サスペリア監修『真霊ビデオ U 恐怖体験談集』


* オリジナルビデオ公開作品

(C)1996 
製作 パノラマ・コミュニケーションズ
発売元 パノラマ・コミュニケーションズ/販売元 東映・東映ビデオ

[スタッフ]
原作
プロデューサー
企画・構成・演出
企画協力
構成協力


「月刊サスペリア」(秋田書店)
伊藤直克
鶴田法男
川守田游
林壮太郎/名取高史

[内容]

実話恐怖体験談&心霊スポットの紹介

妻と旦那のオシャベリを読む































《妻と旦那のオシャベリ》

妻:これはドラマじゃないよね。

旦那:そうね、ビデオ業界では「企画モノ」って呼ばれてる。

妻:なんで、こんなものを作ろうと思ったの?

旦那:こんなものだなんて、失礼だな。

妻:ごめぇ〜ん。でも正直なことを言うと、個人的にはちょっといかがわしい感じがしちゃって。

旦那:うーん、いかがわしい、ねぇ。気持ちは分かるような気もするけど。でも、『ほん怖』だって、相当にいかがわしいよ。『学校の怪談』とか『リング』とかがヒットして、今でこそ、この類のものが市民権を得て「いかがわしさ」が薄れたけど、基本的にはいかがわしい代物だよ。

妻:そうかなぁ・・・?

旦那:だってさ、つい最近までは「心霊ホラーを撮ってます」って、業界の40才過ぎの知人に話すとさ、まずは「ワハハッ」って笑う人が多かったの。何本か僕を監督に起用してくれた某製作会社の社長なんて付き合いが長いのに、「鶴田くんは子供向けの作品を手掛けた方が良いよ」とかしたり顔で言うんだからね。腹立たしいったらありゃしない。その反面、そう言う連中は『東海道四谷怪談』とか『牡丹灯籠』とかは別格扱いしてるの。『東海道四谷怪談』も、初演当時は通俗的な見世物芝居に過ぎなかったのを、みんな忘れてるの。黒沢明監督の『羅生門』が、初公開当時は「難解な映画」って無視されたのに、海外で賞を取ったら「名作だぁ!」って騒がれたのと同じなのよ。なんか、アタマ来るよね。

妻:・・・つまり、『ほん怖』は『四谷怪談』や『羅生門』と同じだって事?

旦那:あ、いや、違う。そんな大それた事は微塵も思ってないよ。ちょっと感情的になりすぎてしまいました。ごめんなさい。でも、今までバカにされたり、全く理解されなかったりすることが多かったものだから。

妻:そっかぁ、内心、辛いことも多かったんだね。

旦那:うん、まぁね。とにかく、『真霊ビデオ』を企画したときの気持ちは『ほん怖』を企画したときと同じだったのよ。

妻:ところでこの作品の発端はなんだったの?

旦那:僕、メシ食えないときは、雑誌のライターとかやってるでしょ?

妻:うん。

旦那:で、雑誌の取材で東映ビデオに行ったときに、東映ビデオの三宅澄二プロデューサーに、「低価格で販売できる怖い企画ない?」って聞かれたの。それで、常々ぼんやりと考えていた「心霊写真の紹介ビデオ」と「恐怖体験を語るだけのビデオ」を形にしてみようと思ったのね。それに、心霊現象モノをいっぱい撮ってるのに、本物の霊能力者に会ったことがないし、心霊スポットに行ったこともなかったから、我ながら疑問に感じてて、それも解決できると思った。

妻:ふーん、なるほどぉ。あ、でもさぁ、さっきは腐しちゃったけど、『T心霊写真集』の方は結構楽しめたヨー。子供の頃さぁ、ワニブックスの何だったっけ?正式題名忘れたけど「心霊写真」をドカドカッと解説付きで載せてた本あったじゃん。あれ、一時期ハマッちゃったことあるんだよねぇ。すっかり忘れてたけど、あの時の興味津々な気分が戻ってきたみたいだったぁ。

旦那:あ、それ、それ。分かってくれたかぁ。心霊研究の巨匠、中岡俊哉氏の「恐怖の心霊写真集」のビデオ版を僕は作りたかったのよ。だけどさ、って、ことは『U恐怖体験談』はダメ?

妻:うーん、ちょっと観づらい作品だった・・・かな?

旦那:ああ、そう言われても仕方ないかな。ナレーションで語っていることと、映像が無関係だからね。作品のルールを理解するのが難しいかもね。でも、ビデオ作品なんだから、例えば『奇跡体験! アンビリバボー』みたいなテレビ番組じゃ絶対にできないことをやってやろうと思ったの。だけど、ちょっと実験が過ぎたかも知れないね。

(1999年8月1日/自宅にて)



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