『 いろいろ言いたい広場 』


2006/07/14

参考までに
ろう児をもつ親
今週のNHK教育テレビ「ろうを生きる難聴を生きる」で大阪市
立聾学校の様子が紹介されます。参考までに。
今後この番組でいろいろな聾学校が紹介されるようです。

放送日時  15日(土)20:30〜20:45
  再放送 16日(日) 6:40〜 6:55
  再放送 22日(土)20:30〜20:45
  再放送 23日(日) 6:40〜 6:55



2006/06/29

ジム・カミンズ教授による講演会に参加して
全国ろう児をもつ親の会
MHB研究会
「続・ダブルリミテッド/一時的セミリンガル現象を考える」
―ジム・カミンズ教授に訊く―

名古屋外国語大学外国語学部日本語学科 主催
母語・継承語・バイリンガル教育(MHB)研究会 共催
6月13日(火)名古屋外国語大学で行われたジム・カミンズ教授の講演会に、
親の会メンバー多数で参加してきました。
講演の中で話されていた

  • 多言語化が進んでいる今、子どもたちの第一言語の言語能力を有益な社会資源とみなすこと、 それを教室に持ち込むことが大切である。
  • 文部科学省は少数言語が日本の将来にとって重要な資源であることを認識し、教育関係者に伝えなければならない。また、教育関係者は親に伝えなければならない。

 これらのことはまさに今のろう教育に必要なことで強く印象に残りました。



 質疑応答では全国ろう児をもつ親の会会長の岡本が質問しました。 

岡本の質問 1) ろう児の親の90%は聴者で、手話のネイティブではない。
日本のろう教育の専門家で「聴者の親が手話を習って
聞こえない子どもと手話で会話をしても、
第二言語だから効果がない」と言う人がいる。
これについての先生のお考えは?
2) 私達親の会は日本手話によるろう教育を望み、
それを実践している。ところが、日本の文部科学省や
ろう学校の先生達は日本語対応手話によるろう教育を
進めようとしている。
これについてご意見は?
ジム・カミンズ教授の回答 1) 聴親がろう児を育てるときの選択肢は2つしかない。
  1. 親が手話を習って早い時期から手話を見せること
  2. ろう児にとってまったく言語がない状況になること
親は日本手話を学び、ろう社会からも学ぶことが大切。
そうしないと、子どもは無言語(母語が無い状態)になる。
家族の中で、一人でも日本手話が堪能になれば、
家庭内でコミュニケーションを築くことができる。

スウェーデンやデンマークでは、ろう児の親が2年間無償で
手話言語を学習できるよう国が保障している。
(職場からは有給休暇が保障される。)
手話言語(注:スウェーデン手話やデンマーク手話)を
学習することによって、親は子どもとコミュニケーション
できるようになる。
ろう児は、ろう学校などろう社会と接触することも必要。

言語獲得のためには、生まれたあと最初の5年間が最も重要。
その期間をはずして、あとで取り戻そうとしても難しい。
ろう児には手話言語の環境を用意すること。
手話言語で育ったろう児は生後8〜10ヶ月で手話の初語が出る。
これは音声言語で育った聴児の初語が出る時期よりも早い。
2) 北米のろう教育でも同じことが起きた。
英語対応手話による教育に対して、ろう社会は強く反対した。
その反対運動は、差別への抗議やイデオロギーとしての
色合いが濃かった。
(科学的な研究結果に基づいていない議論だった。)

今では言語学的な研究の結果、ろう教育では自然言語であり
独立した言語である手話言語(ASL)を使うことが
重要だと認識されている。
子ども達の頭の中で、ASLと英語は自然に転移できる。
しかし、英語対応手話と英語は自然に転移できない。
ASL は優れた豊かな言語であるが、英語対応手話は
そうではない。
(英語対応手話には、演劇などの文化・芸術もない。)



 最後にカミンズ先生から親の会へメッセージをいただきました。
 
Keep up the struggle!
キープ アップ ザ ストゥラグル
闘い続けなさい!

 この言葉を胸にこれからも頑張ろう!と誓い合って名古屋を後にしました。


も ど る

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