南極旅行日記
- 準備編 -


9月20日




 「そろそろ正式パンフレットが届くはず・・・」とは思いつつ、あま
りアテにはならないので、最近しきりと眺めているのが、以前に貰った環境庁自然
保護局
の南極パンフレット。


 その中で禁止事項として記されているのが、

*ペンギンをはじめとする鳥やアザラシを捕まえる・群れを乱す・餌を与える・触
 る・接近して驚かす

(観察や撮影の際には、ペンギンや鳥は5メートル、アザラシは15メートル程度の距離をとりましょう)

*鳥の卵を持ち帰る

*コケを踏みつける

*ペットの持ち込み

(動物への病気感染を防ぐため、現在では犬ゾリ用の犬の持ち込みも禁止されています)

*紙屑やごみ、たばこの吸い殻、飲食物などを捨てる

ゴミを屋外で焼却することも禁止です。用をたす時は船に戻ってください)

*特別保護地区への立ち入り

*建物や記念碑などへの落書き


 
 読んでいて、ふと、レイ・ブラッドベリの小説「雷のとどろくような声」
を思い出した。

 時代は未来、動物狩りタイムトラベル会社主催のツアーに参加する、とある男が、
指定されたティラノザウルスを狩る時に間違って立ち入り禁止区域に足を踏み出し
てしまい、そのためツアーから本来自分の生きている時代へと戻ってくると・・・
という内容のもの。
 中学生の頃に読んだ時は、面白いとは言ってもさほど大きな感銘も受けず記憶の
底にしまいこまれていたのが、何故今頃になって思い出されるのだろう?

 自分が気づかず、あるいは気づいていたとしても、ほんの些細なことが及ぼす影
響を改めて意識せざるを得なかったということか。
 それが近い未来か遠い未来か、私には分からないけれど、行くと決めた以上は叶
う限りの配慮を心がけたい。


 なぁんて、なんとか前向きに考えようとはしているのだけど、依然として悪者な
気分を払拭できない。
 あーあ、なんだかすっかりプレッシャーだ。
 ただ夢見ていただけの頃の方が、よっぽど楽だったなぁ・・・。
 今からこんなで、果たしてこのプレッシャーを乗り切れるの?
 且つ自分のために、地球のために、有益な何かを得られるの?残せるの?


 もしかしたらいつもの癖で、事を大袈裟に考え過ぎなのだろうか。
 それとも逆に、まだまだ悠長に考えているのだろうか。
 精神的バランスの悪さを自認している私としては、全く心許ないばかりです。