アボカドの語源

 アボカドの語源は、アステカ人の言葉であるナワトル語(Nahuatl,náhuatl)のahuacatlです。ahuacatlは、アボカドと睾丸(testicle,testículo)の両方の意味を持ち、アボカドの形が睾丸に似ていることに由来しています。アボカドを見つけたスペイン人は、ahuacatlの発音をまねて、スペイン語でaguacateと名付けましたが、他のスペイン人には発音しにくかったため、発音が似ている弁護士を意味するavocado(弁護士の現在のスペルはabogado)と言っていました。ちなみに、トマトの語源もナワトル語のtomatlに由来しています。
 アボカドの英語での別名として、「soldier's butter」というのが、日本の事典なんかに載っていますが、インターネットで調べるとこの言い方は見つかりませんでした。もっとも20世紀始めには、アボカドには40もの言い方があったようですが。

記号 日本でのアボカドの名前
 日本ではアボドという言い方のほうがよく用いられていますが、アボドという発音が正しいのです。英語では、avocado なので濁らない発音なのに、濁って発音するのは、第一の理由としては、日本語として言いやすいからでしょう。アボガドという発音のほうが、言葉として一体的に感じるので外来語として認知されやすいと思います。また、関西では、一般的に清音と濁音の変化が見られるそうで、自転車を「じでんしゃ」という人もたくさんいるようです。[この項2002年10月記、2003/6/16修正]
 その他の理由としては、高校生では、化学でアボガドロ数(6×1023/mol)というのを習い、似ている発音なので、アボガドという言い方が広まるのかもしれません。アボガドロは、イタリアの科学者で、「どの気体も同積、同温、同圧では同数の分子を含む」ことを示しました。
 私も10年以上アボガドと間違って発音していましたが、友人に指摘されるまで、気が付きませんでした。
 別名は、ワニナシです。なぜワニナシかというと、アボカドの英語での別名がalligator pearであり、それを直訳しただけです。alligatorはワニで、確かにハス種のアボカドの皮は、ゴツゴツとした感じで黒い色がワニの肌に似ています。でも、Food Reference Websiteなどによれば、alligator pear の名前の由来は、「ワニがたくさんいる場所に、アボカドが育つから」となっています。avocadoという言い方よりもalligator pearという言い方のほうが、親しみやすいので、主にフロリダ州で使われたようです。
 農林水産省の農林水産物輸出入情報では、なぜか「アボド」と間違った発音を使っていました。

記号 このホームページでアボカドの言い方
 アボドと正しく表記したほうがいいのでしょうが、アボドという表記とわざと混在させて、このホームページでは使っています。その理由は、日本ではアボドという言い方のほうが、やや多く使われているため、アボカドという正しい表記だけを使ってしまうと、検索サイトから、このホームページが検索できなくなってしまう可能性があるのです。ただ、2年前と比べると、正しいアボカドという言い方が増えてきている傾向にあります。
 Googleでの検索件数は、アボガドが187,000件、アボカドが222,000件で、正しい言い方のほうが1.2倍となっていました。Yahoo!のページ検索では、アボガド655,000件、アボカド570,000件で、間違った言い方のほうが1.1倍となっていました。[この項2005/8/1修正]

・2003/6/16の状況
 日本ではアボドという言い方のほうが、1.6倍ほど多く使われているようです。1.6倍というのは、日本語最大の検索検索エンジンであるGoogleでの検索件数が、アボガドが24,900件、アボカドが15,800件となっているのです。他の検索エンジンでも同様で、gooは1.7倍(アボガド17,612件、アボカド10,665件)、fresheyeも1.7倍(アボガド20,157件、アボカド11,974件)でした。

記号 アボカドの歴史
 アボカドの原産は、南アメリカ北部からメキシコ高地に分布しています。13世紀にアステカ族により栽培されていました。スペイン人が16世紀にインカとアステカを征服したときには、北はメキシコから、ベネズエラ、南はペルーまで栽培されていました。
 アボカドの種子は発芽力を保っている期間が比較的短いために、伝播するのは遅く、アメリカ合衆国へは1833年にフロリダ伝わりました。アボカドがアメリカ以外で経済的に栽培されたのは、イスラエル、南アフリカ、オーストラリアなど20世紀になってからです。
 カリフォルニアの有力栽培種であったフエルテ種は、1911年にメキシコシティ南方山地で発見されたものです。
 アボカドはスペイン語では、AGUACATEですが、ペルーやチリなどの南米ではQuechua語が起源のPALTAと言われています。