GIBSON
LES PAUL
LIMITED EDITION  '79



もちろんディープ・ジョイントではない。
PU裏にはPAT.ナンバーの刻印と
DATEの黒いスタンプがあるNEW PAF。
ピックガード下の塗装は退色がすすんでいないようだ。

ブラス製のトラスロッドカバーには
「Les Paul LIMITED EDITION」の文字。
ナットもブラス製、ヘッド角は14度となっている。
ダイヤモンドインレイはラッカーが変色し
金属パーツに負けない程のGOLDになっている。
  


こんな幻の逸品まで見つかっちゃいました〜
  
 とうとう見つけたこれぞ究極の探し物であった。あのたった3本しか生産されなかったというLIMITED EDITIONである。3本のうちの1本は70年代末から80年代初期にかけてニール・ショーンが使用し、もう1本はどこかのオヤジが(たぶん)、そして最後の1本を現在私が持っているのだ〜。


 Y.G.'80/05 ニールのインタビュー記事より

 −これが手に入ったのはラッキーだったネ。別に僕がオーダーしたものでなく、ギブソンのスペシャル・エディション(特別生産)なんだけど、ギブソンに長い間いたクラフツマンの長老が、「今のギブソン・ギターは駄目だ!!」といってこれと同じのを3台だけハンド・メイドで仕上げてギブソンを止めちまったらしいんだ。とにかく世界中どこを捜したって3台だけさ。その内の1台がコレ。

 −オール・タイガー・ストライブの材質も、ネックの具合もすぐ気に入った。そのピックアップ自体のサウンドは良くなかったけど、それを僕の大好きなオールド・ギブソンの”パテント・アプライド・フォー”ピックアップと交換すれば、そのギター自体どれほどベターになるかは予測できたから、2千ドル払って買ったんだ。P.A.F.ピックアップをマウントした今このギターに必要なものは時間だけさ。今から10年も経てば凄く良いギターになるハズさ。まだ僕のメインギターじゃないけど、当分手元において使い込み、マイルドなニュアンスが出て来たら大いに使うよ。―

 ―ボディ・トップ同様、ボディ・バックにもタイガー・ストライプ入りのメイプルが使われているのでそう見えるだろうけど、実は違うんだ。薄いメイプルのトップ&バックにマホガニーの厚めの板がサンドイッチされてる。トップがメイプルでバックがマホガニーのオールド・レスポール・サンバーストとも、オール・マホガニーのオールド・レスポール・カスタムともその辺の構造が違うのだけど、僕は今のメイン・ギターであるオールド・レスポール・カスタムとサウンドが似てると思って買ったワケ。―
  
 
 なるほど製造から20余年が経ち、以前の所有者は結構使い込んでいたようでニールの言うようにマイルドなニュアンスが出てきたのか、84年製のスーパーカスタムと比べると中低域がよりリッチになっている。これまで所有してきたメイプル・ネックのLPにはあまり出ないサウンドで、ニールが入手時にオールドLPCと似ていると言ったことが納得できる。サステインも気持ちいいところまであとほんの少しだけといった感じだ。
 もちろんディープ・ジョイントではないがさすがカラマズー製の手の込んだつくりで、各キャビティなども必要最小限のサイズとなっている。ニール同様リアにPAFを奢ってやりたくなる作りの良さである(でもニールドンズバのポールピースがゴールドのゼブラPAFなんて探して簡単に見つかるものでもないが・・・)。フレット&ネックの状態は素晴らしく、非常に低い弦高でセッティングしてもビビリはでない。ネック形状は25th ANNIVERSARYと同じで山の部分が平たくなっているタイプであり、同時期に作られた5ピースネックの特徴かもしれない。重量も25th程ではないが結構重めである。シリアルナンバーから79年の晩秋に生産されたことが確認できる。

ニールの「薄いメイプル・トップ」発言とは異なり
トップの厚さはちゃんとある

PUキャビティは必要最小限の大きさである

フロントのトーンポットだけにハンダがのっている。
メンテナンス時にうっかり配線ミスしたか?
サーキットはいわゆる弁当箱タイプのカバーで
シールドされている。
  
大変なことに気づいてしまった。

左の画像は91年のGM誌に掲載された某ショップの広告である。
「売価1,800,000円 ニール・ショーンが所有していたもので世界に3本しかない超レアー品」とある。当然この文面とこの価格からニール・ショーンが実際に所有し使用していた個体であると思っていた。実際の紙面の画像も7cm足らずと小さく杢目が同一かどうかなどと判別する気は全く起こらなかったのである。だからこそニールの所有器が日本のどこかで誰かが所有されているものと思い込み、できれば一目だけでも見たい、許されればこの手にしたいと願っていたのである。
 しか〜し、BUT,BUT,BADであ〜る。先日私が入手したものと写真を見比べてみると、な、なんと全く杢目が一緒である。もともとニールのものと私のものは杢目が似ており、おそらく3本とも1本のメイプルからつくられた可能性は非常に高いのであるが、じっくりみれば広告のものがどちらのギターのものであるかは判別がつく。広告の個体はニールの所有器では絶対にない。
 「ニールの所有器がこの日本のどこかに・・・」という私の永年の思いは一体なんだったのか、そしてこのショップはニールの所有器として客に売りつけたのかそれとも途中で気がついたのか、はたまた「ニール・ショーンが所有していたもの(と同型器)で」と書くべきところをうっかり( )内を書き忘れてしまっただけなのか、そして一番肝心なのはニールの所有器は現在一体どこにあるのか〜、誰か教えてくでぇ〜。(2002.05.19)
  

国内数社からコピーモデルも発売されていた
写真はフェルナンデスのもの
なんとFRT仕様まであった
 







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Slashed Block Inlay Brothers