ナンキョクオキアミ(以下オキアミ)の生物学、生態、資源および漁業について
南極海には世界中のオキアミ類(85種)のうち7種ほどが生息しています。
オキアミは
そのうち最大種(5〜6センチ)なのです。
エビとは親戚関係のような存在で、さらに遠い親戚にアミ類というものがいます。
エビとの大きな違いは、胸脚(頭部の殻の部分にある脚)の数で、オキアミ類は左右6対に対
しエビ類には5対しかありません。
またエビ類の脚の先端には小さいながらもハサミが付いています。
(他にも沢山違いはありますが、訳が分からなくなるでしょうから、この辺でやめときますね。)
オキアミは主食となる珪藻(植物プランクトンの仲間)が大繁殖する夏季に産卵し、表層近くで産み落とされた卵は水深1000メートル以深まで沈降し孵化します。
そして2年以上かかって親と同じ形になります。
寿命は5〜7年と言われています。
前述にもありましたが、彼らは夏季には繁殖する珪藻類を食べます。
しかし一方暗黒の世界に打ってかわる冬季には、珪藻類が発生しなくなり、エサ環境が一変してしまいます。
そこで彼らはアイスアルジー(氷の中で生活する藻類)を食べたり、エサが全くなくなると今度は脱皮により自分自身を小さくしてエネルギーの代謝を抑えるということも分かってき
ました。
これは南極という過酷な環境下生き抜いていく戦略ともいえるでしょう。
オキアミは、クジラ・ペンギン・オットセイ・海鳥・魚類・イカなど南極の生物の主要なエサ、つまり南極生態系の鍵種(要的存在)なのです。
ちなみにクジラは一日に体重の数パーセントのオキアミを食べるのだそうですが、たとえば体重100トンのシロナガスクジラの場合は、一日に3トン(約3百万匹)ものオキアミを食べている計算になります。
しかもクジラは10頭や20頭ではないのです。
そう考えると自ずとナンキョクオキアミの凄さを思い知らされます。
いま単一種だけでもっとも膨大な量をしめるのがオキアミ、その次が人間といわれています(その資源量を正確に把握するため南極海で定期的に調査を行っています)。
今から30年前にオキアミ漁業は始まりました。
当初は「将来の食糧不足に備えてのタンパク源に」と意気込んでいましたが、今や飽食の時代、人間様の御馳走は本物の‘エビ’に
座をとってかわってしまいました。
オキアミの栄養価は特級で牛肉にひけをとらない
タンパク質を含んでいながらも低カロリーなのですが、やはりいまいちの食感や扱いが面倒(すぐに自己消化をおこしてしまいます)なのと南極というコストのかかるためなのでしょうか。
現在漁獲されたオキアミの多くは、釣りエサ・養殖魚・観賞魚のエサとして利用されています。
そしてその他の一部分が、我々人間用の食材として、主に練り製品(かまぼこなど)やかき揚げ・調味料・佃煮などに利用されています。
機会があれば、是非探してみてくださいね。
また世界のオキアミ漁獲量10万トンの約7割は、日本が占めています(平成10年度)。
さらに多国籍の漁船が捕ったオキアミもかなり日本に輸入されています。
つまり日本は世界トップのオキアミ消費国でもあるのです。
しかしそんな南極にも深刻な出来事が起きています。
皆さんもご存じでしょうが、地球一のオゾンホールができ、温暖化で氷がとけ氷床が崩壊しています。
オゾンホールから降り注ぐ紫外線の影響は南極に棲む生物に何らかの異常をもたらすのではないかと懸念されて
います。
氷が溶けペンギンの数に変動(増減)が出てきたという報告もあります。
このよ
うな問題も心に留めていただき、この機に少しでも南極(とくにオキアミ(^-^))を知って
いただければ幸いです。
以上のことをを教えていただきました!
独り占めしちゃうには、あまりにモッタイナイ内容。
ですので多少文章加工いたしましたが、ほぼ全文を御許可をいただいた上で載せさせていただくことにしました。
H様、心から感謝です。
週に一度は我が家の昼食に登場するエビ入りかき揚げ蕎麦! これからは足の数を数えちゃいそうです〜。(^-^ゞ