄いよぉ、あっ、あんっ……お姉ちゃん気持ちいい、あっ、ああっ……蓮のが気持ち良くて、やっ、やんっ……おかしくなっちゃうぅっ……」
 だが、振り返り、可愛い笑みを浮かべながら、甘えるように告げてくる明梨の姿に、耐久力は一気に崩壊した。
 このように愛らしく媚びられては、我慢など出来るはずがなかった。
 思い切り精を注ぎ込みたいとする欲求を、抑えることなど出来なかった。
「うぐっ……明梨っ、うぅっ……出るっ、出ちゃうよっ……」
「いいよ、あっ、ああっ……蓮のちょうだい、あっ、あんっ……連の精液、やっ、やぁっ……お姉ちゃんの中に、沢山出してぇっ……」
 泣き叫ぶようにして求めてくるのに、愛おしさが爆発する。
 この女は自分の精を、遺伝子を欲している。注ぎ込んで欲しいと嘆願しているのだ。
 征服欲と支配欲が強烈に刺激を受け、蓮はこのまま一気に射精するのだと、腰を荒々しく振っていった。
「あんっ、あんっ、ああんっ……凄い、あっ……凄いぃっ……蓮っ、蓮っ、蓮ぅっ……やっ、やっ、やぁああああああああんっ!」
「明梨ぃっ!」
 背中に尻がひっつくほどに思い切り腰を突き出すのを繰り返し、最後に一気に肉棒の栓を解放する。
 ドピュッ、ドピュッ、ドクドクドクドクドク……。
 張りのある尻肉を鷲掴みにし、断続的に放出されていく精液を感じる。
 肉棒が律動するたびに精が迸り、強烈な快感が背骨を通じて脳に駆け抜ける。
 ガクガクと体を震わせ、「うっ、うぅっ……」と呻き声を漏らしながら、何度も何度も精を迸らせていく。
「あ……あぁ……蓮ぅ……蓮のが沢山出てるよぉ……はふぅ……」
 ビクっ、ビクっ、と体を痙攣させつつ、明梨は溜息のような声を漏らしている。
 その姿を見ていると、また姉を己の物とした実感が得られて最高だった。
 精液を注ぎ込むこの行為は、最高の悦楽だった。
 優れた女である姉の中へ、本来弟であるのだから手出し出来ないはずの姉の中へ、自らの遺伝子を注ぎ込んでいるのだ。
 許されないがゆえに、その禁忌を破った事への悦びには強烈なものがあった。
 背徳行為による快楽は、あまりに甘美すぎる蜜であり、耐えることの出来ない至極の気持ち良さと言えただろう。
 そんな事を思いながら最後の射精を放ち終えた蓮は、ゆっくりとベッドの上へと倒れ込んだ。
 隣では、突っ伏し、尻を掲げた体勢のまま呆けている明梨の姿があった。
 そのいやらしい様に、肉棒がビクンっと反応を示す。
 今射精したばかりであり、もう何度もセックスをしているというのに、枯れることのない性欲は、早くも姉との交わりを欲していた。
 己の絶倫ぶりに苦笑しつつ、起き上がると明梨の体を横たえてのし掛かっていく。
「ふぁ?……もうするのぉ?……蓮ってば凄すぎぃ……お姉ちゃん、ちょっと休憩欲しいかなぁ、って……」
「ごめん。我慢出来ないんだ。姉ちゃんが欲しくて欲しくてたまらないんだよ」
「あ〜〜、名前で呼んでよぉ。『明梨』って呼び捨てて……そうしてくれるとお姉ちゃん、蓮の恋人になれたって凄く思えるから……」
 とろんっとした表情でこちらを見上げ、甘えるように告げてくる明梨を見ていると、強烈に肉欲が高まっていった。
 汗で額に髪が張り付いているのが色っぽく、まだ乱れている呼吸は、それだけで甘い吐息として耳に響く。
 明梨の姿を見、その声を聞くだけで、肉棒はグングンと力を増していった。
 自分の欲情は、姉の存在そのもので、いくらでも湧いてくるような気がした。
「えっと……あ、明梨……俺、明梨が欲しくて欲しくてたまらない……」
「ふふ、よく出来ました。もちろんOKだよぉ。お姉ちゃんだって、連ともっとしたいもん……それにしても、元気すぎるおちんちんだね。もうこんな大きくなっちゃって。そんなにお姉ちゃんのことが欲しいの?」
 満足げな笑みを浮かべながら、明梨は肉棒をギュッと握りしめてきた。
 その表情には、色香を感じさせるものがあり、ゾクリとした興奮が湧き起こってくる。
「欲しい……欲しいよ……俺は明梨のことが欲しいっ」
 この愛らしい姉を、もっともっと抱きたい、貪り尽くしたい、自分の女である証を沢山注ぎ込みたい。
 押し寄せてくる肉欲に流されるまま、蓮は強い高揚感を覚えつつ、すでに硬く大きくなっている肉棒を持つと、再び気持ちの良い姉の中へと入り込んでいくのだった。


 目が覚めたのは昼過ぎだった。
 それまで熟睡していたのだから、かなり疲れていたのだろう。
 それも当然だった。何しろ一昨日の夜と昨夜、二晩も続けてセックスをしまくったのだから。
 その事を思い出すと、何と素晴らしい経験をしたのだろうと嬉しさが込み上げてくる。
 その一方、とんでもない事をしたのだという認識もあった。
 何しろ母親と姉という、本来してはならない二人とセックスをしたのだ。
 それも何度も何度も。
 いくら性欲に流されたとはいえ、数日前の自分であれば、想像も出来ない状況だった。
 早紀子とのことは、お互い熱で朦朧としていた事から、「歯止めがきかなかった」と考えることが出来た。
 しかし明梨に関しては明らかに問題だった。誘惑され、それに逆らえず抱いてしまったのだ。
 その原因となったのは、姉の心情だった。以前から自分を恋人のように愛し、抱かれることをずっと求めていたというのだ。
「この村へ引っ越してきてから、寂しくてそうなった」と言っていたが、孤独が姉を狂わせたのだろうか。
 村には親戚の武彦と由衣が住んでいるのだから孤独ではないはずだが、やはり家族ではないというのは大きい事なのだろうか。親戚では駄目だったのだろうか。
 だが寂しいからといって、何故求める相手が弟の自分なのか。
 確かに自分たちは仲の良い姉弟だとは思うが、セックスの対象として考えるなど普通あり得ないだろう。寂しいからといって、弟を男として求めるなどおかし過ぎるのだ。
 だが明梨は自分を男として見ている。そしておそらくは、今後もセックスしたいと求めてくるだろう。姉は母とは違って状況に流された訳ではなく、前々からそうなる事を強く欲していたのだから。
 それは自分にとっても嬉しいことではあった。何しろ姉をもっと抱きたい気持ちは強くあったからだ。拒否する気など起きないが、とはいえ明梨の自分に対する想いには、どこか怖さを感じさせるものがあるのも正直なところだった。
 強い愛情というのは怖いものなのだなと思いつつ、これからどう対応していけば良いかという事を蓮は考えた。
 まずは今隣の部屋に居るであろう明梨と、どう会話するべきか。早紀子とはギクシャクしてしまったが、そうならないで居られるだろうか。
 姉の態度も変化しているだろうか。
 自分を恋人のように想っていたとなれば、それが成就した今は、それなりに変わっていても不思議ではないからだ。
(姉ちゃんが、恋人か……)
 そう思う事に、嫌悪感よりも嬉しさが感じられているのに苦笑する。やはり自分はおかしくなっているのかも知れない。
 だが幼い頃から慕ってきた美しい姉を己の物と出来たとなれば、男として喜びが起きてしまうのも仕方のないことだろう。何しろ自分の周囲に居る女性の中で、若くて最も魅力的な存在なのだ。しかも今やその肉体の素晴らしさを知ったのだから、強く惹かれるのは、雄の本能として当然のことだった。
 そんな事を考えながら服を身につけた蓮は、大きく息を吐き出すと、姉の待つ隣の部屋のドアを開いた。
 しかし予想に反して明梨の姿は無かった。どうやら出かけているらしい。
 テーブルの上にラップに包まれた皿とメモが置かれてあり、「大学へ行ってきます。ご飯は『またか』と思うかも知れないけど、昨日の残りを食べてね」と書かれてあった。
 料理があの里芋を使ったものであるせいか、こちらの考える事を見越しての文面になっているのに苦笑する。確かに皿の中身を見た瞬間、「またか」と思ったので、その通りだったからだ。
 いい加減別の物を食べたいと思わないでもなかったが、腹が空いていたため、諦めて料理をいただくことにする。
 電子レンジで温め、ご飯と一緒に食べると、口内に広がる独特の美味さに嬉しさが起こった。
 何だかんだで、自分もこの里芋にハマり始めているのかも知れない。村の人間が気に入っているのも納得だった。味付けもあるのだろうが、とにかく美味いのだ。
 少しして食事を終えると、蓮は明梨の家を出ることにした。やはり自宅ではない家に、いつまでも居続けるのは気が引けたからだ。
 とはいえ、特に行く当てがある訳でもなかったため、村の中をぶらつくしかなかったのだが。
 まだ行ったことがないと思える方向へ歩き出し、周囲の田園風景を眺める。
 しばらく歩いていくと、木々がうっそうと茂っている森に出くわした。
 中に細い道が続いており、誰かがこちらへ歩いてくるのが見える。
 それは見覚えのある顔だった。引っ越してきた日に挨拶をした女性であり、昨日プリントを取ってあげた快斗の母親だ。確か名前は理那といっただろうか。
「こんにちは。お散歩ですか?」
 理那はそう告げてくると、にこやかな笑みを浮かべている。
「はい。まだ村の中がよく分からないので……」
 返事をしつつ頭を下げる。
 一度しか会ったことのない女性だが、知り合いの全く居ない状況では、それだけでもホッとする想いがあった。
「それなら、この先にある神社へお参りすることをお薦めしますよ。この村の守り神様が祭られていますから」
「守り神、ですか?」
「ええ。村でずっと信仰されている神様です。村にとって凄く大切な神様なんですよ」
 武彦からは、そのような神社があるなどと聞いていなかったが、もし理那の言う通りであるなら、お参りしておいた方が良いだろう。何よりどうせ暇なのだから。
「そうなんですか。それじゃお参りしたいと思います。教えてくれてありがとうございました」
「いえいえ。お参りしていただくと、私としても嬉しいですから。ちなみにこの道は、『裏参りの道』になるので、挨拶程度のお参りの際は良いですけど、きちんとしたお参りをする場合は、反対側にある参道を使って下さいね」
「裏参りの道、ですか? 参道とは違うんですか?」
 聞きなれない呼び名に疑問を抱く。参道ならば知っているが、「裏参り」などというのは初めて耳にしたからだ。
「普通は裏にある参道なら『裏参道』と呼ぶのでしょうけど、この神社の裏参道には特別な意味があるのでそう呼ばれているんです。まあ、普段は関係ないんですけどね。お祭りの日に、特別な意味が生まれるんです」
「特別な意味、ですか……」
「はい。でも詳しくは話せないんです。あまり口にするのは良くないこととされていますから。もしお祭りの日にご一緒したら、その時にお話ししますね」
 それくらい教えてくれても良いのではないかと思うが、こうした村の慣習には、禁忌みたいなものがあるのだろう。しかもまだ村に住んで日の浅い自分に対してとなれば、安易に話せないというのも理解出来た。
「それじゃ失礼しますね」
「はい。ありがとうございました」
 軽く頭を下げて立ち去る理那を見送り、さてどうしたものかと考える。
 せっかく教えてもらったことだし、神社へお参りしてみようか。
 そう思った蓮は、理那がやって来た道へと足を踏み入れていった。
 周囲は多くの木々が生えているせいか、日光が遮られていて涼しさが感じられた。
 少し進んでいくと、急に森が開け、神社の建物が見えてくる。
 鳥居は遠くに存在しており、「裏参りの道」と言われた通り、こちらは裏側なのだというのが認識された。
 本殿などはどこにでもある感じの建物だったが、小さいながらもなかなか立派な造りになっていて、寂れた様子も無いところから、村の人達がきちんと管理しているのが分かった。
 本殿の正面まで行き、手を合わせて頭を下げる。
 取り合えずこれで挨拶は済んだ訳だが、さてこの後はどうしたものか。
 そう思いながら周囲へ目をやると、少し離れた場所に、小さな木造の建物があるのが見えた。
 入口付近が階段状になっていて、座って休むのにちょうど良いと思った蓮は、近くまで歩いていって腰を下ろすことにした。
 中からは気配が感じられなかったため、おそらく誰も居ないのだろう。
 その事にホッと息を吐き出しつつ、今夜のことに想いを馳せる。
 今日は自宅へ帰ることになる訳だが、早紀子とセックス出来るだろうか。
 昨日あれだけ明梨としたにも関わらず、すでに強い欲情が起こっていた。先ほど理那と接したことで、同じ熟女である母を意識したのかも知れない。
 早紀子のことを想うと、そのあられもない姿が頭に浮かび、股間の一物に刺激が走り抜ける。一昨日の夜に体験した女体の味は、強烈な呪縛となって蓮の心と体に刻み込まれていた。
 あの柔らかで温かい肉を、再び味わいたかった。
 甘えながらも支配するたまらない快感。
 あれは実に素晴らしく、忘れられない快楽だった。
(したい……また母さんと……したい、したいよぉ……)
 早紀子とセックスがしたかった。
 そしてそれは、望めば叶う事だった。一度関係してしまった事で、母の中にある禁忌に対する防壁は、崩れ去っているように思えたからだ。無論最初は嫌がるかも知れないが、強く求めれば受け入れるように感じられたのである。
 そう考えると、脳裏に愛おしそうにこちらを見つめ、抱き付いてくる早紀子の姿が浮かんだ。
 その熟れた肉体を舐め回し、揉みしだき、肉棒を押し込んで喘がせ悶えさせる光景が浮かび、股間の一物がはち切れんばかりに膨張する。
(母さん……母さぁん……)
 呼吸が荒くなり、思わず股間に手をやりたくなる。
 だが人気が無いとはいえ、さすがに屋外でそのような事をするのには恥ずかしさがあった。
 ではこの建物の中ではどうかと思い、入口のドアに手をかけてみると、鍵がかかっていなかったため中を覗くことができた。
 そこは八畳ほどの広さがあり、座布団や折り畳みのテーブルなどが置かれてある部屋だった。
 他にもキッチンや食器棚、冷蔵庫が設置されていて、奥には布団も畳まれてあったため、もしかしたら神社の関係者が寝泊りする施設なのかも知れない。
 壁に立てかけられたテーブルの傍に、ティッシュ箱があるのが目に映り、これなら後始末も問題ないな、などと思いながら、靴を脱いで中へと入っていく。
 自室以外で自慰をするのに抵抗を感じないでもなかったが、それ以上に射精したい気持ちの方が強かった。このムラムラした状態を何とかしなければ、どうにも落ち着かないのだ。
 座布団へと腰を下ろし、ティッシュ箱を引き寄せようと手を伸ばす。
 そのままズボンのチャックを下ろして、自慰を始めようとした時だった。
「何してるの?」
 不意にドアが開く音と共に声をかけられたため、心臓が勢い良く跳ね、体が硬直して震えが走り抜けた。
 慌てて目を入り口へ向けると、そこには見知った顔があった。
 由衣だ。
 学校帰りなのか、白いブラウスにチェックのミニスカートという夏の制服姿であり、不思議そうな表情を浮かべ、小首をかしげているのが何とも可愛らしかった。
 だがそんな事よりも、今自分がしようとしていた事に気づかれたかどうかが重要だった。同じ年頃の、それも可愛い女の子に、自慰をしようとしていた現場を見られたなど最悪だからだ。
 かなり焦りながら表情を伺うが、由衣にはそういった事を思わせる雰囲気は無かったため、大丈夫だったのだろうとホッと息を吐き出す。
「そんなにビックリした? 普通に声かけただけなんだけど……」
 蓮の反応があまりに極端だったせいだろう、由衣は目を白黒させながら呟いている。
「いや、その……誰も居ないと思ってたから……」
 そう言えば、昨日も似た状況で明梨が風呂から上がったのだったと思い出し、自慰をする際はもっと気を付けなきゃな、などと考える。
「でもどうしてこんなところに居るの?」
「この建物は何なのかと思ってさ。気になったからちょっと中へ入ってみたんだよ」
 まさか「自慰をしたかったから」とは言えないため、適当にそれらしい言い訳を口にする。
「そうなんだ。ここはね、お祭りなんかの時に、準備する人とかが休んだり泊まったりする建物なの。普段は使ってないんだけど、うちが管理してるんで見回りに来たんだけど……」
「勝手に入っちゃマズかったよね……ごめん……」
 由衣の口調が咎めるような雰囲気だったため、素直に謝る。持ち主の了解なく入るなど良くないことだからだ。
「まあ、鍵もかけてないし、別にいいんだけど……でもちょっと驚いたかな。まさか蓮ちゃんが居るとは思わなかったし」
「いや、散歩してたら、ここに神社があるって理那さんに教えてもらったんで。そんで見ている内に何となく……」
「ふ〜〜ん、理那さんが……そういや、引っ越してきた日にも理那さん達に会ってるんだよね? やっぱり里芋を美味しいって思うだけあって、縁があるってことなのかな……」
 由衣は何か納得したかのような口調で呟いている。
 だが蓮には訳が分からなかった。里芋を美味しく感じることと、理那と縁があるということが結びつかないからだ。
「あ、理那さんはね。当主様のお世話なんかをしてるし、理那さんちは色々神社と関りのある家柄なの。だから里芋が美味しいと、そういう人とも偶然会ったりするのかなぁ、って」
 蓮の納得していない様子を感じたのか、由衣は続けて説明をしてきたが、それでも意味が分からなかった。里芋を美味しく感じることと、当主や神社に関わっている人間ということが繋がらないからだ。
「あ、そっか。まだ話してなかったっけ。うちの村の里芋はさ、ここの神様からの授かり物なの。昔飢饉があって、沢山の人が餓死したんだけど、神様がやってきて、里芋を村人にくれて、それで村は救われたんだって」
「へ〜〜、そんないわれがあったんだ」
「うん。だから里芋が好きだと、この神社と関りの深い人との縁も強くなるのかなぁ、って」
「里芋の縁ってやつか。確かにそれはあるかもね」
 実際は偶然でしかないのだろうが、由衣が感心したように呟いていることを否定するのも気が引けたため、調子を合わせて賛同することにした。
「そうだ。さっき貰ったんだけど食べる? 里芋のお菓子なんだけど」
 由衣の言葉に、一瞬「また里芋か」と思ったが、お菓子となると興味がそそられた。甘いものなら食べてみたかったからだ。
「これだよ」
 由衣が鞄の中から取り出したのはアルミ箔の包みで、開いて中を見せられると、スイートポテトのような菓子であることが分かった。
「全然砂糖を使ってないんだけど、凄く甘いの。あ、麦茶も出すね。ちょっと待ってて」
 由衣はこちらの返事を待たずにキッチンの方へ向かうと、いそいそと準備を始めた。
 背伸びをして高い位置にあるお盆を取り、食器棚から水出し麦茶の箱を取り出している。
 その動きはまるで小動物のような落ち着きない雰囲気を感じさせたため、蓮は微笑ましい気持ちになった。
 何より動くたびにミニスカートがふわっ、ふわっ、と動いて、太ももの見える面積が広がるのにドキリとしてしまう。
 日焼けしていない白い脚は、若々しさと艶めかしさを感じさせ、思わず撫で回し、舌を這わせたい衝動を覚えさせた。
「あ、落としちゃった」
 水出し麦茶の箱が床に落ちたため、由衣は慌てて屈んで拾っている。
 すると白いブラウスの胸元を押し上げる膨らみが強調され、その様子にゴクリと唾を飲み込んでしまう。
 早紀子や明梨には及ばないにせよ、程良く育っている由衣の双乳は、高校生らしい可憐な魅力に溢れていた。
 さらに背中にうっすらとブラジャーのラインが見えた事で、性的な意識が高まった。
「ね、蓮ちゃん。明梨ちゃんって、彼氏居るのかな?」
「へ? 姉ちゃん? う〜〜ん、居ないんじゃないかなぁ……」
 不意に尋ねられたのと、いかがわしい妄想をしていた事で動揺したため、少々裏返った声で返事をしてしまった。
「そうなんだ。明梨ちゃんってすっごくモテるから、てっきりこっちに来る前に居たのかと思ったんだけど……」
「そんなにモテるの?」
「うん。だって美人でしょ。そんで凄く世話焼きさんだから、村の男の人は、みんな明梨ちゃんのこと好きになってると思う」
 まあ、確かに明梨は世話好きで、どんな人間にも分け隔て無く明るく優しくするところがあるから、並の男ならすぐに惚れてしまうだろう。自分にしても、幼い頃から優しくされ、世話を焼かれてきた事で、姉が大好きになっているのだ。
 そんな明梨と昨夜はセックスをした、と認識すると、妙な誇らしさと嬉しさが込み上げてくる。それと共に、姉の裸体と淫らに乱れる姿が脳裏に浮かんだ。
(由衣ちゃんは、裸になったらどんななんだろ……)
 目の前の魅力的な少女の裸身を想像すると興奮が湧き起こった。由衣は一見スレンダーな印象があるが、胸は大きいため、おそらく抱き締めたら柔らかいに違いなかった。
「蓮ちゃんは、その……彼女とか、居るの?」
「え? 俺?……いや、居ないけど……」
 矛先がこちらへ向いたため、動揺しながら答える。そういった話題は、どうにも恥ずかしいからだ。
「そうなんだ……大学生だから居るのかと思った」
「大学生だからって、恋人が居るヤツばっかじゃないでしょ」
「そうだけど、蓮ちゃんなら大学生になったら恋人が居そうだなぁ、って思ったから」
「俺、モテないよ」
「そうなの? 意外」
 冗談ではなく、本心から驚いているような顔をしていたため、少々居心地の悪さを覚える。どうやら由衣は、自分をモテる男だと思っているらしい。
「由衣ちゃんはどうなんだよ。彼氏居ないの?」
「居ないよ」
「でもモテるでしょ」
「う〜〜ん、まあ、告白とかされた事はあるけど……」
「おお、やっぱりね。んでどうしたんだ? 付き合ってるの?」
「ううん。何か好みじゃない人だったし、断っちゃった。蓮ちゃんは無いの? 告白されたりとか」
「無いよ」
「ふ〜〜ん、そうなんだ……」
 由衣はそう呟きながら、麦茶の入ったコップをお盆に乗せて運んできた。
 置く場所が必要だと思った蓮は、立てかけてあった折りたたみのテーブルの脚を開くと床に設置した。
「ありがと」
 礼を述べた由衣は、二人分のコップと菓子をテーブルの上に置いてから、向かい側に腰を下ろした。
 その瞬間、目が合ったためドキリとしてしまう。
 昨日も何度か顔を見ているが、こうして真正面で見つめ合うような事はなかったため、改めて由衣が美少女である事が認識されたのだ。
(やっぱ可愛くなったよなぁ……)
 去年会った時にはさほど感じなかったが、少し大人びたというか、女としての色香が漂っているような印象があった。もちろんまだ子供の面影の方が強いのだが、それでも十分に抱きたくなる魅力を感じさせたのだ。
 一昨日と昨夜のセックスの経験が、よりそうした意識を強めているのかも知れない。先ほどから由衣の体を性的に見てしまっているのも、そのせいに違いなかった。
「さ、食べてみて。美味しいから」
 由衣は里芋の菓子をこちらへ差し出すと、食べるよう促してくる。
 内心「また里芋なんだよな」とは思ったものの、見た目がスイートポテトであるところから、想像出来る食感と味に食欲がそそられた。
 アルミ箔を開いて取り出すと、口の中へ運んでいく。
「美味い……」
 口内に広がった甘みは実に絶品だった。この菓子を作った人間の技量なのか、元々の里芋の甘さが理由なのか分からないが、とにかく凄く美味しいのだ。
「これ、理那さんが作ってくれたんだけど、理那さんってお菓子作りが上手くて、このスイートポテトも凄く美味しいの。私も真似して作ったことあるんだけど、こんなに美味しくは作れないんだよ」
「へ〜〜、あの人、お菓子作るんだ。しかもこんな美味いの。大したもんだね」
 理那の顔を思い浮かべつつ、パクパクと勢い良く口を動かし、あっという間に食べてしまう。
「良かったら、私のも食べる?」
「え? 悪いよそれは」
「いいよ。私いつも食べてるし。だから蓮ちゃんがもっと食べて」
「そうなんだ。じゃあ貰うね。ありがと」
 正直なところもっと食べたかったため、由衣の申し出を素直に受け入れる。
 二つ目を口にしても、やはり美味しかった。かなり甘さがあるのだが、もっと食べたくなる味わいがあるのだ。
「これ、凄く美味いけど、手作りじゃなくて売ってたりはしないの?」
 もし店で売っているとしたら、ちょくちょく食べられるため尋ねてみる。
「売ってないよ。でも良かったら私が作ろうか? その、あんまり上手くないけど……」
「え? 作ってくれるの? じゃあお願いしようかなぁ」
「あんまり期待しないでね。こんなに美味しくは出来ないと思うから」
「でも由衣ちゃん料理上手いじゃん。昨日の料理だって美味しかったよ。あれだけ出来るんなら、十分美味しいのが作れるんじゃない?」
「ありがと。美味しくなるよう頑張る」
 蓮の言葉に、由衣は少し恥ずかしそうに俯いている。
 その様子が何とも可愛らしかったため、思わずドキリとしてしまった。
 今まで以上に由衣が愛らしく感じられ、無性に抱き締めたくなる衝動が湧き起こってくる。
「今度のお祭りには、神様にお供えしようって思ってるから、前から頑張ってるんだけどね、結構難しいんだ」
「お供えって、スイートポテトをお供えするの?」
「うん。洋菓子だと変な感じだけど、里芋は神様からのいただきものだから、その感謝を込めたものなら問題ないんだって。理那さんは何年も前からお供えしてるんだよ」
 それは意外だった。何となく神社には和菓子というイメージがあったからだ。
「里芋の神様か……」
「そうじゃないよぉ。里芋の神様じゃないって。子供を守る神様」
 蓮の言い方が面白かったのか、由衣は笑いながら訂正している。
「子供を守るって、鬼子母神みたいな?」
「ちょっと違うかな。さっきも言ったけど、村が飢饉に襲われたんで、沢山の人が死んだの。それで人が凄い減ったから、神様は子供が沢山産まれるように、産まれた子供が死なないで育つように、って守ってくれたんだって」
「へ〜〜、子宝の神様ってことか」
「そうだね」
 微笑みながら頷く由衣の姿を見ながら、「子宝ってことは、セックスだよな」などと連想してしまう。
「お祭りでね、子宝の祈願とかもするんだよ。あと若い人を集めて、お見合いみたいな儀式もするの。もちろんフリなんだけど、それがきっかけで結婚した人もいるんだよ」
「へぇ、そうなんだ。じゃあ、由衣ちゃんもしたことあるの?」
「わ、私は無いよぉ。まだ十七歳だもん。お見合いは二十歳になってからするの」
 恥ずかしそうにしながら否定するのが何とも可愛らしい。
「それじゃ俺は来年するって事か。二十歳になるから」
「う〜〜ん、どうだろ? 多分蓮ちゃんはしないんじゃないかな。里芋が美味しいみたいだし……」
「え? 里芋が美味しいと何でしないの?」
「あ、ええっとそのぉ……里芋には縁結びの御利益もあるから……その……里芋が好きなら……か、彼女が出来るんじゃないかなって……それで恋人が居る人は、儀式に参加しないから……」
「ふ〜〜ん、そうなんだ」
 里芋が好きだと恋人が出来るというのはどうにも変な感じがしたが、この村ではそういうものなのだろうと思って納得することにした。何より今居るのはその神様の神社なのだから、あまり否定的なことを述べるのも良くないだろう。
「あ、あの……もしお見合いの儀式が嫌だったら……わ、私が彼女だってことにしても……いいからね?」
「え? いや、別にそこまでしてもらわなくても大丈夫だから……」
 いくら儀式が嫌だからといって、嘘をついてまで参加を拒否するつもりはなかった。そもそもどのような内容なのかも知らないのだから、判断のしようがないのだ。
「そう? ならいいんだけど……」
 ホッとしたように息を吐き出しているのに苦笑してしまう。おそらく無理をして言ってくれたのだろう。嘘とはいえ「恋人になる」というのは、年頃の女の子には刺激的な内容だからだ。
 それに改めて考えてみると、大学生の自分が高校生の由衣を恋人にするというのには、あまり良くない印象があった。一年前は同じ高校生だったのだし、歳の差は変わらないのだから問題無いはずなのだが、どうにもそうした感じがあったのだ。
 やはり大学生ともなると、高校生よりも大人のイメージがあるせいかも知れない。大人が子供である高校生と恋人になるという事に、道徳的な嫌悪感を覚えたのだろう。
(制服のせいってのも、あるよな……)
 高校時代はさほど意識しなかった制服姿が、今はやたらと眩しく見えていた。妙に性的に感じられ、普段着姿よりもいやらしく認識されているのだ。
 由衣は元々可憐な雰囲気のある少女だったが、白い制服を着ていると、それがより強調され、何とも言えない性的な魅力を醸し出していた。
(実際由衣ちゃんって、エッチだよなぁ……)
 清楚な印象ではあるが、時折見せる表情に妙な色っぽさがあり、か細く見える割に胸は大きいため、ギャップから肉欲が刺激されるのだ。
 背後から抱き付いて乳房を揉みしだいたら、どれほど気持ちがいいだろう。
 思わずそんな想像をしてしまったため、慌てて振り払う。従妹に対して肉欲を向けるなど、良くないことだからだ。
 とはいえ、すでに母や姉とセックスしている事を考えると、大したことではないようにも思えてくる。何しろ従妹となら結婚も出来るからだ。つまりセックスしても問題ない相手なのである。
(由衣ちゃんと、エッチする……)
 この可愛らしくも色香を感じさせる少女とセックスしたら、どんな感じなのだろう。早紀子や明梨とするのとでは違うのだろうか。
 そう意識すると、由衣に対する肉欲が高まった。
 視線が胸元へ向き、その可憐な膨らみの形を目で探るようにしてしまう。
 白い制服が押し上げられているのが、清楚さの中にも淫靡さを感じさせ、布越しに揉みたい衝動を刺激してくる。
(女子高生の、おっぱい……)
 そう認識すると、さらに欲情が強まった。
 やはり大学生になってから、「女子高生」という要素に対する執着が強くなっているように思えた。普段着姿の胸よりも、制服姿の胸を揉みたい意識が強いからだ。それが由衣のような可憐な美少女であればなおさらだった。
(制服姿の、由衣ちゃんのおっぱい……たまんない……)
 ハァハァと呼吸が乱れ、頭がボーッとしてくる。
 何やら熱っぽい感じがし、体がだるくなってきた。
 変な風に興奮しているせいで、また風邪がぶり返したのかも知れない。
 そんな事を思いつつも、視線は由衣の胸元へ集中し、そこから離れることはなかった。
 この白いブラウスを押し上げる可憐な膨らみを、思い切り揉みしだいてみたかった。
 意識の片隅で、「何やってるんだ。早く見るのを止めないと、由衣ちゃんに気づかれるぞ」という声が聞こえるが、全く従う気になれなかった。
 何しろ今目にしている膨らみは、実に素晴らしいものだったからだ。ここから視線を外すなど勿体なさ過ぎるだろう。
 というより、手で触れてみたかった。
 思い切り揉んでみたかった。
 そうしたかった。
 そうしないでは居られなかった。
「蓮ちゃん?」
 かけられた声に、ハッとなって意識を戻す。
 見れば、手が由衣の方へ差し出されていたため慌てて下ろす。
 どうやら熱っぽくなっているせいでボーッとし、妄想そのままに胸に触れようとしてしまったらしい。危ないところだった。
 由衣に気づかれていないかと不安になるが、彼女はこちらを心配そうな表情で見ているだけだったため安堵した。
「もしかして熱でもあるの? 顔が赤いし、何かボーッとしてるよ」
「あ、うん。ちょっとあるかも」
「大丈夫?」
 不意に由衣の手が伸び、額に当ててきたため体が硬直する。
 母にされた事は何度もあるが、同じ年頃の女の子にされるというのには、実に刺激的なものがあったからだ。
 何より一昨日の夜は、この行為からセックスに至ったため、より性的な印象が強まっていたのも大きいだろう。
「やっぱりあるね、熱」
「一昨日の夜から、時々熱っぽくなってたんだよ」
「一昨日の夜って、一緒にご飯食べてた時もそうだったの?」
「いや、あの時はまだ大丈夫だったよ。寝る前くらいからおかしくなって……」
 その頃には早紀子とセックスしていたため、少し動揺しながら答える。
「昨日はどうだった?」
「夜になったら熱出たかな。それまでは何とも無かったんだけどね」
「今はどう? 辛くない?」
「辛いと言えば、辛いかも」
 本当は熱での辛さよりも、性欲を我慢する辛さの方が大きかった。
 由衣が接近してきているため、その肉体を強く意識していたからだ。
「ちょっと横になる? 布団あるし」
 そう告げて立ち上がった由衣は、少し離れた場所にある布団の方へと歩いて行っている。
 刺激的な体が離れたことにホッとしつつも、残念な想いも抱きながら、由衣の提案をどうしたものかと考える。
 確かに先ほどから頭がボーッとし、体がダルくなっていたため、少し横になった方が良いかも知れないが、あまり知らない場所で布団を敷いてまで寝るという事には抵抗があった。
「いや、別にそこまでしなくても……」
「ほら、こっちに来て。少し休んだ方がいいよ」
 こちらの返事にかぶせるように由衣は手招きし、近くへ来るよう促してくる。
 拒否の返答が不発に終わったこともあり、せっかくの好意を無下にするのも悪いと思った蓮は、ゆっくりと立ち上がった。
 しかしその瞬間、体がふらついたため慌てて踏ん張る。どうやら思っていた以上に熱があるらしい。
「大丈夫?」
 心配そうに少しこちらへ身を乗り出した由衣に笑みで応えつつ、布団の傍まで近づいていく。
 短い距離にも関わらず息を切らしている事に、どうやら本格的に風邪がぶり返してきたのが分かった。
 何とか布団へ膝をつき、姿勢を傾けて横になろうとした時だった。
 突如床が渦を巻いているような感覚が起き、上下の感覚がおかしくなって、そのまま勢い良く倒れてしまった。
 遠くで由衣が何か言っている声が聞こえたが、意味が分からないまま目の前が真っ暗になる。
 気がつくと、体に鈍い痛みがあり、柔らかなものの上に乗っている感触があった。何やらいい匂いも鼻を擽っていて、目を開くと白いものが見えた。
 それが何なのかを理解した瞬間、恥ずかしさと嬉しさが起こる。
 今自分が乗っているのが、由衣の体の上だというのが分かったからだ。白いものは彼女の身につけているブラウスだったのだ。
 そして自分の顔の位置というのが、ちょうど胸元、つまり乳房の上であり、先ほどから感じている柔らかさは、それに由来するものだったのである。
「ご、ごめん……」
 慌てて起き上がろうとするが上手く力が入らない。無理に動こうとすると、顔を擦りつけるような動きになってしまい、焦りが激しくなった。
 だが一方で、由衣の体の感触が伝わってきていることに悦びもあり、もっとこうしていたいという想いも起きていた。
 何しろ可愛い由衣にのし掛かり、双乳に顔を埋めているのだ。これほど嬉しい事は無いだろう。
(由衣ちゃんの、おっぱい……)
 歓喜と興奮が湧き起こり、それまで以上に顔にある感触を強く意識する。この柔らかさは、乳房の柔らかさなのだ。
 嬉しさに顔がにやけているのではないかと思ったため、それを見られたらマズいという焦りが起きた。わざとやっていると誤解されたら大変だからだ。下手をしたら嫌われてしまうだろう。
 すぐに表情を引き締め、体を離さなくてはと起き上がろうとする。
 まだそれほど力は入らなかったが、少し頑張れば何とかなりそうだった。
 しかし次の瞬間、頭に何かが乗せられ、ゆっくりと撫でられる感触が起きたため驚く。
「いいよ、そのままで……」
 頭上から優しげな由衣の声が聞こえ、別の手が背中に回されるのが分かった。
「こうしてると気持ちいいんでしょ? 今そんな顔してたよ」
 どうやらだらしない表情を見られてしまったらしい。その事に恥ずかしさを覚えるものの、それ以上にこの状態を受け入れてくれた事に嬉しさがあった。
「ごめん……」
「いいの。熱があるんだし。辛いんでしょ?」
 由衣は優しくそう告げてくると、両腕で抱き締めるようにしてきた。
 体全体が密着し、女体の心地いい感触が伝わってくる。特に顔は乳房の柔らかさに覆われ、蕩けそうな快感に溢れていた。
(由衣ちゃんの体、凄く柔らかくて気持ちいい……おっぱい、おっぱいだぁ……)
 快楽に思考が停止し、全てがどうでもいいような感覚になっていく。
 今はこの柔らかさが全てだった。
 由衣と密着していられれば幸せだった。
(由衣ちゃん好きだよぉ……由衣ちゃんとしたい、したいぃ……)
 好意が高まると共に、性欲も昂ぶった。愛らしい従妹を己の物にしたい欲求が激しくなってきたのだ。
 股間の一物もすでに硬く大きくなっており、それがあの可愛い由衣の体と接触しているのだという事実に、射精してしまいそうなほどの悦びがあった。
 腰が勝手に動き出し、肉棒を擦り付けるようにしてしまう。
 いけない、と思うものの、今感じている快感を、このまま得たいとする欲求の方が強かった。
 由衣も気づいたのか、大きな息を吐き出しており、背中に回している腕にも微妙に力が入った。
 嫌がられていない。いや、病気だから気を遣われているのか。どちらにせよ、受け入れてもらえている事に安堵感が起きた。
 腕を動かすと、先ほどと違って少し力が入ったため、体を起こして由衣の顔を見つめる。
 目が合うと、由衣はハッとしたように硬直したが、すぐに困ったように視線をそらしている。
 その表情が何とも色っぽく、また半開きになっている唇がいやらしさを感じさせた。
 桜色の小さな唇は、潤みを帯びていて実に魅惑的だった。
 吸い付きたい……。
 体の奥底から強い衝動が湧き起こり、それに押されるようにして由衣の顔へと近づいていく。
 柔らかな肉体と擦れる快感にうっとりしながら、可愛らしい顔と向き合う位置まで移動する。
 由衣の顔には、泣きそうな、それでいてどこか嬉しそうな表情が浮かんでおり、今度は視線を外すことなくジッと見つめてきている。
 嫌がっていない。
 そう判断した蓮は、嬉しくなりながら、さらに顔を近づけていった。
 すると瞼が閉じられていったため、完全に受け入れてもらえた事に嬉しさが爆発した。
 唇が触れ合い、柔らかな感触が広がる。
 少しして一旦離してから、再び押しつけ、今度は舌を入れていく。
「ん……」
 可愛らしい吐息と共に、由衣が体を硬直させるのが感じられ、その初々しい反応に悦びが溢れた。
 舌を絡ませ、口内を擽るようにしていくと、ピクピクと体を震わせてしがみついてくるのが愛らしい。
 顔を入れ替えるようにして唇を擦り合わせ、舌を絡ませるのを繰り返していく。
「んっ……んんっ、んっ……んふっ、んっ……んはぁっ……」
 しばらくして唇を放すと、呼吸を乱しながら、ぼんやりした表情で見つめてくるのと目が合った。
 幼さを残す顔がそうなっているのには背徳的な色香が感じられ、心臓が強く鼓動していく。
 由衣の「女」としての一面を暴いたような感覚があり、その事に誇らしさと、もっといやらしくさせたい想いが高まった。
「蓮ちゃん……好き……好きぃ……」
 不意に由衣が、泣きそうな顔をしながら告白してきたのに、驚きと共に嬉しさが湧き起こった。
「大好きっ……大好きなのぉっ……」
 さらに腕を首に絡ませ、強く抱き付いてきたため、おかしくなりそうなほどの悦びが溢れた。
 頭が混乱し、幸せな想いが心と体に広がっていく。
 可愛らしく、そして気持ちのいい肉体を持つ少女が、自分への愛を告げてくる。
 何と素晴らしい状況なのだろう。
 熱がさらに高まったような感じがし、視界が狭まって、由衣の顔しか見えなくなった。
「俺も、俺も由衣ちゃんが大好きだっ」
 意識せずとも、自然とそんな言葉が発せられた。
 これまで可愛いと思いつつも、恋愛的な意識など無かった由衣に対し、今は強い執着があった。自分にとって由衣は、凄く大切な存在だという想いが強烈に高まっているのだ。
「蓮ちゃん……」
 何かを求めるような口調で呼びかけられた声に、自然と体が動き、もう一度唇が重なっていく。
 それと共に、右手が胸元の可憐な膨らみを掴んだ。
 由衣の体が硬直し、鼻息が大きく吹き出される。
 柔らかな感触が手のひらに広がり、意識せずとも揉むことを繰り返していく。
(ああ、由衣ちゃんのおっぱい……由衣ちゃんのおっぱいだ……)
 以前からそうしたいと願っていた行為を、ついに行なった。
 由衣の胸が大きくなった頃から、揉んでみたいと欲していた行為を、自分はついに行っているのだ。
 その事に強い悦びが湧き起こり、夢中になって揉んでいく。
 唇を放し、体を起こすと、そのまま両手で乳房を掴み、ゆっくりと揉みしだいていく。
 制服の白いブラウスを押し上げる膨らみが、十本の指の形にへこみ、力を抜くと元に戻る。
 回すように動かしながら、上へ持ち上げ、横へズラし、好きなように形を歪ませていく。
 そのたびに由衣の顔が微妙に歪み、「あっ……」「やっ……」といった可愛らしい吐息が漏れるのに、おかしくなりそうな興奮を覚える。
 震える指をボタンにかけ、一つずつ外していくと、ブラジャーに包まれた膨らみが露わになった。
 白いブラウスの前が開かれ、乳房が露出している状況は、背徳的な淫らさを感じさせた。何より由衣には清楚な雰囲気があるため、より強い刺激を感じさせるものがあった。
 フリルのついたブラジャーを押し下げると、プルンっといった感じで双乳が零れ、何にも覆われていない膨らみが眼前に現れた。
 早紀子や明梨よりは小さいものの、それでも大きめの乳房は実に美しかった。理想的なラインが膨らみを形作っており、その頂点にはピンク色の乳首が存在していた。
 まさに美少女の乳房として、完璧と言える造形がそこにはあった。
 指で触れると滑らかな感触が広がり、ゆっくり力を入れると、ぷにゅっといった感じでへこむのに鼻息が吹き出る。
 両手で揉みしだいていくと、由衣が悩ましげに眉根を寄せ、か細い吐息を漏らすのに興奮が高まっていく。
 我慢できなくなり、乳首に吸い付くと、「やっ……」と可愛らしい声を発したのに、心臓が強く鼓動した。
 そのまま突起を舌で舐め上げ、何度も吸っては放すのを繰り返していく。
「あっ……やぅっ……あっ……」
 乳房を揉み、乳首を吸うたびに、由衣が喘ぎを漏らし、耐えがたいように体をクネクネと震わせるのに、肉欲が激しく昂ぶった。
 可愛い顔がいやらしく歪み、潤んだ瞳が見つめてくるのに、おかしくなりそうなほどに興奮が高まっていく。
 いよいよとばかりにスカートを捲り上げると、「きゃっ……」と小さな悲鳴が聞こえるが、特に抵抗する素振りはなかった。
 パンティに手をかけ、引き下げると、由衣は大きく息を吐き出し、恥ずかしそうに両手で顔を覆った。
 目の前には、綺麗なピンク色をした襞が存在していた。
 初々しさに溢れるその肉襞は、由衣の印象そのままに「清楚な割れ目」といった雰囲気があった。
 これからここを蹂躙するのだと思うと、激しい興奮が湧き起こり、肉棒がビクンビクンっと震えていく。
「あんっ……あっ、ああっ……」
 舌で刺激を与えると、由衣がそれまで以上に激しく反応を示した。
 落ち着き無く頭を動かし、困ったような表情で喘ぎ声を漏らし続けている。
 愛らしい少女が、こちらの舌の動き一つで体を震わせるのに、支配欲が擽られ、誇らしい想いが溢れてくる。
 もっと色々すれば、さらに乱れるのだという期待に、秘所への愛撫に熱が入っていく。
「あっ、あっ……ああっ……蓮ちゃん、あっ……蓮ちゃぁんっ……」
 頭を激しく左右に振り、淫らな声を発して悶える由衣の姿には、実にたまらないものがあった。清楚な印象があるだけに、淫靡な姿とのギャップが強烈な刺激となるのだ。
 制服をはだけ、乳房をさらけ出し、股間に舌を這わされて乱れる可憐な美少女。
 それは何と素晴らしく、いやらしい光景だろうか。
 何より自分に対して好意を抱いているというのが最高だった。
 由衣は、心も体も自分のものなのだ。
 そう思うと同時に、さらに確実な証を刻みたくなった。
 今股間で猛っている肉棒を、由衣の中に押し込むのだ。貫き擦ることで、さらに自分に従わせるのである。
 その想像に、否応無しに興奮は最高潮に達した。
「由衣ちゃん、入れるよ?」
 体を起こし、ズボンとパンツを下ろしてから問いかけると、由衣は少し視線を彷徨わせた後、コクリと小さく頷いた。
 その可愛らしい様子に益々興奮を高めつつ、膝立ちになると腰を両脚の間へ入れる。
 肉棒を秘所へあてがい、ゆっくりと前へ押し出していく。
「あ……」
 ツプっと膣穴へ入り込んだ瞬間、由衣が小さな声をあげた。
 その声にゾクッとしつつ、肉棒をさらに奥へと進めると、早紀子や明梨と比べて、かなりキツい感じがあった。
「あっ……あぁっ……」
 由衣は泣きそうな顔をしながら、体をクネクネと動かしている。
 その様子は、元々が弱々しい印象があるだけに、強烈に嗜虐心をそそった。
 肉棒が膣襞をかき分け、奥へ入り込むたびに、たまらない刺激が腰から涌き昇ってくる。
 快感が背骨を通じて脳天に響き、だらしなく口が開く。
 早紀子や明梨とのセックスで慣れたかと思ったが、未だにこの瞬間は最高だった。
 何より可愛い由衣の中に入った、というのが精神的にも悦びを生んでいるのだろう。
 年下の、愛らしい、自分を好きだと言ってくれた少女を、肉体的にも己の物としたことが、精神的な快感を高めているのだ。
 それに、まだ大人ではない少女の肉体を陵辱しているという状況が、背徳的な刺激となっている部分もあるのかも知れない。
 十七歳とはいえ、幼さの残る顔立ちと、乳房は大きいものの全体的に細身で、初々しさを感じさせるその肉体には、早紀子や明梨のような大人のそれとは、明らかに異なるものがあった。
 端的に言えばまだ子供なのだ。大人びているだけであり、「子供の体」という印象をぬぐえない、そんなアンバランスさがあったのである。
 そこには、肉欲を刺激する背徳的な色香があった。
 世の男が、女子高生との性的関係を求めてしまうのも、この魅力のせいなのかも知れない。何しろ今の自分は、強烈にその魅力にやられていたからだ。
 肉棒を最後まで押し込み、大きく息を吐き出してから由衣を見つめる。
 呼吸を乱しながら、泣きそうな、それでいて嬉しそうな顔で見上げてくる姿に、愛おしさで一杯になる。
 はだけた制服から覗く、白い肌、か細い体、そしてそれとは不釣り合いの大きな双乳。
 全てが可愛らしく、そしていやらしかった。
 これらが全て自分の物なのだと、手に入れたのだと思うと、強烈な誇らしさと悦びが押し寄せてくる。
「蓮ちゃん……好き、好きぃ……」
 小さいが強い口調で告げてくるのに、愛おしさが爆発する。
「由衣ちゃんっ。好きだっ。好きだぁっ……」
 叫ぶと同時に両手を布団につき、腰を前後させ始める。
 締め付けのキツい膣内でそうすると、肉棒が強く引っ張られ、腰が持って行かれるような快感が走り抜けた。
 早紀子や明梨との行為では無かったその感触に、新鮮な悦びを覚えつつ、動くたびに顔を淫靡に歪める由衣の様子に興奮を高める。
 清楚な由衣がいやらしさに包まれている姿には、たまらないものがあった。
 意識しなくとも勝手に腰が前後し、そのたびに生まれる快感が脳を蹂躙していく。
「あぅっ……あっ……あっ、あぁっ……」
 突き込みに合わせて、甘い声が部屋に響く。
 それはまさに、由衣を支配下に置いている証として感じられ、悦びが強まった。
 シーツを握り締め、泣きそうな表情で悶える由衣の姿に、嗜虐心も高まっていく。 布団に両手を付き、ズンッ、ズンッ、と突き込むと、由衣の喘ぎが益々大きくなり、それと共に豊満な乳房が前後左右に揺れ動いた。
 白い肌が桜色に染まり、か細い体がクネクネと動きまくる。
 今や由衣は完全に自分の物だった。自分が動けばそれに反応し、愛情の籠もった瞳で見つめてくるのだ。
(可愛いっ……可愛いっ……可愛いよぉっ……由衣ちゃん可愛いっ……大好きだぁっ……)
 心の中は、由衣への想いで一杯だった。一人の人間にここまで執着を抱いたのは初めてかも知れない。
 それほどまでに由衣は可愛らしく、己の物にしておかなければいられない対象となっていた。
 強烈な昂ぶりは、耐久力の限界を呼び起こし、今すぐにでも精を放ちたくてたまらなくなった。
「由衣ちゃん、俺もうっ……もうイくからっ……イくよっ……」
 そう告げると、由衣は小さく頷き、背中に腕を回して抱き付いてきた。
 それはまるで、「思い切り出していいよ」と言われたように思えたため、蓮はそれまで以上に腰を激しく振っていった。
「あぅっ……あっ、あぅっ……いっ、いっ……あっ、あっ、あぁあああああああああっ!」
「由衣ちゃんっ、由衣ちゃんっ、由衣ちゃぁんっ!」
 数度激しい突き込みを行うと、精の迸りを予感したのか、由衣は強くしがみつき、大きな喘ぎを発した。
 それと同時に肉棒の弁が解放され、精液が放出されていく。
 ドピュッ、ドピュッ、ドクドクドクドクドク……。
 肉棒が律動を繰り返し、そのたびに快感の塊が脳天へと響く。
 たまらない快楽に意識が遠のき、頭が真っ白になる。
 数度の射精を繰り返し、しばらくして脱力した蓮は、由衣の上へと倒れ込んだ。
 柔らかな肉の感触が伝わってくるのに幸せを感じながら、ゆっくりと体を起こして横に転がる。
 隣には、惚けた表情をした可愛らしい顔があった。
 この少女を己の物にしたのだと思うと、強烈な嬉しさが押し寄せてくる。
「蓮ちゃん……好き……」
 由衣はそう呟くと、こちらに身を寄せてきた。
 ピッタリとくっついてくるのに、擽ったい喜びが起きる。
「俺も、由衣ちゃんが好きだ……」
 こちらからも体を押しつけ、形のいい頭を優しく撫でる。
 サラサラの髪の感触が心地良く、しばらくの間その行為を繰り返した。
「本当に、彼女になっちゃったね……」
 不意に由衣が小さく告げてきた言葉に、一瞬何のことかと考えるが、すぐにお見合いの儀式の話だと気が付いた。先ほど「恋人が居る人は儀式に参加しないでいい」という話をしていたからだ。
(由衣ちゃんが、俺の彼女……)
 そう心の中で呟くと、何だか不思議な感じがした。何しろ少し前までは、単なる従妹としてしか認識していなかったのに、今やセックスをし、お互い「好き」と言い合う間柄になっているからだ。
 熱で倒れた際に重なっただけであったのに、そこからキスをし、セックスにまで至って愛し合った。どう考えても急展開すぎるだろう。
 こちらは性欲が昂ぶった勢いがあった訳だが、由衣はどうしてなのだろう。
 もしかして、元々自分の事が好きだったのだろうか。何しろそうでなければ、こうも簡単に受け入れたりはしないはずだからだ。
(そうか……由衣ちゃんって、俺のことが好きだったんだ……)
 これまで何気なく接していた裏では、自分に恋していたのだという事に嬉しさが湧き起こる。
 お見合いの儀式の話をした時のあの言葉にしても、実は本気だったという訳だ。
 ならば今回のことが無くても、いつか告白してきたのだろうか。そう考えると、何ともむず痒い嬉しさが起きた。
 何にせよ、由衣と恋人になれたのは嬉しかった。
 まさに熱のおかげという訳だ。
 未だに熱っぽさは残っていて、頭はボーッとしているし体もダルかったが、股間の一物は元気一杯だった。射精したばかりだというのに、すでに硬く大きくなり、痛いほどになっているのである。
 この状態は、一昨日の夜と昨夜も同じで、熱があるというのに、性欲は驚くほどに昂っているのだ。
「蓮ちゃん、その……しても、いいよ……」
「え?」
「だってそこ……凄くなってるから……」
 由衣は視線を股間の方へ向けた後、すぐに恥ずかしそうにそらしている。
「ご、ごめん……」
 今更ながら一物をさらしている事に恥ずかしさが起きてくる。しかも勃起している状態、それもビンビンなのを見られたのではなおさらだった。
「それにその……私も、気持ち良かったし……」
 消え入るような声で告げてくるのに、可愛らしさと嬉しさが湧き起こってくる。
「じゃ、じゃあ、するね……」
 再び由衣とセックス出来る悦びに胸を躍らせながら体を起こし、覆い被さっていく。
 潤んだ瞳で見上げてくる由衣の顔は、どことなく前と違った雰囲気があるように思えた。やはり一度セックスをしたことで何か変わったのかも知れない。
 顔を近づけ、桜色の唇に吸い付いていく。
 舌を絡ませながら乳房を揉むと、由衣はくぐもった声を漏らしながら、背中に腕を回してきた。
 唇を放し、挿入の体勢を取ると、秘所から血と精液が垂れているのが見えた。
(処女だったんだ……)
 あまり痛みを感じている様子が無かったので気が付かなかったが、どうやらそういう事らしい。
 由衣の初めての男になれた事に喜びが溢れる。
 清らかな体だった由衣を、自分が汚したのだ。
 清楚な肉体を蹂躙し、「女」にしたのである。
 その事に震えるような喜びと、興奮が押し寄せてくる。
 改めて由衣への愛おしさが高まっていくのを感じながら、肉棒を秘所へ持っていき、グイッと前へ押し出す。
 ズニュリっと入り込んでいくのが感じられ、途端、気持ちの良さが股間から背骨へと走り抜けた。
 続けて腰をゆっくり前後させ始めると、「あっ……あっ……」という由衣の可愛らしい声が耳に響き、その事に幸せな気分になった蓮は、もっと気持ち良くしてあげるのだと、徐々に動きを激しくしていくのだった。


 裸同士で布団の上で絡み合っていると、改めて由衣の体が綺麗なことに感嘆の想いを抱いた。
 早紀子や明梨の体も綺麗だと思ったが、由衣の場合は、未成熟さから来る初々しさのようなものがあり、それが元々の可憐な印象と相まって、より美しさを感じさせているように思えた。
 処女だったことから、稀少な、他の男に蹂躙されていない自分だけの体、という意識があるのも影響しているのかも知れない。
 実際真っ白な肌と、か細い体つき、そのくせ大きな乳房という肉体は、あまりにも魅惑的だった。
 弱々しい肩から下には、柔らかな二つの膨らみがあり、さらにその先には、綺麗なくびれをした腰のラインが存在している。
 どこを見ても美しく、愛らしい、そういった印象の肉体だった。
 そんな体に好きなように触れ、舐め回し、揉みしだいているというのは、何と素晴らしいことか。
 肉棒を出し入れし、可愛らしい喘ぎをあげさせている自分は何と凄いのか。
 そう、自分は凄い。凄いのだ。
 自尊心が強烈に刺激され、無茶苦茶に腰を叩き付けていく。
「あっ……あっ……ああっ……」
 可愛らしい顔を快楽に歪ませ、眉根を寄せて悶える由衣の姿は、美少女だけにたまらないものがあった。
 肉棒を突き込むのに合わせて顎が仰け反り、豊かな双乳がぷるんぷるんと揺れ動く。
 その様子を見ていると、この魅力的な少女と、今自分は繋がっているのだという実感が得られて最高だった。
 すでに何度も精液を注ぎ込み、己の物だという証を刻み込んでおり、その事が誇らしくてたまらなかった。
「由衣っ……由衣っ……由衣ぃっ……」
 さらにその感覚を強めようと、名前を呼び捨てる。
 普段から「由衣ちゃん」と呼んでいるだけに、母や姉の名前を呼び捨てた時ほどの興奮は無いが、それでもやはり「手に入れた」という実感は強まった。名前を呼び捨てることで、これまでとは異なり、由衣を女として扱っている、という感じがしたからかも知れない。
「やっ、あっ、やぁっ……はぅっ、はっ、はぁんっ……」
 由衣の方も、母たちのような反応は無かったが、それでも名前を呼び捨てられた瞬間、嬉しそうな表情になったのが分かった。
 体の反応も強まり、頭を左右に激しく振り、シーツをギュッと掴んで悶えている。
「由衣っ……可愛いよ由衣っ……」
 そう呼びかけると、由衣は「恥ずかしいよぉ」と言いながら両手で顔を覆った。
 その愛らしい姿に興奮を高めつつ、小さな唇に吸い付いて、舌を絡ませる。
「んんっ……んっ……蓮ちゃん、あんっ……蓮ちゃ、やっ、やぁっ……」
 そのまま白い首筋を舐め回しながら、形のいい乳房を揉んでいく。
 ピンク色の乳首に舌を這わせてチュッと吸うと、由衣が「やぁんっ……」と格別可愛らしい声をあげるのに、おかしくなりそうなほどの興奮を覚えた。
 とにかく何をしても、由衣の反応はたまらなかった。元々が可憐な美少女であるだけに、可愛い反応をされると強烈な刺激となるのだ。
「やんっ、やっ、やぁっ……やっ、やっ、やぁんっ……」
 強く大きく数度突き込むと、さらに可愛い声をあげながら、背中に腕を回してしがみついてくる。
 両脚が腰に絡みつき、逃がすまいとするかのようにしてくるのに悦びが溢れた。
 膣内もキュッと締まり上がり、肉棒への圧迫が強まって快感が増していく。
 動くたびに擦れる肌の感触がまたたまらず、全てが由衣に包まれているような錯覚を覚える。
 体全体が肉棒と化したかのように、触れている全てに快楽があった。
「ああんっ、あんっ、ああっ……やぅっ、やんっ、やぁっ……」
 それまで以上に強くしがみつき、泣いているような喘ぎを発しながら、由衣は悶え狂った。
 耳に響く可愛らしい声に、射精感の高まりが限界に近づいていくのを感じる。
 あと少しで精を放ちそうだった。
 また由衣の中に精液を注ぎ込む。
 その想像に興奮が益々昂ぶり、膣内の肉棒が心持ち大きさと硬度を増したような気がした。
「蓮ちゃん、ああぅっ……蓮ちゃん私もう、あっ、あっ……私もう駄目だよぉ、あんっ、あんっ、ああんっ……イっちゃうの、あぁっ……イっちゃうのぉっ……」
 切羽詰まったように告げ、頬ずりしながらしがみついてくる由衣に、強い愛らしさを覚える。
 お互い限界であればちょうど良かった。このまま一気に思い切り射精しよう。
 そう思った蓮は、それまで以上に腰の動きを激しくしていった。
「あっ、あっ、ああっ……凄い、あぅっ……蓮ちゃん凄い、ああっ……そんなにされたら私、ああぅっ……わたしぃ、あっ、ああっ……やんっ、やんっ、やぁあああああああああんっ!」
 由衣の絶叫が部屋に響き、同時にギュッとしがみつかれ、膣内も締まり上がったことで、意識せずとも精が放たれた。
 ドピュッ、ドピュッと繰り返し放出が行われ、そのたびに脳天に快感が走り抜け、目の前が真っ白になる。
 ガクガクと体を震わせながら、何度も精液を放ちつつ、耳の傍で聞こえる「あ……ああ……」という由衣の吐息に満足な想いを抱く。
 少しして射精を終えると、力を抜き、そのままの状態で余韻に浸る。
 そもそも離れようにも、由衣が強くしがみついたままなので動けないというのもあった。
 二人分の荒い呼吸を聞きながら、密着している女肉の気持ち良さを堪能する。
 改めて何と幸せな状況になっているのかと思った。何しろ可愛い由衣とセックスしまくっているのだ。素晴らしすぎるだろう。
「蓮ちゃん……ありがとうね……」
 不意に耳元でそんな言葉が聞こえたためいぶかしく思う。別に感謝されるような事はしていないからだ。むしろお礼を言いたいのはこちらの方だった。
「引っ越してきてくれて……私、凄く助かったの……蓮ちゃんが居なかったら、多分もう限界だったと思うから……」
「限界って、何が……?」
 妙な発言に、どういう意味か分からず問い返す。
 体を起こして由衣を見ると、何やら泣きそうな顔をしていたため驚いた。
「その……私、蓮ちゃんの事がずっと好きだったから……逢えないでいるのが辛くて……最近その辛さが強くなってて……もう限界って感じだったの……だからもし引っ越してきてくれなかったら、どうなっちゃってたのかな、って思って……」
「えっとその、凄く嬉しいけど……ずっと好きだったって、いつからなの?」
「小五のとき。それまでも好きだったけど、それは従兄としてって感じだったから……恋愛として意識したのは、小五の頃に遊びに行ったときだよ。一緒に居ると凄く楽しくて、嬉しくて……抱き付きたくなっちゃったりして……だからゲームしてた時、わざと体をぶつけたりしちゃった……」
 確かに言われてみれば、テレビゲームを一緒にやった際、由衣がやたらと体をぶつけてきた記憶があった。ミスを誘うためにやっていたのだと思っていたが、実はそういう理由があった訳だ。
「ね、蓮ちゃん……私のこと、好き?」
 真面目な顔で聞かれたため、それまでと違って緊張する。安易に応えられない雰囲気を感じたからだ。
 だがすでに自分の気持ちは決まっていた。由衣のことは恋愛的に好きになっていたからだ。
「好きだよ」
 息を大きく吸ってから、真面目な口調で答える。
 その言葉に由衣は嬉しそうに微笑むと、ジッと見つめてきた。
「じゃあ、私と結婚してくれる?」
「え? そ、それは……まあ、何年か後ならいいけど……」
 いきなり過ぎて驚いたが、由衣となら結婚してもいいとは思えた。幼い頃から仲良しであるし、これほどに可愛いのだから何ら不満は無いからだ。
「やったぁっ、嬉しい……」
 由衣は体を押しつけてくると、猫のように頬ずりをしてきた。
 笑みを浮かべ、うっとりとした表情で見つめてくるのに心臓が大きく鼓動する。
 やはり由衣は可愛すぎた。このような少女が、自分の事を好きであるなど素晴らしすぎるだろう。
「ね、これから毎日ここで逢わない? ここってほとんど人が来ないから、ずっと二人きりで居られるし」
 その言葉にドキリとする。それはまるで、またセックスしよう、毎日セックスしようと誘われているように思えたからだ。
「そうだね。いいよ」
「じゃあ、お互い他に用事が無い時は逢うようにしようよ。私も学校へ行かなきゃいけない時もあるし、蓮ちゃんも、叔母さんや明梨ちゃんとの用事がある時もあるでしょ?」
 早紀子と明梨のことを言われた瞬間、二人とのセックスが頭に浮かび、強い罪悪感を覚えた。まるで浮気を指摘されたような感覚があったのだ。
 順番からして、由衣と恋人になった方が後なのだから何ら問題はないのだが、どうにも裏切ったような感じがしてしまったのである。
 というより、由衣にその事を見抜かれているような錯覚を覚えたというのが正しいかも知れない。普通なら母親や姉とセックスするなどあり得ない事なのだから、そうした不安を抱くのはおかしいのだが、何故だかそんな風に思えたのだ。
 それに将来的には浮気になる可能性はあった。早紀子や明梨をもう抱かないとは言い切れなかったからだ。実際つい先ほどまでは二人を抱く気満々だったのだ。
 それゆえに、「これから浮気をする」という想像が起きて罪悪感を覚え、さらにそれを由衣に知られてしまう、という未来図が浮かんで不安を覚えたのかも知れない。
 蓮の想いとしても、二人をもう二度と抱かないなど、辛すぎて嫌だった。由衣には悪いが、とても耐えられるとは思えなかった。
「蓮ちゃん、無理しなくていいからね……私はずっと蓮ちゃんのことが好きだから……蓮ちゃんがどんな事をしても、私は大好きだからね……」
 まるでこちらの想いを見透かしているかのように告げてくるのに、心臓が強く鼓動する。
 さすがにそれはあり得ない事だから気のせいなのだが、どうしてもそう勘ぐってしまうのは、自らの抱える後ろ暗さが大きいせいだろう。
 由衣はうっとりとした表情を浮かべながら、ゆっくりと顔を近づけ、瞼を閉じて唇を重ねてくる。
 それに応じつつも、やはり罪悪感を覚えてしまっている事に悲しくなった蓮は、出来れば由衣の気遣いが現実のものにならないようにしてあげたいと思いつつも、それは無理だという確信を抱きながら、初めて出来た恋人を強く抱き締めていくのだった。


 やっぱり無理だった……。
 蓮は腰を前後に激しく動かしながら、今の状況に強い罪悪感を抱いていた。
 何とか我慢するつもりだった。
 せめて由衣と恋人になった日くらいは、耐えるつもりだった。
 しかし結果は、それとは真逆の状況になっていた。
 眼下には、裸で喘ぎ悶える早紀子の姿があった。
 顔をいやらしく歪ませ、母親にあるまじき痴態を息子にさらけ出してる。
 母子は再びセックスをしていた。 
 あれから家へ帰り、早紀子と夕飯を食べたのだが、その後、このような状態になってしまっていた。
 理由ははっきりしている。
 自分の自制心の無さだ。
 一日ぶりに顔を合わせた早紀子は、以前と変わらない態度を示してきた。昨日の朝のような気まずさを感じさせることなく、自然に接してきたのだ。
 その事で蓮も気が楽になり、徐々にいつもの調子を取り戻すことが出来た。
 母への肉欲も起きることなく、これまで通りの親子関係でいられたのだ。
 そのままの状態が続けば、あの夜の事など忘れて、元の親子に戻れるのではないか。そんな事まで考えるほどだった。
 しかしそれは甘かった。
 食事の後、食器を洗っている早紀子の後ろ姿を見ている内に、沸々と肉欲が湧き起こったのだ。
 一旦そうなってしまうと、あとは止めようがなかった。
 視線がそのなだらかな肩、くびれた腰、肉付きの良い尻のラインをなぞり、母が横を向いた際に、胸元の豊満な膨らみが目に入った瞬間、手のひらに乳房の柔らかな感触が蘇った。
 股間の一物がムクムクと硬く大きくなり、目の前の女体を抱き締めたくてたまらなくなった。
 理性が警告を鳴らした時には、早紀子の方へと足が進み、気がつけばそのふくよかな体を抱き締め、胸をまさぐっていた。
 早紀子は「何するの蓮ちゃんっ。駄目よ、こういうのはもうしちゃいけないんだからっ」と抵抗を示したが、それが本気でないことは、その力の弱さから明らかだった。
 首筋に吸い付き、甘えるように「お願い母さん。我慢できないんだ」と囁きかけると、さらに抵抗は弱まり、最後には行為を受け入れるようになった。
 すでに一線を越えてしまっている事実が、母に今更な想いをもたらしたのかも知れない。
 それに早紀子自身も、快楽を求めていたという事も考えられるだろう。何しろ三十九歳という女盛りなのだ。若い男の肉棒に貫かれる悦びを知ってしまえば、それに流されても不思議はなかった。
「あっ、あっ、ああっ……」
 一昨日の夜まで聞いたことのなかった、母の女としての喘ぎ。
 それを耳にしていると、己が許されない行為をしているという罪悪感が強まり、それまで以上に興奮が高まった。
 自然と腰の動きが激しくなり、勢い良く肉棒を突き込んでいく。
「あんっ、ああっ……ああんっ……」
 早紀子の顎が仰け反り、豊満な乳房が前後に揺れる。
 細い指が床をひっかき、頭が左右に振られ、長い黒髪が乱れる。
 顔にかかった髪が色っぽさを感じさせ、まるで赤の他人であるかのように思わせる。
 だがこれは、母親だった。
 その事実がゾクッとした快感を、心と体に走り抜けさせた。
 母の女としての姿を見るたびに、無茶苦茶にしたい衝動が起きてくる。
 この女を、早紀子をもっと従わせたい。
 自分を男として求めさせ、淫らに狂わせたい。
 そうした想いが溢れ、歪んだ欲望が、母の肉体への強い執着を生んでいた。
「ああっ……蓮ちゃん、あっ……蓮ちゃぁんっ……あぅっ、あっ、ああんっ……」
 甘えた声で名前を呼ばれ、両腕が蛇のように絡んできてグイッと引き寄せられる。
 両脚も腰を十字に挟み込み、逃がすまいとするようにガッチリ固定される。
 膣内の締め付けも強まり、まるで母に囚われた状態になった。
「もう駄目、あっ、あっ……もう駄目よ、ああっ……お母さん、蓮ちゃん無しじゃ駄目、あっ、ああっ……蓮ちゃん無しじゃ死んじゃうわ、あんっ、あっ……もっとして、ああっ、もっとしてくれないと死んじゃうぅっ……」
 涙を浮かべ、息子に言うべきではない言葉を絶叫する。
 早紀子は、完全に堕ちていた。
 息子に抱かれる事を求め、息子の肉棒に狂っているのだ。
 蓮には今の言葉が、「これからも抱いてくれないと死ぬ」と言われたように思えて仕方なかった。
 熱く潤んだ瞳で見つめられ、切羽詰まった口調で告げられた事で、それが事実であると、より強く認識させられた。
 自分にしても、もう二度と母とセックスしないなどという事は考えられなくなっていた。
 この熟れた体、女として魅力的過ぎる肉体を、放置しておくなど絶対に無理だろう。
 何よりこれほどいやらしく求めてくる姿を知って、何もしないで居るなど不可能だった。
 これから毎日、早紀子を抱く。
 その決意と喜びが蓮の中に湧き起こっていた。
 美しい母を、愛する母を己の物とし、好きなだけ抱く。
 それは何と素晴らしい日々だろう。
 男にとり、女を自由に出来る状況ほど幸せなことはないに違いなかった。
 その相手が母親というのが異常だったが、逆に母親だからこその安堵というのもあった。
 元々母親というのは、何をしても受け入れてくれると思わせる存在だ。その上セックスまで拒否しなかったとなれば、絶対的な信頼を感じてもおかしくないだろう。
 その安心感が、蓮の中にある早紀子への依存を強めているように思えた。
「俺もっ……俺も母さん、早紀子としないと死んじゃうよっ……」
 甘えるように叫び、それまで以上に強く肉棒を突き込んでいく。
 早紀子は淫らな歓喜の声をあげ、強く熱くしがみついてくる。
 湿りを帯びた肌と擦れ、柔らかな女肉に受け止められる心地良さに、心と体が蕩けていき、気がつけば精が迸っていた。
「あっ、ああっ……蓮ちゃんのがぁっ……蓮ちゃんのが出てるぅっ……あっ、あっ、ああああああああああっ!」
 勢い良く注ぎ込まれてくる精液を感じているのか、早紀子は狂ったように絶叫し、体を激しく痙攣させた。
 蓮は己の全てを吐き出しているような錯覚に陥りつつ、優しく、そしていやらしく包み込んでくる早紀子に身を委ねながら、幸せな想いに浸っていくのだった。


 自分はおかしくなっているのではないか。
 蓮は腰を前後に振りつつ、そんな事を思いながら、己が組み敷いている相手を見下ろした。
 眼下では、裸になった明梨が、その肉付きの良い体を淫らにくねらせている。
 先日も母を抱いた翌日に姉とセックスをしたが、今日もそれと同じ状態になっていた。
 母親と姉を抱き続けるなど、異常としか言えないが、そうは思っても止められないのであり、「別に構わないではないか」という意識は強まっていた。
 性の快楽が、蓮の常識を狂わせてしまっていたのだ。
 明梨は、早紀子が出かけるとすぐに現れ、抱き付き、キスをしてきた。
 舌で口内を蹂躙しながら、柔らかな体を強く押しつけ擦り付け、「我慢できなかったの。蓮が欲しくて、お姉ちゃんおかしくなっちゃった」と甘える声で囁いてきた。
 そうされてしまうと、こちらも肉欲が昂ぶり、押し倒して、その柔らかな体にむしゃぶりついていった。
 若さ溢れる明梨の肉体は、張りと弾力があり、同じ豊満さであっても、早紀子の柔らかさに溢れた体とは、異なる魅力があった。
 その差異が、昨夜十分に発散された肉欲に新たな刺激を与え、強い衝動を呼び起こしているように思えた。
 ゆえに夢中になり、こうして明梨とセックスをし続けてしまっている。
 もう何回射精したのか分からない。
「やっ……やっ、やぁっ……」
 たわわな乳房をさらけ出し、腰の動きに合わせて喘ぎ悶える明梨の姿は、あまりに可愛らしく、また強烈に嗜虐心を誘うものがあった。
 長年弟として従ってきただけに、この立場の逆転はあまりに甘美だった。
 自分が肉棒を突き込めば突き込むほど、姉はいやらしく乱れるのだ。「もっとして。お願い」と甘えるように求めてくるのである。
 その「姉を従えている」という実感は、精神的な快楽として魅惑的すぎた。
 美人でスタイルが良く、多くの男が欲する女である姉を、自分は弟というだけでこうして抱けている。
 それは優越感を強く刺激し、肉欲の昂ぶりを生んだ。
「蓮好き、あっ、ああっ……蓮好きだよぉ、あっ、あんっ……蓮大好きなのぉっ……」
 時折発せられる愛の言葉。
 これまでも弟として可愛がられている認識はあったが、こうして言葉として愛情をぶつけられると、強烈な嬉しさがあった。
 姉に愛されている実感。それは弟として甘美すぎる喜びだった。
「俺もっ……俺も姉ちゃんが、明梨が大好きだよっ……」
 幼い頃からずっと抱いていた想いを言葉として告げる。それは想像以上に気持ちの良い行為だった。
 何よりその言葉を聞いた明梨が、凄く嬉しそうに微笑み、抱き締めてくるのだからたまらなすぎた。
 由衣にも告白をされたが、姉のとは異なるものであるのがよく分かった。姉弟としての「好き」は、長年共に暮らしてきた中で培われたものであり、まさに家族としての愛情だったからだ。
 男女の愛ではなく、姉弟としての愛。
 それを明梨との間で強く認識する事が出来たのは、まさにセックスのおかげだった。性器で繋がり合い、快楽を与え合うこの行為によって、自分達はお互いの想いをさらけ出すことが出来たのである。
「やっ、やぁっ……あんっ、あんっ、ああんっ……」
 明梨への愛情を込めながら、強く大きく肉棒を叩き付けると、姉は甘く喘ぎ、ギュッとしがみついてきた。
 すぐ横にある美しい顔は、淫らな微笑みを浮かべており、その白く滑らかで張りのある肉体と重なり、擦り合わせていると、それだけで射精してしまいそうになった。
「明梨っ……俺、俺もうっ……」
 切羽詰まった口調で告げると、明梨は嬉しそうにしながら両腕両脚を絡みつかせ、強く抱き締めてきた。
「お姉ちゃんもイく、あっ、ああっ……お姉ちゃんもイくから、やっ、やぁっ……だから一緒に、あっ、あんっ……お姉ちゃんと一緒にぃっ……」
 頭を左右に振りながら、甘えるように求めてくる姿は実に可愛らしかった。
 まさに女としての愛らしさであり、それを見せているのが姉だと思うと、強烈な喜びがあった。
(ああ……姉ちゃん可愛い……姉ちゃん可愛いよぉ……)
 これからもこの愛らしい姉を抱いていきたい。愛していきたい。
 すでに恋人である由衣が居るにも関わらず、その想いは強くあった。
 蓮の中では、明梨に対する愛情は、あくまで姉弟としてのものであり、由衣に対する愛情とは別物だという認識があった。
 自分は姉弟としての愛情を深めているだけで、その手段としてセックスしているだけなのだ。
 実際明梨とデートしたいとか、そうした恋人同士がする行為への望みは無かった。これまで通り姉弟として仲良くし、ただそこにセックスという行為が加わるだけなのだ。セックスは愛情を深める手段であり、愛情の種類を変えるものではないのである。
「蓮っ、蓮っ、蓮ぅっ……あっ、あっ、ああっ……大好きっ、大好きっ、大好きだよぉっ……やっ、やっ、やぁああああああああああん!」
「明梨ぃっ、大好きだぁっ……」
 明梨の愛の告白に応えながら、思い切り精を放つ。
 勢い良く迸る精液を感じながら、蓮は愛する姉に包まれる幸せに浸っていくのだった。


 自分はセックスに狂っているのかも知れない。
 蓮はそんな事を思いながら、腰を前後に振りまくっていた。
 目の前では、四つん這いになった由衣が、可愛らしくもいやらしい声をあげている。
 あれから明梨を昼まで抱き続け、十分に満足したはずだった。
 しかし待ち合わせ場所である神社に現れた由衣を見た瞬間、肉欲は激しく高まった。
 白い制服に身を包んだ由衣の姿が、あまりに清楚で可愛らしかったからだろう。
 股間の一物が硬く大きくなり、落ち着かない衝動に包まれた。
 そうなってしまえば、我慢は出来なかった。何しろすでに肉体関係のある相手であり、お互い愛し合っているのだ。躊躇する理由など全く無いのである。
 事実いきなり抱き締めても、由衣は嬉しそうに微笑むだけだった。
 そのまま桜色の愛らしい唇に吸い付き、制服の胸元を押し上げる膨らみを強く揉みしだくと、抵抗することなく受け入れた。
 女子高生と性的行為をしているという認識は、それだけでおかしくなりそうなほどの興奮を生んだ。さらに相手が格別可愛い少女ともなれば、肉欲が抑えきれなくなって当然だった。
 すぐさまその場へ押し倒し、四つん這いにして、肉棒を一気に突き込んだ。
 まだ愛撫をほとんどしていなかったにも関わらず、由衣のそこは濡れており、すでに興奮していたのが分かる。
 自分とのセックスを求めているその状態に、優越感と嗜虐心が強烈に昂ぶり、そのまま勢い良く腰を振りまくった。
「あっ、ああっ……あんっ、あんっ……」
 か細い声が、甘ったるく部屋に響く。
 突き込みに合わせて、チェックのミニスカートに包まれた尻が前後に揺れ動き、黒髪に覆われた小さな頭が仰け反る。
 こうして背後から眺めると、見た目の印象よりも小柄なのがよく分かった。
 一方で、背後から乳房を両手で鷲掴むと、体格の細さを裏切る重量感が、手のひらに伝わってきた。
 まさにトランジスタグラマーのお手本とも言うべき由衣の体は、蓮にとって夢中にならずには居られない魅力に溢れていた。
「やっ、やんっ……蓮ちゃん、ああっ……蓮ちゃん大好きだよぉっ……」
 振り返り、愛の言葉を告げてくるのに心臓が跳ねる。
 可憐な少女が淫靡に顔を歪め、甘えるように見つめてくるのだ。それに耐えられる男など居やしないだろう。
 肉棒がさらに硬く大きくなり、腰の動きも激しさを増していく。
「ああんっ、あんっ……やぁんっ……蓮ちゃん凄い、あぅっ……蓮ちゃん凄いのぉっ……」
 頭を激しく左右に振り、美しい黒髪を乱舞させながら、自分への賞賛を叫ぶ由衣の姿に、蓮の中の愛情は強烈に高まった。
 この愛らしい少女を、絶対に放すものか。
 一生自分のものとするのだ。
 独占欲が刺激され、夢中になって腰を振っていく。
 こうした想いは、早紀子や明梨に対しては無いものだった。
 二人への愛情は、家族愛の延長であるが、由衣への愛情は、純粋に恋人に対するものだからだろう。家族と異なり、別れる可能性のある恋人という関係は、「逃がしてはならない」という想いを強めているように思えた。
 由衣も従妹であるのだから、家族のようなものではあるが、やはり一緒に暮らしてきていない事実が、そうした想いを起こすのかも知れなかった。
 早紀子や明梨とは、一生家族として仲良くしていく想像が出来たが、由衣は他の男に取られる想像が浮かぶのだ。そもそもこんな状況になるまでは、他の誰かと恋人になるのだと思っていたくらいなのである。
 だが今や、由衣の恋人は自分だった。
 可愛らしい顔も、気持ちのいい体も、全部自分が好きにしていいのである。
 何と素晴らしいことか。
「由衣ちゃんっ……由衣っ、凄くいいよっ……」
 か細い腰を両手でしっかりと掴み、叫びながら、勢い良く腰を前後に振っていく。
「やっ、やんっ、やっ……蓮ちゃんそんな、あんっ……そんなの凄くて、あっ、あっ……凄いよぉっ……やんっ、やぁっ……」
 両腕を崩し、腰を掲げて、上半身で体を支える体勢になりながら、由衣は泣いているような声で喘いだ。
 肉棒を突き込まれるたびに、指で畳をひっかき、頭を左右に振って悶える。スカートが捲れて、小さな尻が露わになっているのがいやらしい。
 可愛くて可憐な従妹を淫らに狂わせ、こうして支配していると、実にたまらない興奮があった。
 由衣に対する愛情が高まり、射精感も一気に高まっていく。
「由衣、俺もうっ……もう出るよっ……」
「あんっ、あっ、ああっ……いいよ出して、ああっ……私の中に、ああっ……蓮ちゃんとの赤ちゃん、やぅっ……欲しいぃっ……」
 ドクンっと心臓が跳ねる。
 由衣を妊娠させる。
 それはまさに、由衣を己のものとした確実な証に思えてたまらなかった。
 自分の遺伝子が、由衣の中に数ヶ月居座るのだ。何と素晴らしい事だろう。
「うぅっ……由衣ぃっ!」
「やっ、やぁっ……蓮ちゃぁんっ!」
 妊娠しろとばかりに精を放出すると、その想いを受けたかのように、由衣は涙声で叫んだ。
 妊娠した。
 理由は分からないが、そんな確信が起きる。
 女子高生を妊娠させた。
 そう言葉として意識すると、倫理道徳を犯している感覚が強まって、激しい興奮が湧き起こった。
 放出されている精液の量が増したような気がして、蓮は「自分は由衣と結婚するんだ」と決意するのだった。


 遠くで賑やかな音が鳴り響いていた。
 今日は沙谷那村のお祭りの日であり、広場では屋台などが出て賑わっていた。
 蓮もつい先ほどまで、早紀子や明梨、由衣と連れ立って、お祭りを楽しんでいたのだが、今は神社へ向かって歩いている最中だった。
 本来お祭りは神社が主となるものであるが、今回行っているのは通常のものとは異なる祭りであるため、神社自体には、例外を除いて人は入れないようになっていた。
 そうした事情であるのに、蓮が神社へ向かっているのは、まさにその「例外」の役割を担っていたからだった。
 年に一度行われる、「神宿り祭」と呼ばれるこの祭りでは、「お役目」とされた代表者が、一人で神と対峙し、そのご機嫌を伺う事になっていた。この神社の神は女神であるため、若い男がその「お役目」を担うことになっているのだ。
 自分がそのような大役を担うのは無理だと思ったが、武彦によれば、何かする訳ではなく、一晩神社で過ごせばいいだけであるため、特に難しいことは無いとのことだった。むしろ暇すぎて辛いため、誰もやりたがらないことから、新参者の蓮にお鉢が回ってきたという訳だ。
 武彦は申し訳なさそうにしながらも、こうした面倒を引き受けると、村民の印象も良くなるから、やっておいた方がいいと言っていた。
 逆に言えば、断ると印象が悪くなるという事になるため、蓮は引き受けることにしたのだった。狭い村社会の中では、こうした事に協力しない人間は、村八分にされかねないからだ。
 何とも面倒臭いことになったな、と思いつつ歩いていると、ようやく神社へ繋がる道が見えてきた。
 ただそこは、「裏参りの道」と呼ばれる道であり、以前その名前を教えてくれた理那は、「挨拶程度のお参りをする際は良いが、きちんとしたお参りをする場合は、反対側にある参道を使うように」と言っていたのを思い出した。
 今回のようなお役目を担っている場合は、この道は使わない方がいいのだろうか。そんな事を考えもしたが、ここから反対側まで行くのは面倒であったし、何より役目について説明をしてくれた武彦は、この道を使うなとは言わなかった。となれば、使っても問題は無いという事だろう。
 そんな言い訳を自分の中で作り上げた蓮は、「裏参りの道」へと足を踏み入れていった。
 周囲は薄暗くはあったが、所々に街灯が設置されていたため、前が見えなくて困るということは無かった。このような田舎の村で、裏道であるはずの場所にも街灯が設置されているというのは意外な感じもしたが、それだけ多くの村人が利用しているという事なのかも知れない。何しろ神社のこちら側に住んでいる人間にしてみれば、遠回りして参道から入るより、よほど便利だからだ。
 それに森の中から、時折何かの作業をしているらしき人影も見えたため、こうした祭りの際にも必要であるとなれば、設置するのは当然のことだろう。
 そんな事を考えていた時だった。
 不意に妙な声が聞こえたため、思わず足を止めそうになった。
 それは女性の声であり、それも苦し気な、それでいて甘さを含んだ感じのするものだった。
 苦笑が起こる。
 何のことはない。森の中に居るのは、作業をしている人たちなどではなく、セックスをしている連中だったのだ。祭りにかこつけて、人気の無い場所でしているという訳だ。
 しかしよりにもよって神社の裏手でするとは、罰が当たるとは考えないのだろうか。
 だが歩いていくにつれ、声が増えていったため、どうやら罰という発想を持たない人間が結構多いのだというのが分かった。
 何とも呆れたことだと再び苦笑しかけたが、逆に祭りの日だからこそ、という事なのかもと考え直す。
 普段は許されていなくても、祭りの日だけは解禁される。そうした風習はよくあるからだ。この村の祭りにも、そうした意味合いがあるのかも知れない。
 そもそも日頃の自分の行いを考えると、彼らを呆れられるような立場ではない事を思い出す。由衣とセックスしている場所は、神社の境内の建物なのだ。彼らよりよほど罰が当たる行為をしているのである。なのに何を偉そうに呆れたのかと恥ずかしくなった。
 それに自分は、母や姉ともセックスをしている訳で、つまりは恋人を裏切ってもいた。そんな人間が、彼らの行為を批判するなどおこがましいだろう。むしろ恋人同士でセックスしている彼らの方がまともなのだ。罰が当たると考えるべきは自分だった。
 そんな反省の念を抱きつつ歩いていると、それまでより大きな喘ぎ声が前方から聞こえてきた。
 どうやら他の連中と違い、森の奥ではなく、道の傍でセックスしているらしい。
 もし見える距離だったりしたら気まずいな、と思いつつ足を進めていくと、案の定、道からさほど離れていない場所で、動いている人影が目に映った。
 しかも見事に街灯に照らされており、まるでスポットライトを当てられているかのようになっていたため苦笑してしまう。
 何もそんな場所でしなくても、と思いつつ、見なかったことにしようと、視線をそらしながら足早に通り過ぎようとした時だった。
「お母さんっ……」
 不意に聞こえた声に、ビクっとなって足を止める。
 セックスしている最中に発する言葉としては、あり得ない単語だったからだ。
 しかも今の声は、明らかに中学生か小学校高学年くらいの少年のものであり、まるで幼い息子と母親がセックスしているかのような想像を膨らませるものだった。
 まさか近親相姦?
 不審を抱きつつ確認しようと、回り込んで覗き込んだ視界には、その推測を肯定する光景があった。
 一人の女性が両手で木を抱えるようにし、後ろへ尻を突き出しているのだが、それは自分の知っている人物だったのだ。
 理那だ。
 そしてその背後で彼女の腰を掴み、必死になって肉棒を突き込んでいる少年は、理那の息子の快斗だったのである。
 彼らは、親子でセックスをしていた。
 近親相姦をしているのだ。
 何ともショッキングな光景に、身動きが出来なくなり、ジッと見つめ続けてしまう。
 自分も母親とセックスしているとはいえ、他人がしているのを客観的に見るというのには強烈な刺激があった。
 母親が息子の肉棒を咥え込む。
 息子が母親を犯す。
 その禁忌には、自らがしている時には感じられなかった嫌悪感が強く存在し、それ以上に激しい興奮が湧き起こった。
「お母さんっ、お母さぁんっ……」
 快斗が拙い動きで、腰を前後に激しく振っている。
 その様子からすると、どうやらまだセックスを知ってから間が無いように思えた。ギクシャクした動きは、「とにかく気持ちの良さを求めて突き込んでいる」といった感じだったからだ。
 自分も初めての頃は、ああして早紀子にがむしゃらに肉欲をぶつけていたに違いないと思うと、何やら微笑ましさを覚えてくる。
「あっ、ああっ……いいわ快斗、あんっ……いいの上手よ、ああっ……もっと、あっ、……もっとしてぇっ……」
 振り返り、甘ったるい口調で理那が叫ぶ。
 その視線には、息子に対する強い愛情、慈愛が感じられ、それでいて、男を求める淫猥な雰囲気もあった。
 それは早紀子が自分に向けるものと全く同じであったため、母への思慕と欲情が湧き起こってきた。
(母さん……)
 今すぐ早紀子の下へ走り、その柔らかな肉体に包まれたい。
 そんな想いが起きるが、今夜はそれが出来ないのだという事を思い出す。一晩神社で過ごさなければならないからだ。
 改めて何と面倒なことを引き受けてしまったのかと、先ほどより強く思ったが、今更言っても仕方のないことでもあった。
 そして快斗が凄く羨ましくなった。
 母親とセックスしているのを羨ましく感じるなど、自分はやはりおかしくなっているのだろう。
 だがもう決して捨てることの出来ない想いでもあった、
 早紀子との関係を止めるなど、絶対に不可能だからだ。
 明日は今日の分も母に甘えよう。
 そして思い切り喘がせ、悶えさせて楽しむのだ。
 その様子を思い浮かべて少し満足した蓮は、仲睦まじい親子を残し、先へと進んでいくのだった。


 神社へ着いた蓮は、どうやら間に合った事にホッと息を吐き出した。
 理那達の様子に見とれていたせいで、指定された時間に遅れそうだったからだ。
 別に誰かが到着を確認している訳ではないのだが、そこは気持ちの問題というやつだ。
 何より今回することは、神を相手にする行為なのだから、約束を守らないというのは、罰でも当たりそうな気がしたのである。
 周囲を見回してから、大きく息を吐き出し、境内の中を歩いていく。
 本殿まで着くと、丁寧にお参りをし、傍にある階段に腰を下ろす。
 視線を上へ向け、ぼんやり夜空を眺める。
 さすが田舎だけあって、星が沢山見えて綺麗だった。
 この村へ引っ越してきてから、都会では当たり前だったことが出来ない場合があり、色々不便な想いもしたが、こうした景色の美しさだけは素晴らしかった。
 それにしても、先ほどは何というものを目撃してしまったのか。
 知り合いのセックスの現場を見るなど、そうあることではないだろうし、しかもそれが近親相姦となれば、凄まじく低い確率になるに違いなかった。
 まさか理那と快斗が、近親相姦の関係であるとは驚きだった。
 自分もしているとはいえ、身近に同じことをしている人間が居るというのは、客観的に認識できる分、衝撃に強いものがあった。
 というか、このような野外でするなど何を考えているのか。近親相姦は秘すべき行為なのだから、誰かに見られるような場所でするべきではないだろう。
 その大胆さに呆れた驚きを覚えつつ、それだけお互いを求める衝動が強いという事なのかも知れないとも考える。
 自分にしても、倫理道徳的に近親相姦は良くないことだと理解しているのに、早紀子達との行為を止められないでいる。
 しかも今は、由衣と恋人になっているのだから、そんな状況で二人との関係を続けているのは、浮気をしまくっている事になった。
 いわば三人の女性たちと交際しているようなものであり、何ともだらしない浮気男といったところだった。
 しかし違った側面から考えれば、男として充実した日々を送っているとも言えた。
 何しろ魅力的な女性を三人も自由に抱いているというのは、多くの男が羨む状況に違いないからだ。
 それは以前では考えられなかったことで、この村へ引っ越して来なければあり得ない状況だった。
 早紀子と明梨は家族であるから当然として、由衣との関係にしても、ただの親戚で終わっていた可能性は高いのだ。
 それがこうも変わったというのは、まさに運命のいたずらとしか言いようがなかった。しかもそれが引っ越しという、些細なことがきっかけで起きているのだから、人生というのは分からないものだった。
 そんな事を考えながら、ボーっと星空を眺め続ける。
 今夜はこのまま神社で過ごすことになる訳だが、暇を持て余すというのが憂鬱な点だった。せめてスマホがあれば、ゲームなり出来ただろうが、そういった物の持ち込みは一切禁じられていた。
 建前とはいえ、神事であるのだから当然の処置ではあるのだが、何とも辛いことではあった。
 寝床は本殿の中にあったため、一応その確認でもしようかと立ち上がる。
 観音開きになっている扉に手をかけて引くと、小さくきしむ音が周囲に響いた。
 燭台にロウソクの火がともされており、ぼんやりと中の様子を見ることができた。
 広さは六畳ほどだろうか、一番奥に、囲いに覆われたご神体の収められた壇があった。
 真夏であるにも関わらず、やたらと涼しく、冷気が漂っていたため、ゾクッと体が震える。
 思わず温度の変化だけでそうなったのではない気がした蓮は、妙な怖さを覚えて慌てて扉を閉めた。
 少し気圧されたような気分になりつつ、大きく息を吐き出す。
 やはり神社だけに、神聖な何かがあるのかも知れない。そんなことを思いつつ、体を境内の方へ向け、もう一度息を吐き出す。
 その瞬間、視界の端に動くものが映ったような気がした。
 風で木でも揺れたか、小動物でもいたのか、と思いながら目を凝らして見てみると、そこには予想とは違ったものが存在していた。
 人間の子供だ。
 年齢は十一、二歳くらいだろうか。首筋までの短い髪形の女の子で、薄ピンク色をした可愛いデザインの浴衣を身につけている。
 かなり整った顔立ちをしており、美少女と言って申し分ないだろう。特にボーッとした、どこを見ているのか分からない表情であるのが、奇妙な魅力として感じられた。
 どこかで見覚えがあるな、と考えた瞬間、それがこの村へ引っ越してきた日に、理那に挨拶された時であったのを思い出す。
 この少女は、理那の娘の未那だった。
 あの時は、何故かジッと見つめ続けられたので覚えていたし、何より美少女であるのが強い印象として残っていた。
 それにしても何故ここに居るのだろう。今夜はお役目である自分以外、境内に入ってはならない決まりになっているというのに。
 未那はボーっとしているところがあるから、もしかしてよく分からずに入って来てしまったのだろうか。だとすれば、この場を離れるように注意した方がいいかも知れない。
 そんな事を考えていると、未那がこちらへ近づいてきた。
 相変わらずあらぬ方向へ視線を向けながら、ボーっとした様子で歩いてくる。
 自分に何か用事なのかと思ったが、傍まで来てもその歩みは止まらず、素通りして階段を上って本殿へ入ろうとしたため、これはさすがに止めないとマズいだろうと慌てて立ち上がる。
 すると突然、未那は脚の動きをピタリと止め、体ごとこちらへ振り返った。
 その動きに驚きつつ、やはり自分に何か用事なのかと身構えていると、少女は一言も発せず、ただジッと見つめてきた。
 黒々とした瞳が大きく開かれ、無表情のまま見つめ続けられる。
 あらぬ方向を見ていた先ほどまでと異なり、こちらへ視線が固定され、全く動かない。
 その状況は何とも居心地が悪く、どうしたものかと思うと同時に動揺が起きてくる。何しろ黙ったまま見つめられるというのは、それだけで落ち着かないものだし、さらにはその相手が美少女となればなおさらだった。無表情とはいえ、可愛らしい顔に注視されては、どうにも動揺が抑えられないのだ。
 心臓の鼓動が速くなり、顔が熱くなっていくのが分かる。
「あの、ちょっと……ここに居ちゃ、駄目なんだよ……?」
 気を取り直し、ようやく口から出た言葉は、何とも情けない口調になってしまっていた。我ながらもう少し上手く言えないものだろうかと辛くなる。
 とはいえ、これまで人を注意した経験など無いのだから、そうなってしまっても仕方ないだろう。こういうのには慣れが必要なのだ。
「……」
 未那は、こちらの言葉に何ら反応を示すことなく、相変わらずジッと見つめ続けている。
 その事に恥ずかしさを伴う焦りを覚えつつ、とにかく何とか言う事を聞かせなければと、少し気合を入れてみる。
「あのね、今はここに居ちゃ駄目なんだよ。分かる?」
 先ほどより強めの口調で告げると、未那は今度は反応を示し、小さく首をかしげた。
 その仕草が実に愛らしかったため、思わずドキリとしてしまう。無表情のままであるのだが、整った顔立ちだけに魅力が感じられたのだ。
「あ、ちょっと……」
 不意に未那が体の向きを変え、再び本殿の中へ入ろうとしたため、慌てて制止する声をかける。
 だが少女は蓮の声に全く反応せず、扉を開いて中へ入ろうとした。
 こうなったら物理的に止めるしかないと、背後から手を伸ばし、両肩を掴んで押しとどめる。
 手のひらに、か細さと、硬くも柔らかい肉の感触が伝わり、子供とはいえ、女の体なのだという認識が起きる。
「駄目だよ。近づいたら駄目なんだって……」
 未那はその言葉が聞こえないのか、振り切るようにして前へ進もうとしたため、少し力を込めて引き寄せる。
 だが加減を間違えたらしく、勢い余って小さな体がこちらへぶつかってきた。
 腹の辺りに起きた衝撃と痛みに顔をしかめていると、未那の方は全く気にした様子もなく、そのまま本殿へ入ろうとしたため、慌てて「駄目なんだって」と告げながら、さらに力を込めて抑え込んだ。
 しばらくの間そうしていると、ようやく諦めたのか動きが止まった。
 安堵の息を漏らしつつ、力を抜いて、さてどうしたものかと困惑する。
 今は大人しくしているが、この調子では、いつまた中へ入ろうとするか分からないだろう。
 そのため手を放すことは出来ないのだが、ずっとこうしているのにも抵抗があった。何しろ端から見たら、背後から抱き付いているような状態だからだ。
 ここには他に人は来ない事になっていたが、それでも誰かに見られる可能性はあった。もしそうなったら、少女にいかがわしい事をしていると思われてしまうだろう。
 何より幼い少女とはいえ、こうして異性の体と接近し続けるというのには恥ずかしさがあった。
 実際先ほどから、微妙に性的な感覚を覚えてしまっていたのだ。
 十一、二歳というのは、まだまだ子供ではあるが、それなりに体も大きくなっているし、女の色香のようなものを感じさせる部分もあった。
 小さな頭からは、シャンプーの香りに混じって、体臭らしき甘い匂いが漂ってきており、それは鼻孔を擽って、性的な感覚を刺激する効果があった。
 ここ数日の早紀子達との経験により、女体の臭いに対して敏感になっているせいか、どうにも性的な意識が高まってしまっているのだ。
 こんな子供相手に駄目だろ、と思いつつも、目は勝手に動き、浴衣の上から小さな体の線をなぞり始めてしまう。
 か細い肩。
 ほんの少しだけ膨らみを感じさせる胸元。
 くびれの少ない腰。
 薄暗い中、短い髪の間から覗く、首筋の白い肌が光っているように目に映り、それが色気として感じられてくる。
 幼い少女特有の、内に籠った淫靡さが認識され、欲情が強まっていくのが分かった。
 呼吸が荒くなり、意識が朦朧としてクラクラしてくる。
 熱っぽさも感じられることから、「また風邪がぶり返したのかも」とぼんやりした頭で考える。
 神社は少々肌寒かったため、そのせいかも知れない。上着を羽織ってくれば良かった。
 それにしても、しつこい風邪だった。何日経っても全く治る見込みが無いのだ。
 とはいえ、安静にせず、全力疾走したり、何度もセックスしたりしていたのだから、完治していなくても当然かも知れなかったが。
 そんな状況で興奮したものだから、熱が高まったのだろうか。
 体調が悪いというのに、何故こうも興奮が強まっているのか。
 いや、むしろ病気だからこそ、子孫を残そうと本能が促しているのかも知れない。
 実際、理性はこんな幼い少女に欲情するなど良くないと告げているのに、股間の一物の方は、すでに痛いほどに勃起していた。早く何とかしろと言わんばかりに、ズボンを押し上げ、ビクンビクンと震えているのだ。
 この落ち着かない衝動を、何とかしたかった。
 早く解放したかった。
 欲しい……。
 今目の前に居る、この少女が欲しくてたまらなかった。
 強く抱き締め、未成熟な肉体を撫で回し、舐め上げ、肉棒を擦り付けてみたかった。
 その幼い膣に、熱い肉欲の塊を思い切り吐き出したら、どれほど気持ちがいいだろう。
 おかしくなりそうなほどの激しい肉欲が押し寄せ、抑えられない衝動となって、全身を駆け抜けていく。
(す、少しくらいなら、いいよな……)
 こっそりと、分からない程度に触れるのであれば、大丈夫なのではないか。
 そんな考えが浮かび、そうしたくてたまらなくなってくる。
 気が付いた時には手が動き、未那のか細い肩をゆっくりと引き寄せ、幼い体との密着を強める状態にしてしまっていた。
 体の前面に、少女の温かさが伝わり、その硬さの中に柔らかさを感じさせる肉の刺激に、歓喜が湧き上り、肉棒が大きく震えた。
「こ、ここに居ちゃ、駄目なんだよ……」
 自分はあくまで注意をしているのだ、という体裁をとりつつ、触れた箇所から伝わってくる幼い肉体の感触を味わう。
 早紀子たちの体からは感じたことの無い、少女特有の触感は、今触れている肉体が幼いのだという事を強く認識させ、背徳的な悦びを湧き起こらせた。
「あの……分かってる? 駄目なんだよ、ここに居ちゃ……」
 未那は相変わらず何も言葉を発せず、こちらの行為にも無反応だった。
 自身が何をされているのか、その意味が分からないのだろう。
 何しろ行為自体は、単にくっついているだけなのだから当然だった。そこに性的要素を見出すかどうかは、している側の問題なのである。
 そのように性的知識の無い相手に、自分は一体何をしているのか、と強い罪悪感を覚えるものの、それ以上に肉欲は激しかった。
 何しろ幼い少女の体に触れられる機会など、もう二度と無いはずだからだ。早紀子達とは好きなだけセックス出来ているが、このような未成熟な肉体に触れられることは、今後まずあり得ないのである。
 ならばもっとしておかなければ、十分に堪能しておかなければ勿体ない。
 ありがたい事に相手は嫌がっていないのだから、このままきわどい行為までしてしまえ。
 そのような想いが湧き起こり、興奮を高めながら股間を押し付けるようにしていく。
 瞬間、肉棒に少女の体の感触が伝わり、快感が走り抜けた。
 鼻息が大きく吹き出し、呆けるような気持ちの良さを覚える。
 無意識の内に体が動き、擦り付けるようにしてしまう。
 ジンワリとした快感が股間から湧き昇り、そのことにうっとりとなる。
 そこまでしても未那は何ら反応を示さず、無表情のままあらぬ方向を見つめているだけだった。
 その何事もないと思わせる態度が、「これならば、もっとしても大丈夫じゃないか?」という邪な想いを強めた。
 本来これは痴漢行為なのだから、早々に止めるべきなのだが、すでに意識は性欲の充足を優先させていた。
 理性による歯止めが利かなくなっているのだ。
 この少女といやらしい行為をしたくてたまらなくなっていた。
 もし嫌悪の態度や抵抗を示されれば、そうはならなかっただろう。未那の無反応さが、肉欲の暴走を助長してしまっていたのである。
 されている事の意味を全く分かっていない相手に対し、自分は何と下劣で酷いことをしているのかと罪悪感を覚えるが、それ以上に、湧き起こってくる肉欲は強烈だった。股間を擦り付けた時点で、止まれなくなってしまっていたのだ。
 小さく、可愛らしく、凹凸の少ない中性的な肉体は、それを蹂躙することへの嗜虐的な興奮を呼び起こしていた。
 この幼い肉体を好き放題舐め回し、撫でまくりたいとする、おかしくなりそうな衝動が湧き起っていたのだ。
 本来未成熟な体というのは、男の肉欲を刺激する要素など無いはずであるのに、逆にその事が興奮を誘っているのだから不思議だった。
 まさに「幼い魔性」とでも言うべき魅力がそこにはあった。
 今や蓮の中では、年端もいかない少女にいかがわしい行為をする事への嫌悪より、未成熟な肉体に対する性欲を満足させる事の方が大きくなっていた。
 誰かに見られたら、という恐れが薄いのも、歯止めを利かなくしている理由だろう。何しろここには誰も来ないのだから。
 安心を認識すると同時に、さらなる行為へと体が動いていく。
 心臓をバクバクさせながら、背後から手をまわし、浴衣のあわせからゆっくりと差し入れる。
 手のひらに滑らかな肌の感触が起こり、その事に鼻息が大きく吹き出る。
 未那は少しだけ体を身じろぎさせたが、それだけで特に反応を示さない。
 表情にも変化は無く、嫌がっている様子も、怖がっている様子も無かった。どうでもいい事をされているように無反応なのだ。
 これまでと違って明確な性的行為であるのだが、やはりされている事の意味が分からないのだろう。
 改めて己のしている事の下劣さ、酷さを認識するものの、だからと言って止まることはなかった。
 むしろ興奮が高まり、呼吸が乱れていった。熱の影響もあるのだろうが、とにかく体が火照っていて熱いのだ。
「……」
 手を薄い胸へ押しつけ、揉むような動きをすると、未那の呼吸が少し乱れた。
 ほんのりとした肉の感触が伝わり、多少なりとも膨らみがあるのが感じられる。
 掬い上げるようにして揉みながら、乳首を探り当て、軽くつまむ。
「あ……」
 未那の唇から小さな声がこぼれたことに心臓が跳ね、悦びが走り抜けた。
 感じている。
 今未那は、確実に性的な反応を示した。幼いながらも、性的な刺激に悦びを覚えたのだ。
 それはつまり、彼女が性的行為を受け入れられるまでに性徴している事を思わせた。
 ならばセックスも出来るはずだった。
 その推測に興奮が高まり、ゴクリと唾を飲み込む。
 このか細い体に、まだ未成熟な膣に、自分の肉棒を押し込み、擦り上げる。
 それは恐ろしくも卑猥ではあったが、強烈に魅惑的な行為でもあった。
 したい。
 未那とセックスがしたかった。
 この幼い少女と、セックスしてみたかった。
 そう認識してしまうと、もはや止まらなくなった。
 鼻息を荒くし、膨らみのほとんどない胸を撫で回しつつ、首筋へと舌を這わせていく。
 未那はピクッと反応を示すが、やはり抵抗することは無かった。
 その事に安堵を高めつつ、首を舐め回した後、小さな顎を持ってこちらへ向かせる。
 相変わらずの無表情だったが、どこか瞳がトロンっとした感じになっているのが、性的な快感を得ている証に思えた。
 このような幼い少女であっても、性的快楽を覚えているのだと思うと、ゾクリとした興奮が湧き起こる。
 赤みを帯びた小さな唇が、半開きになっているのが目に映り、そこに色気を覚えて鼻息が吹き出る。
 吸いつきたい。
 そう思った時には体が動き、顎を舐め上げながら、可愛らしい唇へと舌を這わせていく。
 ぷにっとした感触と共に唇が重なり、舌を押し込むと、未那がビクビクっと体を震わせながら鼻息を漏らした。
 口内を舐め回し、小さな舌に絡みつかせて吸い上げるたびに、「んっ……んっ……」という可愛らしい鼻息が吹き出される。
 か細い体を強く抱きしめ、肉棒を擦り付けていきながら、顔を左右に入れ替え、荒々しいキスを繰り返していく。
 幼い少女の抱き心地は実に気持ち良く、硬さの中に柔らかさのある肉は、触れているだけでおかしくなりそうな良さがあった。
 全てを包み込めるほどの小さな体は、強い庇護欲と嗜虐心を刺激し、もっと蹂躙したくてたまらない衝動を呼び起こした。
 しばらくして唇を放すと、未那は呼吸を荒げながら、呆けた表情で宙を見つめている。
 その瞳は焦点が合っておらず、頬が上気している事と相まって、実に色っぽさを感じさせた。
 幼い少女だけに、その様子は背徳的な色香を醸し出していて、見ているだけでどうにかなりそうな衝動が押し寄せてきた。
 乱れた浴衣の前は大きくはだけており、白い肌が露出している。
 可愛らしい乳首が見えているのが興奮を誘い、吸いつきたい衝動に押されるまま、唇をその小さな突起へと押し付けていく。
 ペロリと舐め、チュウっと吸い上げると、「やっ……」という可愛らしい声と共に、少女の体に震えが走り抜けた。
 その声に興奮を高めつつ、何度も舐めては吸い、舐めては吸いを繰り返し、もう一つの乳首にも同じことを行っていく。
 未那は、「あ……や……」と小さな声を漏らしつつ、幼い体をピクピクと震わせ続けた。
 少しして乳首への愛撫に満足した蓮は、いよいよとばかりに幼い膣へ意識を向けた。
 浴衣の裾をまくり上げると、驚いたことに下着を付けていなかった。
 予想外ではあったが、都合がいい事でもあったため、そのまま股間へ顔を近づける。
 細い割れ目が見え、そこが濡れていることから、性的に感じているのが分かった。
 手を伸ばし、指先で割れ目をいじると、小さな体がそれまで以上に強く震え、可愛い唇から大きな息が吐き出された。
 さらに刺激を与えるように撫で回し、続けて舌を這わせていくと、未那の反応が激しさを増した。
「あっ……やっ……」
 幼い声がいやらしい吐息を漏らすというのには、実にたまらないものがあった。
 未成熟な肉体でありながら、性の悦びを得ているというギャップに、落ち着かない衝動が押し寄せてくる。
 早く肉棒を押し込みたい。
 その欲望が高まりまくっていた。
 もう我慢できないと思った蓮は、未那を床へ押し倒すと、ズボンのチャックを下ろして肉棒を取り出した。
 細い両脚を抱えるようにして持ち、股間の位置を合わせてから、肉棒をゆっくりと押し付けていく。
 亀頭の先が膣穴にハマるのが分かり、そのまま押し込むようにして体を進めると、肉棒が襞肉をかき分けるように入っていくのが感じられる。
「うっ……んっ……」
 未那のくぐもった声が聞こえると共に、小さな手が腕を強く掴んできた。
 幼い膣に肉棒が強烈に圧迫され、それと共にたまらない快感が押し寄せてくる。
 これまでの経験とは比較にならない締め付けの強さに驚きながら、それに比例するように高まる気持ちの良さにうっとりとなる。
 目の前では、未那が無表情な顔を少し歪め、宙を見つめて、口を開けた状態で体をピクピクと震わせている。
 その何とも卑猥で、いかがわしい姿に、ゾクゾクした興奮が湧き起こった。
 自分は、幼い少女の中に肉棒を押し込んでいる。
 幼い膣を凌辱し、女にしているのだ。
 何と許されざる行為をしているのか。
 そうした想いが起きると同時に、そのあまりにいやらしい、刺激的な状況に、おかしくなりそうなほどの興奮が押し寄せてくるのを感じた。
 ゆっくり腰を前後に動かし出すと、締め付けが強烈な分、刺激も強くなった。
 まるで肉棒を引っこ抜かれるのではないかと思えるほどに強い吸いつきがあり、そのこれまで経験したことのない感覚に、快感で頭が真っ白になっていく。
 何も考えず、とにかく腰を振りまくり、肉棒を擦り付け、絞られるように吸われる膣の感触に夢中になる。
 今の自分の顔を見たら、きっと凄くだらしのない表情を浮かべているに違いない。
 それほどまでにたまらない快感が走り抜けているのであり、意識の全てが股間に集中している感じだった。
 幼い少女の膣とは、何と素晴らしいのか。
 よもやここまで凄いとは思わなかった。
 いや、これはこの子特有の良さかも知れない。
 そう、天性の良さなのだ。
 名器というやつだろう。
 何しろ凄まじく気持ちがいいのだから。
 そんな事を思いながら腰を振りまくっていると、そのたびに未那の体は前後し、無表情の整った顔には歪みが走り抜けた。
「やっ……あっ……」
 か細い声が耳に響き、その愛らしい音色に肉棒がさらに猛る。
 宙を見つめる瞳には意思の光がなく、半開きになった唇からはよだれが垂れている。
 その幼くも淫らな姿に、興奮は益々高まり、射精の衝動も強まっていった。
 すでに早紀子たちとの経験で、かなり精の放出を抑えられるようになっていたが、この状況はあまりにも刺激が強すぎた。
 何しろ神社の本殿で、大して親しくもない少女相手にいかがわしい行為をしているのだ。しかも遮る物がほとんどない状態であるため、いつ何時誰かに見られてもおかしくないのである。
 その二重の意味で背徳的な行為に、強い罪悪感と恐怖が混ざり合い、凄まじい快楽となって押し寄せてきていた。
 何より抱いているのが、幼い少女というのたまらなかった。
 未成熟な可愛らしい少女に肉棒を押し込み、その汚れの無い膣内を蹂躙しまくっているのだ。
 それは征服欲と嗜虐心を充足させる、何とも蕩けるような状況だった。
 狂ったような興奮が心身を包み込み、意識せずとも腰が激しく動きまくっていく。
 限界まで高まった射精感が、開放を求めて訴えてくる。
(出るっ、出るっ、出るよぉっ……)
 鼻息を荒くしながら、最後とばかりに肉棒を強く大きく突き込みまくる。
 そのたびに少女の顎が仰け反り、痛いほどに横腹を掴まれ、「やぁっ……やっ、はぅっ……」という可愛らしい声が耳に響いた。
 視線が未那の顔に向いた瞬間、虚ろな瞳と目が合い、その淫らさの中にも愛らしさを感じさせる表情に、我慢は限界に達した。
「うぅっ、うあぁっ!」
 絶叫と共に肉棒の栓が開放され、勢いよく精液が迸る。
 ドピュッ、ドピュッ、ドピュッ、ドピュッ、ドピュッ……。
 律動するたびに射精が行われ、大量の精液が幼い膣に注ぎ込まれていく。
 放出と同時に、強烈な快感が脳を駆け抜け、頭が真っ白になって訳が分からなくなった。
 何度も何度も精液が放出されていき、全てが快楽に染まっていく。
 いつまでも続くように思われた射精がようやく終わると、息を大きく吐き出して力を抜き、少女の体へと身を預ける。
 硬さを残しつつも、柔らかさを感じさせる温かい体にうっとりしながら、激しい呼吸を繰り返し、ぼんやりと快楽の余韻に浸る。
 不意に未那の手が背中へ回り、グイっと引き付けるようにしてきたため、密着度が高まって心地良い感触が強まった。
 顔へ目を向けると、相変わらずの無表情かと思いきや、唇の端が微かに持ち上がっており、それは笑みを浮かべているように見えた。
 それも妙に色気を感じさせる笑みだ。
 セックスの余韻が、少女に成人女性のような雰囲気を与えたのだろうか。
 心臓が鼓動を早め、膣内に収まったままの肉棒が回復していくのが分かる。
 今しがた射精したばかりなのが嘘のように、強い律動を感じさせるほどに硬く大きくなっているのが感じられる。
 未那が体を動かしたため、その事で肉棒に快感の刺激が走り抜けた。
 押し付けられた硬くも柔らかい肉の感触が、背徳的な快楽を再び呼び起こしていく。
 したい。
 もう一度未那と、この未成熟な肉体とセックスがしたかった。
 またあの快感を味わいたかった。
 今を逃せば、もう二度とこのような幼い少女とセックスできる機会など無いだろう。
 そう思うと抑えられなくなり、意識せずとも腰が勝手に動き出していく。
 途端、股間から蕩けるような快感が湧き上った。
 蓮は獣のような唸り声を発すると、未那のか細い体を抱きしめ、その幼い唇に荒々しく吸いつき、腰を無茶苦茶に振っていくのだった。


「あっ……あっ……やっ……」
 自分の腰が動くたびに、可愛らしい吐息が漏れ聞こえるのを満足げに聞きながら、蓮は肉棒を突き込み続けていた。
 薄明りの中、ぼんやりと見える少女の肉体は光るような白さがあり、裸となったことで際立った未成熟さは、背徳的な興奮を高めていた。
 あれから場所を本殿の中に敷かれた布団へと移し、未那の体から浴衣をはぎ取った蓮は、自らも服を脱いで裸同士でまぐわっていた。
 このような状況を誰かに見られでもしたら、弁解など出来ないのは明らかだったが、そんな事はどうでもいいと思わせるほどに、少女の肉体には魔性の魅力があった。
 何より未那が嫌がっていないというのが大きかった。
 これがもし泣き叫ばれて抵抗でもされていれば、恐ろしくなって止めたかも知れない。
 だがそういった事は全く無く、未那は淡々と行為を受け入れているだけだった。
 相変わらず無表情であることから、その内心は読み取れないが、時折積極性を感じさせるような動きを見せるところから、今の状況を受け入れているのだと思えた。
 勝手な推測でしかないが、そう認識することで、罪悪感が減っているのも確かだった。
 自分は幼い少女を強姦しているのではない、合意の下にセックスしているのだ。
 そう思い込みたかったのだ。
「あっ……あっ……ああっ……」
 突き込みに合わせて小さな顎が仰け反り、可愛らしい吐息が漏れる。
 幼い肉体を見下ろすと、改めてその愛らしさに息を飲む。
 小柄な背丈に、凹凸の少ない体の線。
 か細い腕と脚に、ほんのりとだけ膨らみを感じさせる胸。
 そうしたまさに、「性徴し始めたばかりの少女」を思わせる体つきに、蓮の肉欲は狂わんほどに高まっていた。
 子供から大人へと変わりつつある時期にだけ現れる、背徳的な凹凸のライン。
 微妙な膨らみとへこみのバランスが、奇跡的な美しさと淫靡さを生んでいた。
 触れると硬さを感じさせつつも、柔らかさを伝えてくる幼肉。
 その成人女性ではありえない、少女だけが持つ未成熟な感触には、蕩けるほどにたまらないものがあった。
 撫で回すだけで手のひらが快感に染まり、舐めると口内に甘露な味わいが溢れる。
 体全体を押し付け、擦りつけるようにすると、呆けるような快感が生まれた。
 何と滑らかな肌か。
 裸同士で触れ合うことで、全身の触感が心地良さに溢れ、それだけで射精してしまいそうなほどに気持ち良かった。
 少女のみが持つ、初々しい肌の感触。
 それを味わうだけで、涎が湧き、もっと肌を擦り付けたくなってしまう。
 小さな体を包み込むように抱きしめ、肉棒を小刻みに突き込むと、おかしくなるほどの快感が押し寄せた。
 ああ、何と気持ち良く、愛らしい存在なのか。
 この少女の全てが欲しかった。
 ずっと自分のものにしたくてたまらなかった。
 脳内を未那で一杯にしながら、蓮は腰を振りまくっていった。
「やっ……やっ……やぁんっ……」
 可愛らしい喘ぎ声が本殿の中に響く。
 無表情の顔が微かに歪み、快楽の表情を浮かべるのに心臓が跳ねる。
 肉棒は強く締め付けられ、前後に出し入れするたびに激しく吸引された。
 か細い腕が背中へ回り、肉付きの薄い脚が腰に絡みついてくる。
 すでにこの数回のセックスで快感を感じるようになったらしい未那は、たまらないとばかりにこうしてくるのだ。
 その自分を求めてくる仕草に、強烈な愛らしさが生まれた。
 もっともっとこの少女を気持ち良くさせたい。
 そうした使命感のような悦びが湧き起こり、腰の動きが激しくなっていく。
「ああんっ……あっ……やぁんっ……」
 とびきり可愛らしい声が耳に響き、ギュウっとしがみつかれるのに愛おしさが爆発する。
 強烈に射精感が高まり、我慢の限界が近づいていくのが分かる。
 このまま一気にこの愛らしい少女の中に、思い切り精液をぶちまけたかった。
 自分の中の全てを吐き出したかった。
 そのような想いに包まれながら肉棒を強く勢いよく突き込み、最高の瞬間へと向かって快感を高めていく。
「あっ、あっ……ああんっ……やっ、やぅっ……やっ……おに、あっ……おにいちゃぁんっ!」
 不意打ちとも言うべき、「おにいちゃん」という呼びかけ。
 可愛らしい少女にそう呼ばれることは、強烈すぎる刺激だった。
 我慢することなど出来なくなり、瞬間的に精が放出される。
 肉棒が弾けるような感覚と共に精液が迸り、脳内が爆発する。
 意識が真っ白になり、心と体が快楽で一杯になっていく。
 ぼんやりする意識の片隅で、肉棒が激しく律動し、そのたびに精液が放出され、気持ちの良さで一杯になっていくのが感じられる。
 しばらくの間そうしていると、やがて射精の感覚が治まり、体が脱力していくのが分かった。
 未那の上に倒れこみ、荒い呼吸をしながら快楽の余韻に浸っていく。
 少しすると、再び肉欲が高まって来た。
 肉棒もすでに回復している。
 体を起こして見下ろすと、未那は相変わらずの無表情でボーっとした様子だった。
 だがその口元には笑みのような歪みが浮かんでおり、その事が少女に快楽を与えている証に思えてたまらなかった。
 鼻息を荒くしつつ腰を前後に振り出すと、未那の唇から甘い喘ぎが漏れ始めた。
 その愛らしい姿に興奮を高めながら、蓮は己の中に尽きることなく湧き起ってくる落ち着かない衝動に流されるまま、幼い少女の肉体を貪っていくのだった。


 目が覚めた瞬間、蓮は己がどこに居るのか分からずに混乱した。
 何しろそこは見たことのない部屋であり、どうして自分がそんな所で寝ていたのか、記憶を探ってみても全く覚えが無かったからだ。
 昨日の最後の記憶は、未那とセックスしているものだった。
 つまり神社の本殿に居たところまでであり、その後どういった経緯を経て、この部屋へ移動したのか分からなかった。
 現在居る部屋は、八畳ほどの和室で、中央に敷かれた布団に自分は横たわっているのだが、この布団がまた実に高級っぽい雰囲気を醸し出していたため、何故そんな布団で寝ていたのか益々分からなくなった。
 周囲は襖と障子で覆われており、障子の向こうには廊下があるように思えた。
 ここはどこなのか。
 どうして自分は、この部屋で寝ていたのか。
 全く分からない状況に動揺が激しくなってくる。
 そうして不安な気持ちになっていると、不意に廊下を歩いてくる足音が聞こえ、やがて障子に人影が映った。
 誰かが来たらしい。
 一体誰だろう。
 開いていく障子を見つめていると、現れたのが知っている人物であったためホッと息を吐き出す。
 それは、叔父の武彦だった。
 ここは武彦の家か、と一瞬思うが、以前訪れた際に、このような部屋は無かったのを思い出し、やはり別の家なのだろうと考える。
「起きたね。ここは当主様のお屋敷だよ。蓮ちゃんは正式なお役目になったんで、ここへ運ばれたんだ。色々質問はあると思うけど、まずは顔を洗ってきなさい。トイレと洗面所はあっちだから。その後は朝食を食べるといい。話はそれからだね」
 武彦はにこやかな笑みを浮かべてそう告げると、トイレがあるという方向を指し示した。
「正式なお役目」とはどういう意味なのか、それでどうして当主の屋敷へ運ばれるのか、全く分からなかったが、取り合えずは言われた通りトイレへ向かうことにした。実際尿意を覚えていたからだ。
 立ち上がろうとして、疲労感があるのに気が付く。
 昨夜のセックスのせいだろうか。
 どれくらいしていたのか思い出そうとしてみるが、よく分からなかった。何しろいつ寝たかの記憶すら定かではないのだ。
 というより、ここへ運ばれた時にはどういう状況だったのだろう。
 もし未那と裸で折り重なっていたとしたら、自分はお終いだった。
 だが武彦はそうした事を知っているとは思えない様子であったため、おそらく大丈夫だったのだろうと考える。
 自分が眠った後、未那は立ち去ったのかも知れない。そうであれば、一人で寝ていただけであるため問題は無かった。
 裸で寝ていた事を不審がられもするだろうが、世の中には裸で寝る人間も居るのだから、自分もそうだと言い張ればいいだろう。精液の跡や匂いがした可能性はあったが、自慰をしたのだと思われれば、追及はされないに違いなかった。
 唯一の不安は、未那が誰かに喋ることだったが、あの少女は無口であったため、尋ねられなければ話さないようにも思えた。それに性的なことというのは、後ろ暗さや恥ずかしさを伴うものであるから、もし尋ねられても誤魔化す可能性はあった。
 ならば大丈夫なのではないか、と希望的な結論に安堵感を抱きながらトイレを済ませた蓮は、洗面所で顔を洗ってから、先ほどの部屋へ戻っていった。
 布団が片付けられ、テーブルが置かれて、食事が用意されているのが見える。
 武彦はもう食べた後なのか、料理は一人分しか置いてなかった。
「さ、食べなさい」
 促されるままテーブルの前へ座り、箸を掴むと食事をとり始める。
 おかずは朝食らしく焼き魚などだったが、やはり里芋の料理があることに苦笑する。
 いい加減慣れはしたものの、ここまでちょくちょく食事に出るというのは、何とも呆れてしまう事だった。
 食べている間、武彦は昨夜の祭りが、如何に上手くいったかという話をしていた。
 どうやらこの村においてあの祭りは、かなり重要視されているようで、それが成功した事が嬉しいらしい。終始ニコニコしている様子からして、やはり未那とのことはバレていないと考えて良いだろう。
 楽し気に語る叔父に相槌を打ちながら、蓮はもくもくと食事をとっていった。
 しばらくして朝食を食べ終えると、武彦はお茶を入れてくれ、満足げにそれを一口飲んだ後、大きく息を吐き出した。
「蓮ちゃんには本当に感謝しているんだよ。よくお役目の役割を果たしてくれた。ある程度期待はしていたんだが、それでも不安だったからね。なのに素晴らしい結果だった。ありがとう」
 深々と頭を下げられたため慌ててしまう。それほど感謝されるような事をした覚えはないからだ。というより、実質サボっていた事になるだろう。何しろセックスをしていたのだから。
「実に十八年ぶりに成功したんだよ。前回成功したのは、和真の時だったからね。その時も十八年ぶりだったんで、みんな喜んだものさ。今回はその息子がお役目をやるし、同じく十八年ぶりってことで、こりゃ上手くいくんじゃないかって期待してたんだが、本当に成功したんでビックリだ。凄いだろ?」
 突然父の名前が出たことに驚く。
 故郷の祭りなのだから、父の和真が同じ役割を担っていても何ら不思議はなかったが、まさかそのようないわれがあったとは思ってもみなかった。
「成功したって、どういう意味なの? 俺、特に何もしてないんだけど」
 実際はセックスをしていたため、それを誤魔化すことへの後ろ暗さから緊張しながら尋ねる。
「それはもちろん、神宿りだよ。これが上手くいくかどうかにお祭りの成功がかかっている」
「神宿りって、祭りの名前になってるのだよね?」
「そう。神宿り祭のメインは、まさに神宿りなんだ。どういう事かと言うと、お祭りの間に神様が降臨されるかどうか。まずはこれがある。神様はお役目が気に食わないと降臨されないからね。だから神様が降臨された時点でほとんど成功なんだよ」
「降臨……へ〜〜、そういうのがあるんだ。でもそれってどうやって分かるの?」
「神様は当主様に宿られるからね。当主様のご様子を見ていれば分かる。普段とは違った雰囲気になるんだよ。当主様は巫女でもあらせられるので、普段からちょっと違った感じなんだが、神宿りの際は、さらに特別な感じになるんだ」
「本当の意味での巫女なんだね。普通は神社の仕事してるイメージしかないけど」
「そうだな。一般的にはそっちなんだが、うちの村では巫女っていうのは特別なんだ。簡単になれるものじゃないし、そうした資質を持つ人間もなかなか生まれないしね。そして巫女の資質のある者が当主になる。だから当主様は尊い存在なんだよ」
 要はシャーマン的存在で、トランス状態になって神を降ろす、といったところだろうか。
 この村において、当主が尊ばれている理由が分かったような気がした。宗教的な役割があるとすれば、そうした扱いになるのは自然だからだ。
「神宿りが起これば、あとはそれほど問題じゃない。元々神様が気に入った相手な訳だから、スムーズに儀式が進むからね。今回はそれが上手くいったって訳さ。神宿りがちゃんと起きたし、その後の儀式も問題なく終えることができた」
「そうなんだ。そりゃ良かった……」
 少し後ろめたさを覚えながら呟く。何しろ自分が未那を強姦している間に、叔父たちは真面目に儀式をしていたらしいのだから申し訳なさすぎるだろう。というより、罰が当たるのではないかと、今更ながら不安を覚えた。
「そういう訳で、祭りを成功させた蓮ちゃんは、正式なお役目になったってことだ。これからはそれに見合った扱いを受けるようになるから覚えておいてくれ」
「え? 何かあるの?」
 何やら面倒そうな話になってきたため困惑する。自分としては、少しだけ祭りを手伝うつもりでお役目の役割を引き受けたというのに、それだけでは済まない雲行きになってきたからだ。
「そう身構えなくても大丈夫だよ。やることと言ったら、定期的に当主様のところへ挨拶に行くくらいだから」
 その程度でも面倒であることには違いなかった。「何かしなければならない」というのは精神的に重荷であるし、相手が当主となれば余計だろう。
「まあ、そう固く考えなくていいよ。慣れれば大したことじゃなくなるから。それでさっそくで悪いんだが、これから当主様に挨拶しに行ってもらえるかな? 正式なお役目として、祭りの後の最初の挨拶をしに行って欲しいんだ」
 武彦は楽し気な笑みを浮かべながら立ち上がると、一緒に来るよう促してくる。
 どうにも断れない雰囲気があったため、蓮は仕方ないとばかりに従うことにした。この村で暮らしていく以上、面倒なことであっても引き受けていくしかないからだ。
 部屋を出ると、武彦は「こっちだ」と告げ、廊下を歩き出した。
 叔父の後ろに付いていきながら、引っ越してきた日に当主と会った時のことを思い出す。凄く短い時間だったが、少し会話した印象では、人当たりの良い、穏やかな感じの女性だったのを覚えている。
 そうした人が相手であるのなら、挨拶する程度ではあまり苦痛でないかも知れない。とはいえ、定期的に行わなければならないという事は、やはり面倒ではあるのだが。
 そんな事を考えていると、前を歩いていた武彦が足を止めるのが見えた。どうやら目的の場所に着いたらしい。
「当主様、武彦です。蓮を連れてまいりました。失礼いたします」
 武彦はそう告げてから障子を開き、中へ入っていっている。
 蓮も続いて足を踏み入れると、左右に視線を向け、部屋の様子を確認した。
 そこは十畳ほどの広さのある、家具などは何も置かれていない部屋だった。
 右手の奥に、誰かが後ろ向きで座っているのが見えたため、おそらく当主の沙耶だろう。
 今回は簾が無いことから、どうやら直接会ってもらえるらしい。やはり正式なお役目になったからだろうか。
 意外だったのは服装で、「当主」という言葉のイメージから、ある程度格式ばった恰好をしていると想像していたのだが、実際は白のキャミソールワンピースというラフなものだった。
 沙耶は蓮達が入ってきた事に気づいていないのか、こちらを見ることなく、畳に置いた物をいじりながら、時折ブツブツ呟いている。
 何をしているのだろうと思ってよく見てみると、手にしているのはどうやら人形のようだった。手のひらサイズの女性を模した人形だ。
 何故そんなものを、と不審に思いながら見続けてると、不意に沙耶がこちらへ振り返った。
 そして顔が見えた瞬間、蓮は体が硬直した。
 心臓が痛いほどに強く鼓動し、震えが起こっていく。
 どうして彼女がここに……。
 何故ならそこに居た人物、当主であるという女性は、自分が昨夜強姦した相手、未那だったからだ。
「驚いたろうけど、あの方が当主様だよ」
「え? でもあれは未那ちゃんでしょ。当主様の名前は、確か沙耶って……」
「沙耶というのは、当主が代々受け継ぐ名前なんだ。ご本人の名前は別にあってね、当主になると公的な場では沙耶という名前を使うんだ」
「じゃあ、未那ちゃんが当主様……」
「そうだ」
 あまりの事に頭が混乱する。
 何故未那が当主なのか。
 そもそも当主というのは、引っ越して来たあの日、簾越しに会った人物ではなかったのか。彼女は未那のように無口ではなかったし、もっと普通に話していた。あの無口無表情な少女と同一人物とは、とても思えなかった。
「でも前にこの屋敷で会った時と、普段の未那ちゃんとじゃ、印象が全然違うんだけど。未那ちゃんってあまり喋らないでしょ?」
「ああ、あの時喋ってたのは当主様本人じゃない。当主様の代わりにお言葉を伝える係がいるんだよ。ちょっとした仕掛けがあってね、見えない場所で当主様の代わりに応答するんだ。これが古い仕掛けなのによく出来てて、簾越しってのもあるんだろうけど、別人が話しているとは誰も気づかないんだよ。凄いだろ? まあ、奇妙に思うかも知れないけど、当主ってのはそうした色々な決まりがあるんだ」
 予想外の答えに驚く。
 まさかあの時、別の場所から声がしていたとは全然気が付かなかった。古い仕掛けだそうだが、何とも良く出来ているものだと感心してしまう。
 とはいえ、何と面倒くさいことをするのだろうとも思う。いちいち仕掛けまで作って、別人が喋っていると分からないようにする意味は何なのか。慣習というのは実に訳が分からないものだった。
 しかしそんな事より、もっと重大な問題があった。
 何しろ自分は、未那を強姦しているのだ。
 元々幼い少女というだけでも罪であるのに、そこに当主という要素が加わるとなれば、より罪の重さが増すことになった。
 この村において貴ばれている存在を強姦したことが知られたら、自分は一体どうなってしまうのか。
 その想像に、恐ろしさから震えが走り抜ける。
 未那は昨夜のことを口外したりしないだろうか。
 今のところは大丈夫なようだが、今後もそうだとは限らないのだ。何かの拍子に、誰かに話しても不思議ではないのである。
 そんな事を考えながら未那を見つめていると、不意に彼女の視線がこちらへ向いたためギョッとなる。
 目が合った瞬間、未那の表情が急激に変化した。
 満面の笑みが浮かんだのだ。
「わぁっ、お兄ちゃんだぁっ」
 そう叫んだかと思うと、勢い良く走り出し、気が付いた時にはこちらへぶつかって来ていた。
 衝撃と共に軽い痛みが起き、そのままギュウっと抱き付かれる。
「お兄ちゃんっ、お兄ちゃぁんっ」
 未那は楽し気に何度も呟きながら、まるで子猫が甘えるように体を擦り付けてくる。
 それはこれまで知っていた未那の印象からはかけ離れたものであり、あの無口無表情な少女とは、とても思えない様子だった。
 未那が当主である事も受け入れがたかったが、この少女が未那であるとも思えなかった。もしや双子の姉妹だったりしないだろうか。
「叔父さん。この子って、本当に未那ちゃん?」
「ああ、未那様だ」
「でも前に会った時はこんなんじゃなくて、もっと大人しかったっていうか……」
「ああ、神宿りの状態になっていた時だな。当主様はたまにそうした状態になられるんだよ。祭りの時以外にも神様が宿られたりするし、そうなりかけるような場合もある。そうなると当主様は、普段とは違った状態になられるんだ。ボーっとして、こちらの言う事に無反応になったり、突然よく分からないことを口にされたりな。巫女ってのはそういうものだから仕方ないんだ」
「つまり俺が会ってた時は、神宿りしてた……」
「そういう事だ。だから蓮ちゃんには、お役目の資質があると分かったんだけどね」
「え? どういうこと?」
「神様はお役目を選ばれるってことさ。これぞという相手を見つけると、降りて来られて、その人間を確認されると言われている。理那さんの話だと、当主様をお連れして散歩していた時、それまでは普通だったのに、蓮ちゃん達の家へ近づいた途端に神宿りが起きたと言っていたからね。そして神宿り状態の当主様は、蓮ちゃんにご執心だったそうじゃないか。こりゃお役目として確実だろうとなったわけだよ」
 確かにあの時の未那は、ジッと自分を見つめ続けていた。あれは未那自身の意思ではなく、神宿りした状態のためだった、という事なのだろうか。
 神が宿る、という事自体は信じられないが、要はトランス状態、意識が混濁した状態だったとすれば理解はできた。シャーマンというのはそういうものだというのを、以前何かで読んだ覚えがあったからだ。つまり未那は、そうした症状をよく起こす人間という事なのかも知れない。
 だがもしそうだとすると、昨夜のことがまた違った意味合いを帯びてくるように思えた。あの時境内に現れた未那は、無口無表情な状態、つまりまともな精神状態ではなかった事になるからだ。
 そのような少女を、自分は強姦した。
 改めて罪悪感が強まり、心臓が激しく鼓動する。
「蓮ちゃんは見事にお役目の役割を果たしてくれた。神様を受け入れ、神様を満足させてくれた。神宿りが終わった後の当主様が上機嫌だったのがその証拠だよ。上手くいかなかった場合、当主様は酷くお辛そうだからね。でもそうじゃなかったから大成功って訳さ」
 武彦の言葉に、何とも言えない想いを抱きつつ、抱き付いたままの未那へ視線を向ける。
 彼女はニコニコと笑みを浮かべ、嬉しそうにこちらを見上げている。その笑顔には子供らしい無邪気さがあり、可愛らしさがあった。
 それにしても、どうしてここまで懐かれているのだろう。神が自分を気に入ったというのは分かるが、今は神宿りしていないはずだからだ。未那個人にしても、通常状態で会うのは今回が初めてなのだから、懐かれている理由が無いのである。
「神宿りのことは分かったけどさ、でも何で当主様はこんなに、俺をその、気に入られてるの? 今は神宿りしてないんだよね?」
「されてないな。今は当主様ご自身だ」
「だったら何で……」
「そりゃまあ、神宿りの最中も、ある程度は意識があるみたいだからね。気持ち良ければ、そうしてくれた相手を気に入るのも当然だろ? いや〜〜、そういう意味でも蓮ちゃんは大したもんだよ」
 武彦はニヤけながら告げてくる。
 それはまるで、未那とのセックスを知っているかのような口ぶりであったため、ギョッとなって叔父の顔を見つめる。
「そういやまだ話してなかったな。祭りでお役目がすべきことは、神様との交わりなんだよ。神宿りした当主様を抱いて、神様を満足させられるかが重要なんだ。だから神様を満足させられた蓮ちゃんは、正式なお役目として認められたって訳だ」
 知られていた。
 というより、最初からそうし向けられていたという事らしい。その事に激しい動揺が起きる。
「ちょっと待って……つまり叔父さんは、俺が当主様とそうなるのを期待してたってこと? そんなの全然言わなかったじゃん」
「そりゃそうだ。言ったら意味が無いからな。あくまでお役目が、自分の意志で神様を抱こうとしないと駄目なんだよ。義務感や強制で抱かれても神様が喜ばれないからね。だからお役目に選ばれた人間には何も知らされない。その上で、神様を求めるかどうかが重要なんだな」
 確かに抱かれる側の気持ちとしてはそうだろう。その気も無いのに仕方なく抱かれるなど屈辱的な事だからだ。
 とはいえ、相手が未那のような少女となれば、欲情しない人間も居るのではないだろうか。
 というところまで考え、あの時の自分が無茶苦茶興奮していたのを思い出す。
(俺は、ロリコンだ……)
 改めて自覚した事に羞恥心を覚えつつも、一方で、そうした状況に未那のような子供を追いやっている村の大人たちに嫌悪感を抱く。いくら儀式だからと言って、また巫女としての資質があるからと言って、幼い子供にやらせる事だろうか。
 しかも未那は、先ほどからの様子を見ている限り、まともな判断力があるようには思えなかった。自分にしがみついたままニコニコしていて、甘えるように顔を擦り付けてくるだけなのだ。
 それはまるで幼女のようであり、十一、二歳の見た目とは相容れないものがあった。
「まあ、神様に選ばれた時点で、お役目にとっても当主様の容姿は好みであるはずなんだよ。そういった力というか何というか、とにかくこれまでそうだったらしいからね。その上、里芋の力があるとなれば、まず抱きたくならない事は無いんだ」
 その言葉に引っかかる部分を覚える。
 里芋の力? それは一体何のことだろう。今回の事に里芋がどう関係していると言うのか。
「叔父さん、里芋の力って……?」
「うちの村に伝わる里芋には、特殊な効能があるんだよ。まずは食べると熱っぽくなって、ボーっとしてきて、意識が薄まる感じになるんだ。そこら辺が神宿りに似ているんで、ありがたい食べ物となっているんだが」
 それには思い当たる節があった。この村へ来てから熱っぽさが抜けなかったが、あれは風邪のせいではなく、里芋のせいだったという事らしい。
「効能的には他に二つあってね、一つは以前話した老化防止。もう一つが『性欲を高める』ってのだ。里芋を食べると欲情しやすくなるんだよ。熱っぽくなった後、欲情してくるんだ。面白いことに、里芋を美味しく感じる人間ほどその効果が強くてね」
 その言葉に動揺すると共に納得の想いを抱く。確かにこの村へ来てから、つまり里芋を食べるようになってから、欲情が抑えられなくなっていたからだ。
「人によっちゃ、特定の人間に対する執着が凄くなったりもするな。その人間に対する好意や性欲が高まり過ぎて、酷く辛い状態になるんだ。どうやら体質的に、里芋の効能に過剰に反応してしまうらしい」
 そう言われた瞬間、頭に浮かんだのは明梨の事だった。
 姉は、この村へ引っ越して来る前では考えられない強い執着を自分に示し、自ら誘ってセックスを求めて来た。あの豹変ぶりには驚いたものだが、里芋の効能に過剰に反応してしまう体質だったとすれば納得できた。
 とはいえ、そこまで精神が変貌するというのも恐ろしい気がした。何やら麻薬的な怖さが感じられるからだ。
「それって危なくないの? 何かちょっと怖いんだけど……」
「まあ、問題があるっちゃあるんだけどね。里芋には麻薬成分みたいなのも入っているらしいから。一度食べるとまた食べたくなるのはそれのせいらしいし。今言った過剰に反応してしまう人ってのも、麻薬成分との相性が良すぎてそうなっちゃうみたいなんだ。でもだからって怖がる必要は無いよ。ほとんどの人にとっては単なる精力剤みたいなもんだからさ。まあ、ちょっとハイテンションになって、エッチなことをしたくなっちゃう訳だけど、それくらい別にいいだろ? 気持ちいいことなんだし」
 武彦は冗談のような口調でそう告げると、笑顔を浮かべている。
 軽い雰囲気であることに、本当に大丈夫なんだろうかと不安になるが、考えてみれば村中の人間が長年に渡って食べ続けているものなのだから、それほど危なくはないのかも知れない。実際過剰に反応している明梨にしたところで、自分に対する執着以外は、以前と変わったところはないのだ。あくまで性的な部分で過剰に反応しているだけなのである。
「とは言っても、たまに危なくなる人もいるんだけどね。そこはやはり麻薬ってことなんだろうな。精神的におかしな状態になる人がいて、幻覚を見たり、幻聴を聞いたりするらしいんだ。まあ、そうなるのはホント滅多にないことだから、気にするレベルじゃないんだけど。ほら、どんな薬だって副作用が起きる人間はいるだろ? それと同じで、たまたま体質に合わないで、危なくなっちゃう人も居るってことさ。だから気にしないでいいんだよ」
 蓮が不安そうな顔をしていたせいだろう、武彦はそんな風に言っている。
「そうした滅多に起きないことを気にするより、過剰に反応しちゃう人間の方を気にして欲しいんだ。こっちは結構な確率で居るからね。そういう意味で蓮ちゃんには感謝しているんだよ。由衣のことを受け入れてくれただろう? あれは凄く助かったんだ、ありがとう。あのままだったら由衣は色々大変だったろうからね」
 しんみりと告げてくる武彦の言葉に、心臓が大きく鼓動する。
 由衣とのセックスの事が知られている。
 今の口ぶりは、そうとしか取れない内容だった。まさか彼女が話したのだろうか。
「何故知ってるんだって顔してるな。そりゃ分かるさ。あの子は今まで時々辛そうにしてたのに、蓮ちゃんが引っ越して来てからそれが無くなったからね。最近は凄く幸せそうにしているし、こりゃ上手くいったんだなって思うのが当然だろ?」
 そのような変化があったのであれば、状況判断から知られてしまっても仕方ないかも知れない。とはいえ、セックスした相手の父親にとなると、どうにも居心地が悪いわけだが。
「以前から状態が悪くなってたのは気づいてたから、何とかしてやりたかったんだよ。あの子が好きなのは蓮ちゃんだってのは何となく分かったから、後はどうにかして村へ呼ぶだけだった。村へ引っ越してくるよう誘ったのには、そういう理由もあったんだよ」
 そこまでする必要があるのかと驚くが、明梨や由衣の自分に対する執着の度合いを考えると、無理もないかも知れない。それだけ里芋の効能によって引き起こされる衝動というのは、想像以上に強いものなのだろう。
 だがそれは精神をおかしくしているとも言えたため、やはり怖さを覚えてくる。
「由衣が過剰反応する体質だと知っていれば、もっと早くに呼び寄せたんだがな。由衣のやつ、かなり我慢してたから気づけなかったんだよ。里芋の効能は、思春期になると強く出るようになるってのに、よくもまあ耐えたもんだ」
 やはり性欲と関連している事なので、思春期になると効果が強まるのだろうか。第二次性徴を迎えると体質などが変化するため、そうした事が関係しているのかも知れない。
「そういう意味じゃ、最近だと快斗くんが大変だったんだよ。十五歳になったから、さすがにもう大丈夫だろうと思ってたんだが、どうも急に変化が起きたらしくてね。突然卒業後の進路を変えるって言い出して。それまでは村から遠い高校を受験して、寮生活するって言っていたのに、村から通える学校に変えたいとか言ってね。あれはお目当ての相手と離れたくなかったってところだろう。まあ、首尾よく受け入れてもらえたみたいで、辛い状態にはならないで済んだみたいだけど。理那さんも喜んでいたよ」
 そう言われて脳裏に浮かんだのは、昨夜森の中で交わっていた理那たち親子の姿だった。
 快斗が強い執着を抱いた相手というのは、母親の理那に違いなかった。引っ越してきた日に見た仲の良い様子を考えれば、そうであっても不思議はないからだ。
「そういう訳で、里芋には人を欲情させる効能がある。だから当主様を抱いたことを気にしちゃ駄目だぞ。蓮ちゃんは里芋との相性がいいから、欲情はかなり強くなるだろうし、神宿りした当主様は人じゃない。神そのものだ。神様の与える欲情を抑えることなんて不可能だからね」
 慰めるようにして告げてくる武彦に、どう答えればいいのか分からず黙り込む。
 里芋の効能のせいとはいえ、結局強姦する判断をしたのは自分だからだ。その責任を無視することなど出来ないだろう。
 それにいくら相手は神だと言われても、村の信仰に染まっていない人間からすれば、何の言い訳にもならなかった。単に幼い少女を強姦しただけであり、しかもトランス状態、つまり意識が無いに等しい状態だったことを考えれば、罪悪感は強まるばかりだった。
「当主様はこうしたお姿だからね。お役目に選ばれた者の中には、その事を凄く気に病む人間もいる。だがあまり重く捉えすぎちゃ駄目だ。そうじゃないと辛いぞ。特に蓮ちゃんは和真の息子だから心配なんだよ」
 父の息子だと何が心配だと言うのだろう。父も以前お役目をしていたらしいが、その時に何かあったのだろうか。
「和真はかなり自分を責めていたからね。幼い少女を無理やり犯したと言ってね。俺が『お前が抱いたのは神様で、当主様にしても巫女なんだから問題ないんだ』といくら言っても駄目で。どうしても受け入れることが出来なかった。あの日以来、村へ帰ってくることは無くなったよ……」
 まさか父が故郷のこの村へ帰ろうとしなかった理由が、そのような事だとは思ってもみなかった。
 だが少女を強姦したことを強く悔いているのだとすれば、それを思い出す場所へ行きたがらないのは当然だろう。今の自分は父と同じ状況であったため、気持ちは良く分かった。
「当主様の姿かたちに惑わされてしまったんだな。当主様は巫女として神を体現されているのだから、一般的な倫理や道徳で考えてはいけないんだが、どうしてもそうは出来なかったらしい。だから蓮ちゃんにはきちんと理解して欲しいんだよ。理解して、受け入れて欲しいんだ」
 武彦は真面目な口調で告げると、ジッと見つめて来た。
 言っている事は理解できたが、受け入れる事は難しかった。
 この村では許されているのだとしても、一般的な倫理、道徳で育った人間からすれば、幼い少女を強姦した罪悪感を払拭するなど無理だからだ。
 もし払拭出来てしまったら、それは人として駄目になったと言えるだろう。そうはなりたくなかった。
「いいか? 巫女は神様を宿す者、つまり当主様は神様でもあらせられる。そして神様は少女にしか宿られない。これはずっと昔からそうなんだ。歴代の当主は全てが少女だったからね。それが示す意味は何かと言えば、神様ご自身が少女の姿、精神をお持ちだということだ。ご自身に近しい姿、精神を求められ、そこに宿られる。実際、神宿りした当主様の立ち居振る舞いは、大人のものではないからね。もし神様が大人の精神をお持ちであられるのなら、その立ち居振る舞いも大人のものになるはずだろう?」
 確かに理屈としてはそう解釈できるように思えた。
 この村ではそれを根拠に、少女との性交を正しいものとして行なってきたに違いない。そしてそれを受け入れやすくするために、発情作用のある里芋を食べる習慣を作ったというところだろうか。何しろあれほど欲情するのであれば、少女を抱くことに躊躇を抱かずに済むからだ。抱いたことも里芋のせいに出来るとなれば一石二鳥だった。
「神様が少女の姿、精神をお持ちだとすれば、当主もそうでなければならない。だから当主となる人間には、二つの資質が必要とされるんだ。神様を宿すための巫女としてのもの、そして神様と同じ少女の姿であることだね。当主様は十二分にその資質をお持ちの方なんだよ」
 その言葉に視線を下へ向けると、未那が相変わらず笑顔でこちらを見上げていた。
 思わず微笑み返すと、嬉しそうに強く抱き付き、顔を擦り付けてくる。
 何とも愛らしい姿に癒される想いを抱きつつも、その幼女のような態度から、彼女がまともな判断力を持っていないのだという事を改めて認識する。
 いくら必要だからといって、このような少女に当主の役割を担わさせるのはまともとは言えなかった。
 他の人間が行う訳にはいかないのだろうか。幼くはあっても、せめて年相応に判断力のある少女では駄目なのだろうか。いや、むしろ判断できる方が辛いと言えるのかも知れないが。
「この事を知っている人間は限られている。蓮ちゃんは正式なお役目になったんで話したが、基本的に秘密だからね。あとで話していい人間を教えるが、それ以外には絶対に話しては駄目だ。早紀子さんや明梨ちゃん、由衣にもだ。分かるね?」
「うん……」
 それまでとは異なり、真剣な表情で重々しく言われたため、その迫力に押されるまま頷く。
 言われなくとも口外するつもりはなかった。というより、下手に話せば、自分が少女を強姦した事が知られかねないため、絶対に話すわけにはいかなかった。
「叔父さんは知っている人間の一人なんだよね。何でなの?」
「ああ、俺は当主様の世話役の一人だからね。うちの家は代々そうなんだよ。その事は別に秘密じゃないから話してもいいぞ。表向きは色々な雑用係ってところさ。昨日の祭りの準備とかもそうだね。大変な仕事ではあるけど色々と役得もあるんだよ。蓮ちゃん達が住んでいる家にしても、世話役をやっているからこそ都合出来たし」
 何やら武彦の立場を利用して優遇されたように思えて、複雑な気持ちになってくる。
 だがそんな事情など知らなかったのだから仕方ないだろう。
 それに今後はお役目としての役割を果たすことになるのだから、そのくらいの優遇はプラマイゼロではないかとも思えた。
「俺が最初に当主様の世話役をすることになったのは、二十歳の頃だった。元々父親がしていた仕事なんだが、それを手伝うことになったんだ。最初に当主様にお目通りした時は驚いたよ。まさか子供だとは思ってもみなかったからね。父親には『当主とはそういうものなのだ。受け入れろ』と諭されはしたけど、受け入れるまでにはしばらくかかったな。何しろその頃の当主様にしても、見た目もそうだけど、それ以上にお心が幼かったからね。そんな子供が当主なんておかしいと思ったし、何よりそれを大人達が強要している事に腹が立ったもんさ。だがお仕えしていくうちに、神宿りのような神秘的な力を目撃することになって、徐々に受け入れていった。蓮ちゃんも今は当主様のお姿やお心に戸惑っていると思うけど、そのうち受け入れられるようになる。すぐには無理でも、しばらくすれば大丈夫だ。和真はこの事を知らずに出て行ってしまったからな。蓮ちゃんにはそうなって欲しくないんだよ」
 語り終えた武彦は、肩に手を置いてくると、諭すように見つめてきた。
 父の和真が少女を強姦したことを苦にし、村へ帰って来なくなったように、自分がそうなるのを恐れているのだろう。
「俺の話はこんなもんだな。何か質問はあるかい?」
 そう言われても、いきなり大量の情報を与えられたため、何が何だか分からないというのが正直なところだった。
「ま、これからしばらくはお役目の仕事をしていく事になるからね。気になったことが出来たらその都度聞いてくれればいい……それじゃ、俺はそろそろ出ていくことにするよ。当主様のお相手を頼む」
「え? 何をすればいいのさ?」
 相手をしろと言われても、どうすればいいのか分からなかった。何しろこれまで未那とはまともに会話した事すらないのだ。というより、今の彼女の状態を考えると、会話すら出来そうにもなかった。
「何かしようなんて考えなくていい。当主様が望まれることに応じていればいいんだ。お役目の仕事はそれだけだからね……では当主様、失礼いたします」
 武彦は未那に頭を下げると、部屋から出ていこうとしている。
 このまま一緒に居て欲しかったが、いい歳してそう告げるのも恥ずかしかったため我慢することにした。
 障子が閉まり、足音と共に武彦の姿が視界から消えていく。
 部屋に二人きりで残され、さてどうしたものかと途方に暮れる。
 叔父は「当主の望むことに応じればいい」と言っていたが、彼女が望むこととは何だろう。
 そもそも未那は最初に抱き付いてきてから、まともに何も話していないため、望みを語ることも出来ないのではないかと思えた。
 困りながら未那のことを見つめると、少女はニコっと笑みを浮かべ、楽し気に体を揺らし出した。
 首を左右に傾けながら、「おにいちゃんっ、おにいちゃんっ」と呟いているのが実に可愛らしい。
 これまで無口無表情な状態しか知らなかったが、こうして幼女のように無邪気に懐いてくる姿を見ていると、強い愛おしさが起きてきた。
 思わず手が動き、小さな頭を撫でてしまう。
 未那は目をつぶり、笑みを浮かべて嬉しそうにされるがままになっている。
 元々整った顔立ちをした少女だが、そこに笑顔という要素が加わったことで、これまでとは比較にならない魅力に溢れていた。しかも甘える態度というのがそれを強烈に高めていて、たまらない愛らしさを生んでいた。
(未那ちゃんって、スゲェ可愛い……)
 心臓がバクバクと鼓動し、未那に対する愛おしさが増していく。
 ニコニコと笑みを浮かべる小さな顔を眺めながら、頭を撫でまくり、目の前にいる可愛らしい存在に強く惹かれていく。
「おにいちゃんだいすきっ」
 その言葉に心臓が跳ねる。
 同時に嬉しさで一杯になり、頬の筋肉が緩んでいく。
 これまで「好き」と言われたことは何度かあるが、これほどまでに蕩けそうな状態になったのは初めてだった。未那には子猫のような愛らしさがあるだけに、そうした作用が生まれたのかも知れない。
 その感情に流されるまま、思わず小さな体を抱き締めてしまう。
 細身の体を包み込むようにしながら、伝わってくる体温と、硬さの残る肉の感触にうっとりとなる。
 それは昨夜存分に味わった感触であったため、条件反射的に股間の一物に刺激が走り抜けた。
 少女の体との間で、ムクムクと硬さと大きさを増す肉棒に、慌てて腰を後ろに引く。神宿りしていない未那相手に性的欲情を抱いては、さすがにマズいと思ったからだ。
 しかし未那が甘えるように体を押し付けて来たため、すぐに隙間は埋まってしまった。
 少女の肉体に肉棒が接触していることで、気持ちの良さが股間から溢れてくる。
「おにいちゃぁんっ。だいすきぃっ」
 殺し文句を叫びつつ、未那がそれまで以上に強く体を押し付けてくる。
 そのまま擦るように動き出したため、必然的に股間の一物が揉まれる状態になった。
 蕩けるような快感が腰から湧き上り、肉棒がビクンビクンと震えを走らせる。
 同時に熱っぽさが起き、意識がボーっとしていくのが感じられた。
 今ならそうなった理由が分かる、里芋の効能が現れて来たのだ。先ほど食べた分のものだろう。
 こうなってしまうと抑えが利かなくなるのは、これまでの経験から分かっていた。
 未那を抱くことになってしまうが、神宿りしていない状態でというのはやはりマズいように思えた。今の未那はただの少女でしかなく、昨夜のような「宿った神を抱く」という名目は存在していないからだ。
 だが抱きたい。
 この小さくてか細い体を、思う存分舐め回し、吸いまくり、肉棒を押し込んで喘がせたい。
 昨夜と違って愛らしさに溢れる状態の未那は、性的な刺激にどのような反応を示すのだろうか。その喘ぎは、どれほど可愛らしいものになるのだろうか。
 そう考えると、抑えることなど不可能になった。
 心臓が激しく鼓動し、呼吸が乱れ、すぐにでも押し倒したくてたまらなくなっていく。
(!……)
 不意に首筋に、ヌメりを帯びた感触が起こったため体が硬直する。
 それはチロチロとした動きを示しており、時折強く吸い付いてきた。
 首筋であるため見えないが、それは明らかに舌を這わされ、舐められている状態だった。
 突然の行為に驚きを覚えるものの、与えられる刺激に快感を覚えているせいか、されるがままになってしまう。
 何故未那がいきなりこのような事をしてきたのか分からなかった。
 まさか彼女もセックスを求めているというのだろうか。
 すでに昨夜経験済みであることを考えれば、あり得ることではあった。神宿り、つまりトランス状態だったとはいえ、ある程度意識はあるらしいのだから、何をどうすれば気持ち良くなるのかを理解していても不思議ではないからだ。さらに幼女並みの判断能力しかないとすれば、単純に快楽を欲し、今のような行為をしてきている可能性もあっただろう。
 しかしそのような相手を抱いてしまっても良いのか。
 罪悪感が強烈に起きてくるが、それ以上に、抱き締めている小さな体の感触と、首筋に当てられるくすぐったい刺激に、理性は蒸発していった。
 この愛らしい存在を、己の物にしないで居られるはずがなかった。
 幼い肉の中に、今股間でいきり立っている肉棒を押し込まずには居られなかった。
 欲しい。
 未那が欲しくてたまらなかった。
「や……」
 勢い良く少女を床に押し倒すと、か細くも可愛らしい声が漏れ聞こえた。
 その声音にゾクゾクとした嗜虐的な快感を覚えつつ、鼻息を荒くしながら一旦体を離す。
 眼下には、嬉しそうに笑みを浮かべた顔があり、期待するような瞳が見つめてきている。
「おにぃちゃぁん……」
 小さな唇が可愛らしい声を発し、半開きになった隙間から赤い舌が見えた。
 吸い付きたくてたまらなくなり、衝動に押されるまま、唇全体を覆うようにむしゃぶりついていく。
 口内を舐め回し、舌を絡め合わせて吸い上げると、未那がピクッ、ピクッ、と体を震わせながら鼻息を漏らした。
「んっ……んんっ……」
 背中に回された腕が強くしがみつき、締め上げるように力を込めてくる。
 顔を左右に入れ替え、荒っぽくキスをし続けていくと、未那の体から徐々に力が抜けていった。
 唇を離し、呆けた表情を浮かべる少女の様子に満足感を覚えつつ、今度は首筋へと舌を這わせていく。
「ひゃぅ……やぁっ……」
 ピクッと体を震わせた後、くすぐったいのか逃げるように動くのを押さえ込み、顎の下まで舐め回していく。
 そのままキャミソールワンピースの肩ひもをズラして引き下げると、微かな膨らみと、ピンク色をした乳首が露わになった。
 透き通るほどに白い肌が眩しく目に映り、か細い体の線から、相手が年端もいかない少女であることが意識される。
 このような子供相手に自分は何をやっているのだ、という罪悪感を覚えるが、それ以上に背徳的な魅力を覚えずにはいられなかった。
 すでに昨夜何度も貪った幼い体。
 子供でありながら、十二分に快楽を与えてくれる肉体だ。
 通常は味わえない体ゆえに、その禁忌を犯す快楽は、母や姉を相手にする時以上に強烈だった。何しろ二人は大人であり、近親相姦のことはあるものの、年齢的には何ら問題のない相手だからだ。
 しかし未那は違った。
 他人であっても抱いてはいけない歳なのだ。
 しかも普通より判断力の弱い子供である事を考えれば、そのような相手とセックスするのは、二重の意味で罪深いと言えただろう。
 だがそれゆえに燃え上がった。
 禁忌を犯している状況が、おそろしいまでの肉欲を生んでいたのだ。
 湧き起こってくる落ち着かない衝動に押されるまま、幼い胸の小さな突起に吸い付いていく。
「やっ……あふっ……」
 未那が頭を仰け反らせ、可愛らしい声をあげる。
 舌先で弾くように乳首を舐めながら吸い付くと、それに合わせてピクピクと小刻みに震えが走り抜ける。
 吸っていない方の膨らみへ手を伸ばし、摘まむように撫で回し、その滑らかな肌の感触に心地良さを覚える。大人の女性相手では味わえない、幼いゆえの肌の素晴らしさだ。
 頬ずりをするとさらにそれが顕著に感じられ、ゾゾゾとした快感が走り抜ける。
 肌を擦り合わせるだけで肉棒がビクンビクンと震え、そのまま射精してしまいそうなほどの気持ち良さが起きた。
 この快楽を知ってしまえば、未那を抱かずにいるなど不可能だろう。
 昨夜だけであれば、夢のように思えたかも知れないが、こうして再確認してしまうと、もう忘れられるとは思えなかった。
「未那ちゃん……ああ、未那ちゃん可愛いよぉ……」
 愛おしさが爆発し、強く頬ずりを繰り返して乳首に吸い付き、微かな膨らみを撫で回していく。
 未那は「やっ……あっ……」といった甘い声を発しながら、クネクネと小さな体を動かし続けている。その様子はあまりに愛らしくておかしくなりそうだった。
(未那ちゃんは、俺のものだ……)
 強い独占欲が湧き起こり、もっとこの少女を己の物として支配したくなってくる。
 キャミソールワンピースの裾を捲り上げ、パンツを一気に引き下ろす。
 股間にある小さな襞は、すでに潤みを帯びており、幼いながらも未那が女であることを認識させた。
 か細い太ももを左右に開き、顔を近づけて舌を這わせていく。
「ひゃぅんっ……やっ……やっ……やぁっ……」
 ペロペロと舐め回すと、小さな頭がイヤイヤと左右に振られ、畳に指を立てて悶える。
「おにぃ、あっ、やっ……おにぃ、やぁんっ……」
 細長い脚がバタバタと動き、挟みこむように絡みついてくる。
 小さな手が頭に置かれ、股間に押し付けてくるのに、己の与えている刺激の成果を感じて満足感を覚えた。
「やぅっ……やっ、やふっ……おに、ああっ……おにぃ、あっ、あっ、あぁあああんっ」
 そうしてしばらくの間、幼い秘所を愛撫し続けていると、不意に未那が体を硬直させ、ビクビクビクと震えた後、脱力した。
 どうやらイったらしい。
 体を起こして見つめると、ハァハァと呼吸を乱しながら、ボーっとした様子で横たわる少女の姿が目に映った。
 キャミソールワンピースが腰の辺りに捲り上がっている以外は、ほとんど全てが露わになった体がそこにはあった。
 真っ白な肌は、上気してほんのりと桜色を帯びており、特に胸元には指の跡が痛々しく残っていた。それは未那を己の物とした証に思えて誇らしさが起きてくる。
 両脚をだらしくなく開いて秘所を晒したその姿は、あまりに無防備であり、時折ピクっ、ピクっと震える様子には、背徳的ないやらしさを強く感じさせた。
 もう我慢できなかった。
 この少女が己の物だとさらに認識するには、今股間で猛りまくっている肉棒を押し込む以外にはあり得なかった。
 蓮は服を素早く脱いで裸になると、未那の体からキャミソールワンピースを抜き取り、生まれたままの姿にした。
 小さな体に圧し掛かるように覆いかぶさり、細い太ももを左右に開いて、肉棒を持って幼い秘所へと近づけていく。
 未那はぼんやりした表情のまま、あらぬ方向を見ており、それが年齢にそぐわない妙な色気を感じさせた。
 一瞬、潤んだ瞳がこちらを向き、小さな笑みが浮かぶと、その印象はさらに強くなった。
 ゾクッとする感覚が走り抜け、肉棒に震えが起きる。
 まるで経験豊富な熟女を相手にしているような錯覚を覚えたため、その事に苦笑を浮かべながら、幼くても女は女なんだな、などと思う。
 膣穴へ肉棒を押し付けると、ヌプっといった感じで、亀頭が柔肉に包まれるのが分かった。
 快感が腰から湧き登り、呻きを漏しつつそのまま押し込んでいく。
 肉棒が膣襞をかき分け、奥へと入っていくのが感じられる。
「あっ……やっ……」
 可愛らしいか細い声が漏れ聞こえ、それと共に柔らかく湿った肉が、ギュッと締め付けてくる。
 その感覚に蕩けるような状態になりながら、一気に全てを押し込んでしまう。
 一旦動きを止め、大きく息を吐き出すと、何とも言えない満足感が湧き起こった。
 再び入った。
 未那の中に、愛らしい少女の中に自分は入ったのだ。
 幼い肉体と一つになったことに、強い罪悪感とそれ以上の背徳的な悦びが押し寄せてくる。
 こちらを見上げる潤んだ瞳には嫌悪の光はなく、逆に幼いながらも女の媚を感じさせるものがあった。
 考えてみれば、すでに大人のするセックスを経験しているのだから、そうなっても不思議ではないだろう。
 未那は女として求めてきているのだ。
 先ほど部屋へ入って来た際、嬉しそうに抱き付いて来たのも、早く抱いて欲しいという衝動の現れだったのかも知れない。
 そんな風に考えると、未那に対する愛おしさがさらに強まった。
「未那ちゃんっ……」
 自らの想いを吐き出すように呼びかけながら、腰を激しく動かし始める。
「やっ……やっ……やぁっ……おに、あっ……おにぃ、ああっ……」
 突き込みごとに小さな体が前後に動き、可愛らしい眉根が寄せられ、悩まし気な表情を浮かべているのに、たまらない悦びを覚える。
 未那は何と愛らしく、そしていやらしいのだろう。
 このような少女とセックスできる自分は、何と幸せなのか。
「あんっ、あっ……ああんっ……あっ、あっ、ああっ……」
 小さな手が求めるように腰を掴み、引き寄せてくる。
 見つめてくる瞳には、「もっとして」と訴えているような甘えの光があった。
 昨夜には無かった愛くるしい表情や仕草に、たまらない悦びを覚えつつ、その幼い少女らしい反応に興奮を覚える。
 通常ではあり得ない、幼い少女とのセックス。
 それを自分は味わっている。
 何と素晴らしいことか。
「あっ、あんっ……やっ、やぅっ……やぅんっ……」
 小さな顎が何度も仰け反り、腰に添えられた手に力が込められ、脚が絡んできて引き寄せられる。
 膣内の蠢きも激しくなり、嬲るようにして吸い付いてくるのに、射精感が高まっていく。
 もう限界が近かった。
 まだ入れてから少ししか経っていないというのに何という早さだろう。それだけ興奮が強烈に高まっているという事に違いなかった。
「やっ……やぅっ……おにぃちゃ、あっ、あっ……いい、あっ……すごいぃ……あっ、あふんっ……すご、すごいよぉ……」
 腰の動きをそれまで以上に強めると、未那が可愛らしく讃嘆してきた。
 喘ぎ悶えながら、うっとりと見つめてくる悩まし気な顔に、強烈な愛らしさといやらしさを覚えた瞬間、一気に限界に達したのが分かった。
「ああぅっ、あっ……おに、ああっ……おにぃちゃ、ああぅんっ……すごい、やっ……すごいの、ああ……やっ、やっ、やぁああああああああんっ!」
「うぅっ!」
 未那の可愛らしい絶叫が響くと共に、膣内がキュウっと締まり上がり、意識せずとも精が放出された。
 ドピュッ、ドピュッ、ドクドクドクドクドクドク……。
 肉棒が律動するたびに精液が吐き出され、背骨を通じて脳に快感が駆け抜ける。
 蕩けるような快楽が心と体を包み込み、幸せな気分になりながら射精を繰り返していく。
 いつまで続くのかと思えるほどに放出が続き、しばらくしてそれが終わった後、大きく息を吐き出し、幼い体の上へと倒れ込む。
 汗にまみれた滑らかな肌が感じられ、その心地良さに身を委ねる。
 耳に可愛い呼吸音が聞こえ、隣にある愛らしい顔へと視線を向ける。
 包み込めるほどの小さく幼い体に、今自分は精液を注ぎ込んだのだと思うと、罪悪感と共に、背徳的な悦びが湧き起こった。
 通常では味わえない肉体を貪った事実に、強い満足感が押し寄せてくる。
 愛おしい。
 未那が愛おしくてたまらなかった。
 未那は自分の物だった。
 他の誰にも渡すものか。
 強烈な独占欲が湧き起こり、そのまま小さな体を引き寄せると、ギュッと抱き締める。
「あふぅ……おにぃちゃ……だいすきぃ……」
 甘ったるく耳に響く声に、心臓がドクンっと跳ね、おかしくなりそうな歓喜が湧き起こってくる。
 愛されている。
 自分は未那に愛されている。
 その事がたまらなく嬉しかった。
「俺も、未那ちゃんが大好きだっ」
 そう叫びつつ、可憐な唇に吸い付いていく。
 舌を送り込み、絡ませると、未那もそれに応じて吸い付いて来た。
「んっ、んっ……んぁっ……」
 夢中になって唇を貪り、可愛らしい吐息を聞きながら肌を擦り付けていると、それだけでたまらない快感が湧き起こった。
 肉棒が硬く大きくなり、再び未那の中へ入りたいと訴えてくる。
「んんっ、んっ……んふぅ……おにぃちゃん、さっきのしてぇ……おちんちん、いれてぇ……」
 その幼い少女らしからぬ卑猥な発言に、ゾクっとした興奮が起こる。
 すでに未那は、セックスの快楽に染まっているに違いなかった。
 何と罪深いことをしてしまったのかと思いつつも、それ以上に自分を求めてくる少女への愛おしさが爆発した。
「未那ちゃんっ、大好きだっ。大好きだぁっ……」
「おにぃちゃんだいすき、だいすきぃっ……」
 叫びながら圧し掛かり、肉棒を押し込んでいくと、未那が歓喜の表情を浮かべ、甘えるようにしがみついてきた。
 幼い膣襞に包み込まれた肉棒は、強く嬲られ吸い付かれ、蕩けるような気持ち良さを伝えて来た。
 愛おしい。
 未那は愛おしすぎた。
 この少女を自分は、一生愛していくのだ。
 蓮はそう心に決めると、おかしくなりそうな快楽に包まれながら、肉棒を激しく突き込んでいくのだった。


 二十年が経った。
 三十九歳になった蓮は、沙谷那村の役場で働いていた。
 就職活動をした際、村の外での仕事を考えたりもしたが、お役目の役割がある以上、それは無理な事だった。村から離れた場所や、自由になる時間を作れない職業では、お役目としての責務を果たせないからだ。
 以前であれば、職業を選べなかった事で悩んだかも知れないが、その頃にはすでに村に順応していたため、特に問題を感じることもなかった。
 正式なお役目として認められて以来、村での扱いは当主に次ぐものとされ、かなりの厚遇を与えられていたし、何より多額の収入を得られていたのも大きいだろう。
 沙谷那村は一見寂れた印象があるのとは裏腹に、多くの資産を所有していて、それらを運用することで高額の収益を得ていた。そのため村の役職に就いている人間にもそれなりの給金が出ていたのだ。
 その事を知った時は驚いたものだったが、昔から武彦には裕福な印象があったため、納得する部分でもあった。
 生活の変化としては他にもあった。
 由衣との結婚だ。
肉体関係を持つようになってから数か月後、妊娠が発覚したためそうしたのである。
 元々由衣のことは好きであったし、結婚すること自体に異存はなかったが、少々早すぎる展開に困惑しないでもなかった。
 同じ頃、早紀子と明梨も妊娠していた。
 通常なら親子、姉弟での子供という事で、隠さなければならないところだったが、この沙谷那村では問題ないことになっていた。
 お役目の立場になってから村の裏事情を色々と知ったのだが、その中に「親子やきょうだいによるセックスが多く行われ、内縁の夫婦になっている者たちもいる」というのがあったのだ。
 里芋の効能を考えれば至極当然の状況と言えただろうが、さすがに衝撃を覚えることでもあった。何しろそれまでの倫理、道徳観からすれば、あり得ない状況が、当たり前の事として受け入れられていたからだ。
 とはいえ、自身がすでに近親相姦にどっぷり浸かっていたため、ホッとする内容でもあった。何しろこれで母や姉との事が公になったとしても、問題にならないことが分かったからだ。
 身近な知り合いでも、自分達と同じ境遇の親子が存在していた。
 理那と快斗だ。
 蓮達が結婚する頃に、理那も快斗との子を妊娠したのである。
 快斗は将来の進路を変更してしまうほど理那に執着を抱いていたため、そうなったのは当然のことと言えただろう。
 おそらく毎日のように理那の体を求めたに違いない。その結果、まだ十分に若い理那が妊娠したのは、何ら不思議な事ではなかった。
 理那の夫がすでに死亡していた事から、快斗は内縁の妻になって欲しいと頼んだようで、理那はそれを受け入れ、今や二人は夫婦として生活していた。
 時折仲睦まじく歩いている姿を見かけるが、三十五歳になった快斗と、あの頃からあまり老けていない理那は、同世代の夫婦にしか見えなかった。
 里芋の老化を防ぐ効能は、そういった意味で、親子を違和感の無い夫婦として成立させていた。
 これは自分達にも言える事で、早紀子と連れ立って歩いていると、事情を知らない人からは、夫婦と勘違いされる事が増えてきた。
 母も理那と同じであまり老けておらず、五十九歳になった今も三十代にしか見えなかった。
 明梨と由衣にしても十歳は若い容姿であり、驚いたことに、肌の張りや艶などにしても若さを保ち続けていた。どうやら里芋の効能は、単に若く見えるだけではなく、細胞自体の老化も防いでいるらしい。実に驚くべき効能だった。
 そうした点では、驚異的な人物が存在していた。
 未那だ。
 彼女の容姿は、二十年前から全く変わっていなかったのだ。
 すでに三十代になっているはずだったが、見た目は十一、二歳のままであり、事情を知らない人間であれば、小学生と告げても十分に信じるだろう。
 いくら里芋の老化防止の効能が優れているとはいえ、さすがにこれは異常と言えた。何しろ「老化しない」というより、「成長しない」といった状態だったからだ。
 世界には似たような奇病があるらしいが、未那に起きている事は、それとはまた違っているように思えた。何しろ背丈などが成長しないだけでなく、肌の張りや艶などにしても、子供のそれを保っていたからだ。年齢の近い由衣の肌と比較しても、明らかに若々しい、というより幼い肌のままだったのである。
 まさに異常なことが未那の体には起きていた。
 普通ここまで成長しないとなれば、本人にとってはかなり苦悩するところだろうが、未那にはそういった事はなかった。精神が幼女のままで止まっていたため、自身の成長しない体を気に病むような意識が無かったからだ。
 そう考えたとき、未那の精神が幼女のままであるのが、結果的には救いになっているように思えた。そしてまるでこうなる事が分かっていたかのような彼女の有りように、生命の神秘を感じずにはいられなかった。
 いや、未那は巫女であるのだから、「神が与えた救い」とした方が合っているかも知れない。
 お役目の役割を引き受けてから二十年が経ち、村の信仰に関わり続けてきたせいか、最近ではそうした考えを持つようになっていた。信仰を意識させる存在と身近に接していることで、影響を受けやすくなっているのも大きいだろう。
 何しろ未那は、村の信仰の中心、神を宿す巫女なのだから……。


 自身の体の下で喘ぎ悶える未那の姿を眺めていると、激しい肉欲が起きてくる。
 凹凸の少ないなだらかな曲線。
 全体的にほんのりとまとわりついた肉。
 染み一つ無い真っ白な肌。
 二十年前と全く変わらない、十一、二歳の少女の肉体がそこにはあった。
 単に童顔で背丈が伸びないといった見た目の問題ではなく、肌の艶、滑らかさ、肉の弾力など、全ての要素が幼い少女のままだった。
 これほどまでに幼さを保ち続けているのは本来あり得ないことだ。
 しかしそれが実現していた。
 そしてそんな肉体に、蓮は以前よりも強く惹かれている自分を感じていた。
 四十歳近くになったせいか、中年男性的な、若さを求める意識が強まっているようで、未那の少女の体を見ているだけで興奮が高まり、その肌に触れ、肉を貪っていると、体の奥底から力が湧いて来るような感覚があったのだ。
「あっ……やぁっ……」
 愛らしい喘ぎが耳を擽る。
 目の前の幼い顔が快楽に歪み、甘えるように見つめてくるのに心臓が跳ね、意識せずとも腰の動きに力がこもっていく。
 どう見ても十一、二歳でしかない少女を、二十年間ずっと抱き続けている。
 その矛盾した状況を認識すると、自分がおかしくなっているのではないかと思えてくる。
 いや、そもそも年端も行かない少女とセックスしている状況自体が、本来おかしいことなのだ。それを受け入れてしまっている時点で、自分はまともではなくなっているのだろう。
 そんな事を考えながら、愛らしい未那をもっと喘がせようと激しく腰を振った時だった。
不意に視界に映ったものに、小さく動揺を走らせる。
 それは通常ではあり得ない、異常なものだった。
 眼下にある未那の体、その小さな体から、ぼんやりとした光が放たれているように見えたのだ。白い肌が透き通るほどになっていて、オーラのような輝きをまとっているのである。
 ここ数か月、未那とセックスしていると、時折そうしたものを見るようになっていた。
 いや、現実に起きている事ではないだろう。人体が光るなどあり得ないのだから。
 これは幻覚だった。
 里芋に含まれる麻薬成分の影響により、幻覚を見るようになっていたのだ。
 以前武彦から、中毒が酷くなった場合、そうした状態になることがあると聞いてはいたが、よもや自分がなるとは思ってもみなかった。
 初めてこの現象が起きた時は、いよいよ中毒症状が危険な領域に入ったのかと恐ろしさを覚えもした。
 しかし恐ろしいからといって、里芋を食べるのを止められる訳でもなかった。
 何しろ自分の意思で止められないからこその中毒なのであり、恐ろしさよりも、食べることへの欲求の方が勝っていたからだ。
 それに幻覚を見るとはいっても、それが起きるのは未那とセックスしている時だけであったため、さほど恐怖が強まることはなかった。
 明梨の状態と似ているように思えた事も大きいだろう。
 姉は、自分に対して性的に異常な執着を示すという軽めの中毒症状を起こしていたが、それ以外では何ら支障なく暮らしていたからだ。ならば自分にしても、同じように日常生活は問題なく過ごせていけるのではないかと思えたのである。
「あっ……ああっ……」
 視線を下へ向けると、未那の可愛らしい顔が見えた。
 そしてその顔からは表情が無くなっていた。
 神宿りが起きているのだ。
 この二十年間、未那は時折こうした状態になる事があった。
 何がきっかけでそうなるのか分からないが、不意に表情が無くなり、それまでとは異なった雰囲気になるのだ。
 瞳には怪しげな光があり、体全体にはゾクリとするような色香が漂っている。
 無表情であるにも関わらず、見ているだけで欲情が昂るようないやらしさが存在していた。
 神宿りした未那の魅力には、抗えないものがあった。
 無性に抱きたくてたまらなくなってしまうのだ。
 実際呼吸が荒くなり、未那の肉体をむしゃぶりつくしたい衝動が押し寄せてくる。
「うぅ……」
 思わず漏らした呻きに、未那の視線がこちらへ向く。
 無表情でありつつも、その瞳はどこかトロンっとしており、それが幼い容姿と相まって妙な色気を感じさせた。
「あぁっ……あっ……ああっ……」
 その様子にたまらなくなり、それまで以上に荒々しく腰を振ってしまう。
 神宿りした未那を相手にする時はいつもこうだった。
 これまで培ってきた経験が無くなったかのように、とにかく肉棒を突き込むことしかできなくなってしまうのだ。
 しかしそれが凄く気持ち良かった。
 まるで童貞の頃に戻ったかのように、初めて女体を知った頃のように、味わう感覚全てが、新鮮で魅惑的になっているのだ。
「あっ……あっ、あっ……ああっ、ああぁっ……」
 未那の無表情の顔が歪み、大きく声をあげたあと、体を硬直させてしがみついてくる。
 絶頂にいたったらしい。
 膣内の締め付けが強烈になり、強く吸引されることに耐えられず精を放つ。
 ドピュッ、ドピュッ、ドピュッ……。
 精液が勢いよく迸るのに合わせて、快感が背骨を通じて脳に走り抜ける。
 うっとりとした想いに浸りながら、何度も何度も射精を繰り返していく。
 しばらくして精を放ち終えた後、未那の上へ倒れ込み、荒い呼吸をしながらぼんやりとその可愛らしい顔を眺める。
 無表情ながら、満足げな雰囲気を感じさせるものがあり、口の端から涎を垂らしているのがいやらしい。
 小さな体もヒクヒクと痙攣していて、幼い少女が快楽に染まっているのが感じられ、背徳的な興奮が起こった。
 これは二十年経験しても衰えることのない悦びだった。
 実際そうしている内に肉棒が硬さを取り戻し、ビクンビクンと強い脈動を繰り返し始めている。
 来年四十歳になるというのに、性欲は全く衰えていなかった。
 里芋の効能がもたらす恩恵もあるのだろうが、やはり未那が魅力的過ぎるというのが大きいだろう。中年的な老いが出始めた男にとり、幼い肉体というのは魅惑的な存在だからだ。
 華奢な肉体が眩しいほどの白さで目に映り、それまで以上に美しく輝いて見えてくる。
 これほどまでに幼さ、美しさを二十年間保ち続けるのは、本来あり得ないことだった。
 しかしそれが実現していた。
 まさに神秘的な美の裸身が、そこに存在しているのだ。
 欲しい。
 肉欲が激しく高まっていき、すぐにでもまた未那を抱きたくなった。
 するとその想いを察したように、未那はゆっくり頷き、小さく唇を歪ませた。
 それは笑みに見えた。
 無表情の中に浮かんだ笑み。
 それには強烈な愛らしさと、蠱惑的ないやらしさを感じさせるものがあった。
 その様子に興奮を高めつつ、体を震わせながら再び腰を動かし始める。
 未那はどこか満足げに唇を歪ませると、背中に腕を絡ませてきた。
 可愛らしい吐息が唇から零れ、突き込みに合わせて小さな体が前後に揺れる。
 両脚が腰に絡みつき、ギュッとしがみ付かれる状態になる。
 その瞬間、肉棒がさらに奥に引き込まれるような感覚が起き、快感が強まって、呆けるほどの気持ち良さに包まれた。
 夢中になって腰を振り、頭を真っ白にしながらとにかく腰を振っていく。
 気持ちいい。
 何と気持ちのいいのか。
 あまりに気持ち良すぎるせいか、視界がぼんやりとした状態になっていった。
 膜がかかったようにハッキリせず、意識が薄れて、まるで夢を見ているようだ。
「……っ……っ……っ……」
 可愛らしい喘ぎ声が、遠くで聞こえる感じになっている。
 頭が朦朧としているだけに、聴覚もおかしくなっているらしい。
 これは神宿りが起きた時に、最近よくなる状態だった。
 意識がぼんやりとして、感覚が薄れていく感じになるのだ。
 ある種のトランス状態と言えるだろうか。
 外界からの刺激が伝わりにくくなり、頭の中がまっさらな状態になっていくのである。
『……』
 不意に、何か声が聞こえたような気がした。
 明らかに未那の声ではない、別の声が。
 これもいつものことだった。
 トランス状態になると、妙な声が聞こえてくるのだ。
 それは耳に聞こえるというより、頭に直接響いてくる感じだった。
 心の中で何か呟いたときに似ていると言ったらいいだろうか。
 そうした声が聞こえてくるのである。
 これは幻聴だった。
 里芋の麻薬成分によって起こされる幻聴だ。
 最初に声が聞こえ始めた時は、「幻覚だけでなく、幻聴も聞こえるようになった」と怖くなったものだが、それもしばらくすると慣れ、気にならなくなった。
 幻覚と同じくこの幻聴にしても、未那とセックスしているとき、さらには神宿りの際に限定して起きるものだったからだ。
 そしてその「神宿りの際に限定して起きる」という事から、蓮は最近ある考えを持つようになっていた。
 以前の自分であれば一笑に付すようなものではあるが、村に住んで二十年経ち、その間未那の神宿りを何度も見てきた経験が、それを受け入れさせるようになっていた。
 自分はこう思ったのだ。
 これは、神なのではないか、と。
 体が輝いて見えるのも、頭に声が聞こえてくるのも、全て未那に宿った神の存在ゆえなのではないかと、そう思ったのだ。
 無論、証明することなど出来ない。
 だが否定することも出来ないだろう。「神などいない」と否定する証拠を提示することなど出来ないのだから。
 そもそも幻覚や幻聴だというのであれば、何故未那とセックスしている時にだけ起きるのか。
 普段から里芋を食べ、他の女性ともセックスしているというのに、何故そのときには体が輝いて見えたり、頭の中に声が響いたりしないのか。
 限定された状況のみでしか起こらないというのは、明らかに中毒症状とは異なる理由があるためだと考えるべきだろう。
 しかも巫女である未那限定とくれば、信仰と結び付けるのが自然なことと言えるのだ。
 何より未那の体が、その神秘的解釈を強める要因になっていた。
 二十年間、全く成長しない肉体。
 そんなものは普通あり得ないことだ。
 見かけだけでなく、中身も少女であり続けている未那は、存在自体が奇跡だった。
 それが神の御業以外の何だと言うのだ。
 神は降臨されている。
 この目の前の少女の肉体に、ずっと宿られてきたのだ。
 これまでは、自分がその事を認識できなかっただけなのだ。
 しかし今はそうであると分かる。
 自分が抱いているのは、神が宿った肉体なのだと。
 その確信が高まった頃から、それまで以上に体が欲情し、心が肉欲に犯されていくようになった。
 相手が神だとする認識が強まったことで、その影響がより大きくなったのかも知れない。
 信じる者は救われる、ではないが、信じる者には快楽が与えられるのだ。
 それが神の力なのだ。
 子宝の神ゆえに、そうした力が、性行為をより助長する力が影響を及ぼしてくるのだ。
『……』
 頭にまた声が響く。
 神の声だ。
 言葉としては分からなかったが、その意味するところは理解できた。
 何故なら声が頭に響いた途端、肉棒がこれまで以上に膨張し、硬直化していったからだ。
 神はもっと抱くようにと欲しているのだ。
 股間から湧き上る落ち着かない衝動が、「もっともっと快楽を貪れ」とせっついてくる。
 爆発しそうな肉欲に、蓮は唸り声を発し、勢いよく上半身を起こすと腰を激しく動かし始めた。
 訳が分からなくなりながら、快楽を求めて無茶苦茶に肉棒を突き込んでいく。
「あっ……あぁっ……やんっ……」
 これまで何度も聞いてきた、可愛らしくも甘ったるい、幼い少女らしい声が部屋に響く。
 そしてそれには、普段の未那には無い、強い色香が伴っているように思えた。
 認識するだけで肉欲がたぎる、妖しげな、魅惑的な声だ。
 普段もその愛らしさに夢中になっているが、今はそこにねっとりとした淫靡さが伴っていた。
 そのいやらしい魅力に引き寄せられるようにして、必死に腰を振りまくっていく。
「やっ……やぁっ……やぁんっ……」
 可愛らしくも色気を含んだ声が聞こえるのに、肉棒が大きく震える。
 射精しそうになるのを必死にこらえ、とにかく快楽を貪るのだと、膣内を激しく擦りまくっていく。
 そのたびに、小さな体がピクっ、ピクっと震えるのに、誇らしさが込み上げてきた。
 普段も幼い少女を支配している状況に、征服欲と支配欲を充足させているが、今は相手が神であるゆえに、その想いは格別なものとなっていた。
 自分は、神を気持ち良くさせられている。
 肉棒を包み込む膣から与えられる刺激は、二十年間経験してきたものとは、明らかに異なる気持ちの良さがあった。
 こうしてただ動いているだけでも、肉棒がヌメヌメと気持ち良い触手に絡みつかれ、吸われ、嬲られているのが分かる。
 その快楽を味わっていると、頭がボーっとして、何も考えられなくなった。
 ジンワリとした、油断していると意識を奪われるような、そんな気持ちの良さがあるのだ。
 これぞ神の与えたもう快楽だった。
 顎をのけぞらせ、呆けつつ、その気持ちの良さに身を委ねる。
 あまりに心地良い快感に、口がだらしなく開いて涎が垂れていくのが分かる。
「やっ……あっ……あぁっ……」
 可愛らしく、そして色気を伴った喘ぎが聴覚を擽り、肉棒が膣襞と擦れるたびに、蕩けるような快感が脳へと走り抜ける。
 無表情の顔が微かに歪み、悩まし気に眉根が寄るのに、心臓がドクンっと跳ねた。
(気持ちいぃ……気持ちいぃ……気持ちいぃよぉ……)
 頭がおかしくなるほどの快楽に、夢中になって腰を振っていく。
 まさに快楽の底なし沼に浸っている状態であり、意識は気持ちの良さで一杯だった。
 他のことは何も考えられない。
 認識出来るのは、神のことだけだ。
(ああ……神よ……神は何と素晴らしい……)
 そう心で称えた言葉に、神が応えるようにして笑みを浮かべたのに歓喜の想いで一杯になる。
 愛されている。
 自分は神に愛されているのだ。
 二十年前から、ずっとこうして愛され続けてきたのだ。
 その確信が、感動となって心と体を包み込んでいた。
 神の瞳がこちらを見つめ、優しく笑みを浮かべてくる。
『……』
 声が頭に響く。
 それは自分への賛嘆と、さらなる快楽を求める内容であるように思えた。
 強烈なまでに気持ちの良さが高まり、体中の全てが股間に収束していくような感覚が起きて、射精感がこれまでに無いほどに膨らんでいくのが分かる。
「やっ、やぁっ、やぁっ……はぅっ、はっ、はぁんっ……」
 切羽詰まった愛らしい声が響き、背中に回された腕にギュウっとしがみつかれる。
 潤んだ瞳があらぬ方向を見つめ、腰の動きに合わせて小さな顎が何度も仰け反っていく。
 神がこれまでにない高まりを得ているのが感じられ、絶頂に至るのだというのが分かった。
 一緒に高まりに至るのだという喜びに、恐ろしいほどの幸福感が押し寄せてくる。
 腰の動きが凄まじく速くなり、快楽もそれと共に強烈に強まっていく。
「ああっ、あんっ、あっ……やぅっ、やっ、やぁっ……やっ、やぁあああああああんっ!」
 格別に可愛らしい喘ぎが発せられ、小さな体が硬直し、それまで以上に強くしがみつかれる。
 膣内がギュウっと締まり上がり、肉棒に与えられる刺激が最高潮に達した。
「うぅぁっ、うぁあぅっ!」
 蓮は獣じみた咆哮を上げながら、まるで爆発したのではないかと思える勢いで精を迸らせていった。
 ドピュッ、ドピュッ、ドクドクドクドクドクドク……。
 何度も何度も射精が繰り返され、そのたびに押し寄せてくる快感に、脳が揺さぶられ、体が硬直する。
 大量の精液が放出されていき、それは終わりがないかのようにいつまでも続いていった。
 体中の全てが吐き出され、魂ですら放たれているのではないかという錯覚を覚えるほどに、その射精は強烈だった。
 意識は快楽に染まり、目の前は真っ白になって何も見えなくなっていた。
 唯一分かるのは、性器で繋がりあった神の存在だけだ。
 性器を通じて、神の中へと全てが注ぎ込まれている。
 そう認識すると、実際自分の体が神の中へと入っていっているように思えた。
 温かい何かに包まれ、心地良い感覚で一杯になっている。
 何と素晴らしいのだろう。
 神と一体となった喜びに、心と体、そして魂が幸福感で満たされていく。
 その感動を味わっているうちに、だんだんと意識が薄れていくのが感じられた。
 視界がぼんやりとし、暗くなっていっているのが分かる。
 最後に認識したのは、神の微笑みだった。
 慈愛に満ちた、満足げな笑みだ。
 何と美しいのか。
 素晴らしい。
 そう思うと同時に、蓮の意識は途切れていくのだった。












あとがき

 随分と長い話になってしまいました。
 一つの物語としてまとまったものを書きたいな、と思って始めた作品なのですが、どうにも上手くいかず、辻褄合わせや試行錯誤を色々としていく内に、何とも時間が経ってしまいました。
 書く気力が落ちまくっていたこともあり、書く行為を全くしない時期が結構長かったというのも大きいですね。
 あれほど書くことにやる気が無くなったのは初めてでしたんで、どうにも参りましたよ。
 まあ、今は復活して、書くことがまた楽しくなってきましたけど。
 今度はもっと単純な話にしようとは思っています。何よりそっちの方が楽に書けますしね(笑)

 私は伝奇的などんよりした雰囲気のエロスが好きなんですけど、自分で書こうとするとなかなか上手くいきません。この作品にしても、そうした雰囲気を出したかったのですが、どうにも駄目でした。
 いつかはそういった話を書いてみたいものですねぇ。精進あるのみです。

 ちなみにタイトルの「いも」という部分は、里芋と、古語の「妹(いも)」をかけてつけました。
「妹」は、妻とか恋人、姉妹を指す言葉になっていますので。
 ちょっと読みにくいというか、変な感じになっちゃいましたけど(笑)
(2021.3.20)



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