『呪われた美女たち 悪霊怪談』


* オリジナルビデオ公開作品

(C)1996 株式会社ジャパンホームビデオ株式会社
製作 株式会社ティー・ピー・ピー 株式会社オフィス・キタ
発売元 ジャパンホーム株式会社

[スタッフ]
企画
プロデューサー
監督
脚本
音楽


喜多一郎
油谷真一、伊藤直克
鶴田法男
小中千昭
尾形真一郎

[キャスト] 吉野美佳/望月留美/堤まり/夏川みすず
水上竜士/伴直弥
妻と旦那のオシャベリを読む































《妻と旦那のオシャベリ》

妻:ねーえ?この作品の裏話して良い?

旦那:ああ、あれね。良いよ、別に。

妻:これって、本当は各30分、5巻構成のビデオとして作られたんだよね?

旦那:はい、その通り。最初に発売されたときは『GiriGiri GIRLS in 超・恐怖体験』というタイトルでした。

妻:でも、お金を出した会社が潰れちゃったんで、タイトルを『悪霊怪談』に変えて、再編集して1巻ものにして再発売したんだよね?

旦那:正確にはちょっと違うんだけどね。ほぼ、そう言うことです。元々、評判の良くない会社だったから、その「ビデオ××王」ってビデオ店をやってた会社が。だから、この企画の依頼が来たときは、かなり悩んで引き受けてたし、ま、色んな事があるよね。

妻:主演のGiri Giri GIRLSって今はどうしてんの?

旦那:解散しちゃった。『悪霊怪談』ってタイトルに変えて再発する前に既に解散してたから、ほら、ジャケットに「GiriGiriGIRLS」の名前が一文字も入ってないでしょ?

妻:あ、ほんとだー。ところでさ、このタイトルって『悪霊怪談』だけど、正式には『呪われた美女たち』が頭に付くんでしょ?

旦那:そうそう、業界で言うところの「前サブ」ね。つまり、「前サブ・タイトル」。普通の「サブ・タイトル」は「メイン・タイトル」の後に付くんだけど、たまに頭に付くものもあるのね。僕は「前サブ」ってややっこしくなっちゃうから、あんまり好きじゃないんだけど、語呂とか語感の問題で「サブ・タイトル」が「前サブ」になることはあるよね。それから、役者の名前がタイトルに入るときなんかは、まず「前サブ」になるね。『アーノルド・シュワルツェネッガー ゴリラ』とか『トム・クルーズ 栄光の彼方に』とかね。「前サブ」が使われる率は劇場公開作品よりビデオ公開作品の方が多いよね。

妻:それって、なんで?

旦那:だって、ビデオ公開作品は劇場公開作品より宣伝費が少ないから、タイトルがそのまま宣伝文句じゃないと、一般のお客さんは見てくれないんだもの。

妻:そかなぁ〜?

旦那:だってさ、例えばさ、もし『アイズ・ワイド・シャット』の宣伝費がゼロで、TVスポットも打たない、駅にポスターも貼らないとするじゃない、そうすると、このタイトルを聞いてもなんだかチンプンカンプンでしょ。でもさ、タイトルが『トム・クルーズ アイズ・ワイド・シャット』だったり『スタンリー・キューブリック アイズ・ワイド・シャット』だったりすれば、「おお、見よう!」って思うわけでしょ。

妻:ああ、なるほどぉ〜。

旦那:タイトル談義になってしまって、『悪霊怪談』の話にならないね。

妻:えへ、ごめぇ〜ん。あたし、脱線させるの、なんか得意みたい・・・。でもさ、あのさ、ゴーインに話戻すけどさ、あたし、これ始めて観たときに感動して涙が出ちゃった。

旦那:あの時は、ホラーを観て泣くだなんて、気持ち悪い女だと思った。

妻:あっ!ひど〜いっ! まぁいいや、また脱線すると困るから止ぁ〜めよ。 だってさ、それまでのあなたの作品って、役者さんが出てても芝居場らしい芝居場が無い感じだったし、ドラマも薄いし、だから、これ観たときに役者さんがちゃんと芝居してて、ドラマらしい作りになってたから「こういうものも撮れるんだぁ」って、感心しちゃったのよ。

旦那:そうかぁ。だけどさ、『ほん怖』シリーズとかは実話性を重視してドラマらしくしないというのが当初からの狙いだったからね。ただね、僕も、そんな非ドラマな作品ばかりやってて、つまんなくなって来ちゃった。それと、名の知れたタレント主演だからドラマ的な演出にしないと成立しなかったからね。

妻:そっかぁ・・・。ところで望月留実さんの話で森の中で画面がグルグルするでしょ。あれ綺麗よね。

旦那:あれは、デ・パルマの『レイジング・ケイン』のパクリ。

妻:あはっ、パクリなの?

旦那:そうね、こればかりは意識したからパクリだな。

妻:わはははは・・・・。 ところでのところで!ビデオの話が、やっぱ、ズバ抜けて怖いよね。

旦那:みんな、そう言ってくれる。これは『戦慄のムー体験』のプリ編集を、やってた時に体験したことなのね。

妻:うぞぉ〜〜?! (>_<)/

旦那:あ、もちろん、あんな大袈裟な事じゃないよ。だけど、その体験が元になってる。三日間くらいまともに寝てなかった夜中だったんだけど、朦朧として来ちゃって、そしたら目の前のモニターの中に変な人影みたいのが見えてきたの。

妻:げぇぇ〜〜ん!

旦那:この話、以前にしなかったっけ? それに雑誌「ムー」にその体験談を掲載したんだけど、それ、見せなかったっけ?

妻:うんにゃぁ?

旦那:そうだっけ? うん、それで、カットを繋げていくとその人影がどんどん大きくなってくような気がしたの。で、部屋には僕一人しかいなかったんだけど、いつの間にか、部屋の空気がドヨーンって淀んだ感じになってて、なぜか冷や汗をかき始めて「ヤバイなぁ」って思ったら、ぷっつり意識がなくなって、気付いたら朝だったの。

妻:ふーん。

旦那:単に徹夜続きで、混乱してて、幻覚を見たんだと思うけどね。でも、怖かった。

妻:うひゃぁ〜、やだなぁ〜。で、それを元にして作ったんだ?

旦那:そ。僕がプロットを書いて、小中さんに渡して脚本にしてもらったの。

妻:「プロット」って、脚本にする前の大雑把なストーリーの下書きのことね?

旦那:そう、そう。

妻:だけどさ、映画『リング』を観たときに、これと凄く似てるから、ちょっと 「悔しい」って思ったこともあったんだ〜。

旦那:僕も、いささか「悔しい」って思った。でも、雑誌「ムー」に体験談を記したのが'94年の夏、このプロットを書いたときは'95年の春で、実は、僕は『リング』の「リ」の字も知らなかった。結局さ、人間って、考えることは一緒なのよ。似たような作品が同時に完成しちゃう事って、昔からよくあるじゃん。でも、映画『リング』の脚本家・高橋洋さんは、「映画版を作るときに『悪霊怪談』のビデオの話を参考にした」って言ってた。本当だとすれば、これ以上ないくらいにありがたいことだよね。

妻:うん、そうだよね。あたしも、その話を聞くと、なんだか嬉しいー。あなたや私側の気持ちで考えると、多少の悔しさや残念気分もあるけれど、本当に自分の内側から沸々沸と湧き上がってきたことだったら、それは“オリジナル”だもんね。そういうのはたとえタイミングの問題とか、あの作品と同じだとかいう問題があったとしても、やらないより、やった方がいいよね。

旦那:うん、そうね。結局さ、人間が物語を創作し始めてから何千年も経ってるんだし、映画の歴史だけみても100年経ってるんだからオリジナルなもんなんて、きっと無いんだよ。だからさ、自分が本当にやりたい物を作ることが第一で、悪い意味で「あれの真似をすれば良いんだ」って安直に作品を作っちゃうのと同じくらいに、「あれと同じだから止めよう」と思うことも間違ってるんじゃないかと思う。要は、他の創作物と同じであっても、自分の中で「これが絶対にやりたい」って揺るぎない想いが厳然とあるなら、それをやるのが一番良いんじゃないかと、最近は思うけどね。

妻:あ、でもねぇ、私、ドラマとしては死人に化粧をさせられちゃうメイクさんのお話が好きなんだー。やっぱり最後のところは、怖いながらもウッ!って目頭熱くなっちゃうし・・・。うまく言葉では説明できないんだけどさぁ、最後に出てくる彼女と彼女の無言のうちの了解っていうのかなぁ、それにウッ!ときちゃって・・・。あの男優さんはちょっとやり過ぎな感じはあったけど、スリリングでもあったよね。

旦那:彼は松田優作が相当に入ってたね。でも、撮影中は楽しかったからさ。でも、あの女性二人の暗黙の了解でウッと来るものがあったというのは、嬉しいですぅ。あの作品は小中さんの脚本がすごく良かった。あの脚本をもらったときは、メチャクチャ嬉しかったものね。主演の吉野美佳も頑張ったしね。

妻:でもでも一つだけ聞きたぁい!!彼女のパンツはどーしてああいうパンツになったの?彼女の年齢であの職業だったら、ビキニ丈のパンツを履いていると、てっきりそう思ってたもんで、ちょっと驚いちゃった・・・。

旦那:うー。それは、わたしゃにはわからん。女性のランジェリーに興味ないもん。あの下着を選んだのは吉野美佳だから、彼女に聞いてくれ!

妻:ふーん・・・?へぇ・・・?ほぉ・・・・?(-_-;))

(1999年8月1日/自宅にて)



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