淫靡な男と少年


 敦久(あつひさ)は、苦悩していた。
 理由は家族との微妙な関係だ。
 敦久には妻と高校生になる息子がいるのだが、いつの頃からか二人との間に何か見えない壁のようなものを感じるようになっていたのである。
 始めは気のせいかと思っていたが、それは日に日に強まり、ある事で敦久自身も一線を引く態度を取るようになった。
 妻の妊娠だ。
 普通ならば喜ぶべきことであるのだが、知らされた瞬間、「自分の子ではない」といった思いが湧き起こり、妻が浮気をしたのではないかと疑ったのである。
 妻は真面目で浮気などするような人間ではなかったし、関係が微妙になってから抱いてはいなかったものの、妊娠したと思われる時期は、一応自分が父親であると思える頃ではあった。
 それゆえ浮気を疑うのはどうかと思ったが、どうしてもそう思えてしまったのだ。
 お腹の子の父親は自分ではない、と。
 妊娠を報告する妻の態度が申し訳無さそうな、よそよそしさを感じさせた事も大きいだろう。
 嘘を付いていると思わせるその雰囲気は、敦久の疑念を強め、その結果、妻に対して冷たい態度をとるようになっていった。
 そうこうしている内に子供は産まれたが、疑念を抱いていることから全く可愛がることが出来ず、その事で妻と息子との関係は最悪になっていった。
 今では家へ帰るのが苦痛なほどに冷え切ってしまい、仕事を言い訳にして帰るのを避けるようになっている。
 実際今日も大学時代の先輩の家に滞在しており、帰るつもりは全くなかった。
 その先輩には大学時代から世話になっており、就職する際にも面倒を見てもらったところから、全く頭の上がらない存在だった。
 しかしそうした事を恩に着せることもなく、学生時代と変わらない友人として付き合ってくれるため、敦久にとって信頼出来る人物であり、何でも頼ってしまう相手でもあった。
 家族とのことも何度も相談しており、特に妊娠に関しては「疑いだけで悩んでないで、さっさとDNA鑑定をしてハッキリさせ、その上で考えろ」と言われていた。
 確かに自分の子であるとハッキリすれば、妻に対する疑念も晴れ、以前のような関係に戻れるかも知れない。
 しかしもし本当に自分の子でなかったらと思うと、その恐怖からなかなか踏ん切りが付かなかったのである。
 今日もその事について発破を掛けられており、目の前に座る先輩は、「いいか、女ってのはな」と言いながら、女性に対する蔑視の言葉を並べ立てている。
 先輩の家は、古くから代々続く医者の家系であり、かなり格式の高い家柄で育ったせいか、「女は男を立てるべき」という固定観念を持っていた。
 とにかく我を張って目立とうとする女性を嫌っていて、数年前に奥さんと離婚した理由も、自分に反発したことが許せなかったというものだった。
 他の面では素晴らしい先輩の、唯一のマイナス面がこの女性蔑視な考えだった。
 夫婦間で問題があれば、「悪いのは妻であり、夫は被害者である」とするのが先輩の考えで、今回のことも、父親が誰であるかという事よりも、そうした疑惑を夫に持たせた時点で妻に問題があると主張していた。
 夫に付き従う妻であれば、そうした疑惑など持たれるはずがないからだ、と言うのである。
 何より妊娠以前にギクシャクした関係を作ってしまったのは妻の責任なのだから、そんな事で思い悩むな、と励ましてくれた。
 自分にはそうした「妻に一方的に責任がある」とする考えは無かったため、どうして妻との関係がおかしくなってしまったのか分からなかった。
 何より息子との関係もおかしくなっているのだから、考えてみると不思議だった。
 敦久としては息子の事は可愛く思っていたし、期待をかけるあまり強く叱ってしまう事もあったが、それでも関係は上手くいっていたのだ。
 それがいつの間にかおかしくなり、冷たい関係となってしまったのである。
 一体何故なのか……。
 そんな事を思っていると、部屋に一人の少年が入ってきた。
 小柄で整った顔立ちをしたその少年は、先輩の息子の有紀(ゆうき)だった。
 年齢は十四歳で、控えめで品のある雰囲気を持った少年だ。
 日本舞踊や茶道、華道などを幼い頃から習っているため挙措に隙がなく、まさに良家の子息と言った印象があった。
 以前はその大人しめの顔立ちと、髪を首筋まで伸ばしていることから少女と間違われることが多かったが、最近は第二次性徴が始まったせいか、腕には筋肉が付き、ショートパンツから伸びる脚にはすね毛が生えていたため、女と間違われることは無くなっているだろう。
「おじさま、こんばんは」
 お辞儀の見本とも言うべき綺麗な動きで頭を下げているのに感嘆しつつ、「おじさま」という呼びかけをくすぐったく思う。
 昔から呼ばれてはいるが、どうにも慣れないのだ。
 先輩は有紀を礼儀正しい男に育てたかったらしく、こうした礼儀作法、言葉遣いについては厳しかった。
 日本舞踊などを習わせているのも、そうした事の一環らしい。
 本来はその上で男らしい気迫を持って欲しかったらしいのだが、生来の性格からしてどうにも上手くいかなかったようだ。
 先輩はそうしたところが気に食わないようだが、それ以外はまさに理想の息子とも言うべき存在になっていたため、敦久は羨ましく思っていた。
 以前はそれほどでもなかったのだが、息子が落ちた私立中学に、有紀が合格したのを知ってからその想いが強くなった。
 何故自分の息子は受からなかったのだろう、と思ってしまったのだ。
 さらにそのすぐ後、息子が高校の受験にも失敗したため、強烈な怒りが湧き起こり、強く叱ってしまったことがあった。
 いつもは息子の事を思って叱っているのに、その時だけは有紀との比較からくる先輩に対する嫉妬の想いが絡んで、八つ当たりのような形で怒鳴りつけてしまったのだ。
 その瞬間、死にそうな表情を浮かべている息子に気がついたため後悔し、翌日すぐに謝ったのだが、思えばあの時から息子との関係がおかしくなったのかも知れない。
 表面上はそれまで通りだったが、どこか一線を引かれているような雰囲気を感じるようになったからである。
 一方で妻と息子の関係は親密度を増しているように思え、その疎外感から妻の浮気を疑うようになったのではないかと思っていた。
「おじさま、先日はお世話になりました。ありがとうございます」
 再び綺麗なお辞儀をして礼を言ってくるのに、一瞬何であったかと思ったが、すぐにその理由を思い出す。先輩の誕生日プレゼントを一緒に選んであげたのだ。
 その待ち合わせの際に、友人の龍之介と会ったのだが、有紀の雰囲気に驚いたらしく、後で「どういった知り合いなんだ? あんな品のある子、初めて見たよ」などと言われ、誇らしく思ったりしたものだった。
 昔から可愛がっているせいか、有紀に対してはもう一人の息子のような感覚があり、褒められたことが嬉しかったのだ。
「まあ、大したことじゃないからさ」
「いえ、ボクの感性では父さまが喜ぶようなものは選べなかったでしょうから」
 実際確かに有紀の感性というのは独特であり、華道の師匠にも苦笑気味に褒められることがあるらしかった。
 型にはまっていないのは芸術的ではあるが、あまりに独創的すぎる、といった趣旨でだ。
 そういった意味で芸術家を目指す、というのも良いのではないかと敦久は思っていたのだが、先輩は絶対に医者にするのだと言っていた。
 先輩の家は代々続く医者の家系であり、長男は当然医者になることが求められていたからだ。
 敦久の家も同じく代々医者の家系ではあったが、家柄という意味ではかなりの差があった。
 先輩の家は、皇室や将軍家の診察なども行ったことのある名家であるが、敦久の家はせいぜいが大名の家臣の相手をする程度だったからだ。
 その事に引け目を感じてはいないが、己の息子が受験に失敗し続け、一方で有紀が父親の期待に見事に応えている姿を見ると辛くなった。
 やはりこうした部分で血筋の差というものが出るのだろうか。
 思えば、自分が苦労して入学した医大にしても、先輩は楽々こなしたらしく、すでにその時点で差があるのだから、息子にだけ過度な期待を掛けるのも良くない事なのかも知れない。
 やはり優れた血というのは、生まれた時から才能を与えるものなのだろう。
 そう考えると、先輩達に流れる血というものに対して羨望の想いが強まった。
 自分ではどうしようもならない血筋という差。
 それを埋める方法は無いのだろうか。
 もし先輩に娘がいて、その子を息子の嫁にもらえたら優秀な孫が得られるのではないか、などといった儚い夢が思い浮かぶ。
 だが現実には先輩に娘はおらず、不可能なことであったため、そんな事を考えている自分は何と馬鹿なのだろうと思う。
 やはり家族のことで悩んでいるため、そうした現実逃避な夢を抱いてしまうのだろうか。
 そんな事よりも家族との仲を修復することの方が大切であろうに……。
「学校の方はどうだい? 楽しくやってるか?」
「はい。友人も出来ましたし、楽しいです」
 ニコリと微笑むその顔は、幼さを感じさせてあどけない。
 男っぽく見えてきていても、まだ中学生なのだな、と思う。
 その頃の自分は何を考えていただろう、などと思いながら、有紀はすでに医者になることを目指しているのだと思い出す。
「勉強の方はどうだ? やはり大変か?」
「はい。でもやりがいがありますから。ボクは一生懸命勉強して、父さまみたいな立派な医者になりたいんです」
 その言葉に先輩が嬉しそうに微笑む。
 息子は父親の期待に応え、父親はその息子を誇らしげに感じる。
 自分の家とは異なっているその様子に、敦久は少し嫉妬を覚えてしまった。
「有紀は頭がいいからな。それに性格もいい。きっといい医者になるよ」
「ありがとうございます。ボクはおじさまも目標にしてますから、今後もご指導のほど宜しくお願いします」
「そうか。でも俺なんかを目標にしてもいい事はないぞ。お父さんだけを目標にした方がいい」
 思わず己を卑下するようなことを言ってしまう。
 こういう事は以前には無かったのだが、落ち込んでいるためつい口にしてしまったのだろう。
「それでも、ボクはおじさまのことは好きですから……尊敬してます」
 真面目に言ってくる有紀に、強い嬉しさが込み上げてくる。
 面と向かって好意の言葉を言われることが、これほど嬉しいとは思わなかった。
 それが表情に表れていたのだろう、先輩は「有紀のためにも早く元気になれよ。家族のこともとっととけりを付けろ」と言って肩を叩いてきた。
 どうやら親子二人がかりで励まされてしまったようだ。
 有紀にしても元気の無い姿を見て心配してくれていたに違いない。
 中学生に心配されるようでは何とも情けなさ過ぎる。
 もっと頑張らなければいけないだろう。
 そう思いながら敦久は、目の前にある手を付けていなかった酒の入ったコップを持ち、一気に中身を飲み干すと、これからの生活を前向きに考えようと意識を切り替えるのだった。


 敦久は呆然としながら歩いていた。
 今日一日何をどうしたのか覚えていない。
 脳が麻痺したように何も考えられなくなっているのだ。
 今朝目撃した恐ろしい光景が、全ての思考を奪い取ってしまっていたのである。
 それは家での出来事だった。
 ちょっとした忘れ物をした敦久は、家へと引き返し、玄関のドアをそっと開いた。
 妻達とギクシャクしたままであるため、どうにも会うのが嫌だったからだ。
 自分の部屋へ行き、忘れ物を鞄に入れた敦久は、気づかれないよう家を出ようとしていた。
 しかしその耳に、不意に妙な声が聞こえてきた。
 それはある種聞き慣れていると言えたが、どこか違う部分もあると言える、何より自分が関わることなく聞くことが無いはずの声だった。
 妻の喘ぎ声だ。
 妻が性的快感を得ている時に発する声だったのである。
 居間の方から聞こえてくるそれは、妻が自慰をしているという感じではなく、明らかに相手がいることを伺わせる雰囲気があった。
 妻の浮気相手が家に来ている。
 そう思った敦久は、激しい怒りに包まれながらも、現場に怒鳴り込む気力は何故か起きず、気づかれないようにしながら居間へ近づくと、少しだけドアを開いた。
 そして次の瞬間、目に飛び込んできた驚愕の光景に息を飲んだ。それはあまりに予想外のものだったからだ。
 そこにあったのは、妻と息子が絡み合う姿だったのである。
 息子が背後から妻を抱き締め、その胸元に手を伸ばし、豊満な乳房を揉みしだいていたのだ。
 妻は逃げるようにして体を動かし、「いけないわ。駄目よ止めてっ」と嫌がる姿勢を示していたが、その声にはどこか甘えるような媚びを感じさせた。
 息子は「いいでしょ? 僕、もう我慢できないんだ」と言いながら、首筋に舌を這わしている。
 それは実に慣れた感じであり、突然今日行われた事ではなく、もうすでに何度もしている雰囲気を感じさせた。
 続けて息子の手がスカートの中に伸びると、妻の体が跳ね、「あんっ。そこは駄目よ、あっ……止めてお願いっ」といったいやらしい声が部屋に響いた。
 息子はその反応に満足げな笑みを浮かべると、「そんなエッチな声出されたら、僕、たまらないよ。止められない」と言いながら、さらに手の動きを激しくしている。
 妻は体をクネクネと動かしながら耐え難いように机に手を突いており、それは自分としている時の反応よりも敏感で、強く感じているのが伝わってきた。
 息子の愛撫は的確に妻を感じさせているのであり、妻の体を知り尽くしたと思わせるその様子には、敦久に強い嫉妬を感じさせるものがあった。
 自分の女たる妻が、息子と言えど他の男に自由にさせられている。
 しかも自分よりも強く感じさせられる形で……。
 やがて息子は「もう我慢できない」と呟くや否や、ズボンとパンツを引き下ろし、勃起した肉棒を取り出した。
 一緒に風呂に入るのを止めてから久々に見たそれは、一人前の男を思わせる造形をしており、その事にショックを受ける。
 妻の腰を持ち、挿入の体勢をとった息子は「お母さん、いいでしょ?」と甘えるように呼びかけると、ゆっくりと腰を前に進めていった。
 妻はその言葉に困ったような嬉しそうな表情を浮かべると、「しょうがないんだから……でも一回だけよ? そうしないと学校に遅れちゃう」と呟いている。
 その母子でありながら男女の臭いを感じさせる会話に、敦久は強い嫌悪感と嫉妬を覚えた。
 そしてついに息子の肉棒が妻の中に入り込んだのか、二人が快感の呻きを漏らし、気持ち良さそうな表情を浮かべているのに強烈な悲しみが湧き起こった。
 何だこれは?
 何なのだ?
 自分の妻と息子が、親子であるはずの二人が、まるで恋人同士のように肉体を繋げ合っている。
 そのあり得ない光景に胸が熱くなり、涙が溢れてくる。
 息子は慣れた感じで腰を激しく動かしており、妻の口からは「あんっ、あんっ」といった甘い声が漏れている。
 何度も聞いたことのある妻の喘ぎではあったが、息子の突き込みによって発せられるそれは、自分としている時とは微妙に違っているように思えた。
 声から感じられる快感、悦び、そして愛情の度合いが、息子としている時の方が高いように思えたのだ。
 明らかに妻は、自分としている時よりも、息子との行為に快楽と愛情を得ているのだろう。
 そう思った瞬間、敦久の中に「妻を取られた」といった確信が湧き起こった。
 妻はただ快楽を味わっているのではなく、愛しているがゆえに受け入れていると思ったからだ。
 それも当然だろう。
 母親にとって息子は最も愛すべき存在だ。
 おそらく夫である自分に対するよりもそれは強いに違いない。
 そんな二人が肉体的にも結ばれてしまうとなれば、勝ち目などなかった。
 目の前で繋がり合い、快楽を与え合っている母子の姿を見てしまうと、強烈な敗北感を得ずにいるなど不可能だった。
 息子の慣れた腰の動きに、妻はたまらないといった様子で頭を仰け反らせ、「いいわ、いい、あんっ……もっと、あっ……もっとしてぇっ」と甘える声を発している。
 その言葉に応えるように、息子の突き込みが激しく、変化を付けたようになり、そのことで妻の喘ぎがさらに大きくなった。
 徐々に高まっていく二人の様子に、絶頂が近いのだろうということが感じられ、事実息子の体が硬直し、「うぅっ」と呻いた瞬間、妻の甲高い「あぁあああっ」といった喘ぎが部屋に響いた。
 ピクピクと震える二つの体の結合部分では、息子の精液が妻の胎内に注がれているのだということが分かる。
 二人は互いを愛おしく見つめながら、「お母さん、愛してるよ」「わたしも愛してるわ」といった囁きを交わし、強く抱き締め合った。
 その様子を悲しく見つめた敦久は、二人に気づかれぬようそっとドアを締めると、家を出て行くのだった。


 妻の浮気相手は息子だった。
 よりにもよって己の息子と浮気するなど、妻は何を考えているのだろう。
 一体いつからこうなったのだ。
 そう思った瞬間、頭に浮かんだのは、息子を強く叱りつけてしまったあの日のことだった。
 高校受験に失敗し、先輩や有紀の事からいつも以上に強く叱る、いや、怒鳴りつけてしまったあの日である。
 あの時の息子は、死にそうな顔をしていたが、内心もかなり動揺していただろう。
 それを妻が慰めていたはずだが、その結果としてああした関係にまでなってしまったのではないだろうか。
 確かに翌日の妻の様子はどこか不自然な感じがしたし、息子は叱られたことを意識していないような、心ここにあらずといった感じだった。
 あれが二人が肉体関係を結んだがゆえの態度だとすれば、ある種納得できたのである。
 妻は浮気をしたためよそよそしく、息子はおそらく初めて知った女体に夢中になっていた訳だ。
 あの日から肉体関係を続けていき、その罪悪感から自分と距離を置くようになったとしても不思議はないだろう。
 しかしそうなると、重大な問題があった。
 生まれた娘の父親は、息子なのだろうか。
 そうだとすれば恐ろしいことになった。
 母親と息子の子供など……。
 強い嫌悪感と共に、未知の生物に対するような感覚が、赤子である娘に起きてくる。
 だがまだ望みはあった。
 DNA鑑定だ。
 少し前に申し込み、その結果がもうすぐ届くことになっていたのである。
 これでもし自分の子であれば良し、そうでなかったら……。
 自分はどうするのだろう。
 敦久は激しい苦悩の中に堕ちていくのだった。


 結果は黒だった。
 娘の父親は、自分では無かった。
 娘、いや、今やその言い方はふさわしくないだろう。あの赤子の父親は息子だったのだ。
 自分の娘ではない。
 薄々そう思ってはいたことだったが、現実として突きつけられると辛かった。
 敦久の精神は苦悩に包まれ、意識は呆然としたまま一日の仕事を終えた。
 そのまま家に帰ることなど出来るはずもなく、フラフラと先輩の家へと向かっていった。
 呼び鈴を鳴らすと、しばらくしてドアが開き、有紀が出迎えてくれた。
「お父さんはいるかい?」
「父さまは、出張です」
 その返事に、そう言えばそうだったと思い出す。
 数日前、三日ほど学会へ出るから留守にすると言われていたのだ。
 その間、良ければ家を自由に使っていいと言われていたので、敦久は遠慮することなく玄関の中へと入った。
 有紀とは遠慮する間柄では無かったため、気にしないでいられたのだ。
 ただ先輩に悩みを聞いてもらえないことが辛かった。
 さすがに中学生相手に語る訳にはいかないし、内容的にも宜しくないだろう。
「いつもので宜しいですか?」
 飲み物を用意しようとする有紀の質問に上の空で頷きつつ、居間のソファへ腰を下ろす。
 こういう時に居場所があるというのはありがたい事だと思いながら、敦久は大きく息を吐き出した。
 目の前にウイスキーと氷などが置かれ、少しするとつまみの料理が出てきた。
 有紀は料理も得意で、こうして作ってくれるのだ。
 先輩は「女がすることだ」と嫌がっていたが、奥さんと離婚してから、有紀が先輩のために料理の勉強をしたのを知っているからか、特に叱責することもなかった。
「あの……どうかされたんですか?」
 不意にかけられた声に驚く。
 いつの間にか隣に有紀が腰掛けており、心配そうにこちらを見つめている。
 どうやらボーッとしてしまったらしい。
 見ればコップに入った氷が溶けており、思った以上に意識を無くしていたのが分かった。
「ああ、大丈夫。何でもないよ」
 そう応えるものの、自分でも元気の無い声だと思った。
「あの、おじさまが大変なのに、こんなことを言うのはどうかと思うんですけど……でもボク、どうすればいいのか……出来れば話を聞いていただきたいんです。お願いします……」
 突然そんな事を言い出した有紀に驚く。
 そして改めて様子がおかしいのに気づいた。
 どこか辛そうな雰囲気があるのだ。何かあったのだろうか。
「いいよ。有紀はいつも俺を助けてくれるんだから、俺も助けにならなきゃな。話してごらん」
 本当は他人の悩みを聞くほどの余裕は無かったが、可愛い有紀のためとなればそうも言っていられなかった。
「ありがとうございます……それで、えっと……おじさまは医者ですから、もちろんご存じだと思うんですけど……その、チェンダー病って分かりますよね?」
「ああ、分かるよ。最近見つかった病気だよね。男が女になるっていう」
 チェンダー病とは、男の体が女の体に変化する奇病だった。
 原因は不明であり、治療が出来ない点と、兆候無く突如発症する点から恐れられているものだった。
 とはいえ、肉体の変化以外は特に問題はなく、普通に生活を送れることから通常の病気とは異なった受け止められ方をしていた。
 男が女になる、という精神的ショックと、周囲の反応からくる社会的な重圧などが問題視され、患者への対処にしても心のケアなどに重点が置かれていた。
 敦久もまだ直接関わったことはないが、どう対処すべきかという討議をしたことはあった。
「ボク……それになっちゃったんです……」
「え……?」
 予想外の言葉に呆気に取られる。
 だが改めてその体を見てみると、確かにどこか柔らかさを感じさせる雰囲気があった。
 以前から女っぽい顔立ちではあったが、それがさらに強まっている印象があり、何よりTシャツの胸元が膨らんでいるのがその証拠と言えた。
 さらにショートパンツから伸びる脚からすね毛が消えているのが驚きだった。
「いや、待て……何でそんな……」
 半信半疑な想いが湧き起こる。
 それも当然だろう。
 ついこの間まで確かに男であったはずなのに、突如として女になったなど信じられるものではないからだ。
 胸は詰め物をしているのかも知れないし、すね毛は剃ればいい。
 元々女っぽい容姿だったのだから、そうすれば誤魔化すことは可能だろう。
 などと考えてから、そのような事をして何の意味があるのかと気がつく。
 有紀は悪ふざけをするような人間ではなかったし、何よりこちらが落ち込んでいると分かっているとなれば、さらにあり得ないことだった。
 つまり本当に女になってしまったという事だろう。
「そ、そうか……そうなのか……大丈夫か?」
「はい……そのこと自体はボク、大丈夫です。まだあまり実感がありませんし、女の体になったからって困ったこともありませんので……ただ、父さまが……」
 その言葉を言った瞬間、有紀の表情が曇った。
 おそらく先輩に何か言われたのだろう。
 女性蔑視な意識のある先輩からすれば、息子が女に変わってしまったなど、相当なショックに違いなかったからだ。動揺し、何かキツいことを言ってもおかしくはなかった。
「『お前なんかもう知らん。医者になることも許さん。勝手にしろ』って……ボク、どうしたらいいのか分からなくて……」
 何とも辛い言葉だった。
 父親は息子が医者になることに期待をかけ、息子もその想いに応えて頑張ってきたのを知っているだけに、その言葉の重みが強く感じられた。
 普通ならば女性であっても医者にはなれるのだから、何も問題はないだろう。
 しかし先輩は、女性が医者になることに嫌悪感を持っている人物だった。
 女医というものを嫌っているのだ。
 女が医者の世界に入ってくることを嫌悪しているのである。
 有紀が産まれる前も、「男だったら医者にし、女だったら優秀な医者を婿養子に迎える」と言っていたくらいであり、女の子であったら医者にすることを考えない、どころか本人が希望しても絶対に許さないと言っていたくらいなのだ。
 それは有紀も幼い頃から何度も聞かされており、「お前が男で本当に良かった」と言われてきたのである。
 それゆえに、先輩の言葉の重みが感じられ、酷く落ち込んでいるのだろう。
 勉強などと違い、本人の努力ではどうにもならない、性別というもので父親に否定されてしまっているのだから……。
「学校も男子校ですから辞めなきゃいけないですし。その事でも父さまは怒ってらして……ボク……ボク……このまま父さまに嫌われてしまうのでしょうか……?」
 不安そうに尋ねてくる有紀は、女の子になったせいか、元々大人しめだった顔立ちに可愛らしさが感じられ、かなりの美少女となっていた。
 先ほどは自分のことで頭が一杯であったため気づけなかったが、こうして改めて見るとその可愛らしさに驚くほどだった。
「大丈夫だよ。お父さんはそんな事で嫌ったりしないよ。今は混乱しているだけだから……」
 少し動揺しながら、小さな頭を撫でてやる。
 するとサラサラの髪の毛の感触が手のひらに伝わり、男の頃には無かったその気持ちの良さに驚く。
「そうでしょうか……本当にそうでしょうか……ボクは父さまに嫌われないんでしょうか……?」
「嫌われるはずないだろう? 大丈夫だって。お父さんが有紀を嫌うはずがないよ」
「でも……医者になることは許してくれません……」
 その言葉に押し黙る。
 先輩が女医を嫌っており、自分の子供も例外でないことを知っていたからだ。
 これだけは安易に保証する訳にはいかなかった。
 そうなると、ずっと医者になることを夢見てきた有紀に何と言葉をかければいいのか分からなかった。
「ボクはもう、医者にはなれないんでしょうか……父さまの期待に応えることはできないんでしょうか……ボクはどうしたら……どうしたらいいんでしょう……」
 涙目になりながら、上目遣いに見つめてくる有紀に思わずドキリとしてしまう。
 十四歳という年齢がそうさせるのか、大人の女性と少女の間の魅力が現れており、禁忌を感じさせる、内に籠もった女の媚びが感じられたのだ。
 特にこちらを見つめてくる顔は泣きそうな表情を浮かべていて、そのすがってくる瞳には、どこか庇護欲と嗜虐心をそそるものがあった。
 守ってやりたいと思わせる一方、いじめて泣かせたいといった相反する感覚が湧き起こってくるのである。
 これまで有紀にそんな想いを抱いたことなど無かったのだが、やはり女になった事がそうした事に影響しているのかも知れない。
「大丈夫だ。俺がお父さんに言ってあげるから。お父さんだって有紀がどんなに頑張って医者になろうとしていたか知ってるんだから、真剣にお願いすれば大丈夫だよ」
 落ち着かない衝動を抑えながら、安心させようと語りかける。
 とはいえ、先輩がどれほど頑固であるかはよく知っていたため自信はなかった。
 ただ、泣きそうになっている有紀に対して、何かしてあげたくて仕方がなかったのだ。
 自分が出来ることならば何でもしてあげたい、そうした想いが起きていたのである。
 そしてそれとは別に、これほど父親のことを想い、父親の期待に応えたいと欲する有紀に比べ、自分の息子は何なのだろうという怒りが湧き起こった。
 父親の期待に応えることなく、父親の女を寝取った息子。
 快楽の虜となり、父親をないがしろにし、父親の女である母親との間に子供まで作ったのだ。
 もしかしたら以前から母親に欲情の目を向け、交わる機会を狙っていたのではないか。
 そうした歪んだ推測まで起きてくる。
 そんな息子と違い、父親のために苦しみ、涙を浮かべる有紀は何と愛おしいのだろう。
 有紀が息子であれば、どれほど自分は幸せであったことか。
 そんな有紀を女になっただけで否定する先輩は馬鹿者だ。
 こんなに父親を愛している子供を見放すなどあってはならなかった。
「おじさまぁ……」
 有紀はすがるようにこちらを見つめており、その瞳には庇護を求める光があった。
 そこには女の媚びが感じられ、敦久の中にある雄が強く反応を示した。
 この愛らしい少女を己の物としたい。
 そんな衝動がふっと湧き起こったのだ。
 元男という認識はあるが、今の有紀はどう見ても女だった。
 大人しめの顔立ちが少女となったことで魅力的なものとなっており、首筋まで伸ばした髪型は可愛らしさを強めている。
 涙目になっている黒い瞳に、形の良い眉が悩ましげに歪み、淡い桜色をした唇が半開きになっていて、小さな赤い舌を覗かせていているのが何ともいやらしい。
 思った以上に膨らみのある胸元は、十四歳という年齢とのアンバランスから背徳的な興奮を呼び起こした。
 女の体として素晴らしく変化を遂げたその肢体は、先ほどから得ている庇護欲・嗜虐心と相まって、敦久の中の情欲を激しく刺激した。
「有紀っ」
 衝動のままに抱き締めると、一瞬有紀の体が硬直した。
 柔らかな肉の感触が伝わってきて、確かに女の体なのだと認識する。
 特に胸元で潰れる乳房は、思った以上の気持ちの良さを感じさせた。
「おじ、さま……?」
 不審そうに尋ねてくる有紀に何も応えず、さらに強く体を抱き締める。
 すると「あ……」と小さな吐息が漏れ聞こえたため、その可愛らしさに心臓が跳ねた。
 十四歳の少女の吐息に興奮するなど、自分はとんだロリコンだと思うが、それ以上にこの体をもっと味わいたいという想いが強まった。
 見れば目の前には淡い桜色をした小さな唇があり、微かに震えている様子に嗜虐心が込み上げてくる。
 この愛らしい唇に吸い付きたい。
 雄の激しい欲求が敦久を突き動かし、吸い付かせていく。
「んっ……」
 か細い体が逃げるように動くが、それを押さえつけながら舌を口内へと押し込んでいく。
 一瞬「有紀は元男」といった想いがよぎるが、目の前にある可愛らしい顔と、唇から伝わってくる快感がそれを排除した。
 これほど魅力的であれば、元男でも構わないではないか。
「んっ……んんっ……んふ……」
 舌を絡ませ吸い付き、強く刺激を与えていくと、少しして有紀の体から力が抜けていった。
 唇を放してソファに横たえると、乱れた呼吸を漏らしながらボーッとした表情を浮かべているのが見えた。
 中学生らしい幼さの残った、それでいて大人の雰囲気も少し出始めた顔が、初めて体験する快楽に妖しく呆けている。
 全体的に小柄な体つきの中で、胸元だけが大きく膨らんでいるのが背徳的な雰囲気を感じさせ、敦久の股間を刺激した。
 幼い少女でありながら、女肉として性徴している様子にゾクリとするような興奮を覚えたのだ。
 これが元少年の肉体とはとても思えなかった。
 いや、チェンダー病の症状からすれば、全て完璧に女性体になっているはずだから当然だろう。
 だがそれ以上に、敦久を惹き付ける魅力が有紀の肉体にはあった。
 顔だけは少年の面影を残しているがゆえに、女になったと確信できない微妙感が奇妙な背徳感となって押し寄せてきているのである。
 しかし目に見える姿、伝わってくる感触は女そのものだった。
 心は不信感を持っていても、肉体は確信していた。
 これは女なのだと。
 その心と体の不一致が、通常ではありえない肉欲を呼び起こしていたのだろう。
 ゆっくりと手を伸ばし、つい先日までは存在しなかった膨らみを掴む。
「あ……」
 ピクリと反応を示す有紀に可愛らしさを覚えつつ、そのままヤワヤワと揉みしだくと、さらに小さく漏れる吐息に興奮が高まっていった。
 これは女の乳房だ。
 そうした確信をさらに強めるべくTシャツを捲り上げると、真っ白な乳房が露わになった。
 お椀型の丸みを帯びたその膨らみは、思わず見とれてしまうほどに美しく、その頂点に存在している桜色の突起と相まって、見事としか言いようのない造形をしていた。
 元男である体に、どうしてこれほど素晴らしい乳房が備わったのだろう。
 まるで女にしてしまったせめてもの償いであるとでも言うかのように、それは並の女性であれば羨むほどに美しいと言えた。
 思わず感嘆の息を漏らしながら、生の乳房に手を伸ばし、優しく掴み、揉みしだく。
「あっ……あぁっ……」
 滑らかな肌の感触と、餅のような心地良い弾力にうっとりとした想いを抱く。
 これまで触れたどんな乳房よりもそれは素晴らしかった。
 敦久は、己が手に入れようとしている肉体に、予想以上に魅了されている事に驚いていた。
 有紀はまさに極上の肉体を持つ少女として転生したのだ。
 それを自分が手に入れる。
 それは強い興奮を覚えることだった。
 心の中では、有紀相手に何をやっているのだと叫ぶもう一人の自分がいた。
 十四歳の子供相手に性的行為をするなど、立派な大人のすることではないだろう。
 だがそうした想いも、目の前にある少女の肢体と、自分の与える刺激に反応する姿を見てしまうと消えて無くなった。
 この妖精とも言うべき幼くも淫靡な肉体を味わえるなら、何を失っても構わなかった。
 自分はすでに家族を失っているのだ。
 今更何を恐れることがあろう。
 裏切られた家族に対する悲しみ・憎しみが、目の前にある少女の肉体に執着することを後押ししているのかも知れない。
 さらに元男ということが、妖しげな魅力となって敦久を縛っていたと言えるだろう。
 とにかくこの幼くも美しく、いやらしい肉体を征服することで、自分は何かが得られるのだ。
 そうした想いに捕らわれていたのである。
「あっ、ああっ……おじさま、あんっ……」
 膨らみの頂点にある桜色の突起に吸い付くと、有紀が可愛らしく悶えた。
 そのまま舌でなぶるようにして舐め、吸い、乳房を少し強く揉むと、小さな頭を左右に振り、体を震わせるのに歓喜が湧き起こった。
 美しい少女を己が汚していることに、歪んだ悦びを感じているのだ。
 さらに強めに乳首を吸い、乳房を両手で掴み、回すようにして何度も揉みしだくと、有紀は押し寄せる快楽をどうしていいのか分からない様子で激しく悶えた。
 それはまさに快感に染まった女そのものであり、元男とは思えない乱れ具合だった。
「あ……駄目、です……」
 ショートパンツに手をかけ、パンツごと脱がすと、有紀が恥ずかしそうに脚を閉じた。
 すね毛が全く無くなった脚は、滑らかさを感じさせる美しさがあり、真っ白な太ももはむしゃぶりつきたくなる衝動を呼び起こした。
 これが元男の脚だろうか、と思いつつ、最も男女の違いが現れている箇所を確認しようと強引に両脚を左右に開く。
「や……恥ずかしい……」
 すでに女の子としか思えない可愛らしい羞恥を見せながら、有紀は体をひねって股間を隠そうしている。
 それを強引に正面向きにし、顔を近づけると、薄く毛の生えた秘所が見えた。
 まだ何者にも汚されていない美しい襞があり、敦久は引き寄せられるようにして唇を近づけていった。
「やっ、やんっ……やぁっ……」
 秘所を舐め上げるとそれまで以上に可愛らしい声が響き、小さな体がガクガクと震える。
 可愛らしい突起を舌で突き、優しく舐めると喘ぎが大きくなり、体がクネクネと妖しく動いた。
 秘所からは愛液が溢れており、まさに女でしかないその体の反応に、医者として感嘆の想いを抱く。
 どうすればここまで完璧に男の体を女の体に変えられるのだろう。
 しかも並の女以上の魅力溢れる体になっているのだ。
 どんな相手にも感じたことのない、狂わんほどの肉欲が敦久の中を駆けめぐっていたのである。
 しばらくして体を起こすと、眼下には悶え疲れたようにして有紀が横たわっているのが見えた。
 ハァハァと甘く熱い吐息を漏らし、悩ましげに眉根を寄せているのが色っぽい。
 いよいよとばかりにベルトを外し、ズボンとパンツを脱ぐと、痛いほどにいきり立っている肉棒が現れた。
 それまでの刺激で、我慢できないほどに勃起しているのである。
 後はもう入れずにはいられなかった。
 元男であり、まだ少女になりたての十四歳の子供の中に、己の肉棒を押し込む。
 改めて認識すると恐怖を覚えるが、それ以上に落ち着かない悦びが全身を包んでいた。
 まるで初めて女を知った時のような興奮が敦久の中に満ちあふれていたのである。
 肉棒を持ち、ゆっくりと覆い被さりながら秘所に近づけていく。
 亀頭が膣穴に触れた瞬間、有紀が小さな吐息を漏らしたが、何をされているのか理解できていないらしく抵抗は無かった。
 そのままゆっくり押し込んでいくと、肉棒が蜜壺に入り込み、その蕩けるような感触にうっとりとなった。
「んっ……え?……これ何?……おじさま……?」
 有紀の疑問の声に、意識の朦朧としている相手に無理矢理入れている罪悪感を覚えるが、それと共に激しい興奮が湧き起こった。
 強引に犯す行為に悦びを感じているのだろう。
 肉棒を全て押し込むと、大きく息を吐き出し、強く包んでくる快楽の襞に気持ちの良さを覚える。
「あっ、あっ、あっ……やだ、あっ……何で、あんっ……」
 腰を動かし始めると、有紀は驚いた様子で喘いだ。
 自分の身に何が起きているのかよく分かっていないのだ。
 ただ押し寄せる快楽に甘い声を発し、体を震わせている。
 破瓜の痛みはないようで、快感だけを得ているのが少し罪悪感を和らがせた。
 肉棒を包む膣襞の感触は極上であり、腰を動かすたびに蕩けるような快感が押し寄せてくる。
 これまでの女性経験の中でも、これほどまでに気持ちの良い膣は無かった。
 若い、いや若すぎる肉体がそうした刺激を与えてくるのかも知れないと思うと、十四歳の肉体に魅了され始めている己を認識する。
 何しろ肌の感触が素晴らしいのだ。
 手のひらで触れ、肌同士を擦り合わせるだけでゾクリとするような快感が走り抜けるのである。
 幼い肉体ゆえの感触なのだろう。
 これを経験してしまえば、もはや成人女性の肉体では満足できなくなるに違いなかった。
 それほどまでに幼い肌は快楽を生んだのである。
「あんっ、あっ、やぁっ……はぅっ、はっ、ああんっ……」
 そして目の前であられもなく乱れる幼い肢体と、可愛らしく耳に響く甘い喘ぎは、強烈な刺激となって敦久を狂わんばかりに魅了した。
 己の一突き一突きで、愛らしい有紀がいやらしく悶える様子は、見ているだけで達してしまいそうになるほどに凄まじかった。
 自分が少女と化した有紀を支配しているのだという想いは、支配欲・征服欲を刺激して、誇らしさと満足感を強烈に充足させていった。
 家族との仲が最悪になり、何もかもが思い通りにならない感覚を得ていた敦久にとり、自分のちょっとした動きで反応を変え、求めるように体を震わせ、見つめてくる有紀の姿にはおかしくなりそうなほどの悦びがあった。
 もう有紀さえ居てくれれば、自分は何も欲しくない。
 有紀を抱き締め、肉棒を突き込めるのなら、全てを失っても構わなかった。
 それだけの想いを、敦久は有紀に対して抱いていたのだ。
 元々子供に対する情愛として可愛く思っていた相手だったが、少女となり、肉体関係を結んだことにより、その想いは女に対する愛情と執着に変わったように思えた。
 遥か年下の、まだ子供でしかない相手にそのような想いを抱くのは不思議だったが、それほどに敦久は有紀に狂ってしまっていたのである。
「やっ、やっ、やぁんっ……おじさま、ああっ、おじさま、あんっ……おじさまぁっ……」
 求めるように呼びかけ、潤んだ瞳で見つめてくる有紀は、強烈なまでに淫靡な可愛らしさに満ちていた。
 何と愛らしい姿だろう。
 自分の肉棒で乱れる少女の姿がここまで素晴らしいものだとは思わなかった。
 これまで幾人かの女性のこうした姿を見てきたが、有紀を上回る魅力に溢れた存在はいなかった。
 何より「おじさま」という呼びかけは男心を擽り、もっと甘く、もっと可愛らしくそう呼んでもらいたいという欲求を強めた。
「あんっ、ああっ……おじさま凄い、あっ……おじさま凄いの、ああっ……おじさま凄いよぉっ……」
 頭を左右に振り、ショートカットの髪を揺らしながら激しく悶え、救いを求めるように喘ぎ、見つめてくる有紀の姿は、最高に可愛らしくもいやらしかった。
 その少女を今自分は好きに扱っているのだ。
 何と素晴らしいことだろう。
 膣内の蠢きも肉棒に慣れてきたのか、吸い付きの具合がさらに良くなってきた。
 そうなると思わず頭を仰け反らせてしまうほどに射精感が強まり、敦久は追い詰められる自分を意識した。
 経験豊富な己が、初体験の少女の体に翻弄されているのだ。
 有紀の変化した肉体は、それほどまでに恐ろしい快楽を秘めた存在となっていたのである。
「あんっ、あんっ、ああっ……やだ、あっ……何か変、あぅっ……何か変だよぉ、ああっ……ボク、ボクぅっ……変になっちゃうぅっ……」
 救いを求めるように細い腕が背中に回り、白い脚が腰に絡みついてくる。
 眼前に迫る顔は幼さを感じさせつつも、淫欲に染まっており、何とも言えないいやらしさに溢れていた。
 この愛らしい存在の中に精を放ちたい。
 己の遺伝子を注ぎ込みたい。
 そうした雄の欲求が押し寄せ、敦久は最後とばかりに腰の動きを激しくしていった。
「あっ、あっ、ああんっ……ボク、あっ……ボク、あっ……ボクぅ、ああっ……おじさま、あぅっ……おじさまぁ、ああっ……おじさまぁっ……やっ、やっ、やぁああああああああんっ!」
「うぅっ!」
 有紀の絶頂の叫びと共に膣内が締まり、その強烈な刺激に敦久は肉棒の栓を解放した。
 ドピュッ、ドピュッ、ドクドクドクドクドクドク……。
 凄まじい勢いで精が放たれ、幼い膣に注がれていく。
 敦久は射精のたびに押し寄せる快楽に頭を朦朧とさせながら、己の精を受け止める小さな体を意識し、その背徳的な行為とそれゆえに起きる淫靡な悦びに身を委ねた。
 有紀は注ぎ込まれる精液を感じているのか、肉棒が律動するたびに瞳を見開いており、唇からは震えを伴う甘い吐息が漏れ聞こえてきた。
 その様子に強烈な満足感を得ながら最後の射精を終えた敦久は、体の力を抜き、幼い肉体の上に倒れ込んだ。
 ハァハァという荒い呼吸が部屋に響き、元少年相手という異常な状況で行った交わりの余韻に浸っていく。
 だが肉棒は力を失うことなく未だ勃起したままであり、その力強さに驚くと共に、さらなる肉欲が湧き起こってくる。
 有紀をもっと抱きたい。
 有紀の幼い肉体をもっと味わいたい。
 そうした衝動が押し寄せ、意識せずとも肉棒を押し込もうと体が動いていく。
 ぼんやりとした瞳で見つめてくる幼くも色気のある顔を眺めながら、敦久は再びそのいきり立った肉棒を、愛らしい少女の中に押し込んでいくのだった。


「あんっ、あんっ、ああんっ……」
 一糸まとわぬ姿でベッドに横たわる有紀は、肉棒を突き込まれるたびに可愛らしい喘ぎを発した。
 その少女のものに変化した肉体は、抱けば抱くほど味わいが深まっており、さらに十四歳という年齢がもたらす背徳的な想いは、敦久を強く魅了した。
 元男、幼い少女、といった要素は、「許されない」といった意識を強くし、そんな相手を抱いている状況は肉欲を激しく刺激したのだ。
 何より処女であった相手が性的な行為に徐々に慣れ、反応を強めていく姿を見ることは、何とも言えない悦びを感じさせるものがあったのである。
 幼い少女が快楽に染まっていく様を見るのが、これほど興奮し、たまらない想いを抱かせるとは思ってもみなかった。
 まだ子供であり、性的に無垢な存在であることがそれを助長しているのだろう。
「やっ、やぁっ……おじさま、あっ……おじさまぁ、やんっ……おじさまぁ、ああっ……あぐっ、あっ、ああんっ……」
 透き通るほどに真っ白な肌をした小さな体がクネクネといやらしく動き、可愛らしい顔が泣きそうな表情でこちらを見つめてくると、肉棒を激しく突き込まずにはいられなくなる。
 この愛らしい、自分の思い通りになる少女を抱けるのなら、何を失っても構わない。
 敦久はそんな想いに浸りながら、ずっと有紀を抱き続けていた。
「ああっ、そんな、やっ……それ、あぅっ……それ凄い、ああっ……それ凄いよぉっ……やぅっ、やっ、やぁんっ……」
 回すように腰を動かし、ズンズンと強く大きく肉棒を突き込むと、小さい顎が仰け反り、細い指がシーツを強く掴んだ。
 少年の面影を残した顔は、今や与えられる快楽に染まり、女としての媚びを見せるようになっていた。
 その様子が狂わんほどに敦久を夢中にさせ、肉棒を突き込むことを止めさせないのだ。
 少年だった少女を、自分はこうして喘がせ悶えさせている。
 その異常な状況が、背徳的な興奮となって敦久を魅了していたのである。
「あんっ、あぅっ、やぁんっ……おじさま、あぅっ……そこ、あっ……そこ駄目、ああっ……ボク、ボクぅっ……」
 細い腕と脚が絡みつき、強く抱きついてくるのに可愛らしさを覚える。
 生の肌同士が擦れ合うことで、滑らかな少女の肌の感触が伝わり、その蕩けるような気持ちの良さにうっとりとなる。
 有紀の肌は触れているだけで狂いそうになるほどの快感を生んだ。
 その成人女性には無い、子供ゆえの肌の感触は、圧倒的な魅力となって敦久を支配した。
 裸身を見た時もその肌の美しさに感嘆したが、肌を重ねた瞬間には思わず射精してしまいそうになるほどの甘美な快感を覚えたのである。
 この体をもっと抱きたい、抱かずには居られない。
 その想いが、延々と有紀を抱き続けてしまっている理由だった。
「やぅっ、やっ、やぁっ……おじさまボクもう、ああっ……ボクもう駄目です、あんっ……ボクもう駄目ですぅっ……やっ、やっ、やぁっ……」
 泣きそうな声でそう叫びながら、有紀は擦りつけるようにして抱き締めてきた。
 そうされると蕩けるような快感が全身に走り抜け、射精感が一気に高まった。
 最後とばかりに腰の動きを強く大きくしていく。
「ああぅっ、あんぅっ、あっ……はぐっ、はぅっ、はぁんっ……駄目っ、駄目っ、駄目ぇっ……イっちゃうっ、イっちゃうっ、イっちゃうよぉっ……おじさまっ、おじさまっ、おじ、ああっ……やっ、やっ、やぁああああああああああんっ!」
「有紀ぃっ!」
 ドピュッ、ドピュッ、ドクドクドクドクドクドク……。
 二人の体が硬直し、肉棒から激しい勢いで精液が迸った。
 敦久は小さな体を強く抱き締めながら、肉棒が律動するたびに湧き起こる快感に朦朧となった。
 強烈な満足感と達成感が押し寄せ、他の女性との行為では経験したことのない悦びにうっとりとなる。
 何故有紀とのセックスではこうした想いを抱くのだろうか。
 もっと抱きたい。
 有紀を自分の物にしたい。
 そうせずには居られない。
 射精の最中もそんな想いに支配された敦久は、精を放ち終えたすぐ後だというのに、すでに硬く大きくなっている肉棒を感じ、そのまま再び腰を動かし始めるのだった。


 有紀とセックスをしてしまった。
 その罪悪感が、ここ数日敦久をずっと苦しめていた。
 あの日、気の迷いとしか言いようのない衝動から有紀を抱き、そのまま明け方まで肉棒で貫き続け、精液を注ぎ込んだ。
 自分でも驚くほどに絶倫状態であり、狂ったとしか思えないほどに、少女と化した有紀の肉体を貪ったのだ。
 翌日目を覚まし、隣でスヤスヤと寝ている有紀を見た瞬間、とてつもない恐怖が襲いかかってきた。
 昔から知っている、可愛がってきた有紀を、自分は強姦まがいの形で抱いてしまったのだ。
 大人が子供を抱くなど許されないことであるし、何より有紀は女の体になったばかりで精神的にも不安定な状態だったというのに、そんな相手を自分は抱いてしまったのである。
 嫌がっているように見えなかったのが唯一の救いだが、そうだとしてもやっていい事ではないだろう。
 さらに許されないのは、寝ている有紀を見ていたら、再び抱きたくてたまらない衝動が押し寄せてきたことだった。
 その事に恐怖した敦久は、慌てて目をそらし、意識しないようにしながら衣服を身につけると、逃げるようにして家を飛び出したのである。
 有紀はまだ子供だ。
 しかも元は少年なのである。
 そんな相手に何故これほどまでに欲情してしまうのか。
 これまで敦久は、子供の体になど性的興味を抱いたことはなかったのだが、有紀に対しては、成人女性に対するのとは比較にならない欲情を抱いてしまっているのだ。
 突如としてロリコンと化してしまった己に、敦久は強く苦悩した。
 だが不思議だったのは、他の子供を見ても特に欲情することがなかった点だった。
 一方、有紀のことは頭から離れず、その肉体を再び貪りたくてたまらなくなっているのである。
 つまり自分は、有紀限定でロリコンになったという事かも知れない。
 そんな事を考えていてふと思い出したのが、ある報告書の内容だった。
 それはチェンダー病に関するものであり、あまり信憑性があるとは言えなかったのだが、何となく気になっていたものだった。
 曰く「チェンダー病の患者には、近親者及び身近な人間と肉体関係を持った者が多い」というものだ。
 性的な内容であるため調査がしづらいこともあり、データとしては信憑性に乏しいのだが、いくつかの調査結果として、そういった内容のものがあったのである。
 もしかすると、この病にかかった人間の近親者は、今の自分と同じ状態になっていたのではないだろうか。
 原因は分からないが、この病が原因で男から女になった肉体には、近親者や身近な人間に激しい肉欲を覚えさせる作用があるのかも知れない。
 そう考えれば、この有紀限定に激しく欲情している状態にも納得がいった。
 だがそれは何の根拠も無いことであり、ただ単に自分が有紀に夢中になっているだけとも言えただろう。
 それこそ有紀限定でロリコンとなったのだ。
 どちらかと言えばその方が納得できる感じであり、病気のせいにしようとしているのは逃げなのではないかと思えた。
 自分は有紀に対する責任を病気のせいにしたいのである。
 そう考えると、己の卑怯さ加減に悲しくなってくる。
 何より強姦まがいに抱いてしまったのは事実であるし、きちんと謝罪をしなければならなかった。
 先輩に知られたらと思うと辛かったが、隠すというのもやはり卑怯に思えた。
 まずは有紀に謝り、その後先輩に報告するようにすべきだろう。
「って、ことなんだが……おい、聞いてるのか?」
 不意にかけられた声に、慌てて意識を戻す。
 そこは鰻料理店であり、隣には高校時代の友人である龍之介が座っていた。
 今日は龍之介の再就職を祝う目的で鰻料理店に来ており、楽しく会話をしていたのだが、つい考え事をしてしまったため、話を聞いていなかったのだ。
「ああ、すまんすまん聞いてるよ」
「本当か? 何か嘘くさいけど。まあ、今日はご馳走してもらっているから大目に見るよ。それにしても鰻ってのは嬉しいね。改めてありがとうな」
「いいんだよ、めでたいことなんだし。というか、優花ちゃんも呼んで良かったんだぜ。喜ばしいって言っちゃなんだけど、優花ちゃんにも良かったことがあったんだからさ」
 優花とは龍之介の娘のことであり、学校でいじめに遭っていたらしいのだが、それがつい先日無くなったというのだ。
 龍之介はその事と、自分の再就職先がなかなか決まらなかったことでずっと苦しんでいたのだが、今日はそれがどちらも解決したことへの祝いだったのである。
「うん、そうなんだけど、まあ、鰻を二人分ってんじゃさすがに悪いしな……」
「これくらいいってホント。友人の喜ばしい出来事を祝うってのは俺も嬉しいんだからさ」
 そう口にすると、本当に嬉しさが起きてきた。
 ここのところ、ずっと有紀の事で悩んでいたため、幸せそうにしている龍之介を見ていると少し楽になったのだ。
「んで話の続きだけどさ、そういう状況についてお前はどう思う?」
「え? どういう状況だよ?」
「あ、やっぱり聞いてなかったのかしょうがないな」
「すまん。で、どういう状況のことだ?」
「親子とか兄妹でセックスしちゃう状況さ。それについて医者であるお前はどう考えるか聞きたいと思ってな」
 その言葉にドキリとする。
 何故そんな話題を出してきたのだろう。
 敦久にとり、それは有紀のことと並んで苦悩の要因だった。
「いや、この間ちょっとネットで見かけてさ。実際そういう事ってあるものなのかなぁ、と。そんでそういう事をした人間ってのはその事をどう思っているのかとか。後はその結果として産まれた子供の問題とかな……特に産まれた子供はどうなるのか気になって。親戚の中で酷い扱いされたりとかするんじゃないかとか、色々さ。優花が最近まで酷い目に遭っていたから、何か気になっちゃったんだよ」
 少し慌てた様子で龍之介は呟いている。
 内容が性的な生臭さを伴うために恥ずかしいのかも知れない。
 そう言えば高校時代も、あまりそういった事を話すタイプではなかったように思えた。
 しかしそれならば何故今、よりにもよって自分に尋ねてくるのかと、敦久は辛くなった。
「まあ、話は色々聞くがな。俺は関わったことはないよ。だから実際どうなのかは分からない。というか、そういった事を何故してしまうのかは人それぞれなんじゃないか? 家族と肉体関係になるってのは俺には分からないが、何かしらそうしてしまう事情があるんだろうし」
 そう、妻と息子が関係してしまったのは、そうしてしまう事情があったのだろう。
 最初から夫や父親を裏切る目的でした訳ではないはずだった。
 一度の過ちから快楽に染まり、求め続けるようになってしまったに違いない。
 特に息子はヤりたい盛りなのだから、止まらなくなっても仕方ないだろう。
 男はそうなのだ。そういうものなのだ。
 だから自分が有紀を求めてしまったのも仕方のないことなのだ。
 などと、いつの間にか自己正当化をしてしまっている自分に嫌悪感を覚える。
「産まれた子供は、どうなると思う?」
 龍之介の言葉にハッとなる。
「そうだな……どうなるんだろうな……養子に出すとか、もし問題が無ければそのまま育てるのかも知れない……そういった事はそれぞれ事情によって異なると思う……」
 自分はどうしたら良いのだろう。
 妻の産んだ息子の子供をどうすればいいのか。
 その子の事を思えば、娘として育ててやるのが良いのかも知れない。
 だが妻と息子の裏切りの結晶に対し、冷静に対処できるのだろうか。
 現在二人に対してまともで居られない自分が……。
 離婚すべきなのだろうか。
 妻の裏切りがはっきりした以上、もうあの家で平然と暮らすのは不可能だった。
 単に浮気をされただけならまだしも、妻は浮気相手と同居し、現在進行形で浮気を続け、子供まで成しているのだから……。
「事情か……なら、当人同士が愛し合っていて、子供も普通に育てられるとしたらどうなんだろう? 誰も近親相姦で出来た子供だって分からない状況だったら……」
「そ、それは……いいんじゃないか? 誰にもバレていないのなら、後は子供にさえ知られなければ普通の家族をやれると思う……そ、それで、邪魔者さえ居なければ、幸せに暮らせると思うよ……」
「邪魔者?」
「ああ、他の家族のことさ。やっぱり愛し合っているなら、当人同士とその子供だけで暮らした方が幸せだろう?」
 そうなのだ。自分が居ない方が三人は幸せに暮らせるのだ。
 自分が居ない方がいいのである。
「なるほどな。そうだよなやっぱり。そうなんだよ。邪魔者ってのは問題ないから良しとして……やっぱり愛し合っているってのが重要だよなぁ……」
 龍之介は何やら嬉しそうにブツブツ言っているが、敦久にはどうでも良かった。
 想定として話しているだけの龍之介と違い、自分にとっては現実の問題であり、有紀のこともあって辛い想いが込み上げてくる。
 自分は家族を失い、世話になっている人の子供を犯してしまった。
 何と最低な人生を歩んでいるのだろう。
 強烈な虚しさが込み上げてきた敦久は、幸せ一杯な表情で何かを喋っている龍之介の言葉に、適当な相づちを打っていくのだった。


「すまなかった……」
 そう告げながら頭を下げる。
 目の前に居る有紀がどんな表情をしているのか分からない。
 出来れば許して欲しかったが、許してもらえなくても構わなかった。
 どのみちこの罪悪感は、一生引きずって生きていこうと思っていたからだ。
 その事こそが有紀に対する謝罪になると思ったからである。
「おじさま、頭を上げて下さい。謝られることなどありませんから」
 穏やかな口調で有紀がそう告げてくる。
 どうやら許してくれているようだ。
 優しい性格だからそうだろうと予想はしていたが、実際に許しの言葉を言われると少し楽な気持ちになった。
 頭を上げると、微笑みを浮かべた可愛らしい顔が見える。
「俺は有紀に対してとんでもない事をしてしまった。だからこれから有紀の望むことは何でもする。俺を好きなようにしてくれて構わない」
「ふふ、おじさまは真面目な方ですよね。だけど本当に気にしなくていいんですよ。ボクは気にしてませんから」
「だが、有紀は女の体になったばかりだったのに、俺はあんな酷いことをして……」
「でもあのおかげでボク、吹っ切れたんです。それまでは男でなくなったことを悩んで苦しんでましたけど、ボクは女なんだって凄く自覚したんです……だから父さまにも言うつもりです。ボクは医者になりますって。父さまは嫌かも知れませんけど、それがボクの夢なんですって。ボクは女としてこれから医者になりますっ」
 そう言い切る有紀の言葉には、以前には無かった強い信念のようなものが感じられた。
 先輩が気にしていた意思の弱さが消えてなくなったように、自信に満ちた光が瞳に溢れているのだ。
 この変化は一体どうしたことだろう。
「そうか……それなら俺も応援するよ。お父さんに有紀が医者になるのを認めさせる。それがせめてもの償いだ」
「もう、気にしないで下さいって言ったじゃないですか。償いとか考えないで下さい。でも応援してくれるのは嬉しいです。正直言うと、やっぱりまだ自信が無いんです。父さまは厳しい方ですから……」
 確かに先輩を説得するのは大変なことだろう。
 長年の付き合いがあるが、先輩の女性蔑視の意識は強烈だからだ。
「だけど頑張ります。医者になるのはボクの夢ですから」
 そう明るく告げる有紀は、何とも可愛らしかった。
 男の頃も子供に対する意味で可愛らしさを覚えていたが、今や美少女と化した有紀の笑顔には、ゾクリとさせる女の媚びのような雰囲気があったのだ。
 その事で思わず動揺してしまう。
 さらに股間の一物がピクリと反応示すのに罪悪感を覚える。
 あれだけ有紀を抱いた事を悔いていたのに、こうしてその肉体を目の当たりにすると、どうしても抱き締めたくなる衝動が起きてしまうのだ。
 何しろ有紀の体はそれだけ魅惑的な快楽を与えてくれたし、その喘ぎ悶える姿はたまらなく可愛らしかったからである。
 もう一度、あの快感を味わい、乱れる姿を見てみたい。
 そうした想いが湧き起こってきてしまうのを抑えることが出来なかった。
「それで、おじさまにお願いがあるんです……」
 不意にそれまでの自信のある雰囲気が無くなり、有紀は小さな声で告げてきた。
「何だい? 何でも言うことを聞くよ。言ってごらん」
 どんな無理難題であろうと敦久は受けるつもりだった。
 今現在も有紀に欲情してしまっているため、その罪悪感から逃れるにはそうせずには居られなかったのだ。
「そのぉ……あのぉ……ボクぅ……えっとぉ……」
 何やら恥ずかしそうにモジモジとし始めた有紀に心臓が跳ねそうになる。
 何しろその様子はあまりに可愛らしかったからだ。
 思えば男時代も、言い出しにくい時にはそうしていたように思うが、美少女と化した状態でされると、激しい欲情が湧き起こってきてしまうのである。
「大丈夫。言ってごらん。絶対拒絶しないから」
「は、はい……それなら言います……ボクをこの間のように……そのぉ……して欲しいんです……おじさまにぃ、抱いて欲しいなって……」
「え……?」
 そのあまりの予想外の言葉に一瞬思考が停止する。
 何故そんな事になるのだろう。
 全く意味が分からなかった。
「ど、どうしてそんな……何でそんなことを……」
「ボク、おじさまに抱かれたことで、女として生きていく自信が凄く持てたんです。だから父さまを説得するには、女としての自信がもっと欲しいんです。おじさまに抱いていただければ、そうなるんじゃないかって……」
「ちょ、ちょっと待て……それはマズいだろ……俺は有紀を抱いたことを凄く悪いことだと思っているんだ……だからまた抱くってのは良くないよ……」
「悪いことだなんて、そんなことありませんっ。ボクは凄く嬉しかったですから……そりゃ最初は怖かったですけど、おじさまがボクのことを凄く好きだからこうしてるんだって思ったら、体が気持ち良くなってきて……凄い安心感が起こって……それでボク、おじさまの事が凄く好きになったんです。以前から大好きでしたけど、今はもっと大好きです。ボクはおじさまの事が大好きなんですっ」
 真剣な表情でそう告げてくるのに強烈な喜びが湧き起こる。
 愛おしい少女に「大好き」と言われて嬉しくない男はいないだろう。
 そう、自分はすでに有紀のことを愛してしまっているのだ。
 愛の告白をされたことで、そうだという事がようやく分かった。
 単に体を求めていたのではない。
 自分は有紀という少女を欲していたのだ。
 何しろあれから有紀と同じ年頃の少女を見ても、欲情などしなかったのだから。
 有紀だけなのだ。
 有紀に対してだけ欲情してしまうのだ。
 それは愛情ゆえの肉欲の発露と言えただろう。
 愛するがゆえに、強くその肉体を欲し、激しく欲情してしまっていたのである。
 そう認識すると、目の前に居る少女がより愛おしく思えてきた。
 以前考えたチェンダー病ゆえの肉欲などクソ食らえだ。
 この愛情が病気のせいなどあり得るはずが無かった。
 何しろ自分は、有紀を愛しているがゆえに抱きたいのだから……。
「有紀っ。俺も、俺も有紀が大好きだっ」
 そう告げると共に抱き締める。
 その瞬間、少女らしい硬さの残る柔らかい肉の感触が体の全面に広がった。
 全てを包み込めてしまう有紀の体は、庇護欲と支配欲を強く刺激し、二度と手放したくない想いを湧き起こらせる。
「おじさまぁ……」
 うっとりとこちらを見つめてくる瞳は潤み、頬は上気しており、それを見ているだけで心臓が鼓動を激しくする。
 少女特有の内に籠もった淫靡さを漂わせつつも、少年の面影を残していることが背徳的な雰囲気を醸しだし、肉棒を硬く勃起させた。
 十四年間見てきた少年としての有紀のイメージが、少女として現実に存在していることへのギャップとなり、通常ではあり得ない肉欲を呼び覚ましているのだろう。
 少年を少女として喘がせ、悶えさせた数日前の記憶が、さらにそれを強めているのかも知れない。
 再びあれを味わいたい。
 その想いと共に湧き起こる、有紀への強い愛情が、自然とその可愛らしい唇へと吸い付かせていった。
「んっ……んんっ……んふぅ……」
 小さな体を抱き締め、貪るようにキスを繰り返す。
 十四歳にしては大きめの胸の膨らみを掴み、優しく揉みしだくと、小刻みに震えているのが可愛らしい。
 そのまま顔を左右に入れ替えて唇を擦り合わせながら、大きめの乳房を回すようにして揉んでいく。
「あっ、ああっ……やっ、はぅっ……はぁんっ……」
 首筋に舌を這わし、優しく舐めると、有紀が可愛らしく喘いだ。
 手のひらにしっくりとくる大きさの乳房を揉みながら、頂点にある乳首をTシャツの上から摘んで捻る。
「ああっ、あっ、やんっ……やぁっ、おじさまぁっ……」
 潤んだ瞳でこちらを見つめ、どうすればいいのか困ったような表情で喘ぐ有紀は、何とも可愛らしかった。
 Tシャツを捲り上げると、白い膨らみが露わになり、その美しさに思わず見とれる。
 膨らんでからまだ数日しか経っていない初々しい乳房は透き通るほどに白く、その頂点にある乳首は綺麗な桜色をしていた。
 膨らみを掴むと指が食い込み、その様子にゾクリとした興奮を覚えた敦久は、そのまま何度も揉みつつ、プックリと勃起している突起に吸い付いていった。
「やぅっ……やっ、やぁっ……おじさま、はぅっ……おじ、あんっ……おじさまぁっ……」
 チュウっと吸うたびに小さな顎が仰け反り、可愛らしい頬が桜色に染まっていく。
 いやいやといった感じで頭が振られると、首筋まで伸びた髪が乱れて欲情を誘った。
 肉棒はすでに痛いほど勃起しており、早く入れたくてたまらなくなっている。
 以前抱いた時よりも我慢が効かなくなっているのは、その肉体の素晴らしさを体が知っているからだろう。
 肉棒は早くあの心地良い蜜壺に収まりたくて仕方がないのだ。
 己が貫き支配した少女の蜜壺に……。
 興奮が高まった敦久は、有紀の後ろに回ると、傍にあった本棚に手を付かせ、ショートパンツをパンツごと引き下ろした。
 そのまま両脚を少し開かせつつ、背後から肉棒を押し込んでいく。
「あぅんっ……」
「うぅっ……」
 ズブリと亀頭が収まると、二人の頭が大きく仰け反った。
 膣襞をかき分けるようにして肉棒が押し込まれ、やがて全てが柔らかな肉に包まれる。
 ジッとしているだけで体中に快感が染み渡り、頬がだらしなく緩むのを感じながら、敦久は再びこの極上の膣に肉棒を収められた悦びに浸った。
 有紀の体は、これまでの女性経験では味わえない、蕩けるような快楽を与えてくれるのだ。
 少し前まで男だった体が、最も素晴らしい女体として感じられるのだから、何とも不思議なことだった。
「あっ、あっ、ああっ……やっ、やっ、やぁんっ……」
 細い腰を持ち、背後からズンズンと突き込むと、それに合わせて小さな頭が持ち上がる。
 捲り上がったTシャツのみを身につけた姿は何ともいやらしく、真っ白な背中が桜色に染まっているのに興奮を高めていく。
 こうして後ろから見ると、その体の小ささがより感じられ、自分がまだ十四歳の少女を抱いているという実感を覚えた。
「あんっ、あっ……やっ、やぁっ……胸をそんな、あっ……それ駄目ぇっ……胸駄目ですぅ、ああんっ……」
 乳房を掴み、ギュッと握ると有紀が可愛らしく喘いだ。
 背後から手を回すと胸の膨らみが揉みやすく、正面向きの時よりも満足感が上がった。
 そのまま乳房を揉みながら背中に覆い被さり、腰を小刻みに突き込んでいく。
「やぁっ、やっ、やぅっ……当たる、あんっ……当たるの、ああっ……奥に当たるよぉっ……あっ、あっ、ああんっ……」
 肉棒が子宮に当たっており、その刺激に有紀は泣きそうな声をあげながら頭を左右に振った。
 やがて力が抜けたのか、ゆっくりと床に崩れたため、今度は四つんばいにさせながら腰を激しく振っていく。
「あぐっ、あっ、あぅっ……いいっ、いいっ、いいのぉっ……おじさまのおちんちん、あぅっ……いいよぉっ……」
 可愛らしい声で「おちんちん」と言われた事に興奮が高まる。
 しかもそれが「いい」のだとすると、凄まじい誇らしさを覚えた。
 今有紀を気持ち良くしているのは、他でもない己の肉棒なのだと思うと、強烈な悦びが湧き起こってくるのだ。
「あんっ、あんっ、ああんっ……凄い、あっ……凄いの、ああっ……おじさま凄いぃっ……やっ、やっ、やぁんっ……」
 ショートカットの髪を振り乱し、甘く喘ぐ有紀の姿はたまらなく、可愛らしくもいやらしかった。
 その様子を見ているだけで肉棒は硬さを増し、腰の動きは激しさを強めた。
 これまでの女性経験で、ここまで女体に夢中になった覚えは無く、また愛情を覚えたことも無かっただろう。
 有紀に対しては、肉体の快楽も心の喜びも、誰とも比較できないほどに強かったのだ。
 まさに心も体も狂わんばかりに虜にさせられていたのである。
「あぅっ、あっ……もう駄目、ああっ……ボク駄目ぇ、あんっ、あっ……ボクもう駄目ですぅっ……やっ、やぁっ、やぅんっ……」
 腕を崩し、腰だけを高く掲げる体勢になった有紀は、泣きそうな声でそう叫んだ。
 すでに絶頂が近いのだろう。
 敦久にしても、ここ数日求めに求めた相手との交わりということもあり、また、その肉体の刺激の強さもあって限界になっていた。
 何しろ見ているだけで射精してしまいそうになるほどに、有紀の姿は可愛らしく、そしていやらしかったからだ。
「あんっ、あっ、あぅっ……もうイく、あっ……イくの、ああっ……もうイっちゃうぅっ……おじさまっ、おじさまっ、おじさまぁっ……やっ、やっ、やぁああああああああんっ!」
「有紀ぃっ!」
 互いを求める声が部屋に響くと同時に、肉棒の栓が解放された。
 ドピュッ、ドピュッ、ドクドクドクドク……。
 凄まじい勢いで精液が迸り、幼い膣へと注がれていく。
 それを感じているのか、有紀の唇からは「あ……ああ……」といった吐息が漏れ聞こえ、小さな体がピクピクと震えるのに満足感を覚える。
 肉棒が律動するたびに快感が体中に走り抜けるのに、頭を何度も仰け反らせつつ、その蕩けるような気持ちの良さに顔がだらしなく緩んだ。
 しばらくして射精を終えた敦久は、有紀の隣に倒れ込んだ。
 可愛らしい横顔が見え、その嬉しそうな表情に喜びが溢れる。
 この愛らしい少女を自分の物にしたのだ。
 そしてこれからも愛していくのである。
「有紀、愛してるよ……」
「ボクも……ボクもおじさまを愛してます……」
 愛情を感じながら見つめ合い、ゆっくりと唇を重ねていく。
 小さな体を引き寄せ、強く抱き締めていく。
 そうしていると、強烈な幸福感が湧き起こり、全てのことがどうでも良くなった。
 自分は有紀さえ居てくれれば、有紀をこうして抱けていられれば何も要らなかった。
 有紀だけが、有紀だけが自分の全てなのだ。
 敦久はそう確信を覚えると、その愛らしい体に再び肉棒を押し込んでいくのだった。


 敦久は、少し前の憂鬱な状態が嘘のように幸せな日々を過ごしていた。
 有紀と愛し合うようになってから、様々なことが些細なことに思えるようになったのだ。
 妻の浮気に関しても、自分もしてしまった訳でお互い様であるし、同じく息子のように可愛がっていた有紀相手にセックスをした訳だから、似たようなものだと思ったのである。
 さらには十四歳の、しかも元男であることが引け目として感じられ、妻より自分は酷いことをしているような気もしていた。
 そんな事から、妻と息子に対して普通に接することが出来るようになり、何より妻の産んだ赤ん坊を家族として認識できるようになっていた。
 そもそも息子の子供であれば、自分にとっては孫であるのだから、可愛い孫娘ということになるからだ。
 経緯は歪んではいるが、自分の血を引いていることに変わりはないのである。
 そう考えると突如として愛おしさが湧き起こり、赤ん坊に対して愛情を持って接することが出来るようになった。
 そのことで妻と息子の自分に対する態度も明らかに変化が起き、特に息子は喜んでいるのが凄く伝わってきた。
 妻はさすがに申し訳なさそうな雰囲気を見せていたが、これは仕方ないことだろう。
 どう言い繕うが、妻にとって赤ん坊は裏切りの証には変わりないのだから。
 敦久にしても、妻との関係を以前と同じようにするのは無理だった。
 有紀とのことで薄らいだとはいえ、裏切られた傷は大きかったからだ。
 何より妻よりも強く愛する対象が出来てしまったため、女として愛することが出来なくなっていたのである。
 将来的には離婚をし、この家は妻と息子、そして孫娘の住処として譲ろうと考えていた。
 愛し合っている家族だけで暮らす方が、お互いのためだと思ったからだ。
 そして自分は有紀と結婚をする。
 これはすでに決めたことだった。
 有紀が十六歳になったら結婚をし、二人で暮らすのだ。
 それが現在の敦久の夢であり、絶対に成し遂げようと考えていることなのだった。


 目の前では、かなり酔いの回った先輩が辛そうに語っていた。
 有紀に「医者になる」と強く言われ、どうしたものかと悩んでいるのだ。
 これまでの先輩であれば、断固として反対し、絶対にさせまいとしただろうが、不思議なことにその勢いは弱かった。
 何故かと尋ねてみたところ、「あいつの真剣な目を見ていると、どうにも許してやりたくなってしまう」ということらしかった。
 そして「『父親は娘に甘い』ってのはこのことか」などとぼやいており、その変化に驚くばかりだった。
 あれほど女医を毛嫌いしている先輩が、女になった有紀が医者になることを認めかけているのであり、言い訳として「元は男なんだからいいじゃないか」などと自分で自分を説得するような言葉も漏らしているのである。
 さらには「女になってからのあいつは、どうにも可愛くてな。何でも好きにさせたくなってくるんだよ」などと言い出したのには苦笑するしかなかった。
 何故ならその気持ちは凄く分かったからだ。
 敦久にしても、有紀に対しては何でもしてあげたくなるからである。
 そして「そのうち結婚相手を探してやらなきゃな」と言い出した時には吹き出しそうになった。
 完全に「娘を持つ父親」になっているのが可笑しかったのだ。
 しかしそうした意識を持ってくれることは、敦久にとってありがたい事だった。
 先輩の意識が有紀の結婚に向いていれば、自分がその相手として名乗りを上げやすいからだ。
 先輩は有紀が元男であることを気にしているようで、「そんな女をもらってくれる男がいるだろうか」とぼやいていた。
 すかさず「そうなったら俺がもらってあげますよ。すぐに離婚して、婿養子になって先輩の息子になります」と告げると、当然冗談と受け取ったのか「そうだな。その時は頼む。お前なら息子として大歓迎だ」などと言って笑った。
 そして敦久が離婚のことを軽く口に出来たことから、悩みが解消されたのだと判断したらしく、「家族のことは吹っ切れたみたいだな。安心したよ」と喜んでくれた。
 ずっと心配してくれ、悩みの相談に乗ってくれたことを思うと、その嬉しそうにしてくれている姿にはありがたい想いで一杯だった。
 そんな先輩と家族になれたら、どんなに素晴らしいことだろう。
 そうした将来を夢見ながら敦久はその後も話し続けたが、しばらくすると先輩が寝入ってしまっているのに気がついた。
 最近の先輩は、有紀のことで悩んでいるせいか、酔いの回りが早かったのだ。
 先輩をソファに寝かせ、タオルケットかけた敦久は、居間から出て行った。
 階段を上り、二階のとある部屋の前で立ち止まる。
 ノックをすると、中から可愛らしい返事が聞こえてきたため、ゆっくりとドアを開いて中へ入っていく。
「おじさま、何か御用ですか?」
 そう言ってきた有紀の姿に一瞬見とれる。
 何故なら身に付けていたのが、セーラー服だったからだ。
 白を基調とした、爽やかで清楚な印象のある制服であり、品のある雰囲気を持つ有紀に実に似合っていたのである。
 何より女の子らしい服を着た有紀を見たのは初めてであったため、より強烈な印象を覚えたのだった。
「それは、今度行く学校の制服かい?」
「はい。今日届いたんで着てみたんです。似合いますか?」
 スカートをつまんでポーズを付ける様は何とも可愛らしく、心臓が激しく鼓動してしまう。
 いい歳して何を動揺しているのだろうと思うのだが、有紀と接すると、心が思春期の頃に戻ってしまったかのように初々しい反応を示してしまうのだ。
 有紀に凄く夢中になっているのも、そうした心の状態が影響しているのかも知れない。
 何しろ自分の有紀に対する想いは、どう考えても中学生が抱くような純粋なものに思えたからである。
「凄く似合うよ。可愛い。うん、凄く可愛いよ。素敵だ。こんな美少女は見たことがない。素晴らしいね。素晴らしいよ」
「おじさま、褒めすぎです……恥ずかしいですよぉ……」
 有紀は頬を赤くすると、モジモジしながら視線をそらした。
 その様子がまた可愛らしく、抱き締めたくてたまらない衝動が起きてくる。
「でも本当のことだからしょうがないだろ。有紀は可愛いんだ。きっと新しい学校でも人気者になるぞ」
「そのことですけど……ボク、不安なんです。女になってから学校へ行くの初めてですし、それに今度の学校、女子校ですから。女の子ばかりで大丈夫でしょうか……」
 有紀がこれまで通っていた学校は男子校であったため、別の学校に転校することになったのだが、先輩が選んだ先は名門の女子校だった。
「どうせ女になったのなら、徹底的に女らしさを磨け」ということで、しつけの厳しい女子校を選んだらしい。
「大丈夫だよ有紀なら。十分やっていけるさ。何しろ男の頃から下手な女より女らしさがあったくらいだし」
「あ、それは失礼ですよ。もう、おじさまは酷いなぁ」
 頬をプクッと膨らませ、握った両手を振って抗議する様は、何とも可愛らしかった。
 どうも最近の有紀は、女になったばかりの頃に比べ、かなり女の子らしさが上がっているように思えた。
 肉体が変化すると、精神もそれに引きずられるのだろうか。
「でも今は褒め言葉だろう? 凄く女らしい女の子だ。可愛くて素敵で魅力的で最高だよ。俺は有紀が大好きだ。愛してる」
 そう言いながら強く抱き締める。
「ボクもおじさまのことが大好きです。愛してます」
 うっとりと見上げてくる黒々とした瞳にドキリとする。
 何と愛らしくも男心を擽る色気を持った瞳だろうか。
 その瞳が閉じられていくのに合わせて唇を寄せていく。
「んっ……んんっ……」
 軽く唇を重ねた後、舌を絡ませて吸い上げる。
 そのままセーラー服の上から胸を掴み、ゆっくりと揉んでいく。
「んっ、あっ……あんっ……駄目、ですよ。父さまが来たら大変です」
「大丈夫だよ。お父さんは寝てるから」
「でももし起きてきたら、やっ、あんっ……駄目です、やっ……おじさま駄目ぇっ……」
 首筋に舌を這わせながら乳房を強く揉みしだくと、ピクピクと体を震わせるのが可愛らしい。
 白のセーラー服を身に付けた有紀は、いつも以上に愛らしさがあり、さらには強く肉欲をそそるものがあった。
 制服姿の中学生に興奮するなど、ロリコンのスケベ中年そのままだと思いつつも、実際にそうなのだから仕方ないだろう。
 何しろセーラー服越しに乳房を揉むと、普段とは比較にならない興奮が押し寄せてくるのだ。
 まるで少年の頃に戻ったように、目の前の制服を着た美少女を己の物にしたくてたまらなくなってくるのである。
「あんっ……駄目ですおじさま、やっ……父さまが起き、あんっ……そんなとこ、あっ……やだ駄目、あんっ……」
 セーラー服の下に手を差し込むと、指先にブラジャーの感触を得たため、ついに有紀も女の子らしい下着を身につけ始めたのだと歓喜する。
 そのままブラジャーの下に手を入れ、生で乳房を鷲掴みにする。
「ブラジャー付けたんだね。益々可愛くなった。有紀は本当に可愛いよ」
「やっ、やぅっ……だって学校へ行きますし、あっ……着替える時にブラジャー付けてなかったら、あんっ……変に思われちゃうから、やぁっ……」
 学校で着替える有紀の姿を想像すると、何とも言えない興奮が起きた敦久は、荒々しく乳房を揉みしだいた。
「あんっ、ああっ……おじさま、あぅっ……そんな強く、あんっ……やっ、駄目ですぅっ……」
 その柔らかさの中に硬さの残る感触は、幼い少女ゆえのものに感じられ、自分がそうした青い果実を味わっているのだという悦びをもたらした。
 そのままヤワヤワと乳房を揉みつつ、ベッドへとゆっくり横たえていく。
 セーラー服を捲り上げると、淡いピンク色をしたブラジャーに包まれた白い膨らみが現れた。
 それは何とも可愛らしく、少女らしい初々しさに溢れており、その成人女性には存在しない雰囲気は、肉棒を激しくたぎらせた。
 愛らしい少女が、愛らしいセーラー服を身につけ、愛らしいブラジャーに包まれた、愛らしい乳房を晒している。
 まさに愛らしさの塊である有紀は、敦久にとって何物にも代え難い大切な存在であり、誰にも渡したくない、独占せずには居られない存在だった。
 この愛らしい存在が自分の物。
 そう思うだけで射精してしまいそうなほどの肉欲が湧き起こってくる。
 注ぎ込みたい。
 この愛らしい存在に己の精液を注ぎ込み、自らの物である証を立てるのだ。
 妻と息子が愛の証を生み出したように、自分も有紀との間に子を成すのである。
 そう考えると、落ち着かない激しい衝動が湧き起こった。
 無茶苦茶にしたい。
 有紀を快楽で狂わせたい。
 自分に夢中に、自分無しでは居られないようにしたい。
 信じられないほどの欲情が弾け、敦久は目の前の愛らしい小さな体に襲いかかっていった。
「あっ……やっ、あっ……あんっ、あっ……やぁっ……」
 薄ピンクのブラジャーを押し上げ、プルンっとまろび出た乳房を強く掴むと、荒々しく揉みしだいていく。
 手のひらに少女特有の硬さの残る柔らかい肉の感触が広がり、その何とも言えない気持ちの良さにうっとりとなる。
 やはり生で揉むと、感じられる快感が増して最高だった。
 有紀も同じなのか反応が敏感になっているようで、先ほどより体の震えが強くなっている。
「あんっ、あっ……やぅっ……おじさま、あんっ……やぁっ……やんっ……」
 桜色をした可愛い突起に吸い付くと、頭を仰け反らせ、甘い吐息を漏らしながら逃げるように上へと体を動かす。
 それを押さえ込みながら、さらに強く乳首を吸い、舌で弾くようにしつつ、乳房を回すようにして揉みしだいていく。
「ああぅっ、あっ、あっ……やぅっ……やっ、やぁんっ……」
 あまりに可愛すぎる声を発しながら頭を左右に振り、首筋まで伸びた髪を乱す姿は実にたまらなかった。
 特に白いセーラー服を身につけているという点で、今までには無い興奮が生まれ、敦久はすでに耐え難い自分を感じていた。
 早く入れたくて仕方のない衝動が押し寄せてきているのだ。
 大人の男としては、幼い有紀をもっと気持ち良くさせ、余裕を持って挿入する形にしたいのだが、それ以上の激しい欲求が落ち着きの無さを生み、すぐにでも入れなければおかしくなってしまうような状態になっていたのである。
「有紀っ、有紀ぃっ……」
 震える手で紺色のスカートを捲り上げると、現れた少女らしい薄ピンク色のパンティに益々興奮を高めながら素早く脱がしていく。
 秘所はすでに濡れており、肉棒を押し込んでも大丈夫なほどになっていた。
 その事に、有紀も自分と同じく激しく興奮しているのだと嬉しくなった敦久は、細い両脚を持つと、左右に開いて間に腰を入れていった。
「おじ、さまぁ……」
 潤んだ瞳でこちらを見つめながら、ぼんやりとした声で告げてくる可愛らしい声に頷きつつ、勢い良く肉棒を押し込んでいく。
「あぅんっ……あっ、ああっ……」
「くぅっ、くっ……」
 途端、押し寄せてくる快感に頭を仰け反らせつつ、肉棒に絡み吸い付いてくる膣の感触にうっとりとなる。
 眼下では有紀が幸せそうな笑みを浮かべながら、ピクピクと体を震わせており、その様子に有紀と身も心も繋がり合えた実感を得た。
 そうした肉体的・精神的快楽が欲情に火を付け、敦久は狂ったように腰を振り始めた。
「あっ、あっ、ああっ……やっ、やっ、やぁっ……」
 あまりの興奮から、テクニックも何も無い、とにかく腰を動かすだけの動きをしてしまう。
 まるで初体験をしている時のような震えるほどの悦びが全身を駆け抜け、そうせずには居られなくなっているのだ。
 有紀を自分の物としたい。
 有紀と気持ち良くなりたい。
 有紀ともっともっと快楽を味わい合いたい。
 そうした激しい想いが体を突き動かし、擦り合わせることで得られる快感と、互いの肉体を感じることで満ちてくる愛情を求めさせた。
「あんっ、ああっ……おじさま、はぅっ……おじさまぁっ……やっ、やっ、やぁんっ……」
 細い腕と脚が背中と腰に絡みつき、逃すまいとするかのように抱き締めてくるのに悦びが溢れる。
 目の前に迫る愛らしい顔は快楽と愛情に溢れており、その自分に対する強い想いにさらに腰の動きが激しさを増していく。
「んんっ、んっ、んふぅっ……ああっ、あっ、あんっ……やぅっ、やっ、やぁんっ……あっ、あっ、あぁあああああっ」
 可愛い唇に吸い付き、小さな舌を吸いながら荒々しく肉棒を突き込むと、突然有紀の体がガクンと跳ね、力が抜けたようになった。
 どうやら軽くイってしまったらしい。
「おじさまぁ……ボク、イっちゃったぁ……」
 とろんっとした表情でそう告げてくるのに激しい愛おしさが湧き起こる。
 これほど早く絶頂を迎えるというのは、それだけ与えられた気持ちの良さに染まったということであるからだ。
 その事に嬉しさを覚えつつ、敦久はゆっくりと上半身を起こしたのだが、その瞬間、階下で物音がしたためギョッとなった。
 先輩が目を覚ましたのかも知れない。
「あ……父さまが、起きたみたいですね……じゃあ、止めないとぉ……」
 絶頂の余韻に浸った声で有紀が告げてくる。
 あまり危機感を感じさせない口調ではあるが、止めるつもりなのは本気らしく、体を起こそうとしている。
 それを敦久は慌てて押しとどめた。
 確かに先輩が起きたのであれば、すぐにでも止めるべきだったが、まだ射精に至っていないため耐え難かったのだ。
「おじさま……?」
 不審そうな表情でこちらを見つめてくる有紀は、再び起きようとしたが、それをまた押さえつける。
 それほどに敦久は、有紀とのセックスを続けたくてたまらなくなっていたのである。
 何しろ今眼下に見えるのは、あまりにも愛らしすぎる少女の姿だった。
 幼い顔を快楽で上気させ、焦点の合わない瞳でこちらを見つめながら微笑みを浮かべているのが可愛らしくもいやらしく、ショートカットの髪が乱れ、数本が汗で額に張り付いているのが色っぽい。
 はだけた白いセーラー服からは初々しい乳房が露わになっており、制服の持つ清楚な雰囲気に不似合いな乱れた状態は、通常の服よりも強烈に肉欲を刺激するものがあった。
 捲れ上がった紺色のスカートからは白く細い太ももが見え、その中心に己の肉棒が突き刺さっているのは、自分が愛らしい存在と一つになっていることを実感させて喜びを感じさせた。
 それを見ている内に、先ほどより強烈な、抑えきれない肉欲が湧き起こり、敦久はその衝動に流されるまま激しく腰を振り始めた。
「あんっ、あんっ、ああんっ……おじさま、あっ……駄目ですおじさま、ああっ……父さまが、あんっ……父さまが来ちゃう、やっ……駄目、あっ……駄目ですよぉっ……やっ、やぁんっ……」
 有紀は慌てた様子で逃げるように体を上へ動かしたが、追うようにして強く肉棒を押し込むと、顎を大きく仰け反らせて悶えた。
「大丈夫っ。大丈夫だからっ……先輩は来ないよっ。来ないから大丈夫だっ」
 何の根拠も無くそう告げながら、激しく腰を動かしていく。
 未だに階下では物音がしていたが、その事に恐怖を覚えつつも、そのために興奮を高めているのも事実だった。
 見つかったらどうしよう、という想いは恐ろしさと共に甘美な快楽となっていたのだ。
 先輩に隠れて、先輩の娘を抱いている。
 改めてその背徳的な行為の罪と悦びを実感したのだろう。
 驚くほどに肉棒が硬く大きくなり、震えるほどの恐怖と快感が押し寄せてきた。
 先輩との信頼関係が終わるかも知れないという恐怖は、極上の甘美な刺激となって肉欲を高ぶらせたのである。
「あんっ、駄目、やっ……駄目おじさ、はぅっ……駄目、あっ、あっ、ああっ……駄目なのにぃ、あっ、あっ、ああっ……」
 先ほどより荒々しい突き込みに、有紀はだんだんと蕩け始めた。
 何しろ絶頂の快楽に浸っていたのだからそうなっても当然だろう。
 このまま有紀を気持ち良くさせ、今度は一緒に絶頂を迎えるのだと、敦久は激しく腰を振っていった。
「やっ、やっ、やぁっ……凄い、あぅっ……凄いですおじさま、ああっ……凄いっ、凄いよぉっ……」
 すっかり意識が快楽に向いたのか、有紀から心配した様子が消え、こちらを褒め称える言葉を発するようになっている。
 その事に満足感を覚えつつも、こんな状況に先輩がやって来たらと思うと、強烈な恐怖と快感が起き、さらに腰の動きが荒々しくなっていった。
「あぅっ、あっ、ああんっ……もっと、あっ……もっとぉ、ああっ……もっとお願いぃっ……おじさま、やっ……おじさま、やぅっ……おじさまぁっ……」
 首筋まで伸びた髪を振り乱し、泣きそうな声で甘く叫ぶ有紀の姿は、蕩けるような刺激となって肉棒を直撃した。
 普段から可愛い声だと思っていたが、淫靡な雰囲気を纏うと、これほどまでにいやらしくなるのかと驚くばかりだ。
 この声を、この声をもっと聞きたい。
 この声でもっと自分を求めさせたい。
 その衝動が、それまで以上に強く大きく肉棒を突き込ませた。
「やっ、やぁっ……ボク駄目、あっ……ボク駄目ですぅ、ああっ……ボクもうイっちゃ、ああっ……ボクもうイっちゃうのぉっ……やぅっ、やっ、やぁっ……」
 絶頂が近いらしいその言葉に、敦久の射精感も一気に高まった。
 今度こそ一緒に最後を迎えるのだ。
 愛らしい有紀の中に精液を注ぎ込むのである。
 そう決意すると、肉棒がさらに硬く大きくなり、腰の動きも強く大きく荒々しいものへとなっていった。
「あんっ、あんっ、ああんっ……凄いっ、凄いっ、凄いのぉっ……はぅっ、はっ、はぁんっ……おじさまっ、おじさまっ、おじさまぁっ……やっ、やっ、やぁああああああああんっ!」
「有紀ぃっ!」
 互いを呼ぶ声が部屋に響き、その瞬間、精液が迸った。
 ドピュッ、ドピュッ、ドクドクドクドクドク……。
 肉棒が律動するたびに凄まじい快楽が押し寄せ、意識が真っ白になる感覚を覚える。
 眼下では満足げな表情を浮かべた有紀が、か細い吐息を漏らしながら、体をピクピクと震わせている。
 この可憐な愛らしい少女。
 それを自分は手に入れたのだ。
 これからも愛し合い、快楽を与え合っていこう。
 そんな想いを抱きながら、敦久は最後の精を放ち終えると、小さな少女の体の上に身を横たえていくのだった。












あとがき

 少年から少女に変わった相手を抱いてしまう。
 しかも凄く世話になっている先輩の子供を。
 という話でした。
 別に最初から女の子でもいい感じはしますが、ポイントになっているのは辛さに基づく「追い詰められ感」なので、それを出すために性別が変わる要素を入れてみた次第。
 順風満帆だった人生に突如襲いかかる障害として性別変化を入れた訳ですよ。
 それと「見慣れていた少年が突如美少女として現れる」ってのもありますか。
 自らも追い詰められた状態であるがゆえに、肉欲に流されてしまうのですな。
 んで最後はラブラブ、と。
 元男ってのはともかく、年齢差が凄いですから果たして結ばれるのか難しいところですが、二人には頑張ってもらいたいところです。
(2012.9.1)



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