淫靡な姉弟


 貴史(たかし)は、友人達と談笑していた。
 話題は最近、友人の一人である圭介に出来た妹の事だ。
 貴史達は高校生であったため、それだけ歳の離れた妹というのは珍しかったし、何より圭介が凄く嬉しそうにしていたため、冷やかし半分で話題にしていたのである。
「お前ホント兄バカだよな。妹の結婚式で号泣するタイプじゃねぇか?」
「言える言える。圭介くんは妹さんに凄く夢中だから絶対そうなるよ」
 貴史の言葉に、隣に居る光流(みつる)が可笑しそうに笑った。
「うるさいな。いいだろ、可愛いんだからさ……」
 圭介は照れた様子で口調をキツくしているが、そうして妹の事を言われるのが内心嬉しいのが丸わかりだった。
 何しろ母親が妊娠したという話をしてきた時などは、かなり有頂天になっていて、クラスの皆が一体どうしたのかと驚くほどだったのだ。
 それから事情が広まっていく内に、圭介のあだ名は親バカならぬ兄バカになったのである。
「そういや新しい写真は見せたっけ? 今度のはまた可愛くてさ……」
「あ〜〜、それ昨日見たぞ」
「え? そう? あれおかしいな? こっちだったっけ?」
 圭介は手元にある携帯をいじりながら、楽しげにしている。
 その様子を見た貴史は、本当に圭介が元気になって良かったと思っていた。
 高校受験に失敗した時などは、死ぬのではないかと思えるほどに落ち込んでいたからだ。
 合格発表会場から家まで付いていこうかと思ったくらいであり、凄く心配していたのである。
 それがしばらくすると徐々に元気になっていって、今やこうして兄バカを襲名するほど元気になっているという訳だった。
「これは見てないだろ? 昨日撮ったヤツだし」
「あ、そうだね、これは見てないよ。初めてだ」
 光流の言葉に視線を向けると、確かに見たことのないらしい写真が目に入った。
 とはいえ、もう何十枚と見せられているので、どれがどれやら分からないのだが。
「可愛いだろ〜〜? 凄く可愛いだろ〜〜?」
 自慢げにそう言いながら写真を見せつける圭介に苦笑する。
 以前は大人しい性格だったはずなのだが、今や妹自慢の兄バカ野郎になっていて、クラスのあまり話した事のない相手にすら写真を見せて回るほどであったため、その変化に貴史は驚いていた。
 それだけ妹の存在が圭介を変えたという事なのだろうが、考えてみると、それ以前から少し性格に変化があった事を思い出す。
 入学式に久々に会った圭介は、かなり元気になっており、母親に悪ふざけをするほど陽気だったのだ。
 しかも母親が美人だと褒めても、照れることなくそれを平然と受け入れるような余裕まで見せたのである。
 自分達の年頃からすると、母親を褒めると照れ隠しをすると思うのだが、そうした事が無かったのだ。
 とはいえ、あの時見た圭介の母親は非常に美人であり、そうした事に慣れていたという事なのかも知れないが。
「そういや母親が美人だからな。その娘が可愛くても当然だろうよ」
「え? そうなの? 圭介くんのお母さんって美人なのかい?」
 貴史の言葉に、光流は興味を持って尋ねてきた。
「ああ、スゲェ美人だぜ。普通に女優やっててもおかしくないくらい。スタイルも凄く良くてさ、オッパイデカいんだこれが。いやはや、あんな素敵なお母さんじゃ、思わず抱かせて下さいってお願いしたくなるよ。って、実は圭介の童貞はお母さんに捧げてたりしてな」
「何言ってるんだよ貴史くん。それじゃエロ漫画の世界だよ。いくらなんでもそりゃちょっと。自分の母親とするってのはねぇ……でもそう思えちゃうくらい美人って事なんだよね? うわぁ〜〜、一度見てみたいなぁ……あ、そうだ。お母さんの写真って無いの?」
「……」
 光流の問いかけに、圭介は応えなかった。
 何やら俯いて暗くなっていたためギョッとなる。
 一体どうしたのだろう。
「お、おい。どうしたんだよ。急に暗くなって……」
「どこか具合でも悪いのかい?」
「……い、いや……何でもない……ちょっと嫌な事を思い出しただけで……」
「嫌なこと……?」
「あ、あ〜〜、大したことじゃないよ。気にしないで……それよりそうだ、こっちの写真は見せてたっけ?」
 圭介は不意に元気な様子になると、携帯を慌てていじっている。
 しかしそれはいかにも空元気といった感じであったため、無理をしているのが分かったが、その事を指摘するのは止めておこうと貴史は思った。
「これは見てないかもね。うん、可愛いじゃない妹さん」
 光流もそう思ったのか、圭介の言葉に合わせている。
 その様子を見つつ、貴史は圭介が暗くなった理由を考えてみた。
(もしかして、両親の事かな?)
 以前、両親の仲が悪くなっていると少し聞いていたからだ。
 あれは確か母親の妊娠について知らされた頃だったか、両親の間がギクシャクしているので辛い、というような事を言われたのである。
 原因については聞かなかったが、妊娠するほどの仲の良さがあるのに、何故関係がおかしくなるのか貴史には分からなかった。
 まあ、妊娠後に仲が悪くなったとすれば関係ないのだが、夫婦に子供が出来るというのは仲の良さの象徴に思えるため、どうにもしっくり来なかったのだ。
(実は親父さんの子供じゃない、ってのが発覚したとかな……)
 思わず下劣な想像を膨らませてしまう。
 あれほど美人でスタイルのいい母親なら、どこかの男が手を出してもおかしくないから、それで揉めていると考えれば納得出来たからだ。
 とはいえ、それはあまりに飛躍しすぎというものだろう。
 そもそもそんな相手との子供を産むとは思えなかった。
(いや、でも元々夫婦仲が悪くなっていて、それで浮気した結果だとすれば、離婚してそっちの男とくっつくって事もあり得るよな……それで圭介も暗くなってるとか?)
 我ながら上手い推測だと思いつつ、もし本当だとしたら何とも言えない状況だった。
 両親の離婚に、父親の異なる妹。
 それはキツすぎるだろう。
「ほら、可愛いだろ〜〜? まさに美少女って感じで」
 だが顔をだらしなくさせた圭介を見ていると、自分の考えていた推測が嘘くさく思えてくる。
 母親の浮気の結果として産まれた妹を、ここまで溺愛するとはさすがに思えなかったからだ。
 きっと理由は他にあるに違いない。
 何とも失礼な想像をしてしまったと思いつつ、そのお詫びを兼ねて妹の事を褒めてやろうかと写真に視線を移した時だった。
「あ、あれって、貴史くんのお姉さんじゃない?」
 光流の言葉に意識がそちらへ向く。
 見ると校庭のベンチに姉が座っているのが見えた。
 一つ年上で凄く可愛い、貴史の自慢の姉だ。
 腰の辺りまである長い黒髪が風に揺れており、美しさを感じさせた。
「いつ見ても可愛いよね。それに大きいなぁ……」
 光流は感嘆したように呟いている。
「大きい」とは姉の胸の事だった。
 胸元で存在感を主張するそれは、制服の上からでも大きさが十分分かるほどであり、周囲に居る男子生徒の視線を集めている。
 他人であれば自分も同じようにいやらしい目で見ただろうが、貴史はその事に少々腹が立っていた。
(姉ちゃんは、胸だけじゃねぇんだよっ……)
 姉の良さはその優しい性格であり、誰にでも親切で気を遣う内面にあった。
 顔の可愛さや胸の大きさにしか意識が向かないというのは、姉を表面でしか見ていない事になったため、そんな事で評価されるのが嫌だったのだ。
 とはいえ、褒めている事には変わりないので、怒りをぶつける訳にはいかなかったのだが。
「って、一緒に居るの……何あれ?」
 圭介の声にハッとなる。
 確かに姉の傍に一人の男子生徒が立っていて、何やらニヤケながら話しているのだ。
「まさか付き合ってる男とか? そうなの、貴史くん?」
「……」
 光流の質問に答えられない。
 何しろ貴史も知らない男だったからだ。
 これまで姉に交際を申し込んだ男は沢山居たが、そのたびに姉は断っていた。
 そのせいか、貴史にとって姉は絶対男と付き合わないような印象があったのである。
(嘘だろ……嘘だよきっと……ただのクラスメートで、ちょっと世間話をしてるだけだって……)
 そう思いながら姉の表情を伺うと、何とも楽しそうな顔をしており、その事にショックを受ける。
 ただのクラスメートに向ける笑顔とは思えなかったからだ。
 まるで恋人同士が話しているように見えたのである。
 隣では圭介と光流が何か話していたが、耳に入らず、貴史はどうしてこんな事になったのかと動揺しながら、姉が校庭から去るまでジッと見つめ続けるのだった。


 それからが地獄だった。
 数日後、姉がその男を家へ連れてきたからだ。
 ヘラヘラした感じのその男は、確かに顔はいいが、どこか軽薄そうで真面目な雰囲気を欠片も感じさせなかった。
 いつか姉にも恋人が出来るだろうと覚悟はしていたが、貴史が想像していたのは、誠実そうで男らしく、姉の事を支えてくれる雰囲気を持った男だった。
 要するに自分よりも優れていて、姉を任せられると安心出来る男だったのだ。
 それが、何故寄りにもよってこの男なのだろう。
 男は適当に頭を下げて挨拶を済ませると、姉に連れられ、姉の部屋へと入っていった。
 何を話し、何をしているのかが気になって仕方の無い貴史は、自分の部屋で落ち着きなく歩き回り、もし姉の悲鳴が聞こえたらすぐに駆けつけようと決意していた。
 しかし何事も起こること無く、少しすると男は帰っていった。
 玄関のドアが閉まると同時に、姉に駆け寄り、表情は暗くないか、服は乱れてないかと確認する。
「貴史、どうしたの?」
 姉は驚いた様子でこちらを見ている。
「いや、何でもないよ……それより今来たヤツって、姉ちゃんの何なんだ?」
「何って……クラスメートよ。最近よく話してて、私の部屋が見たいっていうから連れてきたの……」
「クラスメートって、今まで男を連れてきた事なかったじゃん。どうして急に……」
「今まではそんなこと言う人が居なかっただけだよ。別にいいでしょ、部屋を見せるだけなんだし」
「そ、そうだけど……」
 姉の態度には不自然さは無かった。
 何か後ろ暗い事をしていたらこうは出来ないだろう。
(って、何だよ後ろ暗いことって……)
 自分で自分にツッコミを入れる。
 貴史としては、姉があの男に抱き締められたり、キスをされたり、胸を触られたりしたのではないかと思っていたのだ。
 だがもしそういう事をされたのだとしても、恋人であれば別におかしくない事だろう。
 姉はああは言っていたが、今まで男を家へ連れてきた事など無かったのだから、絶対あの男と付き合っているに違いなかった。
 そしてあの男は、姉の部屋で姉に対していやらしい行為をしたのだ。
 姉の体を抱き締め、好きなように触れまくったのだ。
 頭の中に姉が男に抱かれる姿が浮かび、おかしくなりそうになる。
「くそっ、姉ちゃんの馬鹿野郎っ……」
「な、何よ馬鹿野郎って……ちょっと貴史、待ちなさいっ」
 思わず姉に憎まれ口を叩いて自分の部屋へと逃げていってしまう。
 こんな言葉を姉に言うなんていつ以来だろう。
 小学生以来だろうか。
 あの頃は、そんな事を言ったら捕まって頭を叩かれたものだが、姉は追って来なかった。
 それはそうだろう、お互いもう高校生だ。
 そのような子供っぽい事をするはずがなかった。
 自分にしても、何と幼い行為をしたのかと恥ずかしくなってくる。
 姉もきっと笑っているに違いない。
 だがその後に、姉が自分の部屋であの男の事を考えているのではないかと思うと、激しい悲しみが湧き起こった。
(姉ちゃん……うぅ……姉ちゃん……)
 思わず涙ぐんでいる自分に気がついて驚く。
 まさかここまでショックを受けているとは思わなかった。
 これまで気づいていなかったが、どうやら自分はかなり姉が好きだったらしい。
 というよりシスコンと言うべきだろう。
 何しろ姉を取られる事に怯え、許せないと思っているのだから……。
(あいつ……あいつを何とか出来れば……)
 自分と姉の間に突如現れた邪魔者。
 あの男を消す事が出来るのなら何でもするだろう。
 貴史はそんな事を思いつつ、姉がさっさとあの男と手を切る事を願うのだった。


 それから数日が過ぎた。
 姉は相変わらずあの男と親しくしているようで、貴史は何度か学校でそうした様子を見ていた。
 姉の楽しそうな顔を見るたびに胸が締め付けられるように痛み、どうしてそんな男と仲良くしているのだと姉を恨みもした。
「ほら、何やってるの貴史。ネクタイが曲がってるわよ」
 とはいえ、姉に優しくされるとそんな想いも消えてしまうのだが。
 今も姉が制服のネクタイを直してくれていて、時折顎に手が触れるだけで嬉しくなってしまう。
 目の前には可愛い顔があり、大きな胸が制服を押し上げていて、もう少し前へ体を動かしたら触れられそうな位置にあった。
(姉ちゃんのオッパイ、触ってみたいなぁ……)
 姉が手を動かすたびにフルフルと揺れる胸は、実に魅惑的な存在だった。
 悪ふざけのノリで触ったら、姉は怒るだろうか。
 そんな事を思ってもみるが、とてもではないが実行する勇気はなかった。
(でもあいつは……それをしてるんだよな……)
 確証を得た訳ではないが、貴史は姉があの男にいやらしい行為をされていると思い込んでいた。
 あのスケベそうな男が、姉と付き合っていて手を出さないはずが無いからだ。
 貴史は激しい怒りを覚えたが、その瞬間、姉の手が顎に触れたため幸せな気分になった。
「よし、出来た……もう、こういう事は自分で出来ないと駄目でしょ? ホントいつまで経っても子供なんだから」
 姉は呆れたように言いながら、ポンっと頭に手を乗せてきた。
「ふふ、でも背は大きくなったよね。私よりこんなに大きい。そのうち頭に手が届かなくなっちゃうかな?」
 そんな姉の言葉に思わず目頭が熱くなる。
 幼い頃から自分はこうして姉に愛されて来たのだという想いが込み上げてきたからだ。
 そしてその幸せな日々があの男によって壊されてしまった。
 許せない。
 絶対に許せなかった。
「それじゃ学校行こう? そろそろ行かないと遅刻しちゃうよ?」
「あ、うん……」
 ニコリと微笑んだ姉が身を翻すと、制服のスカートがフワッとなって白い太ももが見えた。
 その形の良い脚を思わず凝視しつつ、こんな可愛い女の子と毎日一緒に登校出来る自分は何と幸せなのだろうと思う。
(って、俺……姉ちゃんの事ばっか考えてるな……)
 姉にあの男が付きまとい始めてから、貴史の頭は姉の事で一杯だった。
 以前から姉の事は好きではあったが、ここまで執着している事はなかった。
 あの男が現れてから、自分の中にある姉に対する強い愛情を意識するようになり、それと共に歪んだ独占欲を感じるようになっていたのだ。
 誰にも姉を渡したくない。
 実の弟が姉に対して抱くには似合わない、熱い感情が沸々と湧き起こっていたのである。


 不意に聞こえた声に貴史は身を固くした。
 それは姉の声、それも嫌悪を表す声だった。
 その瞬間、体が動き、転がるようにして部屋から飛び出す。
 今日も姉はあの男を家へ連れてきていたのだが、何かあったのかも知れない。
 いや、あったのだ。
 でなければ姉があんな声をあげるはずがないからである。
 激しい不安で一杯になりながら、震える手で姉の部屋のドアを開ける。
「!……」
 中の光景を見た瞬間、貴史は体が硬直した。
 制服のブラウスの前をはだけた姉が、涙を浮かべて怯えたようにしていたからだ。
 その様子を認識した貴史は、一瞬意識が遠のいた。
 そして頭の中に、幼い頃から一緒に暮らしてきた姉との思い出が浮かぶ。
 それは実に幸せで楽しい、素晴らしい日々だった。
 それが今、目の前で破壊されようとしている……。
「う……う……うぁああああああああっ!」
 強烈な怒りが湧き起こり、貴史は目の前に立つ男に体当たりしていった。
 派手な音がして男が床に倒れる。
 貴史はそのまま男の顔に向かって拳を繰り出した。
 鈍い感触と共に手に痛みが走り、男を殴ったのだというのが分かった。
 自分に人が殴れたという事に驚きを覚えつつ、続けて殴り続けようとした瞬間、突然腹に痛みが走ったかと思うと、体が後方へ浮いた。
 蹴りを入れられたのだ。
 床に倒れ、腹に感じる痛みにうずくまる。
「いきなり何しやがる。おい、どういう事だよ。何だ、お前の弟は」
 男が問いかけているが、姉はオロオロした様子で何も答えない。
「チッ、しょうがねぇな。まあいいさ。今後の事もあるし、自分の立場ってものを教えといてやるか」
 男はそう言うと近づいてきた。
 一方貴史は、蹴られた衝撃で先ほどまであった勢いが無くなり、人を殴ったという事実に恐怖を覚えた。
 そして蹴りを入れられた痛みと、これからこの男にされるであろう事に恐れが起きてくる。
 元々喧嘩などした事なく、先ほど男を殴ったのにしても勢いだった。
 姉が襲われた、と思った瞬間、頭が真っ白になって体が勝手に動いたのだ。
 もし蹴られずにいたら今も殴り続けていただろうが、一旦冷めてしまった頭では再び殴りかかるような気力は起きなかった。
「舐めた真似しやがってっ」
 男は貴史の胸ぐらを掴むと殴りつけてきた。
 激しい痛みが左頬に広がり、意識が朦朧とする。
 そのまま何度も頬に痛みが走り、貴史は訳が分からなくなりながら、徐々に意識が薄れていくのを感じた。
 気がつけば床に横たわっており、男がこちらを見下ろしながら蹴りを入れてきているのが認識出来た。
 感覚が薄れているせいか、痛みはあまり感じず、自分がどうしてこんな目に遭っているのだろうという悲しさだけがあった。
「お願い、もう止めて」
「うるせぇなっ。引っ込んでろっ」
 自分を助けようとしてくれた姉が、男の腕にぶつかって後ろへよろけている。
(!……)
 その姿を見た瞬間、再び貴史の怒りに火が付いた。
 自分の事はどうでもいいが、姉を、大好きな姉を酷い目に遭わせるヤツだけは許しておけない。
 体の奥底から強烈な力が湧き起こり、貴史はそのまま勢い良く起き上がった。
「ぐがっ……」
 まだ姉の方を見ていた男は、貴史の頭突きをもろに顎に食らう形となり、フラフラとよろけ、近くにあった棚に頭をぶつけると、倒れて動かなくなった。
 棚には血が付いており、男が怪我をしたのが分かる。
 姉の小さな悲鳴が響き、自分のした結果としてこうなった事に恐怖を覚えた貴史は、体をガタガタ震わせながら、倒れている男を見下ろした。
「……」
 男はピクリとも動かず、怪我をした頭部の傷が生々しさを感じさせ、その事にさらなる恐怖を覚えた。
「きゅ、救急車を……救急車を呼ばなくちゃ……」
 姉はオロオロと周囲を見回すと、置いてあった携帯電話を手にとって操作している。
 貴史はその様子をボンヤリ認識しつつ、目の前に倒れ伏して動かない男の姿を見つめ続けるのだった。


「貴史……」
 自分の部屋で床に座っていると、姉の声が聞こえたため顔を上げる。
 姉は悲しそうな表情を浮かべながら部屋へ入ってくると、近くに腰を下ろした。
 美しい姉の顔が暗くなっている事に悲しさを覚えつつ、そうしてしまったのが自分だという事にさらに悲しくなった。
「怪我は大した事ないって……すぐに治るくらいの傷だから……」
 その事にホッと息を吐き出す。
 血が出ていたため、大けがのように思えていたのだが、どうやらそうでも無かったらしい。
 姉に酷い事をしたとはいえ、大けがをさせてしまっては後味が悪かったからだ。
「でも……意識が戻らないの……」
 その言葉にギョッとなる。
 もしかして何か脳に障害を与えてしまったのだろうか。
 頭の怪我というのは怖いのだと、以前テレビで言っていたのを思い出し、やはり自分はとんでもない事をしてしまったのだと怖くなった。
 このまま目を覚まさなかったらどうしよう、と思いつつ、目を覚ましたら怪我をさせた事を訴えられるのではないかという恐怖が湧き起こる。
 あの男が怪我をしたのは、経過はどうあれ自分のせいなのだから、訴えられても当然なのだ。
 そうなったら警察に捕まったりするのだろうか。
 刑務所に入ったりするのだろうか。
 そんな事を考えつつ、けが人よりも自分の身の心配をしている事に嫌になる。
(でもあいつは、姉ちゃんに酷い事をして……俺にだってあんな……)
 だがあの男が殴ってきたのは、こちらが先に手を出したからだろう。
 そもそも何があったのか分からないのに殴ったのは早計だった。
 もしかしたらそれほど酷い事ではなかったのかも知れない。
 悪ふざけをしていただけかも知れないのだ。
 そうなれば悪いのは貴史の方になった。
 とはいえ、姉のあの姿を見た瞬間、頭が真っ白になって体が勝手に動いたのだから仕方ないだろう。
 自分でもあんな事が出来るとは驚きだった。
「お医者さんには……転んで頭を打ったって、言っておいたから……」
「!……」
 姉の言葉にハッとなる。
 それでは嘘ではないか。
 あの男が頭を打ったのは、転んだからではなく、自分が頭突きを食らわせたからなのだから……。
「だって本当に転んだんだから……確かに貴史の頭が当たったからああなったけど、頭をぶつけたのは転んだからでしょ……?」
 確かにそれはそうだが、そんな言い訳、あの男が目を覚ましたら通用しないだろう。
 頭突きをされたから倒れて頭を打った、と言ってくるに違いない。
「だから貴史は悪くない……悪くないから、気にしないで……」
「!……気にするよっ。だって俺があんな事したからっ……あいつは頭を打って……怪我をして……病院に……入院してるんだよ……」
 言葉にすると恐怖が湧き起こり、徐々に声が小さくなっていく。
 改めて人に危害を加えたのだという事が認識され、自分がとんでもない事をしたのだと思えてきた。
 体がガタガタと震え始め、どうすればいいのか分からなくなってくる。
「それにあいつだって……目を覚ましたら俺のこと、警察に言うかも知れないし……そうなったら俺……少年院行きかも……」
「馬鹿なこと言わないでっ」
「!……」
 突然の大きな声に体をビクッと震わせる。
「貴史はっ、貴史は悪くないっ……悪くないよ……だって私のこと、守ろうとしてくれたんでしょ? 私があんな風になってたから……それで心配して……助けようとしてくれて……それなのに少年院だなんて……そんなの無いっ。絶対に無いからっ……お姉ちゃんが絶対そんな事させないからっ……」
 姉はそう叫ぶと強く抱き締めてきた。
 すると柔らかな感触が感じられ、その事にホッとした想いを抱く。
 幼い頃は悪ふざけで何度も触れた姉の体だったが、久々に触れたその感触は何とも心地良く、幸せな気分にさせられるものがあった。
「姉ちゃん……俺、俺ぇっ……」
 貴史は涙を浮かべながら叫ぶと、姉の体を抱き締め返した。
「貴史ぃ……」
 姉も強く抱き締めてきて、気持ちのいい柔らかさが体の前面に広がった。
(ああ……姉ちゃん……姉ちゃぁん……)
 姉の自分を想う気持ちが強く伝わってきて、貴史は夢中になって抱き付いていった。
 背中に回された手が優しく体を撫で、耳元では「大丈夫。大丈夫だから」と囁かれるのに、温かな気持ちが広がっていく。
 ああ、姉は何と優しいのだろう。
 そして何と自分を大切に想ってくれているのだろう。
 貴史の心は、姉に対する感謝と、姉が好きでたまらない気持ちで一杯になった。
(姉ちゃん……俺はやっぱり姉ちゃんが大好きだ……)
 そんな事を思いながら、しばらくそうして姉の体温を感じつつジッとしていると、徐々に心が楽になってくるのが分かった。
 そして余裕が出来たせいか、今自分が感じている肉体の感触に、それまでと違った認識を覚えるようになった。
 女の体、としての認識だ。
(姉ちゃんの体って……こんなに柔らかかったんだ……)
 幼い頃は相撲やプロレスごっこなどをして何度も触れていたが、その頃にはこうした柔らかさは無かった。
 何というか、こちらの力を受け止めるクッションのような感じがあり、抱き締めていると何とも気持ちのいい感覚が湧き起こってくるのだ。
 貴史はもっとこの気持ちのいい感触を味わいたくなり、姉の体に自らの体を擦りつけるようにしていった。
「貴史……大丈夫、大丈夫だよ……」
 姉はその動きを不安からくるものだと思ったのか、優しく頭を撫でてくれている。
 その事に嬉しさを覚えつつ、そう言えば昔も何度かこうして頭を撫でられた事を思い出した。
 普段はうるさいが、自分の事を大切に想ってくれている姉。
 そんな姉が貴史は大好きだった。
 大好きな姉をもっと感じたい。
 そうした想いから、さらに体を擦りつけ、姉の存在を感じるようにしていく。
(姉ちゃん……姉ちゃん……俺の大好きな姉ちゃん……)
 昔から姉は自分一人の物だった。
 何をするのも一緒で、姉がする事は何でも真似して遊んでいた。
 鬱陶しがられた時もあったが、それでも姉と一緒に居たくて泣きながら付いて回ったものだ。
 そんな姉が、他の男の物になる。
 それは耐え難い事だった。
 この優しい姉を取られるなど、信じたくも無かった。
 姉は自分の物。
 自分だけの物なのだから……。
 激しい独占欲が湧き起こり、それと共に姉をもっと自分の物として感じたい想いが押し寄せてくる。
(姉ちゃんの……体……気持ち、いぃ……)
 強く擦りつけるようにして抱き締めると、姉を自分の物に出来たように感じられて嬉しくなる。
 そして体の前面に溢れる気持ちの良さに蕩けるような快感を覚えた。
 耳元では姉の呼吸が聞こえ、そのどこか色っぽさを感じさせる吐息にゾクゾクしてくる。
「姉ちゃぁんっ……」
 叫ぶと同時に強く抱き締め、自らの中に取り込もうとせんばかりに力を込める。
「あっ……」
 姉が甘ったるい声を発し、それと共に今まで以上の柔らかさが体の前面に溢れた。
 姉の乳房が、あの大きな膨らみが胸に押しつけられているのだ。
 毎日見ていたが、触れた事のない乳房が、今自分の体に触れている。
 多くの友人達がいやらしい目で見つめてきた乳房の感触を、今自分は味わっているのである。
 そう思うと、何とも言えない優越感と、たまらない興奮があった。
(姉ちゃん……姉ちゃんのオッパイ、気持ちいぃ……)
 もっとその感触を味わいたくなった貴史は、乳房を潰すようにして体を押しつけていった。
 するとムニュリといった感触が広がり、その蕩けるような気持ちの良さにうっとりとなる。
 顔の横にある姉の唇からは荒い呼吸が漏れており、その甘く耳に響く吐息に、股間の肉棒がムクムクと大きくなっていった。
(俺、姉ちゃんの体に興奮してる……)
 普段なら嫌悪感を抱くはずのその状態も、今は何故だか嬉しかった。
 大好きな姉の体に欲情するのは当然のことのように思えたからだ。
(こんなおっきなオッパイした、可愛い女の子……興奮して当然じゃんか……)
 アイドルとして十分に通用する可愛らしい顔に、グラビアアイドルであれば多くの男を魅了するであろう大きな乳房。
 それが今自分の抱き締めている体なのだから、欲情して当たり前だった。
「貴史……大丈夫だよ、貴史ぃ……」
 それにこうして自分を心配してくれる優しさも持っている。
 そんな相手を愛し、求めるのは当然の事だろう。
(俺は姉ちゃんが好きだから……大好きだから興奮してるんだよ……チンチンだって、姉ちゃんだからこうなってるんだ……)
 大好きな姉の体だから、自分は興奮している。
 そう思うと、この欲情した状態も、姉に対する愛情の現れに思えて誇らしくなった。
(姉ちゃん……俺の、俺の姉ちゃん……)
 体を少し放し、正面から姉を見ると、心配そうにこちらを見つめる顔があった。
 今まで見たことのない憂いを帯びた表情が何ともそそり、貴史は心臓がドクンっと跳ねるのを感じた。
(あ、俺……マジでヤバいかも……)
 姉が欲しい。
 今本気でそう思ったのだ。
 この可愛くて優しくて魅力的な少女である姉を、自分の物にしたくてたまらなくなったのである。
「貴史……」
 姉はボンヤリとした口調で呼びかけてくると、潤んだ瞳でジッと見つめてくる。
 その視線に再び心臓がドクンっと跳ね、股間でも肉棒がビクンっと跳ねた。
 もう我慢出来なかった。
 この姉を、素晴らしい姉を、昔から大好きだった姉を、自分の物にしたかった。
「姉ちゃんっ……」
 貴史は強く抱き締めると、そのまま姉の頬に自分の頬を擦りつけるようにした。
 背中に回した手でその柔らかな肉体を撫でながら、体全体を擦り合わせるようにしていく。
「貴史……貴史ぃ……」
 優しく名前を呼びながら、同じように体を擦りつけてくる姉の動きに興奮を覚える。
 姉も自分を受け入れてくれているのだ。
 愛してくれているのだ。
 そう思うと強烈な幸福感が湧き起こった。
 心臓をバクバクと鼓動させながら、貴史は先ほどからしたいと思っていた行動を実行に移す事にした。
 偶然そうなった事を装いながら、唇を姉の頬に触れさせる。
 姉が何か反応を示すかと思ったが、特に何も無かったためホッとしながら続けて頬を擦り合わせ、時折唇で触れていくのを繰り返していく。
 そしてそのまま徐々に唇の位置を姉の唇に近づけていき、いよいよとばかりに唇同士を触れされていった。
「!……」
 それまでと異なる感触が唇に起きた瞬間、姉の鼻から棒のような息が漏れ、体を少し放そうとするのが分かった。
 だがそれ以上の抵抗が無かったため、そのまま体を引き寄せ、頬を擦り合わせながら唇同士を触れさせていく。
「!……」
(姉ちゃんっ……)
 再び姉が体を放そうとしたが、貴史はそれを抱き締める事で抑え込み、唇を強く押しつけていった。
 姉とキスが出来れば、もうどうなっても良かった。
 そうした想いから、姉の頭を抱えるようにし、唇同士を擦り合わせていく。
 姉は呼吸を乱しながら体を放そうとしてくるが、それを抑え付け、貴史はキスを繰り返していった。
 そしてやがてそれだけでは飽きたらず、舌を姉の唇に触れさせ、中に押し込んでいく。
「んんっ……」
 それまで以上に姉が抵抗を示したが、構わず舌を押し込み、口内を舐め回す。
 そのまま姉の頭を下にし、のし掛かるようにして舌を押し込みながら、奥で縮こまっている姉の舌に触れさせると絡み合わせ、強く吸い付いていった。
「んっ……んんっ……んっ、んぅっ……んんっ……」
 しばらくそうしてキスを繰り返していくと、徐々に姉の体から力が抜けていき、重なり合うようにして床に倒れ込んだ。
 唇を放し、ハァハァといった荒い呼吸をしながら上から見つめると、姉は困ったような表情をしてこちらを見上げてきた。
 その様子に色っぽさを覚えた貴史は、手を姉の胸元へ持っていくと、制服のブラウスの上から大きな乳房を掴んだ。
 その瞬間、手のひらに柔らかな感触が広がり、何とも幸せな気分になる。
 何と気持ちのいい感触なのだろう。
 手のひらで掴みきれない量感は何とも言えず、また指を押し返してくる弾力にもたまらない良さがあった。
「……」
 姉は一瞬何か言いかけたが、押し黙り、そのまま視線を逸らしている。
 それを了承の証と受け取った貴史は、続けて乳房を揉んでいった。
 フニュフニュした感触と共に、蕩けるような気持ちの良さが湧き起こってくる。
 大きめの姉の乳房は、極上のクッションのように貴史の指を吸い込み、心地良い感触を伝えてきた。
 多くの男がそうしたいと願って見ていた姉の乳房を掴んでいるのだと思うと、激しい誇らしさと喜びが生まれた。
 そのまま夢中になって揉みしだいていると、姉の唇から小さく「ん……ふ……」といった声が漏れ、感じているのだという事が分かり、その事で興奮が高まっていく。
 自分が姉を感じさせられているのだという認識は、肉棒を痛いほど勃起させ、もっともっとこの柔らかな体を味わいたいという想いを強めていった。
「あ、駄目……」
 制服のブラウスのボタンに手をかけて外し始めると、姉が小さく制止の言葉をかけてきた。
 動きを止めるようにして手が重ねられ、ジッと見つめられたため、貴史はどうすればいいのか困った。
 行為を許してくれているものだとばかり思っていたのに、姉は駄目だと言ってきたからだ。
 しかし頬を上気させ、潤んだ瞳で見つめてくる姉を見ていると、ムラムラとした肉欲が湧き起こり、もっと姉を味わいたくてたまらなくなってくる。
 股間の一物も痛いほどに勃起しており、このまま止めるなどあり得ないだろうという想いを抱く。
 キスも最初は嫌がっていたが、している内に受け入れてくれたのだから、続けても大丈夫だ。
 そう判断した貴史は、そのままブラウスのボタンを外していった。
「……」
 姉は息を飲み、手を押さえつけてきたが、その力はさほど強くなく、姉が本気で抵抗していない事を感じさせた。
 本気であれば、もっと止めるように言うだろうし、暴れたっていい。
 そこまでされれば貴史も止めただろうが、姉は軽く制止する程度で、そうした事はしてこなかった。
 つまり本心では受け入れてくれているのだ。
 そう思いながらボタンを外してブラウスの前を開くと、薄水色のブラジャーに包まれた豊満な乳房が現れた。
 その存在感は圧倒的で、動きを止めて見とれてしまうほどの素晴らしさがあった。
 これまでグラビアで巨乳アイドルの胸を見てきたが、生で見るその迫力は、写真などでは比較にならない凄さがあった。
 何より姉が呼吸するたびに上下に動くその様は、まさにそれがただの肉の塊ではなく、姉という魅力的な女の一部である事を感じさせた。
 冷たい写真ではなく、温かな女体の一部なのだ。
(姉ちゃんの……オッパイ……)
 薄水色のブラジャーに手をかけ、それをゆっくり引き下ろす。
 するとプルンっといった感じで乳房がまろび出て、存在感が増した。
 呼吸に合わせて動くその白い膨らみは、頂点に桜色をした突起があり、何とも言えない美しさを感じさせた。
 それでいて男心を擽る魅惑的な雰囲気を放っていて、貴史は自分の体の中に落ち着かない衝動が起こるのを感じた。
 呼吸が乱れ、肉棒がビクンビクンと動いて治まらない。
 この膨らみに触れずには居られない。
 掴んで揉み回し、舐めて吸い付きたい。
 そんな事を思いながら姉の顔を見ると、困ったような表情であらぬ方向を見ているのが目に映った。
 そして一瞬こちらに目を向けたかと思うと、慌てて視線をそらしたため、その様子にゾクリとした想いを抱く。
 可愛らしい顔が悩ましげになっていて、その色っぽい様子にゴクッと唾を飲み込む。
 はだけた制服のブラウスと相まって、それは何とも男を誘う魅惑的な状態になっており、貴史は自分の中に経験した事のない荒々しい衝動が起きるのを感じた。
 もう抑えられなかった。
 姉を、大好きな姉を、自分の物にせずにはいられなくなったのだ。
「姉ちゃんっ……」
 叫んだつもりが、擦れた声しか出ないのに驚きつつ、姉の乳房にむしゃぶりついていく。
「あ、嫌っ……」
 小さな拒絶の声が聞こえたが、それに構わず乳首に吸い付き、乳房を揉む。
 初めて生で触れる乳房は何とも心地良く、直接肌に触れて揉みしだく行為は、蕩けるような気持ちの良さを手のひらに伝えてきた。
 滑らかな肌は、触れているだけで最高であり、そこに女を感じさせる柔らかな肉の弾力が加わると、もうそれだけで頭がどうにかなってしまうのではないかという悦びを覚える。
 桜色をした乳首は、口に含むとコリコリとした感触があり、その独特の硬さは、吸い、舐めているだけで心地良い想いを感じさせた。
 おそらく赤ん坊の頃にそうしていた記憶が呼び起こされるのだろう。
 何より吸っているとたまらず、吸い続けるのを止められない。
 貴史は夢中になって姉の乳房を揉み、乳首に吸い付いていった。
「あっ……駄目っ……嫌ぁっ……」
 姉が否定の言葉を発しながら、体を上方へ動かそうとするが、それをグイと引き寄せる。
 そうした抵抗は、本来であれば姉が悲しんでいる事を感じさせ、やる気を削いだだろうが、今は何故かそうした態度を取られれば取られるほど、もっとしたくてたまらなくなった。
 姉が嫌がれば嫌がるほど、ゾクゾクとした快感が湧き起こり、止めることが出来なくなるのだ。
 自分の行為が姉を感じさせているのだという男としての悦びは、姉を大切にしたい弟としての理性をあっさり駆逐していったのである。
 それよりも大好きな姉の体を味わいたい。
 愛する姉をもっと喘がせ、よがらせたい。
 そうした想いが溢れ、貴史の体を突き動かしていった。
「やっ、やだ、あっ……嫌、あんっ……駄目だよぉっ……」
 姉が頭を左右に振り、必死に逃げようと体を動かす。
 だがそれを押さえ込み、いやらしい声をあげさせるたびに、貴史の中の獣欲は激しさを増していった。
 もう何度揉んだのか分からない姉の乳房は、揉めば揉むほどたまらなくなり、止める事が出来ない。
 掴むと形を変え、放すと元に戻るその物体は、魅惑的なオモチャとして貴史を魅了していった。
 顔を押しつけ、両側から乳房で挟むと、その滑らかな肌の感触と、モチっとした肉の弾力に蕩けるような良さを覚えた。
 ああ、今自分は姉の乳房に覆われている。
 姉に包まれているのだ。
 それは何とも幸せな気分だった。
 そしてもっともっとしたいという欲求が湧き起こり、これだけでは満足出来なくなってくる。
 今股間で激しく猛っている肉棒を、姉の中に入れたかった。
 姉の、可愛らしい姉の、大好きな姉の中に肉棒を押し込み、気持ちの良さを味わいたい。
 姉と一つになって、より強い愛情を感じたい。
 姉の中に入りたい。
 大好きな姉の中に入り込みたかった。
 そうする事で、初めて姉を自分の物に出来るような気がした貴史は、落ち着き無くズボンとパンツを下ろすと、肉棒を取り出した。
「!……」
 姉の息を飲む声が聞こえ、それまで以上に抵抗が激しくなった。
「駄目っ……それだけは駄目っ……入れるのだけは駄目ぇっ……」
 こちらを押しのけ、離れようとするのを抑え付けると、激しい興奮が湧き起こった。
 泣きそうな、恐れを感じているらしい姉の表情は、貴史の理性に強く訴え、今自分のしている行為に躊躇を覚えさせた。
 しかしその一方で「実際にしてしまえば、キスの時のように許してくれるはず」という甘えが生じ、大丈夫だという安心感が生まれた。
 何より大好きな姉の、素晴らしい体の中に自分の肉棒を押し込む行為は、想像するだけでおかしくなりそうなほどの悦びを感じさせたのだ。
 可愛い姉の肉体と繋がり合える。
 そんな事が出来るなら、もう死んでも構わない。
 そうした想いが湧き起こっていたのである。
「姉ちゃんっ……俺、入れたいっ……入れたいんだっ……姉ちゃんのこと、大好きだからっ……姉ちゃんが大好きなんだよぉっ……」
 今まで意識はしていても言葉にした事のなかった想いを告げると、姉の動きが止まった。
 姉は驚いたようにこちらを見上げ、どうしたらいいのか分からない様子でジッとしている。
「だから入れるからっ……入れたいんだっ……姉ちゃんの中にっ……」
 貴史はその隙を逃さず、パンティを脱がすと、姉の両脚を左右に開いた。
 脚の付け根に内蔵を思わせる肉の襞が見え、ぬらぬらと濡れているそこには小さな穴があった。
「!……」
 姉はハッとしたようにして脚を閉じようとしたが、その前に貴史の腰が間に入ったため、逆に引き寄せる状態となった。
 貴史は姉の両脚に強く挟まれている事に気持ちの良さを覚えつつ肉棒を持つと、先ほど確認した穴へ亀頭を近づけていった。
「だ、駄目っ……駄目だよっ……それは駄目ぇっ……」
 慌てて体を放そうとする姉を抑え付け、亀頭の先を膣穴へ接触させる。
「!……や……駄目ぇ……嫌ぁっ……」
 姉の恐怖を感じさせる叫びが部屋に響くが、貴史にはそれが聞こえていなかった。
 すでに頭は「姉と一つになれる」という悦びで一杯になり、そうした様子を認識する事が出来なくなっていたのだ。
 ズブリ……。
「あ……」
「く……」
 亀頭が膣穴にハマった瞬間、柔らかで温かな湿った感触が伝わってきて、その蕩けるような気持ちの良さにうっとりとなる。
 そのまま前へ進めると、肉棒がヒダヒダを擦るようにして奥へ入り込み、その際に生じた快感に思わず頭が仰け反る。
 何という気持ちの良さだろう。
 これが女の中なのか……。
 そう思いながらさらに押し込むと、何かを突き破るような感触と共に、姉の体が硬直し、くぐもった声が耳に届いた。
 顔を歪ませている姉をボンヤリと意識しながら、そのまま肉棒を押し込んでいき、それ以上進めない状態になったところで動きを止める。
(き、気持ちいぃ……)
 肉棒の全てが温かで湿った肉に締め付けられており、ウニュウニュとしたその感触は、信じられないほどの快感を呼び起こしていた。
 世の中にこれほど気持ちのいい事があったのか、という想いが溢れ、自分がそれを経験出来ている事に激しい悦びが湧いてくる。
 何より視線を下へ向ければ、苦痛に顔を歪めている姉の可愛らしい顔があり、その事がついに姉と一つになれたのだという実感を感じさせた。
 少しすると、硬直していた姉の体から力が抜け、脱力した状態になった。
 おそらく破瓜による痛みを感じていたのだろう。
 先ほどまでは自分の快感でよく聞こえていなかったが、姉は痛みを訴える言葉を発していたからだ。
 何より股間では血が垂れており、姉が処女であった事が確認出来た。
(あいつとは、してなかったんだ……)
 自分が姉の初めての男になった、という事が激しい喜びとなり、姉を征服したのだという想いが強烈な幸福感となって貴史の心と体を包み込んでいった。
 こうして繋がっていると、姉の存在が強く感じられ、これまで以上の愛情が湧き起こってくる。
 今までは憧れのような意識が多かったが、姉を女として意識出来たせいか、もっと身近で、生々しい愛情を覚えるようになったのだ。
 姉は自分の物。
 姉は自分の女なのだ。
 そうした想いが高まると同時に、腰が勝手に動いて前後運動を開始した。
「あっ、ぐっ……痛っ……動かないで、いぅっ……」
 姉が苦痛の声をあげるが、止める事は出来なかった。
 何故なら今股間からはたまらない快感が押し寄せてきており、止めたくても止められない状態だったからだ。
 意識しなくとも勝手に腰が動き、さらなる快感を求めてしまうのである。
「いぐっ……いっ……あぐっ……」
 姉は涙を浮かべて喘いでいるが、その様子を見ていると、肉棒に力がたぎり、益々腰を強く振ってしまう。
 苦痛を与えているのだから動きを緩めたいのだが、快感を求める体はそれを許してくれないのだ。
 何より姉のそうした表情は色気を感じさせ、興奮を高めさせたのである。
「あぐっ……あっ……いっ……いぅっ……」
 腰の動きに合わせて豊満な乳房が前後左右に揺れ動き、タプンタプンと肉を波打たせるのにゾクゾクする悦びが生まれる。
 この素晴らしい肉体を支配しているのは自分なのだと思うと、男としての誇らしさが高まっていくのだ。
(姉ちゃん……姉ちゃん気持ちいいよぉ……)
 人生で初めて経験するとんでもない快楽に、顔をだらしなくしながら、腰だけは荒々しく動かしている自分を認識する。
 眼下では姉が可愛らしい顔を苦痛に歪め、それでいていやらしく体をくねらせているのにゾクゾクするような興奮を覚えた。
(綺麗だ……姉ちゃんの体って綺麗……それに何てエッチなんだろ……オッパイがこんなに大きくて……柔らかくて……ああっ、やっぱり姉ちゃんって最高だよ……)
 今までも可愛くて優しい姉を慕う想いはあったが、これほどの気持ち良さを与えてくれる存在としての認識を得た事で、貴史の中での姉に対する愛情は爆発的に大きくなっていた。
 さらに己の物とした喜びは、男としての征服欲、支配欲を強く刺激し、もっともっと姉の体を蹂躙したくてたまらなくなった。
「あっ、あっ……嫌っ、あぁっ……」
 折しも姉の声から苦痛の雰囲気が消え、快感を味わっているらしいものに変わっていた事でその想いは強くなった。
 自分が姉を気持ち良くさせられている。
 それは大切な姉に喜んでもらえている嬉しさで貴史の心を満たすと共に、姉という素晴らしい女性を己の支配下に置いているといった、男としての誇らしさでも心を一杯にした。
「あっ、あんっ……やだ、あっ……やだ駄目、あっ……貴史駄目ぇっ……」
 甘ったるい声で名前を呼ばれると、心臓が破裂してしまうのではないかという興奮が起きた。
 今の姉は、自分の与える快感で気持ち良くなっているのだ。
 女として、男の自分の行為に反応しているのである。
 それでいて心は弟を想う姉のままであるため、こうして名前を呼んでいるのだろう。
 姉弟なのに、男女として交わっている。
 その認識は、貴史の中に強烈な背徳感と興奮を呼び起こした。
(俺……姉ちゃんとエッチしちゃってる……姉弟なのに……姉ちゃんとしちゃってるんだ……)
 今更ながらそう思うと、近親相姦の禁忌を犯している自分に恐怖を覚えるが、それ以上に抑えきれない悦びも起きた。
 普通の姉弟であればしない行為を自分達はしている。
 それはつまり、自分達が普通の姉弟よりも愛し合っている証になるではないか。
 心だけでなく体でも愛情をかわし合い、お互いを愛おしむ行為。
 それは何とも美しく、素晴らしい行為なのではないだろうか。
 貴史の頭には、姉と一つとなり、ずっと愛し合っていく未来図が浮かんでいた。
「姉ちゃん大好きだっ……大好きだよぉっ……」
 そう叫びながら、その想いをぶつけるかのようにそれまで以上に腰を激しく振っていく。
「あんっ、あっ、ああっ……貴史、あっ……貴史、あんっ……貴史ぃっ……」
 姉は「好き」とは言ってくれなかったが、その瞳はしっかりとこちらを見つめており、愛情を思わせる雰囲気を感じさせたため、同意してくれているのが分かった。
 今の貴史にはそれだけで十分だった。
 何しろ自分の想いを受け止め、こうしてセックスをさせてくれているのだから……。
 そしてその喜びが射精感を高めたのか、貴史は限界に近づいている自分を感じた。
 この気持ちのいい、素晴らしい状態をもっと続けたかったが、姉の中に射精するというのも待ちに待っていた瞬間でもあった。
「姉ちゃんっ……俺もうっ……俺もう出るからっ……」
「!……だ、駄目っ。それは駄目っ。抜いてっ、抜くのっ……あっ、あんっ……」
 貴史の言葉に、姉はハッとしたように表情を硬くすると、慌てて体を離そうとしてきた。
 しかし激しい腰の動きが行われると、甘い吐息を漏らしながらガックリと力を抜いている。
「駄目、あんっ……駄目よ、ああっ……抜いて、あっ……このまま出すのは駄目、あっ……お願い貴史、あぅっ……お願いよぉ、あっ、ああっ……出したら赤ちゃん、あっ……赤ちゃん出来ちゃうぅっ……」
「!……」
 その言葉にゾクリとした興奮を覚える。
 姉を妊娠させる。
 それは何とも言えない魅惑的な状況だった。
 膣内に射精する行為はそうした危険性を孕んでいると頭で理解はしていたものの、実感を感じていない事でもあった。
 しかし今姉に言葉として告げられた事により、激しい現実感を覚えたのだ。
 セックスを始めてから喘がせる事で姉を支配している悦びを得ていたが、もしこの上妊娠させたりすれば、さらに強く姉を自分の物に出来るのではないだろうか。
 それは信じられないほどの興奮と高揚を貴史の中に呼び起こす事だった。
 絶対姉の中に射精したい。
 そう決意すると、一気に射精しようとそれまで以上に激しく肉棒を突き込んでいく。
「あっ、あっ、ああっ……貴史お願い、あっ……貴史ぃっ……嫌っ、やっ……中は駄目、あっ……中は駄目だよぉ、あぁっ、ああっ……貴史駄目ぇっ……」
 その必死の言葉は逆に益々貴史を高ぶらせ、嫌がる姿は歪んだ肉欲を刺激し、このまま姉の中に射精したいという想いを強めさせる結果となった。
 それは本来、姉を悲しませる行為だと分かっているにも関わらず、今の貴史はそうしたくてたまらなかったのだ。
 他人に姉を奪われる恐怖、そして姉に対する強すぎる執着が、膣内に射精する事が、唯一姉を自分のモノに出来る方法だと思い込ませていたのである。
「くっ……俺、もうっ……」
「! 嫌ぁ、あっ、ああっ……やだやだぁ、あんっ……やめて貴史お願、あぅっ……やめ、あんっ……やめ、ああっ……抜いて、抜い、あっ、ああっ……貴史貴史ぃっ……」
 もうすぐ射精される。その雰囲気を感じ取ったらしい姉は、狂乱したように体を離そうとしたが、押し寄せる快楽に耐えられないようにして激しく喘いだ。
 その様子は姉を従えている興奮を呼び起こし、また名前を呼ばれている事で自分が求められているような感覚を覚えた貴史は、そのまま一気に射精しようと動きを激しくしていった。
「あぁっ、あっ……やっ、駄目、ああっ……貴史、ああっ……ああっ……嫌、あっ……抜い、ああっ……もう、あんっ……貴史っ、貴史っ、貴史ぃっ……やっ、やっ、やぁあああああああっ!」
「姉ちゃんっ、姉ちゃ、くっ……姉ちゃぁんっ……うぁっ、うっ……うあぁっ!」
 姉の柔らかな体が硬直し、白く美しい顎が大きく仰け反り、蕩けるように甘い声が耳に響いた瞬間、貴史はギリギリまで抑えていた肉棒の栓を開放した。
 ドピュッ、ドピュッ、ドクドクドクドクドクドク……。
 恐ろしいほどの勢いで精液が迸り、肉棒の先端から放出されていくのを、貴史は真っ白になった頭で知覚していた。
 肉棒が律動するたびに脳天を貫くような快感が湧き起こり、顔がだらしなく惚ける。
 そのたまらない気持ちの良さは、これまでの人生で味わった事のない、とてつもなく素晴らしいものだった。
(俺……俺……気持ちいぃ……姉ちゃん、姉ちゃぁん……)
 この気持ちの良さは、姉のおかげだ。
 姉の体が自分をこれほど気持ち良くしてくれているのだ。
 そうした意識が働き、視線が姉の顔へと動く。
 そこには白い頬を上気させ、惚けた表情で宙を見つめる姉の姿があった。
 時折「あ……あぁ……」と悩ましい吐息を漏らしつつ、体をピクピク震わせているのが色っぽい。
 その様子に興奮が強まり、肉棒が強く律動して大きな動きで射精が行われる。
 ドピュッと放出される精液の感触は、それによって姉を自分色に染めているような感覚を覚えさせ、貴史は自分が素晴らしい事をやり遂げたのだと満足感を抱いた。
「ひっ……あ、ああ……出て、出てる……た、貴史のが……ああ……貴史のが出てる……わた、わたしの中に……わたしの中に出てるよぉ……」
 不意に姉の小さな声が聞こえ、その内容に激しい興奮と喜びを覚える。
 自分の精液は姉の中に確かに注ぎ込まれ、それを姉も知覚しているのだ。
 何と素晴らしい事だろう。
 そんな誇らしげな想いに浸りながら最後の射精を終えた貴史は、力を抜いて姉の体に倒れ込んだ。
 ハァハァという自分の荒い呼吸を聞きながら、姉とセックスをしたのだという事実に激しい喜びを覚える。
 あの可愛い姉を自分は抱いたのだ。
 昔から憧れていた、大好きな姉の体を好き放題舐め回し、吸いまくり、肉棒を押し込んで喘がせ、精を放ったのである。
 それは何とも言えない達成感、満足感を感じさせる事であり、貴史は自分が何と素晴らしい事をしたのだろうと嬉しくなった。
 目の前には脱力した姉の顔があり、そのボンヤリとした表情は、何とも言えないいやらしさと可愛らしさを感じさせた。
(姉ちゃん……俺の、俺の姉ちゃん……)
 姉を自分の物に出来たのだという喜びから、その柔らかな体を抱き締める。
 すると姉の手が頭に触れてきたため、貴史は姉の顔を見つめた。
「貴史……こんな事しちゃって……どうするのよ……」
 姉は悲しげにそう呟くと、視線を逸らしている。
 そこには今まで見たことのない、寂しげな雰囲気があったため、貴史は一瞬たじろいだ。
「……俺、姉ちゃんが好きだから……」
「何言ってるのっ。私たち姉弟なんだよっ? こんな事したら駄目なんだから……分かってるでしょ……?」
 姉の言葉に押し黙る。
 確かにその通りだったからだ。
 姉弟がセックスするなど許される事ではなかった。
 とはいえ、もうしてしまったのだから、それを悔いても仕方ないだろうという想いもすぐに頭に浮かんだ。
 姉に対する申し訳なさは大きかったが、それ以上に姉を自分のモノに出来た喜びは大きかったからだ。
 それにいくら悔いても、してしまった事は変えられないのである。
 自分たちは血の繋がった姉弟でありながらセックスをした。
 それはもう消せない、変える事の出来ない事実なのだ。
 そして自分は姉と繋がり合う事の喜びを知り、それによって得られる快楽を知った。
 愛らしくも可愛らしい、支配せずには居られない姉の女の部分を知ったのだ。
 それにより、貴史の中にある姉への想いは強烈に高まっていたのである。
「姉ちゃんは、俺とこうなって……嫌、だった……?」
 だが姉はどう思っているのだろう。
 自分は姉と結ばれた事が嬉しくて仕方がないが、姉はどう思っているのか。
 その事が気になった貴史は、恐る恐る尋ねてみた。
「嫌って……そういう問題じゃないよ……しちゃいけないんだもん……」
「それじゃ、嫌じゃなかったってこと?」
「関係ないでしょ。聞かないで……」
 姉はそう呟くと、怒ったような顔をして視線をそらしている。
 だがハッキリと否定しないという事は、逆に言えば嫌ではなかったという事だろう。
 それは貴史にとって嬉しい事だった。
 姉は自分に抱かれた事は嫌ではないのだ。
 ただ一般常識として、姉弟でセックスする事を否定しているだけに違いない。
 それは貴史にしても同じであったため理解出来た。
 だがそうして一般的に許されない事であるからこそ、それをした自分達は特別な姉弟なのではないか。
 そんな風に思った貴史は凄く嬉しくなった。
「俺は姉ちゃんとこうなれて嬉しいよ……だってずっと姉ちゃんのこと、好きだったんだもん……そりゃいけない事だけど、姉ちゃんとしたのは凄く嬉しい」
「貴史……」
 しんみり告げると、姉は困ったような表情を浮かべ、顔を横に背けた。
 それはどこか照れているように思えたため、何とも可愛らしさを覚える。
 以前と比べ、貴史は姉のそうした仕草一つ一つに反応してしまうようになっていたのだ。姉が表情を変えるだけでドキドキしてしまうのである。
 そうした想いが強まったせいか、股間の一物がムクムクと力を取り戻した。
 それと共に再び姉を抱きたい気持ちが湧き起こってくる。
 先ほど味わったたまらない気持ちの良さを味わいたくなってきたのだ。
「だからもう一回、してもいい?」
「何言ってるのよ……いけない事だって今言ったばかりじゃない……」
 貴史の言葉に、姉は驚いたようにしている。
「そうだけどさ……俺は姉ちゃんといけない事、したいんだよ」
「馬鹿……貴史分かってない……」
「分かってるよ。だって俺、姉ちゃんとだからしたいんだもん。他の女じゃしたくないよ。姉ちゃんとだけだよ、こんな事したいって思うの」
「それは駄目だって言ってるの……分かってよ……」
「分かってるってば……」
 そう言いながら大きな乳房をギュッと掴む。
「あっ……駄目だって……止めて、あんっ……」
 そのまま揉みしだくと、姉は否定の言葉を言いつつも甘い吐息を漏らした。
 体も軽い抵抗を示しているが、その程度では本気で嫌がっているようには思えなかった。
「あっ、嫌っ……止めて貴史、あっ……やだ、やぁっ……駄目だよぉっ……」
 そのまま秘所を指でいじると、甘い声をあげながら体をいやらしくくねらせるのが可愛らしい。
 そうした様子を見ていると、益々抵抗しているのがポーズにしか思えなくなった。
 姉は本当は抱かれる事を望んでいるが、抱かれるのは良くないと思っているから、形だけ抵抗しているのではないだろうか。
 つまり無理矢理抱いて欲しいと、抵抗する自分を抑え付け、犯して欲しいと望んでいるのではないだろうか。
 それは何とも自分に都合のいい解釈ではあったが、実際姉が本気で抵抗してこないのは、そうした理由なのではないかと思えたのだ。
「姉ちゃんヤるからっ……俺ヤるからねっ……?」
「だ、駄目っ……馬鹿、嫌ぁっ……止めて貴史、あっ、あぅんっ……」
 強引にのし掛かり、ズブリと肉棒が入り込むと、姉は動きを止めた。
 奥に肉棒が押し進んでいき、膣襞が絡みついてくるのにうっとりとなる。
 この快感、これこそが幸せの源だった。
 姉と繋がり合い、この気持ちの良さを味わえるのなら、何を失っても構わなかった。
 そんな満足感を得ながら肉棒を全て押し込むと、一旦動きを止めて姉の顔を見つめる。
「貴史の馬鹿……」
 姉はプイッと横を向くと、唇を尖らせて怒っている。
 だがそれはどう見ても本気には思えず、もっとしてもいいと暗に告げているように思えた。
「姉ちゃんの中ってスゲェ気持ちいいよ。俺、もう姉ちゃん無しじゃ生きていけない……」
 そう言いながら抱き締め、首筋に舌を這わせる。
「何言ってるのよ……ホント馬鹿なんだから……貴史は馬鹿よ、馬鹿馬鹿……」
 姉は頭をポカポカと叩いてくる。
「痛てぇよ。姉ちゃん痛いって……」
「さっきは私、凄く痛かったんだから……それなのに無理矢理して……この馬鹿貴史……」
 最後に強めに叩いたかと思うと、姉は少し寂しそうな表情を浮かべ、貴史の頭を優しく抱えてきた。
「俺、姉ちゃんのこと、大切にするから……」
「知らない……勝手にすれば……」
 姉はプイッと横を向くと、不機嫌そうにしている。
 だがそんな顔も可愛らしく、貴史は強い肉欲を覚えた。
 この愛する姉をもっと喘がせたい。
 気持ち良くさせ、自分に従うようにさせたい。
 そうした男としての本能が刺激され、ピンク色の可愛らしい唇に吸い付いていく。
「んんっ……んっ、んっ……んぅっ……」
 そのまま頭を抱えるようにし、唇を強く擦りつけて、顔を左右に入れ替えながら激しいキスを繰り返していく。
「んっ……んっ……ばかぁ……貴史のばかぁ……」
 ボンヤリとした声でそう言いながら、姉はそれでいて強く抱き付いてきた。
「こんなのいけないんだからね……しちゃいけないんだから……」
 ジッとこちらを見つめつつ、そう言ってくる姉の瞳は、言葉とは裏腹にもっとして欲しいと告げているかのように潤んでいた。
 その色っぽい様子にゾクリとした興奮を覚えた貴史は、もっともっと姉を気持ち良くさせようと、激しく腰を振っていくのだった。


「あっ、あっ、ああっ……」
 裸同士で重なる体の下で、姉が激しく喘いでいる。
 大きな乳房が前後左右に揺れ動いている様は、見ているだけで激しい興奮を呼び起こした。
「貴史、あっ……貴史いいよ、ああっ……貴史いいのぉっ……」
 いつも自分が寝るベッドの上で、姉が自分の名前を甘く叫ぶ姿は、貴史にとってたまらなく嬉しく、また信じられない事でもあった。
 あれからもう何度も姉と交わり、その柔らかな肉体の中に精液を注ぎ込んでいったが、それは姉を自分の物に出来ていると実感出来る感動の瞬間であり、貴史にとって信じられないほど気持ち良く、心地良い時だった。
 何より精を放った後に姉の体に身を預けていると、「貴史はホント馬鹿なんだから」「本当は駄目なんだからね、こういう事」と姉に文句を言われるのがたまらなかった。
 抱いている最中の、自分に従っている姿も可愛かったが、やはりそうして自分を叱ってくれる存在としての方が嬉しかったのだ。
 男としては自分の物にしたいという気持ちが強かったが、弟としてはいつまでも姉でいてもらいたかったのである。
 自分は姉に甘え、姉に叱られながら、姉を支配したいのだろう。
 弟として姉を征服したかったのに違いない。
「ああっ、あっ、あんっ……そこ凄い、あっ……そこ駄目だよぉっ……」
 激しく腰を突き込むと、姉がそれまで以上に悶えるのに興奮が高まっていく。
 アイドルとして十分に通用する可愛らしい顔が快楽に歪み、潤んだ瞳で見つめてくるのがたまらない。
 こんな可愛い女の子を今自分は抱いているのだ、肉棒を押し込み、喘がせているのだと思うと、それだけで射精しそうになるほどの興奮が湧き起こった。
 眼下では、どんな巨乳アイドルにも負けない美しさと大きさをした二つの白い膨らみがタプンタプンと揺れ動いており、それを両手でギュッと掴むと、たまらない柔らかさが手のひらに溢れた。
「ああんっ、あっ……やっ、貴史、あっ……貴史ぃっ……」
 ピンク色の乳首に唇を寄せ、強く吸い付くと、姉は激しく頭を左右に振った。
 長い黒髪が乱れ、額にかかるのが何とも色っぽい。
 そのまま体を押しつけて抱き締めると、可愛らしい顔が視界に溢れたため、その状況に幸福感を覚えた。
 滑らかな肌と擦れ、柔らかい女肉に触れながら、可愛い顔を愛でる幸せ。
 それは自分のみが許された特権だった。
「姉ちゃんっ……姉ちゃぁんっ……」
 姉の弟であったこと、それだけが自分が姉を抱けた理由だった。
 まさに産まれた時に得た幸福であり、神に感謝せずにはいられない喜びだった。
 自分はこれほど素晴らしい女を、弟に産まれたというだけで得られたのだ。
 他人であれば相手にされなかっただろうが、弟というだけで自分は姉を抱けているのである。
 何と幸運だった事だろう。
「やっ、やっ、やぁんっ……貴史、あっ……貴史、ああっ……貴史貴史ぃっ……」
 姉の腕と脚が絡み付き、逃がさないとばかりにしがみついてくる。
 それは姉にとって自分が、かけがえのない存在だと認識させられ、強烈な喜びを感じさせる事だった。
「姉ちゃん俺もうっ……俺もう出ちゃうっ……出ちゃうからっ……」
 姉への愛おしさが強まったせいか、射精感も一気に高まり、貴史は最後とばかりに腰を振りまくった。
「あんっ、あっ、ああんっ……いいよ、あっ……いいよ出して、あんっ……お姉ちゃんの中に、あっ……貴史の出してぇっ……」
「!……」
 その言葉は貴史に強烈な喜びを与えた。
 何しろそれまで姉は、中に射精される事を嫌がっていたからだ。
 妊娠するかも知れないのだから当然なのだが、それが今回は出していいと、出して欲しいと言ったのである。
 それはまるで、自分の全てを姉が受け入れてくれたように思え、嬉しくてたまらなくなった。
「やっ、あっ……はぅっ、はっ、はぁっ……もう駄目、あっ……私もう、あっ……私もうイっちゃう、ああっ……貴史っ、貴史っ、貴史ぃっ……やっ、やっ、やぁああああああああんっ!」
「姉ちゃんっ、姉ちゃんっ、姉ちゃぁんっ!」
 姉弟が互いを呼び合う声を発した瞬間、肉棒の栓が解放され、精液が放出された。
 ドピュッ、ドピュッ、ドクドクドクドクドクドク……。
 強烈な快感と、幸福感を味わいながら、貴史は愛する姉の胎内へ注ぎ込まれていく精液を感じていた。
 自分は今、姉と一つの悦びを感じ合っている。
 同じように互いを意識し、同じように気持ちの良さを味わっているのだ。
 それは今までの生活ではあり得なかった、姉弟として至福の時間と言えただろう。
 何しろこれだけ互いを強く感じ、愛し合えた事はなかったのだから……。
 そんな事を想いながら姉を見つめると、うっとりとした顔がこちらを見つめ返してきたため、姉と一つになれている感覚が強まった。
 潤んだ瞳が熱い想いを感じさせるようにこちらに向けられており、貴史はそれに吸い寄せられるようにして顔を近づけていった。
 最後の射精を終えると共に力を抜き、姉の体に身を預けつつ、唇を重ねていく。
 軽く唇を擦り合わせた後、可愛らしい顔をジッと見つめる。
 姉はしばらく微笑んでいたが、不意に暗い表情になると視線を逸らした。
「そろそろお母さんが帰ってくるね……だから部屋に戻る……」
 そう呟くと、貴史の体をどかして起き上がり、傍に置いてあった服を手に取った。
「今日の事は、忘れなきゃね……貴史とこんな風になるとは思ってもみなかったけど……楽しかったよ……あんた男として十分魅力的だと思う……」
「姉ちゃんっ。俺、その……」
「姉弟はこういう事、しちゃいけないの……分かるでしょ?……ついしちゃったけど、いけない事なんだから、もう止めようね……?」
「……」
 本当は「嫌だ」と言いたかったが、姉の辛そうな顔を見た瞬間、何も言えなくなってしまった。
 自分が思っていた以上に、姉は抱かれたことを悔いているのかも知れない。
 考えてみれば、弟に抱かれるなど異常な事なのだから、真面目な姉が辛く感じても当然なのだ。
 それを自分は何度もしてしまった。
 姉が抵抗しないのをいいことに、何度もしてしまったのだ。
 きっと姉は、自分のそうした求める姿を蔑ろに出来ず、受け入れてくれていたに違いない。
 昔から自分が必死におねだりすると、最初は文句を言っていても、結局受け入れてくれたからだ。
 そんな姉だから自分は甘え続け、大好きになっていった訳だが、本当は姉にかなり辛い想いをさせていたのではないだろうか。
 その事が今回の事で強く感じられた。
「姉ちゃんっ……」
「貴史は悪くないよ。気にしないで……これはどっちが悪いって事じゃないの……二人でしちゃった悪い事なんだよ……ほら、昔よくいたずらしたじゃない……それでお母さんに見つかって怒られて……だからこの事も、怒られないようにしないとね……お母さんには絶対内緒……二人だけの秘密だよ……?」
 姉は唇の前に人差し指を立てながらそう告げ、最後に小さく微笑むと部屋を後にしていった。
 一人部屋に残った貴史は、何とも言えない強烈な悲しさを感じつつ、いつまでも姉の去っていったドアを見つめ続けるのだった。


 教室の窓から見える校庭では、談笑する生徒達の姿があった。
 皆、楽しそうに笑い、ふざけあっている。
 その一角に姉の姿を見つけた貴史は、黙って見つめ続けていた。
「あれって貴史くんのお姉さんだよね?」
 そう言って光流が指さした先では、姉が友人達と楽しそうにしている姿が見えた。
「女の人ばかりだなぁ。例の男の人とは別れたの?」
「別れるも何も、付き合ってなかったってさ」
「え? そうなの。何だそうだったんだ」
 驚いたようにそう呟く光流に相づちを打ちながら、貴史はその事を姉に告げられた時の事を思い出していた。
 あれからあの男は病院で目を覚ましたが、貴史の事は何も言わなかったらしい。
 どうやら貴史に一撃で倒されてしまった事を恥と感じているようで、姉が見舞いに来る事すら嫌がったそうなのだ。
 当然姉に付きまとう事は無くなり、貴史としてはホッとしているのだった。
 そして姉曰く、あの男とは本当に何も関係などなかったそうで、ただあまりに部屋を見せて欲しいと言ってきたため、仕方なく連れて来ていたらしい。
 姉としても、家に貴史が居る事から、二人きりになる訳ではないので構わないと思っていたのだが、徐々に男は調子に乗り、恋人になるよう言ってきたため、あの日、家へ来るのはこれきりにして欲しいと告げたのだそうだ。
 それに激怒した男が襲いかかって来たため悲鳴を上げ、それを聞きつけた貴史が乗り込んでいった結果としてああした状態になったのだという。
 その事を姉は感謝していると言ってくれたのだが、貴史としては自分も姉を襲ってしまった訳で、あの男と同じ事をしたのだと思うと悲しくなった。
 姉とはもっとお互いの想いを高めた状態で関係を持ちたかった。
 そうすれば、今のように姉に避けられる事も無かっただろう。
 そう、今貴史は姉に避けられているのだ。
 特に無視されているという訳ではないのだが、以前ならば何かと自分の世話を焼き、体などにも触れてきていたのが、一切そういう事が無くなっていたのである。
 まるで他人であるかのように、一線を引いた付き合いになっていて、その事が貴史には悲しすぎた。
 もっと自分に自制心があれば、姉を襲わずに済んでいただろう。
 そうすれば以前通りの仲の良い姉弟として暮らせていたはずなのだ。
 とはいえ、姉とセックスをした事自体は強烈な喜びとしてあったため、後悔している訳ではなかったのだが。
「ああした可愛い人が誰の物でもないってのは凄く嬉しいよね。アイドルとして憧れられるっていうか」
 光流の言葉にドキリとしてしまう。
 姉は自分の物だった。
 確かにあの時は……。
 しかし今はどうなのだろう。
 体は繋げられたが、心は繋げられなかったからこそ、姉は自分を避けるようになったのではないか。
 それでは自分の物などと言えるはずがなかった。
「うちの妹は兄である僕の物だけどね。だから将来手を出すのは禁止だから」
 不意に圭介の声が聞こえたため驚いて振り返ると、いつも通り携帯電話に保存された妹の写真を見ている姿があった。
「将来って、いつの話だよ。せいぜい中学生だろうけど、その頃は俺たちもういい歳じゃん」
「年齢なんて関係ないよ。可愛かったら手を出したくなるだろ。僕の友達だからって上手くやろうとしても邪魔するから宜しく」
 相変わらず兄バカな圭介の態度に苦笑しつつ、よく考えてみれば、自分も姉に対しては似たような想いを抱いているのではないかと思った。
「そういや妹って言えば、僕の妹も来年ここを受験するって言ってたよ」
「へぇ、そうなんだ。可愛いのか?」
 思い出したように告げてきた光流に相づちを打ちつつ、そんな事を尋ねてみる。
 圭介が「妹が可愛い」と言いまくっているため、光流の方はどうなのかと気になったのだ。
「そうだね。僕は可愛いと思うけど」
「ほぉ、そいつは楽しみだ」
「まあ、愛らしさでは絶対うちの妹の勝ちだけどね」
 圭介が対抗心を燃やしてそんな事を言ってくるのに苦笑する。
 圭介の母親はかなり美人であったため、確かに大きくなったら可愛くなるだろうとは思った。
 だがそれでも自分の姉には敵うはずがないと確信しながら、再び視線を校庭に居る姉の方へと向ける。
 友人達と楽しそうに話している姿は実に絵になっており、周囲の男子生徒だけでなく、女子生徒にすら視線を向けられている姿に誇らしさを覚える。
 この可愛い女の子が自分の姉なのだ。
 そして数日前、自分の物となったのである。
 だが今はそうではない状態だった。
(姉ちゃん……)
 貴史は姉への思慕の想いを強めつつ、あの時うっとりと自分を見つめ、強く求めてきた姿を思い浮かべながら、股間の一物を硬くさせるのだった。


 体育の授業が終わり、昼休みとなった時間。
 貴史は一人、授業で使ったポールを片付けていた。
 本来ならば数人で片付けるのだが、「じゃんけんで負けたら一人で片付ける」という誘いに乗った結果、見事に負けてしまったのである。
 ポールはさほど重くはなかったため構わないのだが、学食へ行く時間が減ってしまうのが辛かった。
 そもそもそれを嫌がったからこそ、じゃんけん勝負に参加した訳なのだが。
 少々息を切らせながら体育用具室へ入り、定位置にポールを置いて帰ろうとすると、後から女子生徒が入ってくるのが見えた。
(って、姉ちゃん……)
 それは体育着に身を包んだ姉だった。
 クラスメートらしき女子と二人で鉄製のボール入れを移動させている。
 そちらに意識を集中させているらしく、貴史には気づいていないようだった。
 体育の授業のせいか、髪をアップにしてポニーテール状態にしている姿が何とも可愛らしく、あまり見たことのないその髪型は、貴史の心臓を強く鼓動させた。
(可愛い……)
 白い体育着とブルマ姿が何とも女子高校生らしさを感じさせ、動くたびに揺れる大きな胸の膨らみは、貴史の股間の一物を強く刺激した。
 あの時はこの膨らみを思う存分揉みしだいたのだと思うと、再びそうしたくてたまらなくなってくる。
「それじゃ、私先に行くから」
 クラスメートらしき女子生徒は、そう告げると足早に去っていった。
 何か用事があるのだろう。
 一方姉は、それを見送った後、自分も体育用具室から出ようとゆっくり歩き始めた。
「姉ちゃん……」
 貴史は進路を塞ぐようにして立つと、姉の姿を正面から見つめた。
 その事に驚いたらしい姉は、目を丸くしてこちらを見つめ返している。
 これほど至近距離でまともに目を合わせたのはいつ以来だろうか。
 あれからこうして視線を合わせる事など無かったのだ。
「貴史……驚いた。あんたも当番だったんだ」
「うん、そうだよ……姉ちゃんもだったんだね……」
 意味の無い言葉をかわしつつ、久しぶりに姉と会話出来たような気がして嬉しくなってくる。
 こうして近くに居ると、どれほど自分が姉の事を愛しているのかが自覚された。
 名前を呼ばれるだけで体が喜びに包まれるのだ。
 姉ともっと会話がしたい。
 その想いで貴史の心は一杯だった。
「それじゃ私、もう行くから……」
「!……」
 ところが姉は、不意にそんな事を言うと、体育用具室から出ようとしたため慌てて進路を塞ぐ。
 その瞬間、姉の体と接触し、その柔らかな感触が感じられたためうっとりとなった。
 あの日の姉との交わりの記憶が、一瞬にして体に走り抜けたのだ。
(俺……姉ちゃんが欲しい……)
 頭の中は、姉を再び抱きたい気持ちで一杯になっていた。
 今触れた肉の感触は、貴史の中の獣欲を刺激し、以前味わった蕩けるような女肉を得たいと欲していたのだ。
 股間では肉棒がいきり立ち、あの極上の肉の中へ再び入り込みたいと主張している。
「姉ちゃん、俺……ちょっといいよね……?」
 意味不明の言葉を告げながら、背後にある扉を閉める。
 立て付けの悪い扉は一度そうして閉じてしまうと、重くてなかなか開けられなくなるのだ。
「貴史……どうしたの? ね、どうしたのよ……」
 貴史の行動を不審に思ったのか、姉はオロオロとしている。
 そんな姿も可愛らしく、貴史はどうしても姉を再び自分の物にしたくてたまらなくなった。
「姉ちゃんこっち……こっち来て……」
 姉の腕を掴み、体育用具室の奥にある、野球の点数ボードや跳び箱が置かれた場所へ連れて行く。
 そこは周囲に沢山の物が置かれているため、入り口からは見えない状態になっていた。
 もし体育用具室の扉が開かれても、ここならばすぐに見つかる事はないだろう。
 その事に安堵しつつ姉の姿を見つめると、近くのせいか先ほどより強い魅力を覚えた。
 可愛い顔は、困惑した表情を浮かべていてもその魅力を損なっておらず、大きな胸の膨らみは、触れる距離にあるという事実だけで心臓を激しく鼓動させた。
「姉ちゃんっ!」
 我慢出来なくなった貴史は、姉の体を勢い良く抱き締めた。
 体の前面に姉の柔らかな肉体の感触が広がり、その蕩けるような味わいに肉棒が激しく勃起する。
「やっ……貴史、何やって、あっ……やだっ……」
 胸元で潰れる大きな乳房の感触を味わいながら、抵抗する姉を押さえ込む。
 あの時と同じく、口では抵抗の言葉を発しているが、力はそれほど入っていない事から、本気で嫌がっていないのだと理解する。
「姉ちゃんいいだろ? 俺、姉ちゃんとしたい……この間みたいに、姉ちゃんと愛し合いたいんだ……」
「!……馬鹿、何言ってるのっ……私達は姉弟なんだよ? そういうのは駄目って言ったじゃないっ……」
「だけど俺、したいんだっ。したいんだよっ……お願い。いいだろ? ヤらせてよぉっ……」
 いきり立つ肉棒を擦りつけながら、豊満な乳房をギュッと掴む。
「あっ……こら駄目、やっ……貴史止めて、あんっ……」
 手のひらに広がる柔らかな感触に心地良さを覚えつつ、回すようにして揉むと、姉が甘い声をあげたのに嬉しくなる。
 何だかんだ言っても、姉もこうした行為をされれば気持ち良くなっているのだ。
 ならばもっともっと気持ち良くして、姉をその気にさせなければ……。
 貴史はそんな事を思いつつ、豊満な乳房を揉みしだいていった。
「やっ、あっ……貴史駄目、あんっ……お願いやめ、んっ、んんっ……」
 体を押してくる手を掴み、両腕を万歳させる形で壁に押しつけると、桜色をした唇に吸い付いていく。
 柔らかな感触が唇に広がり、舌を押し込んで絡ませ、口内を擽っていくと、姉の体から徐々に力が抜けていった。
「んっ、んっ……んふぅっ……んっ、んぁっ……」
 しばらくキスを繰り返した後、ゆっくり唇を放すと、姉はボンヤリとした顔でこちらを見つめてきた。
「貴史の馬鹿……こんな事しちゃ駄目って言ったじゃない……」
 迫力の無い口調でそう告げた後、恥ずかしそうに視線をそらすのにゾクリとした興奮を覚える。
 普段から可愛い姉だったが、そうした態度を取るとさらに可愛さが増すのだ。
「だけど俺、したいんだよ……姉ちゃんとしたいんだ……」
「馬鹿……私達は姉弟なんだよ。いけない事なんだから……」
「分かってるよ……でもいけない事だからしたいんだ……姉ちゃんとだから、いけない事をしたい……」
「エッチしたいだけのくせに……他の女の子だと無理だけど、私となら出来るから……だからしたいんでしょ……?」
 怒ったように呟く姉に驚く。
 そんな風に思われていたのか。
「違うよっ。俺は姉ちゃんだからしたいんだ。他の女となんかしたくない……俺にとって姉ちゃんは最高の女で、しかも姉ちゃんだから凄く嬉しくて……その、えっと……とにかく姉ちゃんが大好きなんだよっ、愛してるんだっ。だから抱きたいのっ。分かってよっ……」
 それは貴史にとって絶対的な真実だった。
 無論、性欲から姉の体を欲した事は確かなのだが、姉が相手であるからこそ喜びがあるのであって、そこには強い愛情があるのだ。
 愛ゆえに抱きたいのである。
「……姉弟なのに何言ってるの……あんたホント馬鹿なんだから……ホント馬鹿……」
 姉は小さくそう呟くと、顔を上げ、涙を浮かべながら見つめてきた。
「そうだよ、俺は馬鹿なんだ。実の姉に本気で惚れちゃう馬鹿なんだよ……」
「お姉ちゃんなんか好きになっちゃって……どうするのよ……誰にも言えないじゃないこんなの……」
「いいんだよ、姉ちゃんが俺の事を好きで居てくれれば……それだけで俺は嬉しい……姉ちゃんは俺のこと嫌いか……?」
 改めてその事を尋ねてみる。
 これまで抱く事を受け入れられた事はあったが、「好き」とハッキリ告げられた事はなかったのだ。
「嫌いな訳ないじゃない。弟なんだよ?……昔から可愛く思ってた弟を嫌いな訳ないでしょ……」
「じゃあ、好き?」
「……」
 姉は視線を逸らすと黙ったまま何も言わない。
 雰囲気としてはイエスであるように思えるのだが、言葉として聞きたかった。
「姉ちゃん言ってよ、俺のこと好きなの?」
「……好き、よ……」
 小さく呟く姉の言葉に歓喜が溢れてくる。
 やはり姉は自分の事を好きで居てくれた。
 しかもこうして特別な状態で告げる「好き」なのだから、恋人としての好きの意味があるのは間違いないだろう。
「姉ちゃんっ。俺も好きだっ、大好きだよぉっ……」
 嬉しさから姉の体を強く抱き締める。
「貴史の馬鹿っ。馬鹿馬鹿っ。あんたはホント馬鹿な弟なんだからぁっ……」
 姉はそう言いながら頭をポカポカと叩いてくる。
 それは力の入っていないものであったため、姉の自分に対する愛情表現に思えた貴史は嬉しくてたまらなくなった。
「……大好き……私はあんたの事が大好きなの……ずっと大好きだったんだからぁっ……貴史ぃ、大好きだよぉっ……」
 姉はそう叫ぶと、ギュッと抱き締めてきた。
 愛情を強く感じるその抱擁に、貴史の心は幸福感で一杯になった。
 そのまま唇を重ね合わせ、先ほどよりも強く激しくキスを繰り返していく。
「んんっ……んっ、んっ……んんぁっ……貴史ぃ、んっ、んふぅっ……」
 顔を左右に入れ替えながら、唇を擦りつけ、舌を絡ませて強く吸うと、姉もそれに応じてきたため、激しい嬉しさと興奮が湧き起こった。
 恋人としてのキスを繰り返しながら、その禁じられた行為に夢中になっていく。
「んっ、んぅっ……んふぁっ……あ……貴史ぃ……はぁ……大好きぃ……」
 潤んだ瞳でうっとりとこちらを見つめてくる姉に、心臓が痛いほどに締め付けられる。
 己の愛情を受け入れられた喜びが、今まで以上に姉を愛おしく感じさせているのだ。
 その強烈な幸福感に、貴史はもうどうなっても構わないと思いながら、姉の体を強く抱き締めていった。
「あっ……やっ……貴史、あっ……貴史ぃっ……」
 体育着の上から豊満な乳房を揉みしだき、首筋に舌を這わせていくと、姉が嬉しそうに名前を呼んできた。
 そのもっとして欲しいという意志を感じさせる誘いの声に、貴史は体育着の中に手を入れると、ブラジャーの下にある生の乳房を掴んだ。
「あんっ、あっ……はぅっ、やっ……貴史そんな、あんっ……やぁっ……」
 ヤワヤワと揉みしだくと、姉が甘い声で喘ぐのに興奮が高まっていく。
 手のひらに伝わる感触は何とも心地良く、柔らかな乳房には、揉んでいるだけで射精してしまいそうになるほど魅惑的なものがあった。
「姉ちゃん……姉ちゃんスゲェよ……」
 息を荒げながら、肉棒を擦りつけ、乳房を揉み続けていく。
 体育着を捲り上げて生の乳房をさらけ出すと、その真っ白な肉の塊に見とれてしまう。
 何と美しく、いやらしい存在なのだろう。
 見ているだけで肉棒が疼いてたまらなかった。
「やっ、はぁんっ……やっ、ああっ……貴史、あんっ……貴史、貴史ぃっ……」
 強く握り締めると乳房が形を変え、姉が甘い声を上げるのに、征服欲が強烈に刺激を受け、雄としての悦びが強烈に感じられた。
 たまらなかった。
 最高だった。
 姉の乳房は極上の存在だった。
「あんっ、あっ、やぁっ……駄目、あっ……貴史それ、ああんっ……」
 桜色の乳首にチュッと吸い付き、回すように舐めながら再び強く吸い付いていくと、姉が体をピクピクと震わせ、耐えられないようにして体を預けてきた。
 それを支えていると姉を支配しているように感じられ、もっともっと自分を求めさせたくなってくる。
 そう思った貴史は、姉を近くにある跳び箱に掴まらせ、背後からブルマとパンティを脱がせていった。
 そのまま両脚を少し開かせると、ズボンとパンツを脱ぎ、すでに痛いほど勃起している肉棒を取り出す。
「姉ちゃん……入れるよ……いいよね……?」
 最後の確認とばかりに姉に問いかける。
 以前は無理矢理してしまった感が強かったため、今度は合意の下に結ばれたかったのだ。
「……」
 姉は振り返ってこちらを見ると、少し困ったような顔をしながら小さく頷いた。
 その完全に自分を受け入れてくれた事に嬉しさを感じながら、貴史は姉の細い腰を持つと、背後から秘所へと肉棒を押し込んでいった。
 ズブリ……。
「あっ……」
「くっ……」
 姉弟の悩ましい声が漏れると同時に、亀頭が奥へと入り込んでいく。
「あっ……あぁっ……やぁっ……貴史ぃっ……」
「ぐぅ……姉ちゃん……姉ちゃんの中、うっ……俺、また姉ちゃんの中に入ったんだ……」
 感動を顕わにしながら肉棒を押し込み終えると、一旦動きを止めて大きく息を吐き出す。
 そうしていると肉棒がヌメヌメとした膣襞に絡みつかれ、蕩けるような快感が伝わってきた。
「姉ちゃんの中……最高だよ……俺、おかしくなりそ……」
 実際頭が真っ白になりそうな気持ちの良さに、貴史はだらしなく顔を緩めながら姉の滑らかな背中を撫でた。
「貴史のが……貴史のおっきいのが……私の中に……入って、入ってるよぉ……」
 姉は振り返り、嬉しそうにそう呟くと、うっとりとした瞳で見つめてきた。
 それは強い愛情を感じさせるものであり、もっと愛して欲しいと求めているように感じられた。
「姉ちゃんっ……俺、姉ちゃんが大好きだっ。大好きなんだよぉっ……」
 そう叫びながら腰を激しく動かし始める。
「あっ、あっ、ああっ……私もよ、あっ……私も貴史が、あんっ……貴史が大好き、ああんっ……」
 姉は肉棒を突き込まれるたびに頭を仰け反らせ、ポニーテールの髪を揺らしながら激しく喘いだ。
 膣内の肉棒は動くたびに激しく膣襞と擦れ、それによって起こる快感は、信じられないほどの気持ちの良さを貴史に与えてきた。
 姉と繋がり合い、愛の言葉をかわしつつ快楽を与え合う。
 それは何と幸せで、素晴らしい行為なのだろう。
 これまで映画などで、愛し合う恋人同士がセックスをするのを観てきたが、そうする気持ちがよく分かった。
 愛する姉と交わる事により、気持ちの良さも愛情も、凄く高められるからだ。
 これは姉とでなければ味わえないものだろう。
 大好きな姉とセックスしているからこそ、自分はこれほど幸せで、気持ちがいいのだ。
「あんっ、あんっ、ああんっ……やだ、あっ……貴史そんな、あっ……貴史ぃ、ああっ……」
 気持ちが高ぶったせいか、腰の動きが激しくなり、それによって姉が頭を強く仰け反らせた。
 目の前で左右に揺れるポニーテールが何ともそそり、白いうなじが色っぽくてたまらない。
「あっ、はぅっ……あっ、ああっ……貴史凄い、あっ……貴史凄いよ、ああっ……貴史凄いのぉっ……」
 姉に褒められると強烈な悦びが湧き起こり、心臓がドクンっと跳ねた。
 大好きな姉、愛する姉、自分の物である姉が、褒め称え、もっとして欲しいとねだってくる。
 それは貴史にとって至福の時だった。
 これほど姉と一体感を持てる行為など他に無いだろう。
 セックスとは何と素晴らしい行為なのか。
「やんっ、やっ、やぁっ……それ、あっ……それ駄目、あんっ……それ駄目だよぉっ……」
 腰を回転させるように動かすと、姉がガクガク震えながら姿勢を崩した。
 どうやら弱い部分を刺激しているらしい。
「ここっ? ここがいいのっ? 姉ちゃんここがいいのかっ?」
「いやっ、あぁっ……そこ駄目、あぁっ……そこ駄目だよ、ああっ……そこをそんな強くしたら、あんっ……駄目ぇっ……」
 見当を付けて強く腰を叩き付けると、姉が耐えられないといったように頭を激しく振った。
 ポニーテールの髪が激しく振られ、その様子に興奮が高まっていく。
 胸元では豊満な乳房が前後左右に揺れており、それをギュッと掴むと、姉の喘ぎがさらに強まり、貴史はそれまで以上に腰を激しく振っていった。
「やっ、やぁっ……そんな激しく、あっ……そんな激しいの、ああっ……貴史っ、貴史っ、貴史ぃっ……」
 乱れまくっている姉の様子は、それだけで貴史の射精感を刺激しまくった。
 見ているだけでもいやらしい姉の姿に加え、強烈な快感が股間に起きているため、限界が一気に近づいていく。
 以前姉を抱いた経験があるとはいえ、まだまだ初心者である貴史にとって、姉の淫らな様子は耐え難い魅力に溢れていたのだ。
「姉ちゃん俺っ……もう出るっ……出ちゃうよ、くっ……」
「いいわ、あんっ……いいわよ、ああっ……出して、あっ……出して貴史の、ああっ……お姉ちゃんもイく、あんっ……イっちゃうから、ああっ……イっちゃうよぉっ……」
 振り返り、甘く誘う姉の呼びかけに、このまま中に思い切り出してやろうと決意した貴史は、それまで以上に激しく腰を振っていった。
「ああんっ、あっ、ああっ……いいっ、いいっ、いいぃっ……貴史のいいっ、貴史いいよ、あんっ……貴史の凄いぃっ……あっ、あっ、あぁあああああああああっ!」
「うぅっ!」
 ドピュッ、ドピュッ、ドクドクドクドクドクドク……。
 姉の絶叫と共に精が放たれた。
 勢い良く迸る精液が姉の膣内に注ぎ込まれているのが感じられ、肉棒が律動するたびに湧き起こる快感に、貴史はうっとりと浸っていった。
「あ……はぁ……」
 耳に姉の甘い吐息が響き、自分が姉の中に射精しているのだという実感を得る。
 また出した。
 姉の中にまた出したのだ。
 それは何とも言えない充実感と喜びを感じさせる事だった。
 ドクドクドクと己の精液が姉の中へ注がれていく快感を覚えながら、貴史は最後の射精を終えると、そのまま小さな背中へ身を預けた。
 温かくて柔らかい感触が受け止めてくれ、その心地良さにうっとりしながらしばらくジッとし続ける。
「貴史……大好きだよ……」
「姉ちゃん……俺も、俺も姉ちゃんが大好きだ……」
 振り返り、愛の言葉を告げてくる姉に応えつつ、ゆっくりと唇を重ねていく。
 絡み合う舌を感じながら、目の前にある可愛らしい姉の顔に見とれ、貴史はもっともっと姉と愛し合い、気持ち良くなっていきたいと思うのだった。


 貴史は校庭に立ちながら、花がほとんど散っている桜の木を見上げた。
 美しい桜の花は、散ってしまう虚しさも感じさせる部分があるのだな、などと思いながら小さな溜息を付く。
 以前はそうした事を想うことなど無かったのだが、姉との事で少し大人になったのかも知れない。
 姉弟で肉体関係を持った事への罪悪感、そして実の姉を恋人のように愛している事は、強烈な罪の意識を感じさせる事だった。
 自分達は、それが悪い事だとは思っていない。
 だが社会は認めてくれないだろう。
 ゆえに誰にも言えない、二人だけの秘密にしなければならない事なのだ。
 そうした想いが、桜の花が散っていく虚しさを理解させる要因になっているに違いなかった。
「あ、貴史くんってばこんな所に居た」
「散った桜の鑑賞か。なかなかいい趣味だね」
 不意に聞こえた声に振り返ると、そこには光流と圭介が立っていた。
「よう、どうした二人して」
「いや、光流の妹がここに来るっていうからさ、ちょっとどんな娘か見てみようと思って」
「なるほど、そういや可愛いんだったよな? そいつは確認せずには居られないなぁ」
 圭介の言葉にそう応えながら、心の中で「うちの姉ちゃんの方が可愛いけどな」と付け加える。
「何かあまり楽しくないよね。どうせ二人とも、自分の姉妹の方が可愛いって結論付けるんだろうし」
 心を見透かした言葉に思わずギョッとなりつつ苦笑する。
 この二人には自分の姉に対する想いはバレバレだったのだ。
「当然だろ。うちの妹より可愛い女の子なんて存在しないんだから。貴史のお姉さんだって、悪いけど下だからね」
「はいはい、分かってるって。ただ俺は赤ん坊の可愛さって分からんから、本気で納得は出来ないけどな」
「ホント困った二人だよね。姉妹自慢が激しすぎるよ。まさにシスコンってヤツ? 僕みたいに慎ましく自慢しなきゃさ」
「って、自慢してるのは光流も同じじゃん」
「その言葉はそっくり返すわ。お前も十分シスコンだって」
 最近の光流の話題は、先日入学してきた妹の事ばかりだった。
 それ以前も、受験が上手く行くかどうかを心配しまくりであり、本人は違うと言っていたが、完全にシスコンと呼べる言動を繰り返していたのだ。
「でも良かったじゃないの。結局妹さんはこの高校に入れたんだしさ」
「そうそう、言ってたんだろ妹さん、『私、お兄ちゃんと同じ高校へ行く。一緒に通いたいの』みたいにさ」
「あ〜〜、う〜〜、言うんじゃなかった……そうですよ。どうせ僕もシスコンです。妹が可愛くて仕方がないんです」
 光流は少し顔を赤くしながらそう呟いている。
 何だかんだでここに居る三人は、極度のシスコンという事かも知れない。
 とはいえ、さすがに肉体関係になっているのは自分くらいなものだろうが。
 そういう意味で、二人に比べて自分はかなり異常なシスコンと言えただろう。
「あ、居た……お兄ちゃん、言われた通り来たけど何の用?」
 不意に声をかけられ、そちらを見ると、見知らぬ下級生が立っていた。
 どうやらこの娘が光流の妹らしい。
「貴史も居るんだ。一体何するの?」
 隣に姉が居たため驚く。
「何で姉ちゃんが一緒に居るんだよ。知り合いなのか?」
「まあね。中学の時からの友達」
 そう言えば、光流も同じ中学だった。
 ならば同じ中学出身の姉が、光流の妹と知り合いになっていてもおかしくないだろう。
「光流は知ってたのか?」
「いや、知らなかったなぁ……えっとお姉さん、どうやら妹がお世話になっているようで、すみません」
 光流は少々硬くなりながら頭を下げている。
 以前から姉の事を意識していたため、こうして近くに居ると緊張するのだろう。
 これは姉に恋愛感情を抱いているという訳ではなく、単に美少女は緊張するから駄目なのだという事のようだった。
「お世話ってほどの事じゃ。友達だし、気にしないでいいわよ」
「そんな事無いですよ。先輩には凄くお世話になってます。私、感謝してますから」
「やだそんな、何言ってるのよ……」
 光流の妹が頭を下げたため、姉はどうしたらいいのか分からないようでオロオロしている。
 兄妹二人して頭を下げているのは何とも面白く、そういう部分で似ているのだな、と思う。
 そしてこうして見ていると、光流が自慢するだけあって、なかなかの美少女だった。
 無論姉には敵わないが、十分可愛らしい容姿だったのだ。
「それでお兄ちゃん、私に何の用? ここで何するの?」
「え?……あ、いや〜〜、何というかその……桜でも一緒に見ようかと思ってさ……」
「桜って……散っちゃってるけど……」
 光流の妹は不思議そうに桜を見上げている。
 どうやら光流は、妹のお披露目だという事を伝えていなかったらしく、どう言い訳しようかと困っているのが分かった。ここは一つ助け船を出してやるのが友達というものだろう。
「あ〜〜、それは桜は桜でも別の桜さ。君の事だよ、桜子ちゃん」
「え……?」
「こうして植物の桜は散ってしまったけど、君はまさに見頃って感じだから、こうしてみんなで鑑賞しようという話になった訳さ」
 光流の妹の名前である桜子を上手くもじって、適当に話をでっち上げる。
 というか、実際彼女の鑑賞が目的であったのだから、間違ってはいないのだが。
「そ、そうなのお兄ちゃん……?」
 桜子は少し頬を赤らめながら恥ずかしそうに尋ねている。
「いや、その……」
「僕らが頼んだんだよ。光流の妹が見たいってね」
「あ、うん、そうなんだ……」
 すかさず圭介がフォローに入り、光流はそれに相づちを打った。
「やだ……恥ずかしい……」
 桜子は顔を真っ赤にしながら俯いている。
 どうやらかなりの恥ずかしがり屋らしい。
「そ、そういう事だから、もういいよね? 行こうよ、ほら……」
 光流はあたふたとそう告げると、貴史と圭介の腕を掴んで歩き始めた。
「あ、まだ妹さんにうちの妹の写真見せてないんだけど……せっかくの妹対決が……」
 妙な事を言っている圭介に苦笑しつつ、貴史は困ったようにしている光流を面白く思った。
 この様子からして、本当に妹の事を大切に想っているのだろう。
 そうした想いは貴史にもよく分かったため、今まで以上に光流に親近感を覚えた。
 姉と妹という違いはあるにせよ、家族を大切に思うのは良い事だと感じつつ、自分も姉を大切にしたいものだと思うのだった。


「貴史、やっぱり駄目だよこんなとこで……家でしよ、ね?」
「駄目だよ……俺、もう我慢出来ないんだ。だからお願いだよ姉ちゃん……」
 人気の無い社会科準備室で貴史は姉を抱き締め、制服の上からその大きな胸を揉みしだいていた。
 先ほど光流とその妹の仲の良さを見せつけられたせいか、どうしても姉を抱きたくなったのだ。
 自分にとって愛情といえばセックスであり、姉を気持ち良くさせる事がその証だった。
 それゆえ愛情が高まるとセックスをしたくなるのである。
「でも誰かに見つかっちゃうかも知れないし……そうだ、口でしてあげる。それなら見つかっても誤魔化しやすいし、いいでしょ? そうしよ、ね?」
 姉は困ったようにした後、名案だとばかりにそんな事を言ってきた。
 本当はセックスをしたいのだが、制服姿の姉にフェラチオをされるのもいいな、と思った貴史はしてもらう事にした。
「じゃ、こっち来て……ここなら誰か来ても何してるかすぐには分からないし……ただ私からだと入り口が見えないから、もし誰か来たら教えてよ?」
 姉はそう言いながら、奥に置かれてある椅子に貴史を腰掛けさせた。
 そこは大きな黒板が立てかけられていたため、入り口からは見えにくくなっており、姉が床に膝を突くと隠れる状態になったのだ。
 これならフェラチオをしていても分からないだろう。
「あ、もうこんなになってる……確かにこれじゃ我慢出来ないよね。しょうがないんだから……んっ、んぐ……」
 ズボンのチャックから現れた肉棒を見た姉は、そんな事を言いながら口に含んでいる。
 愛おしそうな表情で舐めてくる姉の姿に、貴史は何とも言えない幸福感を覚えた。
 股間からも蕩けるような快感が押し寄せ、思わずくぐもった声を漏らしてしまう。
「ふふ、気持ちいいの? んっ、んっ……ここはどう? 好きだよねここ。んぐ、んっ……」
 亀頭の裏をチロチロと刺激されたため、体をピクッと震わせてしまう。
 そのまま肉棒全体をゆっくりと舐めあげられた事で走った刺激に、貴史は姉の肩に手を置いて呻いた。
 回数を重ねるごとに貴史の弱い部分を熟知した姉は、実に見事な刺激を与えてくるのだ。
(ああ……姉ちゃんスゲェ……たまらないよ……)
 眼下では、アイドルとして十分にやっていけるほどの可愛らしい顔が自分の肉棒を咥え込んでおり、その様子にゾクリとするようないやらしさを覚える。
 特に制服姿は姉の清楚な雰囲気を強め、そのような相手に肉棒を咥えさせ、舐めさせているのだという認識は強烈な刺激となった。
「うっ……姉ちゃん、くっ……たまんね……」
 初めての環境が興奮を強めたのか、貴史の射精感は急激に高まっていった。
 そもそもずっと射精したくてたまらなかったのだから当然だろう。
 姉はその事を面白がっているのか、上目遣いに微笑むと口の動きに力を入れてきた。
「んっ……んぐっ、んんっ……」
 くぐもった声と共に小さな頭が動き、胸元では豊満な乳房が揺れ動く。
 その姿にさらに興奮が高まった貴史は、乳房へ手を伸ばしてギュッと掴んだ。
「んんっ……んっ、んっ……んぁっ……」
 姉が一瞬体を硬直させると共に、強烈に吸引してきたため、その刺激に頭を仰け反らせる。
 手のひらには気持ちのいい柔らかさが溢れており、その感触に貴史はうっとりなった。
 制服の胸元を押し上げる膨らみを自分の手が揉みしだいている様は、何とも言えない淫靡さを感じさせるのだ。
「くっ……うっ……姉ちゃん俺もう、くっ……もう駄目だっ……出ちゃうっ……」
 股間では姉の舌が亀頭を覆うようにして絡みつき、強く吸い、舐めてきたため、貴史の我慢は限界に達していた。
 学校という、本来こうした行為をするべきではない場所で、制服姿の姉に肉棒を舐められているという状況が耐久力をかなり奪ったらしい。
 いつも家で舐められている時には我慢出来た程度の刺激であるにも関わらず、それが不可能になっているのだ。
「んぐっ、んっ……ふふ、もうなの? ったく、しょうがないんだから、んっ、んんっ……」
 姉の呆れたような、それでいて自分の口技を誇るような声と表情に興奮が湧き起こる。
 それは何ともいやらしいものだったからだ。
「ぐっ……姉ちゃん、くっ……姉ちゃん姉ちゃぁんっ……」
 姉の頭を持ち、激しく腰を前後させる。
 姉は辛そうに顔を歪めたが、何も言わずされるがままになってくれた。
 肉棒が姉の唇と舌とに擦られ、その湿った肉の感触に射精感が最高潮に達した。
「うぅっ!」
 そして次の瞬間、高まりまくった性の衝動は限界に達し、貴史は肉棒の栓を解放した。
 ドピュッ、ドピュッ、ドクドクドクドクドク……。
 強烈な勢いで射精が行われ、大量の精液が愛らしい口に注がれていく。
 姉は顔を歪ませつつも精液を飲み込んでおり、貴史はその事に激しい満足感を覚えた。
 最後の射精を終えると、大きな息を吐き出し、椅子の背もたれに身を預ける。
 呼吸を乱しながら視線を下へ向けると、姉が口の中の精液をゴクッと飲み込んでいたため、その事に激しいいやらしさと嬉しさを覚えた。
(姉ちゃん……俺の、俺の姉ちゃん……)
 姉は今や自分の物だった。
 他の誰でもない、自分の物なのだ。
 その意識が高まると、もっともっと姉の体を味わいたくなり、肉棒がすぐさま硬く大きくなっていく。
「やだ、何でこんな……今出したばかりなのに……もう、どうするのよ……」
 姉はその事に困ったような声を漏らしつつ、どこか嬉しそうにしている。
「ね、していいでしょ? 俺もう我慢出来ないよ……姉ちゃんとしないとおかしくなっちゃう……」
 姉の肩に手を置き、顔を近づけながらそう告げる。
「馬鹿……学校じゃ駄目だよ。見つかったらどうするの? また舐めてあげるから、それで我慢しよ?」
 姉は諭すように言ってくるが、どこか本気で無いような雰囲気を感じ取った貴史は、姉もしたくなっているのだと思った。
 それも当然だろう。姉にしてみれば自分は気持ち良くなった訳ではなく、逆に欲情させられた状態になっているのだから。
 ならば強引に迫れば、受け入れてくれるに違いなかった。
「姉ちゃんっ……」
 そう確信した貴史は、姉にのし掛かる形で押し倒すと、スカートを捲り上げてパンティを引き下ろした。
「ちょっ、貴史、何やってるのっ。駄目って言ったじゃないっ」
 姉は慌てた様子で後ずさりながら逃げようとしたが、貴史が細い腰を掴んで引き寄せると床に倒れ込んだ。
「いいだろ姉ちゃん……俺、入れるから……」
 肉付きのいい太ももをグイッと左右に開き、その付け根にある女の襞を見つめた貴史は、震えるほどに高ぶった肉棒を一気に押し込んでいった。
「あんっ……馬鹿っ、入れちゃ駄目って、あっ……入れちゃ駄目だよぉ、あっ、あんっ……」
 睨み付けながら文句を言ってきた姉だったが、その表情は肉棒がズブズブと入り込むのにつれて緩んでいく。
 その変化がたまらず、貴史は嬉しさと共に押し寄せてくる快感にうっとりしながら肉棒を全て押し込んでいった。
「あ……入れちゃった……馬鹿貴史……ホント馬鹿なんだから……」
 姉は困ったような表情をしながらも、どこか嬉しそうにしている。
 内心ではそうして欲しかったに違いないのだから、それも当然だろう。
「ごめん……でも俺、姉ちゃんとしたくてたまらないんだよ。しないとおかしくなりそうで……」
「ったく、しょうがないんだから……あんたはホント馬鹿なんだから……いいわ、させてあげる……でも出来るだけ早く済ませてよ? 見つかったら大変なんだからね……?」
 貴史の甘える声に、姉は渋々といった様子で行為を認めてくれたため、その事に喜びが溢れた。
 やっぱり姉は自分の事を愛してくれている。
 何しろこうして甘えると、必ず受け入れてくれるのだから。
 何と素晴らしい事だろう。
「姉ちゃんっ……姉ちゃん大好きだよっ……」
 貴史は自分の今の状況に激しい嬉しさを感じつつ、姉を出来るだけ気持ち良くさせてあげなければと、勢い良く腰を振り始めた。
「あっ、あっ、ああっ……もう、いきなり、あっ……貴史いきなり激しいよ、あんっ……元気ありすぎ、ああっ……これじゃ大きな声出ちゃう、やぁんっ……」
 姉は頭を仰け反らせて甘い喘ぎを漏らしているが、見つからないようにと必死に声を抑えているのが何ともそそった。
 そんな姉の様子に興奮を高めつつ、自分の突き込みで揺れる細い体を見下ろしながら、貴史は肉棒を包み込む温かくて湿った女肉の感触に痺れた。
 どうして姉の中はこれほど気持ちがいいのだろう。
 信じられないほどの気持ちの良さなのだ。
 この快楽のためなら、自分は何を捨てても構わなかった。
「あんっ、あっ、ああっ……貴史いいよ、あんっ……貴史いい、あっ……貴史いいのぉっ……やっ、やっ、やぁっ……」
 囁くようにして発せられる自分を求める姉の声に、肉棒が硬度を増し、腰の動きに力が入っていく。
 こうして呼びかけられると、温かい気持ちとゾクリとする肉欲が湧き起こるから不思議だった。
 姉に甘く名前を呼ばれ、褒められると、たまらなくなってくるのだ。
 全てを姉に捧げて構わない、という意識で一杯になるのである。
 実際今自分たちが交わっている場所は学校であり、見つかったら大変な事になるだろう。
 だがそう認識すればするほど、逆にそんな場所でしている事が素晴らしく思えてくるのだ。
 普通ならしない場所で、自分は姉とセックスをしている。
 それだけ自分と姉の絆は強いのだと思えてくるのである。
「姉ちゃんっ……大好きだよっ……大好きだぁっ……」
「私もよ、あっ、あんっ……私も貴史が好き、ああっ……貴史が大好きぃっ……」
 そうして愛を確認し合うと、心と体が一つになるように思えてたまらなかった。
 肉体的な快感だけでなく、心も強烈な気持ちの良さに溢れるのだ。
 姉とセックスして愛の言葉を交わし合うと、それだけでもう他の事がどうでも良くなった。
 身も心も快感で一杯になり、全てが気持ちの良さで満たされていくのである。
「あんっ、あんっ、ああんっ……いいっ、いいっ、いいよぉっ……貴史っ、貴史っ、貴史ぃっ……」
 姉が潤んだ瞳を向け、快楽に染まっただらしのない顔で見つめてくる。
 可愛い顔をした姉がそうした表情を浮かべると強烈ないやらしさがあり、肉棒に強い刺激が走り抜けた。
 自然と腰の動きが激しくなり、その事で姉が床に爪を立て、頭をイヤイヤといった感じで左右に振るのが、自分の与えている快楽の強さの証に思えてたまらなくなってくる。
 自分も気持ちいいが、姉も気持ち良くなっているのだ。
 その事実は益々貴史を高ぶらせた。
「やっ、はぅっ……貴史のおっきい、あっ……おっきいのが擦れて、ああっ……わたしを擦って、ああんっ……いっぱい、あっ……いっぱいで、あんっ……わたしの中でいっぱいで、あぅっ……凄い、やっ……凄いのぉっ……」
 姉が狂わんばかりに喘いでいる。
 その声はだいぶ大きくなっており、近くに誰かが居たら中で何をしているのかバレてしまうだろう。
 しかし貴史は止められなかった。
 互いの性器が擦れ合い、その際に発生する蕩けるような快感は、腰の動きを止める事を許さなかったからだ。
「あんっ、貴史、ああっ……貴史大好きだよぉっ……あっ、ああっ……貴史のおっきいの、あっ……貴史のおっきの素敵ぃ、やぁっ……」
 甘ったるい声で、卑猥な言葉を発する姉に興奮が高まる。
 弟の肉棒に貫かれ、それが大きくて素敵だと喘ぐ姉。
 それは本来許されざる事だった。
 もし誰かに見られでもしたら、自分たちは学校へ通えなくなり、転校するしかなくなるだろう。
 だがそうした禁断の行為であるがゆえに、それを破ることが、姉との愛の強さ大きさを証明しているように思えてたまらなかった。
 血の繋がった姉弟の肉の交わり……。
 それは他人とでは味わえない、至高の快楽に違いなかった。
 そんな快楽を知ってしまった自分たち姉弟は、もはや他人とでは気持ち良くなれないのだ。
 どれほど素敵な女性を抱いたとしても、姉と経験しているこの気持ちの良さは味わえないのである。
 そうした確信が貴史の中にはあった。
「やっ、やぁっ……貴史、ああっ……貴史愛してる、あんっ……愛してるわ貴史、ああっ……お姉ちゃんは貴史を愛してるのぉっ……あっ、ああんっ……」
「俺もっ……俺も姉ちゃんを愛してるっ……愛してるんだぁっ……」
 愛の言葉を交わし合い、姉の体を抱き締める。
 豊満な乳房を握り締め、強く揉みしだくと、蕩けるような快感が手のひらに広がった。
 姉がこちらに視線を向け、泣きそうな表情で、もっとして欲しいと言わんばかりに見つめてくる。
 世間の多くの男が求め欲するであろう可愛い顔と、肉欲を刺激する体を持つ姉。
 その姉を、自分は弟というだけで抱く事が出来、愛してもらえている。
 これほど幸せな事はなかった。
 それだけで望む事など何も無かった。
 幸福感の絶頂が貴史の心と体を貫き、射精感が一気に高まっていく。
「ああっ、あんっ……貴史、あっ……貴史もう駄目、ああっ……お姉ちゃん駄目だよぉ、あっ、あんっ……イっちゃう、あっ……イっちゃうのぉっ……」
 同じように限界を告げてくる姉に嬉しくなってくる。
 まるで心と体が一つになったように思えたからだ。
「姉ちゃん俺ももうっ……くっ……一緒に、一緒にイこうっ……」
「うん、あっ……一緒に、あんっ……一緒にね、やぁっ……」
 優しく甘く、自分との一体感を望んでくる姉の言葉に、貴史は懐かしい温かさを覚えた。
 幼い頃に、姉とこうして一緒に何かをしてきた事を思い出したからだ。
 大きくなるにつれ、徐々にそういった事は無くなってしまったが、今再びその頃のように、自分たちは一緒にセックスをしている。
 それは何とも嬉しく、楽しくなってくる事だった。
「あっ、あっ、ああっ……凄い、あっ……凄いの、ああっ……もうっ、もうっ、もぉっ……貴史っ、貴史っ、貴史ぃっ……やっ、やっ、やぁああああああああああんっ!」
「姉ちゃんっ、姉ちゃんっ、姉ちゃぁんっ!」
 互いを呼び合う声と共に、肉棒から精液が迸った。
 湧き登ってくる強烈な快感に体を震わせつつ、姉の中に己の証したる液体が注ぎ込まれている事に悦びを覚える。
 ドピュッ、ドピュッと肉棒が震えるたびに快感が脳天を貫き、姉の柔らかな肉がキュウっと締め付けてくるのに、貴史は蕩けるような想いを抱いた。
 終わりが無いのではないかと思えるほど射精を繰り返した後、ゆっくりと肉棒を引き抜き、姉の体に倒れ込む。
 ハァハァと荒い呼吸が耳に響き、貴史は姉に優しく抱き締められた。
「貴史……」
「姉ちゃん……」
 見つめ合う瞳は、何も言わずとも互いの気持ちを伝えていた。
 愛している……。
 その聞こえない声に嬉しさを覚えた貴史は、再び硬くなった肉棒を姉の太ももに擦りつけながら、その小さな可愛い唇にむしゃぶりついていくのだった。












あとがき

 姉とのラブラブです。
 タイトル通り淫靡にラブラブにしました。セックスの快感とラブが合体しているのですな。
 いや〜〜、どうも私は普通にラブラブさせちゃう傾向があるようで、書いていくうちに肉欲的な要素が薄れちゃって参りました。
 慌てて「今回のテーマは淫靡さだった」と肉欲に基づくラブになるように書き直した次第。
 今回のシリーズは、単純に相手が好きになるだけじゃなく、肉欲にもハマっていく様子を描きたかったので、そこを意識して書いているのですわ。
 雰囲気的に暗めな要素を入れているのもそのせいですね。やはり暗さが無いと淫靡さって盛り上がらないので。
 そもそも近親相姦って暗さがポイントですしね。
 どこか後ろ暗い部分が無いと、イマイチ興奮が弱いというか。
 私は明るくしてしまう傾向が強いので、そこら辺に気をつけて書いていこうと思っております。
(2011.4.9)



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