金曜エンタテイメント『ほんとにあった怖い話』


* TV公開作品

 1999年製作作品
制作・著作 フジテレビ 原作 朝日ソノラマ

5話オムニバス

プロデューサー
音楽

『オープニング』
出演
脚本・監督

『白昼のベル』
出演
脚本
監督

『社内怪報』
出演
脚本
監督

『夏の訪問者』
出演
脚本
監督

『深夜病棟』
出演
脚本
監督

劇中音楽

後藤博幸
藤原ヒロシ


池脇千鶴 雅子
鶴田法男


稲垣吾郎 渡辺慶  佐藤仁美
三宅隆太
鶴田法男


杉本哲太 大路恵美  鷲尾真知子
三宅隆太
関卓也


中山美穂 窪塚洋介  吉行和子
水橋文美江
河毛俊作


黒木瞳 星野有香  竹中直人
小川智子
鶴田法男

尾形真一郎(除く『夏の訪問者』)

妻と旦那のオシャベリを読む
(On air前の公開分)

妻と旦那のオシャベリを読む
(On air後の公開分)



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の順でクリックすると、『ほん怖』の大きなバナー画像があります。
それをクリックすると、各話ストーリー紹介や画像、製作中のエピソード、
局内の怖い話や一般の方が実際に体験した怖い話、予告編の動画等々、
盛り沢山な内容が見れて面白いヨ!)


 内、

「オープニング」
「深夜病棟」
「白昼のベル」

を監督

































《妻と旦那のオシャベリ》

妻:ジャーン! な〜んと、あの『ほん怖』がテレビ作品になるなんてーっ! こりゃ、あなたのお母さんに三色おいなりさんの作り方、教えてもらわなきゃなー。美味しいんだよネ〜、胡麻のおいなりさん、紅生姜のおいなりさん、おあげを裏返しのおいなりさん〜♪

旦那:おい、おい、『ほん怖』がテレビになって、自分でも信じられない、驚いてる。って話をしようとしてる矢先に、おいなりさんが美味しいって盛り上がっちゃ、料理のページになっちゃうよ。

妻:あ、失礼しましたぁ。ねーぇ? どういういきさつでテレビになったのか、もっかい話してよー。

旦那:うん、今年の頭にフジテレビの後藤博幸プロデューサーから、唐突に、ほんとに唐突に、ホラー番組を作りたいから手伝って欲しいって連絡が入ったのが、全ての発端。

妻:ううむ〜、あたしさ・・・、後藤さんには悪いけど、最初その話を聞いたときは、なんか怪しいなぁ、って思っちゃった・・・。

旦那:ほんとに。僕も怪しいと思った。だってさ、今までは知らない人から連絡が入るときは、大抵は誰かを介してくることが多かったからね。それが、いきなりフジテレビの人でしょ。この時はテレビ『学校の怪談』も引き受けたばかりで、まだ公に発表になってなかった時期だからね。だから、なんで僕みたいなマイナー人間に、しかも3年近く作品を撮ってない人間に、いきなり連絡が入るんだろうって、ただただ不思議だった。

妻:でぇ〜も!? 首を傾げながらもフジテレビに行って会ってきたんだよね〜?(ふふふ・・・)

旦那:そう。で、名刺を渡されたんだけど、それを見ても「なんか怪しいなぁ」って感じだったの。なにしろ、後藤さんはまだ30才を越えて間もない若さだしね。でも、僕と連絡をとるために、「鶴田は監督を引退した」って映画・ビデオ関係者から話を聞かされても納得せずに、コミック『ほん怖』編集部に連絡までして僕の携帯の電話番号を聞きだしてたのね。しかも、僕の作品をほぼ全部観てたの。今まではさ、僕に仕事の依頼をしてきても、「すみません。実は数本しか観てないんで、他の作品を貸してくれませんか?」とか言うプロデューサーが結構居て、実は閉口してたのね。とにかく、後藤さんは、それほどまでに、僕のことが気に入っているのかと思うと、そりゃ、些細な怪しさなんて吹っ飛んじゃうよね。

妻:ううむ、凄い惚れ込まれようだったのね・・・。で、仕事を引き受けたと?

旦那:うんにゃ。だって、この時は企画書もなんにも無かったんだもん。

妻:あっひゃー。

旦那:僕と会ってから後藤さんが企画書を書き始めて、僕はそれを手伝って、で、面倒くさいから細かいことは省くけど七転八倒、紆余曲折があって、結局、春にGOサインが出て現在に至ったの。

妻:その間、あたしは南極に行ってたから、よく知らないんだけど、色々大変だったんでしょ? 最大傾斜角度51.3度の大揺れドレーク海峡通過中のディスコ号の中でさ、物も人もシェイクされてる中、あなたからのFAXだけは、何の支障もなく見事!つつがなく届いててさぁ〜(笑)、でもその中身がこっちとは違う意味での大揺れみたいなもんだから、色々気を揉んじゃったわ。

旦那:そうね、ちょっと僕の方の問題もあったんで、後藤さんに迷惑を掛けてしまったりで大変だったね。とにかく、本当に大変だったのは企画者の後藤さんで、僕は手伝っただけだからね。でも、やっぱり一つの企画が通るまでは様々な障壁が待ちかまえてる。とにかく、金曜夜9時の2時間枠の番組で、5話構成のオムニバスとして製作することになったのね。で、僕はその中の3話を撮ることになった、と。

妻:まだ完成してないから何とも言えないだろうけど、ビデオ版との大きな違いって何処なの?

旦那:そりゃ、ビデオ版が無名キャストだったのに、テレビ版は超有名キャストになったところが最大の違いでしょうね。

妻:あ!そうだよねぇ。凄いキャストだよね。あなたの担当した3話の主演が、黒木瞳さん主演作と、稲垣吾郎さん主演作、残りのもう一本の主演は、三井のリハウスのCMに出演中の子なんでしょ?

旦那:池脇千鶴ね。映画『大阪物語』に主演して、最近ではフジテレビの『リップスティック』ってドラマで大きな役をやってた子ですよ。

妻:千鶴ちゃんは、いかがでした? 衣装合わせの日、帰宅した途端に「もうもう可愛くって可愛くってメロメロ!」って言ってたよねぇ?

旦那:いや〜、可愛かったぁ。チョー可愛い。ファンになっちゃった。

妻:むむむ・・・(わかっちゃいるけどチョッピリ焼餅!) そそ、黒木さんの作品には竹中直人さんが特別出演してるんだよね。

旦那:そ、そ。でもさ、正直言うと、最初はこんな豪華キャストにしちゃったら「怖くなくなる」って難色を示してたの。

妻:へぇ、そうなんだぁ。

旦那:だってさ、『ほん怖』の怖い理由って、「実話」だからでしょ。それなのに顔の知れた人が出てきたら、「実話性」って薄れちゃうじゃない。

妻:ま、そうかもね。だけど、それをOKした、と。

旦那:うん。かなり考えたんだけど、「作品の世界観がリアル」であれば「有名だから実話性が無くなる」ということもないんじゃないかと思うに至ったのね。それに、例えばジーン・ハックマンが有名俳優になった今でも『フレンチ・コネクション』はリアリティに溢れてるんだからね。

妻:ふん、ふん。

旦那:あとね、最初に出演を快諾してくれたのが黒木瞳さんだったのね。で、この人ならきっとナチュラルでリアルな感じの世界は構築できるだろうと思ったの。

妻:それさ、あたしさ、その黒木さん主演の『深夜病棟』の仮編集を見せてもらっちゃったからさ、あたし、ここで感想を言っちゃっていい?

旦那:え〜、うん、まぁ、いいよ。

妻:実は黒木瞳さんの作品って今まではあまり意識して観たことがなかったの。でもね、この作品の中での黒木瞳さんって、とーっても素敵だったの。今まで私が観た中では一番自然体なように思えちゃった。「あら、こんなに可愛らしい人だったんだぁ?」って、大注目よ? すっかりファンになっちゃった!

旦那:あ、いや、嬉しいけど、このコメント、黒木さんにはあんまり読まれたくないな。

妻:でもさ、でもさ、「すごい〜!」って思ったわ。お話も画面も。んでもね、一番惹かれた部分はね、これは多分今の私の年齢と偶然合ってしまったからかもしれないんだけど、なんつーかな・・・、20代くらいまでの“若さ”だけでは勝負出来ない年代にさしかかった女性の微妙な心理が上手く表現されていたような気がしたの。そういう意味では、このお話って、やっぱ少しせつな系よネ。職業意識と女心の微妙な葛藤っていうのかしら?そんな感情がうまぁく表現されてたように思うー。

旦那:それは、ありがとう。『亡霊学級』の小川智子さんに脚本をお願いしたからね。微妙な心理とかの描写が、うまいよね、小川さんは。まだ音入れが残ってるけど、正直言って、僕もこの作品にはかなり満足してる。小川さんの脚本に、黒木さんの力が加わって目指した以上の作品になったと思ってる。黒木さんはほんとに素晴らしい女優さんだよ。それと、いつもの尾形さんの音楽がメチャクチャ良いのよ。

妻:それも、聴かせてもらったけど、尾形さん、凄い冴えてるよね。仮で画面に併せて流したじゃない。そしたら、なんだか最後でジーンときちゃった。

旦那:実は僕も泣いちゃった。そんでもって、ちょービックリ! ってシーンもあって……。

妻:あそこは、まだ音が入ってないのに、飛び跳ねちゃったよ。

旦那:君の反応が楽しかったよ。

妻:ふんっ!毎度毎度のことながら、あなたって悪趣味よね〜。人がビックリしてるのを見て楽しんでるんでしょ?

旦那:いや、そうじゃないけど、自分が狙ったことがうまく出来たときは嬉しいもんだよ。とにかく、自画自賛になっちゃったけど、「ゾッーっとする怖さ」もあって、「ドッキリするシーン」もあって、それでいて「せつない」、とても良い作品が出来たと思ってる。それだけに、多くの人に見てもらいたいな、って願ってる。

妻:ほんとに。完成が楽しみ。ところでさ、残りの2本はどうなの? まだ何も見せてもらってないけど。

旦那:こっちもかなり満足してるよ。稲垣吾郎主演作『白昼のベル』は、相当にゾッーっとできると思うよ。稲垣さんが、冴えない男を演じてて、これが面白いし。それから全体のオープニングを飾る池脇千鶴ちゃんの作品は、ただ怖いだけで、しょっぱなの掴みとしては楽しめると思うけどね。

妻:あなた以外の監督の作品はどうなの?

旦那:僕もまだ観てないんで、なんとも言えないけど、スタッフの話によれば杉本哲太主演の『社内怪報』は「幽霊に追われる怖さ」が、かなりうまくいってて楽しめるみたい。それから中山美穂主演作は、仮編集を観た全員が「最後、涙腺がゆるんで涙が出ちゃう」って言ってた。相当に感動できるみたいよ。

妻:
本当〜? わぁい、とにかく放映が楽しみぃ〜。

旦那:うん。あ、それと、エンドロールもちゃんと観て欲しいな。後藤プロデューサーが演出したんだけど、僕はこれを見せられたときに「こんなものがテレビドラマの最後を飾って良いのか?」って思っちゃった。実に画期的ですよ。

妻:え? なになに?

旦那:すげぇー怖いんだけどさ。

妻:なによー!! 奥さん特権にしちゃってよぉ〜。え〜ん、教えてぇ〜?

旦那:ははっ。それはヒ・ミ・ツ。

(1999/8/3 自宅にて)






《妻と旦那のオシャベリ》On air後の公開分

妻:放映終了してだいぶ経っちゃったけど、おしゃべり第2弾〜!これ、視聴率良かったんだよね。バァンザーイ!

旦那:あ、うん。良かったね。関東18.8%、関西は20%を越したのね。フジテレビ後藤プロデューサーは「立派な数字です」って喜んでた。

妻:あなたもこれだけ深く関わったテレビ番組ははじめてだったし、本当に良かったネ。

旦那:うん、良かった。でも、やっぱりこの作品は後藤さんありきの番組だったから、後藤さんが喜んだことが、僕としては嬉しかったなぁ。端から見ててもコワイくらいにこの番組に命を賭けてたからね。凄い意気込みでね。僕より一回り近く年下なのに「なんて頼もしい男なんだ」と思ったもの。

妻:そういや準備中から「後藤プロデューサーは凄いよ」って言ってたもんね。

旦那:つい言いたくなっちゃうのよ。例えばさ、『深夜病棟』の手の出てくるカットあるじゃない。あれさ、後藤Pが「このカットはいくらこだわっても良いですよ」って現場で言ってくれなかったら、撮れなかったものね。

妻:へ〜そっかぁ。うん、でもあれは何度見てもビックリするー。

旦那:黒木瞳さんの芝居と手の出てくるタイミングが微妙にずれてるから、意表を突かれてビックリするのね。

妻:ねぇね、あのカットは何回くらい撮り直したの?

旦那:もう、忘れちゃったなぁ。でも、手のタイミングがなかなかあわなくて15回くらい撮り直したような記憶がある。

妻:うひゃー!

旦那:だけど、黒木さんも嫌な顔ひとつせずに撮り直しに応じてくれたんだから、ほんとに感謝、感謝。だってさ、黒木さんの芝居には問題はなくて、手の出てくるタイミングがあわないだけだったんだからね。よく我慢してくれたなぁ、と思い返すと感動しちゃう。

妻:わは、黒木瞳さんって、やっぱりすごい女優さんなんだね。

旦那:そうだね。でさ、あのカットに関しては、音効(音響効果)さんが音を付けてるときに「何度観てもタイミングが覚えられない」って思わず言ってたのが楽しかったな。

妻:ところでさ、「一番怖い!」って評価されたのは杉本哲太さんの『社内怪報』だったんでしょ?

旦那:一般的にはそうみたいね。

妻:あたしさ、正直言ってあなたの担当した作品じゃないから、ちょびっと悔し。 (._.)

旦那:まぁね、気持ちは分かるよ。でも、後藤さんと一緒にこの企画をゼロから立ち上げてきた僕としては、どの話が評価されようとも嬉しい。演出を担当した関監督も、ホラーを手掛けるのは初めてでかなり力が入ってたしね。

妻:ふーん、なるへぞ。そう言えば『社内怪報』って『真・恐怖体験』の二話目『展望台の怪異』と少し似てるね。

旦那:あー、そうね、脚本を書いたのが三宅隆太くんだったからかな。

妻:三宅隆太さんって、あなたのファンだったんでしょ?

旦那:そうなの。まだ20代中盤なんだけど、この間までは自主映画を創ってたのね。で、自主映画で僕の演出を真似たホラーとか作ってビデオを送ってきてくれたりして、親しくなっちゃった。で、大学卒業してプロになったって言うんで、じゃ、テレビ『ほん怖』を手伝わない? って声を掛けて参加してもらったの。

妻:凄いよね。そんな歳で全国ネットの番組の脚本を任されるなんて。

旦那:そうね、うらやましいね。僕はここまで来るのに10年近く掛かったのにね。でも、彼の『みちくさ日和』っていう自主制作の短編はファンタジーだったけど、とても良く出来てたしね。それに僕の演出を真似た作品も「鶴田作品」を非常によく研究してるのがハッキリ分かったからね。大した人だなぁ、と感心しきりだったの。あ、あの、ひとつ断っておくけど、僕は「人真似」は悪いことではないと思ってるからね。ふつふつと自分の内からわき上がる衝動や欲求を抑えきれずに真似をしたものは、素晴らしいと思う。一番良くないのは、そういう衝動や欲求が無いのに人真似をした時で、それはクリエイターとしては手抜きじゃないかと。また、衝動や欲求があるのに人真似になるから止めよう、というのも良くない。これはクリエイターとしては自意識過剰すぎるし、ともすれば、かえって独りよがりに陥ることがある。

妻:あ、それ、前にもどこかで言ってたよね。

旦那:あ、そうだね。ごめん。

妻:いえいえ。(^-^) とりあえず話を戻して・・・と。とにかく、要は年齢ではなくて、才能と努力次第ってわけなのねぇ(しみじみ〜)。

旦那:うん、そうね。ほんとの意味でそうなれば、日本映画も面白い作品がいっぱい出来てくると思うけどね。

(2000/02/11 自宅にて)



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