母の誘惑


 龍太には記憶が無かった。
 最近事故に遭い、それ以前の記憶を失っていたのだ。十七歳になるまでの人生について完全に抜け落ちてしまっていたのである。
 日常生活のことはともかく、学校や友人に関することも忘れていたため、記憶が戻るまでは家で大人しくしているしかなかった。
 どうやら自分は母親と二人暮らしだったようなのだが、そのことに関しても記憶はなかった。
 母親だという女性の顔を見ても懐かしさは起きず、どうにも他人のような感覚しか持てなかった。父親はすでに亡くなっており、兄弟も居ないため、母だけが唯一の家族らしいのだが、その実感が持てないのである。
 病院のベッドで目を覚まし、最初に母を見た際も、親しみよりも「綺麗な人だな」という感想の方が起きた。
 母はかなり美人であったため、そのような女性が「あなたの母親です」と言ってきても、違和感しか覚えなかった。
 とはいえ、自分が目を覚ましたことを凄く喜び、記憶が無くなっている事が分かると凄く悲しんでくれた事から、やはり母親なのだろうな、とも思った。
 そしてそれ以後は、悲しさを見せず、普通に接してくれている事に感謝の想いを抱いた。
 何しろ見舞いに来る人たちは、皆一様に悲しげな表情を浮かべ、労るような事を言ってきたため、記憶が無いことをあまり苦に感じていない龍太は、そうした態度を少々鬱陶しく感じていたからだ。
 それゆえ、普通に接してくれる母の態度が嬉しかったのである。
 そんな状況だったせいか、いつしか母に対して親しみを抱くようになり、これならば一緒に暮らしていくのも大丈夫だろうと思えるようになっていた。
 だが一方で、困っていることもあった。
 母に対する意識だ。
 どうしても母親というより、一人の女性として見てしまうのである。
 それは本来の親子であればあり得ない事だったが、記憶が無く、母を他人のように感じているがゆえに起きてしまう事だった。
 何しろ美人の女性が自分を甲斐甲斐しく世話してくれるのだから、そうなっても仕方ないだろう。
 微笑まれるとドキリとしたし、触れられると緊張が走った。
 胸の膨らみに肉欲を高ぶらせそうになり、慌てて「母親なんだぞ」と抑えることもしばしばあった。
 それだけ母は魅力的であり、女性として精神的にも肉体的にも惹かれずには居られない相手だったのだ。
 そのような状態で二人きりで暮らすというのは問題があるように思えたため、改善したいとも思っていたのだが、結局変えることは出来ずに退院の日を迎えることとなった。
 そして母と一緒に暮らすようになって少し経った現在も、その魅力は龍太を悩ませており、どうすれば良いのかと日々悩んでいるのだった。


「龍ちゃん、ご飯よ」
 ドアがノックされた後、母が部屋に入ってきた。
 美しい顔が微笑んでおり、その様子にドキリとする。
 長い髪を上の方でくくっている姿が色気を感じさせ、思わず視線をそらしてしまう。
「あ……うん……」
 恥ずかしさを感じながら応えつつ、もう一度視線を何とか向け直してから、やはり慌ててそらしてしまう。
 どうにも母と接する際はそうなっていた。
 これは病院のベッドで目を覚ましてから続いている事であり、母に対して未だ馴染めないでいる部分だった。
 一緒に暮らした記憶があればこうはならないのだろうが、記憶が無い以上、母は他人のようにしか思えないため、どうしてもこうなってしまうのである。
「明日は天気もいいみたいだし、二人でどこかへ出かけましょうか?」
「そうだね」
 笑みを浮かべながら尋ねてくる母に答えつつ、何気なさを装って視線を胸元へと向ける。
 そこには豊かな膨らみがあり、母が動く度に揺れるそれは何とも魅惑的だった。
 背後から両手で鷲掴み、揉みしだいたらどれほど気持ちが良いだろう。
 そうしてみたい。
 そんな想いが湧き起こってくるのを慌てて振り払い、意識を別の事へ向けようと努力する。
「どこへ行きましょうか。龍ちゃんが行きたい所でいいわよ」
 そう言いながら近づいて来た母が、そのまま顔を寄せてきたためドキリとする。
 至近距離にある事で体の肉付きの良さが感じられ、その存在感は龍太の落ち着きを極端に奪う効果があった。
「そ、そうだね……映画でも行こうか……」
 動揺がバレないよう慌てて立ち上がり、居間へ向かおうと歩き出すと、母は背後から両肩に手をかけ、寄りかかるようにしてきた。
 その感触に心臓が鼓動を速める。
 今自分の体に母の手が触れている。そしてもう少し近づけば体に触れられる。
 そう思うとおかしくなりそうだった。
「映画かぁ、久しぶりに観たいわね。いいわよ」
 体を寄せ、顔を回り込ませるようにしてくるのに恥ずかしさが起きてくる。
 間近に母の美しい顔が迫り、桜色をした唇が見えたことに心臓がドキドキと鼓動した。
 この柔らかそうな唇に吸い付きたい。
 貪るように吸い付いて、舐め回したい。
 そうした欲求が湧き起こるのを何とか抑えつつ、何事もないようにしながら歩いていく。
「龍ちゃんとデートね。楽しみだわ」
 そう言われた瞬間、顔が熱くなった。
 デートという言葉を意識したからだ。
 母親相手に何をやっているのだろうと思うのだが、いつまで経ってもこうした動揺は無くならなかった。
 やはり母が美人なのがいけないのだろう。
 思春期の自分にとり、このような美人の女性と一緒に暮らすなど、ある意味辛さを感じさせることなのだという事を認識する。
 目にする度に意識してしまうのだから困りものだった。
 もう少し美人でなければ良かったのに、と思いつつ、でも美人な女性と暮らせるのは幸せなことだ、とも思った。
 どのみち相手は母親なのだから、このように意識してしまう状況は早く何とかするべきだった。
 そうでなければ、自分の事を想ってくれている母に申し訳がないだろう。
 早く記憶を取り戻し、本当の意味で息子として母に接することが出来るようになりたい。
 そんな事を思った龍太は、鼻歌交じりに楽しげにしている母を意識しながら、食事をするために居間へと向かうのだった。


 夜。
 龍太は部屋で勉強をしていた。
 記憶が無くなっているため、学校へ通うのは控えていたが、勉強はしておくべきだという母の言葉に従っているのだ。
 どうやら自分は勉強をするのが習慣だったらしく、特に辛さを感じることもなくする事が出来ていた。
 ただ個人的な勉強だけでは、どの程度実力が付いているのか分からないため不安でもあったのだが。
 そんな事を考えながらいつも通り問題集を解いていっていると、どうにもモヤモヤとした感覚が起きてきた。
 股間の辺りが落ち着かない感じなのだ。
 自然と手が伸び、一物を掴んでしまう。
 勉強をしていると、時折そうなることがあった。
 精神的な疲れが性衝動の発散を求めるのか、自慰をしたくなってくるのである。
 だがいざ自慰をするとなると、妄想しかオカズがないため困っていた。
 何故ならこの自分の部屋だという場所には、エッチな物が一切無かったからだ。記憶がなくなる前の自分は一体どうしていたのだろうと思うほど、そういう物が無かったのである。
 部屋の中の収納をあさったり、パソコンの中にエッチな画像でもないかと探してみたりもしたが、全く存在しなかった。
 どうしてそんな状態なのか分からなかったが、とにかく無かったため、新しく手に入れるしかなかった訳だが、それをするには少々抵抗があった。
 何しろ母にバレたら恥ずかしいと思えたからだ。
 エッチな物を買ったとしても、その事がバレるというのはそう無いのだから気にする必要は無いのだが、もし見つかったらと思うと気が引けてしまうのである。
 これが完全に母親と思えている相手であればそれほど気にすることも無いのだろう。
 しかしやはり他人としてしか認識できず、しかも美人の女性である事を考えると、どうしても躊躇してしまった。
 同じ屋根の下に母が居る。あの美しい女性が居る。
 そう思うと、エッチな物を持つ事に申し訳なさや恥ずかしさを覚え、買う意欲を失ってしまうのだ。
 ゆえに自慰をするとなると、妄想を膨らませて行うしかないのだが、それをするにも躊躇する部分があった。
 何しろ妄想するとなると、どうしても母の事を思い浮かべてしまうからだ。
 自分に好意を向け、甲斐甲斐しく世話をしてくれ、魅力的で十分に性欲をそそる肉体をしているとなれば、そうなっても仕方ないだろう。
 だがいくら実感が持てないとはいえ、実の母親を自慰のオカズにするなど酷すぎた。
 何よりもし記憶が戻り、母親として認識出来るようになったら苦悩するに違いないと考えると、とてもではないが出来る事ではなかった。
 とはいえ、他に自慰のオカズは無かったし、日々肉欲は高まっていたため、いつかはしてしまいそうで怖かった。
 何しろ先ほどのように、母はやたらと触れてくるのだ。
 スキンシップをする事で記憶が戻りやすくなるのではないか、というのが理由らしかったが、される側としては少々辛さを感じる部分があった。
 とはいえ、触れられること自体は嬉しかったし、偶然でも良いからあの豊かな胸の膨らみに触ってもみたかった。
 そんな事を考えながらも、手はズボンの上から肉棒を擦っており、先ほど肩に乗せられた手の感触や、寄せられた美しい顔を想像するだけでたまらない気持ちの良さが起きた。
 このまま擦り続ければ、すぐにでも射精する事が出来るだろう。
 だがそれをするにはやはり躊躇があった。
 母を妄想して射精するなど、あまりに酷い事に思えたからだ。
 だからすぐにでも止めるべきなのだが、それでもついつい「もう少しだけ」となってしまうのが悩みの種だった。
 してはいけないのだが、するとたまらなく気持ちがいい。
 この矛盾をどうにかしなければ、いつかきっと射精してしまうに違いない。
 そんな事になったら、した後で凄く後悔しそうに思え、絶対にしないようにしなければ、と思った。
 そんな事を考えながら手を動かしていると、不意に部屋のドアがノックされたため、死ぬほど驚きながら慌てて股間から手を放す。
 そのまま落ち着かない状態で返事をすると、ドアが開いて母が部屋に入ってきた。
 その瞬間、目に飛び込んできた光景に体が硬直し、心臓が激しく跳ねる。
 何故なら母の身につけていたのが、薄手のネグリジェだったからだ。
 薄い布地の下に、美しくも艶めかしい体のラインが見え、黒い下着が鮮やかに目に映るのにドキドキと鼓動が激しくなる。
 下着に覆われていない肌がうっすらと見える状態になっていて、ほとんど裸に近い肢体が目の前に存在していた。
「な、何……?」
 慌てて視線をそらしつつ尋ねると、母は小さく笑ったような吐息を漏らした後、ゆっくりと近づいてきた。
「龍ちゃんとお話がしたくて……でも勉強してるのね? お邪魔だったかしら?」
 そう言いながら肩に手を乗せ、覗き込むようにしてくる。
「べ、別に大丈夫だよ。もう今日の分は終わったから……」
「そうなんだ……でも毎日やっているんですものね、偉いわ……」
「学校行ってないんだから当然だよ。しておかないと、学校に行けるようになった時に困……るし……」
 視線を母へ向けた瞬間、とんでもないモノが目に映ったため、語尾がたどたどしくなった。
 至近距離のせいか先ほどよりもネグリジェが透けており、胸元にあるたわわな膨らみがよく見えたのだ。
 白く丸いそれは、何とも柔らかそうで、量感のある魅惑の肉塊だった。
 このような美しくもいやらしい膨らみは他にないだろう。
 思わずジッと凝視してしまい、触りたくなる衝動を覚えた龍太は、慌てて視線をそらして大きく息を吐き出した。
「そこが偉いのよ。普通だったら、これ幸いと勉強なんかしないでしょうから。龍ちゃんは本当に偉いわ」
 微笑んで見つめてくるのにドキリとしてしまう。
 ネグリジェという色気を感じさせる服装のせいか、普段は感じられない強烈ないやらしさを纏っているように思えたのだ。
 薄い布地は肉体を隠しているようでいて、逆に強調している状態になっており、柔らかそうな女肉を印象づける効果があった。
 このいやらしい肉体を抱き締めたい。
 そうした激しい衝動が湧き起こり、ジッと見入ってしまう。
「べ、勉強は嫌いじゃないから……っていうか、嫌いじゃなかったみたいだけど、どうなのかな? 前の僕ってどうだった?」
「そうね。龍ちゃんはいつも勉強してたわよ。だからお母さん、いつも今みたいに『偉いわ』って褒めてたの。自慢の息子なんだから」
 褒められた事で、嬉しさと共に肉欲が高ぶった。
 母に、この美しい女性に自分は認められているのだという喜びが、男としての自尊心を刺激したのだろう。
 再び視線を母へ戻すと、眼前に豊満な乳房が迫っており、その存在感に圧倒されつつ、母が動くことでタプンと緩やかに揺れる様に心臓が痛いほどに鼓動した。
 ああ、この膨らみを掴んでみたい。
 揉んでみたい。
 吸い付いてみたい。
 未知の感触を持つ柔らかそうな肉の膨らみへの思慕が強烈に強まっていく。
「お勉強が終わったのなら、お母さんと少しお話をしましょう? ね、こっちへ来て」
 母はそう告げてから、近くにあるベッドへ腰を下ろした。
 ネグリジェを身に纏った女性がベッドに座っている姿は何とも肉欲をそそり、そのまま押し倒してしまいたくなってくる。
 だが相手は母親なのだし、例え他人の女性であってもそのような行為をしてはいけないだろう。
 そんな事をしては嫌われてしまうに決まっていた。
 この美しくて優しい女性に嫌われるなど、耐え難いことでしかなかった。
 記憶を失っているのに毎日幸せな気持ちで過ごすことが出来ているのも、母が甲斐甲斐しく世話をしてくれ、いつも笑顔で自分に接してくれているからだった。
 そんな母の表情を曇らせ、悲しませる行為など出来るはずがなかった。
 そうした強い想いが自制心を生み、龍太は何とか自分を抑えることが出来た。
 とはいえ、若い肉体は敏感に反応しており、肉棒は先ほどから痛いほどに勃起してしまっている。
 それに気づかれないよう歩くのは難しかったが、このような状態がバレるなど死ぬほど恥ずかしかったため、何とか不自然にならないよう気をつけながらベッドへと腰を下ろした。
 すると傍に薄手のネグリジェを身につけた柔らかそうな肉体がある事が強く意識され、思わず抱き締めたくなってしまった。
 ベッドという状況が性的な行為を意識させているようで、先ほどよりも母を襲いたくなる衝動が強まっているのだ。
 呼吸が乱れていたため、慌てて深呼吸をして抑える。
 緊張からか手が震えているのが分かり、どうして自分はこれほど母を意識してしまうのかと苦悩する。
 相手は母親なのだ。母親なのだから欲情しては駄目なのだ。
 必死にそう思うが、チラリと視線を横へ向けると、至近距離に色っぽい肉感的な体が存在しているのが目に映り、鼻息が荒くなってしまう。
 肉棒はすでにかなり硬く大きくなっていたが、それがさらに硬化し、ビクンビクンと震えるのが伝わってきた。
「ふふ……緊張してるのね? まだ慣れない? そうよね、龍ちゃんにしてみれば、私は母親に思えないでしょうから……」
「そ、そんな事は……ううん、そうだね……まだ無理なんだ。ごめんなさい……」
 悲しげに呟く母に慌てて否定しようとするが、嘘をつくのもいけないだろうと思って肯定する。
「いいのよ。仕方ないことですもの……でもお母さんはね、こうして一緒に暮らしているだけで嬉しいの。何しろ前はそうじゃなかったから……」
「え? 前の僕とは一緒に暮らしてなかったの?」
「そうね。ちょっと事情があって、しばらく離れて暮らしてたから……」
「そうだったんだ……」
 それは驚きだった。てっきりずっと一緒に暮らしていたのだと思っていたからだ。
「だから今は嬉しいの。こんなに龍ちゃんと一緒に居られて。龍ちゃんの世話を色々出来て幸せなのよ。だから遠慮しないで甘えてね? お母さん、龍ちゃんに甘えられると嬉しいんだから……だから……なぁんでも、龍ちゃんがしたいこと……お母さんに言ってね?……お母さん……龍ちゃんがしたいことなら……何でもして、あげるから……」
 不意にゆっくりと、強調するようにして言ってくるのにドキリとしてしまう。
 どこかいやらしい雰囲気を感じさせる口調であったため、もしかしてこのままエッチなことをやらせてくれるのではないかと思えた。
 そんな事などあり得ない、と慌てて否定し、大きく深呼吸をする。
「ね? こっち向いて……」
 呼びかけられた声に反応し、母の方を見る。
 するとそこには優しく微笑む顔があり、それ自体はいつもと変わらないのだが、こちらを見つめる瞳には、何とも言えないねっとりとした光を放っているのが感じられた。
「龍ちゃん……お母さんにして欲しいこと……あるでしょ……?」
「え……?」
「分かるのよ。母親ですもの……お母さんは龍ちゃんがしたがってること、分かっているんだから……」
「僕の……したがってる、こと……?」
「そう……龍ちゃんは……お母さんの体に、色々したいんでしょう?」
「そ……それは……」
 核心を突いてきた言葉にドキリとし、体を震わせてしまう。
「隠さなくていいの……っていうか、隠せてないわよ……龍ちゃん、ずっとお母さんのこと、エッチな目で見てるもの……お母さんの体に触りたいんでしょう?」
「う……あ……うん……ご、ごめんなさい……」
 今まで必死に誤魔化してきたつもりであった事がバレバレであったのに恥ずかしさで一杯になる。
 だが何やら母がエッチなことをさせてくれそうな雰囲気になっているのに、期待から心臓が飛び跳ねそうなほどに鼓動が速まっていった。
「謝らなくていいのよ。龍ちゃんにしてみれば、母親と思えない相手と一緒に暮らしているんですものね。龍ちゃんの年頃なら意識しても当然よ。それより嬉しいわ。それって龍ちゃんがお母さんのこと、魅力的に感じてくれているって事ですもの」
 母は笑顔でジッと見つめてきている。
 その瞳は潤んでおり、いやらしさを感じさせてたまらなかった。
「今日はね……それを確認したくてこんな格好をしてきたのよ。少し恥ずかしいけど、龍ちゃんがお母さんのこと、どれくらい意識してるか知りたかったから……ふふ、すっごく意識してくれてるのね。嬉しいわ……」
 まさかそのような思惑があったとは驚きだった。
 だがまさにその方法は正解だった訳だ。何しろいつもに比べ、格段に母を意識しているのが自分でも分かるからである。
「でもそのせいで辛くなっちゃってるんでしょう? だから、ね? お母さんが、楽にしてあげるから……龍ちゃんのしたいこと……させてあげる……」
 そう言ったかと思うと、母は体を寄せてきた。
 そしてこちらの手を取ると、ゆっくりと胸元へ押し当ててきた。
 手のひらにフニュリっといった感触が湧き起こり、温かさと柔らかさが伝わってくるのに激しく動揺する。
(うぁ……や、柔らかい……凄い……これがおっぱい……)
 初めて触れる女性の乳房に、頭の中が混乱していた。
 ずっとしたいと思っていた事が実現し、歓喜が起こるのと同時に、股間の肉棒がはち切れんばかりに震えているのが分かる。
 思わず手に力が入って掴む状態になると、指が柔らかな肉に沈み込むのが見えて興奮が凄まじく高まった。
 嬉しすぎてたまらない状況に鼻息が荒くなり、もっと触りたい、揉みたい、という想いから、手が動いてフニュリフニュリと乳房を掴んでいく。
 その瞬間、母の鼻から乱れたような吐息が漏れたため、その事にも興奮が湧き起こった。
 感じている。
 母は感じているのだ。
 自分がした行為に反応して快感を得ているのである。
 それは何とも言えない喜びと興奮を呼び起こし、龍太は抑えられない衝動に流されるまま、両手で双乳を鷲掴みにしていった。
「あ……」
 すると今度は微かではあるが、母の声が聞こえたため、その事に強烈な悦びを覚えた。
 胸を、おっぱいを揉むと母がいやらしい声を出す。
 それはただでさえ胸を掴む行為で興奮している状況に、さらなる刺激を与える要素だった。
 こうなるともう止まらなかった。
 手に力を入れ、乳房の形を変えるほどに無茶苦茶に揉みしだいていく。
「あ……あぁ……龍ちゃんおっぱいが好きね、あっ……ふふ、いいのよ……好きなだけ、あっ……していいから……」
 母が快感に顔を歪ませながら、刺激に耐えるようにして言ってくるのに益々肉欲が高ぶっていく。
 女を喘がせる行為というのは何と素晴らしいのだろう。自分が手を動かすと、それに反応して母が甘ったるい声を漏らすのだ。
 そして目の前で自在に変化する肉の塊。
 豊満な乳房に己の指が食い込み、その美しい造形を乱す状況に、ワクワクするような喜びが起きてくる。
 最高だった。
 乳房を揉む行為は最高に素晴らしかった。
 龍太は夢中になり、何度も素晴らしい膨らみを揉んでいった。
(ああ……見たい。おっぱいが見たいよぉ……)
 しかし少しすると、ただ揉むだけでは物足りなくなってきた。
 今自分が揉んでいるこの膨らみの全てを見たい。
 母の乳房を生で見てみたい。
 服を脱がせても母は怒らないだろう。何しろ「したい事をさせてあげる」と言っていたのだから。
 その言葉に後押しされた龍太は、鼻息を荒くしながらネグリジェに手をかけると、ブラジャーごと引き下ろしていった。
 するとタプンっといった感じで量感のある乳房がさらけ出され、独特の曲線を描く膨らみに感嘆の想いが湧き起こる。
 真っ白な肉の塊の中で、二箇所だけ桜色をした突起が存在しており、その何とも吸い付きたくなる形状に、意識しないでも顔を近づけていってしまう。
「ふふ……吸いたいのね……いいわ、吸って……お母さんのおっぱい吸って……」
 母へ視線を向けると慈愛に満ちた笑みが浮かんでいたが、その中に淫靡な雰囲気が存在することに強い興奮を覚える。
 母親として息子の性衝動を発散させている事と、女として男に快感を与えられている事が、そうした二種類の印象を与えるのかも知れない。
 そう、自分と母は、親子でありながら男女としての行為もしているのだ。
 その事に背徳的な想いを抱きつつ、そう言えば、どうして母はここまでさせてくれるのだろうと、今更ながら不審に思った。
 自分にとって母は未だ母親と思えない部分が強かったが、母にとって自分は息子にしか思えないはずであるのに、何故このような事までさせてくれるのか。
 というより、記憶が無いことを考えれば、親子の意識を弱めるであろうこうした行為は、余計してはならないように思えるのだが。
 そうした疑問が頭をよぎったが、目の前に迫る乳房を認識すると、どうでも良くなっていった。
 何しろそこにある肉の塊は実に美しくもいやらしく、見ているだけでうっとりするほどに心地良いものだったからだ。
 これを目の前にして、別のことを考えるなど愚かしいだろう。
 今はこの柔らかい物体に吸い付く方が大事だった。
 眼前では小指の先ほどの大きさのある突起が誘うようにフルフルと揺れており、そのたまらない様子に我慢できずに口付けていくと、コリコリとした感触が口内に広がった。
 それと同時に安堵と喜びが湧き起こり、何やら昔同じことをしていた気がして、その懐かしい感触に幸福感が起きてきた。
 ああ、やはりこの人は母親なのだ。
 自分はこの人の乳房を吸って育ったのだ。
 そうした感慨が湧き起こった。
 だが今の自分は赤ん坊ではなく、すでに母乳を必要としない高校生であるにも関わらず、乳首に吸い付いている。
 しかも母への思慕の想いからではなく、女性に対する性欲からなのだから、歪んでいるとしか言えないだろう。
 自分は何ということをしているのだろうと思うが、口に含んだ乳首の感触や、その周囲にある乳房の肉の感触は、逆らいがたい快感を呼び起こしており、舐めたり吸ったりするのを止めることは出来なかった。
 せっかく母が乳房を自由にさせてくれているというのに、何故それを止めることが出来るだろう。
 この機会に存分に味わわなければ。
 そうしたくてたまらなかった。
「あっ……んふ……あぁっ……いいわ……いいわよ龍ちゃん、あっ……上手……おっぱい吸うの上手よぉ……お母さん気持ちいいわぁ……」
 母の手が優しく頭を撫でており、その感触に心地良さを覚えつつ、夢中になって乳房を揉み、乳首を吸っていくのを繰り返す。
 ムニムニと形を変える膨らみは、いくら揉んでも飽きないおもちゃのようであり、チュパチュパと吸い付くことで硬さを増した乳首は、いつまで舐めても無くならない飴のような良さがあった。
 快感に耐えかねたのか母が後ろに倒れ、その上にのしかかる状態になると、体全体に女肉の柔らかい感触を感じたため、その蕩けるような気持ちの良さにたまらなさを覚えた。
 母の体は何と柔らかくて温かいのだろう。
 素晴らしすぎて涙が出そうだった。
 意識せずとも腰が動き、肉棒を擦り付けるようにしてしまう。
「ふふ……龍ちゃん辛くなってるのね……いいわ、お母さんがしてあげる……」
 母はそう告げると起き上がり、龍太の体をベッドに横たえると、ズボンのベルトを緩めてパンツごと引き下ろした。
 ブルンっといった感じで、すでに硬くなりまくっている肉棒が勢い良く立ち上がる。
「まあ、凄く元気ね……素敵よ龍ちゃん……それじゃ、楽にしてあげるわね……?」
 肉棒に細い指が絡みつき、軽く上下にしごいてくると、それだけで強い気持ちの良さが走り抜けた。
 もっと刺激を与えて欲しいと思っていると、それを察したようにギュッと握られ、大きく擦られるのに頭を仰け反らせてしまう。
 自分でするのとは比較にならない良さがあり、このまま射精したら素晴らしいだろうと思えてくる。
 そんな事を考えていると、不意に母はそれ以上の行為をしてきた。
 顔を肉棒に寄せた後、こちらをチラリと見て微笑み、舌を伸ばしてきたのだ。
 生温かく湿ってざらついたモノが亀頭に触れ、鋭い刺激が股間に湧き起こる。
 母が舐めてくれている。
 舌で刺激を与えてくれているのだ。
 それは何とも素晴らしく、信じられない状況だった。
 さらに上唇をペロリと舐めたかと思うと、そのぽってりとした唇を大きく開き、肉棒をその中へと含んでいった。
「うぅ……」
 肉棒が湿りと温かさに包まれ、舌が絡みついて舐めてくるのに蕩けるような快感を覚える。
 根本の方から裏筋をゆっくりと舐め上げられ、亀頭に強く吸い付いつかれるのに、体の中身が吸い出されるような快感を覚えた龍太は、頭を仰け反らせながらその刺激に耐えていった。
「気持ちいい?……いいのよ我慢しなくて……出したくなったら出しちゃいなさい……」
 色っぽく告げてくる母の言葉に、今自分が素晴らしすぎる状況に居ることを認識する。
 母の頭が動く度に、胸元の魅惑の肉塊がタプンっといった感じで揺れている。
 この美しくもいやらしい女性の口に精液を吐き出したい。
 そうした想いが強まると同時に、射精感も限界まで高まっていった。
「うぁっ……で、出るっ……」
 体が硬直し、肉棒の先端から精液が迸るのが感じられた。
 その瞬間、強く吸い付かれたため、さらなる刺激が襲いかかり、快感が脳に走り抜けた。
 温かくて湿った肉の中で放出する行為は、何とも心地良く、信じられないほどの気持ちの良さをもたらした。
 意識が朦朧とし、股間で肉棒を口に含んでいる母の様子をボーッと眺める。
 どれくらい経っただろうか、気がつけば射精が終わっていた。
 随分長い間射精していたような気もするが、実際はそれほど経っていないのかも知れない。何しろ少々意識が飛んでいたため分からないのだ。
 そんな事を思いながら大きく息を吐き出していると、母が不意にチュウっとc吸い付いてきたため、「うぅっ……」といった呻きを漏らしながら体を硬直させた。
「ふふ……沢山出したわね。お母さんの口、気持ち良かった?」
「う、うん……気持ち良かった……」
 いやらしい笑みを浮かべながら尋ねてくる母の姿に、心臓が激しく鼓動する。
 今自分は、この美しい女性の口に射精したのだ。
 そして母は精液を飲んでくれた。
 それは自分の全てを受け入れてもらえたような気がして嬉しかった。
「でもまだ満足できてないでしょう? 龍ちゃんは、もっと別の所へ入れたいんじゃない?」
「うん……い、入れたい……」
 そう、ここまで来たら入れたかった。
 母の女性の部分、子宮の存在する女性器の中へ。
「いいわよ。いらっしゃい……龍ちゃんの入れたい所へ……お母さんの中へ、帰ってらっしゃい……」
 その言葉に心臓が跳ねる。
 母の中へ帰る。
 それは何と刺激的な、そして懐かしさを感じさせる言葉だろうか。
「それじゃ起きて……落ち着いてね?……ほら、ここがそうだから……分かるでしょ?……ここに龍ちゃんのを入れるのよ?……龍ちゃんの産まれてきた場所に……」
 母はパンティを脱ぐと、ネグリジェを捲り上げて横たわり、脚をM字に広げて秘所を指で少し広げるようにした。
「ここが……僕の産まれてきた、場所……」
 母の言葉に感動を覚えながら覗き込む。
 記憶喪失が無くとも、産まれて来た時のことなど覚えているはずも無いが、母のその秘所を見ていると何やら懐かしさを覚えた。
 自分はここを知っている。
 そんな想いが起こったのだ。
「そうよ……龍ちゃんはここから出てきたの。ほら、この穴から……」
 指で広げられたそこは、内蔵のような印象を持たせる襞になっており、ヌルヌルした状態になっていて、肉棒を押し込んだら凄く気持ち良さそうに思えた。
 その想像をすると、実際入れたくてたまらなくなり、肉棒が硬く大きくなっていくのが分かる。
「ふふ、龍ちゃんも準備が出来たみたいね……それじゃ、入れてみましょうか? 早く入れたいでしょう?」
「う、うん……入れたい……僕、入れたいよっ……」
 落ち着かない様子で告げながら、肉棒を持つと母にのし掛かっていく。
 一瞬「実の母親とこのような事をするなどとんでもない」という想いがよぎるが、すぐさま「それよりも早く入れたい」という気持ちが心を支配し、肉棒を近づけていった。
「そう、そこよ……そう、そこ……そのまま押し込んで……あんっ……ほら、入ったわ。入ったわよぉ……」
 母の誘導に合わせて腰を進めると、亀頭が温かで湿った箇所に入り込むのが分かった。
 その瞬間、蕩けるような気持ちの良さが押し寄せ、思わず頭を仰け反らせてしまう。
「もっと入れて……奥まで入れるの……そう、あっ……そうやってそのまま、ああっ……はぁ……全部入ったわね?……龍ちゃんのが全部入ったわ……ああぁ……おっきくて太いぃ……立派よぉ……龍ちゃんのは本当に立派だわぁ……」
 うっとりとした表情で母が褒め称えてくるのに嬉しさが湧き起こる。
 今まで、とはいっても記憶がなくなって以降だが、母には色々と褒められたりしたが、今の言葉はそれとは比較にならないほど嬉しいものがあった。
 やはり生殖行為において重要な男性器について褒められたため、本能が強烈に喜びを感じているのかも知れない。
 その上実際に感じている快感が凄かった。
 世の中にこのような気持ちの良さがあったのかと思えるほどに素晴らしかったのだ。
 肉棒が温かい肉に包まれており、ヌメヌメとした襞が絡みついてくるのに、腰が抜けてしまうのではないかと思えた。
 ジッとしたままでも微妙に膣襞が蠢いていて、それだけで射精してしまいそうなほどの良さがあるのだ。
 目の前にはネグリジェをはだけた母の姿があり、その白い肌とムチっとした女肉の存在感にいやらしさを覚える。
 普段美しさを感じている顔は淫らな笑みを浮かべており、そのいやらしい雰囲気は、本当にこの女性が自分の母親なのかと疑うほどだった。
 だがこうして繋がっていると、何とも言えない懐かしさを覚え、安堵感が湧き起こってくるのに、やはり母親の中だからそんな風に感じるのだろうかと思う。
「それじゃ、動かしてごらんなさい。もっと気持ち良くなるから」
「う、うん……」
 優しく告げてくる母に頷き、腰を前後に動かしてみる。
 すると肉棒が膣に吸い付かれる感触が強まり、それと共に体の中身が吸い出されるような快感を覚えた龍太は、だらしなく頬を緩めた。
 そのまま腰が勝手に動き続け、擦れる度に押し寄せてくる気持ちの良さに、頭がどうにかなるのではないかと思った。
「あっ、あっ、ああっ……いいわよ、いいっ……龍ちゃん上手、ああっ……そうよそう、あんっ……そうやってもっと腰を振ってぇ、ああんっ……」
 甘えるような口調で褒めてくる母の言葉に嬉しさが高まり、自尊心が刺激を受けて、もっと母を気持ち良くしてあげるのだとばかりに腰を振っていく。
 眼下にある豊満な乳房が、こちらの動きに合わせて揺れており、その振動が肉棒を通じて伝わってくるのに、母と繋がっているのだという実感を強めた。
「あんっ、あんっ、ああんっ……凄いわ、あっ……凄いの龍ちゃん、ああっ……こんなの凄くて、あっ……お母さんおかしくなっちゃうぅっ……」
 ベッドに手を付いて勢い良く肉棒を叩き付けていくと、母が顎を仰け反らせ、人差し指を噛んで激しく悶えた。
 その色っぽい仕草に、肉棒がさらに猛り、もっともっと母を乱れさせるのだと腰を強く大きく突き込んでいく。
「あっ、あんっ、ああっ、あんっ……いいっ、いいっ、いいのぉっ……龍ちゃんいいわぁ、あっ、ああっ……もっと、もっとよぉ、あんっ……もっとしてぇっ……」
 頭を左右に振り、狂ったように乱れる母の姿に、女を自由にしている悦びを覚える。
 このいやらしい女が自分の母親。
 その母は、淫らな肉体を自分の自由にさせてくれている。
 何と素晴らしいことだろう。
 母親とのセックスは許されない事のはずだったが、こんなに気持ちが良いのでは、もう止めることなど出来るはずもなかった。
「龍ちゃん、あっ、あはぁっ……龍ちゃんはお母さんの物よ、あっ、ああっ……龍ちゃんはお母さんのなんだからぁ、あぅっ、あっ、ああんっ……」
 自分に対する執着を感じさせる発言と同時に、母の腕と脚が蛇のように絡みつき、逃がすまいと引き寄せてきたのにゾクリとした怖さと興奮を覚える。
 母は自分を求めている。
 息子として、そして男として求めているのだ。
 その事は自尊心を刺激し、この美しくもいやらしい女の中に精を放ちたいという想いが強まると共に、射精感が限界まで高まっていった。
「あっ、ああっ……出るのね? あんっ……出そうなのね? ああっ……いいわ、いいわよ、あんっ……お母さんの中に、ああっ……お母さんの中に出して、あっ……出して龍ちゃぁんっ……」
 母の中に射精する。
 それは妊娠させるかも知れないという恐怖を伴う行為ではあったが、だからこそしてみたくもある行為だった。
 母親ではあるが、この素晴らしい女を自分の物とした証として己の精液を注ぎ込む。
 それをしてみたい。
 震えるほどの興奮が湧き起こり、龍太は激しく腰を振りまくっていった。
「あんっ、あんっ、ああんっ……イくっ、イくわ、ああっ……お母さんイくの、あんっ……一緒に、ああっ……龍ちゃん一緒に、あっ……龍ちゃぁんっ……あっ、あっ、あぁああああああああっ!」
「うぁっ!」
 母の絶叫と共に膣内が強烈に収縮し、その事で一気に肉棒の栓が開放された。
 ドピュッ、ドピュッ、ドクドクドクドクドクドク……。
 精液の迸る感覚と共に、強烈な快感が押し寄せ、一瞬頭が真っ白になる。
 そのまま肉棒が律動するたびに射精が行われ、快感が走り抜けていく。
 あまりの気持ちの良さに惚けながら、目の前にある母の顔を見つめていると、美しい顔が淫靡な、満足げな笑みを浮かべているのにゾクッとした興奮を覚えた。
 そして不意に、自分はこの顔を以前も見たことがあるような気がしてきた。
 それも何度も見たような……。
(龍ちゃぁんっ……)
 母の甘くいやらしい呼びかけ。
 それが頭に響き渡り、淫らに乱れる母の姿が浮かび上がる。
 それは今の正常位の状態だけでなく、後背位や座位、その他様々な体位で交わっている情景だった。
(これは……前の、記憶……?)
 事故に遭う前の記憶なのではないかと認識する。
 そしてその瞬間、強烈な光が感じられ、意識が真っ白になるのを感じた。
 ぼんやりとした意識の中で、今まで知らなかった情報が押し寄せてくるのが分かる。
 それは記憶だった。
 今まで無くなっていた、生まれてからこれまで生きてきた記憶だ。
 それが蘇ったのである。
(こんな……こんなのって……)
 だがその中に、信じられない記憶があった。
 それは母を抱き、喘がせている記憶だった。
 そう、自分は以前から母とセックスしていたのだ。
 そんな馬鹿なとは思うものの、蘇った記憶はあまりに鮮明で、嘘とは思えないものがあった。
 母と数多く交わりを結び、何度も何度もその肉体を貪った記憶。母に求められ、誘惑され、その魅惑的な肉体に溺れていった記憶だ。
 今されたように、以前も母に導かれ、童貞を失っていたのである。
 母は淫乱な女であり、息子であろうと、いや、息子であるがゆえに自分を求めてきていた。
 それに逆らえない、いや、悦んで従った自分は、何度も何度も母と交わり、母の中へ大量の白濁液を放ちまくっていった。
 許されない、禁断の関係を母と結んでいたのだ。
 普通であれば信じられない記憶だったが、母を抱いた今であれば納得できた。
 例え母親という意識があろうとも、これほどいやらしく魅力的な女性を相手に抱かないで居るなど不可能だからだ。
 それほど自分は母に魅了されている。
 惹かれてしまっているのだ。
 だがその一方で、そうした母との関係を辛く思う自分も居て、何とか止められないかと苦悩していた記憶があった。
 そして自分は記憶を失ったにも関わらず、以前と同じ事を繰り返してしまったのだと思うと、母の魅力に逆らえない自分に悲しくなった。
 せっかく記憶を失い、母と普通の親子関係だけで居られる状況を得られたというのに、結局また母を抱いてしまった。
 何と愚かしいことだろう。
 辛い記憶に涙が溢れ、悲しみが押し寄せてくる。
 さらに何故自分が記憶を失った、いや自ら消し去ろうとしたのかの記憶が蘇ってくると、その信じられない内容に、愕然とする想いを抱いた。
 全ての始まりは、自分が約束を守れなかったことからだった……。


 十二歳の頃、龍太は伯父夫婦に育てられていた。
 幼い頃に父が死に、母も病気になったためだ。
 伯父の家は金持ちであり、家も大きかったため、病気の母や自分を引き取ってくれたらしい。
 母は伯父の家の敷地内にある別の建物に住んでいたが、病気を理由に会わせてもらえる事はなかった。
 母の病気は精神的なもので、人とまともにコミュニケーションが出来なくなっているらしく、隔離された状態で生活していくしかなかったからだ。
 ゆえに母と一緒に暮らせないのは仕方なかったのだが、やはり会いたいという気持ちは抑える事が出来なかった。
 そのため、伯父夫婦が家を留守にしたある日、龍太はこっそりと母に会ってみる事にした。
 決して一人で会ってはいけないと言われていたのだが、どうしても会いたくなってしまったのだ。
 伯父達との約束を破ることに後ろ暗さを感じつつも、久しぶりに母に会えることに喜びを感じながら玄関の前に立った。
 ドキドキしながらドアを開くと、「どなたかしら?」という声と共に、母の懐かしい姿が現れた。
「まあ、龍ちゃん……来てくれたの? さ、こっちへいらっしゃい」
 どことなく以前より美しさを感じさせる雰囲気にドキリとしつつ、手招きしてくる母の傍へと近づいていく。
「こんなに大きくなって……お母さん嬉しいわ」
 そう告げながら抱き締めてくるのに動揺する。
 すでにそうした事に恥ずかしさを覚える年頃であったため、少し抵抗を覚えたからだ。
 しかし温かい母の肉体の感触を意識すると、その心地良さに自然と身を任せてしまった。
 目の前にはどこかぼんやりとした母の笑みがあり、それが何とも言えず色っぽさを感じさせて心臓が強く鼓動していく。
 実の母親に何を動揺しているのだろうと思うが、それほどまでに久々に会う母は、妙に色気を感じさせる部分があったのだ。
 何より自分も女性を意識する年頃になっていた事も大きいのだろう。母親とはいえ、女体に触れているだけで動揺してしまっていたのである。
「可愛いわ龍ちゃん。愛してるの。愛してるのよ……」
 不意に母の顔が近づいてきたかと思うと、唇が塞がれるのに驚く。
 柔らかな感触が感じられ、それが母の唇なのだと気づくと、キスをしているのだというのが分かった。
 あまりに予想外な状況に硬直しつつ、初めてされるキスに動揺と興奮を覚える。
 何かが唇を割って口の中に侵入してきた事に震えつつ、それが母の舌だと気づいた時にはこちらの舌に絡みつかれた。
 そのまま強く吸われ、口内を舐め回されるいやらしい動きに、股間のオチンチンが硬く大きくなるのを感じた。
 背中に回された腕に強く引き寄せられ、顔が左右に動いて唇が強く擦り付けられるのに意識がボーッとしてくる。
「んっ……んんっ……んふぅっ……」
 鼻から漏れる母の吐息をぼんやり聞きつつ、柔らかな肉体が押し付けられる感触に気持ちの良さを覚えながら、オチンチンが痛いほどに硬くなっているのを意識する。
 思わずオチンチンを押し付け、擦るようにして動かすと、蕩けるような快感が走り抜けた。何故そうすると気持ちいいのか分からなかったが、止められずに繰り返してしまう。
 それに気づいた母が、合わせるようにして体を押し付けて来るのに驚きつつ嬉しさを覚える。
 何故母はこのような事をしてくるのだろう。
 そうした疑問がよぎるが、あまりに気持ちのいい行為のために頭がボンヤリとしてしまい、考えられなくなった。
 今は母とキスをし、抱き締め合い、オチンチンを擦り付けていたかった。それだけをしたかったのだ。
 しばらくして唇が離れたため、大きく息を吐き出しながら母を見上げると、ニコリと微笑まれた。
 その笑みは、今まで見たことのないものであり、何とも言えずいやらしさを感じさせるものであったため、母が以前とは違った状態にあるのを実感させた。
 母の病気は精神的なものだと聞いていた訳だが、おそらくこうした異常な行動をしてしまうものだったのだろう。伯父達が「一人で会ってはいけない」と言ったのもそれが理由に違いなかった。
 だがその事を認識しても、母から離れる気にはなれなかった。
 その淫靡な雰囲気と、ねちっこいキスやオチンチンに起きた快感のせいで、魅了されてしまっていたのだ。
 母は愛おしそうにこちらを見つめた後、ゆっくり押し倒してくると、ズボンに手をかけてパンツと一緒に引き下ろした。
 下半身が露出する事に恥ずかしさを覚えるものの、何かいやらしい行為をするためなのだと思うと、期待と興奮が高まっていった。
「龍ちゃん可愛いわ。大好きよ……」
 母の言葉に心臓が強く跳ねる。
 それまでも何度か同じことを言われた覚えがあるが、この淫靡な雰囲気を持つ母が口にすると、比較にならない喜びがあったのだ。
 そそり立ったオチンチンが母の手に握られた瞬間、強烈な快感が走り抜けた。
 普段自分で握っても何も感じないというのに、母に触れられるとどうしてこんなに気持ちがいいのだろう。
「素晴らしいわ。もうすっかり大人なのね、素敵よ」
 ニンマリといった笑みを浮かべてオチンチンを見つめる母は、あまりに淫らなものを感じさせたため、少し怖さを覚えた。
 しかしそれ以上の強烈な興奮を覚え、肉棒がさらに硬く大きくなっていくのが分かった。
 母は大きく息を吐き出すと、スカートの中に手を入れてパンティを脱ぎ始めた。
 母親とはいえ、女性が下着を脱ぐ姿を見るのに恥ずかしさを覚えて視線をそらしていると、少しして体の上に跨ってきたため、一体何をするつもりなのかと疑問を抱く。
 オチンチンが再び握られ、ゆっくりと上下に動かされるのに快感を覚えつつ、そうされる事でオチンチンがさらに硬くなっていくのが分かった。
「ふふ……龍ちゃんの初めて、お母さんがもらっちゃうわね……」
 楽しげに微笑みながら告げてくるのに、ゾクリとした興奮を覚える。
 母の告げた言葉の意味が、ひどくいやらしいものであるように思えたからだ。
 自分の初めてとは何なのか。
 このいやらしい行為のことなのだろうか。
 そんな疑問を抱いていると、母が体の位置を股間の辺りに移動してきたのに心臓が鼓動する。いよいよ何かするのだと分かったからだ。
 ゆっくり座るように腰を下ろしてくると、オチンチンが温かくて湿った箇所に触れているのが感じられた。
 次の瞬間、何かに入り込むような感覚が起きるのと同時に、母の唇から大きな吐息が漏れ、股間に蕩けるような快感が走り抜けていった。
 柔らかいモノにオチンチンが締め付けられているのが感じられ、吸い付かれ、擦られる感覚が起きてくる。そしてそれと共に信じられないほどの気持ちの良さが脳天を貫いていった。
 一瞬頭が真っ白になり、何も考えられずにボーッと天井を眺めることしか出来ない。
 少しして意識が戻ってくると、こちらを嬉しそうに覗き込む母の顔が目に映った。
「龍ちゃんのオチンチン、お母さんの中に入ったわ……」
 そうか、オチンチンが母の中に入ったのかと理解しつつ、何故そのような事をしているのかと疑問に思う。
 だがこうしているととんでもない気持ちの良さがあったため、これがしたくて母はしたのだろうとも思った。
 自分がこんなにも気持ちいいのだから、母も同じに違いないからだ。
 実際母の顔はそうだと思わせるうっとりとした表情を浮かべていたため確信を持った。
 母はこれがしたかったのだ。
 この気持ちのいい行為を、自分としたかったのである。
 だがこの行為には、いけない事をしている感じもあったため、そんな事を母としていることに困惑を覚えた。
「誰にも、言っちゃ駄目よ……?」
 いやらしい笑みを浮かべ、囁いてくる母の言葉に、やはりいけない事なのだと理解しつつ、そんな行為をしている事に強い興奮を覚える。
 自分は「母と会ってはいけない」とする伯父達との約束をすでに破っている。その上いけない行為をしているのだから、二重の意味で許されない事をしていると言えただろう。
 それは後ろ暗さを強める事だったが、オチンチンから伝わってくる快感には、その事を忘れさせるほどの良さがあったため、これが出来るのなら伯父達との約束を破っても仕方がない、などと思った。
 ゆっくりと母の腰が上下に動き出し、それによってオチンチンが強く嬲られると、体の中身が吸い出されるような快感が走り抜けた。
 それは気持ちのいい、蕩けるような良さのある行為だった。
 腰を振っている母は、「あっ、あっ……」といったいやらしい声を発しており、それを聞いていると、さらに気持ちの良さが上がってオチンチンが震えていった。
 母の美しい顔が歪み、時折微笑む様子を見ていると、オチンチンがさらに猛り、股間に高まりのような感覚を覚えた。
「お母さんっ……おしっこ、出ちゃうっ……」
 尿意が起きているのを感じ、このままでは母の中に出してしまうことに危惧して叫ぶと、母は「いいのよ、そのまま出しなさい……」と優しく、そしていやらしく微笑みながら告げてきたため、いいのだろうかと驚く。
 だが母が許可しているのだから、してしまってもいいのだろう。
 そう思うと気が楽になり、どうせなら思い切りしてしまえと思った。何しろ今高まっている放出の衝動を考えると、そうすると凄く気持ち良さそうに思えたからだ。
「うっ、うぁっ……!」
 ついに我慢の限界になり、おしっこを放つと、その瞬間強烈な快感が走り抜け、頭が真っ白になった。
 普段おしっこをする際にはあり得ないとんでもない気持ちの良さに、一体何が起きたのかと思いつつ、その素晴らしさにうっとりとなる。
「あっ、あぁっ……龍ちゃんぅっ……」
 母が大きく頭を仰け反らせ、ビクンっ、ビクンっ、と体を震わせて喘いでいる。
 少ししてから目をやると、脱力した様子で呆けている母の顔が見え、自分も似たような顔をしているのだろうな、と思った。どうにも今得た気持ちの良さは凄かったからだ。
 母が体を前屈みにし、いやらしいとしか言いようのない笑みを浮かべて顔を近づけてくるのに、「ああ、またキスされるんだ」と思いながら、母の唇が触れてくるのを眺める。
 舌が入り込んできて、何度も吸い付き舐めてくるのに、オチンチンがまた硬く大きくなっていくのを感じた。
 そしてキスをしている母に対して強い愛情を覚えた。
 伯父達に隠さなければならない行為を一緒にした事で、共通の秘密を持ち、それをやり遂げた事から愛情が高まったのかも知れない。
「龍ちゃん、素敵だったわぁ……」
 目の前にある母の顔は実にいやらしく、淫靡な微笑みを浮かべており、これまで見たことのなかった、だが今は馴染みを感じつつある表情に、先ほどの行為をもっとしたくなってきた。
「ふふ、もうおっきくなってる……お母さんともっとしたいのね?」
 こちらの想いを理解してくれている母に、強い嬉しさを覚えながら大きく頷くと、抱き締められて再びキスをされた。
 そのまま体を起こされ、「今度は龍ちゃんが上になってしてね?」と囁かれ、誘導されるまま母にのし掛かってオチンチンを押し込んでいく。
 意識せずとも動く腰に驚きつつ、自分がオチンチンを突き込むたびに、母の唇から「あっ、あっ……」といった甘い声が漏れ、体がいやらしくくねるのに、龍太は夢中になって腰を振っていくのだった。


 それから母とは、伯父達が留守になると必ず交わるようになった。
 子供の自分にとり、セックスの快楽は我慢できない良さがあったし、母にしても精神的な病を患っていて、肉欲に対する抑制が出来ない状態だったのだろう。
 行為の際に時折父の名を呼んでいることからも、父に対する性的欲求と、息子に対する愛情が結びついて求めてきていたのかも知れない。母と裸で抱き合い、体を貪り合っていると、気持ちの良さに加え、強い愛情を覚えたため、何となくそう思えたのだ。夫を失ったがゆえに、唯一残った愛する対象である自分とのセックスにのめり込んでしまったのだろう。
 それでも普通であれば実の息子を誘惑するなどあり得ないが、病気がそれをさせてしまったに違いなかった。精神的な病が、歪んだ愛情表現をさせてしまったのだ。
 何とも悲しいことではあったが、当時の自分にはそんな事を思いやる余裕はなく、ただ母の体を貪ることに夢中になっていた。
 だがそうした関係が長続きするはずもなく、ある日、予定よりも早く帰ってきた伯父に、母とのセックスの現場を見つかってしまった。
 伯父は特に取り乱す様子も見せず、大きく息を吐き出すと、母を諭すようにして引き離し、龍太には「こういう事は良くないんだ」とだけ静かに告げた。
 その伯父の態度に、逆に伯父の悲しみの強さを感じ、強烈な申し訳なさと罪悪感を覚えた。
 約束を破って伯父を悲しませ、さらに母といやらしい事をして落胆させてしまった。
 大好きな伯父に酷いことをしてしまった。
 その想いが重くのし掛かり、龍太は辛さで一杯になった。
 数日後、母はどこか別の場所へと移されていき、それ以来会うことがなくなった。
 あの気持ちのいい関係が終わった事に悲しさを覚える一方、ホッとした想いを抱いている部分もあった。
 伯父に言われるまでもなく、良くない行為だという認識はあったため、心のどこかで誰かに止めてもらいたいと思っていたのかも知れない。
 ゆえに物理的に不可能な状況にされたのは良かったと言えただろう。そうでなければ止められなかったからだ。
 しばらくの間は母の柔らかな肉体を思い出し、強い肉欲を覚えることもあったが、それも時間が経つにつれ無くなっていった。


 それ以降、龍太は普通に暮らしていくことが出来、何事もなく高校へと進学した。
 伯父達とは本当の親子のように過ごし、両親が居ないことの悲しさを覚えることはなかった。
 大学へ進学するよう告げてくる伯父達に感謝しつつ、その期待に応えるために必死に勉強する日々が続いた。
 成績も上がり、伯父の母校である有名大学への進学も夢ではなくなりそうなほどになった頃だろうか、龍太は偶然ある手紙を見つけた。
 伯父達が留守の日に、たまたま書斎に本を借りようと入った時のことだ。
 少し開いていた机の引き出しが気になり、閉めようとした際に封筒を落としたのだが、拾った際に目に入った差出人の名前が、何と母だったのである。
 その事に衝撃を受け、手が震えて止まらなかったが、慌てて中の手紙を取り出して内容を確認した。
 他人宛の手紙を盗み見ることに罪悪感を覚えたが、母のことが気になったため、結局全部読んでしまった。
 手紙には、息子である自分の事を心配する内容と、早く一緒に暮らせるようになりたいという事が書かれてあった。
 懐かしい母の字に涙ぐみ、自分が思った以上に母を求めていたのだと気づいてその事に驚いた。
 そして同封されていた、母を世話しているらしい親類の手紙に、母の病気が治っていることが記載されており、自分との同居をさせてあげてはどうかという提案がされているのに驚愕した。
 日付をみると、すでに半年ほど前に来ていた手紙であったため、何故この事が自分に知らされていなかったのかと不審に思った。
 だがその答えは手紙に書かれてあった。
 どうやら伯父が、学生の間は動揺させるような事はしたくないため、大学を卒業するまでは待って欲しい、と反対していたらしかった。その頃には龍太も大人になり、問題なく母親を受け入れられるだろうから、というのが理由だった。
 その箇所を読んだ際に頭をよぎったのは、幼い頃に母としてしまった過ちのことだった。
 もしかしたら伯父は、あのことを心配していたのではないだろうか。二人きりで暮らさせたら、再び同じ事をしてしまうのではないかと。
 龍太が大人になってから、という事が同居の条件とされているのはそのためではないか。大人になれば、もうあのような事はしないだろうと伯父は考えたのではないだろうか。
 そんな推測が浮かび、自分のことを思ってくれている伯父に感謝の念が起きた。
 そしてそれと同時に、母のことが強く意識された。
 封筒の裏には母が住んでいると思われる住所が記載されており、もしそれが違っていたとしても連絡は取れるだろう。
 そうすれば母に会える。もう一度母に会えるのだ。
 そう思った瞬間、小学生の頃に経験した性の悦びが蘇ったため、慌ててそれを振り払った。
 自分はただ母に会いたいだけなのだ。
 ずっと会っていない母親と再会したいだけなのである。
 そう自分に言い聞かせるものの、脳裏にはこれまで思い出すことの無かった母のあられもない姿が浮かんでおり、それをもう一度味わってみたいとする衝動が強く起こっていた。
 高校生になり、性に対する意識が強くなっていたことも大きいだろう。
 母への純粋な思慕と、歪んだ肉欲の衝動がぶつかり合い、龍太は苦悩した。
 取り敢えずどうするかは別にして、住所だけは知っておこうと、手紙に書かれてある住所を書き写すと、そっと手紙を引き出しに戻した。
 そしてそれから数日間、母と会うための手紙を出すべきかどうかで悩み続けた。
 母に会いたいという想いは間違いないのだが、肉欲を払えない状態で会うのでは、また過ちを犯しかねないからだ。
 いや、過ちを犯したいと欲してしまっている意識があるために悩んでいたと言えるだろう。
 それがハッキリしないままで会うのは危険だった。そんな状態では、また伯父を悲しませる結果になりかねないからだ。
 もしそうなってしまえば、自分の事を考えて、母との同居を引き延ばしてくれた伯父に申し訳がなさ過ぎた。
 母と会うのは伯父の考え通り、そうした意識を持たないで居られる大人になってからの方がいいだろう。そうすべきだった。
 しかしそんな風に考えたにもかかわらず、数日後には手紙を出してしまった。
 伯父達が留守になった際、「出すなら今だ」というような切羽詰まった想いが起きたのだ。
 手紙を出すだけであれば伯父達の不在は関係ないはずだったが、行動を起こす際に伯父達に見られていない、というのが大きかったのかも知れない。
 まるで伯父達の不在に後押しされるようにして手紙を出してしまったのだ。
 ポストに手紙を入れた瞬間、何とも言えない後ろ暗さを覚え、伯父達を裏切っているやましさに苦しくなった。
 息子が母親に会うことに何の問題があるだろうと自分に言い聞かせ、罪悪感を振り払おうとするが、母に会いたいのはセックスしたいからだ、と責め立てる自分も居て、苦悩することとなった。
 そしてそんな想いをあざ笑うかのように、運命は酷い結果をもたらした。
 その日、伯父達が事故に遭い、亡くなってしまったのだ。
 あまりに突然のことであり、また自分が伯父を裏切った直後であったため、まるで天罰を食らったような衝撃を覚えた。
 やはり伯父に話さず母と会おうとしたのがいけなかったのだろう。罰が当たったのだ。
 そう思うと、伯父達の死が自分のせいに思えて仕方がなかった。
 少しして親類達が集まり、通夜や告別式の準備を進めてくれたが、その間も何も出来ずに呆然としているしかなく、通夜の席でも参列者に機械的に挨拶をしていく事しか出来なかった。
 これから自分はどうすればいいのだろう。そんな想いで一杯になり、悲嘆に暮れながら通夜を過ごしていった。
 そして不意に信じられない姿を見たため、驚愕した。
 居るはずの無い人物がそこに居たからだ。
 それは母だった。
 ずっと会っていなかった母が、目の前に立っていたのである。
 自分は幻覚でも見ているのか、母のことで悩むあまりおかしくなってしまったのかと思ったが、考えてみれば何のことはない、伯父の妹である母が、伯父達の通夜に来るのは当たり前のことだった。
 着物の喪服を着、髪をアップにした母は、以前より美しくなっているように思えた。
 嬉しそうに微笑みながら近づいてきて「大きくなったわね。写真では見ていたけど、やっぱり実際に見ると違うわ」などと言いながら涙を流すのにドキリとしてしまった。
 母の世話をしているという親類は、母の病気が治っていることを告げ、一緒に暮らしてはどうかと提案してきた。
 そして以前からそういう話があったのだと、前に見た手紙の内容を話してきた。
 病気が治った以上、そうするのが自然なことだろうと、親類の誰もが薦めたため、龍太は母と同居する事を受け入れた。
 そして今夜から一緒に過ごしてはどうかと、母は家に泊まることになった。
 ずっと離れていた親子が再会したのだから、つもる話もあるだろうという配慮から、二人きりで過ごすことになったのだ。
 普通であれば何の問題もない、自然な事だったろうが、過去に母と過ちを犯している事を考えると、何とも危うい状況だった。
 しかし母の病気が治っているのだから、そのような心配をする必要はないはずだった。以前と違って普通の親子として夜を過ごせるはずだからだ。
 そう考えたが、それが浅はかな考えであったのはすぐに分かった。
 二人きりになった途端、母は甘えるようにして抱き付き、キスをしてきたからだ。
 まともな母親であれば、息子相手にそのような事をするはずがなかった。母の病気は治っていなかったのだ。
 人とのコミュニケーションはまともに出来るようになったが、息子とのコミュニケーションに関しては以前と変わっていなかったのである。
 このままでは伯父達に申し訳がない。
 そう思う一方、伝わってくる女肉の感触に肉棒は激しく猛り、抑えられないほどの肉欲が湧き起こるのを感じた。
 それはあまりに甘美であり、抑えることなど不可能と思わせるほどに劣情は激しく高まっていった。
 伯父達の死の原因は、自分の母に対する肉欲だと思っているだけに、こうした体の反応は悲しくて仕方がなかった。
 だが久しぶりに感じる母の肉体は、そんな悲しみをあざ笑うかのように気持ち良かった。
 母に触れているだけで頭が朦朧とし、気がつけばその柔らかな肉体を抱き締め返していた。
 そのまま肉欲に流され、貪るようにしてキスをし、床に押し倒してしまう。
 いけない事だと、再び伯父達を裏切ってしまうと、心は罪悪感に叫んでいたが、体は全く言うことを聞かなかった。
 鼻息を荒くしながら喪服の合わせを開くと、熟れた乳房が零れ出、その柔らかく丸い肉の塊に、おかしくなりそうなほどの興奮を覚えた。
 乳房を掴むとムニュリといった感触が手のひらに起こり、その甘い刺激に夢中になって揉み、乳首に吸い付いていった。
 のし掛かっている母の肉体はあまりに柔らかく、心地良い感触に頭がクラクラした。
 刺激を与える度に、母の唇から「あっ、ああっ……」と甘い吐息が漏れ、「いいわ龍ちゃん、素敵よ」と褒め称えてくるのに興奮が高まった。
 小学生の頃には分からなかった淫靡さが感じられ、母の肉体を舐め回し吸い尽くし、むしゃぶりまくるのを繰り返していく。
「ねぇ、入れて……お母さんの中に、帰ってきて……」
 いやらしく誘う母の言葉に、頷きながらズボンとパンツを落ち着き無く脱ぐと、喪服の裾を捲り上げ、パンティを取り去り、勢い良く肉棒を押し込んでいく。
 ズブリっといった感触と共に強烈な快感が湧き起こり、一瞬頭が真っ白になった。
 肉棒が柔らかで温かで湿った肉に締め付けられ、膣襞がヌメヌメと絡みついてくるのに、恐ろしいまでの気持ちの良さを感じ、歯を食いしばる。
 見下ろせば、母は何とも嬉しそうないやらしい笑みを浮かべ、こちらをジッと見つめていた。
「ここが龍ちゃんの居場所よ……おかえりなさい……」
 そう囁かれた瞬間、強烈な安堵感と思慕の念が湧き起こり、涙が流れた。
 伯父夫婦を亡くしてすぐであったため、大きな不安を感じていた事もあったせいか、母の中こそが安心できる場所であるように思えたのだ。
「お母さんっ……お母さんただいまっ……」
 泣き声をあげながら、激しく腰を前後に動かし始める。
 母は両腕両脚を絡みつかせて抱き締めてくると、歓喜の喘ぎを上げて求めてきた。
 強い興奮と、久々に味わう母の肉体に耐えきれず、数度の動きであっという間に射精してしまった。
 強烈な快楽に包まれながらも、再び母と交わってしまった事を悔いる。
 何しろよりにもよって伯父達の通夜の日に、伯父が「良くない」とたしなめた行為をしたのだ。
 それは伯父を裏切った感覚を強め、強烈な罪悪感をもたらした。
 だがそんな想いも、行為の余韻を残す汗にまみれた母の色っぽい肉体を見ていると、どこかへ消え去ってしまった
 透き通るほどに白い肌。
 艶めかしく揺れる乳房。
 この淫靡な魅力に溢れる肉体を抱かずに居るなど無理だった。
 何しろ自分の肉棒は、射精したすぐ後だというのに、すでに母を求めて猛りまくっていたのだから。
 心の片隅で伯父に謝罪した龍太は、再び母にのし掛かると、何度も抱いていってしまった。


 それから母と一緒に暮らすようになった。
 だがその生活は、まともな親子であればあり得ない淫靡なものとなっていた。
 学校から帰るとすぐに母を抱き、夜になれば狂ったように交わり続けたからだ。
 二人暮らしであるため、誰に知られることもない安心感から、母を抱くことを続けていった。
 しかし行為が終わり、冷静になると、自分のしている事に恐ろしさを覚えることがしばしばあった。
 親子でセックスをするなど、あまりに異常だろう。
 それを自分は何度もしてしまっている。
 このような事はもう止めるべきだ。
 その時はそう思うのだが、いざ母を目の前にすると、その淫猥な肉体の魅力に逆らえず、夢中になって抱いてしまった。
 そして行為後には再び罪悪感を覚え、苦悩する事を繰り返していった。
 そんな日々が続いていったある日、龍太は交通事故に遭った。
 母とのことで思い悩んでいたため、こちらへ突っ込んでくる車に気づくのが遅れたのだ。
 いや、それでも避けようと思えば避けられたはずだった。
 しかし自分は、敢えて避けようとしなかった。
 思えば事故に遭うことによって、母との関係を絶とうと思っていたのかも知れない。
 怪我をして入院でもすれば、止められると思ったのだ。
 実際それは上手くいったと言えるだろう。
 自分は記憶を失い、母との歪んだ親子関係を忘れたのだから。
 しかし母は忘れてはくれなかった。
 自分との関係を解消してはくれなかった。
 それも当然だろう。母はこの関係を苦にしていた訳ではないのだから。
 そして記憶を失ったにも関わらず、再び誘われるまま母を抱いた自分も、結局この歪んだ関係から逃れられない運命だったに違いない。
 それだけ母は自分にとり、魅力的過ぎる女性なのだ。
 そう、自分は母を女として見ている。
 幼い頃から離れて暮らしていた事もあるのだろうが、あまりに美しく、淫らなその肉体は、自分の心と体を虜にしていたのだ。
 この母から、自分は生涯離れることは出来ないだろう。
 もうそのようにしか考えられなくなっているのが分かった。


「龍ちゃん、どうかしたの?」
 母の呼びかけに、ハッと意識を戻す。
 記憶が蘇ったことで放心状態になっていたらしい。
 母は心配そうな顔をしてこちらを見つめている。
「何でもないよ。あんまり気持ち良かったから、少しボーッとしちゃった」
「まあ、龍ちゃんったら……でもお母さんも同じよ、龍ちゃんのオチンチンがあんまり気持ち良くて、さっきまでボーッとしてたもの……素敵よ、龍ちゃん……」
 母の顔が迫り、唇が重なって強く吸い付かれるのに応えていく。
 間近に存在する母の顔は、実に美しくもいやらしく、これが自分の女なのだと思うと、たまらなく嬉しくなった。
 そう、この目の前の女は自分の物なのだ。自分が望めばどんな事でも受け入れる、いくらでも好きなだけその肉体を貪らせてくれる存在なのである。
 何と素晴らしい、理想的な女だろうか。
 母との関係に、過去の記憶は不要だった。
 どのみちセックスをした記憶しかないのと同じなのだから、あっても無くても同じだろう。
 それよりももっと母を抱きたかった。
 息子としてではなく、一人の男として母が欲しかった。
 この女を、もっともっと抱きたい。その淫靡な肉体の中に、精が枯れるまで射精し続けたい。
 そう思った龍太は、母の柔らかな肉体を抱き締めると、すでに硬く大きくなっている肉棒を持つと、再び熟れた蜜壺の中へと押し込んでいくのだった。


 白い裸体を晒した母が、ベッドの上で四つんばいになり、淫らに腰を振っている。
 背後から肉棒を叩き付け、腰を振る度に甘い声が部屋に響くのに、龍太は強い満足感を得ていた。
「あぅんっ……あっ、あぁっ……」
 熟れた蜜壺が若竿を包み込み、そのウニュウニュと蠢く刺激に蕩けるような気持ちの良さを覚える。
 肉付きのいい尻が誘うように揺れ、それに我慢できずに腰を前後に激しく振ってしまう。
「あっ、あっ、ああっ……いいわ龍ちゃん、あんっ……もっとよ。あっ……もっとしてぇっ……」
 振り返り、甘くねだってくる母の顔に頷いて答えながら、肉棒をさらに勢い良く突き込んでいく。
 腰が動くのに合わせて母の頭が仰け反り、膣内がキュウキュウと締まり上がって快感を与えてくる。
 やはり母の中は最高だった。
 この気持ちの良い肉の中は、何度入れても満足できない良さがあった。
「あんっ、あっ……いいっ、いいっ、いいのぉっ……龍ちゃんそこ、あんっ……そこを、ああっ……そこもっとぉっ……」
 何より甘く喘ぎ、気持ち良さそうに体をくねらせる母の姿は、見ているだけで精を漏らしてしまいそうになるほどにいやらしくてたまらなかった。
 豊満な乳房がタプンタプンと揺れ動き、それを背後から鷲掴みにすると、蕩けるような感触が手のひらに溢れた。
 ムニムニと揉みしだき、乳首を摘んで捻っていくと、母が狂ったように頭を振りまくる。
「ああんっ、あっ、やぁっ……胸をそんな、あっ……そんなにされたら、あんっ……お母さん駄目、あっ……お母さん駄目よぉっ……」
 ガクガクと腕を震わせ、耐え難いようにして悶えるのに、母を自由にしている感覚が起きて満足感を覚える。
 やはりこうして母を悶え狂わせると最高だった。
 愛する母を快楽で夢中にさせる。
 そうした乱れた姿は、強烈な快感となって脳に刺激を走らせるのだ。
「お母さんはっ……僕のっ……僕の物だよっ……僕の物だからねっ……」
 以前母に言われた言葉を告げながら、尻が背中に付くほどに強く腰を押し出していく。
「あんっ、ああんっ、あっ、ああっ……もちろんよ、ああっ……お母さんは、あぅっ……お母さんは龍ちゃんの物、ああっ……龍ちゃんの物なのぉっ……だからもっとして、あんっ……もっともっと、ああっ……お母さんにもっとしてぇっ……」
 その言葉に嬉しさと共にゾクゾクするような興奮が湧き起こり、龍太はのし掛かる勢いで肉棒を叩き付けていった。
「ああっ、あっ……凄いわ、あんっ……凄いの龍ちゃん、あっ、ああっ……こんな凄いの、あんっ……お母さん初めて、ああっ……凄くて、あっ……凄い、ああっ……龍ちゃん凄いぃっ……」
 泣き叫ぶ声が部屋に響くと同時に腕が崩れ、上半身を布団に押し付けて尻を掲げる状態になった。
 それは母が完全に自分に従う意識の現れのように思え、支配欲と征服欲に刺激を受けた龍之介は、さらに追い立てるようにして腰を振っていった。
「あんっ、ああんっ……やだ凄い、ああっ……龍ちゃん凄いわ、あっ、ああっ……そんな風にされたら、やんっ……お母さん、あっ……おかしくなっちゃうぅっ……」
 肉付きの良い尻を撫で、強く掴んでえぐるようにして突き込むと、母が泣くような声を漏らすのに、自然と笑みが浮かんでしまう。
 そうした姿を見ていると、母が自分に隷属している雰囲気が感じられ、母を己の物としている喜びが得られるのだ。
「でもおかしくなりたいんでしょっ?……僕にこうされてっ……お母さんはおかしくなりたいんでしょうっ……?」
「ああんっ、あっ、ああっ……そうよそう、ああっ……そうだけど、ああんっ……あんまり凄いと、ああっ……あんまり凄いんだものぉっ……」
 さらに強く大きく突き込むと、実際おかしくなったのか、母は意味不明な事を告げている。
 そんな様子もたまらず、さらにもっとおかしくさせたくなってくる。
「あんっ、ああっ……いいわっ、いいの、ああんっ……龍ちゃんの、あっ、ああっ……龍ちゃんのオチンチンいいのぉっ……」
 我慢出来ない、といった感じでシーツを引き寄せ、頭を左右に激しく振りながら、母はいやらしく悶えた。
 その様子は淫靡さを強め、腰の動きが勝手に勢いを増した。
 尻が背中に付くほどに腰を叩き付けていくと、母が泣きそうな声で喘ぐのに嬉しさが高まっていく。
「うぅっ……お母さんの中もいいよ、くっ……お母さんの中は最高だぁっ……」
 肉棒が膣襞に吸い付かれ嬲られるのに、頭を仰け反らせて歯を食いしばりながら、歓喜の呻きを漏らす。
 このまま一気に、この高まった肉欲を、思いきり吐き出すのだ。
 そうしたい。そうしないではいられない。
 腰を激しく前後させつつ、それに合わせて喘ぎ悶える母の姿に、龍太は強烈な悦びを感じていた。
「ああっ、あっ……龍ちゃんもう駄目、あっ……もう駄目よ、ああっ……お母さんもう駄目なのぉっ……」
「じゃあ、イくよっ……出すから、出すからねぇっ……」
「いいわ、あんっ……ちょうだい、ああっ……龍ちゃんの白いのぉ、ああっ……お母さんの中に出してぇっ……やっ、やっ、やぁああああああんっ!」
「うぅっ!」
 少女のような声をあげて絶頂に至る母の可愛らしい姿に、意識せずとも精が迸った。
 この愛らしい母をこれからもずっと愛していくのだ。自分の精液を注ぎ込んでいくのだ。
 そんな想いに浸りながら、龍太は射精を繰り返していくのだった。


 あの記憶が蘇った日、龍太は夢中になって母を抱き、母との関係を受け入れたつもりになった。
 しかし翌日、目が覚めて冷静になると、途端に恐ろしさに体が震えた。
 当然だろう。自分にとって母とのセックスは、叔父達の死をもたらしたものであるのだから。叔父達の死、そして叔父達に対する裏切りの象徴が、母とのセックスなのである。
 それをし続けることは、未だに叔父達を裏切り続けていることになるのだ。
 自分は許されない、恐ろしいことを続けている。
 いつかまた叔父達の時のような天罰に襲われるのではないかと思うと、恐ろしさに体が震えた。
 しかし母のいやらしい肉体を目の前にすると、条件反射のように肉棒が硬くなり、求めずにはいられなかった。
 自らの衝動を抑えることが出来たとしても、母が淫らに誘惑してくると、それに逆らうことは出来なかった。
 何度も味わってしまった母肉の味は、体を縛り、離れることを許さない魅力となっていたのだ。
 抱けば抱くほどに味わいが増しており、そのような女体を前にして性欲を抑えることなど無理なことだろう。
 精を吐き出さずには居られない苦痛にも似た欲情が、母の肉体を抱かずには居られない衝動となって湧き起こり、それに流されるまま、毎日母を抱きまくってしまったのである。
 今も裸で重なり合い、肌を擦り合わせ、柔らかな肉の感触を味わっていると、意識が遠のきそうなほどの良さを覚えた。
 特に膣襞に嬲られている肉棒は、ジッとしていても快感を与えられており、そんな状態になっていると、叔父達のことなど頭から消えて無くなってしまった。
 初めて抱いた時以来、自分を魅了してやまない母の秘所は、今やすっかり馴染んで、肉棒を入れるだけでも気持ちの良さが凄まじかった。
 その上激しく擦り上げていくと、蕩けるような良さがあり、あまりの快感に涙を流してしまうこともよくあった。
 この快楽を知ってしまえば、もはや他の女などに意識を向けることなど不可能だった。
 外で時折自分好みの女性を見かけるといやらしい想いを抱いたりもするが、家に帰って母を抱いてしまうとどうでも良くなった。
 自分にとって母以上の女はなく、母さえ居てくれれば、母を抱けさえすればそれで満足だったのだ。
「ああんっ、あっ、ああっ……凄くて凄いのぉっ……あっ、やっ、やぅんっ……龍ちゃんが、あっ、あぅっ……龍ちゃんがぁっ……」
 体をビクンっ、ビクンっ、と震わせながら、母は狂ったように喘いだ。
 乳房を鷲掴んで揉みしだくと、蕩けるような感触が手のひらに広がる。
 何と柔らかく、気持ちのいい膨らみだろう。
 思わず涎を垂らしそうになるのを抑えながら見下ろすと、そこには愛する女が自分に夢中になって惚けている姿があった。
 美しい顔に長い黒髪がかかり、汗で額に張り付いているのが色っぽく、豊満な肉体が輝いているように見えるのは、何度眺めても肉欲をそそってたまらない。
 この女は自分の物。
 この美しくいやらしい女は自分の物なのだ。
 そう認識すると、強烈な満足感が心と体に満ちあふれ、龍太は強く大きく腰を動かしていった。
「あぅんっ……あぅっ、あっ、ああっ……激し、あっ……激しくて、ああっ……激しいのぉっ……あぐっ、あっ、ああんっ……」
 腰の動きに合わせて胸元の豊かな膨らみが前後左右に揺れ動き、タプンタプンとする度に、股間を通じて振動が伝わってくる。
 その事で自分と母が繋がっているのだという実感が得られ、強い幸福感を抱いた。
 今繋がっている場所は、自分が産まれてきた場所だった。
 肉棒が収まっている道を通じて、自分はこの世に生を受けたのだ。
 そう認識すると、何とも言えない不思議な想いが湧き起こった。
 自分は己が産まれてきた場所へ入ることにより、信じられないほどの快楽を味わっている。
 世間では許されない行為である母の膣内へと肉棒を押し込むことで、それを得ているのだ。
 しかし何故これが許されないのだろう。
 これほどまでに気持ち良く、そして愛情を感じる行為を、何故禁じているのか。
 息子が母の中に帰ることこそ、母子の愛情を確認し合う意味で最も素晴らしい行為であるというのに。
「あっ、やっ、ああっ……龍ちゃん、あっ、ああっ……龍ちゃん大好きよ、ああっ……愛してるわ、あんっ……龍ちゃん愛してるのぉっ……」
 まるでこちらの想いを感じたかのように、母が愛の言葉を告げてきたのに驚く。
 そして白くて細い両腕両脚が背中と腰に絡みつき、逃がすまいとしてくるのに、母の自分に対する執着と、愛情に溢れた顔に強い喜びを覚える。
「僕もっ……僕も大好きだっ……お母さんが大好きだよっ……愛してるっ……お母さんを愛してるぅっ……」
 決して公には出来ない男女としての愛情。そして肉欲。
 それは母子として許されない禁断の想いであり、行為だった。
 他人の男女であれば、何の問題もない、逆に羨まれるであろう愛し合う姿。
 それが親子という関係では、途端に狂ったものとなり、いかがわしい、淫らな行為として認識されてしまう。
 こんなにも自分と母は愛し合っているというのに、何故許されないのだろうか。
 そんな悲しい想いを抱きつつも、自らを客観視しているもう一人の自分が、母とのセックスに染まっている姿を悲しく見つめていた。
 何故自分たち親子は肉欲で繋がってしまったのだろう。
 もっと普通の親子として愛し合えれば、何の問題もなかったであろうに。
「ああっ、あっ、あんっ……いいわ、あっ……素敵よ、ああっ……龍ちゃん素敵ぃ、あっ、ああっ……もっとよ、あんっ……もっとしてぇっ……」
 だが目の前で淫らに乱れる母の姿を知ってしまえば、それは無理なことだった。
 自らが産まれた場所に肉棒を押し込み、そこで蕩けるような快楽を与えられ、夢中になってその熟れた肉体を貪る。
 その行為を知ってしまえば、止めることなど不可能なのだ。
 親子であろうと、男女の快楽を知れば、それは他人よりも深く愛し合い、求めてしまうようになってしまうのである。
 それこそが近親相姦の禁断の蜜の味であり、一度知ってしまったら逃げることの出来ない恐ろしさなのかも知れなかった。
 そんな事を考えていると、射精感が強烈に高まり、我慢の限界が近づいているのが感じられた。
 歯を食いしばって耐えながら、最高の精の放出にしようと、それまで以上に強く大きく肉棒を出し入れしていく。
「ああんっ、ああんっ、ああんっ……イくっ、イっちゃうっ、あっ、ああっ……お母さんイっちゃうわ、やぁんっ……龍ちゃんもう駄目、あっ、ああっ……龍ちゃんお母さんもう駄目なのぉっ……」
「一緒にっ……一緒にイこうっ……お母さん一緒にぃっ……」
 最後の動きとばかりに激しく腰を前後させ、母の体を強く抱き締める。
 目の前にある美しい顔が快楽に歪み、涙を流しながら喘いでいる姿に、素晴らしい女を己の物としている悦びと、愛する母を夢中にさせていることへの幸せが感じられた。
「あんっ、あんっ、ああんっ……もう駄目、あっ……もう駄目ぇっ……龍ちゃんっ、龍ちゃんっ、龍ちゃぁんっ……あっ、あっ、あぁああああああああっ!」
「お母さぁんっ!」
 母子の絶叫が重なり、部屋に響き渡るのと同時に肉棒の栓が開かれた。
 ドピュッ、ドピュッ、ドクドクドクドクドクドク……。
 激しい勢いで迸る精液を感じながら、それと共に押し寄せてくる快感に体を硬直させる。
 肉棒が膣襞に強く吸い付かれ、精を吸い取られるようにして蠢かれているのに、意識が遠のくような気持ちの良さを覚えた。
 母の中に射精するのはやはり最高だった。
 この素晴らしい瞬間は、何度経験しても飽きることのない、あまりに強烈な気持ちの良さだった。
 目の前では母が「あ……あぁ……」といやらしい吐息を漏らしながら、体をピクンっ、ピクンっ、と震わせている。
 瞳はどこも見ていないように虚ろであり、その意識がなくなっているような表情は、何とも言えないいやらしさを感じさせた。
 しばらくして射精を終えた龍太は、脱力すると柔らかな肉体に身を委ねた。
 こちらの体重を受け止める母の肉体は、実に心地良く、温かい感触は、このまま寝てしまいたくなるほどに極上なものだった。
「良かったわぁ……龍ちゃん素敵よぉ……龍ちゃん大好きぃ……」
 母がギュッと抱き締めてくるのに嬉しさが込み上げてくる。
「お母さんも素敵だよ……どうしてお母さんはこんなに素晴らしいんだろ……」
「ふふ、嬉しいわ……龍ちゃんを気持ち良くしてあげられて、お母さん幸せよ……」
 いやらしい笑みを浮かべながら、優しく頭を撫でてくるのに、母性を感じて幸せな気分になる。
 いくら女として意識しても、やはり母は母であり、こうして子供のようにされると、温かな気持ちに包まれるのだ。
 もっとこうしていたい。
 母に甘えていたい。
 母とずっと一緒に居たかった。
「龍ちゃん、実は大切なお知らせがあるの」
「ん? 何?」
 目の前で嬉しそうな笑みを浮かべながら見つめてくる母に、どんな知らせなのだろうかと耳を傾ける。
「龍ちゃんは、もうすぐお父さんになるのよ」
「え……?」
「お腹に、赤ちゃんが居るの……龍ちゃんとの子よ」
 その言葉に、一瞬頭が真っ白になる。
 少しして、ようやく内容を理解すると衝撃を覚えた。
 母との子供……。
 そんなものが何故……。
 親子なのに、何故子供が出来るのだ……。
 一瞬そんな考えが浮かび、その馬鹿な思考に苦笑する。
 避妊もせず、毎日何度もセックスをしているのだから当然のことだろう。
 親子だろうが何だろうが、セックスをすれば子供が出来るのだ。
 だからこそ親子でのセックスは許されていないのだから……。
 親子で子をなす。
 それは親子でセックスするよりも、さらに重い罪のように思えた。
 母を愛しているし、母とのセックスは素晴らしい事だ。
 しかし子供は別だった。
 セックスは自分と母の問題でしかないが、子供は一人の人間なのだ。
 自分たちの都合だけでどうこう出来る問題ではないのである。
「産む、の……?」
「ええ……だって龍ちゃんとの子ですもの。産むわ」
 あっさりそう答える母に愕然とする。
 だがこれまで嬉々として息子を誘惑し、抱かれている事を考えれば、そうした答えを述べるのは当然の事だった。今更衝撃を受けている自分の方がおかしいのである。
「男の子かしら、それとも女の子……そう言えばこういう場合、龍ちゃんにとっては何になるのかしら?……弟、妹……それとも息子、娘……どっちなのかしらねぇ……」
 母は楽しげに語りながら、甘えるように胸に頬を当ててきている。
 それは何とも可愛らしく、また色気を感じさせるものであったため、肉欲が高まっていくのを覚えた。
(僕ってやつは……)
 母を妊娠させた事について恐怖を覚えている時だというのに、母を抱きたい気持ちになっている。何と節操のないことだろう。
 だが母の肉体はそれだけ魅力的であり、また、愛しているのだから抱きたくなる衝動が起きるのは当然だった。
 そしてその結果が妊娠なのである。
 今更だが、今度から避妊をすべきだろうか。そうすればそうした危険は減るだろう。
 だが、もう出来てしまった子供はどうすればいいのか。
 産みたがっている母に堕胎させるのは無理な話だ。そうした言葉が通じれば、とっくの昔に自分たちは普通の親子に戻れていたはずなのだから。
 母は病気だった。
 母親としての意識が無い病気なのだ。
 息子を男として認識し、息子との子を得ることに後ろ暗さを感じることなく喜んでしまう病気なのである。
 そして自分もそれに感染しているのかも知れない。
 そう考えれば、ずっと母を抱き続けたことにも納得がいった。
 まだ罪悪感を抱けてはいるが、これもその内消えるのかも知れなかった。
 母との子供が産まれれば、その誕生を喜ぶのではないだろうか。
 そうなったら手遅れだろう。
 ならば今の内に母から離れるべきだろうか。
 離れて暮らせば、このような関係を持てなくなるのだから。
 そんな事を思いもしたが、目の前にある母の笑顔や、魅惑的な肉体を見てしまうと不可能に思えた。
 母と離れて暮らすなど出来るはずがなかった。
 どうしてもするのであれば、誰かに無理矢理そうしてもらうしかないだろう。自分だけでは無理だった。
(伯父さん……)
 自分の事を想い、母と引き離してくれた伯父は、何とありがたい存在だったのか。
 そして伯父が危惧した通り、大人になる前に母と暮らした自分は、過ちを繰り返してしまった。
 その上、子供まで作ってしまうとは……。
 伯父に合わせる顔がなかった。
 せめてこれからは、出来るだけ母を抱かないで我慢するようにしよう。
 それが龍太に出来るせめてもの抵抗だった。
「二人は欲しいわよねぇ……ね、早速二人目を作りましょう? あ、妊娠してると無理よね。もう、産むまで駄目なんて不便よねぇ……」
 その言葉にハッとなる。
 そう、今の母とはセックスをしても新しく妊娠はしないのだ。
 だから今ならセックスをしても問題はなかった。
 ならば、我慢するのは出産してからでも良いではないか。
 そんな考えが浮かんだことに、結局自分は母とのセックスに夢中なのだという事と、母とのセックスを苦にしている想いというのはその程度なのだと苦悩する。
 しょせん自分は母から離れられないのだ。
 あの幼い頃、母に筆おろしをされてから、母から離れられない体にされてしまったのだ。
 愛する母、そして愛する女でもある母を、抱かずにはいられない体になってしまったのである。
 そういう意味では、やはり病気なのだろう。邪魔者が居ないこの二人きりの環境では、治るはずもない病にかかってしまっているのである。
 ならばもう諦めよう。
 自分は母を抱いていくのだ。
 そして母との子をなしていくのである。
 それもまた人生だろう。
 実際に子供が産まれたらどうなるのか想像するだに恐ろしかったが、そうなったらそうなったでどうにかなるに違いない。
 そんな楽観的な想いがやけくそ気味に頭に浮かぶ。
「お母さん……僕、お母さんが大好きだよ……」
 泣きそうになりながら母に抱きついていくと、優しく頭を撫でられるのにホッとする。
「急にどうしたの? 子供みたいになっちゃって……ふふ、でもそんな龍ちゃんもお母さん大好きよ」
「僕、赤ちゃん大事にするよ。お母さんとの子供だもん……」
「ええ、大事にしましょう。二人の初めての子供なんだから……」
 そう優しく言ってくる母を強く抱き締めると、その熟した肉の感触に肉棒がいきり立った。
 愛する母に荒々しく口づけながら、乳房を揉みしだいていき、甘い吐息を漏らすのに欲情を高めた龍太は、肉棒を秘所へと押し込んでいった。
 すでにそこには新しい生命が、自分と母の禁断の交わりによって誕生した生命が、存在することを意識しながら……。












あとがき

 記憶喪失な息子を何故か誘惑する母親。
 実はそれは以前から繰り返されていた事だった。
 というお話でした。
 記憶喪失ネタというのは、「忘れていたけど、実はとんでもない事をしていた」という驚きの展開を作れる便利な方法で、物語でよく使われるものです。
 普通の作品ですと、実は自分が殺人や禁忌の行為をしてしまっていた事を知って、主人公が苦悩するのがポイントになります。
 近親相姦というのも、まさにそれに当たり、しかも今回の場合は記憶が蘇る前に同じ事をしてしまっている、という点でさらに辛い訳ですな。
 私はそうしたドロドロした状態というのが好きで、前から書きたいと思っていたので今回書いてみた次第です。
(2014.7.23)



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