背徳の儀式


 正月、裕真は田舎へ来ていた。
 両親の実家は古くからの慣習を大事にしており、こうした時には親戚一同が集まって大仰な祝いの式をするのだ。
 それは一般的な親戚の集まりと違い、緊張感のあるなかなかに大変なものだった。
 何しろ結婚式や葬式であるかの様に皆が正装に身を包み、厳粛な雰囲気の中で新年の挨拶をしたりするのである。
 これは子供も例外ではなく、キチンと正座して親類に対して一々頭を下げて挨拶していくのだ。
 その事を友人たちに話すと酷く驚かれ、「面倒臭くね?」と言われるのだが、裕真はそれが当たり前と思って育ったためか特に苦痛ではなかった。
 実際イトコたちに尋ねても不満を言う者は無く、そういう意味で自分の家は変わっているのかも知れないなどと思ったりした。
 だがこうした式というのは、実際良いものなのではないかと裕真は考えていた。
 礼儀や決まり事を守る意識や考え方が、自然と身につく様に思えたからだ。
 何しろ普段落ち着きの無い姉でさえ、別人の様にしっかりと挨拶をしており、またそうした時の姉は実に格好良く、弟ながら美人で素敵な姉に思えてしまうくらいだったのである。
 あれで普段の態度が良ければ理想的な姉なのに、などと考えたりもするが、それは自分にしても同じなので姉だけに求める訳にはいかないだろう。
「何ボーッとしてんのよ。今年はあんたが主役なんだからしっかりしなさいよね」
 不意にその姉から少しキツメの口調で囁かれたため意識を戻す。
 今裕真は親戚一同から挨拶を受けている最中だった。
 大人になる儀式をしていたのだ。
 これも家に伝わる慣習の一つで、その年に十五歳になる子供は、正月を過ぎると大人の仲間入りをする事になるのである。
 今年は裕真ともう一人、従兄弟の和真が十五歳になるため、一緒に大人になる儀式を受けているのだった。
 視線をそちらへ向ければ、少し離れた場所で同じ様に紋付き袴を身に着け、正座をして親戚の挨拶を受けている和真の姿が見える。
 大人になるという事は、色々な責任や義務を担う立場になるため、なかなか大変な事だった。
 今までは呑気に過ごしていたこうした儀式も、今年からは準備や運営の手伝いをしなければならなくなるのだ。
 それは友人たち曰く面倒な事らしいのだが、そうした事が当たり前だと思って育った裕真には、ようやく一人前の人間として認められる事の方が大きかった。
 何しろこれからは両親はもちろん、親戚の大人たちが自分を対等の人間として扱ってくれるのだ。
 実際一昨年の姉に対する扱いの変化は印象的だった。
 少し前までは自分と同じ子供だった姉が、何やら遠い存在になってしまったかの様な錯覚を覚えたくらいなのである。
 無論、家へ帰ってからはいつもの姉だったのだが、こうした儀式に参加するとそれが一変するのだ。
 自分は子供であり、姉は大人、といった感覚が強く感じられたため、それ以来裕真は早く大人になりたいと思う様になった。
 そして今年、ようやく自分は姉と同じく大人の仲間入りをする事が出来たのだ。
 それはとても嬉しい事だった。


「あ〜〜、結構疲れたなぁ……」
 親戚への挨拶が済んだ裕真は、別室で肩の力を抜いていた。
「こらっ、まだ気を抜くな。まだまだやる事はあるんだからね。あんたも大人になるんだから、誰も見ていなくてもしっかりしてないと駄目でしょ。っていうか、私が見てるんだからちゃんとしなって」
 その様子を見た姉が注意してくる。
「分かってるけどさ。でもいいじゃん、ちょっとくらい。姉ちゃんと二人きりの時くらい大目にみてよ。さすがに疲れたんだから」
「ったく、あんたは甘えん坊なんだから。そんなんじゃ大人として認めてもらえないよ」
「それを言われると辛いけど……ちょっとだけ、ね?」
「しょうがないわねぇ。ちょっとだけよ?」
「やりぃっ。さすが姉ちゃん、話が分かるぅ」
 姉の了承を得ると、ゴロンっと畳の上で横になる。
「誰か来たらすぐに起きるんだからね?」
「分かってるって」
 本来この部屋にいる間はキチンと座っていなければならないため、寝ている姿など見られたら大変だった。
「まったく、あんたも今年から大人になるってのに、そんなんじゃ先が思いやられるわ」
「大丈夫大丈夫。他の人の前じゃちゃんとするからさ。こんな風にするのは姉ちゃんの前だけだって」
 顔だけそちらに向けながら呟く。
 姉は晴れ着姿で正座したまま呆れた様にこちらを見ている。
(しかし姉ちゃんスゲェな。よく我慢できるもんだ)
 親戚に挨拶をしている間、姉も家族として裕真と共に座っていたのだから、同じように疲れているはずであるのに、全くそうした様子を見せないのだ。
「姉ちゃんはよく平気だな。疲れてないの?」
「そりゃ疲れてるよ。でも我慢してるの」
「なるほど……」
 これから自分もこうして我慢していかなければならないのだと思うと少々辛くなった。
 だがそれが大人なのだと考えると、今のだらけている自分が急に恥ずかしくなってくる。
「あれ? もういいの?」
 裕真が起き上がって座り直したため、姉が驚いて尋ねてきた。
「うん。姉ちゃんの姿見てたら俺もちゃんとしないと、って思ったんだ」
「ふ〜〜ん、あんたもちょっとは大人らしくなってきたじゃない」
 姉に真面目に褒められたため、少々こそばゆくなる。
 だがこれからはそれが当たり前にならなければいけないのだ。それが大人というものだろう。
 裕真はそう思うとさらに気を引き締めるのだった。


 外はもう真っ暗だった。
 あれから色々な事をこなし、後は最後の行事を残すだけとなっていた。
 部屋には同じ様に今年大人になる和真がおり、裕真と並んで正座して座っている。
 和真は同い年にしては少々幼い感じで、一緒にいるといつも弟と間違われたりしたのだが、今日は緊張の連続だったせいかいつもより大人びて見えた。
「待たせたな」
 部屋の襖が開くと、伯父が入ってきた。
 これから伯父に最後の行事についての説明を受けるのだ。
「さて今日はご苦労だったね。だがこの最後の儀式でお終いだ。ま、後一踏ん張りってとこだな」
 伯父はリラックスさせようとしているのか優しげに微笑んでいる。
「で、その最後の儀式なんだが、今までのとはちょっと違っているんだ。これから別室に行ってもらって、そこで待っている相手とある事をしてもらうんだが……」
 伯父の言葉に緊張が高まる。
 一体何をするのだろうか。
 何か難しい問題を出されてそれに答えるとか、そういった事だろうか。
 裕真は体を強く硬直させた。
「ま、簡単に言えば、女を抱いてもらうんだがね」
(ハ……?)
 その予想外の言葉に一瞬惚けてしまう。
「面食らうのも無理はない。まさか女を抱くのが最後の儀式だなんて誰も思わないものな。実際俺も初めて聞いた時はお前達と同じ様になったよ。だがこれは冗談でも何でもない。お前達にはこれからセックスをしてもらう」
 真剣な表情で言ってきた伯父の様子からして、本当らしいと思った裕真は隣の和真と顔を見合わせた。
「あの……何でその、女の人を抱かなきゃいけないんですか?」
 恥ずかしそうに和真が尋ねている。
「昔あるご先祖さまの時代に、子供が産まれない時があったらしいんだ。で、それ以降、出来るだけ早めに子作りをさせようって事になったらしい」
「え? じゃあ子供を作るんですか?」
 驚いて裕真は伯父に尋ねた。
「まあ、結果的にそうなる事もあるな。ほら、うちの親戚はイトコ同士で結婚しているヤツが多いだろ? それはこの時に子供が出来たり、後で出来たりしたからなんだ」
 確かにその通りだった。イトコ同士で早々に結婚している人間が多いのだ。だがまさかこの様な理由があったとは驚きだった。
「もしかして、今日抱く相手と結婚しろって事なんですか?」
 それも慣習で決まっているのかと思い、ショックを受ける。
 さすがに結婚相手くらいは自分で決められるだろうと思っていたからだ。
「いやいや、別に強制はしてないよ。実際イトコじゃない相手と結婚しているヤツもいるだろ? だけど何だか知らないが身内で結婚するのが多くなっちゃってるんだな。ま、多分この儀式のせいじゃないかと思ってはいるんだが……」
「どうしてですか?」
 恥ずかしそうな表情をしながら和真が尋ねている。
「う〜〜ん、何というか、この儀式の相手を凄く好きになるというか、一緒に居て安心できる様になるというか、要するに結婚相手として理想的な感じがしてしまうんだな。たまにそうならないのもいるが、確率的には高いみたいで、結果としてうちはイトコ同士での結婚が多いってこった」
「そうなんですか……」
 何とも言えない事に驚く。
 まさかイトコ同士での結婚が多い理由に、その様な事情があったとは信じられなかった。
「ま、円満な夫婦が多いってんで、止める必要も無いから続けているんだがな」
 確かに親戚には、仲のいい夫婦が多かった。
 実際裕真の両親もイトコ同士であり、仲睦まじい様子を幼い頃から見てきたのだ。
 友人から全く違う親の状態を聞かされ、自分の家とあまりに違う夫婦仲に驚いたりしたのである。
「そういう訳でこれからお前たちには女を抱いてもらう事になる。だが別にそれほど大事に考えなくていいからな。昔と違ってこれで子供を作らせる訳じゃないんだし。ただ女を知るって程度の意味しか今は無いんだ。ま、楽しめばいいよ。要するに大人になるために色々やらされて大変だった最後の締めとして、大人の楽しみを味わえるって事だ」
 そう言われると何やら激しく興奮してきた。
 何だかんだ変な理由はあるが女性を抱けるのである。
 それは思春期の少年としてはたまらない状況だろう。
(そういや相手って誰がしてくれるんだろ……)
 従姉妹たちの顔を思い浮かべる。
 近親で子供を作っているせいか、似たような、可愛らしい顔をした女の子が多かった。
 裕真は今まで感じた事の無かった興奮を従姉妹たちに覚え、あの中の誰かと自分はセックスするのだと思うと鼻息が荒くなった。


 その後、伯父にセックスに関する知識を教わった裕真たちは、それぞれ相手の待つ部屋へと案内された。
 裕真は目の前の襖をジッと見つめ、激しく鼓動する心臓の音をうるさく感じながら、いよいよ自分は大人になるのだと大きく深呼吸を繰り返した。
(いくぞっ)
 気合いを入れて襖を開く。
 薄暗く、小さな光だけで照らされる部屋が目に映り、畳に敷かれた布団とその傍で床に手を付き頭を下げた状態で座っている女の子の姿が見えた。
 身に付けているのは薄地の浴衣の様な服で、ほんのりと肌が見えるのが何ともいやらしい。
 長い黒髪が畳に垂れているのが艶めかしく、すでに興奮しまくっている裕真はその様子に我慢の限界を感じた。
(俺が……俺が抱いていいんだ……この女の子を俺が……俺が抱いていいんだっ……)
 股間の一物は痛いほど勃起し、すでに先漏れの液が出て冷たさを感じさせる。
 相手は従姉妹の誰なのだろうかと少し気になったが、そんな事など関係なく、抱ければ構わないといった想いが頭を包んでいく。
(ヤるっ……ヤるぞっ……俺はヤるんだ大人になるんだぁっ……)
 裕真は震える体を叱咤すると、薄暗い部屋の中を勢い良く歩き、頭を下げたままの女の子に抱き付いていった。
「あ……」
 微かに聞こえた女の子の声に鼻から棒の様な息を漏らしつつ、あふれ出る唾液をゴクリと飲み込むと、そのまま仰向けにして布団の上に押し倒していく。
「うおぉっ……」
 気合いの声と共に女の子の体、特に胸元に視線を向け、服の合わせから覗く白い膨らみにハァハァと荒い呼吸を漏らす。
 服に隠れている部分も布地が薄いせいかほとんどが見えており、プクンっとした乳首が目に映ると、裕真は合わせを左右にグイと開いて乳房を掴み、勢い良く吸い付いていった。
「あっ……はっ……んっ……」
 可愛らしい吐息を耳に聞きながら、手のひらに伝わる柔らかさと、口の中に広がる甘い味わいにうっとりとなる。
(スゲッ……柔らけ……スゲェよ……それに何て美味い……うぅ……オッパイってたまらねぇ……)
 初めて味わう乳房の魅力に、裕真は夢中になって揉みしだき、舐め吸い付いていった。
「あんっ……やっ……はぁんっ……あっ……」
 そしてそのたびに発せられる甘い吐息は、股間に強烈に響き、すぐにでも射精しそうな感覚を呼び起こした。
(うぅ……凄い……女って何て凄いんだ……)
 グラビアを見るだけのとは違う、生の肉の感触がそこにはあった。
 そして自分がした行為の反応が手のひらや耳に返ってくるのが最高だった。
(スゲェよ……女ってスゲェ……女ってイイっ……女、女、女ぁ〜〜)
 長い髪が顔にかかっているのと薄暗さのため、未だに相手が従姉妹の誰であるのか分からなかったが、すでに最高潮の興奮に染まっている裕真には関係なかった。
 今はこの体を、いやらしい肉体を抱ければそれでいいのだ。
 裕真は鼻息を荒くしながら、震える手で女の子の服の前をさらに開き、下半身に手を伸ばすと太ももを撫でた。
 その滑らかな感触にうっとりとしながら、そのまま首筋に舌を這わせて舐め回す。
「あっ、やっ……そんなとこ、あんっ……やっ、和くん、ああんっ……」
(え……?)
 不意に聞こえた言葉に引っかかる。
(今、「和くん」って言ったよな?)
 もしかして相手が違っているのだろうか。
 本来この部屋には和真が来るはずだったのに、手違いで自分が来てしまったとか。
 まあ、そうは言っても別に問題は無いだろう。どのみちセックスするだけなのだから。
 顔を見せれば間違いの指摘はできるだろうが、その前にキスをしてみたいと思った裕真は、薄暗い中でも微かに赤く見える女の子の唇に吸い付いていった。
「んっ……んんっ……んぅっ……」
 軽く唇を重ねた後舌を送り込むと、女の子が舌を絡ませて吸い付いてきたため、その気持ちの良さに思わず体をビクリと震わせる。
 そのまま口内を舐め回され、チロチロとした刺激を受けた裕真は、たまらない快感にうっとりとなった。
(キスって気持ちいぃ……こんなの凄いや……)
 それはあまりに強烈なファーストキスだった。
 女の子の手が後頭部に回り、グイと引き寄せられて顔を激しく左右に動かしながら荒々しいキスを繰り返していく。
「んんっ、んふっ……んんぅっ……んはぁっ……あぁ……和くん……凄いわぁ……上手よぉ……」
 未だに相手が和真だと思っているらしい女の子は、そう呟きながら両手で裕真の頭を挟むと自分の顔の正面へ持ってきた。
「え……?」
「へ……?」
 その瞬間、目に映った顔に裕真は硬直した。
 それは相手も同じらしく、「驚愕」といった感じの表情を浮かべてこちらをジッと見つめている。
「あ、あんた……裕真……」
「姉、ちゃん……」
 そう、そこにあったのは姉の顔だったのだ。
 今まで従姉妹の誰かと思って抱いていた相手は、何と姉だったのである。
「ど、どうしてあんたがここに……和くんはどうしたのよ?」
「知らねぇよ。和くんは別の部屋に行ってるって……」
 姉弟はお互いを困った様に見つめながら呟きあった。
 裕真はその事実にどうしたらいいのかと焦った。
 何より問題だったのは、姉を相手に今の今まで体を舐め回し、キスを、かなり強烈なディープキスをしてしまったという点だ。
(俺、姉ちゃんの体に興奮してたのかよ……)
 嫌悪感が湧き起こる。
 別に姉を嫌いな訳ではない。どころか好きなのだが、姉弟であるのだから性的対象として認識する事に嫌な感覚があったのだ。
「ちょっ、どいてっ。早くっ」
「あ、うん……」
 姉が起き上がって体を押しのけてきたため、それに大人しく従う。
 そのまま横に座り横目で様子を伺うと、姉は乱れた服を慌てた様子で直していた。
 だが隠したとしても、身に付けているのは透け透けの服だ。服の上からバッチリ白い膨らみが見えていた。
「見ないでよっ」
 視線に気づいたのか、姉が怒った様に言ってくる。
 反発する訳にもいかず、裕真は黙って視線をそらした。
「……」
「……」
 その後はお互いに黙ったままの状態が続いた。
 だが裕真は落ち着けなかった。
 何しろ姉とはいえ、いやらしい格好をした異性が傍に居るのだ。
 しかもその体を先ほどまで好きな様に触り舐めていたせいか、意識しなくとも肉体が勝手に反応し、股間の肉棒がビクンビクンと震えてしまっていたのである。
(くそ……姉ちゃんなのに、何やってるんだよっ……)
 節操の無い自分の一物を心の中で叱る。
 だが肉棒以外にしても、手のひらに残る女の肉の感触に激しい欲情が呼び起こされており、体全体が性欲で一杯になっていた。
(姉ちゃんも……女、なんだよな……)
 揉みしだいた乳房はたまらなく気持ちが良かった。
 同時に普段の姉の姿が脳裏に浮かび、その胸元の膨らみを思い出した裕真は、それを自分は揉んだのだと妙な興奮を覚えた。
(って、駄目だってっ……何考えてるんだ俺っ……)
 これまで姉に対して性的興奮を感じたことなど無かった。
 姉を女として意識したことは無かったのだ。
 ところが今は、姉の柔らかな肉体の感触で頭が一杯になってしまっており、もう一度あの体を抱き締め、好きな様に貪りたい衝動が押し寄せてきていた。
「ねぇ……これって言った方がいいんじゃないの?」
 不意に姉が話しかけてきたため、ビクッと体を震わせる。
「言うって……何を?」
「だから、私たちのことだよ。あんたの相手は私じゃないんだから、替わった方がいいでしょ?」
「そりゃそうだけど……」
 だがその際に、姉の体を抱いたことがバレるのではないかと思うと恥ずかしくなった。
「でもよく考えたらもう無理か……」
「え?」
「だってあんたが部屋に入ってきてから大分経つじゃない。あっちだってもう始めちゃってるよ……」
 姉は困った様に息を吐き出した。
(始めてるって……)
 それはやはりセックスの事だろう。
 自分と違って姉が相手ではないのだから、今頃和真は従姉妹の誰かを相手に、思う存分女体を味わっているに違いなかった。
 すでに肉棒を入れて射精しているかも知れない。
 そう考えると自分は何と不運なのだろうかと裕真は思った。
 せっかく初体験が出来るはずだったのに、相手が姉であるという事で駄目になってしまったのだから……。
「まあ、取り合えず黙ってれば分からないからいいけどね。儀式の内容については喋らないし、聞かない事になってるから」
「え、そうなの? 何でさ?」
「だってやる事がやる事でしょ? 内容が良かったとか悪かったとか、親戚中に広まったら恥ずかしいじゃない。だからお互い何も言わないし、聞かない事にしているの」
「そうなんだ……」
 まあ、確かに失敗をした時にそれが親戚に知られるのは恥ずかしいだろう。
 何しろ初めての経験なのだから、上手く出来るとは限らないのだ。
(って、俺はそういった経験すら出来ない事になるのか……)
 失敗してもいいから女の体を知りたかった。
 だが相手が姉では抱く訳にはいかないだろう。
「取り合えず今夜はこのまま寝よ? そんで明日は普通にしてるんだからね? そうすれば何も問題は無いんだから」
 姉はそう告げると、体を横にして寝る体勢に入っている。
 服の上から見える肌が艶めかしく目に映ったため、裕真はギョッとなって視線をそらした。
(ヤバイ……姉ちゃんの体がたまらねぇ……)
 いけないと思うのだが、股間から押し寄せてくる肉欲は、姉を抱き締めろ、犯せ、と訴えてきていた。
 理性は「姉だから駄目」と考えるのだが、肉体は「姉だからどうした」と主張してくるのだ。
 確かに姉だと知らずに抱いた肉体はたまらなく気持ちが良く、姉だと分かるまでは十二分に楽しめていたのだからそれも当然だろう。
 あの気持ちの良さをもっと味わいたい。そんな欲求が湧き起こってきているのである。
 もし姉と気づかずにいたら自分は最後までしたのだと思うと、何故あの時顔を見てしまったのか後悔の念が押し寄せてくる。
(って、した後に気づいたら大変だったろうけど……)
 だがそれでも良かった。
 姉とはいえ、女を抱けたのだから……。
(しちゃ、駄目かな……?)
 今からでも抱いてはいけないだろうか。
 実の姉を抱く行為には未だに嫌悪感があったが、それとは別に妙な興奮もあった。
 ゾクリとする様な、背徳的な快感が起きているのだ。
(セックス、か……)
 肉体を舐め回し吸い付き、乳房を揉みしだいて肉棒を入れ、射精する。
 そういった行為を自分は途中までしていたのであり、それを思い出すと落ち着かない衝動が起きてくる。
(俺……姉ちゃんを抱きたい、のか……?)
 幼い頃から知っている姉。
 家族である姉を女として抱く。
 少し前までなら想像もしない事だったろうが、自分はつい先ほど実際にそれをしていたのだ。
(姉ちゃんだからって……セックス出来ない訳じゃないんだよな……)
 別に抱いたからといって死ぬ訳ではない。
 もし本当に許されない事ならば、そのくらい恐ろしい結果があるはずだろう。
 だが実際にはただ気持ちがいいだけなのだ。それは先ほど味わった事で経験済みだった。
(あの気持ちいい体……姉ちゃんの体を……俺……抱きたい……)
 ムラムラとした欲情と共に、「姉とセックスするのだ。しなければ……」といった思いが湧き起こり、裕真の心と体を包んでいく。
 そもそも今自分がここにいるのは、女の体を知る儀式のためだ。
 女を抱くことは、子供が大人になるために親戚で決めている正当な行為なのである。
 だからたとえ相手が血の繋がった姉だからと言っても止める理由にはならないだろう。
 何しろ儀式はきっちり行わなければならないのだから……。
(そうだよ……姉ちゃんは俺に抱かれる義務があるんだ。そのためにこんなエッチな格好してここに居るんだから……そんで俺は姉ちゃんを抱く義務があるんだ……抱かなきゃ大人になったとは言えないもんな……)
 これは儀式、親戚にやれと言われている儀式なのだ。
 そう考えると、「姉を抱いてはならない」といった倫理観が薄れ、逆に「姉を抱かなければ」といった義務感が強まってくる。
 幼い頃から教育されてきた、「決まりを守る」といった意識が妙な具合に働き、裕真の中で姉を抱く事に対する正当性が出来始めていた。
 そもそも姉は手違いが無ければ従兄弟の和真に抱かれていたのだから、それが弟の自分に替わったところで大した差はないのではないだろうか。
(そうだよ、別にいいじゃん俺が抱いたって……よしっ、俺はヤるっ、俺はヤるぞっ……俺は姉ちゃんを抱くんだっ……)
 妙な自信が湧き起こり、腹が据わった感覚を覚えた裕真は、こちらに背を向けて横になっている姉に近づいていった。
「姉ちゃん……」
 ゴクリと唾を飲み込みつつ、ゆっくりと手をかけてこちらへ向かせる。
 すると薄い布地の服の間から白い膨らみが見えたため、心臓がドクンっと跳ね、肉棒がビクンっと震えた。
「やっ、ちょっと……何よもうっ……」
 姉は慌てて胸元を合わせてこちらを睨んでいる。
 その様子は何やら可愛らしく、裕真は姉に対する肉欲が高まるのを覚えた。
「姉ちゃんっ……」
 震える手で肩を掴み、姉の体を布団に押しつける。
「何っ? どうしたのよっ? あっ、馬鹿、やっ……駄目っ……」
 そのまま首筋に唇を押しつけ、舌を這わせて舐め回していくと、姉が甘い声を漏らした。
 それは先ほど何度も聞いた女としての声であり、その事で姉に対する意識が切り替わった裕真は、押しつける様にして体を重ねると、乳房に手を伸ばしてギュッと揉みしだいた。
「あんっ……何して、あっ……止めなさ、ああっ……」
「いいじゃんかっ。今日は俺が大人になる日だろっ? 姉ちゃんが大人にしてくれるんだろっ?」
「それは間違いだから、あっ……本当は和くんの、やっ……だからあんたにされるのは、あぅっ……そこ、あんっ……やぁっ……」
 耳を優しく噛み、穴の中に舌を入れると、姉がピクピクと体を震わせたため興奮が高まっていく。
「俺は姉ちゃんでもいいよっ。だって姉ちゃんいい女だもんっ。こんなに柔らかくてっ、スゲェ気持ちいぃっ……」
 服の合わせを勢い良く開き、現れた生の乳房をムニムニと揉み、乳首をチュウっと吸い上げる。
「やっ……馬鹿っ、私たちは姉弟、あんっ……こんな事しちゃ、あぅっ……いけないん、あっ、だよ……」
「だけどもう色々しちゃったじゃん。キスだって、んっ……」
 そう言いながら裕真は姉の唇に吸い付いていった。
 先ほどは姉と知らずに貪った唇だったが、今は姉と知った上で同じ事をしている。
 その事に何とも言えない背徳感が湧き起こり、強い興奮を覚えた裕真は、姉の舌に自分の舌を絡ませると強く吸い付き、顔を左右に入れ替えながら激しく唇を擦りつけていった。
「んんっ……んっ、んふぅっ……んぅっ……んっ……」
 そうしていると姉の体から徐々に力が抜けていくのがたまらず、裕真は姉を支配しているかの様な感覚を覚えた。
 十分唇を味わった後、ゆっくり顔を放して見つめると、ハァハァと荒い呼吸をしながら潤んだ瞳で惚けている姉の姿が目に映る。
 乱れた髪が顔にかかり、虚ろな表情と相まってたまらないいやらしさを感じさせた。
(スゲェ色っぽい……姉ちゃんってこんなにエッチだったんだ……)
 肉体の感触がいやらしい事はすでに知っていたが、こうした女としての表情を見せられると、自分の知っている姉とは別人の様に思えてきて興奮が高まった。
 まるで普段は隠している姉の女の部分を引きずり出したかの様な感覚があったのだ。
(俺が……姉ちゃんをこんな風にしてるんだ……)
 姉が快楽に染まっていく様子にはたまらなくそそるものがあり、それを自分がしたのだと思うと誇らしくなってくる。
(もっと……もっと凄くしてやる……)
 姉をもっと気持ち良くさせ、もっといやらしい表情を見たい。
 そんな衝動に押された裕真は、いよいよとばかりに姉の下半身へ移動した。
(うわ……穿いてない……)
 両脚をグイと開くと、下着を着けていなかったため驚く。
 だがそもそも下着が不要な行為をする前提でここへ来ているのだから、それも当然なのかも知れなかった。
(これが……女なんだ……)
 そのまま秘所を覗き込むと、すでに濡れているのかテラテラと光を放つ肉の襞が見えた。
 それはまるで裕真を誘うように息づいており、見ているだけで今すぐにでも肉棒を入れたくなる衝動が押し寄せてくる。
(入れたい……入れていいんだよな……?)
 一瞬、「姉ちゃんとセックスしてもいいのか?」という思いがよぎるが、それを押しのける様にして肉棒がビクンビクンと震えたため、すぐに消え去った。
「あっ……ああっ……やんっ……」
 どこに穴があるのだろうと指を這わせると、それまで大人しくしていた姉がピクっピクっと震えたためゴクリと唾を飲み込む。
 その事に何やら姉を自由にしている様な感覚を覚えた裕真は、続けて刺激を与える様にして触れていった。
「あっ、あっ……やっ……裕真、あんっ……そんなとこ触っちゃ、あんっ……駄目、ああっ……駄目だよぉっ……」
 頭を左右に振り、可愛い声をあげる姉の姿はたまらなかった。
 そこにいるのは姉であったが、同時に可愛らしい女の子でもあり、自分の指の動き一つで悶える愛らしい存在だった。
「あぅっ、あっ、そんな、やんっ……馬鹿、駄目、あっ……そんなとこ、あぅっ……裕真、あんっ……馬鹿ぁっ……」
 プクッと膨らんでいる突起、これがクリトリスというものなのだろう。それを擦ると、姉が悶える様にして体を震わせ、握りしめた手を口元に当てて喘いだ。
(姉ちゃん可愛い……姉ちゃん可愛いよ……)
 まるで年下であるかの様に甘ったるい吐息を漏らす姉はたまらなかった。
 この愛らしい女をもっと可愛くしたい。
 そう思った裕真は、口を近づけると秘所に舌を這わせていった。
「ああんっ、やっ……駄目、そんな、あぅっ……舐めちゃ、ああっ……やぁんっ……駄目、駄目っ、駄目ぇっ……裕真舐めちゃ、ああぅっ……駄目って言って、あんっ……るのにぃっ……」
 言葉とは裏腹に、姉はもっとしてくれと言わんばかりに裕真の後頭部をグイグイ股間に押しつけてくる。
「あぅっ、あっ、ああっ……やっ、やぁっ……いいっ、あっ……それいいよっ、あんっ……裕真、はぅっ……裕真それいいのぉっ……」
 クリトリスに吸い付いて舐め回すと、姉が顎を仰け反らせて激しく体を震わせながら、自分を受け入れる言葉を発したため嬉しくなる。ついに姉を従わせたのだ。
 柔らかな太ももが頭を挟んで強く押してくるのに、姉の快感がかなりのものなのだと理解した裕真は、同時に自分の我慢もすでに限界状態になっているのを意識した。
(入れるっ……入れるぞっ……俺はこれで大人になるんだっ……)
 頬を上気させ、うっとりとした瞳でこちらに視線を向ける姉を見下ろしながら服を脱いだ裕真は、すでに痛いほど勃起している肉棒を掴んだ。
 落ち着かない衝動に押されながら、ゆっくり亀頭を膣穴へと近づけていく。
 意識が朦朧としているのか姉は何も言ってこない。
(姉ちゃん……いくよ……)
 心の中で姉に呼びかけつつ、肉棒を膣穴へと押し込む。
 ズブ……。
「あっ……」
「くっ……」
 姉の甘い吐息と、裕真の快感の呻きが部屋に響く。
(うぅ……何だ、これ……?)
 入り込んだ亀頭は、今まで感じた事のない快感を得ていた。
 温かでヌルヌルとした柔らかな肉に包まれ、信じられないほどの気持ちの良さが押し寄せてきたのだ。
「くぅぁ……姉ちゃ、うっ……姉ちゃぁんっ……」
 快感に頭を仰け反らせながら姉を呼ぶ。
 そのまま腰が勝手に動いて肉棒を押し込んでいったため、新たな快感が湧き起こり、裕真はそのたまらない気持ちの良さに歯を食いしばった。油断するとすぐにでも射精しそうだったのだ。
「あっ……ああっ……あんっ……」
 ズブリズブリと肉棒が入り込んでいくたびに甘い吐息を漏らし、体を微妙に震わせる姉の様子に、今自分が入り込んでいる場所が姉の中なのだと認識した裕真は、ゾクリとした快感を覚えた。
(俺……姉ちゃんの中に……姉ちゃんの中にチンポ入れちゃってるっ……)
 姉と一つになっているという、今まで想像もしなかった状態に自分がなっている事が信じられなかった。
 姉と男女の関係になってしまった事に微かな恐怖を覚えつつ、近親相姦という禁忌を破っている行為にゾクゾクする様な興奮を覚える。
(気持ちいぃ……姉ちゃんの中って……はぁ……たまらね……)
 全ての肉棒が収まると、周囲の肉がキュッと締め付けてきて最高だった。
 ヌメヌメとした膣襞が絡み付き、信じられないほどの快感を与えてくるのだ。
 この様な感触を知ってしまっては、今後オナニーなど馬鹿らしくてやれなくなるのではないだろうか。
「うっ……」
 そんな事を思いつつ腰をグイと引いてみると、恐ろしいまでの快感が走ったため仰け反る。
 そしてそのまま勝手に腰が動き出して前後運動を開始したため驚く。意識しなくても動いているのだ。
 おそらくこれが本能の働きなのだろう。体が生殖行為を知っているのに違いない。
「あっ、あっ、ああっ……あんっ、あんっ、ああんっ……」
 その動きに合わせて甘い吐息が聞こえ、裕真は今自分が姉とセックスしているのだという認識を再び持った。
「姉ちゃん、うぅっ……姉ちゃん、ぐっ……姉ちゃぁんっ……」
 肉棒が擦れるたびに押し寄せてくる快感に悶えながら、裕真は何度も何度も腰を振っていった。
 それにしても何と凄まじい気持ちの良さだろうか。
 肉棒を女の中に入れて擦ることが、これほどたまらない行為とは思わなかった。
「あっ、やっ、はぁっ……あんっ、ああっ……はぁんっ……」
 さらにたまらないのがこの声だ。
 肉棒を出し入れするたびに耳に響いてくる可愛らしい声。
 甘える様に、もっとして欲しいと望む様に、小さな唇から漏れる姉の吐息は最高だった。
 それを聞くたびに腰に力が入り、肉棒を強く激しく出し入れしてしまう。
 そうすると肉体的な快感が増し、ますます腰の動きが荒々しくなっていった。
(うぅ……気持ちいい……あったかくてヌルヌルしてて……そんでギュッと締め付けてきて……ああっ……何て気持ちいいんだ姉ちゃんの中って……)
 裕真は姉の肉体に夢中だった。
 この気持ちの良さが味わえるのなら、もうどうなっても構わない。
 そんな想いに包まれながら姉の体に抱き付いていく。
(柔らけぇ……姉ちゃんの体って柔らけぇよぉ……)
 生の肌で感じる姉の肉は、蕩ける様に柔らかく、スベスベとしていて最高だった。
 接触している部分が泣きそうなほどに気持ちがいいのだ。
 体に挟まれて潰れる乳房の感触は特に素晴らしく、そうしてくっついているだけでたまらなかった。
「あんっ、あっ、ああっ……裕真、あっ……入れちゃったのね、あぅっ……私たちセックス、あんっ……しちゃって、ああっ……姉弟なのに、あっ……」
 姉の言葉にゾクリとした快感を覚える。
 血の繋がった姉とセックスする。
 その現実に、自分がしている行為の恐ろしさを改めて感じたのだ。
「やっ、あっ、やぅっ……こんな、あんっ……こんなの、あっ……駄目なのに、ああっ……駄目なのにぃ、あんっ……なのにどうして、ああっ……わたし、あんっ……」
 姉は腕を背中に回し、腰に脚を絡ませてギュッと抱き付いてきた。
「ね、姉ちゃんっ……」
 その瞬間、膣内も締まり上がり、裕真はたまらない快感に頭を仰け反らせた。
 そしてそのままさらなる快感を得ようと激しく腰を動かしていく。
「あんっ、あんっ、ああんっ……裕真いい、あっ……裕真いいよ、あんっ……裕真いいのぉっ……」
 姉が求める様に腰を振ってきたため、その事に嬉しさが込み上げてくる。
 ようやく姉が自分との行為を受け入れてくれた様に思えたからだ。
「姉ちゃんだっていいよっ……姉ちゃんいいっ……姉ちゃんって気持ちいいよぉっ……」
 姉の事を褒め称え、強く抱き締めた裕真は、姉の弟に生まれてきて本当に良かったと思った。
 これほど気持ち良くなれたのも相手が姉だからこそだと感じたからだ。
 普段から遠慮の無い態度で接している姉だからこそ、こうして自分の肉欲を思い切りぶつけられているのではないかと思ったのである。
 他の従姉妹ではやはりどこか一線を引いて抱いただろうから、ここまで夢中にはなれなかったに違いない。
 もっと自分をさらけ出し、姉に対して己の欲を訴え、無茶苦茶になるくらい気持ち良くなりたい。
 そんな想いが心を包み、激しく腰を動かしていく。
「あんっ、あんっ、ああんっ……裕真、あんっ……裕真凄い、ああっ……裕真凄いのぉっ……あっ、あっ、やぁっ……」
 肉棒を勢い良く突き込むと、姉が自分を褒め称える言葉を発するのに自尊心が満足を覚える。
「姉ちゃん、くっ……姉ちゃんっ……姉ちゃぁんっ……」
 もっと姉に自分を褒めさせたい、甘い吐息を漏らさせたい、といった想いがますます腰の動きを激しくし、それに比例する様に強くなる快感に裕真は歯を食いしばって耐えた。
「やぁっ、やんっ……裕真そんな、あっ……裕真激し、あんっ……裕真激しいよぉっ……やんっ、はぅっ……ああんっ……」
 こちらの動きに合わせて豊かな胸の膨らみがブルンブルンと揺れ、その女としての魅力に溢れる肉体を見ていると、自分が何とも素晴らしい体を抱いているのだという認識が高まっていく。
「あんっ、そんな、あっ……そんなにしたら、やぁっ……裕真、あっ……裕真ぁっ……」
 背中に手が回り、グイっと引き寄せられる。
 迫る姉の顔は快楽に染まっていて、とてつもなく色っぽかった。
 上気した頬は女らしさを感じさせ、潤んだ瞳が求める様にこちらを見つめ、半開きになった唇から赤い舌が見えるのがいやらしさを感じさせた。
「裕真ぁ、んんっ……んっ、んふぅっ……んっ、んんっ……」
 唇に吸い付かれ、舌が押し込まれて絡みついてくる。
 先ほどもしたキスだったが、より快感が強まっているのが凄かった。
 何より姉が自らしてきたというのが大きいだろう。
 すでに姉は自分を求めているのだ。
「んっ、んぁっ、んんっ……あっ、あっ、ああんっ……もっと、あっ……もっとよ、あんっ……裕真もっとぉっ……んっ、んふぅっ……」
 腰に脚が絡み、姉に両手両脚で抱き付かれた裕真は、唇に荒々しく吸い付かれながら、今自分はまさに姉と一つになっているのだと激しい興奮を覚えた。
(俺、姉ちゃんに包まれてる……姉ちゃんに包まれてるぅ……)
 これまで感じた事が無いほど姉に対する愛情が強まり、裕真は愛おしさと肉欲をぶつける様にして肉棒を叩き付けていった。
「あんっ、裕真、ああっ……いっぱい、あんっ……いっぱいだよぉ、ああっ……わたしの中、あんっ……裕真でいっぱいぃ……あっ、やっ、はぁんっ……」
 涙目になりながらこちらを見つめ、ギュッと抱き付いてくる姉はたまらなく可愛らしかった。
 それと同時に膣内がキュウっと締まり、肉棒が強烈な快感に包まれる。
「くっ……姉ちゃん俺、うっ……もうっ……」
 押し寄せてくる射精感に裕真は頭を仰け反らせた。
「いいよ、あっ……出していい、あんっ……わたしももう、あんっ……イくから、あっ……一緒に、あんっ……一緒にぃっ……」
 自分に対する甘え、そして愛情を感じた裕真は、この可愛らしい姉の中へ思い切り精液を放ちたくてたまらなくなった。
 最高の状態で射精しようとそれまで以上に腰を激しく振っていく。
「あっ、あっ、ああっ……裕真っ、裕真っ、裕真ぁっ……わたし、あっ……もう、あんっ……もう、ああっ……もうぉっ……やっ、やっ、やぁあああああああああっ!」
「うぁっ!」
 姉の絶叫と共に膣内がキュウっと締まり上がり、その強烈な刺激に耐え切れなくなった裕真は一気に精を放った。
 ドクドクドクと勢い良く精液が迸り、姉の胎内へ注がれていく。
(ああ……気持ち……気持ちいぃ……気持ちいいよぉ……)
 肉棒がビクンビクンっと脈動し、そのたびに快感の塊が湧き昇って頭が朦朧となる。
 裕真は快楽に包まれながら、これが女の中に射精する行為なのだとボンヤリ思いながら、そのたまらない快感にうっとりとなった。
「あ……はぁ……ああ……」
 蕩ける様な吐息が耳に聞こえ、微かな視界に姉の豊満な肉体が映る。
 今自分はこの素晴らしい肉体の中へ精液を注ぎ込んでいるのだ。
 そう思うと激しい誇らしさと満足感、そして一人の女を従えた悦びが心を包み込んでいく。
 強烈な達成感を覚えながら最後の射精を終えると、力を抜いて姉の体の上に倒れ込む。
(これで……俺も大人なんだ……)
 女の中に射精した事で自分の中の何かが変わった気がした。
 男としての自信が強まった様な感覚があるのだ。
(姉ちゃん……)
 目の前に姉の顔があり、それが可愛らしくてたまらない。
 思わずギュッと抱き締めてしまう。
「あんっ……裕真、もうっ……あんたったら結局しちゃうんだから……どうするのよ、私たち姉弟なんだよ?」
 荒い呼吸をしながら、呆れた様な口調で姉は頭を軽く叩いてきた。
「別に平気だろ? 姉ちゃん言ってたじゃん。儀式の内容は誰にも話さないって」
「そりゃそうだけど……だけどさ、姉弟でしちゃったんだよ? あんたは何とも思わないの?」
「最初はちょっと抵抗あったけど、途中からどうでも良くなっちゃった。だって姉ちゃん気持ちいいんだもん」
「!……馬鹿っ」
 姉は顔を真っ赤にするとそっぽを向いた。
 している最中はあれだけ積極的に求めてきたのに、何とも可愛らしい事だ。
 そんな姉の様子に愛おしさが強まり、肉棒が一気に硬く大きくなった。
 そうなると再び姉を抱きたくてたまらなくなってくる。
「姉ちゃぁん……俺、もう一回したぃ……」
 乳房に顔を押しつけ、甘える様にして呟く。
「やっ、こらっ……もう駄目よっ。もうしないからねっ」
 姉は頭を掴んで放そうとしてくる。
「何でだよ? 別にいいだろ? 俺とエッチするのが姉ちゃんの役目なんだからさ」
「それはもうしたじゃないっ。満足しなさいってっ。大体姉弟でするなんておかしいんだから、駄目だよもうしちゃっ」
「だけど俺したいんだもん。姉ちゃんともっとしたいんだもん。姉ちゃんってすっごく可愛いし、体だって凄くいいからたまらないんだよぉ……」
 そう言いながら柔らかな乳房を揉みしだく。
「あんっ、ちょっと、やっ……駄目って、あっ……いくらおだてたって駄目なものは駄目っ」
「おだててるんじゃないよ、ホントにそう思ってるんだって。姉ちゃんだからもっとしたいんだぜ俺」
「そんなこと言ってっ。ただしたいだけなくせにっ」
「違うよ、本当に姉ちゃんだからしたいんだって。他の女だったら言わないよ」
「本当にぃ?」
「本当だって。俺、こんな綺麗な体見た事ないし。それを抱けるなんて最高じゃん。それに儀式終わったらもう姉ちゃんとはエッチできないんだから、今の内にもっと抱きたいんだよぉ……」
 甘える様に言いながらジッと目を見つめる。
 そう言えば幼い頃は姉におねだりする時に、いつもこうしていたのを裕真は思い出した。
「やだぁ、そうなのぉ? 私だからしたいのぉ? 他の人じゃなく、私としたい訳ぇ?」
 本気で言っているのが伝わったのか、姉は驚いた様な顔をして聞き返してくる。
「当然だよ。姉ちゃん自分がどれだけいい女だか自覚ないんだな。スゲェたまらないんだぜ。俺もう夢中だよ」
 笑いかけながらピンク色をした乳首にチュウっと吸い付いていく。
「あんっ、あっ……馬鹿、やっ……あんたは初めてセックスしたからそう思ってるだけだよ、あんっ……だから私じゃなくたって、やっ……こら、もうやめ、ああんっ……」
 秘所に手を伸ばし、クリトリスを捻ると体をピクピク震わせて可愛らしい。
「違うね、姉ちゃんは特別さ。こんな可愛くてエッチな姉貴、他に居るわけないじゃん。弟に体触られて、こんな風にいやらしくしてる姉なんてさ」
「ああんっ、あっ、ああっ……馬鹿、普通は姉弟でこんなこと、やっ……しないんだから、ああっ……当たり前、あんっ……」
「そうさ、だから姉ちゃんは特別なんだって。普通じゃいない姉貴だろ? 弟のチンポ入れられて、あんあん喘いじゃう姉貴なんてさっ」
 そう言いながら肉棒を膣穴へ押し込んでいく。
「あぅんっ、あっ……馬鹿、また入れちゃって……」
 姉が呆れた様な声を上げている。
 だが裕真は見逃さなかった。
 姉がどこか嬉しそうな表情を浮かべているのを……。
(ふふ……姉ちゃんもエッチしたいんじゃん……)
「さっきより慣れたから、今度はもっと凄くしてあげるからねっ」
 そう言いながら腰を激しく動かし出す。
「あっ、あっ、ああっ……駄目、やっ……動いちゃ駄目って、ああっ……動かない、ああんっ……動いちゃ駄目だよぉっ……」
 そう言いながらも姉の表情は快楽の悦びに包まれており、腰も無意識なのかも知れないがこちらの動きに合わせている様に思えた。
 荒く吐き出される吐息は、姉が激しい欲情状態にある事を感じさせた。
(姉ちゃんも、興奮してるんだ……)
 おそらく弟とするセックスに嫌悪感を抱きつつも、与えられる刺激に逆らえない快感を覚えているのだろう。
 実際裕真にしても「実の姉を犯す」という行為であるからこそ、激しく興奮している部分がある様に思えた。
 特に普段見た事のない、快楽に喘ぐ姉の表情や声は、隠されていた面を暴き、自分に従わせている感覚があってたまらなかった。
 これは産まれた時からよく知っている姉だからこそ起こる快感だろう。
 付き合いの短い赤の他人ではありえないに違いなかった。
「ああんっ、あっ、ああっ……馬鹿、やんっ……裕真そんな、ああっ……そんな激しくしたらぁっ……やっ、やっ、やぁっ……わたしおかしく、あんっ……おかしくなっちゃうよぉっ……」
 力強く出し入れされる肉棒に、姉は頭を仰け反らせ、シーツをギュッと掴んで悶えた。
 長い黒髪が白い布団の上に広がり、はだけた服から見える桜色に染まった肌が何とも色っぽい。
 柔らかな女肉が肉棒を包み込み締め上げ、そこから押し寄せてくる快感に裕真は夢中になって腰を振りまくった。
「うぅっ、気持ちいいっ……気持ちいいよぉっ……姉ちゃん最高だぁっ……俺、たまんねぇっ……」
 温かな肉体を抱き締めると、スベスベの肌が擦れてさらに快感が増す。
 どこに触れても姉の体は気持ちが良く、体の奥底からもっと快楽を求めろという衝動が押し寄せて頭がおかしくなりそうだった。
「あんっ、駄目、あっ……馬鹿こんな、やっ……こんなことぉ、あっ、ああんっ……気持ち良くちゃ駄目、あっ……姉弟なんだから、あんっ……気持ち良くちゃ駄目なんだよぉっ……」
 その言葉に、ふと「姉弟だから気持ちいいんじゃないのか?」といった考えが浮かぶ。
 セックスをしてはならない者同士だからこそ、その禁忌の想いが快感を高めているのではないかと思ったのだ。
 実際姉に「姉弟だから駄目」と言われるたびに、心臓がドキンっと跳ね、肉棒が激しく律動したのである。
「だけど俺っ……姉ちゃんだから気持ちいいんだっ……姉ちゃんだから気持ちいいんだよぉっ……姉ちゃんを抱いてるって思うからっ……姉ちゃんの中にチンポ入れてっ……こんな風に喘がせてるからっ……とんでもなく気持ちいいんだぁっ……」
 膣内に収まっている肉棒と、抱き締めている肉体の温かさ柔らかさから、自分の全てが姉に包み込まれている様に思えてくる。
「馬鹿、あんっ……そんな、やっ……そんなこと言っちゃ駄目よ、ああっ……言っちゃ、あんっ……言っちゃやぁっ……」
 裕真の言葉に姉がビクビクっと体を震わせ、恥ずかしそうに顔を背けたため、もしかしたら姉も同じ様に思っているのではないかと思い、嬉しくなってくる。
 口では駄目だと言っているが、その事で興奮している様に思えたのだ。
「姉ちゃんもいいんだろっ?……俺に抱かれてっ……弟にチンポ入れられてるのがっ……すっごく気持ちいいんだろうっ……?」
「あんっ、あんっ、ああんっ……違うもん、やっ……そんな、あっ……そんな事ないもん、やっ……違うんだもぉんっ……」
 頭を左右にブンブンと振り、まるで幼児の様な口調で叫ぶ姉にたまらない可愛らしさを覚える。
 快楽が幼さを引き出しているのか、そうしている姉はゾクゾクする様な愛らしさがあった。
「違わないよっ……だって姉ちゃん凄く悦んでるじゃんっ……俺が腰を振るたびにっ……ギュって抱き付いてきて……ほらっ、ほらっ、ほらぁっ……」
「あっ、あっ、ああっ……馬鹿駄目、あんっ……そんなにしたら、やっ……わたし、ああっ……」
 背中と腰に腕と脚が絡み付き、グイっと引き寄せられる。
「正直に言いなよっ……俺にこうされて気持ちいいってっ……弟のチンポがたまらないってっ……んっ、んんっ……」
 豊満な乳房をギュッと掴み、荒々しく揉みしだきつつ、唇に吸い付いて舌を絡ませ舐め回す。
「んんぁっ、んっ……あっ、あんっ……いい、あっ……いいよ、あんっ……裕真いいっ……裕真いいのぉっ……」
 快楽に意識が朦朧とし出したのか、姉はそう言いながらうっとりとした瞳を向けてきた。
「俺のチンポはいいだろっ?……弟のチンポは最高だろっ?……弟とセックスしてたまらないだろっ?……他の男とするのとは全然違うだろうっ……?」
 もう一息とばかりに、裕真は小刻みに素早く肉棒を叩き付けた。
「ああっ、あんっ……やっ、やぁんっ……いいよ、あっ……いいっ……裕真のオチンチン、あんっ……裕真のオチンチンいいよ、あっ……弟のオチンチンが凄くいいのぉっ……んっ、んんぅっ……」
 姉はそう叫ぶと自ら唇に吸い付いてきた。
 入り込んできた舌が口内を舐め回し、舌に絡んで吸い付いてくると、肉棒もキュウっと締め上げられ、上下の穴で掴まれているその状態に裕真の我慢は限界に達した。
「姉ちゃん俺っ……俺もうイくっ……もうイくからなっ……出す、出すぞっ……」
「いいよ、あっ……出していい、あんっ……裕真の精液、ああっ……わたしに頂戴ぃっ……」
 その言葉にドクンっと心臓が跳ねる。
 精液を欲しがられた事に、まるで自分の全てを求められた様な感覚を覚えたのだ。
 精子にはその男の遺伝子情報がある訳だから、そう思えてもおかしくはないだろう。
 そもそも男が女の中に射精したいのは、自分の遺伝子を女の遺伝子と結合させたいためなのだから。
(俺っ……俺の遺伝子をっ……姉ちゃんの中に入れるんだっ……)
 そう考えるとたまらなく誇らしくなってくる。
 これだけ素晴らしい姉の中に己の遺伝子を注ぎ込むのだ。
 それには何ともたまらない興奮があった。
「やっ、やっ、やぁんっ……裕真っ、裕真っ、裕真ぁっ……イくっ、イくっ、イくよぉっ……わたしイっちゃうのぉっ……あんっ、あんっ、あぁああああああああああんっ!」
「姉ちゃぁんっ!」
 姉弟の叫びが重なると同時に肉棒から精液が迸った。
 ドピュッ、ドピュッ、ドクドクドクドクドクドク……。
「くっ……ふっ……うぅっ……」
 快感に体を仰け反らせながら、裕真は何度も何度も精を放っていった。
 脈動する肉棒から次々と精液が放出されていく感覚が伝わり、今自分の遺伝子が姉の中に入っていっているのだと思うとたまらなく嬉しくなってくる。
(俺の……俺の精液……姉ちゃんの中に出てるんだ……)
 これまで自慰をした時にティッシュの中に消えていた精液が、姉の体の中に注がれているのだと思うと奇妙な感覚があった。
 あの白い液体が姉の中に放出されているのだ。己の精液が姉の胎内に……。
「あ……はぁ……あん……」
 目の前にある姉の顔は女の悦びに溢れていてこれまで以上に色っぽかった。
 考えてみれば、精液を受けるというのは女にとって至高の状態なのかも知れない。
 何しろ生物の本能として重要である生殖の瞬間なのだ。最高の顔をしていて当然だろう。
「姉、ちゃぁん……」
 最後の射精を終えた裕真は、体の力を抜くと姉の上に倒れ込んだ。
 激しい充実感が押し寄せ、自分が姉を自由にし、支配したのだという喜びが押し寄せてくる。
「あんたはもぉ……どうして我慢できないのよぉ……」
 姉が呆れた顔をしてこちらを睨んでくる。
「だってぇ……姉ちゃんたまらないんだもん……スゲェいい女なんだもん……俺、したくてしたくてたまらないんだよぉ……」
 ギュッと抱き付き、乳房に頬を寄せて甘える様に告げる。
「だからって駄目でしょ? 私たちは姉弟なのよ? 我慢するの」
「でも姉ちゃんだって気持ち良かっただろ? それにこれは儀式でしてるんだしいいじゃん。今日だけ姉ちゃんは俺に抱かれなきゃいけないんだぜ」
「そ、それはそうだけど……でも二回もすることないじゃない。そこは我慢してよね」
「それ無理、姉ちゃん相手じゃ我慢なんて出来ないよ。だって姉ちゃんこんなに可愛くて、凄くエッチな体してるんだぜ。それを我慢するなんて不可能だよ」
「ふ、不可能って、あんた……」
 姉は呆れた様に呟きながらも嬉しそうに微笑んでいる。
「俺、姉ちゃんに惚れちゃった。好きだぜ、姉ちゃん」
「! ば、馬鹿っ……何言ってるのよ、もぉ……や、やめてよね……」
 思わず口にした言葉だったが、予想以上に姉が動揺し、顔を真っ赤にしたため驚く。
(うわ……スッゲェ可愛い……)
 そんな姉の様子を見ていると、抱き締めて無茶苦茶にしたくなる衝動が湧き起こってくる。
 肉棒も一気に硬く大きくなり、再び入れろと訴えてきた。
「姉ちゃんもう一回、しよ?」
「え? 駄目よ駄目っ、もう駄目っ。さすがに三回は駄目だってっ」
「いいじゃん。二回も三回も同じだよ。ほら、しようよ、ね?」
「あ、こら駄目って、やっ……馬鹿やめ、ああんっ……」
 口では否定の言葉をいい、逆らう様に体を動かしながらも、決して本気では抵抗してこない姉を面白く思いつつ、裕真は肉棒を押し込んでいくのだった。


 あれから数日が経った。
 儀式の翌日、姉には散々文句を言われたが、それが本気でない様子から、姉もまんざらではなかったらしい事が分かった。
 何しろセックスをしている最中は激しく求めてきたのだから当然だろう。
 姉は建前として「姉弟なんだから」とは言っていたが、本音は自分との行為に燃えていたのは明らかだった。
 そして儀式以来、自分に対してこれまでとは異なる想いを抱いているのも分かった。
 それまでと違い、姉は何かと世話を焼き、それとなく体を寄せてきたりしたのだ。
 こちらに向ける視線にも、セックスの最中に見せていた媚びと同じ光があったため、姉が自分に男を感じている様に思えた。
 裕真自身も姉に女を感じていた。
 これまで気にならなかった姉の言動一つ一つに反応し、胸の膨らみや太ももの白さにドキリとしてしまう様になっていたのだ。
 一日中姉の事が頭に浮かび、一緒にいると嬉しくてたまらず、離れていると寂しくてたまらなかった。
 どうやらあの儀式の一夜以来、自分は完全に姉に惚れてしまったらしい。
 儀式の前に伯父に聞かされた、「儀式の相手を好きになる」という状態になっているのだ。
 まさか姉を好きになるとは思ってもみなかったが、考えてみれば自分たちの親もイトコ同士で結婚している訳で、そうした身内を好きになる血が流れている事を考えてみれば、従姉が姉に変わっても大した違いは無いのかも知れない。
 その様な想いを抱きつつ数日過ごしてきたのだが、姉に対する恋心は募るばかりで治まる様子は全く無かった。
 再び姉を抱きたい。
 体を一つにして姉との愛情を確認したい。
 そんな想いに溢れ、それが限界になった今日、ついに裕真は行動に移る事を決意していた。


 学校から帰宅し部屋でジッとしていると、しばらくして姉が帰ってきたのが分かる。
「裕真ただいま……」
 部屋にされたノックに返事をすると、少しだけドアが開いて姉がぴょこんっと顔を覗かせ、恥ずかしそうに挨拶をしてきたのにドキリとなる。
 これは以前には無かった事で、儀式をして以来、姉はわざわざ自身の帰宅を知らせる様になったのだ。
 その事が自分に対して好意を抱いている証に思えて裕真は嬉しかった。
「姉ちゃん、ちょっといい?」
「え? うん……」
 ドアを閉めようとする姉を呼び止めると、部屋の中へ引き入れる。
「どうしたの?」
 セーラー服を身に付けた姉は、少し頬を上気させながらこちらを見つめてくる。
(うぅ……やっぱ可愛いな姉ちゃんは……)
 身内の、そして恋する男のひいき目として見ても、十分に可愛らしい顔に、白いセーラー服が良く似合っている。
 胸元では数日前揉みしだいた膨らみがセーラー服を持ち上げて自己主張しており、ヒラヒラしたミニスカートから伸びる健康的な太ももは、むしゃぶりつきたくなる欲求をもたらした。
(したい……やっぱりエッチしたいよ……姉ちゃんを俺のモノにしたくてたまらねぇ……)
「姉ちゃんっ。好きだっ」
 我慢できなくなった裕真はそう叫ぶと、いきなり姉を抱き締めた。
「ゆ、裕真……」
 姉は一瞬体を硬直させたが、そのまま抵抗せずにされるがままになっている。
(ああ……気持ちいい……姉ちゃんの体って、たまらねぇ……)
 体の前面に溢れる姉の肉体の感触に、裕真はうっとりとなった。
 胸元で潰れる膨らみの柔らかさと、脚に触れる太ももの弾力に鼻息を荒くする。
「姉ちゃん……」
「裕真……」
 顔を近づけると、姉の瞼がゆっくりと閉じる。
 それが受け入れのサインだと思った裕真は、心を喜びに満たしながら唇を重ねていった。
「んっ……んんっ……んふぅっ……」
 舌を押し込んで絡ませ、強く吸い付きながら柔らかな体を抱き締めると、姉がピクっピクっと震え、甘い吐息を漏らすのに興奮が高まっていく。
「んっ、んんっ……んっ、んぅっ……んんぁっ……」
 唇を荒々しく擦り合わせ、舌を吸い合っていると、姉の手が背中に回ってギュッと抱き付いてきた。
 指が食い込むのが心地良く、太ももが脚に強く絡みついてくるのがたまらない。
(ああ……姉ちゃんが俺を求めてる……俺を欲しがってるんだ……)
 姉も自分の肉体を欲し、快楽を得たいと思っている。
 そう認識すると肉棒がビクンビクンと動き、それを姉の体に押しつけ擦ると、蕩ける様な快感が股間に走った。
「んっ、んぅっ……んふぁっ……裕真ぁ……好きぃ……好きだよぉ……」
 姉は今にも泣きそうな顔をしながら抱き付いてきた。
「俺もっ……俺も姉ちゃんが好きだっ……」
 そう叫びながら姉のぷっくりとした尻に手を伸ばし、やわやわと撫で回す。
「あんっ……もう、エッチなんだからぁ……」
「だって姉ちゃんたまらないんだもん。俺、触りたくてしょうがないんだよ」
「ふふ、あんたはそればっかね……でも、わたしもあんたに触られたくてしょうがないんだから同じか……」
 姉は恥ずかしそうに笑いながらジッと見つめてくる。
「姉ちゃん……俺、ずっと姉ちゃんが欲しかった。儀式の日から、姉ちゃんをまた抱きたくてたまらなかったんだ……」
「わたしもよ……わたしも裕真に抱かれたくて……こうして触ってもらいたくてたまらなかった……んんっ……んっ、んふぅっ……」
 姉弟はお互いを求める様にして再び激しく唇を重ね合った。
 荒々しくキスを繰り返しながら、裕真は手を伸ばすとセーラー服の上から豊かな膨らみをギュッと掴んだ。
「んぁっ、んっ、んんっ……」
 姉はそれにピクッと反応を示すと、それまで以上に激しく唇を擦りつけ、舌を強く吸ってきた。
 そのまま柔らかな乳房を揉みしだきながら、ゆっくり移動してベッドの上へと姉を押し倒していく。
「姉ちゃん、いいよね?」
「本当は駄目なんだよ? 分かってる?」
 姉は潤んだ瞳で見つめながら、確認する様に尋ねてきた。
「分かってるよ……でも俺、我慢できないんだ。姉ちゃんが欲しくて欲しくてたまらない……」
「ふふ……あんたはホント馬鹿なんだから……でもそんなあんたが私も好き……裕真が好きだよ……」
「姉ちゃん……」
 再び唇を重ねると、裕真は姉のスカートの中に手を入れ、パンティの上から秘所をなぞった。
「んっ、んんっ……んふっ……ああっ、裕真ぁ……」
 唇を放すと、姉がうっとりとした目で見つめてくる。
「うっ……」
 不意に肉棒をギュッと掴まれたため、裕真は体を硬直させた。
「私にも……やらせて……」
「え……?」
 どういう意味かと思っていると、姉は起き上がって裕真をベッドに座らせ、ズボンとパンツを引き下ろした。
 そして現れた勃起している肉棒を驚いた表情で見つめている。
「うわぁ……元気ぃ……ふふ、そんなに私が欲しいの?」
「うん……姉ちゃんの中に入れたくてたまらないんだ……」
「じゃ、取り合えず入れてあげるね……」
 そう呟くと、姉は肉棒を掴んで顔を近づけていった。
(まさか口でしてくれるのか? うっ……)
 そう思った瞬間、肉棒が姉の口の中へ消えていき、それと同時に温かで湿った柔らかなものに包まれるのが分かった。
「んぐっ、んっ……んぐぅっ……」
 続けて亀頭にニュルリと舌が絡み付き、舐め上げてきたため裕真は体を硬直させた。
 これまで膣内の感触は何度か味わったが、フェラチオは初めての経験であったため、その新鮮な感触に激しい興奮が押し寄せてくる。
 何より姉の可愛らしい顔の中に自分の肉棒が収まり、舐められている光景がたまらなかった。
 熱心に頭を動かし、肉棒に刺激を与えてくる姉の様子は最高であり、時折こちらを上目遣いに見つめ、「気持ちいい?」といった表情をしてくるのが強烈だった。
(姉ちゃん……たまらないよ……)
 一方的な奉仕を受けている点で、ある意味セックスよりも興奮は強かった。
 自分は何もせず、姉にだけ肉棒を舐めさせ、気持ち良くなる様にさせているのだ。
 それはまるで、姉が自分の所有物になったかの様な気がしてたまらなかった。
 上から見下ろす体勢になっているのも、まさに女を支配している様な感覚を強めて最高だった。
「んんっ、んぐっ……んっ、んんっ……んぐっ……」
 チュウっと吸引され、亀頭の裏筋を舐め上げられ、肉棒全体を口内で擦られると蕩ける様な快感が走り抜ける。
 白いセーラー服に身を包んだ美少女が、長い黒髪をわずらわしげにかき上げながら肉棒を咥え込んでいる様子は、見ているだけで射精しそうなほどにたまらない光景だった。
「うぅっ……姉ちゃんっ、うっ……姉ちゃん俺もうっ……くっ……」
 射精感が一気に強まり、裕真は限界の声をあげた。
「いいよ、出して……裕真、気持ち良くなって、んんっ……」
 うっとりとした表情で上目遣いに告げられるのに心臓が跳ねる。
 裕真は限界まで高まった射精感を解放しようと、姉の頭を掴んで激しく腰を前後に動かし始めた。
「んぐっ、んっ……んっ……んんっ……」
 姉は一瞬辛そうな顔をしたが、そのまま面白そうな表情をして自ら頭を動かしている。
 吸引が強く行われ、それによって最高潮に高まった快感と共に裕真は精を放った。
「うぅっ!」
 ドクドクドクドクドク……。
 精液が姉の口の中に注がれていくのに激しい興奮を覚える。
 可愛らしい姉の顔に己の精液を放っているのだと思うと、何とも言えない満足感があったのだ。
 数度の射精の後、荒い呼吸をしながらゆっくりと力を抜く。
 姉は吐き出された精液をゴクンっと飲むと、肉棒をペロリと舐めてから口を放した。
「うっ……」
 その刺激に体を震わせつつ、姉の肩をギュッと掴む。
「ふふ、気持ち良かった?」
「うん……姉ちゃん最高……スゲェ気持ち良かった……」
「じゃあ今度は一緒に気持ち良くなろ? 裕真、抱いて……」
 姉に手を引かれ、一緒にベッドに倒れ込む。
「姉ちゃんっ……」
 セーラー服を捲り上げブラジャーを押し上げると、白い膨らみとその頂点にあるピンク色の突起が現れた。
 その美しさに一瞬見とれた後、心臓を激しく鼓動させながらむしゃぶりついていく。
「あんっ、あっ……やっ、裕真乱暴、あんっ……もうちょっと落ち着い、あっ……」
「無理っ……俺もう我慢できないんだもんっ……姉ちゃんを無茶苦茶にしたくてたまらないっ……」
 儀式の日、思う存分味わった姉の体。
 あれから数日間、再び抱くことを夢見ていた裕真にとり、落ち着いて抱くことなど不可能だった。
「あっ、やっ、あんっ……あっ、ああっ、やぁんっ……」
 はだけたセーラー服から覗く白い膨らみは、触れるだけで股間に刺激を与えてきていた。
 この温かで柔らかな塊を揉むことをどれだけ求めた事だろう。
 どの様な感触で、どれほど気持ちの良いものであるのか知っているだけに、触れられない状態は地獄だった。
 今自分はそれに再び触れている。好きな様に揉みしだき、吸い付いているのだ。
(うぅ……たまらね……姉ちゃんのオッパイたまんねぇよぉ……)
 いくら揉んでも飽きる事のないその白い塊は、裕真の肉欲を激しく高めていった。
 肉棒は先ほど射精したのが嘘の様にすでに痛いほど勃起している。
 これならばもう入れる事は可能だった。というより入れたくてたまらない。
「もう入れたいっ。いいよねっ?」
「ちょっ、落ち着きなさいってっ。そんなに慌てなくても、あんっ……」
 裕真は姉の体をひっくり返すと四つんばいの姿勢にさせた。
「やんっ、ちょっと、あっ……そんな、あんっ……馬鹿、こんな姿勢、やぁっ……」
「いいだろっ? 俺、後ろから入れたいっ。後ろから姉ちゃんを抱きたいんだっ」
 そう言いながらスカートを捲り、パンティを引き下ろす。
「ちょっ、強引って、あんっ……馬鹿、駄目、ああんっ……」
 姉の言葉を無視し、一気に肉棒を押し込んでいく。
 ズブズブズブと肉棒が収まると共に、蕩ける様な快感が背骨を通じて湧き昇ってくる。
(はぁ……やっぱいぃ……姉ちゃんの中って、最高だぁ……)
 たまらない気持ちの良さに惚けつつ、裕真は姉の背中を見つめながら細い腰を掴んだ。
「もぉ、入れちゃってぇ……ったく、あんたはこの間から勝手に入れてばかりなんだからぁ……」
「ゴメン……でも姉ちゃん見てると入れたくてしょうがなくなっちゃうんだよ」
「今日はちゃんと入れさせてあげるって言ってるのに……まったくあんたは落ち着きが無さすぎ……あっ、あんっ……やんっ、もう急に動くな、あっ……」
「だって姉ちゃんエロいんだもんっ……この体勢ってこの間してないしっ……たまらないんだよぉっ……」
「あっ、あっ、ああっ……後ろからって、あっ……恥ずかしいんだからねっ……やっ、あぅんっ……」
 ミニスカートに包まれた尻を掴み、腰を激しく動かすと、美しい黒髪が揺れて白いセーラー服の背中にかかるのが何ともいやらしい。
(何かいい……セーラー服でするのって……エロいや……)
 セーラー服というのは清楚な印象があるため、それを身に付けた美少女を背後から犯しているのだと思うと激しい興奮があった。
 今まで制服などにその様な感覚は無かったのだが、こうしてセックスの一部として認識すると途端にいやらしい物体に見えたのである。
「やっ、やっ、やぁっ……いいっ、あんっ……いいの、あっ、裕真いいっ……それぇ、ああんっ……」
 強く肉棒を叩き付けていくと、姉がガクリと腕を崩し、上半身をベッドに押しつけながら尻を高く掲げる姿勢になった。
 ベッドに広がる長い黒髪がいやらしさを感じさせ、裕真はそれまで以上に強く腰を動かしていった。
「あぅっ、あっ、ああんっ……裕真、あっ……裕真いいの、あんっ……裕真それもっとぉっ……」
 シーツを掴み引き寄せている姉の様子に、自分の与えている快楽の強さを感じ、裕真は激しい満足感に包まれた。
 今姉を支配しているのは自分なのだ。そう思うとゾクゾクする様な快感があったのである。
「あんっ、あっ、あっ……わたしもう、あっ……わたし、ああっ……わたしイっちゃう、あんっ……わたしイっちゃうのぉっ……駄目っ、駄目っ、駄目ぇっ……」
 姉の甘い叫びと共に膣内がキュウっと締まり上がり、裕真の射精感も激しく高まっていく。
「姉ちゃん俺もっ……俺ももうっ……俺ももうイくっ……ぐっ……イくよぉっ……」
 歯を食いしばり、姉の尻をギュッと掴みながらラストスパートとばかりに腰を振っていく。
「あんっ、あんっ、ああんっ……もう駄目、あっ……もうイく、あっ……もうっ、もうっ、もうぉっ……やっ、やっ、やぁあああああああああんっ!」
「うぅっ!」
 姉が頭を仰け反らせて絶頂に至った瞬間、裕真は精を放った。
 ドクドクドクドク……。
 勢い良く放出されていく精液を感じながら、久しぶりに姉の膣へ精液を注ぎ込んでいる事に激しい満足感を覚える。
(姉ちゃん……うぅ……姉ちゃぁん……)
 射精のたびに押し寄せる快感にうっとりしながら、裕真は姉と再び一つになれた事に嬉しくなった。
 最後の精を放ち終えると、ゆっくり姉の横に倒れ込む。
(姉ちゃんと……しちゃった……)
 ハァハァと荒い呼吸を繰り返しながら、儀式以外で姉とセックスしたのだという事に少し恐怖を覚える。
 儀式の時は、他人からしろと強制されたが、今回は自分の意志でしたのだから当然だろう。
 本来近親相姦などは許される行為ではないのだ。
「しちゃったね……」
 姉も同じ様に感じたのか、少し神妙な表情をして見つめてくる。
「俺、後悔してないよ。姉ちゃんが好きだもん」
「私も裕真が好きだよ……だから嬉しい……」
 姉はそう呟くと、甘える様に胸に顔を寄せ、下から潤んだ瞳で見つめてきた。
 その可愛らしい表情に思わずドキンっと心臓が跳ねる。
「ねぇ、これからどうしよっか?……私と恋人に、なる……?」
「え……?」
 熱い眼差しでそう問いかけてくる姉に驚く。
 自分に異存はないが、姉弟で恋人になってもいいのだろうか。
「私たちお互いが好きなんだから……そうなるのが普通でしょ?」
「そうだよね……そうかも……」
「じゃ、いいよね? 裕真と私はこれから恋人……」
「うん……姉弟だけどね……」
 ギュッと抱き付いてくる姉の頭を優しく撫でる。
「そう、姉弟だけど……恋人に、なるの……」
 その言葉には何やらゾクリとする様な感覚と嬉しさがあった。
 自分たちはこれから恋人になるのだ。
 姉弟だけど恋人に……。
「姉ちゃん……」
「裕真……」
 姉弟はお互いを抱き締めると、熱い眼差しを交わし合い、恋人になる誓いの証として唇を重ねていくのだった。












あとがき

 久々にラブラブなオチです。
 何か書いている内に勝手にラブラブになってしまったので、自分でもよく分かりません(笑)
 本当は姉弟らしさを保ったままで終わらせるつもりだったのですが、いつの間にやらくっついてしまいました(笑)
 まあ、設定として「儀式でした者同士は好き合う様になる」としていたので別に構わないんですけどね。
 でも恋人的にするつもりじゃなかったんで何か面白いですわ。

 この設定は「夜這い以外で慣習としていいのは無いかなぁ」と思って考えました。
 昔はこうした個人の意志が無視される慣習が多かったので、それを使ってみたのですな。
 取り合えず「従姉妹は可愛い女の子ばかり」としたので実に羨ましい状況である訳ですが。
 ちなみに裏設定として、「実は姉弟や兄妹で夫婦になっている」ってのがあったりします(笑)
 ついでに父親や母親との子供なんかもいたりして……。
(2008.2.18)



トップへ