『案山子 -KAKASHI-』
* 劇場公開作品
ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2001 ファンタランド国王賞受賞 |
製作 EMG/プラネット/マイピック/ ビームエンタテインメント 製作プロダクション プラネット 配給 マイピック 86分/カラー/ビスタサイズ -------------------------- ビデオ&DVD 発売元:「案山子〜KAKASHI〜」製作委員会 販売元:(株)ポニーキャニオン
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《妻と旦那のオシャベリ》 妻:さて、ようやっと『案山子』のオシャベリ〜。 るん♪ 旦那:うん。これに関しては、まだプロモーションの最中だから、内容的なことはここでは語らないようにするね。 妻:はぁ〜い。ここで、話しちゃうとインタビューとかで話すことがなくなっちゃうものね。それじゃ、どうしよーか? 例えば、この企画を引き受けたいきさつみたいなことは、どう? 旦那:あ、そうね。そもそもは、伊藤潤二原作作品を日本=香港合作で映画化したいというオファーが来たのが発端。 妻:あなた、伊藤潤二が大好きだもんね〜。 旦那:うん、だから引き受けた。だけど香港との合作というのも面白いと思ったの。 妻:ジョン・ウーも、大好きだもんね〜。 旦那:いや、まぁ、香港だからというわけではなくて、海外との合作がどんな風に作られるのかに興味があったのね。 妻:ふん、ふん。それで実際、体験してみてどうだったの? 旦那:基本的には大きな違いはなかった。もちろん、言葉の問題とかはあるのだけど、やることは一緒だった。でも、現場でグレース・イップと香港側関係者が「事前の脚本通りに撮っている」と驚いていたことと、「なぜ、監督がモニターを見ないのか?」と不思議がってたことが面白かったね。 妻:え? それ、どういうこと〜? 旦那:僕も伝え聞いてはいたけど、香港映画界では脚本が盗まれることをおそれて、スタッフ、キャストに当日の朝になって、その日撮る分の脚本を渡すんだって。一冊にまとまった脚本は事前に無いの。 妻:ひゃー?! それじゃぁ、みんな何作ってるのか解らないんじゃない? 旦那:うん、ま、ある程度の概要は伝えてあるらしいけど、現場に行って初めて役者はどんな台詞を言えばいいかわかるって具合。もちろん全部が全部この方式ではないらしいけどね。でも、いわゆるアクションとかの娯楽作品だと、ストーリーは単純だし、台詞も少ないからこの方式で出来ちゃうんでしょうね。でも逆に、ストーリーが単純であれば類似作、模倣作を作ることも簡単だから、事前に脚本を固めない。そうすれば盗みようがないからね。もし盗まれると、香港映画人はフットワークが良いから、本家が完成する前に類似作が先に完成してしまって、結局、本家の方が類似作になってしまうことも有り得る。 妻:凄いなぁー。というか、香港映画界って、ちょっち恐ろしか〜。 旦那:そうね。でも、日本の映画界よりも元気があるよ。 妻:そ、そうかもね。で、モニターの話は? 旦那:これは日本映画が発展途上に陥ってしまった現れね。 妻:と言うと? 旦那:映画は今のところフィルムで撮られてるけど、最近はビジコンというカメラに取り付けるモニターがあるのよ。以前はカメラが回っているときは、キャメラマン以外の人間はその映像を見ることが出来なかった。例えばさ、「使い捨てカメラ」で写真を撮るときはシャッターを押す人しかその画を見れない訳じゃない。それと同じ。だけど今は、監督やその他のスタッフも一緒に見ることが出来るようになってる。映画は映像で出来てるのに、その肝心の映像を現場でキャメラマン以外が確認できない。これって、考えてみると変でしょ? 妻:うんうん。 旦那:米国や香港など映画が元気な国では、このビジコンが当たり前になっている。でも、日本ではCMやミュージック・クリップ、それに全国公開とかする映画以外では、まだあまり使われてないの。 妻:へぇ〜、そうなんだぁ〜。 旦那:うん。でも、現場で色々と確認できてしまうというのも善し悪しがあるんだけどね。合成カットとか、複雑なカットの場合は非常に便利なんだけど、普通の芝居場なんかのときは、僕なんかは細かい部分が気になりだして悩んでしまい、かえって時間が掛かってしまうからね。 妻:あ、それ、なんとなくわかるわ。 旦那:で、今回は昔ながらの方法で撮ってたから、香港の人たちに不思議がられてしまった。 妻:そっかぁ〜。 ね、ね、香港側からはうるさい注文とかなかったの? 旦那:そりゃ、やはり、多少はあるよ。でも、純日本映画を作るときと同じような条件や注文だったから納得できた。むしろ、日本の映画界よりも監督に対する姿勢は非常に丁寧だったな。やはり、香港は映画という娯楽産業に力があり、だからそれを作るクリエイターを大切にしようとする意識がある。そんなことを感じたね。 妻:ふ〜ん。あのさ、少し内容的な話をしてい〜い? 旦那:うん、そだね。少ししよう。 妻:あなたってさぁ、な〜んか、長いものが好きだよねぇ? 旦那:な、なっ、なんだっ、それっ!? 僕はそっちの興味はないよ! 妻:ほえほえ、そんな、変態さんぽいこと(ってどんなことじゃ?)を言ってるじゃないよぉ〜。 旦那:でも、いきなり「長いものが好き」といわれればさ。 妻: ったくもー! そうじゃなくてぇー、今回はトンネルが重要な舞台になるでしょ? それに廊下の印象的なカットが多いし〜。で、自主映画の『トネリコ』は学校の廊下が舞台だったし、『新・ほん怖/踊り場の友だち』も『悪霊怪談/第1話』も『亡霊学級』も廊下がクライマックスでしょ? それに、池脇千鶴さんのテレビ『ほん怖/オープニング』は一本道が舞台で、『リング0』は井戸だし・・・。 旦那:あー、それね。確かに、そう。「長い空間」を舞台にするのが好きだね。 妻:それって、なんでなの? 何か、深ぁ〜い訳でもあるの? 旦那:自分でもよくわからないけど、たぶん、トンネルとか廊下みたいな長い空間は、既に怖いからじゃないかな。トンネルの入口に立って、向こうの遠く離れた出口を見ると、それだけでちょっとゾッとする。 妻:あらま、なんだ、そーいうことか(笑)。 旦那:そういうことか、って、どういうこと? 妻:やや、そんな、突っ込まないでよ。もうちょっと何か、例えば幼児体験に起因する何か、みたいなものでもあるのかなぁ?と、考えたりしちゃったわけ。(^^ゞ ともあれその気持ち、わかるようなわからないようなでありまする・・・。 旦那:あ、確かに幼児体験の影響はあるな。君も知っての通り、僕の実家のトイレは廊下の端にあるから夜中に行くのが凄く怖かったもの。でもね、なぜそれが怖いのかはトイレ自体に何かが潜んでいるという恐怖感だけでなくて、予め終着点を見せられている中で、その道を進んで行くしかないのが怖かった。なんだか「死」に向かっているような気分とでもいえば良いのかしらね。でね。人間ってさ、最終的に死ぬことは避けられないのに、普段は自分が死ぬとは思ってないし、想像したくもないでしょ。でも、トンネルとか長い廊下とか歩いてると「君はいずれ死ぬのだよ」と寝ても覚めても突きつけられているような感じがする。 妻:うにゅー、のりって(きゃ、言っちゃった!)、根っから発想がホラーなのねん。 旦那:でも、そうでもないよ。『トネリコ』を作ってるときを思い出したけど、あのときは「杭が男根」で、「廊下が女性器」だと自分なりに解釈して撮ってた。その為に最初の廊下の前進移動ショットは屈伸運動してるみたいな映像にしたのね。だから、決して、全てがホラーな発想じゃないよ。 妻:げげんっ! それじゃぁやっぱり変態じゃん〜〜。というか、エッチ臭ぁ〜!! 旦那:え? ふふっ。そんなことも知らなかったのかい? それじゃ、お嬢ちゃん、ふふっ、おじさんがこれからゆっくりと教えてあげるよ。ふふふっ。ふふっ。 妻:おへー。(それより、背中掻いてくれたまえよ>キミ) 旦那:げっ。またそれかぁ〜。手首が疲れるから、やなんだよなぁ〜。トホホ。 (01/04/25・自宅にて) |
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