P.G.M.(Pre MOON)
STEVE LUKATHER MODEL '81


ポジション・マークはパール・ドット・インレイ
ナットはブラス製である
ヘッドにブランドネームは無い
ストリング・ガイドは3弦と4弦のペグの間にある
 
SCHECTERじゃないよ、MOONだよ
 
 このオール・レッドのコンポーネント・ストラトは若いルーク・ファンにはなじみが少ないかもしれないが(ラルク・モデルぢゃないよ)80年のTOTO来日時にMOONからルークに贈られ実際にLIVEで使用され、アルバム「TOTO W」のジャケット裏の写真にもその姿が映っている。また「ターン・バック」でのレコーディングに使用された他、81年のアンリ菅野のLAで録音されたアルバム「ショー・ケース」で使用されたことも確認されている。

 「81年前後にシェクターUSAの製作したプロトタイプで2本製作のうちの1本がルークの所有機になった」などとルカサーファンには通用しないふれこみで厚木の楽器屋に持ち込まれていたのがコイツ。怪しいなとは思いつつもMAILで画像を送ってもらったら写真だけでもつくりの良さが感じられたので現物を見に行った。

 BODYのどこにもブランド確認ができる証が無かったがパール・インレイのポジション・マークやヘッドのストリング・ガイドの取り付け位置などが、市販されていたMOON製のものと同じであることから何らかの理由でブランド・マークが剥がされたか最初から無いかは判らないがMOON製であろうと判断し、またつくりもラッカーフィニッシュの感じもかなり良かったので購入に踏み切った。(委託販売で高めであった価格を店主が殆ど儲けなしで出してくれたのも購入できた理由。それでもかなり高かったが。) ―メイプルネックに白いポジションマークは80年代のものでは見たことが無いので「なんちゃってルカサーモデル」の可能性はまず無いと判断できた。ルカサー所有機と同じメイプルに黒いポジション・マークであったらにせもの作りは簡単である。―

 それでも身元がはっきりしないのはなんだか落ち着かない。そのためネットですでにみつけていたルーク所有機を実際に製作したという当時のMOONのファクトリーであるP.G.M.の吉田氏に思い切ってお聞きしたところPre MOON製の可能性があることが判明した。教えていただいたことは主に以下の4点である。
○USAシェクターではルカサーモデルは生産されていない。
○製作時期・スペックから考えると間違いなくP.G.M.製作のものである。
○当時はまだ会社を設立して間もない頃でMOONブランド自体がまだ無く、いわゆるノー・ブランドで出荷されていたものが存在する。
○パール・ドット・インレイはルーク本人の意見が取り入れられた。

 ノー・ブランドの生産数はさほど多くないとのことなのでもしそうであればかなりのレアものといえる。なによりルーク所有機が製作された時期に一層近いのがうれしいし、ルークの意見が反映されたパール・ドット・インレイになっていることが単にドンズバモデルであることよりもルカサー"意見反映"モデルということでファンにはうれしい。

 BODY材は国産のセン。最高級の材以外はギターには不向き(特に軽いものはサスティンが出ない)と聞いたことがあるが当然ルークに渡されたものは選び抜かれた材であろう。購入したものはFERNANDES製FST−90SL(たぶんアッシュ)程ではないがセンとしてはそこそこの重量である。ルーク所有機は1ピースBODYだがこれは2ピースである。ネックは1ピース・メイプルでグリップはいたってレギュラーなタイプ。それに比べてFST−90SLのネックは若干三角ネック気味で少しだけ太い。ハードウェアはおもにブラスパーツでシェクター製のPUアッセンブリーはF−500TのPUに各PUのシングル・OFF・ハムバッキングの切り替え用のタップ・スイッチが3つある。ピックガード+アッセンブリー丸ごとのリプレイスメントパーツで当時の定価が75,000円であった。

 PUは思ったよりパワーが無い。シェクターといえばパワフルなモンスター・トーンのイメージがあるがこいつのパワーはそこそこ。しかし低音域はゴリゴリ感があるし、高音域もきっちり出るなかなかのサウンド。(FERNANDESのコピー・モデルはパワーがあるがタップしてもあまり音量に差が出ない。低音が弱いし音色も甘めである。)長い間使われずにケースで眠っていたということなので今後弾き込めばもっと良くなるはずなので楽しみである。

追記/95/08GM誌 KEYの広告でSCHECTER ST−228SLとして再生産ものが掲載されている。ポジションマークは黒、ストリングガイドは無し。新品販売特価138,000円であった。(2002.01.02)



Special thanks to Mr.Yoshida
 


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奥の鮮やかなREDがFERNANDES製のもの
隣のテレキャスの色と同じように
PGM製は暗いREDである。

ストラトと同時にルークに贈られたテレキャスター。PUシステムが当時としては特別のものらしくハムバッキングに見えるが・・・とルークも言っている。「イングリッシュ・アイズ」のリズム・パートはこれでレコーディングされた。
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