『ほんとにあった怖い話』


* オリジナルビデオ公開作品

(C)1991 朝日ソノラマ、ジャパンホームビデオ株式会社
製作 ジャパンホームビデオ株式会社
発売・販売元ジャパンホームビデオ株式会社

[スタッフ]
プロデューサー
脚本
監督


伊藤直克/小椋悟
小中千昭/鶴田法男
鶴田法男

[キャスト]
「ひとりぼっちの少女」
「幽体飛行」
「赤いイヤリングの怪」

ナレーション

浅沼順子/久野博美/鈴木和枝/田中雅和
森口舞/星野章子/山田妙子(声の出演)
後藤宙美/石川しのぶ/近藤理枝/辻村真人

玄田哲章
妻と旦那のオシャベリを読む































《妻と旦那のオシャベリ》

妻:
これがあなたの処女作だけどさぁ〜、なんでまた、いきなりほんとに監督なんてやろうと思ったの?

旦那:え? それは、やっぱり子供の時から映画監督には憧れてたし 。ビデオ作品でも何でもいいから、生涯に一本くらい自分の監督作を残したいな、って思ってたから。だから、これ一本で終わりにして会社員に戻ろうって思ってたんだけど。この『ほん怖』一作目がヒットしちゃったから。

妻:うーん、そだね〜、会社員でいてくれれば生活は楽だったろね〜。でも、あなたが映画好きなのは結婚前から知ってたけど、こんなにホラーに執着してるとは、あたしも知らなかったなぁ〜。

旦那:いや、僕自身も知らなかったよ。だけどさ、君にも協力してもらった学生時代の自主映画『REDRUM』はサイコ・ホラーだし、その後の『トネリコ』は思いっきり吸血鬼映画だし、元々好きなのね。それと考えてみれば映画にハマッタのは、小学生の時にテレビで観た『たたり』(63年/監督ロバート・ワイズ)と、中学一年で観た『エクソシスト』(73年)だったからね。『エクソシスト』は確か30回くらい劇場で観た。

妻:うっ!さすがに30回は、わしゃ無理じゃー。でも『たたり』かぁ。今度、リメイクされたんでしょ?

旦那:そう、そう、『ホーンティング』ね。まだ観てないけど。でも、『SPEED』のヤン・デ・ボン監督だから、期待してない。目で見せる作品にしちゃってるだろうから。ロバート・ワイズの『たたり』が怖いのは、幽霊が一度も描写されないところだからね。

妻:ふーん。だけどさ〜、この『ほん怖』の第3話『赤いイヤリングの怪』って『たたり』の螺旋階段のパクリでしょ?

旦那:いや、それは、パクリと言われてしまうと、ちょっと辛いけど、でも、まぁ、似てるよね、天窓に女が出てくるカットはね。パクリかなぁ? 自分では意識してなかったけど。

妻:あっ!そうそう!第2話『幽体飛行』!怖くはないけど、気持ちよくて、あたし好きぃ〜。

旦那:ああ、そうね。自分で言うのもなんだけど、あの空を飛んでる映像は確かに気持ち良いよね。巨大な風船にカメラを吊したりして撮ったなぁ。予算がないから撮影の最後の方では助監督と僕の二人だけでカメラを回してた。

妻:企画の初期段階では、『幽体飛行』ではなくて『霊のうごめく家』が製作される予定だったんでしょ?

旦那:うん。でも、予算の都合で急遽『幽体飛行』に代わったの。なにしろ『幽体飛行』は主要登場人物が一人だからね。役者のギャラが掛からない。

妻:ひゃはは・・・。で、結局、『霊のうごめく家』は『ほん怖/第二夜』で製作されたわけね。ところで、『ほん怖』シリーズの記念すべき第1話は『ひとりぼっちの少女』だけど、あれはなんか理由あったの?

旦那:原作コミックは短編集だから、とにかくネタはいっぱいあってね。でも、その中でも『ひとりぼっちの少女』は特にピンと来るものがあったの。主人公の女の子は、幽霊に怖い思いをさせられたのに、時間が経ったら「あの子はひとりでかわいそうだな」って同情してるのね。そこが良いなぁ、と思って。なんか、胸にグッと来るものがあったのね。それと、ひどい目にあわされたのに、それでも同情するという皮肉な感情が、ホラーだなと思ったもんだから。元来、ホラーは皮肉なものなのよ。

妻:ほよぉ〜ん?皮肉じゃないとホラーにならないの? なんだかよく分かんないけど、まぁ、いいや。

(1999年7月31日・自宅にて)



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