兄の劣情


 羽純(はずみ)は、最近自分がエッチになっていることを意識していた。
 十二歳の女の子として、こんなに性的なことに興味が強くて良いのだろうかと不安になる事もあったが、別にそれで誰かに迷惑をかける訳でもないのだから、構わないだろうと思っていた。
 現在一番の関心事は、男性の体についてだった。
 インターネットや雑誌などで、セックスについてはおぼろげな知識を得られたものの、男性の持つ性器、いわゆるオチンチンに関しては、どういったものであるのか分からなかった。
 少し前までは兄と一緒に風呂に入っていたため、何となくは覚えているが、性的な意識の無い頃の記憶では、あまり参考にならないだろう。当時は「男に付いてる変なもの」くらいにしか認識していなかったからだ。
 さらに男性のオチンチンというのは、大人になると形が変わるという事を知ったため、それがどういったものであるのか気になっていた。
 父のオチンチンも見たことはあるが、仕事の忙しい父とは幼い頃にしか一緒に風呂に入らなかったため、全く記憶になかった。
 いわゆる男性器としてのオチンチンを見てみたい。それが羽純にとって、今最大の関心事なのだった。
 そしてそれを知る機会が訪れていた。
 今夜は両親が仕事で出張していたため、家には自分と兄しか居なかったからだ。何かしたとしても、両親に知られる心配が無いのである。
 この機会を利用して、兄と一緒に風呂へ入るつもりだった。
 風呂へ入る際は裸になる。つまり男性器が丸出し状態になるのであり、一緒に入ることで自然と目にすることが出来るのだ。
 中学二年生である兄のであれば、きっとオチンチンは大人のものへと変化しているだろうから、それで男性器を確認する事ができるはずだった。
 無論、自分も裸になるのだから恥ずかしい訳だが、その程度で済むなら構わなかった。
 何しろ兄とは少し前までは一緒に入っていたのだし、見られたところで恥ずかしさ以外に問題が無かったからだ。
 昔から自分の変な所を知っている相手なのだから、それが増えたところで構わないだろう。それよりも男性器を見ることが出来るのであれば万々歳と言えたのである。
 そう考えた羽純は、兄が入浴するのを待っていた。
 そして先ほど、ようやく兄が浴室へと入っていくのを確認したため、いよいよとばかりに自分も服を脱ぐと、裸になって後に続いていった。
 ついに男性器と対面できるのだ。
 その事に強いワクワク感と恥ずかしさを覚えつつ、浴室のドアを開く。
 すると風呂椅子に腰を掛け、体にお湯をかけている兄の姿が目に映った。
「うわ、何で入ってくるんだよ」
 兄の第一声はそれだった。
 確かにいきなり入浴中の現場へ入って来られたらそう思うだろう。
 その事を可笑しく感じつつ、こちらへ向けた視線を慌ててそらしているのに満足感を覚える。
 自分の体を子供として見ていないことが分かったからだ。
 見ては恥ずかしく思う、女の子の体として見てくれているのが嬉しかったのである。
「久しぶりに一緒に入ろうかと思って」
 そう言いながら近づき、兄の傍に置いてある洗面器を手に取る。
 接触しそうなほど近くに寄ったことで、兄が硬直しているのが分かった。
 その物凄く意識されている様子に、益々満足感が高まっていく。
 無論恥ずかしさも強烈だったが、兄の動揺が激しいため、優越的な可笑しさの方が勝ったのだ。
 兄をさらに動揺させたくなるような、いたずら心が強まっていく。
「何でだよぉ。狭いじゃんか……」
 視線を合わせず、あらぬ方向を見ながら言ってくる兄の様子を楽しく感じつつ、湯船からお湯をとって体にかける。
「いいじゃんたまには。今日は二人きりなんだし、兄妹の親睦って事でさ」
 体を寄せながら告げると、兄が慌てて離れるようにしたのに可笑しくなった。
 単に裸になっただけだというのに、ここまで動揺するのが面白かったのだ。
 自分は十二歳で小学六年生でしかないのに、まるでもっと上の年齢の女性の裸に対したような反応をしているのである
「何言ってるんだよ……別にそんなのしなくたっていいだろ……」
 弱々しく言ってくるのに嗜虐心をそそられながら、今の内にオチンチンを見せてもらおうかと考える。
 兄はこちらを見ようとしないため、何をしても分からないからだ。
 肩越しにそっと首を伸ばし、上から覗き込むようにして股間に視線を向ける。
(うわ……何かある……)
 そこにあったのは、記憶に残っている可愛らしい突起のイメージとは違った、何やら奇妙な形をした物体だった。
 しいて言うならキノコに似ているだろうか。
 先端が少し広がっていて、赤い綺麗な色をしているのが印象的だった。
「離れろよぉ……狭いって言ったろ……」
 そう言いながら兄が体を丸めるようにしたため、オチンチンが視界から消える。
 その事を残念に思いつつ、取り敢えず目的を果たせたことに羽純は満足な想いを抱いた。
「そんなに怒らないでよ。そうだ、背中流してあげるから。お兄ちゃんに感謝の気持ちを込めて、ね?」
「別にいいよそんなの……」
 オチンチンを見せてもらったお礼のつもりで言うと、兄は否定してきたが、特に邪魔する様子も無かったため、タオルと石鹸を手に取る。
 その際に少し体が触れたため、兄が硬直するのが分かった。
(ホント、すっごく意識してるなぁ……お兄ちゃんってば可愛い……)
 自分の裸でここまで動揺してくれるのは何とも嬉しかった。
 考えてみれば、兄しても女の子の体に興味があるのだろうから、意識して当然なのかも知れない。
(もしかして私の裸をちゃんと見たら、勃起したりするのかなぁ……)
 石鹸を付けたタオルで兄の背中を擦り始めながらそんなことを思う。
 男性は興奮するとオチンチンが大きく硬くなるというのを、インターネットや雑誌の情報として知っていたが、実際どうなのだろう。
 先ほど見たオチンチンは、大きくなっているようにも硬くなっているようにも見えなかったが、あれがもっと凄くなるのだろうか。
 そう思うと実際見てみたくなってきた。
 この際だから、兄を興奮させて勃起した状態を見てみたい。何しろこのような機会など滅多に無いのだ。
 そう考えると実際したくてたまらなくなった。
 本来ならそこまでするつもりは無かったのだが、 兄が動揺しまくっていて、弱々しい態度であることが、そうした大胆さを後押ししたのかも知れない。
「ね、お兄ちゃん……私の胸、見てみる?」
「!……」
 興奮させるなら胸だろう。単純にそう思って告げたのだが、兄の動揺が大きかったため驚いた。ビクッと体が震えたのだ。
「な、何言ってるんだよ……見るって何言ってるんだよ……」
 続けて発せられた言葉も訳が分からなくなっており、口調もたどだとしい感じになっている。
 よもやそこまで動揺するとは思わなかったため、呆気にとられつつも可笑しくなってしまった。
 自分のような十二歳程度の胸の膨らみを見ることが、それほど大事なのかと思ったからだ。
 もちろんそんな風に反応してくれるのは嬉しかったが、そこまで恥ずかしがらなくても良いのに、と思ったのである。
 そうした兄の態度のせいだろうか、恥ずかしさが弱まり、さらに大胆な意識が強まっていった。
「私、ちょっと胸が膨らんでるんだよ。ね、見てみてよ」
 そう言いながら前に回り込み、兄の眼前に胸を突き出す。
「お、おい……何やって、るんだよ……」
 兄は一瞬目をそらしたが、そのまま視線を戻してくると胸を凝視している。
 強引にされたことで、恥ずかしさよりも興味の方が増したのだろう。
 ジッと見つめられると恥ずかしかったが、それ以上に兄の関心を惹いているのが妙に誇らしかった。
「ね、どう?」
 兄はどう思っているのだろう。
 自分の体は男性から見て魅力的なのだろうか。
 今までは見ない状態で動揺していた訳だが、実際見たら大したことないと思っていたりはしないだろうか。
 もしそうだとしたら悲しいことこの上なかった。
「き、綺麗だな……」
「本当?」
「ああ、綺麗な胸だと思う……」
 褒め言葉にホッとすると共に嬉しくなる。
 何より先ほどから目を離さずに見つめているのが言葉の信憑性を高めており、兄が自分の胸を魅力的に感じてくれているのが伝わってきた。
 それは何とも喜ばしいことだと思いつつ、そう言えばオチンチンはどうなっているのだろうと気になる。勃起しているのだろうか。
 そもそもそれが目的だったと思い出した羽純は、視線を兄の股間へと向けてみた。
(うわ……おっきい……すごぉい……)
 そこには先ほどとは様子の異なるオチンチンの姿があった。
 大きさが増し、ピンッと力強く立っており、小刻みに震えているのだ。
 これが勃起の状態なのだろう。
 何と凄いのだろうか。
 自分の体には存在しない、形と大きさが変化する物体に目が釘付けになる。
 しかもそうした状態になったのは、自分の裸を見たゆえなのだと思うと誇らしい気持ちになった。
「あ、馬鹿っ……何見てるんだよっ……」
 股間を見られているのに気づいたのか、兄が慌てて手で隠している。
 その様子が可笑しかったため、思わずからかいたくなった。
「別にいいじゃん、見るくらい」
「駄目だってこれは……見るもんじゃないって……」
「でもお兄ちゃんだって私の胸、すっごい見てたじゃん。私だって見たいよ」
「そ、それはそうだけど……でも恥ずかしいんだよ……」
 兄は本当に恥ずかしそうにしているため、それが何とも可愛らしく感じられた。
 そのせいだろうか、次の瞬間には思ってもいなかった事を口にしていた。
「それじゃあさ、胸触らせてあげるから、その代わりにオチンチンを見せ……ううん、触らせてよ」
「え?……な、何言ってるんだよ……」
「触ってみたくなったの。だってピクピク動いてて面白いんだもん」
 自分でもとんでもない事を提案していると思ったが、話している内にそれくらい構わないだろうと思えてきたのだ。
 胸などただの脂肪の塊であり、それに触れられるくらいどうということはないだろう。何より相手は兄なのだから余計に平気だった。
「面白いって、お前なぁ……」
 兄は呆れたような口調で告げてきたが、視線は胸へ向けられており、本心は触りたいと思っているのが分かった。
 男性はオッパイに触りたくて仕方がない、というのはやはり本当の事なのだろう。
 自分程度の膨らみでもやはり触りたいものなのだろうかと思ったが、兄の様子からすると大きさは関係ないのかも知れない。
「ほら、触ってみてよ……」
 兄の手を取り、胸へと導く。
 手のひらが触れた瞬間、兄の鼻から棒のような息が吐き出されるのに苦笑する。
 他人の手が触れるのは初めてだったが、兄だと思うとさほど嫌悪感も無い。
 何より感嘆したようにして目を見開いている様子を見ていると、強い誇らしさが湧き起こってきた。
 単にちょっと膨らんだ胸に触れただけで、どうしてここまでの反応をするのだろう。男の子というのは面白いものだ。
 兄からすれば、小学生である自分の胸などまだ子供のものだろうに、まるでもっと上の年齢の女性の胸に触れたかのような反応を示しているのである。
 それが何とも嬉しかった。
 ゆっくりと手が動き、撫でるようにして触れられるのにゾクリとした感覚を覚える。怖々とした触り方であるため、微妙な刺激が起きているのだ。
 兄の鼻息が荒くなり、手の動きが揉むようなものになった。
 少々痛みを覚えたが、夢中になっている兄の様子を見ると、それくらいは我慢してあげたくなってくる。
 手の動きが激しくなっていき、不意に乳首が擦れる感触を覚えた瞬間、ピリッとした鋭い刺激を覚えたため、それに驚いた羽純は慌てて体を離した。
 呼吸が乱れ、顔が熱くなっているのに動揺しつつ、それを悟られないよう気をつける。
 一体今のは何だったのだろう。
「はいお終い。もう触るの終わりね」
「あ、うん……」
 名残惜しそうに胸を見ている兄の様子に可愛さを感じつつ、今度は自分の番だとワクワク感を高める。
「じゃ、オチンチン触らせてよね」
「分かってるよ」
 兄は仕方なさそうに体を起こすと両脚を開いた。
 目の前に、勢い良く屹立しているオチンチンが存在している。
 何やら先ほどより大きさが増しているように思えた。
 やはり胸に触ったからだろうか。
 先端から液体が漏れていたため、おしっこかと思ったが、これがいわゆる我慢汁というものなのだろう。
 興奮するとそういう物が出るのだというのを、以前何かで読んだ覚えがあったのだ。
 指を近づけ先端の膨らんだ部分に触れてみると、その瞬間、兄がピクッと体を震わせ、大きく息を吐き出した。
 オチンチンが鼓動するように小刻みに揺れており、自分が触れたことでそうなったのを面白く感じる。
 男はここをいじられると気持ち良くなるらしいから、今の刺激で兄もそうなっているのだろう。
 今度は親指と人差し指で摘むようにしてみると、兄の体がビクッと動くのに驚く。
 何とも敏感な反応だった。
「痛かった?」
「いや……別に……」
 心配して尋ねると、何やら照れくさそうに答えていたため、どうやら気持ち良かったらしい。
 ならばもっとしても大丈夫だろうと思い、先ほどより長く触れてみる。
 兄の呼吸が乱れ、体が小刻みに震えているのが分かる。
 これも気持ちの良さの現れなのだろうと思うと、自分が兄を支配しているように思えて楽しくなった。
(確かこうすると……いいんだよね……)
 拙い知識を元に、手で包み込むようにして握り、ゆっくりと上下に擦ってみる。
「ばっ、お前そんなっ……」
 兄が驚いたように叫んだが、そのまま押し黙った。
 震えるような吐息が鼻から漏れており、快感を得ているのが分かる。
 やはりこの上下運動は男にとって気持ちのいい行為らしい。
(このまましてれば……あれが見られるんだよね……?)
 射精。
 男の快感の発露。
 それが見られるはずだった。
 そう思うと興奮が高まっていき、手の動きが激しくなっていく。
 兄は鼻息を荒くしながらされるがままになっており、それが何とも嬉しさを感じさせた。
 これまで兄をこんな風に従えたことはなかったため、それが満足感を生んでいるのだろう。
 何しろ自分がここを擦っているだけで、兄は気持ち良さそうな吐息を漏らし、少し強めると、呼吸を乱して体を震わせるのだ。
 それは実に心地良い状態だった。
「くっ……うぁぅっ……」
 兄の口から奇妙な声が発せられたと思った瞬間、オチンチンから勢い良く何かが吹き出した。
(!……)
 驚きつつも放さずに擦り続けていると、そのまま何度も噴出が起きた。
 見れば白い液体が周囲に飛び散っている。
 兄は体をガクンガクンと激しく震わせ、時折くぐもった声を漏らしている。
 おしっことは異なる見たことのない白い液体が噴き出すのに、感動と怖さを覚えつつ、徐々に噴出が治まっていくのを眺める。
 握っていたオチンチンが小さくなっていったため、手を放すと、それはだらしない感じで垂れ下がった。
 これが射精。
 凄いものだった。
 初めて目にした男の生理現象に驚きつつ、奇妙な達成感を覚える。
 自分が兄の射精を導いたという事実が、そうした想いを感じさせているのかも知れない。
 見れば兄は、惚けた表情で体の力を抜き、ボーッとあらぬ方向を見ていた。
「お兄ちゃん、大丈夫?」
 声をかけると、兄はこちらへ視線を向けて小さく頷いた。
「羽純、ありがとな……」
「え?」
「スゲェ気持ち良かった……」
 兄は嬉しそうな笑みを浮かべると、洗面器を手に取り、股間や周囲にお湯をかけている。精液を流しているのだろう。
 よもやお礼を言われるとは思ってもみなかったため、どう反応していいのか分からず、羽純はしばらく黙って動かずに居た。
 兄はそのまま湯船に浸かったため、何となくそれに合わせて一緒に入ることにする。
 正面向きに離れて座ると、かなり窮屈な感じがしたため、幼い頃に比べて二人とも大きくなったのだなぁ、と感慨を覚えてみたりもした。
 ふと、兄の視線が胸元へ向けられているのに気がつく。
 どうやらまだ胸に興味があるらしい。
「ふふ……お兄ちゃん、私の胸、まだ触りたいの?」
「ば、馬鹿……何言ってるんだよ……」
「だってさっきから見てるじゃん」
「う……」
「まったく、お兄ちゃんはエッチなんだから」
「だってお前の胸、凄く綺麗だからさ……」
 その言葉に思わずキュンっとしてしまった。褒められたのが嬉しかったのだ。
 そんな風に思ったせいだろうか、何やら甘えたくなってきてしまった。
 こうした衝動を覚えたのはいつ以来だろう。そう思いながら体を後ろ向きにすると、椅子に寄りかかるようにして兄に体を重ねていく。
「何だよ、狭いじゃんか」
「いいじゃん。私はこうすると広いんだもん」
「ったく、しょうがないなぁ」
 そう言えば幼い頃も、こうして兄に寄りかかるようにして風呂に入ったものだった。接触しているのが嬉しくてそうしたのだ。
 兄は文句を言いつつ、いつもそのままにしてくれたため、そんな兄が自分は好きだったのを思い出す。
 今も兄は昔と同じく、文句は言うものの、放そうとはしてこない。
 逆に体の前に手を回し、抱きかかえるようにしてきた。
「大きくなったよな、お互い……」
 しみじみとそんな事を言ってくるのに少し嬉しさを覚える。
 兄も自分と同じように感じたのだと思ったからだ。
「お前の体……気持ちいいぞ……」
 そう言いながら抱き締めてくるのに少し恥ずかしくなる。
「私の体って、気持ちいいの?」
「ああ、こうしてるとスゲェいい……柔らかいんだ……」
「へぇ、そうなんだ……」
 自分の体をそんな風に思ったことが無かったため、意外に思いつつ、心持ち体を押しつけるようにしてみる。
(あ……おっきくなってる……)
 腰の辺りで突起が硬く大きくなっているのが分かった。また興奮しているのかも知れない。
「お兄ちゃん、興奮してるでしょ……?」
「だってお前が体くっつけるから……しょうがないじゃん……胸だって見えてるしさ……」
 恥ずかしそうに告げてくるのに可愛さを覚える。
 おそらく視線は胸に釘付けだろう。
 そしてまた触りたくなっているのだろうなぁ、と思う。
 何しろ男はオッパイが好きなのだ。
 自分のようなあまり膨らんでいない胸であっても、触りたくて仕方がないに違いない。
 そのくせ勝手に触ってきたりはしないのだから、そんな風に我慢している兄がさらに可愛く思えた。
「ね、また触ってみる?」
 思わずそんな言葉が口から発せられた。
 兄は一瞬息を飲んだようにした後、大きく息を吐き出している。
「いいのかよ……?」
「いいよ、お兄ちゃんだもん……」
 本来であれば、もう目的を達成したのだから触らせる必要はなかったのだが、どうにも懐かしさと共に兄に対する温かな想いが起きていたため、触らせてあげたくなったのだ。
(さっきも触らせてあげたし、別にいいよね……)
 胸の膨らみはただの脂肪の塊でしかない。
 それをいじられたところで大したことはないのだ。
 実際、先ほども何とも無かったのである。
 などと考えて、ふと、先ほど触られた最後の方で、予想外の刺激が走ったのを思い出す。
 驚いたため慌てて体を離したのだが、あれは何だったのだろう。
 その事が気になったが、もし同じことになったとしても、またすぐに離れればいいだけのことだ。
「じゃあ、触るぞ……?」
 そんな事を思っていると、兄が意を決したようにして告げてきた。
 胸を触るくらいで何とも緊張しているのに可笑しくなってくる。
 先ほども触ったはずなのに、まるで初めて触るみたいな感じだからだ。
 その様子を可愛らしく感じつつ、それだけ兄が自分の胸を貴重なものと認識してくれているのだと思うと嬉しくなった。
 今度は好きなだけ触らせてあげよう。
 そう思って体の力を抜く。
 兄の両手が胸に伸び、背後から包むようにして触れてきた。
 それと同時に大きな鼻息が首筋に当たり、その事にくすぐったさを覚える。
 そのままゆっくりと回すようにして手が動き、胸が揉まれていく。
 そうされていると何とも心地良く、体を委ねてボーッとしてしまう。少しのぼせているのかも知れない。
「オッパイ……スゲェよ……」
 兄は感嘆した様子で呟きながら、熱心に胸を揉んでいる。
 親指と人差し指で膨らみを掴むようにし、回す感じでずっと手を動かしている。
 よくも飽きないものだと思いつつ、時折鋭い刺激が走るのに動揺する。
 その時にピクッと体を震わせてしまっているのが恥ずかしい。
 しかもその反応で兄は興奮しているらしく、鼻息が荒くなっていた。
 もしかして、これが「感じている」という事なのだろうか。
 自覚は無いが、性的な反応を体が示しているのかも知れない。
 自分で胸に触れた時はこんな風にならなかったため、何とも奇妙に思えた。
 気がつけば兄の鼻息がかなり荒くなっており、ちょっと怖い感じに思えてきた。
 しかしそれでも止めるように言えないのは、頭がボーッとしているせいだろう。
 のぼせているのと感じてしまっているのとで、何となく言い出す気力が起きないのである。
 不意に兄が乳首を摘んできたため、その事でビクンっと体を大きく震わせてしまう。
「やだ、お兄ちゃん何やってるのぉ……」
 体の反応の大きさとは裏腹に、のんびりした口調で言ってしまう。頭がかなり朦朧としているためだ。
「いいだろ。触らせてくれよ。乳首も胸の一部なんだし」
 兄はそんな事を言いながら、摘むようにして乳首を捻っている。
「それはそうだけどぉ……でもそれされてるとぉ……変な感じがするんだよぉ……」
 兄に乳首を捻られるたびに、鋭い刺激が走り抜け、それと共に体がビクンっと動いてしまう。
「変な感じって、どんなんだ?」
「変な感じはぁ……変な感じだよぉ……」
 答えにならない言葉を返しながら、のぼせ具合も限界かも知れないと思えてくる。何しろ何も考えられなくなってきたからだ。
「なぁ……乳首、吸ってもいいか?」
「えぇ? 何言ってるのぉ……」
 兄の提案に驚きつつも、それとは裏腹にぼんやりした口調で返してしまう。
「いいよな? 俺吸ってみたいんだ? いいだろ?」
「えぇ? でもぉ……」
「いいじゃん、吸うからな」
 どうしようかと迷っている内に兄は勝手に決めると、こちらの体を反転させ、乳首に吸い付いてきた。
「あ……やだ、おにぃ、あん……それ、変……それダメぇ……」
 今まで以上の強い刺激に、体が大きく震えた。
 乳首がチュウッと吸われると、ゾクゾクするような何かが走り抜けるのだ。
 続けて胸を強く揉まれ、舌が何度も乳首を撫でるようにして舐めてくるのにピクピクと反応してしまう。
「やぁ……それやぁ……おにぃちゃ、やぁ……」
 のぼせているのと妙な刺激を感じているのとで、意識がさらに朦朧としてくる。
 このまま兄に胸を揉まれ、舐め、吸われていたら、自分はおかしくなってしまうのではないか。
 そんな不安がよぎるが、すでに考える力を失いつつある頭は、そのまま兄の行為を放置し続けた。
「羽純、オッパイスゲェよ、んんっ……お前のオッパイスゲェ、んっ……凄すぎる、んんっ……」
 夢中になって乳首に吸い付き、胸を揉んでいる兄の様子には、どことなく幼さが感じられて可愛かった。
 だがこのままさせていたら、兄はもっと凄いことまで望んでくるのではないかと思うと怖くなってくる。
 セックス……。
 それをしようとしてくるのではないかと思えたのだ。
 さすがにそれはマズいだろう。
 何しろ自分はまだ十二歳、小学六年生でしかないのだ。
 いくら性的な事に興味があるとはいえ、体はまだ未発達だし、何より相手は実の兄なのだから、セックスをして良い訳がなかった。
 そもそも自分のような子供の体で、そんなことができるのだろうか。
「な? お前のあそこ、見ていいか?」
「あそこってぇ……どこぉ……?」
「あそこはあそこだよ……股間のその、そこ……な? いいだろ?」
「えぇ? それはダメだよぉ……恥ずかしいもぉん……」
 いよいよ危ない方向へ兄の興味が進み始めた、と思ったが、それに対処するための意識がすっかり朦朧としてしまっている。
「俺だって恥ずかしいのにさっき見せたろ。だから今度はお前が見せる番だって」
「でもぉ……」
「いいじゃんいいじゃん。見るからな?」
 ぼんやりとした意識のせいでハッキリ拒否できないのをいいことに、兄はこちらの体を抱え上げると、浴槽に座らせてきた。
 背中が壁に触れ、その冷たさに気持ちの良さを覚える。
 両脚が左右に開かれ、兄の頭が股間に寄っていくのが見える。
(お兄ちゃんに見られちゃう……)
 強烈な恥ずかしさを感じるが、体を動かす気力が起きないため、そのまま見られてしまうのを防げない。
「こ、こんななんだ……スゲェ……」
 兄の感嘆の声が耳に響き、自分の女の部分がさらけ出されていることに、のぼせているのとは別に顔が熱くなっていく。
「やだぁ……おにぃちゃんのえっちぃ……」
 キツい感じで言うつもりが、何とものんびりした口調になってしまう。
「羽純……可愛いぞ……」
 兄は興奮したように大きく鼻息を漏らし、真剣な様子で告げてきた。
 これまでそんな風に言われたことなど無かったため、心臓がドクンっと跳ねる。
 恥ずかしいような嬉しいような、複雑な想いから顔がさらに熱くなっていった。
「!……」
 不意に強烈な刺激が股間に感じられ、体が大きく震える。
 兄の指が、敏感なところに触れてきたのだ。
 それはいつも興味を持って触っていた突起の部分だった。
 女はここが感じる箇所だと知ってから、時折恐る恐る触れていたのだが、自分で触れる時とは違って容赦の無い触れ方であったため、今までに感じたことない刺激が走り抜けたのである。
 兄は一瞬驚いたようにしたが、続けて今度はゆっくりと、丁寧に撫でるようにしてきた。
「あっ、やっ……それダメぇ、あっ……おにぃ、はぅっ……」
 指が擦ってくるたびに、体がビクッ、ビクッ、と反応し、何ともいやらしい声を漏らしてしまう。
 自分がエッチな反応をしているということに恥ずかしさが強まり、そうなればなるほど、さらに反応を激しくしているのを認識する。
「気持ちいいのか? 羽純、気持ちいいのか?」
 楽しげに尋ねてきながら、兄は指を動かし続けた。
 それに答えることができず、されるがまま受け入れ、いやらしい声を発して体をクネクネと動かしてしまう。
 まるで自分のものではないかのように勝手に動く体を見つめつつ、もっとして欲しいと思うようになっているのに気がつく。兄の指が触れていると非常に気持ちがいいためだ。これが「性的に感じている」ということなのだろう。
 自分はエッチな状態になっているのだと思うと強い興奮を覚えたが、相手が実の兄であるという事に、背徳的な想いも起きてきた。
(マズいよねこれ……お兄ちゃんとこんなことまでしちゃうの……)
 男性器を見るだけのつもりだったのに、触ってしまったのはやはり失敗だった。
 いや、射精までさせたのが良くなかったのかも知れない。
 あれから兄の様子がおかしくなったように思えたからだ。
 とはいえ、あの時はしたくなってしまったのだから仕方ないだろう。
(このまま私……お兄ちゃんとしちゃうのかな……?)
 兄とセックスをする。
 その想像をすると恐ろしさが湧き起こった。
 さすがに兄相手に処女を喪失する気はなかったからだ。
 そこまでするのは耐えられなかったし、そもそもそういう事は好きになった男の子とするべきだろう。
 兄にしても同じように考えているはずだと思いたかったが、男というのは一旦火が付くと止まらなくなる、というのを何かで読んだ覚えがあったため、このままでは危ないように思えた。
「! やっ、やぅんっ……」
 突如、それまでとは比較にならない強烈な刺激が発生したため、体がバネ仕掛けのように跳ね上がった。
 同時に蕩けるような快感が体を走り抜けていく。
「あっ、ああっ……やんっ、やっ、やぁんっ……」
 続けてその強烈な快感が断続的に襲いかかり、訳が分からなくなっていく。
 少しして、兄に秘所を舐められているという事に気がついた。
 温かでざらついた柔らかいものが、敏感な部分に触れてきているのだ。
 指とは異なるヌメっとした感触があり、それに刺激を与えられると、蕩けるような快感が走り抜けるのである。
「やっ、それダメぇ……おにぃちゃんそれ、やっ、やぁんっ……」
 快感でおかしくなりそうな恐怖が起きたため、必死に懇願の言葉を述べたが、そのせいで余計に舌の動きが激しくなっていく。
 兄の興奮が強くなっているのだろう。
 考えてみれば、自分の声は恥ずかしいほどに可愛らしく、甘ったるいものになっているのだから、そうなっても当然だった。
 このような声を兄に対して発している時点で、己が普通の状態ではない事が自覚できたため、逃げようと体を動かそうとするが、それ以上に、与えられる快感をもっと味わいたいと欲している自分がいるのに動揺する。
 これが好きな男の子にされているのなら良かっただろう。
 だが兄がしているのでは、このまま身を委ねてしまうのは危険すぎた。
(近親相姦になっちゃう……)
 実の兄妹でセックスをするなど、許されないことだった。
 それは絶対に避けなければならないことなのだ。
 そうは思うがどうにも出来ないのも現実だった。
 何しろ頭はのぼせているのと快楽とで朦朧としていたし、体は与えられる刺激で全く力の入らない状態だったからだ。
「やっ、やんっ……ダメ、あっ……ダメだよぉっ……」
 必死になって口で否定するが、そうした言葉を発すれば発するほど兄の興奮は高まっていくように思えた。
 太ももに手が置かれ、強く掴まれるのに、兄の執着が感じられて怖くなってくる。
 それと同時に、それだけ自分の体に夢中になっているのだという悦びも湧き起こった。
 兄にこれ以上されたくないという想いと、もっとして欲しいという想いが併存し、どうしていいのか分からなくなってくる。
 妹としての意識は兄との近親相姦を恐れているが、肉欲に染まりつつある女としての意識は兄のさらなる行為を欲していた。
 兄とセックスするなど絶対に駄目、と思いつつ、兄だからこそ試しでしてみてもいいじゃない、というような相反する想いが起きているのだ。
 元々セックスに興味を持っていた自分としては、試してみたい気持ちも強くあったため、このまま兄の愛撫を受け続ければ、なし崩し的に受け入れてしまってもおかしくはなかった。
 そんな想いに心が揺れ動いていると、不意に兄が舐めるのを止めて体を起こした。
 こちらに顔を向け、真面目な表情で見つめてくる。
 続けて一方の腕が背に、もう片方の腕が膝の下に入れられると、ヒョイッと持ち上げられ、浴室の床に横たえられる。
 両脚が左右に開かれ、兄の体が前屈みになってのし掛かってきた。
(あ……するんだ……)
 いよいよセックスをしてくるつもりなのだと妙に冷静に認識しつつ、早く何とかしなきゃ、と焦り出す。
 とはいえ、すっかり朦朧とした頭と、散々された愛撫のせいで力の入らない体では、まともな抵抗は出来なかった。
「ダメぇ……おにぃちゃんダメだよぉ……それダメだからぁ……」
 ぼんやりとした口調で言いつつ、両脚を閉じて避けようとするのだが、すぐさまグイと左右に開かれてしまう。
 もう一度閉じようとしても、ゆっくりとした動きであったため、その隙に間に腰を入れられ、閉じることが出来なくなってしまった。
 そうなれば残るは後方へ逃げるしかない、と体を動かそうとするが、ただクネクネとするだけで、全く移動しなかった。
 何より移動出来たとしても、背後は壁であり、ほとんど意味はなかった。
「羽純、いいだろ? 俺、もう限界なんだ……入れるからな……?」
「ダメだよぉ……私たち兄妹なんだよぉ……こういうのは、しちゃダメなんだからぁ……」
「何言ってるんだよ……お前からしてきたんだろ? 俺はお前が誘ってきたから、我慢できなくなっちゃったんだからな……」
 言われてみればその通りだった。
 一緒に風呂に入らなくなっていたのに、わざわざ兄の入浴中に入り込み、胸に触るようにし向け、オチンチンを擦って射精させたのは自分なのだ。
 そこまでしておいて、セックスは駄目だと言っても説得力はないだろう。
「そうだけどぉ……でもこれ以上はやっぱりダメだよぉ……兄妹だもん……」
「誰にも言わなけりゃ分からないって……もうしたくてたまらないんだ。するからな……」
 兄はそう告げると両脚を持って広げ、腰を前に進めてきた。
「やぁ……ダメぇ……おにぃちゃんダメぇ……」
 それまで以上に力を入れて抵抗しようとするが、ただ体がクネクネと動く程度にしかならなかった。
 兄は腰を掴んで引き寄せるようにしてくると、オチンチンを手に持って近づけてくる。
 先ほど見た時よりも大きくなっているのに驚きの念を抱く。それだけ兄の興奮が強いということなのかも知れない。
 何かが股間に触れる感触が起き、それが兄のオチンチンなのだと認識すると、鳥肌が立つような恐怖が湧き起こった。
 男性器を入れられることに、処女の本能が嫌悪を示したのかも知れない。
 そのまま強く押しつけられる感触が起きると共に、温かなものが股間に溢れてくるのが分かる。
 今触れている物体との刺激に感覚が集中していく。
 ズブ……。
「!……」
 入ってきた、と認識するのと同時に痛みが起きる。
 体が硬直し、声にならない叫びが口から漏れる。
 強烈な痛みと共に、処女を失ったのだという喪失感が押し寄せ、涙が溢れてきた。
「ぐぅ……ふぅ……ふぬ……」
 兄の意味を成さない声が耳に響き、視線を向けると、何ともだらしのない表情を浮かべているのが見えた。気持ちいいのだろうか。
 自分はこんなに痛いのに、何故兄は気持ち良さそうなのだろう。
 慣れれば女の方が気持ちいいのだと何かで読んだ覚えがあったが、今現在痛いのだからたまったものではなかった。
 女は損だと思いながら、徐々に入り込んでくるオチンチンを認識する。
 自分の中に、あの硬くて大きな物体が入り込んでいるのだと思うと不思議な気がしたが、その存在感と温かな感触がそれを実感させた。
 少しして、兄が大きく息を吐き出し、動きを止めたのが分かった。
 オチンチンが全部入ったのかも知れない。
「スゲェ……スゲェよ……スゲェ気持ちいい……お前の中、あったかくてヌルヌルしてて、くっ……最高だぁ……」
 兄は嬉しそうに叫ぶと、体をブルブルと震わせている。
「わたしは……痛い……痛いよおにぃちゃん……」
 涙を流しながら告げると、兄は一瞬困ったような、申し訳なさそうな表情を浮かべたが、すぐにまただらしのない表情に戻った。
「ゴメン……初めては痛いって言うもんな……くっ……でも気持ち良くて……お前最高だよ……」
 労るような言葉を言ったかと思うと、すぐさま自分の快感に意識が向いている様子に腹立たしくなる。
「謝るなら抜いてよぉ……もう抜いてよぉ……」
「無理だって……こんな気持ちいいの、抜ける訳ないだろ……お前の中、スゲェ気持ちいいんだから……たまんねぇよ……羽純気持ち良すぎだよ……」
 兄は凄く嬉しそうな表情を浮かべ、絶賛の言葉を口にしながら顎を仰け反らせている。よほど気持ちがいいのだろう。
 ドクンドクンと兄の鼓動が伝わってくるため、今繋がっているのだという想いを抱く。
 無理矢理入れられたのだからもっと悲しくても良いはずなのに、何故かホッとするような安堵の気持ちが起きているのは不思議だった。
 相手が兄だからだろうか。
 目の前には、生まれてからずっと見慣れた顔があり、それがだらしなく緩んでいるのは、自分の中にオチンチンを入れているためだった。
 ほんの少し前までは信じられない状況になっている事に、何とも言えない奇妙な感慨を抱く。
「!……いぅっ……やっ、動いちゃやっ……嫌ぁっ……」
 兄の腰が前後に動き出し、そのことで強烈な痛みが湧き起こる。
 ズリズリといった感覚が股間から押し寄せ、体の中を擦られているのを実感する。
「ふはっ……ふぐっ……ふぁっ……」
 兄のだらしのない声が耳に響き、夢中になって腰を振っている様子から、相当に気持ちがいいのだろうと推測する。
 中学生になってからの兄にカッコ良さを感じるようになっていたため、この情けない様子には少々幻滅させられるものがあった。
 その一方で、そこまで自分が兄を夢中にさせているのだという事に、妙な満足感が起きていたりもした。
 無理矢理されてしまったのは悲しいが、そこまで自分に執着しているのだと思うと嬉しかったからだ。
「あっ……あぁっ……え? 何?……あんっ……」
 不意にそれまでと異なる刺激が押し寄せてきたのに驚く。
 それは先ほど兄に秘所を愛撫されていた時に感じていたのと同じものだった。
 快感だ。
 兄が動いてもさほど痛みが起きず、逆に気持ちの良さが押し寄せてくるようになっているのが分かる。
 そう自覚すると益々快感が増し、蕩けるような刺激が体中に走り抜けた。
「やっ、やぁっ……こんな、あんっ……こんなの、あぁっ……」
 耐え難い快楽の刺激が絶え間なく押し寄せ、時折頭の中が真っ白になって訳が分からなくなっていく。
 このままこれを繰り返されたら、自分はおかしくなってしまうのではないかと思えた。
 秘所をいじられている時にも同じように思ったが、今感じているのは、それ以上の恐ろしさを伴う刺激だった。
 あの白い液体を吐き出した硬くて大きなモノが、今自分を快楽に狂わせようとしている。
 それはこれまでに経験した事のない、恐ろしくも魅力的な新しい刺激として羽純に襲いかかっていた。
「あっ、あんっ……あっ、あっ、ああっ……」
 意識しなくとも漏れる甘ったるい声に、自分が完全に支配されてしまっている認識を覚える。
 今自分は、兄の一突き一突きで快楽に堕とされ、夢中にさせられてしまっているのだ。
 これを止められたら悲しくて仕方ないだろう。
 それだけ兄のオチンチンは、自分を魅了し始めていたのだった。
「やっ、やぁっ……おにぃ、あっ、ああっ……おにぃ、ああんっ……」
 兄に救いを求めるようにして手を伸ばし、その体に触れると、安心感が押し寄せてきた。
 快楽という慣れない恐怖に惑わされている己にとり、唯一兄だけが安堵を与えてくれる存在だからだろう。
 無理矢理してきた相手であるのに安心するとは奇妙な事だったが、実際に兄が体を寄せ、目の前に顔が近づくと、それまで以上に安堵が広がった。
 背中に手を回し、ギュッと抱き締めると、それだけで幸せな気分になれた。
「羽純可愛いっ……スゲェ可愛いぞっ……羽純好きだっ、大好きだぁっ……」
(!……)
 兄の「好き」という言葉に心臓が跳ねる。
 それと同時に唇が重なってきて、強く吸い付かれるのに一瞬意識が真っ白になった。
(お兄ちゃんと……キスしてる……)
 すでにそれ以上の行為をしているのだが、キスには特別な思い入れがあったせいか、それすらも兄としてしまった事に驚愕の想いが起きてくる。
 好きになった男の子と、学校の校庭でこっそりと交わす初めてのキス。
 そんな理想を持っていたのに、実際のファーストキスは、自宅の風呂場で兄とのセックスの最中に行われたものになった。
 何とも悲しく思えることながら、あまりに気持ちが良いためにどうでも良くなっていく。
 舌が入り込み、こちらの舌と絡み吸い付いてくるのに、力が抜けるほどに快感を覚える。
 乙女チックな想いを粉砕するがごとく、肉欲を伴う刺激を与えてくる初めてのキスは、忘れられないものとなった。
「んっ……んんっ、んふぅっ……んっ、んぁっ……おにぃ、あっ、ああっ……おにぃちゃぁんっ……」
 目の前にある兄の顔を見つめながら、求めるようにしがみついていく。
 押し寄せる快感は体中に染み渡り、蕩けるような気持ちの良さで意識を朦朧とさせていった。
「あっ、あんっ……大好き、ああっ……大好きだよぉ、あっ、あっ……おにぃちゃん大好きぃっ……」
 そう叫んだ瞬間、兄の腰の動きが激しさを増した。
 突き込まれると全てが蹂躙され、引き抜かれると全てが略奪されていくような錯覚を覚えつつ、自分の体が兄のモノとなっていく実感を得ていく。
(わたしぃ……おにぃちゃんのモノなんだぁ……わたし、おにぃちゃんのものなんだねぇ……)
 体だけでなく心すらも支配されているように思え、もうお終いだというような、切羽詰まった感覚が押し寄せてくる。
「あんっ、あんっ、ああんっ……おにぃちゃ、あぅんっ……わたし、ああっ……わたしダメ、ああっ……何か来る、あっ……何か来るよぉ、あっ、ああっ……おにぃちゃん怖いぃっ……」
 未知なるモノに対する恐怖から逃れようと兄にしがみつき、背中に爪を立てて激しく悶える。
 体が快感に震え、兄の一突き一突きに合わせて頭が仰け反っていく。
「俺もイくっ……俺もイくぞっ……羽純、一緒にっ……一緒だからなっ……」
 こちらをジッと見つめ、優しく、そして力強く告げてくる兄の姿に、強烈な安堵感と、依存心が湧き起こった。
 兄が居れば大丈夫。
 自分は大丈夫なんだ。
 そうした想いが爆発し、全てを兄に任せて身も心も委ねていく。
「あっ、あっ、ああっ……来る、あっ、あっ……来るぅっ……わたしもうダメ、ああっ……わたしもぉ、ああんっ……わたしダメなんだよぉっ……やっ、やっ、やぁああああああああんっ!」
「ぐぅっ!」
 絶叫と共に体が硬直し、頭が真っ白になる。
 少しして意識が戻ると、兄が体を小刻みに震わせながら、呻き声をあげているのが見えた。
 胎内に何かが注ぎ込まれている感触があり、その事に恐怖するが、それ以上の安堵感が体中に溢れていた。
 何かを成し遂げたような、そんな達成感が膨らんでいく。
「羽純ぃ……凄かったぞぉ……羽純は最高だよぉ……」
 しばらくして兄が体の力を抜いて倒れ込んできた。
 少々重かったが、褒め称えてくる言葉に嬉しくなり、そのまま抱き締める。
 そうしてジッとしたままでいたが、やがて冷静になってくると、自分がとんでもない事をした、いや、されたことに思い至る。
(お兄ちゃんと、セックスしちゃった……)
 それは兄妹でしてはならない行為だった。
 しかも兄は無理矢理してきたのだ。強姦である。とても許せることではなかった。
 とはいえ、そうし向けてしまったのは自分であるため、強く出られないのも確かだった。
 だが、いくら何でもセックスまでする事はないだろう。
 自分はあれほど嫌がったというのに、兄はそれを無視してしたのだ。
 許せないことだった。
「お兄ちゃん、酷いよぉ……こんな事するなんて酷い……」
「え? あ……ああ……ご、ごめん……お前が可愛いからつい……」
「つい、じゃないよ……わたし、痛かったんだからね……」
「そうだよな。ホント悪かった……でも気持ち良くて止まれなくてさ……お前、凄いんだもん……」
「私の初めてだったのにぃ……それがお兄ちゃんとだなんて……どうしてくれるのよぉ……」
「う……ごめん……ホントごめん……」
 泣きそうな顔で辛そうに告げると、兄は本当に済まなかった様子で謝ってきた。
 その事に嬉しさが湧き起こる。自分の事を真剣に受け止めてくれているのだという事が伝わってきたからだ。
 無理矢理されてはしまったが、そういう意味で相手が兄という事に対して後悔はなかった。
 しかしそれを受け入れたような態度は取らない方がいいだろう。あくまで自分は被害者として振る舞うべきだった。その方が主導権を握れるからである。
「重いっ。早くどいてっ」
「あ、悪ぃ……」
 いつまでも体の上に乗っているのを少し怒った様子で指摘すると、兄は申し訳なさそうに慌てて体をどけた。
 何だか楽しかった。
 兄が自分の言うことに素直に従うなど、これまで無かったことだからだ。
 股間に目をやれば、オチンチンが小さく垂れ下がった状態になっていたため、何だかそこでも謝っているような感じがして可笑しくなった。
 大きく息を吐き出しながらゆっくり体を起こすと、兄がこちらを見つめているのと目が合う。
「何?」
「いや……やっぱいいな、と思って……」
「え?」
「羽純ってその……可愛いなって……」
「ちょ……何言ってるのよ真顔で……馬鹿じゃないのっ?」
 恥ずかしさから顔が熱くなる。
 セックスしている最中も同じように言われたが、改めて真面目に言われると強烈に恥ずかしさを覚えたのだ。
「悪かったよ……自分でも何言ってるんだろって思った。ちょっと変なんだ俺……だけどお前のこと見てるとさ……何かおかしくなってきて……」
「って、また大きくしてるし……」
「え?」
「オチンチンおっきくなってるっ」
 小さく垂れ下がっていたはずの一物は、少しの間に再び硬く大きくなっていた。
「あ、いや、これはその……」
「またエッチなことしたいと思ってるんでしょ?」
「う……」
「図星なんだ……」
「ごめん……」
 素直に謝ってくるのに笑ってしまう。
 何やらセックスしてからの兄は、あまりに従順なので楽しくなってしまったのだ。
「だけどさ……羽純ってスゲェ気持ち良かったから……俺、またしたくてしょうがないんだよ……」
「今したばかりなのに?」
「だってお前、可愛いんだもん……体だって綺麗で……抱き締めたくてしょうがないよ……なあ、もう一回するの駄目か?」
 上目遣いで、申し訳なさそうに尋ねてくる様子にキュンっとなってしまう。何とも言えない可愛らしさを覚えたのだ。
「だ、駄目に決まってるでしょ……ったく、何を言い出すのかと思えば……お兄ちゃんってば全然反省してな〜〜い」
「だけど俺……お前のこと、欲しくて欲しくてたまらないんだ。スゲェ欲しいんだよ。羽純を抱きたくてたまらないっ……な、いいだろ? お願いだよ羽純ヤらせて? 羽純ぃ……」
 甘えるようにして抱き付いてくるのを抵抗せずに受け入れてしまう。
 何しろこんな風に一生懸命求められたのは初めてだったからだ。
 思わずほだされてしまいそうになる自分を必死に抑え込み、何とかこれ以上はされないようにしなければと思う。
 やはり近親相姦はマズいからだ。
「私たち兄妹なんだよ? それでするなんて変態じゃない。さっきのは事故だって思えばいいけど、またしたらもう誤魔化せないよ。変態になっちゃう」
「俺、多分もう変態になってるよ……だって羽純のこと、スゲェ好きになっちゃってるもん。妹のこと、凄く好きだなんて変態だよな」
「な、何言ってるのっ……ホントお兄ちゃんってば変態っ……」
 面と向かって真面目に「好き」と言われたため、強い動揺が走る。
 考えてみれば、自分も兄のことが凄く好きになっているように思えたからだ。
 このまま「好き」と言われ続けたら、受け入れてしまうかも知れないと思えて怖くなってくる。
「変態でもいいよ……羽純とできるなら……羽純とできるなら、俺、何だっていいや……羽純好きだよ、好きなんだっ……」
 強い口調でそう言われ、顔が近づいてくるのに抵抗できない。
 嬉しさのあまり受け入れたくて仕方が無くなっているのだ。
「羽純……」
 兄の瞼が閉じられ、顔が近づいてくる。
 これを避けなければ駄目だろう。
 でなければそのまま流されてしまうのは確実だった。
 しかし何の抵抗をすることも出来ず、唇が重なっていくの受け入れてしまう。
 兄の鼻から棒のような息が漏れ、歯を割って舌がニュルリと入り込み、こちらの舌に絡みついて強く吸い付いてくる。
「んっ……んんっ……んんぁっ……」
 顔の角度を変えながら、何度もむしゃぶりつき、舌を吸ってくるのに頭がクラクラとしてくる。
 ここまでしてしまってはもう逆らえなかった。先ほど与えられた快楽のせいで、肉体が兄を求めてしまっていたからだ。
 心もすでに抱かれたくてたまらなくなっていた。
 兄とまたしたい。
 セックスをしたかった。
 あの快感をまた味わってみたかった。
 生の肌が擦れ合い、己のほんのりとした膨らみが、兄の体で潰れているのが分かる。
 中学生になって逞しさを感じさせるようになった兄の体は、一度交わったことにより、今や触れているだけで自分を魅了する存在になっていた。
 この肉体に抱かれたい。
 兄に思い切り貫かれたい。
 二人で気持ちのいい世界を味わいたい。
 そんな想いが押し寄せ、与えられる刺激に浸りながら、羽純は兄の手が胸に触れてくるのを歓喜して迎え入れるのだった。


「あっ、あっ、ああっ……」
 己の口から発せられているいやらしい声に恥ずかしさを覚える。
 あれから自分の部屋へ連れて行かれた羽純は、ベッドの上で兄に抱かれていた。
 どうしてこんな事になっているのか不思議だったが、 改めて考えてみると、全て自分が悪かったのかも知れない。
 無論、無理矢理抱いてきた兄が悪いのだが、そうし向けたのは自分なのであり、途中で何度も抵抗できたのにも関わらず、流されるまま受け入れてしまったのだから責任は自らにあるだろう。
 兄は今やすっかり自分の体に夢中であり、何度精を放ってもすぐに再び抱き付いてきた。
 それが自分に対する強い執着を感じさせ、凄く嬉しくなってしまう。
 兄をここまで好きになっているのは初めてではないだろうか。
 しかも強姦されたというのに好きになっているのだから、自分はマゾなのではないかと思うくらいだった。
 しかし兄にこうして抱かれ、オチンチンを入れられていると、強い安堵と幸福感が押し寄せてくるのだから仕方ないだろう。
 何よりたまらなく気持ちが良いため、何度でもしてもらいたくなってしまうのである。
「やっ、やぁっ……いいっ、いいっ、いいよぉっ……おにぃちゃんいいのぉっ……」
 痛みはすっかり無くなり、快楽だけが押し寄せてくるようになったため、自ら求めるような言葉まで無意識の内に言ってしまうようになっていた。
 何よりこうした事を言うと、兄の動きが激しくなり、さらに気持ち良くなれたため、つい口にしてしまうのだ。
「羽純可愛いっ……羽純可愛いぞ、くっ……羽純可愛すぎるぅっ……」
 腰を強く大きく振りながら、褒め称える言葉を言ってくるのに子宮がキュンっと反応する。
 体の刺激だけでなく、こうした言葉の刺激でも快感は増していた。
 兄が自分のことを求めていると認識すると、そうでない時より気持ちの良さが上がるのだ。
 兄の両手が胸に伸び、包むようにして強く揉みしだいてくる。
 まだ小さな膨らみでしかないが、兄はそれでも満足らしく、夢中になって触れてくるのに嬉しさが込み上げてくる。
 自分のような小学生の体を、中学生の兄が好んでくれているのに誇らしさを覚えたからだ。
「あんっ、あんっ、ああんっ……おにぃちゃん凄い、あっ……凄いの、ああんっ……それもっと、あっ……それもっとぉっ……」
 特別気持ち良くなる所を突かれたため、自分でも恥ずかしくなるくらい甘ったるい声で求めてしまう。
 こうなると頭が真っ白になり、訳が分からなくなった。
 両手でシーツを掴み、頭を仰け反らせながら「あっ、やっ……」と呻くように喘ぎながら、小さな体をクネクネと動かしていく。
「羽純っ……可愛いぞ羽純っ……スゲェ可愛いっ……」
 何度も「可愛い」と告げ、乳首に吸い付いて舐め回してくるのに、それだけでイってしまいそうになる。
 兄の言葉と愛撫は、自分にとって媚薬のようであり、その組み合わせは、心と体を蕩けさせる強烈な作用があった。
「あっ、あっ……おにぃ、ああんっ……もっと、あっ……もっとぉっ……やっ、やぁんっ……」
 可愛らしくねだると兄の動きが激しさを増し、体中にキスの嵐が降り注いだ。
 生まれつき色白であるため血管が透けるほどに白い肌は、すでに兄の唇の跡で一杯だった。
 体全体が上気して桜色に染まっているのとは別に、キスをされた箇所が赤く変化しており、それはまるで自分が兄のモノだと印を付けられたかのようだった。
(わたし……おにぃちゃんのモノになっちゃってる……)
 逞しい腰が前後するたびに、小さな体がいやらしくくねり、自分の意思とは関係なく震え悶える様は、まさに兄に支配されていると言って良いだろう。
 自分はもう、兄のモノだった。
 そう体が主張しているように感じられ、心もそう思い始めているのに何とも言えない想いを抱く。
「羽純っ……羽純っ……羽純ぃっ……」
 必死になって名前を呼び、快楽からだらしない表情を浮かべて腰を振っている兄の姿を見ていると、自分たち兄妹は、一体何をやっているのだろうと思えてくる。
 実の兄妹で交わり、快楽を与え合うことに夢中になっているなど、まともな家族のありようではなかった。
 しかし近親相姦の蜜の味を知ってしまった今となっては、もう後戻りは出来ないだろう。
 兄に求められれば、自分は従うしかないのだ。
 それだけ自分は、兄の与える快楽に染められてしまったのだから……。
「羽純っ……大好きだっ、大好きだぞっ……俺は羽純が大好きだぁっ……」
(!……)
 何よりこの愛の言葉。
 兄に「好き」と言われると、絶対に逆らえない自分が居た。
 それだけで体が熱くなり、兄を求めてしまうのだ。
 これから自分は、兄のこの言葉無くして生きていけるのだろうか。
 そんな想いすら起きてくる。
「わたしも、あんっ……わたしもおにぃちゃん大好き、ああっ……おにぃちゃん大好きだよぉっ……」
 背中に手を回し、腰に脚を絡みつかせ、逃がすまいとするようにしがみつきながら、兄に対する愛の言葉を告げる。
 唇にむしゃぶりつき、舌に強く吸い付くと、膣内が収縮を起こして兄が呻き声を上げた。
 体全体で抱き締めている状態であり、今自分たちは完全に一つだった。
 何と素晴らしいことだろう。
 そう思うと、目から涙がこぼれ落ちた。
 強い感動が湧き起こり、その瞬間、快楽の波動が体を突き抜けていく。
「あっ、あっ、ああっ……わたしっ、わたしぃっ……もうダメ、あっ……ああっ……おにぃちゃんおにぃちゃぁんっ……やっ、やっ、やぁああああああんっ!」
「羽純っ、羽純ぃっ!」
 兄の体が硬直し、小刻みに震えながら精が放たれるのが感じられた。
 ドクドクドクと注ぎ込まれてくる精液を認識しながら、兄の全てを受け止めているような錯覚を覚える。
 目の前では蕩けるような快楽に包まれているらしい兄が、こちらを愛おしそうに見つめながら快楽の呻きを漏らしていた。
 己の胎内に迸る精液が、まるで兄の愛情の証であるかのように感じられ、至福の想いが押し寄せてくる。
(おにぃちゃん……大好き……)
 心の中でそう囁いた羽純は、押し寄せてくる気持ちの良さに身を委ね、兄の姿を見つめながら意識を真っ白にさせていくのだった。


 黄色い通学帽に赤いランドセルという格好で、羽純は学校からの帰り道をとぼとぼと歩いていた。
 見た目はどこにでも居る小学生だったが、先日経験したことは普通の小学生では滅多にないものだった。
 何しろ実の兄とセックスをしたのだ。
 それは羽純にとり、今現在重くのし掛かっていることだった。
あれからすでに一週間が過ぎている。
 あの日以来、兄は自分に触れてくることはなかった。
 いつもと変わらず、普通の兄妹として暮らしているのだ。
 あのような経験をしたのだから、ほとんど変化なく過ごせている状況を喜ぶべきなのだろうが、羽純は物足りなさを覚えてもいた。
 あの夜の思い出……。
 兄と唇を重ね、胎内にオチンチンを入れられ、互いを「好き」と言い合った記憶が、体に疼きを走らせ、爆発しそうなほどの衝動を呼び起こしていた。
 兄に抱き付きたい、兄にキスしたい、兄にオチンチンを突き込んでもらいたい。そして兄に「羽純大好き」と言われたい。
 そうした想いが日に日に強まっていた。
 無論、それが許されない事であるのは分かっている。
 実の兄妹でセックスをするなど、本来あってはならないことだからだ。
 しかし自分たちはそれをしてしまった。交わってしまったのだ。
 しかも何度も……。
 その事実は、真面目な性格の羽純にとって苦痛を感じさせる事であったが、それ以上に幸せを感じさせる事でもあった。
 頭は否定するが、心と体が肯定し、兄に抱かれたいと欲していた。
 しかし兄は抱いてはくれなかった。
 それが正しいことであるのだから、自分の想いはおかしいのだが、それでも抱いて欲しいと願ってしまっている。
 許されない、してはならない行為であるのに、兄相手ならば構わないと思っているのだ。
 むしろ許されない行為であるからこそしたいと思っているのである。
 何故ならその事こそが、自分たちが他の男女の関係とは異なる、特別の間柄であることの証に思えたからだ。
 許されないがゆえに、それを乗り越えて結ばれる行為が、素晴らしいことであるように思えたのである。
 実の兄妹が結ばれる。
 それは何と美しく素晴らしいことだろう。
 まるで物語のヒロインになったような感覚が、羽純の心と体を高揚させていた。
 とはいえ、現実に兄に抱かれることを考えると、危険であるという認識も持っていた。
 もし両親にバレたらどうなるのか。それを考えると恐ろしさに体に震えが走り抜けるほどだ。
 兄との関係は、あの夜だけの事であるから美しい思い出として楽しめるのだろう。
 しかし今後も続けるとなれば、両親に発覚する可能性は高まり、実際に知られてしまえばお終いだった。
 だから今の生活を続けたいと思うのなら、そのような事を求めるべきではなかった。
 しかしそう結論づけると実に悲しく、寂しい想いが押し寄せてくる。
 兄に抱かれたい。兄に愛の言葉を囁いて欲しい。
 そうした想いが湧き起こってくるのである。
 とはいえ、現実として抱かれないことこそが正しいのだから受け入れるしかないだろう。
 実際兄は何もしてこないのだ。
 自分に対する想いがあるのなら、セックスをするまでに至らずとも、両親の目の届かないところで愛を囁いてきたり、軽くキスをしてきても良いと思うのだが、そうした事もしてこないのである。
 まるでもう抱くつもりはないと主張しているかのように……。
(やっぱりわたしが子供だから……ダメ、なのかな……?)
 小さな体に小さな胸の膨らみ。
 それは兄の周りに居る中学生の女の子と比較すれば、勝負にならないものだろう。
 あの夜自分を何度も抱いたのは、初めて経験するセックスに夢中になっただけで、今後はもっと胸の大きい、中学生の女の子と楽しもうと考えているのではないか。
 いや、すでに彼女が居るのかも知れない。
 そう考えると、胸がズキンっと痛んだ。
 自分は本気で兄の事が好きになっているのかも知れない……。
 兄としてではなく、男の子として好きになっている。
 そう考えると、慌てて頭を振って否定する。
 確かに兄のことは好きだが、それは兄としてだった。
 兄にも自分を妹として愛してもらいたかった。
 そうでなければいけないのである。
 何故なら恋人よりも兄妹の関係の方が上で、尊いものであるからだ。
 普通に考えればおかしな発想だと思われるだろうが、自分にとってはそれこそが真実に思えてしょうがなかった。
 兄妹の意識のままセックスをしたことで、普通とは異なる、特別な認識を得たせいかも知れない。
 兄に妹として愛され抱かれることが、他人の男に女として愛され抱かれることよりも、強い悦びがあるように感じられているのである。
 恋人よりも兄妹。
 それこそが羽純にとって、美しくも素晴らしい関係なのだった。
 そんな事を考えていると、いつの間にか家に着いているのに気がつく。
 今日は兄は早く帰ってきているはずだから、すぐに逢えるな、と喜びを感じつつ、普通に接しなければいけないことに苦痛を覚える。
 そうしなければ両親に関係がバレてしまうからだ。
 そうは思いながらも、抱き付きたい衝動が強く起きてくる。
 いきなり抱き付いたら兄はどう反応するだろう。
 驚くだろうか、喜ぶだろうか、それとも迷惑そうにするだろうか。
 最後の予想で辛さを覚えつつ、気を取り直して玄関の扉を開く。
「ただいま……」 
 小さく呟きながら靴を脱ぎ、二階にある自分の部屋へと上がっていく。
 ドアを開けて部屋の中に入ろうとした瞬間、不意に腕を掴まれ、中に引き込まれたため驚く。
 そしてそのまま強く抱き締められたことで、相手が誰であるのか分かると同時に、喜びと戸惑いで頭が混乱した。
「ダメだよお兄ちゃん。お母さんにバレちゃう……」
 内心の飛び上がりたいくらいの嬉しさを抑え付けながら、冷静に兄に告げる。
 これを受け入れるのは危険であり、両親にバレたら大変なことになるからである。
「俺、もう我慢できないんだ。羽純としないでいたらおかしくなっちゃうよ……」
 兄はそう言いながら体を擦り付けるようにしてくる。
 数日ぶりに感じる兄の匂いに興奮を高めつつ、流されてしまってはマズいと判断する。
 自分もこのままではおかしくなりそうであったため、兄の気持ちはよく分かったが、今日母は遠出していないはずだ。
 今は居ないのかも知れないが、いつ帰ってくるのか分からないのであり、そのような状況でこんな事をしていては、母に発見されかねなかった。
「私たちは兄妹なんだよ……ダメだって……したらダメだよ……」
「いいじゃんか、もう何度もしちゃってるんだし……俺、お前を抱きたくて抱きたくて仕方ないんだ……羽純の可愛い姿、見たいんだよ……」
 その言葉にキュンっとなってしまう。
 兄に「可愛い」と言われると、どうにも嬉しくてたまらない。
 体が勝手に動き、背中に手を回しそうになるのを無理矢理抑え込む。
「バカ……お兄ちゃんのバカ。妹に何言ってるの……私はお兄ちゃんの妹なんだからね。こんなことするなんておかしいんだから……」
「おかしくたっていいよ。俺はもうおかしくなってるし……羽純が可愛くて、抱きたくて、欲しくて……無茶苦茶にしたくてしょうがないんだ……妹のお前が欲しくて欲しくてたまらない。大好きなんだ……」
 そんな風に言われたら耐えることなど出来なかった。
 大好きな兄に「大好き」と言われてしまっては、逆らえるはずがないのだ。
 体が歓喜でブルブル震え、涙が流れそうになる。
 兄の顔が迫り、キスしようとしているのが分かる。
 避けるべきであるのだが、体は言うことを聞かず、そうこうしている内に唇が重なっていく。
「んっ……んふぅ……」
 舌が入り込んできて荒々しく口内を貪ってくる。
 それはあまりに貪欲な動きであり、いかに兄が自分を欲していたのかが伝わってきた。
 顔が左右に入れ替わり、角度変えて何度も唇が擦り合わせられる。
 舌がヌメヌメと絡みつき、強く吸われると、それが股間に響いて秘所から愛液が漏れているのが感じられた。
 キスされただけで濡れてしまったことに驚愕しつつ、それだけ自分も兄を求めていたのだろうと思う。何しろ嬉しさでおかしくなりそうだったからだ。
「んんっ、んっ……んぅんっ……んぁっ……」
 自らも唇を擦り付け、舌を激しく吸ってしまう。
 未だ躊躇の想いはあったが、刺激を受ければ反応し、与えられる快楽を求めてしまうのだ。
 まだ幼いはずの自分の肉体は、女としてすでに目覚めさせられており、一旦スイッチが入ってしまえば、理性では抑えられないほどになっていたのである。
 兄の手が胸元へ伸び、服の上から膨らみを揉んでくるのに体がピクピクと震えてしまう
 回すようにして手が動き、優しく強く触れてくる行為に頭が朦朧とし、体が勝手に動いて兄に擦り寄っていく。
 まるで「もっとして」と体が訴えているかのように動いているのだ。
 それは何とも恥ずかしさを感じさせたが、それ以上に自分が兄のモノにされてしまっているのだという認識をもたらした。
 己の幼い肉体は、すでに兄の求めに逆らえない、兄の女としての自覚を得ているのだろう。
 心も同じなはずだったが、羽純の中に残る理性は、常識や社会性を気にして未だ躊躇の想いを抱かせていた。
 何より母に見つかるかも知れないという恐怖が、このまま兄との行為にのめり込むことを避けさせていた。
「んんっ……んぁっ……やっ、ダメだよ、あんっ……おにぃちゃんダメぇっ……」
 唇が離れ、首筋を舐められるのにゾクリとした快感を覚えつつ行為を止めるように告げる。
 だがその言葉は、さらに兄を興奮させる効果しか生まなかった。
 兄の手がシャツのボタンを外していき、そのままブラジャーの下に入り込んで来るのにドキリとする。
 直接胸を掴まれ、揉まれ出すと、それまでと違った感覚が起きてきた。
 肌と肌の接触が、兄に抱かれているという認識を強めたのだろう。
「やっ……あっ、ダメっ……おにぃ、あんっ……ダメぇっ……」
 乳首を掴まれ、クリクリと捻られると、腰が砕けそうな快感が走り抜けた。
 すでに先日、兄に散々乳首を愛撫されていたため、その記憶が蘇っておかしくなりそうになった。
「羽純のオッパイ……やっぱり綺麗だ……スゲェよ……お前のオッパイは綺麗で可愛くて最高だ……」
 兄が胸を見つめながらそう告げてくる。
 その絶賛の言葉に嬉しさが爆発しそうになり、喜びと恥ずかしさから顔が熱くなった。
「やんっ……やっ、やぅっ……ダメぇ、ああっ……吸っちゃやぁっ……」
 兄が乳首に吸い付いてくると、思わず甘ったるい喘ぎを漏らしてしまう。
 何とも可愛らしい声をあげている事に恥ずかしさを感じながら、必死になってむしゃぶりついてくる兄の姿に喜びを覚える。
 己の体が兄を夢中にさせているのだということが、死ぬほどに嬉しかったのだ。
 自分のような子供の体でも、兄は喜んでくれている。
 特に今は、黄色の通学帽に赤いランドセルを背負ったままの、まさに小学生としか見えない格好であるのに、兄は女として扱ってくれているのだ。そうして大人のように認識されていることが、さらなる嬉しさを生んでいた。
 ベッドへ座らされ、スカートを捲り上げられると、パンティを脱がされた。
 そのまま兄の頭が股間へ寄り、舌が秘所を舐めあげてくるのに、ビクビクっと体を反応させてしまう。
 同時に蕩けるような快感が走り抜けたため、一気に意識が飛んだ。
「あっ、あんっ……あふっ、あっ、やぁんっ……」
 縦筋をなぞるように舌が動き、突起を探るようにして絡んでくるのに、それまで以上に甘ったるく喘いでしまう。
 太ももが優しく撫でられ、頬ずりされながら、時折舌が舐め、吸い付いてくるのにも快感を覚える。
 下半身が溶けてしまいそうな気持ちの良さに包まれ、朦朧とする意識から、視線がふらふらと定まらなかった。
 ふと窓に目が向き、カーテンが少し開いている事に気づいてギョッとなる。
 だがそれはほんの少しの隙間であったため、外から中が見えることはないだろう。
 もし近所の誰かに見られてしまったらどうなるのか。そんな想像をして怖くなる。
 端から見れば、自分はシャツとブラジャーをはだけ、ふくらみかけた胸をさらしており、スカートの中に実の兄が頭を突っ込んでいる状態だ。
 黄色い通学帽に赤いランドセルを背負っているため、一目瞭然で小学生がいかがわしい行為をされている事が分かるだろう。
 兄は中学生である以上、いたいけな妹にいたずらをした最悪な兄としての烙印を押されるのは確実だった。
 そんな事を思うと、兄の行為を止めたくなるが、それ以上に押し寄せる兄を求める想いが何もさせなかった。
「羽純……可愛いぞ羽純……」
 兄は激しく興奮しているのか、ハァハァと荒い呼吸を繰り返しながら、いよいよとばかりにベッドに押し倒してきた。
 背中のランドセルが引っかかるため、斜めの状態になりつつ、両脚が左右に開かれていく。
 兄が落ち着かない様子でズボンとパンツを脱ぎ、肉棒を手に持っているのが見えた。
(またお兄ちゃんと……しちゃうんだ……)
 嬉しいようでいて悲しいような、不思議な感覚が起きてくる。
 大好きな兄と結ばれるのは幸せだったが、兄妹の関係でそうなることに恐れを覚えているからだろう。
 自分たちは血の繋がった兄妹なのだ。
 このような事をしてはいけないのである。
 真面目な羽純の理性は、未だにそのことを訴えてきていた。
「羽純……大好きだ羽純……羽純ぃ……」
 だがその意識も、兄の言葉で雲散霧消した。
 世間で禁じられている関係であろうと、今この時、兄と結ばれるのであれば構わなかった。
 兄に抱かれるのなら自分は幸せなのだ。
 許されないことであっても、兄とならば受け入れられるのである。
 兄の体がのし掛かり、腰が前へと出されてくる。
 秘所にオチンチンの当たる感触が起きたと思った瞬間、ズブリと入り込んで来るのが分かった。
「あぅんっ……」
「うぅっ……」
 兄妹の声が重なり、性器が繋がっていく。
 許されざる兄妹の交わりが、今再び行われたのだ。
「あっ……あぁっ……入ってくる、あっ……おにぃちゃんのが、あっ……入ってくるよぉ、あぁっ……入ってきちゃったぁ……」
 嬉しさと悲しさの混じり合った感情が押し寄せ、ようやくまた繋がれて嬉しい、といった想いと、繋がってしまったが仕方がない、といった異なる想いが起きてくる。
 ランドセルによって斜めになった状態から見下ろすと、互いの股間が重なっており、繋ぎ目にオチンチンが存在しているのが目に映った。
(お兄ちゃんと、一つになってる……繋がっちゃってる……)
 感動的に受け取る己と、悲劇的に受け取る己が併存し、何とも言えない想いに包まれていく。
 だがそれも、兄が腰を動き出すことで押し寄せてくる快楽によって吹き飛んでしまった。
「あっ、あっ、ああっ……やっ、やだ、あんっ……おにぃちゃん、やぁっ……」
 リズミカルに突き込まれるオチンチンと、そこから生まれる快感に意識が溶けてしまいそうになる。
 どうしてこんな単純な行為で、ここまで気持ち良くなれるのだろう。
 つい先日まで知らなかった大人の悦びは、まだ十二歳の自分にとって不可思議な刺激だった。
「羽純いいぞっ……羽純の中、最高だっ……スゲェ気持ちいいっ……」
 兄がだらしのない顔をしながら、嬉しそうに叫んでくる。
 そんな様子に、自分が兄を夢中にさせている実感を得て幸せな気持ちになっていく。
 ゾリゾリと己の中を擦りあげてくる兄のオチンチン。
 それは自分と兄を繋ぐ愛の架け橋であり、自分と兄を近親相姦の禁忌に陥れる淫惑の肉棒でもあった。
 これがあるせいで兄は自分に狂い、自分も兄に狂っていた。
 胎内が擦られるたびに押し寄せてくる快感。
 その禁断の果実である甘い刺激は、意識の中から世間の常識や社会性といった、理性という名のダムに亀裂を入れる効果があった。
 兄の肉棒が突き込まれるたびに、理性の壁にひびが入り、甘露な味わいの淫靡な水が心に入り込んでくる。
 兄との行為を否定する理性が揺らぎ、全てを忘れて身を委ねたい誘惑に逆らえなくなっていく。
「あんっ、あんっ、ああんっ……おにぃちゃ、ああっ……おにぃちゃん凄い、あっ、あっ……おにぃちゃん凄いよぁっ……」
 頭がクラクラとし、何も考えられなくなってくる。
 このまま兄に全てを捧げたい。
 自分の全てを貰ってもらいたい。
 そうした欲求が押し寄せ、羽純の意識を奪っていった。
「ぐっ、締まる、うぅっ……羽純の中締まるぅっ……スゲ、あぅっ……スゲェよぉっ……」
 膣内が収縮を起こし、それによって強烈な刺激を受けたらしい兄が、たまらないといった表情を浮かべている。
 さらに激しくなった突き込みが行われ、ズンっ、ズンっ、と胎内に響き渡る音に合わせて、自然と顎が仰け反った。
「あぅっ、あっ、あぅんっ……おにぃちゃ、ああっ……それいい、あっ……それいいのぉっ……」
 涙を流しながら頭を左右に振り、シーツを掴んで悶え狂う。
 兄の突き込みは、まさに自分を快楽地獄へ陥れる悪魔の動きだった。
 あまりに淫らで逆らうことなど不可能なのだ。
「次はバックな……後ろからヤるぞ……」
 にんまりと、実に嬉しそうに笑みを浮かべながら、兄が体をひっくり返してくる。
 四つんばいになると背中のランドセルが少し重かったが、すぐにオチンチンを入れられたため気にならなくなった。
「ああんっ……あっ、やっ、ああっ……さっきよりクる、あっ……さっきより響くよぉっ……奥に、ああっ……奥に当たるのぉっ……」
 亀頭の先が子宮に触れているらしく、コツンコツンといった感触と共に、それまで無かった気持ちの良さが起こった。
 その刺激は極上で、何も考えられなくなるほどのものがあった。
「もっと、あぁっ……もっとだよぉ、ああんっ……それもっとぉっ……やっ、やぁっ……おにぃ、はぅっ……おにぃちゃ、はぅんっ……それもっとお願いぃっ……」
 強烈な快楽に腕の力が抜け、上半身をベッドに押しつけ、尻を掲げる姿勢になる。
 兄の手が腰を掴み、激しく突き込みを行ってくると、それに合わせて黄色い通学帽をかぶった頭が仰け反り、背中の赤いランドセルがガチャガチャと音を立てた。
「あぅっ、あっ、あぅっ……ひゃぅっ、ひゃっ、ひゃぁんっ……らめ、あぁっ……わらしらめ、はぅっ……もうわらしらめらよぉっ……」
 蕩けるような気持ちの良さに、手に掴んだシーツを引き寄せ、涙を流しながら顔を左右にいやいやと振る。
 兄の突き込みは激しさを増し、尻がギュッと掴まれて痛かったが、それが気にならないほどの強烈な快楽に包まれていた。
 これほどの気持ちの良さを味わっては、もう兄から離れるなど無理だった。 兄に抱かれないなど不可能なことだった。
 もう両親に見つかることなどどうでも良かった。
 兄とセックス出来るのなら、兄にこの気持ちの良さを味わわせてもらえるのなら、どうなっても構わなかった。
 大好きな兄と繋がり、快楽を貪れるのなら、全てがどうでも良かった。
「やっ、やぅっ、やぁっ……おにぃ、ああっ……おにぃひゃん、やはぅっ……わらし、あぅっ……わらしおにぃひゃんが、やっ……おにぃひゃんがらいすきぃっ……」
「羽純っ……羽純大好きだっ……大好きだぞっ……」
 快楽で朦朧とする意識の中、幼児のような口調で兄に愛の言葉を告げ、それに応えてもらえたことに死にそうなほどの悦びを覚える。
 これで満足だった。
 いや、もっとしたいから満足はしていなかった。
 これからも兄と自分は交わっていくのだ。
 もっともっと愛を確かめ合うのである。
 そう決意した瞬間、強烈な勢いで気持ちの良さが盛り上がっていくのが分かった。
「ひゃっ、ひゃぁっ……わらし、あぅっ……わらしもぉ、やぁっ……わらしもうらめぇっ……イっひゃう、イくっ……イっひゃうりょぉっ……やっ、やぁっ、ひゃぁあああああああああんっ!」
「うぅぁっ!」
 己と兄の絶叫が部屋に響き渡り、続けて爆発したかのように吹き出してくる精液の感触にうっとりとなる。
 オチンチンが脈動するたびにドピュッ、ドピュッ、と射精が行われ、次々に注ぎ込まれてくる精液に、蕩けるような快感を覚える。
 振り返って見上げれば、兄が朦朧とした様子で腰をカクカクと動かしており、その極上の快楽に包まれているであろう姿に悦びと嬉しさを覚えた。
 きっと自分も同じような状態なのだろうと思いつつ、これからもこうして兄と一緒にこの素晴らしい行為をしていくのだと認識した羽純は、押し寄せてくる快楽の渦に身を任せていくのだった。












あとがき

 軽い気持ちでオチンチンを見ようとしたら、いつの間にやらセックスしてしまった、という話を書いてみました。
 年頃の少年の暴走ってことで、誘惑されたらそりゃおかしくなっちゃうよなぁ、と。
 まあ、実際小学生の妹に誘惑されて同じようになるかと言えば微妙ですが、膨らんでいる胸を見たら興奮はするでしょうな。
 そこからもっと先に進んでしまったら、という感じの流れにしてみました。
 セックスまでしてしまえば、止まらなくなるのも若さゆえでしょう。
 でもそれだけだと面白味に欠けるので、禁忌の想いは抱きつつも快楽には勝てない感じにしてみた次第。
 妹の方はかなり兄に対してラブラブな想いを抱いてしまってますが、そこら辺で可愛さが出せたかなぁ、と。
 今回も女性視点の内容ですが、妹にするとどうにもラブ方向へ走ってしまうのは私のくせのようです(笑)
 年上に襲われた場合、惚れないと辛い感じになるように思えるんでしょうね。
 そこら辺が母や姉とは違うので、何とも面白い感じでありますわ。
(2013.12.17)



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